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【メイルストラムの終焉】Black


ストーリー Story

 小都市セントリア。
 研究都市として計画的に設計されており、ほぼ正方形で碁盤の目のように区画整備されている。
 画一的な配置になっているように見えるが、ただひとつ、中央部分が例外だった。
 巨大なドーム状の研究施設は、周囲を壁で覆われ外部の侵入を拒んでいるように見える。
 だが他の研究所にとっては、大きな問題では無かった。今までは。
 なぜなら各研究施設は、それぞれ独自の研究を行っており、同じ都市に存在するとしても関係性が極めて薄い。
 それは、そうなるように意図されたものだった。
 セントリアにある研究施設のほぼ全てが、本命の研究を隠すためのダミー施設だったのだ。
 本命である、中央に位置するドーム。
 研究されているものは、魔法に関する物と風評されていたが、実際の所は違う。
 異世界に通じる門『特異点』を外から隠しながら研究することを目的とするものだった。
 町の東西南北四方には、特異点を制御するための魔法陣が埋めてあるという。
 それを隠すため、研究施設を周囲に誘致し、同じように存在する他の研究所と変わらぬものだと誤認させる。
 木を隠すには森の中。
 それを実践して作られたのが、研究都市セントリアだ。
 さらに隠蔽を強化するため、周辺施設や関係者にも、都市の成り立ちを伝えることなく隠し、中央研究所に務める一部の者だけが、実体を知るに留まっていた。

 それがテロ組織『霞団』の付け入る隙となった。

 中央研究所の一部の者達さえ押さえてしまえば、あとは事情を知らない。
 だから霞団が中央研究所を占拠した後、事情を知らない周辺研究所は、テロの片棒を担ぐことに繋がった。
 異世界に通じる門『特異点』を操るための機材発注を受け、知らずに作ってしまった所さえある。
 さらに、霞団が周囲に散ったことで、制圧されていることにさえ気づけず、実質的な支配下に陥った。

 だが今は、勇者候補生たちの活躍により解放されている。

 都市に潜入し情報収集。
 要所要所を押さえ、最後には霞団の指導者であり、フトゥールム・スクエア生であった【ディンス・レイカー】と対決。
 戦闘の末、ディンスは異世界転移の『核(コア)』である、手鏡の中に消え失せた。
 それにより最悪の事態は防がれたが、騒動はむしろ解決した後に起ったのだ。

「とにかく全部話して貰うぞ!」
 周辺研究所の代表者たちが詰め寄った。
「……」
 相対しているのは、中央研究所の代表者。
 といっても、彼に特別な権限がある訳じゃない。
 霞団の騒動が終わった後、関わった者達の大半は更迭、あるいは捕えられ、いま残っているのは事情をあまり知らないものばかりだ。
 研究内容の秘匿のため、隠蔽主義を貫いていたことの弊害が出ている。
(俺に言われても……)
 いっそのこと逃げ出したいぐらいだが、そういうわけにもいかない。
 下手にそんな素振りを見せれば袋叩きにされそうな気配だ。
(気持ちは分かるけどな……)
 殺気立つ彼らの理由も分かる。
 セントリアは研究都市であり、生活しているのは研究者ではあるが、もちろんそれ以外も大勢いる。
 日常の生活を支えてくれるスタッフや、研究者の家族も住んでいた。
 だというのに、今まで何の事情も知らされず、あげくテロ組織に中央研究所が占拠され、中には知らず片棒を担ぐはめになってしまった所さえある。
 そのため今後、二度と同じことが起らないよう、情報の共有を求めて周辺研究所の代表者たちが押し寄せて来たのだ。
(帰りてぇ……)
 キリキリと胃を痛めながら、貧乏くじを引く事となった彼は、ひとつの手鏡を皆に披露した。
「細かいことの前に、まずは事の発端を皆さんにお見せします。これが、異世界の門となる『核(コア)』です」
 さざ波のようにざわめきが起き、やがて押し黙る。
 この場に居るのは研究者達であり、それだけに目の前の重要度は分かっていた。
「それを、ここで出して良いのか?」
「皆さんに対する誠意のひとつだと思って下さい」
(よし。なんとか賭けに勝ったな)
 ひとまず胸を撫で下ろす。
 ハッタリに近い行動だったが、注意を引く事は出来たようだ。
 皆が『核(コア)』に意識を向けている間に、話をしていく。
「今までの秘匿主義の行き過ぎが、今回のテロ事件に繋がったことは重々承知してます。ですから、それを是正するためにも、皆さんと今後は協議し、協力できることはしていければと思います。その話し合いに――」
『勇者候補生を呼んだら良いと思いまーす』
「……」
「……」
 血の気が引くような沈黙が広がる。
 全員の視線は、声の聞こえてきた『核(コア)』に向いていた。
 静まり返る中、能天気な声が『核(コア)』である手鏡から聞こえてくる。
『ハローハローでーす。聞こえてますかー。不審者で怪しいものでーす』
 絶賛胡散臭い声を上げている手鏡に、恐る恐る、中央研究所の代表者である【ハイド・ミラージュ】が返す。
「貴方は、誰ですか……」
『おーう、聞こえてましたねー。好かったでーす』
 底が抜けきったとぼけた声が返ってくる。
『私はー、そちらにとっては異世界人でーす。そっちの世界からこっちの世界に来た人から、事情を聴きましたー』
 ざわりと、周囲がざわめくのもお構いなしに、手鏡から聞こえる声の主は、マイペースに続ける。
『そちらとこちらを安定して繋げる方法を教えまーす。こっちとしてもー、そっちの世界が混乱して滅びに向かうとえらいこってすからー』
「……は? え、どういう――」
 ハイドが聞き返そうとすると、声の主は一方的に言った。
『細かいことはー、また後で話しまーす。そっちにあるー、世界間接続の核(コア)はー、戦闘の影響で万全じゃないみたいですしー、今はこちらから何か送ることも出来ませーん。せいぜいがー、声を届けるので精一杯ですからねー。それも時間制限がありそうですしー。とにもかくにもー、勇者候補生という人達をー、呼んで下さーい』
「何で異世界の住人が勇者候補生たちに拘るんです」
 ハイドの問い掛けに声の主は応えた。
『こっちの世界に来たー、貴方達の世界の住人のー、進言ですよー』
「ちょ、それって、誰のこと――」
『詳しいことはー、勇者候補生が来たら話しまーす。お願いしますねー』
 そう言うなり、声は聞こえなくなった。
「なんなんだ、一体……」
 後には、訳が分からず困惑する者達ばかりだった。

 その後、話し合いの末、少しでも情報を得るために勇者候補生たちを呼び寄せることが決まりました。
 目的は、手鏡から聞こえてきた異世界人とのコンタクトです。
 それと同時に、セントリアの各研究機関が連携が取れるよう、アイデアを出して欲しいとの事です。
 部外者である勇者候補生たちを間に入れることで、確執を避けたいらしいとのこと。
 要は、ギクシャクしている間の潤滑油として、参加して欲しいとの事でした。

 色々と不明な中、あなた達は、どう動きますか?


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-08-04

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2021-08-14

登場人物 8/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《新入生》神鵺舟・乕徹
 ドラゴニア Lv10 / 芸能・芸術 Rank 1
 文字通りの意味で流れ着いてやってきた、異国の侠客。  用心棒や刺客、はたまた小間使いや芸子としてあらゆる手段で食い扶持を稼いできた苦労人。切った張ったの世界に居座り続けていた為か、思考が少々短絡的。  それだけに本来はそれなりの実力を持っていたが、エイーア大陸の魔物や勇者の戦技は祖国とは勝手が違うため、経験や知識から学び直し、自らの流れに取り入れている最中である。  元の世界では、『戮妓』と呼ばれる剣闘士のようなものをしていた。屈強な戦士や魔物を舞の如き動きで殺め、強さと美しさを見世物にする、絶望の時代ならではの卑賎な稼業である。だが、滅びを求めている魔族や権力者には強く支持されており、人気のある戮妓にはパトロンが付くこともあったという。  人気はあったものの、それ以上に悍ましき本性が勝っていたからか、彼女には誰も寄り付かなかったため、生活には結構苦労していたらしい。  また、過去の果し合いにより、左目の下に裂傷を負い、更に角をねじり折られた後遺症で枯れ木の枝のような醜い角が生えるようになってしまった。が、本人は名誉の負傷としている。  尚、今の名前はかつて愛用していた脇差から借りた偽名である。  話に聞いたエイーア大陸は、魔王の居城があるとされる場所の筈だった。人などが到底住める土地ではなかったとずっと信じていた。  ようやく大陸や学園での生活に慣れてきたものの、今度は平和ボケで腕が鈍りそうになることを恐れている。  また、同性でも自分より背の高い人が多く(というより元の世界の国ではこのくらいが平均だった)、少しだけ気後れしている。  油断すると稀に訛りが強く出てしまうらしい。非常に荒っぽくまるで喧嘩腰のように聞こえるため、極力出さないようにしている。(広島弁や播州弁に似ています。難しいと思いますので、用意された台詞以外はあまりリプレイに反映しないで大丈夫です) 『何だか、妙なとこに来たみたいじゃねえ』 『消えた後に地獄でも待っとるとしたら、そんなのでも救いになり得るのかのぅ?』 『そりゃ誰もが全て見えてりゃ苦労せんわい。目を逸らせるなら、都合のいいものしか見たくないじゃろ』 『えぐい化生共がぎょうさんと。あー邪魔くさいのぅ。わっち、せっせと帰にたい』 出身地:極東の島国 身長:五尺 体重:十貫(よりは少し重いらしい) 実年齢:数え年で二十二 好きなもの:粋な音楽、刃物 嫌いなもの:説教や小言 特技:剣舞、推察 読み:カヤフネ・コテツ
《新入生》ザコバ・モブロフ
 ヒューマン Lv14 / 魔王・覇王 Rank 1
サブカルチャー大好きな34歳独身。 彼女いない歴は我が生涯である! 元居た世界ではブラック企業に勤務していたらしいが、会社で2月目の缶詰め状態に入ったある日、夜中にデスクでうたた寝してたら……この世界に転移してしまった。 とりあえず、元の世界に戻って大事なフィギュア達や薄い本を転売の魔の手から守るのが今の目標。 「そのためならば、拙者は悪にでもなれるでござるよドゥフフフ……」 でも、ファンタジーの世界にいるはずのエルフっ娘やらを生で見られるので、この世界も満更ではないようだ。 なお、大変なメタボでいらっしゃる。 健康診断はこわいけど、白衣のナースは大好物。 失ったもの:頭髪 実年齢:34歳(2020.3.22現在) 身長:151cm 体重:3桁の大台
《イマジネイター》ナノハ・T・アルエクス
 エリアル Lv23 / 賢者・導師 Rank 1
フェアリータイプのエリアル。 その中でも非常に小柄、本人は可愛いから気に入っている。 明るく元気で優しい性格。天真爛漫で裏表がない。 精神年齢的には外見年齢に近い。 気取らず自然体で誰とでも仲良く接する。 一方で、正義感が強くて勇猛果敢なヒーロー気質。 考えるよりも動いて撃ってブン殴る方が得意。 どんな魔物が相手でもどんな困難があろうと凛として挑む。 戦闘スタイルは、高い機動性を生かして立ち回り、弓や魔法で敵を撃ち抜き、時には近接して攻め立てる。 あまり魔法使いらしくない。自分でもそう思っている。 正直、武神・無双コースに行くかで迷った程。 筋トレやパルクールなどのトレーニングを日課にしている。 実は幼い頃は運動音痴で必要に駆られて始めたことだったが、 いつの間にか半分趣味のような形になっていったらしい。 大食漢でガッツリ食べる。フードファイター並みに食べる。 小さな体のどこに消えていくのかは摩訶不思議。 地元ではブラックホールの異名(と食べ放題出禁)を貰うほど。 肉も野菜も好きだが、やっぱり炭水化物が好き。菓子も好き。 目一杯動いた分は目一杯食べて、目一杯食べた分は目一杯動く。 趣味は魔道具弄りで、ギミック満載の機械的な物が好き。 最近繋がった異世界の技術やデザインには興味津々で、 ヒーローチックなものや未来的でSFチックな物が気に入り、 アニメやロボットいうものにも心魅かれている。 (ついでにメカフェチという性癖も拗らせた模様)
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《ゆう×ドラ》シルク・ブラスリップ
 エリアル Lv17 / 村人・従者 Rank 1
「命令(オーダー)は受けない主義なの。作りたいものを、やりたいように作りたい……それが夢」 「最高の武具には最高の使い手がいるの。あなたはどうかしら?」 #####  武具職人志願のフェアリーの少女。  専門は衣服・装飾だが割と何でも小器用にこなすセンスの持ち主。  歴史ある職人の下で修業を積んできたが、閉鎖的な一門を嫌い魔法学園へとやってきた。 ◆性格・趣向  一言で言うと『天才肌の変態おねーさん』  男女問わず誘惑してからかうのが趣味のお色気担当。  筋肉&おっぱい星人だが精神の気高さも大事で、好みの理想は意外と高い。 ◆容姿補足  フェアリータイプのエリアル。身長およそ90cm。
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  

解説 Explan

おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。
本作は、全校集会『オペレーション:メイルストラム』のエピローグとなるエピソードのひとつです。

そして以下が、詳細となります。

●目的

異世界人とコンタクトを果たし、研究機関の軋轢を減らす。

●方法

今回は、以下のような行動がとれます。

1 研究機関の軋轢を減らすため、アイデアを出したり、研究者同士のメッセンジャーになる。

テロ事件により、研究機関の間でギクシャクした空気が広がっています。
それを減らすためのアイデアを出したり、メッセンジャーとして、研究者たちの間を回って下さい。

2 異世界人とのコンタクトに参加する。

現時点の情報では、相手に敵意は無いようです。
どうやら向こうとしては協力体制を造り、ある程度の行き来が出来るようにしたいようです。

この状況で、どのようなやり取りをするのか、お書きください。
疑問点を訪ねたり、あるいは何らかの提案をしたり、自由にお書き頂けます。

1と2の、どちらか。あるいは両方を選んでお書き頂けます。

●NPC

ハイド・ミラージュ

貧乏籤を引くことになった研究員。
なし崩し的に、騒動の責任者にされた。
PC達に必要なことがあれば、協力して手配してくれます。

謎の異世界人(■■■■■)

異世界を繋ぐ門の核である手鏡を通じ、言葉でコンタクトを取ってきた人物。
喋り方が胡散臭い。
協力体制を築きたいようだが……?

以上です。


作者コメント Comment
全校集会『オペレーション:メイルストラム』のエピローグとなるエピソードを出させていただきます。春夏秋冬です。

謎の異世界人が、弊社の運営しています他のPBW『煉界のディスメソロジア』の登場人物を知っていると謎でもなんでもないんですが、とりあえずプロローグ時点では謎です。

この辺の異世界設定は、自社で回していくのに都合が良いのと、今まで運用した他のPBWを出来るだけ消さない方向で運用していきたい部分と、ゆうしゃのがっこう~、のPC達が、話が終わっても色々と他の世界に転生したりする可能性がありますよ、みたいな方向性を出したいので進めています。

物語が終わっても、PC達は生きてるし、巡っていく。

その辺が出せていければな、と思います。

それはそれとしまして、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリザルトに頑張ります。


個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
これが異世界交流の時の正式な礼装?
そう言うなら……

会議室の話題であったフトゥールムポリスの制服(タイトミニ)を着用して参加。

まずは自己紹介。
礼を失さず。

ディンスが最後の瞬間に逃亡したので、その行方や生死の確認をとりたい。
またディンス(らしき存在)に出会った人がいたり、行動の痕跡はないか。

ディンス以外にも異世界を利用して何かをしようとしている存在はあるか?
破壊的・支配的行動に出る者の存在が想定されるなら
対抗する治安維持活動も行わなければならない。
異世界間の協力・連絡体制を推進。

安全な往来の為に魔法や技術・知識を相互に出しあい
維持・管理をしっかりできる体制を築く。
コアの転用・修理・再生産も視野に。

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:90 = 60全体 + 30個別
獲得報酬:2250 = 1500全体 + 750個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
今回のミッションを以下のように順序だてて企画し
円滑にいくよう調整に走り回る
博愛主義、信用をフル活用

仲間が使用可能なタグ【研究所】及び【異世界】を設定する

タグ【研究所】 研究機関内の調整
(1)学会開催の提案・調整・運営
(2)茶会で交流促進

タグ【異世界】 異世界との交流
(1)こちらの世界の紹介
(2)むこうの世界について聞取り
(3)ディンス・レイカー消息の聞取
(4)協力体制の構築

自分は以下の行動に注力

【研究所】(1)
研究機関間を走り回り融和のための学会開催に奔走
折角それぞれいい研究しているのだから
発表し合えば有意義だしシナジーやイノベーションにつながるはずと説得
会話術と信用で司会進行も務める

アドリブA

神鵺舟・乕徹 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
面倒だが、研究所間の仲介役を引き受ける。
今後の都市の方針として、半年か一年に一回程度で、交流会を兼ねた学会でも開くことを提案。
研究者だからこそ他の研究にも関心を持ち、そこから交流を経て、軋轢を減らしていく。
また中央研究所には、セントリア全体に向けた謝罪の場を設けたり、差し支えない程度に研究内容を文書などにして公開することを提案してみる。簡単にできることではないが、予め学園長から言質を取れるだろうか?

異世界人には興味があるが、遠くで聞く程度にする。
信頼に値する相手かどうかを見極め、特に関わらない。
ここでの会話も文書などで、他の研究機関との間で差し支えない程度に明らかにしたい。

ザコバ・モブロフ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
この異世界人の世界は、拙者のお宝を残したワールドと同じでござろうか……お宝達が無事か心配でドキがムネムネでござる

◆異世界人とのコンタクト
互いの世界の様子の確認は必須でござろうな
向こうが争いが多い世界なら、こちらが向こうの争いに巻き込まれる可能性もあるでござろう

それ以外でも、文明レベルが大きく違えば、世界のバランスにも影響が出そうでござるからな
状況によっては、つきあい方を考える場を別途設ける必要もあるやも

拙者もディンスとやらの消息は気になる故に、探りは入れてみるでござるよ
「こちらの世界から、異世界に逃走を図った者が居るが、そちらの世界に逃げ込んだ者は居ないか」等、まずはディンスの名を伏せ確認

ナノハ・T・アルエクス 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
異世界人と交流する

■行動
とりあえず、まずは自己紹介だよね。
こちらから名乗って、そして相手が誰なのかを聞くよ。

その後は、色々聞きたいことを聞くよ。
異世界の種族、異世界の地理や気候、そして何よりも技術について聞きたいな。
他の異世界は巨大ロボットや空飛ぶ船とかビックリな代物がいっぱいだったからね。
さて、今度の世界はどんなのかな?ディンスの連れてた蜘蛛みたいな機械はそっちのかな?
あ、こちらも聞かれたら普通に答えるつもり。

それともう一つ聞きたいのは、異世界の敵のこと。
前に異世界から現れた敵は手強かったからね。
またあんなこともあるかもしれないし、異世界側の戦闘記録も聞いておきたいんだ。

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【研究所】
月一回、集まってのお茶会の開催を提案。オブザーバー兼、給仕役として、学園生も参加。


酒宴のほうがいいのでは?という意見に対し、以下に説明

・酔っているときの話など、覚えていないことが多い

・重要な話を酒の席でするべきではない

・お酒を嗜む人間には楽しいかもしれないが、飲まない、飲めない人間には苦痛になることが多い

・未成年者が多い学園生の中では、参加できる者が限られる


お茶と茶菓子の準備はあるので、早速、第一回を開催してみるのはどうかと、追加提案


【異世界】
・自身も異世界人だと告げ、元世界での事柄を質問し、相手側が元世界かどうか確認
・相手側に渡った者の名前を聞く。拒否した場合は、ディンスだと断定

シルク・ブラスリップ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
●方針
【異世界】
異世界の人物(?)との交流、協力体制の構築

●事前準備
過去の異世界交流(アース・トロング事件、全校集会『歴史証すグロリア』)について事前に資料まとめ。

●行動
ひとまず挨拶と名前、向こうの主張をまず確認。
そのうえで恒久的につなぐ意味はあるのか? 双方のメリット、デメリットを確認。
特定の話題で言い淀んだり、理由を答えず黙るなど露骨に不審でなければ協力。
あと一応進言した人物も確認。
「…その人物って『フィッシャー』とかいわないわよね?」

できれば通路を開ける前に、何か知識や技術を暫定的にこちらに寄こせないかと提案。
こちらからも【ゆうドラ】はじめとするものは送れるとして、技術交流を図ってみる

クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【行先】
1と2
1を重点に動こう


【行動】
研究者達との間を仲介し、軋轢を少しでも減らせるよう動く
俺の持つ精神分析技能、それに会話術や人心掌握学を活用し、彼らの不安を取り除いていこう
あまり隠して陰謀論のようなものが流行ってもいけない。学園生が知っているくらいのセントリア外界の情報や、ハイドの出せる情報を整理し、皆を納得させられる形に組み変えて話そう
嘘は使わない、伝え方によって彼らの心を支配する
支配とはまるで魔王的だが、皆にできないことをするのが俺の役割だ


そして、異世界からこちらにコンタクトをとる人物に、ひとつ問おう
俺からもひとつ、聞きたいことがある
……そちらの世界が、こちらを侵略しないという保証は?

リザルト Result

「これが異世界交流の時の正式な礼装?」
 タイトミニな制服を手にした【エリカ・エルオンタリエ】に、発案者な【ザコバ・モブロフ】は力説する。
「そうでござる!」
「そう言うなら……」
 納得したのか、着替えるため控室に向かうエリカ。

 などという一幕がありつつ、研究所に訪れた学園生達は、それぞれ役割を果たすため動き始めた。

「まずは忌憚ない意見を交わせる場を作ることが、必要だろう」
 集まってくれた研究所の職員を前に、【クロス・アガツマ】が提案する。
「研究の秘匿を無くせとは言わないが、貴方達は研究者である前に、この街の住人だ。街の治安維持のためにも、ある程度の譲歩は必要だろう」
 クロスの言葉に、微妙に難色を示す研究者達。
 この場に研究者を集める前に仲間の学園生と手分けして、研究者達とは最低限の接触を図っているが、それだけでは足りていないようだ。
 もっとも、それはクロスの想定の範囲内だった。
(研究者達には、自発的に交流をして貰わないといけない)
 そうでなければ、常に学園生が彼らを指揮しなくてはならなくなる。
 魔王復活を目論む動きも活発な中、それでは手が足らない。
(自治をするのは彼らだ。学園は切っ掛けを作るに留める。そのためには――)
 ある程度誘導するような流れを作る必要があった。
 それには綿密なロードマップを作らなければいけなかったが、【タスク・ジム】が中心になって活躍している。

「研究機関内の調整と異世界との交流の2過程に分け、前半を2工程、後半を4工程に分けて進めましょう」

 今まで事務仕事を率先してこなして来たこともあり、手際が良い。
 事前に組み上げた工程表を元に皆で手分けして、タスク自身も研究者達の間を奔走した。

「皆さん、それぞれいい研究をされています。そこからさらに発展させるために、発表を行うことは有意義な筈です。きっとシナジーやイノベーションに繋がる筈です」

 熱意を込め説得したこともあり、今この場を設けることが出来ていた。
 だが、いざ集まれば牽制するような気配がある。
「交流のために譲歩と言っても……」
 研究者の1人が難色を示す。
「技術の解放は難しい。盗まれでもしたら保証してくれるのか?」
「皆さんの懸念はもっともです」
 タスクが宥めるように言った。
「交流で出せる技術には限界があると思います。ですが、それを乗り越える必要があるんです」
 全体の進行を進めるように話していくが、研究者達は及び腰だった。そこに――
「これじゃから研究者共と言う奴等は」
 呆れた声で、【神鵺舟・乕徹】が言った。
「自らが痛い目を見なければ痛みを解さぬと見える」
 顔を強張らせる研究者達に容赦なく続ける。
「そもそもこんな歪さも感じる秘匿主義に疑問を呈さなかった時点で、文句を言える立場と思うたか?」
「それはっ……言い過ぎだろう!」
「自分達で、もっと何かできたであろうに口だけは一丁前か?」
 乕徹の指摘に研究者達は言葉を返せない。
 なにしろ学園生達に助けて貰っていなければ、下手をすれば今も気づかずにテロの助けをしていたかもしれないからだ。
 それでも研究者は振り絞るような声で言った。
「……間違ったままでいたことを許してくれと言えばいいのか……」
「違う」
 後ろ向きな研究者を前に振り向かせるように、乕徹は言った。
「許せという事ではない。然しだからこそ、訴求だの責任だの言って振り返ってばかりではあかんよ」
 乕徹は面倒だと思いつつも言葉を止めない。
「とにかく、まずはけじめが必要だろう。中央研究所にセントリア全体に向けた謝罪の場を設け、差し支えない程度に研究内容を文書などにして公開するぐらいしてもよかろう」
「下手すると大事になりそうなんですが」
 乕徹の提案に、中央研究所の代表にさせられた【ハイド・ミラージュ】が返す。
「喧嘩みたいになったら――」
「すればよかろう」
 乕徹は、あっさりと言った。
「一度盛大に殴り合ってしまえば、吹き飛ぶ鬱憤もあるかもしれんのぅ。わっちはその方が好きじゃ」
「そんな脳筋こと言われましても。私達研究者ですし」
「謝る相手も研究者であるなら、あんたらの研究を理解できる筈じゃろ?」
 どこか試すような気持ちで乕徹は言った。
 この提案に研究者達は迷う。
 それは乕徹の提案を道理だと思いつつも、積極的に前に出て責任を取ることを恐れているからだ。
 彼らの迷いを軽くするように、クロスが言った。
「貴方達の気持ちはわかるが、俺達の敵は同じだということを忘れてはならない」
 皆が動き易いよう、大義名分を示してやる。
「こういう状況にこそ結束し、一振りの巨大な拳として立ち向かわなければ……魔王の軍は待ってくれないはずだ」
 より大きな敵に立ち向かうために、今ひととき手を取り合おう。
 クロスの提案のお蔭で、皆は歩みよる切っ掛けが出来る。
 それは誘導し、場を支配しているかのようだった。
(これでは魔王的ではあるが、皆にできないことをするのが俺の役割だ)
 クロスの立ち回りもあり、研究者達は交流をする方向で話をしていくことに。
「半年か、1年ぐらいの期間で、大規模な交流会を開くはどうだ?」
 乕徹の提案を叩き台に、年2回の全体交流会の実施と、それに繋がる小規模な交流会をする流れになる。
 とはいえ決めることは多く、学園生達はお茶を配ったりしてサポートに回る。
「はい、どうぞ」
 タイトミニな制服姿のエリカがお茶を配っていくと、普段女っ気のない研究者の多くは恐縮する。
 それが険呑になりそうな話し合いの場を緩めるのに一役買っていた。
 同じように、【シルク・ブラスリップ】や【ナノハ・T・アルエクス】もお茶を運ぶ。
「ちょっと熱いけど良い?」
「温めの方が良かった?」
「いえ、どうも、はい」
 宙を浮かびながらシルクやナノハがお茶を持って行くと、純朴そうな研究者は下を向いて返事をする。
 研究者の大半が男性で似たり寄ったりの者が多い。
 ちなみに女性研究者は、微妙にじと目で男性研究者を見ていた。
 とはいえ、それが場の空気を緩めてくれ、話し合いは割とスムーズに進む。
 それが行き過ぎたのか、少しばかり調子に乗った案も出る。
「どうならお酒の席を設けて――」
「それは向いて無いと思うわ」
 止めてくれたのは、【アルフィオーネ・ブランエトワル】。
「酔っていると重要な話を覚えていないことも多いし、そもそも重要な話を酒の席でするべきではないと思う」
 もっともである。
「それに、お酒を嗜む人間には楽しいかもしれないけど、飲めない人や飲まない人には苦痛になることが多いでしょ? あと、学園から立会をこれからも呼ぶとして、未成年者が多い学園生の中では、参加できる者が限られると思うわ」
 アルフィオーネの言葉に賛同者が多く出る。それを聞いて――
「お茶と茶菓子の準備はあるから、早速、第一回を開催してみるのはどう?」
 アルフィオーネが提案してくれた。
 それを受け簡易的ではあるが交流会が開催される。
 一度始まってしまえば研究者の性分か、知的好奇心を満たそうと積極的に話し合いが進む。
 そして内容は、やはり『特異点』に向かう。
 これを受けハイドは応えた。
「皆さんへの情報公開も兼ねて、この場で異世界との交信を行いましょう」
 空気が引き締まるような気配が流れる中、異世界交信は開始された。

●異世界
(おおっ、またもや異世界側からのコンタクトが……ドキドキワクワクだね♪)
 好奇心にナノハは胸を高鳴らせる。
 それはザコバも同じだ。
(この異世界人の世界は、拙者のお宝を残したワールドと同じでござろうか……お宝達が無事か心配でドキがムネムネでござる)
 ザコバはドキドキしながら異世界人との交信を待つ。
 彼と同じく、異世界からこの世界にやって来た者が何人かいるが、それぞれ思う所があるようだ。
(話し合いを提案して来た時点で、元の世界とは違うじゃろうな。わっちの知るあの世界なら、呑気に手を取り合うなどあり得ん)
 乕徹のように、見極めに徹しようとする者もいれば、万が一の可能性を考える者もいた。
 そんな中、交信が始まる。
『ハローでーす。聞こえてますかー?』
 胡散臭い声に、ナノハが最初に応えた。
「初めまして。僕はナノハ・T・アルエクス。貴方が指定した学園生の1人だよ」
『おーう、初めましてでーす。私は【メフィスト】と言いまーす』
 会話する中で、ナノハはメメルのことが思い浮かぶ。
(この自称不審者で怪しい者さん、何となくメメたんに雰囲気似ているよね。ウマが合うんじゃないかな?) 
 今の所、メメルのことを思い浮かべるぐらいには警戒心が湧かない。
 そんな中、シルクも会話に加わる。
「あたしも話に加わらせて貰うわね。あたしは、シルク・ブラスリップ。学園生の1人よ。それで、まずは訊きたいんだけど、そっちはどうしたいのか教えてくれる?」
『協力しましょー。そっちの世界が滅ぶとー、こっちの世界もえらいこってすからー』
「……どういうこと?」
 詳しい話を聞くと、次のような内容だった。

 向こうの世界は滅びかけの世界がぶつかってくる可能性がある。
 こちらの世界と向こうの世界は限定的とはいえ繋がってしまったので、こちらの世界が滅びかけると確実に向こうの世界にぶつかる。
 それを止めたいので、滅びの要因になりそうな魔王復活を阻止する協力をしたい。

「……ちょっと待って。滅ぶ可能性があるの? こっちの世界」
 シルクが思わず聞き返すと――
『詳しいことはー、そっちの世界に直接行って調べないと分かりませんがー、可能性はありまーす』
 思わず皆、静かになる。
 そんな中、メフィストは続ける。
『とにかくー、そっちの世界が滅ぶとー、そちらの世界の人達を難民として受け入れることになって大変なのでー、そうならないよう協力したいのでーす』
 思った以上にシビアな話が続く中、ザコバが会話に加わった。
「拙者、ザコバという者でござる。そちらの世界の暦を教えて貰うのは、問題ないでござるか?」
『時間の流れの確認ですかー? それならこちらとそちらの世界が限定的とはいえ繋がってるのでー、同調してるので大丈夫ですよー』
 つまり、同じ時間の流れで進んでいるということだ。
 応えを聞いて、ザコバは質問を続ける。
「他にも訊きたいことがあるのでござるが、そちらの世界は戦いが多いのでござるか?」
 向こうの争いに巻き込まれることを恐れての質問だが、メフィストは応えた。
『つい最近まで創造神と殺し合いしてましたけどー、ぶっ殺したので大きい争いはありませんよー』
 物騒な応えに皆が思わず黙ってしまうと――
『メフィスト様! 伝え方が酷いです!』
 若い女性の声が聞こえてくる。誰なのか訝しんでいると、自己紹介された。
『初めまして。【桃山・令花】といいます』
 話を聞くと、メフィストと、向こうの世界にある『薔薇十字教団』という世界的組織の連絡役であり、協定などに関する協議を提案するために参加しているらしい。
「協定を望まれるなら、こちらも素案の用意があります」
 令花の話を聞いて、タスクが返すと――
『こちらも用意しています。概略なんですが――』
 令花が応える。
 すぐさま返すタスク。
 2人のやり取りは淀みなく、まるで『もう1人の自分』と話しているかのようだった。
(――と、いけない)
 あまりにも話が進みそうになったので、タスクは自制する。
 独りよがりにならないよう、仲間の意見を聞く。
「協定を結んでも構わないと思うんですが、どうでしょう?」
 これにシルクが返す。
「いいじゃない、協力。向こうがその気で悪意なければだけど」
 そう言うと、『SALFスーツ』や『試作型高圧魔力収束砲』を特異点である鏡に見せながら、開発協力に関わった【レイ・フィッシャー】のことを話題にする。
「フィッシャー氏との交流は色々と有意義だったわよー」
 そう言うと、事前に用意して纏めていた過去の異世界交流の資料を伝える。
『おーう。魔導科学文明系の技術体系ですねー。というかー、フィシャー氏って誰ですー?』
「前にこちらの世界と交流してくれた異世界人なんだけど……そっちに学園生のことを提言したのって、フィッシャー氏じゃないの?」
 探りを入れるつもりで訊いてみると、違う名が返ってくる。
『違いますよー。【ディンス・レイカー】と本人は言ってましたー』
(生きてたの!)
 ディンスの名を聞いて、エリカは動揺する。
 それは少し前、ディンスの子を宿していると告白した【ピーチ・ロロン】と関わったからだ。
(どうしよう……伝えるべきかしら)
 エリカが悩んでいると、先にナノハが問い掛けた。
「死にかけだったと思うんだけど、どうやって話せるぐらいにまで治したの?」
(僕が放ったあの一発は確かに額を捉えていた。致命傷だったはずだよ)
 気になって訊くと、あっけらかんとした応えが返ってくる。
『放っておいたら死にそうだったんでー、私が魔法で治しましたー』
(それが出来るぐらい技術が凄いってことかな?)
 ナノハが考えていると、今度はエリカが問い掛けた。
「初めまして、エリカ・エルオンタリエと言います。メフィストさん、ディンス以外にも異世界を利用して何かをしようとしている存在はあるのかしら? もしあるなら、一緒に対抗できる体制を作りたいのだけど。それと核(コア)の転用や修理の方法があれば教えて貰えますか?」
『今の所ー、こっちの世界を利用しようとしている異世界存在はいないですねー。将来的には分かりませんがー』
 微妙に含むような物言いで続ける。
『核のことも含めてー、協力するのはー、むしろこちらからお願いしたいでーす。他にはー、何かありませんかー?』
「可能なら、ディンスと話をさせて貰ってもいいですか?」
『今は無理でーす。色々とやらかしてくれたのでー、投獄されてますからー』
「何があったんです!?」
『こちらの世界の技術を手に入れようとしてー、重要施設に無断で入ろうとしたんですよー。あとー』
「……他にも何かあるんですか?」
『脱獄しようとしてー、看守の女性を落とそうとしたりしてましたねー』
「え……」
 ピーチのことを思い、エリカは思わず言葉に詰まる。
『あの人ー、女性のこと革命のための道具ぐらいにしか思ってなさそうですよー』
「そんな……」
 ピーチになんて言えばいいのか思い悩むエリカ。
 重々しい空気になってきたのを感じ取ったザコバは、あえて軽い口調で言った。
「そちらの技術や、種族などを詳しく教えて貰っても良いでござろうか? これは学術的な興味でござる。別にロボ娘とかクリーチャー系娘とか居ないかな……とかいう下心は――」
『獣っ娘とか球体関節の娘とかは居ますよー。あと魔法少女になれますよー。元男もいますがー』 
「TSは業が深いでござるよ!」
『そうですかー? あと文明で言うとー、三つ滅んだあとにー、今は魔術文明が栄えつつー、科学技術も発展してる途中でーす。蒸気機関に魔術を組み込んでー、鉄道を走らせたり大衆車を作ってたりしますねー』
(元の世界で言うと、18世紀から19世紀ぐらいでござろうか?)
 少なくとも科学技術で言うと、それぐらいのようだ。
 ただし魔法などがあるので、オーバーテクノロジーにしか思えない物もあるようだ。
 文化や文明の話は、みんな興味があるのか、次々質問する。
「ディンスが蜘蛛みたいな機械を連れていたんだけど、そっちの物かな? あと、そちらの世界に敵がいるなら教えてくれる?」
 ナノハの問い掛けにメフィストは応える。
『自立殺戮機械でヨハネの使徒ってのはありましたねー。今は統率個体破壊したんでガラクタになってますがー。そして敵ですかー? 人形遣いってのがいますー。もしこいつがそちらの世界にいたらー、すぐに教えて下さーい。潰すために全力で支援しまーす』
「そんなに危険なの?」
『世界を壊して食べることが目的の悪魔野郎ですからー。魔王より性質悪いと思いますよー』
 物騒な話もしつつ、気になる言葉も出て来る。
「日本!? 日本があるでござるか!?」
『ありますけどー、多分貴方の知る日本じゃないですよー。こっちの世界を創る時にー、地球を参考にしたってだけですからー』
 地球と聞いて、アルフィオーネも質問に加わる。
「初めまして、不審者さん。わたしは、教祖・聖職者専攻のアルフィオーネ・ブランエトワル。どうぞ、よしなに。えっと……実は、わたしもここから見れば異世界人なのよ。だから、一応、念のために聞いておきたいのだけれど、”CGF-SA2183””特一級侵略型生命体”これ、なんだかわかるかしら?」
『所属識別名とー、敵性個体の等級ってとこですかねー』
「知ってるの?」
『少なくとも今は知りませーん。ただー、未来のどこかで関わってるのかもですねー』
「どういうこと?」
『その辺はー、もっと仲良くなってからですねー』
 韜晦するようなメフィストに、クロスが言った。
「俺からもひとつ、聞きたいことがある……そちらの世界が、こちらを侵略しないという保証は?」
『気になりますかー?』
「当然だ。空が割れたあの日、魔物とは違う怪物たちがそこから這い出るのを見た。もう、同じことを繰り返させるつもりはない」
『残念ながら保証は出来ませーん。なぜならー、口約束しか今は出来ないからでーす。だからこそー、信頼を積み重ねていきたいと思ってますよー。なのでまずはこちらからー』
 メフィストは技術提供を約束する。
『役に立つ所を見せますよー』
 まずは向こうから骨を折るようだ。
 話はまとまり一段落ついた所で、異世界人との純粋な会話をする。
「立派な勇者になるために頑張ろうと思うんです」
「素敵ですね! あの、良かったらもっと教えて下さい。小説の種にしたいんです」
 特に賑やかなのは、タスクと令花。
 初めて出会ったとは思えない仲の良さを見ていた。
 2人のやり取りを聞いていると、巧くやっていけるのでは?
 そう思えるのは、成果のひとつ。
 信頼を積み重ねる始まりとなった、1日であった。



課題評価
課題経験:60
課題報酬:1500
【メイルストラムの終焉】Black
執筆:春夏秋冬 GM


《【メイルストラムの終焉】Black》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 1) 2021-07-29 00:08:27
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。
よろしくお願いいたします!

《新入生》 ザコバ・モブロフ (No 2) 2021-07-29 00:18:12
魔王・覇王コースのザコバと申す。よろしくお願いするでござるよ。
この異世界人の世界は、拙者のお宝を残したワールドと同じでござろうか……お宝達が無事か心配で胸がドキドキでござる。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 3) 2021-07-29 05:15:47
教祖・聖職者専攻のアルフィオーネ・ブランエトワルです。
どうぞ、よしなに。

1.茶会のセッティング

2.わたしもとりあえず、この異世界人が、わたしの元世界の人か確かめておきたいわね

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 4) 2021-07-29 09:05:26
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

セントリア奪還時にディンスは最後の瞬間に鏡の中に消えたから、
その後、実際にどうなったのかは未確認なのよね……
致命傷を負わせたようには聞いているけれど、不安は払拭しきれないから
確認できればいいのだけど……

《ゆう×ドラ》 シルク・ブラスリップ (No 5) 2021-07-29 10:01:17
村人・従者コースのシルクよ。よろしくー。

異世界の変人とは『グロリア』事件でかかわったことあるし、2番メインで行ってみようかなっと考えてるわ。
まぁ何とかなるでしょ、っと!

《新入生》 神鵺舟・乕徹 (No 6) 2021-07-29 21:04:30
芸能・芸術の神鵺舟じゃ。課題は久々かの。

異世界人も気にはなるが、研究者共の軋轢を減らす方に注力するかの。
……まあそもそも、ここの研究者共は他所の研究に大して関心を抱いてなかったように見えるのぅ。少しでも他所に関心を示せば、中央研究所の秘匿主義を疑問に思ってもおかしくなかろうよ。

ともあれ、研究機関であるなら、一定期間で学会でも開くなりして交流を深めればよかろうに。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 7) 2021-07-29 23:57:28
賢者・導師コースのクロス・アガツマだ。よろしく頼む。

1を主に動く予定だが、2でもある程度の話をしようと思っている。
異世界……興味はそそられるが、本当に歓迎していいものか……

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 8) 2021-07-30 08:22:04
みなさん、よろしくお願いしますね!

学会、茶会、いいですね!!
学会からの茶会なんて、どうでしょう?
もしよければ、僕はその流れになるよう調整に走り回ってみたいと思います。

ただ、異世界の方も気になってまして・・・
向こうが協力体制を気づきたいなら、その力にはなりたいですね。
微力ながら、鍛えた事務能力がお役に立てそうですし。


それでは、今の状況をまとめてみましょう!
発言から類推した部分もあるため、訂正あれば教えていただければと思います。

1・研究機関内調整
アルフィオーネさん(茶会セッティング)
神鵺舟さん
クロスさん
タスク(学会からの茶会)

2・異世界との対話
ザコバさん(お宝が気になる)
(兼)アルフィオーネさん
エリカ部長さん(ディンスの所在確認)
シルクさん
(兼)クロスさん
(兼)タスク(協力体制の構築)


 

《新入生》 ザコバ・モブロフ (No 9) 2021-07-31 10:57:20
タスク殿、状況のおまとめ感謝するでござるよ。
勿論、拙者もディンスとやらの消息は気になる故に、探りは入れてみるでござるよ。

べ、別に向こうの世界にはロボ娘とかクリーチャー系娘とか居ないかな……とかいう下心はないでござるよ?(などと容疑者は供述しておr(ry)

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2021-07-31 19:23:18
>ザコバさん
…などと容疑者は供述しており、学園警察フトゥールム・ポリス(別称・風紀委員会)では余罪を追及しています。

…以上、勝手に記者ごっこに巻き込んでしまいすみませんでしたm(__)m

ディンスの調査にご協力いただける点、了解です。助かります!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2021-07-31 19:31:27
さて、異世界との対話については、やることを整理しておいた方が良さそうですね・・・。

僕のイメージとしては、こんな順番で話を持って行ってはどうかと。

1.互いの世界の簡単な紹介
→これで、向こうがどんな世界か判明する

2.ディンス・レイカーの消息・動向
→ディンスがこちらの手に渡るなら処遇の検討材料を得る
 帰ってこないが対話が出来るなら、本人から情報を聞き出す
 対話もできないなら、彼の情報を聞き今後への影響を検討

3.協力体制の模索

ざっくりこんな感じになりましたが、書けば書くほど難しいですね。
特に2.場合分けを考え出すとキリがなく、考えあぐねてる状態です。

皆さんのご意見を頂戴できれば幸いです。

《新入生》 ザコバ・モブロフ (No 12) 2021-07-31 23:11:36
フトゥールム・ポリス……是非ともコスチュームのデザインをしたいところでござるな。
ミニのタイトスカート辺りで。

と、それはさておき。
互いの世界の様子の確認は必須でござろうな。
向こうが争いが多い世界なら、こちらが向こうの争いに巻き込まれる可能性もあるでござろう。

それ以外でも、文明レベルが大きく違えば、世界のバランスにも影響が出そうでござるからな。
状況によっては、つきあい方を考える場を別途設ける必要も考えぬと。

《イマジネイター》 ナノハ・T・アルエクス (No 13) 2021-08-03 02:09:15
遅くなってごめん。
賢者・導師コースのイマジネイター、ナノハ・T・アルエクスだよ♪

僕は異世界の人との交流を主にするよ。
異世界の技術、それから戦闘記録を聞いておきたいかな?
前に異世界から来た技術も凄かったし、敵も手強かったからね。
その辺の情報は聞いておきたいよ。

ディンスのことはちょっと気になるけれど…それは他の人に任せるよ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 14) 2021-08-03 06:00:20





1.研究機関内調整
(1)学会開催の提案・調整・運営
(2)茶会で交流促進

2.異世界との交流
(1)こちらの世界の交流
(2)むこうの世界について聞取り
(3)ディンス・レイカー消息の聞取り
(4)協力体制の構築

やることをさらにまとめてみましたので、よかったらご参考に!!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 15) 2021-08-03 08:27:21
いよいよ、今夜出発ですね!

もしよければ、上記の流れについて、僕の方で全体を記載しましょうか。
そして、タグ【研究所】【異世界】を設定しますので、
皆さんのやりたい行動、深堀したい要素を指定するときに
お役に立てていただければ幸いです。

そして、皆さんの書き込みから、どの行動にあたるかを推定して
まとめをしてみますね。
あくまで推定も含みますので、訂正、変更は教えていただければと思います。
また、決定とかではないので、プランを書く参考になれば、というものですので、よろしくお願いいたします。

タグ【研究所】 研究機関内の調整
(1)学会開催の提案・調整・運営
神鵺舟さん
タスク
(2)茶会で交流促進
アルフィオーネさん
(未分類)クロスさん


タグ【異世界】 異世界との交流
(1)こちらの世界の紹介
タスク
(2)むこうの世界について聞取り
ザコバさん
アルフィオーネさん
ナノハさん
(3)ディンス・レイカー消息の聞取り
エリカ部長さん
(4)協力体制の構築
タスク
(未分類)シルクさん、クロスさん


《ゆう×ドラ》 シルク・ブラスリップ (No 16) 2021-08-03 22:09:55
ごめん、あんまし顔出しできなくなってた…まとめと分担についてありがとう。

【異世界】
『(4)協力体制の構築』の方で考えてるわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 17) 2021-08-03 23:22:32
シルクさん、表明ありがとうございます。

【異世界】(4)は特に慎重に進める必要がありますから、
「シルクさんに確認しながら進める」とプランに書いてみました。
協力し合うような描写のリザルトになるといいですよね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 18) 2021-08-03 23:46:29
いよいよ出発ですね!
研究所も、異世界との交流も、どうかうまくいきますように!