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ミラちゃん家――指輪はいずこ


ストーリー Story


●あなたがわたしについた嘘
 【カサンドラ】はアトリエで一人考えていた。【黒犬】は今、どこで指輪を捜しているのだろうと。
 多分、グラヌーゼより遠くには行かない。黒犬は指輪に関する情報を、そんなに持っていないはずだから。
 口では色々言っているが赤猫と比較した場合、知識の差は雲泥の差……とまではいかずとも、相当なものなのではあるまいか。であれば、自分の見知った場所から手をつけるのが、当然の流れだろう。
(見つけないと……黒犬よりも先にあの指輪を、早く見つけないと。黒犬は、信用出来ない。信用してはいけない。力を取り戻させるわけにはいかない)
 カサンドラは下唇を噛む。目つきがひどく険しかった。膨れ上がる不信感が、普段の彼女とは別人のような表情を作らせているのだ。
 黒犬は呪いを解除した際、自身の力が戻ることを隠している――そこはもう思い出せているし、実証されている。
 しかし、それだけだったろうか。なんだかまだ、あったような気がする。彼が自分に対してついた嘘は。
 ……そもそも、自分は、どこでどうして黒犬と知り合ったのだっけ?
 ……一番最初にはどんな言葉を交わしたのだっけ?

●密談
 少女の姿をした【赤猫】は緑色の目を光らせ鳴いた。
『わーお』
 ここはサーブル城にある豪奢な地下通路。その突き当たりにある部屋。かつて【カサンドラ】も訪れたことがある、呪いの『本』の隠し場所。ノアが赤猫と黒犬へ呪いをかけた場所。
 はるか昔ノアがいなくなってから、そして、赤猫が数ヶ月前足を踏み入れてからも放置されっぱなしだったそこは
今、すっかり整理されている。
 ドーム型の天井、壁、床から永の年月つもり積もっていた水垢や苔が拭い去られ、もともとそこにあったものが見えるようになっている。
 それは何重にも重なり合った魔方陣だ。眩暈がするほど細かな文字、数字、文様が渾然一体となっている。
 床に倒れていた魔王の像は、再び台座の上へはめ直されている。
 その像に寄りかかっている【ラインフラウ】が、自慢げに言った。
「どう、猫ちゃん? きれいになったでしょ」
 赤猫はちっちと舌打ちする。くしゅくしゅ鼻を擦り上げる。悪臭を嗅いでいるかのように。
「きれいになると、やな感じ。ムカつくノアのつがいの匂いが、浮き出てくる」
「あら、そんなものがまだ残ってるの? 彼らがいなくなってから、優に千年以上はたっているはずでしょう?」
「魔族は強い。色んなものが長持ちする。人間とは違う。まあ人間も、色々あるけど。命だけで言うなら、かなり長持ちする種類もいる。一番駄目なのが、ヒューマン。力もないし、すぐに死ぬ。消え損なっても、やっぱり長持ちしない」
 ラインフラウは一瞬、軽い痛みを覚えたかのように眉を潜めた。そして、小さく呟いた。
「そうね。でも、好きなのよ」
 それを聞いた赤猫は、訝しげにラインフラウを見る。
「何の話してるの、お前?」
「いわゆる恋の話――ねえ猫ちゃん。前にも言ったように呪いを転化させるについては、黒犬の存在が必要なわけよ。だから彼をここにおびき寄せないといけないわ。そろそろその段取りについて話し合いましょ。この通り、舞台は整ったわけだから」
 赤猫はラインフラウに、半開きの横目を向けた。
「そりゃ、いいけど。でも、肝心の転化させる相手について、目処はたってるの?」
「それはもちろんよ。最初から決めてあるの。転化させる相手は、私――」
 
●縁は異なもの
 呪いの要となる指輪の在処について施設関係者は、ワイズ・クレバーにて、調査を行った。
 その結果、以下の情報を見つけた。
『――グラヌーゼに従軍せし騎士は、燃えくすぶる地にて美しい指輪を拾い、妻への土産にした。
 妻は喜んで指輪を受け取り身につけた。
 その数日後突如姿を消した。
 騎士は八方手を尽くし探した。
 彼女は、グラヌーゼの焼け跡にいた。騎士がかつて指輪を拾った場所に座り込んでいた。正気を失った有様で。
 騎士は異変の原因が指輪であると見て、それを外そうとした。
 だが引けば引くほど指輪は締まる。
 その挙句妻の指は、とうとう千切れ落ちた。
 指輪はそのまま地に沈み込み、消えた――』
『――かくして我が先祖は、グラヌーゼよりこの指輪を持ち帰られた。その際、次の逸話あり。祖は、この指輪とともにもう一つ、指輪を持ち帰られた。その指輪には文様もまた宝石もなかったが、見目麗しき輝きに満ちていた。しかしてその指輪は、当家に災いをもたらした。わが祖は忌まわしきものとして、その指輪をかの地に打ち捨てた――』

 【ドリャエモン】は膝に手を置き、【アマル・カネグラ】の調話に耳を傾ける。
「――その二つの話に出てくる『先祖』と『騎士』は恐らく同一人物です。ならその子孫を探せば、もっと詳しい話を聞ける可能性があるんじゃないか。そう思って引き続き調べたんですが……その家、今から200年ほど前に廃絶しちゃってまして。近隣との勢力争いに負けて。今ではもう影も形もなく」
「左様か……うまくいかぬものよな」
「ですね。だけど」
 アマルは不自然に言葉を途切れさせた。両手を後ろに回し、宙を飛ぶハエでも追いかけるように視線を泳がせる。
 かなり長いこと彼がそうしていたので、ドリャエモンは不審がった。
「どうしたのだアマル。なんぞ言い足りないことがあるのなら、言うてみい」
「……えーと、そのう、あのですね先生、調べているうちに分かったんですけど……その騎士が持ち帰った方の指輪を、意外と近くにいる人が持っていることが判明しまして」
「なに。それは誰だの?」
「……セムさんです」

●シュターニャ・『ホテル・ボルジア』本社
「皆さんお揃いで、遠いところまでよくお越しくださいました。いや、ちょうどよかったです。私はちょうどこれから、また出かけるところでしたから」
 【セム・ボルジア】はさもうれしげに訪問者達を出迎え、椅子にかけるよう勧めた。ラインフラウは、場にいない。どこかへ行っているらしい。
 自身も腰掛けた彼女は、単刀直入に切り出した。あなたがたが私に会いに来る理由はこれしかない、と言わんばかりに。
「呪いの件について、何か新しい展開がありましたか?」
 鋭い印象の顔立ちに笑みが浮かぶ。
 どうも心を見透かされているみたいで、聞かれた側は落ち着かない。
「まだ分からないんです。でも、うまくいけば、少しはそれに近づけるかも知れなくて。そのために、セムさんにお尋ねしたいことがありまして」
「いいですよ。なんなりとお聞きください」
「……もしかしてボルジア家には、ノアにまつわる指輪とか伝わっていますか?」
「ええ、ありますよ。何代も前にさる騎士の家から、ボルジア家に譲られたものです。多額の融資と引き換えに。もっともその騎士の家、その後すぐ廃絶してしまいましたけど。貸し付けた資金も返さずじまいでね。当方にとっては、損な取引でしたよ」
 あっさり認めた。
 それに勢いを得てアマルは、さらに尋ねる。
「その指輪、騎士がどこで手に入れたものか分かります?」
「グラヌーゼに従軍した際、戦利品として手に入れたそうですよ。グラヌーゼの悲劇が行われた前後ですかね」
 ……そういえば資料の記述には『燃えくすぶる地にて』という一文があった。
 そんなことを考える皆に、今度はセムが尋ねた。
「この情報は、呪いの指輪の所在に関係があるんですね?」
 灰色の瞳に狡知が見え隠れしている。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-04-21

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2021-05-01

登場人物 4/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている

解説 Explan



補足説明。
指輪の在りかを巡るターン、続いています。
今回は、指輪が現在それがどのあたりにあるかのあたりを付けるミッション。
次回はそれを参考に、グラヌーゼへ旅立つ手筈です。

前以て言っておきますがセムは、前回生徒達がワイズ・クレバーで得た、呪いの指輪にまつわる逸話を知りません。あの情報は学園の図書館だからこそ手に入った非常にレアな情報です。

ボルジア家に伝わっている指輪のいわれは、エピソード本文にある『騎士がグラヌーゼで手に入れた』『その騎士はグラヌーゼの悲劇の前後に従軍していた』この二点のみ。もう少しセムに突っ込めば、従軍当時騎士がグラヌーゼのどのあたりで戦っていたかを知ることが出来ます。

セムは学園生徒とのやり取りにより「自分が持っている情報が呪いの指輪と関連があるらしい」ことを察しました。
赤猫と黒犬をいち早く退場させたいと思っている彼女としても、指輪の在処は気になるところ。この後どこまで調べが進んでいるのか聞いてきます。
それについて正直に答えるかぼかすかは、PC次第。

とりあえずセムは、黒犬に指輪を渡すと面倒なことになりそうだなと考えています。ですので『ひとまず偽物を渡しておいたらどうか』という案を出してきます。そのためなら自分が所有しているノア由来の指輪を貸してもいいけど?と言って来ます。どうせ黒犬も作り直した指輪を見たことはないのだから、ノアの匂いが染み付いているだろう指輪を渡せば、十分誤魔化せるだろうと。
それに対してどうするかは、これまたPC次第。

今回セムとの対談に同行するNPCは、アマルのみです。
 
 
※これまでのエピソードやNPCの詳細について気になる方は、GMページをご確認くださいませ。
そういうものが特に気にならない方は、確認の必要はありません。そのままプランを作成し、提出してください。エピソードの内容に反しない限り判定は、有利にも不利にもなりません。


作者コメント Comment

最近あんまりミラちゃん活躍しないけど、ミラちゃん家、続き。
呪いの指輪が今どの辺にあるのかの手がかりを得る回です。
そのために、またセムとの対談になります。面倒ですがご容赦くださいませ。
黒犬は多分今頃行き当たりばったりに、グラヌーゼのあちこちを部下と嗅ぎまわったり掘り返したりしております。





個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
カサンドラさんに不穏な様子が出てきたのが気になる。
それが呪いによる精神汚染的な影響なのか、
それとも、もともと彼女が何らかの不安材料を内包していたのか。
危うさを感じるので、刺激して暴走させることのないように注意しながら
破滅的な行動をとらない様、いざという時は止められる様に目を離さない。

「『呪い』とは『契約』でもある」と考えると
ベイキさんの仮説の通り、ラインフラウさんはセムさんと同じ時を生きるために呪いを自分たちに移し替えて、『命を繋いで』『結婚』したいのかもしれない。
その気持ちは察するし貴いと思うけれど、
『呪い』はその人を愛する気持ち・執着・衝動を利用して、不幸を拡散するものではないかと警戒。

ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:90 = 60全体 + 30個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
指輪の所在及びその手がかりの調査

◆情報提供
こちらからは、
・指輪を持った者が正気を失ったという話もあるようだ
・指輪をはめた者の指から指輪が抜けなくなって、無理やり外したせいで指を失ったような話もあったようだ

等の情報はセムさんに提供
提供しても問題なさそうな情報は提供して、対価としてセムさんから一定の情報提供を受けられるようにやり取りをする

◆聞き出し
こちらからは、
・手がかりがないので、まずは……どんな場所で従軍騎士が指輪を得たか、一度調べてみたい

といった名目で、従軍騎士が戦った戦場の場所等について、セムさんに尋ねてみる

セムさんが「現地調査に同行する」と言い出すような展開にならないよう慎重に交渉

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ひとまず円滑にお話を進めるためには甘い物でもいただけば、と思い魔法鞄から石焼き芋を取り出し皆様に配りますわ。これを嫌いな女性はいない筈!

目的の一つは指輪の在り処の手がかりを得る事。ですので、その場所を聞き出す為私は自分の武神・無双コースの生徒としての立場で尋ねてみようと思いますわ。+、調査の基本は最初の現場から、という感じでお話を持って行こうかと

セム様の指輪をお借りする件については、黒犬に偽物を渡すのは結構リスクもあるかと思うのであまり気のりはしませんが、指輪そのものは調査に役立つかもしりませんしお借りできるならお借りしたいですわ

後は皆様の会話の際生感心通を使い、セム様の心の動きを見てみますわ

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
セムに以下のことを質問する【信用/説得/推測/精神分析/会話術】また、表情や態度に変化がなかったか、よく見極める

・従軍騎士の姓名、所属、階級

あえて、少し本題とずれる話をして、うっかり話すべきではない話の引き出しを狙う

・ノア一族由来の指輪所有していたことが、サーブル城をはじめとした、ノア一族の遺物の保全に着手するきっかけになったのかどうか


指輪を身に着けた者に訪れた災禍を話し、呪物にいたずらに触れる危険性を説く
「これは、あなただけでなく、この場を借りて、みなにも言っておくけど”呪い”というものを侮らないほうがいいわ。使い手次第では、街を一瞬で焦土に化すような大魔法よりも、はるかにおそろしいものよ」



リザルト Result

●知りたい。でも、教えたくない。
「この情報は、呪いの指輪の所在に関係があるんですね?」
「はい、多分。幾らかは――」
 語尾を飲み込んだ【ベイキ・ミューズフェス】は【セム・ボルジア】の顔を見た。応答を促すように。
 しかしセムは何も言わない。ゆったり構えベイキを見つめ返すだけだ。
 先にそちらから情報提示を、ということらしい。 
 そう判断したベイキは、渡しても問題ないと思える情報だけを開示した。
「――今セムさんがお話しされた騎士の家に、呪いの指輪についての逸話が伝わっていたんです」
 『騎士がその指輪を見つけた』という点は伏せる。それを明かしたらセムは、『グラヌーゼでの現地調査に同行する』と言い出しかねないからだ。
(そのくらいの行動力は、十分にある人ですからね……慎重にしないと)
 【アルフィオーネ・ブランエトワル】はベイキの傍らで、セムの表情を読む。
 眉がわずかに上向いている。目の奥にある光が増した。
(興味津々ってところね)
 彼女の読み通りセムは、自らベイキに聞いてきた。
「一体どういう逸話なんですか?」
「指輪を持った者が正気を失ったという話――それから、指輪をはめた者の指から指輪が抜けなくなって、無理やり外したせいで指を失ったという話です」
 セムは声なく相槌を打つ。
 そして質問してくる。
「正気を失った者と指を失った者は、それぞれ別の方なんですか?」
 ベイキは答えに詰まり、咄嗟に本当のことを言ってしまう。
「いえ、同じ方です」
 するとセムは、重ねて質問してきた。
「外された指輪はどうなったんですか?」
 すかさずアルフィオーネが、ベイキに向けられた問いかけを引き受ける。
「逸話は指が失われたところで終わっているのよ、セム。だからわたしたちにも、その後それがどこへ行ったのか分からないの」
 セムは一拍おいて、うっすら口角を上げた。
「結末は読者の想像力に委ねる、ですか。怪談話によくある手ですね。まあ、とにかく、指輪を見つけても指にはめないほうがよさそうですね。そういうことでしたら」
 アルフィオーネは両腰に手を当て声を強める。
「指にはめなければ問題ないというものではないと思うわよ、セム。これは、あなただけでなく、この場を借りて、みなにも言っておくけど」
 続けて場にいる一同を、ぐるりと見回す。
「『呪い』というものを侮らないほうがいいわ。使い手次第では、街を一瞬で焦土に化すような大魔法よりも、はるかにおそろしいものよ」
 【エリカ・オリエンタリエ】は指輪を調べていた際に得たもう一つの逸話、『現在においては不可能とされているが、魔王が存在していたいにしえには、呪いの対象を自分から他人にすげ替える邪法が多く存在していたらしい。それを確立したのはノア一族と言われている』を思い起こす。
 【ラインフラウ】が【赤猫】と何らかの取引をしていることは確実だ。
 取引材料は『呪い』以外あり得ない。赤猫がまともに耳を傾けそうな事柄は、他にないのだから。
 であればラインフラウは呪いの解決法として、『すげ替え』を提示しているのではないか。
(赤猫は呪いの解除をしたがっていない。けど、呪われたままの状態をよしとしているわけではない……『解除』を迂回して問題解決を図ろうとするなら『すげ替え』はとても都合がいいやり方よね)
 念のために言っておくと、これはエリカ一人の考えではない。ベイキもまた、同じ疑いを抱いている。口にこそしないが。
 そこで【朱璃・拝】が、魔法鞄から石焼き芋をたくさん取り出してきた。
「皆様、よろしければどうぞ。セム様も、よろしければ」
 このサプライズに【アマル・カネグラ】はたいへん喜ぶ。
「わあ、ありがとうございます!」
 言うなり大き目の芋を、丸ごと口に入れる。
「ああ、これはありがとうございます」
 セムも特に断る事なく、すんなり芋を受け取った。端を少し割って、口に入れる。表情を変えず淡々と咀嚼する。
 朱璃はいささか気詰まりになってきて、聞いた。
「あの……お芋はお嫌いですか?」
「ああ、いえ、そういうわけではないんです。ただ私、何を食べても味が分からないんですよ。そういう体質でしてね」
 アマルが眉を八の字にした。
「それはお気の毒です。おいしいって、すごく楽しいことなのに」
 セムは軽く笑い、芋の残りをアマルに差し出す。
「よろしければ、食べていただけませんか?」
「え、いいんですか?」
「ええ。他人がおいしそうに食べているのを見るの、結構好きなんですよ、私」
 アマルは遠慮なくセムから残りの芋を貰い、食べた。
 ベイキが話を再開させる。
「まずは、どんな場所で従軍騎士が指輪の逸話を知ったのか、一度調べてみたいんです。それが指輪の場所を知る手がかりになるのではないかと……」
 朱璃がその後押しをする。
「私、武神・無双コースの生徒として古の戦場にも興味がありますわ。先人がどのような思いでその地で戦ったのか。それを感じる事で何か私の力になるような気がして。宜しければ件の騎士様がグラヌーゼのどの辺りで戦ったのか教えていただけませんか?」
 アルフィオーネがそれにかぶさってくる。
「従軍騎士の姓名、所属、階級も、よかったら教えてくれないかしら。分かる範囲でいいから」
 セムは噛んで含めるように、ゆっくり言葉を吐き出した。
「……従軍騎士の名はワレン・シュタイン。所属は貴族連合第四騎士団。階級は団長。主な従軍場所はグラヌーゼ西方。今の『いのちの花畑』あたりです」
 場が静かになった。
 その静けさを打ち消すように、エリカが言う。
「セムさん、よかったら、あなたが持っているノア由来の指輪を一度見せてもらえないかしら? もしかしたら、何か参考になるようなことがあるかもしれないから」
 セムは半秒ほど間を置き、愛想よく言った。
「ええ、かまいませんよ――」

●きれいな指輪
 セムが持って来た指輪は王冠の形をしていた。
 細工の細かさもさることながら、ひときわ目を奪うのは、中央にあしらわれたブルーダイヤ。大きさ、色の深さ、透明度。どれをとっても文句のつけようがない。
 だけれどもベイキは、美しさを称える気持ちにはなれなかった。もともと華美なものが好きではない性分だが、それとは別に、なんとなしの不安を覚えたのだ。燐光を孕んだ輝きに。
 エリカは宝石箱ごと指輪を持ち上げ、セムにこう申し出る。
「セムさん、この指輪を、箱から出してもいいかしら? もう少し詳しく調べさせて欲しいのだけど……」
「ええ、かまいませんよ。なんなら、お貸ししてもよいのですが?」
「えっ……貸してもらえるの?」
「ええ。あなたがたなら信用が置けますし。そこで提案があるんですが……その指輪を黒犬に渡してみるというのはどうでしょうか? 探していた指輪は、この通り見つかったよと」
「……それは、黒犬を騙して偽物を掴ませるということ?」
「そうです。これまでのあなたがたの話を聞く限り、黒犬も私たち同様、呪いの指輪が現在どんな姿になっているか知らないのでしょう? だったら、十分そういうことも可能だと思いますが」
 確かにそうかもしれない。だが、失敗した際のリスクは大きい。
 もし誤魔化しが露呈したら、【黒犬】との信頼関係は確実に壊れる。向こうは二度と交渉の席に現れなくなるだろう。力任せの強硬手段に打って出てくるかもしれない。
 多分セムもそこを見込んだ上で、なお黒犬を誤魔化せると考えているのだろうが……。
(やはり、セム様に全てを話すのは考え物ですわね……あまりこちらの腹を探られないようにしませんと)
 朱璃は警戒した。こういう策略を間髪入れず思いつける時点で、この人はやはり危うい――と。
「私、その案には賛同いたしかねますわ。指輪を黒犬に貸すと、返ってこなくなるかも知れませんし……」
 とはいえ、指輪を詳しく調べる事には意味がある。本物の指輪を探す際、何かのヒントを与えてくれるかも知れない。
 そう思ったから、このように言葉を締めくくる。
「指輪そのものは調査のために必要と思いますので、お貸しいただけるというなら、ありがたくお借りいたしたく思いますわ」
 アルフィオーネは指輪を見つめ、呪いについて考えを巡らせる。
(……なぜ、ノア一族は滅ぼされてしまったのかしら。黒犬、赤猫が反発することを予見していたなら、それを阻止するような呪いをつけ加えておけばいいものを……どうして、そうしなかったのかしら)
 そもそも呪いは実行される前に当事者である赤猫と黒犬――特に赤猫に――内容が漏れていた節がある。
(彼らは自分達が作った魔物の知性を、実際より低く見積もっていたということかしら?)
 あり得ない話ではない。
 だが、しかし、やはり引っ掛かる。
 状況から考えて黒犬と赤猫が呪いを受けたのは、グラヌーゼの戦いの終盤あたりだろう。
(ノア一族も、自分たちの命運が尽きかけていることを理解していたはずよね……自らが滅ぼされることも、黒犬たちがいずれは呪いを解こうと行動することも想定済みで、色々仕込んでいる……ということはないわよね)
 本を手にしてからのカサンドラの異変。ベイキが見たというノア一族の幻視。それから、指輪を身に着けた騎士の妻に起きた異変。
「……あなたがノア一族の遺物の保全に着手しようと思ったきっかけは、この指輪かしら?」
 アルフィオーネの問いにセムは、軽く頷いた。
「ええ。これほど高水準な美術品が手付かずで放置されているとなったら、放っておけないでしょう? 資産は、動かしてこそ価値があるものですよ」
「この指輪は、代々ボルジア家の当主が継いでるの?」
 指が失われた話を念頭に置いているのだろう。セムは、皮肉げに目を細める。
「そうです。身につけたりはしませんがね」
 ベイキは今思い出したように、セムへ、【ラインフラウ】の事を聞いた。
「ラインフラウ様のお姿が見えませんが、どこかへ行かれているのですか?」
「ええ。用事があるとかでね。昨日から出かけています」
「どこに行かれたんですか?」
「それは分かりません。プライベートなことをいちいち聞きはしませんから。彼女も私も、お互い大人ですからね」
 ラインフラウが彼女へ向けている好意の熱量を鑑みれば、この言いぶりはいかにもそっけない印象を受ける。本当は行き先を知っているのに言わないだけなのだろうと、薄々分かってはいても。
 二人のやり取りを観察しているアルフィオーネは、セムの態度について、このように分析する。
(どうやら、この話題を避けてるみたいね)
 ベイキは話を続ける。
「セムさん、ご家族はいらっしゃらないんでしたね?」
「ええ。全員亡くなりましてね。かなり前に」
 どうして、とまでベイキは聞けなかった。それはあまりにぶしつけな質問だと思えたから。
「……一人でいて、寂しくなったりしませんか?」
 セムは一瞬きょとんとした。急に何を言いだすんだろうこの人は、といったふうに。
「そりゃあ、一人になった当座は、そういう気持ちにもなったか知れませんが――今はそんなことは、全くありませんね。仕事が楽しくて」
 続けて訪問者たちに断りを入れた。
「失礼ですが、タバコを吸ってもよろしいですか?」
 エリカが皆を代表して答える。
「ええ、どうぞ」
「ありがとうございます、では」
 セムは火をつけたタバコを咥えて、深く息を吸い込んだ。
 ベイキはこの場にいない同族について、考えを巡らせる。
(もしラインフラウさんが、赤猫に『誰に呪いを押しつけるのか』と聞かれたら、どう答えるのかしら。協力するフリだけなら、手っとり早く自分の名前を出して、赤猫を信用させるかも……)
 しかし呪いはふたり分である。だとすれば、押し付ける相手も同じ数必要なのではないか。
 なら、もうひとりは誰を。
(セムさんとなら……どちらかが死すときは、一緒に死ねる。そう、長命な種でも、愛するひとと一緒に……同じ時に死ねる。なんてことを思うのは、考えすぎでしょうか)
 自問自答しながらベイキは、セムの横顔を眺める。
 彼女は自分の口から立ち上る煙を見ていた。せわしなく頭を働かせているのだろうことは、目の動きを見れば分かる。

 ベイキ本人は知る由もないが、このときの彼女の推測は、かなりの精度で当たっていた。
 
●くすぶり
 施設に戻ってきたエリカ、朱璃、ベイキはセムから聞いた話を【カサンドラ】に伝えた。
「――それじゃ指輪は、『いのちの花畑』にあるということですか?」
「その可能性は高いと思われますわ」
「文献によれば、指輪は得た場所に戻ったということですから……」
 カサンドラは朱璃とベイキの言葉に顔を火照らせた。
「なら明日にでも、早速探しに行かないといけませんね」
 エリカの心に陰りがさす。
 カサンドラが喜ぶのは、特におかしなことではない。指輪を見つけることを望んでいたのだから。
 だけどあまりに、前のめりになりすぎてはいないか。
 呪いの影響によるものか、それとも――もともとカサンドラが内包していた何かが影響しているのか。
 判断がつけられぬままエリカは、カサンドラを宥める。暴走することがないように。
「待って。探すのなら、もう少し準備をしてからにしましょう。焦りは禁物よ」
 頭に浮かぶのは、帰り道で聞いたベイキの仮説だ。
 彼女は言っていた。ラインフラウはセムと同じ時を生きるため、呪いを自分たちに移し替えようとしているのではないか。『命を繋いで』『結婚』したいのではないか、と。
(あり得なくは、ないわね)
 そういう気持ちを抱くこと自体は否定しない。
 しかし呪いは愛する気持ち・執着・衝動と結び付きやすい。いやむしろ、それを糧にするものといっていい。
(呪いを他者に移すことは、呪いに利用されるということではないかしら)
 自分たちも、既にその術中にはまっていはしないだろうか。少なくとも呪いにとって、無関係な他者ではなくなっている。
(……とにかく行ってみなくちゃ、『くすぶる地』に)

 アルフィオーネは皆より一足遅れて施設へ帰ることにした。『ホテル・ボルジア』の社員にセムについての聞き込みを行うために。
 ノア由来の指輪を持っていたことで、彼女にも何かしら、影響が出ているのではないかと思ったのだ。
 その結果は今ひとつであった。
『社長が、急に人変わりしたことはなかったかと言われても……さあ、なかったと思いますが……』
『前々からああいう方でしたけど』
『社長についての個人的なことは、余りよく存じ上げないんですよ。あの方は普段ほとんど、会社にいませんし』
(会社の人間に聞いたのでは、難しいわよね……昔の彼女を知ってるわけじゃないんだし)
 敗因を分析しつつ彼女は、帰路に着く。
 聞き込みのついでに町の片隅で聞いた、セムについての黒い噂を思いながら。
(全財産を我がものとするために、親兄弟を毒殺……)
 あの利口な彼女がそんな分かりやすいことをするはずはない。と思う。
 だが……偶然同時期に家族全員が死ぬなどということもまた、ありえない話である。
(……一体、何が起きたのかしらね。ボルジア家に)
 
 



課題評価
課題経験:60
課題報酬:1500
ミラちゃん家――指輪はいずこ
執筆:K GM


《ミラちゃん家――指輪はいずこ》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2021-04-15 00:35:34
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

すぐに黒犬に指輪を渡してしまうのはリスクがあるかと思うけれど、
セムさんに指輪を借りて、得られる情報がないか調べてみたいわね。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 2) 2021-04-15 07:14:58
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
さて、交渉回ですね。個人的には、交渉以上に気になる点も出てきたところですが……。

リバイバルの体って、魔力で構成されてるんでしたっけ。
まだまだ根拠のない仮説ですけど、その構成する魔力に、何か別のものが混じったら……どうなるんでしょう。
例えば、ノア一族の者の意思的なものとか。

呪いと連動して、誰かを巻き添えにして、その誰かの意思に介入し……自身の死後も不都合なことがないように監視する。

もしも、そんなことができたのなら。
なーんて、先日の調査のあとで、そんなオカルトちっくな想像をしちゃったりした訳ですが。

今回は、その辺の裏付け調査はできそうにないのががが。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 3) 2021-04-15 18:27:29
カサンドラさんに不穏な様子が出てきたのが気になるわね。
それが呪いによる精神汚染的なものの影響なのか、
それとも、もともと彼女が何らかの不安材料を内包していたのか……
アプローチを誤ると藪蛇を突くことになりそうで、
対応するなら細心の注意が必要でしょうね。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 4) 2021-04-15 18:41:45
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝ともうします。どうぞよろしくお願いしますね。

今回は交渉回ですわね。頭脳戦はあまり得意ではないのですが、なんらか有利になるように頑張りたいですわね。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 5) 2021-04-16 09:58:26
そういえば、セムさん達は赤猫に呪いの移し替えをネタにして、協力を取りつけたんですよね。
でも、赤猫に「誰に呪いを押しつけるのか」と聞かれたら、どう答えるのかな……と思ったんですよ。

前だったら、身寄りがなくて黒犬になついてるトーマスさんとトマシーナさんを挙げてたんじゃないかな。と推測したのですが、ドリャエモン先生の養子になった今はどうか……。
今は、トーマスさんとトマシーナさんを挙げることはないでしょう。学園教師の身内ですし。

じゃあ、誰なら挙げられるか?
協力するフリだけなら、ラインフラウさんは手っとり早く自分の名前を出して、赤猫を信用させるかも。

でも、呪いは2人分。
もうひとりは誰か。セムさんなら……どちらかが死すときは、一緒に死ねる。

そう、愛するひとと一緒に……同じ時に死ねる。

なんてことを思うのは、考えすぎでしょうか。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 6) 2021-04-16 19:24:16
と、とりあえずは、交渉をどうするかですよね。
まあ、指輪はお借りできる流れにした方が、選択肢が広がりそうですが……予想よりも借りるためのハードルが低そうに思えるのは、私だけでしょうか。

ちょっと、なーんか引っ掛かる気がしてるので、杞憂かもしれませんがもう少し考えてみたいかも。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 7) 2021-04-16 22:17:29
「『呪い』とは『契約』でもある」そう考えると、
ベイキさんの仮説もあながち外れていないかもしれないわね……

何が良くて何が悪いか、簡単に決めつけることはできないけれど、
少しでも良いと思える結果を目指して、できることをやっていきたいわね。

指輪については、おそらく対になるものもどこかに存在するのだろうし、
それを見つける手掛かりを探すためにも、借りて調べておきたいわ。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 8) 2021-04-16 22:28:59
「愛する人と一緒に死にたい」と思うも、「愛する人には自分よりも長く生きてもらいたい」と思うも、どちらも自然な感じはしますし、ベイキ様の仰るようにフラウ様が前者を思う事もあるかもしれませんわね。

指輪は借りるとしても、偽物を黒犬に渡すかどうか、ですわね。ばれた時の事を考えると中々そうしよう、とも思えないですが偽物を渡すなら準備は必要でしょうか。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 9) 2021-04-17 18:40:44
まあ、呪いの振り替え先はふたりで、そのふたりは振り替えが済むまでは生かしておく必要があると赤猫が思ってるなら、当面は振り替え先のふたりは安全だとも言えますよね。

あと、こちらが握ってる情報をどこまで出すかですが……。

・グラヌーゼに従軍した騎士が指輪を戦利品として持ち帰り、妻に贈ったが妻は正気を失い、指輪を無理矢理外したら指が千切れ、指輪はグラヌーゼの地に沈み消えた。

・グラヌーゼから騎士が持ち帰った指輪はふたつ。指輪は災いをもたらすものとして、グラヌーゼの地に打ち捨てられた。

・呪いのすげ替えは、現在ではできないとされているが、魔王が存在していた頃は、そのための多くの邪法があったらしい。それを確立したのはノア一族といわれている。

前回の調査で得たのは、このくらいでしたっけ。
この辺の情報の扱いは……どうしましょうか?

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 10) 2021-04-17 23:59:31
>情報
全てを話すのは危険な気もしますが、何も話さないのもかえって怪しまれる元ですかしら?今セム様の手元にある指輪が、もう一つの指輪探しに関係ある、というのは察せられるのは仕方ないとして、それがグラヌーゼにある事は今はまだ言わない方がよいかも・・・?指輪を借りるのはデザインが似てるかもしれませんので、参考に、くらいにしておくとか?少々苦しいですけれど。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 11) 2021-04-18 00:49:51
わたしも全てを話してしまうのは、状況が急激に動いたり不測の事態が懸念されるので
あくまで、「呪いについての情報収集のために指輪を調べさせて欲しい」という立ち位置で行うぐらいが
比較的安心かなと思うわ。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 12) 2021-04-18 22:01:09
とりあえず、今回の目的は「指輪がどの辺りにあるか」を探ることです。
そのためには、従軍騎士が戦った戦場を知るのが、現状では有力な手段でしょうか。

グラヌーゼで得た指輪が、グラヌーゼに消えた。
そうなると、指輪を得た場所に……指輪が戻ってる可能性もありそうですし。

>情報
まあ、「指輪を持った者が正気を失ったという話もある」程度は話さないと、セムさんもゼロ回答では……色々と渋りそうですよね。
そのうえで、「手がかりがないから、まずは……どんな場所で従軍騎士が指輪を得たか、一度調べてみたい」という感じで頼めば、セムさんから従軍騎士が戦った戦場を聞き出せないかなと。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 13) 2021-04-19 19:01:11
そうですわね、何事も調査はそれが起こった最初の場所を外す事はできませんし、ベイキ様の仰るような感じでそういう風にもっていけばセム様もお話して下さるかもしれませんわね。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 14) 2021-04-20 04:50:42
教祖・聖職専攻のアルフィオーネ・ブランエトワルです。どうぞ、よしなに。

わたしは、件の従軍騎士の姓名・所属・階級について。と、課題とは直接関係はないのですが、個人的な興味として、ノア一族由来の指輪の存在が、サーブル城をはじめとした、ノア一族の遺物保全に着手する、きっかけになったのかを尋ねたようかと思います。

仮にセムが知らなくても(話さなくても)どこのだれかだけでもはっきりすれば、別の手段で情報は得られるでしょう


《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 15) 2021-04-20 19:54:50
ひとまずプランは提出しましたわ。騎士が戦った場所については、調査の基本は始まりの場所から、みたいな事と、武神・無双コースの生徒として先人の戦った地に興味がある、みたいな感じで尋ねてみようかと。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 16) 2021-04-20 22:59:28
まあ、個人的には、セムさんが「私も従軍騎士が指輪を得た地に興味があるので、一緒に行きましょう」と言われる展開は避けたいところですが……そうならないようにしたいですね。