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学園での一日・魔物編


ストーリー Story

 魔法学園フトゥールム・スクエア。
 言わずと知れた、勇者の育成を掲げる教育機関だ。
 年齢や種族を問わず学生として受け入れ、日々賑やかな生活が行われている。
 各種依頼を引き受けるギルドを母体として始まったこともあり、現在も『課題』として様々な依頼を引き受けていた。
 そんな学園に、幾つかのお客が訪れていた。

「おっきい」
 今年で5才になる子供が大木を見上げる。
 それは霊樹。
 学園のシンボルであり魔力の貯蔵庫としての役割を持っている。
 一時は枯れかけた事もあったが、学園生達のお蔭で、今では青々とした葉を茂らせていた。
「手、とどかない」
 ぴょんぴょんと子供が『4本の足』で跳ねる。
 ルネサンスが祖流還りで原種の姿になっている訳ではない。
 元々、彼女はその姿なのだ。
 ケンタウロス。
 腰から上はヒューマンで、下は馬体の魔物だ。
 魔物と言ってもケンタウロスは知性が高く、会話を交わすことも出来る。
 魔王が、ヒューマンとルネサンス両方の力を持った生物を作ろうとして生まれた、という歴史を持つ。
 その歴史から八種族と敵対しそうなものだが、そういう訳でもない。
 そもそも魔物自体が、『魔王によって作り出された生物』という意味合いでしかない。
 必ずしも、魔王に絶対服従、という訳ではない。
 特に世代を重ねると、その傾向が薄れるとの研究もあるようだ。
 それ以前に、いわゆる『人』とされている八種族と、それ以外の種族の差は、知性が一定以上あるかないかも前提だが、政治的な理由も過分に大きい。
 いわゆる『魔族』と呼ばれる者達も、八種族と大差ない者達も大勢いる。
 霊樹を前に跳びはねている女の子も、そうした『ひとり』だ。

 少し前、学園生達により仁義と恩義を受けたケンタウロス族がいた。
 その借りを返すべく、何かあれば『二度』までは共に戦うと約束をした。
 けれどそのためには、学園と連絡が取れるようになる必要があり、いまケンタウロスの一団が学園に訪れている。
 しかも、彼女達が約束した時に立ち会った学園生達との交流が切っ掛けで、学園での滞在も行われていた。
 彼女達は羊を家畜として育てているのだが、それを連れて学園を回ることで、雑草の駆除をしている。
 彼女達としても、羊たちに食べさせる草は必要だったので、お互い利のある状態だ。
 という訳で、ケンタウロスの大人達は放牧に出ているのだが、子供達は別だった。
 今まで見たことも聞いたこともない大きな大きな学園に訪れ、好奇心が刺激されている。
 だから子供達の中には、探検するように学園を回っている者も居た。
 いま霊樹を前にして跳びはねている【ツキ】も、その内の1人だった。

「ん、やっぱりとどかない」
 さわさわ風で揺れる大きな枝に手を伸ばしながら、ツキは後ろに下がる。
「かけあがったら、のぼれるかな?」
 助走をつけて、霊樹の幹を駆け上がろうとしていたのだ。すると――
「そんなことしちゃダメだもん!」
 小さな男の子の声が聞こえてきた。
 不思議に思ってツキが振り返ると、そこには一本の若木が見える。
 少し離れた場所には、芽吹いてからあまり経っていない新しい霊樹があった。
 他には何も見えないのでツキが小首を傾げていると――
「駆け上がったら霊樹の幹が傷付くもん!」
「木がしゃべった」
 ツキは好奇心に目を輝かせて、若木に近付く。
「へんなのー」
「変じゃないもん!」
 ツキにつつかれた若木は、地面から根っこを抜いて枝を振り上げた。
「僕はフォレストボーイだもん!」
「へんなのー」
 フォレストボーイと名乗った若木(?)を、ひょいっと持ち上げるツキ。
「もってかえるー」
「そんなことしちゃダメだもん!」
 じたばた暴れるフォレストボーイ。
「僕は霊樹も学園も、学園生も、みんなみんな守るんだもん!」
「まもるの?」
「そうだもん! それがじぃちゃんとの約束なんだもん!」
「おじぃちゃん?」
 興味深げに、ツキは尋ねた。
「おじぃちゃん、いたの?」
「ツリーフォレストマンの、じぃちゃんだもん」
 フォレストボーイは応えた。
「じぃちゃんは、死ぬ前に僕に頼んだんだもん。みんなを守ってくれって。僕は約束を守るんだもん。だから学園に居ないといけないんだもん」
「やくそく……」
 ツキは想いを馳せるような間を空けて言った。
「わたしも、おじちゃんとやくそくしたの。ゆうかんな子になるって」
 死んだ伯父と、かつて交わした約束を思い出し、ツキは鼻の奥をツンっとさせる。すると――
「大丈夫だもん。きっと守れるもん」
 フォレストボーイは、枝でツキの頭を撫でる。
「ここは勇者の学校なんだもん! ここに居たら勇気もりもりだもん!」
「そうなの?」
「そうだもん!」
 フォレストボーイは、胸(?)を張る様に言った。
「勇気一杯になりたかったら、学園を見て回ると良いんだもん。案内するもん」
「あんない、できるの?」
「当然だもん! 僕はじぃちゃんの知識を受け継いだんだもん。行ってみたい所があれば案内してあげるもん」
「なら、えだまめのある所がいい!」
「え、枝豆?」
 ぴしっ、と固まるフォレストボーイ。
 しかしツキは、お構いなしに続ける。
「うん。このまえ食べたの。おいしかったの。だから、また食べたい」
「え、枝豆……」
 悩んでいるのか、微妙にしおれた感じになるフォレストボーイ。
「むりなの?」
「む、無理じゃないもん! えっと、えっと……あっちに行ったら、きっとある筈だもん!」
 そう言って、枝で指示したのは、世界中の植物を集め、生育している植物園『リリー・ミーツ・ローズ』がある方角。
「あっちに行ったら、きっとある筈だもん」
「わかった。いく」
「なら案内するもん!」

 そんなこんなで、子供2人が『リリー・ミーツ・ローズ』に向かいます。
 同じころ、アナタ達は学園で課題をしています。
 なにかの実験かも知れませんし、訓練かもしれません。
 あるいは、書類仕事や調べ物をしているかも?
 そんな中、一息ついていると、奇妙な子供2人組をアナタ達は見つけます。
 気になって声を掛けてみるのも良いですし、気にせず、自分の課題をしていても良いでしょう。
 学園での、とある一日。
 アナタ達は、どう過ごしますか?


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-10-19

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2021-10-29

登場人物 7/8 Characters
《虎児虎穴の追跡者》シャノン・ライキューム
 エリアル Lv11 / 教祖・聖職 Rank 1
エルフタイプのエリアル。 性格は控え目で、あまり声を荒げたりすることはない。 胸囲も控え目だが、華奢で儚げな外見のせいか、人目を惹きやすい。 本人は目立つことを嫌うので、服装は質素で地味なものを好む。 身長は160センチほど。 学園に来る前は、叡智を司る神の神殿で神職見習いをしていた。 叡智神の花嫁と言われる位に、叡智神の加護を受けていると言われていたが、何故か、 「その白磁の肌を打って、朱く染めたい」だの、 「汚物を見るような目で罵って下さい!」だのと言われたり、 孤児院の子供達から、流れるようなジェットストリームスカートめくりをされたりと、結構散々な目に遭っている。 最近では、叡智神ではなく「えぃち」ななにかに魅入られたのではと疑い始めたのは秘密。 学園に腹違いの妹が居るらしい。
《光と駆ける天狐》シオン・ミカグラ
 ルネサンス Lv14 / 教祖・聖職 Rank 1
「先輩方、ご指導よろしくお願いしますっ」 真面目で素直な印象の少女。 フェネックのルネサンスで、耳が特徴的。 学園生の中では非常に珍しく、得意武器は銃。 知らない事があれば彼女に訊くのが早いというくらい、取り扱いと知識に長けている。 扱いを知らない生徒も多い中で、その力を正しく使わなくてはならないことを、彼女は誰よりも理解している。 シオン自身の過去に基因しているが、詳細は学園長や一部の教員しか知らないことである。 趣味と特技は料理。 なのだが、実は食べるほうが好きで、かなりの大食い。 普段は常識的な量(それでも大盛り)で済ませているが、際限なく食べられる状況になれば、皿の塔が積み上がる。 他の学園生は、基本的に『○○先輩』など、先輩呼び。 勇者の先輩として、尊敬しているらしい。 同期生に対しては基本『さん』付け。  
《枝豆軍人》オルタネイト・グルタメート
 リバイバル Lv15 / 魔王・覇王 Rank 1
■性別■ えだまめ(不明) ■容姿■ 見た目:小柄で中性的 髪:緑のショートヘア 目:深緑色 服:生前の名残で軍服を好む。 あとなぜが眼帯をしてる。 ※眼帯に深い理由はない。 ■性格■ 元気(アホの子) 意気揚揚と突撃するが、結構ビビりなのでびっくりしていることもしばしば。 ■趣味■ 枝豆布教 ■好き■ 枝豆(愛してる) ■苦手■ 辛いもの(枝豆が絡む場合は頑張る) ■サンプルセリフ■ 「ふはっはー!自分は、オルタネイト・グルタメートであります。」 「世界の半分を枝豆に染めるであります!」 「枝豆を食べるであります!おいしいのであります!!怖くないのであります!」 「これでも軍人さんでありますよ。ビビりじゃないであります!」 「食べないで欲しいでありますー!!自分は食べ物ではないであります。」
《新入生》ヒナ・ジム
 アークライト Lv11 / 勇者・英雄 Rank 1
ヒナ・ジムです!【事務雛型】 ひよこがだいすきです! おすとめすはみたらわかります! ひよこがすきすぎて、はねがはえちゃいましたあ! そしたら、にぃにが、がっこうにつれてきてくれました。 かっこいいおにいさん、かわいいおねいさんがいっぱい…! みんな、なかよくしてね! *** ガンダ村の事務職の家系であるジム家の末っ子。 ひよこを愛する普通の子であったが、村の学校で飼っていたひよこをいじめた男子にたいする怒りをきっかけに、アークライトに覚醒! 知らせを受け慌ててタスクの発案により、学園に入学することとなった。 アークライトとしての力と生き方を学び、そして外の世界を知るために…。 ひよこが大好きで、好きすぎて羽根が生えたという本人談もあながち間違いではない経緯ではある。 ひよこのオスメスの区別がつき、人間の顔と同じ精度で個体識別できる。 鶏に対する気持ちは普通で、ひよこの時から可愛がっている個体に対してはその愛着を維持する。 覚醒時のほかにも、夜店のひよこを全員脱走させ親が全額弁償などひよこに関する逸話に事欠かない。 また、覚醒前から同年代にあり得ない怪力で、祖父のお下がりのバトルアックスの素振りが日課である。 とにかく甘えん坊。誰彼構わず甘え、兄タスクをやきもきさせる。 【勇者原則】決め台詞 通常時「ヒナ、負けないもん!」 覚醒時「○○ちゃんを虐める悪い子は、絶ぇっ対に許さない!」
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《新入生》メルシー・モーメント
 エリアル Lv11 / 賢者・導師 Rank 1
わたしは兵士。 戦場で生きるための知識と技術を 身につけるために学んでいます。
《ココの大好きな人》アンリ・ミラーヴ
 ルネサンス Lv18 / 教祖・聖職 Rank 1
純種が馬のルネサンス。馬の耳と尻尾を持つ。 身長175cm。体重56kg。 16歳。 性格は温厚。 あまり表情を変えず寡黙。 喋る際は、言葉に短く間を置きながら発していく。 少しのんびりした性格と、言葉を選びながら喋るため。 思考や文章は比較的普通に言葉を紡ぐ。 表現が下手なだけで、年相応に感情は豊か。 好奇心も強く、珍しいものを見つけては、つぶらな瞳を輝かせながら眺めている。 群れで暮らす馬の遺伝により、少し寂しがり屋な面もある。 やや天然で、草原出身の世間知らずも合わさって時折、突拍子の無い発言をする。 好きな食べ物はニンジン。 食べていると美味しそうに目を細めて表情を和らげる。 趣味はランニング。運動自体を好む。 武術だけは、傷付ける行為を好まないため苦手。 入学の目的は、生者を癒し死者を慰める力を身に着ける事。

解説 Explan

●目的

学園での一日を過ごして下さい。

NPC達と関わっても良いですし、関わらなくても良いです。
どちらでも成功度に変化はありません。

●状況

学園内で、何かしらの課題をしていた所から始まります。
どのような課題をしていたかは、自由にプランに書いていただけます。
真面目にしていたでも良いですし、途中でさぼっていたでも良いです。
終わらせて余暇を楽しもうとしていたでも構いません。

●選択肢

1 NPC達と関わる

植物園『リリー・ミーツ・ローズ』に向かっているNPC達と関わります。
途中で見つけたでも良いですし、植物園で何か用があって訪れていた所で出会った、でも構いません。
どのように関わったのかは、自由にプランに書いていただけます。

何をどのように関わるかは自由です。
ただし関わり方によって、NPCの好感度は変わります。

2 学園での1日を過ごす

学園での1日をプランで書いていただけます。
学園内だと判定できる範囲でしたら、自由に書いていただけます。
書いていただいた内容に沿って、学園内での1日が描写されます。

●NPC

ツキ

5才。ケンタウロスの女の子。
PC達に居する好感度は、中立の状態です。

好奇心が旺盛な子です。
学園内を探検している所でフォレストボーイと出会い、植物園に向かっています。

少し前、学園生とケンタウロスの会談があり、そこで出された枝豆が美味しかったので、また食べたいと思っている。

フォレストボーイ

かつて学園の守護をしていた、ツリーフォレストマンの後継。
ツリーフォレストマンが、死に際に自身の命を注ぐことで生れた。

ツリーフォレストマンの力と知識の一部を継承しているのだが、まだまだ子供なので巧く使いこなせない。
霊樹と学園、そして学園生を守る、と意気込んでいるが、現時点では力不足である。

PC達に対する好感度は、高い状態です。

●時間軸

エピソード『学園での一日・異世界人+α編』と同じ時間軸での話になっています。

以上です。


作者コメント Comment
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。

今回は、学園で1日過ごすエピソードになっています。
NPCと関わっても良いですし、単純に、PCの学園での日常の一コマを描く内容でも構いません。

自由に、お過ごし下さいませ。

そして今回出て来るNPCですが、当初の予定だと全く存在しなかったキャラになります。
PC達の選択と行動で出てきました。

特にフォレストボーイに関しては、「お前誰なの?」という状況になってます。
ちなみにイメージとしては、ドラえもんに出て来る「キー坊」です。
伝わらなそうですが、そんな感じです。

ケンタウロスのツキに関しては、漫画で「セントールの憂鬱」というのがあるのですが、そこに出て来る人馬の幼稚園児のイメージです。

ビジュアルイメージとしては、そんな感じのNPCが出てきますが、別段関わらなくても成功度は変わりません。

それでは、少しでも楽しんでいただけるよう頑張ります。


個人成績表 Report
シャノン・ライキューム 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
NPC達と関わる

◆方針
ふたりに喜んで貰えるように、植物園へ案内する

◆状況
植物園近くの授業が終わって、休憩に入るところで小さなお客さん達と遭遇

……って、えぇーーーっっ!?(動いてる若木に驚いた)

◆案内
おふたりが転んだり、怪我したりしないように、足元や周りを見て
植物園には危ないものもあるので、植物や刃物、機材、薬なんかに勝手に触れないようにお願いしますね

いざとなれば、祈祷での回復やデトルでの解毒を行いますが……痛い思いは、しないで済む方がいいですから

ご質問にはわかる範囲でお答えして、決して嘘はお教えしないように
わからないことは、植物園に居られる先輩や先生を探して、一緒にお聞きしましょうね

シオン・ミカグラ 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
私は通常の座学を受けている最中、窓からツキちゃんとフォレストボーイくんを偶然見つけます
もうすぐ終わる時間だったので、その後すぐに二人の後を追いかけます


わ!本当に歩いてます!?

追いついたらまずツキちゃんに挨拶しなければですね
氏族の皆さんもお元気ですか?
それと、ビックリしてしまいましたが、歩く苗木のことについてもお聞きしましょう
あれ?先輩方はご存じなんですか?

せっかくなので一緒に植物園を見て回りましょうか
槍の氏族の住んでいる地域では見られないような植物もたくさんありますし、それに、少し歩いておなかを減らせばより美味しく感じると思うので!
そしたら枝豆、食べましょう!

オルタネイト・グルタメート 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
心情;
『また』会えたでありますな!!

選択肢;
1NPC達と関わる

課題;
植物委員会が行う植物園の手入れを手伝う

行動;
植物園での課題が一段落した所で、NPC2人と遭遇
『また』会えたことの喜びに純粋に喜び、学園案内(枝豆布教)を行いたい
他の参加者がいる場合も、(布教もかねて)一緒に案内しないか提案

収穫した枝豆は、学生カバンで運ぶ
調理ができる場所まで来たら、調理道具一式で枝豆料理をその場にいる人に振る舞う

皆が笑顔であれば喜ぶし、悲しそうな顔をすれば寄り添う
そんなえだまめのフリーな一日


「やっぱり笑顔が一番でありますよ」
「しっかり食べれば、きっと育つでありますよ」
「さぁ、食べるであります!」

ヒナ・ジム 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
ツキちゃんとフォレストボーイ(以下、きーちゃん)と楽しく遊んでお友達になる!

可愛くて珍しい組み合わせの二人を見て思わず声をかける
【子供親和】【天使のオーラ】で印象的な自己紹介をし
一気に【信用】を得て仲良くなる

植物園に行きたいと聞いて
「借り返しのアリエッタ(七四六明GM様)」の経験が活かせると考え
案内を快諾する
おもいで手帳に挟んだ、祖母マーニー手作りの可愛らしいイラスト付きの地図(上記エピに登場)を見ながら案内する

道中の会話
・生い立ちや日々の暮らしなどを紹介しあい相互理解を深め、困ったことはヒナに言ってねと請け負う
・枝豆ならお任せ!なオルタネイトさんについて、にぃに(タスク)からの情報を話す

エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
『学園での一日・異世界人+α編』での食料保存実験に前後して通りがかり
かわいい友人たちに遭遇

ツキさんとはもしかしたら虫の撃退時に面識があるかもしれないけれど、今回が初顔合わせでもOK

見かけない顔に迷子にでもなった新入生かと思って話しかける

ツキさんの枝豆リクエストを聞いて、植物園で栽培しているのならそこへ案内
または学園で有名な枝豆のプロであるオルタネイトさんへの紹介をする

フォレストボーイさんに対しては、自然大好きなエルフの勘や
【第六感】【魔法感知】などで植物に対する親和性を感じ取り
成長が遅かったり元気のない枝豆や他の農作物、草花や木などに
『励ましの言葉』をかけてあげてと頼み、良い効果が出るよう祈る


メルシー・モーメント 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:156 = 65全体 + 91個別
獲得報酬:4800 = 2000全体 + 2800個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
竜爪笛を携えて「新しい霊樹」の様子を見にいきます。

メイルシュトロームのときはみなさんの想いを届けました。
でも、今はそこまで切羽詰まってはいません。
ですから、わたし自身だけの想いを素直に伝えたい。

あなたが生まれてきてくれてよかったって。



フォレストボーイさんに対しては特別なことは話しません。
フォレストボーイさんは歩きだしている、自分の足で。
でしたらそこにわたしが過度に干渉するのは良いことではありませんから。

ただ、知識はあってもそれを把握しきれていないなら、
知識を把握するのはかしこさ、だから竜爪笛の音色を聞かせてあげます。

あなたがあの素敵なひとの思い出と寄り添えるように。

アンリ・ミラーヴ 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
NPC達と関わる
ふう。今日の授業は、いっぱい走れたから、楽しかった。
少し疲れたから、植物園に行く。あそこで草や、花、土の匂いを嗅いでると、落ち着く。
(ツキ達を見かけて)ケンタウロスの子が、木と話してる?なんだろう。
「もしもし。初めまして。俺はアンリ・ミラーヴ。今、その木と話してたの?」
と話しかけ、フォレストボーイの事を聞けたら「凄い、凄い。君は勇敢な木、なんだね」と褒める。
二人が植物園にきた、目的も聞く。迷子にならないよう、一緒に枝豆を探す。
枝豆を見つけた後は、料理をするならお手伝いを申し出る。
あいまにツキとお話。学校、楽しい?困った事があったら、いつでも言って。
走るの好きなら、一緒に走ろう。

リザルト Result

 学園の課題は種々様々である。
 時に学園の外に出て戦闘になる時もあるが、学び舎として座学も大事だ。とはいえ――
「――というわけなのだメェ~」
 おっとりとした独特の喋り方で授業を進める【メッチェ・スピッティ】に皆は睡魔に誘われていた。
 メッチェの声は聴いていて安らぐ心地好い声だが、喋り方と相まって、聞いていると眠たくなってくる。
 それは授業に参加している【シオン・ミカグラ】も例外じゃない。
(うぅ、いけません。ちゃんと目を覚まさないと)
 眠気を振り払うように教室の外に視線を向ける。すると――
「あ、あれはいったい? んー……」
 子供が2人、歩いているのに気付く。
(あの子は、ケンタウロスさんの所の子ですね。もう1人は、って――)
「ええっ!?」
 明らかに可怪しな姿に驚く。
(木……ですよね?)
 思わず窓に貼り付くようにして覗いていると――
「そこは黒板じゃないんだメェ~」
 おとっりとした声でメッチェに怒られる。
「は、はいぃっ!!? すみませんっ!! その、歩く木が――」
「そんなの、いたメェ~」
 メッチェも驚いていると授業終了のチャイムが鳴る。
 それを聞くなりシオンは席を立つ。
「メッチェ先生、授業ありがとうございました!」
 ぴゅーっと教室を跳び出して走り出す。

 しかし彼女より一足先に、【ヒナ・ジム】が2人に声を掛けた。

「こんにちは!」
 思い立ったが吉日とばかりに、ヒナは【ツキ】と【フォレストボーイ】に元気よく呼び掛けた。
「こんにちはだもん!」
 真っ先に応えを返したのはフォレストボーイ。
 少し警戒するように身構えるツキに、ヒナは屈託なく言った。
「ヒナっていうの!」
「フォレストボーイだもん!」
「……ツキ」
 ヒナの勢いに、ツキも自己紹介。
 するとヒナは笑顔で言った。
「ともだちになろう!」
「……ともだち?」
「うん! ヒナはともだちひゃくにんめざしてるの!」
「分かったもん! 友達だもん!」
「……ん、ともだち」
 仲良くなる3人。
「どっかあそびにいこー」
 祖母と一緒に課題をする予定だったが、すこーんと吹き飛んだ。
「それなら植物園に行くもん」
「ヒナそこしってるー」
 以前、植物園に関わる課題をしたことがあるので、祖母が手作りしてくれた可愛らしいイラスト付きの地図を広げる。
「ここだよ!」
「一緒に行くもん!」
「いく」
 とてとてと歩き出す3人。
「おばーちゃんがいるの?」
「にぃにもいるんだよ!」
「じぃちゃんがいるんだもん!」
 それぞれ自分のことを話しながら進んでいると、【エリカ・エルオンタリエ】が声を掛ける。
「こんにちは」
「こんにちは」
 ツキが最初に応えを返す。
 少し前、伯父の槍を持って来てくれた一団のことを覚えていたので、参加していたエリカのことも覚えていたらしい。
 エリカに興味を示したツキに、ヒナが紹介する様に言った。
「すごいまほうつかいさんで、ものしりで、にぃにの『ぶちょおさん』。ヒナは『ゆうしゃ』をおしえてもらってるんだよ!」
 ヒナの紹介で、じっと見つめて来るツキとフォレストボーイにエリカは思わず苦笑する。
(ツキさんはケンタウロスだけど、もう1人の子は……)
「僕はフォレストボーイだもん!」
 元気良く自己紹介してくれる。
「ツリーフォレストマンさんの後継者なのね」
「そうだもん! だからおねーさんも守るもん!」
 意気込むフォレストボーイに、くすりとエリカは微笑すると尋ねた。
「どこか行きたい所があるの?」
「植物園に行くんだもん!」
「えだまめ、とりに行くの」
「枝豆?」
 詳しい話を聞いたエリカは提案する様に言った。
「一緒に行きましょう。私も食材を貰いに行くつもりだったから」
 運動場の実験での素材を貰いに行こうとしていたエリカだが、一緒に行くことにする。

 4人で歩いていると、そこにシオンが駆け寄った。

「わ! 本当に歩いてます!?」
 フォレストボーイを確認し、見間違えじゃなかったと笑顔になる。
 すると、伯父の槍を届けてくれた1人だと気付いたツキが挨拶する。
「こんにちは」
「はい、こんにちは! また会えてうれしいです。あなたはたしか、ツキちゃんでしたよね?」
「うん」
「氏族の皆さんもお元気ですか?」
「うん、げんき」
 こくりと頷くツキに、シオンは笑顔を返すと、今度はフォレストボーイを見詰めながら挨拶してあげた。
「こんにちは」
「こんにちはだもん!」
 元気よく返事をするフォレストボーイに、シオンは笑顔で返す。
「初めまして。貴方の名前を聞いても良いですか?」
「フォレストボーイだもん!」
「おっきな木の近くにいたの」
 ツキの説明にシオンが小首をかしげていると、ヒナとエリカが説明してくれる。
「きーちゃんはこうけいしゃさんなんだよ!」
「ツリーフォレストマンさんの後継者みたいね」
「あれ? 先輩方はご存じなんですか?」
 説明され、これから植物園に向かうと聞いて、シオンは言った。
「私もご一緒して良いでしょうか?」
 もちろん歓迎される。
「それじゃ、行きましょう」
 シオンの掛け声に、子供達3人組は諸手を上げて応える。
 その可愛らしい様子に笑みを浮かべながら、引率する先生のように言った。
「槍の氏族の住んでいる地域では見られないような植物もたくさんありますし、それに、少し歩いておなかを減らせばより美味しく感じると思います」
「おいしい?」
「はい。一緒に歩いて、枝豆も一緒に食べましょう」
「うん。食べる」
 ツキは目をきらきらさせてシオンを見上げた。

 シオンの後を連いていく子供達。
 植物園に近づく頃、【アンリ・ミラーヴ】も同じように植物園に向かっていた。

「今日の授業は、いっぱい走れたから、楽しかった」
 心地好く一息ついて、アンリは顎を上げて目を細める。
 あまり表情を変えず寡黙な彼だが、仕草に感情の色が見てとれた。
(このあと、どうしようかな?)
 少し考えて――
「植物園に行こう」
(あそこで草や、花、土の匂いを嗅いでると、落ち着く)
 そうして植物園を目指して歩いていたのだが、途中で、ツキとフォレストボーイを見つける。
(ケンタウロスの子が、木と話してる? なんだろう)
 興味を持ったアンリは近付くと声を掛けた。
「もしもし。初めまして。俺はアンリ・ミラーヴ。今、その木と話してたの?」
 ツキに話し掛けると、アンリの馬の耳と尻尾を見詰めながら応えを返す。
「うん。動いて喋れるの」
「フォレストボーイだもん!」
 自分のことを話すフォレストボーイに、アンリは話を聞いてあげ、褒めてあげる。
「凄い、凄い。君は勇敢な木、なんだね」
「ありがとうだもん!」
 褒められて嬉しいのか小躍りするフォレストボーイ。
 ツキもアンリの傍に寄ると、彼の馬の耳を見上げながら尋ねる。
「おにーちゃんも、お揃い、なの?」
 ぴこぴこと馬の耳を動かすツキ。
「うん。お揃い、だね」
 優しく応えを返すアンリに、仲間だと思ったのか、にぱっとツキは笑った。
 その笑顔に、アンリは亡くした弟を思い出す。
「おにーちゃん?」
「どうかしたのかもん?」
 僅かに眦を細めたアンリに、ツキとフォレストボーイが声を掛けて来る。
 これにアンリは小さく笑みを浮かべ応えた。
「大丈夫だよ。それより、2人は、どこに行こうとしてるの?」
 植物園に行くと聞いて、向かう場所が一緒ということで、皆と歩いていく。
 道中、アンリは話し掛けながら進む。
「学校、楽しい?」
「うん。楽しい」
 頷くツキに、アンリは会話を重ねる。
「困った事があったら、いつでも言って」
「ん……走れる広い場所、見つけたい」
「走るの好き?」
「うん」
「そっか。走るの好きなら、一緒に走ろう」
 笑顔で頷くツキに笑顔を返しながら、アンリは皆と一緒に歩き続けた。

 植物園の入口に差し掛かった所で、授業が終わり休憩のつもりで訪れた【シャノン・ライキューム】と出会う。

 思わずフォレストボーイを凝視するシャノン。
 見間違えかと何度も目をぱちぱちさせ――
「……って、えぇーーーっっ!?」
 驚くシャノン。
 その声にフォレストボーイが気付くと――
「あーっ!」
 駆け寄ると、ぴょんぴょん跳びはねながら言った。
「おねーさん、どこかで会った気がするもん! だから守るもん!」
 エリカと会った時と同じく、守ろうとする気持ちを強く見せた。
 事態が飲み込めず首を傾げるシャノンに、エリカが説明してあげる。
「フォレストボーイさんっていうの。ツリーフォレストマンさんの後継者で、あの時の若木ね」
 シャノンはフォレストボーイの元となった若木を植え替えてあげ、その時にエリカは助言を与えていたのだ。
 フォレストボーイは、その時の記憶は無いようだが、それでも何か感じる物があるらしい。
(まさか……あの時の若木が、動き出しただなんて)
 シャノンは感慨深い気持ちになる。
「貴方は、ツリーフォレストマンさんの後継ぎなんですね」
「そうだもん!」
 失われた命を受け継ぐ者がいる。
 シャノンは、それが嬉しい。
(ツリーフォレストマンさんの命は終わった訳じゃなくて、この子の中に生きている。私もこんな風に……何か残せればいいんですが) 
 感慨深くフォレストボーイを見詰めると、この場に来た理由を尋ねる。
「植物園には、何か用事があって来たんですか?」
「枝豆をとりに来たもん!」
「うん。えだまめ」
「それなら私も一緒に行きます。枝豆以外にも、色々と見て行って下さいね」

 というわけで皆と一緒に植物園を案内していく。
 ツキとフォレストボーイは物珍しいのか、あちこち行きそうになるので、学園生達は声を掛けてあげる。

「転んだり、怪我したりしないように、足元や周りを見てくださいね」
「うん」
「勿論だもん」
 シャノンの呼び掛けに2人は素直に返す。
 が、そこはやはり子供。ちょっとでも目を離そうものなら突っ走る。
「おっきいお花」
「僕より大きいんだもん」
 人間大の大きな花を見つけ、わーっと駆け寄ろうとする子供2人。
 ちなみによく見ると、『毒草』の看板が横にあった。
「待ってください!」
 慌てて止めるシャノン。
「勝手にお花や木に触っちゃいけませんよ。お花や木に毒があったり、悪い虫が居て刺されたりしたら大変です」
「どくがあるの?」
「危ないんだもん!」
 盛り上がる子供2人に、シャノンは教えるように話し掛ける。
「種類によっては、実ひとつで何十人もの人を殺められるような、恐ろしい毒があるものもあるとか」
「こわい」
「触っちゃダメだもん!」
 ツキを守るように前に立つフォレストボーイ。
 くすりとシャノンは笑みを浮かべると続ける。
「勿論、人を救えるものもあります」
「助けてくれるの?」
「凄いヤツだもん!」
「色々な種類があるから、先輩方や先生がいいと仰ったら、触ってみましょうね」
「うん」
「はいだもん」
 神妙に頷き子供2人組は植物園を巡っていく。
 その中でアンリは2人と仲良く話していった。
「迷子にならないよう、一緒に行こう」
「うん」
「一緒だもん」
 アンリは2人に合せるように声を掛けていく。
「色んな花が、一杯あるね」
「うん」
「一杯だもん」
「楽しい?」
「楽しい」
「楽しいんだもん」
 こくこくと頷くツキとフォレストボーイに、アンリは尻尾を高く起こして振っている。
 そして軽くなった足取りで一緒に歩いて回りながら、言った。
「枝豆、この辺りには無いみたいだね。よく知っている人、居ないかな?」
 これにヒナが元気良く応える。
「枝豆ならお任せな人がいるよ! にぃににきいたもん!」
「ええ。適任な人がいるわね」
 エリカも賛同する。
「ひょっとしたらいるかもしれないから、探してみましょう」

 その頃、枝豆スペシャリストな【オルタネイト・グルタメート】は、よく実った枝豆を前に感無量だった。

「会心の出来なのであります」
 植物委員会が行う植物園の手入れを手伝っていたオルタネイトだが、その合間合間に育てていた枝豆達の勇姿(?)に満面の笑顔を浮かべる。
「これだけの出来の枝豆、ぜひ皆に普及するであります」
 ぐぐっと誓いを立てていると、そこにエリカが声を掛ける。
「オルタネイトさん。枝豆のことについて話を聞いても良いかしら?」
「もちろんであります!」
 ダッシュで駆け寄るオルタネイト。すると――
「えだまめくれた人だー!」
「どっかで会ったことある人だもん!」
 オルタネイトを見て盛り上がる子供2人。
 不思議に思ってオルタネイトが2人のことを聞くと――
「枝豆を好きになってくれたでありますか! えだまめん団員になると良いであります! それにフォレストボーイは、あの時の若木なのでありますな!」
 嬉しいことが重なって高揚する。
 喜ぶオルタネイトに、フォレストボーイは意気込むように言った。
「枝豆も一緒に守るもん!」
「守る、でありますか?」
「じぃちゃんとの約束だもん!」
 その約束に、ツリーフォレストマンの息吹を感じ取る。
(『また』会えたでありますな!!)
 喜びを胸に、2人に枝豆を普及する。
「たくさん持って行って欲しいであります!」 
 喜ぶツキ。
 学園生達と一緒に収穫。
 その中で、何か皆のために動けないか、あっちに行ったりこっちに来たりするフォレストボーイ。
 見ていたエリカは導くように提案した。
「成長が遅かったり元気のない草花や木に、『励ましの言葉』をかけてあげて」
「試してみるもん!」
 フォレストボーイは花壇の近くに行くと声を掛ける。
「元気に元気に、大きくなるんだもん!」
 彼の言葉に合せエリカが祈りを捧げていると、花の色つやが良くなった。
「元気になってるもん!」
「好かったわね」
 フォレストボーイと一緒に喜んであげるエリカだった。
 そんなフォレストボーイを見ていたシャノンはポツリと呟く。
「もしかしたら、生まれ変わりなのかも?」
「そうかもしれないでありますな」
 聞こえていたオルタネイトは頷いた。

 そのあと、実り豊かなオルタネイトの育てた枝豆を収穫し終わるのに合せるようにして、ヒナの祖母がやって来る。

「運動場で、じっけんするの?」
 ヒナが話を聞くと、異世界人の【メフィスト】が来ており、色々と実験をしているという。
「それなら一緒に行きましょう」
 植物園に来る前に実験に協力していたエリカの言葉に、皆も折角だからと一緒に向かうことにした。

 運動場に訪れ、そこで実験に参加したり見学した後、学食に皆で向う。
 新メニューが作られていたので、試食を勧められ美味しく食べる。
 もちろん食べるだけでなく、料理を作っていく。

「枝豆は茹でに始まり茹でに終わるのであります!」
 最上級の枝豆に小細工は不要! とばかりに、最適の温度で茹で始めるオルタネイト。
「さぁ、食べるであります! しっかり食べれば、きっと育つでありますよ」
「うん、たべる」
 笑顔になって食べるツキに、オルタネイトも笑顔になる。
「やっぱり笑顔が一番でありますよ」
 オルタネイトと同じように、エリカも料理を始める。
「軽く塩ゆでをして、あとは枝豆ご飯。それにポテトサラダもあると良いかも」
 そこにアンリが手伝いを申し出る。
「手伝っても、良い?」
「ありがとう。助かるわ」
 出来あがった物を皆で美味しく食べる。
 エリカは豊穣の儀で全ての食材に深く感謝を捧げたあと、皆と笑顔で食事をとった。

 食べ終わり食後の一休みをした後、魔力探知機で気になるメフィストを、ヒナの祖母が案内することに。
 そこは霊樹のある場所ということで、皆も行くことにした。
 ゆっくりと皆で向う中、先に訪れている者がいた。

「元気に、育ってくれているんですね」
 静かな喜びを声に滲ませているのは、【メルシー・モーメント】。
 彼女が目の前にしているのは、新しく芽吹いた霊樹。
 メルシーが持っていた種から生まれた、新しい命。
 今この場にいるのは、彼女と霊樹のみ。
 そうであるからか、素直な気持ちを口にする。
「メイルシュトロームのとき、私はみなさんの想いを届けました」
 皆の知恵を高めるように、今も手にしている竜爪笛を奏でた。
 あの時は、学園存亡にもかかわる窮地だった。けれど――
「今はそこまで切羽詰まってはいません」
 だからこそ、叶えられることがある。
「ですから、わたし自身だけの想いを素直に伝えたい」
 新しく芽吹いた霊樹に、言葉を贈る。
「あなたが生まれてきてくれてよかった」
 彼女の言葉に応えるように、さわりと枝が震える。
 意志を持つかのような霊樹に、メルシーが何かを口にしようとした、その時――
「おねーさん!」
 学園生達と一緒に訪れたフォレストボーイが駆け寄って言った。
「ありがとうだもん!」
「ありがとう?」
「そうだもん! あの子が、植えてくれてありがとうって言ってるもん!」
 そう言って枝で示したのは、新しく芽吹いた霊樹だった。
「霊樹の気持ちが分かるのですか?」
「分かるもん! おねーさんが来てくれて嬉しいって言ってるもん! それにそれに――」
 なおも何か言いたそうだったが、巧く言葉が出て来ないようだった。
 そのあと、色々と言葉に詰まりながら自分のことを話すフォレストボーイ。
 そんな彼に、メルシーは特別な言葉は掛けない。なぜなら――
(フォレストボーイさんは歩きだしている、自分の足で。でしたらそこにわたしが過度に干渉するのは良いことではありません)
 けれど、それと同時に――
(ただ、知識はあってもそれを把握しきれていないなら、知識を把握するのはかしこさ、だから竜爪笛の音色を聞かせてあげます)
 それは知恵をもってひとを理解し、自らのものとする、メルシーの望む『叡智』。
(あなたがあの素敵なひとの思い出と寄り添えるように)
 想いを込めた竜爪笛の音色が響く。
 呼応するように、霊樹2本が仄かに輝き、古い霊樹に寄り添うように、おぼろげな光の塊が浮かび上がった。
 それを見たフォレストボーイは声を上げた。
「じぃちゃんだもん!」
 その閃きは竜爪笛により導かれた智恵の賜物。
 魂だけとなりながらも、霊樹を守ろうとするように留まるツリーフォレストマンに気付いた。
 けれどこの世界では、死から蘇れるのはヒューマンから変化したリバイバルのみ。
 それがこの世界の理。だからこそ――
「ひょっとするといけますかねー?」
 異世界人であるメフィストは、何かの切っ掛けを掴むように呟いた。



課題評価
課題経験:65
課題報酬:2000
学園での一日・魔物編
執筆:春夏秋冬 GM


《 学園での一日・魔物編》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 1) 2021-10-14 06:18:14
ふはっはー!
枝豆軍人、オルタネイト・グルタメート見参であります!!

自分は、植物園の手入れの課題をこなしに行くでありますよー

《虎児虎穴の追跡者》 シャノン・ライキューム (No 2) 2021-10-14 07:23:14
エリアルの教祖・聖職コースのシャノンです。出発間際ですが、よろしくお願いします。

私は、植物園近くの授業が終わって、休憩に入るところで小さなお客さん達と遭遇……という感じで動こうかと。

……って、えぇーーーっっ!?(動いてる若木に驚いた)

《新入生》 ヒナ・ジム (No 3) 2021-10-14 19:41:18
ヒナ・ジムです。ゆうしゃ・えいゆうコースです。
よろしくおねがいします(ぺこり)

おうまちゃんと、わかぎちゃんとおともだちになって、
いっしょにえだまめたべたいな!

そのために、ふたりをしょくぶつえんにあんないするよ!
まえに、おばあちゃまにつれてってもらったから、みちおぼえたし。

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 4) 2021-10-16 22:25:43
おー植物園で、皆さんに会えそうで嬉しいでありますよ

(本音;いっぱい布教ができそうで嬉しいでありますな←)

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 5) 2021-10-18 03:20:26
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

移動中に偶然見かけたということで、話に混ぜさせてもらうわね。
枝豆をご所望なら、やはりプロの元に案内しないといけないし
さらに言えば、ぜひ食べてもらわないといけないものね。
趣味で料理をするから、腕を振るわせてもらうわよ。

《光と駆ける天狐》 シオン・ミカグラ (No 6) 2021-10-18 20:45:47
すみません、少し体調不良でお休みしていました。
教祖・聖職コースのシオン・ミカグラです。よろしくお願いします。

私は霊樹の場には居合わせなかったですが、ケンタウロスの子にぜひ会ってみたいです。
それに、えだまめも!!

《新入生》 ヒナ・ジム (No 7) 2021-10-18 22:28:45
いよいよしゅっぱつだね!

ヒナは、しょくぶつえんまであるきながら、
ツキちゃんときーちゃん(と呼ぶことにしました)と
生い立ちから何から深くお話して仲良くなることについて
詳しく書いてみたよ!

あと、エリカぶちょおさんがおはなしにくわわってくれるなら、
ヒナも色々おはなしできるようお願い(ウィッシュに記載)してみたよ!
もちろん、枝豆料理をいっぱいたべられますようにってお願い(ウィッシュに以下略)したよ!

しゅっぱつがたのしみだね!

《新入生》 メルシー・モーメント (No 8) 2021-10-18 22:44:47
賢者・導師コースで学ぶメルシー・モーメントです。

「新たな霊樹」の様子を見に来ました。

よろしくお願いします。