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春とくれば、お花見


ストーリー Story

 空は白みを帯びてかすみ、水はぬるみ、野に花は咲き――本格的な春がやってきた。
 この季節にはどうしても、人間浮かれ調子になる。外に出て、楽しいことがしたくなる。
 学園においてもそれは例外ではない。
 『リリー・ミーツ・ローズ』の一角にある桜の園では今、大規模なお花見が行われている。
 参加しているのは学園関係者+外部から来た人間多数。『あらゆる方面からの飛び入り参加歓迎』がコンセプトなのだ。
 楽しみ方は人それぞれ。飲めや歌えをわいわいやりたい、花より団子をたらふくやりたい、好きな人とこの機に乗じて親睦を深めたい、一人で春の美しさを愛でたい――いずれも行えるだけのスペースが、桜の園には十分確保されている。

●学生達はにぎやかに
 花見会場の中でも最も賑やかな一角。来場客を当て込んだ飲食屋台がずらり乱立している場所。
 花より団子派に属する【アマル・カネグラ】は、鯛焼きがはちきれんばかりに詰まった紙袋を持参し、場に来ている。
 彼の周囲には結構な数の生徒達がいた。
 ぱっと見て圧倒的に女性が多い。多分本人が、そちらに重点を絞って声をかけたのだろう。
「わー。桜満開。きれーい」
「アマルくん、ほんとになんでもおごってくれるの?」
「うん、いいよ。皆思う存分楽しんで行ってよ」
「きゃー、ふとっぱらー♪」
「ありがとー♪」
「やっぱり育ちがいい子は違うわねー♪ 体中から余裕が滲み出てるわ♪」
「今度こういう機会があったらまた声をかけてよね♪」
 抜け目なき行動力を備えた女性の幾人かは、アマルへボディータッチを乱発した。アマルの鼻の下の伸びること伸びること。ピンク色の垂れ耳をぱたぱた、くるりん巻いた尻尾をふりふり。
「うん、絶対声をかけるよ♪」
 そんな光景を苦々しげに見ている人(おおむねモテない男子)達もいないではないではないが、誰もアマルにちょっかいをかけようとしない。理由はアマルが、外見に全く相応しくない豪腕の持ち主だから。
 本人に聞こえぬよう舌打ちしまくるのが、せいぜいといったところ。
「チッ。なにが『余裕が滲み出てる』だよ。滲み出てるのは脂肪だろ」
「なあ。金があるからってよくあんなチビデブにくっついて行く気になれるよな」
「ろくな女どもじゃねえよ、あそこにいるのは」
「俺たちはあんな腐った女願い下げだよな。もっと性格のいい、男を外見や財力じゃなくて、中身で評価してくれる子がいいよな」
 
●おじいちゃんとピクニック
 【ドリャエモン】は花見へ、【トーマス・マン】と【トマシーナ・マン】を連れ出した。呪いや黒犬といった不穏な問題から一時離れさせ、のんびり過ごさせてやろうと。
 何と言っても両者まだ子供なのだ。施設へ来るに至った経緯を考えれば、そういう機会は、なるべく多く作ってやりたい。

 家族連れらしき姿の人々が多く見受けられる一角。
 トマシーナは咲き誇る様々な品種の桜を見上げ気もそぞろ。どうかすると一人先走って進もうとする。
 ドリャエモンとトーマスは、それを止めるのに忙しい。
「トマシーナや、あまり離れてはいかんぞ」
「はーい、おじいちゃん」
「トマシーナ、勝手にどこかへ行っちゃ駄目だ。人が多いんだから迷っちゃうよ」
「はーい」
 そうこうしながら三人は、特別大きな枝垂れ桜の所まで来た。
 木の根方に敷いてある花ゴザに、恰幅のいい着物姿の夫人が座っている。
 外見年齢は初老。種族はドラゴニア――何を隠そう彼女は、ドリャエモンの妻だ。その名は【ドリャコ】と言う。
「あなた、こっちですよ」
「おお、もう来ておったか」
「ええ。場所を取られてはいけませんもの。その子たちが、トーマスと、トマシーナですか?」
「そうじゃ。トーマス。トマシーナ、この人がわしの奥さんじゃ。お前達にとっては義母となる――わしが『おじいちゃん』じゃから、『おばあちゃん』と呼べばよかろう」
 トーマスはドリャエモンと同じぐらい大きさと横幅のある相手に、しゃっちょこばって頭を下げる。
「始めまして、ドリャコ――さん」
 彼もいささか照れが入る年頃。初対面の相手をいきなり『おばあちゃん』とまでは呼べなかった。
 しかしトマシーナは全然てらいがない。
「はじめまして、おばあちゃん! わたし、とましーな!」
 力いっぱい友好を宣言し、頼もしきお腹に飛びつく。
 ドリャコは一ミリも動じず、ほほほと上品に笑った。
「こちらこそ初めまして。これからよろしくね、トマシーナちゃん。トーマスくん。さあさ、何はともあれ皆座って頂戴。お弁当を作ってきてますからね。一緒に食べましょう。桜餅もあるのよ」
「それはありがたいのう。トーマス、トマシーナ、おばあちゃんはとても料理上手なんじゃぞ」

●ほんのちょっとの立ち話
 【ガブ】【ガル】【ガオ】は花見に出かける道中で、【セム・ボルジア】に呼び止められた。聞けば、学園長と少し話があったので、学園に立ち寄っていたのだとのこと。
 あなたたちに会えたのは真に都合が良かった。そんなことを言って彼女は、こう続ける。
「そのうちまた依頼をしたいと思うのですが、かまいませんか?」
 三兄弟は心なし不安そうに顔を見合わせ、セムに聞いた。なるべく自分たちがびびっていると見えないように。
「そりゃいいけどよ」
「望むところだけどよ」
「それ、赤猫関係か?」
 セムは気さくな様子で『ええ』と答え、軽い調子で続けた。
「あの後私、独自に調査しましてね。その結果赤猫は、接し方さえ間違えなければ対応可能な相手だと結論づけました」
 結論づけましたと言われても……な表情をするガブたちへ苦笑を示し、ここだけの打ち明け話をするみたいに声を潜める。
「大丈夫、あなたたちには危険がないようにしますよ。可能な限りね」

●今日はお留守番
 ドリャエモンがトーマスとトマシーナを連れ出したので、本日保護施設には【カサンドラ】と【ミラ様】しかいない。
 カサンドラは窓辺に座り、所在なげに庭を行き来するミラ様を眺めている。そして、ぽつりと呟く。
「静かねえ……」
 庭に植わっているリンゴの花は、蕾は丸く膨らんでいる。もうそろそろ開きそうだ。






エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-04-06

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2021-04-16

登場人物 6/8 Characters
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《ビキニマン》ソフィーア・ル・ソレイユ
 ドラゴニア Lv12 / 武神・無双 Rank 1
生き別れたパートナーを探して、学園にやってきた、ドラゴニアの少女。 金髪ゆるふわカールのロングヘアー。前髪をひまわりのヘアピンで左にまとめている。褐色肌の筋肉質で、無駄な肉は一切ないのにバストとヒップはかなり豊か。大きな翼と長い尾。火柱のような角。後頭部から下顎、鎖骨辺りまで、サンライトイエローの鱗が覆っている。 いかにも女の子らしい容姿だが、性質は男性的で、なぜ、胸に目が入らないのか、よく、男性に間違えられる。 実直で騎士道精神にあふれている。だが、敵にたいしてはわりと容赦ない。闘争本能が強く、戦いを、とくに強者との対峙を好む。そのため、いつでも戦えるよう、入浴中以外は、ビキニアーマーを着込んでいる 武器収集癖があり、手入れを決して怠らない かなりの大食漢。なんでもおいしそうに食べるが、中でも『地球』で食べた、ラーメン、炒飯、餃子が大好き。彼女曰く、『”食”の宇宙三大至宝』であるとか。 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを貫くために、日々鍛錬を欠かすことはない 諸般の事情で偽名 ある人物に、ずっと片思いをしている。勇気がなくて、告白はしていないが、それとなくアピールはしている。 酒乱なので、酒を飲ませてはいけない
《人間万事塞翁が馬》ラピャタミャク・タラタタララタ
 カルマ Lv22 / 魔王・覇王 Rank 1
不気味で人外的な容姿をしたカルマの少女。 愛称は「ラピャ子」や「ラピ子」など。 名前が読み難かったらお好きな愛称でどうぞ。 性格は、明るく無邪気でお茶目。 楽しいと面白いと美味しいが大好き。 感情豊かで隠さない。隠せない。ポーカーフェース出来ない。 そしてちょっと短気なところが玉に瑕。 ギャンブルに手を出すと確実に負けるタイプ。 羞恥心を感じない性質で、露出度の高い衣装にも全然動じない。 むしろ前衛的なファッション格好いいと思ってる節がある。 戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法。 昔は力に任せて単純に暴れるだけだったが、 最近は学園で習う体術を取り入れるようになったらしい。 しかしながら、ゴリ押しスタイルは相変わらず。 食巡りを趣味としているグルメ。 世界の半分よりも、世界中の美味しいモノの方が欲しい。 大体のものを美味しいと感じる味覚を持っており、 見た目にも全く拘りがなくゲテモノだろうと 毒など食べ物でないもの以外ならば何でも食べる悪食。 なお、美味しいものはより美味しく感じる。Not味音痴。 しかし、酒だけは飲もうとしない。アルコールはダメらしい。 最近、食材や料理に関する事を学び始めた模様。 入学までの旅で得た知識や経験を形に変えて、 段々と身に付いてきた…と思う。たぶん、きっと、おそらく。

解説 Explan

今回は、ちょっと休憩。日常エピソード。
皆様、したいことをしてください。思い思いに春を楽しみましょう。
NPCへの絡みは自由です。聞きたいことがあれば、遠慮なくどうぞ。
花見とタイトルにはありますが、それには参加せず別のことをするというプランもアリです。
アマルはいつものごとく、気軽に散財しております。
ドリャエモンの連れ合いさんが登場いたしました。(体形が)似たもの夫婦なようです。
セムがちらっと姿を見せています。彼女は花見には参加しません。狼兄弟との会話の後、さっさと帰る所存です。
カサンドラはミラちゃんと一緒に、施設でお留守番しています。












作者コメント Comment
Kです。
今回は、お休みの回。
今日この日だけは難しいことを一時棚上げ。
それぞれの春をお楽しみください。





個人成績表 Report
朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
私は施設へ参りますわ。向こうで食べようとお弁当とお菓子を作っていきますわね。お菓子は事前にトーマス様達にも持たせますわ

施設につきましたらパーシア様もおられるようですのでお茶をする際持ってきたお菓子を提供いたしますわ。それとお弁当も。魔法鞄に入れておいたので鮮度も温度も大丈夫ですわね

カサンドラ様にはお体の調子や何か必要な物がないか尋ねますわ。こう、女性に必要な物があれば買ってきますし。トーマス様達がいると言い難い事もあるかもしれません。何にせよ呪いの事は今日は話題にせず楽しい会話をしましょう

ミラ様には、途中で集めてきた桜の花びらを以前作ったベッドに飾り付け、春の雰囲気を楽しめるように致しましょう


レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
『リリー・ミーツ・ローズ』でのお花見をおてつだいします。

はしっててころんじゃったこどもさんやおさけをのみすぎちゃってけがしちゃったひとの手当をさせてください。

装備した楽器「天使の歌」で「風の旋律」を使い、おけがをなおします。

またひどいけがでしたら種族特性の「言の葉の詩:ラブ・キャロル」もつかいます。


もちろん、メインは医務室の先生や教祖・聖職コースのみなさんです。
緊急時にはペットのフクロウさんに手紙をはこんでもらったりして連携し、
そちらからの指示にはぜんぶしたがいますね。

怪我した人がいないときは用意した魔法学園パンフレットでご案内もします。

ただ、開放区域と立ち入り禁止区域はきちんと分けますね。

パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:75 = 50全体 + 25個別
獲得報酬:1500 = 1000全体 + 500個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
私は保護施設に行って、カサンドラさんとミラさまと一緒にお茶でも飲もうかしら
大人だけになりそうなら、お酒も持ち込むけど

◆お茶会?
チョコやお茶、お酒を持ち込み、林檎の木や庭のハーブの花が見える場所でお茶会を
カサンドラさんに作品の進捗や体調、トーマスさんの腕前が上がってるか等々、最近の様子を尋ねてみたり、ミラさまにお菓子を勧めてみたりとカサンドラさんの息抜きを

カサンドラさんの性格だと、大分根を詰めて……創作に励んでるんでしょうし
気持ちはわからなくも……ないけどね

カサンドラさんも呑みたいようなら、たまには日の高い内から呑んでみる?
お酒って、本当に吐き出したいことを吐き出させてくれる薬でもあるのよ

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
同行者:ソフィーア・ル・ソレイユ

ドリャエモン夫妻に挨拶。改めて、トーマスたちの里親に、名乗りを上げてくれたことに感謝を述べる。その後、活性火山:「フラマ・インペトゥス」で待っている、ソフィーアのもとへ向かう。

ソフィーアと訓練を行う。

龍の翼、大翼による飛行と立体機動Iで攪乱し、隙を狙う。死角からの白麗の閃光、ウィークアタック、龍撃爪、龍尾の一撃。

相手がこちらの動きに順応し、隙が出来ないのなら、聖鎖陣の効果による、足枷を狙う。

とどめは
エンジバの加護:A+灼けつく息吹もしくは、緋炎の閃光


訓練終了後は、まず、リーライブ、簡易救急箱などでお互いを治療。予め用意していた、弁当を食べながら、会話


アドリブA

ソフィーア・ル・ソレイユ 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
同行者:アルフィオーネ・ブランエトワル

活性火山:「フラマ・インペトゥス」で待ちあわせて、余人の目を避け、実戦形式で、特訓を行う。

本気で相手を倒すつもりで戦う

対黒犬、赤猫を想定した訓練のため、獣じみた戦い方を心がける、また、正々堂々とは戦わない。投擲(小物)を用い、小石や砂を投げつけるなど、ダーティーな手も使っていく。

「魔物が、正々堂々と戦うわけないからな」

相手の動きをよく見、反撃主体。必殺技には必殺技で対抗。決めにくる気配を感じたら、あえて龍の翼で飛び込み、身代わりウサギ改で回避。部分硬質化で強化した、龍撃爪。追撃で真中正拳突き。かわされたなら、旋体脚。

戦闘終了後、弁当にがっつく


アドリブA

ラピャタミャク・タラタタララタ 個人成績:

獲得経験:60 = 50全体 + 10個別
獲得報酬:1200 = 1000全体 + 200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
花見をしながらグルメを楽しむ

■行動
今日は黒犬赤猫の呪いの件は忘れて、パァーッと楽しむとするのじゃ。

買い込んだ屋台グルメを抱えて、適当な場所を陣取って花見をしながらグルメを楽しむのじゃ。
う~ん、どれも絶品なんじゃ~♪
くふふっ、このためにあちきは生きておると言っても過言ではないのじゃ~♪

しかし、ちと買い過ぎたかのぉ?
一人で食べるには些か多くなってしまったようじゃ。
こういうときは、誰か居れば誘って一緒に食べるとするのじゃ。グルメは皆で楽しんでこそじゃ。
たぶん狼ズとか暇してるじゃろうし、見かけたら声を掛けてみるのじゃ。
お~い、汝等も一緒にグルメを食べんかの~?

リザルト Result

●春・爛漫。
 湧くがごときに咲き誇る桜並木の下、紫色の小柄な人影が叫ぶ。
「春じゃ、花見じゃ、グルメなのじゃーーーっ!」
 誰かと思えば【ラピャタミャク・タラタタララタ】だ。
「らっぴゃぴゃ♪ らっぴゃぴゃ♪ らっぴゃぴゃのぴゃ~♪」
 鼻歌混じりに彼女が向かうのは魅惑の屋台ゾーン。絡み合った香りが、音が、色彩が、食欲を最高潮に刺激する。
「さーて、どれからやっつけてやろうかのう」
 まず最初に目に入るのは『おだんご』の上り旗。
「……三色、よもぎ、みたらし……どれも良きじゃな♪ あんこももちろん良きものじゃ♪」
 続いては『桜餅』の上り旗。
「桜餅もいいのぉ。長命寺、道明寺……どちらも良きじゃ♪」
 続いて屋台定番の揚げ物や粉物――唐揚げ、フライドポテト、たこ焼き、お好み焼き、鯛焼き、フランクフルトにメンチカツ、コロッケ、タコス、その他諸々。
「良き良きじゃのぉ♪」
 ラピャタミャクは買う。買って買って買いまくる。その結果、とてつもない量の荷物が出来たが、彼女にかかれば屁の河童。ひとまとめにして楽々担ぎ、腰を落ち着けられる場所探し。
「どのへんがいいかのお」
 辺りを見回してみたところ、【アマル・カネグラ】の姿が目に入った。なにやら女生徒の一群に囲まれている。
「アマルくん、これ買ってー」
「あ、あたしも買って買ってー」
「うんいいよー」
 その花やいだ一団の輪の外に、固まって恨めしそうな目を向けている男子たちの小さな群れ。
(おお、怨嗟の気が立ちのぼっておる)
 自分が交ざるには微妙な雰囲気だと思ったので、離れたところへ行くとする。
「さてさて、どこがいいかのお」
 途中『お花見会場案内所』と書かれたテントの前を通りがかった。
 ちらりと中を覗いてみれば【レーネ・ブリーズ】が、迷子らしき子供の相手をしてやっている。
「泣かなくてもだいじょうぶですよ。今フクロウさんに、お使いにいってもらいましたから。お母さんもお父さんも、すぐここへに来ますからね」

●お茶会の誘い
 保護施設は静かだ。花の上を飛び交う蜂の羽音だけが、ひっきりなしに響いている。
 そこへ来客が訪れた。

(あら、こんなところに大きな石窯が出来てるわ。向こうのは……貯水タンク? そういえば、最近またリフォームしたとか言ってたかしら)
 そんなことを思いながら【パーシア・セントレジャー】は、春の庭を過ぎ、施設玄関に立つ。呼び鈴を鳴らす。
「こんにちはー」
 少しの間を置いてから、揺らめく光が踊るように飛び出してきた――施設に住まう精霊、【ミラ様】である。
「あら、ミラ様お久しぶり。こんにちは」
 彼女が話しかけるとミラ様は、浮かせ持っている単語帳をめくり『こんにちは』という単語を示した。
 続けてすぐ【カサンドラ】が出てくる。
「あらまあ、パーシアさん、お久しぶりです」
「お久しぶり、カサンドラさん。一緒にお茶会でもしようと思って来たのだけど、今、お邪魔じゃないかしら? 仕事が詰まっているとか……」
「いいえ、全然。学園からの頼まれ仕事は、全部提出し終わってますし」
「そう、よかったわ。ところで、トーマスくんやトマシーナちゃんたちは、どこかに行ってるの? 姿が見えないけど」
 その問にカサンドラは、【トーマス・マン】も【トマシーナ・マン】も【ドリャエモン】に連れられて、お花見へ行っているのだと説明した。
「――だから今ここにいるのは私とミラ様だけなんです」
「あら、そうなの。ねえ、それなら、私たちも外でお茶会しない?」
 そこでパーシアに引き続き【朱璃・拝】が、施設にやってくる。
「こんにちは、ミラ様、カサンドラ様――あら、パーシア様も来られていたのですね。奇遇ですわ」
 三者と挨拶を交わしてから、彼女は、手持ちの包みを掲げてみせる。
「一緒に、お菓子など食べようかと思いまして。こんなにいい天気なんですもの」
 パーシアは半分透けた長い髪を、ふわっと靡かせウインクした。
「それなら、ちょうどいいわ。朱璃さんも是非パーティーに参加してちょうだい。これでも、お茶を出す位はできるわ。名ばかり貴族は、自分のことは自分でやらないと、誰もやってくれないのよ」

●差し入れ
 桜の園上空を旋回していた【アルフィオーネ・ブランエトワル】は、目当てのドリャエモン一行を見つけ出すや翼をすぼめ、その場に降り立った。
「――ドリャ先生、親子水入らずで楽しまれておられるところ、まことに失礼致します」
「おお、これはこれは、アルフィオーネさんではないか。ちょうどいいところに来られたの。一緒に花見をしていかんか?」
「申し訳ありません、お気持ちはありがたいのですが、これから行かなければならないところがありまして――はじめまして、奥様。わたしは教祖・聖職コース専攻のアルフィオーネ・ブランエトワルです。いつも、ドリャエモン先生にはお世話になっています。また、この子たちの里親を快く引き受けてくださり、ありがとうございます」
 彼女の言葉に【ドリャコ】は、ふくよかな頬を緩ませた。
「あなたのことはよく存じていますよ。うちの人がよく話してくれますのでねえ。いつもトーマスたちに、おいしいものを作ってくれて、ありがとう」
「いえ、そんな、恐縮です。ずっと、わたしたちが一緒にいてあげられればいいのですが、そうもいかないもので。これ、お口に合うかわからないのですが良かったら……」
 と言ってアルフィオーネが差し出したのは、おしゃれなバスケット型弁当箱。
 中身はサンドイッチとポテトフライ、ピーマンの肉詰め。
 トマシーナが、きゃあ、とはしゃいだ声を上げる。
「わあ、これもおいしそうね、にいたん」
「そうだね。でも、あまり一度に食べ過ぎたら駄目だよ」
 アルフォーネは優しく兄妹を眺め、再びドリャエモンたちに礼をした。
「では、友人と約束があるので、失礼します」
 直後翼を広げ、さあっと上空へ舞い上がる。そして飛んで行く。
 行く先は友【ソフィーア・ル・ソレイユ】が待つ活性火山『フラマ・インペトゥス』だ。

●千客万来
 手頃な木の下へ座り込んだラピャタミャクは、買い込んだ食物をいそいそ広げにかかる。
「くふふっ、このためにあちきは生きておると言っても過言ではないのじゃ~♪ 今日は黒犬赤猫の呪いの件は忘れて、パァーッと楽しむとするのじゃ」
 あれやこれや出てくる出てくる大量至極。遠目には、これから露店でも開くのかといったように見えなくもない。
 全部袋から出し終わったところで彼女は、ようやく次のことに気づいた。
「ちと買い過ぎたかのぉ?」
 そこにいいタイミングで【ガブ】【ガル】【ガオ】が通りがかった次第。
 迷わず声をかける。
「お~い、汝等も一緒にグルメを食べんかの~?」
 それからふと思いつき、こう付け加える。
「ついでじゃから、そのへんにくすぶってる連中も呼んでくるのじゃ! ただ食いさせてやるでな!」

●春の日の会話
 保護施設の庭にある、林檎の木の下。
 折りたたみテーブルと椅子でこしらえられた即席のお茶会が、和やかに進んでいる。

「これは……なんですか?」
「これはトウモロコシの粉で作った皮で揚げた春巻きですわ。中は苺とカスタードクリームですの。粉砂糖を振って召し上がれ」
「へえ、初めて見るお菓子ねえ」
 カサンドラとパーシアは興味津々な様子で、朱璃が出してきた春巻きを手に取った。春巻きは気体化し、彼女らの口に吸い込まれていく。
「――おいしい!」
「本当、おいしいわ。お店で売ってておかしくないレベルよ」
「お褒めいただき光栄ですわ。それとこれは真中に卵の黄身を塗した手毬寿司の周りに、赤貝を半分に切って乗せた手毬ずしを五個並べたものですわ。梅みたいでしょう? お花見と言えば桜ですけれど、梅の花を見る事もありますのよ」
 ミラ様は何も食べないので、花粉だらけになりながら飛び回る蜂を追い、遊んでいる。
 パーシアは、自分が持ち込んできた痛チョコを割り、カサンドラに差し出した。
「どうぞ、見た目はさておき、これもおいしいわよ――最近はいいことあった?」
 チョコレートを吸い込んだカサンドラは、やつれた顔に困惑を浮かべ、茶を濁す。
「ええ、と、そうですね……色々……クリスマスにはクリスマス会をしましたし、いつもアルフィオーネさんがよくおいしいお料理なんか作ってくれますし……」
 その反応について『無理もない』と朱璃は思った。ここ最近は特に、カサンドラにとって気が抜けない状況が続いているのだから。
 しかしそういった事情を知らないパーシアは、自分の質問の仕方が悪かったかと思った。『いいこと』なんてあまりに漠然とした言い方だから、答えにくかったのかと。
 だから、具体的な質問に切り替える。
「トーマスさんの上達ぶりはどう?」
 カサンドラの顔が即座にほころんだ。まるで我がことを聞かれたように。
「目覚ましいですよ。シルエットを正確にとれるようになりましたし、あと、明暗も。デッサンの基本形は、おおむね出来るようになりまして……ちょっと待っててくださいね」
 そう言うや彼女は席を外し、施設に入って行く。
 しばらくしてから、スケッチブックを抱え戻ってくる。
「見てください、これ、あの子のです」
 朱璃とパーシアは開かれたスケッチブックを覗き込み、感嘆の声を上げた。カサンドラが言った通り、最初のころに比べ、画力が目に見えて進歩している。
 特に伝令犬を描いたものが秀逸だ。一瞬の身振りや表情を、実によく写し取っている。
 パーシアは、惜しみなく褒める。
「大胆で所々粗いけど、主題にしたいところは緻密で……対象をよく捉えてるみたい。まだまだ粗さは目立つけど。十年後……二十年後の彼の作品が楽しみね」
 カサンドラの表情が、ふっと翳った。
「……そうですね。楽しみにしています。見られたら、いいんですけど」
 同属であるパーシアには、彼女がどうしてそんな反応をしたか分かる。リバイバルは生きている人間以上に不安定な存在だからだ。いつ消えてしまうか分からないような。
 そうではあってもパーシアは、後ろ向きなことを考えたくはなかった。とりあえず、この場だけは。
「いやあね、見られるに決まってるじゃない。勿論、カサンドラさんの作品も楽しみにしてるわ。小春日和にみた作品は、完成まで待っておくから」
「ああ、あれはもう出来上がり間近です」
「え、もう?」
「はい。出来上がったら、お知らせしますね」
「ついつい遅くまで……創作してたりしない? 創作意欲が溢れて、筆がとまらないのはいいけど、元々体が弱いんでしょう? 無理したら、立て直しが大変だから程々にね」
 早く指輪の件が片付くといいのだが、と朱璃は願う。そうでない限りカサンドラが無理をするのは、避けられそうにないから。
 ミラ様が遊びから戻ってきた。
 朱璃は彼に、膨らんだハンカチの包みを見せる。
「途中で桜の花びらを集めてきましたのよ。後でミラ様のベッドに飾り付けようと思いまして。春らしくって、素敵でございましょう?」
 ミラ様は『よい』という単語を出した。
 微笑で返した朱璃は、続けてカサンドラに顔を向ける。
「カサンドラ様、何かこう、必要な物などありませんか? もしくは欲しいものとか。トーマス様達には頼みにくいようなものとか……」
 カサンドラは、少し恥ずかしそうに答えた。
「……そうですねえ……ほんのちょっと、お酒なんかあったら。寝付きが悪い夜には、飲むとよく眠れますから」
 あら、とパーシアが声を上げる。
「ちょうどいいわ。私、お酒を持って来てるのよ――たまには日の高い内から呑んでみる?」

●フラマ・インペトゥスで手合わせを
「こちらでは、君の方が先輩だ。だが、遅れをとる気はない。なんであれ人の本質は変わらない。きみは治療士だ……そしてぼくは戦士だ!」
 言うなりソフィーアは蹴りを放った。地面に向けて。
 灰交じりの砂礫が勢いつけて前方に弾ける。
 アルフィオーネはそれが目に入る前に翼を広げ、地上を離脱した。ソフィーアがそれを追う。
「ソフィーア、しょっぱなからやり口が汚くはなくて?」
「魔物が、正々堂々と戦うわけないからな」
 緑の髪に白い肌、褐色の肌に金の髪。年もほぼ同じぐらいの少女たちが、噴煙立ちのぼる中目まぐるしく飛び回る。相手の上を取ろうと宙返りを繰り返す様は、さながら猛禽たちの戦い。
 ――アルフィオーネが上を取った。
 太陽を背にし死角から仕掛ける。右手の人差し指と中指を添えて右目を閉じる。
 左目から放たれる閃光。
 コンマ何秒か先んじてソフィーアが反転、急上昇。
 身代わりウサギを盾にして閃光を回避し、右腕に全力集中。
 鱗で固められた拳が、アルフィオーネの急所目がけて突き出される。
 ほぼ同時にアルフィーネが、盾を相手に叩きつけた。
 力と力が相殺される。
 その直後アルフィオーネは龍撃爪を放った。
 避けられる。
 竜尾の一撃を放った。
 当たる。
 ソフィーアの口の中が鉄の味でいっぱいになった。鼻から血が流れ出した。たちまちのうち殴られた方の頬が膨れ上がり、目が塞がる。
 しかし戦士たるものこの程度で動揺はしない。
 間をおかずまた右腕で、正拳突きを行う。
 アルフィオーネのみぞおちに鈍痛が走る。
 秒速で喉まで込み上げてくる吐き気を飲み下し、再び尾を振り回す。
 ソフィーアの回し蹴りがそれとぶつかる。
 一進一退、勝負がなかなか付かない。
 アルフィオーネはすうっと息を吸い込み、聖鎖陣を発動させた。
 呪文の鎖がソフィーアに絡みつき、その動きを制する。
 両手の人差し指、中指を広げ額の宝石に当てる。
 強大無比な緋色の熱光線が放たれた。
 生憎ソフィーアは追加の身代わりウサギを、持ち合わせていなかった――。

 噴火口の縁に座ったソフィーアは、リーライブで回復したばかりの頬を撫で、ぼやく。
「ものすごい衝撃だったな……頭が飛ぶかと思ったよ」
「あなたも相当なものだったわよ。こっちはあばら骨が折れちゃったわ」
 すまして返したアルフィオーネは、救急箱を閉じる。それからソフィーアに、弁当のバスケットを渡す。
 ソフィーアは早速口いっぱい、サンドイッチをほお張った。
「なぁ、レーヌ。君は少し、この世界の人々に深入りしすぎてはいないか?――」
 から始まる長い言葉を、アルフィオーネはじっと聞いていた。同じ時を担う仲間として。
「――ぼくらはそもそもここにいないはずの人間だ。いつまた飛ばされるかもわからない。そうなれば、きみも、関わった人々も、辛い思いをすることになるんだぞ」
 そうして答える。ゆるぎなき意思を眼に現して。
「わたしは、今のわたしに救える人は救いたい。ただそれだけよ」
 ソフィーアは圧に押され、押し黙った。それから若干、いじけたように言った。
「……ぼくをもっと頼ってほしいと思う」

●おすそ分け
 お花見会場には、当然酔っ払いも出る。
 それを指導監督するのもまた、風紀委員会、並びにその手伝いをする者の務め。

「もしもし、そちらは立ち入り禁止区域なので、はいってはいけませんよ」
「えー、いいじゃん、ちょっとだけ」
「ただ花を見るだけだからさあ」
(……楽しむのはいいけど、羽目をはずされるのはこまったものですわ)
 心に思いながらレーネは、あくまでも礼儀正しく相手を説き伏せようとする。誇張を交えて。
「リリー・ミーツ・ローズには、一般人には危険な植物もたくさんあるのです。そういうものがあるところを今回、危険区域に指定しているのです。もし不用意に足をふみいれれば――」
 タイミングよく間近な茂みから、人が飛び出してきた。
「ギャアアア! た、助けてくれー!」
 先んじて危険区域へ勝手に踏み入った客であろう。オニデカアルキハエトリグサを頭に食いつかせたまま走り回り、木に激突して引っ繰り返る。
 この植物は見かけこそ凶悪だが、顎の力はさほどではない。歯もなく、ハエしか消化出来ない。
 そうと知っているレーネは慌てず騒がず、無断進入未遂のお客たちに言った。
「あなたがたも、このようになりたいですか?」
 酔いがすっかり醒めた客達は、逃げるように去っていく。
 レーネは手早くオニデカアルキハエトリグサを客の頭から引き剥がし、桜の園の外へ退去させる。
 続けて風の旋律で相手の目を覚まさせ、正気付かせる。
「今後は気をつけてくださいませ」
 厳重注意の上で魔法学園パンフレットを一部持たせ、放免。
 それから、また見回り。
 彼女が特に気をつけているのは、不審者対策だ。念頭にあるのはつい最近起きた、園長や学園生のニセモノ騒ぎ。
(これ以上学園の名がおとしめられないように、気をつけませんと。レプリカの制服の悪用とか、もうさせたくないもの)
 屋台ゾーンへ入っていくと、賑やかな音楽にぶつかった。見れば生徒達の一団が寄り集まり、飲め(酒類はなし)や歌えの宴会まっ最中。
 その中からラピャタミャクが、声をかけてくる。
「おーうい。レーネよー。ちょっとこっちに来るのじゃー」
 何事かと行ってみれば、チョコバナナを、ほい、と差し出された。
「一緒に食べていかんか。どれも絶品なんじゃ~♪ 見回りもよいが、休憩もいるじゃろ」
 それもそうかもしれない。
 思ってレーネは、ありがたく申し出を受ける。
「では、いただきますわ」
 
●零れ落ちた願い
 とろりと溶ける蜜のような、上級酒。カサンドラ、パーシア、朱璃はそれを口にする。
 ふうっと各々の肩の力が抜けた。
 誰の舌もほぐれて、より滑らかに動き出す。
「ねえ皆、将来の夢とか、ある? リバイバルの私が聞くのもなんだか、変な感じだけど」
「私の夢はもちろん、この拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事ですわ。パーシア様の夢は何でございますか?」
「そうねえ……このまま、目立たなく生きていきたいわ。それが一番よ――カサンドラは?」
 パーシアの問いかけにカサンドラは、黙然と考え込んでいた。そして、しみじみと零した。
「……健康になりたいですねえ。リバイバルになっているのに、私、どうして生きているときと変わらず不健康なんでしょう……私ね、生きているときは、健康で長生きしたいって、ずっと思ってたんです……」






課題評価
課題経験:50
課題報酬:1000
春とくれば、お花見
執筆:K GM


《春とくれば、お花見》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 1) 2021-03-31 18:46:17
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。

さて、どういたしましょう。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 2) 2021-03-31 21:02:53
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。
よろしくおねがいします。

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 3) 2021-04-01 07:58:38
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
そうねえ……私は保護施設に行って、カサンドラさんとミラさまと一緒にお茶でも飲もうかしら。大人だけになりそうなら、お酒も持ち込むけど。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 4) 2021-04-03 15:09:36
教祖・聖職者専攻の、アルフィオーネ・ブランエトワルです。わたしは、まず、ドリャエモン先生の奥様にご挨拶をして、その後は、友人と出かける予定です。

《ビキニマン》 ソフィーア・ル・ソレイユ (No 5) 2021-04-03 23:26:27
ぼくは武神・無双コース専攻の、ソフィーア・ル・ソレイユだ。レーヌに誘われて、デ...ゲフンゲフン

データ収集に行くつもりだ

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 6) 2021-04-05 18:45:50
どうしようか悩みましたが、私も施設に参りますわ。お茶をするなら何かお菓子を作っていきますわね。