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目指す、世界


ストーリー Story

 ソレは、此処に来る前。
 『彼』によって教えられた事。

「……『悪魔』、ですか……?」
「そうデース」
 訊き返した【リスク・ジム】に、【道化の魔女・メフィスト】は自慢の髭を弄りながら説く。
「便宜上、最も適する上にほぼ全ての世界線に共通する概念である『その単語』を使用していマース。ちなみに固有名詞は【人形遣い】デース」
「人形遣い……?」
「そうですネー。創造神が創った者達を人形に見立てて、『君達、折角創られたのに放って置かれてますね? 捨てられました?? ゴミですね??? なら、私が面白可笑しく遣ってあげましょう。感謝しなさい。ゴミを、有効利用してあげるんですから』なんてノリで『人形遣い』なんて自称してるんデスヨあんちくしょうハ」
 正味、聞くだけで嫌悪感が酷い。
「聞くからに碌でもないヤツですが、そんなにも危険なのですか?」
「生易しい表現デスネー」
 浮かぶ嫌悪を隠しもしない。この何でもおふざけで煙に巻いてしまう道化が。それだけ危険な……否、『どうしようもない』存在と言う事。

 曰く、ソレは創造神の成り損ない。
 輪廻転生を複数の世界で続け、魂の格を創造神の領域まで高めた存在。されど、ソコから世界創造の高みに至る研鑽を『かったるい』と放った挙句『無から有を創る神』ではなく、『既に存るモノを貪る』事で高みに登るを選択した下卑たる『悪魔』。
 単純な力の強さで言えば、『真の創造神』に及ぶ筈はなく。
 されど、その概念故に存在力は世界より強大。
 本体は神の目を隠れ、過去の自分を分割し数多の世界へ散りばめる。
 全ての存在は見下すべきモノ。自分は諦めたから、諦めない存在は妬ましい。だから。
 世界を壊したい。
 喰い散らしたい。
 世界は放って置いても何処かで生まれて滅ぶけど、ソレを拾うだけじゃつまらない。
 自分の手で壊すから。
 自分の手で縊るから。
 楽しいのだ。
 破滅を。
 滅びを。
 絶望を。
 あらゆる世界の。あらゆる命。
 その怨嗟と断末魔。悲しみの慟哭を。
 ただただ、純粋な悪意の澱。
 
 ソレが、『人形遣い』と言う悪魔の真理。

「私達の世界も、アレのお陰で随分と不要な血が流れマシター」
 いつかの悪夢を想起して、道化の魔女は深々と息をつく。
「昔に八災を盗み出して撒き散らしたのも、同じ奴でショー。現在【白南風・荊都】として暗躍している個体と。何を企んでかは知りまセンガ」
 そうやって、ジワジワと世界を蝕んでいた。
 魔王と言う強大な脅威の影で、ヒッソリと。
 いつか、世界の寝首を掻っ切る為に。
「……我々の手で、倒せるモノでしょうか?」
 リスクの問いに、メフィストは『可能デス』と返す。
「各世界線で暗躍する連中は、あくまで『分身』デス。本体に比べれば弱いデス。実際、私達の世界でも何体か討伐していマス。厄介なのは傷つけても終わりなく再生し、斃しても次が湧いて来る普遍性。そして……」

 ――成長する事――。

「ヤツは侵入した世界の物を取り込めば取り込むほど強くなりマス。学習し、レベルを上げる術を知る存在デス。本来、異物であるヤツが力を使えばこの世界が持つ防衛機能で弾き出される筈デスが、ソレをこの世界起源の術を吸収し行使する事ですり抜けているのデス」
 『怠惰なクセして、そう言うトコはマメなんデスヨ』とつくづく嫌なヤツだとまた息を吐く。
「些か、時間を与え過ぎマシタ。今のヤツは、相応に危険なレベルに達していると考えるべきデショー」
 最後に摘んでいた髭をピンと弾いて、彼は言った。
「恐らく、かの個体はこれまで私達が確認した中でも最強に近い力を得ていマース。どうか、そのつもりで……」

「人形遣い……破滅の、悪魔……」
 饕餮の封印領域。通じる門の奥にいる筈の、その存在。
 メフィストから伝えられた情報を反芻し、リスクは小さな悪寒に身を震わせた。

 ◆

「……よもや気づかれていたとはな……。些か侮り過ぎていたか……?」
 封印領域。
 数多の神門と幾多の灯火に縛られた空間に、憎々しげな声が響く。
 声の主は、女性。面影はかつて【白南風・荊都】と呼ばれた妖術師のモノ。けれど、怠惰に着崩した着物から覗く肌は病的なまでに生白く、血色に光る呪言の文字が鱗の様に走る。解けた髪は足元まで伸び、時折り青白く輝いて翼の様に広がる。妖しくも美しいソノ様は、正しく人の形をした人ならざるモノ。
――ソレが本性かい? 人皮を被った擬物より、余程良いじゃないか――。
 揶揄する声に、紅く染まった目を向ける。
「気に入ったなら夜の相手でもしてやろうか? 逃してくれるなら、反吐も我慢してやるぞ?」
――遠慮しておくよ。後が怖い上に、大事な所が爛れて腐れ落ちそうだ。それに――。

――お前の相手は、『アイツら』だからね――。

 その言葉に、荊都だったモノ――人形遣いはククと笑う。
「何故、この期に及んで人なぞに私の始末を任せる? お前達か饕餮が手を下せば良かろうに」
――饕餮の意思さ――。
「ああ?」
 眉毛を潜める人形遣い。
――饕餮が試したがってるんだ。あの勇者とか宣う連中の『可能性』とやらを――。
 どう言う事だ?
 怪訝に思う人形遣い。
 饕餮はシステム。その思考体系は何処までも機械に近い。あらゆる無駄を省き、最適解のみを選び出す。ソレが、『可能性』などと言う極めて不確定要素の高い概念に興味を示すなど。
――さあね――。
 読み取り、三凶は言う。
――饕餮がそう判断したなら、僕は――。
――朕は――。
――妾は――。
――それに沿うだけさ――。
 ああそうだった、と思い出す。
 コイツら『三凶』は饕餮の魔力の分体。端末に過ぎない。個々の思考こそ持つが、饕餮に反する・疑問を抱くと言う機能はない。
 まあ、ソレならそれで。
「奴等が此処に来るのなら、私にとっても僥倖だ。奴等を丸め込んで、饕餮を殺してやろう」
――……――。
「出来ないと思うか? 正直、奴等の地力には私も感嘆している。『可能性』はあるぞ? 饕餮がご執心のな?」
――……――。
「奴等にとって私は厄介者だが、饕餮とて危険物である事に変わりはない。私が奴等の世代の間は休眠する事を約束すれば、矛先が向くは饕餮だ。当然だな。未来の憂いよりも、目の前にある不安を忌避する。馬鹿な奴等のお約束だ。今も昔も変わらず、な」
――そしてお前は、『饕餮の力』も盗むのか――?
 お喋りが、止まる。
――其がお前が我らの筋に関与した目的だろう? 封印と解放の順を経て、お前は既に八災の力をコピーしている。加えて饕餮。そして、あわよくば魔王……――。

――いずれ狙うは、お前自身が此の世を燃やす滅尽(メギド)の火と成る事――。

「お見通しか」
 もはや隠す事もせず、哂う。
「では、どうする? やはりお前ら直々に私を殺すか?」
――否――。
「何?」
――『アイツら』が其を選ぶなら――。
――『我』は、受けよう――。
――饕餮は、そう判断した――。
「……どう言う、事だ……?」
――知らない――。
――僕は――。
――朕は――。
――妾は――。

――饕餮に、従う――。

 困惑する人形遣い。返る声は、もうなかった。

 ◆

 澄んだ麗水称える贄の間。
 唄い終わった【チセ・エトピリカ】は、ずっと見ていた。
 何もない空。
 その何処かで、沈黙するその存在。
 届いただろうか。
 届いた筈。
 自分が、そう在れた様に。
 ただ、願う。
 その旨に、瑠璃の想いを抱き締めながら。

 静かに。
 確かに。

 アップデートは、進んでいく。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 6日 出発日 2022-04-10

難易度 とても難しい 報酬 多い 完成予定 2022-04-20

登場人物 8/8 Characters
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《真心はその先に》マーニー・ジム
 リバイバル Lv18 / 賢者・導師 Rank 1
マーニー・ジムよ。 普通のおばあちゃんとして、孫に看取られて静かに逝ったはずなんだけど…なんの因果か、リバイバルとして蘇ったの。 何故か学生の時の姿だし。 実は、人を探していてね。 もし危ないことをしていたら、止めなければならないの。 生きてる間は諦めてたんだけど…せっかく蘇ったのだから、また探してみるつもりよ。 それに、もうひとつ夢があるの。 私の青春、生涯をかけた行政学のことを、先生として、みんなに伝えること。 これも、生前は叶える前に家庭持っちゃったけど、蘇ったいま、改めて全力で目指してみるわ。 ※マーニーの思い出※ 「僕と一緒に来てくれませんか?」 地方自治の授業の一環でガンダ村に視察に行ったとき、そこの新規採用職員であったリスク・ジムからかけられた言葉だ。 この時点で、その言葉に深い意味はなく、そのときは、農地の手続きの案内で農家を回る手伝いといった用件だった。 「よろしくお願いします。」 これ以降、私たちの間では、このやり取りが幾度となく繰り返されることとなる。 その後、例のやり取りを経て婚約に至る。 しかし、幸せの日々は長くは続かない。 結婚式の前夜、リスクは出奔。著作「事務の危機管理」での訴えが理解されない現状に絶望したとのことだが… 「現状の事務には限界がある。同じことの繰り返しじゃ、世界は滅ぶよ」 結婚前夜の非道な仕打ちよりも、消息を絶つほど思い詰めた彼の支えになれなかったことを今も後悔している。 ※消滅キー※(PL情報) リスク及びリョウに感謝を伝えること 片方に伝えると存在が半分消える(薄くなる) メメ・メメル校長はこのことを把握しているようで、これを逆手にとって消滅を遠ざけてくれたことがある。 (「宿り木の下に唇を盗んで」(桂木京介 GM)参照)
《比翼連理の誓い》オズワルド・アンダーソン
 ローレライ Lv22 / 賢者・導師 Rank 1
「初めまして、僕はオズワルド・アンダーソン。医者を志すしがないものです。」 「初見でもフレンド申請していただければお返しいたします。 一言くださると嬉しいです。」 出身:北国(リゼマイヤ)の有力貴族の生まれ 身長:172㎝ 体重:60前後 好きな物:ハーブ、酒 苦手な物:辛い物(酒は除く) 殺意:花粉 補足:医者を志す彼は、控えめながらも図太い芯を持つ。 良く言えば真面目、悪く言えば頑固。 ある日を境に人が触ったもしくは作った食べ物を極力避けていたが、 最近は落ち着き、野営の食事に少しずつ慣れている。 嫌悪を抱くものには口が悪くなるが、基本穏やかである。 ちなみに重度の花粉症。 趣味はハーブ系、柑橘系のアロマ香水調合。 医者を目指す故に保健委員会ではないが、 保健室の先輩方の手伝いをしたり、逃げる患者を仕留める様子が見られる。 悪友と交換した「高級煙管」を常に持ち、煙草を吸う悪い子になりました。
《熱華の麗鳥》シキア・エラルド
 ヒューマン Lv25 / 芸能・芸術 Rank 1
音楽と踊りが好きなヒューマンの青年 近況 自我の境界線が時々あやふやになる みっともない姿はさらしたくないんだけどなぁ 容姿 ・薄茶色の髪は腰の長さまで伸びた、今は緩く一つの三つ編みにしている ・翡翠色の瞳 ・ピアスが好きで沢山つけてる、つけるものはその日の気分でころころ変える 性格 ・音楽と踊りが大好きな自由人 ・好奇心>正義感。好き嫌いがハッキリしてきた ・「自分自身であること」に強いこだわりを持っており、自分の姿に他者を見出されることをひどく嫌う ・自分の容姿に自信を持っており、ナルシストな言動も。美しさを追及するためなら女装もする。 好きなもの 音楽、踊り、ともだち 苦手なもの ■■■■、理想を押し付けられること 自己犠牲 二人称:キミ、(気に入らない相手)あんた 初対面は名前+さん、仲良くなると呼び捨て
《不屈愛の雅竜天子》ミサオ・ミサオ
 ドラゴニア Lv18 / 魔王・覇王 Rank 1
「ミサオ・ミサオ。変な名前だろう。 この名前は誰よりも大切なあの子からもらったんだ。」 名前はミサオ・ミサオ。無論本名なわけがない。 外見年齢は20代、本年齢は不明。 本人曰く100越えてんじゃないの、だとか。 職業はギャンブラー。 学園に入る前は彫刻師、薬売りなどいくつか手に職を持っていた。 魔王コースを選んだのは、ここが楽だと思ったからだそうだ。 遠慮なくしごいてくれ。 性格はマイペースで掴み所がなく飄々としており、基本滅多に怒ることがない。 面白そうなことや仲の良い友人が居れば面白そうだとついて行き、 好きな人や大切な人にはドロドロに甘やかし、自身の存在を深く刻み付け、 飽きてしまえば存在を忘れて平然と見捨てる外道丸。 いい子には悪いことを教えたり賭け事で金を巻き上げ、 そして悪友のオズワルドや先輩先生にこってり絞られる。 恋愛したい恋人欲しいと言っているが、一途で誰も恋人を作ろうとしない。 たくさん養ってくれる人大好き。 趣味は煙草と賭け事。 特技は煙草芸、飲み比べ、彫刻。
《奏天の護り姫》レーネ・ブリーズ
 エリアル Lv29 / 芸能・芸術 Rank 1
いろいろなところをあるいてきたエルフタイプのエリアルです。 きれいな虹がよりそっている滝、 松明の炎にきらめく鍾乳石、 海の中でおどる魚たち、 世界にはふしぎなものがいっぱいだから、 わたくしはそれを大切にしたいとおもいます。
《光と駆ける天狐》シオン・ミカグラ
 ルネサンス Lv14 / 教祖・聖職 Rank 1
「先輩方、ご指導よろしくお願いしますっ」 真面目で素直な印象の少女。 フェネックのルネサンスで、耳が特徴的。 学園生の中では非常に珍しく、得意武器は銃。 知らない事があれば彼女に訊くのが早いというくらい、取り扱いと知識に長けている。 扱いを知らない生徒も多い中で、その力を正しく使わなくてはならないことを、彼女は誰よりも理解している。 シオン自身の過去に基因しているが、詳細は学園長や一部の教員しか知らないことである。 趣味と特技は料理。 なのだが、実は食べるほうが好きで、かなりの大食い。 普段は常識的な量(それでも大盛り)で済ませているが、際限なく食べられる状況になれば、皿の塔が積み上がる。 他の学園生は、基本的に『○○先輩』など、先輩呼び。 勇者の先輩として、尊敬しているらしい。 同期生に対しては基本『さん』付け。  
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  

解説 Explan

【目的】
 次の4つから選択。

【ルート1】
 人形遣いと共闘し、饕餮を討伐する。
 チセ・エトピリカの確実な救出。
 饕餮の協力はなくなる。

【ルート2】
 饕餮を受け入れ、人形遣いを排除する。
 饕餮を確実に仲間にする。
 チセは贄となり、失われる。

【ルート3】
 リスク・ジムがチセの代わりに贄になる。
 人形遣いと戦闘。饕餮とは和解。
 チセの救出と饕餮との和解を両立。

【ルート4】
 誰も贄にせず、饕餮も仲間にする。
 人形遣いとは戦闘。状況次第では饕餮との戦闘も在り得る。
 難易度最高位。決まった道筋はなく、PLのアイディア次第。

【フィールド】
 饕餮封印領域。
 朱鳥居(障害物として利用可能)と灯篭が縦横無尽に並ぶ虚数空間。
 上下の概念はなく、自由に動く事が可能。

【エネミー】
【人形遣い】
【格】8
【戦闘スタイル】
 以下8種のうち、1Rにつき4種までランダムに発動する。
 黒風:物理攻撃無効。
 鈍闇:魔法攻撃無効。
 赤土:全PCの魔力を半減させ自身に加算。
 紫水:全PCの体力を半減させ自身に加算。
 蒼火:周囲6マス以内全てにダメージ(灼熱付与)
 白雷:周囲6マス以外全てにダメージ(麻痺付与)
 金光:正面4列フィールド端まで全てにダメージ(クリティカル時、重傷)
 無彩:受けたダメージ&状態異常を全PCに反射。
【※】
 共闘を選んだ場合、これ等は全て味方の攻撃として適用される。
 共闘を選んだ場合、PCと同様に攻撃の対象になる。
 成功した場合、饕餮の能力をコピーして姿を眩ます。
 攻撃は物理・魔法共に有効。


【滅尽覇道・饕餮(とうてつ)】
【格】8→6
【戦闘スタイル】
 以下三種をランダムで発動。
 三凶・渾沌(こんとん):全ての攻撃を無効。
 三凶・窮奇(きゅうき):全PCに物理攻撃(クリティカル時、行動不能)
 三凶・檮杌(とうごつ):全PCに魔法攻撃(クリティカル時、気絶)
【※】
 即死技の『滅尽』は使用してこない。
 攻撃は三凶・渾沌が発動していないRであれば魔法・物理共に有効。


作者コメント Comment
【追加情報】

【現在の状況】
 PCの共存の意志によって饕餮の敵意低下。
 皆の励ましを受けたチセの唄によって饕餮の戦意低下。
 宿儺からの特殊アイテム【叢雲ノ剣】所持(全PCの魔力を半分消費する事で発動。エネミーに対し時間無制限の強力な弱体化バフを付与)
 イザナミからの特殊アイテム【道渡りの蝶】所持。(封印領域の中にチセの居場所までPC一人分の道を通す)

【NPC】
【リスク・ジム】
 リバイバル。自身から饕餮の贄として名乗り出る。
 強い想いに縛られていて、特定の条件が満たされなければ死に至らない。
 つまりは『疑似永久機関』搭載の生命エネルギー。饕餮の贄としての資格がある。
 同行するが、戦闘要員としては扱われない。

【チセ・エトピリカ】
 贄の少女。【無尽魔力生成】の力を持つ。
 救出する事で、魔力の全回復と無限供給が可能になる。

【GMより】
 『饕餮編』、最後の課題です。乗り込め―!
 



個人成績表 Report
タスク・ジム 個人成績:

獲得経験:259 = 216全体 + 43個別
獲得報酬:11520 = 9600全体 + 1920個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:10
獲得称号:担う明日継ぐ願い
ルート4

【事前調査】
決戦の場にたどり着くまでの間
メフィスト様とリスク大叔父さんに話を聞き
人形遣いについてプロローグの情報を把握し仲間に共有

情報を基に人形遣いに宣戦布告
仲間と連携して壁役として注意を引付け
【肉体言語】でオズさんにサムズアップ

情報を基に人形遣いの現在の戦闘スタイルを【推測】し
物理、魔法、区別しづらい場合は複合、両方効かない場合防御専念を
仲間に指示する
自分の複合攻撃はマドーガを剣に付与
大きい攻撃にはヒ30

チセさん救出と饕餮様の敵意軟化を確認後
仲間に【叢雲の剣】行使を合図し
自分は不滅の希望を発動
「この世界を、貴方の好きにはさせない!心!刀!滅却!!」
ヒ8ヒ10ヒ19ヒ20
全力の月下白刃

マーニー・ジム 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:648 = 216全体 + 432個別
獲得報酬:28800 = 9600全体 + 19200個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:10
獲得称号:行く道まだまだ
【事前調査】
決戦の場にたどり着くまでの間
教導の才、総合計画でタスクの調査と情報共有を補助

教導の才と
前回イザナミと魔力を接続した経験を生かして
道渡りの蝶を効果的に使えるようオズさんに助言

人形遣いとの戦闘スタイルについて
タスクの【推測】と指示を教導の才で補助

チセさん救出を確認後
入れ替わりで封印領域に赴き
シーソルブを活用し饕餮様と魔力と想いを接続
「魔力の供給はチセさんに限らず色んな人が出来る
それを見せたい」と意思を示し
レーネさんと協力して「魔力の無限供給」を開始
すなわちレーネさんが気力を消費して私の魔力を回復し
私がリーソルでレーネさんの気力を回復するループ

饕餮様の敵意軟化を確認出来たら
タスクに伝える

オズワルド・アンダーソン 個人成績:

獲得経験:259 = 216全体 + 43個別
獲得報酬:11520 = 9600全体 + 1920個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:10
獲得称号:比翼連理の誓い
誰の犠牲も許さない、ルート4を希望。
荊都お前許さない。

行動:
ミサオの作る煙幕に隠れながら【道渡りの蝶】を使い、チセの元へ進み、
医学、応急処置で彼女を気遣いながら、目を離さず対話を重ねて説得。

帰ったら、…全部終わったら、この好意を伝えよう。
今度こそ、彼女を置いてったりしない。


戦闘:攻撃>サポート

チセ救出後に合流し、参戦。

今度こそ「一緒に支え合って戦う」ことを意識し、「千代古令糖の守り、魔力の羽衣」でチセの護衛に入る。
「魔力の無限供給」を活かし、種族特性を駆使して行う。
半分以下の体力の仲間がいる場合「雨の恵み」を発動。
状態異常回復に「恩赦の裁」を使用。
あと荊都は「全力攻撃」で殴る。杖で。

アドリブA

シキア・エラルド 個人成績:

獲得経験:259 = 216全体 + 43個別
獲得報酬:11520 = 9600全体 + 1920個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:10
獲得称号:熱華の麗鳥
ルート4
ここまで来たら、やりたい事やっちゃおうよ
俺?あの『余所者』ぶん殴らないとね!!

行動
序盤、人形遣いの抑えへ
盾役への攻撃をずらすように攻撃
敵の動き、能力をよく観察しておく
敵の技使用直後に『シスイノシ』
マーニーさんとレーネさんがスキル使用時に【演奏】
その際は二人の声や音を邪魔しないように、あくまで補助
されど二人の思いをよく強く響かせるために
チセさん救出後は【アレグロ・インベル】【演奏】で全力で支援
敵が接近すれば【スプリームクラッシュ】を叩き込む

変化が恐ろしい、そんな「音」がする…そうだね、普通はそうだ
でも、何か一つを犠牲にし続けたら結局繰り返す
喪失も狂気も、恐怖も
だから断ち切ろう
「皆」で

ミサオ・ミサオ 個人成績:

獲得経験:259 = 216全体 + 43個別
獲得報酬:11520 = 9600全体 + 1920個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:10
獲得称号:不屈愛の雅竜天子
ルート4を希望。

救出前:
マカロンボム、とんでく花火で煙幕を作り、悪友の姿を隠して人形遣いの邪魔を回避させる。
痛いが腹くくりな友よ!

戦闘:
近距離攻撃メインの壁兼ヘイト役
「部分硬質化」を駆使し「龍爪撃、覇道行進」等の近距離攻撃の技能を組み合わせる。

防御に、「部分硬質化」で耐性を持たせ、「我が身を盾に」仲間を守る。
「龍の大翼、挑発、楽園楽土」で煽ったり、
【叢雲ノ剣】をちらちら見せたりして視線をこちらに引き寄せる。
龍翼演舞:鳥、花で仲間にバフを与えつつ、楽園楽土でオレの思いを語ってくぜ!

チセの救出後、饕餮が「敵ではない」という状態を作った上で、
【叢雲の剣】を発動。
また【叢雲の剣】で全力攻撃。




レーネ・ブリーズ 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:648 = 216全体 + 432個別
獲得報酬:28800 = 9600全体 + 19200個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:10
獲得称号:奏天の護り姫
「虹彩の鐘」でまりょくをたいりょくといっしょに範囲回復します。
アイコンが異なる「演奏」と「風の旋律」を同時に発動し、
「絶対音感Ⅰ」と「調律」で効果を高めます。
そのためのきりょく消費はマーニーさんに「リーソル」で
回復していただき、マーニーさんのまりょくはわたくしが回復します。
これによってわたくしたちふたりは無限に回復し続けられます。

この効果を最大限に活かすため、「視覚強化Ⅰ」で全体の状況を把握し、
「すばやさ」を高めた移動力で回復が必要な味方によりそうように走ります。

また、状態異常も「備えあれば何とやら」と「福の針」の組み合わせで回復します。

敵の攻撃は障害物を「きようさ」で活用してふせぎますし、
「身代わりうさぎ・改」もつかいますね。

シオン・ミカグラ 個人成績:

獲得経験:324 = 216全体 + 108個別
獲得報酬:14400 = 9600全体 + 4800個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:10
獲得称号:光と駆ける天狐
ルート4を選択
私は饕餮さんの説得に注力します
アーカードさんや他の魔族の方々と出会って、一緒に歩む道はあると直感しました。私はその直感を信じます

おにぎりを作って、それを半分こして饕餮さんにあげます
私の説得とは単純で、それだけです
ただ、みんなで食べるとおいしいって饕餮さんに教えてあげたいんです。新しい食べ方を示したいんです

戦闘ではチャージショットかスナイプショットを、消費する力に余裕のあるほうを選び都度攻撃
群れ思考や、やせーの勘でより敵が攻撃してほしくないようなタイミングを射撃してみましょう
緊急の負傷者が出たらリーライブで応急手当を行います
また、非常時には復活呪文を試みます

クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:259 = 216全体 + 43個別
獲得報酬:11520 = 9600全体 + 1920個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:10
獲得称号:賢意熱心の求道者
ルート4を選択
俺は戦闘に集中。チセくんや饕餮の説得はきっと皆が成し遂げると信じる

人形遣いを優先して攻撃。饕餮は説得失敗などやむを得ない場合以外では攻撃しない
ヒドガトルを撃ちつつ、防げる攻撃はスピット・レシールで仲間を含めて防御
体力や魔力を奪われてしまうときはフォースソウルとシーソルブの複合で力を削ぎ、敵の回復は可能な限り潰す

また、小魔獣召喚発動後アン・デ・フィアやアン・デ・カースを使い、敵の動きを遅らせて皆が反応し対処する時間を少しでも稼ぐなどして生存率を上げる
ここで一人とて倒されるわけにはいかない。ボイニテッドの加護は惜しまない

もし、チセ君を奪還できたら魔力全消費によるダートガを叩き込む

リザルト Result

「そうですか……。向こうの世界でも、人形遣いが……」
「そうデース。なので、予定していた貴女とミスター・タスクの事務折衝は残念デスがしばしお預けになってしまいマース」
 『ごめんなさいデース』と頭を下げる道化の魔女【メフィスト】に浄化師【桃山・令花】は静かに首を振る。
「仕方ないです。人形遣いは雑念を持ったまま倒せる相手ではないですから」
 想起するのは、かつて自身と仲間達が経験したかの悪魔との激戦。狡猾で、残虐。そして邪悪。望む形は違えど、世界の明日を思っていたかの宿敵達とは全く違う破滅の導き手。
 その忌ましき望みの導線は断てたけれど、遺した爪痕は今もなお呪いの様に。
 巡る思いを忌憶と共に飲み込んで、戦友だった魔女へ。
「……アレは、恐ろしいモノです。薄らぐ事も、絶える事も無い悪意の純化物。正しく、世界の……生命の負面です。けれど……」
 アレが生命を憎むと言うのなら、ソレを断つのもまた。
「諦めなければ、いつかは倒せます。必ず。私達も……」
 そう。だからこそ、この世界は今もあるのだから。一度は神に見限られ、煉獄とすら呼ばれた終焉の世。けれど、ソレは今も確かに輝いて。
 皆で、繋ぎ止めた。小さな小さな皆の願い。ソレを、また皆の手で紡ぎ合わせて。
 だから。
「大丈夫。あなた達なら、必ずと……」
 述懐し、見上げる夜空。ソノ狭間の向こうで、未来を賭けて戦う友人達へ。
 メフィストは大きく頷き、『伝えマショー』と静かに告げた。

 ◆

 ソコは異界。
 現の世から切り離された、隠里世。
 封印領域。
 空も。
 地も。
 時さえも。
 何処にも繋がらない。
 続かない。
 そんな場所に、『ソレ』は立っていた。
 呪いの綴りに塗れた身体。
 数多の穢れに染めた白髪。
 全てを世への怨嗟に煌かせ。
 『白南風・荊都』と呼ばれた悪魔――【人形遣い】は、静かに時を待っていた。
「来たね」
 薄笑みを浮かべ、振り返る。
「迷わなかった? 君らでは、迷い死ぬかとも思ってたけど」
 嘲笑。純粋な『悪』の本能。
「ソレがお前さんの本性かい。随分と粋じゃないか。悪趣味な方向にな」
 投げ返す、【ミサオ・ミサオ】。
「その様子だと、私の事は承知済み? 誰に教えられた? お節介の道化? ソレとも、そこの死に損ない?」
 【リスク・ジム】を見やり、また笑う。
「まあ、良い。些事。歓迎するよ、勇者達」
「……光栄だな。何を企んでいる?」
 冷ややかな声を返す【クロス・アガツマ】。
「大した事じゃない。手を貸すと良い。饕餮を殺すから」
 取り繕うつもりもなく。辟易しながら【レーネ・ブリーズ】。
「どう言う事ですか? 貴女と饕餮さんは仲間なのでは?」
「状況を見て分からない? 牝猿の理解力じゃあ、仕方ない?」
 協力を願う相手に対する態度では到底ないが。遥か上位の存在と、暗に誇示する。
「仲間になったつもりなど在りはしない。駒と遣ってやろうと思ったのに、噛みかかって来たから。役に立たない野良犬なら、殺して棄てるのが道理」
 【シキア・エラルド】が、わざとらしく吹き出す。
「要するに底の浅い悪巧みを見透かされてたって事かい? 体裁取ろうとする辺り、お手本の様な小物ムーヴだな。役作りの教本に載せたいくらいだ」
「言葉には気をつけた方が良い。私は創造神と等しい極位存在。あまり無礼を言うなら、自慢の舌を声帯ごと引き抜いてぶら下げる」
「は、腐った毒キノコを可憐なスノードロップと呼んだ所で、本質は変りゃしないさ」
 悪意には悪意を。ソレが信条。
「それにしても、何でここに来て私達に協力して貰えるなんて思っちゃうのかしら? あんまり虫が良すぎるとか思わなくて?」
 これまでの所業を思い起こし、嫌悪と呆れの混じった顔をする【マーニー・ジム】。
「誰が『していただけませんか?』などと? コレは命令。良いから、さっさと準備をどうぞ。そのままでは弾除けにも使えない」
「あのね? そんな態度じゃ、悟りを開いた聖人様だって気を悪くするわよ?」
 撫然とするマーニーを、馬鹿を見る様に蔑んで。
「関係無い。選択肢は無いと言っている」
 瞬間。

――閉鎖――。

 起こる魔力の流動。気づいた【シオン・ミカグラ】が伝える。
「封印領域の扉が閉じたみたいです。帰路が、断たれました」
「……何か、いるな」
「とても強い魔力……三つです」
 見回すクロスとレーネ。
 周囲の空間。闇の中に縦横無尽に並び行く朱鳥居と灯籠の灯。その、向こうに。
「『三凶』」
 人形遣いが、忌々しげに。
「『渾沌(こんとん)』、『窮奇(きゅうき)』、『檮杌(とうごつ)』の三柱。饕餮の側近にして端末。今回のシナリオライター。所謂、『元凶』」
「コイツらが……」
 【オズワルド・アンダーソン】の呟きを聞きつけ、煽る。
「この封印領域を構築しているのも、アイツら。物理的にも概念的にも閉じられていて、私ですら抜け出せない。世界の境界も越えられる『悪魔(わたし)』ですら」
 改めて周囲を見回す。完璧な術式。付け入る隙が皆無。
「三凶と饕餮は、私と君らを殺し合わせるつもり。共倒れもしくは残った方が弱っているうちに易く、とでも。見透けた浅知恵。むざむざ嵌ってあげる道理はない」
 フム、とクロスが思案する。
 三凶と呼ばれた存在。恐らく、その打倒がこの空間からの脱出手段。しかし。
「考えるだけ無駄。三凶は切れ端。方向性こそ偏っているけど、個々の力は饕餮に匹敵する。君らだけでは、どう足掻いても勝てはしない」
 正しく。饕餮単体でも及ぶかと言われればかなり危うい。まして、ソレと同格が三体同時。
「幾ら愚かでも分かる筈。私と組めば、饕餮と三凶を血祭りに上げられる。拒めば、此処から抜け出す術はない。刻すら切り離されたこの領域で、死ぬ事も叶わず狂う事も出来ず。彷徨い続ける事になる。当然……」
 紅い目が、キョロリと動く。映すのは、険しいオズワルドの顔。
「囚われている贄の娘にも、会えずに終わる」
 漏れる、苦悩。金糸雀の囀りの様に愉しんで。
「さあ、納得出来た? ならさっさと手を。心配しなくて良い。首尾よく饕餮達を殺せたら、私は休眠に入る。君らが生きている間は、何もせずにいる。後は魔王さえ片付けられれば、君らは安寧の時代を過ごせる訳」

十分、だろ?

 文字通りの、悪魔の囁き。
 満ちる沈黙。そして。
「三凶様」
 響いたのは、【タスク・ジム】の声。
「お訊きしたい事があります。答えて、いただけますか?」
「何を勝手に?」
 自分を無視する態度に、苛立つ人形遣い。
「三凶が、君の様な小虫の声に応える筈はないよ?」
「少し、黙っていて貰えませんか?」
 遮ったタスクの声は、温和な彼のとは思えない圧に満ちて。
「僕は今、三凶様と……饕餮様の意志と話してるんです。貴女とは後でちゃんと付き合ってあげますので」
 見つめる視線に、沈黙する人形遣い。
「続けます」
 向き直り、また。
「人形遣いは、ああ言いました。あなた達の……饕餮様の意志はどうなのですか? 僕達を滅ぼすべき敵とお考えなのでしょうか?」
 返るのは、沈黙。無視されているのか。人形遣いの言う様に、相手をするに値しない存在と思われているのか。そもそも、同じ知的生物と認識されているのか。
 不安が心臓を締め付ける。それでも、安易な選択に逃げる道はない。ソレをする事は、ここまで共に戦って来た仲間。そして、想いを託してくれた者達を裏切る事。だから、絶対に引くと言う選択は有り得ない。
 もう一度、声を張り上げようとした時。

――認識が、間違ってるよ――。

 声が、響いた。

――饕餮に『敵』と言う判断基準は存在しない――。

 若い様で老いている様で。男とも女とも取れず。人か獣かすら判然としない。

――饕餮はシステム也。世界の天秤の均衡を保つが役目。剪定対象の選択に、『敵』と言う恣意的な基準は不要。対象となるは、あくまで均衡を損ねると判断されしモノ――。

「自分の感情に従って捕食する事はないと?」

――然り――。

 少しだけ、心が楽になった。
 かの者が、敵意によって殺戮を犯すモノでは無い事。
 確かな、理性と言えるモノを持っている事。
 そして、何より会話に応じてくれた事が。
 意志の疎通が出来る。話し合えると言う事実が、何よりも。
「饕餮様は、気に入った種族を最後の一人まで食い尽くすとも聞いています。ソレは、本当でしょうか?」

――剪定対象との判断を『気に入った』と表するならば、間違いではなかろうさ。後々の禍根となる可能性あらば、残さず喰い尽くすが最適解だろう――。

 情にも私怨にも流されず、淡々と最適解のみを選抜していく。比喩でも誤解でもなく、正しく饕餮はシステムなのだ。
「……では、現時点での饕餮様の判断は? 僕達は、どの様に見られているのでしょうか……?」
 皆の緊張が高まる。
 最も重要な分岐点。もし、饕餮が現在の人の世を剪定対象と認識していたのなら。

――饕餮は、剪定対象となる存在から極めて『不快』な『信号』を探知するんだ。其を排除の指標として、捕食活動を行使する仕様――。

 不快な信号。饕餮は、食べていないとイライラすると聞いていた。その苛立ちが不快な信号によるモノならば、食べないと苛立つのではない。
 『食べなければならないモノがあるから、苛立つ』のだ。

――そして、現時点において饕餮は――。

 息を、飲む。

――汝らに、かの信号は確認していない――。

 安堵の息が降りる。それならば、まだ。

――思い違いを犯すな。微小なる者共――。

 釘を刺す。

――須く今生においてのみの事。此れより後に貴様らが増長し、世の天秤の調和を崩さんとの判断至れば――。

 饕餮は『滅尽』の理持ちて汝らを喰らい尽くす。

 投げられた言葉の意味を飲み込んで、此方も投げ返す。
「……例えソレが世界の安定の為だとしても、餌食とされる側にとっては災厄そのモノ。あなた達は敵であり、悪であり、憎しみの対象となります。その事は、どう考えているのですか?」

――知った事じゃない――。

 答えは酷く簡単で。

――饕餮による剪定は自然摂理の一環――。
――其に善悪感情の類を絡めるは無意であろう――。
――思考する事自体が無意。だから、『知った事じゃない』さ――。

「……その摂理に対象達が抗ったら? 果てに、饕餮を討伐するに至る力を得たら?」

――知った事じゃない――。

 答えは、同じ。

ーー脅威に抗い、遺り繋ごうとするは物質生命としての摂理よ。即ち其もまた、自然摂理が一端――。
――其が果てに饕餮を凌駕するに至るのならば、其もまた自然摂理が証明。正しく、『進化』と言う真理――。
――なれば、世界のシステムたる饕餮は従うのみ――。
――愚問――。
――無意――。
――知った事じゃ、ない――。

 沈黙が戻る。
 問答はお終いと、告げる様に。
「……」
 タスクは大きく息を吐き、皆に向き直る。見つめる眼差しから互いの意志を通じて、頷いた。
「いつまで茶番を?」
 苛立ちに満ちた、人形遣いの声。脅す様に魔力の粉火を散らしながら、牙を鳴らす。
「理解出来た? 饕餮は変わらない。制御出来ない絡繰のまま、君らの脅威であり続ける。なら私と組めば良い。そうすれば、『君ら』の安泰は保障される。悩む選択ではない」
 聞いて、タスクは先とは別の意味で息をつく。
「そうですね、確かに悩む選択じゃありません。さっさと選ぶとしましょう」
 人形遣いが笑みを浮かべた瞬間、鋭い刃が突きつけられる。
「貴女を倒すと言う、選択を」
 タスクの言葉に、歪む顔。
「……聞き間違い? もう一度どうぞ? 一語一句、間違えず。慎重に」
 昏く冷たい響きが、あからさまな圧をかける。
「何度聞いても、変わりゃしないですよ? それとも、その耳は人の言葉を解する事も出来ませんか? そうでないのなら、もう一度言ってあげましょう」
 沸き起こる恐怖は、破滅を忌避する生命の本能。けれど、ソレを乗り越えなければ先へは進めない。
 だからこそ。
「倒すのは、お前だ。破滅の悪魔、『人形遣い』!」
 タスクは凛と、戦線布告の言葉を告げた。
 かくて、昏き狂宴の幕が開く。

 ◆

 【チセ・エトピリカ】は、その感覚に手の中を見た。
 大切な御守りの様に抱いていた、瑠璃色の蝶。
 友人の御霊の欠片が変じ、仲間達の想いと願いを届けてくれた文伝えの奇跡。
 それが、輝いていた。
 まるで、彼らの命の猛りに呼応する様に。
 理解して、顔を上げる。
「饕餮様……」
 そこに在る、見えない厄神に語りかける。
「どうか、ご覧ください。世界の未来を紡ぐ勇者の御霊が、如何なるものかを」
 件の王は答えない。
 ただ、淡々と。
 アップデートが続く。

 ◆

 唐突に迸った金色の閃刃。咄嗟に避けた後の空間が崩壊した様に揺らぐ。
「コレは、宿儺の……!」
「皆、気をつけて! 大叔父様の話からすると、コイツは八災の力をコピーしてる!」
 呻くクロスと注意を促すタスクの声を掻き消して、哄笑混じりの声が響く。
「その皺ばかり多い脳味噌に、端から期待はしてはいなかったけど!」
 怒りと嘲りの混じった声音に混じる様に、バチバチと白い雷華が爆ぜる。
「流石に此処まで愚かだとは想定外! ホントに救えないガラクタ達」
 豪雨の様に降り注ぐ純白の稲妻。弾かれた何人かが悲鳴を上げる。
「ネズミでさえ、窮地には命を長らえる術を選ぶのに、その選択もまともに敵わない! やはり、君らには破滅がお似合い!」
「間違っちゃいない!」
 蝕む麻痺の感覚に震える膝に喝を入れながら、タスクはなお毅然と放つ。
「その方法が如何なるモノであったとしても、饕餮様は一貫して世界の安定を求めてる! お前が願うのは、ただただ皆の苦しみと世界の破滅だけ! 選択の余地なんて、在る筈がない」
「ああ、そう? なら、望む通り苦しめば良い!」
 再び集束する金光。まだ動きがままならないタスクを貫こうと。
「『外せ!』」
 いち早く飛んだ言霊が、人形遣いを縛る。言葉は呪いとなり、呪いは理となる。
 即席の理に引き摺られ、断命の光刃はタスクの髪を掠めるに終わる。
「ま、そーゆー事だよね」
 忌々しげに睨む赤眼を正面から見返し、不敵に笑うシキア。
「何だかんだ御託並べてたけどさ、結局根っ子を隠せてないんだよね! せめても『助けていただければ大人しく此処から出てきます〜』の建前くらい言えば良いのにさ! デカいばかりのプライドが邪魔して、事を有利に進める三文芝居さえ出来やしない! 大根役者の方がまだ上等じゃない!?」
 今までのお返しとばかりに、煽りまくる。
「五月蠅い子!」
 苛立ちと共に穿とうとした体を、今度は呪詛の鎖が絡みつく。
 縛るアン・デ・カースを引き絞りながら、ヒドガドルを撃ち込むクロス。
「お前の本質は奪う事にあるのだろうな。奪うばかりで、自分からは何も生まれない。生み出せない。そういう、欠落した命なのだろう? 全く、憐れなヤツだ!」
「ああ、五月蠅い五月蠅い!」
 伸び上がった影がクロスを形取り、同じヒドガドルを持って尽く相殺する。
「今度は鈍闇か!?」
 アン・デ・カースが相殺される前に、自ら束縛を解いて距離を取る。
「八災全てとの戦闘と同義か。全く、厄介だ」
 その声が聞こえた様に、影絵の彼がケタケタと笑う。
「欠落した命……。だから、うみ出せるものが妬ましくて仕方ないと? 可哀想と言えるかもしれませんが」
 虹彩の鐘で皆の傷を癒しながら、レーネは呟く。
「八つ当たりで滅ぼしてやると言うのは、流石にかってがすぎると思います」
 反論は無く、代わりとばかりに飛んで来る金光の刃。慌てて鳥居に隠れ、器用に躱す。
「……怒ってるわねぇ。図星って事かしら?」
 一緒に隠れ、レーネの気力をリーソルで回復していたマーニー。隠れてろと言いつけといた馬鹿(リスク)は大人しくしてるだろうかなどと思った時、立て続けに銃声が響く。見れば、険しい顔でスナイプショットを撃つシオンの姿。
「ああ……嫌ですね。身勝手さ、傲慢さ。自分の悦の為なら、他人の事なんて塵芥程にも思わない思考……。本当に、本当に嫌……」
 命の持つ悪性の濃縮物にして具現体。ソレに、あの忌まわしき男の顔が重なるのは必然なのかも知れない。
 忌憶に震えながら、また一発。けれど、その怨嗟は届かない。人形遣いの足元から吹き上がる黒風が全てを巻き込み、散らしてしまう。
 真っ赤な目がキョロリと動き、シオンを捉える。集束する金光。弾丸など及びもしない速度の閃光が襲う。
「危ない!」
 いち早く挙動を読んでいたマーニーが、咄嗟に肩を掴んで引っ張り込む。
「大丈夫ですか!?」
 気遣うレーネに『は……はい……』と上ずった声音で答えるシオン。
 乱れる呼吸を落ち着かせる様に彼女の背をさすり、マーニーは優しく言う。
「大丈夫、リラックスして。皆一緒よ。だから……」
 シオンの抱える闇の姿を、マーニーは知らない。ソレはきっと、彼女が心許した者だけが知れるモノ。けれど、今目の前に在る存在がその傷を疼かせているのは確かな事で。
 だから、彼女は愛しい後輩の背を支える。母であり、祖母であった慈愛を持って。
 それがきっと、いつか忌ましい闇を捻じ伏せる力となるから。
「乗り越えましょう」
「……はい、先輩」
 頷く手の中で、魔銃オクタルヴァの撃鉄がまた静かに上がる。
 戦いの中で目が合ったのは、多分偶然では無い。意識していたのは、お互い様。
 片方は、許し難い敵意。
 そしてもう片方は、飛び切り面白い『玩具』。
「クハハ、思えば君も薄情だよね? 色男!」
 人形遣いが嘲る先は、オズワルド。
「散々大事だ助けるだと言っておいて、結局選ぶのはくだらない世界と自己満足の矜持! 結局、あの小娘はただの贄! 最高に最悪で下劣な茶番! ホント、最高!」
 ケラケラと響く哄笑を止める様に放つアクラ。当たり前の様に相殺されるが、不快な声は止まる。
 ソレで十分。だから、今度は此方の番。
「……チセさんはね、良い娘なんです。優しくて、清らかで、純粋で。本当に、僕なんかが隣にいるのが相応しいのかと思うくらいに。だから……」
 記憶の中の彼女の笑顔と、現実の悪魔の下卑た薄笑み。ソレ共に見やり。
「貴女の誘いなんかに応じてしまったら、それこそ彼女の手を取るなんて永遠に出来なくなってしまうんですよ!」
 唾棄する様に吐き捨てる。
「ああ、そう? なら仲良く冥府で添い遂げると良い!」
 放とうとした金光。遮る様に、竜爪撃の一撃。
「やれやれ、やたらと煽る癖に自分が煽られるのは我慢ならんってか!? とことん、小物の見本みたいなヤツだねぇ!?」
 近接したミサオが、ヘイトをぶちまけながら。
 巻き起こる黒風が尽くを無効化するが、ソレも込みで構わない。部分硬質化に覇道行進まで織り込んで、脳筋上等で叩き続ける。
「君、もう少し体を気にする口かと思ってたけど?」
「そいつぁ見る目がないねぇ? こちとらお前さんみたいにクソみたいなプライドなんざ、持ってないのさ!」
 煽りながら、もう一撃。それなりに精神が揺れるのか、黒風の障壁が軋む。
「お、応えてるかね? 腐り切った生ゴミでも、一応傷付く部分はあるってか? まあ、良くて玉子の殻程度のモンだろうが!?」
 確かな手応えに、更にヘイトを重ねてぶっ叩く。
「!」
 遂に風の障壁が弾け、渾身の竜爪撃が人形遣いの頬を穿つ。
「届いた!」
「あ、クマでも蜂蜜ぶん投げる挑発シリーズ本を熟読した甲斐があったな!」
 沸き立つ皆に、そうお道化て返すミサオ。
 けれど。
「クハ……クハハハハ……クケケケケケケ……」
 抉れた頬から青い体液を零しながら、人形遣いが哂う。先ほどまでとはまた違う、凶気に加わる狂気の気配。耐えがたい怖気に皆が浮足立った瞬間。
「調子に乗るなよ!? 下等生物共!!」
 激昂の声と共に、皆の足元が赤く光る。途端に襲い来る、強烈な脱力感。
「これは……!?」
「土蜘蛛の……」
 かの凶事を知るオズワルドとレーネが呻く。耐えられずに膝をつく皆と反する様に、人形遣いの傷は見る見る塞がっていく。
「ほらぁ、もうちょい寄越しなぁ!」
 追い討ちの宣言。今度は足元から伸び上がった紫水の蛇が喰らいつく。
 瞬く間に吸い上げられていく体力。圧倒的な喪失に崩れ落ちる皆を心地良さげに睥睨し、人形遣いは満ち足りた顔で笑う。
「クケケケケケケ、ザマァ見ろ! 下賤な下等生物風情が私の糧になれたのだ! 分不相応な誉れだろうが!? 精々感謝しろ……ってああ、いけないイケナイ。こんな粗野な口調。下卑た生気なぞ喰ったから、引っ張られたかしら?」
 コロコロと変わる口調と声音。まるで、秩序と道理を否定する本質を表す様に。
「さて」
 見下ろした先には、膝をついて荒い息をつくミサオの姿。その肩には抑えつける様に水蛇が喰らいついたまま。
「そう言えば、君には他にも借りがあった」
 思い出すのは、先の戦い。
「君が私の本質を看破してくれたお陰で、饕餮に解析される隙間が出来てしまった。お陰で計画が台無し。このお礼は、どうしてくれよう?」
 覗き込む赤い眼差し。禍しく燃える炎が、穏やかな口調に隠れた害意を如実に示す。
「お礼、ねぇ……」
 絶望的な危機感の下、それでもミサオは不敵に笑む。
「だったら、幾らか貸してくれると有難いかね。この間、札で大負けしてね。スッカラカンなんだわ」
「おやおや、ソレはお気の毒」
 ニヤける人形遣い。
「だけど、金銭問題で他人を当てにしちゃいけない」
 軋む音を立てて、爪が伸びる。
「自分で都合すると良い。竜人の生き肝は、妙薬の元。高く売れる」
 怖気立つ言葉に皆が助けに入ろうとするものの、やはり喰い付いたままの水蛭に捻じ伏せられる。
「さあ、良い声で鳴いて」
 歯噛みするミサオの背に、爪の切っ先が潜り込もうとしたその時。
 人形遣いの米神に炸裂する衝撃。ゴキリと捻れた首をゴキリと戻し、チロリと見る。
 辛うじて動く手でミドを撃ったオズワルド。
 『ふぅん?』と笑んで、立ち上がる。『おい! ちょっと待て!?』と喚くミサオを蹴転がし、彼の元へと向かう。
 再びミドを撃つオズワルド。無色の障壁に反射され、彼自身を穿つ。
 血を吐くオズワルドを見下ろすと、顎を掴んで顔を上げさせる。
「君の事を忘れてた。最高に最高に愉しい玩具」
 己の目を逸らす事なく見返す青い瞳をしげしげと見て『ああ、良い目』と悦に入る。
「憎悪敵意殺意憤怒。良いね良いね、素敵だね。やはり愛とは、恋とは、情欲とは。人の持てる最高の負念」
 ケラケラケラと愉快に嗤い、『決めた』と言う。
「君のその腐臭、もっともっと味あわせて貰おう」
 何の事かと思った瞬間、人形遣いの姿がノイズにブレる。全ては刹那。揺れる輪郭が、また一つの形を成し。其処に『出来た』彼女にオズワルドが、そして皆が息を呑む。
「どうしました? そんなに驚いた顔をして」
 『彼女』が微笑む。優しい優しい、空っぽで。
「貴方が欲しいのは、『わたし』なのでしょう?」
 其処に居たのは、巫女装束に身を包んだ黒髪の少女。
 『チセ・エトピリカ』と呼ばれる、其の造形。
「チセ……」
「はい、そうです。貴方『の』チセです。オズワルド様」
 腰を屈め。膝を突き。地に縫われるオズワルドに顔を寄せる。
 間近に映るソレは、あまりにも。
 目。
 唇。
 肌。
 香り。
 何もかも。
 伸びた白い手が、頬に触れる。
 甘い感触に感じる目眩。けれど。
「やめろ!」
 陶酔に堕ちかける理性を、懸命に。
「何故? 欲しいのでしょう? 『わたし』が。その為に、此処まで来たのだから」
「違う! お前はチセさんじゃない!」
「いいえ、チセです。この身体の隅々、元の情報を忠実に再現したのですから。この身体は、間違いなく『チセ・エトピリカ』」
 背けようとする顔を、強引に己に向ける。
「人の愛は、適するつがいを確保する為の副次効果。求める結果は、生殖活動の成就。なら、条件にあった生体が手に入るなら、それで全ては満ちる道理」
 桜の花弁の様な口を、耳元に寄せる。
「貴方の苦しみはとても心地良かったから、わたしも御礼を差し上げましょう」
 絡まっていた蛇に引かれ、仰向けに転がされる。組み伏せる様に伸し掛かる、チセ。クスクスと笑って、甘く囁く。
「さあ、溺れましょう。わたしの、アナタ……」
 そして、二人の口が舐める様に重なって。

「!」

 チセの姿が、ビクリと震えて身を離す。口から溢れる、一筋の血。
「言っただろう? お前は、チセさんじゃない……」
 緩んだ束縛。引き千切りながら、立ち上がる。口の中に残る嫌な味を吐き捨てながら。
「お前みたいな奴が、僕達を……チセさんを知った気になるな! どんなに騙ったって、届きゃしない!」
「貴様……」
 噛まれた舌から流れる血を垂らす顔が憎悪に歪む。軋みながら伸びる爪刃。
「なら、死ねよ!」
 オズワルドの心臓を貫くよりも早く、響く銃声。
「グギャア!?」
 眉間を撃ち抜かれ、人形遣いは悲鳴を上げる。
「……悪辣とか外道とか、そんなありきたりな表現しか出ない語彙を恨みますよ。私は……」
 渾身のチャージショットでぶち抜いたシオンが、怒りに満ちた表情で呟く。
「はは、気にすんな嬢ちゃん。オレも悪口罵倒にゃちょいと自信があるが、流石に今回は丁度いいのが思い浮かばねぇや」
「俺の知る限りでも相応しいモノがないな。何なら、相応しい造語でも作ってみるか?」
「ああ、そりゃ良いな。一つ、一言で憤死しそうな逸品でも捻ってみようか?」
「ほざけ!」
 魔力の光を灯すミサオとクロス。一手先に貫こうとするも。
「動くな!」
「ぐぅ!?」
 シスイノシに縛られた所に、ヒドガトルと竜爪撃の雨あられ。
「でもさー、作りがいはないよ?」
 衝撃で元の姿に戻った人形遣いを冷ややかに見つめながら、シキア。
「コイツ、笑えるくらい煽り耐性皆無だからね。そんな上等な品でなくても『母ちゃんデベソ』くらいで十分死ぬんじゃない? ねぇ、タスク?」
「ですね」
 力の失せた水蛇を斬り払いながら、タスクも立ち上がる。
「千載一遇のチャンスを、下らない趣味を優先して不意にする様な奴ですし」
 その身は満身創痍ながらも、瞳の炎はまだまだ消えはしない。
 オズワルドがマーニーとレーネに回復を受けた事を確認し、剣を構える。
「さあ、仕切り直しです!」
 畳み掛けようとする皆に、人形遣いは濁った目を向ける。
「千載一遇? 何、勘違いしてる……?」
 ザワリと這い上がる悪寒。
「貴様らなぞ、いつでも殺せるから遊んでやってるんだろうが!?」
 怒号と共に、赤く輝く空間。
「ぐぅ!」
「ま、また……!」
 赤土の権能。魔力吸収の災禍。
「いかん!」
 クロスがフォースソウルを発動する。此方も相手の魔力を吸収する術。相殺を試みるが、如何せん吸収量に差があり過ぎる。
「ならば、これでどうだ!?」
 加えて、シーソルブ。敢えて自身の魔力を流入させ、魔力バランスの崩壊を試みる。しかし。
「ぐぅ!?」
 苦悶の呻きを上げたのはクロス。シーソルブはその性質上、相手の『質』との同調も促す。破滅願望の権化たる人形遣いの、奈落の如き虚無と悪性。ソレが、逆にクロスを浸食する。
「ぐぉ……あ……」
「クケケケケ! 馬鹿か、貴様! 人に類するモノ如きの器で、私の『悪』に耐えられると思ったか!?」
 接続を切る事を考えたが、それでも手応えはある。事実、赤土の吸収禍は僅かばかり弱まっている。如何に負の具現体とはいえ、全く逆の性質をぶつけられて揺らがない道理はない。
(……成程。俺も、立派な『こちら側』か……)
 過ぎった感想の意味が何かは、自分にも分からない。喜びか。自嘲か。それすらも。ただ、ソレは全て些事。今はただ、己の役目を果たすだけ。
「おらぁ! さっさと潰れちまいなぁ!」
「そう言うお前も、力が弱まっているな!? 無駄ではないなら、十分だ!」
 事実、今クロスが諦めれば人形遣いは一瞬で皆の命を吸い尽くす。ならば、今は幾ばくでも時間稼ぎを。その間に、盟友達が活路を見出す事を信じて。
「クロスさん!」
「いけない! あのままじゃ!」
 回復の為に集まっていたオズワルドとレーネが、悲痛な声を上げる。助けにいかねばと思うも、凄まじい魔力の減退に身動きもままならない。
「それなら……」
 同じ場所に居たマーニーが思う。シーソルブは自分も使える。なら、クロスに協力して人形遣いに圧力を。
(どれくらい抵抗出来るか、分からないけど……)
 それでも、大事な仲間を見殺しになんて。
 覚悟を決めシーソルブを展開しようとした、その時。

――無駄な事は止めとけよ。ババァ――。

「!」
 接続網に割り込んで来る、聞き覚えのある声。それは、もう一つ。

――ああ、やっと開いてくれた。焦っちゃった――。

(……! ディアナちゃん!? それに、レムちゃんね!? どうして……)
 ソレは、先の戦いで手を貸してくれた二人の少女の声。絶対的な力を行使する死の八百万を駆り、此処までの道を開いてくれた異界の巫女達。
 世界の防衛機構により、自分達の世界に弾き飛ばされた筈なのに。

――『仕掛け』といたんだよ。あの『クソ蟲』はめんどくせぇからな――。
――そちらで繋いだ貴女なら、導線に出来るの。もう一度、お手伝いするわ――。

 理解したマーニーは、身を震わせる。
 返したい想いは数多あれど、今はまだ。
(どうすれば……何をすれば良いの!?)

――ブツは渡してあんだよ。あの色ボケ青瓢箪によ――。

 全く酷い言い草で、直で理解出来てしまった自分も大概なのだけれど。
 今はとにかく。
「オズワルドちゃん!」
「は、はい!?」
 急に呼ばれて吃驚するオズワルドに詰め寄る。
「アレよ! 出して! ディアナちゃんに頂いたモノ!!」
 物凄い剣幕にビビりつつ、ハッと思い出して懐を探る。
 取り出したのは、深紅の陰陽図を刻んだ一枚の符。
「ディアナちゃん! レムちゃん!!」

――あいよー――。
――行っきまーす――!

 リィイイイ……。
 遠い果てで、『死』が鳴いた。

「ぐ……ぉ……」
 ついにクロスが膝をつく。勝ち誇ったように高笑いする人形遣い。
「ケハハハハハハ! 終わりか!? まあ、良く頑張ったろうさ!? 褒美に死に方を選ばせてやる! 私の破滅衝動に呑まれて恐怖で狂うか!? それとも全て吸われて絶望と共に消え失せるか? さあ、どっちが良い!!?」
「舐める……な……」
「クロスさん、もうやめて!」
「接続を切って! 早く!」
 皆の悲痛な声を敢えて無視し、食い下がる。
(望んだ結末ではないが、悪くはないな……)
 満足気に微笑み、最後の力を振り絞る。
「ケハハハハ! そうか、狂い死にが望みか!? ならば、その通りに……」
 止めを刺そうとした瞬間、世界が朱に染まった。
 自分の赤土の権能のソレよりも。遥かに昏く、深い朱。
「……へ?」
 呆けた先に広がっていたのは、オズワルドが掲げた符から広がる深紅の陰陽図。舞い散る蒼い燐の中に、声が響く。

――テメェのやり方はほんっと、ダセェなぁ。クソ蟲――。
――ぶっちゃけ不愉快だから。さっさと死んじゃって――。

 巫女達の声を抱く様に、響く蟲の音。意味を悟った人形遣いの顔が、恐怖に竦む。
 陰陽図の中を抜け、何かが走った。
「ギャアァアアアアア!!!?」
 響く悲鳴。
 顔の半分を壊死させた人形遣いが、転げ回って苦悶する。
「は……はぁっ!!」
 解放され、大きく息を吐くクロス。見上げた先には。
「これは……」
 黒く燃える翅に、蒼く輝く燐を纏う揚羽蝶。
「『イザナミ』の……」

――仕様はちょっと違うけど――。

 マーニーのシーソルブに乗せて、巫女の声が奏でる。

――さあ、誰が行く――?

 意味の分からない問い。困惑する皆に、また。

――あのクソ蟲は能無しだぜ? 殺しの技術なら、てめぇらの方がよっぽど上等だ――。
――今は膨大な魔力にモノを言わせて圧倒してるだけ。ただの物量戦。なら、こちらも同じ弾数を揃えれば良いの――。
――覚えあんだろ? お誂え向きの『弾倉』によ――。

 ハッとする皆(なお、『レム、言い方!』と叩く音が聞こえたが無視しとく)

――ま、そう言うこった(イテテ……)――。
――連れて行ってあげるわ。力は制限されてるから、一人だけだけど――。

 言って、囁く気配。

――さ――。
――誰が行く――?

 答えは、決まっていた。
 皆が、一斉に彼を見る。
 力強く頷いたのは。
「僕が行きます! チセさんの元に!」
 そんな彼を見て、嬉しそうに。

――ま――。
――だよね――♪

 ◆

「貴様ぁ!! 何処へ行く気だァあ!!!」
 オズワルドの前の空間に穴が開く。『黒死の虚神・イザナミ』の分体である『道渡りの蝶』。その権能が封印領域の一部を『殺して』、道を造る。
 己を抱いていたオズワルド。彼の中のチセへの想いを記憶して、真っ直ぐ彼女が居る場所へ。
 明らかに己への致命へ繋がる行動と判断した人形遣いが、オズワルドへと襲い掛かる。しかし。
「痛いが、腹くくりな! 友よ!」
 ミサオの声と共に飛んで来たマカロンボムととんでく花火が弾け、煙幕を作って視界を阻む。
「イテテ……無茶するなぁ」
 ためらいもなく爆発物をぶん投げて来た悪友に悪態つきつつ、その願いを受け止める。進もうとした背に、呼び止める声。
 振り向けば、タスクが満面の笑みで肉体言語のサムズアップ。
 笑ってやっぱりサムズアップ。踵を返し、満ちる煙幕の向こうへ。
 ありったけの感謝を。最高の友達へ。

「チセ君!」
 彼女がいる場所へ続く道。そこに向かって、クロスが叫ぶ。
「自分はこういう運命の星に生まれたのです、などとそれらしく振舞うのはよせ! もっと欲深く、未練がましく、正直に道を選んでみろ!」
 ソレは、彼女が夜空に消えた時。次は必ずと決めていた言葉。
「手を伸ばせば、取ってくれるとわかっている筈だ!」
 そう。君には、もう。
「おお、カッコいい事言うじゃん。学士様」
「まあ、言っておきたい事は言っておかないとね。心残りがない様に」
 聞いて、シキアもフムと一考。
「じゃあ、オレも」
 ポソポソと綴るシスイノシ。直接届く様にオズワルドにくっつける。
「何と?」
「いやぁ、まあ『言いたい事』ですよ。あの『勘違い娘』にね」
 あからさまに悪い顔。不安になったクロスが訊く。
「大丈夫か? 君、結構……いや、かなりキツイからな」
「ご心配なく。か弱い女の子相手には控えますよ」
(……『か弱い』女の子、ならね)
 等と、心の中で舌を出す。
「キィアァアアアアアッ!! 貴様ら貴様らキサマラぁアっ!!!」
 響く喚きに振り返れば、怒りに狂う人形遣い。
「……完全にキレたな」
「ホント、小物だなぁ」
 呆れる二人の前で、錯乱した悪魔は半分だけの顔で猛り狂う。
「もういいモウイイもうイイ!! 遊びは終わりだ! 貴様ら全員、八つ裂きにしてやる!」
「お~い、語彙力落ちてんぞ?」
「ラスボス気取るなら、もう少し洒落た台詞用意出来ないんですかぁ?」
「ほんと、頭から何からクソ雑魚ナメクジですねー」
 四方八方から煽る煽る。皆、揃いも揃って満身創痍。それでも、追わせはしないと。
 もう、後は無いと言うのに。
「どれ、俺達も混じるとするか」
「はいはいっと」
 向かう前に、シキアはチラリと道を見る。
(……変化が恐ろしい、そんな『音』がする…そうだね、普通はそうだ)
 ソレは、あの向こうにいる筈の。もう一つの存在。
(でも、何か一つを犠牲にし続けたら結局繰り返す。喪失も狂気も、恐怖も……。だから、断ち切ろう)

――『皆』で――!

 その『皆』の中には……。

「さぁて、余所者! 人の恋路を邪魔するやつは、ズタズタにされても文句言えねぇよなぁ!?」
 肩を怒らせてズンズン進む。そんな彼を、三凶が見つめる。

――未知・不知の感情・理論を確認――。
――モデル『チセ』より獲得せし理論に照合・合致――。
――未知より既知の思考・理論への変換開始――。

 少しずつ。
 少しずつ。

 ◆

 真っ暗な世界を、オズワルドは一人走っていた。
 目印は、先を飛ぶ道渡りの蝶の光だけ。長い長い、閉ざされた世界。
 走りながら、思い出す。
 まるで、あの時みたいだと。
 彼女と。
 チセと初めて出会ったあの事件。
 土蜘蛛の贄巣として取り込まれた彼女を求めて、異界の道筋をがむしゃらに走った。
 丁度、今の様に。
 彼女への想い。好意、恋愛だと理解している。今更の様に。
 そして、彼女もまたそうだと理解していた。
 自惚れとか思い込みとか、そんな軽いモノじゃない。
 確かな、真実として。
 分かるモノなのだと、初めて知った。
 ローレライとして生まれて50数年。
 自分と年の離れた若い子が僕のこと好きになる筈がないと思ってた。
 ……ちょっと、おじさん臭いな。
 その事を、話した事もある。
 『良いの?』とも訊いた。
 その時、彼女は不思議そうに。本当に不思議そうに、『何がですか?』と小首を傾げた。
 そう言う娘。
 何だか罪悪感があって。
 恥ずかしくて。
 何となく、明言出来なかったけれど。
 それは卑怯な事だと、こんな事になって気づいた。
 情けない事だけど。
 だから、決めた。
 帰ったら、全部終わったら。この想いを伝えよう。今度こそ、彼女を置いてったりしない。
 彼女の、チセの全てに。
 答えよう。
 伸ばせば届く。
 あの時だって、届いた。
 だから、今度だって。

――着くぜ。青瓢箪――。

 導き手の巫女が言う。

――頑張ってね。もう、離さないで――。
――ま、しっかりやんな――。

 役目を終えた蝶が、光に溶ける。
 淡い蒼の燐が消えゆく先に。

「あ……」

 互いに、求めた姿。
 確かに。

 ◆

 誰もいない荒野。
 ボウと浮かぶ、異形の門。
 封印領域、其の扉。
 『無の災・混沌』。
 もはや八災としての役目も終え、ただ時を待つだけの存在。
 その前に、忽然と現れる人影一つ。
「ほうほう、頑張ってるじゃないか。雛鳥達」
 朱の影で粧を施した目を笑ませ、中華の神衣を纏った彼女は言う。
「さて、という事はいよいよ私の役目と言う事か。まあ、永かったけど」
 ついと伸びる指。
「その分『推し』が増えた。そして、此れからも」
 摩訶不思議の彩を施した爪が、揺らぐ硝子をトンとつつく。
「全く、結構な事だ」
 扉が開く。あっけなく。まるで、大事な客人を迎える様に。
「では、お邪魔するよ。今だ未完の我が『同胞』」
 飄々とした声と共に、覇王六種が一柱『無尽覇道・女華』の姿は虚数に消える。

 ◆

「死に晒せぇ! 下等生物共がぁ!!」
 狂気の叫びと共に吹き上がる蒼の炎。青火の権能たる其の豪炎の中で、それでも勇者達は踏み留まる。
 要はレーネ。虹彩の鐘で魔力と体力を範囲回復。演奏と風の旋律を同時発動し、更に絶対音感と調律を行使して効果を高める。
 これまで培ってきた『護る者』としての証。それを。全てを。全力で。
「巫山戯るな……巫山戯るな小娘! 貴様如きがこの私と同列などと……! 身の程を知れぇ!!」
「……身のほど? そうですね、確かにそう思います」
「……何?」
「あなたはたった一人です。何もかもを否定して、こわして、ただ自分ひとりだけを敬い続ける。そんなあなたが、わたくし達と同じだとでも?」
 強い意志を湛えた瞳が、まっすぐに見据える。
「たった一人しかいない、信じられない、かわいそうな方。そんなあなたが、たくさんの願いといっしょのわたくし達と同じだなんて……うぬぼれるのも、たいがいにしてください!」
「ぬぅ……」
「よく言ったわ! レーネちゃん!」
「ま、そう言う事だよ。余所者!」
 リーソルと演奏でサポ-トにつくマーニーとシキアも、不敵な笑みを。
 特に気力と魔力を補い合うレーネとマーニーのコンビネーションは、もはや疑似的な永久機関の域。
(ああ、全く最高だ)
 その芸術に酔いしれ、またより高みに届けんと。シキアもまた、かつてない想いを込めて。
 束ねられた有限が、正しく一人ぼっちの無限と拮抗する。
 そして、ソレは人形遣いにとってはこの上ない屈辱で。
「おのれ……オノレおのれおのれオノレぇ!!! 誰が一人だ!? 私は八災の権能を取り込んでいるのだぞ!? 今の私は八彩災華全てに等しく、上回る存在なのだ! 奴等の一柱さえつるんで漸くだった貴様らが、今の私に勝てる道理など……」
「何だい、破滅の悪魔とか言うからどんな代物かと思えば。中身は全部借り物の偽物か」
「!?」
 唐突に割り込んで来た声に何事かと振り返った顎を、容赦ない裏拳がぶち抜く。
「ぐぁ……」
「そんなんじゃ、推せないねぇ」
 悶絶する人形遣いを興味なさそうに一瞥する彼女を見た皆が、驚きの声を上げる。
「女華様!?」
「やぁ、可愛い雛鳥達よ。元気にやってるかい?」
「どうして……?」
 訳が分からんと言った体のタスクに、フフンと笑いかける。
「いやね、今回の件に関しては君らのお手並み拝見と行こうって言うのがアーカード達との取り決めだったんだけど。私だけの事情で一仕事しなきゃいけない雰囲気なんだよ」
「……と、言いますと?」
「と・う・て・つ」
 皆が、息を飲む。
「尚、此度の私の面倒事に関しては全面的に君達に責任があるのだ。責任は取って貰うぞ? 差し当たり……」
 テコテコと歩いて、チョイチョイチョイと指を指す。
「君と君と君だね。ついて来てもらうよ。拒否権は、無い」
 指差されたのは、レーネ・マーニー・シオンの三人。
「え……?」
「あらま?」
「ど、どういう事ですか?」
「君ら、饕餮に言いたい事があるね。その推せる『システム』も、その為のモノだ」
「!」
 見透かされた三人が、目を丸くする。
「それが、私の仕事にも必要なのさ。さあ、おいで」
「でも……困ったわねぇ」
「そうです、わたくし達がいなくなったら……」
 正しく、今現状において三人の戦力消失は致命的。まして、レーネとマーニーは守りの要。
「言ったろ? 拒否権はない」
 言いながら、口を開ける。ヌルリと飛び出す、一匹の蛇。
「!?」
 驚く三人を取り囲む様に円を描くと、己の尻尾を加える。
――無尽創造・円環蛇(ウロボロス)ノ二次創作――。
 呟きと共に蛇の輪が巡り、その目が何かを投影する。
「きゃ!」
「な、何ですか!? コレ!?」
 現れたのは、三人を模した等身大フィギュア。
「君らの存在値をトレースしたのさ。動きをまんま再現する。まあ、所詮は二次創作。下位互換の代理品だけど、場繋ぎくらいにはなるよ」
 要するに、コレに任せていくぞと言う意味。
「でも……」
「行って、おばあちゃま」
 なお躊躇するマーニーを、タスクが促す。
「此処に至って、饕餮様の『片割れ』たる女華様が動いた。それにはきっと、意味があります」
「タスクちゃん……」
「大丈夫、僕達を信じて。自慢の孫と、その親友達ですよ?」
 ボロボロの顔でニカッと笑う。頷く、皆。
 それを見て、決心。
「行きましょう」
 レーネとシオンも頷く。
「聡明なお孫さんだねぇ。萌えるよ」
 上機嫌な女華が道渡りの蝶が作った道を広げる。さあ行こうとした、その時。
「待ってください!」
 引き留める声に振り向けば、決意の顔をしたリスクの姿。
「僕も……僕も連れて行ってください!」
「リスク……?」
「いんや、別におっさんは要り様じゃないよ?」
「僕は、『定められた死』に縛られています!」
 素っ気ない女華に、食い下がる。
「定められた条件を満たさなければ、僕は死なない。云わば疑似的な生命エネルギーの永久機関です! ならば、饕餮の贄の資格がある筈!」
「!」
 顔を強張らせるマーニーに構わず、続ける。
「僕は大きな罪を犯しました! その贖罪の場をずっと探していました! この命が、贄の娘や世界を救う糧になるのなら! きっとそれが僕の……」
「このお馬鹿―――っ!!!」
「えぼぁー――っ!!?」
 マーニー憤怒の右ストレートが炸裂し、キリキリ舞いしながら吹っ飛ぶリスク。
 女華含め、場の皆が揃ってパチパチ拍手する。
 心は、一つ。
「マ、マーニー???」
「あなた、また引っぱたかれたいの!?」
「もうぶん殴ってるじゃないか!?」
 ビビるリスクの胸倉掴んで引き起こし、ガクガクガクと揺さぶる。存在半分になってるのに、パワーが凄い。
「犠牲の無い世界を目指すって、自分で言ったじゃない! 犠牲は自分一人だけ、なんて言わせない! それじゃ意味ないから!」
「で、でもマーニー」
「問答無用! そんなに言うなら……」
 リスクの手を引っ張って、歩き出す。
「負担は半分こ! いいわね!?」
「は……はい……」
 ズカズカ進んでく二人を見ながら、ニンマリする女華。
「う~ん、あの想い。正しく、愛!」
「あ、あのでも、マーニーさんには……」
「もう、旦那様が……」
 聞いて困るレーネとシオンに、『いんや、アレは『推しの愛』と言うヤツさ』等と言って歩き出す。
「さて、ではもう一つ。『比翼連理の愛』と言うヤツを見に行こうじゃないか」
 ポカンとする純粋無垢な少女二人に、『役得だよ♡』等と抜かす限界オタク。

「シオン君!」
 呼ぶ声に振り向けば、見つめるクロスの姿。
「……頼んだぞ!」
「はい!」
 託された信頼は、絶対に。

 ◆

 容赦なく胸に飛び込んで来た衝撃に、オズワルドは溜まらず咽込む。
 それでも、決して揺らぐ事は無く。受け止めた。
 自分の胸に顔を埋めて震える。そんな彼女の髪を、優しく櫛削る。
「……決めた事が、在るんです」
「……はい」
「犠牲なんて、許さない。誰か一人なんて、許さない。誰も、貴女も、絶対に」
「はい……」
「貴女の知る勇者は、そう貴女に言ってるんです」
「はい……」
「貴女と一緒に、走りたい」
「わたしも、貴方と……」
「二度と貴女を、置いてったりしない」
「着いて行きます……駄目って、言われても……」
 ようやく上を向く、黒い瞳。視線を合わせ、微笑み合い。
 今度こそ、強く強く。抱き締め合う。

――モデル・『チセ』のバイタルに変調感知――。
――理解可能外の領域――。
――アップデート中のデータを確認――。
――解析――。

 聞こえた『音』に、顔を上げる。
 何もない空間。けど、何かが居る。
「……饕餮様、です……」
 チセの言葉に、頷く。
「饕餮様、僕は正直、貴方を良く思っていません……」
 答えは返らない。ただ、沈黙だけが受け止める。
「事情がどうあろうと、貴方の存在がチセさんを傷つけた。それは絶対に許せないし、許しません。けれど……」
 心配そうに見つめるチセに、大丈夫と囁いて。
「僕の腕の中に戻るまで、チセさんを傷つけないでいてくれた事は、感謝します」
 沈黙。
「僕の仲間達は、貴方との共存を望んでいます。例え貴方が拒んだとしても、諦めないでしょう。なら、僕もその考えに倣います。それが、世界にとって一番良い道。そして……」
 腕の中の温もりを、もう一度ギュッと。
「僕の一番大事な娘の、望む事だから……」
 ただ、沈黙が流れる。
 まるで、何かをゆっくりと。沁み込ませて行く様に。

「おや、良い頃合いの様だね」
 唐突に聞こえた声に、ギョッとするオズワルドとチセ。振り向いた先で空間が歪み、出て来るのはオタク覇道。
「じょ……女華様?」
「ああ、気にしないで良いよ。続けて続けて。AでもBでも、何ならCからZまで」
 とんでもない事言われて、真っ赤になる二人。
「女華様、もう少しデリカシーをもってください!」
「ホントに大丈夫なんです? この人……」
「ああ! 二人共、会えたのね!? 良かった……」
 後からゾロゾロ出て来た皆に、また目を丸くする。
「さて、選手交代だ。君らは早くあちらへ戻ると良い」
「で、でも……」
「あのクソ蟲にトドメを刺すには、君らが必要なんだろう? 道は固定してあるから、早くお行き」
 困惑する二人に、レーネとシオンも言う。
「チセさん程のことはできないけれど……それでも大丈夫と言うこと、かならず饕餮さんに証明します! だから、お二人はみなさんを!」
「は、初めまして! シオン・ミカグラといいます! よろしくお願いします、チセ『先輩』! 先輩とは、お話したい事が沢山あります! もっとちゃんとした場所で、『よろしく』もしたいです! だから、今は皆でやるべき事を!」
 最後に、マーニー。
「皆が、タスクちゃんが待ってるわ。大事な孫を、お願いね?」
 想いを受け、頷き合う。
「お願い、シキテ!」
 チセの首飾りが輝き、顕現するのは白狼の式神【シキテ】。
『やれやれ、久々に呼ばれたと思えば。大層な大事よ』
 呆れるシキテの背に飛び乗るチセとオズワルド。
「行きます!」
「皆様も、どうか!」
 再会を約束し、それぞれの役目へと。
 走り出すシキテ。瞬く間に疾風となり、道の奥へと消える。

――女『媧』――。

「ソレは古い名だよ、饕餮。今の私は、『女華』さ」
 聞こえた声にそう答え、向き直る。
「人に付けて貰った名だ。世界に付けられたモノより、文字通り『華』がある」
 そう言って、示すのはマーニー達三人(+α)
「君にも、この心地良さを教えてあげよう。この三人の『巫女』達がね」
 思わぬお役付けされて驚く三人。
「巫女って……わたくし達ですか?」
「え~と、ちょっと宗派が……」
「あらぁ。私、結構なお婆さんなのに」
「いやいや、超常の存在と現を渡す役目を負った少女達だ。巫女と言わずして何と言おう? 重要なのは見た目だし? いやぁ、萌える萌える」
 結局それかいと思いつつ、それでも。
「意見は、後でさしあげましょう」
「そうね、今はやるべき事を」
「頑張ります!」
 そう言って凛と立つ少女達を見、女華は告げる。
「とうとう時が来たよ。世界システムの一部として生まれた『無尽(わたし)』が役目を果たす時が。そして、共に生まれた『滅尽(きみ)』が真の『完成』を迎えるこの時が!」
 饕餮に可能性を示す永久機関。構築し始めるレーネとマーニーを、愛しく抱く様に両手を掲げ。

「さあ、共に『沼』に沈もうか!」

 変化に震える片割れに、彼女は歓喜と共に宣言した。

 ◆

「ぬぁあ!?」
 もう一度炎に包もうとした人形遣い。不意に飛び出して来た白狼に突き飛ばされて多々良を踏む。
「オズワルドさん!」
「来たか!」
「チセさん、お帰り」
「おうおう、お熱いこって」
 皆の歓声に迎えられ、シキテから降りる二人。
「皆、待たせてごめん!」
「皆様、申し訳ありませんでした!」
「いやぁ、ホントだよ」
 頭を下げるチセに悪い顔寄せるシキア。
「伝言とかは何の事かオレシラナーイ、だけど~。あ、オレの『言伝』は届いた?」
 さっきのシスイノシの事。
「~~~っ!!」
 ピシリと固まるチセ。脂汗、ダラダラ。
「は……はい……しっかりと……」
「そぉ~、そりゃ良かった。じゃ、またこんな事したら……分かってるよね?」
「あ、ソレはないです」
 キッパリと返され、自分を真っ直ぐに見る瞳を見て笑う。
「……あぁ、良い目してる。最初に会った時より、ずっと」
 確信出来た。彼女は今度こそ、解き放たれたのだと。
『……歓談の所悪いがな、あまり悠長にしてる場合ではなさそうだぞ?』
 威嚇して稼いでいたシキテの声。見れば、文字通り悪鬼の形相で迫る人形遣い。
「やれやれ、ホントに空気読まないヤツだよ」
 溜息をつきつき、チセの肩を叩く。
「君たちの未来、掴みに行くよ」
「はい!」
 力強く頷き合う。それは、本当の『盟友』となった証。

「……誰かと思えば、贄の小娘ではないか!? そんな小蟲が足された所で、もはや碌に魔力も残らぬ貴様らに何が出来る!?」
 喚く人形遣い。数多の計算外に振り回され、粉々になったプライドの後を満たすは憤怒と憎悪。
「仲間と会えたのなら、もう思い残す事はあるまい! 一握の灰も遺さず燃え尽きるがいい!!」
 満ちる魔力。蒼火の権能。けれど。
「オズワルド様」
「ああ」
 チセを背中から抱き締めるオズワルド。その温もりが、全ての枷を解き放つ。
「!!!」
 驚愕する人形遣いの視界を覆う輝き。溢れ出した、無尽蔵の魔力。皆の傷を癒し、虚ろを満たす。
「!」
 朦朧とした意識が晴れる中、タスクの中に声が響く。

――勇者よ――。

 それは、かの気高き王の声。

――今こそ――!

「皆!」
 弾ける様に、叫ぶ。
 思いは拡散し、皆が悟る。

――抜刀せよ――。

 意思は一つに。
 力は刃に。

――『叢雲』――!

 下り落ちる光。突き刺さり、顕現するは煌めきの具現。

 『叢雲ノ剣』。

 古き王が、勇者の魂に託した神成る剣。
「さぁて、オレっちの出番かね」
 進み出るミサオ。いっぺんこう言うのやってみたいと駄々こねた上での選出。
「オレ、剣使ってみたかったんだぁ!」
 引き抜いて、ブンブン。流石、神託の剣。めっちゃ、軽い。
「さぁ~て。こいつでどうなるのかは、文字通り神のみぞ知るってヤツだが……」
 チロリと見るは、チセの方。
「嬢ちゃん、ギャンブルはお好きかい?」
 急に話を振られ、キョトンとするが。すぐに何かを悟った様に。
「嫌いじゃないですよ? 御山での生活は万事が賭け事の様なモノでしたから。好きじゃなきゃ、やってられないのです」
 思わぬ程に毅然と返され、ハハッと笑う。
「気が合うねぇ! まぁお前は嫌いだが!」
「そうですねぇ。多分、わたしも嫌いです」
 何か、ゲシゲシ蹴り返して来る。こんな好戦的だったか? この嬢ちゃん。って言うか、感づいてないか? コレ。
 何かもう、遠回しが面倒臭くなってきた。楽園楽土発動! 相手が違う? 知らんわそんな事!
「オレはオズワルドが好きだからな! 『恋愛面』で! だから、手伝うんだ! そしてあわよくばより好感度をぶち上げる!」
「あーソレは結構ですね! どうぞご自由に!? でも、リーチかけてるのはわたしですから!!!」
 ストレートでぶん殴ったら、えげつないカウンターかましてきおった!
「おいコラ嬢ちゃん!! 覚えてろよ!? このクソ蟲片したら次はテメェだからな!!?」
「受けて立ちますよーだ! ミサオさんなんか、三枚に降ろして凍らせてルイベにしてシキテに食べさせちゃいますからー!!!」
『……いや、そんなモン喰らいたくないぞ。我は……』
 思わぬ流れ弾に辟易するシキテを飛び越え、ミサオは人形遣いに向かって走る。
「取り合えずはテメェだ! 後がつかえてんださっさとくたばれ!」
「何で急に親近感沸かせてんだ!? 貴様は!?」
 訳の分からぬ怒りの飛び火に戸惑いながらも、依然として力は強大。吹き上がる黒風に弾かれる。
「ちぃ!」
「終わりだ!」
 貫こうとする金光。けれど、浮かび上がったアン・デ・フィアとアン・デ・カースがその動きを妨げる。
「ぐぅ!?」
「悪いが、もう思い通りにならないぞ!」
 召喚した小魔獣の加護を受けたクロスが告げる。
 チセによる魔力の無限回復が可能になった今、もはや人形遣いと勇者達のアドバンテージの差は無きに等しい。
 遠慮なしの全開ダートガを受け、揺らぐ人形遣いに隣接するのはシキア。
「やっとぶん殴れるよ。余所者!」
 叩き込まれる、スプリームクラッシュ。堪らず退いた所に、タスク。
「貴女には、遠慮は無しです!」
 マドーガを。そしてディアン・マアルシルトを付与した一撃が切り裂く。痛みと怒りと屈辱が導くは、更なる憎悪。
「オノレおのれオノレぇ! 小娘ぇ、貴様さえ来なければぁ!!」
 その憎悪の全てを、反撃の起点となったチセに向ける。牙を剥き、爪を閃かせて襲い掛かるが、ソレも無意味。立ちはだかったオズワルドが、千代古令糖の守りと魔力の羽衣で尽く弾く。
「言った筈です……」
 低く、呟く。
「チセさんに、近づくな!!」
「グガァ!?」
 全力攻撃を込めた杖の一撃が、半分だけ残った顔面を粉砕した。
「ガ……ガガ……ガ……馬鹿、な……こんな……コンナ……」
 よろめいた先に、殺気。
「降台の時間だぜ。大根役者さんよ!」
 閃く剣閃。
 叢雲の切っ先が、人形遣いを貫いた。
「タスクちゃん!」
 呼ばれて振り向けば、いつの間にか戻って来ていたマーニー達の姿。
「皆、一緒です!」
「だから!」
 そう、全てはかの王に託された術。
「皆!」
 タスクの号令の元、皆が渾身の魔力を解放する。
 瞬間、人形遣いの身体を八彩の光が貫いた。

「八災も、根源は世界の一部。それを滅ぼそうとする存在を、良しとする道理はない」
 虚数空間。一人残った女華は、静かに旋律を奏でる。
「叢雲が凪ぐは悪意の枷。解放された八災の力が向かうは、己らの敵」
 届ける相手は、愛しい推し達。
「胸を張れ。前を向け。勇者達」
 映る視界の中には、八彩に蝕まれ崩れ落ちる人形遣い。その前で、剣を掲げるタスク。
「今、世界は正しく」
 声が聞こえる。

「この世界を、貴女の好きにはさせない! 心! 刀! 滅却!!」
 重ねる渾身。
 全力の、月下白刃。

 その輝きに、心からの祝福を。

「君達と、共にある」

 命の煌めきが、滅びの闇を切り砕く。

 ◆

 饕餮は、淡々と取り込んでいた。
 書き込むのは、『心』。そして『可能性』。

 稚拙な構築。
 綻びだらけの永久機関。
 それでも懸命に。

とくべつな事じゃありません。

 切れる息で、一人が。
 

学園で学んだこと。用意したこと。
そして、みんなで協力することで組み上げた成果。

 意を。
 願いを。

だれかを犠牲にするのではなく、準備すれば、だれでも。
それが、学園の『教育』という『システム』です。

 もう、一人。

貴方の在り方は否定しません。でも……。
食事って、皆で食べるともっと美味しく感じますよ?
お弁当に作ってきたおにぎり、一緒に食べませんか……?

 差し出された、有機物の塊。
 おにぎり。
 取り込んで。

敵意とか憎悪とか、そんなモノばかりじゃ。ひねたくもなるわよねぇ。

 また、一人。

だったら、私達と一緒に来ない?
教えてあげられるわ。あの子達なら、必ず……。

 そして、一人。

此れが、彼女達の全てです。
可能性です。
理解してください。
受け入れてください。
足りないと言うのなら、僕が証明します。
このキリの知れない身で。
いつまでも。
どこまでも。
だから。
どうか……。

 最後のデータ。
 小さな指輪。
 全てを込められた輝き。
 そっと受け、取った。

「君は、不完全なシステムだった」
 女華は歌う。
「事象の真理を見る力はなく、単純に『量』による比重の傾きを剪定する事しか出来なかった。『可能性』や『心』と言った不確定要素に価値を見出す事は不可能だった」
 奏で、構築する。新たな、器。
「けれど、今に至り君は手に入れた。あらゆる不確定要素を知り、加味し、『量』ではなく『質』での判断を可能とし、純然たる『毒』のみを剪定する力」
 それこそ世界が『饕餮』に求めた真なる機能。
「さあ、目覚めたまえ」
 女華の姿が変わる。
 己が尾を加える巨蛇。
 『ウロボロス』。
 創造と言う、無尽の真理。

「稚拙なる『剪定』の殻を捨て、世界に害成す毒を駆逐する『免疫』として」
 光が、満ちる。
「今こそ、『システム・滅尽』。完成の時」
 歓喜の、咆哮が響く。

 ◆

 全ては、一瞬で終わった。
 ボロボロの肉塊と化してなお、怨嗟を呟き。世界に呪いを振り撒こうとした人形遣い。それを、天から下り落ちた羊角頂く純白の巨龍が一口の元に飲み下した。
 自分達を見つめる龍の眼差しと、その頭上で手を振る女華を見た時。
 勇者達は知った。
 ああ、届いたのだ。と。

 ◆

「クロス様は、信用してはいらっしゃらないのですね。饕餮様の事」
 夜空の下、校舎の屋根に並んで座ったオズワルドとチセ。困った顔の彼女に、オズワルドは言う。
「ええ。でも、女華様はそれで良いと」
「と言いますと?」
「饕餮が至ったのは、あくまで『免疫』としての在り方です。決して僕達の味方ではなく、もし僕達が世界に対する『毒』となった時には容赦なく剪定する。だから、警戒を向ける者は必だだと」
「成程……」
 考えて、また何かを思い出す。
「そう言えば、リスク様はどうなされたのでしょう?」
「メフィストさんと一緒に行ったそうです。世界の狭間に潜んでる筈の人形遣いの本体。それを倒す為の助力になりたいと」
「タスク様と、マーニー様は?」
「複雑そうでしたが、納得はしてる様です」
「ご心配、ですよね」
 目を伏せる彼女を見つめ、告げる。
「人形遣いは、脅威です。またいつか、現れるかもしれない。その時は……」
「貴方も?」
 突っ込まれて、ウッとなる。
「い、一応……そう言う立場ですから……」
「かまいませんよ?」
 あっさり許可されて、ずっこける。
「連れて行って、くれるんですよね?」
 見上げる視線の圧。ちょっとコワイ。
「言質、取ってありますので」
「あはは、敵わないなぁ……」
 元より、そのつもりではあるのだけど。
「でも、心配ではありますので。僕からは離れないでくださいね……って、何か父親みたいですね。はは……」
「ダメです」
 間髪入れず、駄目出しされた。
「な、何がですか?」
「『父親』なんて、ダメです」
 見上げる、瞳。意味を悟り、迂闊さを呪う。
「そうですね。すいません……」
「なら、証明してください。そしたら、許してあげます」
「証明って……」
 訴えかける目。把握する。
「もう、仕方ないなぁ……」
 照れ隠しの咳払い一つ。
 華奢な身体を抱き寄せて、顔を寄せる。
 蕩ける甘さは、ほんの一時。
 けれど、永遠。
 見てた星が、照れた様に彼方へ落ちた。



課題評価
課題経験:216
課題報酬:9600
目指す、世界
執筆:土斑猫 GM


《目指す、世界》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《比翼連理の誓い》 オズワルド・アンダーソン (No 1) 2022-04-04 14:23:11
賢者・導師専攻、オズワルド・アンダーソンです。
今回もどうぞよろしくお願いいたします。

多分、参加される方は考えてることは同じかな。
僕はルート4を選びます。難しいことは解っている。
でも、僕はチセさんや、リスクさんを犠牲にすることは一切考えていません。
人形遣いはあの子を苦しませた分、殴りますよ。

そしてチセさん救出の役目は、可能であれば僕にやらせてほしい。
他の方がやりたいとかありましたら、言ってください。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 2) 2022-04-04 22:37:55
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。よろしくおねがいします!
いよいよ決着ですね。頑張りましょう!

今回の作戦について、ざっくりと流れをイメージしてみましたので、
たたき台としてご利用いただければと思います。
各項目横の※は、人振りや会議すべき内容などを挙げています。

①ルート4選択をプラン上で表明 ※プランに書く人募集
②人形遣いに宣戦布告、壁役にて引付け ※(案)挑発&壁役 タスク
③【道渡りの蝶】を行使、PC1人がチセさんのところへ行く ※オズさん推奨
④チセさんとの対話、その絆により饕餮の戦意減退を狙う ※オズさん推奨
⑤チセさんと入れ替わりに、【蝶】によってできた道にリスクが入り、
「違う味」を味わわせ、その後の説得の伏線を張る ※マーニーのウィッシュに記載
⑥饕餮が「敵ではない」という状態を作った上で、【叢雲の剣】を行使、人形遣いを弱体化 ※叢雲を行使する人募集
⑦人形遣いをとにかく叩く、叩く、倒す!! ※戦術を皆で考える
⑧饕餮に、学園に来たらいろんな味が毎日楽しめるよ、僕たちは君と共に生きたい、と説得する ※説得する人募集

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 3) 2022-04-04 22:40:48
おっと、ミサオさんいらっしゃいませ~!
ミサオさんさえよければ、今回も一緒に壁役頑張りましょう~!
挑発の言葉選びは、ミサオさんのほうが上手ですので、頼りにしてます!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 4) 2022-04-04 22:46:12
オズさん、ジム家のろくでなしおじさんであるところの
リスク大おじさんを気にかけてくださってありがとうございます。

彼は「自分だけが犠牲に」なんて言ってるようですが、
そんなこというなら、おばあちゃまは再度ビンタしかねないし、
僕も同じ気持ちです。

ただ、「封印領域」の中に入って、少し魔力を差し上げる、味わわせてあげる、
というのは面白いんじゃないかなあ、ということから⑤を発想した次第です。
犠牲はダメでも、せいぜい使い倒しますよ、ふふふ(黒タスク)

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 5) 2022-04-05 06:07:51
芸能・芸術コースのエルフ、レーネです。【ルート4】したいです。

【道渡りの蝶】でチセさんとこにいくことについてはわたくしは希望なさる方におまかせしたいです。
ただ、可能でしたらどなたかにリーソルなどのまりょくをつかったきりょく回復をおねがいします。

楽器「虹彩の鐘」はまりょくを回復できます。
チセさんの効果ほどじゃない、範囲もわたくしのてのとどくところまで。
でもリーソルしてくださる方がおられればわたくしたちも「魔力の無限供給」はできる。
だれかを犠牲にするんじゃなくて、ともにあゆむために工夫し、
かたりあい、洗練させてきたわたくしたちの「システム」、
それをわたくしはしめしたいです。
ご検討いただけましたらと。

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 6) 2022-04-05 12:33:01
賢者・導師コース、教職志望のマーニー・ジムです。
よろしくお願いいたします。

レーネさん、孫がいつもお世話になっております(一礼)
それにしても、魔力の無限供給とは、面白い発想ね!
おばあちゃん、老体に鞭打って、大急ぎで【リーソル】を履修してきたから、
是非、一緒にやりましょう!

《不屈愛の雅竜天子》 ミサオ・ミサオ (No 7) 2022-04-05 22:15:38
おう。
魔王・覇王コースの、借金総額ナンバーワンを極めし賭博魔王ミサオ・ミサオたぁ、
俺のことだ。
運試しにセルフで回してたら相変わらずこうだ。(頭を指差しながら)
タスク坊っちゃんは同じ壁役としてよろしく頼むぜ。全力で煽ったる。

ヘッ…後の敵であり魔王になるこのオレが、勇者らしい甘ちゃんな平和的解決が許されると思うか?
いいぜ!俺もそれに賛成だぁ!(プレイングにルート4と書き始めた)

オレも嬢ちゃんとこに行くのはオズワルドでいいと思うぜ。たまにはあっちにも花を持たせてやらねぇとな。
リソールはマーニーおばあちゃまにお願いするぜ。

ところで【叢雲ノ剣】を持ちたいやつはいるのか?
その剣を持ちてーなとか思ったけど、
魔王の特化科目じゃないし、持ちたいやつか得意なやつが持ってほしいねぇ。

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 8) 2022-04-05 22:16:19
芸能・芸術コースのシキア
ここまで来たらやってやろうじゃん、よろしくね

さて、俺も目指すは【ルート4】かな
【道渡りの蝶】は希望者に、ね。いいよ、会いたい人が行くべきだ。
魔力を渡す、というのはともかくレーネさんの案は面白いと思う。
俺達のスタンスを示すのにもいいんじゃないかな。
…楽器なに持っていこうかな……ちょっと悩ませてね…

あっ壁というか、壁の支援?になるけど人形遣い殴りに行くのは俺も参加するよ
ここまで散々煽られてきたから、一発ぐらい蹴とばさないと気が済まないし

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 9) 2022-04-06 07:22:35
マーニーさん、ありがとうございます。
「チセさん、リスクさんを犠牲にしないですむもうひとつのまりょくの準備」
そう説明して納得してもらえるようにがんばりますね。

【叢雲ノ剣】につきましてはコース専用技能でもっと活用できるとかはなさそうですから、
もつひとに望ましいのは「たおれないこと」だとおもいます。
しっかりとまもりをかためていただける方にもっていただけましたらと。

人形遣いへの攻撃につきましては「物理攻撃」、「魔法攻撃」を効かなくすることがあるみたいですね。
でしたら物理攻撃の技能と魔法攻撃をいっしょにつかう「複合攻撃」がよさそうです。
【叢雲ノ剣】とかではまりょくがへっちゃいますけど、リーソルは何ターンかおきにつかっていただければいいのでがんばってみなさんのまりょくも回復できるように走ります。
魔法攻撃はマドとかの種族特性でもいいみたいですし。
参考にしていただけましたらと。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2022-04-06 12:53:01
ミサオさん、【叢雲の剣】、どうぞどうぞ!
図々しいですがリクエストさせていただくと、舞いと口上をもって発動していただけたら、最高に映えると思います!
(ピンナップの発注が待たれますね(笑))

技能やコースが関係なさそうな点、レーネさんと同意見です。
アイテムデータではなく、プランに書けば発動するキーワードみたいなものだと思いますので。

この点、【道渡りの蝶】も同様と考えます。
皆さんのご意見にもあるように、蝶の行使はオズさんに託したいと思います。

なお、蝶の効果は「PC一人分の道を作る」とあります。

僕は、これを以下のように解釈しています。
・作った道は残り、オズさん&チセさんと入れ替わりでPC一人が通ることが可能
・チセさんがいるところにPC一人が入れたのだから、封印領域には最低二人は存在可能

問題なければ、これを前提に作戦を検討したいと思いますが、皆さんどう思われますか?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2022-04-06 12:57:32
ルート選択ですが、現状皆さんのご意見から、
【4】にいったん確定し、作戦を検討する、ということでよいでしょうか?

なお、ルート選択を明記する方を募集しましたが、簡潔に書くなら、そんなに文字数かからないので、「書ける人は書く」でよさそうですね。

ミサオさん、立候補ありがとうございました!
僕も「ルート4選択」と書いておきます。

勿論、ルート4を選択する理由や思いを熱く書くなどは、有効だし素敵だと思います!

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 12) 2022-04-07 18:51:57
【ルート4】希望につきましてはわたくしも書かせていただきますね。
【ルート4】は「贄なき和解」ということでうまくいかないと敵対もありえる、つまり説得が必要そうですから。
もちろん「賛同」だけでも意味はありそうですから、書ける方には一言でも書いていただけたらともおもいます。

チセさん救出後はまりょくをどんどんつかうのがよさそうです。
いつもは消費がおおすぎてつかいにくい種族特性とか活用できるかもしれませんね。

《不屈愛の雅竜天子》 ミサオ・ミサオ (No 13) 2022-04-07 23:38:00
おいおいいいのかよ魔王にもたせちゃっていいのかなー。なんて。やるからにはしっかり務めさせてもらうわ。(ミサオは剣を手に入れた、テレレッテッテッテー)
さっきと同様、もし持ちたい方がいたら言ってくれればすぐに渡せるぜ。
ただ、プレイング書き始めているので希望の方は早めにな。

ルート4の説得については字数に余裕が出たら書くつもりだが、
足りなかったらみんなにお願いしてもいいか?

《光と駆ける天狐》 シオン・ミカグラ (No 14) 2022-04-08 01:55:19
ご挨拶が遅れてすみません……!
教祖・聖職コースのシオン・ミカグラです、お初の先輩方はどうぞよろしくお願いします!

チセさんとはあまり関わりはなかったものの、他の魔族の復活には居合わせたので気になって参加させていただきました。
【ルート4】大賛成で、私は饕餮さんの説得に注力しようと思います。
……実のところ、クロス先輩が自分には仲良くしましょうみたいな説得は無理ということで引っ張ってこられたのも理由の一つでもありまして……

あと、確実にとはいきませんが、コース固有の復活呪文も一応持っていきますね。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 15) 2022-04-08 03:36:16
賢者・導師コースのクロス・アガツマだ。今回もよろしく頼む。

ルートは満場一致で決まりのようだな、最も難しいが、価値ある選択だ。
叢雲ノ剣はミサオ君が使うということで俺は全く問題ないよ。
説得に関しては……俺は饕餮のような相手と平和的に話し合いというのはどうもキャラでないというかね……なので代わりを連れてきた。
俺個人としては戦闘重視の動きになりそうだ。領域でのチセくんの説得も、色男に任せるとしよう。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 16) 2022-04-09 06:39:05
いよいよ本日出発ですね!
ここまでの状況を、相談込みでまとめてみますね。
プランの仕上げにご活用いただけると嬉しいです。

①ルート4選択をプラン上で表明(書ける人が書く)

②人形遣いに宣戦布告、壁役にて引付け
・挑発&壁役 ミサオさん、タスク

③【道渡りの蝶】を行使、PC一人がチセさんのところへ行く
④チセさんとの対話、その絆により饕餮の戦意減退を狙う
・救出 オズさん

⑤魔力の無限供給を活用し、「違う味(魔力)」を味わわせ、その後の説得の伏線を張る
※相談 レーネさん、こういう利用法は可能でしょうか?
    ゲームルールからは外れた行動宣言かもしれませんが、
    おばあちゃまがウィッシュプランに記載することで、
    実現可能性を上げたい考えです。

⑥饕餮が「敵ではない」という状態を作った上で、【叢雲の剣】を行使、人形遣いを弱体化
・叢雲の剣行使 ミサオさん

⑦人形遣いをとにかく叩く、叩く、倒す!!
・複合攻撃
・チセさん救出後は、魔力の無限供給によるサポートをお願いする

⑧饕餮に、学園に来たらいろんな味が毎日楽しめるよ、僕たちは君と共に生きたい、と説得する
・説得 シオンさん、タスク

《不屈愛の雅竜天子》 ミサオ・ミサオ (No 17) 2022-04-09 21:36:58
最後だし、ギャンブラーとして運試しに振らせてもらうぜ。

ダイスの結果でこの戦いがどうなるとかはないとは思うが、
気持ち運が良かったらイイね!ってだけだ。

《不屈愛の雅竜天子》 ミサオ・ミサオ (No 18) 2022-04-09 21:38:19
・・・うん!
少しでもいい結果になる様に見直しとくかー!
(いい笑顔でプランの仕上げを始める)

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 19) 2022-04-09 22:10:30
タスクさんは毎度のことながら、まとめてくれてありがとうね
ちなみに俺はちゃんと表明してなかったけど②で壁役してくれる二人の支援にいくよ

そういえば、持っていく楽器は「祝福の音色」にした
コレ、色んなスキルの効果が1.5倍になんだよね
レーネさんとマーニーさんの効果も引き上げられると思う
俺は自分の減った分はアイテムで回復させるから大丈夫、演奏のタイミングは二人がスキルを使う時に合わせるよ

チセさん助けた後は遠慮なく演奏するから、皆遠慮なくスキル使っちゃってー!

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 20) 2022-04-09 22:48:11
んまぁ!さすが、タスクちゃんのスタアさん!
ハンサムさんな上に、気配り抜群だわ!
うちの旦那と元婚約者に爪の垢を煎じて飲ませたい…ほほほ、こちらのことよ(苦笑)

それでは、お言葉に甘えて、心強い支援をいただいて、
その分、期待に応えられるように頑張るわね。

饕餮さんに魔力を与える、ということについては、
「シーソルブ」の説明文に書かれた性質
「自身の魔力を相手に流し込むこと(中略)他者の魔力と深く触れ合う事になる」を利用して、
饕餮さんと私の魔力を接続する、ということを書いてみるわ。
前回も同じGM様でうまくいったから、今回も見込みがあると思ってるの。
ついでに、うちのろくでなしさんの魔力も使い倒してあげるわ、ほほほ(黒マーニー)

さて、伝説の賭博師でもある私も、ミサオくんを見習って、
ひとつ、ダイスで景気づけをしてみるわね。そ~れ!!

《奏天の護り姫》 レーネ・ブリーズ (No 21) 2022-04-09 23:25:56
饕餮さんの回復についてはマーニーさんのおっしゃるとおり、
わたくしがまりょくとたいりょく、まーにーさんがきりょくを回復することで
わたくしたちふたりの無限回復を饕餮さんにも提供できる、
これを説得の手立てにできると思います。
よろしくおねがいします。

エラルドさんも支援、ありがとうございます。

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 22) 2022-04-09 23:34:00
レーネさんが私の魔力を回復してくれて、
私がレーネさんの気力を回復すればいいのね。わかったわ!
教えてくれてありがとう!

タスクちゃんは、戦闘が終わったら、魔力の供給について饕餮様に伝えて
説得をするつもりみたいだから、
私たちで頑張って、その根拠を示してあげましょうね。

さーて、さっきの出目がイマイチだったので、もういっちょういってみようかしら!そぉぃっ!!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 23) 2022-04-10 00:00:27
皆さん、今回もご一緒いただきありがとうございました。
全力で意見交換をし、最善の作戦を練れたと思います。
きっと、いい結果になります。

どうかご武運を。そして、みんなで笑い合えますように!