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アナタ達の未来は続いていく


ストーリー Story

 長きに亘る魔王との因縁は、ひとつの結末を得た。
 それがこの先、どうなるのか?
 知る者はいない。
 なぜならそれは、これから作られていく未来なのだから。
 それは世界だけでなく、そこに生きる皆も変わらない。

 そう、アナタ達も、この先は続いていくのだ。

 魔王との決着がついた今、アナタ達は、何をしていますか?
 これまでと変わらず、授業に出ているだろうか?
 あるいは、これを機に、新天地を目指すのだろうか?
 それとも、自身にまつわる因縁を解きほぐしに行くこともあるかもしれない。
 仮にアナタ自身は、これまでと変わらず生活しようとしても、アナタと関わる誰かの因縁と向き合っていかなければいけないかもしれない。

 それ以外にも、事は起るだろう。

 魔王は倒され赤ん坊になってしまったけれど、魔王を信仰していた者達が、そのまま終わるとも限らない。
 ひょっとすると、魔王に変わって世界に動乱を起こそうとする者もいるかもしれない。
 それに、この世界だけで済むとも限らない。
 異世界と繋がってしまった、この世界は、今後も色々な世界と関わることがあるかもしれない。
 中には、邪悪の化身のような者が、暗躍し始めているかも?
 異世界から、この世界に訪れた学園生ならば、元居た世界との関わりを強めていく橋掛かりになる人物も出て来るかもしれないだろう。

 いくつものいくつもの、未知が溢れているのだ。
 それがきっと、世界というものだ。

 そんな中で、アナタ達は、どう未来を進みますか?
 自由に、好きなように、アナタ達の物語を進めてみてください。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 6日 出発日 2022-06-26

難易度 普通 報酬 なし 完成予定 2022-07-06

登場人物 7/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《ココの大好きな人》アンリ・ミラーヴ
 ルネサンス Lv17 / 教祖・聖職 Rank 1
純種が馬のルネサンス。馬の耳と尻尾を持つ。 身長175cm。体重56kg。 16歳。 性格は温厚。 あまり表情を変えず寡黙。 喋る際は、言葉に短く間を置きながら発していく。 少しのんびりした性格と、言葉を選びながら喋るため。 思考や文章は比較的普通に言葉を紡ぐ。 表現が下手なだけで、年相応に感情は豊か。 好奇心も強く、珍しいものを見つけては、つぶらな瞳を輝かせながら眺めている。 群れで暮らす馬の遺伝により、少し寂しがり屋な面もある。 やや天然で、草原出身の世間知らずも合わさって時折、突拍子の無い発言をする。 好きな食べ物はニンジン。 食べていると美味しそうに目を細めて表情を和らげる。 趣味はランニング。運動自体を好む。 武術だけは、傷付ける行為を好まないため苦手。 入学の目的は、生者を癒し死者を慰める力を身に着ける事。
《ゆうがく2年生》シィーラ・ネルエス
 ローレライ Lv18 / 賢者・導師 Rank 1
「えぇ、私異世界から来たの」 「…そうね、そのはずなのに」 「うみにかえりたい、たまにそう思うの」 いつもおっとりした言葉遣いが特徴的なローレライの女性 おっとりとした言動とは裏腹にわりと勢いとノリがいい 自称、異世界からやってきたとのことだが… 容姿 ・海色のロングウェーブ、たれ気味の薄青の瞳 ・ゆったりとした服を好んで着ている ・胸は大きめ 性格 ・マイペースでおっとりとした性格…と見せかけてその実やりたいことはとことんやる、言いたいことはぶっちゃける ・困っている人には手を差し伸べるが、必要以上に他人と接しようとしない。あえて一定の距離を置いている節がある。人嫌い、というわけではない模様 ・ちなみに見た目よりかなり年上だが、間違っても「おばさん」とかは言ってはいけない ・笑いの沸点が低く、ちょっとしたことでもすぐ笑う ・取り繕うのは上手、なので平然とした顔で内心大笑いしていることは多々あり 好きなもの 海、歌 二人称:アナタ、~さん 仲良くなった人には呼び捨て、~ちゃん、〜くん 三人称:皆様、アナタ方
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《虎児虎穴の追跡者》シャノン・ライキューム
 エリアル Lv11 / 教祖・聖職 Rank 1
エルフタイプのエリアル。 性格は控え目で、あまり声を荒げたりすることはない。 胸囲も控え目だが、華奢で儚げな外見のせいか、人目を惹きやすい。 本人は目立つことを嫌うので、服装は質素で地味なものを好む。 身長は160センチほど。 学園に来る前は、叡智を司る神の神殿で神職見習いをしていた。 叡智神の花嫁と言われる位に、叡智神の加護を受けていると言われていたが、何故か、 「その白磁の肌を打って、朱く染めたい」だの、 「汚物を見るような目で罵って下さい!」だのと言われたり、 孤児院の子供達から、流れるようなジェットストリームスカートめくりをされたりと、結構散々な目に遭っている。 最近では、叡智神ではなく「えぃち」ななにかに魅入られたのではと疑い始めたのは秘密。 学園に腹違いの妹が居るらしい。
《真心はその先に》マーニー・ジム
 リバイバル Lv18 / 賢者・導師 Rank 1
マーニー・ジムよ。 普通のおばあちゃんとして、孫に看取られて静かに逝ったはずなんだけど…なんの因果か、リバイバルとして蘇ったの。 何故か学生の時の姿だし。 実は、人を探していてね。 もし危ないことをしていたら、止めなければならないの。 生きてる間は諦めてたんだけど…せっかく蘇ったのだから、また探してみるつもりよ。 それに、もうひとつ夢があるの。 私の青春、生涯をかけた行政学のことを、先生として、みんなに伝えること。 これも、生前は叶える前に家庭持っちゃったけど、蘇ったいま、改めて全力で目指してみるわ。 ※マーニーの思い出※ 「僕と一緒に来てくれませんか?」 地方自治の授業の一環でガンダ村に視察に行ったとき、そこの新規採用職員であったリスク・ジムからかけられた言葉だ。 この時点で、その言葉に深い意味はなく、そのときは、農地の手続きの案内で農家を回る手伝いといった用件だった。 「よろしくお願いします。」 これ以降、私たちの間では、このやり取りが幾度となく繰り返されることとなる。 その後、例のやり取りを経て婚約に至る。 しかし、幸せの日々は長くは続かない。 結婚式の前夜、リスクは出奔。著作「事務の危機管理」での訴えが理解されない現状に絶望したとのことだが… 「現状の事務には限界がある。同じことの繰り返しじゃ、世界は滅ぶよ」 結婚前夜の非道な仕打ちよりも、消息を絶つほど思い詰めた彼の支えになれなかったことを今も後悔している。 ※消滅キー※(PL情報) リスク及びリョウに感謝を伝えること 片方に伝えると存在が半分消える(薄くなる) メメ・メメル校長はこのことを把握しているようで、これを逆手にとって消滅を遠ざけてくれたことがある。 (「宿り木の下に唇を盗んで」(桂木京介 GM)参照)
《猫の友》パーシア・セントレジャー
 リバイバル Lv19 / 王様・貴族 Rank 1
かなり古い王朝の王族の娘。 とは言っても、すでに国は滅び、王城は朽ち果てた遺跡と化している上、妾腹の生まれ故に生前は疎まれる存在であったが。 と、学園の研究者から自身の出自を告げられた過去の亡霊。 生前が望まれない存在だったせいか、生き残るために計算高くなったが、己の務めは弁えていた。 美しく長い黒髪は羨望の対象だったが、それ故に妬まれたので、自分の髪の色は好きではない。 一族の他の者は金髪だったせいか、心ない者からは、 「我が王家は黄金の獅子と讃えられる血筋。それなのに、どこぞから不吉な黒猫が紛れ込んだ」 等と揶揄されていた。 身長は150cm後半。 スレンダーな体型でCクラスらしい。 安息日の晩餐とともにいただく、一杯の葡萄酒がささやかな贅沢。 目立たなく生きるのが一番と思っている。

解説 Explan

●概要

全校集会後の、ゆうがく世界での、アフターストーリーです。

何をしても自由です。

魔王後の世界を、のんびりと満喫するも良し。
自身のまつわる因縁に関わるも良し。
この世界だけでなく、他の世界と関わっても良し。

好きに動いてみて下さい。

●舞台

学園でも、他の地域でも、または異世界でも可能です。

公式に出てきた異世界だけでなく、PCの自由設定に出て来る異世界と関連づけてもオッケーです。

また、ゆうがく世界でも、PCの故郷とか、自由に出せます。

これまでの結果を破綻させない範囲であれば、自由に出せます。

●NPC

PCに関連するNPCでも、自由に出せます。

自由にどうぞ。

●内容

自由です。

PCの設定に関する話を進めてみるのも良いですし、これまでのエピソードから話を進めても構いません。

●その他

今回の自由度の高いアフターストーリーエピソードは、連作として定期的に出して行く予定です。

なので、複数回に分けて進めるとかも出来ます。

方向性としては、ノベル形式のエピソード版、みたいな感じです。

個別にPCの話を進めるでも良いですし、複数のPCでひとつの話を進めるような内容でも構いません。

これらを進めていく中で、ネタ的に拾って、個別エピソードとして出す可能性があります。

その辺も自由度の高い物になっています。

以上です。


作者コメント Comment
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。

今回は、アフターストーリーエピソード第一弾、になっています。

基本的には、連作のノベルにご参加いただくような内容になっています。

自由度が高いですので、それぞれ個別にPCの物語を進めていただいても構いません。

PC達の物語に区切りをつけるような進め方でも良いですし、他にも、何か思いついたことがあればプランにお書きください。

それに沿って進行し、描写されます。

今後もちょこちょこ出して行く予定ですので、今回一回で終わりにしても良いですし、続けて話を進めてみたりも可能です。

書いていただいたプランによっては、関連エピソードが出て来る可能性もあります。

それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリザルトに頑張ります。


個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
わたしは人としての姿をなくし、人の目に見えない存在となった

わたしがこの世界に来ることになったのは
元の世界で大きな悲しみや怒りを受け、心身の深い傷を負い
その苦しみからの逃避だったのか、それとも与えられた癒しだったのか

理由はどうあれ、この世界はわたしを優しく迎え入れてくれた大切な場所
それを守るためなら、代償を支払うことも惜しくはないけれど
叶うのであればもう少し、この世界の仲間たちの手助けをしたい

滅びをもたらす魔王が去っても
魔族とヒトの共存は簡単ではないだろうけれど諦めないで欲しい
わたしの風で涙を払い、頬を撫で、勇気を奮い起させてあげたい

アリアモーレ様、今しばらくわたしのわがままを許してください


アンリ・ミラーヴ 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
居住地区「レゼント」で、魔法犬ココを連れて知人NPCの様子を見に行く。
知人は、ハンス(兄)ヘレン(妹)の幼い兄妹と、彼らのおばあ様の三人家族。
過去に少ししか会っていないのだけど、魔王軍との戦いの前から安否を気にかけてきた。
ココに俺の知り合いへ会いに行くから犬の姿でついてきて、とお願いして並んで歩ていく。
お土産に、手作りのニンジンクッキーをバスケットに入れて持参。
レゼントの被害を確認しつつ三人の家へ。
皆が無事なら、尻尾を振って、良かった良かった!と喜ぶ。
バスケットを開けてクッキーを食べてもらったり、ココを兄妹達に紹介して遊んでもらいたい。
困った事があれば何時でも俺に伝えて欲しいと言って、励ます。

シィーラ・ネルエス 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
大きな戦いも終わり、気になることもあったので煉界へご報告に
メフィスト様もだし、迷っていた時に助けてくれた人たちにも…

双子みたいな彼と彼女に報告を
ありがとう、なんとか終わったわ
メフィスト様にもお礼を言いたいのだけど、中々会えなくて…
こちらに戻ってない?…そう

そんな中、紹介したい人がいると言われて手を引かれる
年下に見える女の子、でもずっと年上らしい
はじめまして、私はシィーラって言うの………え?

ちょっと驚いてしまったけど、友人が増えるのは嬉しい
でも少し怖い、見透かすような瞳をしている

「ちょっとちょっと、警戒しすぎー!」
…そうよね、ごめんなさい

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
メメたんの今後のサポートやら、霊玉の問題やら、魔族との共存のことやら赤ん坊になった義兄さん質のことやらやらなきゃいけないことはてんこ盛りだな

まずはメメタンの様子でも見に行こうかな
色々大変だと思うしできる範囲でお手伝いだな
お手伝いしながらいろいろとお話ししておこう
お義兄さんのこととかこれからの魔族のこととか

霊玉の問題にも動いておかないとな
なんだかんだ技術力があるメフィストさんに協力を仰ぎに行こう
・・・メメタンの初期化施術の時のことも謝っておかないと
成功確率知ろうとしないで低確率って聞いて怒鳴っちゃたからなぁ
協力取れたらドーラくんにも計画進めてるって話しておこう

アドリブA、絡み大歓迎

シャノン・ライキューム 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
アルカード様の眷属となった私は……さすがに、もう学園には居られないでしょう
学園から去り、アルカード様のお役に立てるように動くこと

それが、眷属の力を下さった……あのお方への恩返し

◆行動
何も言わずに姿を消しては……先生方が捜されてもいけません
ここに至った経緯を文にし、学園長宛てにお送りして

その前に、寮の部屋も引き払っておきます

それが済んだら……遠くの、人の少ない寂れた村の外れの、打ち捨てられた聖堂にでも留まり、今回の戦いで犠牲になった者達の弔いを

なるべく、世俗とは関係を断ちつつも、逃げ場も生きる術もなく、生きることに絶望した者が居たら……手を差し伸べ、望むならば、新たな眷属として迎え入れて

マーニー・ジム 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
現状の霊玉の存在意義につき
校長先生、シトリ先生はじめ有識者と徹底的に朝まで生討論
「いや~徹夜なんて生前の役場の現役時代以来だわ~」
仮に霊玉がもはや不要であれば
魔王としてではあれルルがこの世界に再誕した現象をヒントに
勇者復活構想の研究開始

各地に点在する魔族について
必要な対応を協定、和平交渉、戦闘(物理的説得)に分類し
学園生が取組む課題群として構築する【総合計画】を立案
また
覇王六種がこれからも学園の友として楽しく暮らせるよう心を砕く

貴人さんが色々抱え込む様子を見かねて
彼の親友で我が孫タスクに代わり声をかけ力になる
他にも
皆のやりたいことを【教導の才】を活用して全体的に支援する

交流連携大歓迎

アドリブA

パーシア・セントレジャー 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
学園都市の復興計画の方針検討やら、そのための財源の確保

◆行動
まずは、学園都市の被害状況把握と、復興に必要な基礎的資材の調達、搬入経路の検討ね
絵図面引いても、資材を持ち込めなければ意味ないわ

それを受けて、優先して復興させるべき施設や区画、必要なら資材搬入等のインフラにもなる街道や港湾の修復も考えなくちゃならない

そういった目的と課題を洗い出して、必要なら、市民の代表や学園の教師、専門家で構成する検討会立ち上げを学園に意見具申

並行して、商売等に強い学生、OB等の協力を得て、復興に必要な予算の積算
とりあえずは掴みでざっくりとでいい

予算規模が見えたら、周辺諸国の方々にお願いするよう意見具申ね

リザルト Result

 魔王との決着後、学園生達はそれぞれの歩みを進めていた。

●風になり寄り添う
 風となって、【エリカ・エルオンタリエ】は世界を巡っていた。
(綺麗……)
 大空から世界を、人を見詰めながら、エリカは穏やかな気持ちを抱いていた。
 今の彼女には、明確な形は無い。
 純粋な魔力に近い形で世界を翔けていた。
(みんな、一生懸命に生きている)
 世界を飛び回り、多くの人々の営みと、仲間である学園生達の日々を知り、エリカは自然と穏やかな感情に包まれていた。
(こんな気持ちになれるなんて……この世界に訪れる前のわたしなら、信じられなかったでしょうね)
 エリカは、異なる世界からの異邦人だ。
 転移してすぐは記憶が定かでなかったが、今この時、思い出している。
(わたしがこの世界に来ることになったのは、元の世界で大きな悲しみや怒りを受け、心身の深い傷を負い……その苦しみからの逃避だったのか、それとも与えられた癒しだったのか)
 理由は分からない。
 けれど感謝している。
(この世界は、わたしを優しく迎え入れてくれた大切な場所)
 心の底から、そう思っている。
 だからこそ、切に願うのだ。
(この世界を、守りたい)
 その思いに突き動かされるように、エリカは魔王との戦いで最前線に身を曝し、精一杯頑張った。
 けれどそれが、今の彼女の現状になっている。
(わたしは、いつまで保つのだろう)
 静かに思う。
 魔王を初期化しようとした、あの時。
 エリカは危険を厭わず、初期化の後押しを行った。
 そのお蔭で魔王と、そして1つの命が新たな人生を掴むことに繋がり、けれどエリカは代償を支払う事となった。
 魔王の初期化に巻き込まれ、エリアルとしての形を失ったのだ。
 純粋な魔力に近付いた身体で、誰にも知覚されず世界を巡る存在に成っている。
 その特性を生かし、今まで関わり合った人達の今を、知る事が出来た。
 そしてエリカは気付く。
 誰もが皆、新しい明日を生きようとしていると。
 それが嬉しくて、どこか安堵してしまっている。
 だからだろうか、酷く自身が希薄化しているのを感じていた。
 そうなってしまっていることに後悔は無い。
(わたしを優しく受け入れてくれたこの世界を守るためなら、代償を支払ったことも惜しくは無いわ)
 けれど同時に願うのだ。
(叶うのであればもう少し、この世界の仲間たちの手助けをしたい)
 未練のように。
 そして祈りのように、心から望む。
(滅びをもたらす魔王が去っても、魔族とヒトの共存は簡単ではないだろうけれど諦めないで欲しい。わたしの風で涙を払い、頬を撫で、勇気を奮い起させてあげたい)
 もっとみんなと、一緒に生きていたい。
 身体が無い今では、涙のひとつも流せないけれど、願わずにはおれないのだ。けれど――
(……無理、かな……)
 意識が薄れていく。
 恐怖は無い。
 なにか、より大きなものと重なるような、どこか安堵するような感覚の中、自己が消えていき――
「大丈夫」
 ふわりと優しく、大きな何かに包まれ、拡散する意識を押し留められた。
「ごめんなさい。貴女を探し出すのが、遅れてしまったわ」
 心底すまなそうに声を掛ける誰かに、エリカは意識を向ける。
(……アリアモーレ様?)
 そこに居たのは、大きな隼の姿をした風の精霊王【アリアモーレ】だった。
(なんで、ここに……?)
 声に出して応えたかったが、音にならない。
 もどかしさを覚えるエリカに、アリアモーレは幼子をあやすような穏やかな声で言った。
「貴女を探していたのよ。詳しいことは、貴女を安定させてから話すわ」
 そう言うと広げていた翼を抱擁するように動かし、その動きに合わせ、拡散しかけていたエリカは1つの形を得る。
 それは隼の姿だった。
「これって……」
 羽ばたかせることなく風に乗り宙に浮きながら、新しい自分の形に戸惑うエリカに、アリアモーレは説明した。
「私の情報子(ミーム)を使って、貴女の器を一時的に作ったの。そうしないと貴女の精神が拡散してしまうから」
「どういうことですか?」
 疑問に思って尋ねるとアリアモーレは応えてくれた。
「魔王を初期化する時に、貴女は後押ししたでしょう? そのお蔭で巧くいったけれど貴女も巻き込まれてしまったの。魔王の初期化だから効果が強すぎて、貴女は体を構成できずに拡散しそうになっていたわ」
「それを防いでくれたんですか?」
「ええ。あの時、私達精霊王の結界が張られていたから、それを通じて干渉したの。人として留めるのは難しかったから精霊として固定して、その後に精霊としての器を作ろうと思ったのだけれど、結界の維持をしていてすぐには迎えに行けなかったの。ごめんなさいね」
「そんな、気にしないで下さい」
 話を聞くと、どうやら行き違いになってしまったようだ。
「とりあえずは、このままで大丈夫。私が定期的に器を維持する魔力を供給するから、消えてしまうことは無いわ。精霊としての力も使えるわよ」
 それを聞き、エリカはアリアモーレに頼む。
「しばらく、わたしを維持し続けてくれませんか」
 真摯に願いを口にする。
「わたしは、まだこの世界の人達の力になりたいんです。そのために消えてしまうわけにはいきません。アリアモーレ様には迷惑をかけてしまうけれど、今しばらくわたしのわがままを許してください」
「それは我儘じゃないわ」
 アリアモーレは、翼でエリカを撫でながら応えた。
「それは願いよ。その願いを、私は守りたい。だから気にしないで。貴女の願いが続く限り、私の眷属として共に在りましょう」
「……アリアモーレ様」
 思わず言葉に詰まるエリカに、アリアモーレは言った。
「さぁ、貴女の望みを言って。私も、魔王との決着がついて自由に動けるようになったから手伝うわ。この子と一緒に」
 そう言うと、アリアモーレは首元にある風の霊玉を翼で撫でる。
(わたしは……)
 エリカが応えを悩んでいると――
「私も何かあれば手伝いますよー」
 唐突にメフィストが現れた。
「メフィストさん!? なんでここに?」
「事後処理でーす。貴女を初期化の巻き添えにしちゃいましたからねー。私が発動させたわけでー、責任感じてるのですよー」
「だから私と一緒に貴女を探していたってわけ。こんな場所にまで来れるとは思わなかったけど」
 呆れるように言うアリアモーレ。
 いま3人が居るのは、遥か上空なのだ。
 空中を踏みながらメフィストは提案した。
「特に何も無ければー、霊玉の魂を解放するのはどうでしょー?」
「どういうことです?」
 聞き返すエリカにメフィストは言った。
「気にしてる学園生さんも多いのでどうにかしようかとー。霊玉から魂が解放されないのはー、霊玉の力が大き過ぎるせいですからー、色々と力を消費することを試しましょー」
(霊玉の力を消費……)
 エリカは考える。
(魂を解放するためには内包する力を消費しなければいけない……)
 ひょっとするとそれは、今の自分の現状を変える事にも繋がるかもしれない。
「何かアイデアありますかー?」
 少し悩んでエリカは応えた。
「今は何も」
「ではー、しばらく一緒に同行しましょー。これから他の学園生さんにも会いに行きますがー、生存していることを伝えますかー?」
「……先のことはまだ決めてないから、黙っています」
 そう言うとエリカは、メフィストのシルクハットにちょこんと飛び乗る。
「これから次第ということですねー。では行きましょー」
 ということで、アリアモーレとメフィストと共に行動することにしたエリカだった。

●大切な日常
 オーブンの蓋を開けた途端、甘く美味しそうな香りが広がった。
「うん。巧く出来た」
 絶妙の焼き加減のクッキーに、【アンリ・ミラーヴ】は嬉しそうに呟いた。
 いま彼がいるのは学園の学生食堂のキッチン。
 作ったのはニンジンクッキーだ。
 クッキーの材料に摩り下ろした人参を加え、見た目も人参を象っている。
 出来立てなので、しばらく冷まし、1つ味見で食べてみると――
「うん、美味しい」
 程よい食感と甘味のあるクッキーは、立て続けに食べてしまいたくなる美味しさで、アンリは安堵する。
(これなら、喜んで貰える)
 アンリが作ったクッキーは、お土産に持って行くために作った物だ。
 だから多めに作ってある。
(小分けにして持って行こう)
 冷まし終ったクッキーを、アンリは袋に小分けにしていく。
 それは、これから訪れる3人家族、【ハンス】と【ヘレン】、そして2人のおばあさんのためのもの。
(おばあさんと、ハンスとヘレン。それと――)
 3つ小分けにしてラッピングしたあと、さらに3袋作る。
 それはアンリ自身の物と、魔法犬【ココ】の物、そして皆でお茶をする時のためのものだ。
(あの時は、3人分のお土産しか買ってなくて、おばあさんに気を遣わせてしまったから、今度はそうならないようにしないと)
 以前にもアンリは3人に会いに行ったことがあるのだが、その時にお土産として持って行った『にんじんマフィン』は3つで、気遣ったおばあさんが自分の分をアンリに出そうとしてくれた。
 その時は、おばあさんと半分こにして食べたのだけれど、今回はそういうことが無いようにしているのだ。
「うん。これで、よし」
 バスケットに小分けにしたクッキーの袋を入れ、キッチンの後片付け。
 キッチンを貸してくれた食堂の人達にお礼を言うと、ココに会いに行く。
「ひゃん♪」
 ココを預けているアニパークに訪れると、音で気付いたらしいココが尻尾を振りながら駆け寄ってくる。
「わふ」
 アンリの前まで駆け寄ると、尻尾を振りながら見上げてくる。
 何かを期待するようなココに、アンリは腰を落として撫でてあげると、嬉しそうに身体を摺り寄せてきた。
「今日も、元気みたいだね、ココ」
「わふ」
 応えるように鳴くココに、アンリは嬉しそうに笑みを浮かべると、撫でながら呼び掛けた。
「ココ。今日は、一緒に来て欲しい所があるんだ」
「わふ?」
 どこ行くの? というように小首を傾げ見上げるココに、アンリは説明してあげる。
「お土産を持って、会いに行きたい人達がいるんだ。男の子と女の子、それと2人のおばあさんの所だよ」
「わふ」
 分かった、というように鳴くココに、アンリは撫でながら、もうひとつお願いする。
「今日は、今の姿のままでいてくれる? 驚かしちゃったら、いけないから」
「ひゃん」
 頷くように鳴くココに笑顔を返し、一緒にお出かけすることにした。
 連れ添って一緒に歩き、途中途中で、片付けの終った様子を見てほっとする。
(大分、元に戻って来たな)
 魔王軍の襲撃を受け、被害を受けていた施設や建物の修復は一先ず目処がついている。
 そこから先は、新しく施設を改修したりするということで、皆の意見を聞きつつ準備をしている最中らしい。
 平和な日々が戻って来たことに嬉しさを感じながらココと一緒に歩き続け、居住地区であるレゼントに辿り着く。
 その一角にある家の、呼び出しの鐘を鳴らすと――
「どなた?」
 以前に訪れた時と同じく、おばあさんがドアを開けると、今度はアンリの顔を見るなり笑顔を浮かべた。
「あら、懐かしいお客さんね」
「お久しぶりです」
 覚えていてくれたことに嬉しさを感じながら、アンリはお土産を差し出す。
「どうぞ。クッキーを焼いたので持って来ました。ハンス君とヘレンちゃんと一緒に食べて下さい」
「ありがとう」
 おばあさんは受け取ると、家の奥に声を掛けた。
「ハンス、ヘレン、お客さんだよ。お土産を貰ったから、取りに来ておくれ」
 すると駆け寄ってくる足音が聞こえてきて――
「お馬の勇者さまだ!」
 元気の好い声が聞こえてくる。
 パタパタとヘレンが駆け寄って、笑顔で迎え入れてくれる。
「こんにちは! お馬の勇者さま!」
「うん。こんにちは」
 以前会った時よりも少し背が伸びたヘレンに、アンリが返事を返すと――
「お馬の勇者さま、今日は何するの?」
 ヘレンは尋ねている途中で足元のココに気付き、今まで以上に、ぱあっと顔を輝かせる。
「犬ー! わー、かわいいー!」
「わふ」
 撫でまくるヘレンに、ココは大人しくされるがままになっている。すると――
「ヘレン、勝手に触っちゃダメだよ」
 ハンスが嗜めるように声を掛けた。
 彼の姿を見て、アンリは感動するような気持ちになる。
(大きくなってる)
 ちょうど育ちざかりということもあり、ヘレン以上にハンスは背が伸び体も大きくなっている。
 もちろんまだまだ伸び盛りで幼さも残っているが、大人へと成長し始めているのを感じ取れた。
「大きくなったね」
 アンリに言われ、ハンスは照れ臭そうに応える。
「はい。最近、背が伸びたんです」
 話し方も、大人び始めているハンスに、アンリは和やかな気持ちになった。
 そんな風に、久しぶりに会った再会を喜びつつ、部屋の奥に案内して貰い、持って来たクッキーをお茶菓子にして皆でテーブルを囲む。
「はい、あげるー」
「わふ」
 ココに夢中なヘレンをアンリは微笑ましげに見詰めたあと、おばあさん達と近況を話す。
「困っていることは、ありませんか?」
「大丈夫ですよ」
 おばあさんは、にこやかに応える。
「避難させて貰っていましたから、怪我も無かったですし。家も壊されて無かったから、前と変わらず過ごせてますよ」
 応えるおばあさんは、前と変わらぬ様子で話してくれた。
 年が年なので、それ相応の衰えはあるようには見えるが、それ以上に気にしないといけないことは無い。
(良かった。みんなで、がんばった甲斐があった)
 皆と力を合わせ魔王軍と戦ったことは無駄じゃなかったと、おばあさん達の様子を見てアンリは嬉しく思えた。
 そんなアンリを、じっと見ているハンス。
 しばらく皆で楽しくお喋りをしたあと――
「あの、聞いても良いですか?」
「いいよ」
 アンリが応えると、ハンスは少し緊張するような表情で言った。
「俺も、学園に入れますか?」
 話を聞くとどうやら、魔王軍と戦い皆を守った学園生達の活躍を見て、自分もそうなりたいと思ったようだ。
「うん。大丈夫。入れるよ」
 憧れを瞳に宿すハンスに、どこかくすぐったいような気持ちになりながら、アンリは学園に入るための方法を説明してあげる。
 それを熱心に聞くハンスを見て、アンリは思った。
(こうやって、繋がっていくんだ)
 自分のしたこと、そしてその先に繋がる誰かが居ることを実感し、嬉しくなるアンリだった。

●失っても繋がる明日
(挨拶にいかないと)
 魔王軍の襲撃から幾らか過ぎた頃、学園の片付けを手伝え終えた【シィーラ・ネルエス】は、ふと思い至った。
(お世話に、なったから)
 思い浮かぶのは、煉界と呼ばれる異世界で出会った、双子のような2人。
 以前、煉界に訪れた時、言いようのない不安に襲われたシィーラに手を差し伸べてくれた【ラス・シェルレイ】と【ラニ・シェルロワ】に、現状を伝えたいと思っていた。
(色々と気になることもあるし)
 それが何なのかは、シィーラ自身にも明確には分からない。
 まるで、『戻らない空白』のように、手が届かないでいる。けれど――
(焦っても、仕方がないし)
 気になることはあるが、だからといってそこで留まる訳にもいかない。
 それよりも、まずは出来ることをしようとシィーラは思った。
(ラスとラニにも挨拶したいけど、メフィスト様にも挨拶しておこうかな)
 シィーラは意識していないが、いつのまにやらメフィストを『様』付けにしている彼女だったが、意識しないままメフィストを探してみる。
 しかし見つけられない。
(煉界に戻ったのかな?)
 出会えなかったので、煉界に訪れるため、異世界転移門があるセントリアに向かうことにした。

 ちなみにその頃、メフィストは絶妙に行き違いになる形でシィーラに出会えていなかった。

「タイムパラドクスとか矛盾が起きないように色々と調整してるのですよー」
 なんか知らないが結構忙しそうだった。
「この先300年鍛えて貰ってレベルアップしまくって時間軸が合うと同時に転移して貰って人形遣いのアンチクショーの横っ面をぶっ飛ばしてもらうとかの可能性はありますがー、そういった方向に進むかは彼女の選択次第ですしー、そうならないならならないでー、それまでの時間軸の流れと矛盾しないように調整しつつ無理なら並行世界を運用してどっかで合流させたりとかしないといけないのですよー」
「……メフィストさん、なんでいきなり独り言を?」
「大丈夫?」
 隼の姿になったエリカにシルクハットの上から突っ込まれ、同行するアリアモーレに胡散臭そうに見つめられるメフィスト。

 などということがあったことを知らないシィーラは、セントリアに訪れると煉界への転移を頼んだ。
「煉界への転移を、お願いできますか?」
「大丈夫ですよ」
 軽い口調で応えたのは、セントリア中央研究所代表の【ハイド・ミラージュ】。
 テロでセントリアが大変になった時のごたごたで、なし崩し的に代表にされている彼だったが、今も肩書はそのままで、なんとか色々と融通をつけて異世界転移の研究についているらしい。
「煉界は因果線がガッチリ繋がってるんで、転移させやすいんですよね」
 手早く準備して呼び掛けて来る。
「それじゃ転移させます。良いですか?」
「ええ。お願いします」
 シィーラが頷くと転移門が発動され、一瞬の空白の後、煉界へと辿り着いた。すると――
「いらっしゃい」
「よく来たな」
 転移すると同時に、ラニとラスに出迎えられた。
「――え、あ」
 いきなり再会できるとは思わなかったので混乱していると、ラニとラスは説明してくれる。
「こっちの世界に転移する時は、事前に連絡が来るようになってるの」
「それで対応係の人が気をきかせてくれたんだ」
 話を聞くと、シィーラが転移して来ると連絡を受けた煉界の対応係が、以前の記録からラスとラニと関わっていたことを知り、伝えてくれたようだ。
「2人とも、久しぶり」
 話を聞いて納得したシィーラは、気軽に挨拶をする。
(やっぱり、不思議)
 ラニとラスと会うのは数えるほどでしかない筈なのに、家族と再会したような気持ちになっている。
 それはラニとラスも同じなのか、2人も気軽な声で返してきた。
「こっちも久しぶり、というほどでもない気もするけど、また会えて嬉しいわ」
「ああ。そっちの世界、色々と大変そうだったみたいだし気になってたけど、巧くいったみたいだな」
 これにシィーラは頷く。
「色々と大変だった。でも、みんなで力を合わせることが出来たから」
「やっぱり大変だったみたいね。お疲れ様、これからが忙しいんじゃない?」
「うん、そうかも」
 苦笑するようにシィーラはラニに応える。
「復興させないといけない所もあるし、それに魔族とも、新しい関わり合いを見つけないといけないと思う」
「そっか、大変だな。まぁ、無理はするなよ」
「そうそう。もし必要なら、助けを借りなさい。何ならあたし達だって、手助けできることあるかもしれないし」
「……いいの?」
「もちろん。教団から指令で出して貰えれば、大手を振って手伝えるし。大変だった時に、あたし達なーんにも助けてあげられなかったし。力を貸すわよ」
「ありがとう」
 気を使ってくれる2人に、シィーラは嬉しそうに顔をほころばせた。
 そしてお喋りを続ける。
「そういえば、メフィスト様は居られないの?」
「メフィストさん? いや、最近見てないな」
「見ないわね。どうしたの?」
「お礼を言いたいのだけれど、なかなか会えなくて……こちらに戻ってないのね」
 その後もお喋りを続け、ラニが提案した。
「そうだ。シィーラに会わせたい人がいるの」
 言うなり、シィーラの手を引っ張ってどこかにつれて行く。
「え? ええ? なに?」
 混乱しながら手を引っ張られ――
「あ、いたいた」
 1人の女の子を見つけたラニが、シィーラをつれて駆け寄った。
「どうしたの?」
 不思議そうに尋ねる女の子に、ラニは応える。
「この子、前に話した異世界の子なの。会わせたくって、つれてきちゃった」
「この子が?」
 そう言うと女の子はシィーラを見て、気のせいか驚いたような表情を見せた。
 まるで、誰かの面影をシィーラに見つけ出したかのような表情をしている。
 シィーラは不思議に思いつつ、挨拶をする。
「はじめまして、私はシィーラって言うの」
「あら、私と名前が似てるのね」
「…………え?」
 驚くシィーラに女の子、【シィラ・セレート】は自己紹介した。
「はじめまして、私はシィラ」
 話をすると、見た目は年下に見えて、実際はずっと年上らしい。
 追い付いてきたラスもお喋りに加わり、和やかに談笑する。
「色々と大変だったのね。それなら何か必要な物は無い? 手助けできることがあれば気軽に言ってね」
 どういう訳か、好奇心一杯に積極的に話しかけてくるシィラ。
 それ自体は嫌ではなく、むしろシィーラは友人が増え嬉しいが、気になることがあった。
(少し怖い、見透かすような瞳をしている)
 自分が知らない『自分』を知っているかのようなシィラに、意図せず顔を強張らせていると――
「ちょっとちょっと、警戒しすぎー!」
 ラニの言葉に、はっとする。
「……そうよね、ごめんなさい」
 しゅんとするシィーラに、ラス達は明るい声で言った。
「気にするなって。それよりここで立ち話もなんだし、談話室に行こう」
「そうね。あ、そう言えば、食堂に新しいスイーツが入ったって言ってたし、それ頼もう」
 わいわいと明るく賑やかなラスやラニ達に、シィーラは自然と顔をほころばせ、楽しい時間を過ごすのだった。

●未来を目指して
(やらなきゃいけないことはてんこ盛りだな)
 するべきことを思い浮かべ、【仁和・貴人】は気合を入れていた。
 いま貴人がいるのは学園。
 魔王軍の襲撃により、様々な施設が破壊されていたが、その後片付けには目処がつき始めている。
 貴人も魔王との決着後、他の学園生達と協力して瓦礫を撤去したりしていたが、落ち着き始めたので、個人的に気になっていることに力を尽くそうとしていた。
(メメたんの今後のサポートに霊玉の問題。魔族との共存のことやら赤ん坊になったお義兄さんのことも……どれから手を着けて良いか分からなくなるぐらい多いぞ)
 まさしく問題山積みといった所だが、まず貴人が第一に考えたのは、【メメ・メメル】のこと。
(まずはメメたんの様子でも見に行こうかな)
 初期化で今のメメルは、学園に入学したての学園生ぐらいの力しかない。
 幸い、これまでの知識や経験が失われたわけではないので、指導者としての学園長であれば役割をこなせるだろうが、それでも今まで持っていた魔法の力を失ったのは大変だと思う。
(色々大変だと思うし、できる範囲でお手伝いだな)
 メメルがいるであろう学園長室に向かいながら、貴人は考える。
(お手伝いしながらいろいろとお話ししておこう。お義兄さんのこととか、これからの魔族のこととか。それに――)
 メメルに伝えたい、ひとつの決意を胸に抱きながら学園長室の前まで訪れ――
「メメた――」
「ふぎゃあああっ!」
「あああああっ、おにいたま、ちょっと待ってほしいんだぞ☆」
 絶賛育児修羅場中な声が部屋の中から聞こえてきた。
「……えーと」
 ちょっと迷ってから部屋に入る。
「メメたん、お義兄さん、どうしたの?」
「おおー、良い所に来てくれたな! ちょっとおにーたまの面倒見ていてくれ☆」
「え、って、ちょっ――」
 メメルが抱き上げていた赤ん坊を貴人を渡す。
(うわっ、体温高い。あとなんか首とか、しっかりしてないし小さくて脆そうだし怖っ)
 何かあればすぐに死にそうな感じがして、抱き上げているだけで怪我をさせてしまいそうで怖くなる。
「メメたん、これどうすれば」
「そのままあやしてあげて欲しいんだぞ☆ 大丈夫、ミルクを作るちょっとの間だけだ」
 そう言うとメメルは、急いで粉末ミルクをお湯で溶かし、人肌になるように冷ます。
 その間、ギャン泣きする赤ん坊を抱き上げながら貴人が困っていると――
「よし、出来たぞ☆ ちょっと持っててくれ」
 一端、哺乳瓶を貴人に預け、その間に赤ん坊を抱き上げると、貴人から哺乳瓶を受けとり赤ん坊に飲ませる。
「――んぎゃ、ふぎゃ、ふ、ん――」
 ミルクを飲んで落ち着いたのか、一心にミルクを飲み始める赤ん坊。
「美味しい? おにいたま」
 ミルクを飲む赤ん坊を見て笑顔を浮かべるメメルを、貴人は感心するように眺めながら言った。
「お義兄さんの世話、巧くなってきたんだな、メメたん」
「ふふふっ、学園長なんだから当然なんだぞ☆」
 嬉しそうな表情を浮かべるメメルに、貴人も嬉しくなる。
 そんな貴人に、メメルは尋ねた。
「それで、何か用があったのか?」
「これから先の事を一緒に考えようと思って来たんだ」
 貴人は、これから先の事をどうするか考えていることを話すと、続けて自分の将来を含めた決意を口にした。
「オレ、学園教師を目指すよ」
 言葉を待つように、じっと見つめるメメルに、貴人は言った。
「新しい正しい魔王になって、導いていきたいかなって。まだまだ、実力も足りない学生だけどメメたんの手伝いしながら成長できればなって思うよ」
「そうか……好いと思うぞ☆」
 心の底から嬉しそうな笑顔を浮かべ、メメルは貴人の決意を祝福する。
 その笑顔に、一瞬見惚れてしまいそうになりながら、これから先のことを決めるために問い掛けた。
「……ところでメメたんは落ち着いたらしたいことってある?」
「やりたいこと、か……」
 赤ん坊を見詰めながら、穏やかな表情を見せるメメルに、貴人は続けて尋ねた。
「あと、赤ん坊になったお義兄さんのこと、これから何て呼ぶ?」
 一心不乱にミルクを飲む赤ん坊を見詰めながら言った。
「以前の意識や記憶があるなら今のままでもいいけど、無かったら名前で呼んだほうがよくない?」
「記憶が無くても、おにいたまは、おにいたまなんだ」
 愛おしそうに赤ん坊、【ルル・メメル】を見詰めながらメメルは応える。
「おにいたまは魔王を宿しているから魔王そのものだけど、同時にルル・メメルでもあるんだ。おにいたまが居なくなったわけじゃない。だから、おにいたまを一からやり直させてあげるためにも、ルルと呼んであげて欲しいんだぞ☆」
「……そっか。分かった。改めて、これからよろしくな、ルル」
 貴人がルルのふにふにの頬を指で軽くつつきながら呼び掛けると、ルルは小さな手で指をしっかりと掴んだ。
 その後、メメルと和やかに談笑し、やがてこれからについての話をする。
「霊玉や魔族との共存、問題は山積みだけど、これからどうする?」
「それなら学園だけでなく外部と協力して動くつもりだぞ☆ 特に霊玉については、あの髭オヤジに協力して貰うのが手っ取り早そうだからな」
「髭オヤジって、メフィストさんのこと?」
「そうだぞ☆ あれの知識や技術は変態じみてるからな。手を借りるのが一番手っ取り早いぞ☆」
「そっか。でもメフィストさん、今どこにいるんだろう?」

 などと貴人達が話している頃、メフィストは他の学園生と話をしていた。

「いや~徹夜なんて生前の役場の現役時代以来だわ~」
 疲れをほぐすように伸びをしながら、【マーニー・ジム】は息をつく。
「おつかれさまでした」 
 声を掛けてきたのは、【シトリ・イエライ】。
 つい先ほどまでマーニーは、他の有識者達と一緒に徹底的に朝まで生討論をしていたのだ。
「シトリ先生も、お疲れ様です」
 マーニーは言葉を返し、続けて言った。
「霊玉の件、出来るだけ早くに対処法を見つけたいですね」
 マーニー達が朝まで生討論をしていたのは、それが議題だった。
 魔王の封印という大きな役割を果たしていた霊玉だが、すでに役割は終わっている。
 しかし強大な力はそのままのため、放置すれば何かしらの争いの元となることは明らかだ。
 それを避けるため、霊玉をどうするべきか? この先の世界でそもそも霊玉は必要なのか? そうした根本的なことも含めて話し合っていた。
「貴女が提案した『霊玉による勇者復活構想の研究』、巧く進めばいいのですが」
 議論を続ける中で、マーニーが提案したのが、それだった。
 魔王としてではあれ、ルルがこの世界に再誕した現象をヒントに、勇者復活構想の研究をしたいという提案。
「そちらに関しては、考えがあるんです」
「異世界人の、メフィストさんに協力を得ると?」
「はい。私達だけで解決するべき事ではないように思いますから。多くの人達の協力は必要です。メフィスト様だけでなく、覇王六種の方達も」
 マーニーは霊玉だけでなく、覇王六種も含めた魔族のことも議題として提案していた。
 各地に点在する魔族に対して、必要な対応をするべく、和平交渉をしながら協定を結べないかと考えている。
 もちろん、中には話し合いだけでは難しいこともあるのは分かっているので、場合によっては物理的な説得――戦闘も含めた立案を行い、それを学園生が取組む課題群として構築できないかと話し合っていた。
「覇王六種の方達が、これからも学園の友として楽しく暮らせると好いと思うんです」
「ええ。私も、そう思います」
 シトリと同意を交わしたあと、マーニーはメフィストを探しに向かった。
(メフィスト様、どこに居られるのかしら?)
 霊玉の事だけでなく、個人的な問題を解決して貰ったことも含めて、お礼も言いたいので探していく。
 マーニーは、リバイバルとしての消滅キーを半ば成し遂げてしまっていたせいで消える寸前ではあったが、孫の異世界の友人達との伝手などもあり、新たな在り様を得て存在を確固たるものにしている。
 それは異世界、煉界の地獄の獄卒になったことだ。
 消滅が間近になった頃、孫の友人である異世界人【桃山・令花】の助けも借り、地獄の神【ハデス】との契約を行ったのだ。
(まさか、異世界とはいえ地獄の神さまに会えるとは思っても無かったわ)
 その時のことをマーニーは思い出す。

「ではマーニーさん。こちらが『輪廻転生特例取扱事務』の項目になります。確認して貰えますか?」
「これが――」
 煉界に訪れ渡されたのは、ハデスと獄卒が交わす契約内容が詳細に書かれていた。
 話を聞くと、令花がハデスとやり取りをして、作り上げた物だという。
「不備は無いように作ってあるとは思うんですが、もし何かあれば教えて下さい」
 テキパキと令花に説明され内容を確認。
 しっかりと内容を把握できたお蔭で、ハデスとの契約も滞りなく行えた。
 それにより獄卒となったマーニーだが、自分とは別に契約をすることになっている『彼』について、どうしても気になっていた。
 気付かれないようにしていたが、メフィストには悟られたようで、その時にはこう言われた。
「獄卒になったのでー、貴女の消滅キーは無効になりましたー。なので今後はお礼言い放題ですよー」
「それは……」
 メフィストの言葉に、マーニーはすぐには返せなかった。
 脳裏に浮かぶのは、渡そうと思いながら渡せなかったセーターのこと。
「あんな最低男に用はありません」
「何かあったのですかー?」
 話を向けるメフィストに、マーニーは訥々と話した。
 クリスマスの、あの日。
 たとえ消えることになろうとも、積み上げられた想いと共に渡したかった手編みのセーター。
 けれど渡そうとしたその時、彼は――【リョウ・ジム】は、マーニーの想いを台無しにするような態度を取ったのだ。
 それを聞いたメフィストは、軽い口調で言った。
「それなら余計に、今なら会いに行けると思いますよー」
「……え?」
 困惑するマーニーに、令花も言った。
「ご主人もしかして……消滅条件のことを、薄々感づいてらしたんじゃないでしょうか」
 それは作家として、そして女としての令花の勘。
 けれど当たっているように思えた。そして――
「そういう人なのかどうなのかはー、貴女が一番よく知ってると思いますよー」
 メフィストも、マーニーの気持ちを促すように言った。だからこそ――
「じいさん……会いたいよう」
 想いと共にぽろぽろと涙を流し、逢いたい想いを強くした。

(じいさん……)
 逢いたいなと、マーニーは思う。
 けれどまずは、しなければいけないことがある。
(みんなで今まで以上に、素敵な未来になる様に、頑張らないと)
 そう思いメフィストを探していると――
「メフィスト様?」
 風の精霊王アリアモーレと共に、何故かシルクハットの上に隼を乗せたメフィストを運動場で見つけた。
 話を聞くと、霊玉などの今後を話し合うために学園に来たらしい。
「それなら、まずは学園長と話してみませんか?」
 学園と連携することも考え、メメルの居る学園長室に向かう。
 するとそこには、ルルをメメルと共にあやす、貴人がいた。
 話をすると、貴人も今後のことを考えメメルに話をしに来たらしい。
「霊玉を使って、お義兄さんと同じように再誕させる、か」
 考えを纏める貴人に、マーニーは返す。
「ええ、可能ならなんだけど。それと、魔族の人達との融和も考えないと」
「うん。オレも、それは考えていたよ。具体的な方法は、まだなんだけど」
「それなら、こういうのはどうかしら?」
 マーニーは貴人の親しい友人である孫に成り替わり、親身に話をしていった。
 話をする内に、内容が内容だけに重苦しい物になっていく。すると――
「ふぎゃああああ」
 場の空気を感じ取ったのか、ルルが泣き出す。
「おにいたま」
「あら」
 メメルと、そしてマーニーが慣れた様子でルルをあやす。
 それを見詰めていた貴人は、メフィストに視線を動かし言った。
「メフィストさん、あの時は、ごめん」
 それはメメルを初期化させる時、激昂してしまったことだ。
(成功確率知ろうとしないで低確率って聞いて怒鳴っちゃたからなぁ)
 するとメフィストは、変わらぬ様子で応える。
「気にしなくても良いですよー。それだけ大切な人だったってことでしょうからー」
 和やかに応えるメフィストに安心し、貴人は話をしていく。
「協力して貰えるなら、ドーラくんにも計画を進めてるって話したいんだ。霊玉に関係することだし」
 ドーラの話をすると、何故かメフィストのシルクハットに乗っている隼が気になる様子で見詰めているように思えた。
 少し気になったが、それを逸らすようにメフィストが言った。
「知らせるのは好いと思いますよー。色々と協力して貰うことが出て来ると思いますしー。霊玉の力を消費してー、色々と試してみましょー」
「色々って……勇者復活以外にも出来ることがあるんだろうか?」
 貴人が尋ねると、マーニーも気になったのか話に加わる。
「他にも、可能なんですか?」
「それはこれから次第ですねー」
 メフィストは応える。
「色々と出来ると思いますけどー、何が出来るかは分からないって所でーす。勇者の魂の解放はともかくー、復活できるかは分かりませんしー。それに他のことにも力を使ってみても良いかもしれませんしねー」
 そう言うと、どういう訳かシルクハットに乗っている隼に視線を向けるような仕草をするメフィスト。
 話を聞いて、貴人とマーニーの2人は――
「何が出来るか分からないってことは、可能性は零じゃないってことだよな」
「これはみんなで思案のしどころね」
 これから先どう動くべきかを、熱心に話し合うのだった。

●吸血鬼として生きていく
「……これでいいですね」
 書き終った文を確認し、【シャノン・ライキューム】は小さく呟いた。
 それには学園を去ることが記されている。
(何も言わずに姿を消しては……先生方が捜されてもいけませんから)
 すでに寮の部屋も引き払っている。
 それだけシャノンの決意は強かった。
(心残りがあるとするなら――)
 腹違いの妹の顔を思い浮かべた。
(別れの言葉だけでも……いえ、いけません……言ったら止められる)
 シャノンの覚悟は硬い。
 それはアーカードの眷属として、本物の吸血鬼になったからだ。
「……」
 首筋を指でなぞりながら、シャノンはその時のことを思い出していた。

「決意は変わらぬのであるな」
「はい。眷属にして下さい」
 魔王との決戦が終わり幾日か過ぎた頃。
 満月の夜に、人気のない教会でシャノンは決意を告げた。
「あの時、アーカード様の力のお蔭で、ひとつの命を助けることが出来ました。だから、眷属にして下さい」
 魔王との決戦の際、シャノンは仮の眷属としてアーカードの力を受け、本来なら死に逝く命を助けることが出来た。
 この先も、誰かを助けることを望み、本物の眷属にして貰うためにアーカードを呼んだのだ。
「シャノンは、吸血鬼の力を得て救うことを願うのであるな」
「……アーカード様?」
 眩しい物を見るように目を細めるアーカードに声を掛けると、はぐらかすように応えが返ってくる。
「気にするなである。少し昔のことを思い出しただけであるからな」
 そう言うとアーカードは、自分の人差し指の腹を牙で噛み切る。
「血を飲むである。それで眷属になれる」
「吸血されるのではないのですか?」
「それはシャノンが吸血鬼になってからである」
 アーカードは説明する。
「我輩の血を飲み取り込むことで、吸血鬼に身体を作り変える。吸血鬼になるというのは、我輩を取り込んで自身を作り変える事であるからな」
「……そうなのですね。その、貪るというから……」
「血だけでなく精を胎に吐き出した方が、より早く強力な吸血鬼に成れるであるが、別に血を飲むだけでも強くは成れるである。そのあと一度に膨れ上がり過ぎた力を、吸血で吸い上げる必要もあるがな」
 そう言うと苦笑するように続ける。
「こういうことを言ったら諦めるかと思っていたであるが、頑固であるな、シャノンは」
「試していたのですか?」
「半分は本音であるよ。貪りたいとも思ったからな」
 そう言うと、シャノンの顎に手を当て口を開かせる。
「吸血鬼になることを望むであるか?」
「はい」
 迷いのないシャノンの応えに、アーカードは血を一滴舌に落とす。
 それを飲み込んだ途端――
「――あ」
 強く心臓が脈打ち身体が作り変わる。
 紫の瞳が血のように赤く変わり、ギシギシと歯が疼き犬歯が牙のように伸びる。
 なにより、血の香りに衝動が湧き起る。
(血を――)
 血に餓えていく。震えが来そうなほどの飢餓感。
 それを見たアーカードは噛み切った指を自身の首筋に当て、血で印をつけながら言った。
「ここに牙を立てて吸え。それで楽になる」
「……ぁ」
 堪えようという気持ちは、一瞬で押し流された。
 縋るように抱きつき、首筋に牙を立てる。
 ほんの一瞬、迷うような間を空け、ぷつりと牙を立て、口の中に血を溢れさせた。
「――っ」
 それは古く強い酒のようだった。
 一口飲み下せば腹を焼き、一気に熱が広がる。
 同時に、強烈な力が内側から湧き上がっていく。
 血を飲むほどに力を増すのが実感できる。
 けれどそれはあまりにも強大。
 二口飲んだだけで、破裂してしまいそうなほどの力の高ぶりに翻弄された。
「はっ、ぁ――」
 堪らず口を離す。
 そのまま崩れ落ちそうになるシャノンをアーカードは抱き止め、血の残るシャノンの口元をハンカチで拭いたあと――
「貰うぞ」 
 シャノンの首に牙を突き立てた。
「あ……――」
 血と共に自身そのものを貪られるような感覚に、シャノンは堪えるようにアーカードにしがみ付き爪を立てる。
 何度か喉を鳴らし、溢れる力と共に血を飲まれたあと――
「立てるか?」
 アーカードはシャノンを支え、血を吸った首を拭きながら呼び掛けた。
「……」
 ぐったりと力の抜けたシャノンは応えられず、辛うじてアーカードにしがみ付いている。
 そんなシャノンをアーカードは抱き上げると、教会の外に出て言った。
「吸血鬼の視点を教えるである」
 そう言うと、背に蝙蝠のような翼を作り出し、羽ばたきひとつで空高く飛び上がる。
「これは……」
「放出した魔力に形を与え機能を付加する術である。慣れれば感覚を共有する獣の使い魔も作れるであるぞ。吸血鬼の力は、創造神の遺灰が源流であるからな。使い方次第で創造の真似事も出来る」
「そんなことも出来るんですね……」
(この力があれば――)
 何をするべきか、シャノンは思い悩む。
 だが応えはすぐには出て来ず、気を紛らわせるように視線を下に向ける。
(夜なのに、良く見えます)
 吸血鬼になったシャノンは、月明かりだけで夜の大地を見通すことが出来た。
 シャノンを抱き抱えたまま飛翔するアーカードは、人々の営みの溢れる街の空も訪れる。
 空の高みから街を見たシャノンは――
「ちっぽけに見えるか?」
「……」
 押し黙るシャノンに、アーカードは言った。
「力ある吸血鬼になるというのは、そういうことだ」
 アーカードは過去を語る。
「生まれたばかりの頃の俺は阿呆でな。乞われるままに血を分け力を与えた。そのほとんどは力持たぬ者を見下すか、あるいは意にせず踏み潰すようになった」
「……その人達は……」
「全員殺して蘇らぬよう血を飲み干した。それ以外には止められなかった。放置すれば饕餮に食滅され、輪廻も叶わずこの世界から消滅しただろうからな」
「……」
 黙するシャノンにアーカードは言った。
「お前は、そうなるな。力を持ち高みから下を見れるようになったとしても、自分で地に降り足をつけ、視線を合わせれば良いだけだ。吸血鬼とは所詮、力持つだけの、ただの『人』だ」
「……」
 満月の明かりに照らされながら、シャノンはアーカードの願いを聞いた。

 そして吸血鬼となったシャノンは、地に足をつけ、打ち捨てられた聖堂にいた。

(皮肉な物ですね)
 小さく笑みを浮かべる。
(聖水に触れれば焼かれ、いつ血に飢えだすかわからない私が、教会で、生きることに絶望した人達に手を差し伸べようとしている)
 教会には何人もの、傷付き疲れ果てた人々が訪れていた。
 それは身を売られ散々弄ばれ、子を残せぬ体になった女性。
 あるいは親友に騙され、家族も財産も恋人も奪われた男や、上役の不正を正そうとしたが故、その罪を擦り付けられた忠義の士。
 幾人もの人々が寄る辺を求め訪れている。
 彼女達はアーカードの眷属を先祖に持つ、ストーカー家が渡りをつけ連れて来ていた。
 話を聞くと、商会を営むストーカー家は、アーカードと共に魔王との決着がついた後の世界で、争乱の元を未然に防ぐべく動いているらしい。
 その中で被害にあったり、あるいは保護するべき相手の避難先として、教会に向かわせていると話を聞いた。
 シャノンは魔王との決戦で犠牲になった者達の弔いを続けながら、教会に訪れる者達に手を差し伸べ続ける。
 その中で、思う。
(望むなら……我が夜の王の僕となるか)
 眷属としての力を与えてくれたアーカードの恩に報いるように、どうすればアーカードの役に立てるかを考える。
(アーカード様も色々と動かれている。そちらの助けもしたいけれど、今は――)
 疲れ果てた人々に声を掛けながら決意する。
(今の私にできることを)
 吸血鬼としての力を持ちながら、人々と共に歩んでいこうとシャノンは思い、行動するのだった。

●復興を目指して
 魔王軍に襲撃された直後の学園。
 破壊の爪痕が、そこかしこに刻みつけられている。
 場所によっては瓦礫の山に変えられた施設もあり、惨憺たる有り様だった。
 その段階で、【パーシア・セントレジャー】は復興を考えていた。
(まず必要なのは、学園都市の被害状況把握ね)
 破壊された施設を回り、冷静に見極めていく。
(火を放たれなかったのは幸いね。これなら見かけの被害は大きいけど、土台から修繕するほどではないわ)
 被害状況を見て回り、中には今まで授業で使った施設もあり心を痛めることもあったが、それとは切り離し判断していく。
 労働力と物資の予測をつけながら、優先順位をつける。
 感情ではなく必要な物を見極める判断力で、この先の復興の手順を組み上げていった。
(見極めないといけないのは、復興に必要な基礎的資材の調達に、搬入経路の検討。その上で、実際に用意出来るリソースを割り振っていかないと。絵図面引いても、資材を持ち込めなければ意味ないわ)
 理想は持ちながらも、あくまでも現実主義で判断していく。
 時に、不測の事態も考慮に入れていた。
(計画通りに行く事なんて、ありえないものね)
 十全たる計画と準備をしても、良くて8割かそこらの実現しか叶わないことを、パーシアは解っていた。
 それは彼女がリバイバルとなる前、生前の経験が生きているのかもしれない。
 確実に言える事は、パーシアはこうした判断と計画に向いているということだ。
 だからパーシアは、彼女と同じように復興に向けて動き出した学園の職員や生徒達と連絡を取り分担しながら、復興の道筋を形にしていった。
「優先して復興させるべき施設や区画、必要なら資材搬入等のインフラにもなる街道や港湾の修復も考えていきましょう」
 職員達と、復興に向けた目的作りと課題の洗い出しをしていく。
 必要であれば、市民の代表や学園の教師、あるいは専門家で構成する検討会立ち上げを、学園に意見具申としてあげることも考え進めていった。
 その中で話し合いは熱を帯びていき、パーシアは危うい物を感じ取っていく。
(……拙いわね)
 白熱する話し合いの中で、限界を見極める。
(足らない。物資も人材も、それを用意する資金も。そうだというのに――)
 内心の歯がゆさは欠片も表に出さず、パーシアは先のことを考えていた。
(まずは住民の住居等の確保が先決でしょうに。もちろん、この機会に不都合ある箇所を洗い出して再整備することを話し合うのも必要だと思うけど、度が過ぎてるわ)
 最初は協力し合おうという機運が強かった話し合いが、次第にお互いを牽制し合うような物に変わり始めている。
 それは復興だけではなく、さらにその先を目指しての物だった。
 魔王という脅威が無くなった今、世界は大きく変わろうとしている。
 それはもちろん、学園も例外ではない。
 今まで『対魔王』に割いていたリソースを、これから先に振り分け、何をより良く形にしていくべきなのか?
 復興の話し合いが、いつの間にか未来への投資話へと変わっていった。
 それは魔王という絶望を乗り越えた先に見えた、希望という明るい光だ。
 今まで見ることの出来なかった希望は眩しくて、多くの者が湧き立っている。
 けれど、パーシアは冷静だった。
(……いま話し合うべき事じゃないでしょうに)
 パーシアは知っている。
 絶望は人を腐らせるが、希望は人を盲目にすると。
 追い詰められ、死という絶望に曝された人々が、自分達を守ろうとした指導者を差し出せば命が助かると思い込むように。
 希望以外を見えなくする。
(甘い毒にもなるのよ、希望は)
 話し合いは熱を帯び続け、その先にあるのは資源の奪い合い。
 それを予感しつつも、パーシアは下手に口を挟むことを避けた。
(まあ、私はあくまで一生徒だもの)
 彼女は一生徒でしかなく、権限があるわけじゃない。
 なにより熱狂し始めた人々を無理やり軌道修正することは、却って不幸しか生まないと実感していたからだ。
(とはいえ、このままだと共食いになりかねないし)
 少しでも多く自分達の望む形で取り合いをしようとする人々を眺めながら、必要な物を考える。
(結局の所、リソースが足らないのよね)
 学園だけでは、どうにもならないということだ。それを解決するためには――
(学園の外の力が要るわね……商売に強い学生だけでなく、OBやOGの助けも借りないと)

 判断すれば、その先の行動は早かった。

「力を貸して貰えないかしら」
 学園のOBでもある【ガラ・アドム】に、提案をするために訪れていた。
 以前、魔法国家ミストルテインが関わる課題で顔を合わせたことがあり、その時の縁を辿って話をしに来ていた。
「話は聞いてる。分捕り合戦が始まってるらしいな」
 あけすけなガラの物言いに、パーシアは苦笑しながら応えた。
「ええ。あれじゃ瓦解はしないでしょうけれど、どれもこれも足らずに中途半端な物になるわ」
「……ヤベェな。それじゃ後々の禍根になるぞ」
「でしょうね。だから、力を貸して貰えそうな人を回ってるの」
「そいつは渡りに船だな。こっちも、同じことを考えてた」
「そうなの?」
「ああ。それについちゃ後で話すが、まずはそっちの考えを教えてくれるか?」
 ガラに促され、パーシアは考えを伝える。
「復興の人員は、仕事を失った都市や近隣の村のみなさんにお願いすれば、当座の仕事もできるし労力も確保できるわ。ただ問題は、それに掛かる資金よ。学園だけじゃ、賄えない」
「だろうな。だったらどうする?」
「一学生では限界があるから、必要なら検討会とか看板を用意して……大きな相手を動かす。肩書きってのは、無駄なものも多いけど使い方によっては……国だって相手できるわ」
「好い考えだな。アンタ、戦い以上に、そういうのが向いてるみたいだな」
「……何? 戦争の方が得意だとでも思ってた?」
「苦手には見えなかったけどな」
「戦争は苦手なのよ。だって……私の一言で、数万」
 実感を込め言った。
「それ以上の命が、消えるかもしれないのに」
「そういう損得勘定が出来るなら、向いてるよ」
 ガラは返す。
「戦争も経済活動だからな。出来ねー奴は騙されたり損し続けて破産して、みーんな巻き込んで自滅するからな」
 皮肉げに言うと、提案するように続けた。
「そっちの考えは分かった。それならこっちの流れにも合ってる」
「……何か話が進んでるの?」
 パーシアが尋ねると、ガラは説明する。
「学園っていう看板を活かして、国や大商会が連携しようって話を進めてる。商人は儲けのために。国は、儲けもだが治安の維持も急務だからな」
「そんなに大事になってるの?」
「ああ。何しろ魔王の脅威が無くなったからな。それに魔族のこともある。異世界に避難したあと、自分達の世界との違いに騒いでる奴らもいるらしいし。なんだかんだ右往左往だ」
「魔王の脅威が無くなったからって、それだけで理想の世の中になる訳じゃないものね」
「そういうこった。それでだ。今のところ動いてるのは――」
 具体的な名前を出して説明する。
「商人としちゃ、銀行業を筆頭に幅広くやってるストーカー家が動いてる。あそこは覇王六種のアーカードに縁があるらしくてな。魔族や、いま起こってる混乱で困窮してる社会的弱者を援助してるらしい。家の始祖が、元々がそういう所の出身で、家訓で何かあれば動くようにしてるらしい。もちろん、儲けも出せるよう抜け目なく」
「他には?」
「貴族筋は、アルチェの領主一族に連なる女商人【ララ・ミルトニア】が動いてる。こっちは前に学園と関わってから、その縁を繋ごうという腹らしい。国としちゃ、魔法国家ミストルテイン。こっちも学園と関わり合いを持った縁で、積極的に動こうとしてるらしい」
「幾つも動いてるってことね。それを動き易くするために、学園という看板を使いたいということ?」
「ああ。色々とキナ臭い話も出てるし、そういうのの頭を張るなら、中立かつ武力も持った所が最適だからな。それで、こういうのに関わって、動いてみる気はあるかい?」
 ガラの問い掛けに、パーシアは応えた。
「まずは方向性を決めましょう。誰と、何を、どうするか? 直ぐには色々決まらないでしょうけれど、必要だと思うわ」
 パーシアの応えに、頷くガラだった。

 こうして、魔王の脅威が去った世界は、ある意味これまでと変わらず活発に動いていく。
 それが生きていくということであり、これからも続く未来であるのだ。



課題評価
課題経験:0
課題報酬:0
アナタ達の未来は続いていく
執筆:春夏秋冬 GM


《アナタ達の未来は続いていく》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2022-06-20 17:24:55
(西からの風に乗って、隼の鳴き声が聞こえてくる)

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 2) 2022-06-20 22:42:29
魔王・覇王コースの仁和だ。
よろしく。

メメたんの今後のサポートやら、霊玉の問題やら、魔族との共存のことやらいろいろ動いてみるつもりだ。
まずは動かないと何も解決しないからな・・・
戦いの後の処理のほうが大変だ。

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 3) 2022-06-24 12:23:58
賢者・導師コース、教職志望のマーニー・ジムです。
よろしくお願いいたします。

貴人くん、何もかも背負わなくて大丈夫よ。
孫が子育てで忙しい代わりに、おばあちゃんがきましたからね(にっこり)

校長先生のサポートは、貴人くんが一番力を入れて取り組むのが良いでしょうね。
霊玉からの勇者復活構想と、魔族との共存は、おばあちゃんも一緒に考えてみましょうね。

他にも、力になれることがあったら相談してね。
また、【教導の才】を活用して、みんなのやりたいことを、全体的に支援するプランも書いてみるつもりよ。

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 4) 2022-06-24 12:26:07
あと、個人的課題としては、トウテツ様はじめ覇王六種さんに、
これからも学園の友として楽しく暮らしていただくことにも心を砕いてみたいわ。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 5) 2022-06-25 18:57:01
マーニーさん、ありがとう。
とても心強い援軍だ。

《猫の友》 パーシア・セントレジャー (No 6) 2022-06-25 22:55:02
王様・貴族コースのパーシア。出発間際だけど、よろしくお願いします。

私は学園都市の復興計画とか、その財源の確保に動くつもり。

《真心はその先に》 マーニー・ジム (No 7) 2022-06-25 23:41:05
貴人さん、ありがとう!
ただ、具体的な相談が出来なかったこと、お詫びします。ごめんなさいね。

色々考えて、宣言どおり、霊玉からの勇者復活構想と、魔族との共存について、出来るだけ色々書いてみたわ!

パーシアさんは、さすがの目の付け所ね!
一番重要なところを抑えてくださって、とっても安心したわ。

いよいよ出発ね。
皆さんのリザルトを楽しみにしているわ。
ご一緒いただきありがとうございました!