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進撃の驟雨


ストーリー Story

 滴る刃は流し雨。
 鋭き刃は篠突く雨。
 降り頻る勇断(ゆうだち)、卯の花腐しが如く命腐らす。
 宵闇に降る雨の怪物。命をば寄越せと四本の腕に巨大な大太刀握り締め、未だ不敗にして恐怖の雨――驟雨(しゅうう)。
 公園の池に掛かる橋の上。帯刀して赴いた雨の日の夜に、それは現れる。
 が、今日この日、驟雨はその名、異名の通りの夕立と化す。
 斬る、切る、キル……腹の底に圧し掛かるお経のような音が、夜の街に響く。音の出所を探ってカーテンを開けた人々は、それを見つけてすぐさま閉める。
 鈍重な鎧兜に身を包み、六つの赤い眼を怪しく光らせる骸骨武者。
 歯向かおうとしたならば、四本の腕がそれぞれに握り締める刀剣のいずれかに両断される事は目に見えている。
 故に誰にも止められない。奴は一切止まらない。
 奴が一歩進む度、雨足が激しさを増す。奴が目的地に迫る度、雨足が強さを増す。
 血をば寄越せ。息の根をば寄越せ。命をば寄越せ。
 斬る、切る、キル。
 勇断(ゆうだち)が行く。豪雨が通る。降り頻る驟雨が、斬り殺しに参る。
 向かうは勇者達の学園。未来の希望を育む場所。フトゥールム・スクエア。
 参るぞ。参る。驟雨が参る。怨念、執念、恩讐、復讐を携えて、決着付けるべく進撃せん。恩讐、執念失いし我が一部と共に両断せん。
「――!!!」
 暴雨警報、発令。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 7日 出発日 2021-08-09

難易度 とても難しい 報酬 多い 完成予定 2021-08-19

登場人物 6/8 Characters
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《大空の君臨者》ビャッカ・リョウラン
 ドラゴニア Lv22 / 勇者・英雄 Rank 1
とある田舎地方を治め守護するリョウラン家の令嬢。 養子で血の繋がりはないが親子同然に育てられ、 兄弟姉妹との関係も良好でとても仲が良い。 武術に造詣の深い家系で皆何かしらの武術を学んでおり、 自身も幼い頃から剣の修練を続けてきた。 性格は、明るく真面目で頑張り屋。実直で曲がった事が嫌い。 幼児体系で舌足らず、優柔不断で迷うことも多く、 容姿と相まって子供っぽく見られがちだが、 こうと決めたら逃げず折れず貫き通す信念を持っている。 座右の銘は「日々精進」「逃げず折れず諦めず」 食欲は旺盛。食べた分は動き、そして動いた分を食べる。 好き嫌いは特にないが、さすがにゲテモノは苦手。 お酒はそれなりに飲めて、あまり酔っ払わない。 料理の腕前はごく普通に自炊が出来る程度。 趣味は武術関連全般。 鍛錬したり、武術で語り合ったり、観戦したり、腕試ししたり。 剣が一番好みだが他の分野も興味がある。 コンプレックスは身長の低さ。 年の離れた義妹にまで追い抜かれたのはショックだったらしい。 マスコット扱いしないで欲しい。
《幸便の祈祷師》アルフィオーネ・ブランエトワル
 ドラゴニア Lv23 / 教祖・聖職 Rank 1
異世界からやってきたという、ドラゴニアの少女。 「この世界に存在しうる雛形の中で、本来のわたしに近いもの が選択された・・・ってとこかしらね」 その容姿は幼子そのものだが、どこかしら、大人びた雰囲気を纏っている。  髪は青緑。前髪は山形に切り揃え、両サイドに三つ編み。後ろ髪は大きなバレッタで結い上げ、垂らした髪を二つ分け。リボンで結んでいる。  二重のたれ目で、左目の下に泣きぼくろがある。  古竜族の特徴として、半月型の鶏冠状の角。小振りな、翼と尻尾。後頭部から耳裏、鎖骨の辺りまで、竜の皮膚が覆っている。  争いごとを好まない、優しい性格。しかし、幼少より戦闘教育を受けており、戦うことに躊躇することはない。  普段はたおやかだが、戦闘では苛烈であり、特に”悪”と認めた相手には明確な殺意を持って当たる。 「死んであの世で懺悔なさい!」(認めないとは言っていない) 「悪党に神の慈悲など無用よ?」(ないとは言っていない)  感情の起伏が希薄で、長命の種族であった故に、他者との深い関りは避ける傾向にある。加えて、怜悧であるため、冷たい人間と思われがちだが、その実、世話焼きな、所謂、オカン気質。  お饅頭が大のお気に入り  諸般の事情で偽名 ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 5つの誓いを胸に、学園での日々を過ごしている
《1期生》アケルナー・エリダヌス
 ローレライ Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
目元を仮面で隠したローレライの旅人。 自分のことはあまり喋りたがらない。適当にはぐらかす。 ふとした仕草や立ち居振舞いをみる限りでは、貴族の礼儀作法を叩き込まれてるようにもみえる。 ショートヘアーで普段は男物の服を纏い、戦いでは槍や剣を用いることが多い。 他人の前では、基本的に仮面を外すことはなかったが、魔王との戦いのあとは、仮面が壊れてしまったせいか、仮面を被ることはほとんどなくなったとか。 身長は160cm後半で、細身ながらも驚異のF。 さすがに男装はきつくなってきたと、思ったり思わなかったり。 まれに女装して、別人になりすましているかも? ◆口調補足 先輩、教職員には○○先輩、○○先生と敬称付け。 同級生には○○君。 女装時は「~です。~ですね。」と女性的な口調に戻る。

解説 Explan

 遂に驟雨との戦いにも決着を付ける時がやって来ました。
 戦場は豪雨のフトゥールム・スクエア。主に校庭がメインとなりますが、作戦で学内施設のいずれかの施設に誘い込む(植物園やスペル湖。アリエ・アガルペリア方面等)戦略も、良しとします。誘い込む方面に関しては、参加して下さった皆様でご相談下さい。
 魔法攻撃より斬撃の方が効果的なダメージを与えられますが、主に剣士を敵として認識します。他、近接戦闘の場合にも応戦し、攻撃魔法を放って来た相手には、即座反撃を仕掛けてきます。
 人の倍以上ある体躯から繰り出される想定以上の鈍重な一撃と相反し、俊敏な動きと反応速度を持ちますので、複数人での同時攻撃ないし、連携が必要となるでしょう。
 また、参加PCの中で片手剣、または両手剣を装備可能な方のうち一名は、驟雨打倒に必須の妖刀、斬雨(きりさめ)を装備して頂きます。
 妖刀は出発時の装備品覧に反映されず、装備者は立候補となります。追い詰めるまでは他の装備でも有効ですが、止めとなる一撃はこの妖刀に限られますので、最後の一撃をどう決めるかも重要です。
 今回は驟雨撃退か、妖刀の破損のいずれかで決着とします。妖刀が折れた場合には驟雨は撤退しますが、あまり良いとは言い難いエンドとなるでしょう。
 是非皆様で協力し合い、因縁の戦いに終止符を打てるよう、相談して頂きたく思います。
 加勢組として、剣士のNPCを二人ご用意させて頂きます。NPCを如何に活用するかは参加して下さる皆様でご相談ください。以下、NPC情報。

・NPC情報
 【黒崎・華凛】(くろさき かりん)……黒の長髪。黒い和装の女性剣士。左右長さの違う刀を駆使する二刀流。耐久力は低いが、俊敏性に長けている。
 【白尾・刃】(しらお じん)……銀髪の長身和装剣士。気配察知能力と危機回避能力に長けている。風の魔力を突きと同時に放つ必殺技「エア・レイ」を使う。


作者コメント Comment
 こんにちは、こんばんは。お疲れ様です。
 高難易度戦闘エピソードで知られつつある七四六明(ななしむめい)です。
 さて、お待たせしました。お待たせし過ぎたかもしれません! 遂に、この時がやって参りました! 打倒、驟雨!
 この戦いが、長きに亘る因縁の決着となりますように。
 ですが、忘れて頂きたくない。当然のように魔物を倒し、魔物を排してきた我々ですが、多くを守るために多くの犠牲を払っています。彼は、そう言った悲しみの集合体であり、憎しみの変異物です。
 強敵との戦いに向けての心構えも大事ですが、これまで当シリーズに参加して下さった方々には是非、今までの物語で培ってきたものを大事にして彼と対峙して頂きたいです。
 それでは長くなりましたが、参加のほど、お待ち申し上げております!


個人成績表 Report
タスク・ジム 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:594 = 198全体 + 396個別
獲得報酬:18000 = 6000全体 + 12000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
斬雨装備立候補

驟雨を「鎮魂」達成は、驟雨との「対話」を重ねた先にある
驟雨における「対話」は、「剣士」との「ギリギリの命のやりとり」
なのだと【推測】
魔法攻撃への撤退や武器破壊への激怒もその証左

折った刀で攻撃を命中させたときに感じる「虚しさ」こそ
驟雨との「対話」の本質かつ「鎮魂」への可能性であり
そしてその刀を改造し
校長先生の魔術をもって「確実に鎮魂できる手段」に仕上げたのが「斬雨」

故に作戦は
剣士が「鎮魂」の想いを胸に驟雨と直接剣を交え
剣士以外でサポートし活路を開く

以上を仲間と先輩に共有

先輩二人に気持ちを正直に告白
務まるか不安もあるが今回は自分が露払いを務めたいし
尊敬する二人に共に戦ってほしい、と


エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:297 = 198全体 + 99個別
獲得報酬:9000 = 6000全体 + 3000個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
初手は【スピリア】で前衛(近接戦闘を挑む味方)の素早さをブースト

基本は【生命の息吹】で味方の回復を担当する

リトラヴェルソで回復したきりょくを適時【魔気変換】でまりょくに変えて回復や攻撃に転用

【第六感・気配察知】で驟雨の動向を漏らさず察知
大技の発動前などは特に注意、察知次第すぐに味方に知らせて態勢を整えさせる

味方(特に霧雨持ち)の危機には【フドーガ】で自分への攻撃を誘い、身を盾に攻撃を受ける
(身代わりうさぎで耐える)

とどめを霧雨で行えるようにサポート
チャンスは積極的に知らせる

基本的に驟雨の撃破を目指すが、味方に死亡者が出かねない状況が予想された時は妖刀を折って撤退させる

絡み・アドリブ大歓迎です

レーネ・ブリーズ 個人成績:

獲得経験:237 = 198全体 + 39個別
獲得報酬:7200 = 6000全体 + 1200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
「リトラヴェルソ」で「風の旋律」でなかまのひとたちを支援します。
この支援で回復できることを事前に説明して、
きりょくを消耗する職業技能を積極的につかってもらいます。
もちろん黒崎さんと白尾さんもなかまです。
そして、「斬雨」もなかまです。


金剛さんと銀鏡さんの試練で課題になったわたくしの護身。
その対策もしっかりしておきます。

敵からの攻撃は「暗視順応Ⅰ」と「動作察知Ⅰ」でしっかりと把握して、
装備で高めたきようさとすばやさで回避します。
回避しきれなかった分については装備「身代わりうさぎ・改」でふせぎます。

それによってなかまのひとたちをしっかりささえます。

ビャッカ・リョウラン 個人成績:

獲得経験:237 = 198全体 + 39個別
獲得報酬:7200 = 6000全体 + 1200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
驟雨を討つ

■行動
私は前衛。
龍の大翼で飛び回りながらの立体機動で撹乱しつつ斬り掛かる。
皆の攻撃に合わせて、上や後ろから攻めてこちらのペースに持ち込むよ。

驟雨の攻撃には回避を重視。
自らの素早さと白銀龍の効果で回避能力を高めて、さらに流水の構えで軌道を反らすように受け流して回避するんだ。
驟雨の強さは分かってる…でも、私は引かない!私は折れない!斬れるものなら斬ってみろ!

トドメを狙う時は、タスクの進む道を切り開くために斬り込む。
そして、必殺の耀閃斬。今持てる私の全力の一刀を繰り出す。驟雨に隙が出来れば重畳。
行くよ、驟雨!これが最後の勝負だ!チェストォォォォーーーーーーーーッ!!!!

アルフィオーネ・ブランエトワル 個人成績:

獲得経験:237 = 198全体 + 39個別
獲得報酬:7200 = 6000全体 + 1200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
戦いの前にタスク・ジムを激励


【リーライブ/リーマナス/特級薬草】で仲間の体力と魔力を管理。可能な限り、高い値を維持

エリカ・エルオンタリエとレーネ・ブリーズを護衛。支援行動を阻害されないように努める。

自分はカカオポッドで回復


龍翼演舞・鳥で器用を上げ、敵の俊敏さに対抗


ビャッカ・リョウランの動きに呼応。【龍の大翼】で多角的かつ、立体的な連携攻撃を展開



タスク・ジム支援

聖鎖陣や緋炎の閃光で、敵に動きを妨害し、確実に決められるように。

タスクが敵の攻撃を躱せそうにないときは、【我が身を盾に】で守り、武器受けをさせないようにする(妖刀を保護)



消えゆく驟雨に祈りをささげる
「次、生まれてくるときは、優しい子にね」

アケルナー・エリダヌス 個人成績:

獲得経験:237 = 198全体 + 39個別
獲得報酬:7200 = 6000全体 + 1200個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
驟雨の撃退

◆布陣等
斬雨はタスク君に任せる

白尾先輩は索敵と周辺警戒に重きを置いて貰い敵の動きを見逃さない
黒崎先輩は素早さを活かし牽制

同時攻撃時は、一緒に仕掛けて貰う

◆応戦
前に立ち盾を構え敵の攻撃を受け流し、特定の者や後衛が狙われないようダメージコントロールメインで動きつつ、仲間が付け入る隙を作るよう耐え凌ぐ
基本は防護魔力を掛けた盾で攻撃を受け止め、後衛含む複数の者が巻き込まれそうな攻撃には、高貴たる行いで全体の損害を軽減

後衛、危機の仲間が狙われるなら我が身を盾にで庇ったり、アクラで攻撃
敵の攻撃を自身へ強引に向けさせ、誰も倒れさせない

敵の踏み込みが甘い攻撃等、隙があればシールドバッシュで反撃

リザルト Result

 咆哮。慟哭。激昂。
 ひたすら恐ろしく、ひたすら強かった骸骨武者が、そうした恩讐に取り憑かれた悲しき復讐者に見える日が来るなど、【タスク・ジム】は思っていなかった。
 何故雨の日に現れるのか、わかったところで意味はないと言われたけれど、鎧の下の枯れ果てた骸が本来流すべき涙だったならきっと、今降り注いでいる雨でも足りないのだろう。
 などと考えていたら、【アルフィオーネ・ブランエトワル】に尻を、【白尾・刃】(しらお じん)に背中を思い切り叩かれた。
「ボーっとしないで。倒せるのは、あなたの妖刀だけなんだから」
「しゃんとしぃ。同情せんと、同調せぇ言われたやろ。そういう事や。躊躇うな。あの露、払うたるんやろ」
「……はい」
 アルフィオーネの隣で、【エリカ・エルオンタリエ】と【レーネ・ブリーズ】とが頷く。
 反対を向けば、【ビャッカ・リョウラン】と【アケルナー・エリダヌス】、【黒崎・華凛】(くろさき かりん)とが微笑で応える。
 斬雨を握る手がアルフィオーネに握られて、地面を穿つ凍える豪雨の中、ドラゴニアの熱が手を這い、刀へと流れて、小さな手が優しく撫でる。
「この子の浄化だって、やり遂げられた。きっとうまくいくわ」
「ありがとうございます」
 恐怖はない、なんて強がる気は無い。
 巨体に似合わぬ速度。鎧甲冑の骸骨武者と言うだけで怖いのに、四つの腕に禍々しい大太刀。殺気に満ち満ちて赤く輝く六つの目。
 いつ対峙しても恐ろしい。
 が、ここまで来られて、引き下がれるものか。
「妖刀折ったりしたら、おしり、もっかい叩くからね?」
 耳打ちしたアルフィオーネに苦笑で返して、タスクは一人、歩み出る。
 少しずつ、少しずつ歩幅を広げ、進める歩みを速めて、走り出した。
「露を払う者! タスク・ジム! おまえの恩讐(つゆ)、払わさせて貰う!」
 タスク渾身の一振りが、驟雨の太刀と衝突。ビャッカとアケルナー、刃、華凛が続く。
「スピリア!」
 アルフィオーネの聖鎖陣が展開した鎖が、驟雨を捕えんと風を切って伸びる。
 エリカのスピリアを受けた前衛は、鎖を叩き斬る驟雨へと跳び込んだ。
「チェストォォォ!!!」
 翼を広げ、跳び上がったビャッカの剣撃を受けながら、回り込もうとする刃を太刀で薙ぐ。
 大きく体を仰け反り、地面を滑って薙ぎ払われる太刀の下を潜り抜けた刃はすぐさま態勢を立て直し、突き立てられる刃を横切って、股下を通り抜ける。
 その隙に距離を詰めた華凛の斬撃が若干俯いた驟雨の兜に弾かれたと同時、ビャッカとアケルナーの二人でそれぞれ太刀を受けて、懐に入ったタスクが、胴体に斬撃を叩き込んだ。
 が、胴を守る甲冑が硬い。今までならばただ硬いと言う印象だったが、今ならばわかる。骸の体になろうとも、刀に怯えるその心が。
 しかし、収めるわけにも引くわけにもいかない。同情して逃げる事は、決して優しさなどではないのだから。
「アクラ・バスキューマ!」
 翻り繰り出された斬撃を、間に入ったアケルナーが構えた盾に泡の防壁を付与して受ける。
 次いで繰り出される斬撃を受ける度、張り巡らせた泡の防壁が割れて行く。
「行け! 長くは持たない!」
「ありがとうございます!」
 盾の後ろからタスクが走る。
 驟雨の目の一つはタスクを追っていたが、他二つが盾の背後から高々と跳躍した華凛と、その上を飛ぶビャッカを捉えていた。
「漆黒! シュゥトッ!」
 自身の足裏に合わせた華凛の足を、ビャッカは強く蹴り飛ばす。
 蹴られた反動と落下速度とを合わせた速度で風を切る華凛の抜刀が雨を斬り裂き、振り払われた驟雨の太刀と真正面から衝突した。
 しかし踏ん張れない空中。膂力で勝る驟雨に、簡単に払い除けられる。
 が、その程度は想定の範囲内。そうして一瞬でも強い攻撃を仕掛ければ、いくら六つの目と四本の腕と太刀があろうと、無視も出来なければ油断も出来まい。
 故に揺らぐ。故に緩む。本命とわかっていようとも、自身に対してより強く向けられる殺気と剣に対して、怪物は反応を御し切れない。
「おっとぉ。そら、今やで」
 華凛を受け止めた刃に促され、タスクが迫る。
 繰り出された太刀に対して自身が回って受け流し、弾きながら懐に入って胸倉に鋭き一撃を突き出す。しかし直前で落ちる様に太刀の一本が間に入って来て防がれた。
 更に三本の刀剣が地面を穿ち、タスクを後退させる。
 すべての刀剣が地面に刺さったのを見たビャッカは翼を広げ、上からの奇襲を画策した。
「貰ったぁ!」
 と、驟雨の腕の一本が、太刀から手を離す。
 ビャッカの腕を掴まえると明後日の方向に投げ飛ばし、太刀を取って跳び上がった。
 巨体からは想像出来ない跳躍力で以てビャッカより上を取った六つの目が赤く輝き、四本の太刀が振り被られる。
「フドーガ!」
「アクラ!」
 左右から放たれた風と水とが驟雨にぶつかり、バランスを崩す。
 着地直後を狙う刃と華凛の姿を捉え、態勢を整える方を優先した驟雨の攻撃は中断され、難を逃れたビャッカは安堵のあまり、翼を広げる事も忘れて背中から思い切り地面に落ちた。
「だ、大丈夫ですか?! リョウランさん!」
「だ、ダイジョブ、ダイジョブ……」
 と言うには相当痛そうな音が聞こえたのだが、レーネはとりあえず信じる事にして、驟雨と味方の位置の把握に努める。
 刃らの兄弟子から受けた失態はもうしない。
 体格に合わない速度ではあるが、集中してさえいれば対応出来ない事はない。
 味方のサポートに重きを置き過ぎ、己が身を護る事を怠っていた事を知った。自分が倒れれば、誰もサポート出来ないと言う事を痛感した。
 だから、もう間違えない。
「勇ましき英雄達へ、風の民より祝福と加護を……」
 耳朶に滴る雨、鼓膜をつつく風が吹きつける中、レーネの旋律が響く。
 気力を回復させるとは聞いているが、横笛の音色が聞こえた時に感じた安堵は、横笛の持つ性質だけではないと、前線に立つ全員が感じていた。
 頑張って。負けないで。助けてあげて。
 旋律に込められた祈りが、身に染みて来る。戦う力が湧いて来る。
「タスク! 華凛! 合体技行くでぇ!」
「え、合体技?! そんなの打ち合わせじゃ――!」
「勢いで言っているだけだ、来い!」
「は、はい!」
 三人、並んで駆ける。
 速力に長けた華凛が先陣を切り、刃を向けんとする驟雨の懐を駆け回りながら、一時的に隙が生じるよう、腕を弾く。
 隙間に入った刃のエア・レイが、空いた懐を塞がせない。太刀の先すら介入を許さない。わずかな間の拒絶であったが、タスクが詰め寄るには充分だ。
 こじ開けられた風の中を突っ切って、一挙に距離を詰めたタスクの斬撃が、今までの戦いの中で一番深く叩き込まれる。
 二度、三度と重ねた斬撃に驟雨の身がよろめくが、四度目は太刀で防がれる。
 が、ビャッカとアルフィオーネが翼を広げて左右に動いたのを四つの目が捉えて追った事で、わずかに削がれた集中の隙間を掻い潜り、五度目の斬撃を叩き込んだ。
 手応えはある。その証拠に、今にも泣き出してしまいそうなほど、タスクの涙腺は崩壊しつつあった。
 痛い、痛い、痛い。
 怖い。来るな。私達が一体何をした。何故、斬られねばならぬのだ。何故、何故、何故……。
「タスクさん!」
 エリカの声が届き、辛うじて間に合ったが、驟雨の反撃に薙ぎ払われる。
 地面を転げ、泥まみれになって倒れたタスクへとアルフィオーネが駆け寄り、追撃せんと迫り来る驟雨には、エリカがフムスで圧し付けて止める。
 止められたのは一瞬だったが、他の皆が駆け付けるには充分だった。
「ビャッカ君! 火!」
「りょうかぁい!」
 アケルナーのアクエラと、ビャッカの火炎の息吹とが驟雨に向けて放たれる。
 左右から放たれた両者の魔法は驟雨を介してぶつかり、広がった濃厚な水蒸気が一時的な障害となって、驟雨の目を鈍らせる。
 直後に刃と華凛が跳び込もうとして、反射的に引いた。
 四本の太刀を同時に四方へ叩き込み、生まれた斬撃が地を駆ける。水蒸気はほとんど役目を果たせぬまま払われ、全員が態勢の立て直しを強いられた。
 校庭に深々と刻まれた四つの斬撃は、曇天のせいで底が見えない。それこそ、調子に乗るなと驟雨から発せられた警告のように感じて、一同は乱れそうになる己が呼吸を、レーネの奏でる旋律にて整えた。
「タスクぅ、無事かぁ?」
「はい、大丈夫です……」
 防御は間に合っていた。
 回復もアルフィオーネがしてくれた。
 体もまだ動くし、レーネの旋律で気力も戻った。強がりではない。まだ動ける。戦える。
「ほんなら気張りや。来るで」
 一歩。二歩。三歩目で、真正面に跳躍。
 華凛と刃を払い除け、タスク目掛けて肉薄。
 アケルナーが間に入って盾を構え、側面からビャッカが飛び掛かって止めようとするが、先の二人と同様に、力強く振られた太刀に薙ぎ払われ、ビャッカに至っては校舎の壁に叩きつけられた。
 進撃を続ける驟雨へと、エリカがフドーガとフムスを駆使して足止めを試みるが、太刀の一撃に双方両断される。
 アルフィオーネが両腕を硬化。己が身を盾に受けようとしているのを見たタスクは、咄嗟に横から肩で押し退け、振り下ろされた一撃を足首まで埋もれながら受ける。辛うじて受け切ったと思った最中、残り三つの太刀が振り被られているのが見えて、タスクの背筋に悪寒が走った。
 追撃。追撃。追撃追撃追撃追撃追撃追撃追撃追撃追撃追撃追撃追撃――。
 終わりが見えない集中豪雨。番傘はズタズタに斬り裂かれ、もはやただの雨さえ防げない。
 全身を掠める斬撃がタスクの全身から赤い体液を飛ばし、更に勢力を増す雨に溶けて、薄まり、全身から滴る。
 足元がふら付くタスクを両断すべく、四本の大太刀を振り被る驟雨の斬撃が、左右頭上から襲い来た時、今度はタスクが、アルフィオーネに突き飛ばされた。
 硬化した両腕に亀裂が入り、砕けた鱗の内側から赤が弾け、小さく軽い体は吹き飛ばされたが、転げながらも態勢を立て直し、カカオポッドを砕き割って、逃げていくそれには目もくれず、驟雨に睨みを利かせながら噛み砕いた。
「ジムさん! ブランエトワルさん!」
 名前に籠められた言の葉の魔力が、二人の体力を回復させ、傷を塞ぐ。すぐ後に奏でられた横笛の旋律が気力をも回復させ、再度立ち上がるための力を与えた。
「ありがとうございます、レーネさん。アルフィオーネさんも」
「あら、わたしはついで? って言うか、一人で無茶しないで。あなたは最後に大役が控えてるんだから」
「本当です! 無理はしないでください!」
「すみません。つい」
『ついじゃない!!』
「……はい」
 レーネにまで強めに言われて、反論する気力を無くす。
 反論したところで、到底勝てる気がしなかった。
 と、再度驟雨が迫り来る。タスク目掛けて突進する驟雨に追い付き、側面から飛び掛かった刃の蹴りが、驟雨の頭部を二度ばかり回転させて、明後日の方向を向けさせる。
 刃の方を向き直るので停止した驟雨は、目の前で構える華凛の存在に遅れて気付いた。
「宵闇蝶(よいやみちょう)・朧月下舞踏(おぼろげっかのまい)……!」
 肉薄し、消える。
 驟雨の六つの目が忙しなく動くが、追いつけない。捉えられない。
 捉えたと思った時には斬られており、また見失う。消えては斬られ、見失っては斬られて消えられてを繰り返され、四本の腕の関節部分を重点的に斬られた。
「見惚れてまうやろ? せやけどその子、うちの女なんよ。堪忍な?」
 振り払われた太刀の上にわずかな重さを感じて、振り返った驟雨の目は、着地した太刀の上で抜刀する姿勢の刃を見つける。
 太刀を翻した時には刃が跳び込み、鯉口を切っていた。
「イアイ・レイ」
 自分の方を向いた骸の面に、振り絞った抜刀を叩き付ける。
 刃を追っていた三組の双眸の一つを潰し、赤い眼光が恩讐の闇へと消える。
 苦痛と悶絶を雄弁と語る驟雨の怒号らしき咆哮が、雨風を更に強める。もはや数メートル先もまともに見えない天より降り注ぐ滝の中、翼を広げたビャッカが側面上空から迫る。
「喰らえ必殺! 燿、閃、斬!」
 防御のため繰り出された太刀の刀身を斬り付けながら駆け抜けて、兜の一部を割り砕く。
 狙いとはかなりズレたが、一矢報いた。何せ今まで傷さえ付けるのも困難だった驟雨の兜を砕いたのだから――などと油断していると、裏拳さながらの峰打ちが叩き込まれ、今度は校庭の隅に生える木の中へと薙ぎ払われた。
 追撃せんとした驟雨だったが、沼のように粘着質な泥と化した地面に足を取られて動けない。
 奇しくも操る水には困らない状況下。ぬかるんだ足元で渦を巻き、蟻地獄のような沼を作ったアケルナー目掛けて、驟雨の大太刀が降られる。踏ん張りが上手く効かない状態での攻撃は、アケルナーの盾でも受ける事が出来た。
「悪いね。君の気持ちは理解出来るつもりだ。が、生憎と私には君に応えられる剣はない。が、受け止める事は出来る。だから来い、驟雨。君の全てを受け止め、押し返し……押し通る!」
 踏ん張りが効かない中、驟雨の剣がアケルナーに迫る。
 先の一撃目を受け止め、二撃目は跳んで躱す。三撃目は前に跳んで自ら転げて受け身を取り、四撃目は寸前に間に合った泡付きの盾で防いだ。
 さすがにそこまで動かされれば、水の操作など持続出来ない。沼から上がった驟雨は真っ先にアケルナーへと突進し、今までの比ではない質量の斬撃で以て、盾で防いだアケルナーの体を吹き飛ばし、舞い上がった盾の下から蹴り上げて、アケルナーの仮面を砕き割った。
 態勢が立て直せない宙に舞いあげられ、額の切り傷から滲み出す激痛の赤に、アケルナーは意識を削ぎ落とされる。
 回避は基、防御さえも間に合わない。
 が、諦めてなどいない。何せ、一人ではないからだ。
「斬雨!」
 三度激突。激しく、水飛沫が弾ける。
 ローレライだからなのか、純粋な剣士ではないけれど、驟雨の大太刀とぶつかる妖刀を見て、一人納得した。
 妖しく刻まれた文字らしき模様が、青く光る黒の刀身。雨を弾かず雨に濡れ、されど雨を拒んで雨を斬る。誰が名付けたのか知らないけれど、お似合いの名前を付けた物だ。
「アケルナー、無事?! 生きてる!?」
「こんなザマだが、生きてるよ……私の回復は最低限でいい。今はタスク君を――」
「わかってる! でも、これでも一応聖職者なの! 命より優先する事なんてないわ! レーネ、肩貸して! 一端引くわ!」
「はい! エリダヌスさん、頑張って……!」
「……あぁ、すまない」
 あの刀には、あの怪物に成り果てた者達には、こんな仲間はいなかったのだろう。
 怖かっただろう。寂しかっただろう。寒かっただろう。ズキズキと痛む傷口に雨が染みて、余計に痛い。その痛みが段々と感じられなくなって、感覚も意識も奪われていくだけなのだと思うと、アケルナーは同情してしまった。
 だから――。
「君は、同調して……くれ、よ……」
 アケルナーと代わる形で入ったタスクだったが、斬雨を抜くタイミングは予定よりかなり早かった。
 しかし武器は壊れてしまったし、仲間の窮地だったのだから仕方ないのだが、武器が壊れたのは自分の至らなさが原因だ。回復してくれたアルフィオーネとエリカには感謝せねばならない。
「思うてたより、使えてるやん?」
「体に異常はないのだな」
「はい、行けます。行かせて、くれています」

 少し、時間を遡る。
 驟雨進撃の報告が学内を駆け巡り、学園長の招集を受けたタスクは、エリカと共に同じく招集を受けた先輩二人に、斬雨鎮魂の話をしていた。
 かつて兄妹弟子が斬雨に呑まれた事故もあって、二人は終始心配を拭いきれない様子だったけれど、最終的には吞み込んでくれた様子で、刃は強くタスクの肩を叩く。
「わあった。おまえがそう言うなら、うちらは信じる。せやけど、おまえが己を保てんようになったら、うちらは容赦なく斬る。例え驟雨ツーとか驟雨改めとかなって化けて出る事なってもや。それが嫌なら――絶対呑まれるな。あれに同情して、同じ憤怒と狂気に呑まれたらもう助からん。その刀取るなら猶更。先輩との約束やで?」
「私も基本的には刃と同じ方針だ。だから、私とも約束しろ。エリカとも、他の皆とも約束しろ。必ず無事にやり遂げると。破ったら、指切りでは済まさないからな」

 もう、涙なのか雨なのかわからない。
 他の武器で斬っただけでも辛かったのに、奴の太刀と斬雨をぶつけるだけで、寂寥と憤怒と恐怖の波に呑まれて、渦の奥底に沈められてしまいそう。
 が、約束したからには踏み止まる。例え涙は流しても、情にだけは流されない。
 でなければ、妖刀を握るこの指が、斬られてしまうらしいから。
「エリカ部長。後方支援、お願いします」
「……えぇ。思い切りぶつけて来て下さい」
「――刃先輩! 華凛先輩! お願いします!」
「任された」
「……行くぞ!」
 タスクが先陣を切る。
 驟雨はタスクを、更に言えばその手に握られた妖刀に集中を向ける。
 その集中を囮に、華凛がタスクを追い抜き、側面から飛び掛かって撃ち落とさんと払われた斬撃を掻い潜り、直後に迫る第二撃を受ける。
 華凛が弾き飛ばされたのと同時に刃が迫り、振り下ろし、薙ぎ払い、斬り上げる斬撃の全ての隙間を、風に流される風船のように縫って潜る。
 跳ね回る刃の手首で回りながら、驟雨の太刀を受け流した刀は、懐に入って風を切った。
 しかし、高々と跳躍した驟雨に頭上を越えられて、刃の後に続こうとしていたタスクの背後に着地。同時に振り下ろされた一撃に辛うじて間に合った刃は、地面に埋もれながらも受け止める。
「先輩!」
「ホンマ、重いなぁ……これ、また壊れるんやないか?」
「刃先ぱ――」
「阿呆! 構えとけ! 一回きりやから外すんやないで」
「……はい!」
 歯が砕けんばかりに噛み締めて、腕の筋肉が膨れ上がり、血管が浮く。顔を真っ赤に染め、全身から発する熱が蒸気機関のように冷えた空気の中で上がると、圧し掛かる驟雨の太刀を跳ね除け、驟雨の態勢をほんの一瞬だけ。わずかに揺らがせた。
(あ、またヤってしもた……)
 片膝を突く刃の側を横切り、タスクが走る。
 後ろに一歩踏み出して倒れるのだけは回避した驟雨は、タスクと同時に後方から仕掛けて来る華凛。タスクより頭上から翼を広げて迫るビャッカを捉え、それぞれに太刀を振った。
 華凛とビャッカは弾かれるが、タスクは晴天灰陣にて受け切り、月下白刃のカウンターを叩き込む。
 防御のために繰り出された太刀を貫通し、全体に亀裂が駆け抜けて、砕き割る。折れた切っ先が地面を滑った先で、エリカは耳を澄ませていた。
 第六感。気配察知。そしてエリアルの風を読む力を駆使して、刀を折られた驟雨の牙鳴りと、握り直された刀の音とを聞き取る。
「右上、袈裟切り!」
 わずかに屈んだタスクの頭上を、太刀が通過する。
 体を翻し、腰から回ったタスクの薙ぎ払いを、驟雨は跳んで躱す。
 相も変らぬ似合わない速度で距離を取り、すぐさま離した分の距離を詰めて来た。
「右、一文字! 左、逆一文字!」
 巨大な太刀が左右から襲い来る。さながら、敵を噛み裂く獣の牙。
 タスクは牙の真下ギリギリを潜って、前方より距離を詰めていた華凛は、振られる二本の間に体を捻じ込み、翻って抜く。
 交錯の中繰り出された抜刀は驟雨の下顎を穿ち、頭を揺らして一瞬だけ意識を刈り取った。
 その一瞬は他でもない、彼のために生み出された時間だった。
「いらっしゃあい」
 若干揺らぎながらも、驟雨は大太刀を振るう。
 もう斬撃を弾くどころか、受け流す事さえ出来ない。以前とは違うところを見せたかったのだけれど、結局、また一撃で壊れた。
 いや、まだ壊れかけなのだけれど。確実にこの一撃で壊れる。
 が、迷いはない。最後の大役は任せたが、先輩として、剣を教える身として、カッコいいところの一つや二つ、見せつけてやりたいと思うだけの話だ。
「目の前失礼致します。御身の目ぇ汚してしもた責任、うちの剣で取らせて下さい。ほなどうぞ……白光(びゃっこう)・零刃切月華(れいじんせつげっか)」
 繰り出された抜刀は白金の閃光を描き、振り下ろされた太刀と衝突する。繰り出された二本のうち一本を弾き、一本を割り砕いた。
 代償として、先にガタが来ていた刃の腕も限界を迎え、共に砕けた刀を力無く落とす。
「師匠に扱かれた甲斐あったなぁ……ま、もう今日は離脱やけど。ってわけで、後は頼むでぇ、後輩諸君」
「はい! 任せ――」
「任され、たぁぁぁっっっ!!!」
 タスクより先に、ビャッカが打ち込む。
 剣が二本に減ったからと、侮ってはならない。四本の腕は未だ健在なのだ。むしろ左右で上下に持ち替えられて、四本で間合いを細かく調整されるのだから、手数が増したと言っていい。
 目を閉じて視覚を遮断。第六感と気配察知とをより鋭く澄ませるエリカの指示がなければ、宙を舞うビャッカはすぐさま叩き落されていただろう。
 しかし、タスクやエリカのようなサイズの存在が小さな羽虫を追う様に、驟雨にとって小柄かつ空中を漂うビャッカは前衛の中でも一番捉え難く、より多くの手数を要求される相手でもあった。
 地上に降りても、硬質化した腕と刀とを駆使し、流水の構えにて受け流して躱す、躱す。先程まで薙ぎ払われ、吹き飛ばされてばかりだったのが嘘だったかの様。
 いや実際、驟雨の注意を少しでも逸らすため空中戦を仕掛けていたから飛ばされていたけれど、地上での戦いを許されればこれくらいは出来る。出来る様に、対策して来たのだ。
 剣撃を受け流し、翻る青い浴衣の袖、裾から滴る雫を飛沫に変えて、己が身の一部としたかの如く振り撒く姿は、さながら舞踊の如く。
 花、鳥と名付けられた演舞こそ体得しているが、それとは別の剣舞とでも呼ぶべき舞にて、繰り出される剣撃の間を抜けていく。
 刃に潰された事で四つに減った目の内、ビャッカに向いている目は二つ。他二つは周囲を警戒するため絶えず動き回っており、忙しない。
 刀の数も減った今、驟雨は今まで通りに奇襲に対して反応出来ない。
 だから華凛が横から跳び込んで来た時、驟雨の集中は今までより大きく削がれて、剣撃はあらぬ方向に繰り出された。
「私が小さいからって無視してると……痛い目、見るぞぉっ!」
 先の一撃で刃が一本を破壊したと同時、入れた亀裂に剣を捻じ込む。
 直後に自分を捕まえようと伸びた手を躱して、足蹴に跳び込んで来た華凛の斬撃が上から重ねて叩き込まれて。上下から入った衝撃に三本目が砕かれた。
 阿鼻叫喚。地獄の底で上げるような悲鳴を轟かせる驟雨の四本の腕に、残った刀剣はたったの一本。
「寂しぅなったなぁ……ほぉれぇ、ぼぉっとせんと、後は己の出番やで? 気張って行き」
「は、はい!」
 ビャッカの勢いに負けてつい見入ってしまっていたが、ここまでお膳立てされて失態は晒せないし、失敗も出来ない。
 背中を押され、激励を受けてタスクは走る。エリカのスピリアを受けて加速したタスクの耳に、何処からか響いて来るレーネの横笛が聞こえて来た。
(アケルナーさん、無事だったんだ……)
 気力を回復し、タスクは更に加速して迫る。
 四本の腕に一本の太刀と、刃の言う通り寂しい様にも見えなくはないが、驟雨の覇気は収まるどころか、憤激と共に増していく。
 雨で冷え切った大気に放った息が白く凍り付くほど、驟雨の体は骸でありながら熱を内包していた。
 驟雨が吠える。
 同時、何処からか放たれたアルフィオーネの聖鎖陣から解き放たれた光が鎖となって、驟雨の全身を絡め取った。
 しかし止められるのは一瞬で、力尽くで無理矢理破壊。その隙にビャッカと華凛が離れ、代わりに迫り来たタスクの一撃を受け止めた。
 同調、と呼ぶのか共鳴と呼ぶのか。
 互いの刀身が孕んでいる魔力ないし同じ慟哭、激情が激しくぶつかり合い、二人を中心に雨が弾けて、天へと戻って行く。
 一秒後、天より折り返して来た雨も含めて倍の量になった雨が降って来て、滝のように打ち付けて来た。
 驟雨と睨み合っていた緊張感からその時こそ感じなかったが、後で全身が打撲に似た症状で腫れるのを、この時のタスクは知らない。
 脳内を侵蝕せんばかりにあふれ出すアドレナリンと驟雨に対する思いとが、タスクの体から痛みを消し去っていた。
 無論、周囲はそんな事を許すはずも無く、レーネの演奏を聞き受けて回復した気力を魔力に変換させたエリカの生命の息吹がタスクの体を癒し、気力を保たせる。
 が、レーネも、演奏が難しくなるほど疲弊し始めていた。
 すぐさまアルフィオーネが駆け付けて、リーマナスとリーライブとを施す。
「まったく、どいつもこいつも無理ばっかりするんだから!」
「ご、ごめんなさい……もう少しは出来ると思っていたのですが……」
「二重奏で回復量は倍だけれど、疲労も倍だもの、仕方ないわ。でも、もうこれ以上は……」
「ほんま、頑張り屋さんやね。君は」
 ぬるっと出て来た手がレーネの肩に触れる。
 仄暗い光を称えるリーソルがレーネの気力回復を促し、レーネの心を安定させて、逆にヘタリと座り込ませた。
「刃、先輩、いつの間に……」
「前もこないな事あったからねぇ。なぁんとなく温存しといただけ。せやけどうちも消耗しててん、回復はこれきり。よぉ見て、聞いてみぃ。ずぅっと張り詰めてる必要はあらへん。ほんの少しの変化で、変わる瞬間言うんがあるからなぁ」
「刃! 貴様……またやったな」
 ビャッカを脇に抱えて、華凛が合流する。
 自分は大丈夫と訴えるビャッカの全身の至る所に、払い飛ばされた先でついたと思われる裂傷や切り傷が刻まれていた。
 先にやられたアケルナーよりは確かにマシだが、無視も出来まい。
 アルフィオーネが最後の回復魔法を施し、最低限の傷を塞ぐ。が、今最も治すべきだろう傷は、アルフィオーネ含めたその場の誰にも治せなかった。
「あぁ。なぁにこれくらい」
「馬鹿者……馬鹿者め……」
 こうして、怪我を負った時に泣いてくれる誰かもいない。
 しかしいない事が当然であり、彼らも求めているわけではない。死地に至って初めて気付く。誰も看取る者がいない不条理に。故に悔いを残すのだ。
 驟雨は、そう言った後悔の集合体。その刀を取ってすらいない刃にとって、知らぬままでいることは幸運なのか否か。何とも、断言し難い。
 しかし、今胸の中に抱き締めている人のためにも、更なる強さを求めているのは確かだ。そのためにまた、多くの屍を超えて行かねばならぬのだろう。
 だからその前にケジメを付けねば、決着を付けねばなるまいと思った。
 尤も、本来自分自身で付けねばならないところ、後輩に任せてしまうのだが。
「さ、お膳立てはしたったで? ばしっと決めたりやぁ、タスクぅ」
 滴る刃は流し雨。
 鋭き刃は篠突く雨。
 降り頻る勇断(ゆうだち)、卯の花腐しが如く、命腐らす――雨を斬る。
 繰り出される斬撃の応酬に対し、斬雨の応酬で応じるタスクの剣は、驟雨と互角に渡り合っていた。
 刃のように、自身の腕を破壊しながら繰り出す腕力で以て弾いているのではないし、仮に腕を代償としても、残念ながらタスクにそんな力は出せない。
 妖刀斬雨の持つ特殊な魔力があって初めて、驟雨の力と剣に真っ向から互角に渡り合う事が出来ていた。
 同じ場所に立っていたのである。
 同じ場所に立ち、同じ刀を持つ者同士で向かい合い、斬り合っている。
 片や人々を救うために剣を振る者。片や人々を救うため、振られた剣に殺された者達。
 相容れるはずが無く、同じ場所に立てるはずはない。例え同じ物を持っていても、同じ場所に立っていても、彼らは敵同士でしかない。
 だから同情してはならない。同情して、相手の方に行ってしまっては斬られるだけだ。同じ道行きを歩く事は出来ない。それこそぬかるんだ足下なら猶更、いつしか掬われて死ぬだけだ。
 だから、真正面から向き合う。真正面から立ち向かう。そのための刀(しゅだん)は、すでに手の中にあるのだから。
 薙ぎ払われた太刀の下に潜る。一歩退いて切り上げを躱され、その引いた一歩で踏み込み、繰り出された斬撃を横に退いてギリギリ、目の前に落ちて来た太刀を躱す。
 後ろに翻って裏拳の容量で繰り出した薙ぎ払いを縦に構えられた太刀に止められたが、一度離した手の上で回し、太刀の裏側へと回った太刀を取って、再度振り払う。
 鎧の上を滑る様に掻いて払った直後、腕の一つが繰り出す正拳に殴り飛ばされ、着地したばかりの背中で転げ、突き立てられる刃を躱す。
 起き上がってすぐさま振るわれる刃に応じたが、万全ではない状態故に奥へと押し込まれた。
 斬雨を突き立てて止まったタスクへと、驟雨が突進して来る。
 繰り出された刺突こそ刀で流したものの、突進して来た巨大な肩に衝突。地面を必死に踏み締めて堪えようとするが、足が滑って踏ん張れずに押し込まれていく。
「タスクさん! 後ろ!」
 エリカの声が聞こえ、木に激突されて押し潰される前に脱出。
 押し潰された最悪を想像し、指と指の間からおそるおそる事態を見るレーネは、無事に脱出したタスクの姿を見て安堵の息を漏らした。
 驟雨の背後に回ったタスクは、振り返り際に繰り出された太刀を躱しつつ接近。返されて戻って来る斬撃を受け流しつつ、肉薄する。
 雨を滴らせる濡れた刀身を、斬雨が滑る。
 雨が弾く。雨が穿つ。雨が打つ。
 雨の名を冠した怪物と、その怪物から作り出された刀の衝突。今まで誰も、今より長く驟雨と渡り合えた事はなく、今まで誰も、今ほど驟雨の刀を受け切れた事はない。
 幾年月を重ね、続けて来た怪物との戦いも、遂に終わりが見えて来た。
 しかし、未だその最後が遠い。これで終わるかもしれない。終わらないかもしれない。今までも永かったが今も永い。
 もう、限界だった。
「エルオンタリエさん?」
「……斬雨を、折るわ」
「待って待って! 今折ったら――!」
「わかってる! でも……」
 もう、限界だ。
 風がそう告げている。雨音でどれだけ掻き消されようと、風が教えてくれる。
 だけど、未だ彼は諦めていない。前線に出ていない自分が勝手に諦めて、勝手に限界を決めて、終わらせようとしているのかもしれない。
 でも、本当に彼がもう限界で、ただ驟雨の斬撃を前に振り回されているだけなら、終わらせなければ死んでしまう。
 だったら終わらせるべきは、命ではなく戦いだ。例え彼に恨まれる事になろうとも――。
「大丈夫。私が行こう」
「――!?」
 エリカはもちろん、他の誰も気付かなかった。気付けなかった。
 目の前で繰り広げられる戦いに集中していたのだから、無理もない。刃は敢えて見逃したようにも感じられたが、見切ったと言う方が正しかったのかもしれなかった。
「……!」
 繰り出される斬撃の雨。
 どれだけ打ち込もうと、どれだけ打ち込まれようと、止む兆しを見せず、変わらず降り続ける雨。斬撃の一つに怨みが籠められているのだとすれば、一体どれだけの怨み、恩讐をその身に宿しているのか――考えたくもない。
 止まれ。止まれ。止まれ、止まれ、止まれ。
 一つ斬撃を受ける度、祈るかのように胸の内で唱える。
 学園の怪談として語り継がれるまでの間、恩讐のままに刀を振り続けて来た彼に対して、止まれと言うのは死ねと言うのと同じかもしれない。
 だが繰り返す。唱え続ける。祈り続ける。
 もう止まれ。もう休め。もう終われ。復讐に意味がないなんて偽善じみた事は言えないけれど、おまえの警告は伝わったから。おまえの言葉はもう伝わったから。
 だから――。
「止まれ、驟雨!!!」
 切り上げの一撃に大きく弾かれ、体勢を崩される。
 そのまま翻った太刀が振り下ろされ、一刀両断されるのを覚悟したタスクだったが、剣撃を受け止める鈍重な音が響き、瞑っていたタスクの目を見開かせた。
「今だ! この機を無駄にするな!」
「アケルナーさん……!」
 先の一撃で重傷を負い、戦線を離脱したはずのアケルナーが太陽の盾を手に、驟雨の一撃を受け止めていた。全身に響く衝撃が、アケルナーを揺らがせる。
「早くしろ! 私を学園の晒し者にする気か! タスク・ジム!」
 翻り、腰を据え、深々と構える。
 アケルナーの側を横切ったタスク渾身の一撃が、斬雨の魔力と同調し、青い輝きを放つ。
「心、刀、滅却!!!」
 大振りの一撃が、繰り出された刺突に応じて、地面を穿つ雨が如く振り下ろされる。
 四本の腕全てを駆使して繰り出された、単純計算にして四倍の剣撃であった。が、タスク渾身の刺突は斬雨の魔力を帯びて蒼い螺旋を描き、振り下ろされた太刀諸共、驟雨の巨体に風穴を開けた。
 低く呻き、両膝を突く。天を仰ぎ、鉛色の空を見つめる目から少しずつ光が失われて、徐々に錆びて朽ち逝く刀が如く崩れていく。
 気力も体力も何もかも使い果たしたタスクの意識は、そこで途切れた。

「祖は生命の滾り。魂の温もり。暁より出でし者。黄昏に還りし者。とこしえの誓約。古の盟約。今ここに。星の火よ、かの者に荒ぶる魂を。浄化の炎にて癒し給え。来世に、心安らかなる日々が訪れますように」
 お世辞にも立派とは言い難い名も掘られていない墓石の前で、冥福の祝詞が捧げられる。
 ただ石を積み上げて作った墓の前で、アルフィオーネが祝詞を捧げていた。
「二度と相手にするのは御免だけれど、また、現れるのでしょうね……これからも、戦い続ける限り」
 数少ない参列者であるアケルナーは、深い溜息を返答として返す。驟雨が消えて青々と晴れ渡った空を仰いで、呟くように漏らした。
「抗えぬ力に組み伏せられた絶望、恐怖、未練。それらに同じ物をぶつければ、積み重ねられるだけだ……受け止めるしかない。これからも」

 所変わって保健室。
「もう。わたくしは保健医じゃないんですよ、タスクさん。またこんな無茶をして……」
「無茶はお互い様よ、レーネ。あなたも精神的疲労と言うだけで、酷使し過ぎだわ」
 戦いから一週間。長時間雨に晒され、全身に怪我を負った体は熱を持ち、タスクは高熱に魘されていた。今はだいぶ引いたが、未だ微熱が残っている。
「だけど、あの驟雨を倒せたんだ。結果オーライだよ」
「ビャッカさん。良い事言ってますけど保健室での飲食は禁止ですよ」
「いやぁ。なんか最近食欲が凄くて」
 見ている方が胃もたれしそうな量が口の中に収まっていくのを見ていたタスクは、刃と華凛が見舞いにと置いてくれたリンゴをレーネに剥いて貰って食べる。
 意識を取り戻した直後はほとんど喉を通らなかったので、リンゴ一つだけでも食べられるだけ回復したのは良好と言えた。
「驟雨は、成仏出来たのでしょうか……」
 レーネの問いに、タスクは何とも返し難かった。
 恩讐に果て無し。雨は止めども終焉遠し。汝の戦い未だ果てず――。
 遺言と言うべきか、遺恨と言うべきか。最期に遺された物を聞いた身としては、頷き難かったが、頷けないわけでもなかった。
 あれは全てを伝えきれぬまま消え去ったが、勝手ながらに思うのだ。
 それこそ墓の前に突き立てられ、雲一つない澄み切った晴天を鮮明に、濡れた刀身へ映す元妖刀など見せられては。



課題評価
課題経験:198
課題報酬:6000
進撃の驟雨
執筆:七四六明 GM


《進撃の驟雨》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 1) 2021-08-03 23:57:01
勇者・英雄コースのタスク・ジムです!
宜しくお願い致します。

・・・二人っきり、だと・・・(赤面、のち、顔面蒼白)

まあ、どんな状況でもやるしかないですね!
斬雨装備、立候補します!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 2) 2021-08-04 18:25:23
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

これから増えるとありがたいけれど、そうならない可能性も踏まえて
わたしは今のところは、絡め手や攻撃補助の手数を減らして
回復・継戦能力維持の方向に特化で予定しておくわね。


《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 3) 2021-08-04 22:34:08
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。

リトラヴェルソで支援しますね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 4) 2021-08-05 08:31:37
レーネさん、ありがとうございます!心強いです。
秘密情報部三人そろい踏みですね!

それでは、驟雨戦にあたっての僕の考え方を述べます。
決して正解なんかではなく、ただの推論ですが、お役に立てば。

まず、色神大師匠のお言葉どおり、驟雨戦の本質は「鎮魂」

ここからが推論になるのですが、
驟雨を「鎮魂」達成は、驟雨との「対話」を重ねた先にある。
驟雨における「対話」は、「剣士」との「ギリギリの命のやりとり」
なのだと思います。

そう思う根拠は、これまでの驟雨戦です。

魔法攻撃を命中させると撤退するのは、自分にとって「対話」ではない方法で攻撃してきたから。

武器を破壊すると激しく怒るのは、「対話」の手段を奪われたから。

そして、折った刀で攻撃を命中させたときに感じる「虚しさ」こそ、驟雨との「対話」の本質であり、「鎮魂」への可能性だと思います。

そして、その刀を改造し、校長先生の魔術をもって「確実に鎮魂できる手段」に仕上げたのが、「斬雨」。


そういうわけで、僕が思う驟雨戦の流れは、
剣士が「鎮魂」の想いを胸に驟雨と直接剣を交え、
剣士以外でサポートし、
最期の最期に「斬雨」の使い手が「鎮魂」の想いを胸にとどめを刺す
ということになると思います。

「斬雨」の立候補は現時点で僕ですが、
他に立候補者があればもちろん、その方に持っていただきたいと思います。

以上、現時点の考えです。参考になれば幸いです。


《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 5) 2021-08-05 12:47:18
レーネさんがリトラヴェルソできりょく回復を担当してくれれば、
タスクさんの剣技系スキルの使用回数も増やせるし、
わたしが魔気変換できりょくをまりょくに変えれば、
わたしの攻撃・回復魔法を使える回数も増やせて心強いわね。

方針はタスクさんの言う通りでいいと思うわ。

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 6) 2021-08-07 14:50:18
勇者・英雄コースのビャッカ・リョウランだよ。
参加が遅くなったけど、よろしくね。

私は前衛で剣を振るよ。
空を飛べることを生かして撹乱したり、同時攻撃を仕掛けていくつもりだよ。

「斬雨」に関してはタスクの方が適任だと思うから、私は立候補しないでおくよ。

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 7) 2021-08-08 01:43:30
教祖・聖職者専攻のアルフィオーネ・ブランエトワルです。
どうぞ、よしなに。

演舞による強化と、各種回復。あとは、牽制をします。


《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 8) 2021-08-08 02:31:08
妖刀で武器受けしすぎると、折られる可能性があります。回避を徹底したほうがいいかもしれません。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 9) 2021-08-08 08:31:29
ビャッカさん!アルフィオーネさん!ありがとうございます!!
心強いです~!ほっとしました!!

ビャッカさん、「斬雨」に関して、お言葉、ありがたく頂戴します。
責任もって、妖刀を預かりますね。

アルフィオーネさん、アドバイスありがとうございます。
もちろん、妖刀を出し惜しみして勝てる相手ではないので、
攻撃はガンガン行くにしても、相手の攻撃処理は回避を優先、と
プランには書いてみました。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2021-08-08 08:34:56
今回の作戦はシンプルです。

剣士は、「鎮魂」の想いを胸に戦うこと。
剣士以外は、剣士をサポートすること。
このことを仲間全員に共有する、と自分のプランには書いています。

そして、初撃は僕に行かせていただけないでしょうか。
根拠はないですが、妖刀は、驟雨との対話を「開く」「鍵」のような
ものだと思っていて、
驟雨の初撃に妖刀を合わせることを、開戦の合図にしたいと考えていますので・・・。

なお、「仲間全員と先輩に共有」とだけ書けたものの、
今のところ、先輩方への声掛けの文字数が足りなさそうです。
僕も工夫してみますが、
文字数に余裕のある方は、何らかの声掛けを考えて下さると非常に助かります!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2021-08-08 12:38:56
少しですが、先輩二人への声掛けに文字数を捻出出来ました!

やはり、先輩を差し置いて、という気持ちはどうしてもあるので、
その辺の気持ちを正直に伝えてみました。
卑屈なわけではなく、前向きなやり取りになるよう、表現は工夫したつもりです。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 12) 2021-08-08 18:46:57
いよいよ今晩出発ですね!

高難易度の戦闘シナリオ、データ的にも超シビアなはずなので、
現在積んでる特技とアイテムを報告しておきますね。
「それよりこっちがいーだろ!」みたいなのがあったら
教えていただくと助かります!

<特技>
不滅の希望
勇者原則1
基本剣技4
精密行動1

<必殺技>
正義一迅相当
不屈の心相当
(博愛主義相当)

<ポケット>
身代わりウサギ改
特級薬草

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 13) 2021-08-08 18:55:29
やあ。私は勇者・英雄コースのアケルナー。よろしく頼むよ。
実のところ、今回は多忙だったんで見送るつもりだったけど……人数少なめで盾役も居ないようだし、駆け込みながら参戦したよ。

現時点出てる内容は把握済みだよ。
私は両手盾装備で、特定の者や後衛に打撃が重ならないように、ダメージコントロールメインで動く感じかな。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 14) 2021-08-08 19:04:06
ところで、戦場は特に指定がなければ校庭になるようだけど、そのままで大丈夫かな?
まあ、下手に建物や施設に被害が出たり、巻き添えが出てもいけないから、私はこのままでいいと思ってるけどね。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 15) 2021-08-08 19:13:10
五月雨ですまないけど、先輩方にはどう動いて貰うのかな?
私達個々よりも腕がたつ方々だし、お任せでもいいだろうけど、個人的には白尾先輩に索敵と周辺警戒に重きを置いて貰って、敵の動きを見逃さないようにしつつ、黒崎先輩には素早さを活かして牽制。

複数人での同時攻撃の際には、一緒に仕掛けて貰う……なんて動きはどうかなと思ってはいるよ。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 16) 2021-08-08 22:12:31
特に反応がなさそうだし、残る時間もないから、戦場や先輩方の件は聞き流して欲しい。

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 17) 2021-08-08 22:24:14
いらした方々よろしくおねがいします。

わたくしの楽器はきりょくを回復しますから、
そういう職業技能を積極的に多用していただけたらうれしいです。
また、先輩の方々にもそうしてもらうつもりです。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 18) 2021-08-08 22:39:42
アケルナーさん、よろしくお願いします!
せっかく来ていただいたのに、お返事が遅れてしまいごめんなさい!

戦場のことは全然意識していませんでした!
ただ、校庭は妥当だと思います。

先輩方の動きを具体的に書いてくださるのは助かります。
僕はざっくり、連携する、としかかけなかったので。
是非お願いしたいのですが、この返事がこんなに遅くなってすみません。
可能なら、アケルナーさんのプランに書いていただけたら助かります!

《幸便の祈祷師》 アルフィオーネ・ブランエトワル (No 19) 2021-08-08 23:31:58
あと、わたしにできることは、祈ってあげることぐらいね(聖職者だったことを思い出し)

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 20) 2021-08-08 23:36:41
とりあえず、先輩方の行動はなんとか盛り込めたんで、お知らせしておくよ。