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怪獣王女☆出現


ストーリー Story

 このおじいさんに名前はなくても話は進むのだけども、なければないで語りにくいので仮に、【ガリクソンさん】(80)としておこう。
 ガリクソンさんは行商人である。両天秤状のかごをかついでえいほえいほ、峠の中腹まできたところでいつものように一休みした。
 あつらえたような位置にある平らな岩に腰を下ろし、これまたいつものようにキセルをとりだして口にする。
 といってもこのキセル、中身は空なのである。ガリクソンさんが禁煙してもう長い。慣習として一服しているだけなのだった。ガリクソンさんがタバコをやめるまでの物語も波瀾万丈だったりするわけだが、本編にはまったく関係ないので割愛する。
 空気を吸って空気を吐きだすだけ、それでもプカーとやるとそれなりに落ち着くのだから不思議だ。
 しかし老人の平穏はにわかに破れた。
「ヘイボーイ!」
 舌っ足らずな声がして、茂みかきわけがさがさと、妙な格好の女の子がガリクソンの前に飛び出したからだ。
「コズミックエッグよこすのじゃ!」
 十歳はたぶん超えていない。ぶあつい桃色のガウン、襟と袖のところは白くモコモコしていて、バラのような派手な襟飾りもついている。ベルトは金色でむやみに太く、ブーツもやはり金ぴかだ。金といえば髪もゆたかな巻き髪のブロンド、てっぺんに王冠をいただいている。
 仮装がどうのという時期はもう終わったと思うが。
 ガリクソンさんはあっけにとられた。そうするしかなかった。
 しかし少女は許さない。豊かな髪から飛び出したトカゲっぽい耳をひくひくさせてもう一度言った。
「コズミックエッグよこすのじゃ!」
 目がくりっと大きくて口が小さく、びっくりするくらいの美少女だ。なんか歩くたびに『きゃるん』とか音が立ちそうな。
 ゆえにわけのわからさなさも倍増である。なんのことだろう。そんなコズミックなもの(?)の心当たりは当然ない。老人は首をかしげるしかなかった。
 かごの内側がちらりとのぞいた。
 卵がたくさん入ってる。ガリクソンさんのあきないの中心を占めるものだ。
「よこすのじゃ!」
 得たりとばかりに少女は近づいてくる。
 物盗りか? 素直に頼めばひとつくらいあげてもいいが、そういう平和的な雰囲気ではないとみた。そもそも少女からは、ただ者ならぬ闘気(バトルオーラ)が立ちのぼっているのである。
「ふぬう……さすればこのガリクソン、腕に多少の覚えあり」
 ガリクソンさん八十歳は上半身をはだけた。大小さまざま無数の戦傷(いくさきず)、肉は落ちたが引き締まった骨格はなお健在、天秤棒をからりと外せば、たちまち六尺棒に早変わり。
 ひゅんと棒を回してぴたりと止める。構える。攻防一体、人呼んで豹の構えだ。
 これで逃げてくれればいいがと老闘士は思った。
 生涯独身、孫はもちろん子も持ったことのないガリクソン(若い頃のあだ名は『棒術の鬼』)だが慈愛の情に厚い。子ども相手に蛮勇はふるいたくなかった。
 しかし少女は恐れない。
「やる気のようじゃの!」
 と言って、お人形さんみたいな顔にニヤリとした笑みを浮かべた。
「わちきは怪獣王女☆ 邪魔だてするなら容赦しないのじゃ!!」
 少女は、長手袋をはめた両手を交差させガウンの内側につっこんだ。

 * * *

「……それで、すべて奪われたということらしい」
 商売道具を、と言ったのはフトゥールム・スクエア教師【ゴドワルド・ゴドリー】だ。
「怪獣王女と名乗った謎の少女は、桃色の卵をいくつもふところから出した。投げるとそこから桃色の怪獣が出てきたという」
 見た目が恐ろしいモンスターではなかった。むしろ逆だということだった。特に似たモンスターはなくしいて言えば二足歩行のドラゴンといった形状だが、白みがかったピンクでぷにぷにとした、つぶらな瞳の『どらごん』というのが適切だろう。このお風呂のおもちゃみたいなのが何体もあらわれキュウキュウと鳴きながら迫ってきたという。
「で、キュウキュウと鳴きながらガリクソン氏を血祭りに……」
 見た目とちがって凶暴らしい。注意したい。
 ガリクソンさんは無事ですかと生徒の一人が聞いた。
「氏は『どらごん』のあまりの可愛さに抵抗できずボコボコにされたそうだが」
 入院はしたものの元気にはしているようだ、とゴドリーは言った。
 どらごん(仮称)は一応竜らしく火も吹くそうだ。温度は種火くらいのものらしいがもちろん食らえば熱い。
「コズミックエッグとかいうものについては、ざっと当たってみたが該当するものは見つからなかった……一体なんのことやら。とりあえずこの怪獣王女というのをおびき寄せ、奪われたガリクソン氏の荷物と六尺棒を取り戻すことが使命だ」
 健闘を祈る、と普通に言えばいいのにゴドリーはここでどうしてもひとボケしたかったらしい。
「健康を祈る!」


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2020-11-18

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2020-11-28

登場人物 6/8 Characters
《ゆうがく2年生》ナツメ・律華
 ローレライ Lv13 / 賢者・導師 Rank 1
※アレンジ 他の人の絡み歓迎 名前:ナツメ(名前)・リッカ(名字) 目指せ大魔法使い! 追求せよ世界の真理! 【外見】 実年齢:14歳 外見年齢:10歳程度(つるぺた) ……まだ成長期は終わってませんわ! きっとあと数年のうちに素敵なレディにっ! 髪:三つ編み(しないと髪が爆発する…) 【中身】 明るく元気な性格 (よく言えば素直、悪く言えば分かりやすい) 探究心が強く、新たな知識を得るのは大好き 勉強したり本を読むのは大好き 田舎な実家では農作業や牛の世話をしていた。 大魔法使いになって世界の不思議を理解して その力で実家の畑の収穫を楽にするの! という大きいのか小さいのか分からない野望を持つ 田舎から出てきたので、お嬢様キャラで学校デビューを計ろうとするがすすぐにボロが…… 【口調】人と話す時はお嬢様(~ですわ、~かしら) 心の内や慌てたりすると素に戻る(~よ、~ね)
《甲冑マラソン覇者》ビアンデ・ムート
 ヒューマン Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
●身長 148センチ ●体重 50キロ ●頭 髪型はボブカット。瞳は垂れ目で気弱な印象 顔立ちは少し丸みを帯びている ●体型 胸はCカップ 腰も程よくくびれており女性的なラインが出ている ●口調 です、ます調。基本的に他人であれば年齢関係なく敬語 ●性格 印象に違わず大人しく、前に出る事が苦手 臆病でもあるため、大概の事には真っ先に驚く 誰かと争う事を嫌い、大抵の場合は自分から引き下がったり譲歩したり、とにかく波風を立てないように立ち振舞う 誰にでも優しく接したり気を遣ったり、自分より他者を立てる事になんの躊躇いも見せない 反面、自分の夢や目標のために必要な事など絶対に譲れない事があれば一歩も引かずに立ち向かう 特に自分の後ろに守るべき人がいる場合は自分を犠牲にしてでも守る事になんの躊躇いも見せない その自己犠牲の精神は人助けを生業とする者にとっては尊いものではあるが、一瞬で自分を破滅させる程の狂気も孕んでいる ●服装 肌を多く晒す服はあまり着たがらないため、普段着は長袖やロングスカートである事が多い しかし戦闘などがある依頼をする際は動きやすさを考えて布面積が少ない服を選ぶ傾向にある それでも下着を見せない事にはかなり気を使っており、外で活動する際は確実にスパッツは着用している ●セリフ 「私の力が皆のために……そう思ってるけどやっぱり怖いですよぉ~!」 「ここからは、一歩も、下がりませんから!」
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《人間万事塞翁が馬》ラピャタミャク・タラタタララタ
 カルマ Lv22 / 魔王・覇王 Rank 1
不気味で人外的な容姿をしたカルマの少女。 愛称は「ラピャ子」や「ラピ子」など。 名前が読み難かったらお好きな愛称でどうぞ。 性格は、明るく無邪気でお茶目。 楽しいと面白いと美味しいが大好き。 感情豊かで隠さない。隠せない。ポーカーフェース出来ない。 そしてちょっと短気なところが玉に瑕。 ギャンブルに手を出すと確実に負けるタイプ。 羞恥心を感じない性質で、露出度の高い衣装にも全然動じない。 むしろ前衛的なファッション格好いいと思ってる節がある。 戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法。 昔は力に任せて単純に暴れるだけだったが、 最近は学園で習う体術を取り入れるようになったらしい。 しかしながら、ゴリ押しスタイルは相変わらず。 食巡りを趣味としているグルメ。 世界の半分よりも、世界中の美味しいモノの方が欲しい。 大体のものを美味しいと感じる味覚を持っており、 見た目にも全く拘りがなくゲテモノだろうと 毒など食べ物でないもの以外ならば何でも食べる悪食。 なお、美味しいものはより美味しく感じる。Not味音痴。 しかし、酒だけは飲もうとしない。アルコールはダメらしい。 最近、食材や料理に関する事を学び始めた模様。 入学までの旅で得た知識や経験を形に変えて、 段々と身に付いてきた…と思う。たぶん、きっと、おそらく。

解説 Explan

 妙な格好の女の子、自称『怪獣王女』と戦います。
 怪獣王女はどうやら卵形のものを求めている様子、なんらかの方法で誘き出しましょう。行商人、という手もありますが、こちらが複数人ですとちょっと警戒するかもしれませんね。実は卵形のものであればなんでもいいらしいので、鶏卵ではなくそういう形状のボールを運ぶとかいう手段もありそうです。

 敵の『どらごん』について説明します。
 こちらの人数プラス3くらいが出てくるようです。王女が卵を投げて割れたらそこからムクムクと出てくると思われます。
 ぷにっとしていますが容赦なく噛みついてきたり炎を吹きかけてきたりします。特定の属性魔法に弱いそうですがそれは闘いながら見破るしかないでしょう。
 ある程度ダメージを与えるとはじけて泡のように消えてしまいます。
 あんまり頭はよくないようで、単純に攻撃を繰り返すだけです。

 王女自身は卵爆弾を投げて攻撃してきます。意外に敏捷でタフです。
 ときどき本物の鶏卵も投げてしまうようです。

 勝利条件は『ガリクソンさんの荷物を奪い返すこと』だけです。
 どらごんを全滅させる必要も王女を捕まえたり倒したりする必要もありません。


作者コメント Comment
 ここまでお読み下さりありがとうございます!
 桂木京介です。よろしくお願い申し上げます。

 なんだか妙なやつが出てきました。
 自分で王女と言っていますし。コズミックエッグとは何なのでしょう? その謎に迫ってもいいですし、たんにぷにぷに怪物とのバトルと変ちくりんな少女との対決を楽しんでもいいと思います。

 全体的に気軽な話にする予定です。皆様のご参加をお待ちしております。
 では次はリザルトノベルで! 桂木京介でした!



個人成績表 Report
ナツメ・律華 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
本来は敵対する必要はないはず。
まずは穏便に話をしてみるところから。

あの、女王様?
まずコズミックエッグとはどんな卵なのですか?
そしてどうして手元から消えてしまったのでしょうか?

戦闘もできるだけ避けたいけれど、襲ってきたらそうは言ってられませんわ
炎のダメージを種族属性で相殺したり、皆様の回復へ回りますわ。
その間にすこしづつ他の属性魔法で攻撃し、弱点をさぐり皆様と共有して対処


もし女王様の手が付けられないようなら、こっそり「言の葉の詩」
眠らなくても、少し大人しくなってもらいましょう
事情次第では協力する事もできましてよ、と交渉を持ちかける
もし約束が結べれば頑張って探しますわ、。



ビアンデ・ムート 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
・目的
ガリクソさんの荷物を取り戻すために私の出来ることをやります

・行動
目的が荷物を返してもらう事なので、彼女にエッグを求める理由などを聞いて妥協案がないか模索します

戦闘になったら最前線で盾役を担当
どらごんの攻撃を【太陽の盾】による【全力防御】で受けます
炎攻撃は【防護魔力】を展開する事である程度防げると思うのでそれで対処
数が多いですが、【不屈の心】で耐えます

その間にエリカさん達が荷物を探すので、そちらに注意が向かないよう『挑発』で誘ったり、防御したまま怪獣女王に向かって前進します
相手も動くので近づくのは難しいですが、自分に迫ってくる相手がいるというプレッシャーを与える事は無駄じゃないはずです

エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
なるべく平和に問題を解決したい

事前調査でコズミックエッグやそれに類似したもの、卵状の魔法道具などについて調べる
怪獣王女についても、似たような存在、過去の記録について調べる

王女には礼を失しないように対応(説得・子供親和・会話術)
市場で卵や卵型の玩具や装飾品を買って持って行き、これとガリクソンさんの荷物を交換して欲しいと頼む(博愛主義)
コズミックエッグについてどのようなものか尋ね、一緒に探してあげると申し出る

戦闘になりそう・なってしまったら、戦闘は仲間に任せ、自分は(集中・視覚強化・自然友愛)で、呼び出した精霊と共に奪われた荷物を捜索して見つかれば回収し持ち主へ返還

仲間が危険ならフドと薬草で支援

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
荷物の奪還か…
奪った相手の話を聞くと話を聞かないタイプのようだが…どうなることか

話し合いで片が付けばそれに越したことはないから話し合いだな
取り敢えず卵を探してるようだし、エルオンタリエくんに便乗してたまごを渡してみようか?
お腹が空いてるかもだし月見うどんも特別サービスだ
これで気が良くなって依頼主の荷物を返してもらえればいいんだが…

戦闘になってしまったら千代古令糖の守り、基本鎌術、通常反撃、挑発で『どらごん』の相手
基本、相手に呼びかけ停戦して貰えるように動く
あまりにもこちらの呼びかけに答えてくれない場合、ウィズマ・アーダ、基本鎌術、暴君誕生で『どらごん』退治に勤しむとしよう

アドリブA 絡み大歓迎

パーシア・セントレジャー 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:150 = 50全体 + 100個別
獲得報酬:3000 = 1000全体 + 2000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
ガリクソン氏の荷物と六尺棒の奪還
可能なら交渉等で穏便に

◆交渉
そうねえ……卵っぽくみえるもの
洋梨とかキウイフルーツとか、卵っぽい形の果物をかごに詰めて用意
荷物と六尺棒を返してくれるなら、かごの果物をあげるとか交渉してみようかしら

コズミックっていうくらいだし、おっきい卵を探してるのかしら?
どんなものか詳しくわかったら、手に入れることができるかもしれないけど
そのコズミックエッグはお爺さんが持ってたの?

◆応戦
どうしても戦いを避けられないなら、王様の命令で王女とどらごんの弱体化を試み、うまく弱体化できたら、号令の鞭で合図したうえで味方に突撃命令

事態を収拾し、再度話し合いを試みられる状況にしたいわね

ラピャタミャク・タラタタララタ 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
怪獣王女と戦う

■行動(戦闘)
あちきは怪獣王女を直接狙うのじゃ。
どらごんの動きを見て、隙を見て突撃。当たりをブチかますのじゃ。
怪獣と魔神、どちらが強いか勝負なのじゃ!

間合いを常に詰めつつ斧を振って牽制しつつ、
相手の攻撃に合わせて反逆精神で相打ち覚悟の反撃で攻めるのじゃ。
多少のダメージは無痛のいたみで耐えて、
いざという時は身代わりうさぎと浴衣で肩代わりじゃ。
伊達に魔神を名乗ってはおらんぞ!

決め時と見たら、大技で行くのじゃ。
雷装を纏って全力の峰討ち!どこが峰か知らんがたぶん大丈夫じゃろうて!
見せようぞ、これが魔神の一撃じゃぁぁぁーーーーっ!!!!

リザルト Result

 水彩絵の具で描いたような秋晴れ、冬の足音を聞くように、落ち葉踏み分け山道をゆく。
 けれども少女は空を見上げず、そればかりか風景を楽しむこともせず、木の枝を使いあちらこちらがさごそ、身をかがめさぐり歩いているのだった。
「見つからんのう……コズミックエッグ……」
 つぶやく少女はいわゆる『のじゃっ子』、ふと枝の先に触れたものに気づいて、
「ふおぉ、これはもしやっ!?」
 枝を捨てオーガの拳ほどもある卵形の石を両手で拾いあげた。
 しげしげと眺める。
「……あまりコズミックではなさそうな」
 どうもただの大きな石のようだ。
 ちょっと舐めてみた。
「土の味しかせんわっ!」
 ぺっぺと吐き出し石も放った。どさっと草むらに落ちる。
「危ねっ!?」
 石が近くに落ちたらしく、昼寝していた男が飛び起きた。黒いスーツを着込んでおり編みかごを脇に置いている。
「あと1メートル半もずれてたらその石、オレの顔面をヒットしてたぞ!」
「それほど離れとるなら当たらんじゃろ」
「それはそうだが……まあ、当たったら当たったで、『ヘルメットがなければ即死だった』とか言えたかもな」
 と男が納得(?)しかけたところで、
「そこの旅のかた、それはヘルメットではなくて仮面ではなくて」
 異議ありとばかりに右手をあげて、杖をもつ魔法使い風の少女があらわれた。大ぶりのメガネに秋空が映りこんでいる。
「あ、そうか」
 その通り彼の顔は儀式的な白い仮面に隠されているのだ。
 もしやその面は、と魔法使い少女は言った。
「外した素顔を見られてしまうと、相手を口封じのために殺すか、もしくはその相手を愛するしかないというアレですか?」
「うん……いや、そういう設定をつけると後で自分の首を絞めることになりかねないからやめとく! オレはただの行商人だよ、仮面をつけた行商人」
 魔法使い少女は視線を『のじゃっ子』に転じた。
「ところであなた様は? 高貴なおかたとお見受けしましたが」
 なるほど真紅の手甲に真紅の脚絆、頭には王冠もいただいており並大抵の者ではなさそうだ。言われて彼女はからからと笑った。
「隠せぬものじゃの。あちきは貴きことこのうえない魔神なのじゃ! 将来魔神になる予定、というのが正確なところじゃが」
「魔神ということは王族ではないのですわね……」
 魔法使いは妙に残念そうに言った。すると、
「王族をお呼びかしら?」
 うふふと三人の背後から含み笑いが聞こえた。
「だったらここにちょうどひとり居合わせているわよ」
 歩みきたるはたしかに、王族の気品をたたえた女性だ。
 黒く長いローブに白い手袋、黒く豊かな髪、透き通るように白い肌……いや、肌のみならず衣装を含むすべてが透き通っている。そのさまは実に優麗、いや、幽霊ともいえよう。つまりリバイバルなのだった。文字通り、この世のものではない美しさ。
「呼ばれて飛び出てうらめしや――人呼んで亡霊王女とでもいったところかしら」
 ところで私は、と亡霊王女は告げた。
「コズミックエッグというものを探しているの。エッグプラント(茄子)の一種かなと思うのだけれど……この時期にはないわよねえ?」
「汝もか!? あちきも探しておるのじゃよ」
「卵といえばオレが行商しているのは卵なんだ。たまご~、たまごはいりませんか~? アニパークで採れた新鮮安全おいしい卵だよ~」
「そういう私は大魔法使いの卵ですわ」
 奇妙ね、という声がした。
 また新たな人物の登場である。しかも二人。
「わたしたちは偶然通りがかっただけのミステリーハンターとその助手なんだけどね」
 ひとりはエルフの少女だ。マントをひるがえし颯爽と四人の前に立つ。
「なぜかみんなエッグに縁があるみたい。なぜってはこのあたりは、付近住民に『卵坂』と呼ばれているのだから」
「た、卵坂とは、まさか……あの……!」
 すかさず助手役の少女がぎこちなく口添えるも、慌て気味のミステリーハンターにさえぎられる。
「ごめんビアンデさんそれ、パーシアさんの台詞だから」
 こしょこしょと告げた。
「え? ご、ごめんなさい。私こういうの苦手で……!」
 コホン、と大きなシールドを背負った助手役の少女は咳払いして言い直す。
「先生、史書に『オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな』とうたわれたというあの坂ですね! ……これで台詞合ってます?」
 OKと言うかわりにエルフの少女はウインクする。そこですかさず手順通り、
「た、卵坂とは」
 と亡霊王女が言いかけたところで、
「まーーつーのーじゃーー!」
 雷鳴のような声がとどろいた。
 といってもキーが高い。幼い少女の声だから!
「お主ら完全にわちきとコズミックエッグをコケにしとるじゃろう!」
 卵坂(※もちろん後付けの偽名であり付近住民にそんな風に呼ばれたりしていない)を猛ダッシュで駆け登り珍妙な幼子がやってきた。
 白いモコモコが袖と襟についた桃色のガウン、金色のベルトにブーツ、頭に王冠をいただいている。【怪獣王女】のおでましだ!
「そんな小芝居にひっかかって出てくるとでも思うたか!!」
 怪獣王女は半月型になった目で一同を見回すも、
「出てきてるじゃん」
 と仮面の卵売り【仁和・貴人】に指摘され、
「しかも走って」
 と亡霊王女【パーシア・セントレジャー】にも言われ、
「そんな大声まで出して」
 ミステリーハンター【エリカ・エルオンタリエ】にも切り込まれた。なおここまでの寸劇は、エリカの脚本によるものだ。
「そ……そんな束になって突っ込まんでもよかろう」
 王女はひるんだ様子だが、ここにも一人ひるんだ者がいる。
「汝が怪獣王女か!?」
 魔神【ラピャタミャク・タラタタララタ】だ。驚きを隠せない。
(何て妙ちくりんな恰好をしておるんじゃ!?)
 自身も奇抜な格好をしているという自負はある。クリムゾンのガントレットにブーツ、これだけでもなかなかだろうが、加えてボディには花魁の浴衣を装備しているのだ。その自分をしてたじろがせるとは……!
(くっ、あちきがやらない方向で攻めよる……こやつ、手強い!)
 怪獣王女がひるんだのは瞬間的なものにすぎない。すぐに彼女はクククと不敵な笑みをもらした。
「わちきを誘いだそうとはフラチな者どもよ。そこな六人、どこまでが徒党でどこまでが巻き込まれた者かわからぬが全員成敗してくれよう!」
「すいません……私たち、全員グルです」
 気の毒に感じてハンターの助手【ビアンデ・ムート】は白状してしまう。ついでに、
「フトゥールム・スクエアから来ました。よろしくお願いします」
 と丁寧に頭を下げた。まだ敵と決まったわけではない。できることなら友好的に終わらせたい。
 けれど怪獣王女にその意思はなさそうだ。
「そんなことはまるっとお見通しじゃったわー!」
 絶対お見通しじゃなかったはずだがそう言い張るや、ひょうと跳びすさり腕を交差させ、両の懐に手を入れたのである。
 手を取り出す。つぶてのような卵が左右の手にいくつも握られている。
「ヘイボーイ! 覚悟するがよいのじゃー!」
 言うなり投じた。ところで誰に向かって『ボーイ』と言っているのか。
 大魔法使い【ナツメ・律華】は後じさる。割れた卵から桃色の煙が上がったかと思いきや、練り消しのようなピンク色の塊がでてきたのだ。
 親指大の塊は見る間に巨大化し、ヒューマンの成人男性ほどの大きさとなる。ピンク色した二足歩行のぷにぷにだ。ドラゴン風だが、石膏やブロンズではなくコンニャクで作ったドラゴン像といった様相、これがつぶらな瞳でよちよちと歩き回った。
 全部で九頭、キュウとかキュピとか鳴いている。なんだこれ。
 色々な意味でナツメはたじろいだ。
「あの人が怪獣王女……そして使役獣の『どらごん』……ちょ、ちょっと違う感じがする」
 ふわっふわのフリルのドレスを着たお姫様のイメージがナツメにはあった。どらごんのほうも想像の姿とかけ離れることはなはだしい。
「オレたちも戦いに来たわけじゃない。クリーチャーをしまってくれないか」
 貴人が呼びかけた。
「卵を探してると聞いた。怪獣王女くん、オレが行商の用意をしてきたのは本当だ。月見うどんの用意もあるし食べるか? 今なら卵増量中だ」
 言いながら貴人は持参のかごを開けた。言葉にたがわずそのなかには、たくさんの鶏卵とうどん(生麺タイプ)が詰まっていたのである。
「こっちはガリクソンさんの装備を返してもらえればそれでいいの」
 パーシアも言い添える。
「本当の卵じゃなくたって大丈夫、洋梨とかキウイフルーツとか、卵っぽい形の果物を色々持ってきたのよ。交換してくれない?」
 パーシアが持参のバスケットを掲げると、卵形のフルーツがころころと顔を出した。よく熟れていて甘い匂いがする。この時期にはめずらしいマンゴーまであった。
 ここが説得のポイントだ、とエリカは片膝立ちになり口上をのべた。
「王女様に申し上げます! コズミックエッグなるものは実際の食品ではないというのがわたしの見立て、卵型の玩具や装飾品を一通り、市場で見つくろって持参いたしました。もちろん実際の食料品でも各種そろえたつもりです。いずれかとガリクソンさんの荷物を交換していただけませんか」
 怪獣王女は黙った。いけるかも――エリカの言葉に熱がこもる。
「もし持参したなかに該当するものがなくても、わたしたちに探すのを手伝わせてください!」
 しかし王女は心を動かしたのではなかった。むしろこう叫ぶために息を吸い込んでいたのだった。
「騙されるものかっ!」
 くわと目を見開いている。
「フトゥールム・スクエア、つまりあの女の教え子ということじゃな! お主らは敵じゃ!」
 あの女ってまさか――ナツメはビアンデを見る。
「おそらく校長先生のことかと」
「わたしくもそう思いますわ」
「なにか……されたのでしょうか? 以前校長先生に」
「わたしくもそう思いますわ……本当に」
「何にせよたぶん、メメル校長は悪気はなかったと思うのですけれど」
「誤解であれば解きたいところです、しかし」
 今はそれどころではなさそうですわっ、とナツメはムーンサイドリバーの柄を両手で握った。
 号令を待っていたのだろう『どらごん』たちが、キュウキュウキュピキュピ言いながら押し寄せてくる。ぷにぷにした外見、足どりも幼児のようなのに、箱の中に投げ込んだボールのようにチャカチャカと動き軌道が読めない。
「そういうことなら話が早い、怪獣と魔神、どちらが強いか勝負なのじゃ!」
 バネ仕掛けのように飛び出すはラピャタミャク、長柄の斧を振りかざし、閃光一閃斬り下げる。
 たしかに怪獣王女をとらえた。
 そう思ったのだが。
「かわしたじゃと!?」
 斧の切っ先は空を切った。勢いとまらずラピャタミャク、空転しバランスを崩したところに、
「わちきとて伊達に怪獣を名乗ってはおらん!」
 コンマ数秒前までその位置にいた王女が、喰らえと卵を投げつけた。
 卵は爆弾、たてつづけに破裂し爆炎をあげる。あっというまにラピャタミャクの体は煙と炎に飲まれた。
「なんと他愛もないやつ。あの女の生徒とはこの程度か!」
 呵々大笑した王女だが言い切る間もなく、ひゃっと声を上げ後転し着地した。
 電光石火。怪獣王女の眼前を、斧の一薙ぎが通過したのだ。
「よく見るのじゃ怪獣小娘っ! 爆弾卵を当てた相手を!」
 ラピャタミャクは無傷で立っている。彼女の足元には、焼け焦げたうさぎのぬいぐるみが落ちていた。呵々大笑するのはこちらの番だ。
「あちきとて、伊達に魔神を名乗ってはおらんぞ!」
 どらごんは炎を吐いた。冗談みたいな見かけなのに炎の勢いは冗談ではすまない。
「うわあぢっ!」
 貴人の肩口に火が付いた。この世界に来る前の貴人だったら、火を叩き消そうと四苦八苦していたかもしれない。しかし貴人は鍛えられた。いい意味でも悪い意味でも。だから、
「動いてりゃ消えるさこんなもん!」
 負けじと大鎌を振り上げた。ざんぶと真正面、叩き落とし敵を泡へと返す。
 風圧で肩の火は消えた。されどその一方、
「チッ――」
 仮面の下の顔をしかめる。のびきった腕に別のどらごんが噛みついたのだ。ぷにぷにした見た目のわりに牙もアゴの力も本物だ。
 だが貴人は簡単に腕を引き抜いている。これぞ千代古令糖の守り、身を硬化させ致命傷は防いだ。しびれるような痛みはあるが牙は骨まで達していない。
「ご無事ですか!?」
 盾を前にして全身でビアンデがどらごんに体当たりする。猛牛が突っ込んだような衝撃だ。貴人を噛んだどらごんは、軽く数メートルは吹き飛んだ。
「すまん。だがムートくんも」
 危ないぞと貴人が言うより先、ぶわっとビアンデの髪が浮く。
 また別のどらごんが吹いた炎だった。
 でもビアンデは動じない。軽く片手で後頭部を払ったのみだ。焦げくさいだけだった。すでに防護魔力が働いているためさしたる被害はない。もちろん熱いことは熱いがこの程度で弱気になるような彼女ではないのだ。
「どうせなら私を集中的に狙ってください!」
 守り切って見せますと見得を切る。鉄壁という言葉はビアンデのためにこそある!
 あの敵、『どらごん』とは言ってるけど――ナツメは考えた。
 どうやら普通の竜ではなさそうだ。思考力もほとんどないようだし、魔法による人工生命体のようなものだろうか。魔術的にはちょっと気になる。本当は王女と親しくなって、秘密を教えてもらえたら嬉しいのだが。
「といっても今は、弱点をさぐらせてもらうだけね!」
 心の声が口に出てしまった。なので口調は素だが攻撃の手段は素直ではない。
 プチラド、バチバチと電光に包まれた雷球をどらごんに投じ、その効果が弱いと見るやプチコード、今度は輝く光の塊をぶつける。
 これも効きはいまいちだ。ならば土属性を試すか、それとも闇か。
 知的探求? 言葉にしてそう考えたわけではないものの、自分がこの作業に熱中していることにナツメは気づいた。それでこそ未来の大魔法使いだ。
 黄金の鞭をふるい桃色のどらごんを遠ざけながら、パーシアはタイミングをはかっていた。
 いきなり試みる必要はない。怪獣王女との連絡がとぎれてからのほうがいい。
 戦況は――パーシアは二人の『のじゃっ子』の行方を確認する。
 王女とラピャタミャクの攻防は続いていた。
「観念するのじゃ!」
 どこから出てくるのか次々と卵を投げる王女に、
「観念? あちきはあきらめが悪いほうなのじゃ!」
 これを斧ではじき打ち返し飛ばし、スキあらば攻めかかるラピャタミャク。
 砕ける卵飛び散る炎、ときどき卵黄が飛ぶのはご愛敬、口調こそ似れど決闘者ふたりの見た目はまるで陰と陽、寒色と暖色の火花を散らす。
 けれど王女のほうがやや優位だ。すでにラピャタミャクの浴衣の帯はとけ、前がはだけかかっている。というか実際はだけている!
 パーシアはしかと見届けた。
 怪獣王女の注意はラピャタミャクにだけ向かっていると。
 今だ。
 パーシアは激しく鞭を打ち付けた。どらごんにではない。大地に!
「王様の命令は絶対!」
 声を上げた。龍がのたうち地を打ったかのよう。ぷにぷにたちの注意は一斉にパーシアに向いた。すかさず命ず。
「攻撃の手を止めなさい!」
 チャンスの神には前髪しかないと俗諺にいう。だがパーシアは逆だ。チャンスの神を油断させ行き過ぎかけたところで、背の翼をむんずとわしづかみにした。どらごんたちはたちまち戦意を削られ惑いはじめたのである。パーシアと怪獣王女を交互に見るものもいる。
 このときエリカはどうしていたか。
 実は戦線を外れ単身、自然友愛の精霊とともに付近の捜索を行っていたのだ。
 ガリクソンさんの荷物は持ち歩いているはず、そう考えて茂みから木陰、足早に探し歩いていたのだった。ビアンデがわざと注目を集めようとしているのはここに理由がある。すべてはエリカの隠密行動を悟らせないためだ。
「えっ?」
 精霊がぱたぱたと手を振るのをエリカは見た。
 大きな切り株の裏だ。
「そっちね!」
 駆けつける。

 ナツメは飛び上がった。
「土属性だったのね!」
 ナツメの放ったプチドドが当たると同時に、キュウ~と困ったような声を上げどらごんはたちまち泡へと帰したのである。
 これを知るやビアンデは声を上げた。
「怪獣王女さん! もう力と力のぶつかり合いは終わりにしましょう!」
 あなたの負けです、とか、降参しなさい、とか相手のプライドを傷つける言い方は避けた。ビアンデにはそういった配慮ができる。
 それでも引く気がないと見て、
「悪いが一掃させてもらうぞ」
 貴人は容赦ない攻撃を開始した。鎌の軌跡がまるで読めない。当然だ法則性などないから。当たるを幸い無差別攻撃、まるで暴君、止まらない!
 このとき怪獣王女はラピャタミャクを組み敷いていた。肩で息をしながら、
「どうじゃ……わちきの……勝ちじゃ……」
 なんのこれしきと言いたいがラピャタミャクは絶息寸前だった。喉に手をかけられている。ダメージと疲労で指先を動かすことすら厳しい。
 しかし、そんなときこそニヤリと笑うのがラピャタミャクだ。
「……なんの、あちきは一人で戦っているのではないわえ」
 間に合った。怪獣王女の視界にエリカが滑り込んできた。
「見て! あのおじいさんの荷物よ! わたしたちの使命はこれを取り戻すこと。つまりわたしたちの勝ちね!」
 なんじゃと、と怪獣王女の手が緩んだ瞬間ラピャタミャクは跳ね起きた。
「見せようぞ、これが魔神の一撃じゃぁぁぁーーーーっ!!!!」
 立ち上がりざまに渾身、雷をまとう袈裟がけを放ったのである。
 ぎゃわっと声を上げて怪獣王女は吹き飛んだ。
「安心せよ、峰打ちじゃ。どこが峰か知らんが大丈夫じゃろ」
 ラピャタミャクは座り込み、エリカに背中を支えてもらっている。
「覚えておれ、フトゥールム・スクエア……」
 エッグも必ずいただく、そう言い残し王女は坂を駆け下りていった。
 エリカがとっさに追おうとしたが、そのときにはもう怪獣王女の姿は霧のように消え失せていたのだった。

 結局コズミックエッグについては手がかりすら得ることはできなかった。
 しかし諸君、怪獣王女は帰ってくる。
 ……はずだ。たぶん。



課題評価
課題経験:50
課題報酬:1000
怪獣王女☆出現
執筆:桂木京介 GM


《怪獣王女☆出現》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2020-11-13 00:51:42
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

卵か卵型の品物を持って行ってプレゼントするとかすれば、
なんとか会話の糸口をつかめたりするかしら?

あまり物騒になり過ぎないようにできればいいのだけど……

《甲冑マラソン覇者》 ビアンデ・ムート (No 2) 2020-11-14 13:43:40
勇者・英雄コースのビアンデ・ムートです。皆さんよろしくおねがいします

今回は荷物を取り戻すだけでいいとのことなので、それまでは盾役として皆さんを守るために頑張るつもりです

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 3) 2020-11-15 18:10:53
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
じゃあ、こちらは亡霊王jy……なんでもないわ。

まあ、荷物と六尺棒取り返せばいいみたいだし、無理に戦闘に持ち込む必要は無さそうね。
向こうが持ち込もうとする可能性は否めないけど。

卵形のものでも騙せそうだけど、どうして卵が欲しいのかは……気になるところね。

《ゆうがく2年生》 ナツメ・律華 (No 4) 2020-11-16 01:01:28
賢者・導師コースのナツメ・律華ですわ、どうぞよろしくお願いします。

『どらごん』の火に対しては、水の魔法でダメージを相殺できないか考えているところですわ。

まずコズミックエッグとやらが何なのか…一緒に探すので教えて欲しいと言えば攻撃をおさめてもらえないでしょうか……。

《人間万事塞翁が馬》 ラピャタミャク・タラタタララタ (No 5) 2020-11-16 21:10:35
魔王・覇王コースのラピャタミャク・タラタタララタじゃ。
よろしくなのじゃ。

戦いになったら怪物王女にダイレクトアタックを仕掛けようと思うのじゃ。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 6) 2020-11-17 03:46:02
わたしは卵や卵状の品物を持って行って、荷物との交換を交渉してみるわ。

もし戦闘が発生したら、みんなには悪いけれどみんなに戦闘を任せて、
その間に周辺を捜索して荷物を見つけたいと思うわ。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 7) 2020-11-17 10:27:14
魔王・覇王コースの仁和だ。

残念ながら特にやることも浮かばないのでエルオンタリエくんに便乗して卵を持ち込んでみようと思うが…

話を聞く限り相手は話を聞かないタイプみたいだな…
出来れば話し合いでなんとかしたいが戦闘になってしまったら『どらごん』の相手をしようと思う。