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夏の夜空に歌を響かせ


ストーリー Story

●Scat Catsを探せ! 間をつなげ!
 ヴェリエーダ街の夏祭りを楽しむ勇者候補生たちの前に、その男はバタバタと現れた。
 丸メガネにくしゃくしゃのくせっ毛。身なりは良いが着こなしはどこか崩れている。大人には違いないが、どこか子どもに似た無邪気さの抜けない表情。
「あ、君! 確かうちの生徒だよね!?」
 勇者候補生によっては、この男が学園教師の【ジョニー・ラッセル】だと気が付いただろう。
「良かった……! 助けが必要なんだ……!」
 と、ジョニーは夏祭りを楽しむ勇者候補生たちに頼み込んだ。
 曰く。
「今日の夏祭りのステージに立つ予定だった『Scat Cats』がいなくなっちゃったんだ! 君には、彼らを探すか、ステージに立って間をつなぐかしてほしい!」 
 随分な無茶振りに、勇者候補生たちは顔を見合わせた。
「先生、Scat Catsって……?」
 不思議そうに尋ねる勇者候補生の一人に、ジョニーは、
「えっ、知らないの!?」
 と目を丸くする。
「ケットシー4匹のカルテットだよ! 【ビック・ジョーンズ】って君たち知らない? 有名な楽団長なんだけど、その人がプロデュースしたジャズ界期待の新進気鋭バンドで……」
 勇者候補生によっては、その曲を聞いたことがあるかもしれない。
 ピアノ、ベース、ドラム、ボーカルで編成されたケットシー4匹のジャズグループ、Scat Cats。
 もふもふと愛くるしい姿は女性に人気を博する一方、実力は本物であり、猫らしい自由奔放な演奏はジャズファンの心をつかんで離さないという。
「その4匹が、演奏の直前、どこかに消えちゃったんだ! 演奏を放り投げてどこかにいくような子たちじゃない……なにかトラブルに巻き込まれたのか、誘拐されたのかも……」
 そう話すジョニーのそばに、関係者らしい男が息を切らせて駆け寄ってくる。
「ジョニー先生……! これ!」
 関係者が手渡したのは、乱暴な筆跡の脅迫文だった。
「……猫どもは預かった。命が惜しければ、秘蔵の名酒『リルド・エーダ・ガッティ』をもって森の奥にある広場までこい……バング盗賊団」
「バング盗賊団か……厄介だな……」
 居合わせた勇者候補生の一人は、関係者を見遣った。
 最高級の蒸留酒、リルド・エーダ・ガッティ。換金すれば、遊んで暮らすには事欠かない。
「このお酒は出せないの?」
「リルド・エーダ・ガッティは王族に奉納する特別なお酒です。たとえこの場をしのいだとしても、この脅迫に屈してしまえばまた同じようなことが起きるでしょう。……絶対に、本物のリルド・エーダ・ガッティを持っていくことはできません」
 ジョニーは勇者候補生たちをじっと見つめた。
「これを、課外活動とする。二組に分かれて活動してほしい」
 勇者候補生たちは神妙に頷いた。
「一組は、舞台に上がって祭りにきたお客さんたちにScat Cats不在をさとられないようパフォーマンスを披露すること。もう一組は、この犯人たちの根城に踏み込んで、見事Scat Catsを奪還すること」
 ジョニーの目は、怒りをたたえていた。
「せっかくのお祭りを、台無しにしようとするなんて。絶対に許しちゃいけないよ」


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 4日 出発日 2020-08-09

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2020-08-19

登場人物 8/8 Characters
《枝豆軍人》オルタネイト・グルタメート
 リバイバル Lv15 / 魔王・覇王 Rank 1
■性別■ えだまめ(不明) ■容姿■ 見た目:小柄で中性的 髪:緑のショートヘア 目:深緑色 服:生前の名残で軍服を好む。 あとなぜが眼帯をしてる。 ※眼帯に深い理由はない。 ■性格■ 元気(アホの子) 意気揚揚と突撃するが、結構ビビりなのでびっくりしていることもしばしば。 ■趣味■ 枝豆布教 ■好き■ 枝豆(愛してる) ■苦手■ 辛いもの(枝豆が絡む場合は頑張る) ■サンプルセリフ■ 「ふはっはー!自分は、オルタネイト・グルタメートであります。」 「世界の半分を枝豆に染めるであります!」 「枝豆を食べるであります!おいしいのであります!!怖くないのであります!」 「これでも軍人さんでありますよ。ビビりじゃないであります!」 「食べないで欲しいでありますー!!自分は食べ物ではないであります。」
《模範生》プラム・アーヴィング
 ヒューマン Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
「俺はプラム・アーヴィング。ラム肉を導く修道士だ。…そうは見えない?そりゃそうだ、真面目にヤる気ないからな。ま、お互い楽しく適当によろしくヤろうぜ。ハハハハ!」                                       ■身体 178cm/85kg ■人格 身に降り注ぐ事象、感情の機微の全てを[快楽]として享受する特異体質持ち。 良心の欠如が見られ、飽き性で欲望に忠実、貞操観念が無い腐れ修道士。 しかし、異常性を自覚している為、持ち前の対人スキルで上手く取り繕い社会に馴染み、円滑に対人関係を構築する。 最近は交友関係を構築したお陰か、(犬と親友と恋人限定で)人間らしい側面が見られるように。 現在、課題にて連れ帰った大型犬を7匹飼っている。 味覚はあるが、食える食えないの範囲がガバく悪食も好む。 ■口調 修道士の皮を被り丁寧な口調の場合もあるが、普段は男口調を軸に雑で適当な口調・文章構成で喋る。 「一年の頃の容姿が良かっただァ?ハッ、言ってろ。俺は常に今が至高で完成されてんだよ。」 「やだ~~も~~~梅雨ってマジ髪がキマらないやんけ~~無理~~~二度寝決めちゃお~~~!おやすみんみ!」 「一応これでも修道士の端くれ。迷えるラム肉を導くのが私の使命ですから、安心してその身をゆだねると良いでしょう。フフ…。」 ■好き イヌ(特に大型) ファッション 極端な味付けの料理 ヤバい料理 RAP アルバリ ヘルムート(弟) ■嫌い 教会/制約 価値観の押し付け
《ゆうがく2年生》蓮花寺・六道丸
 リバイバル Lv13 / 芸能・芸術 Rank 1
名前の読みは『れんげじ・りくどうまる』。 一人称は『拙僧』。ヒューマン時代は生まれ故郷である東の国で琵琶法師をしていた。今でもよく琵琶を背負っているが、今のところまだ戦闘には使っていない。 一人称が示す通り修行僧でもあったのだが、学園の教祖・聖職コースとは宗派が異なっていたため、芸能・芸術コースに属している。 本来は「六道丸」だけが名前であり、「蓮花寺」は育ててもらった寺の名前を苗字の代わりに名乗っている。 若い見た目に不釣り合いな古めかしい話し方をするのは、彼の親代わりでもある和尚の話し方が移ったため。基本的な呼び方は「其方」「〜どの」だが、家族同然に気心が知れた相手、あるいは敵は「お主」と呼んで、名前も呼び捨てにする。 長い黒髪を揺らめかせたミステリアスな出で立ちをしているがその性格は極めて温厚で純真。生前は盲目であったため、死んで初めて出会えた『色のある』世界が新鮮で仕方がない様子。 ベジタリアンであり自分から肉や魚は食べないが、あまり厳密でもなく、『出されたものは残さず食べる』ことの方が優先される。 好きなもの:音楽、良い香りの花、外で体を動かすこと、ちょっとした悪戯、霜柱を踏むこと、手触りのいい陶器、親切な人、物語、小さな生き物、etc... 嫌いなもの:大雨や雷の音
《熱華の麗鳥》シキア・エラルド
 ヒューマン Lv25 / 芸能・芸術 Rank 1
音楽と踊りが好きなヒューマンの青年 近況 自我の境界線が時々あやふやになる みっともない姿はさらしたくないんだけどなぁ 容姿 ・薄茶色の髪は腰の長さまで伸びた、今は緩く一つの三つ編みにしている ・翡翠色の瞳 ・ピアスが好きで沢山つけてる、つけるものはその日の気分でころころ変える 性格 ・音楽と踊りが大好きな自由人 ・好奇心>正義感。好き嫌いがハッキリしてきた ・「自分自身であること」に強いこだわりを持っており、自分の姿に他者を見出されることをひどく嫌う ・自分の容姿に自信を持っており、ナルシストな言動も。美しさを追及するためなら女装もする。 好きなもの 音楽、踊り、ともだち 苦手なもの ■■■■、理想を押し付けられること 自己犠牲 二人称:キミ、(気に入らない相手)あんた 初対面は名前+さん、仲良くなると呼び捨て
《野性のオオカミ》ヘルムート・アーヴィング
 ルネサンス Lv8 / 魔王・覇王 Rank 1
「自分はヘルムート・アーヴィング。誇り高きロイニデッド出身、種族は狼のルネサンスだ。優れた軍人になるべく、この学園へと入学する事となった。諸君らと良い学友になれることを願っている。」                               ―――――――― 【性格】 軍人を目指すだけあって、堅さがある口調だが社交的に見えるよう、人前では口角を意識して上げて笑みを作っている。 己に厳しく、そして他人と一定の距離を置く様にしている。 ポーカーフェイス、冷静で居るよう意識してるが、狼なので尻尾に意識せず感情が現れてしまう。 『優れた軍人であるべき』アーヴィング家の血を引きながら、放蕩な1期生のプラムに嫌悪感をあらわにするが、半年経った現在、態度は軟化してきている。 根が善人の為、厄介事に巻き込まれがち。 【口調】 一人称:自分、僕(感情が高ぶると俺) 二人称:君、諸君、(男女共に)名前+君 「本日の授業の仲間は…諸君らか。勉学ばかりで実戦経験が乏しい自分だが、どうかよろしく頼む。」 「課題を一緒に乗り越えてきた仲間は、一生の宝だ。特に先日のマラソン大会は、少し自分に自信を持てたよ。」 「プラム…貴様さては何も考えてないな????」 【好き】 長姉 家族 酸味 【嫌い】 プラム・アーヴィング 自堕落な人間 侮られる事 傷の舐め合い
《比翼連理の誓い》オズワルド・アンダーソン
 ローレライ Lv22 / 賢者・導師 Rank 1
「初めまして、僕はオズワルド・アンダーソン。医者を志すしがないものです。」 「初見でもフレンド申請していただければお返しいたします。 一言くださると嬉しいです。」 出身:北国(リゼマイヤ)の有力貴族の生まれ 身長:172㎝ 体重:60前後 好きな物:ハーブ、酒 苦手な物:辛い物(酒は除く) 殺意:花粉 補足:医者を志す彼は、控えめながらも図太い芯を持つ。 良く言えば真面目、悪く言えば頑固。 ある日を境に人が触ったもしくは作った食べ物を極力避けていたが、 最近は落ち着き、野営の食事に少しずつ慣れている。 嫌悪を抱くものには口が悪くなるが、基本穏やかである。 ちなみに重度の花粉症。 趣味はハーブ系、柑橘系のアロマ香水調合。 医者を目指す故に保健委員会ではないが、 保健室の先輩方の手伝いをしたり、逃げる患者を仕留める様子が見られる。 悪友と交換した「高級煙管」を常に持ち、煙草を吸う悪い子になりました。
《1期生》カンナ・ソムド
 ルネサンス Lv10 / 芸能・芸術 Rank 1
猫耳と猫の尻尾が生えている女性のルネサンスで体つきはかなりセクシーである。とはいえ年齢は高校生~大学生相当と本人は言っているものの、外見はどうみても中学生相当の若さである、いわゆる合法□リ。 性格はかなり受け身でおとなしい。 よほどの事がない限り喋ってくれないのが玉に瑕。 喋ることはほぼないものの、学園生活は普通に満喫している模様。 普段は踊り子としてお金を稼いでいるらしい。 好きなものはスイーツと猫科の動物、嫌いなものは虫。
《勇往邁進》オリヴァー・アンダーソン
 ローレライ Lv14 / 武神・無双 Rank 1
「あいつを殺す、邪魔はするな」 出身:北国の有力貴族の生まれ 身長:186㎝ 体重:80前後 好きな物:戦争、酒、チェス 苦手な物:__ 殺意:弟→無し 補足:大きな期待を受けた男は一人の男によってあっさり見棄てられた。 傲慢な男は氷のような外道だった。 補足②:斬れば早いと思ってる脳筋であり、 冷酷かと思いきや実はツンデレで心配性なところがある、ガッカリしてくれ。 補足③:彼は思う以上に不器用な男であり、 褒められたがりな所がある。

解説 Explan

●ステージについて
 他の楽団やパフォーマーたちが集まっているため、楽器や衣装などが豊富に用意されています。
 『Scat Cats』誘拐事件を解決するためであれば、関係者たちは快く備品を貸してくれるでしょう。
 一方、観客たちは『Scat Cats』の出番を楽しみにしているため、やや批判的であることが予測されます。
 酔っ払った客による、心無いヤジが飛んでくるかもしれません。
 逆境のステージを、見事大喝采で締めくくれるか。
 演出力とパフォーマンス力が試されます。

●『Scat Cats』について
 ジャズを演奏し軽快なパフォーマンスを披露する4匹の猫たちです。
 今回は新曲を披露するとの触れ込みで、この街へやってきました。

●バング盗賊団について
 ゆすりたかりであたり一帯を困らせ続けている盗賊団です。
 最大の切り札は巨大なゴーレムです。
 雷を纏った巨大な槌を武器としており、一撃で家を破壊するだけの力があります。
 彼らの上げた武勲の殆どは、このゴーレムによるものです。
 しかし裏を返せば、ゴーレムを沈静化させてしまえば士気が非常に下がり、彼らは撤退するでしょう。
 今回の受け渡し先には、1人のゴーレム使いと親玉、6人の槍使いが向かっています。

●森の奥の広場
 木こりたちが休憩やキャンプなどに使うちょっとしたスペースですが、現在はバング盗賊団たちが我が物顔で使っています。
 鬱蒼と生茂る木々の中に突然ぽっかりと、半径10メートルほどの円形の広場があります。草はきれいに撤去され、砂地となっています。罠などがあればすぐに気付けるでしょう。
 広場までは小道が続いており、潜伏するにはもってこいのようです。


作者コメント Comment
今回は、演奏披露シーンと戦闘シーンの二手に分かれての行動です。

仲間が無事やってくれていると信じて、それぞれの任務を全うしましょう!

先行の『夏の夜空に悲鳴を響かせ』と同じ祭りとはなっておりますが、作中では連夜開催される祭りの別日程であるため両方に参加することが可能です。


個人成績表 Report
オルタネイト・グルタメート 個人成績:

獲得経験:117 = 97全体 + 20個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
〇心情
悪いことすると怒られてしまうでありますよ!

〇行動
盗賊団対応
【事前調査】【気配察知Ⅰ】【リ5】で地形や敵、救助者の位置情報を確認、伝達
事前にオズワルド殿のソリに【マカロンボム】を設置

プラム殿とオリヴァー殿が注意を引いている間に、ヘルムート殿とケットシー救助
【隠れ身】で潜みながら救助に向かう
救助後は、ケットシーが自力で迎えるなら、見送、戦闘へ参加
自力で迎えない場合は、護衛しながら送り届ける
万が一、救助中にばれた場合は、ヘルムート殿と別な場所から飛び出し【楽園楽土Ⅰ】で囮役になる
その時は、わざと大声で叫び注意を引けるように心がける

戦闘参加時は、【絶対王セイッ!】【暴君誕生】でゴーレム狙い

プラム・アーヴィング 個人成績:

獲得経験:117 = 97全体 + 20個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
「はぁ、全く攫うネコを間違ったな。俺にしときゃ、最高の一晩を過ごせたのによ。」

盗賊団討伐組

■爆弾ソリ
【マカロンボム】【炸裂の種】をオズワルドの【ソリ『赤鼻号』】に搭載。

■交渉
酒瓶を入れた【荷物カバン(小)】のダミーを交渉に利用する。

【説得/信用/ハッタリ/会話術/演技/心理学/人心掌握学】の口八丁で相手の注意を逸らし、精神的優位性を揺らがせつつ、ケットシーを救出(離脱)するまでの時間を稼ぐ。

救出確認後、オズワルドに特攻の合図を出す。

■戦闘
爆発の土煙に乗じて、【二段ジャンプ】で距離を詰め【精密行動】でゴーレム使いに【甘美の口づけ】をして無力化を図る。
【ヒドガトル】を射程の長い敵に優先的に撃つ。

蓮花寺・六道丸 個人成績:

獲得経験:117 = 97全体 + 20個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
アドリブ絡み歓迎
矛盾点は他の人に合わせます

ピアニストとして舞台に上がる
舞台の上ではずっと笑顔で、ジャズピアニストらしい洋装に身を包み観客に一礼
【説得】【人心掌握学】【会話術】で紳士的に対応
それでも不満そうな観客には【純白笑顔】で魅了して少し大人しくしていただく
ピアノでジャズの名曲や、その他のあらゆる曲のジャズアレンジをレパートリーの限り演奏する
他の人がメインで演奏したり歌っている時は観客に手拍子を求め、会場の一体感を作る

全部終わったら拙僧も猫どのたちの舞台を観ていこう
実はちょっと楽しみにしておったのだ

シキア・エラルド 個人成績:

獲得経験:117 = 97全体 + 20個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
舞台担当

・事前準備
黒シャツ黒ズボン、その上に白の巻きスカート
髪をまとめてシニヨンに、アクセにリボンもつけて
化粧品ボックスを使用し「変装」の要領

・ステージへ
『皆様により良い音色をお届けするために、彼らは相棒(楽器)を最高の状態に整えております』
これぐらいは言ってもよくない?乗っ取りと思われても困るし

「踊り」と「変装」
そして「音楽」を駆使したダンスと演奏
最初はしなやかな動きを意識
足元でステップを刻み、舞踏音楽の動きを
途中で空中に【マド】を放ち、花火のように

さりげなく観客から見えないように後ろに下がり、スカートと髪を解いて
終わればすぐさまステージに戻り
音楽にあわせてアクロバティックな動きを意識

ヘルムート・アーヴィング 個人成績:

獲得経験:117 = 97全体 + 20個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
討伐組として行動

■爆弾ソリの作成
【マカロンボム】をオズワルド先輩の【ソリ『赤鼻号』】に搭載。

■奪還
【第六感/嗅覚強化/聞き耳】で罠と潜伏している敵を警戒し、【息止め/隠れ身/忍び歩き】で盗賊団の背後に回り込む。
オルタネイト君とタイミングを合わせ、【跳躍】し【絶対王セイッ!】でケットシー近くの盗賊を弾き飛ばし、素早く奪還(拘束を外し)、安全圏まで退避させる。

■戦闘
【絶対王セイッ!】【三日月斬り】【支援補正:追撃Ⅰ】で戦闘。
【やせーの勘】【緊急回避】で回避。

爆弾ソリのみで破壊出来なかった場合、優先してゴーレムの足元を崩す。
ゴーレム対処の人数が足りている場合、盗賊を対処する。

■アドリブ/交流度:A

オズワルド・アンダーソン 個人成績:

獲得経験:117 = 97全体 + 20個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
心情:彼らを人質にお酒だなんて…まるで悪友……んん!
彼はそんな人ではなかったでした。
とはいえ、許せません。僕にできる限り精一杯努めます。ところですっごい暑いですね。


行動:現地より少し離れたところで
自身の「マカロンボム」や仲間の持つ爆弾をソリに乗せて待機
合図が来たらソリを蹴っ飛ばしてゴーレムを狙う「奇襲攻撃」もとい爆発攻撃をし
戦闘に混ざります。

戦闘:
メイン「マドガトル、ミドガトル、アクラ」で遠距離攻撃。
サブ「リーラブ」で仲間の回復に集中。

基本、複数人相手をしている仲間の支援攻撃に回ります。
戦闘後はリーラブで仲間の回復をメインに回る。


カンナ・ソムド 個人成績:

獲得経験:117 = 97全体 + 20個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
Scat Catsの代わりに一時的に踊ったり演奏ことを決意。
観客がどのような特徴であるのか、及びScat Catsのメンバーを人心掌握学で把握し、どうすれば受ける演技等をするべきかを把握する。
一般技能の踊りを活用し、カンナの十八番である踊りを披露する。
特殊技能の純白笑顔を使用し、笑顔を見せながら踊ると同時に、魅了する。
Scat Catsをどうしても出せとヤジを飛ばされた場合は、祖流還りを使って猫に化け、Scat Catsの代理になりきりながら、踊りを披露。
猫に化けている場合は、演奏をしながら踊りを披露。
演奏する際は、音楽スキルで、どう演奏するのか把握しておく。
問題が解決するまで踊ったりし続ける。

オリヴァー・アンダーソン 個人成績:

獲得経験:117 = 97全体 + 20個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
戦闘メインに回らせてもらう。
ケットシーの救出は仲魔に任せた。


行動:事前に「炸裂の種」をオズワルドのソリに乗せ、
プラムの護衛役として付き添う。
プラムに危害を加えないよう敵を睨み、仲間がケットシーを救出するために時間を稼ぐ。

戦闘:手に持ってる武器を「部位破壊」を狙って落とし、「二連斬り、剣突き」で近距離攻撃。
回避手段に「立体機動」を発動。
後ろで攻撃を行う弟と連携を取り、攻撃を行う。



リザルト Result

●舞台開演5分前
 見上げる空には、雲間から顔を覗かせる三日月。
 時折そよぐ風がうだるような暑さを少しばかり和らげてくれる。
 月明かりの下には、何気ない笑い声。
 流行に敏感な若者が多く集う街と言われる、この『ヴェリエーダ』の夏祭りには。
 そんな賑やかで夏らしい開放的な時間が流れていた……はずだった。
「――せっかくのお祭りを台無しにしようとするなんて……絶対に許しちゃいけないよ!」
 学園教師【ジョニー・ラッセル】の言葉に、集まった8人の学園生達は頷く。
 闇あるところ勇者あり、なんて言葉があるがこれはよく言ったもので。
 彼らは偶然この街を訪れていたのだが、ジョニーから事情を聞き協力を申し出たのだ。
「俺達に任せてよ先生!」
 中でも【シキア・エラルド】は、胸に手を当てて一際力強くこたえた。
「シキアどの、随分とやる気に満ち満ちているのう?」
 隣にいた【蓮花寺・六道丸(れんげじ・りくどうまる)】の言葉にシキアは当然だよ、と返す。
「先生を助けなきゃ、ってのもあるけどさ。芸能・芸術を学ぶ身として、舞台を汚すようなことは見過ごせないでしょ!」
 『舞台に立ち、何かをなす』という意義を深く知っているシキアだからこその言葉であろう。
 その真剣味ある姿に、六道丸もまた深く頷く。
「その心意気や良し。なれば拙僧も芸を生業としてきた者として、共に舞台に立つとしよう」
「シキアに六道丸のステージか。いいねぇ。お前らの三味線ダンスビートに俺の熱いラップを重ねてヤリてぇなー!」
「おい、プラム!」
 【ヘルムート・アーヴィング】の呼びかけに、【プラム・アーヴィング】は肩越しでへいへい、と応じながら話し続ける。
「か弱い猫ちゃん達もさっさと迷える賊豚共から取り戻さねぇとな。安心しろ、調教なら俺の専門分野だぜ」
「……分かっているならそれで良いが。とにかく先生。俺達は人質の救出に向かおうと思います」
 そう。ジョニーから提示された今回解決しなければいけない課題は2つ。
 ナウでヤングな激マブの間で絶賛バカウケ中! とも言われる新進気気鋭の人気音楽バンド『Scat Cats』達が抜けた舞台の穴埋めと、誘拐された彼らの無事な奪還だ。
「ねぇカンナさん。良かったら一緒に舞台の方へこない?」
 シキアの言葉に、ルネサンスの女性である【カンナ・ソムド】は小さく頷いた。
 その隣、考え込む仕草をしていた【オルタネイト・グルタメート】はといえば。
「ちょうきょう、ちょうきょう…… ハッ! 確か相手がこちらに有益な情報や状況を提供するよう、尋問にかけることでありましたな!」
 そういってアーヴィング兄弟の元へ歩み寄る。
「自分も軍時代に知った言葉でありましたが、流石プラム殿、ちょうきょうがご専門とは。ヘルムート殿の兄上だけあって、軍略への知見も深いのでありますなー! 模範生と呼ばれる理由を垣間見たのでありますよ~!」
「おっ、豆ちゃん分かるー? なら一緒にピッグのヒップにいそふら調教ーるキメちまおうぜ☆」
「了解であります! 自分も正義と枝豆の名の下に悪を懲らしめるでありますよー!」
 おー! と手を掲げる二人の姿に、ヘルムートは一人頭を抱える。
「フフッ」
 そんな正反対の兄弟と間を繋ぐ一房の枝豆(軍人)のやりとりに。
 端から見ていた【オズワルド・アンダーソン】から笑みがこぼれる。
「……何がおかしい」
 うだるような暑さに辟易する【オリヴァー・アンダーソン】には、弟の行動が理解できなかった。
「……なんででしょうね。正直、僕にもよく分からないんです。ただ、楽しそうだなぁ、って」
 そう彼は言った。
「兄さんは、何も感じないんですか?」
「俺か? 俺は……」

 オリヴァーは記憶を巡らせる。
 ――3人を見つめながら。――
 兄弟3人、中央には末っ子。
 互いが互いを見つめ笑顔を浮かべている。
 照れくささを隠した、口角を僅かにあげた仕草。
 無邪気に笑う笑顔の輝き。
 どうしたらこの落ち着き払った顔は破顔するのか、考えを巡らせる含み笑い。
 ――それから数年。使用人が描いた絵画を見て。――
 『家柄』を持たぬ弟たちと己の役目と背負う自身の姿。
 俺はただ『すごい』と感じた。
 ――俺にとって必要なのか、不要なのか。――
 線と色をつなぎ合わせただけで、こうも心を感じさせるものなのか。
 面倒な弟の尻を拭う苦労を、守るべきものが増えた意気込みを。
 ――たゆまぬ努力の合間にあった、安らかな……。――
 そして次は己への怒りを感じた。
 天性の差だとしても。
 できないことが悔しかった。
 ――……いや、もう結論は出ているはずだ。俺は――
 俺は、当主になる。
 俺は、課された使命を全うする。
 俺は、父上と母上に……。
 ――愛と期待は、眩しすぎる。こんな力が及ばぬ俺には。――
 だから感情は出さなかった。
 ただ『そうか』と言って目を背けた。『前』を見た。
 そうしなければ、俺は見てもらえないから。
 そうすることが、『この家』での俺の存在意義であるはずだから。

「ん……」
「……ん?」
 袖を引かれる刺激と、カンナの消え入るような声に意識が引き戻される。
 どうやら、思いの他この気温の高さに頭をやられてしまっているようだ。
 少し離れた場所からプラム達がこちらに向けて手を振っている。
「クールイケメン枠担当のオリヴァーさん? そろそろ出発したいんすけどよろしおす? ちなみにアンタの居場所はこの盗賊ちょうきょー組でよろりんこ♪」
「オリヴァー殿~! いくでありますよー!」
「あ、ああ。すまない」
 自身の名前を呼ばれ、オリヴァーは少し重い足取りでそちらへ向かう。
「居場所、か」
 汗と混じって、放出するローレライ特有の雫がこぼれる。
 積み上げて維持してきた憎しみや怒りの思考が徐々に無意識へと流されていく。
 オズワルドの兄ではなくオリヴァーと呼ばれたな、とか。
 あの輪にいるオズワルドの目に恐怖の色が見えないな、とか。
 誰もがあの絵画の中にいる人物かのように感じられたな、とか。
「……フッ」
 そして終いには、自分自身すら笑えてしまうほど。
 1年前。ある1枚の紙切れに見た、『絶対にあり得ない世界』が過ぎった気がした。

●決戦準備
 Scat Cats。それは可愛らしい4匹のケットシーからなるジャズバンド。
 そのメンバーが誘拐されたなど知る由ない観客達が、今か今かとざわついていた。

「さてと。他ならぬアンタの頼みだ。ジョニーの教え子達、何が入り用さね?」
 かつてジョニーがパフォーマーとして築いてきた人脈なのであろう。
 彼のとりなしに、舞台関係者達は快く協力を申し出てくれた。
「ありがとうございますっ!」
 芸術が繋ぐ絆に、シキアは興奮気味に声を発する。
「さてはて。今回の演目はジャズであったな。なれば……」
 六道丸は周辺を見渡すと、細身のシルエットが特徴的なオシャレスーツを着た男性に目をつける。
「早速ですまぬが、その服を借り受けるとしよう」
 驚く男の視線を意に介せず、六道丸は彼の服に手を添えると、自身の肉体である『幽体』を構成する魔力にその形を刻み込んでいく。
 暫しの間をおいて、スーツを自身の肉体上で生成してみせた。
「ほー。リバイバルの着替えは初めて見たぜ」
「正確にはこれは『再現』なる能力だそうだ。拙僧達は肉体が魔力であり、目に映る姿は全て実体のないもの。故に物に宿る魔力を覚え肉体上にイメージすることで、自身の見目を変化させられるのだ。今回は触れた時間が短い故、あまり長くは持たないであろうがな」
「へぇ~。お兄さん、アタシ、触ってみても良いかしら?」
「構わぬが……」
 今度は興味をもったピアニストの女性が六道丸の体に手を伸ばす。
 触れた肩の部分には確かに感触がある。その不思議な触感は、まるで雲を掴んでいるように思えた。
「……これって、お兄さんにも触られてる感覚はあるの?」
「勿論。他にも」
 彼が近場にあったギターを掴むような動作をすれば、ギターはまるで人が持ちあげるのと同じように宙へ浮かぶ。
「その感覚は拙僧と其方に宿る魔力が干渉し合い生じたもの。時に反発し。時に溶け合う。干渉を応用すれば、こうして実体のある物を掴む真似事もできる」
 ギターを戻すと、六道丸は余談はこれまでとシキア達へ振り返る。
「楽器も見定め、衣替えも済ませた。拙僧はピアノを弾かせて頂こう」
「へぇー。六道丸さんのピアノって珍しいかも」
「実はピアノは最近練習をしていてな。今回の演目において、己が為せる最高の芸を提供できると思うのだ」
「そっかそっか! なら後は……」
 今度はシキアと六道丸がカンナを見つめる形となった。
 猫は気まぐれなどと言われることもあるが、猫のルネサンスであるカンナは、従順な犬のようにじっとこちらを見つめている。
「ぶっつけ本番になっちゃうけど。カンナちゃんなら、即興でも合わせられるよね?」
「――うん」
 ずっと静かについてきた彼女が、ややハッキリと声を出した。
 髪色と同じ銀の輝きを放つ尻尾は、くねくねと嬉しそうに揺れていた。
「なら俺達はデュエットダンスで決まりだね!」
「ピアノ1人にダンサー2人か。……そうだ! みんな、少しいいかな?」
 そして3人は何かを思いついたジョニーから手ほどきを受け、準備を急ぐのであった。

 一方、今回の誘拐犯かつ脅迫文の出し主である地元のお尋ね者『バング盗賊団』。
 奴らの魔の手からキャッツ救出に動く学園生達は、町の役場で偽の酒瓶が入った木箱と自分達の荷物を受け取り、指定場所へ向けて進んでいた。
「さて、作戦だが……おいオズ。お前いつも以上に水も滴るイケ貴族だけど大丈夫か?」
「え、ええ。大丈夫ですよ、ええ」
 プラムの問いにそう応えるオズワルドだが、どうみても尋常じゃない水分が彼の髪から流れ落ちていく。
(確かオズは北の寒い地域出身だっけか。てか、学内で熱中症注意とか言ってたクセに、自分がなっててちょーウケるZO☆ 後でアイツに教えてOWSGだな)
「あ、そうそう。僕に良い作戦があるんですよ」
 そう言って、オズワルドはここまで必死に引いてきた『ソリ『赤鼻号』』に手をかける。
「取りあえず盗賊団をペチ倒していけばいいんですよね? もうめんど……最短でキャッツさん達を助けるためにも、このソリで一気に撥ね……ごほん。一気に近づいてしまうのが良いかと」
「お、オズワルド先輩?」
 彼らしくない特攻作戦に、思わず視線を向けるヘルムート。
 どうされました? といつも通りの優しい声を返す件の先輩だが、その青い瞳は普段にはないギラつきを見せている。
「いや、それだけでは足りませんね。相手にはゴーレムもいるとのこと。なら火力が必要ですよね? 一秒でも早く涼しいところにもどりた……返してあげないといけないですしね。ではどーしましょうか。そうだ、爆発させてやりましょう。はい、決定」
 そういうと、オズワルドは持っていた『マカロンボム』をソリへ投げ入れる。
「ああ、そんな勢いよく投げ入れては!」
 ヘルムートの心配も無理はない。
 マカロンボムは衝撃が加わると中々広い範囲に甘い香りをぶちまけて爆発するというトラップグッズだ。
 幸いここでは爆発しなかったものの、やはり普段のオズワルドから理性と知性が欠如している。
(おいプラム! 早くオズワルド先輩を止めてくれ!)
「ク、クククッ……もう、もう……!」
 今度は耳打ちしたプラムの様子がおかしい。
 見やれば、腹と口を押さえつけ、今にも爆笑という快楽表現に身を委ねようとしているではないか。
「くははは!! オズワルド、めっちゃ頭いい~♪ お前今最高にハジけてるぜ! というわけで俺もマカロンボムと『炸裂の種』とーにゅー♪」
 プラムも持ち込んでいた爆発物を嬉々として詰め込んでいく。
「おいお前!」
「良いじゃねーか。作戦ってのはノってやつが成功すんだよ」
「その説のどこに根拠がある……というかなんでお前もオズワルド先輩もそんなに爆弾を?」
「あ? おいおい我が愛しき弟君? 発破なんてデキる奴の身だしなみだぜ?」
 プラムが示す先では、リバイバルでも実体物を持ち運べるよう特殊な魔法が施された袋から、マカロンボムを取り出すオルタネイトの姿があった。
「ん? どうしたでありますか?」
「……いや、なんでもない」
 こうなれば最後の砦、ヘルムートはオリヴァーに全てを託す。
「オリヴァー先輩! これでは作戦も何もない! どうか冷静になるように説得を……」
 だが。
「ソリで轢き逃げ、爆弾で吹き飛ばす? ……最高か?」
 託した願いは、遂にポケットから炸裂の種を取り出すローレライ(兄)の姿に打ち砕かれた。
(爆発物の所持はまだ分かる。いついかなるトラブルが起きる分からない以上、魔力によらない遠隔攻撃の可否は重要だ)
 ヘルムートもまた、ポケットからマカロンボムを取り出し見つめる。
「だが……」
 どうしてサンタが使うソリをここに持ち込んでいるんだ!
 ヘルムートのツッコミが夏の夜空へ響く。
 しかしその声は、まるで冬の雪に音を吸われてしまったかのように。
 誰の耳にも届かないのであった。

●芸に宿すは……
『ワーッ!』
 拍手喝采。
 それは小さな芸術家達を待ち望む声であった。
 しかし、それは徐々にざわめきへと変わっていく。
 舞台上には洋服に身を包んだ幽体が1つ。
「なんだあいつ?」
 かの男は笑顔を崩さぬまま小さく一礼すると、ぽつり語り始める。
「観客の皆様、お待たせして申し訳ありません。Scat Catsはもう少々準備に時間がかかる次第にございます。その代わり余興程度ではございますが、暫し私たちの舞台をお楽しみください」
「はぁ!? もう十分待ってるじゃねぇか!」
「私達はCatsの演奏を聞きに来たのよ!」
 観客からのヤジは、まるで雑踏が如く。
 舞台上へ投げつけられる酒瓶は雨のよう。
 しかれど目の前に広がる各々の視線、感情は塵ほどももらさぬと。
 感覚を研ぎ澄ませながら、彼はピアノの前へと歩んでいく。
 この六道丸という男は、生前琵琶法師としての活動をしていた。
 それは楽器1つと己が言葉のみで聴衆の心を掴む孤独なる伝承者。
 見慣れた土地、異邦の果て。
 歓待を受けぬ中でも数多くの語りを紡いできた。
(語りといえど芸である以上、客を満足させられぬなら価値はなし。言葉遣い、細かな所作、客の僅かな衣擦れの音。その全てを掌握し、同調し、変調させ、心へ語るのだ)
 六道丸が第一の生を通じて磨いた感性。
 芸への価値観は、失敗を死に紐付けるほどに厳粛である。
 けれど、このブーイングの嵐の中でも彼の心は静謐(せいひつ)を保っていた。
(ふっ。今の拙僧に杞憂はない。視覚を得、新たに得た友と芸を語るのであるから)
 彼の指が、魔力を通して盤を弾く。
 奏でられる優雅で、それでいてどこか悲しい旋律。
「弾くんじゃねぇ!」
 心ない男が遂に六道丸を狙い酒瓶を投げつける。
「アァァ……ドウシテ、ドウシテッッ!!!」
 しかし酒瓶は六道丸まで届くことはなかった。
 舞台と観覧場の境目で、狂乱の声と共に刀で切り捨てられたからだ。
「イナイ、イナイ、イナイノ……」
 ピアノの音に合わせて、シニヨンに纏められた茶髪が振り子のようにゆれる。
 全身を包むは白いワンピース。
 顔に描かれた雫模様と口紅は、ローレライの女性であることを彷彿とさせた。
 これが衣装と化粧を纏った男子学生であるとは。
 シキアの事を知らない人には、きっと信じてもらえないだろう。
「ワタシハ……コンナニアイシテ」
 巻き目のあるスカート部分をしなだれる所作に合わせてふわりと浮かせると、身体からワンテンポ遅れて地へ届かせる。
  中の足が見えないように計算された動きだ。
(このタイミングで刀は放す。次は……)
 舞台へ出る際、咄嗟に掴んだ武器は悟られぬよう外へ。
 意識するのは、幽霊として、女性としての姿。
 しなやかで柔らかく。自分と異なる2つの性質を、シキアは見事その身だけで表現してみせる。
「……ソコニイルノ?」
 消えていく魂へ手を伸ばすように。
 舞台正面へ『マド』を放つと、観客達の後方にある松明が吹き飛ばされ、ひとつの灯りが消える。
「アノヒトノ『ヒ』ガ、キエテイク……」
 一瞬だけピアノの音が止まる。
 光と音の静寂は、シキアという役者に全ての視線を集中させた。
(ナイス六道丸さん。さぁ、ここからが俺達の本番!)
 シキアはゆらり立ち上がると、ジョニーの授業で習った『舞踏音楽』を意識しながら、空へマドを放っていく。
 それはまるで燃えてはついえる恋心のように。
 光は放たれた瞬間に輝けば、あっという間に弾けて消えていく。
(演じるのは『湖の君』。この街に伝わる【メリエル】ってローレライさんの物語)
 ずっと昔。湖の美しいこの土地で暮らし、街の発展のため様々な知恵を授けたメリエル。
 そんな彼女の経緯(いきさつ)は、始まりと終わりだけが知られていて。
 (ある日彼女は旅で訪れたドラゴニアの青年を愛してしまう。それから日々過ぎて、最期は彼の腕の中で蒸発して消えてしまった)
 メリエルという女性の存在と顛末は史実だという。
 だが、その話には続きとなる噂があった。
(雨の日になると、彼女の亡霊が誰かを探すように街を彷徨っている……)
 そして現在。
 噂には亡霊が人を攫うなどという尾びれがついて、今や怪談話として語り継がれている。
 そんな彼女の物語は、誰もが知っているものの、誰もが気味悪がるだけのものとなっていた。
(彼女が何を思ったのか……正直、俺には分かんない。もしかしたら本当に、自分の悲しい宿命に今も嘆いてるのかもしれない)
 他人の全てを知ることなどできない。
 けれど、他人の何かを感じることはできるはずだ。
 その想いを自分なりに受け止めることも。拒むことも。
(きたっ)
 ピアノの音色が帰ってくる。
 もう1人の主役の準備ができた合図だ。
「コノママワタシハ、ズット……」
 舞台袖、スカートの端だけが見切れるような場所へ、再び倒れ込む。
 そして入れ替わるようにしてカンナが舞台へと現れた。
 人種の姿ではなく、『祖流還り』をし、猫の姿にいつもの踊り子衣装を纏った状態で。
「……」
 1つ。また1つ。
 ステージ上に散らばる酒瓶を、シキアのスカートを囲むようにして、綺麗に並べていく。
 通常であれば単調な動作も、六道丸の演奏とカンナの手にかかれば美しい舞踊に早変わり。
 時には無造作に。
 時には思いやるように。
 時には瓶を暫し体を丸めて寝転がって。
 ひらりと揺蕩う薄い朱色のシフォンアームバンドが彼女の軌跡を描き、どこか幻想的な時の流れを演出していく。
「(……メリエル。今日は、あなたの為に踊る)」
 そしてカンナの気力が限界となったタイミングで、スカートのある舞台袖へとはけていく。
(素敵だったよ!)
 シキアの呟かれた声に頷くとバトンタッチ。
 再びステージ上に躍り出たシキアは、先程までとは打って変わっていた。
 スカート部分を舞台上へ出したまま観客に気づかれないよう着替えていた彼は、今や黒で統一されたシャツとズボン姿。
 ミディアムロングの髪もほどき化粧を落として、さらには酒瓶の1つを担ぎながら千鳥足をステップを表現する。
「あ~これがメリエルさんのお墓かぁ~」
 極めつけは酔っ払ったような声を作って、夢心地であるかのように天を見上げ。
 その姿はまさに酒に飲まれた悩みのない若者といった具合だ。
「キミのおかげでこの祭りが生まれたんだっけ~? よくわかんないけどー」
(良いぞシキア殿。拙僧も負けておられぬ!)
 シキアのダンスを導くように。
 それまではどこかもの悲しい旋律であった六道丸の演奏も、テンポをあげ陽気な曲調へと転調させていく。
「だからさぁー!」
(俺に言えるのは……! 運命に流されず、今を楽しむことを諦めないでほしいってこと!)
 シキアがスカートの裾を軽く引く。
 すると今度はワンピースとカツラを身につけたカンナが飛び出してきた。
 どうやら今度は彼女がメリエル役のようだ。
 瓶を飛び越えるようにして登場する彼女をシキアは抱き止めると、舞台の中心へとエスコートする。
「今日は勝手にメリエルさんに感謝を伝えまーす! あ~りがと~! おかげさまでとっーても楽しいよぉ~!」
 そして始まるデュエット。
 シキアが激しいダンスを踊れば、最初はたどたどしい動きでカンナが続く。
(この祭りは、メリエルの鎮魂の為に始まったのが起源だって言ってた。祭りの文化を伝えたのが彼女だということも)
 メリエル役のカンナは、ジョニーに聞いた彼女とこの街の歴史に思いを馳せる。
(多分、ドラゴニアの人はもういない)
 誰も知らない彼女の死と恋の実りの真偽。
 ローレライである彼女には、魂霊(リバイバル)化という奇跡は存在しない。
 仮に魂なるものが亡霊として残っていたとしてもそれを実際に見た者はなく。
 彼女の真実の思いはこの世に残されてはいないのだ。
(だから、私達が過去へ立ち入ることはできないと思う。けど)
 祭りという文化を他人に伝えたくらいだ。
 ならば人と陽気に歌って踊る楽しさは、彼女が一番知っていたはず。
 それは記憶を失いつつも、踊りの楽しさ、素晴らしさを知っているカンナ自身に重ねる事ができた。
(せめて、寂しくないように。楽しんで……癒やされてほしい)
 表現するのだ。見知らぬ誰かに、出来うる限りの心を。
 酒瓶を交互に渡し合うことでダンスの主役は目まぐるしく切り替わる。
 回数が増える度、カンナの踊りはより激しくなっていく。
 より楽しそうに。より快活に。
 『どうか安らかに』
 シキアとカンナの鎮魂の舞は、六道丸の豊かな調べにのせて、朗らかに空へと捧げられていく……。

●夏の夜の困惑
「アニキ。例の酒の運び屋、連れて来やしたぜ」
 小太りの男に槍を背中から突きつけられつつ、プラムは森の広場を訪れた。
 森の広場とは言うが、実際は鬱蒼と生い茂る木々の中に空いた穴のような場所であった。
 半径10メートルほどの開けた円形砂場の端には、十字の木に縛り付けられたケットシーが4匹。
 罠の類いは見当たらず、槍を持った賊が2名、人質を見張るように立っている。
(あれが例の子猫ちゃん達か。ワンちゃんだったら危なかったぜ……!)
 可愛らしい顔で助けを乞うように鳴声をあげる。
「ガハハッ! バング盗賊団も舐められたもんだなぁ? まさか1人で来るとは」
 アニキと呼ばれたちょび髭の男が唾を吐き散らす。
 恐らくこの集団のボスなのであろう。
 周囲には3人の男達と、鎚を握りしめたゴーレムが鎮座していた。
 3人の部下の内、1人は大事そうに魔法石を握りしめている。
(ちょろいな。これなら他のメンツを隠す必要もなかったか)
 プラムは敵の手の内を探るため、敢えて盗賊団の斥候に発見されここまで案内させたのだ。
 一瞬で状況を判断し調教プランを脳内でまとめあげると、彼は手にしていた木箱を地面に置く。
「それはこっちの台詞だぜ盗賊さんよ。おかしいと思わないか? 俺はこれだけの名酒を1人で運ぶのを任されてんだぜ?」
「ああおかしな話だ。つまりその酒は偽物ってことだろ?」
 その瞬間、プラムは後ろの男に組み付き関節技を決めると、右方向の樹木へ『マド』を放つ。
 マドを受けて木が吹き飛ぶと、隠れていたヘルムートが地面に倒れ込んだ。
「ちげーよ。俺1人で十分って意味だ。おいお前。あれをこっちに持ってこい」
 プラムに解放された斥候の男は、指示通りヘルムートをプラムの所へ放り投げると、おののくようにボスの所へ逃げていく。
 それを尻目にプラムは荷物カバンから役場で借りたロープを取り出すと、腕を器用に縛っていく。
(つっ! おい、少しキツすぎないか?)
(痛みは快楽ってな。そのうちキツい方が気持ちよくなるZE)
(言ってろ。とにかく、上手くやれよ)
(お前もな)
 周囲に気づかれないよう、プラムはヘルムートと会話を交わすと、酒とヘルムートの腕を持ってボスの方へ向き直りゆっくりと歩み出す。
「な、なんなんだソイツは?」
「ほら、答えろよ」
 プラムの呼びかけにも、ヘルムートは顔を背けて答えない。
「ハッ。なら俺が言ってやるよ。お前、フトゥールム・スクエアの奴だろ?」
 ヘルムートの表情からそれが真実だと感じ取ったのだろう。
 盗賊団は各々が武器を構えて警戒する。
「なぁ盗賊さんよ。お前らがこの名酒を脅し取れる相手は限られる。役場か、それともコイツみたいに何でも首をツッコみたがるフトゥールム・スクエアか……。どちらもきっと金より命を取るだろう。とでも思ったんだろ?」
 プラムはニヤリと白い歯を覗かせながら。
 そんな考えくそくらえだ! と中指を立てる。
「生憎だが。実はフトゥールム・スクエアにも、模範生を装うロクデナシが紛れてんだなァ。こ・れ・が」
 相手を刺激しすぎないよう細心の注意を払いつつ、さらに距離を詰めていく。
「こいつの事は知らねぇが、俺もフトゥールム・スクエアの人間だ。この酒はその立場を利用して入手した。酒には目がなくてねぇ」
「ま、待て! それ以上近づくな!」
 ボスまでおよそ2m。
 人質まではさらに5mという距離で止まると、プラムはヘルムートをボスの足下に押し出した。
 一瞬ためらう様子を見せていたが、ボスは部下を使い彼を新たな人質として運ばせる。
「いいか? 俺は酒があればそれでいい。その猫共がどうなろうが一行に構わん。わざわざ脅迫なんぞに従ってやらなくても、学園は残念ながらの一言とお前達の首さえあれば誤魔化せるからな」
 瞬く間に斥候とヘルムートを封じたその実力。
 そして底知れない凄みを見せる彼に、盗賊団全員の意識が集中していた。
「こ、こっちにはゴーレムが……!」
「別にその土くれが何しようが構わねぇぜ? ゴミを消し炭にするために使うカスみたいな魔力さえ勿体ねぇが」
「くっ……」
「いい加減、立場分かるよな? 合理的に行こうぜ? ここで全員死ぬか。それとも俺を攫ったことにして最高の火遊びライフを手に入れるか」
「何?」
「テメェらがのし上がったのはそのゴーレム、つまりは力のおかげだ。なら、ゴーレムよりも遙かに強い俺様が加わればどうなる?」
「俺達の盗賊団に、お前を……?」
 その後もプラムの口八丁手八丁の言葉に盗賊達は聞き入ってしまう。
 それは人質達の見張りを担当する者達も同様だ。
 磔にする十字架がなく、膝をつかされ首元に槍を突きつけられていたヘルムートは、その隙に腕のロープを解いていく。
(あと少し……)
「つーわけだ。俺様が最後にお前達に伝えることはただ1つ……」
(ほどけた!)
「てめぇらみたいな自分で何もできねぇ三下はゴミでも漁ってろってことだ!」
 声が交錯する。
 1つは魔法を叫び、1つは狼の遠吠えとなって広場に響き渡る。
「はあっ!」
 祖流還りで自身の力を解き放ったヘルムートは、近場にいた盗賊を殴りつけると、もう1人の見張りに向けて飛びかかる。
「く、くそー!」
「遅いっ!」
 ロープを槍の先端に器用に巻きつけると、軍で学んだ体術で武器を弾き飛ばし、鳩尾へ肘打ちを決めた。
「よし。プラムの方は……」
 一方、彼の放ったヒドガトルは、ボスとその周辺の盗賊達を怯ませている。
「シキア達を待たせられねぇ。いけ、ヘルムート!」
 その声に答える必要はない。
 プラムの事を憎むからこそ。
 彼の判断がどれだけ正確か、十分に承知していた。
 他の面々においても同様だ。
 この状況ならば負けるわけがない。
 ならばたったの一秒も時間をかける理由はないだろう。
「任せたぞ」
 ヘルムートは魔力で肥大化させた爪でケットシー達の拘束を解くと、2匹を肩の上に乗せ、残りを両脇に抱きかかえ気力の続く限り会場へ向けて走り出した。
「くそくそくそ! ゴーレムだ、ゴーレムを使え!」
 ケットシーに逃げられてしまったものの、盗賊団もこのままでは終わるわけにはいかない。
 ボスの言葉に、魔法石を持つ部下が魔力を込めようと試みるも。
「え、なんで!?」
 魔力が込められる前に、魔法石は何か意志を持ったかのようにふわふわと盗賊の手を離れていく。
「ふっはっはー! 残念でありましたな!」
 高らかな声と共に、魔法石の浮かぶ場所にどや顔のオルタネイトの姿が現れた。
「貴様が虚空を見つめるとき、枝豆は地下に根を張り巡らせているっ。のでありますよ!」
 どうやら、自身が透明化して接近していたことを表現しているらしい。
「ちょいさー!」
 そして間髪入れずに魔法石を地面に叩きつけると、 再現した『ペリドット・サイス』を暴君が如く振り下ろす!
 強烈な一撃を前に、魔法石は耐えきることなく砕け散った。
「やったであります! 今でありますよー!」
 オルタネイトの声の先、木々の間から飛び出してきたのは、聖なる夜に相応しいソリだ。 
 惜しむらくは、ソリの原動力が前方から引いてくれるトナカイではなく、水を垂れ流す金髪のローレライ2人が押していることであろうか。
 通った後には、ローレライの水がこの乗り物の暴走具合を示すように残されていく。
「この『なついあつ』に人質を取ってお酒だなんて。賭けの対象にしていいのはお金までにしておいて下さいね!」
 自分が何を言っているのか、誰に言っているのかも危ういオズワルドがソリで賊を跳ね飛ばし。
「その程度の実力で武器を振るうな! こちらに向けるならキンキンに冷えた水にしろ!」
 クールキャラが溶け落ちたオリヴァーが賊の槍を剣で華麗にいなす。
「プラムさん、頼みます!」
 散々暴れたオズワルドとオリヴァーは、最後にゴーレムに向かってソリを押し飛ばした。
 目の前に異常な物体が近づくという状況であっても、賊の最終兵器はそれを見つめるだけで動こうともしない。
 恐らく魔法石による使役が急になくなったことで、混乱状態に陥っているのであろう。
「おーけーおーけー。夏と言えば花火――聖なる火遊び、楽しませてもらうぜ!」
 そこにダメ押しのヒドガトル。
 光り輝く爆発の光とソリの破片。
 吹き飛ぶゴーレムを見つめるバンク盗賊団達の阿鼻叫喚。
 悲鳴の合唱が夏の夜空に轟いた。

●夏の終わりに
 拍手喝采。
 それは舞台の始まりとは全く異なる尊敬と感謝の意。
 舞台の最後を締めくくったのは、新進気鋭のジャズバンドと、風のように現れた3人の芸術家による一夜限りのコラボレーション。
 そう、Scat cats達は無事に会場へ辿り着いたのだ!
 鳴り止まない大歓声に包まれて、ヴェリエーダ夏祭りの舞台は大団円を迎えた。
「いやはや! 無事に彼らを取り戻し、舞台もこうして盛り上げていただけるとは! さすがはフトゥールム・スクエアの先生だ!」
 Scat Catsのプロデューサーである【ビック・ジョーンズ】と固い握手を交わすジョニー。
「私は何もしていませんよ。全て、彼らの努力の賜物ですよ! 彼らを救出してくれてありがとう、ヘルムート君!」
「いえ。自分はすべきことをしたまでです。称賛されるべきは、先生の描いていた舞台を見事即興で演じきったシキア先輩達でしょう」
 頭にベース担当のケットシーを乗せながら話すヘルムート。
 彼の後方では……。
「ほうほう。独特の音調。だがそれ故に興味を惹かれるのでござろうな」
 ピアノのできる者同士、共感を示すところもあれば。
「にゃー! にゃにゃ? にゃんー!」
「…………にゃー」
 猫に近い者同士、にゃん語でのコミュニケーションに取り組む場所もあれば。
「まだまだ!」
 ドラムのリズムに合わせてタップダンスを行うところもあって。
「はっはっはっ。どうやら、すっかり皆様に懐いてしまったようですなぁ!」
 仲睦まじい光景に、ビックはジョニーと共に笑い合う。
「さぁさぁ! 枝豆が出来たでありますよー! 食べるであります!」
 そこに大量のゆでた枝豆入りのザルを持ったオルタネイトが現れる。
 ケットシー達は待ってましたとばかりに群がり食べ始めた。
「うんうん。はやり仲良くなるには枝豆外交に限るであります~」
「オルタネイト君。他の皆は?」
「プラム殿は、特攻作戦により疲弊したオズワルド殿とオリヴァー殿を街の宿に送り届けたら、役場の皆さんと一緒に盗賊確保に向かわれるはずであります!」
 オルタネイトは舞台組への状況報告のために、一足先にこちらに合流したのだという。
「それにしても、ヘルムート殿の華麗な救出劇は、流石でありましたな!」
「大したことではない。オルタネイト君こそ、君の魔法石破壊はゴーレム撃破に多大な貢献をしたに違いないさ」
「えっへん! でありますよ~。いけないことをするのはいけないと、ヘルムート殿に学んだでありますからな。秘密結社『えだまめん』は、どんな困難にもダメ絶対を貫くべく全力を尽くすのでありますー!」
 2人は互いの健闘をたたえ合い、ハイタッチを交わす。
 丁度その時、枝豆のお礼にとScat Cats達が演奏を始めた。
「おおっ、自分はまだキャッツ殿達の演奏を聞けていないでありますから、これは嬉しいサプライズでありますな!」
「行ってくるといい。舞台袖で聞いていたが、とても素晴しいぞ」
「了解であります、隊長ー!」
 ビシッと敬礼をきめ、オルタネイトは他の3人の所へと駆けだしていく。
「あ、カンナ殿! よかったら隣で一緒に見るでありますよー!」
「シキア殿。拙僧達も観客として芸を見てみぬか? 先程までは自分の演奏にも気を遣いながらでゆっくり見れてなかったが、実はちょっと楽しみにしておったのだ」
 急遽舞台裏で開かれることになった特別なアンコールに、学園生達は身を委ねる。
 愉快で元気な歌声は、感謝と喜びに満ちた、互いを讃えるジャズという名の賛美歌となって。
(キミ達は本当に素晴しいね。賢く才能ある生徒に恵まれて、僕は本当に幸せ者だ。ありがとう)
「ジョニー先生! 先生もこっちで見ようよ!」
「ん? 分かった、そうさせてもらおうかな!」
 悪を懲らしめ、笑みを取り戻した街は、これまでと同じ活気をみせていた。
 これがメリエルの望んだものなのかは分からない。
 だが、ヴェリーダの夏祭りはこれからも沢山の人々の笑顔を生んでいくに違いないだろう。
 ならば今を生きる者として、その心のままに今を楽しむことは、決して罪ではないはずだ。
 生まれた笑顔は心地よさを持つ歌声となって。
 遠く夏の夜空にまで響き渡るのであった。

 ちなみに、プラムの粋な(?)計らいにより、同じ部屋の同じベットに寝かされていたオズワルド兄弟が、目を覚ました時に一波乱あったらしいが、それはまた別なお話。



課題評価
課題経験:97
課題報酬:4000
夏の夜空に歌を響かせ
執筆:pnkjynp GM


《夏の夜空に歌を響かせ》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 1) 2020-08-05 07:54:00
いそふらぼんじゅーる!!略していそぼんー
一緒になった方はよろしくでありますよー

とりあえず、現状の自分の行動をば

自分は盗賊団の方をプチりたいであります。
散漫なくなりすばやさを落とすなりしてからでありますかねぇ…
気配察知も得意になってきたので、隠れてるのも探すであります

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 2) 2020-08-06 03:44:22
いそふらぼんじゅーる、枝豆伝道師。

俺も交渉的な意味で、奪還側に回った方が良さげだが…。
パフォーマンスが出来ないわけじゃない。専攻の本業には劣るが。

出発前までに芸能・芸術専攻の奴等が間に合わないようであれば、前座としてパフォーマンス側に回って、その代わり弟呼ぶなりなんなりするわ。

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 3) 2020-08-06 10:38:52
おぉ〜模範生殿であります〜

現状残念なことに芸能・芸術コースがいないでありますからなぁ(遠い目)
自分も出発までに人来ないようなら、オーバー殿をらt…いえ、誘ってくるであります。

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 4) 2020-08-06 21:16:21
待たせたのう!拙僧は芸能・芸術コースの六道丸。
猫どのたちが戻るまで何とか場を持たせてみせようぞ。

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 5) 2020-08-07 00:16:59
おぉ、ピアノも琵琶もイケるナイスガイの登場であります!!
これで勝つる!!ってやつでありますな

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 6) 2020-08-07 01:15:00
おー!我らが六道丸、これで勝てる...!

しかし、3人か。乗り込むのが俺と枝豆伝道師となると、六道丸の負担がデカそうだな。
大丈夫か...?

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 7) 2020-08-07 22:48:51
話の引き出しには自信があるゆえ、こちらは任せてもらっても構わぬよ。
『4人がこの会場に辿り着くまでの大冒険』を語って聞かせ、
『4人が遅れているのもそういう趣向である』ということにしてしまおう。
バトル、ロマンス、サスペンス……などなど、色んな展開を注ぎ足し注ぎ足しして時間を延ばすが、
そちらが早く片付く方がありがたいから、誰も新たな参加者が来ぬようなら、そちらへの増援を連れてこようかの。

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 8) 2020-08-07 23:28:03

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 9) 2020-08-07 23:31:50
とりあえず枝豆食べて考えるであります。
人はいないが枝豆はあるでありますよ

蓮花寺殿の話術なら大丈夫だと思うでありますが…やっぱり負担大きめでありますな…
せめてあと一人欲しいところ…

とりあえず、自分の現状の行動をば
①索敵するであります
②交渉中は隠れておくであります。なんなら、救出チャレンジするでありますよ
③ゴーサインでたらぶっ飛ばすであります

プラム殿に合わせて変更予定でありますよ

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 10) 2020-08-07 23:42:57
呼ばれた気がしたけどそんなことn……ジョニー先生困ってるじゃん!!!!!だめじゃん!!!!!
はい、みんなもう大体知ってると思うけど芸能コースのシキアです。ジョニー先生いるなら言って??
舞台に上がらずしてどこ行くのかってことで俺も舞台の方に行くよ
六道丸さんが語りをやってくれるなら、それに合わせた演技でもしようかな?
演奏で雰囲気出すのも面白そうだね

《1期生》 カンナ・ソムド (No 11) 2020-08-07 23:56:54
(私はカンナ・ソムド…私は演奏披露の方に回ろうと思う…)

《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 12) 2020-08-08 00:00:13
皆様どうも、こんにちは。
賢者・導師コースのオズワルド・アンダーソンです。
どうぞよしなに。

というわけでパンク共をぺチ倒しておけばいいんですよね。
新しい職業技能も来ましたし…僕で良ければ参加させていただきますね。
(片腕をグルングルン回して)

《勇往邁進》 オリヴァー・アンダーソン (No 13) 2020-08-08 00:02:29
…武神・無双コース、オリヴァー・アンダーソンだ。
……(オズワルドの背中を睨みながら)

一刻も早く合流するために、オレも戦闘側に参加させてもらおう。


《野性のオオカミ》 ヘルムート・アーヴィング (No 14) 2020-08-08 00:08:40
そこの男に叩き起こされ何事かと思ったが…盗賊団か。まぁいいだろう。

さて、盗賊団にしては結構な戦力を有している様だ。
恐らく、蓮花寺先輩、エラルド先輩、ソムド先輩が舞台に立たれ、残った5人が盗賊団の討伐に出る感じだな。

プラムが口八丁で気を引いている内に【嗅覚強化】でケットシーを探し、先に離脱させるのが良いように思うが…地形が不明なのが痛いな。
【発煙筒】で目くらましをするか。

《1期生》 カンナ・ソムド (No 15) 2020-08-08 00:12:07
(舞台に立つ人は交代で演技を見せればいいのかな…?それとも3人で一緒にやるべきかな?)

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 16) 2020-08-08 00:27:42
イエ~!お前等いらっしゃーい!助かったぜ好きピ☆

舞台組の相談は一任して…えー、討伐組の作戦だが。

①俺の口八丁で気を引いている内にケットシーを救出、その後盗賊を討伐。
②力こそパワー。火力で押し切る。

ざっくり流れはこのどっちかだと思うんだが、どうする?
②は、やけくそになった奴にゴーレムで小屋ごと潰され、ケットシーに被害が出る可能性があるから、特にゴーレムの対処が最優先になるだろうな。

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 17) 2020-08-08 00:30:04
ものすごい勢いで増員が来たのう!?活気があって何よりよ。
しかしそうなると、芸は一から見直したほうがよいかもしれぬな。
十分な打ち合わせの時間が取れず、なおかつ猫どのたちが戻る時間が正確に把握できない以上、演目の大半はアドリブになるが……
それで息を合わせるのは難しいであろう。拙僧たちは芸風もバラバラであることだし。
問題はどうやって観客を納得させるか、よな……。

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 18) 2020-08-08 00:36:34
宣伝って大事でありますな(しみじみ)
枝豆の布教頑張ろう…って、それは後でゆっくりできるでありますな。←

とーもーかーくー、舞台の御三方におまかせして残りの人でレッツお説教ターイム。
舞台については、御三方のやりやすさ次第で個別でもまとめてでもいいと思うでありますよ。

地形情報は、隠れるや事前調査で調べておくであります。
各々動きやすいポジションに動けるように素早く調べておくであります。

作戦については是非①でお願いしたいであります。
役者さんが怪我しては、茹でられてしまうであります…

《1期生》 カンナ・ソムド (No 19) 2020-08-08 00:38:53
(確かに芸風がバラバラだと一緒に合わせるのは色々大変そうよね…一人ひとりやっていても解決してしまったり時間とったりする可能性もなくはない………それじゃあ3人同時に舞台に立って皆でやりたいことをやる…というのはどうだろう?)

《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 20) 2020-08-08 00:46:05
はー、しかし暑いですねー熱中症にお気をつけてくださいね。(パタパタ)

火力ですか、…いっそソリで盗賊どもを轢くのも悪くありませんね。(頭が悪い顔)

《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 21) 2020-08-08 00:48:13
ソリだけじゃあ足りない気がします。
もう「マカロンボム」や「炸裂の種」で爆発させるのもいいですね。
はい決定。

(ぐるりと顔を後ろの兄に向けて)
一緒にやりましょうか。


《野性のオオカミ》 ヘルムート・アーヴィング (No 22) 2020-08-08 00:52:18
自分も①が良いと思うが、迅速に対応しなければいけないのも確かだ。
ふむ、オルタネイト君と俺でケットシーを離脱させたいのだが、協力してもらえるだろうか?

その後であれば、ゴーレムと戦いやすいだろう。
それに、先に逃がせば舞台に立つ仲間の元にケットシーが早く到着できるかもしれない。

《勇往邁進》 オリヴァー・アンダーソン (No 23) 2020-08-08 00:53:04
こいつの言うとおりだ、熱中症に気をつけろ(微動だにせず火照った顔で)


爆弾片手にソリで突っ込む………お前、天才か?(脳が解けた顔)

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 24) 2020-08-08 00:53:50
オズワルド、めっちゃ頭いい~~~~(頭悪い~)最高~!
俺も、【マカロンボム】と【炸裂の種】準備してきたわ。
ゴーレム諸共フッ飛ばしてやろうZE☆
ほら、夏だし花火的な?

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 25) 2020-08-08 00:57:53
(兄弟って敵に回しちゃだめだな、そう感じたオルタネイトであった)

マカロンボム、自分もあるのでそちらの暴走ソリチームにプレゼントするでありますよ
た、ただ、突っ込むのは、猫殿いなくなってからにするでありますよ??
ふりじゃないでありますからね!?

《野性のオオカミ》 ヘルムート・アーヴィング (No 26) 2020-08-08 01:04:06
オリヴァー先輩、オズワルド先輩…?
えっ…え…?(困惑)

い、いや、確かにゴーレムほど堅い敵は魔法より、物理の火薬で吹っ飛ばすのが有効かもしれません。
それに、足元を崩せば大きく機動力を削ぐことが出来ますし、近くで待機している盗賊にもダメージが入るかと。

…ケットシーの救出の合図は、そうですね。
遠吠えで出しましょうか。声を張り上げるより、文字通り遠くに音が届くと思いますので。

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 27) 2020-08-08 01:04:14
皆でやりたいことをやる。
それはつまり、3人一緒にできることを何か一つ決めてしまって、それを共同でやる、ということか?
それなら、あいにくと拙僧は楽器と語りしかできぬから、拙僧のピアノに合わせて其方たちに踊ってもらう……というのが一番無難かのう。

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 28) 2020-08-08 01:11:55
んーじゃあ、今日までだし大まかに討伐組の作戦纏める。
異論や提案があれば遠慮なく言ってくれ。
割とギリギリまで会議室覗いてると思う。

①俺とオリヴァーで盗賊の気を引く
②その間に枝豆伝道師とヘルムートがケットシーを救出
③救出の合図後、オズワルドがソリ爆弾を突っ込ませ、戦闘開始

《野性のオオカミ》 ヘルムート・アーヴィング (No 29) 2020-08-08 03:36:05
…ああ、すまない。
キャンプが可能な程度のスペースがあるだけで、小屋などの建物はないなら、ケットシーは盗賊の直ぐ傍で囚われている…な。

であれば、自分の合図は不要でしょうから、オルタネイト君と共に潜伏し背後に回り込み、不意打ちで敵を弾き飛ばすなどしてケットシーを奪還します。

ケットシーを安全な場所まで退避させたら、戦闘に参加しますね。

《野性のオオカミ》 ヘルムート・アーヴィング (No 30) 2020-08-08 04:17:44
…あと、時間との闘いでもあると思うので、もし離脱できそうな戦況であれば、ケットシーと一緒に会場に向かいたいと思います。

一番は、ケットシー達だけで会場に戻れるのが良いのですが。
これについては、道中の様子などを見てケットシーに指示を出す事にします。

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 31) 2020-08-08 07:12:15
ここまできたら、大きな一つの中で得意なことやった方が確かによさそう
じゃあ俺は踊り兼演奏になるかな?
新曲発表ってことは、今までの振り返りとかいう名目で、彼らの曲の楽譜とか見て演奏ができたんだろうけど…うーん、こればっかりは仕方ないね

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 32) 2020-08-08 19:03:04
うむ、やる事は決まったのう。あとはどうやって観客を満足させるかだが……。
ちょっとそこまでは策が思い浮かばなんだ。
心ないヤジには辛抱しつつ、怒って帰らないようにパフォーマンスで観客を留める……
結局のところ、これしかないかのう。

《1期生》 カンナ・ソムド (No 33) 2020-08-08 19:47:26
(背後の事情でなかなかこれなかった…そうだね、自分たちでやりたい事を同時にやっていこう)

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 34) 2020-08-08 20:43:13
ああ、先に音楽が何か分かってなければ其方たちも踊りづらかったかの。
拙僧の行動としては、ジャズの名曲や、人気曲のジャズアレンジなどを、レパートリーの限りピアノで弾き続けつつ
【純白笑顔】その他で観客の怒りを和らげてみよう。どこまで通用するかは分からぬがの……。

観客に何と言って舞台に立つかは、まだ考え中だ。

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 35) 2020-08-08 22:09:32
俺としては楽器の調整に時間がかかってるーとかで「すぐには出られない」ってことは伝えてもいいと思う
…まぁブーイングは避けては通れない、だろうけど

演奏は俺も同じく、出来れば彼らが弾いてた曲のワンフレーズなんか織り込んでアレンジっぽくしたら、ファンの人が気づいてちょっとは楽しんでもらえるかなって思ったよ

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 36) 2020-08-08 23:31:29
折角なら、より観客が楽しめる言い訳をしたかったが……やはり思いつかぬ。
まあ、そう言うしかあるまいな。

では、先ほど言ったように進めていこう。