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夏の終わりに、海へ


ストーリー Story

●描きたいもの
 【トーマス・マン】は自分が描いた【カサンドラ】の肖像画を見やりながら。考えていた。彼女から譲り受けた画材を使って、今は亡き彼女に、絵の贈り物がしたいと。
 何を描くのかはもう決まっている。海だ。海を描くのだ。カサンドラが残して行った絵のうちには、それを描いたものが一枚もないから。
 あれだけさまざまな風景画を残した人が、海という画題にだけ関心がなかったとは思えない。きっと、いつか描く気だったのだ。でも、そうする時間も機会がなかったのだ。生きているときも、リバイバルになってからも、ずっと。
「……カサンドラ先生、海を見たこと、あったのかな?」
 生きているうちにもっと色々聞いておけばよかったな、とトーマスは悔いる。人間が一人いなくなることについての喪失感を、改めて心に染み入らせながら。

 幸いなことに、彼が海を描く機会はすぐに来た。
 養父である【ドリャエモン】が、彼とその妹【トマシーナ・マン】にこう言ってきたのだ。
「二人とも、皆と海へ遊びに行かんか? 少し時期は遅れたが、まだ十分泳げるでな」

●海に来たぞ 
 白い砂浜。水着姿の若人達が弾ける場所。
 引き締まった体に競泳パンツを羽織ったイケメンボイスのイケメン精霊(でも顔はスイカ)、スイカマンは、今年も勝手にライフセーバーとして海岸を見回っていた。
「うむ。この炎天下に無帽でいる迂闊な人はいないようだな。よいことだ」
 かつて不審な魔物と間違われたこともある彼は、いまやこの海岸の名物になっている。
「わーい、スイカマンだー」
「スイカマーン、こっち向いてー」
 この海岸で学園生徒を相手にひと騒ぎ起こして以降、『見た目がとてもあやしいが、とにかく精霊である』という認識が世間一般に広まったためである。
 彼はいまや、老若男女の人気者だ。
「はっはっは、元気だね、お嬢さんたち。私の顔を食べるかい?」
「あ、いえそれは……」
「私たちマンゴージュース飲んでますんで、またの機会に……」
 とはいえ彼のこの、自分の頭を食べさせるという習性には、一歩退く相手が多い。
「そうかい。ではまたの機会にね――はっ。あそこに離岸流に攫われそうな子供が! 待っていろ、今助けるからな!」


 海浜はお客で賑わっている。
 毎年恒例『おいらのカレー・夏季出張店』も、引きも切らぬ大繁盛。
 アイス、ジュース、かき氷、焼きそば、焼きもろこし、焼きいか、焼き鳥、フランクフルトにハンバーガー……もろもろの屋台が連なる向こうでは、バーベキューなんかしている一団も。
 チャルメラを吹き吹き砂浜を走り回っているのは、ピクシーの【ピク太郎】だ。
 彼は『おいらのカレー・夏季出張店』の客引きバイトに勤しんでいるのだ。愛するミミックの【ミミ子】に小銭を貢ぐために。

 ファミリー向けの一帯では、生まれて初めて海を見に来た【トマシーナ・マン】が、潮溜まりに見入っている。
 そこには、鮮やかな色をした魚の子供たちが泳ぎ回っているのだ。ウミウシもいる、ウニもいる。半透明なエビが鋏を持ち上げ、しきりと威嚇のポーズをとっている。
 学園の犬となったタロは岩陰のヤドカリに興味津々。
 前足でちょっかいを出しているうちに、ハサミで鼻を挟まれ、大騒ぎとなる運び。
 彼女達の見守りとして近くにいた【ラビーリャ・シェムエリヤ】が近づいて、タロからヤドカリを離してやる。
 彼女は水着ではなく、いつもの服装――水着と変わらないけど。
「……トマシーナ、見慣れない生き物に触っちゃいけないよ。毒があるかもしれないからね」
「うん」
 注意を終えたラビーリャは、砂の城を作り始める。相当に手の込んだのを。


 ばっしゃーんと水しぶきが上がった。
 【ガブ】【ガオ】【ガル】の3兄弟が、岩場から高飛び込みをやらかしているのだ。
「ぶはー! おい、オレの飛び込みが一番だよな!」
「いーや、オレの方がイカシてた! 何しろ一番飛沫が上がったんだからな!」
「ウソ言えー、飛沫が一番高かったのは俺だよ!」
「けっ、ウソ言ってら!」
 兄弟で張り合っているそこに、一際高い水しぶきが上がった――【アマル・カネグラ】が飛び込んできたのだ。水から顔を出した彼は、指を一本掲げ高らかに宣言する。
「僕がいちばーん!」
 確かにその通りだったなと、近くで見ていたドリャエモンは思った。


 トーマスは喧噪から離れた辺りにいる。
 クチバシみたいに突き出た岩場の陰にイーゼルを据える。
 目の前に広がるのは、どこまでも青い海。
 湾曲した砂浜の向こうに、海を楽しむ人々の姿が小さく見えた。
「あれも、絵に入れたほうがいいよね」
 一人ごちて彼は、真っ白なキャンバスへ線を描き込んで行く。






エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-09-10

難易度 とても簡単 報酬 通常 完成予定 2021-09-20

登場人物 7/8 Characters
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《人間万事塞翁が馬》ラピャタミャク・タラタタララタ
 カルマ Lv22 / 魔王・覇王 Rank 1
不気味で人外的な容姿をしたカルマの少女。 愛称は「ラピャ子」や「ラピ子」など。 名前が読み難かったらお好きな愛称でどうぞ。 性格は、明るく無邪気でお茶目。 楽しいと面白いと美味しいが大好き。 感情豊かで隠さない。隠せない。ポーカーフェース出来ない。 そしてちょっと短気なところが玉に瑕。 ギャンブルに手を出すと確実に負けるタイプ。 羞恥心を感じない性質で、露出度の高い衣装にも全然動じない。 むしろ前衛的なファッション格好いいと思ってる節がある。 戦闘スタイルは我流の喧嘩殺法。 昔は力に任せて単純に暴れるだけだったが、 最近は学園で習う体術を取り入れるようになったらしい。 しかしながら、ゴリ押しスタイルは相変わらず。 食巡りを趣味としているグルメ。 世界の半分よりも、世界中の美味しいモノの方が欲しい。 大体のものを美味しいと感じる味覚を持っており、 見た目にも全く拘りがなくゲテモノだろうと 毒など食べ物でないもの以外ならば何でも食べる悪食。 なお、美味しいものはより美味しく感じる。Not味音痴。 しかし、酒だけは飲もうとしない。アルコールはダメらしい。 最近、食材や料理に関する事を学び始めた模様。 入学までの旅で得た知識や経験を形に変えて、 段々と身に付いてきた…と思う。たぶん、きっと、おそらく。
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《ビキニマン》ソフィーア・ル・ソレイユ
 ドラゴニア Lv12 / 武神・無双 Rank 1
生き別れたパートナーを探して、学園にやってきた、ドラゴニアの少女。 金髪ゆるふわカールのロングヘアー。前髪をひまわりのヘアピンで左にまとめている。褐色肌の筋肉質で、無駄な肉は一切ないのにバストとヒップはかなり豊か。大きな翼と長い尾。火柱のような角。後頭部から下顎、鎖骨辺りまで、サンライトイエローの鱗が覆っている。 いかにも女の子らしい容姿だが、性質は男性的で、なぜ、胸に目が入らないのか、よく、男性に間違えられる。 実直で騎士道精神にあふれている。だが、敵にたいしてはわりと容赦ない。闘争本能が強く、戦いを、とくに強者との対峙を好む。そのため、いつでも戦えるよう、入浴中以外は、ビキニアーマーを着込んでいる 武器収集癖があり、手入れを決して怠らない かなりの大食漢。なんでもおいしそうに食べるが、中でも『地球』で食べた、ラーメン、炒飯、餃子が大好き。彼女曰く、『”食”の宇宙三大至宝』であるとか。 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを貫くために、日々鍛錬を欠かすことはない 諸般の事情で偽名 ある人物に、ずっと片思いをしている。勇気がなくて、告白はしていないが、それとなくアピールはしている。 酒乱なので、酒を飲ませてはいけない

解説 Explan

大きな課題がひとつ片付きましたので、今回は休憩の回。
皆さん海で、のんびり気ままに過ごしてください。
色々やっているNPCに絡みたければ、ご自由にどうぞ。


※登場NPCの詳細について気になる方は、GM情報ページに記載しておりますので、そちらをご参照くださいませ。






作者コメント Comment
Kです。
長々続いてきたノアの呪い問題について、一応決着がつきました。
今はこれからまた新しい課題に取り組む前の、休み時間。
トーマスは気持ちに一区切りつけようとしています。
皆さん、日常を楽しんでください。






個人成績表 Report
パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:67 = 45全体 + 22個別
獲得報酬:1800 = 1200全体 + 600個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
ドリャエモン先生に、今後の授業についてご相談

◆準備
学生としてのお願いなので、制服を着て

◆ご相談
ドリャエモン先生捕まえて、今後の授業でセムさんの一族の呪いを解く鍵を探せないか……お願いしてみるつもり
元黒犬も、できればトーマスさんに会わせてあげたいしね

これは個人的なケジメみたいなものだから、無理にとは言えないけど……

でも、セムさんの財力と宿泊業のネットワークは、学園の味方に付けておくべきだとも思う
こちらが協力を申し出れば、商人のセムさんならば……タダでとは言わない

タダほど高くつくものはないもの

必要なら、セムさんとの交渉も学生で行いたいと思ってます
学園長の許可が要るなら、その足でお願いに行くわ

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:54 = 45全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
スイカマン様に挨拶の後、狼ズのお三方に遠泳勝負を挑みますわ。お三方も昨年の雪辱を晴らしたい筈。。タスク様達も参加されるようですので中々面白い勝負になりそうですわね

始まったら運動神経と体力増強Ⅱを用い疲労を抑え泳いでゆきますわ。やるからには全力全開、決して手を抜きませんわよ♪

勝負の後はお腹が空くでしょうから持ってきた高級なお肉も使いBBQをいたしましょうか

後はトマシーナ様と遊びますわ。ラビーリャ様の砂のお城に負けない物をトマシーナ様とご一緒に造ろうと思いますわ。高い所はトマシーナ様を肩車して差し上げれば細かい造形も作れるのではないかと。目指すはキングオブ砂の城!今日は最後まで遊び倒しますわ!

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:54 = 45全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
トーマス君との交流がメイン

「君はどうしたい?なんでも協力するよ」みたいに投げかけ
具体的な策を内心で準備しておく

絵など何らかの職を目指したい場合は学園のツテからたどって協力を、
ドリャ先生の家で平和に暮らしたいならその平和を守る約束を想定しておく

たとえ黒犬に会いたい、と言われても、協力するつもり
何としても探し出し、会う段取りをつけ、対面した上で危険なら守り抜く覚悟だ

そんな話をしながら海全体を見渡し
一般人の危険や狼ズの調子に乗った行動がないかどうかなどに気を付けておく
非常時は防御と気絶技

朱璃さんと狼ズの泳ぎ勝負の発生を見かけたら参加
アマルくんにも声をかける
【水泳】【運動神経】【息止め】で本気の勝負!

ラピャタミャク・タラタタララタ 個人成績:

獲得経験:54 = 45全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
皆で海のグルメを満喫する

■行動
昼辺りに皆で集合して、ご飯を食べに行くのじゃ。
屋台グルメのいいが、海に来たからには海の幸を楽しみたいところじゃな。
ふむ…そういえば、おいらのカレーの出張店があったのぉ。
よし、皆でそこに行くのじゃ♪

あちきが所望するのはシーフードカレーじゃ!
スパイスのピリッとした刺激、米のもっちりとした触感と甘み、魚介の潮の香りを含んだ旨味、様々な素材が渾然一体となって迸るセッションを奏でる!
おおっ、おおおおおっ!まさに絶妙、絶品、恐悦至極!
要するに旨いのじゃ~っ♪

食後のデザートは、スイカとかどうかのぉ?
ほれ、すぐそこにうってつけの奴がおるじゃろう?
折角じゃし頂くとするのじゃ。

エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:67 = 45全体 + 22個別
獲得報酬:1800 = 1200全体 + 600個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
水着で参加

トーマス君へ黒犬の件の報告と今後について語る

黒犬は人を害するために作られ、憎しみに囚われた魔物であるという呪いから解き放たれて自由になった
どこへ行く事も、どう生き、どう死ぬかも彼自身が選び取る事ができる

トーマス君も、直接言えば傷に触れてしまうから、遠回しにな表現にはなるけれど
彼もかつて自分を害した村人への憎しみに囚われず
自分とトマシーナちゃんの自由と幸せのために前向きに生きていって欲しい

過去を悔い、父母の農地を守ってくれている村人もいる
村へ戻って農業を始めてもいいし、それを望まないなら帰らなくてもいい

カサンドラさんのおかげで拓けた芸術の道を進むのもいいだろう
前向きな未来を応援したい

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:54 = 45全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
同行者:ソフィーア・ル・ソレイユ


カレー屋や、屋台等を一通り巡り、最後にスイカマンのスイカを頂戴する。

龍爪撃で、スイカはまず半分に切り、それを放射状に切り、全ての切片に一番甘い、中心部が含まれるように。周囲の人々にスイカをふるまう。

砂丘に腰を掛け、ソフィーアと一緒に、黒犬を巡る、一連の出来事について、気持ちの整理と再検証のため話す。改めて思い出す事で、見えてくることもあるだろうし、ソフィーアの野生の感というか、戦士の嗅覚のようなものが、自分では気がけなかった、見ぬけなかった事を見出すことに期待して。


「一件落着ってところであるのだろうけど・・・どうにも腑に落ちないことが多すぎるのよね」


アドリブA


ソフィーア・ル・ソレイユ 個人成績:

獲得経験:54 = 45全体 + 9個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
同行者:アルフィオーネ・ブランエトワル



同行者と店を一通り巡り、締めにスイカを食べる。

全部制覇する勢いで食べまくる。

「ご店主。ここから・・・これ、全部くれ」


黒犬関連の話し合いでは、当事者ではないので基本、聞き役に徹する。黒犬たちが力を取り戻したとき、ドリャエモン先生さえ、冷や汗を流していたらしい。と、いうことに驚く。そんな強い奴なら、やはり一度戦ってみたかったな。という思いと、そんな相手とアルフィオーネが戦って、万が一のことが無くてよかったな。という気持ちの半々。

「きみの言わんとすることはわかるが、案外、イタチの最後っ屁っていうか、ただの悪あがきの末の呪いだったのかもしれないぞ?」


アドリブA


リザルト Result

●これからのこと考えよう
 夏らしく水着姿の【エリカ・エルオンタリエ】は、【タスク・ジム】と一緒に岩場までやってきた。【トーマス・マン】に会うために。

 エリカはトーマスに、黒犬達の呪いの顛末を事細かに話して聞かせた。
 そして終わりをこう締めくくった。
「黒犬と赤猫は、ノアから与えられた力の全てを失ったわ。でも、それは決して不幸なことではないと、私は思うのよ。彼らは人を害するために作られ、憎しみに囚われた魔物であるという呪いから解き放たれた。どこへ行くか、どう生きるか、自分で選び取る事ができる……」
 トーマスはしばらく黙り込んだ後、寂しげに微笑んだ。
「……よかった。黒犬が死ななくて。そうなったらどうしようって、ずっと考えてたんだ……力が無くなっちゃっても生きているなら、そっちの方が、僕、いいや」
 肯定的な反応を得たエリカは、ひとまずほっとした。次いで思った。トーマスにも黒犬同様、かつて自分を害した人々への憎しみに囚われず、前向きに生きていって欲しいと。
 だから、その気持ちを相手に伝える。直接傷に触れないよう、遠回しな表現で。
「とにもかくにもトーマス君、あなたが呪いのことで気をもむ必要は、もうなくなったわ。この機会にあなたも、探し始めてみてはどうかしら。本当になりたいことや、欲しいものを。あなたとトマシーナちゃんが、幸せになるために」
 タスクが言った。エリカの意を受ける形で。
「トーマス、君はどうしたい? 出来ることがあるなら、なんでも協力するよ」
 トーマスは考え込んだ。眉間にしわを寄せ、答えた。
「将来のことはまだ決めてないけど、僕、今はまず黒犬に会いたい。黒犬がどうしてるのか知りたいんだ」
 タスクはトーマスの願いを受け入れた。かねて覚悟を決めていた通りに。
「分かった。協力するよ。何としても黒犬を探し出す。約束しよう」
 トーマスの眉が開く。眉間のしわが消える。
彼は力いっぱいタスクに礼を言った。
「ありがとう、タスクさん!」
 エリカはその様を微笑ましげに眺めつつ、意見する。
「タスクくん、何かいい案があるの?」
「はい。一応――ポスターで各方面に告知するってどうでしょう」
「ポスター?」
「はい。迷子の犬や猫を探すときみたいに『これこれこういう犬を捜してます。見つけてくれた方には、お礼金を出します。』ってやるんです。そうしたら情報が集まりやすくなるんじゃないかなと」
 話の途中、離れた場所で高い水柱が上がった。
 ……【ガブ】【ガル】【ガオ】と【アマル・カネグラ】が高飛び込みの競争をやらかしている。
 一般人に迷惑がかかるのではと懸念したタスクは、トーマスをエリカに任せ、早足でそちらに向かっていった。

●夏、食べ歩き
「少々遅いが……夏だ! 海だ! そしてグルメなのじゃぁぁぁぁーーーーっ!!!」
 大海原のパンツ、同デザインの紐ブラジャー、満月の天幕といったいでたちの【ラピャタミャク・タラタタララタ】は、ぶっかけ激辛タンタンメンを水のように吸い込み、器の残骸を積み上げて行く。
「ラピャ子君。なかなかやるなぁ。ぼくも負けてられないな」
 【ソフィーア・ル・ソレイユ】はそれを横目に熱々ホットドッグの山へズババと黄色いマスタードを大量投入、ガツガツ食いまくる。
 両者の前では食材枯渇間近な屋台の店主が頭を抱えている次第。
 【アルフィオーネ・ブランエトワル】はそんな光景を、呆れ顔で眺めている。別屋台で買いこんできた大袋の鯛焼きを、傍らに山と積み、食べ続けながら。
「あなたたち、よくそんなにも入るわね。どういう体の構造しているのかしら?」
「何を言う。食べることもまた、戦いなのさ」
「然り然り。というかアルフィオーネよ、汝も汝でさっきから、相当食っておらんか?」
「甘いものは別腹だもの」
 三者の破格な健啖ぶりに、通行人はつい足を止める。しげしげと見物する。
 数分後屋台をすっからかんにした一同は、場を辞し次の標的を見つけに行くことにした。
 その途中で狼ズと【朱璃・拝】、【スイカマン】とアマルに行き会うことになる。

●いざ尋常に勝負、勝負
「あら、スイカの方、お久しぶりですわ」
「おや、誰かと思えば去年も会ったルネサンスのお嬢さんじゃないか。こちらこそお久しぶり。元気そうで何よりだね。はっはっは」
「スイカマン様こそ、相変わらずみずみずしいお顔で何よりですわ」
 精霊への挨拶を終えた【朱璃・拝】は、海に顔を向けた。海上に顔を出し飛び込み談義をしているガブたちに向け、声を張り上げる。
「さぁ、今年も遠泳勝負をいたしましょう! まさか誇り高い狼が挑まれて拒否するなんて事はありませんわよね?」
 無論彼女の側は準備万端。いつでも勝負を始められるよう、水着姿となっている。
 狼ズは真っ向からの挑戦を受けた。去年の雪辱を果たさんものと。
「たりめーだ、今度こそ負かしてやらあ!」
「吠え面かくなよ!」
 アマルがはいはーい、と手を挙げる。
「朱璃さーん、その企画、僕も参加していいですかー」
「もちろんですわ、アマル様」
 彼の参加によって狼ズは、更に奮起した。
「いいか、ぜってーアマルだけは抜くぞ!」
「おう!」
「陸ではともかく、海ではブタに負けねーぞ!」
 そこに騒ぎを聞き付けたラピャタミャクがやってきた。「おーい、汝ら随分楽しそうじゃが、一体なにをしておるのじゃ?」
「あら、これはラピャタミャク様。実はかくかくしかじかで」
「ほう、なるほど。それならあちきは審判をしようかの。皆、正々堂々勝負するのじゃぞ!」
 続けてタスクもやってくる。
「僕もその勝負に参加していいですか?」
 無論、断る理由はない。

●残る問題
 残暑の海辺。
 【パーシア・セントレジャー】は教諭である【ドリャエモン】に、頼みごとを行っている。学生としての立場を示すため、制服を着て。
「先生、今後の授業で、セムさんの一族の呪いを解く鍵を探せませんか?」
 彼女はラインフラウに『セムさんの呪いが解除されるかもしれない』と言って呪いの肩代わりを諦めさせた手前、その呪いが未だ解けていないことを、はなはだ問題視している。
「このままその問題を放置しては、けじめが取れないんじゃないかと思いまして……まあ、私の個人的な考えではあるんですが」
 一番の懸念材料はラインフラウだ。その言動の過剰さから推し量るに、彼女がこのまま大人しくしているかどうか。
 現状『学生が嘘をついて私を騙した!』『お陰で結婚できなかった! あいつらの幸せをぶち壊してやる!!』とか思っていたとしても、全然不自然ではない。
(そう言われたとしてもまるっと否定できないのが……辛いところなのよね)
 とくれば、放置はまずい。下手をしたらトーマスやトマシーナにまで問題が飛び火しかねない。それだけは避けないと。
「どうでしょう、先生。こちらが呪いの解消について協力を申し出れば、セムさんも一応耳を傾けてくれると思うのですが。彼女と友好な関係を作ることは、学園に利するところ大ですし」
 ドリャエモンは、ふうむと唸って頭をかいた。
「そうじゃのう……すまんが、少し考えさせてくれんか」
 パーシアは一礼し、場を離れる。ドリャエモンの結論が出るまでの間、トーマスと話をしていようと。

●レッツスイミング
「では、皆位置について……よーい、ドン!」
 スイカマンの号令に従い、朱璃、タスク、狼ズ、アマルが浜辺を駆け出し次々海に飛び込んで行く。審判たるラピャタミャクがその後に続く。
 スタートダッシュはまず四者とも横並び。
 朱璃は去年と段違いな狼ズの泳ぎっぷりを、素直に褒めたたえた。心の中で。
(あら、なかなかやりますわね。皆様成長したようで――ただその調子が最後まで持ちますかどうか)
 アマルは皆の少し後ろを泳いでいる。ペースを落として様子見というところか。
 タスクはといえば時間のロスになる息継ぎを極力押さえ、しゃにむに、がむしゃらに進んでいる。
 審判であるラピャタミャクの目には彼の泳ぎが、競争しているというより、何かを振り切ろうとしているように見えた。
 折り返し地点の岩礁が見えてくる。
 しょっぱなから気張り過ぎたか、狼ズのペースが少し落ちた。朱璃、タスクは現状維持。
 アマルが追い上げてくる。
 それに気づいたのだろう。狼ズがまたペースを上げる。
(ほう、なかなかにいい勝負じゃのう。狼ズ、やりおるわ)
 にんまりしながらラピャタミャクは、引き続き後を追う――海中から。大海原のパンツを履いていれば、10分間は潜ったきりでいられるのだ。

●それは杞憂かそうではないのか
 アルフィオーネは砂丘に座り、遠泳勝負を見守る。そして、ソフィーアと話し込む。話題はマン兄妹の成長振りから始まった。
「トーマスはどんどん絵が上達してるわ。トマシーナはお料理が大好きでね……」
 母親のように褒め上げる彼女の姿に、ソフィーアは少々妬かなくもない。
 しかしそれは長く続かない。話題が黒犬を巡る一連の出来事に移ったから。

「呪いが解かれる際黒犬と赤猫は、一瞬往年の力を取り戻したの。ドリャエモンさえ冷や汗をかくほど強大な」
 アルフィオーネからそう聞かされたソフィーアは、驚いた。そんな敵なら一度は戦ってみたかったと惜しみつつ、彼女が一人でそんな敵に立ち向かう事にならなくてよかったと、安堵する。
「黒猫と赤猫の呪いは解けました。めでたしめでたし……とは到底思えないのよね。腑に落ちないことが多すぎるのよ」
 眉を八にしたアルフィオーネは、呪いを解く際自分の身に起きた不可解な現象について、ソフィーアに明かす。
「『言葉』を詠じた後、わたし、黒猫と赤猫に向かって言ったらしいのよ――『人と生きることを選び我らとの縁を解くか。なれば我らが与えしものとの縁も解かれよう。失うがいい、全てを』って」
「ふむ」
「わたしにそれを言わせたのは、『ノアの意志』以外にあり得ない。カサンドラさんに纏わり付いていたのと同じ……驚くべきことよ、魔王戦役より長い長い時を経て、そこまで鮮明な影響力を残しているなんて」
 ノア一族は、ただの犬猫を強大な魔獣に変化させることが出来ていた。何代もの長きにわたり維持し続け、溶岩でさえ破壊できない呪具を生み出しさえしている。
「そんな存在が、飼い犬に手を噛まれて滅びるなんて愚を犯すものかしらね?」
 セム所有の指輪の用途はなんなのか?
 いや、そもそも黒犬達から失われた魔力と指輪はどこへ行ったのか?
 考えれば考えるほど、何もかもが疑わしい。
「……どうもねえ、黒犬たちの呪いの一件が、すべて、ノア一族の掌の上で躍らされていただけなんじゃないかとも思えて……」
 そこでアルフィオーネは、ぽんぽんと額を叩かれた。
「かわいい顔に皺がより過ぎだぞ、アルフィオーネ。きみはいつも考え過ぎだ」
 ソフィーアは彼女を安心させるよう、軽い口調で言う。
「きみの言わんとすることはわかるが、案外、イタチの最後っ屁っていうか、ただの悪あがきの末の呪いだったのかもしれないぞ?」
 アルフィオーネは、すっと気持ちが軽くなるのを感じた。次の言葉を聞いて、なお。
「まぁ、仮にだ。ノア一族の計画通りだったとしても、やつらが滅びたのは、随分昔だ。長い長い時間をかけてやっている。すぐに動くことはないんじゃないかな? それまでにぼくらが強くなっていればいいだけの話だ」
 やはりこの人に相談してよかった。自分だけではこのシンプルな答えにたどり着けなかったろうから。
 そう思って愁眉を開く。
「――そうね。言われてみれば確かに、そうだわ」
 遠泳組が戻ってきた。
 朱璃が一番。
 その後ほとんど間を置かず、タスク。
 タスクに肉薄してアマル。
 アマルと横並びにガブ。
 そしてガオ、ガル。
 最後に審判ラピャタミャクの順。
 海から上がってきた朱璃は一同に何か言った後、アルフィオーネたちに向け、大きく手を振った。
「アルフィオーネ様、ソフィーア様も、一緒にBBQをしませんか? 高級なお肉、持ってきてますのよ!」

●お誘い
「カサンドラさん……どんな色の海が、好きだったのかしらね」
 パーシアからそのように聞かれたトーマスは、多分、と前置きして言った。
「青緑の海の色が好きだったんじゃないかなと思う。北の海の、澄んでるけど明度が低い色」
 彼女の描いた絵をあれこれ思い起こし、さもありなん、とエリカは思う。
 タスクが場に戻ってきたのは、そんなときだった。
 彼は行く前よりも、さっぱりした顔をしていた。何かを吹っ切ったように。
 実際彼は吹っ切ったのだ。【カサンドラ】との別れの悲しみを。彼女と仲間との日々を、思い出として受け入れることで――諦めからではなく、未来へ向かおうという、前向きな心から。カサンドラがどこかで自分たちの様子を見て一緒に笑ってくれているという、確信から。
「トーマス君、朱璃さんが、BBQをするんだって! ひとまず絵を置いて、一緒に食べないかー! パーシアさんも、部長さんもどうですー!」
 パーシアとエリカは顔を見合わせ、ふふっと笑った。
「いいわね、丁度お腹もすいてるし」
「そうね。行きましょう、トーマスくん」
 トーマスは筆をおいて、頷いた。風の当たらない場所にキャンバスと画材を移動させ、タスクが呼ぶほうへ駆けて行く。
 ――ちなみにこの後タスクは、ドリャエモン、【トマシーナ・マン】と【ラビーリャ・シェムエリヤ】も、ちゃんと場にお誘いした。
 
●肉、そしてカレー、肉。
 炭火に炙られ網の上で肉が焼ける、野菜が焼ける。
 その傍らでラピャタミャクは、『おいらのカレー・海の家出張店』からテイクアウトしたシーフードカレーを食べている。
「スパイスのピリッとした刺激、米のもっちりとした触感と甘み、魚介の潮の香りを含んだ旨味、様々な素材が渾然一体となって迸るセッションを奏でる! おおっ、おおおおおっ! まさに絶妙、絶品、恐悦至極! 要するに旨いのじゃ~っ♪」
 もちろん彼女、自分だけカレー独り占めなんて野暮なことはしない。人数分をちゃんと頼んでいる。
 子供用の蜂蜜リンゴカレーに顔中をほころばせているトマシーナが、朱璃と、こそこそ内緒話をしている。
「ラビーリャ様に負けないお城を作って、トーマス様をびっくりさせてあげましょうね」
「うん。わたしかわいいおしろつくるー。えほんでみたような、ふぁんたすてっくなおしろ。わたし、しょうらいそういうとこにすむの。そしてそこに、おひめさまとしてくんりんするの!」
「まあ。大志を抱いておいでですのね、トマシーナ様」
 大志というよりむしろ野望ではなかろうか。
 そんなことを思うパーシアに、ドリャエモンは、熟考の結果を伝えていた。
「課題として取り入れる分については、良かろうと思う。向こうの同意があればのことじゃが」
「ありがとうございます! 必要なら、セムさんとの交渉は私達学生が行いたいと思っていますので――」 
 そこにスイカマンが、颯爽と通りがかった。
「はっはっは。皆さん楽しそうだね」
 口の周りに米粒を一杯くっつけたラピャタミャクは、皆のほうを向いて言った。
「食後のデザートは、スイカとかどうかのぉ? ほれ、すぐそこにうってつけの奴がおるじゃろう?」
 朱璃は即、彼女の意見に賛成する。
「そうですわね。喉も渇いてきましたし――スイカマン様、おつむりをひとついただけますか?」
「おやすい御用だよ、はっはっは」
 スイカマンは気さくに新鮮な頭をもいで、提供してくれた。
 アルフィオーネはそれを受け取り、龍爪撃を加える。きれいに半分に割れたところで包丁を取り出し、放射状に切る。
「こうすると全ての切片に、一番甘い中心部が入るようになるのよ。さあどうぞ」
「わーい、ありがとうございます」
 アマルは早速スイカを貰い、しゃくしゃく食べた。ラピャタミャクもソフィーアも朱璃もトマシーナも、何の躊躇いもなく食べた。
 その他のメンバーは、ぴょこんと新しい顔を生やしたスイカマンを横目に、微妙な表情になりながら食べた。
 
 宴も終わりかける頃合で、トーマスが、タスクとエリカに言った。ぽつりと。
「僕、画家になれたらいいなと思う。カサンドラ先生のレベルまでは難しいだろうけど、でも、絵が描きたい。それで、食べて行けるようになりたいんだ。お百姓は……向いてないや」
 タスクは彼の決意をことほいだ。
「大丈夫、君ならやれるさ!」
 エリカはトーマスが自分の未来を考え始めたことを、素直に喜んだ。そしてその夢の実現のため、何が出来るかを考えた。

●次の課題は
 シュターニャ。『ホテル・ボルジア』本社。社長室。
 
「芸術祭か展示会?」
 【セム・ボルジア】は、エリカの提案をオウム返しして、こう付け加える。
「そういうものは、すでに方々でやられていると思いますけど」
「ええ。でもそれは全部、貴族やお金持ちの支援を受けてのことでしょう。そうではなくて、貴族やお金持ちの支援を受けていない一般の人の芸術祭か展示会を開けないか、ということなの。そうすれば、日々の仕事や生活に根差した作品、新しい才能が人の目に触れやすくなると思うわ」
 セムはふん、と鼻を鳴らすような息を発した。
「絵を描いた人間が手数料を払って展示してもらうという形にするなら、そういうことも可能でしょうが」
 それから、パーシアの方に顔を向けた。
「私の呪いについての調査を、学園で行いたいと?」
「ええ。ご迷惑かしら」
「別に迷惑でもないですけどね。調査するならお好きに。でも私は、私の呪いを解く気はありませんから」
 『なぜ』という問をパーシアは、視線でセムにぶつける。
 セムは答える。相手を小馬鹿にしているような、自嘲しているような、曖昧な表情で。
「呪いを解いたら呪いによる恩恵も失うことになる――黒犬と赤猫の顛末を見る限り、そこは確実です。ボルジア一族がその存在と引き換えに手にいれたすべての富を、消滅させる? お断りです、そんな結末」 
 【赤猫】を抱いたラインフラウが、鈴を転がすように笑った――最初からずっと、場にいたのだ。
「もう、強欲なんだから、セム。でもそういうあなた、大好きよ」










課題評価
課題経験:45
課題報酬:1200
夏の終わりに、海へ
執筆:K GM


《夏の終わりに、海へ》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 1) 2021-09-04 16:05:18
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
黒犬、赤猫達の呪いを解いても、セムさんの一族の呪いは……健在っぽいのよね。

一緒に解けるかもと言って、ラインフラウさんに諦めさせようとした手前……セムさんの一族の呪いをどうにかしないと、ラインフラウさんがよからぬ事企てそうで心配なのよ。

というわけで、ドリャエモン先生捕まえて、今後の授業でセムさんの一族の呪いを解く鍵を探せないか……お願いしてみるつもり。
元黒犬も、できればトーマスさんに会わせてあげたいしね。

あ、これは個人的なケジメみたいなものだから、みなさん楽しんでね。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 2) 2021-09-04 17:20:43
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。

スイカマン様、相変わらずお顔を食べさせようとしておりますのね・・・。

今の所はまだ何をするか考え中ですわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 3) 2021-09-05 00:53:47
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。
よろしくおねがいします!

僕は、トーマスくんとの交流が第一ですね。
精神的フォローになるのか、
それとも、傷ついてるわけではないと判断し、フォローというよりは純粋な対話になるのか、
将来的な話をしてみるのか、今回は純粋に絵について語り合うのか・・・

トーマスくんの状況や、どういうコミュニケーションが一番いいのか
一生懸命考えますが、皆さまからもご意見いただければ助かります。

あとは、トマシーナちゃんの安全や、狼ズが調子に乗らないように、などを念のため警戒し、海を広く見渡しておく、などでしょうか。

遊びとしては、甲冑マラソン覇者さんで運動のスペシャリストの
朱璃さんと、遠泳やビーチバレーで勝負!!なんて展開も楽しそうです!
・・・と、勢いで勝手に言ってしまってすみません、朱璃さんm(__)m

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 4) 2021-09-05 14:37:51
>タスク様
以前狼ズと泳ぎの勝負をしましたので、今回もやってみても良いかもしれません。その際一緒に泳ぎ勝負をいたしますか?

あとはそうですわね・・・トマシーナ様と遊んだり、でしょうか。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 5) 2021-09-05 17:59:54
>朱璃さん
本当ですか!?ありがとうございます!!
狼ズと、プロローグの描写からしてアマルくんも混ざってくれそうですね!
みんなで泳ぎ勝負といきましょう!
(PL:高い一般技能を持ってるわけでもないので、いい勝負にはならないかもしれませんが、参加出来るだけで楽しいです。
PCのタスクは勝負する気満々ですけれども!)

トマシーナちゃんをお任せ出来るのであれば、僕も安心です。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 6) 2021-09-06 22:28:34
>タスク様
それでは一つは狼ズやアマル様達と泳ぎ勝負をいたしましょうか。

トマシーナ様とは何をいたしましょう。色々考えてみませんと。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 7) 2021-09-07 02:14:18
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

トーマス君へ黒犬のことの報告と、今後について語る事ができればと思っているわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 8) 2021-09-07 08:18:56
それでは、泳ぎ勝負は決定ということで、よろしくお願いします!
どちらがどのようにプランに明記しようか、文字数配分を考え出すと悩ましいですが、
取り急ぎ、僕の方ではこのように書いてみました。

「朱璃さんと狼ズの泳ぎ勝負に参加
アマルくんにも声をかける
【水泳】【運動神経】【息止め】で本気の勝負!
勝っても負けても心から楽しむ」

何でもかんでもイベント化したい癖のある僕ですが、
今回は自重しておきたいと思います。

ただひとつ、審判をどなたかにお願いできたら、それっぽくなるかな、と思っています。
そこで、以下の優先順位で勝手に候補を挙げてみますので、ご意見等いただけたら助かります。

1 PCのどなたか
「やってみよう」「暇つぶしに」「文字数余ったから」または「我こそは」と思う方は、ぜひ、手を挙げていただければと思います。
もし、複数候補あった場合、早い者勝ちがいいかな、と思ってます。

2 スイカマンさん
問題として、彼には海の安全を守る業務があるので、その支障になるのでは、という懸念はあります。

3 ドリャ先生
無難な選択肢として(笑)

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 9) 2021-09-07 08:19:54
なお、スイカ割りという定番イベントも思い浮かびましたが、
スイカマンさんの目の前でやりにくいので、今回は自重、というのが僕の意見です。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 10) 2021-09-07 20:04:20
それでは狼ズへは私が勝負を持ちかけますわね。スキルは運動神経は使うと思いますが、あとは・・・体力増強Ⅱで疲れ知らずになるとか、でしょうか。

>審判
手をあげて下さる方がおられれば1、いらっしゃらなければ3、という所でしょうか。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2021-09-08 08:17:50
朱璃さん、ありがとうございます。助かります。
それでは、勝負楽しみましょう!

さて、僕の本題はトーマスくんに色々貢献してあげたいということで、
「君はどうしたい?なんでも協力するよ」みたいに投げかけて、
絵など何らかの職を目指したい場合は学園のツテからたどって協力を、
ドリャ先生の家で平和に暮らしたいならその平和を守る約束を、
というような考え方をプランに書いておく方向です。

そこで、黒犬についての考え方で、皆さんの意見をいただけたら助かります。

現時点の僕の考えとしては・・・
「たとえ黒犬に会いたい、と言われても、協力する
何としても探し出し、会う段取りをつけ、対面した上で危険なら守り抜く」
というものです。

(PLより)
なお、「選択」のリザルトを読みましたので、
黒犬がよもや「あんなこと」になったことを、PLは知っていますが、
PCはどうしようかな、と悩み中です。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 12) 2021-09-08 08:26:04
仮プランが出来ました!!

水泳中の心理描写に、カサンドラさんの惜別の思い、
そしてこれまでの楽しかった思い出とともに前向きに受け入れるような
そんな気持ちを託すことが出来ました。

まあ、動作自体は、「しゃにむに体を動かす」という
いたって脳筋な描写なんですが(笑)

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 13) 2021-09-08 12:23:25
あ、黒犬については、エリカ部長さんから、トーマスくんに報告をされる、
ということでしたね。

(PL)
では、タスクの気持ちとしては、上記のとおり
「黒犬に会いたいなら叶えてあげたい」、と思っておきますが、
もし、部長さんからトーマスくんへの報告を聞く展開になれば、
「な、何だって~!(ガタッ)」
しかしその流れになるかどうかはGM様しだい、リザルト次第…
としておくのが、良さそうに思います。

《人間万事塞翁が馬》 ラピャタミャク・タラタタララタ (No 14) 2021-09-08 23:12:13
らぴゃたみゃくたらたたららた!
魔王・覇王コースのラピャタミャク・タラタタララタじゃ。
挨拶が遅くなったが、よろしくなのじゃ。

あちきはグルメが楽しみなのじゃ♪
昼時に皆と一緒においらのカレーに向かおうと思っておるのじゃ。

それ以外の時は皆と海に行くつもりじゃ。
朱璃が狼ズと競うつもりらしいから、あちきが審判をしようかのぉ。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 15) 2021-09-09 01:48:03
教祖・聖職者専攻のアルフィオーネ・ブランエトワルです。スイカを食べながら、気持ちの整理というか、まとめ的なことをしたいと思っているわ。

《ビキニマン》 ソフィーア・ル・ソレイユ (No 16) 2021-09-09 04:39:46
やぁ、ぼくは武神・無双コースのソフィーア・ル・ソレイユ。

そうだな。アルフィオーネとぶらっと、一通りまわって、食後のデザートにスイカをいただくとしよう

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 17) 2021-09-09 19:41:39
>ラピャタミャク様
ありがとうございます。それでは審判はお願いいたしますね。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 18) 2021-09-09 20:15:15
ひとまずプランは提出いたしましたわ。狼ズやタスク様達との泳ぎ勝負と、あとはトマシーナ様と一緒にラビーリャ様に負けない砂のお城を造ろうと思いますわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 19) 2021-09-09 22:02:05
朱璃さん、よろしくお願いいたします!

ラピ子さん、審判ありがとうございます!よろしくお願いいたします!

いよいよ今夜出発ですね。
夏の1日、楽しみましょう!