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【泡麗】rivalizar - 完結篇


ストーリー Story

 無茶しおって――と言ったまま【メメ・メメル】は、継ぐべき句を見失った。
 ベッドの縁に顔を近づけ、怒鳴らずとも静かな怒りと、涙こぼさずとも痛いほどの悲しみをこめて言う。
「クラルテ! チミは病人だろうに! 病人ならじっとしておれ。用向きがあるならオレサマがリーベラントに出向いたのだ」
 メメルの言葉は厳しいが、目にはぬぐいきれぬ寂寞がある。メメルにとって数少ない友、そのひとりにはもう、時間がほとんど残されていないことは明白だった。
「それは違うぞメメル殿」
 かすかに唇をゆがめた。それが現在、リーベラント国王【クラルテ・シーネフォス】のできる精一杯の笑みのようだった。
 痩せ衰えた体、肌はくすんで生気がなく、瞳孔の色すら薄らいでいる。ローレライ族の特徴たる流体の髪も、涸れた用水路のように干からびていた。かすれ声でクラルテは言う。
「依頼とは、頼む側がおもむくもの。一国の代表であればなおさらだ」
「この期におよんで堅苦しいことを」
 だがクラルテらしい、とメメルも眉をしかめ苦笑するほかなかった。
 病身をおしてクラルテは、わずかな随臣とともにフトゥールム・スクエアを訪れたのだった。
 グリフォンを使おうとも短い距離ではない。途上昏倒すること二度、それでもクラルテは学園にたどり着き、学長室の門を叩いた。しかしもう立つことすらかなわぬ状態だった。簡易の寝台が用意されている。国王は横たわったままメメルと対話するにいたったのである。
 海洋国リーベラント、その人口の九割近くはローレライである。リーベラントは事実上、ローレライ勢力の代表といっていい。
 クラルテは国王だが病のため引退状態にあり、現在はその息子【アントニオ・シーネフォス】が代王として王座にあった。
 先日、代王アントニオは対魔王陣営の主導権をとると表明、フトゥールム・スクエアに敵対宣言を出した。
 最初は威勢がよかった。学園に対し、何度か工作をはかったものである。しかし身の丈にあわぬ虚勢をはった重圧からか心を病み、代王の職務を弟の【ミゲル・シーネフォス】に任せアントニオは表舞台から姿を消した。
 ミゲルもアントニオに同調し、反フトゥールム・スクエアの旗幟を鮮明にしていた。だが自身学園生と接触し、妹の【マルティナ・シーネフォス】の口添えもあってミゲルは考えを改めた。一気に方針を転換し、学園を中心とした対魔王同盟を復活させようと動いたのである。
 学園とリーベラントの対立は解消されつつあったのだ。雨降って地固まるのたとえのように、むしろ以前より強固になる望みもあった。
 しかし、クラルテのもたらした報はこの動きとは正反対の内容だった。
「我が子アントニオが一党を率い、タラントにたてこもった……!」
 タラントはリーベラント南の果て、魔王大戦以前からつづく巨大城塞だ。反フトゥールム・スクエアの一党を率いたアントニオは、『我こそ正統なるリーベラント王である。学園に惑わされた弟ミゲルを誅し、対魔王軍の盟主たらん』と告げ反旗をひるがえしたという。
「今さらそんなことをしてどうする!? なんつうアナクロニズムだアホウめっ!」
 メメルは唇を噛んだ。言い過ぎたと思ったのかもしれない。病人クラルテに向かって、その息子をののしったのだから。
 だがクラルテは力なくつぶやくだけだった。
「すまぬメメル殿……これすべて我が不徳の致すところ。余は親としてあまりにも、愚かであった」 
 リーベラント兵同士が争えばそれすなわち内乱である。内乱だけは避けたいとクラルテは言い、目に熱いものを浮かべた。
 わかった、と短くメメルは回答した。

 ◆

 昨年末ごろより代王アントニオはふさぎがちになり、自害すらほのめかすような状態におちいった。学園に対抗の動きに出たものの、ことごとく失敗し心が折れたため――とは巷間の噂だが、実際の原因はわからない。
 アントニオが退位を表明し、療養のため王都を離れたのは事実である。
 その彼が突然、付近の反フトゥールム・スクエア勢を糾合しタラントに籠城したのはどういうわけか。
 リーベラント王宮、学園生たちを前にして、
「ありえん!」
 マルティナは断言した。
「アントニオ兄はんとうちはそない親しなかった。けど、そんなうちかて、あん人がそないなことする人やとはどうしても思えん」
「だとすれば」
 学園生の一人は言いかけて黙った。それ以上の言葉は必要なかった。
 この状況を望む勢力があるとすれば、ただひとつだ。

 ◆

 タラント城塞は規模巨大であり、多数の兵を駐屯させることができる。
 しかしいかんせん古すぎる。なかば破棄された場所なのだった。魔王大戦前から使っている城壁にはほころびがあり、修築するにも長い時間を必要とする。現在アントニオの元に参じた兵数はけっして多いとはいえず、兵站という意味でも、長期の籠城はまず不可能だろう。
 だがリーベラントの世論はなお二割、多く見積もって三割はアントニオの主張を支持しているという。同じ考えの者がタラントに集結すれば一大軍勢になることは必定だ。そうなればもう、内戦を避けることはできない。

 タラント。夜――。
 各地からの支援、リーベラント本国の動向など報告を受けたアントニオは黙って席を立った。顔色は蝋のように蒼白、足取りも幽鬼に似て、周囲の者たちを不安がらせた。
 しっかりしてほしいという本音を押し殺し、味方勢を鼓舞する言葉を、と求めた配下もいたが、
「下がれ」
 一言、アントニオに拒絶されている。
 アントニオは仮の寝所へと入った。
「何者か」
 灯をいれるより先に、アントニオは目を凝らして奥の間を見つめた。
「【マグダ・マヌエーラ】にございます」
 マグダは膝をつき最敬礼の姿勢をとった。月光に照らされる蜂蜜色の髪、妖しいまでに美しき容貌。夜陰にまぎれ潜入したのだろう。黒装束に身をつつんでいる。
「陛下による突然の行動に、クラルテ陛下、ミゲル、マルティナの両殿下……いずれも惑うことしきり、一度兵をおさめ会談をもちたいとのお話です。どうか……」
「無駄だよ」
 せせら笑う声が右側面から聞こえた。瞬時にしてマグダは立ち腰の剣を鞘走らせる。
「アントニオちゃんはもう、私の傀儡(操り人形)だからね」
 ――いつの間に!
 マグダもリーベラントでは名の知れた剣士である。そのマグダの真横、数歩の位置に女が立っていたのだ。気配はまるでなかった。
 かなり若い。切れ長の目に碧い瞳、長い髪は紫がかったプラチナだ。頭頂にはほぼ三角形の、ピンと尖った一対の耳が見える。白狐のルネサンスなのだ。尾は九本もある。牡丹と炎柄の真っ赤なドレスを着ていた。ヒール履きだ。
「ハロー、私はエスメラルダ、略してエスメでいいよ」
 魔族【エスメ・アロスティア】はうふふと笑った。
「魔王軍か! アントニオ陛下をたぶらかし……」
 マグダの言葉は途切れた。
 マグダは両膝をつく。信じられないという表情で、自身の腹部に視線を落とす。
 鋭利な刃物が突き刺さっていた。いや、それはエスメと名乗った女の尾だった。蜘蛛の長い脚のように伸び、マグダを貫いたのだった。
 マグダは全力で体を引き尾を抜いた。喀血する。すさまじい痛みが走ったがうめき声ひとつ漏らさず、
「その首、死に土産にいただく!」
 叫び床を蹴った。
 これがマグダの、人生最後の跳躍となった。
 エスメの尾は放射線状にしなりマグダを襲った。
 マグダの右胸に刃が突き刺さる。続いて腰。
 そして額。

 窓が破れ、マグダの体は城塞外の闇へと落ちていった。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 7日 出発日 2022-02-15

難易度 難しい 報酬 多い 完成予定 2022-02-25

登場人物 6/6 Characters
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」

解説 Explan

 魔王軍の狙いはリーベラント内戦の勃発です。
 タラントに潜入し、黒幕エスメを倒して企みを終わらせてください。

■タラントについて
 城塞です。多数のリーベラント兵が集められていますが、肝心のアントニオに覇気がないためか士気はそれほど高くありません。
 もちろん外部からの進入者には警戒していますが、いくつかルートはあります。
(1)城壁をよじ登る
 マグダが用いたルートです。高い技能と道具、決死の覚悟があれば登攀できます。しかし全員でよじ登れば目立ちます! 1-2名がせいぜいでしょう。
(2)秘密の地下通路をたどる
 王族のみに伝わる緊急脱出用の通路があるそうです。ミゲルやマルティナならば教えてくれるはずです。ただしこのルートはアントニオに予期されている恐れがあります。
(3)兵に紛れる
 アントニオに味方すべく、複数のローレライ豪族がタラントを目指しています。その兵にまぎれるという手段もありそうです。ですが、ローレライでなければ疑われるかもしれません。 

■NPC
【エスメ・アロスティア】
 渾沌を求める魔族です。数メートルは伸ばせる九尾を刃のように変化させ攻撃することができます。眼光は催眠術のような効果を発揮し、心に隙がある人間を操ることができます。あなたの心に隙があれば、つけいろうとしてくるでしょう。(マグダがエスメの接近に気がつかなかったのも、知らず催眠術にかかり「いない」と思い込まされていたためです)
 魔族として迫害を受けてきた過去がトラウマとなり、彼女の行動原理になっています。

【アントニオ・シーネフォス】
 エスメに操られている状態です。力量はそれほどありませんが、命じられるまま皆さんに襲いかかってきます。

【マグダ・マヌエーラ】
 過去作『【泡麗】誘惑の吐息』などに登場していたリーベラント剣士。死亡しました。
 彼女は最後の力を振り絞り、皆さんにメッセージを残しています。城壁をよじ登る途中で見つかるかもしれません。


作者コメント Comment
 マスターの桂木京介です。
 本作は【泡麗】シリーズの最終エピソードとなりますが、もちろん本作からのご参加も歓迎します!

 魔王軍幹部エスメラルダ(エスメ)はリーベラント代王アントニオを操ることに成功しました。アントニオは心神喪失状態にあり、心を乗っ取ることがたやすかったからだと思われます。
 リーベラントになお残る反フトゥールム・スクエア勢を糾合したアントニオは、古城タラントを拠点とし兵を集めています。このままではリーベラントは内戦状態におちいることでしょう! そうなってしまえば、魔王に立ち向かう勢力は一気に弱体化するおそれがあります。
 タラントに潜入しアントニオに接触、そしてエスメを撃破してください。

 エスメは【ドクトラ・シュバルツ】【スチュワート・ヌル】を上まわる強敵ですが、精神的に不安定でゆさぶりに弱いという欠点があるようです……。

 それでは次はリザルトノベルで会いましょう。
 桂木京介でした。



個人成績表 Report
ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:194 = 162全体 + 32個別
獲得報酬:5760 = 4800全体 + 960個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
タラントに潜む内戦の黒幕の撃破及びアントニオ保護

◆潜入
ミゲルさんの配下等の伝を使って、ローレライ豪族の臣下という感じで潜入
潜入後は警備に見せかけ要塞内の様子を確認

◆工作
地下通路組が敵に見つかって交戦に入ったら、武具や食料の保管庫等に居る兵のもとに伝令として向かい、保管庫の兵にも応戦に加わるよう伝達
保管庫の見張りが居なくなった隙に、物資に油を撒いて火をつけ焼き討ち

その後、「敵の別動隊が保管庫を焼き討ちして逃げた」とか流言飛語を流し、敵が混乱してる隙に、地下通路組に合流

工作等の際には海底の精の直感、魔法感知で周囲を警戒し、敵に気付かれないように

◆応戦
後方からリーライブで回復しつつ、仲間が催眠、魅了等受けたら恩赦の裁で解除等支援
隙をみて聖鎖陣でアントニオを拘束し、彼の身柄を確保

クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:194 = 162全体 + 32個別
獲得報酬:5760 = 4800全体 + 960個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
(1)のルートを選択

忍縄を使い、運動神経と跳躍を駆使して城壁を登ろう
また、先行しフィリン君が登りやすいよう先の道のりをしっかり確かめながら進む。暗視順応も活かし、主に掴みやすい凹凸や綻びなどを探る
その過程で、あるいは何か別のものも見つけられるかもしれない

部屋に辿り着けたら、まずはアントニオ……もしくはエスメラルダに目的などを問いかけつつ、仲間が合流する時間を稼ぐ
もしあちらのルートが苦戦しているようなら外の屋根へダードを放って壊し、兵士の注意を惹いてみる

交戦が始まったら、アントニオの対応は仲間を頼り、俺はエスメへ注力
立体機動であの尻尾を免れながら、杖による魔法弾や、ミドガトルを中心に攻め立てる

また、あえて魔族を侮辱しエスメを挑発。隙を作り、仲間のチャンスへ繋げよう
俺はそこにアン・デ・フィアを放ち連携攻撃だ

催眠を狙ってくるもしくは催眠にかけられた場合は、瞳を閉じ情報を遮断
気配察知でエスメの憤怒を感じ、奴が動いたらカウンターの要領で懐に飛び込み、無詠唱かつ5倍に威力を高めたダートガを撃ち込もう

フィリン・スタンテッド 個人成績:

獲得経験:194 = 162全体 + 32個別
獲得報酬:5760 = 4800全体 + 960個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
●方針
(1)クロスと共に城壁をよじ登って潜入。
(2)(3)の仲間が合流しやすいよう、誘導と露払いを

●事前準備
『秘密の地下通路』の出入り口について確認

●行動
「こうも早く動いてくるなんて……無事でいてよ、みんな」

灯りはなしで『暗視順応』、気づかれないよう行動を
まずは城壁を『忍縄』を使い、『忍び歩き』で潜入。
マグダのメッセージを確認したら、地下通路の出口の方へ向かい、待ち構える兵を掃討。
時間があればマグダのメッセージや屋内の配置について木炭で壁などに示して情報共有を図る。

エスメとの決戦は合流まで防御主体で、揃ったところで攻勢

●心の隙
あらかじめ想定して隙を突かれないように…ありそうなのはパオロの安否?

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:194 = 162全体 + 32個別
獲得報酬:5760 = 4800全体 + 960個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
リーベラントの内乱阻止の為に動こう
具体的にはアントニオさんの確保だな

タラントに突入するルートは(2)

皆の方針通り陽動としてこちらに敵兵力を集めて進もう
ただ、一般兵等相手にしててもしょうがないし覇道行進を使って最速で
タラント内につけるように移動しよう
もちろん一人で突出してもしょうがないからチームでだが
早く着ければ援軍として(1)(3)に合流できるはずだ

アントニオさんにあったら無力化させて生け捕りを狙おう
ここで討ち取っちゃうと取り返しの付かないことになりそうだからな
無力化には絶対王セイッ!、天国のマロングラッセで試みる
マロングラッセは無理やり食べさせよう

アドリブA、絡み大歓迎

エリカ・エルオンタリエ 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:486 = 162全体 + 324個別
獲得報酬:14400 = 4800全体 + 9600個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
(2)ルート侵攻

(1)と(3)が素早く目的を達成できるように(2)で注意や戦力を引き付ける

ミゲルさんやマルティナさんに通路の詳細を聞いておき
兵が待機したり警備している場所を予想

発見され次第、なるべく騒ぎを大きくし、注意や戦力を引き付け
戦力が(1)(3)に向かわない様立ち回る
発見されなかったり、戦力の集結が悪い時は超炸裂の種で爆音を鳴らす
戦力集結次第、こちらが押し負けているように見せかけ
遅滞防御を行いながら緩やかに後退し、なるべく城塞中枢から戦力を引き離し
通路に発煙筒を投げ込んで視界を奪い
スピリアで加速して
【気配察知・動作察知】で見つからない様に通路を進み
中枢の(1)(3)の味方に合流して支援

タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:194 = 162全体 + 32個別
獲得報酬:5760 = 4800全体 + 960個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
事前準備としてマルティナ様に信用を駆使して話を聞き
設計で地下通路の適切な進行ルートを把握
アントニオの本来の人柄を把握し
暴挙は魔族の洗脳が原因ではないかと推測

(2)の地下通路から潜入
迅速に進行するが
敵と遭遇時点で目的を陽動に切り替える

勇者原則でセントリア戦と同じ口上に迫力をさらに上乗せし
大義名分を以下のように加える

「代王様の御目をお覚まし申すため、押し通る!」

他ルートの仲間と合流次第敵の本丸へ

(3)の仲間の演技がバレないよう配慮

アントニオと遭遇したら無力化と確保をはかる
まず洗脳を疑い仲間から預かった正妻の制裁で正気に戻す
上記または仲間の手段が空振りの場合に手持ちのロープで拘束し
監視下に置く


リザルト Result

 倒したインク壺のような空である。月光は瀕死で、遠雷とどろくも一条の雷光とて見えない。
 古城タラントは王冠に似た姿でそびえ立ち、傲然とこちらを見おろしているように【ベイキ・ミューズフェス】は感じた。はるか高み、緑のガラスのはめられた狭間(銃眼)は王冠中央の宝石のようでもあり、一つ目巨人の瞳のようでもある。眼に『見ているぞ』と言われているような気がしてならない。『貴様らの小細工など見とおしているぞ』と。
 だが引き返すことはできない。黒毛の馬の背にあって、ベイキは声を限りに口上を述ぶ。
「申し上げる! アントニオ陛下に奏上申し上げる! ジルヴェストロ男爵が臣にして娘、ジルダ・ジルヴェストロ参上仕候(つかまつりそうろう)! 精兵三千、すべて陛下にお預け申す!」
 精兵三千とは吹いたものだ。実際の手勢はその半分に満たない。こういった状況下では、兵数は多く表現するのがならわしである。
 ベイキは【ミゲル・シーネフォス】に相談し、アントニオに近い筋の臣下を紹介してもらって名と兵を借りたのだ。実際のジルヴェストロ子爵はアントニオの檄(招集文書)に態度をあきらかにしていない。弱小勢力が旗幟鮮明にせず、対立する両陣営ともにいい顔をしておくのは乱世のならいだ。ローレライならなおさら平常運転といえるだろう。
 しかし地方領主のことゆえ、実情をアントニオ軍は把握していないはずだ。少なくとも軍装と旗は本物だ。
「頼もしい援軍、歓迎しますぞ」
 城門が左右にひらき、甲冑の戦士が略式敬礼をもってベイキを迎えた。女性だ。
 ベイキははっとして兜を目深にかぶり直した。
(バルバラさん!)
 この可能性を考慮しなかったことが悔やまれる。迎えにあらわれたのは【バルバラ・ブッフ】だったのだ。ベイキは彼女と数ヶ月前、蛟(ミズチ)の水塞をめぐる戦いで剣を交えたことがある。言葉もかわした。看破されれば終わりだ。
 だが天候が幸いした。場内にはかがり火があるも外は闇、ベイキの正体にバルバラは気づかぬ様子で、
「遠路はるばる感謝します。どうぞ中へ」
 と迎え入れた。
 灯に照らされるバルバラの表情は暗い。
(そうでしょうね……)
 ベイキは同情を禁じ得なかった。バルバラはリーベラントと学園の和解を強く望んでいた。アントニオに学園との講和をとき、逆鱗にふれて降格されたという話である。それでもアントニオに従い大義なき蜂起に身を投じているのは、ひとえに彼女の強固な忠誠心ゆえにちがいない。

 リバイバルの身だからといって、城壁を飛び越せるものではない。
 壁を登る技術と努力が必要だ。体重という概念から解放されているせいかいくらかはましだろうが。
(楽じゃないね)
 忍縄をつかみ【クロス・アガツマ】はため息をついた。
 縄をかけるだけでも大変だった。新月の夜より暗い闇、手がかりとなるポイントを見つけだすだけで一刻ちかい時間を要したのだから。
 だが同行する【フィリン・スタンテッド】も暗視に長けているおかげもあって、登攀をはじめると、わずかずつとはいえ着実に上昇できている。
「その先、大きな窪(くぼ)みがあるわ。人が入れるくらいの」
 フィリンがクロスにだけ届く音量で告げた。
「地獄に仏だな」
 もぐりこんでクロスは息を吐いた。見るだに寒々しい灰色の壁だが、今は自分を包みこんでくれている。
「そのようね」
 フィリンも膝をかかえ、くぼみに背を預ける。
 今回のこと、とフィリンは言った。
「どう思う? 一度は退位宣言したアントニオ代王が突然の武装蜂起、あまりに手が早い」
「アントニオが暗愚とは聞かないが、才気煥発なタイプでもないようだ。単独犯じゃなさそうだね」
「……内通者でもいたのかしら」
「さもなくば、黒幕か」
「やっぱりそう思う?」
 クロスはうなずく。事件の背後に魔王軍がいるであろうことは、確認しあう必要もないだろう。
「心配なのは彼女のことね」
 やはりクロスは、黙ってうなずくほかなかった。【マグダ・マヌエーラ】のことである。社交界が似合うグラマーな美女だが、軍人としてのマグダは情報将校をこなしていたらしい。今回もミゲルの命を受け、彼女はタラント城塞に潜入をはかったと聞いた。だが現在、マグダの消息は絶えているのだ。まだ潜入できていないという可能性もある。敵の手に落ちた可能性もある。しかしもっと酷い可能性も当然、ありうる。
 マグダとは因縁浅からぬクロスだ。当然、気にはなったが、
「先を急ごう」
 懸念を振り払うように告げ、ふたたび縄を手にした。

 水路だ。くるぶし付近まで水がたまっており、歩くとどうしても水音が立つ。
 これじゃあ、と【仁和・貴人】が言う。
「音もなく潜入とはいかないな」
「好都合とも言えない?」
 かく言うのは【エリカ・エルオンタリエ】である。
「ですよね。僕らの目的からすれば」
 応じたのは【タスク・ジム】だ。
「むしろ鉦(かね)や太鼓を鳴らしながらでもいいくらいです」
「正義のフトゥールム・スクエア参上! って?」
 エリカが笑う。
「ま、派手にやって構わない、ってのは助かるな。……ということで急ごうか」
 貴人は足を速めた。冷たい水が跳ねる。
「このさき突起があるぞ。二人とも気をつけてくれ」
 夜目のきく貴人が先頭、タスクとエリカが彼につづいた。
 三人がたどっているのは古城タラントと外部をつなぐ秘密の地下通路である。リーベラント王族にだけ伝えられた脱出路だという。本来は城から出るための道を逆走しているのだ。
 出立にあたり彼らは、アントニオの弟ミゲル・シーネフォス、同じく義妹の【マルティナ・シーネフォス】と事前協議を行っていた。以下はこのときの会話だ。
「リーベラント正規軍は本件にかかわらないでください」
 協議に先立ち、エリカははっきりと告げた。
「正規軍がかかわってしまうと、アントニオ代王の件は内乱と確定します。どうかフトゥールム・スクエアだけにお任せを」
 シャンパン色の髪をしたミゲル、黒髪でそもそもローレライではないマルティナは顔を見あわせた。
 しかし、と難色を示すミゲルを制し、マルティナはおだやかに述べたのである。
「せやね。みんなには申し訳ないけど、それが一番よさそうや」
 ミゲル兄はん、とマルティナは肘でミゲルをつついた。ミゲルは空咳してから、
「せめて協力はさせてもらいたい。王家にのみ伝わる地下通路を教えよう。潜入に使ってくれないか」
 と述べた。
「地下通路? 王族に伝えられた?」 
 貴人にマルティナが答える。
「城が敵に包囲されたとき、王族だけ逃げられるようにこういうのが作ってあんねん」
「それって、城に残る国民を捨てて自分たちだけ逃げるために作られたものなんですか?」
「その通りだ。恥ずかしいことだが……」
 口ごもりつつもミゲルは認めた。
 やれやれ――貴人は腕組みした。国滅びても為政者残る。どの世界、どの時代にあってもこういう思想はあるものらしい。
「せやけど、アントニオ兄はんかて秘密の通路も知っとるんちゃう? 待ち伏せにあうかもしれんで」
「マルティナ様、もちろん承知の上です」
 すずやかにタスクが言う。
「だとしたらむしろもっけの幸い。多いに利用させていただきます」
 タスクは自分の考えを話した。
 ほーう、とマルティナはうなった。
「タスクはんて……ちょっとカッコええな。軍師って感じで」
 予想外の反応だ。マルティナは瞳に星をやどしている。
「こんなときになんやけど、無事戻ったらいっぺん、うちとデートしてくれん?」
「えっ?」
 タスクはエリカに目をやり、マルティナに向き直って、とにかく、返答に困った。

 ◆

 長年にわたる雨風が、城壁に少なくない損傷を与えている。遠目にはつるつるとした陶器のように見える壁も、近くで見ればひび割れやほころびばかりだ。
 手がかりに手をかけ、足をかけてクロスは進んでいた。
 途上、
「――!」
 手を止めて壁の突起を凝視した。水平移動してフィリンを呼ぶ。
「フィリン君、これを見てくれるか」
「どうしたの?」
 フィリンがクロスに並んだ。
 壁に何かが描かれているのだった。崩れかけ飛び出した部分の真横に。
 赤黒いペンキで殴り書きされたものにも見える。しかし実情は異なるだろう。
 血。
 血液で描いたものだ。はっきりとフィリンは認識している。
「……あきらかに人為的なものね、しかもまだ新しい」
 血痕は乾いたばかりという印象だ。せいぜい数日前のものだろう。昨夜の可能性もある。
 突起に片腕をかけ、もう片方の手で記したものと思われた。
 眼のようなものが描かれている。ただし眼には大きく、Xのような印がかぶされていた。
「素直に読めば、『見るな』ということかしら」
 フィリンの顔が強張っていた。最近、壁にこの絵を残した人物がいるとすれば――。
「あるいは」
 クロスが言った。
「『眼に気をつけろ』、か」
 ダイイングメッセージという言葉が頭に浮かんだが、クロスは口にしなかった。
「……先を急ごう。これが託された意志だとすれば、俺たちは背負って進むだけだ」
 もうじき頂上に着く。

 どれほど進んだだろう。
 外は雪も降ろうかという如月の夜、地下通路の冷えはますます強まり、足元はほとんど氷水だ。足の感覚などとうに消え失せている。それでも地下通路をすすむ三人の士気はおとろえてはいなかった。
(極限状況に強くなったもんだ、我ながら)
 自分のことだというのに、なんだか驚いてしまう貴人だ。
(学園ではずいぶんしごかれたからなぁ……)
 豪雨の日に体重の半分近い荷を背負って山越えしたことがある。氷雪にまみれたバトル演習もあった。血も凍るようなダンジョン試練も何度となく体験した。やっているときは滅茶苦茶だと思ったものだが、それまでの座学が活かせる実地訓練だったことは事実だ。体力を持続させるペース配分、呼吸法、休憩を取る間隔など、サバイバル術として身についた。装備品や携帯食の最適な使い方も体得できた。
 やはり学校なのだ。
 フトゥールム・スクエアは世界で唯一の、勇者の学校なのだ。
「……そろそろかな」
 貴人は足を止めた。
 伏兵の可能性があるとすれば、とエリカが小声で告げる。
「この先ね。限りなく直角の曲がり角があるはずだから」
 元々広くない地下通路の道がさらに狭くなっている。
 ミゲルの情報によるものだ。おおまかな地図を描きながら説明してくれた。幼少時に何度か見た程度だが、と断ったうえでの解説だったものの、現時点まではほぼミゲルが語った通りの道のりだった。
「剣は、使いたくないですね」
 背負った剣に、タスクは手を伸ばすことすらなかった。
「たとえ見ている方向がちがっても、リーベラントの人たちは魔王と戦う同志ですから」
「でも楽じゃなさそうよ」
 エリカは目を閉じ、先に待ち構えているものの気配を探った。鋭い刃の気が満ちている。魔法を準備しているのだろうか、待機中の魔力特有のピリピリとした空気の匂いも感じた。
「なーに、楽じゃないのは承知の上さ。いつだってそうだったじゃないか」
 貴人は仮面の下から笑みをこぼした。同感です、とタスクが言う。
「むしろ挑戦しがいを感じます」
「私も」
 エリカは自分が、このうえなく落ち着いていると知っていた。恐いという気持ちがないと言えば嘘になる。けれど乗り越えるべきものがあるとすればとるべき手段はひとつ、乗り越えるだけだ。
(私たちにはそれができるのだから)
 予想は誤っていなかった。まもなく三人は伏兵の襲撃を受けたのである。
 待ってましたとタスクは言いたい。多勢に無勢は承知の上だ。かくなれば気合いで上まわるまで!
 先頭の兵を盾ではじき飛ばすと、タスクはカッと眼を見開き怒声を上げた。
「小細工笑うべし! かような伏兵は予想済ッ! 命惜しくば道を空けよ!」
 届きやすいよう古典的な言い回しで、雷鳴のごとく言葉を叩きつける。
「覚えておくがいい! これなるはタスク・ジム!」
「仁和貴人!」
「エリカ・エルオンタリエ!」
 何度も死線を乗り越えてきた三人である。その名を知っている兵もあるはずだ。相手がひるんだのを読み取るや三人声を揃えて叫ぶ。
「代王様の御目をお覚まし申すため、押し通る!」
 練習したわけでもないのに、声はぴったりと重なった。
 つづいて伏兵たちの眼前に飛びこんできたのは発煙筒だ。エリカが上手投げに投げ込んだものである。

 城内。
「敵襲! 敵襲!」
 すでに深更だ。大半の兵士が就寝している。静まりかえるなか、血相を変えたリーベラント兵士が転倒しそうになりながら階段を駆け上がってきた。
「騒がないで。何事ですか?」
 兵士は、翆の髪をしたローレライ女性に呼び止められた。見慣れない姿だったが、立派な装備であることから名のある将官と彼は判断した。直立して口上する。
「はっ! 陛下ご懸念の地下通路から賊軍が侵入を試みた模様!」
 将官――ベイキは落ち着いた口調で問う。
「人数は?」
「後続の可能性はあるものの、三名ということであります!」
 三名、と口にして彼は気がついた。敵襲と表現するほどの人数ではない。地下にはそれに二十倍するほどの番兵を置いているのである。
「三人?」
「は……はいっ!」
 兵士は肝を冷やした。『それしきの小勢にうろたえるとは何事ですか!』と一喝されるかもしれない。現在、タラントには城を埋めるほどの兵数が駐留していた。とはいえ、各地から集まった親アントニオ勢力がゆるやかに合流しただけの寄り合い所帯なのである。浮き足立てば算を乱し、統制がとれなくなることだろう。
「そうですか。よく知らせてくれました」
 ベイキはにこりとほほえんだ。
 叱られなかった、と兵士はほっとすると同時にのぼせてしまう。なんと美しい人だろう。花も恥じらうとはこのことか。
 ところがこの麗人はつづけて、兵士の予想を裏切ることを口にしたのである。
「だとしたら騒がねばなりませんね……敵襲です、それも危険な。あなたも皆に知らせなさい! 早く!」
 兵を起こしなさいと言い残してベイキは走り出し、声を限りに叫んだのである。
「敵襲です! 地下通路から敵襲! 早く起きて! 手勢は数千から一万の規模! 保管庫に火を放ちました!」
 ベイキはポケットからランタンの油と、火打石を取りだして握る。
 残された兵士は混乱のきわみにあった。敵勢一万? 保管庫に火?
 しばし兵士は呆然と、ベイキの背中を見送っていたが、
「て、てきしゅうー……」
 自分も仕方なく、弱々しい声を上げながらベイキと反対方向に駆けていった。

 敵襲?
 数万の兵団が地下から突入したというぞ!
 いや外だ。城外から押し寄せたのだ。
 城内は蜂の巣をつついたような混乱におちいっていた。ベイキの狙い通りだ。流言が流言を呼び、不確かな情報が黒雲のごとく恐怖をあおる。保管庫から火があがると恐慌には拍車がかかった。鎧を前後逆に来て右往左往する者、隣の兵と一本の槍を奪いあう者、城壁の裂け目から外へ出ようとする者、反応はさまざまだが冷静な兵士は極端に少ない。
 巨大な音が立つ。混乱のあまり城門を開いた兵がいたのだ。これ幸いとばかりに、城外の敵を迎撃せん! と言葉ばかり勇ましく偽りを述べ、諸侯のひとりが馬にまたがり飛び出していった。我も我もと一軍がしたがう。外は闇、幾百里駆けようと敵などいないのだがどこまでも突進していく。おそらく彼らはもう戻ってくるまい。
 騒擾(そうじょう)の発端となった地下通路も状況は五十歩百歩だ。兵による障壁は蹴散らされていた。
「踏み潰されたくなくば道を空けよ!」
 盾を前面に構え、タスクが突進している。狭い通路だ。流言にあるように数万だの数千だのの軍団が通れるはずはない。けれど実態を知らぬ兵たちは、彼の背後に大軍があると恐れ、ほとんど抵抗することもなく逃げ散っていった。
 いつしかタスクは階段を駆け上がりタラント内部に突入していた。スピリアをエリカから付与され、凧のような揚力を得ていたおかげもある。
「援軍を呼べ! 兵を集めろ! 哨戒兵も代王の護衛も全部だ!」
 混乱に乗じてタスクが呼ばわると、釣られたのか口々に地下経路への集結を叫ぶ声がつづいた。
(面白いように乗ってくれましたね……やはりアントニオ代王の軍は、それほど士気がないようです)
 いくらか愉快な気持ちになるタスクだが、今回はリーベラントに死者を出さないと言う目的もある。気はゆるめない。
 貴人もつづく。息を深く吸い、威嚇のため大鎌を振り回し叫んだ。
「逃げるなら追わない。だが抵抗すれば容赦はしない! どちらが得かわかるよな!?」
 延焼する炎を背負い、夜風に黒マントをはためかせ大鎌を回転させる仮面の男――怖じ気づいた兵たちからすれば、貴人の姿は死神に見えたことだろう。立ち向かおうとする兵は皆無に近く、戦意を喪失するものが大多数だった。ある兵などは武器を投げ捨て、両手を上げて命乞いまではじめたのである。
 貴人は内心苦笑する。元いた世界のニュース映像で、こういう光景を目にしたことがあった。
(なまはげにでもなった気分だね。悪い子はいねがーってか)
 なまはげであれば相手は子どもだが、こちらは立派な兵士が相手だ。まさか良い子になれとも言えないので、威嚇して追い払うにとどめる。
 エリカは超炸裂の種を手にしていた。殺傷や破壊が目的ではないので、人のいないところや壁をめがけて投じる。(わたしたちの任務は陽動――!) 
 種はすさまじい音を上げ爆(は)ぜる。勇士であっても肝を冷やすような轟音だ。怖じ気づいている兵隊なら逃げる理由として充分だろう。事実エリカに立ち向かってくるものはなかった。ただ一人の女性を除いては。
「あなたは……!」
 エリカは息を飲んだ。
 パールレッドの甲冑に紋章、リーベラント正規軍の証だ。がっしりとした体格、角張った顔立ち、燃えるようなまなざしで、射貫くように自分を見つめている。
「バルバラさん……」
 バルバラ・ブッフ、騎士の称号をアントニオ代王に剥奪され準騎士の身分となったとはいえ、今なおリーベラントを代表する武人である。
「エルオンタリエ殿ですか。このような形で再会したくはなかった」
 バルバラは腰の剣を抜いた。毅然と告げる。
「本件はリーベラント国内の問題ゆえ、フトゥールム・スクエアの方々は口をはさまぬよう願います」
 いきなり斬りかかったりはしない。しかし返答次第では――とバルバラが言っているのがわかった。
「待って……待って下さい!」
 とっさにエリカは手のひらをつきだしていた。
「バルバラさんなら理解できているでしょう? 学園とリーベラントが主導権を巡って争うのは敵を利するだけだと! この状況こそわたしたちの共通の敵、魔王軍の思うつぼだと!」
「……わからぬはずがありません」
 バルバラの口調に乱れはない。
「ならば争うのはやめて共に困難に立ち向かいましょう! 今、不和を煽る獅子身中の虫を燻り出すためわたしたちの味方が代王のもとにむかっています。どうかバルバラさんも力を貸して下さい」
「それもわかります。ですが……できんのです!」
 バルバラが剣を凪いだ。威嚇のための一撃だろうが、風切る一刀は真空波を生じ、うなりをあげエリカの頭上を滑走していった。あと半身分も下方を狙われていたとしたら、エリカの身はどうなっていたか知れない。
「私はアントニオ代王に忠誠を誓った身、たとえ陛下が惑わされていようとも、死ねと言われればこの命を捧げる所存! あなたを通すわけにはいかんのです!」
 バルバラは地を蹴り、エリカに大きく踏みこんだ。



 城壁は越えた。
 ひきつづき灯はもたず、息を殺し身をかがめ、フィリンは見張り台から滑り降りる。
 回廊を進むも猫のように音を立てない。壁沿いの建築物に高層階から進入した。
 耳を澄ませるまでもなかった。
 階下、すなわち城内の混乱はこの場所までとどいている。警備兵が少ないのもそのせいだろう。避けられない位置にいる兵だけは不意打ちで気絶させ、あとはやりすごして先へ進んだ。
 窓から炎が見えた。城内に火が放たれたのだ。混乱を高めるためベイキやエリカが仕掛けたものだと思いたい。
「……無事でいてよ、みんな」
 つぶやいて顔を上げると、クロスが握った拳を立てたのが見えた。彼は扉の前にいる。
 この部屋を調査する、という合図だ。
 フィリンが駆け寄ってくるのを確認し、クロスは扉を開けた。
(暗い……無人か?)
 と思いきや灯火がついた。どういう原理か、部屋中の蝋燭が一斉にともったのである。
 円形の広い部屋だ。中央に玉座がある。
 座にある人物は、黄金の髪をしたローレライの青年だった。整った中性的な顔立ちだが、目の下には濃い隈がある。頭には王冠があった。代王【アントニオ・シーネフォス】にちがいない。
「何者か」
 ぽつりと言う。奇妙なのは彼が、ただの一人も随臣をおいていないことだった。警護の兵すらいない。
「アントニオ代王陛下とお見受けしました。自分はクロス・アガツマ、フトゥールム・スクエア学園長【メメ・メメル】のメッセージを伝えるために来ました」
「同じくフィリン・スタンテッド。陛下に申し上げます。この蜂起は無意味、せめて話し合う余地を」
 パン、パン、と手を叩く音が聞こえた。
「やめやめー! もうそういうのやめませんこと? 古典演劇じゃあるまいし」
 玉座の背後から、細身のルネサンスが姿をあらわす。赤いドレスを着た女性だ。青い眼、やや紫がかった白い髪、尾が九本もある。長いスカートをつまんで挨拶した。
「私(わたくし)、エスメラルダ・アロスティアと申しましてよ。略して【エスメ・アロスティア】、よしなに」
 優雅な仕草なのに強烈な圧が伝わってくる。常人ではない。
「黒幕の魔王軍か。堂々と出てきたところは評価するよ」
 クロスが告げるとエスメは笑って、
「ご名答、どうやら下の騒ぎもあなたがたの仕業ですことね。お下品ですこと」
「目的は何だ? 彼に、一体何をした」
「彼? ああ、アントニオちゃんね? どうもこうもしてませんわよ。私の説得に応じて、魔王軍に加わっていただくことになっただけですわ」
「嘘ね」
 フィリンが指さして告げる。
「どう見ても彼、まともじゃないわ」
 実際、アントニオは動かず、ぼんやりと前を向いたまま動かない。目を開けたまま夢を見ているかのようだ。
 クロスとフィリンが会話をしかけたのは、タスクたちが追ってくる時間を稼ぐためでもあった。フィリンは道すがら木炭で壁に印を残してきた。学園生ならすぐにわかるはずだ。
 エスメが返事するより早く、クロスが言葉を重ねた。
「もうひとつ、訊いておきたいことがある。マグダ・マヌエーラを……殺したのは、お前か?」
 認めたくはなかった。しかしクロスには、そう結論を出すほかなかった。
「あら?」
 エスメは右の人差し指を曲げて唇に当てた。
「あの子、あなたのお知り合い?」
「恩人だ。以前ダンスを教わったことがあってね。おかげで大事な場面でうまく踊れた」
「なるほど。ところで私が殺したかですって? そんなまさか」
 エスメは孔雀羽飾りの扇子をとりだし、開いて口元に当てた。
(マグダは死んだわけではない……?)
 わずかにクロスの緊張が緩んだ。だがわずかなことだった。エスメはあざわらったのである。
「殺すなんて可愛いものじゃありません、気持ちよく『惨殺』してさしあげましたわあ!! 可哀想にね、顔なんかぐちゃぐちゃになってしまいましたわよお~!!」
 魔族エスメが目を見開いた。瞳孔から飛び出したのは黄金の光だ。
(しまった、眼――!)
 光がクロスの目をとらえた。
 フィリンも少なからず衝撃を受けたが、
「マグダ……そう。そう、なんだ」
 反射的に目を覆ってもいた。クロスの目に、エスメから放たれた光が突き刺さったのが見えたのだ。クロスはそのまま、石像になったかのように動かない。
(アイツの目、なんらかの悪影響を与えるのね……!)
 マグダが遺したメッセージの意味はこれだ。
 フィリンは希望の剣を抜き、エスメの目を見ぬように斬りかかる。
 火花が散った。
 フィリンの刃が、別の刃に防がれたのだ。
「我らが大儀の……邪魔はさせない……よ」
 口調こそあいまいだが太刀筋は本物、フィリンの剣を受けた主は大きく剣を払い、フィリンの身を弾き飛ばした。
「……まさか!」
 絨毯の上を転がるも短い間だ。フィリンは手をついて立ち、そして見たのである。
「パオロ!」
 エスメとフィリンの間に立っているのは見覚えのある青年だ。【パオロ・パスクヮーレ】、鎧は着ず平服姿だ。笑みを絶やさぬ美青年の彼が、今は空洞のような目でフィリンに剣を向けている!

 エリカはバルバラの剣を受けない。後退しながら一歩、また一歩と城門へと近づき、やがて城門の外に出た。
「エルオンタリエ殿! なぜ戦わぬ! 抵抗しない相手とは本気で戦えない! 私に恥をかかせるのですか!」
 バルバラは攻めあぐねているようだ。それでもエリカを追うのをやめなかった。
 エリカとバルバラの戦いを見て、侵入者側が押し負けていると判断したのだろう。膨大な兵数がバルバラの背後についていた。だがバルバラは頑として、味方勢がエリカに攻撃することを許さなかった。あくまで一対一にこだわる。それがバルバラの矜持であり、意地悪くいえば弱点でもあろう。
 逃げてバルバラを待ち、バルバラが迫ればまた逃げる。きわどい綱渡りだがエリカは渡りきった。城門を出てさらに数百歩、バルバラを誘導してついに言った。
「恥? いいえ、バルバラさんはなお誇り高い武人です。虜囚の辱めを受けるのはわたし」
 両手をあげ、エーデンユートの杖を地面に落としたのである。
「降伏します。この身をあずけましょう」
「今さら降伏!?」
「何の真似だ!」
 いきりたつ兵士もあったが、バルバラが振り返ると一様に黙った。
「……」
 バルバラは黙ってエリカを見つめていたが、おもむろに膝をつきエリカに最敬礼の姿勢を取った。
「私の負けです。エリカ・エルオンタリエ殿、どうやら貴殿はみずから囮となって、城中の混乱を最小限にし、兵の同士討ちを出さぬ策(て)をとっていたらしい」
 バルバラの背後にいる兵は千を超える勢いである。エリカとバルバラの交戦に釣り出されたという格好だ。
「今から戻ってもアントニオ陛下は守れますまい。私はすべてに失敗した」
 言うなりバルバラは自分の喉に剣を当てようとした。だがエリカは彼女に飛びついてこれを制した。
「いけません! 早まらないで! 私の学友たちはアントニオ陛下を助けます!」
「なぜそう言い切れるのです!」
「それはわたしたちが」
 一瞬言葉に詰まったが、すぐにエリカははっきりこう告げたのである。
「フトゥールム・スクエアだからです」

 ◆

 放射線状に延びたエスメの尾が、大鎌の軌跡によって軌道を歪められた。
 ただの鎌ではない。貴人の獲物、漆黒の大鎌だ。彼も広間にたどり着いたのである。
 身をかがめ大鎌を構え、肩で息をしながら貴人は目を細める。
「尻尾がたくさん……しかも伸びるだって!?」
 言いながら貴人は、背後にかばったクロスに呼びかける。
「アガツマくん! しっかりしろ!」
 危うくクロスは、エスメの餌食になりかけていたのだった。クロスはぴくりとも反応しない。
 貴人は振り向きざまに、さらなる尾の攻撃をはじく。
「おい! えーっと、そこの彼女! 悪さはやめろ! オレが相手だ!」
「エスメですわ。あら格好いい仮面ですこと、あなた、こっちを向いてくれません?」
 フィリンはこのやりとりを聞いていたが制する余裕はなかった。パオロの攻撃をずっと防いでいたのだから。
「え?」
 貴人はエスメを見る。同時に彼女から黄金色の視線が放たれた。
『見ましたわね?』
 エスメの声は貴人の脳に直接突き刺さった。
『あなたの心の弱み……私に見せなさいな』
(弱み……?)
 貴人の脳裏にメメ・メメルの姿が現れた。なぜそこにメメルがいるのかはわからない。でも無我夢中で貴人は呼びかける。
『メメたん好きだ! 付き合ってくれ!』
『急にそんなこと言われても困るよチミィ』
 メメルは貴人を拒絶せず、彼の頬に手をふれた。
『でも、魔王をなんとかできたら考えてやらんでもないぞ♪』
『マジデスカ!?』
『期待しとるからな☆』
 メメルはうなずいて貴人の頬に口づけた。と同時にメメルの姿は消えている。
「しまった……この子、強い! 迷いがない!」
 エスメが数歩後退した。だが貴人には何のことやらという気分だ。
 ただひとつわかるのは、倒すべき相手は目の前にいるということ。
「隙あり!」
 貴人は絶対王セイッ! の一撃を放った。

 玉座から立ち上がったアントニオが、剣を抜きゆっくりと近づいてくる。けれど水の中を歩いているようなスローな動きだ。
 アントニオが目指すのは、部屋に踏みこんだベイキだった。
「先に謝っておきます」
 ベイキは立ち向かう。
「ごめんなさい!」
 大司祭の本は本来武器ではない。しかしその分厚さに硬さは、両手であつかえば鈍器になりえる。
 アントニオの攻撃をかわし、ベイキは代王の頭部を本で殴りつけた。しかも角(かど)で!
 恩赦の裁、活力を呼びさます一撃だ。愛の鞭とも人は呼ぶ。アントニオは悲鳴をあげてその場に崩れた。

 紙一重で攻撃を避け、エスメはじろりと貴人を見やる。
「こざかしいボウズですわね! 私の視線が効かないなんて」
 口調に地金が出つつあった。
「じゃあこれはどうっ!?」
 エスメの背から一気に九本、鋼の硬度をもつ尾が放射線状に伸び貴人を襲った。伸縮自在にして湾曲可能な九つの槍が、九つの方向から貴人を狙う。
「わわわっ!」
 何本かは防げたがすべてとはいかない。
 尾の一本は貴人の肩をえぐった。
 もう一本がわき腹をかすめた。
 そしてまた鋭い一本が、貴人の後頭部に回り込んだ。
 万事休すか。
 光の軌跡が円弧を描く。
「遅れました! ご無事ですかッ!?」
 駆けつけたタスクだった。タスクは希望の剣で尾を叩き、希望の盾で別の尾を防いだ。
 激しい痛みはあれど貴人は明るい声を出す。苦しいときこそ明るくいたい。
「平気さ。それより、あいつ……エスメというそうだが気をつけてくれ」
「尾にですか」
「目よ!」
 フィリンの声だ。
「彼女の視線、洗脳効果がある!」
 正面から見ちゃだめ! とフィリンは叫びつつ、パオロの攻撃を受けながし彼の股ぐらを蹴り上げた。
「!!」
「ごめんね下品で。でもこれが私だから」
 いくら催眠術下にあったとて強烈だ。呼吸困難になってうめくパオロの顔面を、さらにフィリンは拳で殴りつけた。渾身の一撃だ。頬骨が砕けたかもしれない。どっとパオロは横転した。
「あなたでよかったわ……遠慮なく殴れるから」
「フィ……リン……」
 うめくパオロを見おろして、ほっとフィリンは息を吐き出した。パオロは涙目だが、もう虚(うつ)ろな目ではなかった。
「どうやら正気に戻ったみたいね」
「ここは天国か……君がいるなんて……」
「まったく、あなたって人は」
 フィリンは苦笑いした。
 貴人にタスク、さらにフィリンも加わってエスメを攻撃する。ベイキが後方からリーライブで三人を支えた。
 それでもエスメは強大だ。全員を相手にしているのだから。
「エスメさん、僕はあなたとは初対面です。ですがあなたに聞いてほしい!」
 タスクは剣で突く。決してエスメの目を見ない。仮に見たとして、揺るぎなき信念に裏打ちされた彼の心を、現在のエスメは乱せただろうか。
「魔族は生まれながら呪われた種族ではない。精霊の加護をたまたま受けられなかったルネサンスでありヒューマンであることを僕は知っています」
 ですから! と声を上げてタスクは、ついに尾のひとつ、その尖端を叩き斬ることに成功した。
「僕たちはあなたたちと和解したい! これからの僕たちは迫害などしない……しませんから!」
「バカ言うんじゃないよ小僧!」
 甲高い声で笑うと大きくエスメは跳び退った。
「私が魔族の宿命に苦しんでいるとか、同情してほしがってるとか思ってるの!? ドクトラ(【ドクトラ・シュバルツ】)みたいな理想主義者とは違うんだよお!」
 タスクの側頭部を別の尾が撲った。タスクははじき飛ばされ壁に激突する。
「私が欲しいのは渾沌! ただそれだけ! こんな世界、汚泥まみれにしてやる!」
 エスメは唾をとばしゲラゲラと笑った。しかしそれも彼女の背後から、
「そうか、ならもういい……」
 閑かな言葉が聞こえるまでだった。
「俺が……『私』が、貴様を滅する!」
 クロスだ。
 タスクが用いた『正妻の制裁』で拘束から解かれていたのだ。
「いつの間に!」
 三本の尾がクロスを狙ったが、虚しく壁に突き刺さるに終わった。
「穢(けが)れた尾っぽを振り回すばかりか、薄汚い魔族に似合いの攻撃だな。気高さも栄誉もない、獰猛な獣同然だ」
 すでにクロスはエスメの背後に回っている。
 振り返ったエスメは一瞬、クロスの立ち姿に違和感を覚えた。
 真紅の髪を長く伸ばした姿に見えたのだ。すぐに元に戻ったが。
「捕らえた!」
 エスメはほくそ笑んだ。クロスの目を正面からつかまえたのだ。自身の眼光で。
 しかしクロスは動じない。
「視線は逸らさない。お前の死を、はっきりと視(み)ているぞ」
 直進してエスメに肉薄し、その胸元に全力の、巨大な魔力球を放ったのだ。
「ばっ……!」
 馬鹿な、とエスメは言おうとしたのかもしれない。体を『く』の字に曲げて壁に吹き飛ばされる。
 激突する寸前、壁は不自然な形に崩落した。
 尾でエスメが攻撃したのだろう。
 そのまま彼女の姿は、城塞外の闇へと落ちていった。
「倒せた!?」
 フィリンが壁の穴に駆け寄り闇に目を凝らす。
「わかりません。それより今は」
 ベイキはアントニオに手を貸し、歩ませながらつづけた。
「城内の混乱を鎮めることが先でしょう。アントニオさん、協力してくれますね?」
「……余が、であるか?」
「聖鎖陣で縛り上げ『王を人質に取った!』とやってもいいのですが、あまりエレガントな方法ではないでしょう?」
 もっともだとアントニオは嘆息してから言った。
「ところで貴公は誰か?」
「ベイキ・ミューズフェスと申します。あなたの弟君、ミゲルさんに求婚されている者です」

 ◆

 城の混乱はまたたく間に収まった。
 バルコニーにアントニオが姿を見せたのである。フトゥールム・スクエアの学園生たちをともなって。
「救出に感謝する。ここに余は、改めて代王からの退位を宣言しよう。そして!」
 アントニオは声を上げた。
「これまでの非礼を詫び、学園にはこれからも、友人であってほしいと依頼する!」
 アントニオがさしだした手をタスクが握った。
「僕たちこそ、これからもよろしくお願いします。どちらが上ということもない、対等な同盟者として!」
 パオロが最初に手を叩き、フィリン、貴人、ベイキが加わるころには、大きな歓声が彼らを包みこんでいた。
 すべてのリーベラント兵が心からの凱歌を上げていたわけではないかもしれない。
 しかしこれは、大きく着実な前進だ。

「ね? 言った通りになったでしょう?」
 エリカがバルバラに笑いかけた。

 クロスは単身、城外に降りエスメラルダの姿を探していた。
 瀕死の彼女を見つけたらどうするか、すでに心に決めている。
「……不老不死に近い肉体まで得て、なおも救えないのか。どうして、だろうな……」



課題評価
課題経験:162
課題報酬:4800
【泡麗】rivalizar - 完結篇
執筆:桂木京介 GM


《【泡麗】rivalizar - 完結篇》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2022-02-08 00:10:38
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

わたしはローレライではないから、(1)か(2)へ行こうと思うわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 2) 2022-02-08 08:32:22
遅刻帰国~~!
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。よろしくお願いいたします!

僕は、今から登攀の練習をしているいとまはなさそうなので、
(2)を検討しています。

このルートは敵に読まれている可能性が高いとのことなので、
逆に、人数を手厚くして突破を狙う方が良さそうですね。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 3) 2022-02-08 13:49:59
賢者・導師コースのリバイバル、クロス・アガツマだ。よろしく頼む。

俺は(1)のルートを希望する。運動神経や跳躍もある程度あるし、道具に忍縄も用意できる。
それに、マグダ君とは浅からぬ仲だった。こうなる定めで、あるいは縁が巡っていたのかも……メッセージも気になるからね。
第二希望は(2)だ。透明化や憑依を駆使すれば(3)も行けなくないかもしれないが……リスクに見合うか不安だ。

あとは、アントニオ代王……元だが。彼の無力化の手段や、強敵エスメへの戦法も決めていこう。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 4) 2022-02-08 19:33:24
クロスさん、よろしくお願いいたします。
積み重ねた技術で登攀に取り組んでくださるのは心強いです。

マグダさんのことは、残念でした…
復讐は何も生まないと分かっていながら、どうしても、こう思わざるを得ません。
…仇を取りたい、と。

言い換えれば、相応の報いを受けてもらいたい、とも言えますね。
死を与えることだけが、報いではないので。

話がそれました。

アントニオ氏の無力化は、「気絶させること」、
もしくは「催眠を解いて自我を取り戻した上で非難させること」、などが考えられますね。

エスメへの戦法は…
警戒すべきは催眠術で、主な効果としては
「意識をそらしたうえでの不意打ち」
「心の隙に付け入る精神操作」が予想されます。
この対策は、アイテムの正妻の制裁の効果に期待すること、
または、「絶対注意をそらさない」「心の隙など皆無」などとプランに書き、
GM様が採用してくれることに期待すること、などが考えられます。

攻略法としては、
「精神的に不安定でゆさぶりに弱いという欠点」と明記されているので、
そこを突くことが第一でしょうね。
クロスさんの得意分野でもあることかと思います(期待に満ちたまなざし)

また、「魔族として迫害を受けてきた過去がトラウマとなり、彼女の行動原理に」という記載があることから、
「魔族」が「精霊の加護をたまたま受けられなかった人」であるという真実(※)を知った今となっては、
「これからの僕達はそんなことしない~!」みたいな方向で説得を試み、味方と言わずとも敵対を解く可能性についても検討したいところです。

※「異世界避難先準備しましょう」プロローグ参照

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 5) 2022-02-08 21:48:24
勇者・英雄コースのフィリンよ、よろしく。
さてと…まずい事態になったわね。
マグダとは親しいってほど付き合いはなかったけど…ケジメはつけてやらないとね

>行動

(2)で予定してるけど、(1)に前衛がいた方が良ければクロスに同行でもOKよ。
忍び足や隠れ身も心得あるから、足は引っ張らないと思う。

>アントニオ氏の無力化

状況が状況だし、手早く気絶いただくのに一票いれておくわ。
洗脳が溶けても自力での避難はちょっと難しそうだし、どのみち誰かが付き添わないとまずそうね

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 6) 2022-02-09 12:39:30
ご挨拶が遅れ申し訳ありません。教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
とりあえず、現状では(3)で集結した兵に紛れ、内部から色々やろうかなと。

侵入の手引きをしてもいいし、物資を焼き討ちしても……使えそうなら、ミゲルさんとのコネも使って、地方豪族の配下とか言って取り入ろうかと思案中です。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 7) 2022-02-09 12:44:21
フィリンさん、よろしくお願いいたします。
おっしゃるとおり、ケジメを付けましょう!

行動としては、どちらの選択肢でも心強いです。

他に立候補がなければ、(1)はフィリンさん・クロスさんが安定かもしれませんね。
前衛後衛のバランスがいいし、
フィリンさんが護衛役なら、クロスさんは残された手がかりを探しやすいかもしれませんので。


アントニオ氏の無力化について、恐らく正解のない問いで悩んでいるのですが…

誰かがプランに「手刀で一発」などと書けば通るのか
それとも、気絶攻撃をするデータ的な裏付けが必要か

後者なら、【コツンと一発】を使えば安心とは思いますが…
スキル枠をひとつ使う上に、装備が鈍器に限定されるのが心配ですね。

例えば僕なら、片手鈍器とクリスタルブレイブ(効果:装備にかかわらず剣の技能を使用可能)に換装すれば実現出来ますが…
希望の剣&盾を外すことになるので、データ面では大幅な戦力減を避けられない、という問題があります。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 8) 2022-02-09 12:46:41
あ、もし(3)での潜入を他にも考えてた方が居たら……「学園に対抗するための戦力増強として、信用できる腕利き傭兵を雇った」とか理由つけて、内部に引き入れるなんてのも……試せるかも。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 9) 2022-02-09 12:48:14
ベイキさん、よろしくお願いいたします。

ローレライさんたちに紛れる作戦は、ローレライさんにしか出来ないので、ベイキさんが適任ですね。

有効そうな案が色々おありのようなので、頼りにしてます!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2022-02-09 12:55:25
ベイキさん、なるほど!

変装とかして…
いつかの水塞奪還の課題とは真逆の考え方で、学園の身分を徹底的に隠ぺいすれば、行けそうですね!

うまくすれば、バレてる可能性の高い(2)を避けて、(1)と(3)だけで潜入出来るかも!?

…なんて都合よく考えるのも怖いので、慎重に検討したいところです。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 11) 2022-02-09 23:08:01
>(1)と(3)だけで
その流れで行くなら、(1)と(3)に向かう敵戦力を減らすために
(2)は見つかる前提の陽動として動くというのも考えられないかしら?
同意を得られるなら、わたしが(2)で陽動をやってみるわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 12) 2022-02-10 00:01:31
それは良いですね。
各ルートの安全性が増し、
(1)の登坂、(3)の工作に集中しやすくなりますね。

良かったら、(2)には僕も同行しましょう。
陽動なら、壁役は必須だと思うので。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 13) 2022-02-10 12:31:16
あ、それとアントニオ氏の扱いも大事ですね。
個人的には、既に出てるように早々に拘束なりして身柄確保後、こちらで保護するのが理想的だと思います。

下手に放置したら、魔族が人質にしたり盾にするかもしれませんしね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 14) 2022-02-10 23:45:23
アントニオさんの扱いについて、いくつか案を考えてみました。

1.気絶させる(既出。鈍器装備+コツンと一撃?)

2.拘束する(アイテム:ロープ)

3.説得して保護する(アイテム:正妻の制裁?、プランを割いての行動)

どちらにしろ、味方陣営に引き寄せてキープしておく必要がありそうですね。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 15) 2022-02-11 10:40:16
>選択肢
クロスから連絡待ちだけど、とりあえず(1)で準備進めておくわね。

>潜入
ローレライで疑われた時なら、引き込まれた…と言うのは使えるかもしれないわね。
マグダさんに言われて、とかしておけば確認しようもないでしょうし
(ガイドで『ローレライでなければ疑われるかもしれない』と明言してるので、他の種族でやるのはちょっと博打かも?)

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 16) 2022-02-11 14:23:08
遅くなってすまない。
魔王・覇王コースの仁和だ。

(2)のルートに行こうと思う。
元代王の件だがオレも手っ取り早く気絶させるのに賛成だ。
気絶させられるかもしれない(確率1/2の)技能は使えるが・・・
拘束して無理やり天国のマロングラッセ食べさせるとどちらがいいだろうか?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 17) 2022-02-11 23:38:05
潜入については、フィリンさんの考え方が妥当、かもしれませんね。

貴人さん、よろしくお願いします!
もしよければ、ご提案どおり、気絶の可能性ある技能を用意していただければ助かります。
予備手段として、僕がロープを準備し、拘束する行動のプランを書いておきますね。

アイテムをロープに差し替えるとステータスはだいぶ下がりますが、
今回はステより作戦や行動の方が大事そうなので!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 18) 2022-02-11 23:51:40
さて、これまでの流れをまとめてみますね。
仮定も含むので、修正や変更は書き込みをいただければと思います。

<侵入ルート>
(1)城壁登攀 フィリンさん、クロスさん ※手がかり発見
(2)地下通路 エリカ部長さん、貴人さん、タスク ※1,3から目をそらす陽動
(3)泡麗同行 ベイキさん ※各種工作

<各種作戦>
・アントニオ対応 気絶(貴人さん)、拘束(タスク)
・エスメ催眠対策 魅了回復( )、その他(※アイデア募集中!)
・エスメ攻略 精神的揺さぶり( )

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 19) 2022-02-13 19:54:30
返事が遅くなってすまない、フィリン君が同行してくれるのは助かる。ぜひ頼みたい。
では先述したとおり、俺は登攀用に忍縄を用意しておこう。

アントニオはロープを使ってタスク君が拘束、もしくは他に誰かがアイテムか技能を使うということだね。
俺はロープ以外、有効そうなものを持ち合わせていないから……頼らせてほしい。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 20) 2022-02-13 19:56:20
>アントニオ対応
技能調整してて思い出したんですが、必要なら聖鎖陣で麻痺狙うこともできるかも。

>催眠対策
魅了とかのBSだったら……ダメージ与えちゃいますが恩赦の裁で解除できなくもないです。
魔力消費半減できるので、回数も十分いけるかと。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 21) 2022-02-13 20:07:23
>流れイメージ
と、タスクさん状況の整理ありがとうございます。
行動書く前に流れをざっくりイメージしてたところですが、多分、地下通路組が最初に発見される可能性が高いのかなと。

そうなると、城壁等の警備はある程度、地下通路での応戦に駆り出されて……手薄になるのかな。
と思ってます。
城壁組は、騒ぎが起きてから城壁を上りきって、城内に入って地下通路で迎撃してる敵を挟撃したりもできるかも。

そして、私はどこで華麗に裏切ろうか……と思ってるところですが、もし聖鎖陣での拘束を狙うなら、ギリギリまで待ってアントニオ氏に近付いてからがよさげなんですよね。

拘束を他の方に委ねるなら、地下通路組が見つかったタイミングで……兵糧や物資の保管庫に火を掛けたりするんですが。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 22) 2022-02-13 22:36:01
クロスさん、フィリンさんと一緒で(1)確定ですね。了解しました!

ベイキさんのイメージしてくださった流れは、かなり良さそうですね。

(1)~(3)は、別々に戦場へと向かうわけですが、
ラスボスたるエスメ+アントニオ組に相対する際は、合流しといた方がいいでしょうからね。
各自出来ることをやり、合流してラスボス、というのが妥当そうです。

各自出来る事も、ベイキさんの方向性に同意です。
(2)で派手に陽動をかけ、(1)が敵の背後を突き挟撃し、敵の数を効率よく減らすということですね。
(3)のベイキさんは、ローレライ軍の戦力減、または、代王に近づいて油断させておく、ということですね。
ともに、ラスボス戦に対する十分な下準備となりますね。

地下通路の陽動については色々考えています。
勇者原則を主体とした技能及びアクションによる敵の引付けの他、
「敵が動転して援軍をかき集め始める」というウィッシュを仕込んでみたので、
(1)(3)の敵ががら空きのスカスカになるといいな、と思っています。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 23) 2022-02-13 22:49:48
アントニオ拘束とエスメ対策はですね~、どの方法で確定させるか悩みますね。

アントニオ拘束は、ベイキさんの聖鎖陣が有効そうですが、貴人さんの気絶技も半分の確率で当たるんですよね。
当たるあたらないとか、状況により出来る出来ないもあるでしょうから、手段は複数持っていた方がいいでしょうね。
タスクも、ロープはとりあえず装備したままにしておきますね。

エスメ対策は、魅了だと仮定して、
ベイキさんが言われる「恩赦の裁」をご用意いただくと助かります。
僕も「正妻の制裁」を用意したかったのですが、アイテム欄の関係で難しいので。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 24) 2022-02-14 00:07:11
恩赦の裁を使うなら、地下通路組とは早めに合流した方がよさげでしょうかね。
アントニオ氏の拘束を聖鎖陣で狙う場合は、ある程度アントニオ氏側の味方っぽく振る舞う必要もありそうなので……それなりに怪しまれない位に、回復とかでアントニオ氏側の支援に動くべきかもですし。

折衷案としては、私は地下通路組が見つかった時点で、保管庫等に居る兵にも合流するように伝令として向かって、保管庫の守りが手薄になったら……食料や武具等の物資を焼き討ち。
「敵の別動隊が保管庫を焼き討ちして逃げた」とか流言飛語を流して、ローレライ軍が混乱してる隙に、地下通路組に合流。

その後、仲間を支援しつつ聖鎖陣でアントニオ氏の拘束を狙う……って感じでしょうかね。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 25) 2022-02-14 13:04:33
いよいよ今夜出発ですね!

ベイキさん、色々とありがとうございます。
ベイキさんの動きとしては、折衷案のとおりが良いかと、僕も思います。

(2)チームも、陽動しつつ早く合流できるよう検討中ですので、
(2)と(3)は合流を目指す、という動きでいいと思います。

なお、(2)の方でも、正妻の制裁を用意出来るよう検討中ではあります。
エスメ対策の魅了解除手段は、複数あった方が安心だと思うので、
なんとか調整してみたいと思います。

ただですね~、(1)チームについては、
プロローグのマグダさんのルートということは、敵の背後を突けるので、
その利をより活かす方法があれば、もっといいんじゃないかな~、
と思うんですよね。

僭越ながら僕も何か考えてみて、
何か思いつけば、ご提案として書き込むかもしれません!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 26) 2022-02-14 13:56:19
正妻の制裁については、一応わたしが持って行くけれど
陽動で合流が遅くなると思うので、それまでに先行する人に渡せればと思ってるわ。

陽動が上手くいって、合流が可能そうであれば、(1)(3)の援護に向かうつもりだけど
行けないかもしれないので、そうなった場合はごめんなさいね。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 27) 2022-02-14 22:39:56
>クロス
こちらこそありがとう。
じゃあ(1)で準備させてもらうわ。私も忍縄はあるから、足並みは揃えられると思う。

>行動について
私たちが一番最初につくことになりそうだし、露払いと(2)と相互に陽動して時間稼ぎ…と言う感じかしらね。
最後は合流して戦闘になると思うし、余裕があれば他の班向けの道しるべを残しておくわ

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 28) 2022-02-15 00:01:09
ギリギリまでプラン書いてました!悔いはありません!!

皆さん、今回はご一緒いただきありがとうございました!
お互い、ご武運を!!