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【メイルストラムの終焉】White


ストーリー Story

 活気のある声が響く。
「そっち持ってくれ!」
「おう!」
 破壊された家屋の柱を男衆が運んでいく。
 周囲を見渡せば、いたる所に瓦礫が散乱していた。
 その全ては、魔王復活を目論む軍勢により破壊された物だ。

 少し前、長閑な島が襲われた。
 現地の言葉で、『名も知らぬ』あるいは『無名の』という意味を持つ『ボソク島』。
 朴訥とした、この島が襲撃されたのは、もちろん理由があった。
 霊玉。
 かつて魔王を封じた九人の勇者。彼らの魂が結晶化したものだ。
 強大な魔力の源であり、全てを集めれば魔王復活さえ叶うと言われていた。
 霊玉は八個存在し、その内のひとつを宿す少年【テジ・トロング】が島に居たのだ。
 それをどこからか聞きつけた、魔王復活を目論む軍勢が島を襲撃。
 学園生たちの活躍のお蔭で事なきを得ることが出来たのだが、さすがに被害なしというわけにはいかなかった。
 人の犠牲は抑えられたものの、家屋の破壊などを防ぐことまでは出来ず、復興前の瓦礫の片付けが進んでいる。

 襲撃から日が浅く、島民達だけでは時間が掛かるほど、瓦礫は散乱していた。
 けれど、いま周囲を見渡せば、そんなことはない。それは――

「これ、あっち、持って行ったら、良い?」
 見上げるほどの巨人、【ガニメデ】が片付けを手伝ってくれているお蔭で、作業は驚くほどに進んでいた。
「ありがとな、ガニメデ」
「そのまま、あっちに持って行ってくれ」
「うん。分かった」
 島民に言われるまま、ガニメデは瓦礫を運んでいく。
 彼は少数種族である巨人で、本来ならボソク島に居る筈はない。
 そんな彼が何故いるかといえば、島が襲撃されたことに関わっている。
 着けた者を意のままに操る仮面により意識を操られ、襲撃者に加わっていたのだ。
 幸い、学園生たちの活躍により事なきを得て、元凶である仮面も破壊されたことで自由を取り戻し、今は島で生活している。
 もっとも本人としては故郷に帰りたいようで、最初の内は、めそめそと泣いていた。
 見上げるほどの大きさだが、巨人としては子供だったらしく――
「お家、帰りたい……」
 と、心細そうに泣いていた。
 それを島民たちが慰め、今では島の復興に大いに役に立っている。
 本人としても、意識を操られていた時のこととはいえ、島を荒らす原因の一つとなってしまったのを気に病んでいたらしい。
 一生懸命瓦礫を片付け、島民達とも仲良くなっていた。
「ガニメデ、少し休むか?」
「ううん、いい。やる」
「そうか? でもな、ずっと働いてるし」
 島民が声を掛けている時だった。
「ガ~ニ~メ~デ~」
「あーそーぼー」
 小さな子供達がやってくる。
 皆ルネサンス族だ。ほぼすべてウサギの耳、ちらほらと狼や熊の耳が混じっている。
 中には、霊玉を宿した男の子、テジも居た。
「う、遊ぶ?」
 心動かされたのか、ガニメデは島民達に視線を向ける。
 島民たちは苦笑すると、快く送り出す。
「遊んできな。おやつだって用意してくれてるだろうから、食べて来ると良い」
 島民たちの応えに、ガニメデは顔をほころばすと、子供達と一緒に遊びにいく。
「なにするー?」
「おにごっこー」
「おにごっこ、する」
 賑やかに走り回る子供達を島民達が微笑ましげに見詰めていると、商人の一団がやってくる。
「子供は元気で良いですね」
 にこにこ笑顔で、商人達の代表団が島民に声を掛ける。
 彼らは学園と繋がりのある商人の集まりらしく、島の復興などの協力にやって来たのだ。
「巨人というから最初はおっかなびっくりでしたが、ふたを開ければ子供ですものねぇ。早く故郷に戻してやりたい所ですが、船の修理に、もう少し掛かりそうです」
 島を襲撃した軍勢は、幾つもの船でやって来たのだが、その内の幾つかは、奪われるのを嫌って破壊されている。
 ガニメデを乗せてきた船も同じで、甲板などが、爆破系の魔法で壊されていた。
「まぁ、そっちはこちらの職人がどうにかしますから、ご安心を。それとは別に、例の件、承諾していただけますか?」
「島で夏祭りをして観光客を呼び寄せるってヤツかい?」
「ええ、そうです」
「別にかまわないけど、本当に観光客が来るのかね?」
「そちらは、こちらで巧くやりますので安心してください」
 笑顔のまま、商人は続ける。
「勇者候補生、魔王軍撃破記念夏祭り! 盛り上げていきますよー!」
 商人は気合を入れるように言った。
 なんでも、学園生が魔王復活を目論む軍勢を倒したことを記念して、各地で夏祭りを開催するらしい。
 その始まりのひとつとして、ボソク島を観光地として売り出しつつ、盛り上げていこうとしている。
「しっかし、アンタら商人だろ? 儲かるかどうか分かんないのに、良いのかい?」
「商人だからですよ」
 変わらぬ笑顔で商人は返す。
「商人としては儲けが第一。それなのに魔王軍なんてのにデカい顔をされたら商売あがったりで」
 軽くため息をつき、続ける。
「戦争で儲けられるんじゃ? なんて言うド素人が居ますけどね、ふざけんなって話で。あんな水物、出てくばっかりで上がりはそこそこ。むしろ世の中が不安なせいで、製品を作るのが滞ったり商品運ぶのに邪魔だったり、何よりお客さん減らされてたまるかってんですよ! ええまったく」
 大分、憤慨している。
「まぁ、そういうわけで、勇者候補生の皆さんには、頑張って欲しいんですよ。その後押しやらも兼ねて、夏祭りで盛り上げようと、そうなりまして」
「んー、それってアレか。プロパガンダで宣伝しつつ、商売の邪魔する奴らをぶっ飛ばしたいと」
「そういうことです。ついでに言うと、魔王軍と戦うなら、そこに必要な物資とかは沢山要りますからねぇ。食い込めたら美味しいでしょ?」
 あけっぴろげに悪巧みを口にする商人に、島民は笑って返す。
「さすが抜け目ないね。まぁ、そういうことなら、島を上げて手伝うよ。とはいえ、その前に島の復興が先だがな」
「そっちもお任せを。学園にお願いして、勇者候補生たちに手伝いに来て貰えるよう手配しました。夏祭りのアイデアとかも出してくれるかもしれませんよ」
 笑顔を崩さず、商人は応えた。

 そして、皆さんに課外授業が出されました。
 魔王復活を目論む軍勢に荒らされたボソク島の復興のお手伝いと、夏祭りの準備やアイデア出し。
 霊玉を宿すテジ・トロングや島の子供達。そして巨人などの相手をしてくれると、助かるとの事です。
 話を聞いたあなた達は、早速島に向かうことに。
 さて、あなた達は、どう動きますか?


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-07-27

難易度 普通 報酬 少し 完成予定 2021-08-06

登場人物 8/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《光と駆ける天狐》シオン・ミカグラ
 ルネサンス Lv14 / 教祖・聖職 Rank 1
「先輩方、ご指導よろしくお願いしますっ」 真面目で素直な印象の少女。 フェネックのルネサンスで、耳が特徴的。 学園生の中では非常に珍しく、得意武器は銃。 知らない事があれば彼女に訊くのが早いというくらい、取り扱いと知識に長けている。 扱いを知らない生徒も多い中で、その力を正しく使わなくてはならないことを、彼女は誰よりも理解している。 シオン自身の過去に基因しているが、詳細は学園長や一部の教員しか知らないことである。 趣味と特技は料理。 なのだが、実は食べるほうが好きで、かなりの大食い。 普段は常識的な量(それでも大盛り)で済ませているが、際限なく食べられる状況になれば、皿の塔が積み上がる。 他の学園生は、基本的に『○○先輩』など、先輩呼び。 勇者の先輩として、尊敬しているらしい。 同期生に対しては基本『さん』付け。  
《新入生》ヒナ・ジム
 アークライト Lv11 / 勇者・英雄 Rank 1
ヒナ・ジムです!【事務雛型】 ひよこがだいすきです! おすとめすはみたらわかります! ひよこがすきすぎて、はねがはえちゃいましたあ! そしたら、にぃにが、がっこうにつれてきてくれました。 かっこいいおにいさん、かわいいおねいさんがいっぱい…! みんな、なかよくしてね! *** ガンダ村の事務職の家系であるジム家の末っ子。 ひよこを愛する普通の子であったが、村の学校で飼っていたひよこをいじめた男子にたいする怒りをきっかけに、アークライトに覚醒! 知らせを受け慌ててタスクの発案により、学園に入学することとなった。 アークライトとしての力と生き方を学び、そして外の世界を知るために…。 ひよこが大好きで、好きすぎて羽根が生えたという本人談もあながち間違いではない経緯ではある。 ひよこのオスメスの区別がつき、人間の顔と同じ精度で個体識別できる。 鶏に対する気持ちは普通で、ひよこの時から可愛がっている個体に対してはその愛着を維持する。 覚醒時のほかにも、夜店のひよこを全員脱走させ親が全額弁償などひよこに関する逸話に事欠かない。 また、覚醒前から同年代にあり得ない怪力で、祖父のお下がりのバトルアックスの素振りが日課である。 とにかく甘えん坊。誰彼構わず甘え、兄タスクをやきもきさせる。 【勇者原則】決め台詞 通常時「ヒナ、負けないもん!」 覚醒時「○○ちゃんを虐める悪い子は、絶ぇっ対に許さない!」
《ゆうがく2年生》樫谷・スズネ
 ヒューマン Lv14 / 勇者・英雄 Rank 1
「ただしいことのために、今の生がある」 「……そう、思っていたんだけどなぁ」 読み方…カシヤ・スズネ 正義感の強い、孤児院生まれの女性 困っている人には手を差し伸べるお人好し 「ただしいこと」にちょっぴり執着してる基本的にはいい人 容姿 ・こげ茶色のロングヘアに青色の瞳、目は吊り目 ・同年代と比べると身長はやや高め ・常に空色のペンダントを身に着けており、同じ色のヘアピンをしていることも多くなった 性格 ・困っている人はほっとけない、隣人には手を差し伸べる、絵にかいたようなお人好し ・「ただしいことをすれば幸せになれる」という考えの元に日々善行に励んでいる(と、本人は思ってる) ・孤児院の中ではお姉さんの立場だったので、面倒見はいい方 好きなこと おいしいごはん、みんなのえがお、先生 二人称:キミ、~さん 慣れた相手は呼び捨て、お前 敵対者:お前、(激昂時)貴様
《虎児虎穴の追跡者》シャノン・ライキューム
 エリアル Lv11 / 教祖・聖職 Rank 1
エルフタイプのエリアル。 性格は控え目で、あまり声を荒げたりすることはない。 胸囲も控え目だが、華奢で儚げな外見のせいか、人目を惹きやすい。 本人は目立つことを嫌うので、服装は質素で地味なものを好む。 身長は160センチほど。 学園に来る前は、叡智を司る神の神殿で神職見習いをしていた。 叡智神の花嫁と言われる位に、叡智神の加護を受けていると言われていたが、何故か、 「その白磁の肌を打って、朱く染めたい」だの、 「汚物を見るような目で罵って下さい!」だのと言われたり、 孤児院の子供達から、流れるようなジェットストリームスカートめくりをされたりと、結構散々な目に遭っている。 最近では、叡智神ではなく「えぃち」ななにかに魅入られたのではと疑い始めたのは秘密。 学園に腹違いの妹が居るらしい。
《新入生》リーゼ・ガルシュタイン
 カルマ Lv12 / 武神・無双 Rank 1
ん~~とね。リーゼはかみさまになるの。だって、パパがいってたんだよ。『おまえは神になるのだ。神となって魔王を打ち倒し、世界を救うのだ』って。 でも、まおうってやつ、もういないんだよね・・・リーゼずっとねてたから・・・みんな、なにもいわないけど、パパも、もういないってわかってる。リーゼにだってそれぐらいわかるよ。 _________________________________________________________ とある廃墟で、培養液に満たされた、巨大な水槽の中で眠り続けていた。建物の腐食が激しく、放置すれば下敷きになってしまうため、学園所属の研究員に保護された。 その廃墟は、魔王事変発生時、忽然と姿を消した、高名な魔導師、ゲオルグ・ガルシュタインの研究所であり、長らく、その所在は不明であった。 資料となりえるものはすべて朽ちてしまっているが、彼が創造したものと推測される。 ”父”の英才教育の賜物か、幼い見た目にかかわらず、知能は高い。だが、経験がなく、精神年齢が低いため、それを十分に生かせないようだ。天真爛漫で、ちょっとわがままな、甘えん坊。駄々をこねだすと大変なことになるが、甘いものをあげれば、すぐ大人しくなる。 『神となって、世界を救う』という意思は強固であり、どんな敵にも物怖じすることはない。 武神コースを選んだのは、武神が何かわからずに聞いたら、武術の神様と返答を得たため

解説 Explan

おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。
本作は、全校集会『オペレーション:メイルストラム』のエピローグとなるエピソードのひとつです。

そして以下が、詳細となります。

●目的

ボソク島の手伝いをする。

●方法

以下の三つの選択肢から選べます。

1 島の復興の手伝い

戦闘で荒らされてしまった島の復興を手伝ってあげてください。
家屋が破壊されたりして瓦礫が残っている状態なので、それを除去したり、家屋の新築手伝いなどが出来ます。
その他、島の復興に役立つと思える事なら、自由にプレイングで書いていただけます。

2 夏祭りの手伝い

島で行われることになった夏祭りの手伝いをして下さい。
観光地としてやっていくことも考えていますので、そうした方向で盛り上げることも出来ます。
他の地域でも、『魔王軍撃退記念!』の夏祭りが一斉に行われることになりますが、その先駆けとなります。
アイデアを出したり、色々と自由にプレイングを書いていただけます。

3 霊玉を宿すテジ・トロングや島の子供達。そして巨人の相手をしてやる

基本、子供達の面倒をみてあげる選択肢です。
6~4歳ぐらいの子供達が相手です。
どう相手をしてあげるのか、プレイングにお書きください。

上記3つの選択肢の全てを選んでも良いですし、ひとつだけにすることも出来ます。

●ボソク島

熱帯の島。南国風の果物とかが沢山採れる。
反面、穀物などは採れ辛く、芋の類が主食。

海の幸も豊富で、小舟で海に出ても大漁になる。
ロブスターとかタコとかが一杯居る。

砂浜は綺麗で、泳ぐのにもってこい。

●NPC

テジ・トロング

霊玉を宿す4歳の男の子。ウサギ耳のルネサンス。
大人しい性格だが、勇気のある子。

ガニメデ

一つ目の巨人。身長は5mだが、巨人としては子供。
仮面で操られ島を襲撃したが、勇者候補生たちの活躍により解放された。
故郷に帰りたがっている。
船の修繕が進んでいるので、それが終れば帰れるらしい。
島の子供達と仲良くなった。

●その他

今回、この島で夏祭りの準備が行われたあと、各地で『魔王軍撃破記念夏祭り!』が行われることになります。
そのため今回の結果を踏まえた上で、続き物として、島での夏祭りエピソードが出ます。

他にも、夏祭りをテーマとしたエピソードが、夏の期間に出るかもしれません。

以上です。


作者コメント Comment
久しぶりにエピソードを出させていただくことになりました。春夏秋冬です。

今回のエピソードは、解説でも上げていますが、全校集会『オペレーション:メイルストラム』のエピローグとなるエピソードのひとつです。
他にも、エピローグエピソードは出て来る予定ですので、そちらも興味を持っていただけましたら幸いです。

また、今回の島の復興と共に、夏祭りに向けたお手伝いを皆様にお願いすることになりますが、そうして用意されたものを舞台に、また新規にエピソードを出す予定です。

他にも、夏の期間に、夏祭りをテーマにしたエピソードが出るかもしれません。その際は、興味を持っていただけましたら幸いです。

それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリザルトに頑張ります。


個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:144 = 48全体 + 96個別
獲得報酬:3600 = 1200全体 + 2400個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:1
獲得称号:---
・1~3全部を行う。

・復興
砂浜などに仕掛けた障害や罠の除去・撤去作業を行う。
掘った落とし穴や塹壕などは危険のないように埋め直す。
柵や杭、投石器や攻城弓などは解体して建築資材などに再利用する。

・祭り
島の産物・風景などを調査。思い出手帳にメモ。
漁業には特に注目。
生産物は大陸や他の地域に出荷できるように話しを繋ぎたい。
名所などは観光やリゾート需要を開拓。
各地の商人や観光業者に話をつける。

・子供・巨人
ガニメデさんが故郷に帰る事ができるように尽力する。
ガニメデさんに聞き取りをして、連れてこられるまでの経緯などを確認。
故郷に連絡を取り、帰る事ができるようにしていることを伝える。
再発防止につなげたい。

フィリン・スタンテッド 個人成績:

獲得経験:57 = 48全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:1
獲得称号:---
●方針
テジや島の子供たちと交流

●事前準備
装備品の『白騎士グラン』他、島では珍しそうなお菓子などをお土産に用意。
(餌付けってわけじゃないですが子供の遊び相手が得意ってほうでもないので)

●行動
『メイルストラム』で助けたテジたち子供の所へ。
皆が準備を進める間の面倒を見ながら、その後の話を聞いたり、自分の学園での冒険を離したりして交流できれば。
島のみんなの遊びを教えてもらったり、案内をお願いしたり、島の事を聞いてみたい
(教え役をさせることで恐怖を祓う自信も促せるかなと)
復興や祭りの準備の見学は皆の迷惑にならない範囲で

許可取れたら『魔術師の箒』に相乗りさせて、遊覧飛行とかもいいかも?

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:57 = 48全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:1
獲得称号:---
島の復興の手伝い
【設計】を生かして損害個所の復旧に全力を尽くす

『魔王軍撃退記念!』の夏祭り
ボーリングを射的をアレンジした
魔王軍撃退記念ゲームを考案し祭りの出店で運営
ボーリングは勇者を模したボールをごろごろ~っと転がし船団ピンを倒す
射的は作戦で使用したバリスタを模して船団マトに当てる

襲撃時の恐怖を思い出させないよう充分デフォルメを効かせてピンや的を作る
幼児も楽しめ、大人も唸るよう難易度設定を複数用意する
賞品として喜んでもらえそうなものを学園都市レゼントで事前に買い込む
子どもには知育玩具
大人には珍しい調味料や小さいが最先端の実用アイテム

【料理】を生かして出店用のメニュー考案
島で取れる海産物を生かす

シオン・ミカグラ 個人成績:

獲得経験:57 = 48全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:1
獲得称号:---
【行き先】
1と3

【行動】
みなさんと島の復興をお手伝いしましょう
群れ思考で協調し、瓦礫を片付けていきます
あまり海に流されてもいけませんし、嵐でやってきた漂着物も散らかっているでしょうから
ですが中には役に立つものもあるかもしれません。片付けつつ、気に留めておきましょう
夏祭りに使えそうなものだったり、思わぬ収穫があればいいんですが

それと、休憩時間になったら皆さんに果物を切り分けて持っていきましょう
子供たちのおやつにもなりますし、甘いものを食べれば捗るはず!

仕事が片付いたら、私はガニメデさんと話してみます
巨人のこと、故郷のこと、色々と聞いてみたいです
それに、どこで仮面をつけられたのかも気になりますし

ヒナ・ジム 個人成績:

獲得経験:57 = 48全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:1
獲得称号:---
子どもたちの相手をする
「テジくんと島のみんなのとこに、遊びに行きま~す!」

フィリンおねえちゃまと一緒になった場合、全校集会で助けられたお礼を真っ先に言う

子どもたちとの遊びは
全校集会で自分が発案したものや、それをバージョンアップしたものをどんどん提案して飽きさせないよう心がける
もちろんみんなの要望もちゃんと聞く

幼心の無意識下で
テジくんを特別視しそうな気持ちを抑えて
みんなと同じに扱おうと努めている

ガニメデを見て「お~!でっかい!かわいい!」
驚きをストレートに表現するもすぐに気に入り「お友だちになろう!」
お友だちになれたら、巨体を登ったり下りたりして超はしゃぐ



樫谷・スズネ 個人成績:

獲得経験:57 = 48全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:1
獲得称号:---
住民にも、私達にも……みんな無事でよかった
さて、片付けはしっかりしておかないとな!

行先…1、3


瓦礫の片付けに参加、怪我しないように軍手は着用
木材を回収する際にはまだ使えそうなものをまとめる
(実際に仕えるかは職人に指示を仰ぐ)
使えそうにない木片は…いっそ砕いて、火を扱う時に使えるようにするか
瓦礫も砕けそうなものは砕く
地盤固めに使えませんか?
砕く際は【基本打術】【ウィークアタック】で粉々に
ハンマーも使えるぞ、普段使わないだけで



巨人ガニメデに声をかける
島の人に話を聞いたよ。修復、手伝ってくれていたんだな
ありがとう、君も色々と大変な目にあっただろう?
「子供親和」で優しく話しかけて

シャノン・ライキューム 個人成績:

獲得経験:57 = 48全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:1
獲得称号:---
◆目的
島の復興と夏祭りの手伝い

◆行動
私はお祭りのお手伝いをやろうかと
確か、霊玉というものを守る戦いだったんですっけ?

ならば……霊玉の代わりに、村のみなさんでキラキラ石や松明を掲げて夜のパレードなんかしたら、盛り上がるんじゃないかな……とか思ってます

あと、海産物や果物が豊富みたいですし、浜辺を仕切って魚の掴み取りなんかも楽しそう
大人の方も楽しめるように、網で海を区切ったり生け簀を使って、魚釣り大会も面白いかも
大物が居たら盛り上がりそうです
私も水着を着て、準備をお手伝いしてもいいですし

冷たい海に果物を浮かべて、果物すくいなんかをやっても面白そうな気がします
ザルに入った分は貰えるとか……私がやりたい

リーゼ・ガルシュタイン 個人成績:

獲得経験:57 = 48全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:1
獲得称号:---
がんばる

リザルト Result

 ボソク島に上陸した学園生達は、子供達も含めた島民に出迎えられた。

「お~! でっかい!」
「リーゼよりおっきいね!」
 巨人のガニメデの足元に駆け寄った【ヒナ・ジム】と【リーゼ・ガルシュタイン】は、好奇心一杯の眼差しでガニメデを見上げる。
 大きな体を小さくして照れるガニメデ。
「かわいい!」
 ヒナは照れるガニメデに笑顔で言った。
「お友だちになろう!」
「リーゼも、友だちになるよ」
「友だち?」
「うん!」
「友だち」
 ヒナとリーゼに呼び掛けられ、ガニメデは助言を求めるように島の子供達に視線を向ける。
 すると子供達は、わっと駆け寄って笑顔で言った。
「友だちふえたー!」
「あそぼー!」
 子供達は、リーゼやヒナ達を囲みながら、助けてもらったお礼を口にする。
「ありがとー!」
 それは【フィリン・スタンテッド】にも向けられている。
「お姉ちゃんも、ありがとー!」
 お礼を言われフィリンは、くすぐったい気持ちになる。
(こういうのは、慣れないね……お礼を受け入れるのも、『勇者』として必要なのだろうけど)
 胸に抱く理想の『勇者』を汚さぬよう、フィリンは子供達をかまってやる。
「久しぶり。みんな、元気にしてた」
 挨拶を口にしながら、持って来ていたお土産のクッキー『白騎士グラン』を渡す。
「全員に行き渡るだけ持って来たから、みんなで食べ、ってちょっと待っ――」
 わらわら集まってくる子供達。
 ガニメデは大きいので、まとめてあげると――
「ん、あげる」
 ヒナとリーゼに一枚ずつ渡した。
「ありがとう!」
「一緒にたべよう」
 お菓子が行き渡り、子供達は笑顔で食べる。
(なんとか餌付け……もとい、仲良くなれたようね)
 お菓子を持って来て良かった、と心底思うフィリン。
 一息ついた所で、ヒナが元気良く言った。
「島のみんなと、遊びに行きま~す!」
 子供達は歓声を上げ、わらわらと遊びに行く。
「ちょっと待って」
 慌ててフィリンは追い駆けようとして、その前に仲間達に声を掛ける。
「子供達の面倒は見ておきますから、島のことをお願いします」

 子供達に駆け寄るフィリンに皆が和んだ所で、島の手伝いをすることに。

「まずは島の片付けとお祭りの準備をしましょう」
 慣れた様子で提案したのは【エリカ・エルオンタリエ】。
 幾つもの課題を今までこなしていることもあり手際が良い。
「班を分けて効率的に進めましょう。わたしは、まずは島の後片付けに向かうけど、みんなはどうする?」
「なら僕は、お祭りの立案と復興のお手伝いがしたいです」
 エリカに応えるように【タスク・ジム】が提案する。
「お祭りは、みんなで楽しめるようにしつつ、今回の襲撃を忘れず防犯にも繋がるようなものにしようと思います。それと――」
 タスクは島民に呼び掛ける。
「島の地図はありますか? 損害状況を記して、廃材の搬出ルートを作っておくと作業が楽になると思うんです」
 島民は応え地図を持って来てくれる。
「こことここを廃材置き場にしましょう。再利用できる物と出来ない物に仕分ければ、あとの処理も楽になりますし」
 手際よく提案していく。
 タスクは戦いだけでなく、事務手続きに重きを置いて活動していたので、それが活かされているのだ。
 手早く話を纏めていく2人を見て、【シオン・ミカグラ】は感心する。
(先輩達、さすがです)
 戦いだけでなく事後処理も巧くこなしていく。
 それが勇者なのだとシオンは理解する。
(私も、いつか)
 思い浮かぶのは恩人であるガンマンのこと。
 強いだけでなく、独りで当てもなく逃げていたシオンを助け、狩人としての修業を付けてくれた人。
 いつかそうなれるよう勇者として歩んでいくのだ。だから――
「私は、島の復興のお手伝いをしようと思います」
 積極的にやる気をみせる。
 するとシオンの熱意に誘われるように【樫谷・スズネ】もやる気をみせる。
「私も、島の復興を手伝うよ」
 スズネの提案に島民は感謝する。
 彼らの様子を見てスズネは安堵した。
(住民も、私達も……みんな無事でよかった)
 島民達の無事を喜ぶ彼女の根幹には失われた孤児院の出来事がある。
 それゆえ『正しいこと』に拘り過ぎ、ややもすれば自分のことは度外視していた彼女だが、今は少し変わってきている。
 自分も含めたみんなで、生きていきたい。
 しなやかな強さを養いつつあるスズネは笑顔で言った。
「みんなで、片付けはしっかりしておかないとな!」
 島民も含め皆は応える。
 その内の1人、【シャノン・ライキューム】は提案した。
「私はお祭りのお手伝いをやろうかと」
 確認するように続ける。
「確か、霊玉というものを守る戦いだったんですっけ?」
「はい。みんなで頑張りました」
 笑顔で応えてくれたシオンに、性格が控えめなシャノンは少しはにかむようにして続けた。
「ならば……霊玉の代わりに、村のみなさんでキラキラ石や松明を掲げて夜のパレードなんかしたら、盛り上がるんじゃないかな……とか思ってます……どうでしょう?」
 これに皆は返してくれた。
「良いと思うわ」
「必要な物がありますか?」
「綺麗で楽しそうです」
「盛り上げていこう!」
 エリカやタスク、シオンやスズネに笑顔で応えられ、シャノンも笑顔で応えた。
「はい、盛り上げていきましょう」

 話はまとまり、皆はお手伝いに動き始めた。

●島の復興
「砂浜は、特に綺麗にしましょう」
 エリカは皆と共に浜辺の片付けをする。
 周囲には様々な残骸があるが、それを取り除けば綺麗な砂浜になるだろう。
(海水浴場に持ってこいね)
 島を襲撃前より良くするつもりの彼女は模索する。
(この島は、かなりの僻地だから。交易や観光のルートを恒常化させて継続的な収益や発展が出来るようにしないと)
 その一環が砂浜の清掃。他には――
(確か、商人さん達も来てたのよね)
 祭りの協力などで動いているらしい。
(あとで、今後のことも考えて企画を提案してみましょう)
 残骸だけでなく、敵の上陸を防ぐために張った罠などの除去に精を出す。

 同じように、シオンも頑張っていた。

「これは、まだ使えそうですね」
 船の残骸だろうか?
 柱のような木材を見つける。
(とりあえずリサイクル場に持って行きましょう)
 軽く手に取って持ち上げると、大きいので重さがある。
(1人だと難しいでしょうか?)
 どうしようかと思っていると――
「あの……手伝いましょうか?」
 シャノンが声を掛けて来る。
 これにシオンは笑顔で返す。
「ありがとうございます」
「あ、その……私、同期生ですから、気にしなくても大丈夫ですよ」
「あっ、先輩じゃなくて同期だったんですね!」
 照れたように笑みを浮かべる。
「えへへ、実は初めて先輩以外とお話します」
「ぁ……私も、あまり話したことなくて……」
 人見知りなシャノンだったが、シオンが屈託なく話し掛けてくれるので自然とお喋りが出来た。
 そこにスズネが声を掛ける。
「軍手持ってる? 島の人に用意して貰ったから、よかったら使って」
 孤児院育ちで仲間の面倒をみることに慣れていたスズネは、2人を気遣い軍手を渡す。
「ありがとうございます、スズネ先輩」
「ありがとう、ごさいます」
 シオンとシャノンは礼を言うと作業を再開。
 大きな柱状の木材をリサイクル場に持って行く。
 道中、親睦を兼ねてお喋りをする。
「シャノンさんは、この後お祭りのお手伝いをするんですか?」
「ええ。この島は海産物や果物が豊富みたいですから、浜辺を仕切って魚の掴み取りや釣りをしたり、果物を浮かべて掬い取りしても面白いかも」
「良いですね! 掬った果物、みんなで食べてたら美味しそうです!」
 2人が協力して浜辺の片付けをしている間に、スズネは1人で持てる大きさの廃材を次々運ぶ。
「このまま捨てるだけだと勿体ないね」
 なにか使えないか、一緒に片付けをしている職人さんに訊いてみる。
「木材は乾かせば燃料に使えそうですけど、瓦礫は砕いたら地盤固めに使えませんか?」
 使えると応えが返って来たので、持って来ていたハンマーで脆い部分を見極め砕く。
 どんどん粉々にしながら新たな瓦礫を探し、同時に『仮面』が残ってないか確認する。
(……ガニメデの様子を見るに、半分拉致みたいなやり方を取られたと見た)
 ならば罠のように、どこかに仕込んでいる可能性もある。
(無いとは思うが、念のためだ)
 万が一の可能性も潰し、目ぼしい物は全て砕いていく。
(つけ入るスキはないようにだな。ついでに使えるものは使おう、うん)
 確実に作業をこなし、瓦礫から資材を作っていくスズネだった。

 皆がテキパキ作業するので片付けは、どんどん進む。
 ある程度目処がついた所で、お祭りの手伝いをする者は、そちらに向かった。

●お祭りの手伝い
「魔王軍撃退記念ゲームっていうのはどうでしょう?」
 祭りの下準備を島民と済ませたタスクが提案する。
「ボーリングや射的をアレンジして――」
 用意して貰った画材に、イメージし易いよう描いて見せる。
「ボーリングは勇者を模したボールをごろごろ~っと転がし船団ピンを倒すようにして、射的は作戦で使用したバリスタを模して船団マトに当てるようなのはどうでしょう?」
 タスクの提案に島民は賛同し、早速作業開始。
「用意するピンやマトは、襲撃の恐怖を思い出さないよう、充分にディフォルメした方が良いと思います」
 タスクは作業をしてくれる島民達の連絡役になりながら細かい部分で提案を重ねる。
「当たりの商品は、ここに置いておきますね」
 学園都市レゼントで事前に買い込んでいた商品として、子どもには知育玩具、大人には珍しい調味料や小さいが最先端の実用アイテムを配り、資材の手配もしっかりやる。
(こっちはこれで良いかな? 次は――)
 出店のメニューを考える。そこに――
「タコなら、これを使って下さい」
 浜辺で魚の掴み取りの用意をしていたシャノンが活きの良いタコを差し出す。
 作業しているとタコに絡み付かれ、そこをシオンに助けて貰って捕まえたものだ。
「良いですね。唐揚げにすると美味しそうです」
 タスクは笑顔で受け取り、島民と一緒に唐揚げの用意をした。
 それが終れば次は、防犯も兼ねた夏祭りを提案する。
「魔王軍襲来に限らず、各種災害について島を挙げての避難訓練をして、その後はお疲れ様会としてお祭りを楽しむのはどうでしょう?」
 タスクは以前にも危機管理について奔走したことがあったので、慣れた様子で提案していく。
「訓練想定はいくつかを毎回変更して回して――」
 地震・雷(嵐や津波)・火事(山火事や噴火)・親父(魔王軍襲来)というローテーションを提案しつつ、緊急時に落ち着いて学園に依頼する手順も組み込んだ。そして――
「勇者役は島の子供から選んでみるのはどうでしょう?」
 この提案に、話を聞いていたシャノンも意見を口にする。
「個人的な懸念ですが、お祭りの際には、霊玉を宿すデジさんのことは、できるだけ目立たないようにした方がいいかなと思ってます」
 シャノンの提案に皆が話を聞こうと視線を向け、緊張しながら続ける。
「例えばですが、デジさんを祭の主役みたいにするのは避けた方がいいかなと。そんなことしたら、『この子に霊玉が宿ってますよ』と、デジさんを狙う者達に教えてあげるようなものですし」
 実際島では、他の子達と分け隔てなくテジは育てられている。
 それもあって襲撃で浚われるのを防げた部分もあるのだ。
「木を隠すには森……と言いますし」
 緊張したまま言い切ると、タスクも含めて皆で賛同してくれた。
「いいですね。それも含めて調整しましょう」
 良い意見を取り入れつつ、祭りは形になっていく。
 その間に、エリカは商人や島民と話を付けていた。
「観光資源となる名所や特産が、この島には沢山あると思います」
 島の発展を考え、思い出手帳に記録した島の取材メモを元に提案をしていく。
「砂浜や海が綺麗なのでメインにして、今回進めているお祭りを観光コンテンツとして活用していくのはどうでしょう?」
 エリカの提案に商人達が乗り気になる。
 彼らとしても、世の中が不安定だと商売あがったりという考えなのに加え、学園との繋がりを強めておきたいという思惑もあった。
 なのでエリカの提案は渡りに船だ。
 それに加えて島民のことも考えエリカは提案する。
「内陸のグラヌーゼの農産物とボソク島の海産物の交換などはいいかも」
 これに島民はかなり乗り気だ。
「好いな、ぜひやろう!」
 エリカが巧く話を進めてくれたお蔭で、継続した話が進み始めた。

 話が進んでいる頃、子供達は元気一杯学園生達と遊んでいた。

●一緒に遊ぼう
「捕まえたー!」
「つかまっちゃったー!」
 リーゼに捕まった子供が歓声を上げる。
 今遊んでいるのは助け鬼。
 最初ヒナの提案してくれた遊びをした後、子供達の要望を聞いて色んな遊びをしているのだ。
 お蔭で子供達は楽しそうだが、それはフィリンも同じ。
(みんなで遊ぶのって、楽しいものなのね)
 遊びといえば盗賊の『いけない大人の遊び』ぐらいしかしたことが無い彼女にとって、子供達の無邪気な遊びは新鮮で楽しさを感じていた。
 一緒に真剣に遊んで、鬼に捕まった今は、助けて貰うのを待っている。
 そこに捕まったテジが笑顔でやって来た。
「つかまっちゃったー」
 笑顔のテジにフィリンは笑顔で返し、声を掛けた。
「あの後……大丈夫だった?」
「うん! おねーちゃん達のおかげだよ!」
 笑顔で返すと、少し心配そうに続ける。
「おねーちゃん、今日は、いたいこと、ない?」
 襲撃の時に戦ったことを思い出したようだ。
 これにフィリンは返す。
「私はちょっとお休み中……みんなのこと、もっと知りたいなって。島の事とか、みんなの遊び、教えてくれないかな」
「うん!」
 元気にテジは応え、一杯お喋りをしていると、鬼に捕まったヒナがやって来て、フィリンに礼を言った。
「フィリンお姉ちゃん、あの時はありがとう!」
 襲撃された時、フィリンやリーゼの活躍で、仮面に捕らわれたヒナは助けられている。
 ヒナは憧れの眼差しで見つめながら尋ねた。
「二度とあんなことにならないにはどうしたらいいかなあ?」
 フィリンは応えた。
「あの時、みんなで頑張ったから切り抜けられたんだと思います。だからみんなで力を合わせれば……」
 それはフィリンの想う『本物の勇者』なら、こう言うだろうという応え。
 同時に、自覚はしていないかもしれないが、少しずつ成長している彼女としての応えだった。
 応えを聞いてヒナは笑顔で受け止め、話が聞こえていた子供達も笑顔で言った。
「リーゼちゃんもヒナちゃんもかっこよかったのー」
「フィリンお姉ちゃんもすごかったー」
「ありがとー!」
 子供達の笑顔を、どこか儚い笑顔で受け止めるフィリンだった。
 その後、子供達を魔術師の箒で遊覧飛行させてあげたりしている間に祭りの準備は終わり、皆で一緒に参加した。

●お祭り
「悪いヤツなんかに負けないぞー!」
「まけなーい!」
 リーゼが先頭になって子供達と一緒に島を巡る。
 それは訓練も兼ね、襲撃に対応する場所を回るもの。
 テジを特別にしないよう、リーゼやヒナが先頭についていた。
(テジくんも、みんなも同じ)
 ヒナはテジを特別視しそうになるのを抑え一緒に回る。
 最初は浜辺。
 魚獲りと果物掬いを、学園生も一緒になってみんなで遊ぶ。
「何でまたタコがー!」
 タコに絡み付かれるシャノン。
 ハプニングもありつつ、魚介も果物も一杯ゲット。
 そこから屋台のある祭り会場まで移動。
 子供達より先に着いていたシオンは、果物掬いで手に入れた沢山の果物を食べ易い大きさに切ってくれていた。
「みなさーん! 果物を切ってきました! 少し休憩にしませんかー?」
 子供達と一緒に美味しく食べて、先に食べ終わった大人達が屋台の用意を終わらせる。
「好きなので遊んで良いよ」
 タスクが子供達に呼び掛けると、わっとみんなで駆け寄る。
 子供達を満面の笑顔になるぐらい楽しませ――
「にぃに、やるじゃん」
 妹であるヒナに、肘で小突かれながら感心される兄のタスクだった。
 皆は笑顔で祭りを楽しみ、一緒に参加しているスズネは、ポツリと呟く。
「帰れる場所を守れてよかった」
 それが聞こえたリーゼは心配そうに訊いた。
「ねーねは、違うの?」
「私は学園がそうだよ…………私の家は全て燃えた。だから、この島もそうならなくて、本当によかった」
 スズネの話を聞いたリーゼは、元気付けるように言った。
「みんなの帰る場所、護るの」
 そう言うと、スズネに屋台の料理を持って来てくれ一緒に食べた。
 祭を皆で楽しみ、笑顔を浮かべているガニメデに皆は声を掛ける。
「島の人に話を聞いたよ。修復、手伝ってくれていたんだな。ありがとう、君も色々と大変な目にあっただろう?」
 スズネの言葉に、ガニメデは恥ずかしそうに照れる。
「私、巨人族って初めて見るんです!」
 シオンが、屈託のない笑顔を向けながら話し掛ける。
「お話ではよく耳にしますが、大人になるともっとおっきくなるんですよね?」
「うん。父ちゃん、もっと大きい」
 話していてホームシックになったのか、しゅんとするガニメデ。
 そこにエリカが、力付けるように声を掛けた。
「大丈夫よ。ちゃんとお家に帰してあげるから」
「本当!?」
「ええ。本当よ」
 ガニメデが帰れるよう商人達に手配を頼み、連絡もきちんと取れるよう手配したエリカは、安心させるように言った。
「ちゃんと帰れるから、今日はお祭りを楽しみましょう」
「うん!」
 喜んで、子供達と一緒にお祭りを楽しむガニメデ。
 その姿を見ながら、シオンは思う。
(それにしても、操られたのがガニメデさんだけだったのは不幸中の幸いでした)
 大人の巨人だったらと思うと、ぞっとする。
(他にも操られて、一度に大勢来ていたら助けられなかったかもしれません。巨大な仮面を作るのは魔王軍でも難しいことを願うばかりです)
 それを防ぐためにも、巨人達との連絡を取れるよう出来る限りのことをすることになった。

 祭りは進み、最後はシャノンが提案してくれたパレードをする。
 霊玉代わりのキラキラ石や松明を掲げ、祭りを最後まで盛り上げた学園生達だった。



課題評価
課題経験:48
課題報酬:1200
【メイルストラムの終焉】White
執筆:春夏秋冬 GM


《【メイルストラムの終焉】White》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 1) 2021-07-21 00:22:00
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。よろしくお願いいたします!

復興もしくは夏祭りの企画に頑張る予定です。
両方やるか、片方を深堀するかは、プランの思い付き具合によります。

《新入生》 ヒナ・ジム (No 2) 2021-07-21 00:26:03
ヒナ・ジムです!よろしくおねがいします!

テジくんと島のみんなのとこに、遊びに行きま~す!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 3) 2021-07-21 08:13:00
夏祭りで思いついたのが、「魔王軍撃退ゲーム」の考案ですね。

金魚すくいやヨーヨー釣りのような一般的な出店に混じって・・・

小さい子向けには、えーと、異世界(PL:リアル世界)で言うところの
野球盤やサッカー盤みたいに、船団を模したお邪魔ブロックが
盤の外側から島へ押し寄せてくるのを、えいえいって押し出すようなデザイン

大きい子向けには、異世界(略)で言うところの将棋やチェスのイメージで
船団を模したコマを知恵を使って追い出すようなデザイン

ただ、争いを煽ってしまったり、襲撃の時の恐怖を思い出させたり、
といった懸念もあり、悩みます。

慎重に検討したいので、皆さんのご意見をいただけたら助かります。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 4) 2021-07-21 12:18:37
勇者・英雄コースのフィリンよ、集会に続いてよろしくね。

この中だとテジ君たちのお世話になるのかな?
あんなことがあった後だし、元気づけて上げれたらと思うの

>ジム
意外と子供って強いものだし、懸念は適度にデフォルメしてあげれば大丈夫じゃないかな?
あんまり先日のシチュエーションと被るような催しはまずいかもしれないけど、戦う、立ち向かう側ならみんなを勇気づける助けにもなると思うわ

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 5) 2021-07-21 14:09:17
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

一応、1~3全部をやろうと思っているけれど、
特に力を入れたいのは、島の復興とガニメデさんの里帰りよ。

>ゲーム
対戦形式とかで『敵が攻めてきて、阻止できないとゲームオーバー』なゲームだと
負けた時にかなり辛い思いをしそうだから、そういうゲームにしないで
ボーリングとか射的みたいに、『攻めてこない的(敵)をいくつやっつけられるか』
みたいなものにして、スコアでお菓子がもらえるとかにすれば
比較的、楽しみやすいかなとは思ったわ。

《ゆうがく2年生》 樫谷・スズネ (No 6) 2021-07-21 16:10:07
勇者・英雄コースのスズネ、今回はよろしく頼む。
先日の戦い、皆お疲れ様。こういった課題に参加するのは久しぶりだが、私なりに尽力するつもりだ。

行先は1と3、にしようと思う。
アイデア出しは得意じゃないから、肉体労働がメインになるかな。
何か思いついたら行動には盛り込むよ。

>ゲーム
ゲームの内容は弄らずとも、中身の題材だけ変えればいけるんじゃないか。
エリカさんも言ってるけど、的あてとか、輪投げとか…そういうのもいいと思う。お祭りの屋台でもよくあるだろう?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 7) 2021-07-21 20:24:38
皆さん、ご意見ありがとうございます!

確かに、ボーリングや射的アレンジで十分な気はしますね!
フィリンさんのご指摘の通り、充分デフォルメを効かせて
ピンや的を作ると安心でしょうね。

ボーリングはボールを勇者に見立ててごろごろ~っと船団を倒す感じ、
射的は僕たちの作ったバリスタを模して「撃つべし、撃つべし!」などを
考えています。

大きい子向けの知恵を使う系には、パズル的なものも考えられますが、
島には大きい子があんまり居なさそうなので、必要ないかも知れませんね。

《光と駆ける天狐》 シオン・ミカグラ (No 8) 2021-07-22 20:50:41
教祖・聖職コースのシオン・ミカグラです、よろしくお願いします!

こちらも1と3の予定です。私はガニメデさんのところに行ってみましょうか。
巨人の暮らす場所にも興味がありますし、色々と話を聞いてみたいです。

《新入生》 ヒナ・ジム (No 9) 2021-07-23 18:55:42
フィリンおねえちゃま!!

あのとき(全校集会・対ナゾーグ)は、たすけてくれて、ありがと~~!!
すごいけん(剣)で、バシ~~~って!かっこよかった~~~!

また、いっしょにあそべてうれしいな。よろしくね!!

《新入生》 ヒナ・ジム (No 10) 2021-07-25 13:27:27
プランを書いてみたよ~!
まだまだ遊び足りない(字数が余ってる)から、
遊びのお誘い(行動3で連携出来そうなこと)とか、
おてつだいすることがあったら、いつでもゆってね~!

《虎児虎穴の追跡者》 シャノン・ライキューム (No 11) 2021-07-26 00:05:01
エリアルの教祖・聖職コースのシャノンです。前回の全校集会には間に合いませんでしたが、よろしくお願いします。

私は……お祭りのお手伝いをやろうかと。
確か、霊玉というものを守る戦いだったんですっけ?

ならば……霊玉の代わりに、村のみなさんでキラキラ石や松明を掲げて夜のパレードなんかしたら、盛り上がるんじゃないかな……とか思ってます。

あと、海産物や果物が豊富みたいですし、浜辺を仕切って魚の掴み取りなんかも楽しそう。
冷たい海に果物を浮かべて、果物すくいなんかをやっても面白そうな気がします。

《新入生》 リーゼ・ガルシュタイン (No 12) 2021-07-26 04:36:40
リーゼ、おっきいし、ちからもちだから、おかたづけてつだう。あと、みんなとあそぶ~

《虎児虎穴の追跡者》 シャノン・ライキューム (No 13) 2021-07-26 18:37:11
あ、大人の方も楽しめるように、網で海を区切ったり生け簀を使って、魚釣り大会も面白いかも。
私も水着を着て、準備をお手伝いしてもいいですし。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 14) 2021-07-26 22:04:16
>ヒナ
それはこちらこそ。ヒナもありがとう。
私もテジくんたちの面倒を見ながら、夏祭りを回ってみようかなと思うわ。
みんなの企画も参加させてもらうわね

《虎児虎穴の追跡者》 シャノン・ライキューム (No 15) 2021-07-26 22:17:28
今さらでごめんなさい。
これは個人的な懸念ですが、お祭りの際には、霊玉を宿すデジさんのことは、できるだけ目立たないようにした方がいいかなと思ってます。

例えばですが、デジさんを祭の主役みたいにするのは避けた方がいいかなと。
そんなことしたら、「この子に霊玉が宿ってますよ」と、デジさんを狙う者達に教えてあげるようなものですし。

もちろん、私の考えすぎかもしれませんから、もしそうだったら無視していただいて構いませんので。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 16) 2021-07-26 23:37:32
満員御礼、戦力…もとい、復興と祭りの人手は大充実ですね!
みなさん、宜しくお願い致します!!

シャノンさん、霊玉をイメージしたパレードは、とても素敵な案ですね!
同時に、テジくんが霊玉だと分かることの懸念についても、同感です。

全校集会リザルトを見るに、子供たちはもちろん、どうも、テジくん自身も、自分の中に霊玉があることを分かってなさそうなフシがあります。

とはいえ、あの日の村の大人たちの士気の高さを見るに、村全体では、ここは大切なものを守っているのだという認識は強くあるのでしょう。

そこで、その村の中ではその意識を醸成するため、かつ、何も知らない子供たちや、知るべきではない外の人間から目をそらすため、
「霊玉っぽい何か」を、「モノ」で表現するのは、有効だと思うんですよね。

だから、殊更テジくんを主役にせず、何かキラキラしたものを「村の守るべき宝」に見立ててパレードをするのは、とても良い案だと思います。

僕は、申し訳ないことに、プランの文字数がキッチキチなので、シャノンさんの方で詳しく書いて下さったら、大変ありがたいです。