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いきなり! 素敵


ストーリー Story

 学食片隅、本来は一人がけであろう狭いテーブルに男性教師ふたりが向かい合って座っている。
「……狭いんだが」
 自作手作り弁当を【ゴドワルド・ゴドリー】はぐいと押し出した。静かに食事していたところに押しかけられ迷惑している、と表情で示している。
 あきらかに『あっち行け』というメッセージだというのに、【イアン・キタザト】たるやどこ吹く風で、
「そう? 僕は狭くないよ」
 自分の皿を中央に寄せたのだった。ハンバーグと唐揚げがこれでもかという勢いで乗せられたカレーだ。ぼこぼこにビーフが入った肉々しい作りだが、野菜の姿はまるで確認できない。強いて言うならつけあわせのコーンくらいだろうか。
「よくそんな子どもみたいなものが食べられるな」
 ゴドリーの弁当はとてつもなく地味だった。じゃことごぼうのまぜごはんのおにぎり、ひじきとツナのトマト煮、さらにピーマンの焼きびたし、申し訳程度に入っている魚もイカナゴのくぎ煮だったりする。全体的に茶色い。でもカロリー低めで栄養価は高めだ。
「いいじゃん、僕子どもだし」
「……同い年だろ」
「パルシェくん(※【パルシェ・ドルティーナ】)と? 僕そこまで若くないよ」
「俺と! 同い年だろ!」
 これは事実だ。おなじヒューマンだというのに、どこかくたびれた姿で歳相応、いやへたすると実年齢以上の容貌のゴドリーと、学生それも入りたてにしか見えないキタザトの間には大きな隔たりがある。
「やだぁ、ゴドーったらめずらしく『俺』なんて言っちゃって♪ こわーい♪」
「……もういい。少し黙っててくれ」
 あと、『ゴドリー先生』と呼べ、とゴドリーは一言つけくわえた。
「ところでさぁ、あのうわさ聞いた?」
「聞いてない」
「即答だねぇ。で、学園777不思議のひとつなんだけど、昔ね、演劇部だかファッションショー部だかが使っていた小さな野外劇場跡があってね。裏山のほうに」
 私が興味あるかどうかは無視なのか……と、ぼやくゴドリーをよそにキタザトは続ける。
「そのステージのランウェイ……あ、ランウェイっていうのは、舞台中央に設置されてる、客席にせり出すようになった幅が狭い部分ね」
「……それくらい知ってる」
 無視するつもりだったのについ、ゴドリーも話に引き込まれている。
「で、満月の晩そのランウェイを歩くと、どこからともなく『いきなり!』って呼び声がかかるらしいんだ」
「お前それ真面目に言っているのか」
「そこで求められるのは何かを披露すること! それこそ一芸であろうとギャグであろうと、自分の夢を語ることであろうと、好みの女性について熱く叫ぶことであろうと……なにか魂を震えさせるような自分だけの表現を繰り出すんだ」
「意味がわからんのだが」
「最高の栄誉は『素敵』、これを得た人にはこんがり焼いた分厚い牛ヒレ肉にありつけるみたいだね。『素敵』だけにステー……」
 駄洒落にしてもベタすぎる、とゴドリーは頭を抱えた。
「それに『素敵』の評価を得られれば、どんな願いもかなうと言うよ」
 くだらん、と弁当を平らげてゴドリーは立ち上がった。
「えー、でもゴドー、語ってみたらどう? ほら、脳内奥さんのこととか……ひょっとすると願いだって……」
 その話はここまでだ、とぴしゃりとゴドーは言って去る。
「……そもそも『学園777不思議』てなんだ。初耳だぞ」

 翌日。やはり学食。
「どしたのゴドー、元気ないね?」
 ゴドリー先生だ、とつぶやくように言うゴドリーは、いつもに増して顔色が白く、いつもに増して疲れているように見えた。
「……『いきなり!』につづいて『無駄なあがき』などと言われたぞ……おまけに干し柿が飛んできた……干し柿だと……」
 死んだような目でゴドリーは弁当箱のふたを開けた。
 少々焦げたトーストが一枚きり入っているだけだった。今朝は弁当を作る時間がなかったのだろう。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 4日 出発日 2020-06-17

難易度 簡単 報酬 通常 完成予定 2020-06-27

登場人物 8/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《模範生》プラム・アーヴィング
 ヒューマン Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
「俺はプラム・アーヴィング。ラム肉を導く修道士だ。…そうは見えない?そりゃそうだ、真面目にヤる気ないからな。ま、お互い楽しく適当によろしくヤろうぜ。ハハハハ!」                                       ■身体 178cm/85kg ■人格 身に降り注ぐ事象、感情の機微の全てを[快楽]として享受する特異体質持ち。 良心の欠如が見られ、飽き性で欲望に忠実、貞操観念が無い腐れ修道士。 しかし、異常性を自覚している為、持ち前の対人スキルで上手く取り繕い社会に馴染み、円滑に対人関係を構築する。 最近は交友関係を構築したお陰か、(犬と親友と恋人限定で)人間らしい側面が見られるように。 現在、課題にて連れ帰った大型犬を7匹飼っている。 味覚はあるが、食える食えないの範囲がガバく悪食も好む。 ■口調 修道士の皮を被り丁寧な口調の場合もあるが、普段は男口調を軸に雑で適当な口調・文章構成で喋る。 「一年の頃の容姿が良かっただァ?ハッ、言ってろ。俺は常に今が至高で完成されてんだよ。」 「やだ~~も~~~梅雨ってマジ髪がキマらないやんけ~~無理~~~二度寝決めちゃお~~~!おやすみんみ!」 「一応これでも修道士の端くれ。迷えるラム肉を導くのが私の使命ですから、安心してその身をゆだねると良いでしょう。フフ…。」 ■好き イヌ(特に大型) ファッション 極端な味付けの料理 ヤバい料理 RAP アルバリ ヘルムート(弟) ■嫌い 教会/制約 価値観の押し付け
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《ゆうがく2年生》ナツメ・律華
 ローレライ Lv13 / 賢者・導師 Rank 1
※アレンジ 他の人の絡み歓迎 名前:ナツメ(名前)・リッカ(名字) 目指せ大魔法使い! 追求せよ世界の真理! 【外見】 実年齢:14歳 外見年齢:10歳程度(つるぺた) ……まだ成長期は終わってませんわ! きっとあと数年のうちに素敵なレディにっ! 髪:三つ編み(しないと髪が爆発する…) 【中身】 明るく元気な性格 (よく言えば素直、悪く言えば分かりやすい) 探究心が強く、新たな知識を得るのは大好き 勉強したり本を読むのは大好き 田舎な実家では農作業や牛の世話をしていた。 大魔法使いになって世界の不思議を理解して その力で実家の畑の収穫を楽にするの! という大きいのか小さいのか分からない野望を持つ 田舎から出てきたので、お嬢様キャラで学校デビューを計ろうとするがすすぐにボロが…… 【口調】人と話す時はお嬢様(~ですわ、~かしら) 心の内や慌てたりすると素に戻る(~よ、~ね)
《熱華の麗鳥》シキア・エラルド
 ヒューマン Lv25 / 芸能・芸術 Rank 1
音楽と踊りが好きなヒューマンの青年 近況 自我の境界線が時々あやふやになる みっともない姿はさらしたくないんだけどなぁ 容姿 ・薄茶色の髪は腰の長さまで伸びた、今は緩く一つの三つ編みにしている ・翡翠色の瞳 ・ピアスが好きで沢山つけてる、つけるものはその日の気分でころころ変える 性格 ・音楽と踊りが大好きな自由人 ・好奇心>正義感。好き嫌いがハッキリしてきた ・「自分自身であること」に強いこだわりを持っており、自分の姿に他者を見出されることをひどく嫌う ・自分の容姿に自信を持っており、ナルシストな言動も。美しさを追及するためなら女装もする。 好きなもの 音楽、踊り、ともだち 苦手なもの ■■■■、理想を押し付けられること 自己犠牲 二人称:キミ、(気に入らない相手)あんた 初対面は名前+さん、仲良くなると呼び捨て
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《這い寄る混沌》ニムファー・ノワール
 アークライト Lv20 / 王様・貴族 Rank 1
ニムファー・ノワール17歳です!(ぉぃぉぃ ニムファーは読みにくいかも知れないので「ニミィ」と呼んでくださいね。 天涯孤独です。何故か命を狙われ続けてます。 仲間やら友人はいましたが、自分への刺客の為に全て失ってしまいました。 生きることに疲れていた私が、ふと目に入った学園の入学案内の「王様・貴族コース」を見て考えを改めました。 「自分が命を狙われるこんな世界、変えて見せますわ!」 と思っていた時期が私にもありました(遠い目 今ではすっかり学園性活に馴染んでしまいました。 フレンドになった方は年齢にかかわらず呼び捨てタメ口になっちゃうけど勘弁してね、もちろん私のことも呼び捨てタメ口でも問題ないわよ。 逃亡生活が長かった為、ファッションセンスは皆無な残念女子。 な、なによこの一文。失礼しちゃうわ!

解説 Explan

 何が起こっているのでしょう!?
 プロローグで語られているウワサをあなたも耳にしました。そうして、この劇場跡を見つけたのです。
 無人の屋外劇場しかもランウェイで、思いをぶちまけたり特技を繰り出したり、はたまた一席ぶったり歌ったりと、あなたらしいサムシングな表現に挑戦するという謎の一夜がはじまります。

 いきなり! と大声で飛んでくる呼びかけに応じて、タイミングよくパフォーマンスを炸裂させてください。
 新入生さんはこの機会をとらえて『自分はこういうキャラなのだ!』と自己紹介してみるのも面白いでしょう。
 二年生ならば『こんなことができるようになったよ』『これが今年度の目標だ』等アピールしてみて下さい。

 そのパフォーマンスに応じて、『元気』『無敵』『モミの木』など評価が与えられそれにちなんだ景品(たいてい食べ物)が与えられます。最高の栄誉『素敵』を手にすることができるでしょうか……!?

 特に戦いがあるわけではありません。
 自分のキャラを掘り下げたり、他の学園生の知られざる一面を知ったりするきっかけにしていただければと思います。

 ちなみに『素敵』を獲得すると、栄光ある『いきなり! 素敵』の称号を手にすることができます。(なにー、いらないだとー!)


作者コメント Comment
 マスターの桂木京介です。

 配信のときいただいたお題を、自己紹介イベント的なエピソードとして組み立てました。
 特に指定がなければ、あるキャラクターがパフォーマンスしているところは他のキャラクターも鑑賞することになります。恥ずかしい、あるいは秘密にしておきたいので一人のときに……という希望がある方は書いていただければ対応させていただきます。

 分厚いステーキをいただくもよし、謎食事の提供を受けるもよし、ともかくファニーな話にしたいと思っております。どうぞよろしくお願いします!

 それでは、次はリザルトノベルで会いましょう。
 桂木京介でした!



個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:82 = 55全体 + 27個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
タスクさんと漫才コンビを組み挑戦
「どうも~」とランウェイを走り舞台中央へ

以下台本
タスクさんのリアクションやツッコミは
タスクさん側のプランに沿って変更可能

エリカ(以下E)(深いため息)
タスク(以下T)いきなりため息! どうしたんですか?
E 最近収入が減って厳しくて
T いきなり不景気! それはお困りでしょうね
E 軍隊に入ってを稼ぐことにしましたよ
T いきなり兵役! またきつい仕事を選びましたね
E それで戦場を進んでたら、道が棒で塞がれてて
T いきなり遮断器! それでどうしたんですか?
E くぐって進もうとしたら、横から人が飛び出してきて、ぶつかりそうになったので、慌てて止まったわよ
T いきなりブレーキ! 危ないじゃないですか

プラム・アーヴィング 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■いきなり!『ストリップ』

【踊り/挑発/生物騎乗/演技/肉体言語/心理学/人心掌握学】でストリップする。


因みに、今回は女性が行うタイプの艶やかなストリップじゃなく、男体の肉体美や力強さを前面に押し出したタイプの男がやるストリップだ。

観客?居た方が盛り上がるに決まってるだろ。
何なら、興味ある生徒を適当にステージに呼び寄せてもいいしな。

さて、どんな掛け声がかかるのか楽しみだ。ハハハ。

クソデカヴルストが出てきたら、再起不能なくらいツボに入る自信ある。

■音楽
無音だと味気ないし、【事前調査/語学/歌唱】で聞いたことある既存の曲を歌うか。
ま、誰か演奏してくれるなら有難いがな。

■交流:◎
■アドリブ:A

パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
何でも叶えて貰える……生きてた時代に戻して貰える?
冗談よ……でも、今なら、もっとうまくやれるかも

なんてね……何でもないわ

◆用意
自分の番の時に、開始前にランウェイのど真ん中に棺桶を据えて
私はその後、白いドレスでも着て、ランウェイの下や観客席からみえない場所から、物体透過で棺桶に入っておくわ

◆いきなり!
死んでるんですけど


……あけて

……出して

とか、棺桶の中から声を出して

その後、ガタガタ棺桶を揺らしたりして、頃合いを見て、物体透過で棺桶からぬっと生足出したり
ワンテンポ間をおいて、物体透過で顔の上半分だけ出して
「あ、出られた」

とか、言ってみようかしら
種も仕掛けもない、リバイバルだからできる作戦よね

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
エリカ部長さんとコンビを組む
突っ込みを担当

コンビ名は「じむおんたりえ」

【事前調査】
お笑い、漫才、突っ込みについて大図書館でみっちり勉強
毎晩のトレーニング(経歴参照)に突っ込み100本を追加
(なんでやねん!と言いながら高速で手を動かす練習)

勿論エリカ部長さんと入念なネタ合わせ
言葉に関するネタなので大図書館で関連する単語を調べますよと豪語したところ
すでに100以上の単語を網羅していた部長に驚嘆!尊敬を新たにする
そこから二人でひたすらネタを絞り、磨く!

本番では
「どうも~!【じむおんたりえ】で~す!」
物凄い笑顔で物凄い拍手しながら物凄い明るく登場
部長さんと呼吸を合わせ
テンポの良さを第一に突っ込み続ける

ナツメ・律華 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
いきなり……えっええと魔法で雪の結晶を…ウケない!?

ままま待って!白状しますわ、私の夢はこれですわっ
(持ってきたキャベツを声の方へぶん投げ)雪まみれキャベツという物ですわ!

わたくしの実家では…その、畑がありまして
雪の下にキャベツを埋めると長期保存できますし、甘くもなるのですが
冬以外でもできれば、おいしいキャベツが遠くの人達にも打ちのキャベツを食べてもらえますわ

今はまだ練習中ですが…魔法で雪をちょちょいとできる大魔法使いになるのが、わたくしの夢ですわっ!

…念の為に言っておきますが、畑で作業しているのはわたくしではないですからねっ。これでもわたくしスプーンより重い物はもったことありませんの、ほほほ

シキア・エラルド 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:165 = 55全体 + 110個別
獲得報酬:4500 = 1500全体 + 3000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:いきなり! 素敵
無人のランウェイ?…声かけられる時点で「誰か」はいるわけだ
じゃあ俺にとってはステージだ、手を抜くなんてつまらないよ
誰もいなかろうが、モデルのようにステージを歩き

・いきなり!
持っていた青嵐で【演奏】しつつ簡易なステップを踏む「踊り」「跳躍」
ある程度演奏すれば「ポエム」「歌唱」「演技」でいつか演じた「執事の青年」の如く振る舞い、歌う

すべてすべて 計画通り
手のひらの上で踊る駒
嗚呼 なのに!いつからか 全てに背いてでも あなたを
想うこと それだけならば どうか

…あ、ウィッグ持ってくるの忘れたな
まぁいいや、いきなりだからゆるして?

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
学食で、山盛りお饅頭を前にニンマリしていたところ、偶然にもゴドリー先生達の会話を耳にする。

日々、課題をこなしていく中で、力不足を痛感しており、せめて、力の一端だけでも取り戻せたら。それは叶わないまでも、魔法を応用して、それに近しい能力の発露は望めないものか。と、考えていたため”『素敵』の評価を得られれば、どんな願いもかなう”というワードにひどく惹かれる。


パフォーマンス

まず、『いきなり!』の声がどのタイミングくるのか(時間、位置など)見極めるため、他の人のパフォーマンスを見る。

呪文を詠唱しながらランウェイを歩き、『いきなり!』の声で、決めポーズと決め台詞。
魔法の発動を試みる。

アドリブ、絡み歓迎

ニムファー・ノワール 個人成績:

獲得経験:66 = 55全体 + 11個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
まずは【事前調査】を一応やっときますね。まぁ何も出てこないと思うけど。
この劇場の逸話とかあれば知っておきたいわね。
その上で【掃除】技能で野外劇場の清掃をします。
折角の舞台ですから、綺麗にしときたいわね。
きれいになったところで。
では以下パフォーマンス


「では身の上話をしますね。私は生まれた時からなぜか命を狙われていました。
理由は不明です。そこで私の仲間や友人が私を守る為に次々と命を落としていきました。
『これ以上仲間を失いたくない』

リザルト Result

 SUDDENLY!
 その劇場に足を踏み入れる者は、いきなり『いきなり!』の洗礼を浴びることになるという!
 にわかには理解しがたいところだが、事実その通りなのだから始末が悪い!
 墨を流したような漆黒の真夜中、つま先から劇場に足を踏み入れた【ニムファー・ノワール】は、いきなり『いきなり!』に遭遇した。
 昼間訪れたときとは大違いだ。蜘蛛の巣だらけで壁には亀裂、広大な客席に閑古鳥というからっぽの空間が、丑三つ時のこの夜は、魑魅魍魎(ちみもうりょう)か幻術か、どこから出現したのかまるきり不明、老若男女あらゆる種族のオーディエンスで溢れんばかりとなっていた。
 たちまちニムファーを飲み込む歓声、突き上がる無数の拳、熱気で蜃気楼さえ立ちのぼりそう!
 目もくらみそうな脚光が当たる。
 謎めいた観衆は声を合わせ叫んだ!
「いきなり!」
 ニムファーが口をきけないでいると、じれたようにまた叫ぶ。
「いきなり!」
 まるで押し寄せる波濤(はとう)ではないか。
「いきなり!」
 マジでいきなりだな!
 ニムファーは事前にこの劇場跡を訪れていた。やたら校舎から遠いうえ開けっぴろげなので雨天に弱く、中途半端な大きさということもあって破棄されたものらしい。
 しかし昼間ニムファーが清掃したおかげで今は美麗であり、加えてどこから現れたのかこの大聴衆だ。これはもうパフォーマンスを繰り出すほかない。
「いきなり!」
 四度目のコールにサーファーのごとく、ニムファーは意を決して飛び乗った。
「では身の上話をしますね」
 待ってましたと聴衆が大声で応じる。
「私は」
 と言った瞬間ステージの灯が落ちた。薄明かりのもとで話しつづける。
「生まれた時からなぜか命を狙われていました」
 演奏者でも控えているのか、ピアノによる物悲しいBGMが流れ始める。
「……理由は不明です。そこで私の仲間や友人が私を守るために次々と命を落としていきました。『これ以上仲間を失いたくない』、そう願ったとき、私はアークライトとなったのです」
 客席がどよめいた。
「私は敵を一掃しましたが、仲間を救うことはできませんでした……誰ひとりとして」
 語るだにつらい記憶だ。ニムファーの声も震え始めていた。
「仲間が守ってくれた命、少しでも長く生きることが恩に報いることだと思うのですが、目覚めた力が短命種のアークライトなのはなんとも皮肉な話」
 くじけないで、と応じる声があった。
 今を生きるんだ、と励ます声も。
「だから私はこの命尽きるまで楽しくすごし、少しでもたくさんの土産話を先に亡くなった仲間に持っていこうかと思っています」
 語り終え、
「ご清聴ありがとうございました」
 頭を下げると、温かな拍手がニムファーを包んだのである。
 どこからか低い声が聞こえてきた。
「いきなり……悲劇」
 ステージの隅、すうっとニムファーの眼前に鍋が滑り出てきた。
 アツアツの鍋だった。中身は、すき焼き。
 これを受け取りニムファーは歩み去る。煮えるしらたきを見つめながらつぶやいた。
「でも私の命を狙う人が『這いよる混沌め、お前が顕現することは許さん』と言ったのはどういう意味なのかしら……」
 お疲れ、とニムファーに声かけてステージに躍り出たのは【シキア・エラルド】だ。
「無人かと思いきやすごいな」
 たとえ幻影であろうと、オーディエンスがいるならシキアにとってここはステージだ。
「手を抜くわけには行かないな。ま、最初からそのつもりはないけどね」
 ランウェイウォークなどお手の物、背筋をのばしモデルのように、シキアは中央に進み出た。
「いきなり!」
「いきなり!」
「いきなり!」
 手拍子込みの小刻みなIKINARIコールをシャワーのように浴びながら、取り出したるは横笛その名は青嵐。
「いきなりであってもいつも通り、いや、いつも以上のシキアをご覧あれ!」
 夏の稲妻のような激しい曲を即興で奏でる。姿の見えぬ楽団が、ドラムと弦楽器で興を添う。
 シキアは生粋のパフォーマー、加えて簡易なステップから繰り出すは、バレエダンサー顔負けのシャープな跳躍、そして回転、さらに床につく股割りを披露する!
 魅了されたか観客たちも、ステップは無茶苦茶ながら踊り始めた。激しくぶつかりあうモッシュが発生し、ステージに上がって客席にダイブする者まででてくる始末。
「ならばミュージカル調で」
 先日演じたあの役を披露しよう。
「これなるは執事シキアでございます。旦那様にお嬢様、あなたの夜を飾りましょう」
 青嵐を胸元にさして歌う。青年執事になりきって。
「すべてすべて 計画通り
 手のひらの上で踊る駒
 嗚呼 なのに! いつからか 全てに背いてでも あなたを
 想うこと それだけならば どうか」
 詩は完璧、ウイッグを持ってくるのを忘れたことだけが悔やまれる。
 一礼したシキアに投げかけられたコールは見事、
「素敵!」
 であった。ランウェイに置かれたのはボリュームたっぷり、皿に載った分厚いヒレステーキだ。
 さっきまで楽しく手拍子に参加していたのに、と【ナツメ・律華】は我に返って冷や汗をかいた。次は自分の番だとは!
「がんばって」
 とシキアにウインクされステージにエスコートされたものの、頭はもう真っ白だ。彼の圧倒的な歌とダンスのステージにつづいて何をやればいいのか。
「いきなり……えっええと、魔法で雪の結晶を……」
 ハードルが上がりきった状態で魔法を披露しようとしたものの、
「ウケない!?」
 夏に咲く雪の華、涼しくて綺麗ではあるがいかんせん大きなステージには映えない。
 しかしやまぬのが、
「いきなり!」
 コール。もっと本気で来いという客席からのメッセージだろう。
 覚悟するしかない。
 活火山の火口に飛び込むような心境で、ナツメはランウェイに駆け出した。
「ままま待って! 白状しますわ、私の夢はこれですわっ!」
 そしてぶん投げたのである。
 キャベツを。それも、たくさん。
「雪まみれキャベツという物ですわ!」
 まさかキャベツが来るとは思わなかったのだろう、客席に動揺がひろがっていく。
「わたくしの実家では……その、畑がありまして」
 するとたちまち、雪国を思わせるBGMがしんしんと流れ出した。
「雪の下にキャベツを埋めると長期保存できますし、甘くもなるのですが、これが冬以外でもできれば、遠くの人たちにもうちのおいしいキャベツを食べてもらうことができますわ!」
 こんなときに尻込みすれば負けだ。だからナツメは、声により力を込めた。
「最高のキャベツは芯まで甘いのですわ! 生でも焼いても、煮込んでもおいしいキャベツなのですわ!」
 だから、とあらんかぎりの声でナツメは叫んだ。
「今はまだ練習中ですが、魔法で雪をちょちょいとできる大魔法使いになるのが、わたくしの夢なのですわっ!」
 脳裏に浮かんだのは故郷、家族の顔だ。偽りなきその思い! ナツメの魂の主張は見事、キャベツコールを巻き起こした!
「キャベツ!」
「キャベツ!」
「雪まみれキャベツ!」
 今や客席がキャベツで一体となっている!
「……念のために言っておきますが、畑で作業しているのはわたくしではないですからねっ。これでもわたくしスプーンより重い物はもったことありませんの、ほほほ」
 一応言っておきたかったのだ。でもこれは偽りそのものなので客席には届いていなかった。そして判定。
「いきなり! 収穫期!」
 このコメントとともに提供されたものは、キャベツたっぷりのお好み焼きであった。

「素敵、と言われると何でもかなえてもらえるそうね……だったら生きていた時代に戻してもらおうかしら?」
 冗談よ、と微笑して【パーシア・セントレジャー】が登場した。
 冗談ではあるが、本当にかなったら、もっとうまくやれるかもと思う。
(なんてね)
 パーシアにさきがけてランウェイのどまん中に、出演を終えたシキアがなにかを設置した。
 箱状のものだ。一度かたむけ、中身が空であることを客席に示してから蓋を下ろす。
 大きな宝箱?
 いや、棺桶である。
 この不吉なオブジェを認識したのか、客席はさっと静まりかえった。
 その静寂を縫うように、
「……あけて」
 棺の内側からうめき声が聞こえる。
 パーシアの声なのだが臨場感は十分、ミイラ(The Mummy)でも押し込められているかのようだ。
「……出して」
 正直、怖い。
 そのとき分厚い雲が途切れ、合間からひとすじの月光が棺桶にさした。
 怖じ気づいたか客席からの、
「いきなり!」
 コールもおびえ気味だ。パーシア見事に応じていわく、
「死んでるんですけど……」
 いきなりすぎないか、それは。
 少しずつ音楽が高まってくる。
 低い音楽だ。地の底を流れる暗流のような。
 パイプオルガンだろう。おどろおどろしく、かつバロック調である。
 もう一度パーシアのうめき声。
「出して……」
 客席は震え上がっているようで、ランウェイから遠ざかる姿も多数見られた。
 きゃっと叫ぶ声があった。
 ガタガタと棺桶が揺れたからだ。
 さらに悲鳴が上がる。失神する客もいる。
 棺桶から、白い生足が飛び出したから。
 しかし棺桶の揺れは唐突に止まった。
 視線が集まるも何事も起こらない。
 と、見せかけて、
「あ、出られた」
 ワンテンポ間を開けて、パーシアの首が棺桶を通り抜けて出てきた。
 リバイバルだからこそできる種も仕掛けもないアクションだ。
 白いドレス姿のパーシアが全身を見せると、恐怖と歓声がない交ぜになったものが沸き起こった。
「図書館で調べたけど、昔の人は磔刑にされると、さらされたまま放置だったらしいしね……うっわー……想像したくないわ」
 などとパーシアが語ると、ほっとしたのか笑いも巻き起こる。
 自分のときはどうだったのだろう、とパーシアは思った。当たり所(?)が悪かったら、不死の軍団を率いるアンデッドになっていたかもしれない。
 くだった判定は、
「いきなり……幽鬼……」
 であった。提供の食事は、ごぼうのささがきだった模様。

 うって変わって、チンチキトコトンと愉快な出ばやしが流れ始めた。
 これにあわせて襟元がラメ入りのスーツ、しかも紫、そんな上下を着たコンビがダッシュで登場する。真っ赤な蝶ネクタイも挑戦的だ。
「どうも~! 【タスク・ジム】で~す」
「【エリカ・エルオンタリエ】で~す」
「ふたりあわせて、『じむおんたりえ』で~す!」
 息はぴったり、目尻を下げて愛想を振りまき、待ってましたと喝采を浴びる。
 いきなり! 漫才! の登場である。
 楽しく開始かと思いきや、エリカはだしぬけにブルーな表情になった。
「はぁ~」
「いきなりため息! どうしたんですか?」
 オヨヨというタスクの動きもオーバーすぎず小さすぎずいい具合だ。
「最近収入が減って厳しくてぇ」
「いきなり不景気! それはお困りでしょうね」
 小笑い。
「なもんでねぇ、軍隊に入って稼ぐことにしました」
「いきなり兵役! またきっつい仕事選びましたね」
 受けた! ここからは息つく暇もないトークの連打!
「それで戦場を進んでたら、道が棒でふさがれてて」
「いきなり遮断器! でもなぜ戦場に!?」
「くぐって進もうとしたら、横から人が飛び出してきてぶつかりそうになったんで慌てて止まったわ」
「いきなりブレーキ! 危ないでしょ!」
「そしたらその人こっちに鉄砲突きつけて」
「いきなり銃火器! てか戦場だから!」
「反対の手に持った先の広がった筒で叫ぶのよ」
「いきなり拡声器! それでなんと?」
「『ここから先は聖なる場所だから入ってはいけない』」
「いきなり聖域! 難しいわ!」
「そこ通らないと先へ進めないので、やる気なくなっちゃって」
「いきなり倦怠期! 夫婦か! それで!?」
「こんな仕事やってられないって座り込みで抗議したんだけど」
「いきなりストライキ! めちゃくちゃですね」
「そしたら任務放棄で牢に入れられちゃったのよ」
「いきなり懲役!! 散々! もういいです!」
 ひとつひとつは小さいボケだが、ボディブローのように効いていき、最後は何を言っても受けるパターンに入っていた。
「ありがとうございました!」
 どーもー! と走り去ろうとする『じむおんたりえ』を、
「いきなり笑撃!」
 という好評価が追いかけてきた。これが喜ばずにいられようか!
「やった~!」
 舞台袖に入るやタスクはエリカに抱きつき、
「あっ!」
 そのコンマ5秒後に飛び退き二回転半ローリング後転して土下座した。
「しし……失礼をいたしました……!」
 顔が炎のように赤く、顔を上げられない。
「いや、大丈夫だから。顔を上げて。ね?」
 しゃがみこんだエリカがそう呼びかけていた。
 そんなタスクの様子を眺めながら、【プラム・アーヴィング】は肘をシキアの肩に乗せてニヤニヤしている。
「これがホントのいきなり! 思春期! ってやつ?」
 このとき『じむおんたりえ』に提供されたのは三段組のケーキだった。
「これ、もしかしてウェディングケーキ?」
 ひそひそとパーシアがナツメに語りかける。
「……だとすれば意味深ですわね」
 少し離れたところからケーキを観察していた【アルフィオーネ・ブランエトワル】だったが、
「えっ、わたし?」
 次は自分の番と知り慌てて出て行く。
 今回、『いきなり!』な野外劇場の噂をみなのあいだに持ち込んだのはアルフィオーネだった。先日、学食で食後のデザート山盛りおまんじゅうを前にニンマリしていたところ、偶然にも【ゴドワルド・ゴドリー】【イアン・キタザト】両教師の会話を耳にしたのである。
 深呼吸する。
(狙うは……『素敵』の称号)
 すでにシキアが早々に獲得していたが、一晩に一度しか『素敵』が出ないという話は聞いていない。手に入れたい。
 なぜならアルフィオーネにはかなえたい願いがあるから。
 数えきれないほどの星々を巡り、外宇宙からの侵略者やその手先である巨大危険獣たちと激闘を繰り広げていたかつての記憶――そのころの力は現在のアルフィオーネにはない。ゆえに、
(せめて、力の一端だけでも取り戻せたら)
 と思うのである。
 自分の出演をできるだけ終盤にしてもらったのも、どのタイミングで『いきなり!』コールが来るか見るためであった。おかげで理解している。コールは間断なく来るが、自分に一番いいところでとらえればいいのだ。
「気合い入れて行こう!」
 自身に活を入れランウェイをゆく。
 呪文を詠唱しながら。
「そは生命のたぎり
 そは魂のぬくもり」
 客席は静まりかえっていた。アルフィオーネの言葉を聞き漏らすまいとしているのだろうか。
「暁から生まれし者
 黄昏から還りし者」
 朗々と唱えつつ、歩む。
「とこしえの誓約
 いにしえの盟約」
 ここからが勝負だ。
「今ここに」
 両手の人差し指と中指を広げ、掌側を前に向けて額の宝石に沿える。
「星の火よ
 破壊と創造の光となれ!」
 両脚は肩幅。足元に魔法陣を展開。
「いきなり!」
 コールが来た。これに即応しアルフィオーネは叫ぶ!
「悪は絶対! 滅殺ビィィィィムッ!」
 エメリウもといエメラルドの輝きが高まり、額の宝石より緋色の熱光線が放たれる! ――と、いうことはなかった。
 冷笑はない。落胆もない。なぜか温かい拍手がアルフィオーネの健闘をたたえたのである。ニムファーも手を叩いている。
「いきなり! 大胆不敵」
 アルフィオーネが得たのはこの称号、手にしたのは、甘い氷あずきであった。
「さあて」
 柔軟体操を終えて準備は万端、大トリすなわちプラムの出番だ。
 胸を張ってランウェイに出て行く。
 プラムは、一年生のときの自分の身体に未練を感じていた。中性的で細く、しなやかな少年体型、もう二度とは戻れぬあのころの自分を。
 骨太になり厚い筋肉のついた現在の肉体、これをコンプレックスに感じているわけではない。ただ、好みなのはかつてのボディだったというだけのことだ。戻れるなら戻りたい、何度そう願ったことか。
 しかし、それも過去の話だ。
 もう違う。今夜からは、違う!
「やっぱり、常に今の俺が一番最高だよなァ!」
 レインコートにメガネにハット、ステッキ状の傘まで持った紳士風、その衣装でプラムは歩き出す。
 扇情的な音楽がかかりはじめた。BPM増し増し、ガンガンにアがる感じの重低音ダンスミュージック。これに乗って中央まで歩み出たところで、ぴたりと止まる。
 静から動へ。
 音楽に乗ってプラムは踊った。キレが良く力強いダンス。傘を開いて閉じて回して振って、足を高く上げる。あまりの激しさにハットが落ちたが気にしない。
 音楽が高まると、プラムは傘を投げメガネをかなぐり捨てた。レインコートの前を力の限りはだける。その下は、たくましい筋肉をむきだしにした半裸だ! 肉体を隠すものは黒いベストと黒いブーメランパンツ、しっかり結んだネクタイのみ!
 スポットライトが照らし出す。
 見よ! これが、いきなり! ストリップだ!
 主として女性による、爆発的な歓声がプラムを襲った。求めに応じプラムは腰を振る。悩ましくベストを破りネクタイをくねらせ、ランウェイを練り歩けば、多くの女性客と決して少なくはない男性客が、先を争うようにしてプラムのパンツとボディの間に札束を挟んだ。(なおこの札は、階下でシキアやタスクが、一生懸命配っている偽物である)
 札が舞う! 舞う! プラムに届かない客達が夢中になって投げているのだ。
 音楽のクライマックスにあわせ、大胆なポーズをプラムは決めた。
「さて、どんな掛け声がかかるのか楽しみだ。ハハハ」
「いきなり! いななき!」
 ヒヒーン、とどこからから馬の声が轟いた。
「馬並みってわけかァ、光栄だ!」 
 プラムのもとに届けられた食べ物、それはウナギの蒲焼きであった。
「クソデカヴルストとか出てきたら死ぬほどウケたが、『き』で終わる食いモンしか出せねーみてぇだし、仕方ねえか」
 これはこれで精力つく食いモンだしな、とプラムは納得するのである。

 かくして狂乱の夜は終わった。
 気がつけば空は白みはじめており、あれほどいた客は煙のように消え失せている。
「『素敵』を獲得したら、願いがかなうって言い伝えらしいけどね」
 あいにくと、とプラムは笑ったという。
「最高のパフォーマーになることが俺の願い。かなえつつあるのだから、今さら願うまでもないよ」
 



課題評価
課題経験:55
課題報酬:1500
いきなり! 素敵
執筆:桂木京介 GM


《いきなり! 素敵》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2020-06-13 00:03:51
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。
よろしくね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 2) 2020-06-13 00:04:03
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。よろしくお願いいたします!

いきなり素敵なゆうしゃをめざして、頑張りますっ!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 3) 2020-06-13 00:30:51
そういえば、出し物については考えていたけれど、
素敵認定を貰えると特上牛ヒレ肉が貰えるのと
どんなお願いでも叶えてもらえるという事を忘れていたわ。
認めてもらえるかどうかは分からないけれど、そっちも考えておかないといけないわね。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 4) 2020-06-13 03:50:58
わたしは、アルフィオーネ。アルフィオーネ・ブランエトワル。
教祖・聖職専攻。

どうぞ、よしなに。


本当に、どんな願いもかなえてくれるのか、気になるところね。素敵認定いただいたら、すっごい無理難題頼んでしまおうかしら?
そしたら、こんな手の込んだ悪戯している者が、思わず、正体を現すかもね

《這い寄る混沌》 ニムファー・ノワール (No 5) 2020-06-13 13:45:55
ニムファー・ノワール17歳です!(ぉぃぉぃ

私、このお店入ったことないのよねぇ(謎)

素敵判定がもらえたらラッキー(はーと)くらいの気持ちでがんばってみるわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 6) 2020-06-14 00:43:17
すごい無理難題ですか、なるほど!例えば不老不死とかでしょうか。

または、1つならどんなことでも必ず教えてくれる、とかいいですね。

とにかく、素敵認定めざして頑張りましょう!

《ゆうがく2年生》 ナツメ・律華 (No 7) 2020-06-14 22:24:40
賢者・導師コースのナツメ・律華ですわ!
わたくしもこのお店に入るのは初めてなのですわ
皆様のパフォーマンスも楽しみです、よろしくお願いしますね

わたくしは…何をやるかも願いもまだ考え中ですが、
と、とにかくっ、いきなり頑張りますわ!

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 8) 2020-06-14 23:07:12
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
いきなり……ほんと、いきなりね。

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 9) 2020-06-15 00:19:33
ストリップしたら「元気」の評価出てこねーかな。はっはっは。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2020-06-15 01:34:40
皆さん、よろしくお願いいたします!
今回ばかりは、みんなライバルですね。

ナツメさん、いきなり頑張るっていうのは面白いですね♪
僕は逆に、死ぬほど練習して臨むつもりです!(腕捲り)

あ、お店は入ったことありますよ!
5歳の娘には流石に固かったようですが(笑)
堪能しましたし、お財布にも優しかったです~♪ 

…という謎発言は、
あまり気にしない方向でお願いいたします(´。・д人)゙

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 11) 2020-06-16 20:24:15
いきなり、つまりアドリブ力が試されると…
無人ってとこがアレだけど、まぁある程度緊張は緩和できるんじゃない?
何はともあれ、よろしくね

《這い寄る混沌》 ニムファー・ノワール (No 12) 2020-06-16 23:59:54
今回はシリアスで