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ストーン・ゴーレム・シャーク!


ストーリー Story

 まもなく海開きのシーズン。
 フトゥールム・スクエア南西の都市、アルチェのサビア・ビーチは一番のかき入れ時とあって、立ち並ぶ海の家や監視設備がその準備に追われていた。
 そんな中、不穏な知らせが伝わる。
 沖合で巨大なサメの影を見たと、複数の漁船から報告があったのだ。
 海辺の安全が確保できなければ海水浴場の一般開放などできるはずもない。漁師たちにとっても、ほかの魚を遠ざけ漁場を荒らすサメの存在は邪魔以外の何物でも無い。
 何にせよ、サメの放置はアルチェの経済への打撃を意味するにほかならなかった。
 直ちに漁船団によるサメ撃退作戦が開始された。目的はシンプル。件のサメを仕留めることだ。
「今度のは相当な大きさって話だったな」
「船よりデカいなんて話もあったが確かかねぇ。新米がビビって見間違えたんじゃねぇか?」
「ま、本当だとしてもデカすぎるやつは大味で身も美味くないし、背ビレだけ切り取って持ち帰りゃいい。仕留めたって証拠があれば済むことだしな」
 漁師たちにとってサメの対応は珍しいというほどのことではない。笑みを浮かべながら獲物を探す彼らに油断が無かったとは言えまい。だが、この先に遭遇する脅威はそんな落ち度など些細に思えるほどに、想像を絶するものだったのだ……。

 一行がサメらしき影を見つけるのに、さほど時間はかからなかった。
「あれか。……妙に色が明るく見えるな」
 言葉通りその影はやや白っぽい。ほとんどの魚は海の色に紛れるように背が青く、それゆえに影は黒く見えるはずなのだが。そしてそれは相当に浅い深度を悠々と泳いでいた。ある種、異様な影と警戒心のかけらも見えない不自然な行動に、漁師たちは逆に一抹の不安を覚えた。
 とはいえ、やることは決まっている。
 大型の漁船5隻が備える、発射式の大型の銛。それを撃ち込み、弱ったところを近づいてとどめを刺す。彼らが長年とってきた手法を実行するだけだ。タイミングを合わせるために、手旗信号で各船が急ぎ連絡を取り合う。照準合わせ。準備に抜かりなし。
 3、2、1……。
「行けっ!」
 一斉に発射される銛!
 ……だが、次に漁師たちの目に映ったのは信じがたい光景だった。
 銛はことごとく、サメの表皮に『弾かれた』のだ。
 呆然とする彼らはしかし、すぐに次の行動に移らなければならなかった。漁船にまるで無関心に見えたサメが、一転猛烈なスピードで向かってきたのだ。慌てて帆の向きを変えようとするが間に合うのか。その間にもサメは深度を上げながらぐんぐんと迫り来る、そしてその背ビレが海面に姿を現す。
「なんだぁ、ありゃ?!」
 それは自分たちが知るサメのものとは全く異なる、茶色くごつごつとした突起に覆われた物体。
 近づくほどに、どの船よりも大きいと思える影。果たしてこれは生き物なのかという疑問が漁師たちに浮かんだ直後、サメは船の横で飛び上がり宙を舞った。サメがジャンプするなんぞ見たことも聞いたこともない。
「飛ぶ?! サメ?!」
 混乱する彼らの目に入ったそれの全貌は、茶色い岩石で全身が覆われたサメのような何かだった。歯、それどころかアゴすら無いひとかたまりの頭。そこに添えられた点のような黒い石の目が、ぎょろりとこちらをにらんだような気がした。
 刹那、サメの鼻が船腹に深々と突き刺さる。鼻先はサメの急所のはず、それを無造作に攻撃に使うなどあり得ない。
 もはやサメではない、サメであるはずがないと思えた岩の塊は、今度はキリをもむように体をすさまじい勢いで回転させた。木造の漁船は横腹を木っ端微塵に打ち砕かれ、漁師たちは勢いで海へ投げ出された。残された船首と船尾が浸水し沈んでいく。
 サメは目標を次々と別の船へ定め襲いかかっていく。ある船はやはり船体を砕かれ、ある船は尾の一撃で横倒しになり、漁船団はただただ蹂躙されるのみだった。漁師たちは置かれた状況に慄然とする。
(喰われる……?)
 だが全ての船を沈めたサメが次に定めた目標は意外なものだった。
 サメは海岸、サビア・ビーチに向かって猛然と泳ぎ始めたのだ。
 あっという間にビーチに迫ったサメはまたもや空中に体を躍らせ、着地。上陸すると、トカゲかヘビかのように岩の体をくねらせゴリゴリと擦れるような音を立てながら、陸の獣のような速さで海の家の一つに突進して行くではないか。
 あまりにも想像の範疇を超えたサメの脅威と行動とに、ビーチの人々は蜘蛛の子を散らすように逃げることしかできない。サメは無人の海の家に突っ込み、跳ね回り、回転し、みるみるうちに一軒の小屋をがれきの山へと変えてしまった。
 漁船団をそうしたように、このままサビア・ビーチ全ても破壊し尽くしていくのか。
 その場に居合わせた誰もが絶望する中……しかしサメは突然、海へときびすを返した。
 サメはあっけにとられる人々を尻目に、上陸したときと同じく猛スピードで海へ戻ると、背ビレが見えるほどの浅い深度を何事もなかったかのように……ゆっくりと沖合へ進む。
 やがてその姿、その影は海岸から見えなくなった。

 不幸中の幸いか、漁師を中心に多数のけが人が出たものの、犠牲者はいなかった。しかし人的な被害のみならず、大型漁船5隻と小屋1軒という物的な被害も深刻だった。
 そしてサメの脅威は依然海に潜む。ビーチの監視施設から遠方の大きな影が度々確認されているのだ。
 いや。もう誰も、それをサメとは思っていなかった。

——岩の塊が動くなんて。何であんなものが水に浮かんでいられるんだ?
——そんなことはどうでもいい。あんなのが居座ってたら商売どころか魚も食えなくなるぞ。
——人は襲わなかったけど、たまたま襲われなかっただけかもしれない。
——そうだ、次に現れたときにどうなるかなんてわかりゃしねぇ。
——一体何なんだよ、あのサメは! いや、岩か? 岩の魔物か?
——ゴーレムなんじゃないか? 営業妨害でデカいものだけ壊しにきたとか……。
——いや、サメ型のゴーレムなんて聞いたことないぞ?!

 ……いつしかそのサメはこう呼ばれた。
 『ストーン・ゴーレム・シャーク』と。
 それは大自然が産んだ神秘なのか。(大自然なのにゴーレム?)
 岩のサメが船を砕き、ビーチを蹂躙し、人を襲う!(まだ襲われていません)
 立ち向かうのは、知恵と勇気か、無知と無謀か。
 頭脳か! 筋肉か!
 生徒たちはコイツに勝てるのか!

 ストーン・ゴーレム・シャーク……シャクに触るヤツだぜ……。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2021-07-04

難易度 難しい 報酬 通常 完成予定 2021-07-14

登場人物 6/6 Characters
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《ココの大好きな人》アンリ・ミラーヴ
 ルネサンス Lv18 / 教祖・聖職 Rank 1
純種が馬のルネサンス。馬の耳と尻尾を持つ。 身長175cm。体重56kg。 16歳。 性格は温厚。 あまり表情を変えず寡黙。 喋る際は、言葉に短く間を置きながら発していく。 少しのんびりした性格と、言葉を選びながら喋るため。 思考や文章は比較的普通に言葉を紡ぐ。 表現が下手なだけで、年相応に感情は豊か。 好奇心も強く、珍しいものを見つけては、つぶらな瞳を輝かせながら眺めている。 群れで暮らす馬の遺伝により、少し寂しがり屋な面もある。 やや天然で、草原出身の世間知らずも合わさって時折、突拍子の無い発言をする。 好きな食べ物はニンジン。 食べていると美味しそうに目を細めて表情を和らげる。 趣味はランニング。運動自体を好む。 武術だけは、傷付ける行為を好まないため苦手。 入学の目的は、生者を癒し死者を慰める力を身に着ける事。
《イマジネイター》ナノハ・T・アルエクス
 エリアル Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
フェアリータイプのエリアル。 その中でも非常に小柄、本人は可愛いから気に入っている。 明るく元気で優しい性格。天真爛漫で裏表がない。 精神年齢的には外見年齢に近い。 気取らず自然体で誰とでも仲良く接する。 一方で、正義感が強くて勇猛果敢なヒーロー気質。 考えるよりも動いて撃ってブン殴る方が得意。 どんな魔物が相手でもどんな困難があろうと凛として挑む。 戦闘スタイルは、高い機動性を生かして立ち回り、弓や魔法で敵を撃ち抜き、時には近接して攻め立てる。 あまり魔法使いらしくない。自分でもそう思っている。 正直、武神・無双コースに行くかで迷った程。 筋トレやパルクールなどのトレーニングを日課にしている。 実は幼い頃は運動音痴で必要に駆られて始めたことだったが、 いつの間にか半分趣味のような形になっていったらしい。 大食漢でガッツリ食べる。フードファイター並みに食べる。 小さな体のどこに消えていくのかは摩訶不思議。 地元ではブラックホールの異名(と食べ放題出禁)を貰うほど。 肉も野菜も好きだが、やっぱり炭水化物が好き。菓子も好き。 目一杯動いた分は目一杯食べて、目一杯食べた分は目一杯動く。 趣味は魔道具弄りで、ギミック満載の機械的な物が好き。 最近繋がった異世界の技術やデザインには興味津々で、 ヒーローチックなものや未来的でSFチックな物が気に入り、 アニメやロボットいうものにも心魅かれている。 (ついでにメカフェチという性癖も拗らせた模様)
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《2期生》シルワ・カルブクルス
 ドラゴニア Lv15 / 村人・従者 Rank 1
細い三つ編みツインテールとルビーのような紅い目が特徴のドラゴニア 元々彼女が住む村には、大人や数人ぐらいの小さい子供たちしかおらず同い年程度の友達がいないことを心配した両親にこの学校を薦められて今に至る 一見クールに見えるが実際は温厚な性格であり、目的である世界の平和を守ることはいわば結果論、彼女の真の目的は至って単純でただの村人として平穏に暮らしたいようである しかし自分に害をなすとなれば話は別で、ドラゴニアらしく勇猛果敢に戦う 一期生にはたとえ年下だとしても「先輩」呼びをするそうだ 「私はただの村人、できる限りのことをしただけです」 「だれであろうと私の平穏を乱す者はすべて叩き伏せます」 ※口調詳細(親しくなったひとに対して) 年下:~くん、~ちゃん 同い年あるいは年上:~さん ※戦闘スタイル 盾で受け流すか止めるかでダメージを軽減しつつ、斧で反撃するという、いわゆる「肉を切らせて骨を断つ」戦法を得意とする
《1期生》アケルナー・エリダヌス
 ローレライ Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
目元を仮面で隠したローレライの旅人。 自分のことはあまり喋りたがらない。適当にはぐらかす。 ふとした仕草や立ち居振舞いをみる限りでは、貴族の礼儀作法を叩き込まれてるようにもみえる。 ショートヘアーで普段は男物の服を纏い、戦いでは槍や剣を用いることが多い。 他人の前では、基本的に仮面を外すことはなかったが、魔王との戦いのあとは、仮面が壊れてしまったせいか、仮面を被ることはほとんどなくなったとか。 身長は160cm後半で、細身ながらも驚異のF。 さすがに男装はきつくなってきたと、思ったり思わなかったり。 まれに女装して、別人になりすましているかも? ◆口調補足 先輩、教職員には○○先輩、○○先生と敬称付け。 同級生には○○君。 女装時は「~です。~ですね。」と女性的な口調に戻る。

解説 Explan

岩のサメ……いや、魔物?
それともサメ型のゴーレムなんでしょうか?
聞いたことがありませんね。
ともかく、現地で『ストーン・ゴーレム・シャーク』と呼ばれている怪物の討伐が今回の課題です。

怪物を倒すことで課題達成となります。シンプルですね。

怪物の戦術は確認されているところ物理攻撃のみですが、巨大な体躯もあってかなり強力です。
海をテリトリーとしていますが、陸上でも戦闘力自体に大差は無さそうですね。
短時間で海に戻っていったという情報が気になるところでしょうか。

海の怪物に対して、どのようにして自分たちに有利な条件を作り出すのか。
皆さんの創意工夫が試されるところですね。

課題達成の条件に直接含まれてはいませんが、余裕があればサビア・ビーチでの被害の復旧を手伝うのも良いでしょう。
あくまでも余裕があれば、ですよ。

●ストーン・ゴーレム・シャーク(格4)
・全長10mほどのサメ型の怪物。正体は不明です
・全身を岩で包んでいる、もしくは岩そのもので構成されていると推察されます
・ふだんは海中、海上で行動しています
・攻撃力、防御力、俊敏性、いずれも侮れません
・攻撃は物理攻撃のみですが、巨大な体躯のため暴れ回るだけでも脅威となり死角がありません。


作者コメント Comment
サメ映画です。
はい。

サメ映画なのにサメが予算の都合を考えず大暴れしちゃってます。
はい。

別ジャンルの予定でしたが、映画の劇中では登場人物は端からどう見えようが必死に戦っているわけで、そりゃこうなりますよねと。
はい。

と、ともあれ。
王道もよし、サメ映画らしいのもよし、いろんなアイディアを楽しみにお待ちしておりまーす!


個人成績表 Report
クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:108 = 90全体 + 18個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
陸へとサメを誘い込んで倒す
そのために浜辺の、海からはなるべく距離を置いた場所に陣地作成を活用し、ダミーの海の家を設営する
以前上陸した時と同じ状況を作り出し、この砂浜にサメを、文字通り釣ってやろう

俺は動作察知も使い海を監視。サメの魚影が見えたら仲間に合図し近くの人々に避難を呼びかける
その後は俺も不思議なほら貝でサメの気を引き誘導

戦闘では、魔導書で全体を強化しつつ、ヒドガトルを中心に水分を奪うように攻撃
また、シーソルブで気力も奪う
敵の攻撃は物体透過で回避。仲間が攻撃される時は高貴たる行いで防御支援

サメが逃げようとしたらアン・デ・フィアで動きを止め仲間と陸に引き止める
乾いた身体へとダートガを叩き込む

アンリ・ミラーヴ 個人成績:

獲得経験:108 = 90全体 + 18個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
皆が海で楽しめるよう、サメのゴーレムを退治する。
事前に浜辺の関係者や本物の海の家を営む人達へ計画を説明。
海ではゴーレムとの戦闘が至難だから浜辺へ誘い出す。
砂浜の奥まったところへ偽の海の家を作って囮にする。
既に立っている海の家へ被害が及ばないよう離れたところへ作る。
でも出来れば一旦、海の家を片付けてもらいたい。
それと足の速い人達に、偽の家で客を演じて欲しいとお願いする。
偽の家は俺とクロスさんで作る。
ゴーレムが向かってきたら、客役の人達へ声をかけて逃げてもらう。
ゴーレムを迎え撃ち、【聖鎖陣】をかけられる隙を伺う。
隙が見つかるまで【花残の斧・改】で攻撃。
海へ逃がさないようゴーレムと海の間に回り込む。

ナノハ・T・アルエクス 個人成績:

獲得経験:108 = 90全体 + 18個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
鮫退治

■行動
まずは陸地に誘導するよ。
魔術師の箒で空を飛び海上に出て、マドガトルで鮫を攻撃。
とにかく注意を引き付けるんだ。

こっちに反応したら、
適度にマドガトルで牽制しつつ、陸地の方に逃げて皆のところまで誘導するよ。
速度で負けそうなら小回りで勝負。ブースターで駆使して素早く回避だ。

陸地に辿り着いたら、着地して一息入れつつバレットリロードで魔力を回復。
その後は皆と一緒に反撃に転じるよ。
銃を構え、集中で狙いを定め、自然友愛で精霊を呼んで魔力を高める。
そして狙い定まったら、必殺のタイタニアブレイカーを放つ。
貫け奔流!これが僕の全力全開!タイタニアブレイカァァァァーーーーーーッ!!!

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:108 = 90全体 + 18個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
たたかいの準備として「魔法薬生成キット:B」を
調合しておきますね。


たたかいではたかめたがんじょうで敵のうごきをはばみます。

海と敵の間にいて、敵が海にもどれないようにします。

攻撃は「シールドスロー」と「投擲技術Ⅰ」の組み合わせで
きりょくが尽きてしまったら斧で通常攻撃します。

わたくし自身のけがは「魔法薬生成キット:B」をつかってなおします。
なかまのほかのひとのけがは「言の葉の詩:ラブ・キャロル」で
なおしてあげますね。

たたかいがおわったあとはおそわれてたアルチェのひとびとに
「言の葉の詩:ラブ・キャロル」をつかってけがをなおしてあげますね。

シルワ・カルブクルス 個人成績:

獲得経験:108 = 90全体 + 18個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ほかの生徒が誘導用に建てた偽の海の家でサメの襲来を『危険察知Ⅰ』を駆使して海の方を警戒しながら『料理』する
襲来時には、関係者を避難誘導してから自らも前にでる
サメを『挑発』することによって、できるだけ関係者との距離が遠くにかつ仲間がいる方へ誘導して、攻撃によるダメージを『衝撃享受』や『忍耐』、『部分硬質化』で軽減しつつ『攻防一体』によるカウンターを行う
まだ、『灼けつく息吹』による【灼熱】のBSを付与することによって、固くても徐々に体力を削るようにする

アケルナー・エリダヌス 個人成績:

獲得経験:108 = 90全体 + 18個別
獲得報酬:2400 = 2000全体 + 400個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
サビア・ビーチに現れたストーン・ゴーレム・シャーク(鮫)の撃破

◆流れ
仲間がダミーの海の家を手配するので、鮫をそこに誘い込み、少しでもこちらが優位に立てる場所で鮫を迎撃

湾最奥の遠浅の砂浜等、なるべくこちらが優位に戦える場所を選びたい

◆迎撃
鮫が来るまでは、周囲の木陰や海の家の陰等に隠れ待ち伏せ

敵が現れたら、海の家に向かう鮫の前に立ち、逃げる一般人や仲間を庇いつつ応戦
基本は防護魔力で守りを固め、一般人や後衛が攻撃されそうなら我が身を盾にで庇う

鮫の大技で複数の者が大打撃を受けそうなら、高貴たる行いで全体の損害軽減を図る

海に逃げようとするなら、退路側に回り込んだり、部位破壊で鰭を破壊し機動力を削ぐ

リザルト Result

「美味しい料理、いかがですか〜。焼きとうもろこしに焼きニンジン、いかがですか〜」
 サビア・ビーチの片隅に売り子の声が響き渡る。海の家の前で体の前に立ち売り箱を抱え歩く【アンリ・ミラーヴ】だが、周囲に客の姿は見当たらない。いや、ビーチのどこを見渡しても人気はまるで無い。
 件の岩のサメ『ストーン・ゴーレム・シャーク』が現れてからというもの、観光客ばかりかビーチで商売をするものでさえ、一帯に寄り付かなくなっていたのだ。
「うーん、どうにも寂しいなあ」
 生徒たちは、サメを誘き寄せるためにビーチの関係者に海の家の周囲で客のふりをしてもらうよう各自粘り強く説得したのだが、結局断られてしまっていた。例外は、監視用のやぐらにいる沖合の見張り要員くらいか。
「あのサメを誘き寄せるために、まずは料理を作っておかなきゃと思ったのですけれど」
 海の家でカレーを仕込みつつ海を警戒している【シルワ・カルブクルス】がひとりごちる。
 鉄板とたこ焼き器のそばには焼きそばやお好み焼きの具材が並べられているが、調理をしている者はいない。こちらも関係者に手伝ってもらうつもりが空ぶっていた。
「市民のみなさんの恐怖感を、過小評価していたみたいですね」
「とはいえ、この海の家を囮にして陸上へサメを誘き出すという計画自体は正しいはずだ」
 沖の監視に専念している【クロス・アガツマ】。そこへ海の家の前に戻ってきたアンリが声を掛ける。
「うん。海でサメのゴーレムと戦うのは無茶だと思う」
 生徒たちの構える海の家……のように見える建物は、現地に到着してから、アンリの設計を元に彼とクロスが中心になって突貫工事でこしらえた偽物。実態はハリボテ同然だが、かなり近づかなければそうとはわからない出来栄えだ。
「それにしたって、少しばかり派手過ぎじゃないかな?」
 クロスとともに建築場所の選定にあたった【アケルナー・エリダヌス】は、今のところ手持ちぶさたな身体を建物の柱にあずけながら尋ねる。やれることがないときは体力を温存しておくのも重要というものだ。
 他の建物に被害が及ばないようアケルナーとクロスが考慮し、海の家はビーチの賑やかな一帯から離れた、奥まった場所にぽつんと建てられた。シーズンごとに設置するタイプの海の家はアンリの声掛けもあって一旦片付けられているが、しっかり建てられているものはそうもいかない。
 アケルナーが視線を向けた先、海岸からは、青、赤、黄と原色で塗られた立て看板が海の家の前まで、ずらーっと立ち並んでいる。景観を損ねるという理由で本来規制されそうだが、事後に片付けるという約束で了承された。
 海岸からの距離がかなり遠い場所へサメを誘導するために用意した複数の手段、そのうちのひとつだ。
「サメにここまで来てもらうには、これくらいがいいと思ったんだけど」
 立て看板の発案者、アンリがアケルナーに回答する。とはいえ、アケルナーも看板作戦自体に疑問を持っているわけではない。
「まあ、海岸からは少し見えにくい場所に建てたからね。ここを目立たせる方法は多いに越したことはないよ」
 そう会話するふたりの近くのテーブルでは【レーネ・ブリーズ】が、調合した魔法薬のチェックを行っていた。無論、この先起こるサメとの戦闘に備えてのものだ。
「全部で4回ぶん。これだけあればかなり持ちこたえられますね」
 ともあれ生徒たちは作戦に向け、それぞれでき得る限りの備えを終えていた。
 作戦を簡単にまとめてしまえば、こうだ。
 サメを陸上まで誘いこみ、叩く。
 船や家をたやすく破壊する力を持ち、岩でその身を固めるサメを、やすやすと倒せるとは誰も考えていない。それに海に逃げられれば全てが徒労に終わってしまう。だが、逃亡を阻止するための算段は立ててある。
 あとは……。

 沖合のサメの影を複数の人間が目撃するまで、それからさほど時間は経たなかった。

「待ちに待ってた僕の出番! 頑張るぞ〜♪」
 魔術師の箒で【ナノハ・T・アルエクス】がサメの目撃現場へ急行する。サメを陸地へ誘導する役目を担った彼女は体をうずうずさせつつ待機していたのだ。
「岩っぽいサメ? サメっぽい岩? おっと! アレかな?」
 海面から見える、悠々と泳ぐ巨大な影。例のサメに違いない。
 ナノハは詠唱を終えるとすかさずマドガドルをサメに向かって乱射した。複数の魔力の玉が海面を貫き、派手に水しぶきを上げる。とにもかくにもサメを陸地に誘導しなければならない。箒はそう長くは飛べない。
 だが水しぶきの向こう、サメの影が海中へ潜ったように見えた。まさか、逃げた?
「……違う!」
 緊急回避! ナノハはとっさに箒を立てグロリアスブースターを起動、その場から飛び退く。
 直後、影は勢いよく大きさを増し、海上へと跳ね上がった。箒の飛ぶ高度をゆうに超える巨体と跳躍。その姿は聞いたとおり、全身が岩に覆われていた。間違いない。ストーン・ゴーレム・シャーク!
 サメの離水と着水で巻き上がったおびただしい量の水しぶきを全身に浴びつつも、ナノハは回避の勢いを利用して方向転換、仲間の待つ海岸へ箒で飛ぶ。振り返ったその目に、迫る岩の背びれが見えた。速い!
 明らかに箒を超える速度のサメの影を、都度ブースターを使いながら何とか引き離す。全く余裕は無いが、幸いと言っていいのか、サメは積極的に攻撃を仕掛けてこない。
 ブースター多用の消耗で急激に疲労するナノハの耳に、海岸から聞こえる低音のくぐもった響きが届いた。

 海岸。
 関係者の避難は既に完了している。
 人気の無いビーチの波打ち際で、クロスは力いっぱいに不思議なほら貝を吹き鳴らしていた。音によるサメの誘導を意図してのことだったが、それは結果的に、囮となったナノハへの鼓舞にもなっていた。
 が。ほら貝の音が届く範囲に対して、サメの速度はあまりにも速すぎた。
「まずい?!」
 既にサメは浅瀬に乗り上げなおも近づいて来ており、背びれどころか背中の岩肌までが見えている。
 そのとき、波打ち際でブースターをもう一度起動させたナノハが、ビーチに不時着同然の勢いで砂にまみれながら転がり込んできた。
 とっさにクロスはフェアリータイプの小さな身体と箒とを拾い上げ、海の家に向かって一目散に退却した。
――そして逃げる途中で思い出した。自分が抱えているエリアルが子供に見えても女性であることに。常時であれば慌てふためき霊体でなければ鼻血を噴き出していたところだが、今はそんな状況ではない。
(頭を抱えるのは後でいい!)
 直後、サメは海岸に上陸しその茶色がかった岩の巨躯全てをあらわにした。
 そしてアンリの意図した通り、サメは立て看板に誘導されるように海の家へと、全身をくねらせゴリゴリという音を立てながら向かってくる。
 カラフルな板に書かれた『おいしい!』『食べなきゃ損!』『焼きサメ!』の文字をなぎ倒し砕きながら侵攻を続けるサメ、しかし看板の柱を折るためにその勢いはやや弱まったように見えた。
 やがて最後の看板がへし折られ、海の家の前、やや開けた地点までサメが迫ったとき。
 生徒たちは家の陰から一斉に飛び出し、サメに向かった! クロスとアンリの陣地作成の知識で、サメと戦うための場所をあらかじめ確保していたのだ。
 その場に何とか間に合い、疲労困憊のナノハと箒を砂浜に降ろしたクロスが、代わって取り出した魔導書の力で生徒全員の身体能力を強化する。
 迎撃の準備は整った。

「せっかく建てた海の家、君に壊されたくはないね!」
「あなたのことは気になりますが、市民に被害が出る前に!」
 アケルナーは防護魔力で、シルワは硬質化した竜の皮膚でそれぞれ更に護りを固めた。
 そしてサメの侵攻を食い止めるべく盾を構え、その前面に立ちはだかる。
 激突!
 だが。
(止まらない?!)
(このままでは、押し切られます……!)
 10メートルはあろうかという岩のサメの質量と勢いは、看板に阻まれて弱まっていても、そして二人がかりでも、ぬいぐるみ……うん、アケルナーの持ってるぬいぐるみ。と、シルワの技能で衝撃を緩和できこそしたが、阻めるものではなかった。砂地にめり込んだ足がずるずると押し込まれていく。
 そのとき、彼女たちの耳に甲高い、金属がぶつかり合うような音が届いた。
 アンリとレーネだ。二人はサメを海に逃亡させぬよう後方に回り込み、ちょうど海岸との間から攻撃を仕掛けていた。
「硬い! こいつ、ただの岩じゃないのか?!」
 花びらを舞い散らせながら花残の斧・改を振るうアンリの手に、まるで金属の塊を殴りつけたかのような強烈な痺れが走る。
「ほんとうにゴーレムだとすると、なにかしら強化されているのかもしれません」
 サメに投げつけ、戻ってきた盾を再び構えるレーネ。先ほどの攻撃で岩肌の一部が欠けたが、十分効いているようには感じられない。
 後方からの攻撃を無視し、なおも進もうとするサメの横腹に、無数の小さな火球が命中し爆ぜる。やや離れた位置に構えるクロスが放ったヒドガドルだ。
「岩の肉体ながら水の中は平気、ならその逆はどうかと思ったが……!」
 こちらも思ったような手応えは感じられず、むしろ効果が薄いように思えた。サメの水分を奪うことができれば、何らかの影響を与えることができるのではないかと考えたのだが。
「火に対する抵抗力か?」
 手をこまねいている生徒たちの前で、サメの動きが止まった。不気味に思えるほどに、ぴたりと。
 その点のような黒い目に……光が灯る。
 シルワが、直感で危険を察知した。
「みなさん、構え直してください!」
 その声で生徒たちが反射的に身構えた直後、サメの巨大な尾が大きく左右に薙ぎ払われ、後方に構えるアンリとレーネを襲った。
 レーネは盾で衝撃を受け流し、弾き飛ばされつつも何とか踏みとどまる。しかし他方、アンリは直撃を受け吹き飛ばされてしまった。砂浜に身体が打ち付けられる。
「ミラーヴさん!」
 サメの更なる攻撃に警戒しつつわずかに視線を送るレーネに、アンリは上体を起こして無事を伝える。
「当たりどころが良かったみたい……けど、こいつの攻撃は危険すぎる」
「言の葉の詩を」
 苦しげな声のアンリを回復しようとするレーネだが、彼は片手を上げて制する。
「治してもらっても、また一撃もらったら同じになる。レーネさんはサメに集中して」
「……わかりました。ミラーヴさんは下がって、『あれ』の準備をおねがいします」
 レーネはサメに向き直った。
 もしアンリが致命的な一撃を受け気絶してしまったら、この後の作戦に大きな影響が出ることは間違いない。彼女は防具で十分に身を固め、更に魔法薬での回復の用意をしている。レーネは一人で後方を抑える決意を固めた。

 二人が会話を交わす間にサメの攻撃が来なかったのには理由があった。
 前方に陣取るシルワが灼けつく息吹をサメの赤く光る目に吹き付け挑発し、その注意を引いていたのだ。
「少しでも手傷を負わせられれば!」
 サメはシルワに目掛け、鼻先が鋭利に尖った口の無い頭を振り回す。
 シルワはそれを盾で器用に受け流し、隙を見つけて片手斧の刃を岩肌に叩きつける。『攻防一体』、肉を切らせて骨を断つ彼女の必殺技だ。しかし、思ったように攻撃が通らない。
 焦る彼女を、突如轟音と猛烈な砂煙が襲った。一瞬にして視界が奪われ、辺りが暗くなる。
 いや。この暗さは砂煙だけのものではない。
「……上?!」
 目をかばいつつ反射的に顔を上げたシルワの目に映ったものは、上空で太陽を背にし敵を突き刺さんとするサメの姿だった。尾を地面に叩きつけ、砂を巻き上げ飛び上がったのだ。
 虚を突かれた彼女を、とっさに飛び込んできた人影が押しやった。
 我が身を盾にし、落下するサメの巨大な質量の衝撃を受けつつも何とかそれを受け流し、耐え切った人物の声は。
「お嬢さん、君のことは私がお守りしましょう……なんてね。ひとりで頑張りすぎだよ」
 サメの落下で再び舞った砂埃を浴びつつも笑みを浮かべてみせるアケルナーのものだった。
「こいつはまともに戦って倒せる相手じゃなさそうだね。機会が来るまで持ちこたえよう」
 アケルナーに砂煙の中から再びサメの鼻先が襲い来る。大楯で防御に専念する彼女は、身体を揺らされながらも攻撃を再び受け流す。視界の利かぬ中それをこなして見せるアケルナーにシルワは素直に感嘆した。
「助かります。でもよくこんな砂の中で」
「ただの偶然だよ」
 なるほど確かに偶然もあったものだ。アケルナーの顔を隠す仮面。それが砂埃の影響を軽減していたようだ。とはいえ、その守りの腕が確かなことに間違いはない。
「私がサメを引きつけます、アケルナーさんは一緒に守りを!」
「もちろん、そのつもりだよ!」

 クロスはやや離れ、魔導書で生徒たちを都度強化することに専念していた。魔導書の効力はごく短時間に限られるが、それが味方の防御に大きく影響していることは確かだった。シーソルブでサメに変調をきたすことも考えていたが、ここまで強力な相手だと逆に自らが悪影響を受けかねない。他の生徒が奮闘する中、直接行動ができないのは歯がゆかった。
「だが、まだこちらの力を使い切るわけにはいかない……」
 我慢のしどころ。彼は自分をコントロールすることには慣れている。
 その近くに、銃を下向きに構えつつ状況を見守る小さな姿があった。
 バレットリロードで自ら回復したナノハだ。しかし、彼女の場合は……。
(僕の見せ場はまだ先。それまで我慢我慢)
 だいぶ心境が異なるようだった。

 猛攻が続き生徒たちに疲労の色が見え始めたとき、突如転機は訪れた。
 サメは急に攻撃を止め、いや、力を溜める。それが危険の前兆であることは、誰の目にも明らかだった。
 アケルナーはとっさに高貴たる行いで全員に庇護を与えようとしたが、サメの巨体のためにそばにいるシルワにしか魔力が届かない。距離を取っていたクロスも魔力を送れない。
 そしてサメは身体をS字にひねると……まるでコマのように巨体を回転させた! それは前後左右全方位への強烈な攻撃!
「!」
 レーネはとっさに飛び退き、シルワとアケルナーは盾で受け止めるが大きく後方へ押し出される。結果、サメの周囲が開けてしまった。
 サメは器用に頭を海岸側に向けて止まると、前進を始めた。前回の襲撃時と同じく、海中に逃亡を図るつもりだ。
 だが、生徒たちにサメを逃すつもりは毛頭なかった。
 海岸側に陣取っていたレーネが盾で受け止めサメの行手を阻む。
「あなたを帰すわけにはいきません」
 無論、彼女一人の力ではサメの巨体は止められない。だが時間稼ぎには十分だった。
「待ってた!」
「この時を、ずっとな!」
 様子を窺っていたアンリとクロスとが即座に近づき、聖鎖陣とアン・デ・フィアとを発動させた。ひとつの魔法陣から浮かび上がった聖なる文字が鎖のように、もうひとつの魔法陣からは呪詛が腐敗した腕の形となり、それぞれがサメへと絡みつく。
 サメは二重の縛鎖に動きを封じられつつもなお海へ向かうべく前進しようとする。そこへ回り込んできたのは痛めつけられながらも気力を振り絞るシルワとアケルナーだった。
「逃すわけにはいきません」
「この機会と、君とをね!」
 生徒たち3人が文字通りの盾となりがっしりとサメの動きを止めた、またとないチャンス。それに向けて銃口を定めるのは。
 自然友愛で精霊を携え、集中するナノハだった。彼女の必殺技ならば、一撃でサメを仕留められるはず。それが彼らの奥の手だった。
「行くよ……! 貫け奔流! これが僕の全力全開! タイタニアブレイカァァァァ――――――ッ!!!」
 彼女の叫びを合図に生徒全員がその場から急ぎ離れ、地面に伏せる。
 直後。
 放たれた魔力の凄まじい奔流が砂地を灼き、サメを飲み込み、そして――。
 そして。
「嘘……まだ、動くの……?!」
 魔力の光が晴れて見えたサメの姿は、辛うじてだが原型をとどめていた。
 生徒たちが唖然とする中、鈍い動きでもがくサメ。
 しかし。
 ふっと、その目から光が消え、次に全身から色が消え。
 ストーン・ゴーレム・シャーク……いや、灰色となった岩の塊は、音を立てて崩れ落ちた。

「やっぱり、陸にいられる時間に制限があったのでしょうか」
 サメの残骸の調査を終えたレーネが海の家に戻ってきた。
 戦いを終えた生徒たちは、アケルナーの呼び寄せた雨の恵みに身を任せ傷を癒している。現地の復旧の手伝いを考えていた者も多かったが、相当な苦戦を強いられた彼らには、流石にその余裕は無かった。
「短時間で海に戻ろうとしていたからな。まさか自壊するとは思わなかったが」
 何かと知識に長けるクロスが答える。
「まあ、そのおかげで何とかなったわけだ。調査のほうはどうだった?」
「岩はふつうのものにしか見えませんでした。ほかにわたくしが気がついたのは、周りのものとは違う色の砂がたくさん落ちていたことと……これです」
 差し出されたレーネの手にあるのは、こぶし大の真っ黒な石。それは不自然なほど整った球形だった。
「たぶんサメの目です。岩のかけらと砂とこれと、全部サンプルを拾ってきました。学園で調査してもらおうと思います」
「それがいい。あれはやはりゴーレムだったようだし、力が強大過ぎた。気になることが多いからな。しかし……」
「あー、やっぱり海の家といえばカレーとラーメンと焼きそばとたこ焼きと焼きトウモロコシとかき氷だよねー♪」
 海の家の中には、大好きな炭水化物を次から次へとたいらげるナノハの姿があった。
「しかし、なんで俺が料理を」
「だってあんまりケガしてないのって僕のほかはクロスくらいだもん。いーのいーの、海の家だから味は気にしないし」
 ひどい言われようだが、クロスにはナノハの身体を手に抱えたバツの悪さがあった。彼女自身がどう思っているのかはわからないが。
 頭を抱えつつ、アンリとシルワが仕込んでいた材料で慣れない料理を作るクロスに、ナノハは無邪気に声を掛けた。
「さぁ、おかわりジャンジャン持ってきて〜♪」



課題評価
課題経験:90
課題報酬:2000
ストーン・ゴーレム・シャーク!
執筆:しばてん子 GM


《ストーン・ゴーレム・シャーク!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 1) 2021-06-30 06:27:30
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。

もちろん、アルチェのひとたちはたすけてあげたいです。
でも、ふしぎなサメ?っていうのもみてみたくてきました。
よろしくおねがいします。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 2) 2021-07-01 15:36:21
賢者・導師コースのリバイバル、クロス・アガツマだ、よろしく頼む。

今回は、うまくおびき寄せれば地上で戦うことも出来ると思うが、どうだろう?
海上で戦いたいということならそれでも構わないが、潜られたら探すのも難しそうだ。
逆に、もし陸で戦闘するなら逃さないための工夫も必要になると思う。

俺は戦闘時には、魔導書の効果で皆を強化するほか、ヒドガトルで火属性中心にして攻撃しようと考えている。
効果の程は不明だが、試してみるよ。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 3) 2021-07-01 23:27:53
やあ。私は勇者・英雄コースのアケルナー。よろしく頼むよ。
岩のように硬い鮫で、地上でも強力な戦力を発揮するとはね……。

と言っても、こちらは水中での行動はデメリットが大きいし、できれば地上に鮫を誘い込んでみたいね。
その際には、既に出てるけど鮫を海に逃がさない工夫は必要だろうね。

《イマジネイター》 ナノハ・T・アルエクス (No 4) 2021-07-02 00:02:28
賢者・導師コースのイマジネーター、ナノハ・T・アルエクスだよ♪
よろしくね♪

う~ん、岩っぽい鮫というより、鮫っぽい岩かな?
何はともあれ、強くて硬くて速い相手だから気を引き締めないとだ。

《ココの大好きな人》 アンリ・ミラーヴ (No 5) 2021-07-02 01:26:48
教祖・聖職コース、アンリ・ミラーヴ。よろしく(尻尾ぶんぶん)
陸におびき出す、良いと思う。
海の家を襲ってきたらしい。だから囮に、海の家を一軒、形だけ用意する?

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 6) 2021-07-02 07:27:50
わたくしも海でたたかうのはさけたいです。
あしどめはミラーヴさんの海のおうちのニセモノでいいとおもいます。
おびきよせはグリフォンさんの上からの遠隔攻撃とかできる方おられましたらといいかもしれません。
遠隔攻撃は種族特性魔法攻撃でわたくしがやってもいいんですけど、騎乗の一般技能がないのがなやんでます。

わたくしとしましては、そうですね、まもりをかためて防御役をかんがえてます。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 7) 2021-07-02 23:33:25
現場の地形がわからないから悩むところだけど、ビーチってことは砂浜で、遊泳等に向いてるならば……そんなに荒い海じゃないだろうね。
穏やかな内海の遠浅の砂浜、という感じで考えておけばいいのかな?

そうなると、ダミーの海の家で誘うなら、周囲が湾状になってるなら湾の最奥に海の家を用意するのがいいかもね。
深くて波や流れが強い海よりは、浅くて穏やかな海の方が、私達には都合がいいし、少しでも海から離れた場所に敵を誘い込みたいしね。

周囲に木陰を作るような木があれば、その木を倒して鮫が海に逃げる退路を断つこともできるかも。

>分担
私は両手盾か片手盾に槍を持って、敵の注意を引いたり、敵が逃げようとする際に足止めを狙ってみようかと思ってるよ。
残念ながらグリフォンは用意できそうにないかな。

《ココの大好きな人》 アンリ・ミラーヴ (No 8) 2021-07-03 06:38:59
もう立ってる、本物の海の家、離れたところに、ダミーを作りたい。
シャークとの戦い、本物に被害は、避けたいから。
退治するまで、本物はお休み、ダミーだけ営業で、シャーク引き付けられる、かな。
俺はダミーで、待ち伏せ、聖鎖陣をかけたい。
だから攻撃は、物理。
ところで、ダミーの海の家、焼きトウモロコシ、焼きニンジン、作っていたい。
ビーチの関係者さん達、客役してもらって、営業中のふり、どうだろう。
シャークの目を引いて、襲ってきたら、関係者さん達には、逃げてもらう。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 9) 2021-07-03 13:36:31
では、偽物の海の家を建て、陸におびき寄せる方向で決まりだね。

設営場所はアケルナー君の言うとおり、なるべく海から離れた場所に設営するのがいいだろう。
俺は陣地作成を活用してダミーの海の家を造ろう。無理にとは言わないが、もう一人くらい誰かが持っていってくれると、より効率的に作れると思う。
それとすまない、俺もグリフォンと必要な騎乗は習得していない……
おびき寄せるなら、とにかく大きな音があれば水中のサメに気づかせられると思う。
不思議なほら貝や、炸裂の実を海に投げてみるなんかも効果がありそうだ。

関係者の方々には……そうだね、サメの魚影が見えたら逃げてもらうのがいいだろうか。上陸してからだと誰かが狙われるかも分からないからね。
料理は……まあ、警戒さえ怠らなければ、しばらくはそこで何かしていても問題はないだろう。

《ココの大好きな人》 アンリ・ミラーヴ (No 10) 2021-07-03 17:05:22
陣地作成と、設計の技能で、俺もダミー作る。

《イマジネイター》 ナノハ・T・アルエクス (No 11) 2021-07-03 19:01:28
ふむふむ…じゃあ、僕がおびき寄せ役をやろうかな?

グリフォンはいないけど、魔術師の箒で空が飛べるから、
マドガトルで牽制しつつ陸地まで誘導を掛けてみるよ。

《2期生》 シルワ・カルブクルス (No 12) 2021-07-03 22:22:15
すみません、顔出し遅くなりました
村人・従者コースのシルワ・カルブクルスです

サメが来るまでの間、わたしは偽の海の家で『料理』してます
もちろん、警戒もしますしサメが来たら関係者を避難誘導してから自分も前にです予定です