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村を襲うは碧緑の獣


ストーリー Story

「お願いだッ! あたしらの村を助けてくれっ!」
 そう言ってベッドから飛び起きたのはルネサンスの少女【リリア】である。
 犬耳と尻尾を持つ人種である彼女は傷だらけの状態で『学園フトゥールム・スクエア』の近くに倒れていた。
 教員に発見され、治療を施されて現在に至る。
 彼女の傷は大きな爪痕や噛み傷が多い事から凶暴化した何かに襲われた事は明白であった。
「実は……あたしらの村にでっかい獣が他の獣を引き連れてうじゃうじゃやって来やがったんだ。正直、普段じゃ見かけない数だった」
 ルネサンスと言えばその特徴は身体能力が高い事があげられる。並の獣相手に後れを取る事はないはず。
 それなのにルネサンスの村を救援してくれとはどういうことなのだろうか。
 話を聞いていた一同が不思議に思っているとリリアは俯き加減で話し出す。その表情は暗い。
「あいつら……普通の獣じゃねぇ、恐らくルネサンスの純種だがなんか妙な魔法具みたいなのが付いてて、見た事ねえ技ばっかり使いやがる。あの変な技さえなければあんな奴らに負けなんかしねぇよっ!」
 悔しそうに拳を握り締めるリリアに一同は何とかするから状況を聞かしてくれと言った。
 その瞬間、ぱっとリリアの表情が明るくなりぶんぶんと尻尾を振る。
「本当かっ! 力を貸してくれるなんてありがてえ! 困った時はこの学園に行けっていうじっちゃんの言葉は嘘じゃなかったんだな!」
 嬉しそうにはしゃぐリリアだがその豊満な胸がたゆんたゆんとけしからんぐらいに自由奔放に揺れている。薄着でそれなのだからそれはもう色々と困る。当の本人にはそれが視線を集めているとは自覚が一切ないようであった。
 一同が目のやり場に困っているとリリアは、はっと気が付いたように喋り出す。
「そうだ、詳細だったな悪い悪い。嬉しくなると色々と話が飛んじまうんだよ、なんでだろうな。ああ、そいで村人だけど全員村近くの洞窟に避難して守りを固めてる。村を襲った奴らは何かを探してるみたいで洞窟というか逃げる村人には何の興味も示さないみたいだった。動きはずいぶんと統制が取れていて妙だったよ」
 話を聞く限りそのルネサンス純種と思われる獣達は何かを探しているようだ。一体何なのだろうか。
 それとなく一同はリリアに心当たりがあるか聞いてみるが彼女にはそれに心当たりがないらしい。
 村は中心に噴水があり、それを囲う様にして円形に家が建っているようだ。獣達は村のあちこちにちらばっていて総数は不明である。
 ただ、一匹だけ巨大なルネサンスの純種と思われる獣が噴水近くに陣取り他の獣に指示を与えているらしい。
 話を聞くだけでもどうやら何か獣達は明確な『目的』があるようだ。
「よし、さっそく出発だな。そうと決まればあたしが村に案内するよ! ちゃんと戦闘にも参加するから。あー大丈夫かって顔しやがったな? これでも村一番の戦士なんだから見くびるんじゃねえぞ!」
 拳を突き出すリリアの仕草はあまり強そうには見えず、一同は多少の不安を感じるが村への道筋を知らない以上、彼女に案内を頼むしかないだろう。
 こうして一同はリリアに案内され、学園から村へと向かうのであった。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2020-07-10

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2020-07-20

登場人物 8/8 Characters
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《ゆうがく2年生》ヒューズ・トゥエルプ
 ヒューマン Lv21 / 黒幕・暗躍 Rank 1
(未設定)
《模範生》プラム・アーヴィング
 ヒューマン Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
「俺はプラム・アーヴィング。ラム肉を導く修道士だ。…そうは見えない?そりゃそうだ、真面目にヤる気ないからな。ま、お互い楽しく適当によろしくヤろうぜ。ハハハハ!」                                       ■身体 178cm/85kg ■人格 身に降り注ぐ事象、感情の機微の全てを[快楽]として享受する特異体質持ち。 良心の欠如が見られ、飽き性で欲望に忠実、貞操観念が無い腐れ修道士。 しかし、異常性を自覚している為、持ち前の対人スキルで上手く取り繕い社会に馴染み、円滑に対人関係を構築する。 最近は交友関係を構築したお陰か、(犬と親友と恋人限定で)人間らしい側面が見られるように。 現在、課題にて連れ帰った大型犬を7匹飼っている。 味覚はあるが、食える食えないの範囲がガバく悪食も好む。 ■口調 修道士の皮を被り丁寧な口調の場合もあるが、普段は男口調を軸に雑で適当な口調・文章構成で喋る。 「一年の頃の容姿が良かっただァ?ハッ、言ってろ。俺は常に今が至高で完成されてんだよ。」 「やだ~~も~~~梅雨ってマジ髪がキマらないやんけ~~無理~~~二度寝決めちゃお~~~!おやすみんみ!」 「一応これでも修道士の端くれ。迷えるラム肉を導くのが私の使命ですから、安心してその身をゆだねると良いでしょう。フフ…。」 ■好き イヌ(特に大型) ファッション 極端な味付けの料理 ヤバい料理 RAP アルバリ ヘルムート(弟) ■嫌い 教会/制約 価値観の押し付け
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《2期生》シルワ・カルブクルス
 ドラゴニア Lv15 / 村人・従者 Rank 1
細い三つ編みツインテールとルビーのような紅い目が特徴のドラゴニア 元々彼女が住む村には、大人や数人ぐらいの小さい子供たちしかおらず同い年程度の友達がいないことを心配した両親にこの学校を薦められて今に至る 一見クールに見えるが実際は温厚な性格であり、目的である世界の平和を守ることはいわば結果論、彼女の真の目的は至って単純でただの村人として平穏に暮らしたいようである しかし自分に害をなすとなれば話は別で、ドラゴニアらしく勇猛果敢に戦う 一期生にはたとえ年下だとしても「先輩」呼びをするそうだ 「私はただの村人、できる限りのことをしただけです」 「だれであろうと私の平穏を乱す者はすべて叩き伏せます」 ※口調詳細(親しくなったひとに対して) 年下:~くん、~ちゃん 同い年あるいは年上:~さん ※戦闘スタイル 盾で受け流すか止めるかでダメージを軽減しつつ、斧で反撃するという、いわゆる「肉を切らせて骨を断つ」戦法を得意とする
《イマジネイター》ナノハ・T・アルエクス
 エリアル Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
フェアリータイプのエリアル。 その中でも非常に小柄、本人は可愛いから気に入っている。 明るく元気で優しい性格。天真爛漫で裏表がない。 精神年齢的には外見年齢に近い。 気取らず自然体で誰とでも仲良く接する。 一方で、正義感が強くて勇猛果敢なヒーロー気質。 考えるよりも動いて撃ってブン殴る方が得意。 どんな魔物が相手でもどんな困難があろうと凛として挑む。 戦闘スタイルは、高い機動性を生かして立ち回り、弓や魔法で敵を撃ち抜き、時には近接して攻め立てる。 あまり魔法使いらしくない。自分でもそう思っている。 正直、武神・無双コースに行くかで迷った程。 筋トレやパルクールなどのトレーニングを日課にしている。 実は幼い頃は運動音痴で必要に駆られて始めたことだったが、 いつの間にか半分趣味のような形になっていったらしい。 大食漢でガッツリ食べる。フードファイター並みに食べる。 小さな体のどこに消えていくのかは摩訶不思議。 地元ではブラックホールの異名(と食べ放題出禁)を貰うほど。 肉も野菜も好きだが、やっぱり炭水化物が好き。菓子も好き。 目一杯動いた分は目一杯食べて、目一杯食べた分は目一杯動く。 趣味は魔道具弄りで、ギミック満載の機械的な物が好き。 最近繋がった異世界の技術やデザインには興味津々で、 ヒーローチックなものや未来的でSFチックな物が気に入り、 アニメやロボットいうものにも心魅かれている。 (ついでにメカフェチという性癖も拗らせた模様)
《1期生》アケルナー・エリダヌス
 ローレライ Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
目元を仮面で隠したローレライの旅人。 自分のことはあまり喋りたがらない。適当にはぐらかす。 ふとした仕草や立ち居振舞いをみる限りでは、貴族の礼儀作法を叩き込まれてるようにもみえる。 ショートヘアーで普段は男物の服を纏い、戦いでは槍や剣を用いることが多い。 他人の前では、基本的に仮面を外すことはなかったが、魔王との戦いのあとは、仮面が壊れてしまったせいか、仮面を被ることはほとんどなくなったとか。 身長は160cm後半で、細身ながらも驚異のF。 さすがに男装はきつくなってきたと、思ったり思わなかったり。 まれに女装して、別人になりすましているかも? ◆口調補足 先輩、教職員には○○先輩、○○先生と敬称付け。 同級生には○○君。 女装時は「~です。~ですね。」と女性的な口調に戻る。
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている

解説 Explan

お初の人もそうでない人もこんにちわ、ウケッキです。
今回は襲われている村を救ってほしいというお話です。
皆さまは案内されて村にいるというていでもいいですし、偶然事件に遭遇したというていでもOKです。その他の状況も歓迎ですのでご自由に!


◆村
:噴水を中心に円形に建物が並んでおり、村の規模としては中規模程度。
 既に住民の避難は済んでいる。

◆予測される敵

●《ラピッドガルム》……5体
【格】
:2
【生態】
:本来は群れを作らず単体で行動する人間程のサイズの四足歩行の狼。
 今回は奇妙な魔法具によりかなり凶暴化している上、なぜか集団行動を取っている。
【本能】
:知能が高く、簡単な罠は見抜かれてしまい回避される。
【属性得意/苦手】
:無し
【得意地形】
:森、林、山岳地帯
【戦闘スタイル】
:爪や牙を使った一撃離脱戦法を好む。
【状態異常】
:無し

▼GM補足情報
:ルネサンス純種と思われる妖しい緑色の魔法具が装着された四足歩行の狼。

●《アシッドガルム》……1体
【格】
:3
【生態】
:体内に弱い毒性を持つ大きなラピッドガルム。数十年を生きた個体とも言われ、
 その知能は高く生半可な攻撃は見抜かれてしまう。通常は口から弱い毒を吐く程度の
 毒性しかないが、奇妙な魔法具の影響により毒性が強化されており流れる血や
 爪、牙に至るまで強力な毒が循環している。口から吐く毒も猛毒化している。
【本能】
:人前に姿を現さず、洞窟などの巣の奥に隠れて生きている。
 知能がとても高く敵対行動を取らなければ本来は襲ってくる事など無い 
【属性得意/苦手】
:無し
【得意地形】
:森、林、山岳地帯、洞窟
【戦闘スタイル】
:巨体に似合わずその動きは俊敏。
 非常に頭がよく、傷を負った者、魔法を唱えようとする者、後衛にいる体力の低い者を
 優先的に狙ってくるので注意。
【状態異常】
:毒

▼GM補足情報
:巨大なルネサンス純種と思われる妖しい魔法具が装着されている四足歩行の狼。


作者コメント Comment
最初から毒の魔物とかいうとても面倒な敵を出してしまうあたり意地悪なMSと
思われそう気がしなくもないなあと。
これからも面倒な敵を頑張って考えるのでどうぞご贔屓に!←


個人成績表 Report
フィリン・スタンテッド 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:195 = 65全体 + 130個別
獲得報酬:6000 = 2000全体 + 4000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
●作戦
ラピッドガルム(以下、ガルム)の撃退、背後関係にも注意して

●事前準備
リリアに戦闘時の注意。
ついてくるなら指示に従う事を条件として強く伝えておく。

●行動
いずれの場合もリリアが狙われた時は最優先で庇いに。

探索時は『追跡』でガルムの足跡を捜査し、不意打ちを警戒して行動。
遭遇後は前線で攻性防壁。シルワたち前線のみなと連携し、
毒攻撃は技能と道具で耐えて『挑発』して引きつけ後衛をカバー。
自分も『通常反撃』中心に攻め、動きが鈍ったら『部位破壊』で魔法具ねらい。
魔法具の破壊後は撤退するよう『説得』(脅迫)するが、無理なら撃破を。

村人には背後関係の注意を呼びかけ、何かあったらすぐ学園に連絡するようにと連絡

ヒューズ・トゥエルプ 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【戦闘】

1.【視覚強化】と【狙い撃ち】を用いて
魔法具のピンポイント狙撃を試みる【部位破壊】

2.【プチラド】を放ち
電気ショックによる硬直を誘い、その隙に魔法具を剥がしてもらうかor壊してもらう
or自分で処理する

魔法具を外しても交戦の意思がある、味方が劣勢に陥るようであれば
撃破を優先する。

接近戦に持ち込まれた場合は「グロリアスアーム」の「グロリアスナイフ」で応戦
ステップ4は移動を除き、回避準備を選択

敵数が減ったら、敵の後方に回り込んで、ヒット&アウェイを潰す
毒のブレスは経鼻、経口摂取しないよう「息止め」を使用し、距離を取る

黒幕の手がかりとしても、義兄にドヤされないためにも
狼達は生存させたいが…

プラム・アーヴィング 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
「ちゃんいぬをこんな風に利用するなんてギルティ」

■戦闘
【マド】で体力を削り、動きを鈍らせる。
【フェイスシール:翡翠/緊急回避】や【匂い袋】を【投擲(小物)】して嗅覚にダメージを与えつつ回避。
【デトル】で毒解除。

■魔法具破壊
【ハッタリ/挑発/肉体言語】で囮になり【二段ジャンプ】でアシッドガルムの真上に跳躍し、【精密行動/集中】で【炸裂の種】を魔法具に【投擲(小物)】し破壊を試みる。

ガルム達の連携の要になっている可能性が高いアシッドガルムの魔法具破壊を優先。

しかし、アシッドガルムの方の戦力が十分であれば、観察・推測した結果の情報を仲間に共有しラピッドガルムの方に回る。

■アドリブ/交流度:A

チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
まーた見た事ない魔物が………
……魔物じゃない?ルネサンスの純種?ふーん。
襲ってくるだけ魔物みたいなもんじゃないの?首のやつで操られてる説?
なんでもいーけど、ゆーしゃ様達はお心かんよーだってことで。

てかザコちゃんはそれより、あの首についてるやつが欲しいんだけど。
みんな壊す気なんでしょ?そったら砕いたやつザコちゃんにちょーだい。布地の隙間に縫い込んで装飾にする。

とりま毒ってるの、魔法唱えそうなお人狙ってるっぽさあんじゃん?
だからザコちゃん、いかにも魔法唱えてますけどー?って【ハッタリ】かまして気引き付け【挑発】してこ。
なんなら手元に【マド】の玉出してもいーし。魔法は使う気ないからそのまま消すけど。

シルワ・カルブクルス 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
リーダー格の狼は魔法を使う者や後衛の者を狙う習性があるので、ハッタリで攪乱しようとするザコちゃん先輩を含めて、フィリン先輩と連携しながら『衝撃享受』や『忍耐』、『部分硬質化』を駆使して庇いにいく
その時に「毒」を受けそうになった場合は「サクラビット」をしようする
狼に付けられている「魔法具」を庇う時の『基本斧術』での『通常反撃』で破壊を試みる
もし、破壊しても相手が戦闘する気があるならば倒すことに専念する

戦闘後、「魔法具」を仕掛けた犯人の心当たりあるいはここ最近村に変わったことはないか村の人たちに聞き込みする

ナノハ・T・アルエクス 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
アシッドガルムの撃退

■行動
僕は後衛。
飛燕弓で矢を放ったり、フドを唱えて攻撃するよ。
俊敏な動きで当たらないかもだけど、牽制や撹乱の意味も込めてとにかく攻撃だよ。
フリーにはさせないよ!

攻撃されたら回避。
避けそこなった時のために盾も構えておいて、すばやさを活かしブースターも併用して、
とにかく直撃を受けないように注意だよ。
毒は恐いけど、当たらなければどうってことはない!なんとぉぉーーーつ!!

僕以外の人を狙うようなら、こっちから仕掛けるよ。
自然友愛で精霊を召喚して矢に魔力を込めて貰い、技能の集中で感覚を研ぎ澄ませ、
狙い撃ちで強力な矢を放つ。
策なんてない、小細工なしの一発射撃!当たれぇぇーーーっ!

アケルナー・エリダヌス 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
もしかしたら、魔法具で純種と思われる存在を操ってる者が居るかも
だから、その魔法具の破壊を部位破壊で試みたい

魔法具を壊して敵が大人しくなるなら、命まで取らなくていい

私は敵から少し距離を取りつつ、盾と武器で敵の攻撃を凌ぎ、弱ってる敵を優先し魔法具を部位破壊で狙う隙を探ってみる

もし後衛や深手の者が狙われるなら、仲間と連携し庇い全力防御で凌ぎきる

敵が複数で迫ってきたり、敵の攻撃が激しく集中的に狙われたりする場合は反逆精神で反撃の機会を窺い、チャンスがあれば部位破壊で魔法具を破壊

魔法具の破壊が難しかったり、破壊しても敵が狂暴なままで交戦が避けられないなら、敵の隙をつき二連突きで打撃を与え、敵撃破を目指す

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
村人たちが避難している洞窟にむかい、話を聞く【説得/信用/会話術】

・怪我人等いれば、可能な処置【応急処置/医学】
・必ず、村を取り戻すことを約束し、村人を安心させる

尋ねるのは以下の内容
・最近変わったことはなかったか
・何か、珍しい物を拾ったり、もらったりしなかったか
・見かけない怪しい人物の来訪はなかったか
・祠や、魔法陣などを見つけなかったか、それを破壊したりしなかったか

恐れで、隠している者がいるかもしれないので、表情などに気を付ける【精神分析】
子供たちは大人が見えてないものを、見ていることがある。子供にも話を聞く【子供親和】

集めた情報から、獣たちの目的、行動を探り【事前調査/推測】、仲間と共有

リザルト Result

 村はずれの洞窟。そこにはガルム達に村を追われた村人達が肩を寄せ合って避難していた。
 皆、戦闘の後だろうか怪我をしている者や気力を失いうずくまった者までいるようである。
 そんな村人達を応急処置にて治療して回りながら【アルフィオーネ・ブランエトワル】は彼らからおおよその事情を聴く。
「ローブの人物?」
「ああ、数日前だったか。村にある蒼碧の宝珠っていう宝を渡せって言ってきてな。だがあれは俺達の村にはもうないんだ。ずいぶん昔に失われて誰も所在はわからない……ったくなんでそんなもんの為に村を」
「その宝珠にはどんな効果があるの?」
 アルフィオーネは謎の人物がガルム達をけしかけてまでそれを狙っているには理由があるのだろうと考えたが……村人からは有益な情報は手に入らなかった。
 誰に聞いても『知らない』『見た事がない』『わからない』なのである。
 過去の遺物にしては情報がなさすぎる事に疑問が浮かんだアルフィオーネは質問する相手を変える事にした。
 それは子供である。彼らは必要以上の情報を知らないことが多いが大抵の場合、大人は知り得ない『秘密』を持っていることがあるのだから。
「宝珠? それはわかんないけど……森で遊んでいる時、ローブ姿の変な人がガルム達に何か付けてるのを見たよ」
「何か付けている……それってどんな感じの奴かわかるかな?」
「うん、緑色の妙な飾りみたいなやつ? 付けるまでは暴れていたのにそれを付けられたガルム達は大人しくなっちゃったんだ! あんなガルムなんか見た事ないよっ」
 ある程度情報を集めたアルフィオーネは村人達から離れ、洞窟の壁に背を預けて考えを纏める。
(ローブの人物がガルムに何かしたのは確実ね。それに狙いは村の秘宝っぽい何か……でも村人はそれの所在をひた隠しにしている……襲撃は一回で終わりそうにないわね。皆、どうか無事で)
 洞窟の入り口から村の方を見るとアルフィオーネはそう呟いた。
 状況を見れば仲間の加勢に向かった方がいいのだが、万が一を考え彼女には村人を守るという役目がある。
 行きたい心を抑え、彼女はガルム達と戦う仲間の身を案じるのであった。



「あー、ゆーしゃ様じゃなく、思いっきりザコちゃん狙っちゃう系? いーよいーよ、ほらほら当ててみなー」
 村の中を走り抜ける【チョウザ・コナミ】を追いかける様に巨躯に似合わない俊敏さでアシッドガルムが追いかける。
 猛烈な爪の一撃や毒のブレスを紙一重でひらりひらりと躱すチョウザ。その身のこなしは危なげではなく、的確にかつ無駄なく回避行動を行う。
 当たりそうで当たらないチョウザにいら立ちが募っているのか、アシッドガルムはひと鳴き咆哮をあげた。
 それは周囲のラピッドガルム達を呼び寄せ、彼らはチョウザの進路を塞ぐ様に立ちはだかった。
 牙を剥き今にも飛び掛かって来そうなラピッドガルム数体とアシッドガルムに取り囲まれるがチョウザは笑う。
「へーこれって大ピンチ? ザコちゃん早々に退場って流れだろうけどモブって意外としぶといんだよねー」
 次々と跳んでくるラピッドガルムの突進を六角棒で器用にチョウザはいなす。
 片手に魔力を集め始めたチョウザの魔法を警戒して接近していたラピッドガルムが後方に飛びのく。それを追いかけたチョウザの六角棒が突き出されるがラピッドガルムには届かない。
 にやりと笑う様に口を歪めたラピッドガルムが反撃しようとしたその瞬間、彼の体は大きく吹き飛んで壁に激突した。吹き飛んだラピッドガルムは気絶したようで立ち上がる様子はない。
 六角棒の先端で突きを見舞われたのである。魔法を発動させると見せかけ、そちらに注意を向け六角棒の正しい射程を認識させなかったのである。勿論マドは見せかけだけで放っていない。
「あは……隠し玉ころころ。狼ちゃん達は人を疑う事も知った方がいいよー、ザコちゃんからのご忠告ぅー」
 まだ戦闘が可能なラピッドガルム達がアシッドガルムの号令で隊列を組み直すがチョウザの姿は既にない。彼女は遥か屋根の上。
 追いかけられない程遠くにいる彼女に唸り声をあげたガルム達の前に【フィリン・スタンテッド】が現れる。
「追い詰められたのはあなた達のほうよ。大人しく――っ!」
「せいやぁぁあああああ! この前の借りを返してやるッ! 狼野郎ッ!」
 戦闘に入ろうとしたフィリンであったが突如として飛び出した【リリア】の姿に驚き、一瞬行動が遅れる。
「ったく、あのお嬢ちゃん……皆行くぞ! ちゃんいぬを助ける!」
 完全に飛び出すタイミングを失った仲間達が隠れていた家屋の中から出現し【プラム・アーヴィング】の声に続いてガルム達と戦闘に入った。
 リリアはラピッドガルムの中を駆け抜け、アシッドガルムに猛然と突進していく。
 魔力を溜めた拳の一撃がアシッドガルムの顎下に命中し大きくアシッドガルムは後ずさった。
 唸りをあげて振り下ろされた爪を難なく躱しリリアは反撃とばかりに連続殴打からの蹴りを放つ。
 流れる様なその動きは野性味が溢れ、流石村一番の戦士という程ではあるが所詮は村基準。
 連撃後の隙を狙われたリリアは薙ぎ払う様に放たれた尻尾で吹き飛ばされ空中に跳ね上がった。
「ぐぅうああああ!?」
 空中で身動きが取れない状態のリリアに大口を開けたアシッドガルムの牙が迫るが……その刃はリリアに届かなかった。
 間に割って入ったフィリンがギラの守護剣を両手で構えその名の通り彼女を守ったのである。
 牙を防ぐと空けた片手でリリアを掴み、フィリンは力いっぱいに地面へ投げ飛ばす。そのまま守護剣の盾部分に牙を突き立てているアシッドガルムを弾き返すとギラの守護剣を両手で握り直し上段から袈裟斬りに放った。
 放たれた刃は緑色の魔法具に亀裂を入れるが破壊には至らない。
「……いっつ、まだやれ――」
「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」
 壁にリリアを抑えつけ、フィリンは強い口調でそう言った。だがリリアは引かない。
「なっ、俺はまだ負けてない!」
「さっき私が庇わなかったらどうなったと思ってるの!?」
「……っ!」
 その言葉はリリアに自身がアシッドガルムに喰われそうになった事を思い出させる。
 死を間近に感じた感覚は彼女の足を震えさせ……腰を抜かした様にその場に座り込ませた。そこに勇敢な戦士はおらず、一人の怯えた少女がいるだけである。
 ふう、と息を吐き、気持ちを落ち着けるとフィリンは静かに諭す様に言葉を続ける。
「死を……感じたんでしょ? 顔を見ればわかる」
「……笑え、村一番の戦士なんていってこれだ……あんたらには敵わねぇよ……」
「笑わないよ。死の感覚を知ったってことはあなたはもっと強くなれる。だって――」
 言葉をそこまで言っていいどもるフィリンだったがすぐにフィリンは何でもないと続けた。
「付いてくるなら無理はしない事。私から離れないで……いい?」
「……わ、わかった」
「うん、いい返事。それなら大丈夫ね」



「意思を奪われてるのは良くないよな。お前らは誇り高いルネサンスだ、そんな玩具なんかに負けんなよっ」
 家の物陰に身を隠し姿勢を低くして狩猟弓を構えた【ヒューズ・トゥエルプ】は強化された視覚でラピッドガルムに装着されている魔法具を狙う。
 魔法具は既に戦闘によって傷だらけであり、強い衝撃を与えれば簡単に外れてしまいそうであった。
 狙いすましたヒューズの矢が放たれ、それは他の者との戦闘に気を取られていた一匹のラピッドガルムの魔法具を破壊する。留め具が壊れた魔法具はばらばらと地面に落ちた。
 魔法具を失ったラピッドガルムはしばし、ぼーっと硬直した後、周囲の状況を危険と判断したのか一目散に森の方へと逃げていった。
「よしっ! 次だ、お前達は自由であるべき……森へと逃げてくれ!」
 続けざまに放たれたヒューズの矢がラピッドガルム達を解放していく。解放されたガルム達は皆、森の方へと去った。
「これで何体だ……あとは、ちぃっ!?」
「グゥウアアアアアアオオオオオ!」
 ヒューズの死角から現れたラピッドガルムがその爪で彼を斬り裂こうとするがその攻撃は【アケルナー・エリダヌス】によって防がれた。
 アケルナーはミラーシールドを巧みに用い、ラピッドガルムの攻撃をいなすと上方向に弾きあげる。
 弾かれて無防備となったラピッドガルムの腹部へバトルランスの柄部分で突きを放った。
 急な打撃を受け、ラピッドガルムは吹き飛ぶが空中で体勢を立て直し着地と同時にアケルナーへ飛び掛かる。
 弾丸の様に突進するラピッドガルムをアケルナーは腰を深く落とし全力防御の態勢で待ち構える。
 両者がぶつかり、激しい金属音が響き渡った。
「今だッ! 魔法具をッ!」
「ああ、任されたぜ、せりゃあぁあ!」
 ミラーシールドでラピッドガルムを防いだアケルナーの影からヒューズが飛び出し、すれ違いざまに魔法具の接合部をナイフで切りつけた。
 弱くなっていた接合部は簡単に壊れ、ばきりと音を立てて魔法具が地面へと落ちた。その瞬間、ラピッドガルムは大人しくなり、森の方角へと去っていく。
「ふう……助かったぜ、ありがとな」
「いや、当然の事をしたまでだよ。あのガルム達、すぐに引いてくれたみたいだね」
「そのようだ。ま、あいつらはバカじゃない、理がない戦いには関与しないだろ」
「詳しいんだな、ルネサンスに」
 アケルナーのその問いかけにヒューズは遠い所を見る様な目をすると小さく呟く。
「……色々あったんだよ、色々、な」
 それに何かを察したアケルナーはそれ以上は聞かない事にした。
(誰しも簡単に踏み入ってはいけない事情という物がある。……それは私も同じか)
「あいつらに後で聞いたら元凶の手掛かりを教えてくれたりしねえかな」
「彼らも元凶に関しては懲らしめてやりたいだろうし、手を貸してくれる可能性はある」
 ルネサンスの純種と会話による意思疎通はできない。だが知能が高い場合はこちらの意図を汲み、会話ができなくともある程度の協力が得られる場合がある。あくまで友好的である場合のみだが。
「だが……その前にあのデカブツをなんとかしてやらないとな」
「ああ、皆の加勢に向かおう!」
 ヒューズとアケルナーはアシッドガルムと戦う仲間を救援する為に彼らの元へと向かうのであった。



「ちゃんいぬにこんなことしやがって! 元凶のヤロウ、見つけたらたたじゃおかねえぞッ!」
 プラムは屋根の上を走りながら時折飛んでくるアシッドガルムの毒のブレスを回避しながらマドを放つ。
 消耗が少なく、発動の速いマドは牽制には向いているが威力は大きく期待できるものではない。だが相手を殺生したくない場合や部位破壊を狙うには効果的である。
 現にアシッドガルムの装着している魔法具はいくつかがはがれ、あとは胸部に装着された大きな魔法具を残すのみとなっていた。
「おらっ来いよぉっ! ちゃんいぬうう! 抱き締めてやんよッ!」
 足を急に止めてみせたプラムは大きく手を広げてアシッドガルムに無防備な姿をわざと晒した。
 それを見逃さず、アシッドガルムは右手の爪を大きく剥き出しにし彼を引き裂こうと飛び掛かる。
 上空から飛来する巨大な姿に臆する事もなく、ぎりぎりまで引き付けるとアシッドガルムの顔目掛けて匂い袋を投げた。
 小さな袋が鼻先にぶつかり破裂して中身がばらまかれる。常人ならば大自然の息吹を感じる香りだが……嗅覚に優れる者には致命的な匂いとなってしまうだろう。
 急に鼻先に現れた強烈な香りにアシッドガルムは着地をしくじり、屋根に顔面から突っ込んだ。屋根板をばきばきと剥がし無防備に転がる。
 好機と見たプラムは跳躍するがそれを追いかけ、アシッドガルムは猛毒のブレスを放った。
 あわや緑色のブレスに捕まる所で魔力を足場にしてプラムはもう一度跳躍するとそれを紙一重で躱す。
「いま解放してやるからよッ! おらっ受け取れえええ!」
 プラムは上空からアシッドガルムの背中にある魔法具の接合部目掛けて炸裂の種を投げつける。
 炸裂の種は背中の接合部に命中し破裂音と共に砕け散った。だが接合部は壊れず多少のひびが入っただけにダメージは留まった。
「よし、ならマドでダメ押しを……っておわぁあ!?」
 既に態勢を立て直していたアシッドガルムが太い尾を真上から叩き下ろす様に振るったのである。
 回避が間に合わないかと思われたがプラムの目の前に【シルワ・カルブクルス】が躍り出ると部分硬質化させた腕でアシッドガルムの尾を受け止めた。
 そのまま竜の翼をはためかせるとプラムを抱え上げ、その場から飛び去る。直後、支えを失った尾が振り下ろされ、屋根の一部を粉砕した。
 少し離れた位置にプラムをシルワは下ろした。
「あとは任せてください、ここから援護をお願いします。手札は打ち尽くしてしまったのでしょう?」
「……ああ、その通りだ」
 彼のポケットにはもう小技を使うような代物は残っていない。あとできるのは援護ぐらいな物だろう。
 援護を了承したプラムを残しシルワはアシッドガルムの元へと戻る。
 するとそこでは屋根板を弾丸の様に衝撃で飛ばすアシッドガルムとそれをよけながら弓で接合部を狙う【ナノハ・T・アルエクス】がいた。
 ナノハはグロリアスブースターを用い、軌道を読ませない跳躍で辛うじて攻撃を避けているようであった。
「お願い、少しだけ引き付けてくれるかな! このままじゃ接合部が狙えないんだよっ」
「わかりました、攻撃をこっちに引き付けてみます」
「気を付けて、アイツの動きなんかおかしいよ。接合部を守るみたいな、そんなあの子じゃない動きを感じる!」
 ナノハの指摘を受け、少々警戒しながらシルワは屋根の上を跳躍しつつアシッドガルムに接近する。
 すると背中の接合部を隠す様にアシッドガルムは後退し、決してこちらに背を向けない。
「確かに……人為的な何かを感じますね。ですがあちらは一人。こちらは二人。やりようはあります」
 龍の翼を広げ、シルワはアシッドガルムにノーガードで接近する。それはやけっぱちの無謀な突進にも見えた。
 アシッドガルムはその誘いに乗り、彼女を叩き潰すべく右腕を振り上げその鋭利な爪でシルワを狙う。
 だが紙一重で爪をシルワは躱し続けざまに放たれた左腕の一撃も花残の斧でいなす様に躱した。振るう度に舞い散る花弁を風で巻きあげながらシルワは飛行しアシッドガルムの背面へと回った。
(多分、チャンスは一回きり。絶対に外せない……お願い、力を貸して)
 シルワがアシッドガルムを引き付けている間、ナノハは屋根に膝を立てて座り、飛燕弓を静かに構えて狙撃姿勢を取っていた。
 彼女の呼び掛けは幼い精霊に届き、彼女の背後に小さな精霊が浮かび上がった。彼女はつたない力で一生懸命にナノハを応援している。
 その応援はナノハに僅かな勇気を奮い立たせた。
 飛燕弓は本来、ビーム発射機構を持つ弓である。だが現状ビームは放てない。しかし魔力を応用する事で矢を用いてその機構を疑似的に再現する事は可能と言えた。
 込められる魔力が強くなれば原理的には強力な矢を放つ事も可能だろう。そう、原理的には。
(集中……集中……大丈夫、ヒーローはこういう時に、絶対に成功させる……僕なら……できるっ!)
 ナノハの額を汗が伝い、それは雫となって床に落ちた。そしてその瞬間が訪れる。
 アシッドガルムがシルワを狙い、右腕を振り下ろしそして振り被った左腕も振り下ろした。両腕は行動済み、背中はがら空きの一瞬。
 その瞬間、ナノハの周囲の音が消えた。それは刹那ともいえる一瞬である。極限まで集中した者に訪れるという感覚。
 直後、飛燕弓から矢が放たれた。
 彼女の魔力と集中に後押しされた矢は真直ぐに飛び、見事アシッドガルムの背中にある胸部魔法具の接合部分を貫いたのである。
 接合部が貫かれ、砕け散ると胸部に付いていた魔法具はごとりとその場に落ちた。
 しばし呆然と立ち尽くしたアシッドガルムであったが高く響き渡る咆哮をあげると森の方へと去っていく。
「やった! やったよっ! 僕はできる子なんだーッ!」
 見事撃ち抜いたナノハはぴょんぴょんと跳ね、シルワと共に作戦の成功を祝うのであった。



 学園の生徒の活躍により、村にはこうして平穏が訪れた。
 村人やリリアに感謝され、少々のもてなしを受けた後、生徒達は学園へと魔法具の残骸をもって帰還する。
 だが謎は残されたまま。魔法具を装着したローブの男は誰なのか。生徒達が帰路についている中、その話でもちきりであった。
「それにしても完全な形の魔法具が手に入らなかったのは残念ですね……」
 シルワは回収した魔法具の残骸を眺めながら残念そうに言う。
「ま、狼さん達が無事に森に帰れただけでもよしとしようよ。倒さないといけない可能性もあったんだし」
「そうですね……倒すよりは全然、いい結果ですよね」
 シルワとナノハがそう話す所にチョウザがやってくる。
「ゆーしゃ様達、完全な形の魔法具ってこれ?」
「あーそれだよおお!? なんで持ってるの!?」
「ラピッドガルムの逃げた後に道端に転がってたからー、ザコちゃん回収しちゃった感じ。いや廃品回収的な?」
 そう言いながらチョウザは残骸の魔法具の一つを誰にもわからない様にさっと取り、ポケットに忍ばせた。
 こうして回収された魔法具は学園にて後日、調査が行われることとなったのである。
 黒幕は誰であったのか。襲撃の二波はあるのか。
 彼らを取り巻く運命の歯車は……まだ動き出したばかりである。



課題評価
課題経験:65
課題報酬:2000
村を襲うは碧緑の獣
執筆:ウケッキ GM


《村を襲うは碧緑の獣》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 1) 2020-07-05 00:33:32
勇者・英雄コースのフィリンよ、よろしく。
魔法具を装備した知性ある?ルネサンスっていうのが気になるけど…
何は置いてもまず迎撃しないとまずいわね

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 2) 2020-07-05 11:00:28
やあ。私は勇者・英雄コースのアケルナー。よろしく頼むよ。
今回はルネサンスの村を襲っている、ルネサンス純種と思われる存在への対処だね。

相手は集団行動を取ってて、リーダー格の巨大な個体は毒も持ってるようだ。
純種ルネサンスと思われる存在だし、思うところがある人も居るかもしれないが……手加減できる相手ではなさそうだね。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 3) 2020-07-05 11:25:36
そうだ、ひとつ試してみたいことがあるから、先に言っておくよ。
どの敵個体にも魔法具がついていて、リーダー格と思われる個体はちょっと違う魔法具を身に付けてるようだ。

もしかしたら、その魔法具で純種と思われる存在を操ってる者が居るかもしれない。
だから、その魔法具の破壊を部位破壊で試みたいと思ってね。

異常な強化や集団行動等の元凶がその魔法具だったとしたら……魔法具を壊してみる価値があるかもしれない。

もちろん、魔法具を持ち帰って調べたいという人が居たり、やってみるメリットが乏しいと思う人も居るかもしれないから、そこはみんなの意見を聞いて、実行の可否含めて考えたいと思ってるよ。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 4) 2020-07-05 14:05:14
わたしはアルフィオーネ。アルフィオーネ・ブランエトワル。教祖・聖職専攻。どうぞ、よしなに。

類似する事態が再発する可能性をふまえても、魔道具を持ちかえって調査する必要はあると思うけど、詳しい者なら、残骸からでも調べることができるはず。破壊は有効かどうか、確かめるために寧ろ、試みることはお勧め。


わたしは村人に最近、村で変わったことはなかったか、聞いてみたいと思う。何か見つけたとか、拾ったとか・・・彼らの目的がつかめれば、退かせることも、黒幕がいるなら、それを餌におびき出すこともできる

《2期生》 シルワ・カルブクルス (No 5) 2020-07-05 22:52:01
村人・従者コース、シルワ・カルブクルスです
よろしくお願いします

わたしも狼の純種ルネサンスの狂暴化があの魔道具が原因のような気がしますし、破壊してみるのもいいかもしれません
その上で注意してほしいのはリーダー格と思われる者は頭が良くて、魔法を唱えようとする者か後衛にいる体力の低い者を優先的に攻撃してくることですね
逆に、その条件を満たしている人が一人しかいないときはリーダー格の攻撃がそこに絞られますので庇うなどの対処がやすくなると思いますね

《イマジネイター》 ナノハ・T・アルエクス (No 6) 2020-07-05 23:11:24
賢者・導師コースのナノハ・T・アルエクスだよ♪
よろしくね♪

戦いに関して、僕はいつも通りに後衛で矢と魔法で攻撃だよ。
このポジション、今回は狙われやすいらしいけど…素早さはそれなりにあるつもりだから、
逆に良い感じに引き付けられたらいい感じになるかもかな?



《模範生》 プラム・アーヴィング (No 7) 2020-07-06 22:43:33
賢者・導師専攻のプラム君参上~☆

わんちゅわわをこんな風にするなんて…アタイ許せない…ッ!
獣臭に代わってお仕置きしちゃうんだからッ!
(因みに祖流ったヘルムートの頭部は石鹸のいい匂いしました。残念)

状態異常【毒】は【デトル】で対処を請け負うぜ。
安心して突っ込んでくれ。

高火力☆紙防御なのが賢者・導師専攻の定め。
【フェイスシール:翡翠】で回避して凌いでいくわ。

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 8) 2020-07-06 23:00:52
黒幕・暗躍コースのヒューズだぜ。よろしくどうぞ。

>魔法具の破壊
賛成だ。
同じアクセサリーを揃えて
肉球でこねくり回して装着した…とは考えられない。
裏で人種が糸を引いてると見る。
洗脳が解けりゃあ、引っ込んでくれっかもしれないし
俺は魔法具の破壊優先で行かせてもらいまっせ。


《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 9) 2020-07-06 23:39:07
>魔道具について
純粋種…なのは確定でいいのよね。
ヒューズのいうように黒幕が誰かいる事になる。

そうすると…壊さないで手に入れた方がいい?
生け捕りにして取り外すのは困難でしょうし、そうなると純粋種は殺すしかなくなりそうだけど。

>ポジション
防御と機動は任せて。狙われる後衛の盾役は引き受けるわ。
プラムが解毒を引き受けてくれるなら頼もしいし、自力でも毒消しなりアイテムは持っていく予定よ

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 10) 2020-07-07 01:45:49
操られてんなら殺生は避けたいな、俺は。

魔法具を手がかりとするなら、完品を一つ回収すれば問題ないだろう。
【部位破壊】で魔法具を破壊してウルフがどういう反応を起こすか確認したい。
必要以上に手間取ったり、交戦の意志を持ち続けるのであれば
切り替えて、いつもの仕事をするだけさ。

《模範生》 プラム・アーヴィング (No 11) 2020-07-07 08:05:52
>ポジション
一皮むけた男になったので【デトル】行使の魔力は余裕があるが、複数同時に治療することは出来ねェから、フィリンみたいに持ち物に余裕があれば毒消しアイテム持って行くといいかもな。

>生殺与奪
あ、俺も殺す迄はしたくねェな。わんちゅわわ(ハート)だしよ。

>魔道具
【精密行動】で、魔法具を狙うようには書いてみるつもり。

魔力によって強化されてはいるが、毒はそもそも体内で生成されるものだし【重力思念】は無効そうなのが残念だ。
【デトル】で毒の補助をしつつ、何時もみたいに攻撃を【マド】で随時行っていく感じだな。

つーか、うちの犬達といい、わんちゅわを何だと思ってるんだこういう事する奴等。
黒幕は…今回は近くに居なさそうではあるが、辿り着けるなら思いっきりマドガトルしてやる。

《自称「モブ」》 チョウザ・コナミ (No 12) 2020-07-07 13:23:42
あの緑の装飾品壊す流れ?
ちょーどいーや。ザコちゃんもあの欠片ほしーから。砕いて布に縫い込んでも良さげかな。

魔法を唱えようとするもの、を狙うってなら。
ほんとに魔法使うつもりのゆーしゃ様はあんまり口元見せないほーが良さげかもね。
シャドウベール…?みたいな顔隠せる布購買にあったよね、あーいうので。

逆に、狙い寄せ引き付けやれるゆーしゃ様…ザコちゃんもだけど。は、
魔法唱えてっけど放置でいーの?って感じマシマシの【ハッタリ】かましとくといーかもね。
ザコちゃん【福の針】なんなりで解毒もできっし、たいりょくもゼロじゃないから。
てきとーに狼狙い寄せのモブにしちゃっていーからね。代わりに砕いた魔法具ちょーだい。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 13) 2020-07-07 22:58:40
私は槍をもって、敵から少し距離を取りつつ部位破壊で魔法具破壊を狙うよ。
その際は、仲間と協力して敵に隙ができるように動きたいね。

>生殺与奪
そうだね。うまく魔法具を壊して、純種が退くなり戦闘の意思がなくなったようなら、無理に命まで奪う必要はないと思う。

《2期生》 シルワ・カルブクルス (No 14) 2020-07-08 22:45:22
確かに、唱える際に口元を隠しておけばリーダー格の狼に狙われることはないですけど、もしものために『ハッタリ』で誘導してくれるザコちゃん先輩も含めて、フィリン先輩と連携して味方を庇いながら反撃しておきたいですね
もちろん、毒対策として「サクラビット」を持参しますし、できるだけ魔法具を狙いますよ
破壊しても交戦するきがありましたら…仕方ないですけど、倒すしかありません

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 15) 2020-07-09 07:28:02
そうか、ある程度知性があるならターゲット絞ってくる可能性あるわね。
連携承知よ、シルワ。
生殺与奪も…向かってくるなら倒す、それは仕方ないと思う。
私たちや村の人も、生活があるものね…

《ゆうがく2年生》 ヒューズ・トゥエルプ (No 16) 2020-07-09 22:14:01
>生殺与奪
個人的に今回は遠回りの過程を踏むというだけさ。
…もしかしたら近道になるかもしれない、という期待も無くは無いかな。
なるたけ、迷惑にならないようにする。
フィリンの言う様に優先すべきは民の命だ。

>ポジション
普段の双剣だと
敵の特性と相性が悪い感じがしたもんで、今回は弓で行こうと思う。