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【天遣】rivalizar - 始動篇


ストーリー Story

 海洋国家リーベラント。
 広大な国土を持ちながら、国民が少ないことで知られている。
 幾つかの例外を除いて、ローレライの民にしか国籍を認めない方針をとっていた。
 王の名は、【クラルテ・シーネフォス】。
 かつて魔王を封印した九勇者の直系の子孫だ。
 そんな彼の居城に、【メメ・メメル】は訪れていた。

「で、オレサマを呼び出した理由を聞こうか」
 片肘をテーブルにのせて首をかたむける。
「まず、申し上げておこう」
 急病で臥せった王に代わり、王太子である【アントニオ・シーネフォス】は言う。
「ありていに言って我らはもう、あなたたちを信頼していないということを」
「ふぅん」
 知ってるよ、と言わんばかりにメメルは薄笑みを浮かべた。
「そっちの親子も同意見かい?」
 視線の先には、どこか神々しい光を背負ったような男女の姿がある。
 達観したようなまなざしからして、アークライトと見てまちがいないだろう。
「同意見とお考えください」
 アークライトの女性が言った。アントニオとはちがい糾弾するような口ぶりではない。けれど毅然として、書道家が書き始めの筆を運ぶときのように、自分の発言に疑いをもっていない様子だった。彼女は【セオドラ・アンテリオ】という。年若い。
 もう一人は黙ってうなずいただけだった。セオドラの父親【テオス・アンテリオ】だ。テオスもやはりアークライトであり、アークライト族の代表者でもあった。
 セオドラの言葉を継ぐように、テオスも考えを口にした。
「フトゥールム・スクエアは先日、火の霊玉を魔王軍に奪われたと聞いている。そのような醜態をさらしたのは、ひとえに、長である貴殿の責任であろう」
 魔族を自称する【怪獣王女(ドーラ・ゴーリキ)】、そして魔王軍と名乗った【ドクトラ・シュバルツ】との交戦の結果、火の霊玉は失われてしまったのだった。
 正確にいえば、魔王軍の手に火の霊玉があるとは言い切れない状況ではあった。霊玉は消失したのであって奪取されたわけではない。怪獣王女が魔王軍と共同戦線を組むとも言い切れない。
 だがこのところ学園に批判的だったアークライト族代表テオスはこれを奇貨として学園を公然と非難し、まだしも中立的であろうとしたクラルテから代替わりしたローレライ族代表アントニオもこの流れに乗り、メメルを召喚して会談という名の糾弾を行う流れとなったのである。
「もはや学園に霊玉の管理を任せることはできない。土の霊玉を宿すという少年ともども、すべての霊玉の引き渡しを要求する。我らに任せるべきだ」
「ははは、ノー・サンキューと言っておこう。ベリー・ノーだな☆」
 その『ベリー・ノー』って文法的に正しいの……? とコルネがつぶやいたが誰も聞いていない。
「なぜ」
「学園が管理するのが一番安全だからだよ。わからんかねチミィ」
「そうでしょうか?」
 セオドラが言う。
「学園と、そこで育ったかたがたに力があるのは知っています。ですが、それが正しく使われるとは限らない。過日、研究都市セントリアで起ったテロ事件。これを元学園生である【ディンス・レイカー】が主導して起こしたことは、力が正しく使われなかった証拠でしょう」
 それは! とコルネが言いかけるもメメルは手で制した。
「……ディンスのことで責めがあるなら、いくらでも聞く用意がある。でも霊玉の保管については別だな。霊玉を分割して持っているのが危ないことはオレサマも認めるが、だったらなおのこと、そちらが持っている水の霊玉と光の霊玉を学園に渡してほしいと言いたいな♪」
「私たちは、フトゥールム・スクエアはもう信頼できないと言ったはずですが」
「リーベラントなら信用できるというのかな?」
 かつて、霊玉は各種族の代表や勇者の直系の子孫がそれぞれ分けて有すことで各種族のパワーバランスを保ち、政情の安定を図っていた。
 だがそれは平時の話だ。
 魔王軍が活発に動き出している今は有事である。
 分散させていた力をひとつに集める必要が出てきたのだ。
(クラルテが病で倒れなければ……)
 メメルとしては、事態の急変が悔やまれる。
 リーベラントの王であるクラルテは、ときとして尊大な態度をとることもあったが基本は進歩的で、フトゥールム・スクエアにもたくさんの学生を送り出してきた。クラルテなら他種族と協力して危機を乗り越える道を選んだだろう。リーベラントに霊玉を集めるなどと無謀を言わず、学園を拠点とすることに応じたはずだ。
 しかし彼の息子であるアントニオはちがう。
 父とは正反対で、ローレライ第一主義をとり、ヒューマンやルネサンスを『化外の民』と呼んで見下している。魔法力文化力にすぐれたローレライこそが各種族を束ねる立場であると断じ、一方で魔王軍に対しては早期の封じ込めを主張していた。
 それだけでも問題だが、そこに追い打ちをかけているのが、アークライトの代表であるテオスだ。
 彼も、元々は他種族と協調して危機を乗り越えるべしと唱える人物だったが、事情が変わってしまった。
 アークライトとなって、すでに18年が過ぎた彼は、もはや寿命が近い。
 そのため、自身と同じくアークライトとなった娘であるセオドラに対外的なことを任せている。
 だがセオドラは父とは違い、アークライトこそが力を束ね、魔王軍を討つべしという強硬派だ。
 結果、それぞれが霊玉の所有を主張しているのが現状だった。
 苦悩するメメルに、テオスが言った。
「力を束ねる必要がある。それに異論はないでしょう」
 鐘のようによく通る、澄んだ声だった。
 アークライトとして同胞に寄り添い、精神的支柱として支えてきた彼の人生を感じさせるような声。
 だからこそ、メメルを含めた全員は耳を傾けた。
 テオスは提案した。
「言葉ではなく、行動で示しましょう。我々アークライトは、今までフトゥールム・スクエアにあまりに多くを任せすぎていた。しかし現在の我々は、各地の騒動の解決だけでなく、魔王軍に対する備えもはじめています」
「それは、学園になりかわるってことか?」
「いいえ。より相応しい者が、全てを束ねるというだけです。メメ・メメル、我々は、その覚悟がある。それを示すため、我々は今まで学園に任せていた業務を代行させていただく」
「あえて露悪的に言うが許せよ。それってもしかして、自分たちの方が巧くやれるから、フトゥールム・スクエアは引っこんでろってことか?」
「そう思っていただいても構いません。反論があるなら、結果で示して下さい。そうでなければ、納得が出来ない」
 テオスの言葉に、アントニオも賛同した。

 かくして、三つ巴の競争が、これから起きることになる。
 学園が課題として受けていた依頼に、ローレライやアークライトの勢力が横槍を入れはじめたのだ。
 目的は、自分達の優位性を示すこと。
 学園よりも早く、あるいは確実に依頼をこなすことで、霊玉の所有者に相応しいと知らしめようとしているのだ。
 少しずつではあるが、それは現実のものとなりはじめている。
 このまま手をこまねいていては、メメルの学園長の辞任要求を起こされ、学園を実効支配されかねない。
 それを防ぐためには、今まで以上に、課題を達成していく必要がある。

 この状況で、あなたたちは、どう動きますか?


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-10-06

難易度 普通 報酬 なし 完成予定 2021-10-16

登場人物 6/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《光と駆ける天狐》シオン・ミカグラ
 ルネサンス Lv14 / 教祖・聖職 Rank 1
「先輩方、ご指導よろしくお願いしますっ」 真面目で素直な印象の少女。 フェネックのルネサンスで、耳が特徴的。 学園生の中では非常に珍しく、得意武器は銃。 知らない事があれば彼女に訊くのが早いというくらい、取り扱いと知識に長けている。 扱いを知らない生徒も多い中で、その力を正しく使わなくてはならないことを、彼女は誰よりも理解している。 シオン自身の過去に基因しているが、詳細は学園長や一部の教員しか知らないことである。 趣味と特技は料理。 なのだが、実は食べるほうが好きで、かなりの大食い。 普段は常識的な量(それでも大盛り)で済ませているが、際限なく食べられる状況になれば、皿の塔が積み上がる。 他の学園生は、基本的に『○○先輩』など、先輩呼び。 勇者の先輩として、尊敬しているらしい。 同期生に対しては基本『さん』付け。  
《イマジネイター》ナノハ・T・アルエクス
 エリアル Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
フェアリータイプのエリアル。 その中でも非常に小柄、本人は可愛いから気に入っている。 明るく元気で優しい性格。天真爛漫で裏表がない。 精神年齢的には外見年齢に近い。 気取らず自然体で誰とでも仲良く接する。 一方で、正義感が強くて勇猛果敢なヒーロー気質。 考えるよりも動いて撃ってブン殴る方が得意。 どんな魔物が相手でもどんな困難があろうと凛として挑む。 戦闘スタイルは、高い機動性を生かして立ち回り、弓や魔法で敵を撃ち抜き、時には近接して攻め立てる。 あまり魔法使いらしくない。自分でもそう思っている。 正直、武神・無双コースに行くかで迷った程。 筋トレやパルクールなどのトレーニングを日課にしている。 実は幼い頃は運動音痴で必要に駆られて始めたことだったが、 いつの間にか半分趣味のような形になっていったらしい。 大食漢でガッツリ食べる。フードファイター並みに食べる。 小さな体のどこに消えていくのかは摩訶不思議。 地元ではブラックホールの異名(と食べ放題出禁)を貰うほど。 肉も野菜も好きだが、やっぱり炭水化物が好き。菓子も好き。 目一杯動いた分は目一杯食べて、目一杯食べた分は目一杯動く。 趣味は魔道具弄りで、ギミック満載の機械的な物が好き。 最近繋がった異世界の技術やデザインには興味津々で、 ヒーローチックなものや未来的でSFチックな物が気に入り、 アニメやロボットいうものにも心魅かれている。 (ついでにメカフェチという性癖も拗らせた模様)
《熱華の麗鳥》シキア・エラルド
 ヒューマン Lv25 / 芸能・芸術 Rank 1
音楽と踊りが好きなヒューマンの青年 近況 自我の境界線が時々あやふやになる みっともない姿はさらしたくないんだけどなぁ 容姿 ・薄茶色の髪は腰の長さまで伸びた、今は緩く一つの三つ編みにしている ・翡翠色の瞳 ・ピアスが好きで沢山つけてる、つけるものはその日の気分でころころ変える 性格 ・音楽と踊りが大好きな自由人 ・好奇心>正義感。好き嫌いがハッキリしてきた ・「自分自身であること」に強いこだわりを持っており、自分の姿に他者を見出されることをひどく嫌う ・自分の容姿に自信を持っており、ナルシストな言動も。美しさを追及するためなら女装もする。 好きなもの 音楽、踊り、ともだち 苦手なもの ■■■■、理想を押し付けられること 自己犠牲 二人称:キミ、(気に入らない相手)あんた 初対面は名前+さん、仲良くなると呼び捨て
《新入生》ヒナ・ジム
 アークライト Lv11 / 勇者・英雄 Rank 1
ヒナ・ジムです!【事務雛型】 ひよこがだいすきです! おすとめすはみたらわかります! ひよこがすきすぎて、はねがはえちゃいましたあ! そしたら、にぃにが、がっこうにつれてきてくれました。 かっこいいおにいさん、かわいいおねいさんがいっぱい…! みんな、なかよくしてね! *** ガンダ村の事務職の家系であるジム家の末っ子。 ひよこを愛する普通の子であったが、村の学校で飼っていたひよこをいじめた男子にたいする怒りをきっかけに、アークライトに覚醒! 知らせを受け慌ててタスクの発案により、学園に入学することとなった。 アークライトとしての力と生き方を学び、そして外の世界を知るために…。 ひよこが大好きで、好きすぎて羽根が生えたという本人談もあながち間違いではない経緯ではある。 ひよこのオスメスの区別がつき、人間の顔と同じ精度で個体識別できる。 鶏に対する気持ちは普通で、ひよこの時から可愛がっている個体に対してはその愛着を維持する。 覚醒時のほかにも、夜店のひよこを全員脱走させ親が全額弁償などひよこに関する逸話に事欠かない。 また、覚醒前から同年代にあり得ない怪力で、祖父のお下がりのバトルアックスの素振りが日課である。 とにかく甘えん坊。誰彼構わず甘え、兄タスクをやきもきさせる。 【勇者原則】決め台詞 通常時「ヒナ、負けないもん!」 覚醒時「○○ちゃんを虐める悪い子は、絶ぇっ対に許さない!」

解説 Explan

●目的

正体不明の敵に襲撃されている村を助ける。

●成功度

アークライトも村の救助に向かっており、彼らより成果をどの程度上げるかで、成功度や今後の展開が変わってきます。

●舞台

百人程度が住んでいる村。

体の表面を「蟲」に覆われたゴブリンに何度か襲撃を受けています。
何度か撃退したものの、助けを学園に求めました。

●状況

1 村に辿り着いた所から始まります。この時点で村は襲撃されており、村人達は家に隠れ怯えています。

2 敵との戦闘開始。この時点でアークライトの一団も参加します。

●敵

蟲に取り憑かれたゴブリン

動死体を蟲が操っています。

蟲の弱点は、光属性の攻撃と聖水です。

●アークライトの一団

協力はしません。

むしろPC達を出し抜いて成果をあげようとします。

●その他

何故か敵は、PC達よりもアークライト達を優先して襲い掛かろうとします。

敵の弱点は、アークライト達が得意な、光属性の攻撃です。

以上です。


作者コメント Comment
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。
今回は、メインストーリーに関わるシリーズエピソードの導入になります。
同時期に桂木SDが出されている、【泡麗】rivalizar - 始動編、と連動した物になっています。

今後も、関連エピソードは出て来ることになり、その結果によって、ストーリーが分岐していきます。

皆さまの行動で、ゆうがく世界の未来が決まっていきます。

それでは、少しでも楽しんでいたたけるよう、判定にリザルトに頑張ります。


個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
掃討班担当

基本は蟲の撃破を最速で行い、なおかつ『敵増援』や『ボスの存在』の可能性を想定
(危険察知で敵増援や新たな敵対者に警戒)

スプリーム・クラッシュと超炸裂の種で可能な限り多くの敵を薙ぎ払う

魔力が低下したら、魔気変換で回復

魔力低下時はエーデンユートで光属性に変えた魔法弾攻撃を行う

魔力は魔気変換で回復
自分・味方の傷は生命の息吹で回復
攻撃は妖精の踊りで回避

アークライトは味方としての増援と判断
味方や村人を襲わないのであれば味方として扱い、フォローや回復を行い
村人の保護・避難を要請
蟲との過去の戦いで得た経験から、ゴブリンは死体を操られているだけで、光属性が有効な事などを知らせ、効率よく戦えるようにする

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
百人程度の村がすでに襲撃されているということは、
戦場がバラけている可能性があり、村人を一刻も早く見つけて救う必要から
A班「戦闘・掃討メイン」、B班「救助・誘導メイン」の2班に分かれて動く

自分はA班に入り壁役を務める
勇者原則で敵を自分に注意を引付け
同時に味方を鼓舞

晴天灰陣、ヒ18で守りを固め
月下白刃で確実に仕留めていく
仲間や一般人の危機には我が身を盾にでカバーリング

相手はゴブリンとは言え死者
今回も「進撃の驟雨」(七四六明GM様)での経験で得た「鎮魂」の心構えを
剣に聖水を振りかけるルーティーンで高め
悼むように剣を振る

アークライトの一団を見かけたら
味方と判断しカバーリング対象に加える

アドリブA

シオン・ミカグラ 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
人命を優先のため、班に分かれて行動
私はB班で村の人々を救助します

聞き耳で悲鳴や敵の音に注意しつつ、村の中を見回り敵を探す
敵が家や人などを襲っている場合は攻撃しすぐに介入して止めます
武器は蟲に有効な光属性に変更
距離があり、駆けつけると時間がかかる敵にはスナイプショットで遠距離から狙撃し対応

相手にする敵の数が多いときは、トライショットで多数を攻撃
また、傷を負った仲間や怪我人がいる場合はリーライブで治療。蟲に付かれた方は聖水で弱らせ剥がします
魔力が減ったらバレットリロードで力を再装填

村人には安心してもらう為、学園から来た勇者たちであることを呼びかけます
今はそれでいいです。きっと覚えていてくれますから

ナノハ・T・アルエクス 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
主)動死体の撃退
副)アークライトの一団より結果を出す

■行動
A班(戦闘・掃討メイン)に参加。
魔術師の箒で空中から索敵。
基本的に見つけた敵から相手をするつもりだけど、ピンチの人が居たらそっちを優先。

敵を見つけたりピンチの人が居たら、皆に合図して情報を伝達。
僕はそのまま空中から遠距離射撃を仕掛けるよ。
ファイニンの弾丸を追加魔力で光属性に変更、そして集中で狙いを定めて撃ち抜く。
数が多い時は、トライショットを併用して纏めて撃つよ。
見えた!そこぉっ!!

魔力が減ってきたらバレットリロードで回復して、引き続き攻撃続行。
もし蟲が取り付こうとしてきたら、素早さを生かして回避行動を取るよ。

シキア・エラルド 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
まーたあの蟲わいてんの?しつこいねぇ
……あー、なんか面倒くさい予感がする

行動
B班所属
【演奏】で同班、もしくは近くの味方を支援
【聴覚強化】で襲われている村人がいないか捜索
救助の際は周辺の敵がいないか確認、いれば【プチコード】

対アークライト
「会話術」「心理学」で会話しつつ、警戒
動きを観察し、敵のことを知らないようなら弱点を教える
ところで光属性……あっ
敵の攻撃対象がアークライトに向かえば横から【プチコード】
周辺に救助対象がいればアークライトに引き付けてもらおうっと

終われば礼(内心はともかく)
どうもありがとう、ところで誰?
傭兵じゃなさそうだよね

ヒナ・ジム 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
兄タスクから蟲の特性を良く聞いておく

百人程度の村がすでに襲撃されているということは、
戦場がバラけている可能性があり、村人を一刻も早く見つけて救う必要から
A班「戦闘・掃討メイン」、B班「救助・誘導メイン」の2班に分かれて動く

自分はB班に入り壁役を務める
ひよこ勇者の小さな勇気で敵を自分に注意を引付け
同時に味方を鼓舞

ひよこ勇者の小さな勇気の口上でア5も発動

壁役にあたっては、ア6、不屈の心で持久戦を展開しつつ
大木倒し、勇者之斬も活用して蟲ゴブを怯ませ
仲間の攻撃をサポートすることを重視

危険には第六感や幻視を働かせつつ
避難誘導や
周囲の安全確保の上で応急処置を積極的にする
特に小さい子は子供親和全開でケアする

リザルト Result

 争う音と悲鳴が聞こえてくる。
 襲撃されている村に辿り着いた学園生達は、敵を視認した。

「まーた、あの蟲わいてんの? しつこいねぇ」
 うんざりしたように呟いたのは【シキア・エラルド】。 
 以前に戦ったことのある相手だが、気分の良い物ではない。
 形の良い眉をシキアがひそめていると、並走している【タスク・ジム】が言った。
「予想通り、戦場はバラけてますね。事前の打ち合わせ通り、班を分けていきましょう」

 事前に学園生達は、戦闘と掃討メインのA班と、救助と誘導メインのB班に役割分担を済ませている。
 村人達の安全を守るためにも、学園生達は役割に分かれ村へと突入した。

●A班掃討戦闘 
 村に入ると同時に、タスクは勇者原則を体現するように名乗りを上げた。
「フトゥールムスクエア勇者候補生タスク・ジム! これ以上の狼藉はさせません!」
 仲間を鼓舞すると同時に、敵の注意を自分に引き付けた。
 一斉に敵は視線を向け、何体かが突進してくる。
(これで良い)
 タスクは番傘『桜乱舞』の刀を抜きながら、戦闘体勢へと移行する。
(まずは、みんなが動き易くなるよう数を減らす)
 体表を蟲が這う敵を油断なく見据えながら、同時に鎮魂の意を込め聖水を武器に掛けると、一気に駆ける。
 距離を詰めてきたタスクに、敵は手にした武器を振るう。
 手入れのされていない剣だが、当たればもちろんただでは済まない。
 風を切る鈍い音と共に振るわれるそれを、ダイアモンドホープで逸らすようにして弾くと、間髪入れず桜乱舞で撫で斬る。
 斬ると同時にバックステップ。
 無傷の敵による横手からの斬撃を避けきった。

 タスクに敵の注意の一部が向かい、それにより生じた隙を逃さず、【ナノハ・T・アルエクス】が魔術師の箒で上空に浮かび上がる。

(敵の配置は――)
 上空からの視認で、より広範囲を索敵。
「襲われてる村の人がいるよ! 先に行くから援軍お願い!」
 魔術師の箒で上空を飛び、自分自身を目印にして皆に情報伝達。
 同時に、仲間が来てくれる時間を稼ぐために、率先して攻撃する。
「攻撃するから今の内に逃げて!」
 襲われている村人達に呼び掛けながら、ファイニンの照準をつけ、光属性に変換した魔力弾を撃ち出す。
「見えた! そこぉっ!!」
 狙い済ませた一撃は、敵の頭部に命中。
 ぐらりと敵はよろめくが、傷など無視して動こうとする。
 それがナノハの憤りに繋がった。
(聞いてた通り、あの蟲に操られてるんだ)
 事前に、今回の敵の情報を仲間から聞いていたナノハは、姿を見せない黒幕に怒りを抱く。
(あの蟲といい、仮面といい、誰かを操るあのやり方は不快だ!)
 誰かを犠牲にし、自分は安全な場所で犠牲を強いるやり方を見過ごすことはできない。
(悪い奴等の好きにはさせない!)
 一刻も早く村人達を助けるためにも、ナノハは魔力を惜しむことなくトライショットを使い、敵を纏めて撃ち抜いた。

 ナノハの積極的な攻勢のお蔭で、村人は逃げ出すことが出来る。
 それを敵は追い駆けようとするが、駆けつけてきた【エリカ・エルオンタリエ】が立ちはだかった。

「これ以上は進ませない」
 エリカは敵の進行上に立ちはだかると、超炸裂の種を投げつける。
 敵は、以前の戦闘で学んだのか、投げつけられた超炸裂の種から避けるように距離を取ろうとしたが、エリカの追撃がそれを許さない。
 手にしたエーデンユートに魔力を込めると、スプリーム・クラッシュを発動。
 先に投げつけた超炸裂の種を目掛け、渦巻く魔力の奔流が突き刺さる。
 同時に、大爆発。
 爆発する前に避けようとしていた敵は、もろに爆発の威力を食らった。
 敵の戦線が崩れる。
 だがエリカは油断なく、攻撃を重ねていく。
 それには、彼女の決意が込められていた。
(これ以上失敗は重ねられない)
 火の霊玉を確保できなかった時のことが、どうしても心に残っている。
 同じ轍を踏まないためにも、全力を惜しみなく出して行く。

 上空のナノハとも連携し、敵を倒していく。
 だが敵の数は多い。
 押されそうになるが、それでも立ち向かっていると、無数の光の矢が敵を撃ち据えた。

(誰!?)
 エリカが光の矢が放たれた方向に視線を向けると、そこにいたのはアークライトの一団。
(敵――じゃない?)
 伏兵や敵の増援も考え、危険を察知する感覚を鋭くしていたエリカだったが、新たに現れた一団には危機感を抱かない。
 それはアークライト達の動きを見ていたことも理由のひとつだ。
 敵を積極的に倒すと同時に、村人達の安全を第一にするように動いているのが見てとれる。
(どこの誰なのか確認しないと)
 エリカが状況把握のために駆け寄ると、それより早く、ナノハが飛んで近付く。
「こんにちは! 僕はフトゥールムスクエア勇者候補生ナノハ・T・アルエクスだよ。仲間と一緒に、村の人達を助けに来てるんだ。君達は、誰なのかな?」
 敵に魔力弾を撃ち込みながら呼び掛けるナノハに、指揮者らしい青年が応える。
「私は【アルバ】。我々は、学園に変わって霊玉の管理を求める者の集まりだ。村人は我々で助ける。余計な手出しは無用」
 手短に返しながら敵に光の矢を放っていくと、ナノハやエリカ達を後方に下がらせるようにして、自分達は積極的に前に出る。
「前に出過ぎだよ!」
 ナノハは、攻撃しながら警告する。
 アークライトの一団は、自身の安全を無視するような勢いで戦っていた。
 しかもどういう訳か、敵はアークライトの一団を見つけると、そちらに集中するように向かって来る。
(あの人達、何か功を焦ってる?)
 ナノハは上空から俯瞰するように見ながら、冷静に判断する。
(う~ん、ちょっと危ういかも……優位だからと慢心してたら特にね)
 無謀と言えるアークライトの戦い方を見て、ナノハは援護するように攻撃していく。
(あっちに協力する気がなくても、こっちが助けない理由にはならないからね)
 ナノハと同じように、エリカも援護するように戦う。
「ゴブリンは死体を操られているだけ! 光属性の攻撃か、聖水を使うと効果的よ!」
 枯渇する魔力を魔気変換で回復させながら、エリカは今までの戦いで得た情報を伝える。だが――
「助けは不要だ」
 アルバは仲間を指揮しながらエリカに返す。
「そちらと敵対する気は無いが、我らは競い合う相手だ」
「それでも!」
 エリカは、アルバの背後から忍び寄っていた敵にスプリーム・クラッシュを叩きつけながら言った。
「村の人達を守るためにも、今は助け合うべきよ!」
(魔王軍に立ち向かうためにも、力を合わせなきゃいけないのに)
 歯噛みするような想いを見せるエリカに、アルバは光の矢を放つ。
 それはエリカの背後から忍び寄ろうとした敵を撃ち抜いた。
「……村人の救助は行う。そちらは退け。戦うのは、我らだけでいい」
 敵対はしないが拒絶するアークライト達に、それでも援護するようにして戦って行くエリカとナノハ。

 同じように、タスクも戦っている。

「ああ、良かった! ともに戦いましょう!」
 戦いに加わったアークライトを味方と判断したタスクは声を掛ける。だが――
「戦わなくて良い。この場は私達が戦う。貴方は怪我をする前に退くべきだ」
 アークライト達は共闘を拒絶。
 代わりに、自身の身体を的にするような勢いで前に出て戦っていく。
 それを見ていたタスクは――
「危ない!」
 死角から近付いた敵の攻撃からアークライトを守る様にして前に出る。
「何をしている!」
「一緒に戦った方が強いです!」
 アークライトの守りに就きながら、タスクは言った。
「そちらに都合があるのは分かりました。でも今は村の人達を助けるのが先です」
 信念を告げるように応えるタスクに、アークライト達は苦い物を飲み込むようにして戦い続ける。
 その中で、タスクは逃げ遅れた村人を見つけ駆け寄った。
「大丈夫ですか? フトゥールムスクエアです。僕たちが守りますのでご安心を」
 その場その場で最善をしようとするタスクに、アークライトの一団は、そちらに敵が近付かないよう戦っていた。

 アークライトの一団が加わることで混迷するかに思われたが、学園生達が『敵対』ではなく『協調』を選んだことで、逆に敵の殲滅に勢いが乗り始めている。
 エリカやナノハ、そしてタスクは援護をしながらも、より多く敵を倒していた。
 それは今まで課題をこなしてきた経験が生きている。
 もちろん、村人の救助と誘導に動いていたB班も変わらなかった。

●B班救助誘導
「またあの蟲ですね……許せません!」
 何度か戦ったことのある【シオン・ミカグラ】は憤りを見せながら、村人の安全を第一に動いていく。
 オクタルヴァに魔力を装填しながら、目指すは村の家屋。
 疾走しながら、移動の邪魔になる敵にはバレットリロードを叩き込んでいく。
 ただし、追撃は掛けない。
 シオンの役割は、あくまでも村人の救助。
 敵の掃討は仲間に託し、自身の役割を果たしていく。
(家の中に、逃げ遅れた人達が)
 ぴんっ、と聞き耳を立てていたシオンは、家屋の中から聞こえてくる悲鳴に気付く。
 迷わず駆け寄る。
 数体の敵が、手にした武器で扉をこじ開けようとしているのを確認し、オクタルヴァに全力で魔力を込める。
(距離がある。なら――)
 疾走しながら、オクタルヴァを構える。
 精神集中。
 標的だけに意識を向け、スナイプショットで精密狙撃。
 目を撃ち抜かれ、敵は怒声を上げシオンに突進してくる。
 しかしそれは、シオンの狙い通り。
 集団で固まって襲い掛かって来るなら――
「望む所です」
 オクタルヴァに魔力を最大装填し、トライショット。
 流星の如き煌めきを伴って、無数の魔力弾を連続射撃。
 真正面から突っ込んできた敵を蜂の巣にした。
 撃ち倒した敵を駆け抜け、家屋の中に居る村人に声を掛ける。
「フトゥールムスクエアから来ました! 避難誘導しますので、連いて来て下さい!」
 シオンが呼び掛けると、怯えながら出てきた村人を安全な場所に誘導していった。

 逃げ遅れた村人達を、学園生達は次々に救助していく。

「悪いことしちゃ、ダメなんだからね!」
 村人にたかる敵に向かって、【ヒナ・ジム】は花残の斧・改を掲げ突進する。
 敵はヒナを邪魔と思ったのか、数体がまとめて襲い掛かってきた。
 けれどヒナは怯むことなく、むしろ突進の勢いを増す。
 距離を詰めると、花残の斧・改を横一文字に大きく振り抜く。
 敵の1体を斬り裂くが、無傷の敵が横手から切り掛かる。
 それをヒナは、ダイアモンドホープで弾くように逸らす。
 兄であるタスクの動きを模倣したそれは、タスクほどの巧さは無かったが、敵の一撃を殺し切る。
 そこから間髪入れず反撃の一閃。
 勇者之斬による振り降ろしで、敵を打ち倒した。
 倒すとすぐに、襲われていた村人の元に駆け寄り声を掛ける。
「よしよし。もうだいじょうぶだよ!」
 傷付いた大人と、大人に守られていた子供、どちら共の頭を撫でる。
「学園から来たの。もうだいじょうぶ!」
 ヒナの言葉に、村人に安堵の表情が浮かんだ。
「ひなんして。ちゃんと守るから」
 子供であるヒナに言われ、大人は済まなそうな表情を見たが、自分の子供達の安全のため避難場所に走り出す。
 そうはさせじと敵が集まって来るが、ヒナが壁になるように立ちはだかった。
「これ以上、進ませないんだから!」
 ヒナが迎え撃とうとすると、敵に向け無数の光の矢が飛んで来た。
「……下がりなさい。まだ貴女は、アークライトの使命を果たすには幼すぎる」
 光の矢を放ったアークライトの一団は、同じアークライトのヒナを見て苦悩するように言った。
 けれどヒナは、元気一杯に応えた。
「村の人たちを助けにきたの? ならいっしょに助けよう!」
 カバーリングに入るヒナに、アークライトの一団は、逆に守る様にして戦っていた。

 戦闘に参加するアークライトの一団を、シキアは油断なく観察している。

(敵、じゃないみたいだけど)
 学園生達を後ろに下げるようにして、積極的に前に出るアークライト達の動きを見て、シキアは判断する。
(勇敢なのは良いけど、無茶な戦い方してるな)
 自分の事など知らぬと言わんばかりに、前に出て戦うアークライト達に、シキアは声を掛ける。
「光属性の攻撃が有効だよ。あと、聖水にも弱いから」
 シキアの言葉に、その場のリーダー格らしい女性のアークライトが応える。
「助言は感謝します。ですが、これ以上は不要です。この村は我らで守ります。貴方達は怪我をせぬよう、下がっていて下さい」
 拒絶を示したが、それ自体をシキアは何とも思わない。むしろ――
(随分と思い詰めてるな)
 殉教者。
 そんな言葉が思い浮かんでくる。
(余裕が無いよね。まぁ、そっちは向こうの都合だからいいけど、気になるのは――)
 敵の動きを見ていてシキアは疑問に思う。
(考え無しに突っ込み過ぎじゃない?)
 学園生達に向かって来る時に比べ、動きが単調で読み易い。
(そもそも光属性に弱いくせに……あっ)
 相性の悪い相手に、倒され易いように近付く敵。
「……あっちは、違うね」
 アークライトの一団を見てシキアは判断する。
(小細工できるタイプに見えない。なら――)
 思いついた考えを確かめるように、シキアはアークライトの一団を誘導する。
「村の人達は任せるよ。あっちの家に隠れてたみたいだから、助けに行ってくれる?」
 シキアの言葉に、アークライトの一団は村人達の救出のために向かい、それを追い駆けるようにして、敵の一団が向かおうとした。そこに――
『お前は残れよ』
 シキアは、アークライト達に聞こえない音量で、シスイノシで敵の1体に呼び掛けた。
(聞こえる所で使うと揚げ足とられるの嫌だし、あーほんっと面倒くさい!)
 うんざりしつつも、敵を絡め取る様にシスイノシで呼び掛け続ける。
『お前もしつこいね!』
 プチコードを叩き込みながら呼び掛けるが、敵は知らぬとばかりに反応が無い。
『無視? つれないな』
 攻撃しながら煽るように呼び掛け続け、敵は少しずつ体をぷるぷる振るわせる。
『言葉忘れちゃった? 頭悪そうだもんね、お前』
(何かぼろっと情報落とさないかな、こいつ)
 僅かでも得られる物があれば儲け物とばかりに、煽り続ける。
『何か隠したいことでもあるの? あ、ごめん。そういうところまで頭回らないよね』
「うるせえぇぇぇぇぇっ!!」
 繰り返し攻撃されながら煽られ、敵はキレた。
「てめえぇぇぇっ!! 何度も何度も呪言使ってんじゃねぇ!! 耳障りなんだよ!!」
 怒声を上げると、数体の敵が近寄ってきて、内側から弾ける。
 弾けた内側からは、おびただしいほどの蟲が溢れ、シキアに怒声を浴びせる敵に集まり、巨大な人型を作った。
「テメェで何使ってるか分かってねぇガキが、調子こいてんじゃねぇぞ!」
「そんなに凄い物なの?」
 シキアは、巨人と化した敵の腕の一振りを躱しながら、仲間が来てくれる時間を稼ぐ。
「頭は悪そうなのに、物知りなんだね」
「テメェ、バカにしてんじゃねぇぞコラ!」
 巨腕を振り回しながら敵は言った。
「創造言語(ロゴス)から派生した支配言語(パトス)に連なる呪言だぞ! 呪詛師の魔族かテメェ!」
「そうなの? どうでもいいけど」
 にっこり笑顔で応えるシキアに、敵は怒りで我を忘れ殴りかかろうとし――
「たあああああっ!」
 駆けつけてきたヒナに、腕を真っ二つに切り裂かれた。
「誰も傷付けさせないんだから!」
 勇気を奮い切り掛かるヒナに、敵は反撃しようとしたが、一瞬動きが止まる。
「アークライト? って、学園の奴じゃねぇか!」
 舌打ちするような間を空けて、ヒナに殴り掛かろうとするが――
「がああっ!」
 頭部に当たる場所を、光属性に変換された魔力弾が撃ち抜く。
 それはシオンによる狙撃。
「クソがあぁぁっ! どいつもこいつも!」
 遠距離攻撃されるのを嫌ったのか、敵はシオンに突撃する。
 それをシオンは迎え撃つ。
 スナイプショットで的確に命中させながら、敵の攻撃を回避する。
「避けてんじゃねぇ!」
 憎々しげに、シオンを見詰めながら怒声をあげる。
「ムカつく。ムカつくんだよテメェ。特にその目!」
 そこまで言うと、僅かに疑問を滲ませた。
「……テメェ、なんだ? その目、どこかで見たぞ」
「何を言って――」
 シオンは聞き返そうとしたが、その時には学園生と、アークライト達まで集まって来て敵を一斉攻撃。
「――くっ、そがあぁぁぁっ!」
 耐えきれなかった敵は、蒸発するように消えていった。

 戦い終わり、村人達のケアを学園生達はしていく。

「皆さんが無事でよかった、助けを求められれば答えるのが、学園だからね」
 シキアが音楽や踊りも使い、村人達を慰撫する。
 落ち着いた所で、タスクやヒナが、今後のことを案内した。
「近くの村で一時的に避難して貰えるよう手配してます。それに――」
「あとで学園から、ごはんとか色々持って来てくれるよ」
 村人達のケアをしながら、アークライトの一団とも話をする。
「魔王軍と戦うためにも、協力していくべきです」
 エリカは説得しようとするが、アークライト達は頑なに断った。
「魔王は、我々が倒さなければならない。それが我々の使命だ」
「それじゃダメだよ」
 諭すようにナノハは言った。
「魔王の脅威と戦うには、歴前の勇者達がしてきたように皆の協力が不可欠なんだ」
(ディンスのような独善的な正義じゃダメなのに)
 懸命に呼び掛けるが、それでもアークライト達の意思は頑なだった。

 話し合いは決裂し、村人達を近隣の村に誘導する。
 その道のりの中で――

「……テメェ、なんだ? その目、どこかで見たぞ」

(あれは、どういう……)
 敵が口にした言葉に、胸をざわめかせるシオンだった。



課題評価
課題経験:0
課題報酬:0
【天遣】rivalizar - 始動篇
執筆:春夏秋冬 GM


《【天遣】rivalizar - 始動篇》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2021-09-30 00:01:41
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 2) 2021-09-30 05:03:03
勇者・英雄コースのタスク・ジムです!
よろしくお願いいたします。

蟲との戦いだけでも厄介なところに、
ライバルパーティとの手柄争いが加わる、といった感じですね。

出し抜かれる、という状態をいかに防ぐかが重要な気がします。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 3) 2021-10-01 22:19:24
現状では、わたしたちはアークライトの一団を援軍と見てしまうでしょうね。
それでも出し抜かれないようにするなら、せいぜい手を抜かずに全力で
目の前の蟲の撃破を最大効率で行うことぐらいかしら?

自分たちの功績のためにアークライトの邪魔をするというのも
勇者の学園としては違うと思うものね……


《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 4) 2021-10-02 00:12:54
「何故か敵は、PC達よりもアークライト達を優先して襲い掛かろうとします。」

ここ、気になりますよね。
悪魔に魂を売ったようなことを言えば、アークライトさんたちを餌に
僕たちがノーダメージまたは軽微な損傷で成果を上げられる可能性があるわけです。

でも、そんな行動こそ、学園の沽券に関わっちゃいますよね?

そこで、敢えて逆に考えて、僕は壁役として、
アークライトさん含めた全員を守るよう動いたらどうかな、と思います。

部長さんのおっしゃるとおり、現状僕たちは一団を援軍として見てしまいます。
パーティ全員を守るのは壁役として普通の行動で、いつもと変わりありません。

一団の行動は「協力はしません。むしろ出し抜こうとします」
戦闘に一緒に参加するからには、出し抜く出し抜かれるというよりは、
むしろダメージの比べ合いによる手柄争いの方が想定しやすく、
それならば、こちらは素直に全力をだすだけです。
相手が邪魔さえしてこなければ、どうということはないと思います。

また、アークライトも守ったという事実も、最終的に学園側のメンツを保つのに役立つのではないかと思います。
そういうわけで、僕はいつも通り壁役をやりながら、
前回猛威を振るった必殺聖水剣(笑)で、攻撃も頑張ります!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 5) 2021-10-02 00:45:06
いっそ、アークライトに敵の特性を教えるというのはどうかしら?
向こうも蟲との交戦経験があって「知ってる」というのなら、それでいいけど
知らずにいて、こちらが教えることで利となれば、
アークライトが蟲に圧勝できても、「わたしたちが教えてあげたから」にならないかしらね?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 6) 2021-10-02 05:24:34
それいいですね!
カバーリングと情報提供!
僕たちは「知らずに」アークライトに利する行動を取り、
学園生の懐の深さを証明出来ますね!
(まあ、「知らない」僕たちに取っては、作戦成功のために当然の行動ではありますが)

《イマジネイター》 ナノハ・T・アルエクス (No 7) 2021-10-03 16:47:36
賢者・導師コースのイマジネイター、ナノハ・T・アルエクスだよ♪
よろしくね。

僕はゴブリンを銃撃で倒していくよ。
ファイニンなら追加魔力で光属性の弾を撃っていけるから、それメインで立ち回るよ。

情報提供したりカバーやフォローしたりするのは僕も賛成だよ。
あっちが協力する気がなくても、こっちが協力しない理由にはならないね。
ただ、こっちも結果を出さないとだよね。

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 8) 2021-10-03 21:51:19
芸能コースのシキア、今回もよろしくね

とりあえず、皆の考えには大体同意するよ
いいんじゃない?俺達は正式に依頼を受けてきたんだから、どこぞの人達と違って
あとは…そうだな
向こうの方が狙われやすいなら、横から攻撃もしやすいよね
それに家にいるとはいえ、村人達のことも少し気がかりだし…
出し抜こうとしてるんだ、こっちだってそれなりに利用してやろうじゃないか

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 9) 2021-10-04 00:18:45
ナノハさん、シキアさん、よろしくお願いいたします!
これで5人、だいぶ安心な戦力になってきましたね!

村人さんたちの心配は同感です。
シキアさんもご指摘「家で怯えてる」記載の他、
人的被害などの記載がプロローグにはありませんが
…ないとも限らないと仮定すれば、治療や避難誘導の検討も必要になってきますね。

また、みんな家に閉じ籠ってると仮定しても、別の心配がありまして。
百人程度の村が、すでに襲撃されている、ということは、
戦場は一ヵ所とは限らず、バラけている可能性があるわけです。

例えば、僕たちが一ヵ所で釘付けの間にアークライトの一団が2も3も処理してたり、
実はボスがいて、その首級を上げられてしまったり。
出し抜かれる、というのは、そういう状態なのではないかと。

そうすると、例えば、手分けして索敵・撃破を効率的にするとか、
逆に、戦力集中で最速撃破を前提に、フルメンバーのまま動くとか、
索敵・戦闘に関する指針を固めておく必要がありそうですね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2021-10-04 23:33:44
【提案】
色々考えましたが、今回は人数的(フルメンバーでも8ではなく6)、
戦場は村であり、室内や市街ではなく野外に近い、ということから、
基本は班分け等せず、全員固まって動く、ということでよいでしょうか?

もしそれでよければ、タスクが壁、皆さんは壁の後ろから遠距離攻撃、
という動きを基本とすることで良いでしょうか?

《光と駆ける天狐》 シオン・ミカグラ (No 11) 2021-10-04 23:40:14
すみません、挨拶が遅くなりました……!
教祖・導師コースのシオン・ミカグラです。よろしくお願いします!

そうですね……弱点も判明している以上、分かれて行動するのがいいような気もします。
これは人命優先の方針で動く場合で、火力で敵の討伐数を競うのであればかたまって動くのもまた一つの手ではあると思います。
……私としては、村の方々を守りたいなと。

それと、やはり救出した方々に証人となってもらえれば功績としては最もわかりやすく効果的かと思います。
安心させるためとプランには組み込んで、フトゥールム・スクエアから来た生徒であることを村人に呼び掛けていく予定です。

戦闘では私も光に属性変更して攻撃です。
遠くの敵も、スナイプショットなら対処も可能でしょうか。

《新入生》 ヒナ・ジム (No 12) 2021-10-05 06:31:32
ヒナもそーおもう!!

ヒナもおてつだいするから、むらのみんなをたすけようっ!!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 13) 2021-10-05 06:48:30
【提案変更】
確かに、人命の危機で一刻の猶予もない以上、手分けした方がいいかもしれませんね。

ご意見いただきましたので、提案を変更します。
2つの班、便宜上A班とB班に分かれ、それぞれ救出と撃破を目指しましょう!

班単位の役割分担は、今回は考えていません。
戦闘・掃討、避難誘導・

班分けの基準として、壁役の僕(タスク)と妹(ヒナ)、
光属性攻撃手段があるナノハさんとシオンさんは分かれた方がいいと思います。
また、蟲との戦闘経験がある方がいない状態は避けたいですね。
(会議室でこうして情報共有がはかられているので、最優先事項ではないですが)
エリカ部長さんとシキアさんについてはお任せしますが、上記基準により3・3の同数に分かれることが理想です。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 14) 2021-10-05 06:54:40
(途中で発言ボタンを押してしまいました。すみません。続けます。)

【班編成】
便宜上、以下のように班編成を出来たらと思いますので、良かったら、意思表示いただけると助かります。

意思表示が偏った場合などは、発言順(早い者勝ち)を基準に調整させていただく場合がございます。

意思表示がなかった場合は、夕方を目途にこちらで編成案を組ませていただきますので、ご了承ください。

<編成案>
A班:タスク(壁役・蟲遭遇あり・Lv29) あと2名募集!
B班:ヒナ(壁役・蟲遭遇なし・Lv7) あと2名募集!


《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 15) 2021-10-05 07:00:50
<班編成・備考>

班単位の役割分担は、今回は考えていません。
戦闘・掃討、避難誘導・村人のケア等、各班において臨機応変に対応していくことになろうかと思います。

そのためには、上記について各自プランに書けるだけ書くことにより、「そういうリザルト」を目指すことになろうかと思います。
なお、思いついた行動は会議室で共有して頂けると大変助かります。
いい行動は真似したいですし、ここで話した結果効果的な連携が取れたらさらに素晴らしいので。

また、レベルのバランスを取ることは一つの基準にはなるかと思いますが、
最優先課題とまでは考えなくていいかな、とも思います。
今回、敵はゴブリン、蟲とはいえ攻略法はある程度確立している、という状況があり、また、この世界(ゲーム)はレベルが全てではないので。

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 16) 2021-10-05 11:50:15
タスクさんまとめありがとう
それぞれがベストを尽くすって感じかな。いいんじゃない?
アレコレ考えるより真っ直ぐで、そっちの方が皆らしいよ。

じゃ、とりあえず俺はB班に行こうかな。蟲との交戦経験はアリだし。
バランス悪ければ移るから、そこは任せといて

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 17) 2021-10-05 12:28:38
ありがとうございます!
そう言っていただけると嬉しいです。

B班表明ありがとうございます。頼りにしています!

《新入生》 ヒナ・ジム (No 18) 2021-10-05 12:54:39
あの、ヒナ、みんなのことはしっかりまもるけど、
こうげきするより、みんなに「にげて」っていったり、おてあてするほうが、
とくいかな。

もちろん、てきがきたら、斧ぶんぶんふりまわしとくから、
ヒナの横から、バンバン撃ってね!!

えーと、ヒナの班は~…ぇえ!?すごいイケメンおにいちゃまがいる!

(はわわ…【スーパーモデル】さんの、シキアさんだあ…
にいにが尊敬してて、クラスのみんながキャーキャー言ってる人だぁ…)

よ、よろしくおねがい、します…(人見知り発動)

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 19) 2021-10-05 13:06:06
ふーむ。確かに、得意分野はそれぞれ。
臨機応変に動ける方がいいけど、傾向くらいはあった方が、手を上げやすいのかな…

それでは、すみません、班分け方針を少し修正します。
A班「戦闘・掃討メイン」、B班「救助・誘導メイン」という方針を立て、
引き続き募集を続けます。

シキアさんは表明いただいた後なのに、すみません。
これを踏まえて変更を表明いただいてももちろんオーケーです。

あくまで「メイン」であって、今回は両班が独立して動く状態にしたいことには変わりありません。
ヒナも戦闘も出来るよう鍛えてますし。
ただ、皆さんの性格やロールプレイ傾向なども加味したところでの判断材料を提供できれば、と思い、このように提案させていただきます。

A班「戦闘・掃討メイン」タスク(壁役)
B班「救助・誘導メイン」ヒナ(壁役)、シキアさん

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 20) 2021-10-05 18:52:27
なお、1点事実誤認がありましたので、お詫びして訂正いたします。
以前、「フルメンバーでも8ではなく6」と発言しましたが、このエピソードの満員は8人でしたね。
恐らく対になってる桂木GM様のとごっちゃになったかと思われます。すみませんでした。

ということで、このエピソードは最大8人まで入るんですね!
ギリギリでも、誰か来てくれると心強いですよね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 21) 2021-10-05 21:26:00
掃討班に行かせてもらうわね。

《イマジネイター》 ナノハ・T・アルエクス (No 22) 2021-10-05 23:06:08
僕も掃討班かな。

僕は箒で空中から索敵して、敵が居たらそのまま空中から射撃していくよ。
後衛と言うよりは遊撃って感じかな。

《光と駆ける天狐》 シオン・ミカグラ (No 23) 2021-10-05 23:50:22
っとと!取り急ぎのお伝えですが、私は救助班で行動します!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 24) 2021-10-05 23:58:47
いよいよ出発ですね!
結果的に班分けバランスは良いようだし、各自全力でプランを書かれたなら、きっとうまくいきます。

妹のヒナともども、ご一緒いただきありがとうございます。

お互いに、どうかご武運を・・・!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 25) 2021-10-05 23:58:58