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時の奇術師 ~切り取られた研究室~


ストーリー Story

 その日、部室棟が集まる敷地の一画にある魔術研究棟は静寂に包まれていた。
 日中、それも学園が最も活気づく放課後の時間帯にもかかわらず、物音一つ立っていない。
 周辺のいつも通りの喧噪の中で、その静けさが際立っている。
「なんですかね、これ?」
「なにかの悪戯ってわけではなさそうだな」
 魔術研究棟を訪れた二人の生徒が顔を見合わせる。
 中の様子に二人はただ戸惑うしかなかった。
 まるで絵画を見ているかのように止まったまま何もかもが動いていない。
 人が止まっているだけならまだ何らかの悪戯かとも思えるが、止まっているのは人だけではなかった。
 生徒の手から滑り落ちた本が空中でピタリと動きを止めている。
 発動中の水の魔術でさえ、そのままの状態で動きを止めているのだ。
 いったいどれだけの力を籠めれば、こんな微動だにしない状態で魔術が維持できるのか。
「とにかくもう少し詳しく調べ……」
 生徒の一人が中の様子をよく見ようと顔を近づける。
 その瞬間、生徒の動きがぴたりと止まった。
 その様子に隣の生徒がぎょっとする。
「おい、大丈夫か?」
 そして肩を揺する隣の生徒もまた動きを止めてしまった――。

「これは、中の時間が止まっているのでしょうか?」
「いえ、本当に時間が止まっているのであれば光も止まり、中の様子は見る事が出来なくなるはずです」
 それから少しして、異変に気付いた教師たちが研究棟に集まっていた。
「どうやらこの静止空間は少しずつ範囲を広げているようです。迂闊に近づかないよう気を付けてください」
 髭をたくわえた老教師の視線の先では、建物の外で部活動に向かう生徒たちが歩く姿のまま動きを止めている。
「一定の範囲に近づくと動きを止められる。厄介なことにその空間は今尚広がり続けている、と」
「そういえば最近学園長が妙な『鳥籠』を持ち込んだそうですな。確か中に入れたものの時間を止める道具だとか」
 若い教師たちが口々に言う。
「なにやら出来立ての料理を入れて遊……ゲフン、研究をされていたご様子でしたが」
「恐らく飽きて……こほん、解析に回したのでしょうが、何かトラブルがあったようですね」
 それは【ニルバルディ・アロンダマークォル】により持ち込まれた魔術具だった。
 組み込まれている魔術式や素材を解析して欲しいと彼がメメル学園長に依頼したものだ。
「とにかくこのまま放置していては学園全体の時が止まってしまうかもしれない。ここは全校生徒にも避難を呼びかけましょう。中には魔術に詳しかったり、素晴らしいアイデアを閃く生徒もいるかもしれません。有志を募って全校を挙げて解決に乗り出しましょう」
 こうして学園の危機に対処すべく、教師たちは動き出したのだった。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-06-04

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2021-06-14

登場人物 7/8 Characters
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《新入生》ルーシィ・ラスニール
 エリアル Lv14 / 賢者・導師 Rank 1
一見、8歳児位に見えるエルフタイプのエリアル。 いつも眠たそうな半眼。 身長は115cm位で細身。 父譲りの金髪と母譲りの深緑の瞳。 混血のせいか、純血のエルフに比べると短めの耳なので、癖っ毛で隠れることも(それでも人間よりは長い)。 好物はマロングラッセ。 一粒で3分は黙らせることができる。 ◆普段の服装 自身の身体に見合わない位だぼだぼの服を着て、袖や裾を余らせて引き摺ったり、袖を振り回したりしている。 これは、「急に呪いが解けて、服が成長に追い付かず破れたりしないように」とのことらしい。 とらぬ狸のなんとやらである。 ◆行動 おとなしいように見えるが、単に平常時は省エネモードなだけで、思い立ったときの行動力はとんでもない。 世間一般の倫理観よりも、自分がやりたいこと・やるべきと判断したことを優先する傾向がある危険物。 占いや魔法の薬の知識はあるが、それを人の役に立つ方向に使うとは限らない。 占いで、かあちゃんがこの学園に居ると出たので、ついでに探そうと思ってるとか。 ◆口調 ~だべ。 ~でよ。 ~んだ。 等と訛る。 これは、隠れ里の由緒ある古き雅な言葉らしい。
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。
《静止時空の探求者》ディートハルト・イェーガー
 カルマ Lv9 / 賢者・導師 Rank 1
僕は、ディートハルト・イェーガー(Diethard・Jäger)と、 申します。よろしくお願い致します。 正式名称があるのですが、一応伏せておけと言われまして… 父さんの亡くなったご子息の名称を名乗らせて頂いてます。 父さん曰く、調査依頼を受けた遺跡の隠し部屋で 休眠中の僕を発見、再起動しました。 父さんはあの通り小さな方なので…起きなかったらどうしようかと思った、と。 再起動したのは2019年5月21日です。 …本来、既に有事以外で再起動しない筈でした。 そして自由意志なぞ、僕にはなかった筈なのですが… …いえ、この様に再起動したからには、父さんのお役に立ちたいと思っております。 ですが、その父さんが2020年2月から調査依頼に出たきり 音沙汰がなくなりまして… 安否確認に来ましたら、何故か入学していました。 表面上は言葉と表情は柔らかく、にこやかに対応する。 いわゆる営業スマイルであり、実際に喜怒哀楽などの感情は持ち合わせていない なので、内面ではどの様に対応すればよいのか、と観察と試行錯誤を繰り返してるのでよく営業スマイルで止まっている。 ヒトって突飛ですね…と、学園長を見て零す日々。 『父さん』 ジークベルト・イェーガーのこと 本人的には義理親子よりも主従関係の方が認識し易いと言うが 異世界遺物の可能性やジークベルトの役に立ちたいという意思と ジークベルトの主人と呼ばれる忌避感から養子縁組で落ち着いた
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に

解説 Explan

 広がり続ける静止空間を解除するのが目的です。
 空間の範囲に入るとその時点で動けなくなりますので、なんらかのアプローチで干渉してください。
 とにかく試行錯誤、考え得る手段を示せるだけ示すことで、それらの組み合わせでPCが突破口を開くかもしれません。

・時間が止まっているように見える空間ですが、中は真っ暗ではなく見えています。
・原因となった『鳥籠』は魔力の暴走により完全に壊れてしまっています。
(魔術を維持するための魔法石が砕けてしまっています)

 獲得称号:ランダム(キャラ別)

 問題が解決された場合、全員に称号が付与されますが、その名称についてはエピソード内での行動によりそれぞれ違うものが付与されることもあります。


作者コメント Comment
 皆さま、ごきげんよう。SHUKAです。

 今回のストーリーは学園が舞台となります。
 今後の物語におけるキーアイテム『鳥籠』の登場です。
 色々なアプローチからアイテムの特性を暴いていただけると嬉しいです。
 PCたちのプランを組み合わせて、面白いエピソードに出来ればと思っております。
 
 ぜひご参加ください。


個人成績表 Report
フィリン・スタンテッド 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:静止時空の探求者
●方針
静止空間について調査。法則を調べ事態を集束させに

●行動
事前準備は無理そうなので迅速に行動。

まずニルバルディ、メメル学園長の安否確認。
無事なら鳥籠の情報を聞き込み、巻き込まれて静止中なら手がかりなど書き残しはないか周辺を調査。
余裕があれば類似した魔具がないかも確認

静止空間には『発煙筒』を薄く焚いて様子見。
煙も停止するなら境目が視認できるようになるはずだし、
静止しないなら重量か容積が条件だろうとあたりがつくはず。

危険なので最後の手段だけど、静止空間が留まらず調査する皆が危険なら
一か八か、『電結変異』『防護魔力』全開にした盾で食い止めを試みる。
「早く、逃げて!」「一秒でもいい、もって!」

ルーシィ・ラスニール 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:静止時空の探求者
◆目的
静止空間の解除

◆事前確認
事前調査として、学園長のもとへ向かい、原因になった鳥籠の魔道具について情報収集
魔力の供給源や、どのくらいの期間、時間を止める事ができるのか
時間を止める機能を行使するためのキー等があるのか等確認

◆現地調査
調査前に仲間にも得た情報を共有
必要なら写法術も使って視覚的に説明

時間が止まってる範囲は目視できる
ちゅうと、静止空間に入って時間が止まるまでには、僅かじゃろうけどタイムラグがありそうだべ

まずは、静止空間に巻き込まれねえ距離をとって、空間内目掛けてミドガトル撃ってみるで
どのくらいでミドガトルが止まるか
一瞬で止まるのか、それともじわじわ止まるのか

挙動をみて空間の特性を把握

クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:静止時空の探求者
俺はこの『鳥籠』の効力や性質を分析、解析し、現状の解決策を調べよう

まずは静止空間の広がる速度を見てみる
火を点けたお線香を用意し、停止する危険なエリアを確認しておき、少し距離を置いた場所に線香を設置
そこから一定距離を空けてもう一本を設置する。1つ目と2つ目の停止するまでにかかる時間を測りどの程度の速さで広がっているかを算出しよう
空間の把握や猶予が判ればより有利に動けるはずだ

また、領域の付近で行動する仲間には予めロープを掛け、いつでも引っ張り出せるようにしておく
視覚強化も活用し停止したらすぐに引き上げよう


そして、この空間を抑えられるものがないかも調べるよ
元々は制御下にあった力だ、何か方法があるはず

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:時空の救助隊長
わたくしは自由がすきです。
だから、とまっちゃってる人をたすけてあげたいです。

ほかのひとたちとしっかり相談して調査していきます。
まず、時間がとまっちゃってる範囲の明確化を
風にそよぐ紙をつけた棒とかでやっていきます。

そして、十分に調べたら、まずわたくしが腰にロープつけてはいります。

わたくしが着てる「ビルガメスローブ」には特別な力があります。

魔法による「状態異常」を受けなくなる……

この異変が魔法の力でしたら、それも防げるはず。
だから、これはわたくしの役目です。

みなさんの調査を信じ、そして協力していきます。

とまっちゃったひとをたすけてあげられるように。

わたくしはみなさんの目と耳と手と足になりたいから。

パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:静止時空の探求者
◆目的
静止空間の解除と、可能であれば原因究明

◆確認
まずは、物や人が静止してる空間から距離をとって、巻き込まれないようにしたうえで、静止空間目掛けて勢いよく水筒の水を掛けてみる
そのまま水が地面に落ちたら空間外
水が静止したら……そこは空間内と推測できるわ

最初は数分おきに水を掛けて、空間の外に葦の杖で線を引く等し、空間が広がるペースを把握
その後は、ペースが遅いなら間隔を空けて
早いなら間隔を詰めて空間拡張のペースと広さを確認するわ

いくつか作業を並行して行ったりする場合は、重要度やリスク、現場の状況を加味して、優先すべきものは優先し、リスクが高いことはどうしようもないときの切り札にする等、うまく調整を

ディートハルト・イェーガー 個人成績:

獲得経験:97 = 65全体 + 32個別
獲得報酬:3000 = 2000全体 + 1000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:静止時空の探求者
魔術具の暴走とは…
何をしたのでしょうか…?

学園長が鳥籠にしていた実験内容と結果から
どの様な魔法が付与されているのか確認します

魔力感知で境界と有効範囲が広がる速度を算出し
有効範囲に入らない様に注意しつつ
魔法の有効範囲内にあると思われる暴走状態の核を探します
…核の場所が判明したら、暴走しない物に魔術式を移せないか試します

個人的には
鳥籠はこの魔法の効果範囲を定める物だったのではないでしょうか?
内と外を隔てる物…『中のモノを守る又は閉じ込める物』が無くなったから
有効範囲が広がり続けているのでしょうか?

…問題は、どの様な用途を想定して作られたか、です
食物の劣化を防ぐ魔術具などではないのでしょう?

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:78 = 65全体 + 13個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:静止時空の探求者
さて、暴走した魔術具の停止か・・・
オレには上手く止める方法が完全に破壊するか魔術具から魔力を抜くってこと位しか思い浮かばないな
なのでどうすればいいか対策本部というなの緊急研究室を立ち上げようと思う
もう、騒ぎになってるし半分悪乗りだがどこからどのような発想が飛び出すかわからないからな・・・
原因を止めるまで実験、研究し放題(ただし、研究費は自腹)って言って回ろう
時が止まることを利用した実験研究なんて普段どれくらいのコストがかかるかわからないしな

勿論、原因を止めるのが第一だが・・・こういうのに乗ってくるのはそういう事考えないだろうからなぁ
それでもやらなりはマシだろう

アドリブA、絡み大歓迎

リザルト Result

 学園の呼びかけにより生徒たちは部室棟の一室に集まっていた。
 速やかに対策に移るために緊急会議が開かれる。
 そこには学園長の【メメ・メメル】も呼ばれている。
「これで模型は完成だべ」
 【ルーシィ・ラスニール】は写法術で作った球体映像をテーブルの真ん中に置く。
 そこには今、学園の研究棟を中心に広がりつつある静止空間が模型として描き出されていた。
 ボールのように丸い球体、その片側が何層にも色分けがされている。
 それを見て【クロス・アガツマ】がメガネをくいと上げ、知性の窺える笑みを浮かべる。
「どうやら静止空間は球体状に拡大を続けているようですね」
 こうして見ると状況は一目瞭然だった。
 窓の外、そこには目の前の球体と同じ形の巨大なドームが形成されている。
 片側ではモクモクと色のついた煙が立ち上っている。
 今は生徒の有志が交代で発煙筒を炊き、静止空間の正確な範囲の特定を続けている。
 煙は時間おきに色が変えられ、静止空間にとりこまれてはドームの片側を彩っていた。
 ちなみにこの空間が球体状なのは【仁和・貴人】がグリフォンで上空を飛び確認済みである。
 【パーシア・セントレジャー】が用意した水筒を使い、水を撒くことで空間全体の形状を把握することに成功していた。
「確実に膨張速度は落ちていますね。これなら僅かですが時間に余裕はあるのではないですか?」
 【ディートハルト・イェーガー】は色分けされた層が徐々に薄くなっているのを見て穏やかな笑みを浮かべた。
「ええ、ディートハルトさんの言う通りこれなら被害は抑えられそうね。腰を据えて対策が立てられそう」
 【フィリン・スタンテッド】も同じく模型を見ながら安堵の息を吐く。
「ふむ、ですが時間おきの膨張体積が変わっているわけではないようですね。単に大きさが増して広がりにくくなっているというだけのようです」
「つまりアガツマくん、君は事態が収束に向かっているわけではないと考えていると?」
「そういうことです。今のところその兆候すら見せていないということですね。幸い加速もしていないようですが……」
 自らの手帳に計算式を書き込んでいたクロスは貴人の解釈を肯定する。
 そんな彼らにパーシアは怪訝そうに尋ねた。
「けどこれってずっと膨張し続けるものなのかしら? このまま膨張を続けるのなら破裂なり、魔力切れで消滅なりするんじゃないかと思うのだけれど?」
「おらもそれは有り得ると思うだよ。けれどそうならないとも思うだ」
 ルーシィは真剣な顔で球体模型を見つめる。
「わたくしはすこしでもはやく、中のひとをたすけてあげたいです」
「そうね。私もレーネの意見に賛成よ」
 【レーネ・ブリーズ】の意見にこの場の全員が同意して頷く。
「だってなかはとてもこわいところです。音もない。風もかんじない……まるで世界にぽっかりと穴があいたよう」
「穴か……確かにそう考えるととても怖いところね。気配がないっていうのがあそこまで不気味だとは私も思わなかったわ。早く助け出してあげましょう」
「……はい」
 レーネが凍えるように身を抱くのを見てフィリンが優しくその頭を撫でる。
 その励ましにレーネが少しだけ表情を緩める。
 そんな二人を見ていた貴人は仮面の下の表情を引き締めて言う。
「それで具体的にどうするかだが、やはり魔術具を完全に壊すか、魔力をすべて取り払うかといったところだろうか?」
「それが定石だね。故障を直せればそれが一番だけれども、今の状況では難しいだろうね」
 貴人の方針にクロスも同意する。
 現在の状況は魔術具が中途半端に作動しているからこそのもので、止めるのであれば壊すのが最も手っ取り早い。
 専門家の大半が空間の中に取り込まれている以上、修復は困難だろう。
「そもそも今回の魔術具はどういったものなのでしょうか? 確かメメル学園長はあれを触っていたのでしたね?」
 ディートハルトがメメル学園長へと視線を向けると、それに釣られてこの場の全員が彼女に視線を向けた。
 そうしてこれまで議論を見守っていたメメル学園長は楽しげに口を開く。
「アレを持ち込んだ【ニルバルディ・アロンダマークォル】は『鳥籠』って呼んでたよ。鳥籠は中にあるものの時間を止める魔術具で間違いないからね~これ前提、絶対ルールということでよろ☆」
「ですが時間が本当に止まっているのなら中は見えないはずですよね? 光も動きを止めるのですから」
 フィリンは以前に行った魔術実験を思い出しながらメメルへと問いかける。
「チミ、少し頭をほぐしたまえ。未知の現象に呑まれたら本末転倒なのだぞ?」
 指をふりふりしながら教え子を諭すメメル。
 そんな彼女の自信溢れた様子にディートハルトがなにかに気づいたように口を開いた。
「時間停止とは別にもう一つ映像を投影する魔術が使われているのでは?」
 その言葉に一同がはっとする。
 気づいてみれば、なんてことのない基本的な考え方だった。
「おおっ、ちゃんと気づいたね、エラい、エラい! ユーには花丸を進呈するぞ! そう、魔道具は必要な魔術が組み合わさって作られているものなのさ」
 メメルは満面の笑みで生徒たちを褒める。
 生徒の成長を心から楽しんでいるようだった。
「実際オレサマも料理を入れて試したのだ。蓋を開けて入れた時点でも中身が止まったように見えたけど、蓋を閉めるまでは中の時間は動き続けていたのだよ。手を入れて湯気の感触を確認したから間違いないね」
 その言葉に貴人は顎に手を当てて考える。
「ということはあの空間内部は完全な停止した空間、か……容易には手が出せないな」
「そもそも通常であれば中の空間とは行き来不可能なはずですが。取り込まれる、という特性そのものが特異ですね」
 クロスは口角を上げ、にやりと笑う。
「絶妙な均衡がもたらして……いや膜のように不安定になっている? ……実に興味深い状態だ。ぜひとも詳しく調べてみたい」
「知的好奇心を持つのは結構だけれど、今は救出を優先しましょう」
 そんなクロスをフィリンが嗜める。
「奇跡的に行き来が可能な状態になっているのならば、その中心にある鳥籠へと近づいて完全に破壊するって方針でいいかな?」
 貴人の確認に皆が頷いた。
 と、ここでレーネが手を挙げる。
「それなら中にはわたくしがいきます。わたくしの装備なら、なんとかなるとおもいます」
 そう言ってレーネは自分の服を見下ろす。
「このビルガメスローブは魔法からの悪影響をかんわするちからをもってます。それにこのアジサイリングはアイテムの弱体効果をひとつ無効化できます」
 草木で編まれたローブにアジサイの花をモチーフとした指輪はエリアルである彼女によく似合っている。
「なるほど、確かにレーネの装備ならなんとかなるかもしれないだよ」
「このメンバーの中で、一番この状況に適した装備のようね」
 ルーシィとパーシアはレーネの提案に納得する。
 そして貴人はレーネの手に持つ小さな針を目ざとく見つける。
「それにブリーズくんが持つその針は『福の針』だね。それで発生源である魔石を刺したなら、静止空間を壊せるかもしれない」
 それは服飾の神様のご利益が宿っているとされるまち針であった。

 こうして生徒たちは静止空間の前までやってきた。
 レーネの腰にはロープが結びつけられている。
 彼女は緊張した面持ちで正面で動きを止めている生徒の姿を見ていた。
「そんなに緊張せんでもいいでよ。いざとなったらちゃんと引っ張り出すべ」
「はい、おねがいします」
 ルーシィが長い袖をぶんぶんと振り回しながら笑いかけるも、レーネはぎこちない笑顔を浮かべるだけだ。
 そんな彼女にクロスも微笑みかける。
「もう一度確認だけどまずは目の前のあの生徒のところまで行って触れてきてもらいたい。触れたらどうなるか、動かせるのか、そもそもそこに彼は存在しているのか、などをね」
「それじゃあよろしくね。準備はいいかしら?」
 そう言うとパーシアが目の前の空間に向かって水筒の水を撒いた。
 飛び散った水泡が一定先の場所でぴたりと動きを止める。
「……いきます」
 しばらくその境界を凝視していたレーネだったが、意を決して一歩を踏み込んだ。
 その瞬間レーネの動きが止まる。
 それを見てルーシィがロープを軽く引っ張った。
 するとロープに引き戻される手応えが返ってくる。
「どうやら中で動けているようね」
 フィリンが安堵の息を吐いた。
 最悪の事態は避けられたらしい。
 一同が緊張の面持ちで見守っていると、少ししてレーネが中から帰ってきた。
「どうでした?」
 ギラリと目を輝かせたクロスがレーネに尋ねる。
「まるでスライムのなかをおよいでいるみたいでした」
「スライムの中? それはどういう意味だい?」
 思わぬ言葉に貴人が首をかしげる。
「ええと……静止空間をおしのけながらすすんでいるというか、たぶん空間のなかにはいれていないです。なかでとまっているひとにふれることはできましたが、膜があいだにあってちょくせつふれているようなきがしませんでした。腕をつかんでひっぱりましたが動かせそうにはないです」
「なるほど、そうなりましたか」
「クロスさん、どういうこと?」
 クロスの納得にフィリンが尋ねる。
「恐らく故障したのは静止空間の範囲を制御する籠の部分だけということですね。静止空間の発生機構も映像投影機能も正常に稼働しているということです」
 彼の視線の先では今まさに空間へと足を踏み入れようとしているレーネの姿が残っている。
「そして中の人を動かせなかったのは、その空間の時間が止まっているからということになります。どうやらレーネ君はその静止空間の境界膜に弾かれて中には入れなかったようですが」
「つつまれているかんじがしました」
 クロスの解説にレーネは頷き返す。
「中に入っても周りの様子が見られたのがその証拠だね。実際に静止空間の内部に入ってそれでも動けたとしても、恐らく周囲は真っ暗でなにも見えなかったはずだ」
「ということは取り込まれた人を引っ張り出して助けるのは不可能ということかしら?」
「そういうことになるんでしょうね」
 考える素振りのパーシアにディートハルトは微苦笑を浮かべている。
 貴人は腕組みをしながら中の空間を、その中心にある鳥籠を注視する。
「ならば中の鳥籠の魔石を壊すしかないか」
「『福の針』でぼうそうする魔石をさしてこわせばいいんですね?」
「そういうこと。お願いできるかな?」
「まかせてください」
 一度入って無事が確認できたからか、レーネの表情が幾分か和らいでいる。
「うむ、本当は中の人間をすべて救助した上であの空間自体を研究をしたかったのだが……」
「確かに貴重な現象であることは理解するけれど、さすがにこれだけの空間を放置するわけにはいかないわよ?」
「それもそうですね」
 フィリンにジト目を向けられて渋々引き下がるクロスだが、知的好奇心には抗えないらしい。
 クロスは観察するように静止空間を見つめ続けていた。

「気をつけていくだべ」
「それではいってきます!」
 レーネの魔法杖エーデンユートを握る手に自然と力がこもる。
 パーシアが水筒の水を撒いたことで浮かび上がった境界面に一歩踏み出し、再び中へと入っていく。
 時折ロープを引っ張り中での無事を確認しつつ、残りの生徒たちは待ち続ける。
 すると突然目の前の光景が動き出した。
 実験器具を片手にしていた研究員が唐突に目の前に現れたレーネに驚きぎょっとする。
「メメル学園長!?」
 他にも何人かの研究員や通行人がいたが、突然現れたメメル学園長や生徒たちに驚き目を白黒させるのだった。
「レーネさん、大丈夫?」
 彼女の下へ一番にかけつけたのはフィリンだった。
 レーネの体をひととおり触り異常がないかを確かめる。
「ありがとうございます、フィリンさん。もんだいないですよ。このとおり鳥籠の魔石をむりょくかしました」
 目の前のテーブルには真っ二つになった魔石が転がっている。
「もともとひびがはいっていました。それが暴走のげんいんだったとおもいます」
「暴走?」
 傍にいた研究員が首を傾げる。
 やはり中の時間は止まっていて、当人たちはその異変に気付かなかったらしい。

 生徒達は会議室へと戻ってくる。
「そもそもあれは何だったんですか? 確かニルバルディさんが持ち込んだものなんですよね?」
 貴人はメメル学園長に尋ねる。
「うむ、その通りさ。あっ、そういやチミは何度か彼と面識があったんだったね?」
 するとディートハルトはその名前に心当たりを思い出す。
「ニルバルディ……ああ、雪の中僕らに臨時演習をしてくださった冒険者の方ですね。それに父さんが依頼先でタバコを貰ったとも言っていました」
「森でのカースドウルフ退治の時か。確かそれにはスタンテッドくんとアガツマくんも同行していたよね?」
 貴人の確認にフィリンとクロスも頷き返す。
「その時に見つけた『箱』の残骸にも今回の魔石とよく似たものが使われていたね。あとで調べたところ、あれは映像ではなく封印術との組み合わせが使われていたよ」
 クロスは森から持ち帰った魔石の残骸の解析結果を口にした。
「確か解放されるまで6体のカースドウルフがあの中に封印されていたという話だったわね。確かに時間でも止めておかないとあんな凶悪な魔物を封じ続けるなんて難しいでしょうね」
 フィリンも無意識に腕をさすりながらその時のことを思い出す。
 一歩間違えれば死人が出ていたであろう危険な依頼だった。
 そんな皆の様子を見てパーシアが大げさにため息を吐く。
「その森で見た箱といい今回の鳥籠といい、その人ってかなりまずいことに首突っ込んでいるのではなくて?」
「なんだか大きな影が動いているような不気味さを感じるべ」
 ルーシィも眉尻を下げて困った顔になる。
 そんな二人にメメルは壊れた鳥籠をさすりながら鷹揚に頷いた。
「そうだね。ニルバルディと【稲葉一矢】……二人には相当にヤバい連中相手に立ち回ってもらっているねえ。おかげで大助かりさ」
 と、メメルがにやりと酷薄な笑みを浮かべた。
 思わずその場の全員がひくっと体を震わせる程に、その笑みは邪悪なものだった。
「メメた……学園長? 急にどうしたんですか?」
 突然の変貌にもめげず、貴人は胆力をもってメメルに尋ねる。
「いやあ、少し彼らが在学中のことを思い出しただけだよ。またアイツが作るスイーツを横取りしたい。オレサマ・ケーキ・マルカジリ」
「マルカジリ?」
 じゅるりと舌なめずりをしながら覇気を振りまくメメルのそれは肉食獣そのものである。
 並みの魔物ならそれだけで飛んで逃げ出してしまうのではないだろうか?
 横取りなんて言うが、それは完全に魔獣を狙う狩人のそれだった。
 すると鳥籠を観察していたディートハルトが口を開く。
「ところでわざわざ鳥籠の形にする必要性はなんだったのでしょう? 持ち運びにも不便な形状ですし、わざわざ映写機能をつけるなんて……害意は特に感じないのですが」
 パーシアも眉をひそめてその鳥籠を見つめる。
「中を見えるようにしていた……まるで『展示品』のようですわね」
「展示品、ねえ……」
 フィリンの反復した単語に一同は一斉に黙り込んでしまった。
 全員がその言葉に妙に確信めいたものを感じさせられてしまったのである。
 パンパン――。
 そんな重たい空気を吹き飛ばすようにメメルが手を叩いた。
「はいはーい! 事件も解決したんだからそんな難しい顔するのはおしま~い! 何か進展があったらまたみんなに依頼を出すからね。彼らと……そして『彼女』のためにもぜひともチミたちの力を貸してもらうよ、そのときはヨロ☆」

 とある小国の上級貴族の屋敷の地下、コツコツと石の階段を響かせる靴音があった。
 白いひげを蓄えた貴族としての風格を感じさせる老人が、しかし姿勢よくしっかりとした足取りで一歩ずつ階段を下りていく。
 衣装にも多くの装飾が施され、けれども金持ち特有のいやらしさはない。
 センスがあり、政治手腕にも長けた切れ者であることに間違いはないだろう。
 階段を下りた先にはコンサートホールのように広々とした空間が広がっていた。
 そしてその入り口付近には片頬に歯車の意匠が掘られた仮面を着けた細身の男が立っていた。
 黒の燕尾服にシルクハット、手にステッキという出で立ちは、まるでお伽話の登場人物のようである。
「運び込みはすでに終わっております。約束の代金はご用意できていますか?」
「ああ、ここにある。……うむ、確かに注文通りだな。これが報酬だ」
 老人はちらりと荷下ろしされた品を確認すると、仮面の男に報酬の入った皮袋を渡す。
「確かに。それでは私は次の仕事へと向かいますので、これにて」
 それを受け取ると掌に乗せて重さを確認した仮面の男は、恭しく礼をしてから階段を上り、姿を消したのだった。
「……うむ」
 老人はそれを見送ると、振り返り室内を歩き出す。
 地下室の空間には人のサイズよりも大きな鳥籠がずらりと並んでいた。
 そこには見目麗しい女性から、屋敷の執事や使用人、屈強な冒険者から町の子供まで、様々な者たちが微動だにしないままマネキンのように飾られていた。
 そしてこの部屋の一番奥、祭壇の上には一際装飾の凝った鳥籠があり、中には一人の少女が眠っていた。
「【フェルリーフ】よ、今日は新しいお友達を連れてきたよ」
 語りかけたのは彼の孫娘だった。
 まだ十歳といったところだろう、整った顔立ちとドレスから垣間見える白い肌は育ちの良さを思わせる。
「……」
 だが時の止まっている籠の中からは当然返事などない。
 まるで美術展のように鳥籠が並ぶ一室には、伯爵の声だけが響いている。
 それはまるでお人形遊びをする子供のようにも見える光景だった。
「ここから出られなくて辛いだろうがもう少しの辛抱だよ。もう少し……そう、もう少しで全ての生贄が集まるからね」
 その瞳の輝きの奥にはどこか狂気が含まれている。
 地獄へ落ちる覚悟を決めた者特有のギラギラと輝くその瞳は、何かにとりつかているかのようであった。



課題評価
課題経験:65
課題報酬:2000
時の奇術師 ~切り取られた研究室~
執筆:SHUKA GM


《時の奇術師 ~切り取られた研究室~》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 1) 2021-05-29 18:58:49
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。

まずは、風で動くようなものを配置して
「止まっちゃう空間の広がり」を目で見てわかるようにして
わたくしたちの安全を確保する。
それから棒とかを槍投げみたいに投げ入れてみる、
それが中でも跳ねたりしてるようでしたら、
棒でつついてみる……という感じに順番でやっていくのがいいでしょうか。


よろしくお願いします。

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 2) 2021-05-29 22:38:11
王様・貴族コースのパーシア。よろしくお願いします。
そうねえ……どこまで静止空間が広がってるか確認するのは重要よね。

風で動くものとか、いっそ水でも撒いてみるのも手かもしれないわね。
それと、これだけの事象を引き起こしてるんだし、効果の発現と事象の維持には相当な魔力を要しそうにも思えるわ。
もし、魔術を維持するための何かが壊れてるなら……暴走してても、いずれは沈静化するかもしれないけど。

だけど、何らかの別の手段で魔力を補充してたりする可能性もあるし……もし、空間や空間内のモノに魔法で干渉して、空間が広がるペースが早くなるようなら、空間内に対して魔法で干渉するのは控えた方がいいかも。

《新入生》 ルーシィ・ラスニール (No 3) 2021-05-29 23:04:19
おらぁ、賢者・導師コースのルーシィいうだ。よろしく頼むだよ。
確かに、静止空間の範囲さ確認するんは最優先だべな。

気づかんで、おら達まで巻き込まれたら大変だべ。
まずは、校長先生さ鳥籠のこと聞きに行って、どんなかたちで、知ってる範囲でどんなモンじゃったか聞いてみようと思うとるでよ。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 4) 2021-05-30 04:24:23
賢者・導師コースのクロス・アガツマだ、よろしく頼む。
ふむ……内容を読んだところだと、肩を揺することができたようだから、外から中のものを動かすことはできるようだね。
もしも調査の過程で誰かが停止するようなことがあれば、外からロープなどで引っ張り上げることもできるだろう。
もっとも、この空間の外でも停止したままなのかは調査しなければ分からないことだ。危険でもある。

俺は解析を急いで、壊れた魔法石の代わりをなにか用意できないか調べてみよう。仮に際限なく広がるのだとしたら大事だ。
他には、この空間の広がる速度を計測してみるよ。行動の猶予も分かるし、解析にも役立つ情報が得られるかもしれない。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 5) 2021-05-30 12:40:27
勇者・英雄コースのフィリンよ。よろしく。

これは予想外の事態になったわね…。

外からなら働きかけられるのは確かとして…
学者先生の話だと私たちが物を見るのは光の反射を見ているそうだから、ある程度動き続けてれば静止しない?
それとも実体のない光だけ?

過去に似たような事例とかないか、図書館の書物を当たってみるのも手かしら?

《静止時空の探求者》 ディートハルト・イェーガー (No 6) 2021-05-30 20:36:49
賢者・導師コースのディートハルトと申します。よろしくお願い致します。

魔術アイテムの付与魔術の暴走ですか…大変なことになってますね
とりあえず、空間の拡張と境界は魔力感知で把握できると思いますが…学園長がこうなる前のアイテムの時の調査結果の確認がしたいですね
問題は学園長に聞かなくてはいけないのか、紙面などにもうまとめられてるのかどうか、ですが。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 7) 2021-05-31 20:58:24
ロープでひっぱりだしてもらえるようにするのはとってもいいとおもいます。
いろいろしらべてからですけど、それでとまっちゃう場所のなかへといって、
とまっちゃってるひとをたすけてあげられたらっておもいます。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 8) 2021-06-02 07:05:01
魔王・覇王コースの仁和だ。
よろしく。

ロープか・・・鉤爪付ロープで引掛けて救助できないものか・・・
それはそれとして静止空間の広がる範囲の形状が気になるな。
上空に干渉してなければ空からの救助も出来るかと・・・
まぁ、中心固定の半球状か球状だとは思うが・・・


《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 9) 2021-06-02 12:34:15
わたくしは 魔法による「状態異常」を受けなくなる っていう服をきてますから、はいるときはわたくしがいきたいです。
もちろん最後の手段ですけど。