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あなたと私のクリスマス


ストーリー Story

●【セム・ボルジア】という人について
 学園のどこか。生徒の目につきにくい場所。
 とんがり帽子にミニスカ姿の少女と、スーツにコートを羽織った女――学園長【メメ・メメル】とセム――フルネームはセム・ボルジア――が相対している。
「――ほう、生徒さんが私のことを疑っていらっしゃると? 心外ですねそれは」
 と口にするものの、セムはさして不快そうにしていなかった。むしろ楽しんでいるようでさえある。表情においても言葉においても。
「そーうなのだよセムたん。まあ、オレサマもまだ多少は疑っているがなー。なにしろ評判が評判だしな」
 メメもメメでまた、不謹慎なほど愉快そうだ。もっとも彼女はいつ誰に対してもそんな感じだ。
「例えばどういう評判ですかね?」
「策を弄して商売敵を倒産寸前に追い込むとか、困窮してる相手の足元見て、ビタ銭で根こそぎ剥ぎ取っていくとか、有力者に賄賂掴ませて有利に商談を進めるとか、あんまりやり口がきついから、一部で『毒マムシ』と言われているとか」
 かわいらしく小首を傾げる相手に、セムは、笑いながら応じる。
「よくお調べになってらっしゃる」
 それにおっかぶせる形でメメの口調が、一段とざっくばらんなものになった。
「まあな。なにしろうちの若いモンを妙な仕事に使われたら困るからな」
「なるほどなるほど。で、その評判についてのご感想は?」
「そーだなー、ま、オレサマ的にはその程度のことならそこまで問題視しねーかな。どれもこれも商売人あるあるだからな。つーか、実の話問題にしようがないんだわ。どの例を取ってもセムたん、法の範囲内でやってるから。すげえ黒いんけど黒じゃなくてグレーみたいな?」
「ええ。私、法は順守する立場ですから。後々損になるようなことはしたくありませんのでね」
「おー、それを聞いて安心したぞオレサマ。けど、もひとつ、なんか気になる噂を聞いたんだわ。そこんとこ確認取らせてもらっていいか?」
「ええ、どうぞ。どういう噂ですか?」
「うむ、『セムは全財産を我がものとするために、親兄弟を毒殺した』とゆー物騒な噂だ」
 セムは、今度は笑わなかった。だるそうな顔付きで一言、こう返しただけだ。
「それは事実と異なりますね」
 それから服の胸元をまさぐり、タバコを一本取り出す。
「吸っても構いませんか?」
「いいぞ。ここは禁煙スペースじゃねーしな」
「そうですか。では遠慮なく」
 タバコに火がついた。
 セムは吐き出した煙に目を据える。自分の外側でなく内側に向いている眼差しだ。
「親兄弟が全員死んだところと、それによって私が全財産を継いだところだけは本当ですけどね。しかし生徒さんたちを不安がらせるのは、私の本意ではありません。この際ですから学園長、あなたに許可を願いたいのですが――」

●学園に最も近い場所にある、『ホテル・ボルジア』系列ホテル。
 イルミネーションに輝く正面玄関をくぐれば、真っ赤な絨毯が敷かれたロビー。そびえたつツリー。
 氷の瀑布と見まごうシャンデリア。着飾った男女が笑いさざめきながらその下を通り、それぞれお目当てのパーティー会場に向かう。
 その一角に、フトゥールム・スクエアの制服を着た一団がたむろしていた。彼らはホテル経営者であるセムの招待を受け、ここに来ている。クリスマスパーティーを楽しむために。

 タキシードに身を固めた【アマル・カネグラ】は、ロビーの天井近くまで届きそうなツリーを見上げている【ガブ】【ガル】【ガオ】の狼ズに声をかける。
「駄目だよ、そんなところでぼーっとしてちゃあ。歩く人の邪魔になってるよ」
 狼ズは『お、おう』と生返事を返し、隅っこに寄った。普段の彼らであれば注意してきたアマルへ悪たれの一つも言ったはずなのだが、絢爛な場の空気に呑まれてしまい、それどころではなかったようだ。
 生徒監督として同行している【ドリャエモン】は、困惑したような顔である。光の塔と化したツリーを見上げ、ため息をつく。
「なんともはや、派手なことだのう……」
 そこに【ラインフラウ】が声をかけてきた。
「あらー、いらっしゃい皆さん。お待ちしていましたのよ♪」
 アマルは即座に鼻の下を延ばした。なにしろ彼女、肌も露なカクテルドレスに身を包んでいる。アクセサリーやメイクと相まって、いつもの数倍色っぽく見える。抜かりなく花束を差し出し、豚しっぽを振ってお辞儀。
「これはラインフラウさん、この度はクリスマスパーティーにご招待ありがとうございます。ところでセムさんは?」
「ああ、セムなら仕事が終わってから来るって。こっちよ」
 招かれるまま生徒達は、彼女について言った。そして、会場に足を踏み入れる。
 パーティーの用意は、すっかり出来あがっていた。
 ビュッフェにはホテルの一流シェフが作った本格的な料理が並ぶ。肉もあれば魚もあり、野菜もあれば果物もある。
 対象が学生だからか、酒類はほとんど置いていないが、飲み物もたくさんある。そして目にも美しく食べておいしい宝石のようなスイーツ群……。
 ホールの一角には楽隊の席がしつらえてあって、絶え間無く楽しげなメロディーを奏でている。
 この豪勢なおもてなしに、生徒達は歓声をあげた。
 ラインフラウはワインをグラスに注ぎ、高く持ち上げる。
「まあ、肩肘張らず皆、気楽に楽しんで。そのうちアルチェの有名歌手も来るから」

●保護施設。
 【トマシーナ・マン】は大部屋の中央に飾った小さなツリーの飾り付けを終え、満足そうだ。小ぶりなぬいぐるみ、人形、靴下、色とりどりの真鍮玉、棒キャンディー、金銀モール、綿、それからねえたんたちと一緒に作ったジンジャークッキー。
「さいこうのできばえね、みらたん」
 【ミラちゃん】は頷くような動きをし、ツリーの天辺に乗った。どうやら、星の役目をするつもりらしい。
 施設の庭先では【ラビーリャ・シェムエリヤ】が、結界の柱に針金を巻きつけ、小さな発光石を取り付けていた。
 ここはあくまで保護施設であるから、あまり目立つような物は作るべきではないだろうが、まあ、季節が季節だしちょっとくらいはイルミネーションを……と考えて。
 雪の結晶を模した白と青の光が庭のあちこちを彩り照らしていく。
「ラビーリャ先生、ご苦労様です」
 【トーマス・マン】が暖かいココアを持ってきた。
 ラビーリャはにっこりし、そのココアを受け取る。
「……ありがと」
 一口すすって晴れた夜空を見る。ホテルのパーティーに行った生徒達は、今頃何をしているのだろうと思いながら。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-01-05

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2021-01-15

登場人物 6/8 Characters
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。
《人間万事塞翁が馬》ラピャタミャク・タラタタララタ
 カルマ Lv22 / 魔王・覇王 Rank 1
不気味で人外的な容姿をしたカルマの少女。 愛称は「ラピャ子」や「ラピ子」など。 名前が読み難かったらお好きな愛称でどうぞ。 性格は、明るく無邪気でお茶目。 楽しいと面白いと美味しいが大好き。 感情豊かで隠さない。隠せない。ポーカーフェース出来ない。 そしてちょっと短気なところが玉に瑕。 ギャンブルに手を出すと確実に負けるタイプ。 羞恥心を感じない性質で、露出度の高い衣装にも全然動じない。 むしろ前衛的なファッション格好いいと思ってる節がある。 戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法。 昔は力に任せて単純に暴れるだけだったが、 最近は学園で習う体術を取り入れるようになったらしい。 しかしながら、ゴリ押しスタイルは相変わらず。 食巡りを趣味としているグルメ。 世界の半分よりも、世界中の美味しいモノの方が欲しい。 大体のものを美味しいと感じる味覚を持っており、 見た目にも全く拘りがなくゲテモノだろうと 毒など食べ物でないもの以外ならば何でも食べる悪食。 なお、美味しいものはより美味しく感じる。Not味音痴。 しかし、酒だけは飲もうとしない。アルコールはダメらしい。 最近、食材や料理に関する事を学び始めた模様。 入学までの旅で得た知識や経験を形に変えて、 段々と身に付いてきた…と思う。たぶん、きっと、おそらく。
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。

解説 Explan

今年最後のエピソードは、やや出遅れた感はありますが、クリスマスエピソード。
参加者の皆様はホテルに行くか保護施設に行くかして、それぞれのクリスマスパーティーを楽しんでください。
場所が離れていますので、両方に同時参加することは出来ません。
どうしても両方に関わりたい場合は、『ホテルパーティーの途中抜け出して施設に行く』という形を取ってください。

生徒のホテルパーティー参加(アマルと狼ズの他、多数の無名モブNPC(学生)も来ています)については、学園長が許可を出しています。行ったのがばれたら後で怒られるというものではありませんので、ご安心ください。
学園生徒ということであれば、このパーティーには誰でも参加可能です。
パーティーには余興のため、オペラ歌手なども呼ばれています。自分も歌や踊りを披露したい、という方は遠慮なくどうぞ。楽隊が伴奏してくれます。

学園長は現在のところセムについて『うさん臭いところはあるが、生徒に接触を避けさせなければならないほどの危険人物ではない』という評価を下しています。

※これまでのエピソードやNPCの詳細について気になる方は、GMページをご確認くださいませ。
そういうものが特に気にならない方は、確認の必要はありません。そのままプランをかけてきても、エピソードの内容に反しない限りは、有利にも不利にもなりません。



作者コメント Comment
Kです。
皆さんどんな年の瀬をお過ごしでしょうか。
今年度の締めくくりは穏やかにいきたいなと思い、この話になりました。
本年し残したことのお片付け&新年への布石作りとして当エピソードをご活用くださいませ。




個人成績表 Report
朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:82 = 55全体 + 27個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
私は保護施設の方に参加しますわね。先ずは先日作って寝かしてあるクリスマスプディングを出して来て再度蒸し、ブランデーをふってフランベ、天辺に柊の枝を飾ります。完成した物に、ホイップクリームとカスタードクリームを添えて皆の前に。本当はラム酒入りバター等も出すのですが子供もおりますので。プディング自体もアルコール分は少なめに作ってありますわ

パーティでは余興として剣舞をお見せしますわ。勿論剣は危険性を考えおもちゃの剣で

それから最後にトーマス様とトマシーナ様、ミラ様にクリスマスプレゼントを。トマシーナ様にはぬいぐるみ、トーマス様にはデッサンセット、それからミラ様には幾つかの単語を書いたカードを渡しますわ

ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆行き先
保護施設のクリスマス

◆用意
可能であれば、チキンのローストとか用意したいですが、予算的に難しいだったり骨があってトマシーナさんが食べにくいようなら、チキンのほぐし身とほうれん草、トマトソースのミートパイでも作って、少しでも見映えよく

それにサーモンのクリームシチューなんかをあわせて、温まる食事にしたいですね

カサンドラさんには、ホットミルクに花梨とジンジャーの蜂蜜漬けの蜂蜜を垂らしたものを用意
トーマスさんとトマシーナさんには、玉子の黄身も入れてミルクセーキにして出しましょうか
風邪引いたりしたら大変ですから

◆パーティ
今日はみんなでパーティ
気分を切り替えて、また明日からは……忙しくなりそうですよ

ラピャタミャク・タラタタララタ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
ホテルパーティーを楽しむ

■行動
浴衣「花魁」を着てホテルパーティーに参加。
様々な料理を少量ずつ取って、優雅っぽく食して堪能するのじゃ。
折角のグルメ、堪能しないと損というもの。後悔せぬよういっぱい食すのじゃ。
うむ、美味い♪食材も技術も一級品じゃからこその味がするのじゃ~♪

ついでに狼ズとも絡むとしよう。
お~い、パーティ楽しんでおるかのぉ~?
そんな緊張せずともよい。食い散らかしたり叫んだり暴れたりしなければ問題ない。
動き方に困ったら、ちと端の方で飯を食べながらステージとか眺めたり雑談しておればよい。
あちきもそうするつもりじゃぞ。
ほれほれ、汝らも絶品グルメを味わっていくのじゃ~♪

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ボルジアさんに礼儀正しくご挨拶、そして自己紹介させていただきます。

そして、「適切な協力関係」をおねがいします。

わたくしたちにとって、ひとびとからの信頼はたいせつな資産。
信頼をそこなうことはそのあとの「協力」で、できることをもへらしてしまいます。
そして、違法じゃなくても、信頼をうしなってしまうことはある。

ですから、信頼をそこなわない範囲で、でいろいろ協力したいです。

ボルジアさんはとってもすごい商人さんだそうですよね。

課題でいろいろおねがいしたいこともあるとおもいますし、わたくしができることもあるかなっておもいますから。

もちろんわたくしは生徒の立場ですから、先生方のご指導をいただきながら、ですね。

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
保護施設のクリスマスパーティーに参加。料理を作る。


お品書き


ローストチキン

オリーブオイル、蜂蜜、オレガノ、ローズマリー、バジル、おろしにんにく、おろししょうがでソースを作る。塩コショウを軽く振った丸鶏に、ソースをよく揉み込み、パリパリに仕上げるため、軽く小麦粉をまぶす。天板にキャベツを敷き、丸鶏を乗せる。周りにじゃがいもを盛り、一緒にオーブンで焼く。


クリームシチュー

小麦粉をオリーブオイル、バターで炒め、ルゥを作る。ルゥを生クリームとブイヨンで溶かす。下茹でしておいた、ブロッコリーと、星形に切った人参、ソテーしておいた鮭のムニエルを加え、とろみがでるまで煮る。

パンとチーズ

適当な大きさに切り分け盛る

パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆行き先
セム女史主催のパーティに参加

◆用意
目立たないように制服着用
目立って予想外のに捕まっても厄介だし

◆行動
アマルさんや狼ズが失礼なことしないように監視したり、セム女史とお話して、彼女の好みや今後の事業の方針等をそれとなく聞き出して

もしかしたら、今後の彼女の狙いなんかが見えてくるかも

まずは、セム女史が来るまでアマルさん達を監視
テーブルマナーがなってない狼ズに、フォークの持ち方から指導したり

あんまりできないと……憑依するわよ?

セム女史が来られたら、人垣が切れた頃にご挨拶
サーブル城の観光事業について、宿泊・商業施設等の周辺の開発計画や、城内の芸術品の扱い等を尋ね、更に先の事業のビジョンがあれば探る

リザルト Result

●ミラちゃん家。クリスマス当日の昼
 玄関先に置かれた犬小屋に【トーマス・マン】が、リースを飾り付けている。彼のすることを不思議そうに眺めている犬に話しかけながら。
「今日はクリスマスだから、お前の小屋も飾ってやらなきゃな」
 同時刻調理場では、ごちそうの準備たけなわ。
 【トマシーナ・マン】は踏み台に乗って、クリームシチューをかき回している。【ベイキ・ミューズフェス】がそれを傍らで見守っている。
 乳白色のクリームに浮いているのは、サーモン、ブロッコリー、星型に切った人参。シチューの匂いとオーブンで焼かれているトマトソースパイの匂いがごっちゃになって、あたりを席巻している。
「もういいかしら? できたかしら?」
「そうですねえ……そろそろいいと思いますけど」
 ベイキは木匙でシチューを小皿に取り分け、味見した。
「――うん、完璧です」
 太鼓判を押した後、トマシーナにも味見をさせる。
「どうです?」
 トマシーナは両手を上げ、大きな丸を作ってみせる。
「うん、これならいいとおもう! すごくおいしい!」
 ひとまずシチューは完成したようだ。
 そこで【アルフィオーネ・ブランエトワル】が、トマシーナを呼んだ。
「トマシーナ、ローストチキンを作るの手伝ってちょうだい」
「はーい」
 トマシーナは踏み台を持って移動する。同じく踏み台を利用しているアルフィオーネの隣まで。
 そこにあるのは、塩コショウの下ごしらえを済ませた丸鶏だ。
「さ、これをお肉にしっかり染み込ませるわよー」
 アルフィオーネは腕まくりして、お手製のソース――内訳はオリーブオイル、蜂蜜、オレガノ、ローズマリー、バジル、おろしにんにく、おろししょうが――をがんがん鶏にかけ揉みまくる。
 トマシーナも真似をして鶏を揉む。顔を真っ赤にしながら分厚い鳥皮と脂肪と筋肉に挑む。腕力はさておき意気込みだけは、アルフィオーネに負けていない。
「ほら、頑張ってトマシーナ。ここでの仕上がりが味を決めるのよ」
「うん!」
 カタカタ鍋蓋の踊る音がしてきた。目をやれば、蒸し器から蒸気が上がっている。
「さあ、おいしく蒸し上がってくださいましね」
 【朱璃・拝】が存分寝かせたプディング生地を湯気の中へ投入した。
 布巾をかぶせ、蓋を閉め、それから『あ』と小さく声を上げる。
「私としたことが、プディングを飾る柊を取ってくるのを忘れていましたわ」
 小走りに調理場を出た彼女は、大部屋の前を通り過ぎる際、まだ飾られていないツリーを目にする。
 木のてっぺんに【ミラ様】が陣取り、ちかちか光っている――どうやら彼も、パーティーを楽しみにしているらしい。
 朱璃はほっこり顔を緩ませ、声をかけた。
「あら、ミラ様。素敵ですわね♪」
 ミラ様は光の粉を散らした。とても楽しそうに。

●パーティー・ピープル
 夜。『ホテル・ボルジア』系列ホテルのパーティ会場。
 晴れの席において【パーシア・セントレジャー】は、普段のドレッシーな衣装を封印し、制服を着用している。
 理由は『目立たないため』だ。自分がここに来た目的は【セム・ボルジア】との対談。それ以外の相手に捕まって貴重な時間を取られるのは、極力避けたいとの考えである。
 とはいえ当のセムはまだ会場に姿を現さない。
「……ま、ゆっくり待ちましょうか。パーティーを楽しみながら」
 一人ごちながらパーシアは、ソースがけされた牡鹿の肋肉を口に運ぶ。だがじっくり美味を堪能することは出来なかった。
 それとなく注意を向けていた【アマル・カネグラ】、【ガブ】【ガル】【ガオ】のうち後者3名が、フォークでファオワグラをぶすぶす刺し取っているのを目にしたのだ。
 【ドリャエモン】も彼らの粗相に気づいたが、彼女のほうが先に早足で近づき、きつく注意する。それぞれの手をピシッと叩いて。
「フォークをそんな風に使わない! ほら、テーブルに肘をつかない!」
 そこへ【ラピャタミャク・タラタタララタ】が陽気に乱入してきた。浴衣『花魁』を着こんだ彼女は、パーシアとは正反対に、とにかく目立っている。
「お~い、パーティ楽しんでおるかのぉ~?」
 気心知れる相手が来たという安心感で狼ズは、口々に愚痴った。
「いや、あんまし」
「メシはうめえんだけどなあ」
「なんか堅苦しくてよう」
「そんな緊張せずともよい。正式なコース料理ならともかく、ビュッフェ形式じゃ。食い散らかしたり叫んだり暴れたりしなければ問題ないじゃろ」
 ラピャタミャクはかなり鷹揚な考えだ(と言っても彼女自身は、ちゃんとテーブルマナーを心得た振る舞いをしている)。
 パーシアはそれに異を唱えた。
「身内が開催するパーティーに参加しているのならそれでもいいけど、これは違う。外部者も参加する公的なパーティーよ。私達はあくまでもゲスト。最低限のマナーくらい守れないと、対等に話す相手ではないと見なされることになりかねないわ……」
「まあ、よく分かってらっしゃる」
 華やいだ声が割り込んできた。
 振り向けばいつのまにか、【ラインフラウ】が間近にいた。潤んだような目を細め、含み笑いを漏らしている。
「あなた、生前、それ相応の身分だったでしょう? 立ち居振舞いも堂に入っているし……例えば王族とか、そういう感じかしら?」
 かなりの精度で突っ込んだことを言われて、パーシアは内心焦った。そのため、つい昔の地が出た言葉遣いになってしまう。
「いえ、私はそこまでの者ではございませんのよ。せいぜい貴族の端くれ程度で……」
「あら、やっぱり。育ちは隠せないものね」
 それらのやり取りを眺めていた【レーネ・ブリーズ】は、長い耳をピクリと動かした。
 会場の一角から、楽しげなざわめきとは違う話し声が聞こえてきたのだ。
「これはこれは社長。お久しぶりです」
「この度はわざわざご招待いただきまして、光栄ですわ」
 声の方向に顔を向ければ、着飾った紳士淑女が、ダークブルーのスーツを着た女に挨拶している。
(あの人が、セム・ボルジアですね)
 レーネは風が擦り抜けるようにふわりと人の間をくぐり、セムの側まで近づいた。
「はじめましてボルジアさん。わたくしはフトゥールム・スクエアの一生徒、レーネ・ブリーズと申します。この度は学友ともどもパーティーにご招待いただき、ありがとうございます」
 セムはそれに対し会釈を返し、手を差し出す。
「こちらこそ初めまして、レーネさん。ご丁寧にどうもありがとうございます。お見知りいただけましてうれしく思います」
 セムの芳しくない噂については、レーネも幾らか知っている。
 しかしだからといって、相手をことさらに警戒することはしなかった。出された手を取って握手する。
 セムがなしたことは『違法』ではない。なら、自分が否定出来ることではない。課題、正当防衛、現行犯。いずれの案件にも当たらぬものに生徒が勝手な判断で介入する方がよっぽど大問題だ――という考えのもとに。
 
●せいいっぱい、めいいっぱいのおもてなし
 アルフィオーネは踏み台に腰掛け、オーブンとにらめっこ。ローストチキンに焼け付く息吹を吹きかけている。
 ぱりぱり皮が焦げる音、脂がはぜる音、腹の虫をうずうずさせるような匂い。
 トマシーナがそわそわと近寄ってきて、尋ねる。
「やけた?」
 アルフィオーネはエプロンで手を拭いて、腰掛けから立ち上がった。低い位置からトマシーナの頭を撫でてやった。
「まだよ。後もう少しかかるわ。プディングは出来たの?」
「うん! もうきれいにかざったの、こっちきて、みてみて!」
 幼子に手を引かれるまま大部屋に行ってみれば、真っ白なクロスをかけたテーブルの上、ホイップクリームとカスタードクリームを添えたプディングがでんと座っていた。
 朱璃がそれに実をつけた柊の枝を刺している。【ラビーリャ・シェムエリヤ】と話しながら。
「イルミネーション設置ご苦労様です。先生もよろしければ是非、お食事をしていって下さいませ」
「……そう? じゃあ、そうしようかな。特にこれから予定もないし」
 カサンドラは【トーマス・マン】と大部屋の入り口に、ウェルカムボードを設置している。ボードには施設建設に携わった関係者が、童画風にかわいらしく描かれていた。
 自分とドリャエモンが空を飛ぶ姿で描かれていることに、アルフィオーネは微笑を零す。
 トーマスが妹の姿を見止め、声をかけた。
「トマシーナ、もう席に座ってないと。パーティーが始まるぞ」
 トマシーナは『だめよう』と首を振る。
「まだろーすとちきんができてないの」
 その小さな体を、これまた小柄なアルフィオーネがひょいと持ち上げ、椅子に座らせる。
「座ってなさい、トマシーナ」
 ついでトーマスに向け、片目をつむる。
「わたしはまだやることがあるから、先に始めててもらえる?」
 それから、調理場に戻る。クリームシチューを深皿に注いでいるベイキへ、大部屋に行くよう勧める。
「ここは私に任せて。ベイキも先に席へ着いてちょうだい」
「あら……いいんですか?」
「もちろん。朱璃と一緒に、トマシーナたちの面倒を見てやって欲しいの。今日はドリャエモン先生がいないから、寂しく感じてると思うのよ、あの子たち」
 そういえば今日はホテルのパーティーがあるんだった、と改めてベイキは思い出した。ドリャエモンは狼ズが粗相をしないか気掛かりなので、監督としてついて行ってみるということだったが……。
「今頃皆、何をしているんでしょうねえ」
「さあねえ。一流ホテルを会場に使っているとのことだから、間違いなく豪勢なおもてなしは受けているんでしょうけど……」
 アルフィオーネはセムが今回行っている歓待パーティーについて、『何か後ろめたいものがあるのでは。学園を金儲けに利用するつもりなのでは』という疑いを拭いきれていない。
 かてて加えて『資金力にものを言わせたパーティー』というあたりも気に入らない。特にその必要はないのだが、負けてなるものか、とひそかに対抗心を燃やしている。
(お金はかけられないけど、絶対向こうより素敵なクリスマスにして見せるわ……)

●歓楽の合間に
「『適切な協力関係』を望みたい、と?」
「はい。わたくしたちにとって、ひとびとからの信頼はたいせつな資産。信頼をそこなうことはそのあとの『協力』で、できることをもへらしてしまいます」
 レーネは言葉を切り、柔らかくセムを見つめた。自分が伝えようとしていることを理解してもらえるように、と念じながら。
「この先、あなたが学園におねがいしたいこと、わたくしたちがあなたにおねがいしたいこと、いろいろ出てくると思います。その場合は、お互い正確な情報のやり取りをしていければ、とおもうのです。たとえ違法でなくても、ひとびとの信頼をそこなうような行動を学園生徒がとることは、適切でないと思いますから」
 レーネの話を聞き終えたセムは、相槌でも打つような調子で数度頷き、笑顔を浮かべた。朗らかに言った。
「ご心配なく。私に協力したからと言って、あなたがたに悪評が及ぶことはありませんよ。私があなたがたに頼むのは『魔物の排除に関する助力』だけですからね。魔物に対しての攻撃を非難されることなんて、まずない。学園の資産である世間一般、圧倒的多数からの信頼は一切損なわれません。どころか、むしろ増しますよ」
 レーネはその言葉になんと応じたものか、迷った。
 直後会場から割れるような拍手が起きる――ステージに絢爛な衣装を着た女性歌手が出てきたのだ。
 彼女は歌い上げる。クリスマスに捧げる聖歌を。

 東方に伝わる絶品料理『スシ』で両頬を膨らませたラピャタミャクは、狼ズに尋ねる。
「のう汝ら、この際ついでじゃから、一年振り返っての感想を聞かせてくれんか」
「かんそー?」
「うむ。汝ら、今年は相当数いろんなことがあったじゃろ? 筆頭が春のカツアゲ返り討ちパシらされ事件じゃが……」
 まだそう古くもない黒歴史をえぐられた狼ズは、しこたま渋い顔をした。ラピャタミャクは意に介しなかったが。
「そういやあれ以降、カツアゲは止めたそうじゃの? ドリャ先生から聞いたところによると」
「おー。そんなつまんねえ遊びしてる暇ねえな」
「あんなのガキがやることだ」
「小遣い銭なら課題で稼げるし」
 当初のことを思えば手のひら返したような言い草だが、態度が改まったのは素直によいことである。とラピャタミャクは思う。
「そーか。たかが8ヵ月、されど8ヵ月。少しは強くなったと思える程度の成長はあったかの?」
「たりめーだ。俺たちゃ伸びしろの塊だぞ。強くなってるに決まってるじゃねーか」
「今後はどんどん上の連中を追い抜いてやる」
「そしてゆくゆくは魔王だ。まあ見てろ、俺たちゃ絶対やりとげてみせるぜ」
 ラピャタミャクは鼻息荒い少年たちの発言に微笑ましさを感じた。彼らよりもうんとうんと長く、魔王道の研鑽に努めている先輩として。
「ほう、そうか。大いに期待しておこうぞ。それはさておき――ほれ、汝らも絶品グルメをもっと味わうがよい」
 と言いながら、トロ、イクラ、ウニを差し出す。
 すると狼ズは、嫌そうに唇をすぼめた。
「……いや、俺ら生の魚介はちょっと」
「磯臭いし」
「腹壊しそうだし」
「なんじゃ情けない。食わず嫌いは強くなれんぞー」
 ステージでは二曲目が始まった。
 今度はクリスマスとは関係ない流行歌。軽やかな甘い愛の歌。楽隊が扇情的な調べを、それに合わせて奏で始める。

「――あら、あなたセムに用事があるの? なら早く言ってれなきゃ」
 一通り詮索して満足したらしい。ラインフラウはパーシアを、セムのところへ案内した。
「セムー。この人あなたに話があるそうよ。さる貴族のご令嬢。パーシア・セントレジャーさん」
 紹介を得てパーシアは、レーネを傍らにしたセムに挨拶し、こう切り出した。
「サーブル城の観光事業についての件についてお聞きしたいのですが……ノア一族の美術品はどうされるおつもりですか?」
「観光客に向けて公開展示します」
「城周辺の開発計画などはお持ちですか?」
「ええ、それはもちろん。客を呼ぶなら、宿泊施設は当然必要となりますから。そのためにはまず、周辺のインフラから整えなければなりませんね」
「すると、かなり大規模なことになりそうですね。あの一帯はすっかり様変わりしてしまうのではありませんか?」
 パーシアの指摘をセムは、あっさり肯定した。
「ええ、そうです。魔物がいなくなることは必須ですが、それだけで観光事業計画をスムーズに進められるということはないでしょうね。現状が変わることを望まない方もおられるでしょうから」
 ラインフラウが流し目をセムに送り、口を挟む。
「でも、あなたは別に苦じゃないのよね。そういうのを一つ一つ潰していく、しち面倒くさい作業が」

●やさしい夜に
「たっくさんあるから、遠慮せずに一杯食べてね。お腹が破れても、わたしが治してあげるから」
 かくいうアルフィオーネの言葉に励まされ過ぎたようだ。トマシーナは少しばかりプディングを多めに食べてしまっている。顔が赤い。
 いくら少なめだとは言ってもアルコールが使われている食品。小さな子供が大量に摂取するのは、あまりよくない。
 そのように朱璃が心配していたところ、いいタイミングでベイキが作りたてのホットミルクとミルクセーキを持ってきた。前者はカサンドラのためのもの、後者はトーマスとトマシーナのためのもの。どちらも以前作った花梨とジンジャーの蜂蜜漬けを利用したものである。
「さあ、カサンドラさん、どうぞ。トーマスさんとトマシーナさんも。体があったまりますよ」
 トマシーナは早速そちらに興味を示した。カップを手にし、あわてて離す。
「あちゅい」
 ベイキは彼女の手を包み込み、さすってやる。母親のように。
「気をつけて。沸かし立てですからね。取っ手を持って、ふうふうしましょうね」
 実際彼女はそのときまさに、子供のことを――とりわけ最近学園で再会した末娘のことを考えていた。
(子ども達とのクリスマスって、こんな感じなんでしょうか……こういうの、はじめてなので。なんだか……平凡だけど、平穏で、あったかいんですね)
 朱璃はあらかじめ用意していたおもちゃの刀剣を手に、さっと席を立つ。
「それではメインディッシュが来るまでのひと時、余興をお見せいたしますわ。皆様ご覧あれ」
 披露された剣舞は、見事の一言。彼女の卓越した身ごなしにかかれば、銀紙の刀身も鋼と見まごう。
 回転させ背中ごしに跳ね上げ、片手で受け止め、見栄を切ってフィニッシュ。
「お粗末様でした」
 一礼する彼女にトマシーナは、手を激しく打ち合わせた。
「しゅりねえたん、すごうい」
 トーマスもカサンドラもベイキもラビーリャも、拍手を送る。
 ミラ様も賞賛の意を込め、光る。
「お褒めにあずかり光栄ですわ」
 奥ゆかしくはにかんだ朱璃はツリーの後ろに回り、密かに用意していたトーマス、トマシーナ、ミラ様への贈り物を取り出した。
「私から、クリスマスプレゼントですわ。絵も頑張ってくださいまし」
 木炭デッサンセットを受け取ったトーマスは、うれしさと戸惑いがごっちゃになった顔をした。
「い、いいの?」
「もちろんですわ。勉強も絵も、頑張って下さいね。トマシーナ様には、はいこれ。可愛がって下さいね」
 もこもこのぬいぐるみを受け取ったトマシーナは歓声を上げる。
「わあ、かわいい! ありがとー!」
 続けてミラ様には、単語帳をプレゼント。
「ミラ様には、これをどうぞ」
 何か貰ったのは分かるが、何を貰ったのかよく分からないミラ様は、首(ないけど)を傾げる。
 朱璃はカードを一枚ずつ開き、使い方を説明してやった。
「ここに書いてあるのは、気持ちを伝える言葉ですの。『うれしい』『かなしい』『たのしい』……他にもたくさん。これを使えばミラ様の意志を皆様に伝えやすくなりますかしら」
 満を持し、アルフィオーネが入ってきた。
「皆、お待たせ!」
 野菜や果物に取り巻かれ、金紙銀紙で作った星を冠したローストチキンは、まるで王様みたいだった。



課題評価
課題経験:55
課題報酬:1500
あなたと私のクリスマス
執筆:K GM


《あなたと私のクリスマス》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 1) 2020-12-30 08:29:43
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。

私は保護施設の方で参加するつもりですわ。先日皆で作ったクリスマスプディングを出さないといけませんしね。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 2) 2021-01-01 13:17:17
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
私も保護施設ですね。派手派手な場は苦手ですし。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 3) 2021-01-03 13:28:01
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。
こちらの件ではおひぶりになってしまってすみません。
またよろしくおねがいします。

セル・ボルジアさんという人と、おはなしみたいこともありますし、保護施設にちょっと手を加えてみたいこともありますので、今はどちらにするかを検討中です。
いまのところは保護施設で活躍なさる方が多いのでしょうか。

《人間万事塞翁が馬》 ラピャタミャク・タラタタララタ (No 4) 2021-01-03 20:10:30
魔王・覇王コースのラピャタミャク・タラタタララタじゃ。

あちきはホテルのパーティに行こうかと思うぞ。
ホテルの一流シェフが作った料理、これは是非とも食べてみたいのじゃ♪

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 5) 2021-01-03 21:07:12
おひさしぶり、ですね。しつれいしました。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 6) 2021-01-04 03:43:53
教祖・聖職専攻のアルフィオーネ・ブランエトワルです。どうぞ、よしなに

保護施設の家事担当として参加します。

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 7) 2021-01-04 22:35:15
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
折角のお呼ばれに、出向くのが少ないのは先方に失礼よね。

私もホテルのパーティに行ってみるわ。
アマルさんや狼ズが失礼なことしてもいけないしね。