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BLACKOUT


ストーリー Story

 赤ん坊が泣いている。
 いまにも殺されそうといった勢いで、爆発的に泣いている。
 かまどの前に立った母親らしき女性はなにもせず、立ち尽くしているだけだ。
 火にかけられた大鍋が煮えている。
 煮えているなどといった穏やかなものではない。シチューは吹きこぼれる寸前だ。表面には泡がたえず泡が浮かび、破裂してはまた新しいのが生まれている。
 赤ん坊は毛布を蹴りのけ、籐編みの籠から飛び出してしまいそうだ。
 鍋はもう、軽く手で押しさえすれば溶岩のような中身をぶちまけるのではないか。
 それなのに、女は口を半開きにしたままぼんやりとしている。
「ここは……」
 まるで寝言のように、ぽつりと女はつぶやいた。
 家の戸口には男が立っている。開いたドアを黙って見つめ、こわごわと中をのぞいて、室内に入りかけたものの体を戻した。赤ん坊の泣き声が気になるのだが、自分が行くことにはためらいがあるようだった。
「おうい」
 男は間の抜けた声で呼びかけた。
「おうい、なんとかしたほうがいいぞ、あんた」
「え……?」
 女は蝋が溶けるように鈍くまばたきすると、周囲を見渡して誰もこの赤ん坊を抱くものがないと知った様子だ。仕方なくこわごわと、手負いの獣に触れるようにして赤ん坊を抱き上げた。
 男は首だけのばしその様子を見て、じりじりと後ずさっていった。
 ここはどこなのだろうか。
 自分は、誰なのだろうか。
 あの女は? 赤ん坊は?
 あの建物は?
 仕事を終えた村人が妻子の待つ自宅に戻ってきた光景――だったのだ。ほんの少し前までは。
 村人の背が見知らぬ姿にぶつかった。いやこのとき男にとっては、自分を含むすべてが『見知らぬ』存在であったのだが。
 振り向いて、村人は彫像のように身を固くした。
 先頭にいるのはヒューマンらしい。襟元までしっかり締めた、濃い紫色のフロックコート、ぴったり七三に撫でつけた髪も紫で、ふくよかな、というより小太りといったほうがいい体型をしている。つま先がとがった緑のブーツを履き、左手には象牙色のステッキを握っている。背はやけに低く、鏡のようにぴかぴかした銀縁の眼鏡をかけていた。年齢不詳だ。年寄りのようでもあるが少年のようにも見える。
 強い印象を与えるのは、男に浮かぶニヤニヤ笑いだった。口元からのぞく、荒目のノコギリのような歯が恐ろしい。ヒューマン種のようだからあれは牙ではなく入れ歯だろう。さもなくば自分で削ったというのか。
「あの……あんた様、もしかすっとオラのこと、知りませんか?」
「知らんね」
 ダッフルコートの男は、どんと右手で村人を突き飛ばした。小さいのにすごい力だ。村人はたまらず尻餅をついてしまう。
 男は歩き出す。
 村人はそのまま言葉を失った。
 ダッフルコートの男につづいて、幽鬼のような集団が続いていたからだ。十人はいるだろうか。そろって同じ扮装。全身が黒。背はひょろりと高く、手足がまたアンバランスなまでに長い。目にあたる部分にハンカチほどの白い布が垂れ下がっている以外は黒づくめだ。影が地面から立ち上がって歩き始めたかと錯覚してしまう。
 もうひとつ村人を怯えさせたものは、影のうち二体が、引きずるようにして、ひとりの男を運んでいることだった。狼ルネサンスの男らしい。ひどく傷つき、顔にも紫のアザがある。これほど血と土で汚れていなければ、耳の毛はきっと銀色に見えただろう。
「つまらんなあ」
 ダッフルコートの男――【ガスペロ・シュターゼ】は振り返った。
「そう思わないか?」
 振り返った拍子に、ステッキの尖端にぶら下げられたランタンの灯が揺れた。
「一般的な村人の記憶などたかがしれている。奪っても得られる力は微弱だ」
 引きずられていた男が、首だけ上げて片目を開けた。
「だったらフトゥールム・スクエアでも襲ったらどうだ? さぞや濃い記憶が集まるだろうぜ」
「知ってるだろう? ルガル君、私はそういう無謀をしないのだよ。『彼』の持っていたものに比べれば、これなんてまだ玩具(オモチャ)さ。実用に耐えるものにするためにはもっと使い込まないとね」
「てめぇには過ぎた玩具だよ、ブタ野郎」
 ガスペロは黙って、【ルガル・ラッセル】に近づくとその頬を張った。やはりすごい力だ。鞭で打たれたようにルガルの首は真横を向く。
「立場の違いを考えたまえ、ルガル君」
「……ジャックの小間使いだったてめぇが、いっぱしの悪党気取りか」
 しかしルガルには、憎まれ口をやめる気はないらしい。
「こそこそしやがって。しょせん小間使いは小間使いだってことかよ」
 ふん、とガスペロは鼻を鳴らした。
「目立っちゃいけないんだ。私はね。殺しや火付けをするわけじゃない。大事件のかげで静かに動く。動いて少しずつ力を蓄える。まあ、しばらくの辛抱だ」
「なら、さっさと俺の記憶を吸い取って力に変えやがれよ」
 それができたら、とガスペロは言った。
「とっくにそうしてる」
 まだ、夜と呼ぶには早い時間帯だ。夕方にしたって明るすぎる。
 なのにガスペロがもつ杖、そこに吊されたランタンには紫色の炎が宿っている。

 ◆ ◆ ◆

「不穏な話があるのだよ」
 と【メメ・メメル】は腕組みして言った。
 教室の一角、集まった生徒たちを前に、メメルは彼女にしてはめずらしい曇り顔を見せていた。
「チミら覚えとるか? ハロウィンの夜、【ジャック・ワンダー】を筆頭にした一派がリーバメントの町を襲い、巨大な魔法陣でなにかを呼び出そうとしていたことを」
 ジャックは、大鎌の先にランタンをぶら下げていた。ランタンから発する炎は、これを浴びた者の記憶を奪う力を有する。
 ジャックはフトゥールム・スクエアに倒され、カンテラも魔法陣も破壊された。ジャックの部下【ジョン・ドゥ】も消滅した。唯一、一味のルガル・ラッセルというルネサンスだけが逃れたが、以後目立った行動はしていないようだ。
「それなのにな」
 最近、ジャックの力を彷彿とさせる事件が三度、立て続けに起こったというのだ。
 いずれも舞台は、辺境の小さな集落だ。ある一日を境に、集落の住民全員が記憶をなくしてしまったという。住民はせいぜい十数人で、村と呼ぶにしても小さい規模だが、集落丸ごと記憶喪失となれば話は穏やかではない。
 二度目の事件のおり、偶然村の外にいた住民が下手人とおぼしき集団を目にしている。リーダーらしき人物は紫色の服を着た小男、それ以外は影のような姿だという。
「死傷者が出たというわけではないのだな。物盗りもない……といってもなぁ~、ほっぽっておくわけにはいかんよコレは。記憶泥棒ってのは、金品の泥棒よりある意味ずっとたちが悪いからな!」
 集団が訪れていたのはともに、リーバメントよりずっと小さい規模の集落だ。
「小さな集落しか襲う力がないのか。大事件にならんよーにしているのか。んー、しかしとっちめるほかないな、と思うわけだオレサマは!」
 一計を案じた、とメメルは言った。
「連中の移動ルートから予測できる地点に、住民が見捨てて廃村となっていた地域があるのだ。ここに罠を張る! つまり村人の振りをして、記憶ボードロを待ち構え返り討ちにするってえ寸法よお☆」
 ボードロ? と生徒のひとりが聞いた。
「ギョーカイ用語だよギョーカイ用語♪ 泥棒のことな☆」
 なんの業界だ。
 メメルの作戦は短絡的だが、案外こういう単純な仕掛けのほうが成功したりするものだ。
「ところで集団が来なかったら?」
 また別の生徒が訊いた。
「一週間くらい村人ライフを堪能して帰っといで♪」
 オイ。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 7日 出発日 2020-03-13

難易度 難しい 報酬 通常 完成予定 2020-03-23

登場人物 8/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《勇往邁進》リズリット・ソーラ
 カルマ Lv17 / 魔王・覇王 Rank 1
ぼんやりとした表情の記憶喪失のカルマ 男の子なのか女の子なのか自分でもわかってない 口調がとても特徴的 外見 ・黒色の髪に金の釣り目 ・短髪だが、横髪だけ長くそこだけウェーブ ・基本的に無表情 ・魔法陣は右手の甲と左足の太ももの内側 性格 ・基本的にぼんやりとしている ・自分が色々と物を知らないことは何となくわかっているので、色々と勉強したい。最近はとある演劇の課題を通じて物語作りに少し興味を持ち出している ・独特な口調の持ち主(所謂関西弁) ・時折「雑音がする」と元気がない時がある 好きなもの ともだち、きれいな音 嫌いなモノ 人形扱い、雑音、■■■■ 一人称「うち」時々、戦闘中気分が昂ると「ウチ」 二人称「きみ」 名前の呼び捨て
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。
《甲冑マラソン覇者》朱璃・拝
 ルネサンス Lv29 / 武神・無双 Rank 1
皆様こんにちは。拝朱璃(おがみ・しゅり)と申します。どうぞお見知りおきを。 私の夢はこの拳で全てを打ち砕く最強の拳士となる事。その為にこの学び舎で経験と鍛錬を積んでいきたいと思っておりますの。 それと、その、私甘い食べ物が大好きで私の知らないお料理やお菓子を教えて頂ければ嬉しいですわ。 それでは、これからよろしくお願いいたしますわね。
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《人たらし》七枷・陣
 ヒューマン Lv18 / 賢者・導師 Rank 1
異世界:情報旅団テストピアという所に住んでいたが、とある仕事の最中に、この世界に強制転移してしまった。 普段は一人称おじさん。真面目、シリアスな場合はオレ。 本来は50手前のアラフィフおじさんだが、何故か30歳以上若返ってしまった。強制転移した経緯が原因と思われるが真偽は不明。 普段はいかに自分の得意分野だけで楽出来ないかを考えているダメ親父的な人間。 自分や同行する仲間が危機に陥ると気合いを入れて打開しようと真面目モードに。 厄介事に巻き込まれるのは嫌い。お金にならない厄介事はもっと嫌い。でも一度関わってしまったら何だかんだ文句言いながら根気よく取り組む。 やれば出来る人。でも基本ダメ人間。 恋愛事は興味をあまり示さない枯れ気味な人。超若返っても現状は変わらず。 どうにかして元の世界へ戻る為、フトゥールム・スクエアに入学。 転送、転移関係の魔法や装置を徹底的に調べる事が目下の目標。 魔法系の適性があったらしいので、雷系を集中的に伸ばしたいと思っている。自前で転移装置の電源を確保出来るようにしたいのと、未成熟な体躯のフォローとして反応速度メインの自己強化が主な理由。理想は人間ダイナモ。 転移直前まで一緒にいた仲間の女性3名(マナ、マリア、マルタ)の安否を心配している。 「はぁ~…どうしてこんな事になったんだ?…おじさん、ちゃんと元の世界に戻れるんだろうか…こんな厄介事は前代未聞だよ…トホホ」

解説 Explan

 ある廃村に入り、村人になりすましてすごします。
 もちろんこれは記憶を奪う怪人【ガスペロ・シュターゼ】を待ち受けるための罠です。数日のうちにガスペロは訪れますので、撃破して下さい。(ただしそれがいつになるのかはわかりません。時間帯についても同様です)

 なんらかの方法でガスペロは村人全員の記憶を一気に奪う行動をとります。しかしこれは最初の一回だけで、フトゥールム・スクエア生として一定の訓練を積んでいるPCであれば無効です。
 ガスペロは、かつてジャックと組んでいた【ルガル・ラッセル】を連れていますが、そのことをPCは知りません。

 ガスペロ一派を倒し、ランタンを破壊もしくは奪取できれば成功です。

☆登場キャラクター
●ガスペロ・シュターゼ
 初登場キャラクター。奇抜なセンスのファッションに身を包んだ眼鏡の男です。背は低く小太りですが腕力は相当のものがあります。記憶を奪うランタン(かつてジャックが所有していたもののレプリカ?)を持っており、ここから炎を飛ばして当たった相手の記憶を吸い取ります。
 といってもランタンの力はジャックのもっていた『オリジナル』に比べればとても弱く、まともに正面から浴びても、フトゥールム・スクエア生として訓練しているPCであれば数秒記憶が飛ぶ程度です。

●影兵
 ガスペロの手下です。感情もなく体温も氷のように冷たく、ただガスペロの命じるままに襲いかかってきます。生命力が尽きると四分五裂して消えてしまいます。
 攻撃方法は素手による打撃が中心、ジャバウォックよりは弱いがゴブリンよりはよほど強いといった程度です。十体程度が出現します。

●ルガル・ラッセル
 全身狼の姿だったものが、通常のルネサンスに戻っています。ですが目つきや口調、声は同じなので、かつて遭遇したPCであれば彼のことはわかるでしょう。
 ルガルも強力な存在なので、ガスペロは彼の記憶を奪うことができていません。少なくとも現時点では。


作者コメント Comment
 通常エピソードではお久しぶりです! 桂木京介です。

 本作は構造としては単純かもしれませんが、ところどころに工夫が必要なエピソードといえましょう。
 そもそもの『村人の偽装』が下手だとガスペロたちは近寄ってきませんし、なんとかだませても用心しながら近づいて来るはずです。エピソードガイドには書けませんでしたが、廃村はかなり荒れていますので、生活感を出せるかどうかも成功の鍵となるでしょう。
 一派が出現しても、どう接触するかに注意が必要でしょうね。隠れて襲撃するか、記憶がなくなったふりをして油断させるか……?

 後半は戦闘になるでしょう。
 このときルガルがどう動くかは、あえて書いていません。敵の敵は味方、と加勢してくれるのか、恨みつのるフトゥールム・スクエアに牙を剥くのか? それに、弱っている(しかも獣化の解けている)彼にどこまでの行動ができるのでしょうか?

 次はリザルトノベルで会いましょう!
 桂木京介でした。


個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:162 = 135全体 + 27個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
目的
事件再発防止(ランタン確保・無理なら破壊)
ガスベロとルガルの確保(取り調べ)

待ち伏せ
一味が襲撃を行うよう、不審に思われない為に生活感を演出
道の穴や障害物を片付け、往来している様に整備
調理を行い、煙突の煙や食べ物の匂いを漂わせる
洗濯物を干したり屋外で草を刈る老婆の演技

学園生の姿を見せると警戒されそうなので制服や校章の見えない服装をする
仲間にも隠すよう指示
自分は厚手の布をフード付きマントの様に被り、頼りない老婆に変装

一味が襲撃を行うまでは村への客として扱う
大道芸人等を装っていたら、観客として村人(仲間)を呼ぶ

ランタンには気を強く持ち抵抗
記憶を奪われた演技で油断を誘い、仲間と目配せで合図して反撃

リズリット・ソーラ 個人成績:

獲得経験:202 = 135全体 + 67個別
獲得報酬:6000 = 4000全体 + 2000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
どうしてまたそんな事件が…
これ以上記憶は奪わせない、ここでうちらが止めたる

・準備
村人変装用の麻の服
薪割り用の斧
軍手

・行動
武器は予め廃屋に隠しておく
薪割りを手伝う少年(?)として
火おこしや家事を手伝うために軍手をして薪を運び
廃屋になければ周囲の森から薪割りにいく
ガスベロが来た際は興味をつられた体で薪を持ったまま
ランタン発動後は驚きながら薪を落とし
戸惑うように家を探す…ふりをして武器を手に

・戦闘時
【武器破壊】でランタンの破壊を
敵数>味方数時【死滅願望】発動
味方の阻害となる影兵の排除へ
仲間への攻撃を少しでも減らすべく積極的に前へ出る
体力が尽きれば【リブート】で復活
集中攻撃は【無痛の痛み】で堪える

クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:162 = 135全体 + 27個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
皆と、廃村で村人のフリをする
厚手の布を外套代わりに巻き、没個性な村人を演じていよう
村の回りや道を掃除して、人が生活できそうな場所に見せるようにしておく
あとは……俺は夜中に目立たぬよう番をし集中して見張っておこう
斥候が来る可能性もあるからね

誰か村に来たらすぐに皆に知らせ対峙する
記憶を奪われたら自分のことを訊ねるフリをして記憶泥棒に近づく
手を出されたら幽体化ですり抜けざまランタンの強奪を狙う

戦闘は自然友愛とプチダートで主に頭や脚などを狙う
隙が必要なら、強奪を狙った際触れていればリバイバルの再現能力を駆使しランタンを奪ったように見せてみる
僅かな時間でも荒い作りでも構わない、一瞬動揺させるには充分だ

ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:202 = 135全体 + 67個別
獲得報酬:6000 = 4000全体 + 2000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
◆生活感
水場の井戸や水路はきれいにして、水を確保できるように
水車があるなら使えなくても掃除はしておく

周囲に柵があれば修理し、畑があるなら所々耕したり草むしり

家屋もある程度は手入れし、道にも車が通った轍の跡を残し、人の行き来があるようにみせて

風にはためくお洗濯物も生活感

等、必要なものは道中で手配し可能な限り準備

◆設定
亭主を兵士にとられて、ひとり村で帰りを待つ若妻に扮して
洗濯や炊事をこなしつつ、村に来訪者があれば亭主の帰りかと村の入り口まで見に行ったり

地味な衣装に髪型を変え変装

◆応戦
記憶を奪われそうになったら、奪われたふりして敵を油断させる等、仲間と足並み揃え応戦
祈祷で回復しつつガスペロへ重力思念

朱璃・拝 個人成績:

獲得経験:162 = 135全体 + 27個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
記憶を奪うという一連の出来事から全校集会で対峙したルガルがいる可能性もあるので髪型をポニテにし、伊達眼鏡をかけ、化粧品セットで化粧し変装。匂いも土や魚の匂いをつけ変えておきますわ

廃村にある程度人が住んでいる雰囲気を出したら、私は陣様の近所のお姉さんという役回りで悪戯好きな陣様を追い回す日常を演じ生活感ある喧騒を演出

ガスペロが大道芸人乃至旅人の姿で私達を集め記憶を奪う場合、演技を使い記憶を奪われた振りをしつつうっかりと言う様子で影兵達の足元に油をぶちまけ滑るようにし、油断した所で精密行動と武器破壊を用い全力攻撃でランタンを攻撃。影兵は魔牙とドドで対応。もしルガルと戦う時は祖流還りで全力攻撃を

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:162 = 135全体 + 27個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
まず超大型商業施設「クイドクアム」によって食べ物や燃料、古着、そしてニワトリをかっていきます。

ニワトリの鳴き声は生活感をかんじさせてくれるとおもいます。

村についたらおそうじおかたづけ。
いらないものは空き家にどんどんいれていきます。

そして生活感を出すため、時間にあわせて
空き家のかまどに火をつけてけむりをだしたり、夜の灯りをつけたりします。
晴れなら洗濯した古着を外のあちこちに干します。
わたくしはじみな服ですし、外では村のふつうのおんなのこのふりしてます。

たたかいでは楽器「天使の歌」を「演奏」の技能でつかって
みなさんのけがをなおします。

楽器効果:射程内の自分を除く味方全員のたいりょくを30回復する。

チョウザ・コナミ 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:405 = 135全体 + 270個別
獲得報酬:12000 = 4000全体 + 8000個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
記憶消える状況現状的に、もしかあのランタンだったり?
まだ在庫あったんだあれ。固有個性じゃなし量産品なわけ?つまんな。
でも今回こそ破片は持って帰りたさ。あの時は拾い損ねたし、髪飾り作りそこねたしね。

で、この辺を元凶原因な集団通るだろって。ふーん。
いつ来るか分から謎いのめんどいし、大体ここまで来んのに最低どんだけかかるだろーって【推測】しよーよ。張り詰め継続つかれるし。

しかも現状で学園生の襲われ形跡が虚無な時点で、恣意じゃなく故意でしょ。
服でバレないようにしとこ。【シャドウベール】で顔隠す…ゆーしゃ様も多いね。
あれか、これが村の局地的流行り。

ザコちゃん何役?
汚れ役でいーよ。現実味あんでしょ?ふふ。

七枷・陣 個人成績:

獲得経験:162 = 135全体 + 27個別
獲得報酬:4800 = 4000全体 + 800個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
ガスベロ一派をハメてぶっ倒し、ランタンを破壊する

【行動】
事前準備
水筒に塩水を満タンに入れておく
廃村の家を掃除して片っ端から焼き魚を焼き、スープを沸かして煙突から煙を立ち込め生活感を演出させておく

村の悪ガキになりすまし、朱璃と協力してワイワイ騒ぐ
口調や態度も年相応なガキンチョとして振る舞う
ガスベロに記憶奪取を起こされたら、普段の自分に戻ってぼーっとした感じで対応
初見での印象と違う事で、奪取成功を誤認させる

精密行動でガスベロに水筒に入った塩水を全身に確実にぶっかけてずぶ濡れにして
ありったけの魔力全部のプチラドを何度も叩き込んで高い効果の感電ダメージを狙う

倒してランタンを手にしたら即ぶっ壊す

リザルト Result

 奇妙な出で立ちの男だった。
 トランプでいうところの道化(ジョーカー)の札に似ている。
 尖端が三つにわかれた奇妙な帽子、それぞれの先には松かさほどの鈴が垂れ下がっている。帽子のカラリングは濃い紫色と薄い紫だ。帽子の下の髪も、着用しているフロックコートまで紫色をしていた。
 釣りで使うウキのような体型。笑みを浮かべているがニヤニヤとして薄気味悪く、あまりいい印象は与えないだろう。
「そろそろ」
 と【ガスベロ・シュターゼ】は振り返って告げた。
「まぬけ学園の連中も動き出すころだろうしねえ。用心はしないと」
「……あまり、フトゥールム・スクエアを舐めてかからんほうがいい」
 狭い檻車(かんしゃ)の内側、膝をかかえたまま【ルガル・ラッセル】は暗い目で告げた。
「罠を張って待ち受けているかもしれねえ」
「だからこうして偵察しているんじゃないか」
 まもなくして鴉(からす)が一羽、音もなくガスペロに向かって飛んできた。よく注意して見る者があれば、鴉には地にさす影がないことに気がついたかもしれない。
 鴉は速度を落とさない。泳ぐようにガスペロの顔をまっすぐ目指す。
 あわや衝突ということろでガスペロは口を大きく開けた。
 たちまち鴉はすうっと霧状になり、彼の口に吸い込まれたのである。
 やはり一音とて立てることはなかった。
「ふぅん」
 くちゃくちゃと口を動かしていたガスペロは満足げに告げた。
「ただの村、だね。再建中の」

 ◆

 小さく黒いものが頭上を横切ったが、【リズリット・ソーラ】は空を見上げなかった。野鳥かなと思うことすらなかった。このあたりでは珍しくないからだ。
 決して上等には見えない手斧を、黙って振り上げて振り下ろす。そのたび、ぱこっと小気味いい音が立った。
 未来に希望を抱きもせぬが、かといって絶望もしていないという表情だ。ただ黙々と、リズリットは薪割りを繰り返している。懐かしい感覚があった。リズリットにはかつて、魔法使いの家で従者をしていた経験があるのだ。
 身につけているのはつぎはぎだらけの麻の服、それに薄汚れた軍手だ。服は肩口と裾が綻びているが、軍手のほうに穴はない。これはたまたまではない。頑丈なものを選んで、しかも二重にしてはめているのだ。
 理由について聞かれたとき、リズリットはこうこたえていた。
「念には念を、カルマがこの辺で珍しかったら怪しいやろ」
 カルマ特有の手の甲は隠しておきたかった。少々の距離があっても、そこに刻印された魔法陣は見えるだろうから。
「精が出るね」
 熊のようにのっそりと通りかかった村人――【クロス・アガツマ】がリズリットに声をかけた。
 言葉通りの挨拶ではない、『現時点では異常なし』の合言葉だ。
 了解、の意味でリズリットは片手を上げる。
 クロスは厚手の布を外套がわりにして、いくらか背をかがめて歩いていた。彼の口調がぼんやりしているのは、すべて演技というわけではない。クロスはここ数日、夜中に目立たぬよう番をつとめていたからだ。昼夜逆転気味なのである。
 肉体を持たぬ魂霊(こんれい)たる身に、睡眠が必要なのかどうかはわからない。だが少なくともクロスにおいては、習慣的として夜に眠らなければ、とろとろとした眠気に襲われることは事実だ。
 根比べだね、とクロスは思う。
 待つこちらと、待たれる集団の。
 クロスは到着すると、まずこの『村』の周辺や道を掃除することからはじめた。廃村という印象を与えたくなかったからだ。
 といっても、少なくとも一年は見捨てられた村なのだ。たちまち生活感を取り戻すことは難しかった。けれど到着早々、
「ぶっちゃけさぁ」
 すぐに状況を把握して、【チョウザ・コナミ】は言ったのである。
「騙せるくらい完璧な生活、ゆーしゃ様たち必死しても無理でしょ。ザコちゃんたち大工でも職人でもないし。だからさ『復興中』をやればいーんじゃん? その方が現実味」
 一同はチョウザの考えに同意し、かくして現在、彼らは村を復興しながら生活している風を装っているのだった。
 なので、
「ああやだやだ、長くほっぽっておかれたらこれだもの」
 という【エリカ・エルオンタリエ】の言葉も心からのものだ。エリカは小さな鎌を使って周辺を整えている。たくましく育った雑草はまるで、数千個びっしりとならべたタワシだ。おそろしく芯が硬いうえに、刈っても刈ってもきりがない。
 だがその言葉こそ本心ではあるものの、口調や声色まで本物とは限らない。
 現在エリカの声は、老婆のそれに近いしわがれたものだ。声にとどまらず厚手の布をフード付きマントのようにかぶって、できるだけ身を小さくして年寄りに扮している。
「まってー」
 両手を前に伸ばしてぱたぱたと、【レーネ・ブリーズ】が駆けてくる。レーネもまた粗末な衣装で、村の少女に姿を変えていた。追いかけているのは褐色の鶏だ。コッココと勢いよく鳴き、砂を蹴立て羽根をバタバタさせながら逃げていく。
「つかまえてー」
「あいよ、大変だねえ」
 エリカが立ち上がろうとするがそこは老婆という設定、そうそう機敏に動くこともできない。
「あいたたた……腰がアレで急には動けんねえ」
 あれよあれよと言う間にエリカの目の前を鶏と、つづいてレーネがかすめていった。
 鶏とレーネの追いかけっこは、そのまま水車小屋に向かった。この水車は壊れており実用にはたえないが、【ベイキ・ミューズフェス】が掃除していたこともあり、すぐそばの小川には清浄な水が流れている。
 水車小屋の先、
「え? 鶏?」
 洗濯物をを干していたベイキは、冷たく大きなシーツをめくって鶏とレーネを見た。
 ベイキも姿を変えている。古びた麻の服でひっつめ髪、生活に疲れたような装いである。ふだんのきらびやかなイメージはたくみに隠していた。
「いけない……!」
 籐編みの籠に手を入れていたベイキだったが、干すために出しかけた白いものを慌てて籠に戻した。頬がかっかと赤い。
 ベイキが干しかけていたもの、それは正確には『白いもの』ではなかった。白地にイチゴ模様の下着であった。
 いちごぱんつ、そう呼ばれることもある。
 どこかの言い伝えによれば、魔界と化した村を、この下着一枚きりを着用した騎士が救ったことがあるそうな――そういった由緒正しきものではあるが、夫を兵士にとられた若妻(と、いう設定)のベイキにはやはり気恥ずかしいものがある。
「そっちへ行きました。捕まえられますか……?」
 というベイキの声を聞き、あぁん? と足を止めたのは【朱璃・拝】だ。
 この顔ぶれで、もっとも普段との落差が激しいのは朱璃ではあるまいか。髪はポニーテールに編み直し、その上に手ぬぐいのほっかむり、さらには分厚い伊達眼鏡をかけ、巧みなメイクでぱっとしない風貌に変身していた。厚着して体型も寸胴に見せかけている。
 朱璃は荷車を引いていた。遺棄物を修繕したもので、荷台には農具や肥料などがうんと詰まれている。朱璃に限らずベイキもできるだけ荷車を使うようにしていたので、『村』の道には車輪の通った轍(わだち)が大量に残されていた。
「ええー?」
 あえて朱璃は間延びした声で言ったが直後、背後から鶏に飛びついて、右手で両翼をつかみ左腕で抱きかかえるようにして捕まえていた。素早い動きだ。もちろん、常軌を逸しているほど素早いところは見せていない。
「いーね、やるもんだね」
 まとめた瓦礫に巻き付けたロープを、ぐいぐいと引きながらチョウザが告げた。ナイフの刃みたいな薄笑みをうかべたまま、何気ない様子で村に続く山道に目を向ける。
 チョウザは瓦礫を集め、建築物の土台部分を組んでいた。実際に住めるレベルにする必要はない。ベースだけで十分だ。こうすれば村は再建中に見えることだろう。
 それまで朱璃に拍手していたレーネだが、チョウザに気付くとやはり、自然な口調で問いかけた。
「そっちのようすはどうですか?」
「まー急げば今日夕方あたり、基礎っぽいの終わるんじゃない? みたいな」
 これも符牒である。
 事前にチョウザは周辺地形を調べ、記憶を奪う集団が注目を浴びずに『村』にたどり着くには、どれくらいの時間が必要なのか推測していた。最速であれば『今日の夕方あたり』から可能性があると言いたいのだった。
 もちろん、敵が夜を徹して移動するなど無茶をやるとすればこの推測など成り立ちようもないため、今日までずっと夜間の見張りをクロスがつとめていたりもする。けれどそれはあるまいとチョウザは判断していた。
 敵はできるだけ目立たぬよう移動していると考えられる。昼夜兼行の強行軍などすれば、目立って仕方がないだろう。
 いつ襲撃があるか読めない――チョウザ風に表現すれば『いつ来るか分から謎い』のは、待つ側にしたって神経が摩耗するだけだ。ゆえにチョウザはみなに呼びかけ、警戒よりも村人らしい生活を送ることに重点を置くよう誘導していた。
 おかげもあってかすでに何人かは、ずっとこういう生活をしていたとでもいうかのように状況になじんでいる。
 ……だがここにひとり、まだなじめていない人物がいる。
 それが、【七枷・陣】だ。
 無表情で、今日も夕食時のルーティンワークを陣は行う。使用可能になった廃屋で魚を焼き、スープを煮るなどして煙と香りを立てるというものだ。こうやって生活感をかもしだしているのである。
 外に出たところで鴉が一羽、頭上を飛んでいくのが見えた。鳥にだって見られたくない。鴉が遠ざかり姿が見えなくなるまで、陣は黙って見送った。
 そうして誰もいないのを見計らい、陣は廃屋の壁に手をつき下を向くと、ぶつぶつと自分にこう語りかけるのだ。
「……大丈夫やれる、おじさんはガキンチョおじさんはガキンチョ……」
 この暗示には気力が必要だった。うかつにやりすぎると自分を見失ってしまうかもしれない、という恐怖があった。身も心も『ガキンチョ』になってしまっては、もう戻って来られないかもしれない。しかし自分を見失うくらいでなければ真実味は出ないだろう。このあたりが悩ましい。
 よしっ、小さく声を上げて陣は振り返った。かたわらに置いた水筒をもちあげて、提げ紐をたすきがけする。
 ここで別の鴉だろうか、またひとつ黒い鳥が頭の上をよぎった気がする。
 でも、もう気にしない。陣は舌で上唇をぺろっと舐めて、いたずらっ子そのものの表情で小走りを開始した。
 目指す相手は、朱璃だ。
「へへーん、今日もねーちゃん秘蔵のおやつゲットぉ!」
 手に菓子パンをにぎっている。これは『姉が隠していた戸棚から拝借した』という設定だが、もちろん本当は陣があらかじめ用意しておいたものだ。
「あぁん!?」
 ほっかむり姿の朱璃は気がついて、眼鏡の奥の目を三日月型につり上げた。
「こら! そいつはオレんだぞ!」
 まるで威嚇中の猫、牙をむき出す勢いで陣を追う。陣は回れ右して逃げ出した。
「へへ~、すぐ見つけられそーなとこに隠すほうが悪いんだーい!」
 日ごろは『おじさん』を自称し、見た目こそ少年だが立派な大人だと主張している陣である。赤い心の涙を流さずして、こんな口調が使えようか。しかし心が滂沱しようと、顔は満面の笑みなのだった。
「こんの悪たれ坊主がー! 毎度毎度オレに悪戯しおって~!」
 朱璃のほうは板についたもので、本当に追いついてしまわない程度に加減しながら陣を追っていた。なおこのようなやりとりをふたりは、リアリティを出すためにここのところ連日展開しているのだった。
 やれやれまたやってる、とリズリットは額の汗をぬぐって斧を置いた。意図的に言葉をくずし気味にして、
「ほならそろそろ飯にすっかねぇ」
 とリズリットが呼びかけるとエリカはこくりとうなずき、
「もうそんな時間かい」
 スローモーな動きで、背をかがめたまま立ち上がった。
「今夜のメニューはチキンステーキですか?」
 クロスが木訥に、しかし迷わず問いかけると、
「だめー。それはだめです」
 声を大にしてレーネはかまどの前から駆け出し、通せんぼするように鶏小屋の前に立ったのである。
「このニワトリさんはペットさんだし、卵を産んでくれるんです」
 声に力がこもっている。ここ数日の生活で、レーネはこの鶏に情が移りつつあるようだ。
「ははは、冗談ですよ」
 言いながらふと、クロスは耳慣れぬ音を聞いた気がした。
 レーネも同じだ。長い耳を震わせる。
 不快な音ではなかった。鈴が転がるような音だ。しゃんしゃんと、涼やかに。
 エリカは火打ち石で薪に火をつけてから振り向き、フードの内側から様子をうかがった。
 もしや夫では、と言わんばかりの表情でベイキもシーツの陰より出てくる。
 ところが飄然と姿を見せたのは、奇妙な出で立ちの男だった。
 道化師のような帽子、ずんぐりした見かけに似合わぬ軽やかな足取り。全身紫ずくめなのも、奇抜でありどことなく不気味だ。
「なにー?」
 真っ先に反応したのはチョウザだった。
「えー、旅の人ー?」
「おっちゃんだあれ?」
 陣も駆け寄る。いつもの陣の『おじさん』は一人称、けれどこの『おっちゃん』はもちろん二人称だ。
 陣を追うことを諦めたのか、朱璃は荷台に戻って大きな瓶をかかえ下ろしていたところだったが、これを見て瓶ごとやってきた。
 これはこれは、と猫なで声で男は言う。
「やあやあ、皆様もどうぞお集まりを」
 おいでおいでと手招きするのだ。愛想よく笑っているものの、銀縁眼鏡の奥の目は少しも笑っていない。男はとがったつま先のブーツを立てて大仰におどけたポーズを取り、象牙色のステッキをくるくると回転させた。
「これなるは旅の道化でござい。名をガスベロというケチな男。皆様にエンターテインメント、すなわち娯楽を提供しつつ各地を行脚しているという次第。それでは愉快なひとときを、どうぞごゆるりとご覧じろ。お題は結構、かわりに一夜の宿をおめぐみあれ」
 この男だ。エリカは直感していた。
 世の中には実際に、こうした旅修行の道化もいることだろう。だがガスペロと名乗る男がまとう拭いきれぬ昏(くら)さ、腐った魚のような臭気は、似たような手合いを少なからず見てきたエリカには筒抜けだった。
「あなた!」
 急に声をかけられ、道化はぎょっとした様子で振り返った。
「あ……ごめんなさい。てっきり亭主が帰って来たのかと思って……兵役にとられているので」
 ベイキだった。おひとりなのですね、と首を振る。
 どういうことや――リズリットは怪訝に思った。悪党は数人連れという話だった。この怪しい男が敵だとすれば証言と食い違う……手勢は伏せさせているのだろうか。けれど疑いは表情に出さず、薪の束を小脇に抱えてリズリットも男の近くまで来る。
 ベイキの『兵役にとられている』という言葉は、別の意味でも効果があった。
「なるほど、だから働き手が少ないということですな」
 この『村』が閑散としている理由をガスペロが酌み取ったのである。しきりに顎をさすっているが、これは無意識の癖なのだろうか。問われれば説明する考えはベイキにもあったが、手間が省けたというものだ。
「さぁて開幕と参りましょうや!」
 ぱん、とガスペロが両手を打ち合わせる動きをしたかと思いきや、開いた手のあいだから無数の黒い花弁がこぼれ落ちた。これで注目を集めてさらに言う。
「驚きましたかな? もっと驚いていただきましょう。ちょっと集まっていただいて……ええ、そうです。よく見えるようにね。ようく見ていないと大事な瞬間を見逃してしまいますよ! 次にお見せするのはとっておきですので」
 道化はニヤニヤ笑いを浮かべたまま、やけに勿体ぶって話す。
 はいはいっ、とガスペロはお手玉を両手に数個ずつ取り出し、わずかに手の間を巡らせてから空に放った。黒いお手玉だった。玉は立て続けに、空中で音を上げずに破裂した。
 破裂した玉はガスのようになり、融合してひとつの塊となる。ガスペロを含めた九人が、黒い傘の下に入るという格好となった。
 いつのまにか、道化が持つ象牙色の杖にはランタンがぶら下げられていた。
 ランタンからは紫の炎が、空にむけまっすぐに立ち昇る。炎は雲にぶつかり、無数に分裂して細かな雨のようになって落ちてきた。
 避けようがなかった。ひとつひとつがビーズ玉のような、粒状になった炎だったからだ。
 降り注ぐ。陣の上にも朱璃の上にも。チョウザにも、リズリットにも、エリカにも。ベイキにも。そしてレーネにも。そのすぐそばにいたクロスにも。
 熱さは感じなかった。熱のない炎だった。
 その正体を考える暇などない。

 誰もが、ほんの数秒前まで自分がしていたことを忘れてしまったためだ。

 学園長の依頼を受けて『村』を偽装していること、今回の使命、そればかりか自分の名前すらも喪ったのである。
 がしゃんと音がした。手にした瓶を朱璃が落として割ったのだ。ガラス片が宝石のように飛び散り、黒っぽい中身がぶちまけられた。なのに朱璃自身も、水筒をぶら下げた陣も、他の顔ぶれも誰ひとりとして注意を払わなかった。
 糸が切れた操り人形のように、ぺたりとエリカが座り込んだ。
 リズリットは自失の様子で、家を探すようにふらふらと歩み去る。
 レーネは両手で頭を覆う。殴られるのを恐れているかのように。
 チョウザは立ち尽くし、ベイキも同様にして呆然と周囲を見回す。
「あれ……どこだここ……お前さんら誰だい?」
 陣の言葉づかいが素に戻っていた。
 全員を撫でた炎の粒はランタンに戻っていく。水瓶が満たされるようにしてランタンに再度灯がともった。
「……つまらん。実につまらん。収穫は微々たるもんだなあ」
 ガスペロはランタンを振って、成果を確かめるべく顔を近づける。
「こんなに人が少ないとは思わなかったよ。兵役があったんだってさ。タイミングが悪かったね」
 呼びかけている相手はルガルだ。
 ガスペロの視線の先には、影でできた人間に押され運ばれてくる檻車があった。ルガルは無視を決め込んでいるようで、膝の間に落とした顔を上げさえしない。
 ガスペロは目を細めてランタンのなかの紫色を見つめた。
「なんだあ? 全然火の勢いは増えてないな」
 吐き捨てるように言った。明らかに不満なのだろう、鼻を鳴らす。
「むしろゼロに近い。平穏すぎる人生しか経験してないんだろうね、ここの住民は」
「あの……」
 ハエでも追い払うように手を左右に振りながら、おぼつかない足取りで住民のひとりがガスペロに近づいてきた。熟睡しているところを無理に起こされたような口調だ。
「……あなた様はもしかして私のこと、知りませんか?」
 もうガスペロに愛想笑いはなかった。排水溝に溜まった抜け毛を見るような視線を男に向けるばかりである。
「またこれだ」
 皮肉なに告げて肩をすくめた。
「知ってるわけないだろう? 興味もない」
 どけと言うかわりにガスペロは男の肩を突き飛ばした。
 いや、突き飛ばしたつもりだった。
 しかしガスペロの腕は男の肩をすり抜けたのだった。そればかりか勢いあまってつまずき、轍の走る地面に手を付いてしまう。
「そうだろうね」
 と言ってクロスは振り返った。朦朧とした口調は消えている。
「でも残念ながら……こちらは君たちを知っているんだ。興味もある。特にそのランタンには」
 幽体化していた体に実体を取り戻す。クロスはランタンに手を伸ばしたが、ガスペロは地を這うようにしてこれを逃れた。
「リバイバルの村人だと!? お前ら……!」
 言葉を中断しガスペロは両腕を交差させた。大量の飛礫(つぶて)の直撃を避けるためだった。マドガトル、魔法弾だ。ひとつひとつは小さくとも、数を重ねれば着実な打撃となる。
 鮮やかなライトグリーン。
「……慣れない」
 エリカのパーソナルカラーだ。
「何度受けても慣れない。この、記憶を奪われるときの感覚には!」
 枯葉色の覆いを脱ぎ捨て、エリカはガスペロの前に姿を見せていた。ライトグリーンのマント、蜂蜜のような髪があらわになる。
 ガスペロが持つカンテラは、かつて【ジャック・ワンダー】と名乗った男が有していたそれと、類似こそすれ威力ははるかに劣った。エリカが記憶を喪失していたのはわずか数秒だ。それでも、記憶が消されたときの冷たい感覚はなお、乾いた血のごとく肌にこびりついている気がする。
 エリカの朱い瞳から察したのか、
「ということは……フ、フトゥールム・スクエアか……っ!」
 ガスペロは立てぬまま、足をバタバタさせて退く。おどけた所作も、余裕ぶった口ぶりもとうに吹き飛んでいる。
「守れ! 俺を守れ!」
 檻車を押していたものはもちろん、さらに数体、周辺から影のような姿がまろび出てきた。人間大、ただし手足がアンバランスに長い。体は真っ黒で顔もない。四角い白布を顔につけている。
 しかし影の合間を縫って、
「おっちゃんふけーきな顔してんね。腹が減ってんのかなぁ?」
 純真な声をあげて陣が、ガスペロに近づいた。
「オレんちで飯でも食うかぁ? 今日は焼き魚だぞー」
「ガキが! 離れろ!」
 ガスペロが太い腕をふりまわすと陣は、
「そーする」
 そそくさと後退しつつ、水筒の中身をガスペロにぶちまけた。ガスペロは顔面からしとどに浴びることになり、帽子飾りが頭に張り付いた。
「それにしてもガキかぁ。見た目で判断しちゃだめだよ、小太りの眼鏡君」
 ふふふと陣は笑った。
「おじさんたぶん、眼鏡君より年上だぞずっと」
 陣がガスペロに浴びせたもの、それは液体だ。
「なんのつもりだ、この水っ……!」
「おいしいお水のプレゼント! しょっぱいかもねぇ、たっぷり塩入れといたから!」
 ガスペロはまだ立つこともできないが、影兵たちの反応は早い。うなり声ひとつ発することはないものの、獲物を見つけた豹のように襲いかかってくる。朱璃が瓶を落としたのは、中身の油を撒くためで、これで影兵が滑らないかという期待も込めていた。けれど効果はなかったらしい。兵は平気で歩み来たる。
 黙って振り上げて振り下ろす。
 影兵の背に、ずしんと重い一撃が落とされた。完全に不意をうたれた格好、影は左右にざくりと割れて消えた。
 今度は手斧ではない。現在リズリットが手にしているのは、目にするだけで背筋が寒くなりそうなほど長い刃をもつ大鎌だ。黒い握りの部分まで、夕刻の光で鈍く光っている。
「まず一体や」
 体質だろうか、リズリットが記憶を奪われていた時間は一秒に満たない。すぐ立ち直るとリズリットは、小屋に隠していたこの武器――積想の鎌を取って戻ってきたのである。
 荷台に駆けあがるや跳躍一回転、着地したときにはもう、朱璃の両腕には聖銀の惨爪が光っていた。かつてルガルが使っていたものと同型、実物ではなく精巧なレプリカだ。
「窮屈でしたわ、この格好」
 鶴のごとく腕をひろげると、伊達眼鏡が転がり落ちる。同時に体を縛っていた厚着もはらり、脱げて足元にひろがった。鮮やかな赤のチャイナドレス、まるで蛹からかえった蝶、朱璃・拝の本領ここにあり。着地地点は敵のただ中、影兵に取り囲まれるも望むところと、右手左手縦横に、惨爪の名にふさわしき、凶暴な力存分にふるう。
 荷車からラッパ、その名も『天使の歌』を抜き取ったのはレーネだ。肺一杯に吸い込んだ空気を、一気に吹きこんで至高の音色を響かせる。
 レーネはランタンについて想う。
 それ自体が悪ではないのだと。できれば手にして調べてみたいと。
(ただしくつかえば、つらいおもいをしてくるしむひとを、たすけてあげるやくにたつかも、しれませんから)
 ガスペロの使い方は間違いだ。それだけはわかる。
 レーネが満たす音楽はまるで、紫の炎に相対する白い光だ。記憶を『奪う』炎とは正反対、生命を『与える』癒やしとなる。
 すでにベイキも髪を解き、深海のような翆色を自由にさせていた。
「……!」
 思念を集める。籠から抜き出した天界の戒律書、分厚いその表紙に手を置いて、ベイキは手が震えるほど一心に思念を集める。そうして集めた念を送る。相手はガスペロ、彼の心に鎖をつけて、さらに碇をくくりつけるようなイメージを送る。
 効果あってガスペロの動きが鈍り始めた。なんとか立ち上がることはできたが、不機嫌そうにやたらと首を振っている。
「ふーん。影の真っ黒ボディ、顔には白い布きれ一枚、これが道化師集団の局地的流行り?」
 なのになぜガスペロは布を顔に貼り付けないのか、と訊ねるような口調で、半笑いを浮かべたままチョウザがガスペロに近づいていく。
「く……来るなっ、こいつ!」
 ガスペロは無我夢中で肘打ちを入れた。自分のポケットに手を入れようとしていたチョウザは避けられない。
 非力そうなのに凄い力だ。横面を撲たれ、チョウザは十歩ほど離れたところまで吹き飛ばされた。
 チョウザの視界はぐるぐると回転した。受け身こそ取れたものの轍の間に肩から突っ込む。鉄錆の味がした。口中を切ったらしい。頬が熱を帯びたようにじんじんと痛む。
 してやったり、という表情が浮かんだのもつかのま、ガスペロは闇魔法をかためた球体をぶつけられ仰け反った。
「君、女性にその扱いはないんじゃないかな?」
 クロスが放った黒い球体だった。プチダート、闇属性。
 ガスペロの表情を変えたのはこれだけではない。
 チョウザだ。薄笑みを絶やさず立ち上がったのである。
「これ、ザコちゃん汚れ役って感じ? いや、やられ役? 現実味あるよね? ふふ」
 口の端からこぼれた血を、チョウザは手の甲でぐいとぬぐった。

 ◆

 ガスペロはじりじりと後退している。かわって影兵が前に出るようになり、学園生たちと道化の距離はひらいた。
「あの檻……やっぱり!」
 眼前の影兵を下すとエリカは、さっと転身して檻車に手をかけた。
「ずっと気になっていた。あなた……ルガルね?」
 檻の中の男は薄汚れた顔を上げた。
「人違いだ」
 面倒そうに告げてまた顔を伏せてしまう。
「いいえ、間違いありません。私は、少し前のあなたを見ました」
 同じく檻に手をかけてベイキが告げた。
「幻視で……ですけど、見えたんです。あなたが彼に殴られ、あざけられているところが。声は聞こえなかったけれど彼の口は、たしかに『ル・ガ・ル・く・ん』と動いていました」
 言い逃れできないと悟ったのか、ルガルは、うるせえ、と呟いただけだった。
「あいつに無理やり連れられている? 学園で保護する。悪いようにはしない」
「余計な……お世話だ」
 ルガルはもう一度顔を上げていた。その目を見てエリカは確信した。
 間違いない、獣化が解けたのだと。それに少なくとも今の彼は、敵ではないと。
 何度か魔法攻撃を繰り返すと南京錠は砕けた。ベイキがさしのべた手を払って、ルガルは自分から扉を開けて出てくる。
 疲れ切った様子、ひどく痩せていた。頬にはアザ、目の下には黒い隈がありほとんど死相だ。しかし突き刺さるような視線は、決して死人のそれではなかった。
「借りは作りたくねえから教えてやる。ガスペロの野郎を生け捕りにする気なら、普通にぶちのめすだけじゃ駄目だ。ここにいる全員で囲むんだ」
 どういう意味ですか、とベイキが言いかけたとき、最前線で爆発音、つづいてわっという声が上がった。想像していなかった事態に、思わず出た反応らしかった。
「……遅かったようだな」
 ルガルは、ぺっと足元に唾を吐いた。

 ◆

「覚えてるんやな」
 リズリットは言った。
「その鎌……それは、俺のだ!」
 こうガスペロが叫んだからだ。積想の鎌に気付いて、ガスペロの目の色は変わっていた。
「なぜ持っている!?」
「ほっとけなかっただけや」
 リズリットは多くを語らない。ただ、ぎゅっと柄を握りしめていた。
「俺がジャックに届かない理由……やっとわかった。その鎌だったんだな」
 ガスペロは、ずっと餌抜きされていた獣が食事の匂いを嗅いだような顔つきで言う。だがその下品さを取り繕うように、言葉を選んで続けた。
「その鎌は、俺……いや、私のようにふさわしい者が持つべきなのだよ」
「君とは初対面だし、その鎌の最初の持ち主についてもよく知らないけど」
 クロスがさらりと口を挟んだ。
「でも君の言い分を聞いていると、どうしてもそうとは思えないね」
「おいお前! 根拠もなく勝手なことを言うな!」
「それさ、すぐ挑発に乗って地が出る。君はいい眼鏡を掛けているが……知的ではなかったようだね」
 すいっと自然に、クロスは眼鏡の位置を直した。その動作に一瞬目を奪われたせいか、
「そういうことや。そら返すべきなんやろうけど、少なくともそれは今やないな。ほなら、覚悟しぃ」 
 と繰り出されたリズリットの一撃、さらにクロスのプチダートをかわせない。肩口と腹に受けてよろめいたところで、影兵の脇をくぐり抜けて現れた姿がある。
「知的ではない、って意見には賛成だなあ。道化師の眼鏡君は科学って知ってるかい? 何度かプチラド喰らわせたけど、まだ気付いてないのかな?」
 少年の笑みと中年の口調、そう、陣の登場だ。
「塩水は……電気をよく通すんだ……よっ!」
 バチバチッと陣の両手の間に雷の力が集まる。集まったかと思いきや、大量の雷光となって炸裂する。
「セットセットセット!」
 雷光は全弾命中、ガスペロの口から悲鳴があがった。
 このとき陣を追った影兵が腕を伸ばそうとしたが、それこそ油断というものだった。
 朱璃にがら空きの背を向けて、無事でいられるはずがでないではないか。
「まったく、私も甘く見られたものですわね」
 左右の手を交差させて、朱璃は残った敵を探した。
 影兵はもうわずか二体にすぎない。左右からガスペロを守るような位置に立った。
「それ以上近づくな……! お前らフトゥールム・スクエアだろう? ルガルって名前には聞き覚えがあるよな。交換だ。ここで俺を見逃せば、ルガルは渡してやる」
 ルガル?
 一瞬だが学園生たちは足を止めた。ガスペロに集中していた彼らはまだ、すでにルガルが解放されていることを知らない。
 ひひっ、とガスペロは声を上げた。ずっと隠していたランタンを突き出す。
「時間稼ぎにはなるはずだ!」
 とたん、ガスペロの左右にいた影兵が姿を消失させ霧のようになって空に上がった。ランタンの炎は急激に勢いを増す。ガスペロは勝利を確信して笑み歪む。
 道化師は腕を上げ、そして、
「ここで炸裂させたら自分も巻込み?」
 と、息がかかるほどの位置に近づいたチョウザに、上げた腕を抑えられてしまった。
「ま、別にいーよ。むしろ予想外でしょ? ふふ」
 チョウザは今度こそ、ポケットに入れた手を出すことに成功していた。この手を、ランタンに直接叩きつけたのである。ごく当たり前のように。けれど、強く。
 手に握りこまれていたのはクルミ大の種子だ。色もクルミに似ているが赤い色が走っている。特別な種子で、火薬の原料にもなるという。
 名は『炸裂の種』だ。効果は、名前から想像がつく通り。
 耳をつんざく破裂音。閃光と熱、焔。まとめていえば爆発だ。
「あっ、ランタンが」
 レーネは見た。
 ランタンは粉々に砕け、中の紫色も空中で四散した。粉塵がひどく、たちまち紫はかき消されてしまった。
 でもそれよりチョウザの身が心配だ。レーネは手当てすべく駆けつける。チョウザの服装はぼろぼろだ。脇や胸には細かい傷がある。しかし起き上がって、片手を上げるだけの力は残されていた。
 へーきへーきと大仰に、埃をはたくような手つきをする。
「ザコちゃん雑魚だからさあ、こーいうの慣れてんのよね。大量破壊兵器の犠牲者」
 そこまで平気ではなさそうだが、命には別状ないようだ。
「すぐてあてします」
 レーネは天使の歌を唇に当てた。
 使い物にならなくなったランタンを一瞥し、
「あぁ……もったいない……」
 軽く詠嘆するとクロスはガスペロの姿を探す。 
 こっちや、とリズリットが声を上げた。ガスペロを助け起こしている。
「死んだらあかんで、聞きたいこと、ぎょうさんあるからな」
 だがガスペロは身をよじり、リズリットが置いた鎌に手を伸ばそうとするのである。
「あきらめの悪い人のようですわね」
 と言ったところで朱璃は驚愕の声を上げた。
 リズリットも硬直する。
 ガスペロの体がみるみる、風船のようにしなびていったからである。足元から膝、両腕、そして腹、どんどん蛇の抜け殻のように縮んでいく。加えて口からは、大量の黒い霧が吹きだしていた。
「ガス……? いや、影、ですか」
 クロスは後じさった。霧は集まってひとすじの雲のようになり、さあーっと村の出口へと流れていった。
「うげっ! なにあれ!? まさかあれが眼鏡君の正体!?」
「かもしれませんわね……ということは、私たちは彼を逃してしまったのでしょうか」
 と言う朱璃に、
「にげてしまったのは、あのひとだけじゃないみたいです」
 エリカが応じた。
「ルガルがいた……ガスペロが檻に入れて運んでいたみたい。確保はできた。だけど、逃がしてしまった」
「爆発と、つづく一瞬の隙をつかれて」
 ベイキはそれきり、黙って首を振った。
 あれほど弱っていたのに、驚くべき速度だった。
 しかしルガルが、言い残した言葉はエリカにも、ベイキの記憶にも残っている。
「もう俺には、てめぇらと戦う気はねぇよ」
 ルガルは確かにそう言ったのだった。
 いきさつを聞くと、朱璃は微笑を浮かべた。
「彼は人の姿に戻れたのですね、よかったですわ」
「ルガル? 知人がいたのか。元カレかい?」
 というクロスの軽口にエリカは、以前もそんなやりとりがあったなと思いつつ、まさか、と笑って流してこう続けた。
「でも、今度はもう少し、しっかり話したいとは思ってる」

 あのひとが、とレーネが声を上げて注目を集めた。
「おきあがります……、まだ、いきているみたい」
 ガスペロがうなっているのだった。しなびていた体は元に戻ったようで、また肉がついている。しかし毒気というか、有していた尋常ならざる気配は抜けて、見た目通りの平凡な男性といった風である。
 ガスペロは眼鏡をかけて、不思議そうに一同を見回した。
「あの……あなたたちは?」
 それはこっちのセリフだよ、と言ってやりたい気持ちを抑えて、クロスは簡単に事情を説明し、逆に彼のことを訊いた。
 なによりガスペロを驚かせたのは、すでに春が来ているということだった。
「そんなに!? 僕は、冬の初めごろだとばかり……」
 男はガスペロではなく、【マジック・トム】と名乗っている旅の大道芸人だった。ガスペロの口上通り、地方を尋ねては芸を見せ宿を求めていたという。
「ある晩、やけに長い夢を見て目ざめたら……こうなっていたというわけで」
「ほな、いつの間にか体を乗っ取られとった、ってわけやな」
 リズリットが言うが、ガスペロ改めトムには自信がなさそうだった。トムがガスペロに憑依されていたとすれば無理もないことではある。要するに、その間の記憶はないのだ。
「ってことはあれか」
 参ったなあ、と陣は後頭部をかきながら言った。
「記憶喪失からはじまった話は、記憶喪失で終わった、ってことか」
「雲をつかむような話ですわね」
 ところで、と朱璃は陣に問いかける。
「陣様さっきの……ねーちゃん秘蔵のおやつ、残っております?」
 半分こにしません? と言う『ねーちゃん』に、思わず陣は吹きだしたのである。



課題評価
課題経験:135
課題報酬:4000
BLACKOUT
執筆:桂木京介 GM


《BLACKOUT》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2020-03-06 00:04:00
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。
よろしくね。

とりあえず犯人たちをおびき寄せないといけないし、
わたしはフードでも被って、お婆ちゃんになり済まそうと思うわ。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 2) 2020-03-06 00:45:18
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。よろしくおねがいします。

まず、クイドクアムによってニワトリを買ってきたいです。
あの鳴き声って生活感をアピールできそうですから。

そして荒れちゃってる廃村のお掃除をして、
夜はあちこちの家で灯りをつけたりします。

そして、季節はちょっとおくれちゃってそうですけど、
ゆでたパスタをひなたでかわかしてみせる……
そとからでもめだつおりょうりをしてみましょうか。
もったいないですけど、たべるためではありませんから、
みせかけだけでいいので、ゆでたりとかはかんたんに。

わたくしのきてる服は目立つ色とかではありませんから、
そのままでもいいかなっておもってます。

《人たらし》 七枷・陣 (No 3) 2020-03-06 02:06:23
賢者・導師コースの七枷陣だよ。
そだなぁ…生活感出すんなら飯炊きの煙とか上げるのは良いと思うよ。
魚焼いたりスープを沸かして匂いを立ち込めてれば良いんじゃないかなぁ。

おじさんは、この形を生かして見た目年齢相応なガキンチョの演技でもするよ。誰か仲のいいねーちゃんにーちゃん役してくれる人いる?
記憶を取られる感覚の後は素に戻ってのんべんだらりと応じていれば、向こうさんも記憶奪取に成功したって誤認してくれるかな?

戦闘にも少し小細工して一発大きなのをぶちかませたら良いなって思ってるよ。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 4) 2020-03-06 08:57:05
食べ物の匂いをさせるのは、いかにも人の住んでいる村らしいし、
名案かもしれないわね。

レーネさんの言うとおり、廃村に見えないようにある程度は草を刈るとか
道や建物を綺麗とまでは言わなくても、荒れ果ててはいない程度には保全しておくのも良さそうだわ。

片付けるついでに罠でも仕掛けておけないかしら?

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 5) 2020-03-06 13:42:52
武神・無双コースのルネサンス、朱璃・拝みと申します。どうぞよろしくお願いしますね。

向こうが覚えているかどううかは解りませんがルガルとは顔を合わせた事があるので、私もフードを被っておいた方がよいでしょうか?

煮炊きの煙や食事の匂いは生活感を出すのには良さそうですわね。あとはある程度の喧騒、とかでしょうか?井戸端会議等をしてみても良いかもしれませんわね。陣様が子供役をされるのでしたら、悪戯好きの子供を追いかけるお姉さんとか?

《勇往邁進》 リズリット・ソーラ (No 6) 2020-03-06 21:38:36
うちは魔王・覇王コースのリズリット。みんな、よろしゅうな

ん、ごはんの匂いはうちも賛成。やっぱ匂いがせんって不自然やしね。
あいつらが実際に来るまでの時間は分からんけど、ある程度整えなあかんとはうちも思ってた。
罠…こう、動物避けみたいなものっぽく作ればええ感じにごまかせるかも

>敵襲時
今んとこ、無くなったふりして奇襲…で、ええんかな?
気づかれたらランタン持っとる奴逃げそうやし、影兵はある程度スルーして行ったほうがよさそうやね。…あ、でもそう簡単にはさせてくれないか。
もし戦う時、うちはあんまり足が速くないから…影兵と戦おうかなって思ってる

>ルガル
…面識はないけど、よう考えたらジャックが持っとった武器(積想の鎌)持ってるねんな、うち
ギリギリまで隠せそうな所に隠しとくな…
どう動くか分からんけど、あんまり味方してくれるって前提で考えない方がええと思う。
ただでさえ警戒されとるしなー…

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 7) 2020-03-06 23:01:41
そうね。ルガルと顔を合わせた事のある人は、すぐに気が付かれる可能性が高そうなので
何か対策をした方が良さそうだわ。

それと、解説の『なんらかの方法でガスペロは村人全員の記憶を一気に奪う行動をとります』
これから考えると、向こうは向こうでこっちを奇襲して来そうだから
それに対しても何か考えておいた方がいいかもしれないわね。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 8) 2020-03-07 10:08:19
>武器
あ、私の今つけている武器もルガルの武器のレプリカなので、これもギリギリまで隠しておいた方がよさそうですわね。

とはいえルガルが居る事は襲ってくるまで私達は知らないのですわよね?隠すにしてもルガルがいるから、ではなく何か自然な理由が必要ですかしら?髪型を変えるだけでも大分印象が変わりますから実際出来るとしたらそれくらいだけかも?

>記憶を一気に奪う
奇襲をしてくるか、奇妙なファッションセンスの服を着ているそうなので、意外と大道芸人などに扮して村人を集めようとしたりするうかもしれませんわね。何にせよ私達以外の者の接近も警戒は必要でしょうか

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 9) 2020-03-07 11:28:07
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
ご挨拶が遅れてごめんなさい。

そういえば、私はルガルとは対面してないと思ってたら、色々思い出すと対面してたようで。
ちょちょいと変装する必要がありそうですね。

生活感を出すなら、水場の井戸や水路はきれいにして、水を確保できるようにしといた方がいいかもしれませんね。
水車なんかがあるようなら、そこも使用できるようにして、実際に小麦でも挽いてたらいいかも。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 10) 2020-03-07 12:19:28
あ、周囲に柵とかあるなら直しておいたり、畑があるなら所々耕しておいたりするのも必要かもですね。
家屋なんかもある程度は手入れが必要かも。

道にも車が通った轍の跡なんかがあると、人の行き来があるように見えそうですし。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 11) 2020-03-07 20:07:57
わたくしはハロウィンの夜のことをしりませんが学園長先生のおはなしでは

1 ハロウィンの夜にひとびとの記憶がうばわれる事件があった

2 犯人たちのほとんどはたおされたけどルガルというひとはにげた

3 そしてまた記憶がうばわれる事件がおきた

えと、この学園長先生のおはなしだけききますと、
ルガルというひとがいまの事件の犯人という可能性がたかくおもえます。

これでしたらルガル対策しててもおかしくないとおもいます。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 12) 2020-03-07 20:29:51
ほんとにあの時のはっちゃけ獣人様がこの件に噛み噛みしてんのかは、今の時点じゃ分かりかね謎いんだけどー。

少なくとも、現時点で露骨に学園生の被害がないって時点で、恣意的なもんじゃなく故意的なあれを感じんじゃん?
だからー、『学園生であることを感じさせる物』はなるたけ無し無しが良さみかな。
最悪ギリギリまで【隠匿】で。
例えばー…(学園チラシをガサガサめくる)【魔法学園制服】類は当然としてー、
最近異世界から落ちてきたやつ(【グロドラコラボ】)もかな。あれ、今のとこ学園周りでしか知られてないっぽいし。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 13) 2020-03-07 20:34:09
てかさぁ、記憶を奪うあれが経験積んだ学園生なら第じょーぶ、っての。
あれどれ位ならおけまるちゃんなのか、どーなんだろーね。

とりまザコちゃん普段の生活作り?はそこそこなんでも良くってー、
【推測】して出くわすのがどれ位かだけ把握しといて、来る頃には容赦なし先制で喋り語りたいなーって。

てかあれじゃん?ぶっちゃけ騙す騙せなは1目の10秒くらいな訳でー、その後のが重要大事くない?
どっちにしたってやることほ主立軸は前と同じでしょ、ランタンのぶっ壊し破壊。
今回くらいは破片持って帰りたいなー。【炸裂の種】なら隠しやすいし、これ投げるかな。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 14) 2020-03-07 22:18:07
ガスペロの事も現状では知らないことではあるけれど、
導入部を読んだ印象だと、抜け目なく立ち回りそうな印象を受けるし、
こっちが学園生であると悟られたり、バレないでもランタン攻撃があまり効かない所を見られたり
他にも罠を感づかれたり形勢が危ないと思ったら、逃走しそうな気もするから、
できる限り逃がさず捕らえて、話を聞き出したいわね。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 15) 2020-03-07 22:44:21
ざっくりとまとめ。

1:変装の必要性
  学園生とばれると警戒されたり逃走の可能性がある。
  襲撃を決行させるためにも、学園生とばれないように村人を装う。

2:環境の偽装
  廃村を利用するので、不審に思われにくくするために生活感を出す。
  ・火を焚いて、煙突から煙を出す。
  ・煮炊きしたり焼き物で食べ物のにおいをさせる。
  ・道などは『使われている』程度の状態にはしておく。
  ・子供などを装って遊ぶ。  

3:ガスペロ一味対策
  『記憶を一気に奪おうとする』→大道芸人などを装い村人を集める?
  ランタンの記憶を奪う能力に耐えられそうではあるけれど、
  直接攻撃もされる可能性は高いので、何らかの対策は必要と思われる。
  また、形勢が不利とみると逃げるかも?
  逃走を阻止するならその手段は?
  逃がしてしまうとしてもランタンだけでも確保や破壊はできるか?

4:ルガル対応
  リーバメントの事件から、今回ルガルが関係してると予想するのは
  可能と思われる。
  ガスペロと協力関係にあるのか微妙な状態。どう扱うか?
  体調が余り良くなさそう?  

5:影兵対応
  10体程度。感情が無い。会話などは無理そう。
  ガスペロの操り人形的な存在か?

《人たらし》 七枷・陣 (No 16) 2020-03-08 01:27:10
おぉ、んじゃ朱璃にお姉さん役お願いしようかな。よろしく頼むよ。

後、おじさんからパッと思いついた提案を2つほど。

1.
村人に変装したときは、普段の自分じゃない口調や雰囲気で居る。
ガスペロに記憶奪取の行動をされた時に、素の自分に戻る。(最初はぼへーっとした感を出して)
こうしておけば、相手に記憶奪取は成功したって思わせて隙を生じさせることが出来そうだし。おじさんはこういう感じで行く予定。

2.
ルガルと対峙した事ある人向けの提案。
狼のルネサンスって事は、嗅覚もすごいと思うんだよねぇ。フードかぶるとかで顔を看破されないようにするのは良いと思うけど、匂いクンクンされて、コイツ以前の時の!って展開になると少し不味いって思ったよ。
なので、衣服に飯炊きの焼き魚とかの煙をたっぷり吸わせて、自分の体臭と混ぜ合わせて察知されるのを防ぐのはどうだろう?魚臭くなるのは我慢してほしい。
これはあくまでおじさんからの提案ってだけで、もっと良い方法思いついたらそっちをやってねぇ。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 17) 2020-03-08 09:45:56
あ、生活感と言えば、風にはためくお洗濯物ですよね。
白いシャツとかハンカチとかシーツとかいちごぱんつとか。

さて、私はどんな設定で村人に扮しましょうか……旦那を兵士にとられて、ひとり村で帰りを待つ若妻みたいな設定でいきましょうか。

>ランタン破壊
何人かが記憶を奪われたふりして、ガスペロを油断させた隙に、遠くに隠れてる仲間が魔法や弓矢、飛び道具なんかでランタンを狙い撃ってみるとか難しいでしょうか?
一度で破壊できなくても、ランタンを取り落とさせたりしたら、敵が狙撃に気をとられてる隙に、記憶を奪われたふりしてる仲間も一斉に動いて、みんなでランタンぶっ壊すのに集中すれば壊せないかなと。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 18) 2020-03-08 10:48:17
それではお姉さん役をやりますわ。種族が違うので、陣様を家で面倒みているとか、近所のお姉さんとかいう感じでしょうか。普段と違う言葉使いとなれば、「素」の自分ですわね。割と乱暴かもしれませんがご容赦下さいませ

匂いをつけるのは私は特に気にしませんわ。家にいた頃は狩りやなんかでしょっちゅう他の獣の匂いなどついていましたし。香水の匂いをさせていたりとうのも変ですからその方が良いと思いますわ。あとは伊達眼鏡でもかけますか

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 19) 2020-03-09 12:10:33
あ、洗濯物、とってもいいですね。パスタよりよさそうです。古着とかも用意しようかなっておもいます。

《勇往邁進》 リズリット・ソーラ (No 20) 2020-03-09 20:55:04
ええと、ザコの言う通り服装には気をつけなあかんね
なんか購買とかでええのあるかな、なくても適当な服用意しとくわ
うちは火おこしを手伝う子供でいこうかな、そんなら薪持ってそれっぽく振る舞えるし…こども…いけるんかな…
あ、ぼーっとするのは得意やで。任せろ(謎の自信)

>ランタン破壊
まずは気を引くってのはアリやと思う、最悪倒さんくてもランタンさえ壊せれば…うん
どう仕掛けてくるんやろうね。ジャックの時は、恐怖がキーやったけど…特に村が襲撃されてるって話も聞かんし、大道芸ってのはあるかも。
もしくは、旅人を装っている、とか……

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 21) 2020-03-09 23:50:22
大道芸人を装うとしたら、見世物があると村人を一か所に集めて
正体を隠していた影兵が一斉にオバケの本性を見せるとかすれば
普通の人なら驚いて恐怖を抱くと思うし、
そのタイミングで記憶吸収を仕掛けてくるんじゃないかと予想してみたわ。

そこで学園生が耐えられたとしても、そのまま物理攻撃とかされそうなので
数に勝る相手に対してどう活路を見出すかも考えないといけなさそうだわ。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 22) 2020-03-10 19:27:57
大道芸人さん、旅人さん、あとは行商人さんのふりとかでしょうか。
むずかしいですね。

なやみますけど、わたくしのプランかんがえてみました。
こんなかんじです。



まず超大型商業施設「クイドクアム」によって食べ物や燃料、古着、そしてニワトリをかっていきます。

ニワトリの鳴き声は生活感をかんじさせてくれるとおもいます。

村についたらおそうじおかたづけ。
いらないものは空き家にどんどんいれていきます。

そして生活感を出すため、時間にあわせて
空き家のかまどに火をつけてけむりをだしたり、夜の灯りをつけたりします。
晴れなら洗濯した古着を外のあちこちに干します。
わたくしはじみな服ですし、外では村のふつうのおんなのこのふりしてます。

たたかいでは楽器「天使の歌」を「演奏」の技能でつかって
みなさんのけがをなおします。

楽器効果:射程内の自分を除く味方全員のたいりょくを30回復する。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 23) 2020-03-10 22:37:49
大道芸人や旅人を装う等、姿を見せた上でこちらを油断させて記憶を奪おうとしてくるなら、記憶を失ったフリをして油断させればその場でいきなり影兵等の物理攻撃まではしてこないのではないか?という気はしますが、その場合こちらがどれだけ演技できるかにかかってきますわね。一般技能の演技なんかがあれば騙しやすいかもですが・・・

奇襲を仕掛けてくる、となったらこちらも引き付ける為にあまり露骨に警戒できないので大変ですわね。

とりあえず前者の場合で、影兵達が攻撃してくると仮定してとっさに出来そうなのは油をまいて足元を滑らせるとか?それなら記憶を失った混乱でやってしまった、みたいな感じに出来そうですし

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 24) 2020-03-11 22:04:01
技能でしたら「部位破壊」で手を攻撃したり「武器破壊」でランタンをぶらさげてるステッキをこわして、ランタンをおとさせるとかはどうでしょうか。
だいじなものではありそうですし、ひろおうとさせてあしどめできるかもしれません。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 25) 2020-03-11 23:27:12
逆もあるかもしれなみだけどね。
通る時に孤立してる村人から開幕の1発だけは記憶吸ってくみたいな。
その方が村人たちがざわついて、そのお人の周りにたかり集うだろーから。

何せよ、ほんの数瞬だけでいーけど、吸ってる感ある動きしたら記憶ないふりはした方が穏便の気楽かもね。
ほんとに吸われた時は?それはそれ。いーじゃん、騙す必要もなくて。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 26) 2020-03-12 06:57:37
解説に、
「なんらかの方法でガスペロは村人全員の記憶を一気に奪う行動をとります。しかしこれは最初の一回だけで、フトゥールム・スクエア生として一定の訓練を積んでいるPCであれば無効です」

以上のようにありますし、記憶を奪おうと試みる際の初手は、なるべく多くを狙いそうですし、ガスペロ達は何らかの手で人を集めようと試みるのは予測されます。
次の手では孤立した者を狙う可能性はありますが、初からそれはなさそうに思えます。

《甲冑マラソン覇者》 朱璃・拝 (No 27) 2020-03-12 21:29:59
プランは提出しましたわ。頑張ってランタンを破壊乃至奪取いたしましょう!

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 28) 2020-03-12 22:10:11
最終日にしか顔を出せなくて申し訳ない……賢者・導師コースのクロス・アガツマだ、よろしく頼む。
俺は夜の見張りをすることにした、もしかしたら斥候が来るかもしれないし先に察知出来れば有利かとも思ってね。
相談内容には目を通した、村人のふりをし、記憶が失われたふりをし、そしてランタンをどうにか破壊すると。
戦闘は狙いは特に指定していないが、頭や脚などを狙うようにしたので影兵への足止めぐらいにはなるはずだ。

《勇往邁進》 リズリット・ソーラ (No 29) 2020-03-12 23:54:21
おっと…もう出発やね
念のため、学園制服じゃなくてぼろい方の服で行くことにしたよ
ちょっとがんじょうさが足らんかもしれないけど、一回だけなら復活できるから…戦う時はみんなに攻撃がいかないように前に行くつもり
みんな頑張ろうな。記憶はこれ以上、奪わせへんよ…!