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ミラちゃん家――指輪を探せ


ストーリー Story

●いつか、彼女が思ったこと
 ああ、わたしはいきたい、いきたい、ながいきしたい。
 みんなとおなじくらいのねんげつ、いきられないなんて、いやだ。
 ああ、わたしはげんきになりたい。
 みんなとおなじようにはしって、おどって、うたって、いろんなたのしいこと、したい。
 そうするほうほうは、ないの?
 このよのどこにも、ないの? 

●肖像
「先生たちも指輪、探しに行くの?」
 【トーマス・マン】の質問に【カサンドラ】は、絵筆の手を止めず答えた。
「ええ。黒犬一人だけには任せておけないから……」
 【黒犬】への協力を鮮明に打ち出した言葉に、トーマスは勇気づけられた。
 呪いの解除については様々な懸念があるが、やはり指輪は早く発見されたほうがいい。それが黒犬本人にとって望ましいことだ、と彼は思っている。
「あの、カサンドラ先生、それなら僕も一緒に行っていい? 指輪を探すの、手伝いたいんだ」
 そわそわしながら聞いてくるトーマスに返ってきたのは、NOの言葉だった。
「ごめんなさい、それは出来ないわ――あなたには、ここで留守番をしていて欲しいの。私たちがいない間に、タロが黒犬の手紙を持って来ることもあるかもしれないから」
 トーマスは軽く落胆する。
 しかし単なる拒否ではなく、納得出来る理由がついていたので、なおも『行く』と言い張ることはしなかった。
「手紙が来たら、ちゃんと受け取っておいてね」
「うん――分かった」
 短く答えてトーマスは、カサンドラが描いている絵を見る。心なし首を傾げて。
 絵には、花園に立つ女性が描かれていた。まとったドレスが散る花びらと一緒になって、風になびいている。
 そのモデルが誰なのかトーマスは知っている。何度かここを訪れたことがあるリバイバルの女性だ。
 だけど、どうしたことだろう。カサンドラが筆を加えるごとに、印象が変わってきているようでならない。
 あの女性は、優しげな感じだった。でもこの絵の中の人は、ひりつくような鋭い空気をまとっている……。

●グラヌーゼ北部
 人どころか獣の影さえない、荒れ地の夜。
 薄雲に覆われた月はおぼろげな光を地上に投げ落とす。
 巨大な穴が地面に空いている。まるでクレーターのように。
 もしあなたがその縁に立ち見下ろしてみれば、穴の底に、体高2メートルはあろうかという黒いマスチフ犬を見るだろう。

 【黒犬】は剥き出しの地面にべたりと腹をつけ座り込んでいた。手下の犬たちは随分疲れているらしい。彼の周囲で眠り込んでいる。
「くそっ、外れか……」
 黒犬は罵りと一緒に炎を吐き出した。
 地中から掘り出されたものが、闇にくっきり浮かび上がる。至るところ陥没したモザイク模様の石畳、崩れ果てた壁、ヒビが入った柱の列。
 それらはここにあった、ノアの別邸の名残だ。
 ノアたちはここに来る際、大勢のバスカビルを必ずお供に連れ出した。楽しみの一つである、狩りに参加させるために(この一点においてバスカビルは、シャパリュに対し大きな優越感を抱いていた。なにしろシャパリュはそういうことをさせてもらえなかったから――実際には『したいのにさせてもらえなかった』ではなく『面倒臭がってやらなかった』のだが、その辺の細かい事実関係について彼らは、あまり意識していない)。
 バスカビルが狩るものは、ノア一族が用意してくれた。
 多種多様な猛獣、魔物、それから――人間。
 人間を相手にするときバスカビルは、たいてい体を小さくしていた。そうでないとすぐさま終わってしまい物足りなかったから。ノアたちもまた、勝負がすぐついては面白くないものだから、放つ人間を複数にしたり、わざと武器を持たせたり、一定距離を逃げるまではバスカビルを放たず待ってやったりなど、色々工夫していた。
 駆けて駆けて獲物に追いつく、噛み付く、振り回す、食い破る。倒した獲物の肉は全部褒美として与えられるので、バスカビルたちはこの遊びに、一段と熱を入れた。その様をノアは優雅に、談笑しながら見ていたものだ。
 まあそれはさておき、ここには指輪はなかった。自分のみならず手下たちにも散々嗅ぎ回らせたが、なかった。
(とすると、どこか別の場所にあるということだな)
 黒犬は頭から、グラヌーゼ以外の場所を探す気はない。『ノアのものはノアのいた場所にある』と考えていたのだ。特にこれといった根拠があるわけではないが、なんとなくの勘で。
 最も可能性が濃厚なのはサーブル城だと思ってもいたが、そこは後回しにしておきたかった。理由は言うまでもなく、赤猫がいるからである。いずれ確かめなければいけなかろうが。
(明日は、幻惑の森へ行ってみるか)
 それにしてもあの女、勇者どもの話によれば最近、あれと何かの取引をしている人間がいるらしい。
 奴が人間の言いなりになるはずもない。
 が、しかし指輪は別として、城の品を勝手に人間へ渡すことはあり得なくはないかも知れぬ。何しろそれらを日々ぶち壊し、平然としているのだから。
 無節操で無軌道で無責任で、シャパリュというのはどいつもこいつもろくでなしだ……。

●咲き誇る花の下には何かがあるかもしれない
 グラヌーゼ、『いのちの花畑』。
 風はまだ肌寒いし、空は灰色だが、花畑は常に変わらず咲き誇っている。

 【ドリャエモン】はモサモサの髭をしごき、東西南北を見回した。
 至る所、花、花、花。戦いの犠牲者を悼む碑『セルラ・ビエラ』のほか、目印となるものは何もない。
 生徒達が【セム・ボルジア】から得た情報によれば、指輪を拾ったかの騎士は、どうやらこのあたりにそれを放棄したらしい。
 以降指輪は、地に潜ったままなのだろう。でなければ、すでに誰かが発見しているはずだ。グラヌーゼの人々は死者を悼むため、毎年ここを訪れているのだから。
「とりあえず始めるとするかの」
 一行は学園から借りてきた品を手にした。
 直角に曲がった一対の金属棒、それから、鎖のついた小さな三角錐。
 一般に水脈や金脈などを探す『ダウジング』に使われるグッズだが、これは特別版。水でも金でもなく『強い魔力を帯びた品物』を感知する。
 これらの器具を駆使ししらみつぶしに探して行けば、必ず何かしら反応が返って来る……はずである。指輪がここにあるのなら。
「まあ、気長にやりましょう。指輪は動いて逃げたりしな――」
 言いかけて【アマル・カネグラ】は、カサンドラが近くにいないことに気づいた。
 もう早、先に進んでしまっていたのだ。目を皿のようにして、声をかけづらいくらい真剣な様子。
(そういえばカサンドラさん、黒犬より先に指輪を見つけなければいけないんだって、ずっと言っていたっけ。でもちょっと、力が入りすぎだなあ……あれじゃあすぐ疲れちゃいそうだ)
 取りこぼしを防ぐため、それから、本人の体調を観察するため、アマルはそれとなく、後ろからついて行くことにする。
 他のメンバーも、思い思いに探索を進める。
「ところで……反応があったらどうします?」
「ひとまず、目印を立てときましょう。現地の人に許可をもらってから、後日改めて掘ってみるってことで」
「花を駄目にしちゃうみたいで、なんだか悪いですね」


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-05-06

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2021-05-16

登場人物 7/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《人間万事塞翁が馬》ラピャタミャク・タラタタララタ
 カルマ Lv22 / 魔王・覇王 Rank 1
不気味で人外的な容姿をしたカルマの少女。 愛称は「ラピャ子」や「ラピ子」など。 名前が読み難かったらお好きな愛称でどうぞ。 性格は、明るく無邪気でお茶目。 楽しいと面白いと美味しいが大好き。 感情豊かで隠さない。隠せない。ポーカーフェース出来ない。 そしてちょっと短気なところが玉に瑕。 ギャンブルに手を出すと確実に負けるタイプ。 羞恥心を感じない性質で、露出度の高い衣装にも全然動じない。 むしろ前衛的なファッション格好いいと思ってる節がある。 戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法。 昔は力に任せて単純に暴れるだけだったが、 最近は学園で習う体術を取り入れるようになったらしい。 しかしながら、ゴリ押しスタイルは相変わらず。 食巡りを趣味としているグルメ。 世界の半分よりも、世界中の美味しいモノの方が欲しい。 大体のものを美味しいと感じる味覚を持っており、 見た目にも全く拘りがなくゲテモノだろうと 毒など食べ物でないもの以外ならば何でも食べる悪食。 なお、美味しいものはより美味しく感じる。Not味音痴。 しかし、酒だけは飲もうとしない。アルコールはダメらしい。 最近、食材や料理に関する事を学び始めた模様。 入学までの旅で得た知識や経験を形に変えて、 段々と身に付いてきた…と思う。たぶん、きっと、おそらく。

解説 Explan

ミラちゃん家、指輪探しも佳境に入って参りました。
今回皆様には、二つの選択肢をご用意します。
どちらもそれほど難しいものではありません。

1:グラヌーゼに乗り込んで、指輪の手掛かりをこつこつ探す。
NPCカサンドラ、ドリャエモン、アマルとの共同行動。
(利点)カサンドラに何か異変があった場合、すぐに察知することが出来る。呪いの指輪について現場で新しい情報を得られるかもしれない。

2:施設に残って、トーマスたちの見守り。(伝令犬タロが、手紙を届けにきます)
NPCトーマス、トマシーナとの共同行動。
(利点)黒犬の手紙を開封し読むことが出来る。今彼が何をしているのか、1のメンバーに先んじて知ることが出来る。

注意点:1と2の選択肢を、同時に選ぶことは出来ません。選んだ場合どちらの行動も失敗する可能性があります。ご了承ください。


※これまでのエピソードやNPCの詳細について気になる方は、GMページをご確認くださいませ。
そういうものが特に気にならない方は、確認の必要はありません。そのままプランを作成し、提出してください。エピソードの内容に反しない限り判定は、有利にも不利にもなりません。



作者コメント Comment
Kです。
はるばる来てしまいました、グラヌーゼ。
黒犬はあさっての方向を探していますので、1、2どちらの選択肢を選んでニアミスする心配はありません。その点はご安心ください。






個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
1:グラヌーゼに乗り込んで、指輪の手掛かりをこつこつ探す。

カサンドラさんの言動に危うげなものを感じるので、【危険予知】や【第六感】なども併用しながら、暴走や事故のないように注意を払いながら、捜索を行う。
もちろん他の同行者や地元住民などの安全にも注意を払い、危険があれば防衛を最優先する。

【事前調査】で図書館での下調べや周辺での聞き込みで、いのちの花畑周辺の歴史やできこと、地勢などを調査しておく。

指輪やその他手掛かりになりそうなものを発掘する時は、周辺環境や地域住民の感情に十分配慮。
花がある場所を掘ったりする場合は丁寧に扱い、花畑や花壇などに移植する。

自然大好きエルフなので特に環境には注意します。

ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:90 = 60全体 + 30個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
【1】指輪探し

◆目的
カサンドラさんの様子を気にかけつつ、いのちの花園で指輪探し

◆方針
私は花畑の中央や、花の種類や花色が一部だけ違う場所とかの、何らかの変化がある場所があやしいんじゃないかなと推測
まずは、花畑の中央付近を調査し、反応がなければ花の種類や花色が一部だけ違う等の変化がある場所を調査

それでも駄目なら、逆に一部だけ花が咲いてないところがあれば、そこを調査

魔法感知、第六感も活かし、何か違和感等感じた場所があれば優先して調べて

必要に応じ、ロープを使って距離を測ったり目印からの延長線上等を確認
足元や草の根元に何かあれば、キラキラ石で照らして確認

カサンドラさんの様子が変ならロ19で鎮静化を図って

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
私は施設に残りますわ。一つはトーマス様がやはり後を追って指輪を探しに行ったりしないよう見張る為。その為職員見習いとしての彼に色々仕事をしてもらって忙しくさせておきますわ。一緒にハーブ園や施設内の手入れ、掃除をしたり、救急箱もありますので保護者が怪我をした時の手当ての仕方も教えておきましょう。トマシーナ様は患者役で。

タロが手紙を持って戻って来た時は、お肉をあげて労いましょう。手紙を読んだ上でその内容に関して調査が必要な場合はトーマス様とトマシーナ様を連れて学園の図書館へ行ってもいいかもしれません。

指輪探し班が戻ってきたら、手紙の内容と調査内容を話して今後の事は返事の協議をしないといけませんわね

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【2】
トーマスがすぐに返事を出そうとしていたら、止める《説得/信用/子供親和/会話術》

理由

・指輪探索の結果を待ったほうが良い
・伝令犬を2、3日休ませてやったほうが良い

幻惑の森探索の際のことを思い出し、食事と風呂の準備を進める。前にカサンドラに饗した、グラヌーゼ料理に加えて、海のものも追加。

おしながき

大麦のミルク粥
ライ麦パン
羊肉の入ったごった煮風スープ
海藻サラダ
白身魚のムニエル

黒犬にどう返事をするか、探索の結果も踏まえてよく話し合う。個人的な意見として、ひとまず指輪入手については伏せて、真贋、安全性等、確証を得られるまで調査を主張。いたずらに触れるのは、こちらにも、黒犬にとっても、危険

アドリブA

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
訓練コースで毎日通る大図書館(経歴参照)で
【事前調査】【勇者司書】を活用し
調査場所の地形を徹底予習

【植物学】【魔法学】で
花畑の花が呪物で受ける影響を【推測】
役に立つ本は持ち出し許可申請をしておく

グラヌーゼ探索に同行し一行のガード
戦闘の可能性は少なそうだが警戒

カサンドラのパニックを想定し
思わぬ行動を抑え込めるよう警戒
パニックの防止や減少のため
道中真摯に交流し【信用】を深めたい

戦闘回避を優先して行動し
万一の時は専守防衛、相手の撤退を第一目標
戦闘不可避な場合のみ
ドリャやアマルと連携し短期決戦狙う

カサンドラの危険な暴走または命の危機には
彼女をグリフォンの【ルピア】に乗せて飛び
味方または敵から距離を取る

パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
絵の方も気になるけど、あの絵を気持ちよく完成させるためには、探しものが早く見つかる方がいいかもね
手伝うわ

◆方針
【1】で指輪の所在を調査
着手前に各々の方針を確認し、その方針に合う場所をうまく手分けして調査できるよう調整
調整の際には、カサンドラさんが孤立しないように留意し、誰かがカサンドラさんの近くに居て様子を確認できるよう配慮

様子が変なら声かけし対処を

◆調査
私個人としては、グラヌーゼの焼け跡に指輪が消えたような話だし、露出した地面から焼け焦げた石材や、炭化した木材が見えるような場所やその近辺の花畑を重点的に調べてみるわ

魔法感知、第六感で気になる場所は更に詳しく調べて
オカルト絡みっぽければリ9使用

ラピャタミャク・タラタタララタ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
施設でお留守番

■行動
施設に残って、黒犬からの手紙を待つのじゃ。
多分大丈夫だと思うが、トーマスが返事を出したりしないか見守るのじゃ。
返事は皆が揃ってからにせねばじゃからのぉ。

それと時間にもよるが…
ついでじゃから、ご飯やオヤツでも作るとするかのぉ。

お昼時ならハンバーグ、オヤツ時ならドーナツとか良さそうじゃな。
材料は施設に向かう前に買って持っていくつもりじゃ。
せっかくじゃし、トーマスとトマシーナにも手伝ってもらおうかのぉ。
こういうのは皆で作って食べるから美味いのじゃよ。

それと、リフォームで入れた窯の状態も確認しておくのじゃ。
使用状態や手入れに異常はないかなど、アフターフォローも大事なのじゃ。

リザルト Result

●今日は楽しいお留守番
 先だってのリフォームで新設された、石窯。
【ラピャタミャク・タラタタララタ】はその前で盛大に咳き込み、目をこすっていた。
「ええい、汝らなぜあちきの方にばかり流れて来るのじゃ!」
 そこに買い物カゴを下げた【アルフィオーネ・ブランエトワル】がやってくる。
「ちょっと、一体どうしたの。こんなに煙らせて――あ、あなた裏に積んであった杉の葉を入れたんじゃない?」
「うむ、入れたのじゃ。どうせ焼くならついでじゃと思っての」
「駄目よ、生乾きの物を入れたら。だからこんなに煙ばかり出ちゃうのよ」
 ぼやいたアルフィオーネは窯に向かい、燃えるような吐息を吹き込んだ。
 煙ばかり噴出していた杉の葉が、一瞬で燃え上がる。
 ラピャタミャクはおお、と感嘆しきり。
「さすがドラゴニアじゃ、火の扱いでは並ぶものなしよの……ところでその格好からするに、なんぞ買い物にでも行くのかの?」
「ええ。指輪探索班が帰ってきたら、しっかり食べさせてあげないといけないからね。この前のこともあるし」
 その言葉はラピャタミャクに、幻惑の森から濡れ鼠になって帰ってきたときのことを思い出させた。
 あれ以降カサンドラは体の具合が思わしく無さそうだ。ついでに言うと精神面も。
(呪いには精神を侵して乗っ取るような効果が………いや、考え過ぎかのぉ。何はともあれ油断は禁物、色々と気を付けねばじゃな)
 心ひそかに思いつつラピャタミャクは、言葉を続ける。
「それはよきことよの。で、おしながきはなんじゃ?」
「大麦のミルク粥、ライ麦パン、羊肉の入ったごった煮風スープ、海藻サラダ。それから、白身魚のムニエルよ」
「グラヌーゼ料理が主かの」
「ええ。そのほうがカサンドラの食も進むようだし」
 ラピャタミャクは空を見る。日はかなり高い。アルフィオーネの買い物にはちょっと時間がかかりそうだ。
「……のうアルフィオーネ。窯に火が入ったことじゃし、昼も近いし、ついでじゃからあちき、包み焼きハンバーグでも作ってトーマスたちに食べさせてやろうと思うのじゃが……かまわんかの?」
「もちろん。そうしてくれると助かるわ。お買い物にはちょっと時間がかかりそうだし。朱璃と一緒にトーマスたちのこと、ちゃんと見ててちょうだいね」
「あい分かった。まかしときなのじゃ」

 除草を終え、さっぱりした様子で風に揺られるハーブ園。
 【朱璃・拝】は【トーマス・マン】と一緒に、間引きしたハーブの葉や芽をよりわけている。
「大分仕事にも慣れてきたようですわね」
 彼女は本日トーマスに付きっ切りで。あれやこれやと仕事を手伝わせている。相変わらず黒犬を慕っている彼を一人にさせておくと、こっそり抜け出して指輪を探しに行こうとしないとも限らない、という懸念を抱いているゆえに。
「朱璃さん、これ、どうするの」
「薬や薬味として使うのですわ。このカモミールの花は新鮮なうちに、ハーブティーにいたしましょう」
 ひと作業終え施設へ戻ろうとしたところ、【トマシーナ・マン】が走ってきた。
「にいたん、しゅりねえたん、きょうのおひるははんばーぐよ。らぴゃたねえたんがいっしょにつくろうって。あとね、どーなつもつくろうって」
 朱璃はちらりとトーマスを見る。
(本当はこれから応急手当の講習をしていただく予定でしたが……まあ、それは後でもよいですわね)

 ラピャタミャクは大量のひき肉と卵、パン粉、炒めたタマネギをこね回し、大胆かつ豪快にまとめて行く。
「ラピャタミャクさん、これ、一個一個が大きすぎない?」
「大きいことはいいことじゃぞトーマス。窯焼きじゃで、ちゃんと火は通る」
 ハンバーグの両面を焼いてから鉄ナベに入れ、蓋をし、窯に投入。
 それが出来上がる間に次は。
「さて、ドーナツといこうかの」
 ドーナツの種生地は、ハンバーグを作っている間に、朱璃が準備しておいてくれた。
 台に打ち粉をふるい生地をのばす。ドーナツ型でくりぬき、油へ投入。均等に熱が行き渡るよう、菜箸でクルクル引っ繰り返しながら……。
「あちっ」
「気をつけてくださいねトマシーナ様。油は撥ねますから」
「うん」
「私も小さい頃はやんちゃでよく怪我をしましたわ。トマシーナ様はどうかしら?」
 揚がったものは金網台に乗せ冷まし、粉砂糖でデコレーション。
 程よいところで買い物を済ませたアルフィオーネが帰ってきた。
「あるふぃねえたん、おかえりー」
「はーい、ただいまトマシーナ。あら、おいしそうなものがたくさん出来ているじゃないの」
「うん、みんなでつくったの。あるふぃねえたんもいっしょにたべよう」
「ええ、そうするわ。お言葉に甘えて」
 そこで朱璃が狼の耳をピンと立てた。急いで勝手口を出ていく。犬の鳴き声が聞こえてきたのだ。
 扉を開けると伝令犬タロが、駆けてくるところだった。尻尾を振って。
「お帰りなさいませ、タロ!」
 トーマスとトマシーナも飛び出してきて、タロを出迎える。
「お帰り、タロ!」
「おかえり!」
 朱璃は急ぎ肉を持ってくる。タロの労をねぎらうために。

●いのちの花畑
【ベイキ・ミューズフェス】は鎖のついた小さな三角錐を目の高さに翳し、焦点を背景に合わせる。
 淡い色をした花が一面咲き誇り、そよ風に揺れている。カサンドラの描いた絵のように。
(ここって……年中、花が咲いてるんですよね)
 よく考えてみれば妙な話である。グラヌーゼは植物にとって、けして生長しやすい場所ではないのに。
(もしかしたら、指輪の力がよい方向に働いて、花が咲いてたりしているのでは……ないでしょうか)
 ふと頭に浮かんだ考えをベイキは、近くにいた【タスク・ジム】と【ドリャエモン】に話した。
 タスクはさもありなん、と頷く。
「あり得なくはない話です。僕が調べたところによると、強い魔力は、植物の成長に大きな影響を与えるそうですから」
 それに対しドリャエモンは、疑義を呈する。
「強い魔力といっても、呪いに使われておる力だからのう……それによって草木が勢いづくということが、あるのかどうか」
 【エリカ・エルオンタリエ】はどちらかといえば、ドリャエモンの意見に賛成だった。呪いが正の力を発揮するというのは、ちょっと考えづらかったのだ。
「花が咲き続けているのは、散って行った人々を悼む精霊たちの気持ちが作用しているんじゃないかと思うのよ」
 そう言って傍らを見やる。そこには彼女が『自然友愛』で呼び出した幼い精霊が、花の上にちょこんと座っていた。赤ん坊に蝶の羽が生えた姿の可愛い精霊は、つぶらな目をエリカに向けにこにこ笑っている。
 四者の話を聞いた【アマル・カネグラ】は、首を傾げて意見を述べた。
「呪いが植物を活性化させるってこと、僕はあるような気がしますけど。眠り姫を呪った魔女は、茨でお城を覆っちゃったわけですし」
 【パーシア・セントレジャー】は仲間の会話を小耳に挟みつつ、【カサンドラ】の様子を確認した。
 表情が明るく目も生き生きして、どうも妙に勢いづいている。
「カサンドラさん、例の絵の方はどう? 進んでる?」
「はい、進んでますよ……もうすぐ仕上がりそうです」
 カサンドラは笑顔で答えたのだが、パーシアはなんだか、それが本当の笑顔でないように感じた。もともと褪せた色の金髪がますます褪せ、白っぽくなっている。
(そういえば、カサンドラさんは「健康になりたい」、「リバイバルになっているのに、私、どうして生きているときと変わらず不健康なんでしょう」って言ってたわね……)
 果たしてリバイバルが生前の体質を引き継ぐようなことがあるのだろうか。
(あんまり聞いたことがないけど……まさか、カサンドラさんも黒犬達と同じように呪われたせいで、健康を害してたりは……しないわよね?)
 もやもやしながらパーシアは、カサンドラの背をポンと叩く。親しみを込めて。
「そう。それなら早く見せてもらいたいわ。でもその前に探しものを早く見つけないとね。憂いなく、絵を気持ちよく完成させてもらわなきゃ」

●黒犬通信
 タロが持ってきた【黒犬】からの手紙は、土に汚れていた。どうやら彼、おおいにどこかを掘り返しているらしい。
 内容はこうだ。
『俺はグラヌーゼの東の端にいる。ここは昔ノアの猟場があったところだ。
くまなく探したが指輪が見つからなかったので、これから幻惑の森へ向かう。
お前達の方はどうなっている。指輪は見つけたのか。見つけたなら知らせろ。
呪いを解く方法は分かったのか。分かったなら知らせろ。
そういうことがないならないで連絡をよこせ。
何だったら手伝いに来い。』
 相変わらずの上からな態度に、アルフィオーネは鼻白む。
(ほんと、自分を何様だと思ってるのかしらね……)
 それはそれとしてトーマスが、早速そわそわとし始めた。
「黒犬、すごく心配してるよ。早く返事を出した方がいいんじゃないかな」
 アルフィオーネはむろん、彼の行動を押し止どめる。
「指輪探索の結果を待ってからじゃないと、駄目よ。タロだって、2、3日休ませてやったほうが良いでしょ?」
「そうだけど……でも、何もないならないでそのことを知らせて欲しいって書いてあるし……手伝いにも来てほしいって。僕たちにそう言ってくるってことは、きっとさ、すごく困ってるんじゃないかなあ」
「トーマス。あなた、前にタスクにも言われたでしょう? 下手をすると、黒犬にもっと酷い呪いが掛りかねない、もし、そうなったら、戦わなければならなくなってしまうかもしれないって。軽々しく、指輪を見つけたとか、知らせるべきではないわ」
 ラピャタミャクも言った。ドーナツを詰め込んだ頬をリスのように膨らませながら。
「あちきも返信は急がんでいいと思うぞ。黒犬にかかっとるのは、解かんと死ぬという類いの呪いではないからの」
 むしろ解いたときのほうが危険そうだ。そしてその影響が当人たちだけに止まらないところが、厄介であり放置出来ない所――と彼女は思っている。
(黒犬と赤猫だけなら、極論ほっといてもまあ、よかろうが……下手をすれば子供達にまで害を与えるやもしれぬでのう。カサンドラもおかしくなっておるようじゃし……)
 二人からそう言われてもトーマスは、まだ納得しづらい顔をしている。
「でも……」
 アルフィオーネはため息をついて、再度彼をなだめた。相手の肩に手を置いて。
「わたしにはよくわかる。かつて持ち得た『力』に恋い焦がれる気持ちが。彼の焦燥感をかき立てるような情報を、安易に与えるのは、厳に慎むべきよ」
 そこで朱璃は一計を案じ、彼にこう持ちかけた。持参した手作り苺タルトを切りわけながら。
「トーマス様、お食事が終わりましたら、一緒に図書館に行きませんか? 黒犬様が行かれたグラヌーゼの東の端がどんな場所か、調べてみるのはいかがでしょう。そうしたらお返事も、より書きやすくなるのではないかと思うのですが」
 それを聞いたトマシーナが、足をバタバタさせる。
「わたしもいくー」
「ええ、いいですわよ。トマシーナ様も一緒に行きましょう。新しい絵本を借りましょうね」

●つかまえる
 タスクはダウジングにほとんど参加せず、絶え間なく四方を警戒していた。万が一何かが起きた場合のことを考えて、ガード役に徹しているのだ。
 彼は自分たちが立っている場所が、ほかの場所より小高くなっていることに着目する。
 資料によるとグラヌーゼの戦いにおいては、有利な足場となる丘陵を巡って何度も、激しい衝突が起きたとのこと。
(相手より高い場所に陣地を築くというのは、兵法における基本だけど……もしかして、ここがそうなのかな?)
 ベイキは花畑の中央付近、石碑がある場所を重点的に探してみた。しかしそこには何の反応もなかった。
(そう簡単にはいきませんか……)
 では、ということで今度は、花がなんらかの変化をとげている場所を探す。
 パーシアは地面を見回っていた。焼け焦げた石材とか、炭化した木材とか、戦場の名残のようなものは残っていないかと。
 だが彼女が期待するものは一切見当たらなかった。
(痕跡を探すには、時間が経ち過ぎだったかしら……)
 カサンドラに目を移せば、足早に歩き回っている。手にした金属棒の動きにも三角錐の動きにも注意を払わないまま。
「カサンドラ、急ぎ過ぎよ。あんまり早く歩くと、色々見落としちゃうわよ」
 と注意しても、あまり聞こえたふうではない。
 それと時を同じくしてベイキは、何かに足を引っかける。
 なんだろうと思い、花をかきわけ、キラキラ石で照らしてみる――花の根が異様に発達し、瘤状になっている。まるで古木のように。
 よく見たらそこから先の花は、皆同じような変化を起こしていた。
(これは……)
 そのあたりを飛んでいたエリカの精霊が急に反転し、彼女の元へ戻ってきた。
「どうしたの?」
 と聞かれても何も言わず、困り顔でいやいや首を振るだけ。
(この先に、何かある)
 確信を抱いたエリカは、精霊に微笑んだ。
「大丈夫よ、心配しないで……行けるところまで行ってみるわ。ここを掘り返すんだとしても、可能な限り範囲を絞りたいから。花畑へのダメージは、最小限に押さえたいもの」
 一同進む。ダウジングがより反応するほうへ。
 金属棒がより開いて行く。三角錐の揺れも大きくなる。
 当たりかもしれない――その期待はほどなくして、不安に変わった。
 ダウジングの反応があまりにも強くなってきたのだ。金属棒は最大値の180度を越え、なお広がろうとしている。振り子は残像が見えるほど高速で回りだす。
 ベイキは頭が重くなってくるのを感じた。
「カサンドラさん!」
 鋭い声が響いた。パーシアの声だ。
 カサンドラはダウジングの器具を放り捨て、走りだしていた。
 アマルが足に飛びつく。
 タスクが抱え込むようにして動きを止める。
 ドリャエモンも急ぎ彼女に駆け寄り、壁となるよう前に立った。
「どうしたのだ、カサンドラ」
 それに対してカサンドラは、ゆっくり笑った。その笑いは、ひどく凄惨なものだった。
「思い出した……思い出したわ、私、私はここで黒犬と会ったのよ。私そのときお医者から、長く生きられないだろうって言われたばかりだったわ。そう、そうよ、黒犬は言ったのよ、お前が長生き出来る方法を知ってるって」
 エリカは彼女を落ち着かせようと、言葉を挟む。
「それは、どんな?」
 カサンドラは爛々と目を光らせ、叫んだ。
「俺の呪いを解いてくれればいい。そうしたらお前に魔物の力を分けて魔物にしてやるって。魔物になればこれから百年でも二百年でも生きられるって。でも……でもそれは嘘、嘘だったわ! 彼には人間を魔物にする力なんか、最初からありはしなかったのよ!」
 身を丸め地面を叩く。激しく。笑い声が一層激しく、高くなる。
 危険だと見たベイキは歌い始めた。『言の葉の詩』を。
 笑い声が徐々に小さくなっていって、最後は、すすり泣きに終わる。
 パーシアはカサンドラの背をさすり続けた。
「大丈夫よ、大丈夫……」
 カサンドラをこれ以上この場において置かない方がいい。そう思ったタスクは、彼女をグリフォン『ルピア』に乗せようとする。
 そのとき、そよ風がぴたりと止んだ。
 ベイキは幻視を見た。
 目の前にあの肖像画のノアたちが立っている。顔に死相は浮かんでいない。どちらもにこやかな笑みをたたえている。
 そのことに彼女は戦慄する。相手が(幻影だが)こうまで友好的な表情をしているのが不気味でしょうがなかった。ただ脅しをかけられるより、ずっと。
 直後、幻視が消えた。
 カサンドラは、搾り出すような声を漏らす。
「私は……もっと生きたかった……」
 ざあっと強い風が吹く。
 花が倒れ、地面がむき出しになる。
 むき出しになった地面の上に、小さなものが光った。
 それは、飾りも何もない乳白色の指輪だった――プリズムのようなえもいわれぬ光を、内側に宿した。

●早まる
 前回同様今回も、疲れて帰ってくることだろう。
 そのように予想したアルフィオーネは探索隊を、山の麓まで迎えに出た。
「お帰りなさい。お風呂もごはんも準備できているわよ」
 迎えを受けたエリカがまず最初にしたことは、探索結果についての口止め要請であった。これは、ほかのメンバーと話し合った上でのことである。
「――ということで、指輪が見つかったの。けど、これはトーマスくんには秘密にしておいて。『一応指輪がありそうな場所は特定出来た』、とただそれだけ伝えて」
「……分かったわ。そうそう、黒犬から手紙が来たわよ」
「え、もう?」
「ええ。相当焦れてるみたい」
 施設の門まで戻ったとき、中から、タロの吠える声と兄妹たちの楽しそうな声が聞こえてきた。
 タスクは心が揺らぐのを覚える。
(あの二人を守るために僕たちは頑張ってる。その僕たちをドリャ先生や校長先生が助けてくれる――でも先生方が困ったら、誰が助けるんだろう?)
 心に収めて置くには膨らみ過ぎた思いを、彼は、近くにいたドリャエモンとアルフィオーネに打ち明けた。
 対しアルフィオーネは肩をすくめる。
「愚問ね。わたしにとっては、みんな、護るべき人々よ? あ……ただし悪党除く」
 ドリャエモンは一言一言かみ締めるように、ゆっくり答える。
「タスクよ、人の強さも弱さもその時々で変わるものだ。助けるというのは、一方通行なものではない。お互い様だ。わしら教師も、日々おぬしたちに助けられておる」

 トーマスは帰ってきた一団に早速手紙を見せた。朱璃と図書館で調べてきた事柄を沿えて。
「グラヌーゼの東部には、確かにノアの出城があったみたいだよ。だからこの手紙の内容はウソじゃないよ。ねえ、返事を書いてもいい?」
 探索班は留守番班と改めて話し合い、トーマスも納得するような、黒犬への返事を考えだした。
 それは、以下である。
『指輪のある確率が高そうな場所は、特定出来そうだ。
その真贋と確証を得られるまで、調査を続ける。それが終わったら手伝いに行く。
追ってまたすぐ手紙を出すから、それまで待っていてほしい。
もし、幻惑の森で何か見つかったなら、こちらにも教えてほしい。』





課題評価
課題経験:60
課題報酬:1500
ミラちゃん家――指輪を探せ
執筆:K GM


《ミラちゃん家――指輪を探せ》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2021-04-30 03:23:56
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。
細かい行動はまだ決めてないけれど、おそらく【1】の方へ行くつもりよ。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 2) 2021-04-30 18:37:03
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。

そうですわね、私は今の所【2】、でしょうか。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 3) 2021-05-01 02:14:54
教祖・聖職専攻のアルフィオーネ・ブランエトワルです。どうぞ、よしなに
トーマスが不要な情報を黒犬の流さないよう、見守る必要があるし、探索技能を持ち合わせていないので【2】に行きたいところではあるけれども、カサンドラさんの体調を考えると、治療士が同行したほうがいいかもしれないわね

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 4) 2021-05-01 07:06:05
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
さて、手分けしての調査ですね。私は【1】での調査希望です。
これで、ちょうど現状の人員を半々に分けられるでしょうか。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 5) 2021-05-03 11:15:56
【2】

トーマス様が不要な情報を流さないように見守るのもそうですし、ないとは思いますが後を追って指輪探しに出たりするかもしれませんのでそれも見ておかないとでしょうか?

トーマス様は職員見習いですし、何か施設の仕事をお願いして忙しくさせておくのも良いかもしれませんか?

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 6) 2021-05-04 01:38:01
わたしとしては
・どう返事をするかは、指輪探索の結果を待ってからのほうが良い
・伝令犬を二、三日はやすませてあげたほうが良い
と、説得するつもりです。

あと、幻惑の森の探索の時みたく、皆が濡れ雑巾みたいになって帰ってきたときのために、食事とお風呂を準備しておきます

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 7) 2021-05-04 07:40:52
遅刻帰国~!
勇者・英雄コースのタスク・ジムです!よろしくお願いいたします!

選択肢は2つで、今のところ、ちょうど半々なんですね。

僕は、以下の通りどちらでもやりたいことがあるため、どちらにも入れます。
【1】なら、縁があるグラヌーゼでの探索、必殺【勇者司書】も活用できます。
【2】なら、トーマス・トマシーナ兄妹との交流により、フォローの強化に加え、交流を通して自分たちの来し方も改めて考えるようなロールも、何となくイメージしていました。

見たところ、【1】にガード役がいた方が良さそうですね。
今回は【1】かな・・・。
状況により変更可能です!

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 8) 2021-05-04 22:29:34
【1】

ここって……年中、花が咲いてるんですよね。
もしかしたら、指輪の力がよい方向に働いてて、花が咲いてたりしないかなとか思ってたりします。

もしそうなら、花畑の中央や、花の種類や花色が一部だけ違う場所とかの、何らかの変化がある場所があやしいんじゃないかなと。
推測ですけどね。

>タスクさん
必要なら、私も盾とか鈍器持っていけますし、ドリャエモン先生もいらっしゃるので、今回は好みの方で動かれても大丈夫だと思いますよ。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 9) 2021-05-04 22:38:14
【2】

そうですわね、返事に関してはトーマス様がお一人で出してしまわれないようにしておいた方がよいですわね。

私は先述の通りトーマス様と施設内のお仕事をしながら彼をみておきますわ。トマシーナ様とミラ様にも何かしていただきましょうか・・・さて、何をしたものやら。後は何かおやつを作っていきますわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2021-05-05 13:40:30
ありがとうございます。

プロローグをよく読むと、今回は兄妹よりカサンドラさんのほうが
心配になってきました。

そこで、【1】に参戦して、カサンドラさんのフォローに
重点を置いてみたいと思います。

そのように警戒しながらカサンドラと【信用】を深める
ざっくりしたプランは書いたのですが、
ほかに注意点や、行動や危険の予測、その他ご意見あれば
教えていただけたら、プランに盛り込んでみますね。

あとは、万一の戦闘に備えて防御にスキルや文字数を割きますね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2021-05-05 13:49:32
ロールプレイでやりたいことがあり、ちょっとしたご提案です。
もし、文字数に余裕があれば、お付き合いいただければ嬉しいです。

兄妹という守るべきもの、先生方という守ってくれるもの。
僕たちはこの中間にいるわけです。
兄妹が困ったら、僕たちが助ける、そのために頑張るわけですが、
先生方が困ったら、誰が助けてくれるでしょうか?

そんな話を、【ドリャ先生】と、【近くにいる仲間】に呟いてみる、
というウィッシュプランを考えています。

つきましては、
「文字数余ってるよ!」「ネタ思い付いたよ!」「エモ分摂取したいよ!」
という方は、【近くにいる仲間】として、上記のネタに対して
一言二言投げてくださると嬉しいです!

恐らくグラヌーゼへの道中の出来事なので参加しやすいのは【1】のお二人ですが、
シチュエーション次第では【2】のお二人も参加いただけるのでは、と思います。
あくまで小ネタとして、ご検討いただければ嬉しいです。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 12) 2021-05-05 18:16:47
ロールプレイの発生場所は
「探索の帰り道、施設の門が見えてきた」あたり、と記述してみました。
これで、【1】【2】を問わず参加しやすいと思います。

もちろん、参加がなくても、僕とドリャ先生の会話として成立するので
心配ご無用ですし、
そもそもウィッシュプランなので、採用不採用はGM様次第となっております。

ベイキさん・・・前の課題で、お魚振り回して無双されてましたものね・・・(笑
意外と強いアマルくんもいるし、戦闘面では心配なかったようですが・・・

色々考えた結果、【好み】にしたがって、今回は【1】に参戦させていただきますね。
よろしくお願いいたします。

アルフィオーネさん、朱璃さん、兄妹のことお願いしますね~。
お二人ならば、安心です。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 13) 2021-05-05 18:17:03

《人間万事塞翁が馬》 ラピャタミャク・タラタタララタ (No 14) 2021-05-05 21:10:54
魔王・覇王コースのラピャタミャク・タラタタララタじゃ。
ギリギリの参加じゃがよろしくなのじゃ。

あちきは【2】で施設に残ってるつもりじゃ。
とりあえず、ご飯とかおやつでも用意しておくのじゃ。

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 15) 2021-05-05 21:11:50
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
そうねえ……私は【2】で保護施設に残っておこうかと思ってるわ。

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 16) 2021-05-05 21:17:10
あら、ラピャタミャクさんと被ったみたいね……。
じゃあ、絵のことも気になるけど人手も要るでしょうし、私は調査の方に回ろうかしら。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 17) 2021-05-05 21:57:52

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 18) 2021-05-05 22:00:23
こういうときは直感で、こっちだって思った方を選んだほうがよい。と、あるわね

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 19) 2021-05-05 22:29:43
実のところ、もう【1】で行動提出済みなのよ。
改めて、【1】で確定しておくわね。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 20) 2021-05-05 22:50:01
【1】でカサンドラさんの安全を守りながら指輪の調査を行うわね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 21) 2021-05-05 22:50:22
ラピ子さん、パーシアさん、ようこそ~!心強い援軍です!
パーシアさん、【1】よろしくお願いします!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 22) 2021-05-05 23:27:51
カサンドラさんが危険なときは、グリフォンに乗せて飛ぶよう書いてみましたよ!
これで、彼女が襲われて危険な場合は敵から、彼女自身の暴走で危険な場合は味方から
距離を取ることが出来ます!

後者の場合は、【正妻の制裁】で引っ掻いてみて、あとは自分の防御力を信じる他ないですね(苦笑)

余談ですが、グリフォンには【ルピア】という名前を付けてみましたよ!
(ルピア・ジム=RPA事務)

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 23) 2021-05-05 23:45:18
いよいよ出発ですね!
にわかに援軍が増えてくれて、
最終的には【1】四人、【2】三人と、充実の戦力ですね。

皆さん、ご一緒いただきありがとうございます!
あとは、果報を寝て待つとしましょう!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 24) 2021-05-05 23:45:28