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ミラちゃん家――探し物は何ですか


ストーリー Story


●これで全部ではない
 【カサンドラ】は幻惑の森から持ち帰った『本』の一部を読んでいた。
 微熱が続いているせいか頭が重い。それでも考える。
 どうも引っかかるのだ。持ち帰った文書に呪いの『解除方法』が、何も書かれていないことが。
 そんなことないはずなのに。絶対。
(……それを見たはず……私は……)
 確信はある。けど、思い出せない。その内容について。
 
●ニアミス
 カネグラ家専属の美術商【ルサールカ】は街角のカフェにいた。
 足元には梱包されたキャンバスがある――カサンドラから預けられた絵を持ち帰る途中なのだ。
 彼は、思い出している。この絵を受け取りに保護施設へ行った際、【アマル・カネグラ】と交わした会話について。

『――ということでさ、黒犬の呪いを解くには指輪がいるらしいんだ。ルサールカ、これまで色んな美術品見てきてるでしょ? その中にさ、そんないわくがついたもの、なかった? じゃなかったら、そういうものが出品されたとかいう噂、ちらっとでもどこかで聞いたことない?』
『そうですねえ……今のところ心当たりがありません。でも、新しく何か情報が入ってきたなら、すぐお知らせしますよ、アマル坊ちゃん』

 指輪が美術品として大いに価値があるものなら、黙って自分の懐に入れよう。
 そのように目論んでいる彼の前に、コーヒーが運ばれてきた。
 優雅な身ごなしで飲む。
 直後、顔を引き締める。
 前触れもなく相席に座ってきたのだ。自分と同じ髪と目の色をしたローレライの女が。
 女は蜜のような微笑を浮かべ、皮肉を言ってきた。
「ルサールカ、相変わらず美術品にしか興味がないみたいね。それで人生楽しい?」
 ルサールカも同じく皮肉で返す。
「ええ。僭越ながら大変楽しゅうございますよラインフラウ。あなたも相変わらず恋だの愛だのにうつつを抜かしてるんですかね。飽きませんかそろそろ」
「いいえ、飽きないわ。今、すごーく好きな人がいるのよ。これまでで一番じゃないかしらっていうくらい好きな人。でもその人、どうにもつれないのよー」
「ああそうですか。それはようございました。では私は忙しいのでこれで」
 ルサールカはそそくさ席を立った。
 だが【ラインフラウ】の次の台詞に引き止められる。
「あなたある程度聞いているんでしょ、サーブル城の案件について。私を手伝う気はない? うまくいけば、ノアが城に残している美術品、内緒で幾つかあげるわよ」
 ルサールカは迷った。しかし結局こう言った。
「辞退しますよ、ラインフラウ」
 彼女が欲しい対象を手に入れるためならどんな嘘でもつくしなんでもする人間だということを、知りすぎていたから。似たもの同士な肉親として。

●復活である
 【赤猫】に負わされた傷がようやくちゃんと癒えた【黒犬】は、本格的に活動を再開した。
 気になるのはカサンドラの動向だ。あの絵を届けてから一カ月以上たつというのに、一つも連絡がない。
 何か分かったのか何も分かっていないのか、それだけでも知らせてくるべきだろう。時間はたっぷりあったのだから。
(まさか、またしらばっくれる気じゃないだろうな)
 疑いを膨らませた黒犬は唸り声を上げた。
 手下たちはそれを聞いて身を縮める。しかし彼から離れようとはしない。しょっちゅう炎を噴いているボスの傍にいると暖かいから――機嫌が悪いときあんまり近づき過ぎると、焦がされてしまう危険性があるが。
 それはともかく黒犬は手下数匹を呼び付け、以下の命令を下した。
「おい、施設の様子を見てこい。伝令をいったんここに戻らせろ」
 部下たちは威勢よく吠え、意気揚々駆けて行った。
 それを見届けた黒犬は人間の姿に化け『あの絵はどうなった。何か思い出したならさっさと知らせろ』と催促の手紙を書いた。
 その後アジトの周辺をぐるぐる巡り、匂いを嗅ぎ回る。音を聞きまわる。赤猫が来てないかどうか確認するために。
 奴だけは絶対この件に関わらせるまいと、黒犬は強く思っていた。酔っ払いの気まぐれで面白半分に、全てが水の泡になるようなことをされかねないからと。
 ……ここだけの話、彼はシャパリュという種族がそもそも気に食わない。ノアに飼われていた時からずっと(この点赤猫も全く一緒だが)。
(やあ雨が降ったの風が吹いたの寒いだのごたくをこねては、指示された作戦を無視し得手勝手にふるまう。連携行動をしなくてはいけない時に独断撤退やすっぽかしをやらかす。そのせいで勇者どもの攻撃を全部俺たちが引き受けるはめになる――何度そういうやらかしがあったことか)
 しかも黒犬が記憶する限り、彼らはその責任を取った試しがなかった。ごろごろ喉を鳴らし主人の足元に体をこすりつけ、あれやこれや言い抜けをし、なんだかんだうやむやにしてしまうのだ。いつもいつもいつも……。
「うおおおお!」
 思い出し怒りで黒犬が吠えた。
 振動で遠い山の頂にある雪が、雪崩となって崩れ落ちた。

●催促
(どうしたもんかのお……)
 【ドリャエモン】は太い溜息をついた。
 黒犬から施設に、また手紙が送られてきたのだ。内容は『この間の絵の件について、さっさと連絡をよこせ』というもの。
(カサンドラは、第二回の会談を行うという返事を出すようじゃが)
 呪いの内容についてドリャエモンは、大体周知している。生徒達が話してくれたので。
(悩ましいのは黒犬が、呪いによって自分の力が抑制されていることを知っているのかいないのかという点じゃのお)
 この際そこをはっきりさせておきたい、と彼は考える。黒犬が信用できる相手かどうか、呪いを解いていいのかどうか、明確な判断が下せるだろうから。
(だが……もし本当に黒犬が呪いのからくりを知らなかった場合……余計な知識を与えることになりはせぬかのう)
 幸い黒犬は単純なたちらしいが、それでもかなりうまく話をもって行かなければ、こちらの意図に気づかれる可能性がある。
(そこは避けねばのう……)
 加えて気掛かりなのは当のカサンドラが、幻惑の森へ行って以来体調が思わしくないということだ。
 ノアの呪いにあてられたのかどうか、微熱がよく出ている。施設に住まう精霊【ミラ様】がそのつど治癒してくれているので、回復はしているのだが、あまり食も進まない様子。
(なんぞ体によいものを食べさせてやった方がいいかのう……故郷で食べていたようなものがよかろうか)

 今日は気分がよいのか、カサンドラは起きていた。
 【トーマス・マン】に絵の指導をしている。
 課題は模写。例のノアの絵を真似して描くのだ。
 黒犬が持ってきたものだからということで、トーマスは大いに熱を入れ、筆を走らせている。
「トーマス、全体を見て。一箇所ばかり続けて描いているとバランスが崩れるわ」
「はい」
 彼は黒犬との二回目の会談が行われるということに、安堵感を覚えていた。カサンドラはいつ黒犬に『呪い』について分かったことを教えるのだろうと、やきもきしていただけに。




エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-02-20

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2021-03-02

登場人物 6/8 Characters
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《人間万事塞翁が馬》ラピャタミャク・タラタタララタ
 カルマ Lv22 / 魔王・覇王 Rank 1
不気味で人外的な容姿をしたカルマの少女。 愛称は「ラピャ子」や「ラピ子」など。 名前が読み難かったらお好きな愛称でどうぞ。 性格は、明るく無邪気でお茶目。 楽しいと面白いと美味しいが大好き。 感情豊かで隠さない。隠せない。ポーカーフェース出来ない。 そしてちょっと短気なところが玉に瑕。 ギャンブルに手を出すと確実に負けるタイプ。 羞恥心を感じない性質で、露出度の高い衣装にも全然動じない。 むしろ前衛的なファッション格好いいと思ってる節がある。 戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法。 昔は力に任せて単純に暴れるだけだったが、 最近は学園で習う体術を取り入れるようになったらしい。 しかしながら、ゴリ押しスタイルは相変わらず。 食巡りを趣味としているグルメ。 世界の半分よりも、世界中の美味しいモノの方が欲しい。 大体のものを美味しいと感じる味覚を持っており、 見た目にも全く拘りがなくゲテモノだろうと 毒など食べ物でないもの以外ならば何でも食べる悪食。 なお、美味しいものはより美味しく感じる。Not味音痴。 しかし、酒だけは飲もうとしない。アルコールはダメらしい。 最近、食材や料理に関する事を学び始めた模様。 入学までの旅で得た知識や経験を形に変えて、 段々と身に付いてきた…と思う。たぶん、きっと、おそらく。
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。

解説 Explan


Kです。『ミラちゃん家』の続きです。
今回はちょっと小休止。
次に備えてエネルギーチャージの回。
カサンドラが不調なようなので、あれこれ元気付けていただければと思っております。

次回は黒犬との第二回会談が行われる手はずです。その旨についての手紙も今回出します。何か彼に伝えたいことがあれば、どうぞ一筆。

カサンドラは、『指輪』の存在について黒犬に教えるつもりです。黒犬が呪いの内容について意図的に嘘を言っているかどうか、確認もするつもりです。

トーマスが得ている呪いの情報は、『ミラちゃん家――幻惑の森探索』リザルトにおいて提示されたノア文献の内、以下の部分に限られます。
『何故』黒犬たちが呪いをかけられたかに関してのところを、関係者は伏せています。会談の際トーマスが、不用意なことを言わないように。
『私たちは相談して、彼らの命を一つに繋ぐことにした。呪いを維持するための魔力は彼ら自身より自動的に供給されるように設計する。そうすれば彼らは、持てる力の多くが呪いの維持につぎ込まれる結果、弱体化する。』
『今回の呪いを作り上げるために、私たちの指輪を転用することにする。これを使うことは大変惜しいのだけれども、仕方がない。二つの指輪を一つにすれば、どんな力をもってしても砕けることのない呪いの要石となる。』
黒犬が力を取り戻すことについて彼は、そんなに心配していません。むしろ力がすっかり元通りになれば、黒犬も気持ちが落ち着くんじゃないかと思っています。


※これまでのエピソードやNPCの詳細について気になる方は、GMページをご確認くださいませ。
そういうものが特に気にならない方は、確認の必要はありません。そのままプランを作成し、提出してください。エピソードの内容に反しない限り判定は、有利にも不利にもなりません。



作者コメント Comment
こんにちは皆様。
エピソード冒頭であやしげなニアミスがありましたが、リザルトには関係してきませんので、ご安心を。基本今回は日常エピソードです。敵や難題は出てきません。
黒犬がまた吠えてますが、まあお気になさらず。いつものことです。




個人成績表 Report
ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
ラインフラウさんが、赤猫と何らかの取引をしてるかも
その取引の内容を探ってみます

◆捜索
まずはラインフラウさんの居場所を探して
アマルさんに頼んで、ルサールカさんに尋ねてみたり、セムさんの会社近くのカフェなんかにラインフラウさんが居ないか探して

◆世間話風に
ラインフラウさんを見つけたら、まずは
「同族同士なので、一度話してみたかった」

とか、他愛のない話をして様子見

サーブル城の話が出たら、
「あそこには怖い赤猫が居るそうです」
「もしかして、お会いになりました?」
「猫なのに酒好きみたいですね」
「あの身勝手な猫……うまく他人に利用されたりしたと分かったりしたら、地の果てまで追ってきそうですよね」

等と探りを

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
カサンドラさんに故郷の料理を…
お任せください!
グラヌーゼ復興に取り組んできた蓄積と情熱を活かして
美味しいグラヌーゼ料理に挑戦

仲間たちと街に繰り出し
図書館でレシピを調べ、わいわいと買い出し
そして料理
カサンドラさんが元気になるよう、一緒に頑張りましょう!

並行して、図書館で色々調査
呪い、ノアと魔物たちについて、これまでの出来事を踏まえて
改めてまとめ直し、思索を深める

また、兄妹を元気づける楽しい話題を探すなかで
課題で参画してるフトゥールム学園広報館(こんごうGM様エピ)が
出来上がったら連れていくことを思い付き
入学への誘いの意図ではなく楽しみとして誘う
カサンドラは連れ出せないがお土産を約束

アドリブA

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
同行者:タスク・ジム、朱璃・拝
カサンドラの故郷の料理を提供するため、図書館、に資料集め及び、献立の確定のためにむかう。調べ物を全て終えたなら、クイドクアムに買い出しに行く。

三人でよく話し合い、献立を確定する。食材のバランス、味付けの濃淡など、偏りがないように。また、合わせて、トーマスたちの村の郷土料理についても調べておき、記録しておく【説得/信用/会話術/事前調査】

買い出しでは出来得る限り、安価で良い品質のものを選ぶ。グラヌーゼ産のものがあれば最優先。値切れるなら値切る【説得/信用/推測/精神分析/会話術】支払いはメメペイで。

料理はタスク・ジム、トーマス、トマシーナにも手伝ってもらう

アドリブA

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:75 = 50全体 + 25個別
獲得報酬:1500 = 1000全体 + 500個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
トーマス様とトマシーナ様に、カサンドラ様を元気づける為に何か贈り物をしないかともちかけますわ。話が通ればタスク様達と図書館へ行ったり買い出ししたりしますわ

ベイキ様へはお手紙を預けますわ

戻ってきたらトーマス様とトマシーナ様と一緒に、買ってきた材料でお花を造ります。造るのは紫陽花の花束。花言葉として「家族の結びつき、団らん」という意味があるようです。同じ屋根の下に住まう者どうし、カサンドラ様も家族の一員なのだという思いを込めて丁寧に作りますわね

それともう一つ、砂に絵の具で色をつけてカサンドラ様の似顔絵を砂絵で描いてプレゼント致しましょう。最後にミラ様に精霊の祝福を頂いて。喜んで下さると良いですが

ラピャタミャク・タラタタララタ 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
黒犬への手紙を書く

■行動
皆が作る料理を味見しつつ、黒犬への手紙の内容を考えるのじゃ。
うむ、美味いのじゃ♪

カサンドラは疑っておるが、あちきはそうは思っていないのじゃ。
嘘吐き恩知らずと罵り怒り散らしたパッションが演技だとは思えぬ。
もしそんな演技が出来るのなら、もっと上手く赤猫とも付き合えるじゃろうて。
不利な状況で赤猫と喧嘩するなんて、全く不器用にも程があろう…

まぁ、そんな訳で思ったことそのままに一筆書くのじゃ。
黒犬赤猫の呪いのことはカサンドラや他の皆に任せて、
あちきからは、こちらの近況と質問を書くのじゃ。
ついでに快気祝いとして、高級なお肉も一緒に送っておくのじゃ。

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ドリャエモン先生と保護施設に結界をはってくださったラビーリャ・シェムエリヤ先生のところに相談しに行きますね。

保護施設におられる方々の事情をわたくしは知りません。

でも、いま、そのなかに体調を崩してる方がおられる。

これは他の人にもうつってしまいかねないということ。

保護の施設を別に用意するのはむずかしいということでした。
でも、ここはいくつものクラブがそれぞれにつかっていた場所。

ですから、適切な壁と扉をつけ、必要に応じてカギをかけることで
分割してつかえるようにした方がいいのではと先生におはなしします。

そうすればこういうご病気にも対処できますし、
それぞれの方のご事情にも配慮することができるということで。

リザルト Result

●下調べ
 このところ不調が続いている【カサンドラ】を元気づけてあげよう。そのために彼女の故郷、グラヌーゼの料理を作ってふるまおう。まずはそのレシピを調べよう。
 ということで【タスク・ジム】、【アルフィオーネ・ブランエトワル】、【朱璃・拝】は図書館に向かった。
 調べてみたところグラヌーゼの郷土料理は、小麦ではなくライ麦や大麦、ジャガイモを使用したものが多かった。ブランド力が高く商品価値のある小麦は、あまり食料として浪費しないようにしているらしい。
 アルフィオーネは、この機会に【トーマス・マン】と【トマシーナ・マン】が住んでいた一帯の郷土料理も調べ、記録しておいた。彼らに彼らの母親が作っただろう料理を、食べさせてあげようと思って。今ではなく、いつか。故郷の思い出の苦さが和らげられたその時に。
「大麦のミルク粥、いいんじゃないですか」
「そうですわね。弱った胃に優しそうですわ」
「メインも煮物にしたほうがいいわね」
 三者三様意見を出し合い献立を決めた後は、揃ってクイドクアムへ買い出し。最優先にするのは、『グラヌーゼ産』とついているもの。荷物持ちはタスク。値引き交渉はアルフィオーネが担当する。
「お兄さん、このラディッシュ、傷があるわよ。いくらか負けてくれない? おまけでもう一つ買うから」
 朱璃は場を離れ、文具・画材売り場へ直行。ワイヤー、カラーテープ、薄手の色紙、糊、絵の具等買い込む。
 これ全てトーマス、トマシーナと、カサンドラへの贈り物を作る材料だ。
 贈り物の一つは造花の花束。
 それからもう一つは、似顔絵。画材は砂だ。星屑の砂時計から取り出した砂に色づけ、絵を描くのだ。
(星屑の砂は光を吸収して発光しますから、きっと面白い絵が出来上がりますわ)

●リフォーム提案
「……保護施設における生活空間の分割?」
「はい。よろしければ先生方に、それをご検討いただけないかと」
 【レーネ・ブリーズ】は、どうして急にこんな申し出をしてきたのだろう。
 そんな【ドリャエモン】と【ラビーリャ・シェムエリヤ】の疑問は、次のレーネの言葉によってすぐ解けた。
「保護施設におられる方々の事情をわたくしは知りません。でも、いま、そのなかに体調を崩してる方がおられるということを聞きました」
 どうもカサンドラのことを言っているらしい。レーネの耳にも彼女の現状は、ぼんやりとした形ながら届いているようだ。
「その方がどういうご病気かは存じませんが、他の人にもうつってしまうものだとしたら、今のままの作りだと問題があるかと……あの施設は複数のクラブがそれぞれにつかっていた場所ですから、適切な壁と扉をつけ、必要に応じてカギをかけることで、分割できるのではないでしょうか。そうすれば病気にも、それぞれの方のご事情にも、より配慮することができるようにもなるとおもいます」
 レーネはただ、『こうしたらいいのでは?』との方向性を提案するだけではない。具体的な案もきっちりと併せて示す。なので非常に説得力がある。
「保護施設に壁と扉をつけて分割してつかえるようにするためには保護している人の「動線」を想定し、他の人とのそれとまじわらないようにしなければなりません。外との出入り口や生活に必須な水やトイレなどもそれぞれに独立して使えるように整備することがのぞましいとおもいます。「隠し通路」とか「隠し階段」なども有効利用できるかと。もちろん、不必要なときにはそこにもきちんとカギをかけておきます。カギの管理はドリャエモン先生にお願いできれば……」
 実に有用な提案だと考えたドリャエモンは、ラビーリャに質問する。彼女の方がこの手のことに詳しいので。
「今からそういう追加工事は可能ですかな、ラビーリャ先生」
 ラビーリャは頭の中に、さっと施設の見取り図を思い浮かべた。水道は少し手を加えれば増設出来る。トイレも、もともと複数あるので、幾つか流用可能。
 導線の分離には、可動式の仕切り板をつけてもいい。扉のカギについても、増設するのは簡単なことだ。
「……出来ると思います。そんな大層な工事ではありませんし」

●学園某所のカフェにて
「あら、ベイキさん。こんなところで会うなんて奇遇ね」
 声をかけてきた【ラインフラウ】に【ベイキ・ミューズフェス】は、親しげに微笑みかけた。相手が先にそうしてきたように。
 こうも学園に近いところで彼女を見つけられるとは。【アマル・カネグラ】経由で【ルサールカ】に居場所を聞いてみた甲斐があったというものだ。ルサールカから相当に嫌そうな顔をされたけど。
「まあ、ラインフラウさん、お久しぶりです。奇遇ですね、本当に……今日はセムさん、ご一緒じゃないんですか?」
「ええ。仕事があってね。私用でここに来てるの、私」
 ベイキは声に出さず呟く。『それは好都合』と。
「私、お昼のお茶をするつもりで来たのですが……相席かまいませんか?」
「ええ、いいわよ」
「ありがとうございます。一度ゆっくりお話してみたかったんですよ。なんといっても、同族ですし」
 ベイキはラインフラウの相席に座る。
 早速たわいない言葉のやり取りが始まった。
 はた目にはローレライの女二人による、優雅なティータイムといったところ。しかし本人たち……少なくともベイキ側の心情はそんな呑気なものではない。表面にこそ出ないようにしているが、かなり緊張している。
 彼女は確信していたのだ。ラインフラウが【赤猫】と取引しているということを。
 決め手となるのは先だって聞いた【セム】の言葉。赤猫と取引をしていないか?という朱璃の問いに対する回答。
『していませんよ、『私』は』
 『していません』だけで十分なのに、何故わざわざ『私は』という主語をつけたのか。
(裏を返せば『私じゃない人』が取引したということでは……。そうだとすると、目下赤猫と取引が可能な人間は、この人しかいないんですよね……)
 怪しみながらベイキは、赤猫の話題を持ち出す。遠まわしに。
「そういえば、セムさんは仕事とおっしゃられましたが……サーブル城案件ですか?」
「当たり。あれこれ悪巧みしてるわ。楽しそうに」
 さもおかしげに言うラインフラウの瞳には、この場にはいない相手への紛れもない愛情が満ち満ちていた。
「あの方は、まだ赤猫を始末しようと考えているんですか?」
「そりゃそうよ。セムにとってはあれを生かしておくメリットがないもの。存在しているだけで日々城の資産価値を下げていくわけだし。で、あなたたちは相変わらず、黒犬の呪いを解いてあげる方向で考えてるの? 呪いの説明書を読んでも、赤猫の話を聞いても」
 自分がセムに話した言葉はラインフラウに伝わる。自分がラインフラウに話した言葉もセムに伝わる――恐らく幾らかは、赤猫にも伝わる。
(そう思って話さないと……)
 己に言い聞かせながらベイキは、少し踏み込んだ発言をした。
「確認したいのですが……ラインフラウさん、赤猫に、お会いになりました?」
「もちろん。じゃなければあそこまで突っ込んだ話、聞けないでしょ?」
「何か、お土産でも持って行ったんですか?」
「ええ、お酒をちょっとね」
「ああ、あの猫は、猫なのに酒好きみたいですね」
 それだけではないはずだ。
 そんなベイキの考えを読んだかのように、ラインフラウはこう付け加える。
「後、相談に乗ってあげたのよ。あの猫ちゃんの」
「……相談? 何のですか?」
「現状に対する不満というか、そんな感じかしら?」
「不満というのは、呪いのことですか?」
「そうね」
「それについて、なにかこう、解決策を提示したんですか?」
「したわよ。彼女にとっても私にとっても利益になる解決策を」
「それは、『呪いの解除を手伝う』ということですか?」
 ラインフラウは突如、鈴を転がすような笑い声を上げる。
「そんなこと言いやしないわよ。全然、全く、これっぽっちも!」
 ベイキは大いに戸惑う。
 呪いについての相談を受け、解決策を提示したというなら、それは当然『解除』となるはずではないのか。
(……一体、どういうことなの……?)
 可能性があるとすれば『解除』以外の解決策を提示したということだが、そんなもの果たして存在するのか?
 もしかして、存在しない方法をでっちあげ提示しているのか? それを餌に何らかの交渉をしているのか? 万一そうだとしたら、相当危険な橋を渡っているとしか思えない。この人も【セム】も。
「あの身勝手な猫……うまく他人に利用されたりしたと分かったりしたら、地の果てまで追ってきそうですよね」
 会話が途切れたところで、正午を告げる鐘の音が鳴った。
 ラインフラウは軽やかに椅子から立ち上がる。
「あらやだ、もうこんな時間。それじゃあ失礼するわね」
 ベイキはそれを引き留めなかった。代わりに、朱璃からの手紙を差し出した。
「あ、これ……あなたにと預かってきたものです」
 ラインフラウは手紙を受け取り、その場で開いた。読んだ。それからベイキに言った。からかうような口調で。
「この手紙を書いた人に伝えてくれる?『あなたも、同じことに気をつけて。』って」

●先生への贈り物
 風がよく通る窓辺には、花瓶。
 花瓶には先ほど完成したアジサイの造花が生けられている。糊を乾かすために。
 奥まった場所にある作業台では、砂絵が作られていた。
 硬い台紙にトーマスが、線を下書きする。
 朱璃が糊をつけていく。
 最後にトマシーナが色砂を乗せていく。
 画面に現れたのはカサンドラの肖像画だ。
 一連の作業を見守っていたタスクは、感嘆の声を上げた。
「わあ、すごくいいよ。なんだか、聖堂にあるモザイク画みたいだ」
 同じく作業を眺めていた【ミラ様】が、天井近くからふわふわ降りてきた。
 朱璃は彼に、絵を差し出す。
「ミラ様、もしよろしければ、この絵に祝福をいただけませんか? カサンドラ様への贈り物ですの」
 『よし来た』と言ったかは定かではないが、ミラ様は絵の上に、惜しみ無く光の粉を振りかける。
 絵全体が金の色を帯びた、ような気がした。
 トマシーナが満足げな声を上げる。
「かんせーね」
「ええ。カサンドラ先生もきっと喜びますわ。それでは皆で、お料理のお手伝いにいきましょうか。それが終わる頃には、花も絵もちゃんと乾いていますから」

●おいしいものを作りましょう
 【ラピャタミャク・タラタタララタ】は調理場の柱の影から、ちょろっと顔を出す。
 乳が煮え、パンが焼けるいい匂い。
 アルフィオーネが卵、三温糖、塩を泡だて器でかき混ぜ、油とスキムミルクを投入している。
 その傍にいるトマシーナは、茹でたジャガイモをマッシャーでぐいぐい押しつぶしている。
 朱璃はライ麦粉をふるいにかけている。
(はて、何を作っておるのじゃろ?)
 興味津々ながら足音を忍ばせ、後ろを通過。
「フトゥールム学園広報館?」
「そう、新しくそういう場所が出来る予定なんだ」
「そこ、なにをするところなの」
「学園の歴史や役割を、外部の人にもっとよく知ってもらうための案内所……ってとこかな。まだまだ先のことだろうけど、完成したらトーマス君、一緒に見に行かないか?」
 タスクとトーマスが向こうを向いて会話しているのを確認しつつ、ずん胴ナベの蓋をこそっと開け、煮込まれている肉の塊の一つを失敬。
「あちちっ……うむ、美味いのじゃ♪」
 そこでアルフィオーネが振り向いた。
「こらっ! なにしてるの!」
 ラピャタミャクは、脱兎のごとく退散する。
「もう!」
 アルフィオーネは憤慨しながらナベの蓋を戻した。
 と、施設玄関先から物音。
 見に行ってみれば、ベイキである。
「お帰り、ベイキ。花梨の蜂蜜漬を少しもらっていいかしら? カサンドラに食べさせようと思うのだけれど」
「あ、かまいませんよ。お好きなだけどうぞ」
 そう言ってベイキは、自分も調理場に向かう。ジンジャーの蜂蜜漬けを、新しく仕込むために。
 しかしその前に朱璃へ、ラインフラウから預かった言葉を耳打ちする。会談の内容含めて。
 朱璃は急いで聞き返した。トーマスたちに悟られぬよう、小さな声で。
「ラインフラウ様たちは、赤猫を作り話で騙しているということですか?」
「分かりません。でも、その可能性もあるのではと……」
 二人の様子に気づいたタスクとアルフィオーネが寄って来て、こっそり話に参加する。
 タスクがため息をつき、こう零した。
「そういう駆け引き、勘弁して欲しいんですけど……」
 朱璃はそれをちょっと意外に思った。タスクはこの手の交渉が得意な印象があったからだ。
 だが、本人によれば違うらしい。
「僕は友好的な環境下での調整は好きなんです。でも敵対的な環境で、虚々実々、丁々発止が求められる交渉は本当に……苦手なんですよ」

●贈り物
 ラピャタミャクがカサンドラの部屋を覗いてみれば、彼女は机に向かい、書き物をしていた。
「カサンドラよ、体調はどうじゃの」
「ああ、ラピャタミャクさん。今日はいいですよ。この通り起きていられますし」
 と言った直後カサンドラは激しく咳き込んだ。自分で言うほど体調はよくないようだ。
「まあ、無理せぬがよい。ところでそれは、黒犬への手紙かの? 今さっき庭を見てきたら、伝令犬も戻ってきておるようじゃし」
「はい。近々会談をするつもりで……そのことを知らせようかと」
「あちきも手紙、出していいかの? 快気祝いに高級肉を送るついで、一筆啓上したいのじゃが」
 カサンドラは、ラピャタミャクの顔をじっと見た。例の、絵を描くときのような鋭さで。
「はい、かまいません。ですが、出す前にその内容を確認させてくれませんか? 会談まで伝えるのを控えてほしい事柄もありますし」
 カサンドラは黒犬に疑いを持っている。だからしてこれは当然の反応であろう。
「ああ、それはかまわんぞい」
 そうであってもラピャタミャクは、カサンドラが過剰に警戒し過ぎているように思えてならない。
(黒犬が、そこまで深い企みの出来る奴とは思えんのじゃがのう)
 嘘吐きだの恩知らずと罵り怒り散らすあのパッション。
(あれが演技だと言うのなら、赤猫とももっとうまく付き合えるはずじゃ。まかり間違っても不利な状況で喧嘩を仕掛けボッコボコの返り討ちを食らうなんてヘマ、やらかすまい)
 そこでふと、甘い乳の匂いがしてきた。
 アトリエの扉がノックされ、盆を持ったアルフィオーネが姿を現す。
「カサンドラ、どうぞ。今日はグラヌーゼ料理を作ってみたのよ」
 盆に載っているのは、大麦のミルク粥とライ麦パン、それから羊肉の入ったごった煮風スープ。見た目いまいちさえない料理群。
 カサンドラは眼を輝かせた。
「まあ……これはグラヌーゼの……わざわざ作ってくださったんですか?」
「ええ。さ、あったかいうちに食べてちょうだい」
「ありがとうございます、では」
 カサンドラは各々の料理に触れた。食べ物の実体が解け靄となり立ち上る。それを胸いっぱいに吸い込んで『食べる』。
 アルフィオーネはそんなカサンドラの姿に胸を撫で下ろした。最近の彼女の疲れ果てたような姿を、ずっと心配していただけに。
 そこにトマシーナの声。
「せんせー、でざーとよー」
 兄と朱璃を伴い、意気揚々トマシーナが入ってきた。
 小さな手には皿が捧げ持たれている。皿の上には花梨の蜂蜜づけが添えられた、ほかほか焼き立てリング型のポテトケーキ。
「まあ、おいしそうねえ。ありがとう」
 続けて朱璃はトーマスと一緒に、額に入った絵と、色紙で作った紫陽花の花束を渡した。
「少し過ぎてしまいましたが子供達からバレンタインの贈り物ですわ、カサンドラ様。紫陽花には、『家族の結び付き、団欒』という花言葉があるんだそうですのよ」
「これ、先生の肖像画だよ。僕が下書きしたんだ」
 花束と砂絵を受け取ったカサンドラは、しみじみそれに見入った。
 トーマスに顔を向け――絵に関しては滅多にないことに――ほめ言葉を述べた。
「とてもうまく描けているわ、トーマス。あなた、人を描くのが確実に上手になってきた」
 トーマスは戸惑いながらも喜んだ。鼻の下をこすって照れ笑いを浮かべる。
 朱璃は優しくカサンドラに言った。
「カサンドラ様。私達にはあなたの過去は解りませんし、辛い事も悩む事もあるかもしれません。ですが今貴方が立っている場所は此処なのですわ。一人で抱えず私達を頼ってくださいね」
 カサンドラは微笑んだ。褪せた青い瞳を潤ませて。
「ありがとうございます……」
 様々な贈り物は彼女の心を、大いに励ましたようだ。穏やかな空気に場が包まれる。
 そこへ、ドリャエモンとラビーリャが入ってきた。
「……ああ、丁度いい、皆揃ってるね」
「ちと、話したいことがあるのだが」
 その後、レーネが提案した施設の新たなリフォームについて、話し合いが行われた。
 カサンドラはそうでないが、なるほど考えてみれば何かの病気にかかった人間が保護を求めてくることも、十分ありえる話。備えをしておくのは悪いことではないだろう。
 ということでこの件は、今後の課題として前向きに検討されることになった。

●黒犬に届いた手紙の内容
 黒犬は生肉を噛みながら、ラピャタミャクの手紙を読んだ。
『黒犬へ。
返信が遅れてすまぬ。
まずは近況じゃ。
あの絵の記憶を頼りに、汝の呪いに関する本を見つけたのじゃ。』
 ふん、と彼は満足げに鼻を鳴らす。
『じゃが、そこに仕掛けられた呪いの影響で、カサンドラが体調を崩しておる。今は療養中なのじゃ。
ところで質問なのじゃが……ノアの呪いについて、どのくらい知っておる?
ノアの呪いは多重構造らしい。下手に解こうとした者に害を与えたり、呪いが悪化する可能性があるようじゃ。
カサンドラの生前の疑心や死、記憶の欠落にも呪いが関係しているかもしれぬ。』
 都合のいい話だな、と半信半疑に読み進める。
 進めた所で目が急停止する。
『そうそう、赤猫にもちらっと会ったぞ。そのことについては、次の会談で話し合いたいものじゃな。』
 あのクソ猫、何故いらんところにちょいちょい出てきやがるのだ。思って彼は自然、牙をむく。黄色い目を光らせて。




課題評価
課題経験:50
課題報酬:1000
ミラちゃん家――探し物は何ですか
執筆:K GM


《ミラちゃん家――探し物は何ですか》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 1) 2021-02-14 00:14:52
勇者・英雄コースのタスク・ジムです!よろしくお願いいたします!

カサンドラさんに故郷の料理を…
お任せください!
グラヌーゼ復興に取り組んできた蓄積と情熱を活かして
美味しいグラヌーゼ料理に挑戦します!
カサンドラさんが元気になるよう、頑張ってみますね!

並行して、図書館で色々調査してみます!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 2) 2021-02-14 00:15:00

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 3) 2021-02-14 04:09:32
教祖・聖職専攻のアルフィオーネ・ブランエトワルです。どうぞ、よしなに

料理の話が出たからには、ミラちゃん家・家事担当のわたしが腕を振るわぬわけにはいきません。



《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 4) 2021-02-14 13:48:09
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 5) 2021-02-14 22:11:27
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
かなり個人的な考えで申し訳ないのですが、私はラインフラウさんに接触を試みようかと。

おそらく、彼女は赤猫と取引してます。
セムさんの「していませんよ、『私』は」という言葉で、疑念が確信になりました。

というわけで、世間話兼ねて同族同士お話してこようかと。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 6) 2021-02-14 22:48:05
>料理
アルフィオーネさん、心強いです!
存分に腕を振るっていただけるよう、僕はレシピ調べを頑張りますね!

>「していませんよ、『私は』」
ですよね~!思いました!
これは完全に、僕の大変苦手な分野、頭脳戦・社会戦・心理戦の雰囲気が濃厚に…
ベイキさん、頼りにしてます!

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 7) 2021-02-15 19:16:08
さて・・・私はまだ何をするか考え中ですわ。ぼんやりとはあるのですが上手く形になるまでもう少し考えてみますわね。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 8) 2021-02-17 19:15:22
とりあえず私は何かカサンドラ様を元気づけるよう行動してみようと思いますわ。少しすぎてしまいましたがバレンタインデーもありましたし、トーマス様達とカサンドラ様に贈る物を作れればと。本来的には男女関係なく恋人や家族等大切な人に贈り物をする日ですし、彼女も今は私達の家族であるという意味を込めて。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 9) 2021-02-17 23:01:06
わたしはまず、図書館でグラヌーゼの郷土料理を調べ、市場で材料を調達、作製。と、言う流れで行きたいと思います

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2021-02-18 13:35:27
>朱璃さん
いいですね!どんなものになるか楽しみです。
込められる思いも素敵だと思います!

>アルフィオーネさん
僕だって負けませんよ~!
まあ、家事担当アルフィオーネさんが本気を出されるなら、
僕は1品くらいにしといて、調査に軸足を置きましょうかね(笑)

さて、何を調べたら今後の役に立つか…
ご意見お待ちしております!(他力本願かいっ!!)

あと、トーマスくんたちを楽しませることとして、
こんごうGM様の「学園広報館」にお誘いしてみたいんですよね~。
入学を望んでないトーマスくんへの圧にならないよう細心の注意を払いますし、
別のエピソードだから話の本筋になりえないのは承知ですが、
あくまで、楽しいお出掛けの約束をする、ていうアクションがしたくて。

カサンドラさんはさすがに外に連れ出すわけにいかないですが、
広報館では美味しいものもたくさんならぶ予定(というプランが書かれる予定…(笑))
なので、お土産を持って帰ってあげられるかな、と。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2021-02-18 13:40:18
…と、書いておきながら、トーマスくんたちも保護対象なので、
あまりホイホイつれ歩くのは危ない気もしますよね~。
学園内だから良いかな~とも思うけど、学外向けのイベントなので、
前回図書館に行ったのとは違う危険もあるかもしれないし…

そのへんのご意見もどしどしお寄せくだされば嬉しいです!

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 12) 2021-02-18 18:51:37
>お料理
あ、前に作った花梨の蜂蜜漬けとかは、好きに使ってくださいな。
なくなったらジンジャーとかで追加分作っておこう。

>ラインフラウ接触
さて、ド直球ストレートでいくか、最近のお仕事やお出かけなんかの話題から攻めるかとか、どこにいけばラインフラウさんとご対面できるかとか思案中です。
まずはセムさんのホテル本社ですかねえ。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 13) 2021-02-18 19:11:40
>作る物
そうですわね、お料理はアルフィオーネ様やタスク様が作られるようですから、お花などが良いでしょうか?造花になりますけど今の季節に無い花もつくれますし。花言葉を調べてみますわ。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 14) 2021-02-18 20:59:22
一人より二人で調べたほうが早いだろうし、内容が決まらないと、買い出しにも行けないので、現地で話し合って決めたほうがいいかなと。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 15) 2021-02-19 06:39:01
それもそうですね。では、図書館からの買い出しで、ご一緒しましょう!

朱璃さん、お花のプレゼントは素敵ですね!
買い出しご一緒できたら、効率的だし楽しいかもしれませんね。
花言葉も図書館で調べても良さそうですし、よかったら、是非。

いよいよ前日になりましたね!今回も最善を尽くしましょう!

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 16) 2021-02-19 08:50:22
そうそう、「ラインフラウさんにこれ聞いてほしい」とかあれば、聞いてみるようにしますんで。
一緒にセムさんが居る可能性もあるので、セムさんに聞きたいことや、伝言なんかもあればできる範囲で対応しますよ。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 17) 2021-02-19 19:20:45
そうですわね、それでは材料の買い出しや花言葉を調べる事についてご一緒させていただきますわね。あとはトマシーナ様に絵を描いてもらうのもいいかもしれませんわね。


>ラインフラウ様に聞きたい事
やはり何か赤猫と契約してるのかどうか、という事ですが、それはベイキ様がお聞きになるようですし、伝言としてはあまり自分を過信しないように、という所でしょうか。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 18) 2021-02-19 19:42:00
>お花
「家族の結びつき」という意味があるようですので、紫陽花の造花を作ってみようかと思いますわ。

《人間万事塞翁が馬》 ラピャタミャク・タラタタララタ (No 19) 2021-02-19 21:40:06
らぴゃたみゃくたらたたららた!
挨拶が遅くなってすまぬのじゃ。

あちきは黒犬への手紙を書こうかと思うのじゃ。
あと、みんなが作った料理の味見もしたいのじゃ。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 20) 2021-02-19 22:48:19
>ご伝言
朱璃さんのご伝言をそのまま伝えたら、ラインフラウさんが気を悪くしちゃいそうですね……。
お手紙でも預かるようにしましょうか。

別れ際に渡せばいいでしょうし。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 21) 2021-02-19 23:02:02
>ご伝言
「仲間から伝言や聞きたいことがあったら預り、直に言いにくいことはお手紙で」と、伝言や手紙を預かる旨をウィッシュプランに入れておきますね。

ちょっと、伝言本文まで盛り込む文字数の余裕がなかったんで。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 22) 2021-02-19 23:34:41
ギリギリになってしまいましたが、参加させていただきます。
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。

とは言いましてもわたくしは保護施設におられる方々の事情はしりません。
保護施設そのものについて先生方と相談しに行くつもりです。
プランももうおおくりしました。
ですから、おじゃまにはならないとおもいます。

よろしくおねがいします。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 23) 2021-02-19 23:38:42
>ベイキ様
はい、それで大丈夫かと思いますわ

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 24) 2021-02-20 00:00:20
皆さん、いよいよ出発ですね!
今回もご一緒いただきありがとうございます。
リザルト楽しみですね!