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勇者を憎む町にて


ストーリー Story

「そんな悪い子は、『フトゥールム・スクエア』の怖い魔女に連れていかれるよ」
 傭兵の町『バルバグラード』の子供達は、夜更かしや悪戯をすると母親からそう叱られるのだという。
 バルバグラードの住民達が、かの魔法学園をそこまで敵視するのには理由がある。
 辺り一帯を荒らし回る『バルバグラード盗賊団』が、フトゥールム・スクエアの学生達の手により壊滅させられたのは、今から30年程前の事。
 盗賊稼業を捨てる羽目になってからも、彼らのフトゥールム・スクエアに対する畏怖と嫌悪の感情は残り、世代交代を経た今もそれは続いている。
 荒くれ者の血を引いた町の若者は、その多くが傭兵となり、己が腕一本で栄光を掴み取る日を夢見る。
 フトゥールム・スクエア何するものぞ――バルバグラードは、そういう雰囲気が漂う場所であった。



「――早速だが本題に入ろう。傭兵の町バルバグラードに、『ドッペルダケ』が発生した可能性がある」
 フトゥールム・スクエアの会議室。集められた学生達に、緊張した面持ちの教師が説明を始める。
「ドッペルダケはヒューマンにのみ寄生する特殊なキノコだ。寄生された宿主は、自分でも気付かないままドッペルダケの繁殖に利する行動を取るようになる。寄生された身体の部分を隠したり、部屋に閉じこもりがちになる等が初期の症状だ」
 ドッペルダケは寄生が進むと全身が変異し、最後には理性を失った『歩くキノコ』と化して周囲に爆発的に胞子を撒き散らす。その状態になるまでは、宿主は徹底的に寄生されている事実を隠そうとするらしい。
 幸いにもドッペルダケの治療法は既に確立されており、初期段階であればフトゥールム・スクエアでの治療が可能だという。
「これまで宿主の足取りを追跡し続け、どうにか初期症状の段階で対処できていたのだが、今回は場所が悪かった」
 バルバグラードに、ドッペルダケの宿主がいると考えられるようになった理由。それは、町に長期滞在をしていた行商人の1人が、町を出立後にドッペルダケの感染が判明した事がきっかけだった。
 香水や宝飾品など、高級品を取り扱うその行商人が接触した人数は決して多くはない。状況から考えて、バルバグラードの住人からドッペルダケの菌が感染したと考えられる。
「こちらもバルバグラードに事情を説明し、宿主特定の為に協力を依頼したのだが、にべもなく断られてな。……今はそんな場合ではないのに」
 苦々しく呟いた教師だったが、自分を見つめる学生達の視線に気付いて話を続ける。
「お前達にはこれからバルバグラードに潜入し、ドッペルダケの宿主を特定して連れ出してもらいたい。事態は一刻を争う。頼んだぞ」
 バルバグラードの隣町にはフトゥールム・スクエアの医療班が待機しており、宿主をそこまで連れていくことができれば治療が可能になるとの事だった。
 一気に話を終えた教師は、厳しい表情を崩さないまま学生達に出立を促すのだった。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 7日 出発日 2020-09-09

難易度 難しい 報酬 多い 完成予定 2020-09-19

登場人物 6/8 Characters
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《ゆうがく2年生》蓮花寺・六道丸
 リバイバル Lv13 / 芸能・芸術 Rank 1
名前の読みは『れんげじ・りくどうまる』。 一人称は『拙僧』。ヒューマン時代は生まれ故郷である東の国で琵琶法師をしていた。今でもよく琵琶を背負っているが、今のところまだ戦闘には使っていない。 一人称が示す通り修行僧でもあったのだが、学園の教祖・聖職コースとは宗派が異なっていたため、芸能・芸術コースに属している。 本来は「六道丸」だけが名前であり、「蓮花寺」は育ててもらった寺の名前を苗字の代わりに名乗っている。 若い見た目に不釣り合いな古めかしい話し方をするのは、彼の親代わりでもある和尚の話し方が移ったため。基本的な呼び方は「其方」「〜どの」だが、家族同然に気心が知れた相手、あるいは敵は「お主」と呼んで、名前も呼び捨てにする。 長い黒髪を揺らめかせたミステリアスな出で立ちをしているがその性格は極めて温厚で純真。生前は盲目であったため、死んで初めて出会えた『色のある』世界が新鮮で仕方がない様子。 ベジタリアンであり自分から肉や魚は食べないが、あまり厳密でもなく、『出されたものは残さず食べる』ことの方が優先される。 好きなもの:音楽、良い香りの花、外で体を動かすこと、ちょっとした悪戯、霜柱を踏むこと、手触りのいい陶器、親切な人、物語、小さな生き物、etc... 嫌いなもの:大雨や雷の音
《新入生》ルーシィ・ラスニール
 エリアル Lv14 / 賢者・導師 Rank 1
一見、8歳児位に見えるエルフタイプのエリアル。 いつも眠たそうな半眼。 身長は115cm位で細身。 父譲りの金髪と母譲りの深緑の瞳。 混血のせいか、純血のエルフに比べると短めの耳なので、癖っ毛で隠れることも(それでも人間よりは長い)。 好物はマロングラッセ。 一粒で3分は黙らせることができる。 ◆普段の服装 自身の身体に見合わない位だぼだぼの服を着て、袖や裾を余らせて引き摺ったり、袖を振り回したりしている。 これは、「急に呪いが解けて、服が成長に追い付かず破れたりしないように」とのことらしい。 とらぬ狸のなんとやらである。 ◆行動 おとなしいように見えるが、単に平常時は省エネモードなだけで、思い立ったときの行動力はとんでもない。 世間一般の倫理観よりも、自分がやりたいこと・やるべきと判断したことを優先する傾向がある危険物。 占いや魔法の薬の知識はあるが、それを人の役に立つ方向に使うとは限らない。 占いで、かあちゃんがこの学園に居ると出たので、ついでに探そうと思ってるとか。 ◆口調 ~だべ。 ~でよ。 ~んだ。 等と訛る。 これは、隠れ里の由緒ある古き雅な言葉らしい。
《甲冑マラソン覇者》ビアンデ・ムート
 ヒューマン Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
●身長 148センチ ●体重 50キロ ●頭 髪型はボブカット。瞳は垂れ目で気弱な印象 顔立ちは少し丸みを帯びている ●体型 胸はCカップ 腰も程よくくびれており女性的なラインが出ている ●口調 です、ます調。基本的に他人であれば年齢関係なく敬語 ●性格 印象に違わず大人しく、前に出る事が苦手 臆病でもあるため、大概の事には真っ先に驚く 誰かと争う事を嫌い、大抵の場合は自分から引き下がったり譲歩したり、とにかく波風を立てないように立ち振舞う 誰にでも優しく接したり気を遣ったり、自分より他者を立てる事になんの躊躇いも見せない 反面、自分の夢や目標のために必要な事など絶対に譲れない事があれば一歩も引かずに立ち向かう 特に自分の後ろに守るべき人がいる場合は自分を犠牲にしてでも守る事になんの躊躇いも見せない その自己犠牲の精神は人助けを生業とする者にとっては尊いものではあるが、一瞬で自分を破滅させる程の狂気も孕んでいる ●服装 肌を多く晒す服はあまり着たがらないため、普段着は長袖やロングスカートである事が多い しかし戦闘などがある依頼をする際は動きやすさを考えて布面積が少ない服を選ぶ傾向にある それでも下着を見せない事にはかなり気を使っており、外で活動する際は確実にスパッツは着用している ●セリフ 「私の力が皆のために……そう思ってるけどやっぱり怖いですよぉ~!」 「ここからは、一歩も、下がりませんから!」

解説 Explan

プロローグの情報と、プロローグに書き切れなかった情報を纏めます。

【課題の目的】
 傭兵の町『バルバグラード』に潜入し、48時間以内に『ドッペルダケ』の宿主を隣町の医療班に引き渡す。

【バルバグラード】
 人口約500人。その内100人は傭兵が占める。種族はヒューマンが中心で、他所から流れてきた傭兵も少なくない。
 町全体が石垣で囲まれており、内部に入る為の門は1つしかない。門では傭兵が2人終日見張りに立っている。
 生粋の町人は『フトゥールム・スクエア』を敵視している。フトゥールム・スクエアに所属している事が露見した場合、一切の情報が得られなくなるばかりか、最悪刃傷沙汰に発展する恐れがある。

【情報収集】
 情報収集できる場所は以下の通り。
・傭兵ギルド
 大きな酒場が併設された傭兵達のたまり場。町長がギルド長も兼ねている。
 町長も元傭兵であり、それと同時に反フトゥールム・スクエアの急先鋒でもある。
・住居エリア
 町人の住居や旅人の宿が立ち並ぶエリア。
・市場
 件の行商人が露店を開いていた市場。

【宿主について】
 行商人と接触をした以下の3人の内、誰か1人が宿主であると考えられる。
・1人目
 傭兵バーバラ:指輪を購入。
・2人目
 行商人ヴァルター:何も購入せず。
・3人目
 傭兵ラルセン:香水を購入。
 この3人以外には、ドッペルダケの宿主になった者はいないものとする。
 また、PCがヒューマンの場合も感染する事はないものとする。

【ドッペルダケの初期症状について】
 身体のどこかにどす黒いしこりが生じ、さらには全身からカビのような臭いがするようになる。宿主はそれらの事実を全力で隠す行動を取り始める。


作者コメント Comment
 正木猫弥です。本エピソードは、正木猫弥初めての『難しい』課題となります。
 主に以下の4点についてプランを確認し、成否を判断させていただきます。

Q1.『ドッペルダケ』の宿主は誰か?

Q2.Q1でその人物を選んだ理由は?

Q3.どのようにしてバルバグラードに潜入するか? 宿主をどうやって探すか?

Q4.宿主をどうやってバルバグラードから脱出させるか?

 勇者を憎む町にて、学生達を全力で『おもてなし』いたします。
 皆様のご参加、お待ちしております。



個人成績表 Report
クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:194 = 162全体 + 32個別
獲得報酬:5760 = 4800全体 + 960個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
学者を装い、門の傭兵を説得して街に潜入
ドッペルダケの捜索を学園嫌いのここならきっと協力を断ったはず……そこで私が一番に調査できるチャンスと思って来た……そんな筋書きでね

宿主はバーバラと仮定する
感染を広めるために行商人と接触したのでは

門の傭兵などからも情報収集
宿主探しであることは伏せ、感染した行商人の様子を取材したいのだと伝えるよ
バーバラに会えたら取材がてらに噂を耳に入れて、皆に広めてもらう
隣街が宿主を簡単に探せる魔法道具を仕入れた、私も明日、出発してそれを手にいれて戻ってくる

宿主の耳に入れば……殺しに追ってくるかもね


脱出時は物陰で幽体化の透明となり、深追いされない距離まで立体機動で切り抜けるよ

フィリン・スタンテッド 個人成績:

獲得経験:194 = 162全体 + 32個別
獲得報酬:5760 = 4800全体 + 960個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
●作戦と分担
侵入と確認の手配を。

●事前準備
作戦は全員に事前共有し、互いに齟齬が出ないように
また学園関係の装備は全て脱ぐか『変装』して隠しておく

●行動
潜入はルーシィ、六道丸と。
山賊崩れのアバズレ傭兵という設定で『変装』、カタギの妹を養うことになり
六道丸を護衛しつつ腕一本で稼げると聞いてきたと『ハッタリ』で切り抜ける。
気付かれた場合は『全力撤退』

調査は『行商人ヴァルター』
感染者と同業なので、仕入れや酒場で飲みなど
普通の客より濃厚な接触があってのでは?と推測。

事情を話すと逃げられる恐れがあるので、別の病気をでっち上げ
(黒カビ病とか)進行を抑えるため薬品浴を…など勧め、隠れて様子を盗み見る形で確認。

パーシア・セントレジャー 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:486 = 162全体 + 324個別
獲得報酬:14400 = 4800全体 + 9600個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
◆事前準備
事前調査で宿主候補3名の特徴を確認
学園生徒とわかるような装備は外しておくよう、仲間に周知

Q1.
ラルセン

Q2.
香水を臭い消しに使ってるかも

Q3.
大荷物の商人等の後ろについて行き、荷物を改められてる隙に透明化で街へ潜入

市場で、ラルセンの名前を出さずに彼の特徴を伝えて、
最近見かけないか
どこに行けば会えそうか

等聞き込み

調査と平行し、有事に仲間が隠れられそうな空き家等ないか確認
仲間が追われてたら、隠れ家へご案内して潜伏の手助けを

Q4.
近くの街とかで祭りや催しがある等の言葉で誘い出す手筈

◆緊急時
全員が学園の生徒とばれて調査の続行が難しい場合は、号令の鞭からの突撃命令で、強引に退路を開き脱出

蓮花寺・六道丸 個人成績:

獲得経験:194 = 162全体 + 32個別
獲得報酬:5760 = 4800全体 + 960個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
アドリブ絡み歓迎

【純白笑顔】でフィリンどの達と一緒に街に入る
特に誰と目星をつけているわけではないが、普段の待ち人の様子を探ろう
酒場が併設されているというギルドへ行き、音楽と語りで楽しませて信用させ情報を引き出す
もし渋られたら必殺技を使用

ルーシィ・ラスニール 個人成績:

獲得経験:243 = 162全体 + 81個別
獲得報酬:7200 = 4800全体 + 2400個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
Q1.
ラルセン

Q2.
香水でカビの臭いを誤魔化してる可能性があるから

Q3.
フィリンと姉妹を装い街へ潜入
その際、必要なら蓮花寺達と道中で一緒になったことにして、一団で街に入り込む

宿主は、
薄着から厚着に服装が変わる
毎晩飲み歩いてた者が急に引きこもっている
臭いをごまかす香水や香辛料なんかを買い込んだりしてる

等の可能性あり
ラルセンを探すフリをしつつ、上記のような行動をとってないか
とっている場合は、どこに行けば会えるか酒場や市場、商店等で聞き込み

Q4.
ラルセンが臭いを香水で誤魔化してるなら、近くの別の街の催しで、芳しく香り高い香水を扱う噂を聞いた等話し、興味をもたせて一緒に行くよう誘い出し、街の外へ脱出を

ビアンデ・ムート 個人成績:

獲得経験:194 = 162全体 + 32個別
獲得報酬:5760 = 4800全体 + 960個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
私が接触する宿主候補はバーバラさん
女性なので指輪を購入するのは普通な事ですが、もしかしたら何らかの魔法が付与されているかもしれません
可能性は低いですが確かめるに越したことはありません

街には「調理師として腕を磨くために旅をしている見習い」という役で潜入を試みます
疑われるなら場所を借りて【調理道具一式】を使い【高級なお肉】を調理して腕を披露

街に入れたら市場で肉の売り歩きをします
売りながら「知り合いがお世話になった」と言ってバーバラの情報を収集して本人を探す
見つけたら言動から宿主か確かめます
宿主なら外へ連れ出すために外へ出る提案をします
違ったなら、それらしい人物に心当たりが無いか聞いてみましょう

リザルト Result

第1章 門番の憂鬱
 かつての盗賊団の本拠地であり、今は腕利きの傭兵を数多く擁する事で名の知られる町、『バルバグラード』。
 過去の因縁から、魔法学園『フトゥールム・スクエア』にひとかたならぬ敵意を抱いているこの町だが、全ての余所者に門戸を閉ざしている訳ではない。
 傭兵という『商品』を経済活動の中心に置く彼らが、他の地域からの人や物の流通を拒めないのは、ある意味当然の事ではある。
 勇者を憎む町、唯一にして最大の隙。
 バルバグラード潜入のため、フトゥールム・スクエアの学生達が取った作戦は、正にその隙を突く事にあったのだ。



「――おはようございます。今日も暑いですねえ」
「おう。早く酒場で一杯やりたいもんだぜ」
「はは。さっき交代したばかりでしょう?」
 時刻は早朝。
 石垣に囲まれたバルバグラード、その唯一の出入り口である大門では、中年の門番と初老の行商人が無駄話を交わしている。
 ベテランであるその門番と、長年市場で野菜の露店を開いている行商人は顔馴染で、今更神経を尖らせる間柄でもない。
「……ジャガイモ2箱。よし、これで全部だな」
 そうこうしている内に、もう1人の若い門番が荷車に載せられた物品の点検を終わらせた。
(やれやれ。今日も多いな)
 若い門番が門の外に顔を向けると、行商人や傭兵らしき人々の行列が否応なしに目に入る。
「おや?」
 さっさと終わらせなければ――そう考えていた若い門番だったが、話を終えた行商人が首を傾げている事に気付いた。
「何かあったんですか?」
「私がこちらに向かう途中、後ろに若い女性がついてきていたのですがね。いつの間にかいなくなっていたものですから」
「若い女性?」
「ええ。長い黒髪をした凄い美人で、まるでどこかの王女様みたいな……」
「へえ……」
 そう言われると俄然興味が湧いてくる。もう一度行列を確認する若い門番だったが、それらしき姿は見当たらない。
「ずっと後ろを見ていた訳でもないですし、どこかの脇道で別れただけでしょう。では失礼いたしますよ」
 行商人は小さく頭を下げると、荷車を引きながら市場へと向かう。
「ま、そうそう変わった事なんて起こらないよな。今日も平和だ」
 市場へと向かう行商人を見送った若い門番は、退屈そうに呟きながら仕事へと戻った。

(……そろそろ大丈夫ね)
 周囲に人影がない事を確認してから、【パーシア・セントレジャー】は自らの身に施していた『透明化』を解除した。
 大きな荷物を運んでいる商人の後ろについていき、隙を見て透明化。門番が荷物を改めている間に門内に入る作戦は、無事成功したと言っていいだろう。
「さて、何をしようかしら」
 『ドッペルダケ』の宿主をバルバグラードから脱出させるため、やるべき事は沢山ある。
 3人いる宿主候補の内、パーシアは傭兵の【ラルセン】が怪しいと踏んでいるが、確証を得るにはまず彼の居所を掴まなければならない。
 自分や仲間達の正体が露見した場合に備えて、一時的に身を隠せる場所も欲しい。
(手ごろな空き家でもないかしら。まあ、取り越し苦労になればいいけどね)
 頭の中で様々な考えを巡らせながら、パーシアは市場へと足を向けた。



「――なるほど、行商をしながら料理修行を」
「ええ。といっても、まだまだ未熟ですけど」
 仕事に戻った若い門番が次に担当したのは、料理の腕を磨くために旅をしているというヒューマンの少女だった。
 【ビアンデ・ムート】と名乗ったその少女は、肉の売り歩きをしながら料理を振る舞っているのだという。
 顔馴染みでもない上に、肉の他に調理器具まで運んでいる少女を不審に思って尋問してみたが、そういう事情であれば納得がいく。
「お通りいただいて結構です。でも、バルバグラードは味より量って奴が多いですからね。あまり修行にはならないかもしれませんよ?」
「大丈夫です。沢山食べてくれる方が、私も嬉しいですから」
 はにかみながら答えるビアンデの様子を見て、若い門番は厳しく尋問しなくて良かった、とつくづく思った。
「ではお気をつけて。市場は大通りを真っ直ぐいけばすぐ見えてきますよ」
「ありがとうございます」
 丁寧にお辞儀をしながら立ち去るビアンデに手を振りながら、彼女の後姿をしばし見送る若い門番。しかし、その浮かれ気分は長くは続かない。
「おい、いつまで待たせんだ!」
 傭兵らしき少女の罵声に、若い門番は思わず首をすくめて振り返った。



「お、お待たせしました」
 愛想笑いを浮かべながら、若い門番は傭兵少女の元へと向かう。
 青い瞳で睨みつけるその少女は、同行者を2人連れている。7・8歳位の金髪の少女と、東方の着物を身につけた若い男だ。
「では、皆さんがバルバグラードに来た目的を教えてもらえますか?」
「拙僧は旅の琵琶法師。というのはつまり、東方でいう吟遊詩人のようなものですが……この街へは興行で参りました」
 琵琶というのは、着物姿の男が手にしているギターに似た楽器の事らしい。男が軽く弦をかき鳴らすと、これまで聞いた事のないような不思議な音色が響いた。
「あ? 理由なんで金以外にある訳ねえだろうが」
(このアバズレ傭兵が……!)
 内心はらわたが煮えくり返っていたが、若い門番はどうにか傭兵少女に対する聞き取りを開始した。
「カタギの妹を身売りさせねぇためだ。ここなら腕一本で稼げるって、そっちから聞いたんだよ」
 顎をしゃくって、傭兵少女は琵琶法師の男を示した。
 傭兵少女は手っ取り早く稼げる手段を求め、琵琶法師の男を護衛しながらバルバグラードに流れ着いたらしい。
 そんな彼女が金を稼ぐ理由とは、異父妹である金髪の少女のため。
「姉ちゃんはおらとは父ちゃんが違うけども、ずっとおらを守ってくれてるだ」
 嬉しそうにそう語りながら、金髪の少女が姉の手をぎゅっと握る。実に泣かせる話である。
「遅えんだよ! さっさとしろ、クソが!!」
 ……傭兵少女の口がここまで悪くなければ。
「この街に仇なすつもりはありませぬ。どうか拙僧達を入れてはいただけぬでしょうか?」
 琵琶法師の男が浮かべる天使のような微笑みには、同性であっても惹きつけられるような魅力が備わっている。
 その笑顔を見ている内に、若い門番はこの3人組に対する警戒心が薄れていくのを感じていた。
「分かりました。許可しましょう」
 流石に琵琶法師の前例はないが、子供を連れた傭兵など珍しくもない。手荷物に不審な点はなかったし、これ以上時間をかけてもしょうがないだろう。
「ありがてえ、感謝するだ!」
「チンタラしやがって。――――野郎が!!」
 傭兵少女のその言葉は、女性が絶対言ってはいけない類のものであった。
「ようこそバルバグラードへ! いってらっしゃい!!」
 聞こえなかった振りをしながら、若い門番はせいせいした気分で声を張り上げた。

「……さて。これから2人はどうするの?」
 大門が見えなくなるまで歩いてから、傭兵少女こと【フィリン・スタンテッド】は同行者達に話しかけた。
 ちなみに、フィリンの先ほどまでのガラの悪さはすっかり鳴りを潜めている。
「おらはラルセンを探してみるつもりだ」
 健気な妹役を果たしてみせた【ルーシィ・ラスニール】が、町中の聞き込みに意欲を見せる。
「拙僧は……酒場に向かってみるかのう」
 一方の琵琶法師――【蓮花寺・六道丸】は、宿主の特定に慎重な姿勢を崩さない。
「私は行商人の【ヴァルター】を当たってみるつもり。じゃ、調査開始ね」
 フィリンの言葉が合図となり、頷き合った3人はそれぞれの目的のために動き始めた。



「あれ? まだやってるのか」
 どうにか3人組の対応を終えた若い門番は、中年門番の尋問が長引いている事に気付いた。
(……何だか、ウチに来るには珍しいタイプだな)
 中年門番が対応しているのは、眼鏡をかけた長身の男だ。その知的な風貌は、荒くれ者が集うバルバグラードでは異質に感じられる。
(今日は変わった奴ばかり来るな。お互い頑張りましょう)
 心の中で中年門番を応援しながら、若い門番は次の旅人の対応に入った。

「――【クロス・アガツマ】さんよ。もう1度聞くぜ。あんたがここに来た目的は、ドッペルダケの調査のため。そうだな?」
「ああ。間違いないよ」
 平然とそう答えるクロスの顔を、中年門番は呆気に取られて見返した。
 どこから情報を仕入れたのか、学者だというこの男はバルバグラードに先日届いた『凶報』について知っているらしい。
 しかも、掴んでいるのはドッペルダケの事だけではない。バルバグラードの天敵、フトゥールム・スクエアとのいざこざすらも、クロスは計算に入れているようだ。
「学園嫌いのここなら、きっと協力を断ったはず……と思ってね」
 つまり、調査の一番乗りを狙った、という事か。
(ちっ、食えねえ野郎だ)
 長年の経験から、中年門番は目の前の男の手強さを感じ取る。
 腹に一物抱えていそうではあるが、そこにバルバグラードに対する『害意』がない事に、中年門番は戸惑っていた。
「……調査って、一体何をやるつもりだ?」
「基本は聞き込みだね。ドッペルダケの宿主になってしまった行商人が、バルバグラード内でどんな様子だったか。それを取材してみるつもりさ」
「………………」
 淡々と言葉を紡ぐクロスと、無言で腕組みをする中年門番の視線がぶつかり合う。
(さて、どうしたものか……)
 ドッペルダケに関する話には、一応情報統制が敷かれている。
 しかし、そんな事で人々の不安が抑えられれば苦労はない。世にも恐ろしい寄生キノコの噂は、町全体にじわじわと広がりつつある。
「良いだろう。バルバグラードに入る事を許可しよう」
 本来であれば、取っ捕まえて牢屋にぶち込むべきなのだろうが――中年門番は、このクロスという男を泳がせてみる事にした。
 フトゥールム・スクエアを憎むあまり、彼らの忠告を無視する町の上層部も、クロスが嗅ぎ回る事で否応なしに対応を迫られるかもしれない。
 自分は勿論、女房子供がヒューマンである中年門番にとって、ドッペルダケの恐怖は上司の命令などより優先すべき事柄であった。
「ありがとう。助かるよ」
 中年門番の思惑を知ってか知らずか、クロスが穏やかに微笑みながら門をくぐり抜ける。
「せいぜい頑張れよ。俺達のバルバグラードのために」
 遠ざかっていくクロスの背中に、中年門番は小さく独り言を投げかけた。



第2章 街角の不安
 お昼時のバルバグラード食品市場。その一角に、目印のようにして『おおなべ』が置かれた露店がある。
 ルーシィがその露店を訪ねた時には、あまりの混雑に近づく事も難しいほどであった。
「いやあ、凄い行列だったべ!」
 人の波が収まるのを待ってから、ルーシィは『調理師』として奮闘を続けていたビアンデに話しかけた。
「い、いらっしゃいませ……」
 肉の売り歩きをしていたはずのビアンデが、露店で疲労困憊している理由。それは、『この肉で昼飯を作って欲しい』という客からのリクエストに応えた事にあった。
 空いていた露店を借りて、手早く作れるサンドイッチを販売し始めたビアンデだったが、その美味しさは市場中に瞬く間に広がった。腹を空かせた人々が我先にと押し寄せた事で、ビアンデの露店は想像以上に大繁盛してしまったのだ。
「忙し過ぎて、緊張する暇もありませんでした……」
 そう語るビアンデだったが、本来の目的である情報収集を怠っていた訳ではない。
 女性に対して割引を行った事も功を奏したのだろう。『知り合いがお世話になった【バーバラ】という傭兵に会いたい』というビアンデの言葉に、多くの女性客が耳を傾けてくれた。
 結果、ビアンデは見事バーバラの居所を聞き出す事に成功したのだった。
「さっき市場に来たクロスさんともお話ししましたが、クロスさんは私と同じく、バーバラさんに接触を図りたいそうです。なのでクロスさんの聞き込みが終わり次第、2人でバーバラさんのお宅に行ってみるつもりです」
「お疲れ様だべ。ラルセンやヴァルターの話は聞かなかっただか?」
 ルーシィの問いかけに、ビアンデが申し訳なさそうに首を振る。
 早速宿主候補の1人の住所が判明したのは幸先がいいが、流石に全員とはいかなかったようだ。
「あ、それとパーシアさんから伝言です。万が一に備えて『隠れ家』を見つけておいたので、いざという時に活用して欲しいと。場所は――」
 住居エリアで確保した空き家の情報を、パーシアに代わって伝えるビアンデ。
 ちなみに、そのパーシアは現在衣料品市場を調査中であるらしい。
「色々了解したべ。じゃ、おらもそろそろ調査再開といくべ」
「そう言えば、お昼ご飯まだですよね? これ食べてください」
「うわあ、美味そうだべ!」
 ビアンデがルーシィに差し出したのは、炒めた牛肉の細切りをたっぷりとパンに挟んだ豪華なサンドイッチであった。
 早速ルーシィがパンにかぶりつくと、溢れんばかりの肉汁が口の中一杯に広がっていく。
「ビアンデは料理上手だなあ。何だか力が湧いてくるみたいだべ」
 夢中でサンドイッチを平らげたルーシィは、お世辞抜きでビアンデの腕前を絶賛する。
「あ、ありがとうございます。でも……」
 小声でルーシィを招き寄せたビアンデは、足元の箱から一塊の牛肉を取り出した。
「? この肉がどうしただか?」
「実は、このお肉は『トルミン牛』のブランド肉なんです。だから私でも、凄く美味しくなるのは当然というか……」
 町の人には内緒にしてくださいね、とビアンデは恥ずかしそうにルーシィに微笑んだ。



「――如何ですかな。今宵拙僧を、この酒場に置いてはいただけぬでしょうか?」
「いやいや、実に素晴らしい! こちらからお願いしたいくらいですよ」
 傭兵ギルドに併設された、バルバグラードで最も大きな酒場。
 琵琶による演奏を終えた六道丸に、酒場のマスターは称賛の拍手を送った。
 バルバグラードの盛り場に流れる音楽といえば、ひたすらに陽気で馬鹿でかい笛やギターの演奏と相場が決まっている。
 複雑で繊細な琵琶法師の音楽と語りは、普段のこの酒場では絶対に味わえないものとなるだろう。
「本当に助かります。実は予定していた楽団が、急に町を出ていってしまったもので」
「ほう。それは何故でしょうな?」
「さ、さあ? それが私にも分からなくて……」
 六道丸の問いかけに、マスターは慌てて口を濁す。
(……成る程。人の口に戸は立てられぬ、か)
 マスターのその様子から、六道丸は楽団がいなくなった理由を察する事ができた。
 おそらくその楽団は、ドッペルダケの恐怖に耐え切れずにバルバグラードから逃げ出したのだろう。
 フトゥールム・スクエアの要請を断った後、バルバグラードはドッペルダケに対する恐怖と不安を払拭する事ができなかったと見える。
「演奏をお願いしたいのは夜の時間帯です。その時にはお声がけしますので、それまでお待ちください。何か食べたり飲んだりしたくなったら、スタッフにお声がけを」
 色々と準備が忙しいらしく、早口でまくしたてたマスターは六道丸をホールに残し、カウンターの奥へと姿を消した。
(この酒場を行き交う噂は、おそらく流言飛語の類が大半であろう。ゆめゆめ吟味を怠ってはならぬな)
 本番に備えて琵琶の調弦を行いながら、六道丸は密かに気持ちを引き締めた。



 晩夏の太陽が沈み、学生達にとってバルバグラード最初の夜が訪れる。
 傭兵ギルドにたどり着いたフィリンは、扉の奥から漏れ聞こえる特徴的な音色に気付いた。
(この音色は、やっぱり……)
 扉を開けて、傭兵ギルドの中に入るフィリン。その耳朶を打ったのは、東方の気配を濃密に纏わせた弦の調べであった。

 ホール内に嫋々と響き渡る琵琶の音色が、六道丸が紡ぐ物語に玄妙な彩りを添える。
 ギルドの待合室を兼ねた酒場のホールでは、琵琶法師による独演会が佳境を迎えていた。
(無事酒場に入り込めたみたいね。流石だわ)
 六道丸の演奏が終わるのを待つために、フィリンはひとまず手近な椅子に腰を下ろす。
「――ご清聴、感謝いたします」
 ほどなくして演奏を終えた六道丸に、酒場中から万雷の拍手とチップが降り注いだ。
「凄えぞ兄ちゃん! こんな曲、今まで聞いた事ねえや!」
「な、何だか私、引き込まれちゃって……」
 酒場の客は勿論の事、カウンターの隅で聞いていたギルド職員からの評判も上々らしい。
「大人気じゃない。この分だと、そっちの情報に期待してもいいのかしら?」
 人々のざわめきに紛れている方が、却って周囲に怪しまれないものだ。六道丸の近くの席に移動したフィリンは、堂々といつもの口調で話しかけた。
「さて、どうであろうな……」
 考え込みながら、六道丸は慎重に酒場で得た情報を吟味する。
 六道丸の予想通り、酒場の噂話のほとんどが荒唐無稽なものであった。ドッペルダケへの不安に駆られた酔客が、酒の力に任せて無責任な憶測を撒き散らす。
 信頼の置ける情報は、実の所極めて少ない。それが、六道丸が出した結論であった。
「確かにそうね。私もそれで何度も無駄足を踏まされたわ……」
 足を棒にしてバルバグラード中を歩き回り、どうにかヴァルターの家を突き止めたフィリンだったが、当の本人は終日不在。
 他の宿主候補の調査も、決して順調とは言えない。
 バーバラの元にはクロスとビアンデが向かっている最中だが、ラルセンに関しては未だに手がかりすら得られていないのが現状である。
「あまり時間はないけど、私ももう少し調査を――」
「そのまま顔を動かさずに。……其処に座っている禿頭の男を見てもらえぬか?」
 唐突に話を遮った六道丸に従い、フィリンが視線のみを前方のバーカウンターに向ける。
 5つの椅子が置かれているバーカウンターの左端には、頭部が寂しい中年男がテーブルに突っ伏している。
「……あの男がどうしたの?」
「あの御仁、今『ヴァルター』と呼ばれておったのう」
「!!」
 顔を向けたい衝動を抑えながら、フィリンはその男の挙動に神経を注ぐ。
「う~い……」
「ヴァルター! おい、ヴァルター! そこで寝るんじゃねえ!!」
 バーテンダーというには口の悪い店員に怒鳴られ、『ヴァルター』が気だるげに顔を上げる。
(間違いない。ようやく見つけた……!)
 事前に聞いていたヴァルターの人相と、目の前の禿頭は一致している。
「うるせえなあ。わあったよ、帰りゃいいんだろ」
 カウンターに代金を放り投げ、よろよろと出口に向かうヴァルター。
「じゃ、行ってくるわ」
「ああ、ちょっと良いかの」
 ようやく発見した宿主候補。意気込んでヴァルターの背中を追うフィリンを、六道丸が呼び止める。
「今の状況であれば、尋常の振る舞いすらも怪しく見えてこよう。行動のみを判断材料にせず、くれぐれも慎重に動くのだぞ」
「……分かったわ。後はよろしくね」
 六道丸の助言を胸に刻みつつ、フィリンはヴァルターを追って酒場を飛び出した。

 通りに出たフィリンが辺りを見渡すと、その目立つ頭頂部はすぐに発見できた。
(もし宿主なら、『伝染病の疑いがある』とでも言ってみようか。『黒カビ病』とでもでっち上げて……)
 何食わぬ顔でヴァルターの後ろを歩きながら、フィリンはこれからどうすべきか考えを巡らせる。
 フィリンがヴァルターを怪しいと睨んだ理由は、宿主となった行商人とヴァルターが同業である事によるものだ。
 ヴァルターはかなりの酒好きらしい。商談がてら2人で酒盛りでもすれば、感染する可能性も高くなるだろう。
「~♪」
 相当酔いが回っているのか、ヴァルターの足取りはかなりおぼつかない。鼻歌交じりの千鳥足を尾行する事は容易く、少しずつフィリンとの距離が縮まってくる。
(大丈夫、まだ気付かれてない)
 いずれにせよ、ヴァルターが宿主かどうかを見極めなくてはならない。
 ヴァルターに接触を図るため、フィリンは自らの足を速めた。2人の距離はさらに狭まり、今や手の届きそうな位置にヴァルターはいる。
 しかし――。
「………………」
 結局、フィリンがヴァルターに声をかける事はなかった。
 無言で足を止めたフィリンの視界から、ヴァルターの背中が遠ざかっていく。その特徴的な禿頭が、盛り場の雑踏へと徐々に紛れ込んでいき、終いには完全に見えなくなった。
(あの男の酒の臭いには、『カビのような臭い』が混じっていない)
 フィリンには――大酒を飲んだ男の体臭を、反吐が出るほど嗅いできた『彼女』にはそれが分かった。即ち、ヴァルターがドッペルダケの宿主ではない事を。
「……ちっ」
 どうにも胸糞が悪い。小さく舌打ちをしたフィリンは、忌々しげに薄汚れた路地に唾を吐いた。



 バルバグラード住居エリアに、無数に建ち並ぶ安アパートの一室。
「あん? 何だいあんたら?」
 突然訪れたビアンデとクロスに、傭兵のバーバラは怪訝な顔を向けた。
「夜分遅くにすいません。マーサさんからあなたの事を聞きまして。先日、あなたが行商人の方から買った指輪ですが、もしかするとかなりの掘り出し物かもしれませんよ」
 バーバラの情報を教えてくれた女傭兵の名前を出して、ビアンデが交渉を開始する。
 今回の事件に絡んで、もしかするとバーバラの買った指輪に何らかの魔法が仕掛けられているかもしれない。そう考えたビアンデは、バーバラと接触がてらその確認をするつもりであった。
 『指輪が凄いお宝の可能性がある』という話に説得力を持たせるため、クロスには鑑定人の役をお願いしてある。
(特に妙な雰囲気はないか……)
 ビアンデが話を進めている間、そのクロスはバーバラの様子を観察していた。
 相当あけすけな性格であるらしく、バーバラはクロスを前にしてもネグリジェ姿のままでいる。その恰好には冷や汗が流れたが、彼女の身体にドッペルダケの『どす黒いしこり』が見当たらない事が確認できた。
「この指輪だけど。これがそんなに凄いものなのかい?」
 クロスが思案に暮れていると、バーバラが奥の部屋から紅い宝石の付いた指輪を持ち出してきた。
「ありがとうございます。クロスさんもちょっと見てもらえますか?」
 バーバラが手にする指輪に、ビアンデとクロスが顔を近づける。
 宝石はガラス玉で、装飾にも特に見るべきものはない。
(うーん、可能性は低いと思っていましたが……)
 どうやら、正真正銘の安物で間違いないようだ。
「ど、どうだい?」
 残念そうなビアンデをよそに、バーバラが興味津々で尋ねてくる。
「悪いけど、この指輪には大した価値はないよ」
「なーんだ。ま、そんなこったろうと思ったよ」
 重々しく『鑑定結果』を伝えたクロスに、バーバラは苦笑しながら肩をすくめてみせた。
「す、すいません! 私の勘違いだったみたいで……」
「はは、そんなに謝らなくても良いさ。ちょうどあたしも退屈してたんだ」
 恐縮しながら頭を下げるビアンデを、バーバラはあっさりと許した。聞けばここ数日、ずっと部屋に閉じこもっていたのだが、だんだんその生活にも飽きてきたのだという。
「最近顔を見かけないって、マーサさんが気にしてましたよ。何かあったんですか?」
「……あんたらも聞いてないかい? 変なキノコの噂」
 バーバラから思いがけない話題を振られ、ビアンデとクロスは密かに神経を尖らせる。
「もしかして、ドッペルダケの話かな?」
「ああ、そんな名前だっけ。『全身がキノコの化け物になる』とか、『フトゥールム・スクエアの連中が夜な夜な胞子をばら撒いてる』とか。何だか薄気味悪くてねえ。依頼から帰ったばかりで金はたんまりあったから、食い物を買い込んで引きこもってたのさ」
「そうだったんですね……」
 身体にドッペルダケ特有のしこりがない上、カビのような臭いも漂っていない。バーバラの長話に相づちを打ちながら、彼女が『白』である事を2人は確信した。
「全く嫌になるねえ。少しは景気の良い話が聞きたいもんだよ」
「気に入るかは分からないけど、隣町がドッペルダケの宿主を簡単に探せる魔法道具を手に入れた……という話はどうだい? もしこの噂が本当なら、明日仕入れに行こうと思ってるんだ」
 元気のないバーバラを励ますかのように、クロスが明るい話題を提供する。
「そりゃ本当かい? ガセじゃないなら、あたしにも売っておくれよ。あんたが良ければ、あたしの傭兵仲間にも伝えておくよ。懐の温かい奴が多いから、大儲けできるはずさ」
 うまい具合に、バーバラはこの作り話に食いついた。彼女がこの話をバルバグラードに広めてくれれば、未だ姿を現さない宿主が何らかの反応を見せるかもしれない。
 バーバラは宿主ではなかったが、ひとまず『餌』を撒く事には成功した。長話が中々終わらないので、2人は礼を言ってバーバラ宅を辞去する事にした。
「何だ、もう帰るのかい?」
「ええ、お騒がせしました。……あ、最後にもう一つだけ。ラルセン、という方に心当たりはありませんか?」
 ビアンデのその質問は、駄目で元々の気持ちで行ったものだった。ところが。
「ラルセン? あいつ、また何かやったのかい?」
『!?』
 バーバラの口振りからは、名前以外の情報が大いに期待できそうだ。
 降って湧いた機会を逃すまいと、2人はバーバラの次の言葉を待ち構えた。



「――こらっ、待て!」
「もう、いつまでもしつこいべ!」
 ビアンデとクロスが、バーバラとの接触を終えた少し後。
 住居エリアのとある裏路地では、ルーシィと衛兵による鬼ごっこが繰り広げられていた。
(くっ、ついてないべ!)
 『昔、父親を助けてくれたラルセンという傭兵にお礼を言いたい』――ルーシィが考えたこの名目は中々有効で、日中の調査ではかなりの確率で話を聞いてくれる人がいた。
 ルーシィにとって予想外だったのは、日が沈んだ途端に、市場や住居エリアから人の姿が途絶えた事であった。
 ドッペルダケに対する不安から、多くの町人が夜の外出を控えているらしい。今のバルバグラードで夜出歩こうとする者は、盛り場へ繰り出そうとする飲んだくれしかいない。
 幼い外見のルーシィが、1人夜道を歩いているのはかなり目立つ。巡回中の衛兵に見つかってしまった事は、ルーシィにとっては不運以外の何物でもなかった。
「止まれ! お前みたいなガキが、こんな時間に何をしてる!?」
 足は決して速くないが、その衛兵がルーシィを諦める気配はない。ドッペルダケの噂のせいで、衛兵達も神経を尖らせているのだろう。
(しょうがないべ。ちょっと気が引けるけども……)
 裏路地の角を素早く曲って距離を稼ぎながら、ルーシィはその足を高級住宅街へと向けた。目指す先には、パーシアが探してくれた『隠れ家』がぽつんと佇んでいる。

「な、何でこんな所に……?」
 不審な金髪少女を追跡していたその衛兵は、少女が忍び込んだと思われる屋敷を不安げに見つめた。
 この屋敷にかつて誰が住んでいて、いつ頃から空き家となったのか。年若い衛兵は何も知らない。庭も建物も相当に荒れ果ててしまっており、もはや『廃墟』と言っても差し支えない雰囲気を漂わせている。
 正面玄関の扉には板が打ち付けられている。金髪の少女は、一体どこへと姿を消したのだろうか。
「くそ、どこに行きやがった!」
 やたらと大声なのは、臆病な気持ちを必死で奮い立たせているからに他ならない。
 ランタンの灯りを壁に照らしながら、屋敷の庭をおっかなびっくり進んでいく。庭を半周ほどした所で、衛兵は板が打ち付けられていない窓を発見した。
「全く、手こずらせやがって……」
 どうやら、金髪の少女はこの窓から屋敷に忍び込んだらしい。
 正直ビクビクしていたが、種が分かれば怖くも何ともない。さっさと取っ捕まえてしまおう。
「……ん?」
 そう考えた衛兵だったが、ふと真横の壁に気配を感じて灯りを向ける。
 ランタンの光の先には――透き通った細い2本の腕と、長い前髪で覆い隠された女性の顔が浮かび上がっていた。
「きゃああああああああああ!!!!」
 持ち合わせていたはずの使命感や義務感は、一瞬にして彼方へと飛び去った。情けない悲鳴を上げながら、衛兵は一目散に屋敷から逃げ出した。

「……ようやく諦めてくれただか。どうもありがとなあ」
「どういたしまして。でも、少しやり過ぎたかしらね?」
 ランタンの灯りに照らされた屋敷の中では、何とか窮地を脱したルーシィが、『物体透過』の力で衛兵を脅かしてくれたパーシアに礼を言っていた。
「正体がバレた時の隠れ家のつもりだったけど。役に立って良かったわ」
「でも、結局ラルセンの居場所は分からなかっただな。今日はもう遅いし、これ以上の調査は無理だべ……」
 くたびれた様子のルーシィがしょんぼりと俯く。バルバグラード中を駆け回ったルーシィの奮闘も、今日に関しては明確な成果が出なかったように思える。
「あまり気を落とさないで。他の皆から、ヴァルターとバーバラが宿主でないという報告を受けているわ。私達の調査は、確実に前に進んでいるはずよ」
 ルーシィを励ますように、パーシアが努めて明るく声をかける。
「そうだべな。バルバグラードの人達のためにも、もうひと踏ん張りしてやるだ!」
「ええ。今度こそ、この課題にけりを付けましょう」
 頷きあったルーシィとパーシアは、明日の調査に向けて決意を新たにするのだった。



第3章 傭兵の悪夢と2人の女神
 ラルセンは夢を見ていた。
 ベッドに横たわるラルセンを、もう1人の自分が見下ろしている。
「これからは、俺がお前だ」
 ラルセンと全く同じ姿をした『それ』はそう言い放つと、ラルセンを残して部屋から出ていく。
「ま、待て!」
 もう1人の自分を追おうとしても、根が生えたように足が動かない。
「お、俺の足……」
 身体を起こし、恐る恐る自分の太ももを確認するラルセン。するとそこには、毒々しい斑点模様のキノコがびっしりと生えている。

「――――――っ!」
 声にならない悲鳴を上げながら、ラルセンはベッドから飛び起きた。
 ここ数日、同じ夢ばかりを見る。夢と言うにはやたらとはっきりしていて、現実のようにしか思えない。
「はあ……はあ……」
 異様にだるく、部屋から一歩も出る気がしない。その上脂汗ばかり流しているので、自分の体臭がやたらと気にかかる。
 買い置きをしておいた香水を浴びるように振りかけて、ラルセンは再びベッドに倒れ込んだ。



 バルバグラード2日目の朝。
「――ああ、あの男ね。知ってるわよ」
「本当?」
 パーシアが遂にラルセンの情報を掴んだのは、店を開けようとしていた食堂の女主人に話しかけた時であった。
 『ラルセンを探したければ、女を当たれ』――それは、ビアンデ経由でバーバラから得たアドバイスである。
 名の知れたバルバグラード傭兵と言えど、その質はピンキリ。後者であるラルセンは、『傭兵』というより『女たらしのヒモ』として探した方が効果的であったのだ。
「本当にどうしようもない奴さ。傭兵の癖に、ろくに剣も握れないんだから」
「その男が、今誰と付き合っているか分かるかしら? 金に困ってて、いつもどこかの女の家にいるって聞いたけど」
 ようやくの手がかりを逃すまいと、パーシアが鋭く質問を投げかける。
「分かるもなにも、ここにいるわよ? ブレンダ! ちょっといらっしゃい!」
 女主人が声を張り上げると、店の奥から従業員らしき若い娘が現れた。
「このお嬢さん、ラルセンに用があるんだってさ。ちょっと相手してやんな」
「……何よあんた。あいつとどんな関係なの?」
(旅の途中で助けて貰った……と言っても、多分信じてくれないでしょうね)
 ラルセンを知る者相手には、これまで使ってきた方便は通用しないだろう。
 ブレンダの険しい視線を受け止めながら、パーシアは素早く頭を巡らせる。
「隣町が、ドッペルダケの宿主を検査するための魔法道具を仕入れた話を知っているかしら?」
 クロスが流した噂を利用しながら、慎重に言葉を選ぶパーシア。
 フトゥールム・スクエアの名を出さなかった事も功を奏したのだろう。隣町から宿主の疑いのある者を調査しに来たという話を、ブレンダは一応信用したらしい。
「……じゃあ、様子がおかしくなったのはここ数日の事なのね?」
「え、ええ」
 狼狽した様子のブレンダから、パーシアが冷静に聞き取りを行う。
 部屋に閉じこもる。香水で体臭を隠す。そして、特有のどす黒いしこり。パーシアが語る宿主の症状に、ブレンダは大いに心当たりがあるようだ。
「ねえ、あいつは大丈夫なの? あいつに何かあったら、わたし……」
 眼に涙を浮かべたブレンダが、すがるような視線をパーシアに向ける。
「任せて。必ず助けてみせるから、あなたはここで待っててね」
 優しく微笑んだパーシアは、慰めるようにブレンダの肩に手を乗せた。



 ルーシィと合流したパーシアは、ブレンダから教わった彼女の家へと向かった。
 何の変哲もない安アパートの一室。ノックをしても反応がないので、ブレンダから預かった鍵を使って中に入る。
「お邪魔しますだ……」
 ルーシィが声をかけても、やはりラルセンからの応答はない。
 ブレンダによれば、ラルセンは奥の寝室に引きこもっているらしい。ドアの前に立ったパーシアは、傍らのルーシィと頷き合うと、覚悟を決めてノブを回した。

「うっ……」
「これは……!」
 寝室の中に充満する臭気に、2人は思わず顔をしかめた。
 カーテンを閉め切った部屋にはベッドが1つ。その上には、若い男が力なく横たわっている。
「……間違いねえ。宿主はラルセンで決まりだべ」
 部屋の片隅に転がっている香水の瓶を、ルーシィが腰をかがめて拾う。 
 むせかえる花の香りと、胸が悪くなるようなカビの臭い。異様な臭いの正体は、この2つが混じり合ったものなのだろう。
「何だお前達は!? 来るな……来るな!!」
 2人に気付いたラルセンが、怯えた表情を浮かべながら叫び始めた。
 錯乱したラルセンが香水瓶を投げつけてくる。顔目がけて飛んできた瓶を難なく回避したパーシアは、ゆっくりと彼の元に近づき、そっとその手を握りしめた。
「うう、うう……」
「大丈夫よ、大丈夫。ラルセン、私達がついてるわ」
「お、俺がラルセンなのに……! 『あいつ』が違うって……。た、助けて……助け……」
 パーシアの言葉に反応したラルセンが、大粒の涙をこぼし始める。
「隣町に、大きな祭りが来ているの。そこに行けば、きっと気分が良くなるわ」
「そ、そうか……。祭り、祭りか……」
「祭りの会場で、良い香水も沢山見たべ。案内するから、おら達と一緒に行くべ」
「あ、ありがとう……。ありがとう……」
 パーシアとルーシィに両手を引かれ、ラルセンがゆっくりとベッドから降りる。
 崩壊寸前であった自我を瀬戸際で受け止め、救いの手を差し伸べてくれた彼女達の存在は、ラルセンにとっては正に女神そのものであっただろう。



 その日のバルバグラードの記録には、特に変わった出来事は残されていない。強いて言えば、とある廃屋で幽霊騒ぎがあった事くらいであろうか。
 その噂も、日々飛び交う無数の話題に紛れていき、次第に誰の口にも上らなくなった。
 そしてそれは、あれほど住民を不安に陥れた奇妙な寄生キノコの噂とて例外ではなかったのである。



課題評価
課題経験:162
課題報酬:4800
勇者を憎む町にて
執筆:正木 猫弥 GM


《勇者を憎む町にて》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 1) 2020-09-02 02:14:12
賢者・導師コースのリバイバル、クロス・アガツマだ、よろしく頼む。
ずいぶんと恐ろしいキノコだ、それにおっかない街も。何とか成功させなければね。

三人のうち誰が宿主かを仮定して動くとのことだが……では俺は、1人目の傭兵バーバラを当たろうと思う。
気になることがあってね。正解ではないかもしれない、が、それが正しくないとは限らないのかもしれない。
他、動きになにか希望があるようなら、こちらも出来るだけ対応を検討するよ。
見つけても、街の外に出さなければならないからね。

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 2) 2020-09-02 06:06:17
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
さて、何をしようかしら……まずは潜入よね。

脱出時のことも考えると、透明化が妥当かしら。
分霊術で囮用意して、門番の気を引いてる隙に入り込む手もありそうだけど、それやると囮役は街での調査がしにくくなりそう。

ちょっとした人気者になっちゃいそうだし……衛兵さんこの人です的な感じで。
まあ、衛兵や傭兵の気を引く役と割り切れば、身元が割れそうなときや緊急事態で脱出する際の支援とかに徹することもできるでしょうけど。

>宿主
単純に考えると、傭兵ラルセンがあやしいかしら。
香水で臭いを誤魔化してる可能性があるし。

でも、香水だし酒場娘や好い人への贈り物かもしれないけど。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 3) 2020-09-02 20:16:51
勇者・英雄コースのフィリンよ。よろしく。

>潜入
透明化できるパーシアがいてくれるのは頼もしいわね。
私は人の身だから変装になるし、囮役引き受けても大丈夫よ。
(カバーは複数持っておいた方が特定され辛くなるしね)

>宿主
意図をもって感染させようとしたならラルセンだけど
宿主も意識してないキャリアーだと特定が難しいわね…

今のところ三人だし、私は残る行商人のヴァルターをあたってみようと思うわ。
何も購入していないというけど、同業者でしょ。何か商売以外で濃厚接触があった可能性も低くないと思うわ。

《新入生》 ルーシィ・ラスニール (No 4) 2020-09-03 09:01:44
おらぁ、賢者・導師コースのルーシィいうだ。よろしく頼むだよ。
おらは、誰かの連れ子とか兄弟って感じで潜入できたらと思うとるでよ。

フィリンとだったら、訳ありの傭兵の姉と、その妹って感じで流れ者っぽくできるかもしんねえな。
この街は流れ者もそれなりに居るようだで、案外ごまかせるかもしんね。

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 5) 2020-09-03 21:30:21
拙僧は芸能コースの六道丸。よろしく頼む。

一応所見を述べておこうかの。
急に習慣が変わったら、それは疚しいことがあるか、或いは恋をしたか……概ねそのように相場が決まっておる。
バーバラどのとラルセンどのは好き合っており、買い物は互いへの贈り物……
残る行商人ヴァルターどのが感染源ではないか……と思っておるが、
フフフ、どの道まだ特定するには時期尚早であろうな。

拙僧は本業の琵琶法師として興行に来たテイで行こうかの。
透明化もできるが、『純白笑顔』が三回(必殺技およびボイニテッドの加護込み)使えるゆえ、
そちらの方に気力を割きたいからのう。

で、誰か一人にのみ注目するのではなく、広範に町人の中に様子が変わった者がいないか、その理由は何か?などを調べる方向で行こうと思う。
この町の傭兵ギルドのような酒場は人の噂が集まる場所であり、なおかつ音楽や語りとは相性がよい故な。

《新入生》 ルーシィ・ラスニール (No 6) 2020-09-04 08:21:08
>ドッペルダケ
『身体のどこかにどす黒いしこりが生じ、さらには全身からカビのような臭いがするようになる。宿主はそれらの事実を全力で隠す行動を取り始める』

こういう特徴らしいで、宿主は薄着から厚着に服装が変わるとか、毎晩飲み歩いてた奴が急に引きこもったり、臭いをごまかす香水や香辛料なんかを買い込んだりしてる可能性があるな。
そういう条件に合う奴は、酒場や市場、商店なんかで情報収集できそうだべ。

さて、おらは誰さ調べっかな。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 7) 2020-09-04 21:47:11
>ルーシィ
そうね、子連れには同情で警戒が緩みやすいし…
六道丸の『純白笑顔』も組み合わせれば、割とまとまってでも難なく潜入できそう。

あと逆にバルバグラードから脱出するかも考える必要があるのよね…
鉄板は『木を隠すなら森の中』だけど…うまいこと行商人や傭兵が見つかるかしら

《甲冑マラソン覇者》 ビアンデ・ムート (No 8) 2020-09-05 10:03:02
勇者・英雄コースのビアンデ・ムートです。皆さんよろしくおねがいします

今回の課題は色々条件がついて難しい様子ですが、街の方々と宿主になった方を救うためにも頑張らないといけませんね

私は『肉専門の調理師見習い」という風に装って街へ入ろうと思っています。一応一般技能で料理を習得してるので多分問題ないかなと

宿主の方はバーバラさんのところへ向かおうかと
女性ですから装飾品を買うのはごくごく自然な事だと思うのですが、ちょっとだけ気になることがありまして
予想が外れたとしてもその時は別の宿主候補の方の事を聞くなどしてなにか情報がもらえないか試してみます

脱出方法は……外で催し物をするとか言って一時的にそれなりに多くの人が外に出るよう仕向けて、それに紛れてもらうか、もしくは普通にその人だけ連れ出すかですね
そうなると門にいる傭兵の方々をなんとかしなければいけませんが、その時は誰かが先に外に出て注意を逸らしてる間に出てもらう……というところでしょうか?

まだざっくりとしか考えられませんが、私としては大体こんな感じかなぁと

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 9) 2020-09-06 22:57:22
脱出方法か。
ちょっとビアンデどのの案に似るが、
宿主は無意識的にキノコの繁殖に利する行動を取るようになる……というのであれば、
例えば『隣町で人の集まる催しがあるぞ』と誘えば連れ出したり出来んかのう?

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 10) 2020-09-08 00:21:42
>脱出方法
事前調査で、周辺の村や街で人が集まりそうな催しや市が立ってないか調べておけば、より信憑性が出せるかもしれないわね。
そのうえで、宿主の好みに応じてだめ押しするとか。

例えば、いいアクセサリを扱う店があるとか。
香りが濃厚な香水があるとか。

商人なら、浮かれた人々の財布の紐が緩んでるから、少々相場より高くてもモノが売れるとか言えば、乗り気になるかもしれないわ。

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 11) 2020-09-08 17:32:51
なるほど。では、それは拙僧が請け負おう。
琵琶法師は旅する仕事ゆえ、他所の話に信憑性があるだろうからのう。

《新入生》 ルーシィ・ラスニール (No 12) 2020-09-08 20:51:44
>潜入
間が空いてすまねえ。大風びゅーびゅーだったでよ。
んで、今出てる話だと、フィリンとおらは姉妹とか言う感じで、道中で知り合った琵琶法師の蓮花寺達と一緒に、バルバグラードさ来たような流れで考えてええだか?

クロスとパーシア、ビアンデは各々ひとりで街に入る感じで考えててええだか?

《新入生》 ルーシィ・ラスニール (No 13) 2020-09-08 21:01:59
ああ、それと確認だけんど、もし……おら達の誰かの身分がばれたら、どうする?
ばれたモンのフォローさしたら、芋づるで残りも身分がばれるべ。

今回の授業の目的で考えるなら、誰かの身分がばれたら、自己責任で脱出して貰うことになると思うだよ。
もちろん、仲間さ見捨てるわけにいかねえって思うのも、それも考えのひとつっちゅうもんだ。

>宿主
ラルセン調査は今んところパーシアひとりじゃから、おらもラルセン調査にしておくでよ。

《新入生》 ルーシィ・ラスニール (No 14) 2020-09-08 21:10:03
ああ、それと。
大丈夫だと思うけんど、今回は学園の生徒と気づかれたら詰みじゃから、制服はなしでいくべよ。
他にも、学園の紋章とか学園教師の装備レプリカとかも危険だと思うで、避けた方がいいと思うべよ。

《ゆうがく2年生》 蓮花寺・六道丸 (No 15) 2020-09-08 21:50:31
拙僧は遠くに住んでおるからそれ程でもなかったが、今年はすごかったということは聞いておる。
大変だったのう……。

>一緒に入るのは二人だけ?
とりあえずそう思っておるが、希望者がいれば拙僧が説き伏せて一緒に入る、ということにしておこう。

>学園生とバレたら
拙僧のこの服装では、恐らく学園生と思われることはないと思うが、
誰かが疑われた場合、恐らく助けることは難しいだろう。
そこは各々で上手くやる他あるまいな。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 16) 2020-09-08 22:09:06
気遣い感謝する。考えている通り、俺は単独で潜入する予定だ。
潜入後も、油断せずにいこう。やることも多い、やはり何か起きても、止めに入れるほどの余裕はないかもしれない。
そして相談に顔を出せなくてすまない、こちらも少々、余裕がなくなってしまってね……

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 17) 2020-09-08 22:12:08
>ばれたとき
一応、全員が学園の生徒とばれて調査の続行が難しい場合は、号令の鞭からの突撃命令で、強引に退路を開くように盛り込んでおこうかとは思ってるわ。
出番がないといいけどね。

あと、事前準備で学園の生徒とわかるような装備は外しておくように周知するよう書いておくわ。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 18) 2020-09-08 22:50:51
>バレた時
服については『変装』で揃えていけるかしらね?
学園の制服やかばんは一応置いていこうと思うけど…

>ルーシィ
カバー了解よ。メンバーについても大丈夫…だと思う。
その設定で準備させてもらうわ

>もしバレた時
調査続行が難しくなった場合は逃げの一手ね…
私も一応、技能に『全力撤退』を準備しておくけど、使う機会はない事を祈りたいわね

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 19) 2020-09-08 22:59:51
一応、誰かが身バレした場合に備えて、調査の合間に隠れ家に使えそうな空き家を探しておくわ。
隠れ家に追手が来たときは、物体透過で壁から顔と手だけ出して、追手を脅かして時間稼ぎできるように盛り込んでるわ。

……ぶっちゃけ、調査よりも脅かすネタ考えるのが楽しかったのは内緒よ?