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ミラちゃん家――プチ・リフォーム+α


ストーリー Story


●嘘つきな彼女
 サーブル城から帰ってきた【ラインフラウ】は【セム・ボルジア】に、【赤猫】との交渉内容を伝えた。
「――それで私、猫ちゃんに言ったのよ。調べたところこの呪いを転化するには、黒犬の存在が必要だ。呪いはひと繋がりになっているものだから、片方からだけ引っこ抜くことは出来ない。転化する相手も一人じゃなくて、二人入り用だって。でないとうまく呪いが移らず、跳ね返ってきてしまいかねないから」
「その話について、赤猫は信じていますか?」
「ええ、そうよ。全面的にじゃないだろうけど、あり得なくもない話だとは思っているわ」
「それはよかった。あなたの手腕に感謝しますよ、ラインフラウ」
「どういたしまして。あなたに褒められるって、うれしいわ……ねえセム、ついでに言ってよ。私と結婚するって」
「ご冗談を」
「またそうやってはぐらかすのね、あなた。たまにはノリで『いいですよ』くらい言えないもの?」
「ノリでも言えません」
「どうして」
「第一に、私は仕事にしか興味が持てない人間だから。第二に、あなたがローレライでとても長命だから。鼠と象ほど生きる時間が違いますよ、私とあなたは。結婚とか言われても、ナンセンスだとしか思えません」
「……あなた、本当につれないわ。でも好きよ、そういうの。より燃えてきちゃうわ」

●今日は朝からDIY
 転用建屋第17倉庫。ミラちゃん家こと保護施設は、この度諸事情によって、プチリフォームを行うことになった。

 狼ルネサンス3兄弟、黒目黒髪の【ガブ】、灰目灰髪の【ガル】、茶目茶髪の【ガオ】が、なにがし山の山道を上って行く。建材を積んだ大八車を引きながら。
「またリフォーム課題かよ」
「直すようなところってまだあったっけ?」
「さあ。思い当たらないけどな」
「あ、あれじゃねーの? 赤猫とか黒犬とかそういう関係の対策で、結界を強化するとかそういうのじゃねーの」
「おお、あり得そうだなそれ」
「じゃあ、また柱新しく作らなきゃいけねーのか? あれ面倒臭かったんだよなー」
 道を上り切った先にあるのは、彼らにとって馴染みとなった建物――保護施設。
 このところの暖かさで、茶色かった庭が彩りを帯びていた。
 ハーブの小さな芽が地面から顔を出している。
 シンボルツリーであるリンゴの若木もふっくらと花芽を膨らませ、開く瞬間を待ち侘びている。この分だと今年は、昨年に増してたくさんの実が取れそうだ。
 建物入り口のところに【トーマス・マン】がいた。ガブたちの姿を見て、駆け出す。
「あ、ガブ兄ちゃん! ガオ兄ちゃんもガル兄ちゃんも来たんだ!」
 トーマスにとって彼らは、緊張感抜きで付き合える存在だ。言うこともやることも単純そのものなので、裏があるのではと勘ぐらずに済むのである。
「おー、トーマス! 結構久しぶりだな」
「元気そうじゃねーか」
 一方ガルたちもトーマスには親しみを持っている。もともと兄弟が多い環境で育ったため、年下の存在に慣れていることもあるが、自分たち同様利かん気な部分に近しいものを感じるのだ。
「チビはどこ行ったんだ?」
「トマシーナなら、ドリャエモン先生と犬の散歩に行ったよ」
「何ーッ! あのジジイ俺らに荷物運ばせといて散歩とか、マジふざけてやがる……待てよ。ここに犬いたか?」
「うん、いるよ。飼ってるってわけじゃないけど、それに近い感じのが。まだ正式な名前は付けてないんだけど……」
 噂をすれば、ワン、と鳴き声が聞こえてきた。
 首を向ければ門のところに、犬用ベストを着た貧相な風貌の犬と、【ドリャエモン】と、ドリャエモンの肩に乗せてもらっている【トマシーナ・マン】。
 タイミングよく今、散歩から戻って来たようだ。
 ガブたちの姿を見るやドリャエモンは、満足そうに二重顎を揺らした。
「おっ。お前達、ようやくちゃんと時間通りに出席して来るようになったか。感心感心」
 からかわれたようで、ガブたちとしては面白くない。『ふざけんなジジイ!』と吠える。
 何を勘違いしたか、犬がそれに応じて吠える。
 そこで施設二階の窓が開いた。
 【ラビーリャ・シェムエリヤ】が顔を出す。
「……ああ、来たね。早速入って。作業の手順を説明するから」
 その狼ズは、【アマル・カネグラ】がこの作業に参加していないことを知り、おおいにぶんむくれた。
「なんだなんだ、あのブタ堂々とサボリかよ!」
「どういうことだよ!」
「なんで俺らだけこき使われるんだよ! 納得いかねー!」
 とはいえ『そんなら自分たちもサボろう』という風に話を持って行くことはしなかった。そのあたり彼らも、以前より成長している。
 なお念のために言うと、アマルはサボっているのではない。別の仕事をしていたのである。

●今日は朝から捜し物
 【カサンドラ】は、ワイズ・クレバーの個別閲覧室にこもっていた。『指輪』の行方について、少しでも何か手掛かりを掴もうと――施設のリフォーム工事が終わるまで場にはいないほうが、皆に気を遣わせないだろうとの配慮もあったが。
 調べるのはグラヌーゼの歴史や風土、ノア一族についてではない。それはこれまでに仲間が調べてくれている。いまさら同じものを探っても新しい情報が出てくる確率は低い。
 なので違う視点からアプローチを仕掛ける。その視点とは『美術』だ。これまでに作られたあまたの宝飾品、それにまつわる伝説、逸話。そういったものを探って行けば、少しは何か出てくるかも知れないではないか。
 もちろん一人で行えるような作業ではない。だから彼女は【ルサールカ】とアマルに助力を頼んだ。
 前者は画商であるだけに、美術全般に詳しい。
 それには及ばないが後者も、一般以上に詳しい。資産家の息子として、高額美術品が溢れる環境にいるだけに。
「――魔族や魔王、純種のドラゴンといったものを肩書にした品は、世の中にあまたありますがね」
 言いながらルサールカは、図鑑を繰る。白い手袋をはめた手で。
「古いものほどそういう傾向はありますが、まあ、十中八九単なる箔づけと思った方がよろしいかと」
 アマルは真ん丸い顔を大きな本の間に突っ込むようにして、言葉を返す。
「でも、中には本物が含まれているんだよね?」
「もちろんですアマル坊ちゃん。そうでなければ、今私たちがやっていることはまるきり意味がないことになります」
 カサンドラは疲れてきたのか目をこすり、ルサールカに尋ねた。
「ルサールカさんは、実際にそういうものを見たことがあるのですか?」
「ええ、ええ、もちろんですとも。中でも忘れられないのは、魔王の宮殿で使われていたという文鎮ですかね。そりゃあ美しいものでしたよ。赤と青の対になっていまして。光を浴びると内側から、焔が灯ったようになりましてね」
「へえー。それ、何で出来てたの?」
 ルサールカはくっくと喉を鳴らし、夢見るように目を細めた。
「純種ドラゴニアの瞳ですよ。言い伝えによると、魔王が一匹の龍から取った左右の瞳だそうで――とあるドラゴニアの一族が総力挙げてそれを奪還し、家宝としていましてね」
「頼んで見せてもらったの?」
「まさか。頼んだくらいで見せてくれるような輩じゃありませんよ。その一族のとある娘に頼んで、持ち出してきてもらったんです」
「……それってもしかして、ルサールカの奥さんのこと?」
「ははは。お戯れをアマル坊ちゃん。私には妻なぞおりません。いるのは頼みもしないのに、勝手に子を産んだ女です」





エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-03-22

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2021-04-01

登場人物 8/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《人間万事塞翁が馬》ラピャタミャク・タラタタララタ
 カルマ Lv22 / 魔王・覇王 Rank 1
不気味で人外的な容姿をしたカルマの少女。 愛称は「ラピャ子」や「ラピ子」など。 名前が読み難かったらお好きな愛称でどうぞ。 性格は、明るく無邪気でお茶目。 楽しいと面白いと美味しいが大好き。 感情豊かで隠さない。隠せない。ポーカーフェース出来ない。 そしてちょっと短気なところが玉に瑕。 ギャンブルに手を出すと確実に負けるタイプ。 羞恥心を感じない性質で、露出度の高い衣装にも全然動じない。 むしろ前衛的なファッション格好いいと思ってる節がある。 戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法。 昔は力に任せて単純に暴れるだけだったが、 最近は学園で習う体術を取り入れるようになったらしい。 しかしながら、ゴリ押しスタイルは相変わらず。 食巡りを趣味としているグルメ。 世界の半分よりも、世界中の美味しいモノの方が欲しい。 大体のものを美味しいと感じる味覚を持っており、 見た目にも全く拘りがなくゲテモノだろうと 毒など食べ物でないもの以外ならば何でも食べる悪食。 なお、美味しいものはより美味しく感じる。Not味音痴。 しかし、酒だけは飲もうとしない。アルコールはダメらしい。 最近、食材や料理に関する事を学び始めた模様。 入学までの旅で得た知識や経験を形に変えて、 段々と身に付いてきた…と思う。たぶん、きっと、おそらく。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《新入生》ルーシィ・ラスニール
 エリアル Lv14 / 賢者・導師 Rank 1
一見、8歳児位に見えるエルフタイプのエリアル。 いつも眠たそうな半眼。 身長は115cm位で細身。 父譲りの金髪と母譲りの深緑の瞳。 混血のせいか、純血のエルフに比べると短めの耳なので、癖っ毛で隠れることも(それでも人間よりは長い)。 好物はマロングラッセ。 一粒で3分は黙らせることができる。 ◆普段の服装 自身の身体に見合わない位だぼだぼの服を着て、袖や裾を余らせて引き摺ったり、袖を振り回したりしている。 これは、「急に呪いが解けて、服が成長に追い付かず破れたりしないように」とのことらしい。 とらぬ狸のなんとやらである。 ◆行動 おとなしいように見えるが、単に平常時は省エネモードなだけで、思い立ったときの行動力はとんでもない。 世間一般の倫理観よりも、自分がやりたいこと・やるべきと判断したことを優先する傾向がある危険物。 占いや魔法の薬の知識はあるが、それを人の役に立つ方向に使うとは限らない。 占いで、かあちゃんがこの学園に居ると出たので、ついでに探そうと思ってるとか。 ◆口調 ~だべ。 ~でよ。 ~んだ。 等と訛る。 これは、隠れ里の由緒ある古き雅な言葉らしい。

解説 Explan


ミラちゃん家、プチリフォームいたします。
加えて、指輪の手掛かり探します。

リフォーム内容は以下。

※各所に適切な壁と扉をつけ、必要に応じてカギをかけることが出来るようにする(感染性の病気や、それぞれの入居者の事情により配慮出来るようにするため)
※分割した空間のそれぞれに、外との出入り口、トイレ、水道を確保。(「隠し通路」とか「隠し階段」なども有効利用)
『ついでにここもこう直したら?』という案がありましたら、プランにてお申し付けください。善処致しますので。

カサンドラたちは、指輪の情報収集をしております。手掛かりが何か見つかるとよいのですが。
彼女たちの活動に参加したい方は、『リフォームがすんでから図書館へ向かう』という形をとってください。


※これまでのエピソードやNPCの詳細について気になる方は、GMページをご確認くださいませ。
そういうものが特に気にならない方は、確認の必要はありません。そのままプランを作成し、提出してください。エピソードの内容に反しない限り判定は、有利にも不利にもなりません。




作者コメント Comment


Kです。
ミラちゃん家、続きです。
またまたリフォームと相成りました。
久々にガブ兄弟が出てきて、賑やかであります。彼らが出てくると、なんだか和みます。




個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:90 = 60全体 + 30個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
リフォームを手伝った後、個人的に各種調査を行う

カサンドラさんが体調が悪かったと聞いたのでお見舞いと様子をうかがっておく
気を悪くされないように【会話術】で気をつけて、あまり無理をしない様に【説得】

【事前調査】【読書】【魔物学】【魔法学】
それから図書館で魔族のことや呪いの文献にあたって
ノア一族についての詳細や、呪いの仕組み、組み換え、解除方法
そして解除のための指輪とその現在位置に関する情報を探す

黒犬は元に戻れたら、赤猫を殺そうとするのだろうか?
また、わたしたちや他の人々に危害を加える可能性もないとは言えない
だからといって殺してしまえと言うのも違う気がする
なんとかそれぞれの幸せを目指せないだろうか

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:90 = 60全体 + 30個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
さて、リフォームに関しては武神・無双コースの者として鍛えた体で力仕事はお任せいただきますわ。その上で、リフォームの際のアイデアとしては感染症の方に入っていただくお部屋をわけるのでしたら、お部屋に入る際にワンクッション、入退室の際に消毒をするスペースを設けても良いかもしれません。廊下から直接の出入りはウィルスを持ち出す可能性もありますし

それと、屋根の上に簡単な見張り台を設けてはどうかと。魔物でなくても保護対象の方を力づくで連れて行こうとする者もいるかもしれませんし、いち早くその接近を知る為にも。アマル様のお宅なら不要な双眼鏡や望遠鏡がないでしょうか?

あとはペンキ塗りならトマシーナ様もできるかも?

ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
保護施設のリフォームに向けて、水回りの配管や入居者の動線確保等、できそうなことを中心にお手伝い

◆作業前に
作業前の設計段階で、水回りの配管や入居者の動線確保を水質学、医学等の見地から検討
限られるスペースを効率的に活かせるよう、事前にしっかり検討し手戻りがないように

今回のリフォームで、今後の増設等にも対応できるよう動線・配管等確保の下準備を

◆作業
道具の手配や軽い資材の運搬、資材の固定等の、力がなくても手伝えそうな作業のお手伝い
負傷者の応急手当

◆図書館へ
リフォーム後に図書館へ
呪いってオカルト的な面や歴史、神話でも出てきたりするので、呪いにまつわる神話や伝承を調査
過去に似た呪いの犠牲者が居たかも

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
みなさんが協力してくださって、おへやとかドアとかはいろいろなります。
でも、それをホントにきちんとつかうためにはていねいな管理が必要です。

保護しなければならない方々をグループ分けして、
それぞれにあったお部屋をご用意する。
おひとりかもしれませんし、何人も、かもしれません。
当然、その動線もかんがえる必要があります。

それはそれぞれの課題に参加した学園生の方々が相談しなきゃいけない。
そして、それぞれの方のご事情は不必要にひろめられません。
ですから、適切にその事情を秘密にして必要なことだけをつたえあう。
課題をだした先生方にご指導をいただきながら。

それをドリャエモン先生にまとめていただける態勢をつくります。

ラピャタミャク・タラタタララタ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
リフォームを頑張る

■行動
あちきは狼ズと一緒にリフォームの手伝いじゃ。
普段から斧を振り回している筋力を活かして、重いものを率先して運ぶとするのじゃ。
雑用や力仕事なら任せろーっ!バリバリドーンなのじゃっ!
石窯DIYもお手の物じゃぞい。グルメに通ずるものは一通り出来るつもりじゃ。

ちなみに、狼ズの愚痴に対して、アマルは別件の仕事を受けていることを伝えておくぞ。
地味で地道な調査依頼じゃ。今頃は難しい活字とにらめっこしておるじゃろうて。

リフォームが終わったら、料理を作って図書館組の帰りを待つのじゃ。
ピッツァにしようかのぉ。マルゲリータとか美味しそうなのじゃ。
帰って来たら、皆で一緒に食べるのじゃ♪

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【設計】をフルに生かし
皆の意見を設計図に反映する

【事前調査】【読書】で大図書館にある建築関係の本を読み漁り
感染対策やその他居住性向上の最新事例を集める
必殺技【勇者司書】の出番だ!

それにとどまらず「優秀経理」として予算案作成に着手
学園内の各種事業補助制度や協力を得られそうな部署やその手段を検討し
口が堅く優秀な事務に詳しい人材として事務職員ウケツ・ケさんを抱き込み
アマルも一緒に詳細な部分を詰める

支出についても徹底して削減を図り
仲間の良い案の実施が持続可能な「保護施設事業計画書」を策定

大図書館に行く仲間がいれば一緒に活動希望
(単独行動希望の仲間を除く)

作業当日は力仕事
日課の修業で筋力も自信あり

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:90 = 60全体 + 30個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
隔離が必要な人物等も入所対象とするならば、施設の許容範囲満杯に収監されることも考えられる。そうなると、現在の調理場では、大量の料理一度に作るのは難しいので、大型の石窯の設置を要望する。調理場に増設が不可能な場合は、外でも構わないが、庭木やハーブ園への影響がないように。できれば、雨よけや渡り廊下等の敷設も希望。 

要望が叶ったなら、家事担当として、主に自分が使うことになるので、こちらの設営に注力する。

石窯が完成したら、試運転を行う。ピッツァや、パイを焼き、施設のリフォームや図書館の調べ物をした者たちを労う。先生方も誘う。

「これで、何十人来ても、一度にパンが焼けるし、おっきなウエディングケーキだって」

ルーシィ・ラスニール 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
プチリフォームを効率的・効果的に行うための支援

◆行動
おらは、設計の図面引きとか、物理学での建物の強度計算とかして、みんなのアイデアをなるべく組み込んでリフォームに反映する手伝いするでよ

羊皮紙さ準備して、前のリフォーム時の図面等を参考に基礎の図面を用意
それに、今回追加する仕切りやドア、水道、トイレ等の上下水道の配管等を、建物の強度を損なわないようにした上で、効率的に配置して居住スペースを十分に確保できるよう図面を引くでよ

今後の増設希望の施設・設備についても、案として図面に書き込み、今後の構想をイメージしやすいように工夫

その後は、資材の寸法や工程等をチェックし、施工ミスが無いよう注意するべ

リザルト Result

●【エリカ・エルオンタリエ】がグラヌーゼで、カサンドラの関係者と行った会話
「カサンドラが、生前魔物や魔族に興味を抱いていたかどうか、ですか?」
「はい。城にまつわる魔物の姿を、何点も絵にされておられましたから……もしかしたら、そういうものに何か思い入れがあるのかと思って」
「……」
「あ、ご存じないならいいんです。ただ、なんとなく聞いてみただけですので」
「……憧れはあったと思います」
「え? 憧れ?」
「彼女は、体が弱かったですから。子供の頃からいつも病気ばかりして、しょっちゅう寝込んで。自分は人並みのことが出来ない、とても長く生きられそうにないと、ひどく塞いでいた時期もありましてね――魔物や魔族は人よりうんと長生きする。ちょっとやそっとでは病気にならないような、強い体を持つ。だから羨ましいと言ってました。時々」

●申請はいつも突然に
 魔法学園フトゥールム・スクエアの校長室。
 このところ考えることが多くて少しお疲れな【メメ・メメル】は、コーヒーに練乳をどぼどぼ注いでいた。
 そこへ前ぶれなく大きな声が。
「校長先生っ! お時間よろしいでしょうか!」
「うおぉ! ……おう、なんだタスクたんか。あー、いいぞ、入ってきても。メメたん暇だし」
 許可を与えると秒で扉が開いた。
 耳まで真っ赤にした【タスク・ジム】がダッシュで走り込み、分厚い封筒を差し出してくる。
「こ、これを読んでくださいっ! この場ですぐ、お返事くださいっ!」
「……おいおいおい告白かよ☆」
 茶化しつつメメルは茶封筒を開けた。
 中に入っていたのは分厚い書類だ。表紙には次のようにある。

===保護施設事業計画書 
 その1:今後の保護案件増加を想定した屋内、屋外リフォームについて。
 その2:委員の追加について
===

 内容を詳細に記すと長くなるので、要点だけを以下に抜粋する。

===
(1):感染症対策のための新たな措置。
 ●感染者と非感染者の分離導線を作るため、可動式の仕切り板、施錠扉等を設置。
 ●上下水道の再整備。
 ●療養指定部屋に消毒スペースを設置。

(2):(1)に付随する措置。
 ●上水道増築による取水設備への負担を軽減するため、貯水タンクを新設する。
 ●収容者の急増に備え、大型石窯設置(調理場へ繋ぐ渡り廊下と屋根も設置)。
 ●療養者の安静のため、療養指定部屋の防音を強化。

(3):防犯のための新たな措置。
 無断進入者の監視を強化するため、見張り台を設置する(正面入り口上部に設置)。

(4):今後の継続課題
 食料、資材の保管。有事の際の防衛人員詰め所。別棟の増設。等。

===
【運営委員会】施設相談役 一名増員(予定)
 学園事務職員某氏に就任を交渉中。
===

「……タスクたん、こういう根回し仕事ほんっとに好きだな? ま、よかろう。全面的に許可!」
 可否をはらはら見守っていたタスクはこの快諾に、ぱああと顔を明るくする。
「あ、ありがとうございますっ!」
 深々頭を下げた後、入ってきた時同様全速力で出て行く。
「忙しい奴だな☆」
 一人ごちたメメルはコーヒーを改めて飲む。疲れの和らいだ朗らかな顔で。

●ビフォーアフター
 今回のリフォームはかなり規模が大きいため、数日にまたぐ作業となった。
 本日は、その最終日。 
 調理場に程近い庭の空きスペースでは、石窯設営の真っ最中。
【ラピャタミャク・タラタタララタ】と【ガブ】【ガオ】【ガル】が、窯の土台となる大きな石を持ち上げ、指定の場所まで運んでいく。【アルフィオーネ・ブランエトワル】の先導によって。
「オーライオーライ!」
 アルフィオーネは終始顔をほころばせている。念願の設備が実現することが、うれしくてならないのだ。
「そうそう、いいわよ。そこで止まって、ゆっくり降ろして――」
 礎石がしかと据えられたなら、お次は窯の作成。専用のレンガを強力なモルタルで繋ぎ組み合わせ、ドームを作っていく。
 その作業の最中に、ラピャタミャクが言った。
「のうアルフィオーネ、この窯、ちと大き過ぎやせんかのう」
「そんなことないわ。私にはちょうどいいくらいよ。これで、何十人来ても、一度にパンが焼けるし、おっきなウエディングケーキだって」
「もちろん汝にはそうじゃろうが、ほかの人間が料理を作らねばならんこともあるかもしれんじゃろ? そのときにこうもプロ使用じゃと、扱いにくい気がしてのう」
 なるほどその意見は一理ありそうだ。
 アルフィオーネは少し考え、手をぽんと打つ。
「なら、練習用として小型の石窯も作っておきましょうか。調理台のスペースを差し引いても、設置する余地はまだあるし」
 そこへノートを手にした【レーネ・ブリーズ】がやって来る。
「こちらの作業はどこまで進まれましたか?」
 彼女は、改装した施設の見取り図を作成している。今後施設に傷病者を受け入れた際のマニュアルを、きちんと作っておくために。
 ひとまず小窯追加設置の件は、そのノートにつつがなく記録された。
 この後ラピャタミャクたちは、貯水タンク設置のヘルプに回る。仕上げはアルフィオーネに任せるとして。

 療養指定部屋には、二重扉が取りつけられた。手洗いのための洗面台は、扉と扉の間に作ったスペースに設置されている。
 工事を担当したタスクは、出来栄えを確認した。
 もともと余地がないところに無理やり空間を増設したので、部屋の内側にぽこんとした出っ張りが生まれている。正直、あんまり見目はよくない。
 だが重要なのは見た目より本質だ。
 そのように割り切ったタスクは、防音板の貼り付け作業をしているエリカに尋ねた。
「部長、この後どうされます? 僕はカサンドラさんたちの手伝いをしに行くつもりなんですが」
「そうね……カサンドラさんここのところ体調が悪いって聞いたから、一応顔を見には行くわ。でも手伝いまでは出来ないわね。私個人で調べたいことがあるし……」

 貯水タンクは施設の直近に設置されることになった。
 まずタンクを支える台を作る。
 地面を掘り下げ、固め、頑丈な太い柱を突き立てる。柱の間へ斜めに補強材を通し、構造を強化。周囲を板で覆って壁を作る――この上部にタンクを設置するのだ。
 ホバリングしている【ドリャエモン】が台の上へ、金属製の貯水タンクを下げ降ろしていく。
 【ラビーリャ・シェムエリヤ】が工具を手に、誘導を行う。
「ドリャエモン先生、そのまま真っすぐ降ろしてください。ゆっくり、ゆっくり」
 狼ズとラピャタミャクは、タンクを下で受ける役。
「これ、少人数でやる仕事じゃねえだろうよ……」
「くそー、アマルの野郎」
「こうと知ってたら俺たちだって来なかったっての」
「汝ら、ぶつぶつ言うでない。アマルはさぼっとるわけではないぞ。別件の仕事を受けておるのじゃ」
「なんだよそれ」
「あちきにも汝らにも向かん仕事、地味で地道な調査依頼じゃ。今頃は図書館で難しい活字とにらめっこしておるじゃろうて」

 【トマシーナ・マン】は犬、そして【ミラ様】と一緒にリフォーム工事を見回っていた。皆がとても面白いことをしているように思えて。
 そして庭先で【ベイキ・ミューズフェス】が、取水管のバルブを閉めているのを見つけた。
 なにしているのかな、と近づく。そしてベイキの傍に、見慣れない少女――【ルーシィ・ラスニール】がいるのに気づく。
 ルーシィは耳に羽ペンをはさみ、建物の構造が細かく書き込まれた羊皮紙に、何か書き込んでいた。
「あなた、だあれ?」
 声をかけられたルーシィは手を止め、眠たげな目を瞬かせる。
「おらか? おらはルーシィつうもんだべ。ベイキの――後輩だべ。な? ベイキ」
「ええ、そうです」
 実際は親子なのだが、二人はそうと言わなかった。トマシーナたちが両親を亡くしたことを思い出し、寂しがるだろうと思って。
「そうなんだ。わたし、トマシーナ。よろしくね、ルーシィちゃん。ねえ、べいきねえたん、なにしてるの?」
「これから、お水を通す管を直すんですよ。作業する間お水が噴出すといけないから、元栓を締めているんです」
「ふうん」
 そこで犬がワンワン吠え始めた。上を向いて。
 トマシーナも顔を上げた。
 そして屋根の上に、【トーマス・マン】と【朱璃・拝】がいるのを発見した。
「あ、にいたん! しゅりねえたん!」

 施設入り口の上部。
 屋根の上に設置されたのは、見張り台。
 柱と屋根だけの構造で、四方は吹き抜け。他に高い建物がないので、周囲がよく見渡せる。出入りは建物の中から、梯子を使って行う仕組み。
 そこにトーマスと朱璃が、台座つきの望遠鏡を据え付けている。
「トーマス様、職員見習いとしてしっかりお手伝いお願いしますわね!」
「うん――でもさ、それはいいんだけど、この望遠鏡どこから持ってきたの?」
「アマル様が寄付してくださったのですわ。天体観測用のものだそうで」
 そこへ梯子を伝って、トマシーナとミラ様がやってきた。
「にいたん、なにつくってるの? わたしもなんかする。なんかしたい」
 せがむトマシーナに朱璃は、ペンキのハケを握らせてやる。
「それでは、一緒にお屋根を塗りましょうか?」
「うん!」
 それからミラ様を見上げる。
「ミラ様。見張り台の仕上がりの程、ご確認していただけますか?」
 ミラ様は浮かせ持っていた単語帳から、『よろしい』の文字を出して見せた。

 上天気の中、工事はすらすら進んでいく。
 目処が付いたところで、朗らかなアルフィオーネの声がした。
「みんな~一旦休憩にして、お茶にしましょう」
 エリカ、タスク、並びにベイキはこの後、一旦図書館へ向かった。それぞれ調べものをするために。

●図書館で見つけたもの
 【アマル・カネグラ】は意気揚々と、本の山を指差した。
「一応ですね、皆で『ノア一族』『指輪』の両単語が載っているものを片っ端からえり分けたんです」
「……こんなにあるの?」
 思わず知らず出たタスクの言葉に【ルサールカ】が答える。
「はい。真偽についてはまだチェックしておりませんが」
 すました彼の横顔にエリカは、こちらへ来る前にアルフィオーネから聞かされた『彼は信用ならないから、注意するように』との忠告を思い浮かべた。
(カサンドラさん、やつれが増しているみたいね)
 もとからそういう容姿をしてはいたが、ここのところそれがなお加速しているようでならない。
(……下手に成果を急いだら、カサンドラさんが消滅するように、呪いの罠が仕掛けられているのかも)
 いやな推測を頭によぎらせながらエリカは、【カサンドラ】に休息を勧めた。
「カサンドラさん、朝からずっと作業しっぱなしなんでしょう? 少し休んだらどうかしら。あまり無理をすると、また寝込むことになりかねないわ。後はわたし達に任せてちょうだい」
 実際疲れていたのだろう。カサンドラは提案を素直に受け入れた。
「そうですね……それじゃあお言葉に甘えて……少し、仮眠を取らせてもらいます」
 と言って、机に突っ伏す。
 タスクはそのままアマルたちと、指輪の資料を読み込みにかかった。
 エリカは場を辞し、ノア一族についての詳細や、呪いについての資料を探す。呪いの仕組み、組み換え、引いては解除方法の手掛かりが少しでもないものかと。
(黒犬は元に戻れたら、赤猫を殺そうとするのかしら? また、わたしたちや他の人々に危害を加える可能性もないとは言えない……)
 だからといって殺してしまえと言うのも、彼女には違う気がしていた。
 なんとかそれぞれの幸せを目指せないだろうか。甘い、いい気な考えかもしれないが、それでも。

 ベイキはタスクたちに先んじて、呪いにまつわる神話や伝承を調査していた。過去に、カサンドラと似たような状況に陥った人間がいないものかと。
 その中で彼女は、一つの小さなエピソードに行き当たる。
 期待していた情報とは違うが、それでも、見過ごすことが出来ない内容だった。
『――グラヌーゼに従軍せし騎士は、燃えくすぶる地にて美しい指輪を拾い、妻への土産にした。
 妻は喜んで指輪を受け取り身につけた。
 その数日後突如姿を消した。
 騎士は八方手を尽くし探した。
 彼女は、グラヌーゼの焼け跡にいた。騎士がかつて指輪を拾った場所に座り込んでいた。正気を失った有様で。
 騎士は異変の原因が指輪であると見て、それを外そうとした。
 だが引けば引くほど指輪は締まる。
 その挙句妻の指は、とうとう千切れ落ちた。
 指輪はそのまま地に沈み込み、消えた――』

 タスクはノアの絵にあった指輪の造作を思い浮かべる。
 蔦が絡まったような優美な形。乳白色。宝石などは一つもはめ込まれていない。
(でも、そういったことはあまり参考にならないかも。指輪は一つにされる時、形を変えているはずだから。とはいえ、そうそうかけ離れた造形にはしないはず……)
 タスクの期待を嘲弄するかのように、資料にある指輪の図柄はどれも、ふんだんに宝石が使われていた。デザインもこの上なく手が込んでいて、華麗で。
(どうも望み薄かなあ……)
 多少弱気になりながら、資料を読み進めていく。
 そして、ふと目を止める。ほかの指輪の説明文の最後へ、おまけのように付け加えられていた一文に。
『――かくして我が先祖は、グラヌーゼよりこの指輪を持ち帰られた。その際、次の逸話あり。祖は、この指輪とともにもう一つ、指輪を持ち帰られた。その指輪には文様もまた宝石もなかったが、見目麗しき輝きに満ちていた。しかしてその指輪は、当家に災いをもたらした。わが祖は忌まわしきものとして、その指輪をかの地に打ち捨てた――』

 エリカは思わず二度見した。呪いにまつわる以下の文章について。
『呪いの対象を自分から他人にすげ替えることで、その難から逃れるという考え方がある。現在においてこれは不可能なことであるとされているが、魔王が存在していたいにしえには、そのための邪法が多く存在していたらしい。それを確立したのはノア一族と言われているが、全てが今では時の彼方。確かめようのない事柄だ。』
 
●ビフォーの後で
 日が落ちた。
 図書館へ調べ物に行った面々は、まだ帰ってきていない。
 夜を暖かい春風が撫でている。

 ルーシィは建物内を巡り、リフォームの強度や施工状況を最終確認していた。
「よし、洗面台通水異常なし、水漏れなし。これで点検全て終了だべ」
 一仕事終えた彼女は窓に目をやる。
 月のない星空が一面に広がっていた。
「ありゃ、もう夜になってたべかー。うっかり気づかんかったべ」

 貯水タンクの傍ら。
 ラビーリャがレーネに話しかけている。
「……じゃあ、感染者が出た場合は、症状の重さに準じて、エリアごとに隔離――こういうことでいいんだね?」
「はい。どうしても必要なときは部屋の移動をお願いするとかもありえますけど。運用は臨機応変に、ですが、いまは準備のときです。非常時の連絡先を明確にして、情報もしっかりと管理してもらさないように。わたくし自身でもその立場でなければ、保護対象者の秘密をしらさないようにしてもらいます――」
 いかにも完璧主義らしい言葉だ、とドリャエモンは思った。その上で聞いた。
「……トーマスたち以外の施設保護者について、まだお主は公式に知らされてないわけだが、このままでいいのかの?」
「はい。必要なときが来るまでは。わたくし自身が今言った情報の扱い方についての、模範となりたいですから」
 そこにトーマスがやってきた。
「アルフィオーネさんが、皆そろそろ点検を切り上げてって。もうじきカサンドラ先生たちが戻ってくるだろうから、一緒にご飯をって――ルーシィさんは?」
 レーネが質問に答える。
「ああ、ルーシィさんならまだ、なかで水回り点検をしています」
「そう。じゃあ呼んでくるよ」

 大窯を覆う屋根の梁には、ミラ様が陣取っている。そのおかげで夜でも、あたりは明るい。
 窯の中では火が燃えている。
 そこへ薪をくべている狼ズが、朱璃に零している。
「疲れたー」
「腹減ったー」
「もう桜餅ないのか?」
「ありませんわよ。あなたがた、おやつの時間に全部食べてしまったではありませんの。私、幾らか残してまた後で食べてはどうかと申しましたのに」
 すげなく返した彼女は、足元にいる犬の頭を撫でてやる。
「そろそろこの子にも、名前が要りますでしょうか……」
 アップルパイを作り終え、ピッツアに取り掛かっていたアルフィオーネが、その呟きに反応した。
「あなたは、どんな名前にしたいの?」
「『タロ』を提案しますわ。昔とても寒い所で活躍した犬の名前ですの。もう一頭『ジロ』がいれば完璧なのですが。アルフィオーネ様は、何か案がございますか?」
「そうねぇ。ノワールなんて、どう? でも、トーマスがつけてあげればいいのではないかしら?――ラピャタミャクは何か、つけてあげたい名前はある?」
「そうじゃなあ……特には思い浮かばんの。狼ズはどうじゃ? 言うてみい」
「ポチ」
「アカ」
「ワン太郎」
「なんじゃい、揃いも揃って月並みな」
「言えっていったのお前じゃねえか!」
「文句つけんじゃねーよ!」
「腹立つな!」
 そこでトマシーナが言った。
「わたし、たろがいいとおもうの。よびやすくて、かわいいかんじ。ね、たろ」
 犬はトマシーナの顔をじいと見て、尻尾を振る。
 どうやら思いのほか、『タロ』が気に入ったようだった(ちなみに犬の名前については、この後ベイキから、『メッセ』、『ジャー』という案も出されたが、最終的にやっぱり『タロ』で確定することとなった)。
 続いて彼は鼻を鳴らし尾を振った。施設に帰って来た一同の足音と匂いを察知して。

 人の気配を察し、ルーシィが振り向いた。
「おお、トーマス。なんか用だべか?」
 トーマスは奇妙な顔をして、後ずさりする。
「……え? あの、あなた誰ですか?」
「誰って、おらはルーシィだべ――」
 と言いかけた彼女は洗面台の鏡に視線を移し、びっくりした。自身が、胸囲が脅威的な10代半ばの姿となっていたから。
 ――後で考えればその変化は、ミラ様の力と何ほどかの自然現象が絡み合った結果だったらしい。帰る段になって施設の外を出た途端、姿が元に戻ってしまったのだから。





課題評価
課題経験:60
課題報酬:1500
ミラちゃん家――プチ・リフォーム+α
執筆:K GM


《ミラちゃん家――プチ・リフォーム+α》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2021-03-16 06:10:41
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。
前回はこれなかったけれど、今回は図書館などで文献にあたってみて
調査で役に立てればと思っているわ。
よろしくね。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 2) 2021-03-16 06:15:10
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
さて、リフォーム回ですね。力仕事は苦手ですが、水回りの作業や設計では水質学の知識が活かせるかもしれませんし、その辺を中心にお手伝いしようかと。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 3) 2021-03-16 07:33:09
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。
いろいろな事情があるひとをそれぞれに配慮してうけいれられるようにできたらいろんな課題でたすけてあげられるとおもいます。
おおきくしめすことはできないですけど、図書館とかにならぶような学園の重要施設にしたいです。


よろしくおねがいします。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 4) 2021-03-16 19:20:04
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。

リフォームですわね。力仕事はお任せ下さいませ。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 5) 2021-03-18 08:08:16
そう言えば、感染症への対策を行うなら、入浴施設やシャワー等設けるならば、健康な方と患者用の設備を分けた方がいいでしょうか。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 6) 2021-03-18 08:38:03
遅刻帰国~~!
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。よろしくお願いいたします!

最近お休みぎみですみません。

建築ならば、技能を持っておりますので、それがしにお任せあれ!

…たはは、最近大図書館の異世界蔵書で面白い本を見つけまして、
つい台詞が出ちゃいました!

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 7) 2021-03-18 18:57:01
>設備をわける
そうですわね、感染を防ぐならその方がよいかもしれませんわね。

それと、感染症の方に入って頂くお部屋にワンクッション出入りする際に消毒などを行うスペースもあった方がよいでしょうか?廊下からお部屋へ直接出入りしない方がよいかもしれませんので。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 8) 2021-03-19 07:46:24
>施設を分ける
そうなると、限られたスペースの活用に、効率的な配管、動線確保が必要ですね。
作業前にしっかり構想を練って、図面を引いておかないと。

あと、施設内に配管を引き込むならば、水源も検討し直した方がいいでしょうか?
高所から水を引けたら、その水圧で水を流せないかなと思ったり。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 9) 2021-03-19 07:50:55
ああ、でも離れた水源だと、外敵から毒を投げ込まれたりしたら面倒ですよね。
やはり、水源は敷地内の井戸が安全かな……ミラさまのご加護もあるかもですし。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 10) 2021-03-20 08:41:21
教祖・聖職専攻のアルフィオーネ・ブランエトワルです。どうぞ、よしなに。

施設の許容量満杯に保護対象が増加した場合、いまの調理場ですと、あまり大量の料理を作れないので、大型の石窯の設置を要望しようかと思っています。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 11) 2021-03-21 08:24:07
保護対象増加を見込むなら、食料や資材の保管庫や、有事の防衛人員詰所、保護対象を一ヶ所に集められる避難所等に利用できる別棟の増設なんかも、今後は考える必要が出てくるかもしれませんね。
今回のリフォームで、今後の増設等にも対応できるように動線等確保の下準備をしておくのもいいかもしれませんね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 12) 2021-03-21 08:59:03
おはようございます!
なかなか会議に顔を出せなくてすみません。

皆さんが良い案をたくさん出してくださってるので、
僕はそれを事業計画書にまとめ、上に交渉するという
お役所的なアクションにしてみますね!

味方として、口が固くて優秀な事務員ウケツ・ケさんに
協力を仰ごうと思ってます。

あとは、力仕事も担当する旨、忘れずに書いておきますね。
鍛えてますから!

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 13) 2021-03-21 12:09:03
色々案がでていますわね。あとは暴力的に保護対象を連れ帰ろうとする人を素早く確認できるように、屋根に見張り台があってもいいかもしれないと思いましたわ。

それと、使いの犬に何か名前をつけてあげるのでしたら各々持ち寄ってトーマス様やトマシーナ様に選んでいただくという感じでよいでしょううか(具体的にはマスター様がサイコロで選ぶ?)

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 14) 2021-03-21 14:23:57
見張り台いいですね!
不審者を見つけてそのままジャンプして駆け付ける朱璃さんが目に浮かぶようです!

こちらは、大図書館で調査、ウケツさんに協力依頼、みんなの案を盛り込み計画策定、それをメメル校長に直談判、というプランをかきました。

すみませんが、(中の人が)動けるのはこれが最後になりそうです!
今回も素晴らしい案がたくさんでましたから、きっといい結果になりますよ!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 15) 2021-03-21 14:25:28
犬の名前ですね?
そうですねー僕ならシンプルに、黒にまつわる名前をつけますかね。
くろ、クロ、ブラック、シュバルツ…

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 16) 2021-03-21 14:25:38

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 17) 2021-03-21 14:29:59
黒…漆黒…漆黒で犬といえば、地獄の番犬が常道。
敢えて外すとするならば、犬であれば身体的特徴、すなわち
爪や牙を強調した名付けも一興。

例えをあげるとするならば…

【地獄の扉を喰い破りし漆黒の闇双牙】その名も…


(はっ、と我に帰り)

…あの、ぼく、何かへんなことをいいましたか?

…わ、忘れてくださ~~い!(ダッシュ)

※以上、ちょっとした中2ロールプレイでした!

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 18) 2021-03-21 14:30:18
見張り台は私も考えてはみたんですが、空からの敵や屋根伝いに侵入してくる敵の侵入経路にもなりかねない……とも思ってたんですよね。
だから、どうすべきか少し悩んでました。

まあ、侵入の可能性があるなら、見張り台に誰も居ないときは内側に鳴子でも仕込んでおいて、誰かが屋外から侵入したら音で知らせるような仕掛けを組めば……なんとかなりますかね。

《人間万事塞翁が馬》 ラピャタミャク・タラタタララタ (No 19) 2021-03-21 17:14:15
らぴゃたみゃくたらたたららた!
挨拶が遅くなったがよろしくなのじゃ。

あちきは狼ズと一緒に力仕事を担当するつもりなのじゃ。

《新入生》 ルーシィ・ラスニール (No 20) 2021-03-21 21:54:07
おらぁ、賢者・導師コースのルーシィいうだ。出発間際だけんど、よろしく頼むだよ。
おらは、設計の図面引きとか、物理学での建物の強度計算とかして、みんなのアイデアをなるべく組み込んでリフォームに反映する手伝いするでよ。

そん後は、図書館さ行くか、リフォームが済んだ施設のチェックするか思案中だべ。
ちゅうても、今回はプチリフォームちゅうことだで、大掛かりなリフォームは出来んじゃろうなあ。工期は精々……長く取ってもカサンドラさの調べモンが済むまで位かもしれね。

じゃから、大規模な工事は今後になるじゃろうなあ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 21) 2021-03-21 21:54:43
空からの敵は脅威ですね!
いっそバリスタでも付けるかってなりかねないけど、それも何か違う気がしますし(悩)

狼ズがいれば、力仕事は早いかもしれませんね。
やるとなったら意外と手を抜かないみたいですし、ラピ子さんが監督してくれるなら安心です!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 22) 2021-03-21 22:02:03
おっ、この時間に満員御礼おめでとうございます!

夜に意外と時間が取れたので、何かあったらいけないので
巡回してみました!

皆さん、プランの出し忘れには十分注意しましょう!

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 23) 2021-03-21 22:19:49
プランは提出しましたわ。空や屋根伝いの侵入はあるかもですが、その場合は窓も危ないでしょうしそれも含めて問題がありそうなら都度改修でよいかも?

一応双眼鏡や望遠鏡はアマル様のお宅に不要な物がないかな?という事で書いておきましたが。

私はリフォームにかかりきりという事になりそうですので、図書館での調べ物はお任せする事になりそうですわ。

あとは作業中のおやつに桜餅を作っていきますわね。

《新入生》 ルーシィ・ラスニール (No 24) 2021-03-21 22:36:09
おらも行動提出済みだべ。
ちょっと調査までは手が回らねえ。リフォーム後の検査とか通水試験とか盛り込んでやってたら、夜になっちまいそうだでよ。