村を襲うは碧緑の獣
(ショート)
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ウケッキ GM
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「お願いだッ! あたしらの村を助けてくれっ!」
そう言ってベッドから飛び起きたのはルネサンスの少女【リリア】である。
犬耳と尻尾を持つ人種である彼女は傷だらけの状態で『学園フトゥールム・スクエア』の近くに倒れていた。
教員に発見され、治療を施されて現在に至る。
彼女の傷は大きな爪痕や噛み傷が多い事から凶暴化した何かに襲われた事は明白であった。
「実は……あたしらの村にでっかい獣が他の獣を引き連れてうじゃうじゃやって来やがったんだ。正直、普段じゃ見かけない数だった」
ルネサンスと言えばその特徴は身体能力が高い事があげられる。並の獣相手に後れを取る事はないはず。
それなのにルネサンスの村を救援してくれとはどういうことなのだろうか。
話を聞いていた一同が不思議に思っているとリリアは俯き加減で話し出す。その表情は暗い。
「あいつら……普通の獣じゃねぇ、恐らくルネサンスの純種だがなんか妙な魔法具みたいなのが付いてて、見た事ねえ技ばっかり使いやがる。あの変な技さえなければあんな奴らに負けなんかしねぇよっ!」
悔しそうに拳を握り締めるリリアに一同は何とかするから状況を聞かしてくれと言った。
その瞬間、ぱっとリリアの表情が明るくなりぶんぶんと尻尾を振る。
「本当かっ! 力を貸してくれるなんてありがてえ! 困った時はこの学園に行けっていうじっちゃんの言葉は嘘じゃなかったんだな!」
嬉しそうにはしゃぐリリアだがその豊満な胸がたゆんたゆんとけしからんぐらいに自由奔放に揺れている。薄着でそれなのだからそれはもう色々と困る。当の本人にはそれが視線を集めているとは自覚が一切ないようであった。
一同が目のやり場に困っているとリリアは、はっと気が付いたように喋り出す。
「そうだ、詳細だったな悪い悪い。嬉しくなると色々と話が飛んじまうんだよ、なんでだろうな。ああ、そいで村人だけど全員村近くの洞窟に避難して守りを固めてる。村を襲った奴らは何かを探してるみたいで洞窟というか逃げる村人には何の興味も示さないみたいだった。動きはずいぶんと統制が取れていて妙だったよ」
話を聞く限りそのルネサンス純種と思われる獣達は何かを探しているようだ。一体何なのだろうか。
それとなく一同はリリアに心当たりがあるか聞いてみるが彼女にはそれに心当たりがないらしい。
村は中心に噴水があり、それを囲う様にして円形に家が建っているようだ。獣達は村のあちこちにちらばっていて総数は不明である。
ただ、一匹だけ巨大なルネサンスの純種と思われる獣が噴水近くに陣取り他の獣に指示を与えているらしい。
話を聞くだけでもどうやら何か獣達は明確な『目的』があるようだ。
「よし、さっそく出発だな。そうと決まればあたしが村に案内するよ! ちゃんと戦闘にも参加するから。あー大丈夫かって顔しやがったな? これでも村一番の戦士なんだから見くびるんじゃねえぞ!」
拳を突き出すリリアの仕草はあまり強そうには見えず、一同は多少の不安を感じるが村への道筋を知らない以上、彼女に案内を頼むしかないだろう。
こうして一同はリリアに案内され、学園から村へと向かうのであった。
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参加人数
8 / 8 名
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公開 2020-07-02
完成 2020-07-19
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古城に蠢くは魂狙う死霊
(EX)
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ウケッキ GM
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学園フトゥールム・スクエア。
その学園内の廊下をつまらなそうな表情をしつつ、歩いている少女がいる。
彼女はルネサンスの少女【リリア】。以前、学園の生徒達に村を救援してもらった少女だ。
豊かな双丘をゆさゆさと揺らしながら彼女は大きな溜め息をついた。
「うう、授業は大変だし……やること多いし……どうして魔王コースなんか、あうぅ」
そう彼女は学園に生徒として迎えられたが、とある手違いから魔王コースを選んでしまい、その豊富な授業内容に頭がパンク寸前なのである。
元より身体を動かすのが得意で頭の方はからっきしであるリリアにとって授業という慣れない勉強は非常に疲れるものであった。
そんな時、彼女がいつも向かう先は一つである。
それは学内、学外の悩みごとや困ったことの解決が依頼されている『依頼掲示板』の所だ。
そこには魔物討伐から今晩の夕飯のメニューを考えるまで様々な依頼が掲載されている。なおどこの誰が設置したのか、誰が管理しているのかは不明であり、また学園長の気まぐれではと噂されている。
「こう身体を動かせるような……魔物をぶっ飛ばす! みたいな感じの依頼とかないかなぁ」
ふわふわと魔方陣の中に浮いている掲示板を眺めるリリアの目に一つの依頼が留まる。
それをリリアはぺリっとはがすと内容をよく読み始めた。
「何々? えーと、学園都市近隣にある古城にて【ゴースト・レゾリアス】の出現を確認。討伐する心得のある者はこれを討伐するべし。おおっあるじゃんっ! あたし向きの依頼が! それに魔物をぶっ飛ばして懲らしめるなら地域の皆の為にもなるし、何より武力制圧ってのが魔王コースっぽい!」
リリアは紙に書かれていた最低参加人数を見て自分一人では参加できないということに気が付いた。
周りを見渡し、彼女はあなた達を見つけると笑顔で走って近づいてくる。これでもかと豊満な双丘がたゆんたゆんと揺れに揺れているが気にしてはいけない。
「なあ、あんた達もしかしてこの後ヒマか? ヒマだったらこいつの討伐依頼を手伝ってほしいんだ。なんか一人じゃ参加できないみたいだからさ」
ヒマだよと答えるや否やリリアはあなた達の手を取って走り出す。まだやるとは答えていないのだが。
「よーし、善は急げっていうからな! あたし達でゴースト……えっとなんだっけ?」
レゾリアスっていうみたいだよと教えるとにぱっと明るい笑顔をリリアはあなた達に向けた。
「そうそれ! それじゃ、レゾなんとかをみんなでぶっ飛ばすぞーーっ!」
こうしてあなた達はリリアに引っ張られるまま、ゴースト・レゾリアスの討伐に参加することとなったのであった。
◆
学園都市近隣。古びた古城の正門前。
あなた達はぶるぶると震えるリリアにしがみ付かれた状態でその前に立っていた。
ゴースト・レゾリアスは夜にしか出現しない。その情報を頼りに夜になるのを待ち、リリアと共にやってきたのだ。
だがリリアは夜の古城の醸し出す何とも言えないおどろおどろしい雰囲気に気圧され、彼女の獣耳は怒られた子犬のように下に垂れ下がっている。
あなた達が大丈夫と聞くとリリアはがたがたと震える足を何とか抑え、それでも肩を小さくしながら今にも泣きそうな潤ませた瞳で言う。
「へ、平気、こ、このぐらい……なんとか、できないと! ま、魔王になんか、なれないからっ! 鉄拳制裁してやらなきゃ、人を困らせる魔――」
そこまでリリアが言った時点であなた達の近くで何か重い物が落ちる音がした。ずんっと言う音が響いた瞬間、リリアは飛び上がる。
「ぴぃいぎゃぁぁああーーーッ!? なんかでたぁぁああああーーーッ!?」
あなた達の制止も振り切り、リリアはなんと誘うように正門を開けた古城の中に走って行ってしまったのである。リリアを飲み込んだ正門はその直後、ばたんっと音を立てて閉まった。
駆け寄ったあなた達がなんとか開けようとしてもそれはびくともせず、武器で叩いても傷一つつくことはなかった。
リリアが心配だが正門からは侵入できないと考えたあなた達は周囲を探索、古びた地下通路を発見する。
リリアの無事を祈りつつ、あなた達は地下通路へと降りていった。
◆
古びた古城。その謁見の間。
その玉座に座るローブ姿の男がいる。ローブの中は骸骨であり、その手には大きな鎌を持っていた。
「魂の香りがする……生者が性懲りもなく我が領域に足を踏み入れたか。まあ、いい。そろそろ退屈だと思っていた所だ。我自ら遊んでやるとしよう、その命が尽きるまで……な」
ゆっくりと立ち上がったローブの骸骨【ゴースト・レゾリアス】は足元に転がるしゃれこうべを踏み砕きながら歩く。それらはかつて彼に挑んだ者の末路だろうか。
「くっくっく、久々に楽しませてもらうとしようか。我が魔法、我が鎌の一撃……存分に味あわせてやろう、愚かな生者共よ」
眼球のない頭部の眼孔に赤い光を灯らせながらレゾリアスはゆっくりと謁見の間を出ていくのであった。
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参加人数
3 / 8 名
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公開 2021-06-07
完成 2021-06-28
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