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【体験】月夜に君と「____」


ストーリー Story

 月夜に君と「____」。
 空白を埋めるように、君は目を閉じ、物思いに耽る。

 これは、夏の終わりのとある夜。
 虫は鳴き、月は輝き、食物は色づき始める。
 君は誰と、どのように過ごすのか。

 夜はまだ長い。どうか、楽しいひと時を。




●隠れる
「水面に浮かぶ月も、器に浮かぶ月もまた、風流というやつじゃの」
 そう言って、彼女は月の映る杯に口づける。
 月の味は苦いのか、甘いのか。隣で物欲しげな顔を見せる彼女へ、意地悪そうな笑みを浮かべ小さく喉を鳴らす。
「クク、お主も一杯どうじゃ? 月見酒、というやつじゃ」
 【フィリン・アクアバイア】が奨めるその杯。
 【シルフィア・リタイナー】は遠慮なく、と。その杯を受け取るやいなや。
 手に持った杯から魔力を溢れさせると、一気に体内へと吸い込んでしまう。
 リバイバル式、一気飲みだ。
「美味しい『ジュース』、ご馳走様でしたぁ!」

 月の照らすは、小さな小山の河川敷。
 そこにいるのは、2人の影と、夏の終わりを訪れる虫の声。

「おー、おー? 騙されなかったか、つれないのぅ……」
「……え、えぇぇ!? な、何か入ってたのですかぁ!? フィリンさん!?」
 少し残念そうに、自分の『酒』の入った杯を横から取り出す。
 その見た目は、先ほどシルフィアが飲んでいたジュース入りの杯と瓜二つだ。
「……まぁ、酒を飲んでしまっては怒られるのは妾じゃしな。……しかし、仕事前のお主を長らく留めておくわけにはいけないのぅ。残りは妾が美味しく頂こう、無理に飲む必要はないのじゃよ?」
 元々、酒に混ぜて飲もうと思っていたジュースじゃしな♪ そう言って、シルフィアの飲んでいた杯を横から掻っ攫うフィリン。
 ごくり。液体が喉を抜ける感触を楽しむフィリン。そして、それを恨めしそうに見つめるシルフィア。
「んー、美味しいのぅ♪ これは、飲みすぎてしまうから、シルフィアには渡せないのじゃ」
 さぞかし美味しそうに自分の杯を見せつけ、そして一気に残りを飲み干してしまう。
「あーっ!? わたしのジュースぅー!?」
 取り戻そうと出した手も、そこにはすでにフィリンは居らず空を切る。
「んふふー……、んはぁ。温い風と、冷たい水。そして熱い酒……、んー、たまらんのぅ」
 フィリンが残りの入った酒瓶を手に取り、千鳥足で川の水に足を浸せば。すぐに丁度よく酒で火照った身体を冷たい水が冷ましてくれる。
「お、お酒は飲めませんけどぉ!? わたしにも月見ジュース、楽しませてくださぁい!」
そんなフィリンを羨ましいと、追って手を伸ばすシルフィア。その手を避けようと、一歩後ろへ下がろうとするフィリン。
 そして、足場の悪い河川敷。
「わるぅ奴じゃのう。しかし、妾のせいで仕事ができなかったと言われるのも困るから、のっ……!?」
「それはそれ、これはこれですぅ~! だから、一緒に、飲みましょ……きゃっ!?」
 ばちゃん。勢いよく、足を滑らせ水しぶきが2人に飛び散った。
「ふぇぇ……、せっかくの浴衣がぁ……」
 本来なら、濡れるはずのないリバイバル。しかし、シルフィアが『想像』してしまった冷たい水が、いつの間にやら彼女の浴衣を濡らしてしまっていた。
「水も滴るいい女、というやつじゃの。じゃが、多分大丈夫じゃろ。丁度雲が出てきたからのう」
 濡れた浴衣も、闇が隠してくれるじゃろう。小さく息を吐き、フィリンは浴衣の裾を搾る。
 フィリンの言葉通り、月明りが消え、辺りに薄い闇が広がっていく。
 辺りにある色といえば、辛うじて見える朧月。そして、それが映り込んだ川の水くらいか。
「……あはは。月、消えちゃいましたねぇ……、えっと、陸に上がりましょうか?」
「……無礼講、だったかの? どうじゃ、闇夜でも一杯。ジュースも酒も、幾らか用意があるのじゃが……」
「……! やったぁ、貰いますぅ!」

●走る
「エミリーちゃーん! スライムだぞー! がおぉー!」
「きゃー! 食べられちゃうー☆」
 夜店が並ぶ道を、無邪気に走る2人の少女。
 可愛らしいスライムのお面を被り、追う魔王(を、目指す少女)【ルシファー・キンメリー】と追われるアイドル(を、目指す少女)【エミリー・ルイーズム】だ。

 2人を照らす道は賑やかなもので、時折商売人や通行人がやんやと2人をはやし立てる。
「おじょーちゃん、これ使いなよ」
「わぁ♪ ありがとう☆」
 面白がる野次馬の1人が差し出したそれを、エミリーは後ろ手で受け取った。

「もう怒ったよ! 魔王ルシファーちゃん、キミを倒してやるぞぉ☆」
「な、なんだとぉ! ……そ、それはぁ!」
 ルシファーは、ワザとらしく驚き、そして怯えるフリをする。
 パルシェの手に握られていたのは、小さく、色とりどりに光る剣(おもちゃ)だった。
 時折剣から『きらきらきらー♪』と聞こえる声に、野次馬達は笑いを堪えるのに必死だ。
「ひっさーつ、勇者斬りぃー☆」
「ぐ、ぐあぁああー。やーらーれーたー!」
 パルシェがゆっくり、ルシファーを切りつける仕草をすると、これまたゆっくり倒れるルシファー。
「へへん、どうだ……、ふふっ、な、なんだとぉ」
 ゆらり、起き上がるルシファーの姿に、思わず吹き出しそうになるエミリー。
「しかーし! アタシがやられても第2、第3の魔王がいるのだー! そしてアタシが第2の魔王! 喰らえー魔王の仇―!」
「えー! 酷いよルシファーちゃん!? きゃー♪」
 再び立ち上がり、がおーと両手を上げるルシファー。また逃げるエミリー。
 また、鬼ごっこが始まった。

●微睡む
「月が、綺麗ですね」
 【ヤエガシ・メグリ】は月を見上げ、小さく呟いた。
「急にどうしたの?」
「昔、聞いた言葉。月を見ていたら思い出したの、どこの言葉だったかなぁ」
「月が綺麗なのは、当たり前のことじゃないか」
 隣に座る【アルマ・クレーティス】の言葉に、それもそうね。と、小さく笑い、再び月を見上げる。

 2人が語らうは小さな丘。
 空に輝くは月、煌めくは星、聞こえるは微かな虫の音。
 祭りが終わり。生徒会としての補導や巡回の仕事が終わるころには、辺りの人影はすっかり失せていた。
「ここで、寝っ転がったらもっと綺麗な眺めでしょうね」
「こんなところで寝たら、汚れてしまうよ」
「……それもそうね。それじゃあ、アルマが膝枕でもしてくれる?」
「それも素敵な提案だね。だけど……」
 だけど? と言いかけたメグリの身体が宙を浮く。
「これなら汚れずに、綺麗な景色が見える。……なんてね」
「……、そうね、とても綺麗」
 アルマがメグリを抱きかかえ、空を飛んだ。
 頬に当たる髪を払い、先ほどより近くなった月夜に息を飲む。
「こんなに近く、何時も空を見れるなんて。羨ましいわ」
「確かに、僕たちは空を飛ぶことはできるけれど、わざわざ飛ぼうとはしないかな。……、一緒に見たいと思わせてくれるのは、君の言葉」
 月光を受け、優しく光る大きな翼。暗闇のなか、優しく見つめる灰の瞳。
 (アークライト……。本当に、天使様がお迎えに来たみたいな光景ね。……けれど)
 けれど。
 彼女が羽を広げることができるのは、後、どれ程の時間なのだろう。
 (アルマは、寿命なんて、気にしていないように振舞うけれど……。でも、私は)

「しんで……ほしく、ない……」
「……大丈夫。僕は死なないよ」
「……あら、言葉にでちゃったかしら? ーーーふふっ、これも昔聞いた言葉なの」
「メグリの故郷の言葉なのかな? それ、どういう意味?」
「わたしにもよくわからないわ。ーーーでも、悪い意味じゃなかった気がする」


エピソード情報 Infomation
タイプ マルチ 相談期間 8日 出発日 2020-09-22

難易度 とても簡単 報酬 通常 完成予定 2020-10-17

登場人物 6/16 Characters
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《ビキニマン》ソフィーア・ル・ソレイユ
 ドラゴニア Lv12 / 武神・無双 Rank 1
生き別れたパートナーを探して、学園にやってきた、ドラゴニアの少女。 金髪ゆるふわカールのロングヘアー。前髪をひまわりのヘアピンで左にまとめている。褐色肌の筋肉質で、無駄な肉は一切ないのにバストとヒップはかなり豊か。大きな翼と長い尾。火柱のような角。後頭部から下顎、鎖骨辺りまで、サンライトイエローの鱗が覆っている。 いかにも女の子らしい容姿だが、性質は男性的で、なぜ、胸に目が入らないのか、よく、男性に間違えられる。 実直で騎士道精神にあふれている。だが、敵にたいしてはわりと容赦ない。闘争本能が強く、戦いを、とくに強者との対峙を好む。そのため、いつでも戦えるよう、入浴中以外は、ビキニアーマーを着込んでいる 武器収集癖があり、手入れを決して怠らない かなりの大食漢。なんでもおいしそうに食べるが、中でも『地球』で食べた、ラーメン、炒飯、餃子が大好き。彼女曰く、『”食”の宇宙三大至宝』であるとか。 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを貫くために、日々鍛錬を欠かすことはない 諸般の事情で偽名 ある人物に、ずっと片思いをしている。勇気がなくて、告白はしていないが、それとなくアピールはしている。 酒乱なので、酒を飲ませてはいけない
《新入生》リーゼ・ガルシュタイン
 カルマ Lv12 / 武神・無双 Rank 1
ん~~とね。リーゼはかみさまになるの。だって、パパがいってたんだよ。『おまえは神になるのだ。神となって魔王を打ち倒し、世界を救うのだ』って。 でも、まおうってやつ、もういないんだよね・・・リーゼずっとねてたから・・・みんな、なにもいわないけど、パパも、もういないってわかってる。リーゼにだってそれぐらいわかるよ。 _________________________________________________________ とある廃墟で、培養液に満たされた、巨大な水槽の中で眠り続けていた。建物の腐食が激しく、放置すれば下敷きになってしまうため、学園所属の研究員に保護された。 その廃墟は、魔王事変発生時、忽然と姿を消した、高名な魔導師、ゲオルグ・ガルシュタインの研究所であり、長らく、その所在は不明であった。 資料となりえるものはすべて朽ちてしまっているが、彼が創造したものと推測される。 ”父”の英才教育の賜物か、幼い見た目にかかわらず、知能は高い。だが、経験がなく、精神年齢が低いため、それを十分に生かせないようだ。天真爛漫で、ちょっとわがままな、甘えん坊。駄々をこねだすと大変なことになるが、甘いものをあげれば、すぐ大人しくなる。 『神となって、世界を救う』という意思は強固であり、どんな敵にも物怖じすることはない。 武神コースを選んだのは、武神が何かわからずに聞いたら、武術の神様と返答を得たため
《イマジネイター》ナノハ・T・アルエクス
 エリアル Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
フェアリータイプのエリアル。 その中でも非常に小柄、本人は可愛いから気に入っている。 明るく元気で優しい性格。天真爛漫で裏表がない。 精神年齢的には外見年齢に近い。 気取らず自然体で誰とでも仲良く接する。 一方で、正義感が強くて勇猛果敢なヒーロー気質。 考えるよりも動いて撃ってブン殴る方が得意。 どんな魔物が相手でもどんな困難があろうと凛として挑む。 戦闘スタイルは、高い機動性を生かして立ち回り、弓や魔法で敵を撃ち抜き、時には近接して攻め立てる。 あまり魔法使いらしくない。自分でもそう思っている。 正直、武神・無双コースに行くかで迷った程。 筋トレやパルクールなどのトレーニングを日課にしている。 実は幼い頃は運動音痴で必要に駆られて始めたことだったが、 いつの間にか半分趣味のような形になっていったらしい。 大食漢でガッツリ食べる。フードファイター並みに食べる。 小さな体のどこに消えていくのかは摩訶不思議。 地元ではブラックホールの異名(と食べ放題出禁)を貰うほど。 肉も野菜も好きだが、やっぱり炭水化物が好き。菓子も好き。 目一杯動いた分は目一杯食べて、目一杯食べた分は目一杯動く。 趣味は魔道具弄りで、ギミック満載の機械的な物が好き。 最近繋がった異世界の技術やデザインには興味津々で、 ヒーローチックなものや未来的でSFチックな物が気に入り、 アニメやロボットいうものにも心魅かれている。 (ついでにメカフェチという性癖も拗らせた模様)
《熱華の麗鳥》シキア・エラルド
 ヒューマン Lv25 / 芸能・芸術 Rank 1
音楽と踊りが好きなヒューマンの青年 近況 自我の境界線が時々あやふやになる みっともない姿はさらしたくないんだけどなぁ 容姿 ・薄茶色の髪は腰の長さまで伸びた、今は緩く一つの三つ編みにしている ・翡翠色の瞳 ・ピアスが好きで沢山つけてる、つけるものはその日の気分でころころ変える 性格 ・音楽と踊りが大好きな自由人 ・好奇心>正義感。好き嫌いがハッキリしてきた ・「自分自身であること」に強いこだわりを持っており、自分の姿に他者を見出されることをひどく嫌う ・自分の容姿に自信を持っており、ナルシストな言動も。美しさを追及するためなら女装もする。 好きなもの 音楽、踊り、ともだち 苦手なもの ■■■■、理想を押し付けられること 自己犠牲 二人称:キミ、(気に入らない相手)あんた 初対面は名前+さん、仲良くなると呼び捨て
《新入生》マリアルト・シャリエ
 ヒューマン Lv10 / 黒幕・暗躍 Rank 1
「…あの……マリアルト、です…」 「…退かない…ですか……なら、仕方がありません」 暗く、引っ込み思案な元奴隷 学園にはある「目的」があって入ったようで…? 容姿 ・プラチナブロンドの髪にバブルピンクの瞳、左目だけ後天的に少し濁っており、眼帯をつけている ・全体的に暗い色の服を好む、有事の時に目立ちにくい服は便利だとか ・体は15歳だが実年齢はもっと上、どうやら実験の後遺症で体の成長が止まっている模様 性格 ・引っ込み思案の卑屈、過去の影響で自分を薄汚い存在だと思い込んでいる ・日向より日陰の方が落ち着く ・懐いた人には尽くすタイプ ・半面、敵に一切の容赦はかけない ・味音痴、なんでも食べちゃう ・実験の影響かトラウマか精神年齢も低い、見た目も相まって一見すると小さい女の子 ・でも自分の実年齢はちゃんと分かってる、わたしおとななのでお酒飲めるんですよ(くいー) 好きなもの あのひとの演奏、掃除、花、■■■ 苦手なもの 注射、日向、■■■■ 二人称:アナタ、名前+~さま、呼び捨て(敵対者のみ) 話し方:……多用、ぼそぼそ喋る。文字数厳しい場合は普通にしゃべらせてもOK

解説 Explan

目的:夏の夜の、ある1日を楽しむ
とある月夜を楽しむことが、今回の目的です。

●場所
 3か所のうち、一つを選んでプランにご記入ください。
 それぞれの場所には特色があり、それぞれの楽しみ方ができるでしょう。

・河川敷
 穏やかな流れの川が流れる場所です。小さな夏の生物(蛍のようなもの)が川の辺を照らしています。
 時々、川を下る小さな遊覧船も通っているようです。
 また、川から少し離れた場所には酒やジュースを売る出店があります。

・祭り
 夏の終わりを告げる、小さな祭りがあるようです。
 魔物やキャラクターを模したお面やくじ引き屋、食べ物屋等、数多くの出店が出ています。
 会場の中心には小さなお立ち台もあり、出し物をすることもできそうです。

・丘
 祭りとは少し離れた場所に小さな、拓けた丘があります。
 少し上を向けば、星空を一望できることでしょう。
 また、キャンプ場があり、ハンモックを借りたり、たき火を楽しむこともできそうです。

●人物
 プランに「誰と楽しむ」かを相互に記入していただければ、その方と1日を過ごすことになります。
 また、PC以外の人物(公式NPC、または根来言の公認NPC)を選んで記入することも可能です。
 その際は「ヘルプ」からNPC欄を参考にしていただくか、根来言のGMページよりNPC一覧を参考にし、共に過ごしたい人物名をプランにご記入ください。
 但し、プラン内容等によっては登場できない場合もあります。


作者コメント Comment
まだまだ、夏まっただ中ですね、根来言です。
体験エピソードとして、夏の終わりを楽しんでいただければと課題を作成してみました。
「誰」と「どのように」過ごすのか。
そして、新しい出会いや交流のお手伝いができればと考えています。
また、今回PCだけでなく、公式・公認NPCより交流したいキャラクターがいれば選択することも可能です。
気になる方がいれば、是非プランにてご記入ください!

皆様のプラン、お待ちしています。


個人成績表 Report
アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:99 = 82全体 + 17個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
同行者:ソフィーア・ル・ソレイユ、リーゼ・ガルシュタイン
場所:丘

ソフィーアと学園に来るまでの話など、雑談をしながら散歩。提案に乗り、二人で”五つの誓い”を唱和する。

偶然、先に来ていたリーゼに、おまんじゅうを求められるが、冷静に対応。三人で食べる。空を飛びたがるリーゼに、ソフィーアと共同作業

アドリブA

ソフィーア・ル・ソレイユ 個人成績:

獲得経験:99 = 82全体 + 17個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
同行者:アルフィオーネ・ブランエトワル、リーゼ・ガルシュタイン
場所:丘

アルフィオーネと月を見ている内に、過去を思い出し、五つの誓いをしようと提案。

「そういえば、あの時も、こんな感じの月夜だったなぁ・・・レーヌ、ここでまた、誓おう。”五つの誓い”を」

以降、アルフィオーネの行動に合わせる


アドリブA

リーゼ・ガルシュタイン 個人成績:

獲得経験:99 = 82全体 + 17個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
同行者:アルフィオーネ・ブランエトワル、ソフィーア・ル・ソレイユ
場所:丘

丘の上で、星空を見ながら、微睡んでいたところ、聞き覚えのある声を耳にし、声をかける。
「ねーね、何してるの?今日はおまんじゅうないの?」

飛行するアルマ先輩を見て、自分も飛べたらなと羨む

飛行中、気持ちよくなって眠ってしまう

アドリブA

ナノハ・T・アルエクス 個人成績:

獲得経験:99 = 82全体 + 17個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
祭りで出店を梯子して食べ歩き

■行動
食べ物系の出店によって買い食いするよ。
一人行動だけど、他に一緒したい人がいれば歓迎だよ。

一店では商品を絞って買って、食べつつ次の店を探してさらに買って食べる。
時には周りの人に美味しそうなお店を聞いて買いに行く。
これを繰り返すよ。

はむはむむしゃむしゃ…美味しい♪

シキア・エラルド 個人成績:

獲得経験:99 = 82全体 + 17個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
マリアルトと一緒に
河川敷でぼんやり川の流れを眺めて

学校には慣れた?楽しそうじゃないか、随分と
ねぇ マリアルト
悪かったね「レーア様」に似てなくて?

……まぁいいよ 俺がいるって知ってて来たんじゃないでしょ
あの人にさえ 知られてなければ

ところで何飲んでるの
いやお酒でしょ よく売ってもらえたね
待ってそれ何杯目?

マリアルト・シャリエ 個人成績:

獲得経験:99 = 82全体 + 17個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
…シキア様と 共に
出店でお酒を買っているところを拉致られ 河川敷でぼんやり

少しは ここの人はみんな 優しくて
な…!いいえ そのようなことは…!!
……それだけは 命に誓って ありません

これですか?これはおさkジュースです
大人のジュースです いいですねシキア様
……購入方法なんていくらでもあります ふふふ

リザルト Result

 その夜を、あるものは『愉しい宴の夜』と言った。
 その夜を、あるものは『寂しい風の夜』と言った。
 同じ月明りの一夜。
 けれども、彼らの物思いはそれぞれ。

 さて、時は同じくして、これらは全て、とある一夜のひと時。
 そして今宵、月下で貴方は――。

 ●大きく口を開き――
 その日は、賑やかな祭りがあった。
 秋の収穫祭。または夏の終わり、秋の始まりを告げる感謝祭。
 けれど、それは建前。
 人々の目的は、騒ぎたい。うまいものを食いたいという欲望ばかり。
 少女も、そんな欲望を抱く者たちの1人であった。
 鼻歌交じりに歩く足元は、夜ということをも忘れてしまうような、煌々と輝く光の道。
 愉快な笛、重々しい太鼓、そしてそれらに混じる、楽し気な歌。
 所々から香る煙たい匂いは、高級感の欠片も感じぬほどに濃く、服に匂いが残るほどに鼻につく。
 だが、それが良い。それが、祭りというもの。
 次はどこにいこうか。満面の笑みを浮かべる少女は、辺りを見渡す。
「んくっ、んー……っ。ぷはぁ! お祭り、サイコー♪」
 【ナノハ・T・アルエクス】は、空っぽになったラムネ瓶を空に掲げた。
 かこん。
 夜の街と月明りを反射して輝く瓶に別れを告げ、ナノハの歩みは止まらない。

 右手に焼き鳥。左手にリンゴ飴。
 そして視線は次の店。
「次は粉ものが食べたいなー♪ お腹も減ってきちゃった」
 フェアリータイプのエリアルの独り言。
 補足すると。彼女が食べ歩いた店は既に13店舗。そのすべてが食べ物屋台である。
(まだ行っていないのはー……、あれ? あれは)
「ううぅー、あれもこれも食べたいのー……。迷っちゃうのー」
 千鳥足で店と店を行き来する1人の上級生。歩くブラックホール、底なし胃袋と名高い【キキ・モンロ】先輩である。
 食べ物が沢山あるとはいえ、キキの財布には無限にお金が湧き出てくるような魔法は掛かっていない。
 財布の中身と出店のメニュー表を見比べてはため息をついているようだ。
(先輩に際限なく食べさせたら、ここの出店全滅するんじゃないかなぁ……。あ、どこか行くみたい)
「……む! 美味しいにおいがするの~! ……、あ、でもこれもおいしそうなのー……ぐぅぅ」
 何かを感じ取ったキキ。そしてまた千鳥足ながら、ある方向に進んでいく。
 お金のないキキが食べに行くもの。
(もしかして……、安くて、美味しくて、ボリュームのある食べ物がある隠れ出店……とか? それなら、僕も行ってみたい♪)
 ナノハはこっそり、キキの後をつけることにした。
「……あ、これくださいー♪」
「まいどありー!」
 道すがら、食べ歩きを楽しみながら。

「ここから、美味しい匂いがするのー。くんくん」
「あ、止まった。もぐもぐ」
 キキが足を止めたその先には、小さな人だかりがあった。
 確かに、この出店からは、他の店よりもより強い匂いが充満している。
「はいはーい! 次の一杯いっちょ上がりぃ! そこの長テーブルで召し上がれぇっ!」
 店員らしき声。そして、どよめく人々の声。
「マジか……、デケェ……」
「お前が頼んだんだから、ちゃんと食えよ!?」
「無理無理! 半分! 半分食え」
「半分でも多すぎるわ!」
 先頭の客たちの醜い争いと、それに全く動じない店員。
「にぃちゃん達ー。運んどくから仲良く食べなよー? 残したら、モッタイナイオバケが出てくるかもよー」
 どん。
 長テーブル4つをつなげた巨大なテーブル。
 その上に乗っていたのは、テーブルから零れ落ちそうなほどに巨大な『イカ焼き』。
 祭りの光を浴びてキラキラ輝くタレ。空に昇る湯気。
 『クラーケンイカ焼き』。店ののぼりにはそう書かれていた。
「クラーケンって、魔物の?」
「いやいやー、魔物屋台なんて怒られちゃう。これは普通のイカだよー! ちょっと大きいだけのね?」
 野次馬の1人の言葉に、店員は慣れたように返した。
「アルチェの海から産地直送。突然変異っていうやつらしいんだけど、偶に出るみたいなんだよねぇ。あんまりにもおっきいから、規格外とかで普通に売りに出せない! そこをアタシが買ってやったのさ!」
 粗悪品みたいなものだから、当然お値段も安い! 味は変わらない! めっちゃお得と思わないかい? そう続ける店員。話の途中で、よく食べそうな少女達の姿を見つけ、不敵に笑った。
「安い! ウマい! でかい! クラーケンイカ焼きだよー! そこのおねーさん、買わなイカ?」
「買うのー!」
「食べたーい! ……っは!?」
 キキに釣られて声を上げるナノハ。
「あ、ナノハなのー! 一緒に食べるのー!」
「う、うん! 食べるー♪」
(バレちゃったけど……、ま、いっか! 先輩のおかげで美味しそうなお店見つけたし)

 現れたイカ焼きに、目を輝かせる少女2人。
「美味しいものは、皆で食べるのが一番なのー♪」
「ご馳走様ー♪ お代わりくださいなー!」
 小柄な少女達が巨大なイカ焼きを食べていく姿は、傍から見れば酷く奇妙で、面白おかしいものだろう。
 不意に、キキと目が合う。
 口の端にタレを付けた、幸せそうなその顔に、思わずナノハも笑顔になる。
「美味しいね、キキ先輩♪」
「うふふー、幸せなのー♪」

 ●星を見上げ――
「天使……?」
 ぽつり。空に見える小さな2つの影を見上げ、【リーゼ・ガルシュタイン】は呟いた。
 月の光を受けて金色に輝くアークライトの翼。抱えられる女性の、楽しそうなほほ笑み。
「あ、そおだった……。あーくらいとの人飛べるんだよね。……いいなぁ」
 幼いリーゼはロマンチックなんて言葉は、あまりよくわかっていない。
 けれど……ただ、ほんの少しだけ。……空を飛べる彼女が、羨ましいと感じてしまう。
 月や星に近づくため? それとも、誰かと空を見上げるため?
 何故か、分からない。嫉妬? ううん。ちょっとだけ、寂しい。から?
「パパはどうして、リーゼを空を飛べるようにしてくれなかったのかなぁ」
 その疑問に答えてくれる人は、もういない。
 ただ、彼女は1人ぼっちで、星空に浮かぶ影を見上げていた。
 ……聞き覚えのある声を耳にするまでは。

「まさか、ソフィーにまた会えるなんて。本当に夢みたい」
「ぼくも、まさかこんなに小さな姿になっているなんて思ってもみなかった」
 【アルフィオーネ・ブランエトワル】と【ソフィーア・ル・ソレイユ】。
 かつて、共に戦場を駆け抜けた2人は、先日の学園主催のイベントにて、まさに運命的ともいえる再開を果たしていた。
 月の下。見晴らしの良い丘の上で月見でもしながら語り合おう、と。
 そう切り出したソフィーアは今、どこか少し、緊張した様子だ。
(2人きりで月見……、で、デートみたいじゃないか?)
 丘へ向かう道中、ソフィーアは多少浮かれた言葉をぐっと堪える。
「君に、どうしても会いたかったから。だから。会いに来た」
「あら。こんな幼い姿になってて、失望した?」
「まさか。君がどんな姿であれ、関係ないよ」
 そういうと思った。柔らかに、笑って答える彼女。
 月明りに照らされるアルフィオーネの姿に、昔を懐かしむように目を細める。
 2人で、故郷を旅立った夜。眩しいほどに明るい月。……星々を、皆を守ると誓ったあの夜と、今を重ね。
 ……彼女らがそれぞれが、アルフィンレーヌとソフィアンリーゼだった頃と。
「あの時も、こんな感じの月夜だったなぁ……。レーヌ、ここでまた、誓おう。『五つの誓い』を」
「……姿も、時も、そしてきっと星も。全て変わってしまったけれど……。でも、わたしの。いいえ、わたし達の心は何も変わってはいないわ」
 2人、歩みを止めて、月を見上げ。そして、手を月へと掲げる。
 5つの誓い。即ち
 1つ、力なき人々の力になること。
 1つ、悪には屈しないこと
 1つ、あきらめないこと
 1つ、仲間を信じること
 1つ、約束は絶対に守ること。
 彼女らのいた世界の神に誓って。呼吸を合わせて唱和していく。
 
 唱え終わり、ふと横を見ればかつての相棒と目が合う。
「改めて。これからもよろしくね、ソフィー」
「……っ、勿論! よろしく、リーネ」
 そう言って、2人笑いあう。
「ねーね、何してるの? 今日はおまんじゅうないの?」
 ひょっこり。
 そんな2人に、道端の草むらの中から話しかけてくるものがいた。リーゼだ。
「――ッわわぁ!? なんッ!?」
「おまんじゅう? あるわよ……ソフィー、どうしたの?」
「な、ななな。なんでも……ないっ!」
「……そう? なら、一緒に食べましょう」
 夜空に輝く星と月の下。
 彼女らは、簡単に草木を払い、腰を下ろし、おまんじゅうの入った袋を広げる。
 多少の暖かさが残る、柔らかな触感の生地を、リーゼは大きく口を開け、頬張った。
「はむぅっ! んふふー、月見団子? ううん? 月見おまんじゅう、おいしいね!」
「ふふふ、そうね。……あらら、リーゼ。粉が口についてるわよ」
「んー……、ねーね、取って取って!」
「はいはい」
 子供のようにアルフィオーネへ甘えるリーゼ。
 その様子を、優しく見守るソフィーア。
「まるで、親子みたいだね」
「あら、じゃあ貴方はパパ?」
「ねーね、ソフィーアはパパなの!? え? でもリーゼのパパは他の人だから、えっとえっと」
「――パ、パパパパ!? そ、それはいけな……!? いや、でもそれもあり……、い、いやいやいやっ!?」
 分かりやすく動揺する2人に、アルフィオーネはあら? と、首を傾げる。
「ほんの冗談だったのだけれど」

「んぅぅ……、ふぁぁ……ぁふ」
「リーゼ? ……あぁ、もうこんな時間だもんね」
 夜も更け、辺りは既に闇。
 リーゼの口から洩れた大きな欠伸に、2人はそういえばと辺りを見る。
 空には、月と星だけが輝き、丘の下に見えていた夜店の明かりも、もう見えなくなってしまっていた。
「そろそろ寮にもどらなくちゃ……。あら?」
 立ち上がろうと腰をあげるアルフィオーネの腰に、リーゼが手を回す。
「ねーね……? どこに行くの? いっちゃヤダ……」
「寮に帰るのだけど……」
「ヤダ……、一緒居てよぅ。飛んでいかないで」
 少し寝ぼけているリーゼに、どうしようかと考え込むアルフィオーネ。
「無理に剥がすのは可哀そうなのだけど……」
「じゃぁ、さ。リーゼも一緒に飛んで帰る?」
「……うん?」
 ソフィーアの提案に、リーゼは寝ぼけ眼であったが。
 こくん。
 小さくうなづいた。

「リーゼ、しっかり摑まっているのよ」
「うん! ありがとう、ねーね達!」
 リーゼがまたがるのは、丘の麓で貸し出されていた魔法の箒。
 箒の飛行を補佐するように、箒の左右にはには2本の紐が伸びていた。
「ねーね達も、放しちゃダメだからね! 握っててね!」
「はいはい」
 紐の先をしっかりと握るのはアルフィオーネとソフィーア。
 リーゼは初めての『空を飛ぶ』感触に目を輝かせる。
「リーゼ、空飛ぶのはじめて。……学校よりも、天使よりも、たかいとこ飛んでるの!」
「天使……?」
 横で、紐を持つアルフィオーネのことかな? ソフィーアは一瞬思った。口には出さないが。
「ソフィー」
「どうしたの? レーヌ」
「この子のこと、気にかけてあげてね。わたしは専攻が違うから、ずっとはみてあげれないもの」
 あなた、同じ専攻でしょう? そう続けるアルフィオーネの言葉に、ソフィーは笑顔で返す。
「勿論、ぼくがしっかり見てるよ。レーヌと、五つの誓いにかけて」
 眼下に広がる街並みと、無邪気に遊覧飛行を楽しむリーゼ。
 2人は、守るべき者たちを見つめ、学生寮を目指し飛行する。

 ●視線を逸らす
「……あ」
「……あ」
 2人が声を上げるのは、ほぼ同時だった。
 一方は、見つけてしまったとばかりに口を歪ませ。
 もう一方は、見つかってしまったとばかりに、思わず手にした酒瓶を落とした。

 月明りを映し出す、穏やかな川岸。
「……」
「そんなに緊張しなくていいよ。座って座って」
 粗末なベンチに促されるように、【マリアルト・シャリエ】は腰を下ろした。
 【シキア・エラルド】も、観念した彼女の様子を確認すると腰を下ろす。
 主人の息子と、主人の従者。
 奇妙な関係の、奇妙な2人。
「マリアルト、学校には慣れた? 楽しそうじゃないか、随分と」
「少しは……、ここの人はみんな、優しくて」
 同じベンチに腰を下ろす2人の様子は、対照的であった。
 ニコニコ。新入生に、優しく接する頼りがいのある先輩。
 オドオド。先輩に、謙虚な守りがいのある後輩。
 ……傍からは、そのような2人に見えるかもしれない。
 しかし2人の心情は穏やかなものでは決してなかったようだ。
(まさか、マリアルトが学園に来ているなんて……。まさか、偵察とか? いやいや、それはないか)
(ついに、見つかってしまうなんて。……怒っている? 何か、言われるのでしょうか……?)
 お互いがお互いを伺ったまま。ただ、時だけが過ぎていく。
 
「……それにしても、マリアルトが学園に来ているなんて知らなかったよ。言ってくれればよかったのに」
 会話を切り出したのは、シキアだった。
「……ワ、ワタシも。知らなかったんです。ま、まさか……シェルシア様がいらっしゃるなんて」
 嘘。彼女は知っていた。でも、出会わないよう出会わないよう。出来るだけ避けて、避けて。
 でも、見つかってしまった。
 なんという失態を。……シキアに目を合わすことができず。
 緊張をごまかすように、先ほど買った酒を開ける。
「……教えてくれたら、学校の中とか、案内したのに。あと、俺は、シェルシアじゃなくてシキアっていうんだ。これからはそう呼んで?」
 何とか平静を保つシキアであったが、その声は威圧的で、微かに震えていた。
「ご、ごめんなさい! し、シキア様!」
「まぁ、別にいいけど。……ごめんね、レーア様みたいに優しくできなくて」
「な……! いいえ、そのようなことは……!」
 怯えるマリアルトに、八つ当たりのように強く言葉を放つシキア。
 彼女のことを、恨んでいるわけでも、嫌いというわけではない。だからこそ、どのように接していいのかわからなくなってしまう。
「……あの人は、どう?」
「あの人は……、その……分かりません」
 シキアの言葉に、予め決めていたようなセリフで返すマリアルト。
 周りから見れば、よくわからないその言葉も。
 2人からすれば、同じ。
 分かりません。それ以上は言わないとばかりに口を噤んでしまうマリアルトに、シキアは小さく落胆する。
(分かりません……か。あの人が俺のことを知っているのか探りたかったんだけど……。まぁ、マリアルトの様子を見るに、多分、それはなさそうかな)
 恐る恐る……と、こちらを伺うマリアルト。
 シキアは小さく息を吐き、そっか。と、小さく笑った。
 これ以上詮索しても、彼女は恐らく何も言わない。
 今、あの人と繋がりがあるかは分からないけれど……。自分を見張らず、悠長に酒を飲んでいる様子を見るに、見張れ、報告しろなんて命令は受けていないのだろう。
「あの、し、シキア様……?」
「……ごめんね、意地悪して」
「い、いえ! そんな」
 表情が柔らかくなったシキアに、多少緊張が解けたマリアルト。
「そういえば……、それってお酒だよね? いいの? ってかよく売ってもらえたね」
「じゅ、ジュース……です! 大人の。……購入方法なんていくらでもあります」
「そうなんだ。かなり大量にあるけど……俺も一口貰おうかな?」
「だ、ダメです! シ、シキア様はあと3年! 我慢してください!」
「えー、ダメ?」
「だ、ダメですよ!」
 ふふ、冗談だよ、と。笑うシキア。もー、と。ぎこちなく怒るマリアルト。
 主人の息子と主人の従者。
 それは、決して単純ではない奇妙な関係ではあるけれども。
 それでも、今だけは、取り繕いの無いただの談笑を楽しむ2人。
 
 蟠りはすべて解けたわけではない。
 けれど、まだ。今はこのまま――。



課題評価
課題経験:82
課題報酬:0
【体験】月夜に君と「____」
執筆:根来言 GM


《【体験】月夜に君と「____」》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《イマジネイター》 ナノハ・T・アルエクス (No 1) 2020-09-20 23:56:02
賢者・導師コースのナノハ・T・アルエクスだよ。
みんな、よろしくね♪

僕は祭りの出店で食べ歩きする予定だよ。