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時の奇術師 ~聖魔ゲーム~


ストーリー Story

「皆さん、こんにちは。今日は僕達が君達の演習の臨時講師を務めるよ」
【ニルバルディ・アロンダマークォル】【稲葉・一矢】は二人並んで生徒達の前に立っていた。
 数年の間冒険者として世界で揉まれた卒業生たちからは油断ならない気配を感じさせる。
「今日は皆で聖魔ゲームをしようじゃないか」
 ニルバルディの提案に首を傾げる生徒達。
 生徒の中には聖魔ゲームを知っている者もいたが、演習場で武装をしてのゲームとなると一体何が行われるのか予想が出来ないようだ。
「この中に一人、聖人に化けた魔人が紛れていると想定する。そんな中で君達は魔王討伐を行うのさ」
 そう言ってニルバルディは角の生えたヘルメットを被る一矢を示す。
 目つきが悪く、腕組みをしてむすっとしている様子は魔王としては少々小物感を否めない。
「君達は魔王を討伐、その後演習場の出口へと向かってもらう。それで聖人側は勝利だ」
 彼の視線の先には出口がある。
「ただし、ゲートをくぐる時、そのメンバーの中に魔人が混じっていたら聖人側の負け、『戦闘不能になっていない聖人全員でゲートをくぐらなければならない』。そうでなければ魔王側の勝利となる。だからゲートをくぐる前に皆はメンバーの中で誰が魔人かを言い当て置いていかなければならない」
 そこでニルバルディは意地悪な笑みを浮かべた。
「まあ当然だけどそもそも魔王を倒せなかったら聖人側の負けだ。だから魔人は敢えて一矢に加勢して戦闘で聖人側を全滅させるという手に出ても構わないよ。裏切りの瞬間が鍵になるだろうね」
「なるほど、互いに疑心暗鬼の状況の中で、いかに普段通りに立ち回れるかを見るということですね」
 生徒の一人が納得して頷いた。
「けれどそれだと魔王側が有利じゃないですか?」
 そんな中、別の生徒が困り顔で手を挙げる。
「魔人役が全力で聖人側に加勢したら魔人の特定が出来ません」
 その分析にニルバルディはごもっともと頷き返した。
「うーん、そこは洞察でなんとかしてね、と言うことも出来るんだけど、門の前で不毛な口喧嘩なんて事になるのも困るからね。ここは一つルールを追加しよう」
 この中にはそもそも聖魔ゲームをよく知らない者もいるはず。
 そう判断してニルバルディは生徒の提案を受け入れる。
 果たして今の生徒はあの魔人の必勝法に気づいて発言しているか?
 そこまでは分からないが、現状では魔王側有利である状況に変わりはない。
「魔人役はある一つの行動がとれない、という制約をつけよう。魔人がその行動をとった瞬間聖人側の勝利だ。ちなみに制限される行動を知る者は、魔人役本人と魔王役の一矢、審判である僕だけだよ。そのあたりも考慮に入れて作戦を立ててね」

 演習場の真ん中で生徒達が作戦を話し合っている。
 そんな彼らを見ながら、ニルバルディと一矢はこの演習が開かれる前に訪れた学園長室を思い出す。
 学園長室、ニルバルディと一矢が揃ってこれまでの一連の事件について報告をしていた。
「学園長、以上が我々の報告になります」
「うむ、ご苦労」
 学園長席でふんぞり返り、鷹揚に頷いてみせるメメル学園長。
 表情こそ真面目を装っているが、その芝居がかった所作はこのシチュエーションを心底楽しんでいるらしい。
 しかしその愛らしい容姿と一矢から差し入れられた手作りチョコレートケーキのクリームが口の端についていて、せっかくの威厳が台無しになっている。
「それとメメル学園長。生徒達を派遣していただいてありがとう御座います。僕たちは本当に助けられました」
「……正直助かった。まさか助けを寄越してくれるとは思っていなかった」
 一矢も目を逸らしながらも礼を言う。
 そんな一矢の様子をメメル学園長はけらけらと一笑する。
「たとえ学園を卒業したとしても、教え子のために一肌脱ぐのは当然さ。それがたとえ、家族を救うためにすべてを投げ出して学園を飛び出していった生徒であったとしてもね」
「……チッ、こんな時ばっかり教師面しやがって」
「ふふっ、惚れ直したかい?」
「抜かせ。いつ俺があんたに惚れたって?」
「毎回お茶会で俺様にケーキを焼いてくれたじゃないか」
「あれは俺の食べる分だろうが。毎度毎度奪っていきやがって」
 そう言いつつも、一矢の頬は上気し瞳は揺らいでいる。
「ところで今のチミ達は時間がある訳だね。だったらお願いしたい事があるのだ」

「まさか生徒達に臨時講師として演習をしろとはな」
 一矢は目を伏せながら言う。どうやら学園中退という立場を後ろめたく感じているようだ。
「まあまあ。君の冒険者としての豊富な実戦経験は貴重だよ。それを存分に伝えればいい」
「つまりここにいる生徒共を全力で叩き潰せと?」
「出来るものならね」
 ニルバルディは不敵に笑う。
「なるほど、それは楽しみだ」
 そこに生徒達への強い信頼を見て取った一矢もまた不敵に笑い返す。
 一矢もまた先日の美術館での戦いで、生徒一人一人が油断ならない力と伸びしろを持っていることを理解している。今回の戦いは全力で挑まなければあっという間に潰されるだろう。
 それを見たニルバルディはにこりと微笑むと離れて集まり相談をする生徒達に向かって呼びかける。
「それじゃあ作戦は決まったかな? 準備が出来たならそろそろ演習を始めよう」


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 7日 出発日 2022-01-08

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2022-01-18

登場人物 2/6 Characters
《新入生》リリア・アンリエット
 ドラゴニア Lv4 / 魔王・覇王 Rank 1
(未設定)
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  

解説 Explan

称号:聖魔勇者、他

実戦方式の人狼ゲームです。
魔王役である一矢を倒し、ゴールを目指してください。
勝利条件は生存聖人全員が同時に門をくぐること。
敗北条件は『聖人の全滅』、誤った推理で『生存聖人全員がゴールできない』です。
魔人役は一人、参加メンバーの中に含まれます。
魔人は事前に行動が一つ制限されており、その内容は魔人本人と魔王役の一矢、審判のニルバルディのみが知っています。
魔人役は聖人に紛れるもよし、魔王に加勢して戦ってもよし。状況に応じて行動してください。
会議室では合同作戦を。個別プランでは聖人としての振る舞い他、魔人として制約される行動内容とそれを隠すムーブ、またどうやって魔王側を勝利に導くかについて教えてください。
一番面白いアイデアを出してくれた方を魔人役に任命します。


作者コメント Comment
皆様ごきげんよう、SHUKAです。
今回もよろしくお願いいたします。

今回は騙し騙され楽しい人狼ゲームをお楽しみください。
どんな駆け引きが見られるかとても楽しみにしています!



個人成績表 Report
リリア・アンリエット 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:聖人勇者
聖人と魔人の戦い!楽しみ!
聖人側の時はとにかく魔王を倒す!倒せちゃったら走る!これで焦った顔の人は魔人だよね!かけ引けでおびき出すのは楽しいよね!

魔人側になってもやることは変わらないよ!
でも制約に「魔王を攻撃しないを追加するよ!」
あからさまに当たらないというよりもギリギリ避けられるように攻撃する!





クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:魔人勇者
【聖人の行動】
一矢を倒しにかかる。全力でね
シーソルブで彼を弱体化し、高貴たる行いで聖人を強化。拮抗できそうな勝負に持ち込む
立体機動で捉えられないように動き、狙いすますような攻撃はそれを見越して物体透過でさらなる回避
アン・デ・フィアで動きを封じ込み、他の参加者にその隙を突いてもらおう
俺も、動きを合わせて電結変異を併用しダートガで勝負をつけに行く


【魔人の行動】
参加者の数も考慮し重めのハンデに
行動制限は『聖人に一切触れてはならない』
隠すための行動は、聖人と一歩常に距離を起き、戦闘中は不意な接触を気をつけて立ち回る
もし無事に一矢君に勝ってハイタッチを求められたりでもしたら、すぐに気づかれちゃうかもね?

リザルト Result

「パルシェちゃん、クロスちゃん、リリアちゃん! 一矢ちゃんをたおしておいしいけーきをいっぱいたべるよ!」
「ふえええ!? どうして私まで戦わされているんですかぁ!?」
「それはこっちの台詞だ! パルシェもパフェ目当てで流されたのを忘れたとは言わせねえぞ!」
 演習場の真ん中で【ルシファー・キンメリー】の大鎌と【稲葉一矢】の大剣が激突、その間を縫うように差し込まれた【パルシェ・ドルティーナ】の騎士剣を一矢は後方に飛び退いて回避する。
 二人は一矢と【ニルバルディ・アロンダマークォル】の元学友である。
 一矢が学園に戻ったと聞いて様子を見に来た二人は、ニルバルディに『勝ったらお菓子食べ放題』とそそのかされてまんまと演習に参加させられていた。
「貰ったああああ――っ!」
「うわっ、危ねっ! なんつー思い切りの良さだ」
 そこへ翼を広げ、滑空しながら魔力を込めた龍の爪で襲い掛かる【リリア・アンリエット】の攻撃を身を伏せてやり過ごした。
「ふふっ、カウンターは打たせない」
「やっぱお前が一番厄介だな、クロス。ってか俺の動き、研究してやがったな!?」
「お褒めにあずかり光栄だ。研究の気分転換での思考実験だったが、まさかこんな形で役立つとは思ってもみなかったよ」
「とか言いつつ、美術館でのいじりを根に持っての犯行じゃねえだろうな!?」
 一矢はにやりと【クロス・アガツマ】に獰猛な笑みを向ける。
 一方のクロスもニヒルな笑みで一矢の目を真っ直ぐに見返していた。
 以前共に依頼を解決したことがあるだけに、弱点もまた看破されているようだ。
 真っ直ぐに飛び込んで来たリリアへとカウンターの一撃を入れようとした途端、クロスのシーソルブで動きが鈍りタイミングを外されたのである。
 一矢は即座に体内の魔力を活性化させてシーソルブを弾き出しつつ立ち上がる。
 だがそこに三人の間断ない攻撃が続き、一矢に一切の反撃を許さない。
 特にリリアの思い切りの良さは攻撃の起点となる事が多い。
 伸び盛り特有の荒削りさがかえって予想のできない動きを生み出し、このパーティーを勢いづける原動力となっていた。
 彼女はきっと勇者として今後大きく成長するだろう。
「これならどうですか!」
「いい攻撃だ。だが真っ直ぐ過ぎる! もっと周りを見ろ!」
 一矢はリリアの攻撃を受け止め、追尾する後ろの二人の攻撃の盾とする。
 ルシファーはリリアの首根っこを掴んで引き剥がし、パルシェが一矢の反撃を遮った。
「魔王は全力で倒します! 次は絶対!」
「そのちょうし、そのちょうし! アタシたちがまもるから、リリアちゃんはおもいきりぶつかって!」
 リリアとルシファーはまるで姉妹のように息のあった掛け合いをしながら一矢に突っ込む。
 きっとこの二人、ゲームに勝ったならハイタッチで喜びを分かち合うに違いない。
(脳筋二人に連携が上手いパルシェ、そしてゲームメーカーのクロス、なんつー最強パーティーだ! 反撃の糸口がまったくねえぞ!)
 これで一人は手加減しているというのだからたまったものじゃない。
 仮にニルバルディが味方に加わったところで、この四人に勝つのは難しいだろう。
「そろそろ諦めてはいかがか? そもそも勇者達相手に一人で相手どろうというのが間違っていると思うのだが」
「普通はな! だからこそのゲームなんだよ!」
 講師として発言には返事を返す一矢。だがその言葉数はどんどん少なくなっている。
 そもそも同輩二人のゲスト参戦自体が想定外なのだ。
 そうでなければまだ別の展開もあっただろう。
 この二人を呼び寄せてしまった偶然の神をつい呪いたくなってしまう。
 これでは演習もなにもあったものではない。
 そんな逃げるだけで精一杯の状況で、しかし長年学園外の実戦で揉まれ続けた一矢はその程度のピンチにも怖気づくことはない。
 一矢は一つ大きく息を吸い込むと、声を張り上げた。
「今だ、パルシェ!」
「ふえっ!?」
 パルシェがびくりと動きを止める。
 一矢はパルシェを直視する。凝視する。信頼を込めた熱い視線を送る!
 ルシファー達から視線を外し、完璧な無防備で隙を晒している!
「まさか、パルシェちゃん――!」
「ちがいまっ――!」
 その迫真の姿に動揺したルシファーもまた動きが鈍り――。
 それは致命的な隙を生んだ。
「くっくっく、眼前で呆けるとは、さすがはのーきんだぜ!」
「ごはっ! だました、な……」
 にやり――酷薄な笑みを浮かべた一矢は大剣の腹でルシファーの頭を叩き、昏倒させた。
 ニルバルディが戦闘不能判定を出すと、二回戦に向けて戦いを見守っていた周囲の生徒達がルシファーを抱えて場外へと運び出す。
「そそ、そ、それでもキミは、ゆ、勇者ですか!?」
「なんだあ? ルシファーがいなくなった途端、急に弱気になったなあ、パルシェ」
 一矢が指を怪しくわきわきと動かすと、身の危険を感じたパルシェが体を抱いて後ずさる。
「む、昔は粗暴でしたけど、そ、それでも心根優しい人だと思っていたのに……」
「世の中、綺麗事では回らないんだぜ?」
「うわあ、言動が完全に悪役になってる。ってか仮にも講師がそんな発言しちゃダメでしょ」
 ニルバルディはパルシェで遊ぶ一矢に苦笑する。
「しかも完全に小物のそれだな。仮にも魔王役が嘆かわしい……」
 クロスも額に手をやり首を左右に振る。
 完全に油断しきっていた。
 それというのも、クロスもまたリリアをアン・デ・カースの鎖で捕えていたからである。
 彼女もまた、一矢の捨て身の演技に騙された一人だった。
 抜け目ないクロスは当然その隙を逃さなかった。
 頭が回る彼は、勝負どころで勝機を逃さない豪胆さをも兼ね備えている。
 実戦で培った勇者としての経験は先輩勇者達をも凌駕するのであった。
「勝負ありだな、パルシェ。このまま降参するかあ? それとも勇者らしく抵抗するかあ?」
 しかし調子に乗って煽ったのは愚策である。
 ここは勇者の育成学校。
 仮にも勇者や魔王を目指す者達が悪をのさばらせたこの状況を指を咥えて見ているはずが無い。
「ボクがキミの目を覚まさせます! 優しかったキミをボクが取り戻してみせます!」
「えっ、ちょっと?」
 涙目になりながらも、しかし決然とした顔つきで騎士剣を構えるパルシェ。
 そしてその奮起に呼応した者がもう一人……。
「勇者たるもの、人前で跪くなんて有り得ない!」
 魔力が高まり、全身を竜の鱗で硬質化させたリリアがクロスの呪縛を打ち払った。
「ちょっ、待っ――! これは冗談――」
「ではあとは貴方にお任せしよう」
「おい、こら! 魔王を裏切るのか!? クロス!」
「人徳の問題だな。立場にふんぞり返っているからそうなる」
 巻き込まれてはたまらないとばかりにクロスはすでに場外まで避難している。
 頭が回る彼は、勝負どころで勝機を逃さない豪胆さをも兼ね備えている。
 それは相手の勝機であっても例外ではない。
 置いていかれた一矢は助けを求めるが、誰もが冷ややかな目で彼を見るだけであった。
「本物の魔王の力、見せてあげるから! この変態!」
「さあ勝負です! シスコンでお菓子作りだけが取り柄だったあの頃に戻ってください!」
「どさくさに紛れて悪口混ぜるんじゃねええええっ!」
 にじり寄るリリアとパルシェ、じりじりと後ずさる一矢。
 それは誰もが見た事がない、彼女達すら知らない本気の力だったのかもしれない――。

「まさかパルシェやリリアがキレるところを見る羽目になるとはな」
「本人達はよく覚えてないみたいだけどね。僕もびっくりだよ。まさかあんなにも凄い力を秘めていたなんてね」
 気がつけば見覚えのある懐かしい天井だった。
 それを思い出しながら調理室でボールをかき混ぜながら菓子作りをする一矢は盛大に溜息を吐く。
 体中の包帯、何が起こったのかは思い出したくもない。
「アタシをさしおいて魔王をかたるなどかたはらいたいのだ! けどおいしいからゆるす!」
「パフェ、おいしいですう。幸せですう……」
 至福顔のルシファーとパルシェ。
「これが噂に名高い一矢先輩のお菓子なんだね。うん、ほっぺたが落ちそう。実家でシェフとして雇いたいくらい」
 リリアもうっとりとした顔で一矢の作ったケーキを堪能している。
「ふむ、たまにはこういう趣のティータイムも悪くないな」
 クロスもケーキとコーヒーを前に、本を片手に優雅な時間を過ごしている。
 他にも今日の演習に参加した満足げな顔でお菓子を食べる生徒の面々。
 お菓子は美味い、性格はクズ。
 そんな会話が調理室中に飛び交っている。
「うっ……」
 自業自得とはいえ、あまりの評判に一矢は胸をナイフで刺されたかのような痛みを覚えた。
「けどまあ……」
 自分の作ったお菓子で生徒達が笑顔になっている。
 それは在りし日の学園を飛び出す前はよく見ていた光景だった。
 それを見ると一矢は帰ってきたと実感する。
 あとはそこにもう一人だけ……。

 その数日後、そのもう一人がまさか学園を訪れる事になるとは。
 最後の戦いが待ち受けている。



課題評価
課題経験:65
課題報酬:2000
時の奇術師 ~聖魔ゲーム~
執筆:SHUKA GM


《時の奇術師 ~聖魔ゲーム~》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!