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スノーウォックを狩り尽くせ


ストーリー Story

 寒の戻りという言葉がある。春、暖かく心地よい気候になりつつあったのに、一時的に冬の寒さがぶり返してくる現象のことだ。
 真冬より幾分マシと言えど、暖炉に火をつけたってなかなか部屋が温まらない。マフラーでも巻かなければ薪を取りに一瞬外へ出るのすら厳しい。冬物の服を慌てて引き出しの奥から引っ張り出している者も少なくないはずだ。
 暖かい中で急に寒さが戻ると、天気は崩れやすくなる。この日は冷え込みがかなり強まったので、空気中の水分は雪の結晶となって地表に散り積もった。雪かきをするほどでもないが、頑張って雪を寄せ集めれば雪だるまやかまくらが作れそうな様子だ。昨日までの春の陽気が嘘のようである。
 雪は綺麗ではあるが、喜ぶのはある程度小さい子供くらいなものだ。雪の積もった路上は滑りやすく歩きにくい上、基本的な移動手段は箒であるため、休校や休講の理由にもならない。結局今日もまた、学生たちは白い息を深く吐いて、ブーツで新雪をきゅっと踏み鳴らしながら、キンキンに冷えた箒にまたがる。
 当たり前だがグラウンドも真っ白で、射撃などを練習する道具も白化粧をしている。これらを使用する部活動の学生たちは、今日一日その雪落としに時間を取られるに違いない。グラウンドには何人かの暇な学生が雪で遊んだり、雪景色をぼーっと眺めていたりしている。
 そんな中、一人の男が全速力で飛び出してきた。グラウンドの真ん中あたりまで突っ走って言ったかと思うとスライディング気味に急ブレーキをして、今自分が出てきた校舎の方を全力で振り返った。
「おいお前らー! 早く出てこーい! 『祭り』が始まってんだろーが!!」
 男が両手を口に当てて大声を出すと、校舎の玄関から数人の学生たちがとぼとぼと出てきた。いずれも呆れたような目線を男に送っている。
「こんな寒い中に連れ出してきて何する気なんだあ?」
「お前らを外へ連れてきたのは他でもない、実践課題のためだ。動けばすぐに温まる。寒さなんか少しくらい我慢しろ」
 この男の名前は【ランドルフ・メイスン】。いかにもマイペースで適当そうな男だが、一応は勇者にしてストゥールム・スクエアで講師でもあったりする。
 ……つまり、今は授業中というわけだ。
「せっかくだしグラウンドにいるお前らも参加しろ! いい経験にはなると思うぜ! 俺が保証する」
 ランドルフがそう呼び掛けると、興味を持ったのか、あるいは教員の命令だからしぶしぶ従ったのか、グラウンドにいた生徒たちも若干名ではあるが集まってきた。
「さてお前ら、今日は雪が積もった。これが何を意味するか分かるかー?」
「知りませんわよそんなの……」
「ああ? 分からないなんてのは世間知らずすぎだ。よく覚えとけ、雪が降ると『ヤツら』が来る」
 ランドルフが指をさすので、寒さで縮こまった学生らは首だけそっちに向ける。
「あれは……」
 そこでは、街中にも関わらず、何やら白い魔物らしきものと交戦している者たちがいた。彼らは飛び掛かってくる魔物たちを次々に斬り倒していく。
「確かにあれだけ動いていれば少しは温まりそうだぜ」
 眉毛の太い男子学生、【リューク・フット】は拳を手のひらに打ち付けながらそう言った。現場を見てやる気が出たらしい。
「あいつらは『スノーウォック』。ジャバウォックの冬バージョンだ。流石にジャバウォックは分かるな? よく森に出る獣の姿をした魔物だ。だが、スノーウォックは雪が積もると、どこであろうと積もった雪から次々と湧いて出てきやがる。だから毎年雪が降った日にゃ街中で討伐祭りってこった。そういうわけでだ、お前らに授業時間全部をやるから、好きなだけスノーウォックを狩ってみな」
 どうやらそれが今日の課題らしかった。寒いグラウンドへ無理矢理引きずり出されて不服そうだった学生らも、実戦と聞いて少しだけやる気が湧いたようだ。仮にも勇者の端くれだ。戦闘に興味がないわけではないのだから。
「でも、実戦となるとやはり危ないのではなくて……?」
 お嬢様気質の学生、【フィリーネ・ダグラス】はそうはいってもまだ完全に乗り気というわけではないらしい。初めての実戦ともなれば緊張するのは当然だろう。
「なに、心配せずともそう強い魔物でもねえさ。もちろん氷系の魔物だから高熱に弱いと言えば弱いが、ジャバウォックと同じで基本的にはどんな攻撃も通る。初心者でも適当に突っ込んでりゃなんとかなるだろ。ただ、たまに口から冷気を発するからそれには気を付けろよ。凍傷にでもなったら治療に時間がかかるからな」
 ランドルフが早口で説明している間にも、街の方からは剣の音や爆発音、スノーウォックの鳴き声が聞こえてくる。その騒がしさは、確かに『祭り』という喩えが似合う。
 ……その騒がしさのせいで、ランドルフはいてもたってもいられない様子だ。
「まあものは試しだ。課題は好きなだけスノーウォックを狩ってくること。二時間後、またこのグラウンドに集合な。街中なんだから、何かあったら俺を呼べ! すぐに助けてやるからな。そんじゃ、一旦解散! っしゃー! 狩るぞ狩るぞ!! 年に一度のお祭りだ!!」
 ランドルフは一方的に説明を打ち切って備品の剣を手に取って、さっきグラウンドに飛び出してきたのと同じように全力疾走で街に繰り出していった。
「まったく、今日も通常運転だなあいつは」
 ランドルフのマイペースさに、無鉄砲が売りのリュークさえ呆れ顔である。
 これは今に始まったことではない。しょうもないことで学生と喧嘩してたり、そうかと思えば自分のやりたいことを即時行動にのではなくて共にしたり……学内では割と有名な問題児である。
「なんだか、巻き込んでしまって申し訳ありませんわね……」
 たまたま居合わせた学生たちに、ランドルフの教え子であるフィリーネが控えめな笑顔を浮かべつつ謝る。リュークも一緒になって、首だけで礼をして軽く謝った。
「ほんとすまねえな。でもあいつも根は悪いヤツじゃないんだぜ。大人だけど子供っつーか……普通は大人って上から目線だろ? でもあいつはあくまで俺らと対等なんだ。だから俺はそこまで嫌いじゃない」
「それに腐ってもこの学園の講師ですし、あれでも知識と技術の量はとても高いのですわ。馬鹿なところもあるけれど、私たちはそこらの下手な先生よりは彼を信頼していますの」
 リュークとフィリーネが揃ってランドルフを褒めると、他の生徒たちも首を縦に振って同意の意志を見せた。
「半強制的に『祭り』に参加させられたわけだけどよ、どうせやるからには全力で『祭り』を楽しんでやろうぜ! なあみんな!」
「何かあったらあの馬鹿講師に助けを求めればいいのですわ」
 リュークとフィリーネの掛け声で、学生らはかなりまとまりを見せた。
 また、リュークたちがランドルフから教わったことをもとに、初心者でも戦いやすいように陣形を整えた。
 相変わらず凍えるほど寒いが、文句は後で直接みっちり言うとして、今はとりあえず戦闘が始まっている街中へ繰り出すことにしたのだった。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 4日 出発日 2019-03-11

難易度 簡単 報酬 少し 完成予定 2019-03-21

登場人物 7/8 Characters
《新入生》バルド・ダールベルク
 カルマ Lv7 / 黒幕・暗躍 Rank 1
とある研究所の実験体として作られたカルマ。 様々な実験と教育を受けていたが、ある日突然研究所が壊滅し、身寄りがなくなり困っていたところを別の研究所の所長に保護され、助手として働いていた事がある。 学園に入学したのは、学園での生活に興味があったのと、もっと色々な知識と技能を身につけて、恩を返したいと思ったから。 保護者のことは「ばあちゃん」と呼び、慕っている。 ・性格 陽気で少々荒っぽい。 元は淡々とした性格だったが、保護してくれた人物が豪快で荒っぽかった為、その影響を受けて現在の性格になった。 ・日課 本を読む事。 ジャンルは、小説、詩、魔導書、漫画、絵本など、日によって様々。 時間があれば黙々と読んでいる。 ・身体構造 かなりヒューマン寄りに作られており、味覚なども感じるように調整されている。 ・魔法陣 左手の甲と腰にある。 ・服装・装具類 ジャケットと長ズボンを着用していることが多い。 両手は黒革の指抜きグローブで手の甲の魔法陣を隠している。 縁にアンティークゴールドのレリーフが施されたゴーグルを常に身につけて、大事にしている。
《新入生》クロード・クイントス
 ヒューマン Lv11 / 賢者・導師 Rank 1
色々と考えてから行動するタイプ。 あまり感情的にはならずニッコリ笑顔を心がけている。 でも顔は笑っていても眼は笑ってない。 厳格な家庭で育ったため人間関係に疲れて孤独を好み、自立するために家を飛び出し、秘めていた好奇心をさらけて放浪癖を患う。 ※アドリブ歓迎
《熱華の麗鳥》シキア・エラルド
 ヒューマン Lv25 / 芸能・芸術 Rank 1
音楽と踊りが好きなヒューマンの青年 近況 自我の境界線が時々あやふやになる みっともない姿はさらしたくないんだけどなぁ 容姿 ・薄茶色の髪は腰の長さまで伸びた、今は緩く一つの三つ編みにしている ・翡翠色の瞳 ・ピアスが好きで沢山つけてる、つけるものはその日の気分でころころ変える 性格 ・音楽と踊りが大好きな自由人 ・好奇心>正義感。好き嫌いがハッキリしてきた ・「自分自身であること」に強いこだわりを持っており、自分の姿に他者を見出されることをひどく嫌う ・自分の容姿に自信を持っており、ナルシストな言動も。美しさを追及するためなら女装もする。 好きなもの 音楽、踊り、ともだち 苦手なもの ■■■■、理想を押し付けられること 自己犠牲 二人称:キミ、(気に入らない相手)あんた 初対面は名前+さん、仲良くなると呼び捨て
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《新入生》フェル・バルカローレ
 エリアル Lv2 / 教祖・聖職 Rank 1
【人物】 エリアル・エルフタイプの青年(実年齢不明) うっかり死にかけて以来記憶があちこち飛んでいる 記憶を取り戻す方法を探している途中でフトゥールム・スクエアに迷い込んだ。現状手がかりもないため学園に滞在している 教祖・聖職コースを選択した理由は「死にかけた時に色々あってねー、参考になるかなーって。あと興味ー!!」と語る 見た目に反してうるさい、ゆるい性格 名前は思い浮かんだものを適当に並べた(本人談) 【挨拶】 初めまして、でいいかな。違っていたらごめんね 僕は……あー、フェル。フェル・バルカローレ 最近ようやく入学したばかりなんだ 迷惑はかけないようにするし、まあ、教室か何処かで会ったらよろしく。どうぞお見知りおきをー ん、種族?見ての通りエリアルだよ。エルフだよ。耳とんがってるでしょ? 逆にいえばとんがってなかったら判断つかないよねー分かる分かる。僕も僕も。記憶なくした当時なんて「僕ってヒューマンなのリバイバルなのどっちなの?どっちかなの?」って思っててさー。リバイバルに賭けてたんだけどもー、鏡見たらまさかのエリアルだよね。外れたー!
《新入生》キョウ・シュバルツ
 ヒューマン Lv4 / 勇者・英雄 Rank 1
初心者なので設定等も迷走中。 キャラの方向性を見失ってますw この学校に入学した目的は、別の世界から来たので右も左もわからなくて、世界を良く知る為。 朝起きたら、この世界だったので夢の中かもと考えている。 もしかして、今までの世界が夢だったら結構ショックが大きいとも考えている。 前の世界の記憶はほとんどないが薄らと覚えている。 出生と恋人の記憶があるが、何の仕事をしていのかだけ全然記憶がない。 なぜか剣を扱えるがステルスやアサシン的なスキルは壊滅的。 弓、銃等の飛び道具も才能が無い。 歌がうまく酒も強く、ホスト的な能力は高い。 全く違うのに別の世界でホストだったのかもしれないと錯覚していたがシャンパンコールが出来ない事で違うと確信した。 が、能力が勇者寄りじゃない事に戸惑っている
《ゆうがく2年生》リベール・ド・ヴァンセ
 ヒューマン Lv11 / 勇者・英雄 Rank 1
リベール・ド・ヴァンセ。 聞き取り辛いなら名札か手帳を読みなさい。 ……わざわざ言うべきことはないの。

解説 Explan

 皆さんのキャラクターは「グラウンドにたまたま居合わせた学生」となります。

 できるだけスノーウォックを倒して実戦経験を積むことが目的です。街中を駆け回ってそれぞれの特技を駆使してたくさんのスノーウォックを倒しましょう。

 ランドルフ先生が言っている通り、スノーウォックにはどんな攻撃も有効です。普段は回復をメインにしているキャラクターも、学園から貸し出される鉄の剣で攻撃に参加することができます。回復だけに徹するのもいいですし、攻守双方を試してみるのも面白いと思います。

 スノーウォックは爪と牙、口から出る冷気で攻撃してきます。物理的な攻撃は力自慢ではないと受け止めきれないので、物理的に攻撃する時以外は離れている方が安全です。力自慢なキャラクターならば、カウンターで押し切ることも可能です。冷気にはまともに触れると『氷結』状態になり動けなくなってしまいますから、炎系の魔法が使えない場合は後ろから狙い撃ちすると倒しやすいです。

 なお、状態異常『氷結』に関しては致命傷ではないため、キャラクターを引き立てるためにギャグマンガのような軽いノリで凍ることも可能です。

 また、今回は戦闘を行う場所が街中ですから、周りにはお店や家が立ち並んでいます。魔物がたくさんいるからと言ってあまり強力な魔法などを使いすぎると建物を壊したり、住民に迷惑をかける元になります。効果範囲の小さい魔法や技を使い、一匹ずつ地道に倒しましょう。


作者コメント Comment
 前花しずくです~。初めての参加ですが精一杯頑張ります。
 今回は楽しいお話にしたかったのでちょっと個性的な先生を登場させてみました。適当だけど本気を出すと頼りになるキャラ大好きなんですよね~笑
 みなさまも是非個性豊かなキャラクターで挑んでいただけると非常に嬉しいです。


個人成績表 Report
バルド・ダールベルク 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:132 = 44全体 + 88個別
獲得報酬:3600 = 1200全体 + 2400個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
●目的
実践体験を頑張る

●行動
『氷結』がかなり厄介なので、暖炉がありそうなお店に目星をつけておき
しっかりジャケットの前を閉じて寒さを少しでも防ぎ、活動し易いようにする

スノーウォックがどのあたりにいるか把握する為、隠密をしつつ気配察知Ⅰで索敵を行う
索敵が済み次第、仲間に伝達し
隠れ身で身を潜めて、奇襲攻撃Ⅰを仕掛けてみる
仲間が狙われたら盾になって守る
出来るだけ町の建物や物が壊れないように行動する

>冷気
まともに触れないよう立体機動や緊急回避などで避ける
もし自分が『氷結』状態になったら、ぬかったー!という表情で凍る

>仲間が『氷結』
事前に目星をつけておいた暖炉があるお店に運び、凍えきらないように対処

クロード・クイントス 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
杖術を学ぼうとして誤って棒術を学んでしまい、今回それを生かして訓練する事にした
が、購買部で武具を購入しようとしてショックを受ける
「え?丸太…」

戦闘
街中なので丸太を振り回せる場所を選んで戦闘、特技を駆使する

殴打の構え
「…何の意味もないじゃないか」
でも注目は集めるようだ、恥ずかしい

ゴツンと一撃
「使えるけど、ただの強打だよねこれ(ボソッ)」

プチヒド
切り札、危なくなったりしたら使って倒す

あとは丸太を振り回して戦闘継続、まるで丸太が最強武器であるかのように戦って倒していきたい

『祭り』終焉
「明日は筋肉痛祭りかも、よく体をほぐしておかないと」
「それにしても丸太がこれほどの強武器だったとは…あなどれないか」

シキア・エラルド 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
できるだけ沢山倒さないといけないんだね、それなら…

・目標
魔法による攻撃の練習
応援も大事だけど、俺自身も戦っていくことも大事だよね

・行動
スノーウォックを見つけ次第プチヒドで攻撃
敵の動きを見て、確実に当てることを意識
どうすればより当たるか、を意識ながら戦う
「街中だから、なるべく建物や関係のない物に当たらないように…」

一体ずつ確実に撃破
技能「ダンス」を利用して敵の動きをステップで回避を試みる
3匹以上に囲まれた際は純白笑顔を発動
発動時は味方を巻き込まないようにする

戦闘中の味方がいた場合は鼓舞激励で能力強化を試みる
強化指定はすばやさ(もし拒否があった際は強化しない)

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
最初に少しだけ剣をお借りしロープを半分に。靴に巻いて滑り止めに

準備が出来たら挑みかかるようにスノーウォックの正面に立ち不敵な笑みを浮かべ、拳と蹴りで倒していきますわ。相手の攻撃は回避主体で凌ぎ冷気を発しようとした時は「やせーの勘」を発動して回避。祖流還りの後立体起動で素早く立ち回って側面へ回り込み、真中正拳突きをお見舞いしますわ!

街中なので家屋や商品を傷つけないよう注意。また状況によっては立体起動で壁面を利用して立ち回り敵の頭上から双撃蹴ま魔牙で攻撃を

最後はいい汗をかきましたわ、と爽やかな笑顔で




フェル・バルカローレ 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
目的
スノーウォック狩りを頑張る!

行動
祭りといっても実戦だからね。本当に危ない時は先生に助けを求めるよ
移動は風の民らしく風を頼って安全そうなルートを探すかな。スノーウォックが多い方向って特に風がひんやりしてそうじゃない?冷気とか?

>戦闘
力の弱い後衛職がただ前に出たらそりゃ無謀だよね
まだこっちに気づいてないスノーウォックを見つけたいなー背後取りたい。先に「聞き耳」で相手を発見できないかな?
背後に回れたら思いっきりハンマーで殴る。正面の時もハンマーで殴る。冷気攻撃の前に顎下を狙って殴れば防御になるかなーって。だめでも時間稼ぎってことで後で仲間にパスできればOK!ついでに顔に「匂い袋」も投げとこうか?

キョウ・シュバルツ 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【基本行動】
勇者之斬で斬!!!
勇者斬り(通常)
通常反撃(通常)

【補助行動】
簡易救急箱で自分も仲間も出来る限り回復します。

【勉強】
初めての戦闘なので、他の人の立ち回りも見て勉強する。

【その他】
自分はどうして剣を使える事が出来るのか知りたいので、無意識の自分の動きを考える

【目標】
戦闘の基本を学ぶ

リベール・ド・ヴァンセ 個人成績:

獲得経験:66 = 44全体 + 22個別
獲得報酬:1800 = 1200全体 + 600個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
まりょくがあるうちは、高所や川などを隔てた、すぐには近づけない所からプチラドで攻撃して仕留めていく。
市街戦なら高い所や堤防など、そういう所は結構あるはずよ。獣はそれらの適切な超え方を知らないはずだから、地の利はこちらにあるはず。
プチラドが撃てなくなったら剣で戦うしかない。味方の近くから可能な限り離れないようにして、互いにカバーできるようにしておく。
自分を狙う敵が複数いるときは、立体機動で逃げることを優先。階段や段差といった自然でない道を通ることで引き離す。一対一になったら勇者斬りで攻撃。
敢えて狭い所に入って、数の優位を生かせなくするのもいいかもね。
きりょくも底をついたら退却よ。

リザルト Result

 グラウンドをあとにした一行はさっきから戦闘音の響く街の中を歩いていた。小さなお店や家が軒を連ねる町は、かなり道が入り組んでいる。細かったり曲がりくねっていたり、唐突に橋が現れたり。普段時はカフェなんかもあるお洒落な街並みなのだが、敵と戦うとなるとなかなか頭を使いそうな場所だ。
「みなさん、くれぐれも一人行動はしないように。最低でも三人以上が固まって動くのですわよ」
 フィリーネが自身の杖を構え直しつつ、後方のみんなにランドルフの教えを再度伝える。誰もそれに対して反対意見はないようで、応えるように各々がしっかりと武器を構え直した。
「……って、兄さん、なんで丸太なんか持ってんすか」
「ん? ああ、これ自分の武器なんだよね、一応」
 【キョウ・シュバルツ】が半ば呆れたような声で訊くと、【クロード・クイントス】はそう答えた。ちなみに、持ってる本人も若干苦笑いである。他の学生らも口にはしないものの、好奇の目線を向けているようだ。
 それはそれとして気を取り直して各々武器を構えなおす。先が見えづらいため、既にみんな緊張状態だ。沈黙を破ったのは道の左端を歩いていた【朱璃・拝】(しゅり おがみ)だった。
「あら、ここにロープの切れ端が落ちてますわ。これをほぐして靴に巻けば、滑り止めになるんじゃありません?」
「確かに! 朱璃さんあったまいい!」
 【フェル・バルカローレ】の反応は過剰な気もするが、他の皆も感心した様子だ。ロープは短かったが、他の学生が持っている剣を使ってほぐしてみるとちょうど全員分の滑り止めにすることができた。これで戦っている時も安定して機敏に行動できそうだ。
「あとは、事前準備として暖炉のあるお店を探しておくか。万が一冷気を浴びた時に駆け込めるようにしておきたいしな」
「そうね。逃げる準備は綿密にしておいた方がいいわ」
 【バルド・タールベルグ】の提案に【リベール・ド・ヴァンセ】が賛成する。この二人は一行の中でも落ち着きがあって頼りになりそうな面々だ。
「それだったら、そこの角を曲がったところにあるパン屋さんに暖炉があったはずだよ」
 今まで鼻歌を歌いつつステップを踏んでいた【シキア・エラルド】がそんな情報を口にする。あそこのバターパンは美味しいよ、という一口メモも添えて。
 疑っているわけでもないが、念のためその店に暖炉を全員で確認する。これで全員に暖炉の位置は周知できた。
「よし、準備も整ったことだし、早速魔物の位置を確認するか!」
 いい感じの十字路に差し掛かったところで、バルドはあたりの雰囲気に意識を集中させた。音や匂い、空気感などから周りの様子が感じ取れる。
「この先川の方に数匹、右の商店街に十数匹、左の路地の中にも十数匹いるな」
「では、私は川の方に向かうわ。橋の上ならば戦いやすいし」
「おお、さすが姉さん、いい作戦っすね」
 キョウはリベールの作戦に同調し、ついていくことにしたようだ。他にシキアも、気分でリベールについていくことにした。
「じゃあ、先生の教え子チームは左行こうぜ。日ごろの授業の成果を試したいしな。固まってた方がやりやすい」
 そんなリュークの意見で、もともとのランドルフの教え子たちが左に、余りが右に行くことになった。
「行く方向も決まったことだし、早速動こう。俺は念のため隠れて全体を見ておくからな。積雪から自然発生するってことはこの先また増えるかもしれないし。何かあったらすぐに伝えるから。それじゃあな!」
 バルドはそう言って豪快に笑うと、素早い動きで路地裏へと消えていった。それを皮切りに、リベールグループ、そしてランドルフの教え子グループも、それぞれ今決めた方向へ向けて歩き出したのだった。

 リベールら三人は予定通り小川にかかるアーチ橋の頂点に陣取っていた。川に沿った道には、確かに数匹のスノーウォックが確認できる。敵も橋の上にいる存在に気付いたらしく、四本の足を忙しなく動かして近付いてくる。
「来るわ」
 スノーウォックのうち一匹が吠えながら橋の入口にさしかかった。橋の上なのだからスノーウォックは一匹ずつ順番に来るしかない上に横にも動けないので、集中さえすれば攻撃を外すこともない。
 リベールは両腕を相手に向かって突き出し、力を集中させる。放たれた雷の玉『プチラド』がぶつかると、スノーウォックは苦しそうな声を上げて消滅した。効果はてきめんらしい。
「まずは一匹っすね」
「……あっ、後ろからも来てるよ!」
 シキアの言う通り、一行が今来た方向からも数匹のスノーウォックが迫っていた。道中にあった雪から出現したのだろう。
「そっちは頼んだわよ。私はこっちの相手をしているから」
「了解。……まあ、魔法だって慣れだよね」
 シキアは一旦深呼吸して力を抜くと、持っていた杖をスノーウォックに向けた。打ち出された炎の玉『プチヒド』は迷うことなく一直線にスノーウォックに着弾し、ジュッと音を立てる。するとスノーウォックはみるみる溶けていき、最終的に水たまりとなってしまった。
「確かに姉さんの言う通り、ここなら不意を突かれる心配もなくて戦いに向いてるっすね」
 キョウは万一に備え簡易救急箱を用意しながら、二人の攻撃を観察している。そうこうしてる間に、二人は二匹目三匹目と順調にスノーウォックを倒していく。
「目に見えている限りではあと一匹ずつね……。こいつらを倒したら場所を移動しましょう」
「よし、さっさと仕留めて次に行こう」
 二人は最後の一匹が橋に踏み入れた瞬間にお互いの魔法玉を発射し、しっかりさっくり一帯のスノーウォックを一掃してしまった。川沿いの道の雪はもうカケラ程度にしか溶け残っていない。
「姉さんを見てると作戦を立てる勉強になるっす」
「そうかしら。さあ、次は向こうの坂道に行くわよ」
 リベールの一声で三人は駆け足で移動していく。ランドルフはその様子を見て自分の助けは必要ないと判断し、そのまま屋根を走って別のグループの元へと向かったのであった。

 商店街へやってきたメンツも、後ろからやってきたスノーウォックに追いつかれ、挟み撃ちを食らった格好になっていた。
「うわー! 両方から来ちゃったけどどうする?」
「ここは自分が」
 改めて敵を前にしたフェルが後ずさる中、クロードが一歩前に出て丸太を天高く振りかざす。敵を威嚇して戦意を喪失させようという算段だ。
「おお! なんかすげえ!」
「『殴打の構え』……!」
 静かに天高く掲げられた丸太はその存在感を嫌というほど誇示する。そして!
 ……何も起こらなかった。
 むしろスノーウォックたちは警戒して先ほどより唸り声が大きくなっている気もする。
「……何の意味もないじゃないか」
「クロード様、何をおふざけになって?」
「いや、別にふざけてたわけじゃあ……」
「馬鹿なことやってないでいきますわよ。さぁ、かかっておいでなさいませ!」
 朱璃はクロードに軽くお灸を据えると、先陣を切って敵の前に飛び出した。そのしなやかな肉体を活かした蹴りがスノーウォックの顔面にヒットする。スノーウォックはそのまま横に吹き飛び、白目を剥いて消滅した。威力もさることながら、人のいる位置をしっかり確認して深いスリットが入っているにも関わらずスカートの中身を誰にも見られないようにしているのも流石である。
「おー! やりぃ! かっこいい!」
「こ、このくらい当然ですわよ」
 それを知ってか知らずかフェルは単純に感動したようだ。明るい声援に朱璃も満更でもない様子である。
「よし、自分も頑張らなくちゃね」
 クロードも朱璃の攻撃に触発され、改めて丸太を構え直す。今度は振りかざすだけでなく、しっかり敵との間合いを詰めて脳天めがけて力を込めて勢いよく振り下ろす。ゴッという鈍い音と共にスノーウォックの頭は激しく殴打され、氷が砕け散るがごとくバラバラになって消滅した。
「使えるけど……ただの強打だよねこれ」
「おー、意外に丸太でも倒せるんだね。僕も丸太には負けてられないや」
 フェルは自分の耳の良さを活かして自分の攻撃のタイミングを見計らおうとする。しかし、俊敏な動きで背後に回り込んできた一匹のスノーウォックに気付くのが遅れ、すんでのところで避けた。
「だあー、どうしてこういう時に限って失敗するかなあ!」
 フェルはやかましく喋りながらもハンマーを下から上に振り上げる。攻撃しようと身を乗り出していたスノーウォックの顎に直撃し、スノーウォックは宙に舞ってそのまま消滅した。
「やりぃ!」
 一匹ずつ倒して調子づいた三人は、躊躇なく敵陣に切り込んでいく。バルドはその様子を屋根の上から静かに見守っている。
 そのさらに後ろでは、ランドルフがバルド含む全員を観察していた。こちらも助けは必要ないと判断したのか、ランドルフは屋根から飛び降りて何事もなかったかのようにスタスタと歩き去っていった。

 リベール一行は今度は坂にある階段で交戦していた。例の如く挟み撃ちである。しかしスノーウォックは完全に獣の姿をしているので、人工物のあるところでは動きが鈍い。
「いくわよ」
 リベールは右手に持っていた石の剣を地面に突き刺し、金属のこすれる音と共にクリスタルブレイブを引き抜いた。そして軽く跳ねて間合いを一気に詰め、スノーウォックを横一文字に切り裂いた。その鋭い攻撃でスノーウォックは上下に真っ二つになり、霧散する。
 仲間がやられたのを見て興奮したのか、スノーウォックたちは足場が悪いにも関わらず猛進してきた。
「おっと、これはちょっとまずいんじゃないっすかね……」
 そこでシキアは妙案を思いつく。得意の踊りを駆使すればうまくスノーウォックの攻撃を躱せるんじゃなかろうか、と考えたのだ。
 早速スノーウォックが攻撃してきたので、ステップを踏んで飛びのこうとする。だが予想以上にステップの範囲が短かったため、スノーウォックの攻撃の射程範囲から抜け出すことができなかった。
「危ない!」
 咄嗟にキョウがスノーウォックの爪を剣で受け止め、そのまま反撃をした。喉元に剣を刺されたスノーウォックは涎をボタボタと垂らしたのちに、倒れて消滅する。
「兄さん、油断しちゃダメっすよ」
「あ、ああ、ごめん」
 シキアがまた攻撃側に回るにしても間合いが近すぎて相手の攻撃に対応ができないので、ここはキョウに任せて一旦身を引く。二人の剣士が両脇を固めているので、シキアはここから補佐に徹することにした。
「ラストスパートだよ! 二人とも最後まで頑張ろう!」
 シキアはその美声で必死に二人を応援する。その激励により緊張が軽く解れたのか、二人は敵の攻撃を軽々と避けてスムーズに切っ先を懐に滑り込ませることができるようになった。
「残りはあと三匹よ。気を引き締めていきましょう」
「そうするっす! 『勇者斬り』!」
 リベールとキョウは相手に向かって剣を全力で振り下ろす。これは勇者として習う基本的な剣術だ。これでそれぞれ一匹ずつ打ち倒し、残るはあと一匹。
「姉さん、最後は一緒に倒すっすよ」
「いいわよ。ただし、私の動きにちゃんとついてきなさいよね」
 そう言って飛び出していくリベールにキョウも合わせて地を蹴ってついていく。
「頑張れ二人とも!」
「いくわよ」
「いくっすよ!」
 二人は剣を顔の横で立てて構え直す。そして、それを最後の一匹に目掛けて斜めに振り下ろした。
『勇者ノ斬!!』
 シキアの励ましも相まって、二人は速度が乗ったまま剣を最後の一匹に振り下ろした。完全にオーバーキルだが、それはそれで二人の自信に繋がったようだ。
「……さて、今日のところはこんなものだろう」
「そうだね。戻ろうか」
「そうするっす!」
 雪もほぼ解け、新たにスノーウォックが出ることもなさそうな街角を、三人は談笑しながら戻っていく。

 一方、打撃組は広い商店街で次々現れるスノーウォックたちに手を焼いていた。
「このままじゃ埒が明きませんわ」
「あとどのくらいいるのかぐらいは知っておきたいよね」
 こちらのメンバーは全員打撃武器系の使い手なので、体力の消耗がかなり激しく、長時間の打ち合いは不利だ。それぞれ額には玉のように汗が噴き出している。
 その時、屋根から何かが落ちてきて、一匹のスノーウォックの首筋を二つの刃物が切り裂いた。そう、様子を見ていたバルドが下りてきたである。
「残りの敵はあと十五匹くらいだ。一人四匹倒せば終わる! あと一息だ!」
 バルドは両手の剣を構え直しながら、上から見ていた情報を三人に共有した。新たに出現する可能性は低いと見て、自分も攻撃に加わったのだ。
「四匹……上等ですわ、これで仕留めますの。『祖流還り』!」
 両手の拳を握って全身に力を込めると、耳と尻尾はボリュームが増し、牙と爪が太く長く、鋭く変化する。敵を前に四つん這いで唸る姿はまるで獲物を狙う狼である。
 猛獣と化した朱璃は砂煙を上げながら目にも止まらぬ速さで駆け回る。そして敵の横に回り込んだかと思えば、強烈な正拳突きを炸裂させた。攻撃はそれだけにとどまらず、右手に魔力を集中させた黒い爪を生成して目の前の三匹を次々と切り裂いた。四匹のスノーウォックは鳴き声を上げる暇もなく、攻撃を受けた次の瞬間にはもう消滅していた。この間わずか三十秒である。
「ふう……いい汗をかきましたわ」
 姿が戻った朱璃はかなり力を消耗したらしく、肩で息をしている。しかしとてもすがすがしそうな表情になっていた。
「すごいな……。ようし、自分も頑張るよ」
 朱璃の凄まじい攻撃を目にして、クロードの手にも力が入る。丸太で効率よく敵を倒すにはどうしたらいいか考えていたが、密集した敵を見ていてある結論に至った。
「これでもくらえ……!」
 クロードは丸太を両手で持ち、砲丸投げの要領で回転運動を利用しつつスノーウォックたちに近付いていく。太く重い丸太は遠心力でその威力は大きくなる上、回転しているので全方位対応可能だ。密集していたスノーウォックたちは次々にその丸太に吹き飛ばされていく。辛うじて一撃を耐えたとしても一周した丸太にもう一度殴られる。その場にいた四体はその超単純な打撃攻撃で体力を削られ、最終的に霧と化して消滅した。
「おー。丸太がこんな強いなんて……あなどれないね。目が回るけど」
 クロードは目の前の敵を倒しきると丸太を地面に置いてよりかかる。しばらくは気持ち悪くて動けなさそうだ。
「僕も負けてられないや。こいつで一気に勝負を決めてやる! くらえ匂い袋!」
 二人の頑張りを見たフェルも燃え上がって、懐に入れてあった匂い袋を勢いよくスノーウォックたちに投げつけた。ジャバウォックと同様、スノーウォックも獣系のモンスターなので強い匂いには弱い。匂い袋が近くに投げられると低い声でくしゃみをしたり、氷のような毛を逆立てたりして身動きが取れなくなってしまった。
「これで終わりだ!」
「よっしゃあ! 僕も活躍するよー!」
 バルドとフェルはお互い得物を握りしめ、身動きの取れないスノーウォックたちに振り下ろした。こうなってしまえば赤子の手を捻るようなものである。残り七体、流れるように攻撃を加え、見事その場にいる全てを倒すことに成功した。
「へへへ、楽勝楽勝」
「まあこんなもんか」
 最後の一匹を倒したからか、フェルはとても満足気である。バルドも自慢げに二つの剣をぶんぶん振り回している。
「敵もいなくなったことだし、そろそろ戻るか。他の連中はもう帰ってるかもしれないしな」
「そうですわね。本日はこのくらいで切り上げるとしましょう」
 バルドの意見に満場一致で賛成する。道の脇を雪解け水がチョロチョロと流れる中、一行は元来た道へ帰っていくのだった。

「あら、やっと帰ってきたみたいよ」
 さっき別れた十字路には、既にリベールとフィリーネのグループが戻ってきていた。だいぶ前に戻ってきていたらしく、既にかなり話し込んでいる。
「どうだったっすか、そっちは。こっちはもう大量っすよ!」
「んだと? 俺たちの方がもっと大量に狩ったに決まってんだろー!」
 キョウが自慢げに話しかけてくると、バルドはそう言いながら背中をパーで思いっきりはたく。そこにフェルも加わって自慢合戦は大いに盛り上がった。
「俺も今回はよくやったと思うぞー」
 お互いの成果を話し合っている最中に、唐突に上の方から声が聞こえてきて全員が目線を上に移す。
「先生!」
 屋根の上には腰に手を当ててドーナツをかじるランドルフの姿があった。ランドルフは残りのドーナツを口に放り込み屋根から飛び降りると、学生らに歩み寄ってくる。
「戦い方ってのはやっぱ、いくら教科書で学んでたって意味がねえんだ。実際に戦って、自分の頭で考えて、自分なりの戦い方を確立していくんだ。そもそも一人一人適した戦い方なんて違うんだからな。お前らは今日の戦いでなんとなく感覚を掴んだんじゃねえか? 打撃、剣術、魔法、回避、どんな高度な技も結局は自分で考えてやってみるっきゃねえ。それだけ分かりゃあ今日は充分だ」
 良さげな感じのことを言っているにも関わらず、そこであくびをしてしまう辺りがランドルフらしい。
「ってなわけで、今日は解散な。俺は疲れたし早めに寝るわ。んじゃ」
 ランドルフは一方的に解散を告げると、くるりと踵を返して歩き出した。学生らは互いに顔を見合わせると、揃って思わず吹き出してしまう。彼らがランドルフを追いかける道には、もう雪はひとかけらも残っていなかった。
 季節は春である。



課題評価
課題経験:44
課題報酬:1200
スノーウォックを狩り尽くせ
執筆: GM


《スノーウォックを狩り尽くせ》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《新入生》 バルド・ダールベルク (No 1) 2019-03-07 07:48:11
黒幕・暗躍コースのバルド・ダールベルクでっす。
よろしくお願いします!

実践経験を積むの頑張るぞ~!

《新入生》 クロード・クイントス (No 2) 2019-03-07 11:26:01
賢者・導師専攻のクロードです、よろしく。

炎系の魔法は使えますが今回は殴り魔の方向で。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 3) 2019-03-07 19:11:49
武神・無双コースの朱璃・拝です。どうぞよろしくお願いしますね。

私は殴って蹴って、ですわね。

《新入生》 フェル・バルカローレ (No 4) 2019-03-07 19:24:10
グラウンドにいたら入学早々巻き込まれました!
教祖・聖職専攻のフェル・バルカローレです!よろしくね。

僕も殴りメインかな。冷気をさけて後ろからこっそりと。危ない時は先生にヘルプーってするよー。

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 5) 2019-03-07 19:49:49
芸術・芸能コースのシキア・エラルドです、よろしくね

俺は魔法で攻撃しながら、鼓舞激励でみんなを応援ってところかなぁ
街中だし、あんまり派手にやりすぎないようにしないとね

《新入生》 キョウ・シュバルツ (No 6) 2019-03-07 23:21:11
種族はヒューマンで専攻は勇者・英雄のキョウっす。

初めての戦闘なので、どうすればいいのかわからないっスけど
勇者之斬で向かっていくっす。
ポケットには簡易救急箱を装備していきます。