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未来へ向けて、第一歩


ストーリー Story

●芸能・芸術コース志望【トーマス・マン】。進路を前に、悩む
 トーマスは学園の入学願書を前に考え込んでいた。
 教員【ラビーリャ・シェムエリヤ】からかけられた言葉を思い起こしながら。

『周りの人からもう、それらしいことは聞かされてると思うけど――トーマス、絵かきになりたいなら学園に入学するべきだと、私は思うよ。貴方がカサンドラから受けた教育は、すばらしいものだったと思う。だけどそれは、やっぱり個人のものでしかない。このまま自己流の研鑽を続けて行くだけでは、彼女の亜流になってしまう恐れがある。そうならないようにするには、多種多様な教授から教えを受けなくちゃいけない。加えて絵画以外のことも、たくさん学ばないといけない……貴方の可能性を開くために。カサンドラもそうやって、自分だけの絵を見つけていったんだよ』

 トーマスはもう、『勇者』の卵となることをためらっていない。その理由であった【黒犬】との関係が、おおいに変化したから。
 もとより彼は、正規の教育を受けたいという願望を持っている。読み書き等の基礎的な学力は、保護される前から身につけているのだ。父母が生きていた間、民間の教育施設に通っていたから。
 その父母は常から、息子にこう教えていた。
『トーマス、勉強しないといけないよ。字が読めなかったり、計算が出来なかったりすると、大きくなったとき、自由に仕事を選ぶことが出来なくなる。どんなに真面目に一生懸命働いても、着るものや、住むところや、食べるものに困るなんてことにもなりかねないんだよ』
 親の言い分についてトーマスは、確かにその通りだと思っていた。だから叔父の家に引き取られた際、叔父の『人間真面目に働いていさえすればそれでいいのだ』という教育方針にどうにも納得出来ず、反発と摩擦の悪循環を生むことになったのである。
 ――とにかくトーマスは入学すること自体に、拒否感はない。
 ただ妹【トマシーナ・マン】のことを思うと、ためらいが生じる。
 入学したなら自分は保護施設から出なければいけない。そして、学園の寮に入らなければならない。そうなるとトマシーナは、一人で保護施設での生活を送らなければならなくなる。それが原因で彼女が、体調を崩したりしないだろうか――と。
 なにしろトマシーナはこれまで、トーマスと離れて生活した経験がないのだ。父母の家でも、叔父の家でも、この施設でもずっと一緒。
 寮から施設へ様子見に訪れることは出来るが、それでもやっぱり、同じ屋根の下にいるのとは全然違うだろう。
「施設から学校に通うって、出来ないのかな……」
 本音を言うとトーマス自身、施設から出ることに躊躇いを覚えている。
 なにしろ、もう一年以上もここに住んでいるのだ。半ば『わが家』のようなものである。
 カサンドラが使っていた部屋はすっかり片付けられてしまって、からっぽになってしまったけど――思い出は、別にそこだけにあるわけではない。施設の様々な場所に残っている。彼女の声が、姿が、仕草が。
 ここで遊んだ、勉強した。いいことばかりではなく、いやなこともあった。意見が合わなくて言い争いもした、彼女を困らせた。それらは胸の中で、小さな棘となって残っている。恐らくこれからも、ずっと消えずにあるのだろう。
「……先生に、もっと親切に出来たら、よかったんだけどな……」
 黒犬は施設にいる。タロも。
 彼らに繁く会えなくなるのも、トーマスにとってはやっぱり……寂しい。

●どうしましょうかね
 トーマスから相談を受けた施設関係者と学園運営は、顔つきあわせ話し合っていた。
「僕はトマシーナちゃん、ドリャエモン先生の家に行くのがいいかなーって思います。で、黒犬とタロのどっちかと一緒に。施設の番犬は、一匹だけでもいいですし」
「トーマスくんは、別に施設にいてもいいんじゃないですかね? 現時点で、施設職員見習いという肩書があるんでしょう?」
「いや、でもそれ、施設の趣旨としてはどうですかねえ。あそこはあくまでも、一時的な避難場所です。これから先の長期的な展望が開けて、居場所も見つかったのなら、退所してもらうのが一番いいのでは? 施設にはこれからも、保護を求める人が来るでしょうし」
「トマシーナちゃんも学園入学してもらって、トーマス君と一緒に寮に入るってのはどうでしょう?」
「それは、難しいんじゃないかなあ。トマシーナちゃんはまだ、ええと、3歳か4歳でしょう? 就学するには幼すぎます」
「そうかなあ。似たような年頃の学生、見かけませんか?」
「それはあくまでも外見年齢がそうだっていうだけの話。皆さん本当に幼児ってわけじゃないの」
「この際学園にも幼児コースを作ってみたらいいんじゃないか」
「話が大きくなり過ぎるわよ。そんなことしようものなら、これまでのカリキュラム全面改定しないといけなくなるじゃないの。学園長が許可――したらおおごとだから、その方向で話を進めることは全面反対ね」
「そもそも入学させたところで、寮に一緒には入れないわよ。トーマスくんは男だし、トマシーナちゃんは女だから」
「あー、そういえば男子寮女子寮別々よねえ……うちは」
「そこは柔軟に対応してよくないですか? 兄妹ですよ。一緒にいても全然問題ないでしょう」
「……いや、問題が起きた事例がなんかあったような気がする。百年ほど前に。当時の日誌にそんな意味のような記述があったようななかったような」
「エッ、マジデスカ」
「そんなの特殊中の特殊な例でしょー」
 あれこれあれこれ額突き合わせやり合った末、関係者たちは、選択肢を2つに絞り込む。

1:特例として、このまま兄妹とも施設で生活してもらう。
2:規則通りトーマスは入寮。トマシーナはそのまま施設に残留。もしくは養父である【ドリャエモン】の家に行く。(黒犬またはタロも一緒に)





エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-10-26

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2021-11-05

登場人物 7/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。

解説 Explan


今回は、トーマスの今後について考える回であります。
彼は自分の足で立って、歩けるようになりました。もう保護される対象ではありません。
この先へ進むため、これまでいた場所から離れる。人生には何度となく起きることであります。
ひとまず入学は決定事項として、その周辺にまつわる諸問題をどうするか。
具体的には、住むところ。
このまま施設にいるのか、よそへ移るのか、移るとしてそこはどこなのか。トマシーナについては、犬たちについてはどうするのか。

皆様のご意見をお聞かせくださいませ。

施設関係のNPC(ラビーリャ、アマル、ドリャエモン)は全員話し合いの場に出てきます。

※これまでのエピソードやNPCの詳細について気になる方は、GMページをご確認くださいませ。
そういうものが特に気にならない方は、確認の必要はありません。そのままプランを作成し、提出してください。エピソードの内容に反しない限り判定は、有利にも不利にもなりません。



作者コメント Comment
Kです。
トーマスの人生の初めの一歩。
足場固めは大事です。




個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
2:規則通りトーマスは入寮。トマシーナは養父である【ドリャエモン】の家に行く。(黒犬またはタロも一緒に)
に一票投じる。

施設は避難施設であり、より困っている人々の為のもの。
トーマス君は、これからより強くなり、他人を助けられる人間になるのだから、
今回のことはそうなるために越えなければならない試練だと思って欲しい。
まずは自分一人で立てるようになること。
トマシーナちゃんはドリャエモン先生や私たちが全力でサポートするから、
トーマス君は自分自身を磨くことに全力を尽くして欲しい。

展覧会の準備を頑張った事とカサンドラ賞の受賞を高く評価。
見に来たお客さんの反応も良かったことなどを伝え、自信を持ってもらいたい。

パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
トーマスさんの今後を、より良いと思われる方向にするよう考える

◆トーマスさん
個人的には、トーマスさんは寮に入って、トマシーナさんはドリャエモン先生宅で先生達と一緒に暮らすのがいいと思うわ

ドリャエモン先生宅でトマシーナさんが暮らせば、トーマスさんも会いに行きやすいでしょうしね

タロはドリャエモン先生宅でトマシーナさんと一緒に暮らして、黒犬は施設に残れば、トーマスさんも会いに行きやすい

ついでに、施設の管理をトーマスさんにして貰えば、学業と施設管理見習いの両立もできそうかなと思うの
施設に住むのは難しくても、管理の代価として空室をアトリエとして使わせて貰うとか

色々言うけど……決めるのはトーマスさんよ

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---

「保護される対象ではなくなった方」については
優先度はひくいとわたくしはおもいます。
保護施設は「保護を必要とする方」が最優先でなければなりません。
でも、その優先度は「学園生の居場所の原則」よりもさらにたかいとおもいます。

アマル・カネグラさんが以前に提案なさった「常駐」は
ひとの確保がむずかしいってかんがえざるを得ませんでした。
でもいま、その「ひと」になってくれそうな方がいます。

「戸締まり、点検」、「なにかあったとき、先生のところにはしって知らせてくれる」
これをしていただければ「保護する側のひと」ですから
すごくたすかるとおもいます。
必要なのは「してはいけないこと」の理解でしょうか。

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
未来へ向かって羽ばたこうとしている兄妹の
「最後の」(・・・となりますように!)お困りごと、
張り切って解決いたしましょう!

取り急ぎ、僕の意見は・・・
「1」、ただし、トマシーナちゃんが6歳になるまでの期限付き、です。

以前朱璃さんがおっしゃったように、
トマシーナちゃんは王族・貴族にあこがれているフシがあり、
実際同コースへの才能の片りんがあるようなないような、アリ寄りのアリ!?
そんなわけで、学園に入学したっていいと思うのです。

とはいえ、プロローグでも言及されているように、就学にはあまりに幼い。
そこで、身内を引き合いに出して恐縮ですが、妹のヒナは6歳で入学。
一般的にもこのあたりが適齢でしょう。

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
トマシーナ様についてはドリャエモン先生夫妻の元へ行く方へ一票ですわ

お二人が今までずっと一緒に暮らしてきたこと、トーマス様がまだ幼いトマシーナ様の事を心配している事は充分承知しておりますが、そのような境遇の生徒はお二人だけではないと思いますし、お二人だけ特別措置を取る事は学園におけるトーマス様のお立場に不利になる可能性が高いと思います

それに今はドリャエモン先生夫妻という保護者もおられるのですから。トマシーナ様にとって”親”と過ごす事はきっと大切な事だと私は思います。タロを一緒に連れていけばきっと寂しくないと思いますし、トーマス様がお休みの折りに施設で過ごせばと思います

と、その線で話をしてみますわ

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
トーマスは寮に入り、トマシーナは、タロと一緒にドリャエモン先生のお宅で暮らす


1.学園生は指定の寮に入るのが規則

2.トーマスたちをこのまま住まわせた場合、今後の保護対象者が、住み続けたいと要望した場合、断れなくなる

3.「住居」にしてしまうと、施設の存在が外部に知れやすくなる恐れ

4.トマシーナがいずれ、学園生になるにしても、もう少し、大きくなってからが良い

5.タロよりも、黒犬のほうが番犬としての能力が高い。施設にいれば、学園に通いながらでも、トーマスが世話できる

6.休みの日にしかお兄さんに会えないのは、寂しいかもしれないが、タロがいれば、少しは和らぐはず

基本的には本人たちの決断を尊重する




アドリブA

ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:82 = 55全体 + 27個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
トーマスさんとトマシーナさん、保護施設の進むべき道を決める
そのための相談

◆冴えてないかもしれない案
じゃあ、ドリャエモン夫妻が住み込みで施設管理して、トマシーナさんも施設に住んで、トーマスさんは寮に入るという選択肢を新たに設けようかな……
こうすれば、日中も大人が常駐することになるので、管理面でもメリットは多いと思います

トーマスさんも施設に残る選択肢もあるでしょうが……管理者と関係者で4人分の部屋を使うのは、施設の性質上、考えものですしね

仮に、ドリャエモン先生達に保護施設に住み込んで貰う場合は、黒犬は学食の裏の番犬になって貰ってもいいかも
学食なら、トーマスさんも頻繁に黒犬と会えますからね


リザルト Result

●議事の前の一幕
 【アルフィオーネ・ブランエトワル】は保護施設にやってきた――久しぶりに。このところ別件が忙しく、なかなか当地へ足を運べなかったのだ。
 施設についた彼女はまず、今やただの番犬となった【黒犬】の様子を見に行った。
「ああ、いたいた。久しぶりね、黒犬」
 黒犬はアルフィオーネに『誰だこいつ』といった目を向ける。とはいえ、吠えはしない。唸りも。
 往時の横暴さを考えれば、何ともお行儀のいいこと。思いながら彼女は、相手の頭を撫でる。
「ふぅん。話には聞いていたけど……随分、大人しくなったわね」
 そうして少し離れた場所に座っている、老いたパピヨンの雄犬――彼女がサーブル城で保護した、もと黒犬の手下――に呼びかける。
「おいで、ローラン。この分ならあなたが近づいても、大丈夫そうだから」
 ローランは飾り毛のついた耳と尾をぱたぱたさせ、もとボスの黒犬に挨拶した。
 黒犬はゆっくり尻尾を振り、それに答える。
 穏やかな再会となったことを、アルフィオーネは喜んだ。
 
 これから当施設では、トーマスとトマシーナを今後どうするかについて、話し合いが行われる。彼女含む施設関係者と、学園の運営委員を交えて。


●話し合いの議事録
 喧々諤々の議論を重ねた結果、トーマスとトマシーナの今後の処遇についの選択肢は、以下の二つに絞り込まれた。

1:特例として、このまま兄妹とも施設で生活してもらう。
2:規則通りトーマスは入寮。トマシーナはそのまま施設に残留。もしくは養父である【ドリャエモン】の家に行く。(黒犬またはタロも一緒に)

 1の方針に賛意を示したのは【タスク・ジム】である。
「ただし、トマシーナちゃんが6歳になるまでの期限付き、です。身内を引き合いに出して恐縮ですが、僕の妹のヒナは6歳で入学しました。一般的にもこのあたりが就学の適齢でしょう。前朱璃さんがおっしゃったように、トマシーナちゃんは王族・貴族にあこがれているフシがあり、実際同コースへの才能の片りんがあるようなないような、いやむしろ、アリ寄りのアリではないかと!」
 力強く言い切るタスクに【ラビーリャ・シェムエリヤ】は、平静な口調で聞いた。
「……才能があるっていう根拠は?」
 すかさず【朱璃・拝】が、タスクの言説の根拠を示す。
「まず何よりも、本人に並々ならぬ大望がおありなのですわ、ラビーリャ先生。実は私たち、前もってお二人に進路についてのご希望を承りましたの。その際トマシーナ様は、将来の夢について、文章にしたためてくださいました――このように」
 彼女は丸め持っていた画用紙を広げる。
 そこには子供らしいクレヨンの筆跡で、こう書いてあった。
「わたし、ふんすいとおはなばたけがたくさんあるおおきなおしろほしいの。せいだいにぶとうかいするの。そしていちばんいけてるおうじさまをみつけてつかまえるの。おうじさまをねらうほかのおひめさまがいたらかぼちゃのばしゃでけちらすの」
 ラビーリャは一拍置いてタスクの顔を見た。
「……確かにこれはかなりの素質がありそうだね」
 タスクは間髪いれず『でしょう!』と合いの手を打つ。
「就学年齢までお兄ちゃんと過ごし、その間に、それぞれ寮暮らしになってもさみしくない強い精神を養う。この方向でいいんじゃないかと僕は思います。トーマス君には、施設にいる間、学園の勉強をしながら、施設見習の仕事もしっかり果たしてもらって……僕は、今後とも可能な限り、二人をサポートする所存です」
 タスクの発言が一通り終わったところで、朱璃が、改めて口を開く。
 彼女は2の方針に賛成の立場だ。
 兄妹が今までずっと一緒に暮らしてきたこと、トーマスがまだ幼い妹を心配している事は充分承知している。
 しかし、そのような境遇の生徒は、他にもたくさんいると思うのだ。ここで特別措置を受ける事によって、後々学園内におけるトーマスの立場が危うくならないか?――と彼女は危惧するのである。
「特別扱いというものは、他者の妬みや僻みを生み出しやすいものですから……ドリャエモン先生並びに奥様という保護者がおられるのです。トマシーナ様にとって”親”と過ごす事はきっと大切な事だと私は思います。タロを一緒に連れていけば寂しくないと思いますし……トーマス様がお休みの折施設で過ごせば、更に寂しくないのではないかと」
 【エリカ・エルオンタリエ】も2の方針を押す。
「施設は避難施設であり、より困っている人々の為のものです。トーマス君は、これからより強くなり、他人を助けられる人間になる。まずは自分一人で立てるようになることを目指してほしい。私はそう思っています。今回のことはそのために越えなければならない、試練だとも」
 続いて【パーシア・セントレジャー】が意見を述べた。彼女も2の方針を支持している。
「学園や学友に早く馴染んで貰うためにも、トーマスさんは寮に入った方がいいわ。トマシーナさんはドリャエモン先生宅で先生達と一緒に暮らしてもらうのがいい。小さい子が日中ほったらかしはまずいし、保護者が居た方がいいから。その際はタロも一緒にね。そしたら、エリカさんが言うとおり、トマシーナちゃんも寂しくないと思うから」
 加えて妹が義父の家にいるなら、トーマスも会いに行きやすい。そう付け加えた上でパーシアは、このように締めくくった。
「ついでに施設の管理をトーマスさんにして貰えば……学業と保護施設職員見習いの両立も出来そうかなと思うの。住むのは難しくても、空室をアトリエとして使わせて貰うとかいう形をとれば、無理なくやれるんじゃないかなって。後は、施設に残る黒犬の世話を請け負うとか……」
 彼女はトーマスに今持っている『保護施設職員見習い』と言う肩書を放棄して欲しくなかった。敢えて口には出さないが、もし、彼が絵で大成できなかったり、事情で諦めざるを得ない場合でも、手に職をつけられる余地を残しておきたかったのだ。
 そこで【アマル・カネグラ】が、ずっと沈黙している【レーネ・ブリーズ】に水を向ける。
「レーネさんは、どう考えますか?」
 レーネは息を吸い、とうとうと己の意見を述べる。
 それは、1の方針の発展バージョンと言うべきものだった。
「『保護される対象ではなくなった方』については優先度はひくいとわたくしはおもいます。保護施設は『保護を必要とする方』が最優先でなければなりません――でも、その優先度は『学園生の居場所の原則』よりもさらにたかいとおもいます。アマル・カネグラさんが以前に提案なさった『常駐』はひとの確保がむずかしいってかんがえざるを得ませんでした。でもいま、その『ひと』になってくれそうな方がいます。『戸締まり、点検』、『なにかあったとき、先生のところにはしって知らせてくれる』これをしていただければ『保護する側のひと』ですから、すごくたすかるとおもいます」
 ラビーリャは腕を組んで考え込んだ。そして、反論を述べた。
「……トーマスくんは、まだ子供だよ。常駐職員として働くのは、早すぎると思う。問題が起きたとき、彼だけで対処するのは、難しいよ……一例だけど……保護を求めてきた人の関係者が、その人を連れ戻そうとしてここへやってきたとしたら、どうする? もちろん施設では引き渡さない規則になっているけど、それを説明しても聞かず、脅すとか暴れるとかし始めたら?」
 アマルが手を挙げる。
「はあい、それなら結界を作動させればいいんじゃないかと思います。なら、その人施設の中に入ってこられないでしょう? そうやって時間を稼いでいる間にトーマスくんが、学園の先生方に連絡する。こうすれば、ばっちりなんじゃないでしょうか」
 ラビーリャはその言葉に、ゆっくり首を振った。
「……あの結界はね、基本人間相手を想定してないんだ……もともと魔物の侵入を想定して、作ったものだからね……強すぎる。ごく普通の人間が引っ掛かったら、間違いなく怪我をする。だから、使えない。いや、使っちゃいけないんだ」
 アルフィオーネが咳払いした。
 ラビーリャに引き続き、トーマス常駐職員案への反対意見を述べる。
「学園生は指定の寮に入るのが規則。特例を作るべきではないと思うわ。そんなことをしたら、今後の保護対象者が住み続けたいと要望した場合、断れなくなるでしょう? 『住居』にしてしまうと、施設の存在が外部に知れやすくなる恐れもある……私は、トーマスにもトマシーナにも、いったん施設から離れてもらうべきだと思う」
 レーネはそれらの意見に、再度異論を唱えることはしなかった。ただ、静かにこう言っただけだ。
「もちろん、全てご本人の希望次第ではあります。わたくしはあくまでも学園生の一人です。わたくしの意見が運営委員会の方々のご判断を越えることはありません」
 運営委員会の面々は難しげに顔を見合わせる。
 そこで【ベイキ・ミューズフェス】が、意見を述べた。
 その内容は、1、2の方針とレーネの意見を足して割ったようなものだった。
「あの……それじゃあ、ドリャエモン先生と奥様が、常駐管理人として施設に住まわれるというのはいかがでしょう? そうした上でトマシーナさんも施設に住めば、一石二鳥ではないですか? で、トーマスさんは寮に入ってもらうという……管理者と関係者で4人分の部屋を使うのは、施設の性質上、考えものですし」
 自分にお鉢が回ってくると思っていなかった【ドリャエモン】は、目を丸くする。
「わしが、施設に移るのかの?」
「はい。そうすれば、日中も大人が常駐することになるので、管理面でもメリットは多いと思います。ドリャエモン先生は大人ですし、教員としての権限、豊富な経験を持っていらっしゃいます。問題が起きたとしても、スムーズに対処出来るものかと……」
 次いで彼女は、個人的な願望をちらりと挟みこむ。
「仮にそうしていただける場合は、黒犬は学食の裏の番犬になって貰ってもいいかな、と……学食なら、トーマスさんも頻繁に会えますし……実は最近、学食の裏に食事を棄てる不届き者が居るようですし……見つけて足腰ガクガクになるまでお仕置きしないといけないかな、なんて……」
 ラビーリャは腕組みしまた考え込む。ドリャエモンに意見を求める。
「……先生はどう思われますか? 今の案」
「わしとしては構わぬぞ? 今の住まいは仮住まい、学園教員宿舎じゃしのう。学園内なら、どこに転居しても問題はない」
「奥様は、ご承知されますか?」
「恐らく承知してくれるものと思う……ひとまずわしは、そうすることで問題ない。トーマスもだが、トマシーナもこれから色々学んで行かねばならぬ。そのために心が安定する状態を作ってやるのは、親としての大事な務めだからのう」

●兄妹への報告
 トマシーナはタロの頭を撫でながら、しょんぼりと言った。
「たろ、もしかしたらわたしとにいたん、このしせつとおわかれかもしれないの」
 タロはトマシーナの不安を雰囲気で感じ取る。ふいふい泣くように鼻を鳴らす。
「だいじょうぶよ、あなたもおじいちゃんちへいくことになるから。しせつにはまいにちおさんぽにこられるのよ。にいたんもりょうにはいっても、おさんぽしてくれるのよ」
 トマシーナはぎゅうっとタロの首に手を回し、抱き締めた。
 そうして、もう一匹の番犬、黒犬に話しかけた。
「ねえ、くろいぬ。とてもざんねんなのだけど、あなたはおじいちゃんちにつれていけないみたいなの。にいたんねえたんたちは、あなたにここにいてもらたいんだって。ひとりでおるすばんするの、しんぼうできる?」
 黒犬は大きな口で欠伸した。
 トマシーナやトーマスと離れるかもしれないということについて、特に不安を覚えていないようだ。
 実のところ彼、ここにいる人間の誰も、自分の主人と認めていないのである。お山の大将俺一人、この縄張りは俺のもの、な心持なのである。
 そうとは知らないトマシーナは、こんこんと黒犬に説き聞かせた。
「いい、くろいぬ。みらちゃんと、なかよくしなければだめよ。あと、きたひとを、ほえておどかしちゃだめよ。あなた、おかおがこわいからね」
 恐れげもなくたるんたるんした唇を両手でつかみ、持ち上げる。
「こんなふうに、にっこりしなきゃだめよ、にっこり」
 黒犬は実に迷惑そうだった。
 そこに、ドリャエモンがやって来た。話し合いが終わったらしい。
 トマシーナはそちらへかけていく。
「おじいちゃん、おはなしどうだった?」
 ドリャエモンは相好を崩した。
「おじいちゃんな、おばあちゃんとこの施設に引っ越すことにしたよ。トマシーナが学校へ行けるようになるまでの間、一緒に暮らすためにの」
「えっほんとう! おじいちゃんとおばあちゃん、ここにすむの!」
「おおそうじゃ。少し改装が必要かもしれんがの」

「それじゃあ、ドリャエモン先生が――おじいちゃんとおばあちゃんが、ここに住み込んでくれるの?」
 聞き返すトーマスにタスクは、頷いた。
「だからトマシーナちゃんも、この施設で暮らせることになったんだ。入学年齢に達するまでの間。だからタロと黒犬は両方とも、引き続きこの施設で世話することになったよ」
 ベイキがそこに付け加える。
「黒犬は、しばらく学生食堂の方に貸し出ししてもらえることになりました。昼の間だけですけど、とりあえず、不法投棄が収まるまで」
 タスクが続ける。
「で、君には規則どおり入寮してもらう。運営の人は、そういう方向でまとめたいっていうことなんだけど……それでかまわないかい?」
 トーマスにとっては拒む要素は一つもない。
 トマシーナを施設に一人残すことが心配だったが、ドリャエモン夫婦が一緒にいてくれるというなら安心だ。黒犬も昼間は学園にいるようだから、しょっちゅう顔を見られる……まことに願ってもない展開である。
 とはいえ将来トマシーナも、改めて寮に入らなければいけないというところに、一抹の不安を感じなくもない。
「トマシーナは施設から学校に通うって、出来ない? 折角おじいちゃんたちが一緒に住んでくれるんだし……」
 アルフィオーネは彼の希望に、NOを突きつけた。
「それは出来ないわ。でも、あの子が学園に入る時は、わたしが面倒を見るから心配いらないわ、トーマス。同じぐらいの歳の子を面倒見てるから、一人や二人増えても問題ないわ」
「……そう。ならいいけど……」
 トーマスの心情を察したタスクは、こんな提案をする。
「僕はマラソンを日課にしてるんだ。そのルートに、寮、大図書館、保護施設も入ってる。よかったらトーマス君も、一緒に走らないかい? 体を鍛えるのにすごく役立つし、トマシーナちゃんの様子も毎日確認出来るし」
「――うん、やってみても、いいよ」
 話がまとまったところでエリカは、柔らかく両手を叩き合わせた。
「じゃあ、ささやかながらトーマスさんの壮行会をしましょうか。お菓子やお茶を用意して。ちょうど、ハロウィンだしね」

●門出を祝して
 ジャッククッキー、パンプキンパイ、モンブランその他を前に、一同ティーカップを打ち合わせる。エリカの音頭で。
「それでは、トーマスさんの門出を祝して、かんぱーい!」
 トーマスは照れているのか、頭をかいて呟く。
「こんな大げさなことしてくれなくても、いいのに。そんなにたいしたことじゃないんだからさ」
 その途端パーシアから背中を叩かれた。
「何言ってるの、たいしたことよ。初出品で受賞なんて」
 エリカも言う。
「絵は武器や魔法とは別の方法で人々の心に夢や希望、安らぎや潤いをもたらす事ができるわ。その力を磨くために学園で学ぶことは、トーマスさん自身の喜びと充実にもなるはずだし、世の中のために役立つことよ。自信を持って」
 アマルはクッキーを頬張りつつ『そうだよ』と相槌を打った。
「トーマスくんの受賞が発表されたとき、悔し泣きしてた人、いたからねえ。主に、苦節難十年っていう感じの人達。展覧会が終わった後で、抗議に来たらしいよ。学園関係者を受賞させるなんて出来レースだってさ」
 タスクは、しっと息を吐き出した。彼としてはそういうことを、トーマスに伝えたくなかったのだ。
 アマルはしまったという感じに口を押さえ、あわててこう付け加えた。
「まあ、それだけの話。そうではないんだって学園広報が丁寧に説明したら、納得して帰ってくれたみたいだから」
 レーネは静かにティーカップから口を離した。
 今の話に関連づけて、トーマスに、施設管理の心得を述べる。
「そういう問題が起きたとき、一番してはいけないのは、個人でどうにかしようとすることです。情報は速やかに全体で共有しなければなりません。あと、いきなり動かないということ。なにかがあったならドリャエモン先生か運営委員会の方々にお知らせしてみんなでかんがえる。そこを心掛けましょう」
 トーマスは眉間にしわを寄せる。自分が受けた賞の重さについて、今更ながら思い至ったのだ。
「何十年も頑張ってる人がいるんだったら……そういう人達の中から選んであげたほうがよかったんじゃないかなあ」
 アルフィオーネは断固として、彼の考えを否定した。
「トーマス、それこそ侮辱ってものよ。芸術というのは、努力したから評価されるっていう類いのものじゃないの。作品に魅力があるかないか、それが全て」
 言い切った後で彼女は、母親のような眼差しをトマシーナに注いだ。マロンクリームだらけの顔をナプキンで拭いてやりながら。
「こんな小さな子に、人生の岐路を決断をさせるのは、酷かもしれないけれど、誰にでもいつかは訪れるもの。ただ、この子の場合は人より早かっただけ」
 なんとなくしんみりした空気を割るように、ベイキが言った。
「トーマスさんが黒犬の散歩とかしてくれるなら、私が学食の厨房を手伝ってるときは大盛りにしちゃいますよ。たまに、厨房のお手伝いする代わりに、釣った魚を捌く場所を借りてるので」
 トーマスは、気を取り直して笑う。
「うん。僕ちゃんと散歩するよ。タスクさんと一緒に、毎日ね」
 



課題評価
課題経験:55
課題報酬:1500
未来へ向けて、第一歩
執筆:K GM


《未来へ向けて、第一歩》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2021-10-20 00:33:13
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

とりあえず、選択肢は2に一票入れさせてもらうわ。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 2) 2021-10-20 08:15:20
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。よろしくお願いします。

「保護される対象ではなくなった方」については
優先度はひくいとわたくしはおもいます。
保護施設は「保護を必要とする方」が最優先でなければなりません。
でも、その優先度は「学園生の居場所の原則」よりもさらにたかいとおもいます。

アマル・カネグラさんが以前に提案なさった「常駐」はひとの確保がむずかしいってかんがえざるを得ませんでした。
いま、その「ひと」になってくれそうな方がいます。
「施設職員見習いという肩書」でごまかすのは反対しますが、
「戸締まり、点検」、「なにかあったとき、先生のところに駆けつけて知らせてくれる」
これをしていただければ「保護する側のひと」、すごくたすかるとおもいます。
必要なのは「してはいけないこと」の理解でしょうか。

もちろんご本人の希望次第ではありますが、
こういう形で保護施設を充実させていただけたらとおもいます。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 3) 2021-10-21 22:51:29
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。
よろしくお願いいたします。

未来へ向かって羽ばたこうとしている兄妹の
「最後の」(・・・となりますように!)お困りごと、
張り切って解決いたしましょう!

取り急ぎ、僕の意見は・・・
「1」、ただし、トマシーナちゃんが6歳になるまでの期限付き、です。

以前朱璃さんがおっしゃったように、
トマシーナちゃんは王族・貴族にあこがれているフシがあり、
実際同コースへの才能の片りんがあるようなないような、アリ寄りのアリ!?
そんなわけで、学園に入学したっていいと思うのです。

とはいえ、プロローグでも言及されているように、就学にはあまりに幼い。
そこで、身内を引き合いに出して恐縮ですが、妹のヒナは6歳で入学。
一般的にもこのあたりが適齢でしょう。

そこで、トマシーナちゃん6歳になるまでの間お兄ちゃんと過ごし、
その間に、それぞれ寮暮らしになってもさみしくないつよい精神を養う、
というのはどうでしょうか。

もちろん、トーマス君、施設にいる間は、学園の勉強をしながら、
施設見習の仕事をしっかり果たしてほしいものですね。
僕は、今後も施設にはたびたび顔を出すつもりですから、
兄妹に勉強教えてあげたりしたいものです。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 4) 2021-10-22 18:49:54
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝と申します。どうぞよろしくお願いしますね。

前回のプランでトマシーナ様の入学の事も少し書いたのですが、入学するにはまだ幼いという事であれば仕方ないですわね。

1と2のどちらかという事であれば私は2、でしょうか。特別措置を申請したら学園の寮でトーマス様と一緒に暮らせるのかもしれませんが、ドリャエモン先生夫妻という養父母がいる以上あえてそれ以上の特別措置を取る事はトーマス様にとっても良い事とは思えませんし。なのでトマシーナ様はドリャエモン先生の所へいって、トーマス様がお休みの時等に一緒にすごす、が良いのではと思いますが・・・。

あと、このトマシーナ様の行き先については意見を統一する方がよいのでしょうか?私は一応プランでそれぞれの意見を出して、最終的にトマシーナ様に判断していただく、という風に考えておりましたが。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 5) 2021-10-22 22:50:50
そうですね、今回は
「意見をお聞かせくださいませ」というレギュレーションなので、
会議室の多数決などの手段による意思統一は必須ではないようです。

みんなが意見を書き、GM様がよきように決める、という形でよいと思います。
トマシーナちゃんに決めてほしい、トーマスくんに決めてほしい、など
結果に至るディテールに希望があれば、アクションやウィッシュを駆使して
表現すればいいし、これもそれぞれ意見があっていいと思います。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 6) 2021-10-22 22:55:29
また、「関係者は2案に絞り混んだ」という事実はあっても、
2案に絞りなさい、という指示はない、という解釈もあり得ますが…
さすがに案がバラけすぎると、結論への収束が難しくなりそうなので
基本的には、2案から外れないほうが良いのでしょう。

個人的には、素朴な疑問として、
兄妹揃ってドリャ先生の養子になってるんだから、
寮に入らず二人してドリャ家から通学でよいのでは?
とは思うのですが。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 7) 2021-10-23 03:09:22
教祖・聖職者専攻のアルフィオーネ・ブランエトワルです。どうぞ、よしなに

わたしは、トーマスは寮に入り、トマシーナとタロはドリャエモン先生のお宅へ。が適切だと考えているわ。

トマシーナがいずれは学園に通うにしても、もう少し大きくなってからが、いいと思う。だけど、どうしてもトマシーナが入学したいというなら、わたしが面倒を見るわ。すでに面倒を見てる子がいるから、一人増えたところで問題はない。

ちなみに、学園生は全員、指定の寮に入るのが規則よ?

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 8) 2021-10-23 11:16:25
そうですわね。基本案はOPに出ている2案のどちらかという事になるかと思いますし、それでいいとは思いますわ。

私の意見は先述の通り2、ですが、連れていく犬についてはタロの方がよいかなと。トーマス様は黒犬に思い入れがあるかと思いますが、トマシーナ様はどちらかといえばタロの方に思い入れがあるかと思いますし。

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 9) 2021-10-24 22:42:50
ご挨拶が遅くなってごめんなさい(後ろのが手首痛めて文字入力がアイタタな状況でしたのでorz)。
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。

私も、無理に絞り込む必要はないと思うわ。
うまいところ、先生(GM様)が調整する余地もできるでしょうし。

個人的には、トーマスさんは寮に入る……これは、学園や学友に早く馴染んで貰うためでもあると思ってるわ。
トマシーナさんについては、ドリャエモン先生宅で生活。さすがに、小さい子が日中ほったらかしはまずいし、保護者が居た方がいいと思うの。

それに、ドリャエモン先生宅でトマシーナさんが暮らせば、トーマスさんも会いに行きやすいでしょうしね。

タロはトマシーナさんも結構長い付き合いだし、ドリャエモン先生宅で一緒に暮らせれば、トマシーナさんも寂しさを紛らすことができるでしょうし、黒犬は施設に残れば、トーマスさんも会いに行ける。
ついでに、施設の手入れとかトーマスさんにして貰えば、学業と施設管理見習いの両立もできそうかな……と思ってたところよ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2021-10-24 23:11:16
ですよね~。学園生は入寮が原則。そうですよね。

まあ、僕はプランにはあくまで1(ただし以下略)を記載しますけれども、
原則は原則だし、パーシアさんのおっしゃるように意義も大きいし、施設からの通学にそこまでこだわるわけではありません。

僕がこだわりたいのは、兄妹の気持ちなんですよね。離れたらさみしい、ということですね。
この兄妹はつらい境遇を二人っきりで乗り越えてきた経緯があるだけに、ですね。

だから、僕はプラン上では「離れない方策」を主張してはみるものの、
一方で、「離れても『大丈夫』」になるための手立てもあり得るかな、と。

すでに言及されているように、
トーマスくんが休日などなるべくトマシーナちゃんに会いに来るようにするとか、
付き合いの長いタロと過ごすことでさみしさを紛らわす、などですね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2021-10-24 23:14:19
ちなみに、僕は日課のマラソンコースとして寮と大図書館と保護施設を往復してるわけですが、
トーマス君がこれに付き合ってくれれば、トマシーナちゃんにも毎日会えるし、トレーニングにもなるし、一石二鳥ですね!!

(PL:・・・というトンチキ案も、ウィッシュのはじっこの方にこそ~っと仕込んでおこうかとwww)

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 12) 2021-10-25 20:07:33
パーシア様の背後様はお大事にですわ。あまりご無理をなさらないよう。

一先ずプランは提出しましたわ。私としては2のドリャエモン先生の所へ行く、ですので、何故そう思うかを述べる感じですわね。ただこれはトーマス様とトマシーナ様の事なので、最終的にはお二人で決めるべきで、どういう選択をするにしても良い方向になるよう努力する、と約束する感じですわね。

あとはドリャエモン先生の所へ行く事になった場合は時折は施設でミラ様と遊んであげてくださいね、と。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 13) 2021-10-25 22:17:31
(パーシアさんの背後様、どうかお大事に。
それなのにいっぱい書き込んでいただき、頭が下がります。)

皆さんで一生懸命意見を交わした結果ですから、
きっと、兄妹にとって納得いく道が開かれることでしょう。

(また、今回は意思統一をしないまま出発するので、
GM様が議論と結論をどう書いてくださるかも、楽しみですね!)

今回もご一緒いただきありがとうございました!
リザルトを楽しみに待ちましょう!

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 14) 2021-10-25 22:36:29
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。
出発間際ですが、都合がつきそうなんで乱入しました。よろしくお願いします。

事情はだいたいわかりました。

じゃあ、ドリャエモン夫妻が住み込みで施設管理して、トマシーナさんも施設に住んで、トーマスさんは寮に入るという選択肢を新たに設けようかな……。
トーマスさんも施設に残る選択肢もあるでしょうが……管理者と関係者で4人分の部屋を使うのは考えものですしね。

まあ、この案の前提は、ドリャエモン先生が持ち家ではなく教員用の宿舎等に入っている場合となりますが……さすがに、持ち家空けて住み込めとは言えんですし。

仮に、ドリャエモン先生達に保護施設に住み込んで貰う場合は、黒犬は学食の裏の番犬になって貰ってもいいかも。
最近、学食の裏に食事棄てる不届き者が居るようですし……見つけて足腰ガクガクになるまでお仕置きせんと。