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【心愛】どっきん! 学園バレンタインっ!


ストーリー Story

「あっ、いいところに!」
 声をかけられて君は足を止める、目の前にあるのは長い長い行列だ。喫茶店のようなところにつづいているようだが……。
 その行列のなかほどにあって、おーいおーいと手を振るは、ご存じ『学園のアイドル』こと【エミリー・ルイーズム】ではないか。
「チョコレートサンデー食べない?」
 突然のお誘いである。
 チョコレートサンデー、勝手に略してチョコサンとは、背の高いグラスに山盛りのチョコアイスを詰め、生クリームやらフルーツやらウエハースやらをずんずん積み重ねてグラスからあふれんばかりにする究極の甘味のことである。
「時間制限つきだけどお代わり自由の食べ放題なんだって!」
 チョコサンって、そんなに山盛り食べたいものだろうか。
「バレンタインデーの時期だからね~」
 ところでなぜ自分に声をかけたのか、と尋ねると、
「一緒に予約してた子が、急に来られなくなって」
 とのことだった。
 予約?
 ではなぜ並んでいるのかと当然の質問をしたところ、エミリーはごく平然と言い放ったのである。
「予約してても並ぶでしょ?」
 そうなの!?
「イベントだものっ!」
 並ぶところからもう、イベントははじまっているのだ!

 ☆ ☆ ☆

 神出鬼没どこにでも登場。学園の廊下、校庭、あるいは教室まで。
 登場、【メメ・メメル】が登場! ガラッとドアを開けて!
 見るに見かねた様子で、【コルネ・ワルフルド】は言ったのである。
「校長……みっともないからやめてください」
「え? なんのこと? オレサマただお散歩をしているだけだゾ☆」
 きらきらと目を輝かせメメルは振り向いた。その首から下に、紐がけした大きな箱を吊り下げている。箱には『義理チョコ☆大募集中!』という露骨すぎるメッセージが殴り書きされていた。
 それ、とコルネは箱を指さした。
「あからさますぎます。あと、今は授業中なんですけど」
「コルネたんもくれ♪」
「いやです。ていうかもう、義理チョコという文化はすたれたのでは……?」
「フトゥールム・スクエアでは花盛りの文化ぞよ☆」
「お引き取り下さい」
 なにが『ぞよ☆』ですか――と言いながらコルネはメメルを教室から追い出した。

 ☆ ☆ ☆

 芝生に面したベンチに、【パルシェ・ドルティーナ】と【ルシファー・キンメリー】が並んで腰を下ろしている。
「どうしたのパルシェ? こんなところによびだして」
「うん……実はね、今日はルシファーにプレゼントしたいものがあって……友チョコっていう……あれ?」
「これ?」
 すでにルシファーの手には、パルシェが用意していた包みがあった。
「わっ、いつの間にっ!?」
 その質問にルシファーは答えない。だってもう開封して食べはじめていたから。大きな板チョコだ。パルシェの手作りらしくルシファーらしき顔が描いてある。
「おいしいな」
「わーっ! だいなしだよ~!」
 チョコの上のルシファーの顔はたちまち半分になった。
「いいじゃない、てまはぶけるし」
 四分の一になった。と思ったらゼロになった。
「わーん、風情もなにもないよ~」
 チョコで口元をべったりと汚したまま、ルシファーはニコリとしたのである。
「あはは、パルシェ、そんなかおしないでよ」
 ほら、とルシファーは真新しい包みを取り出したのである。
「アタシからもあるからさ、ともチョコ♪ わらってわらって」

 ☆ ☆ ☆

 といった感じで、学園のバレンタインが幕を開けた。
 あなたのバレンタインデー、あるいはその前後でもいい、どんな一日なのか、それを教えてほしいのだ。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 5日 出発日 2020-02-24

難易度 とても簡単 報酬 なし 完成予定 2020-03-05

登場人物 8/8 Characters
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《甲冑マラソン覇者》ビアンデ・ムート
 ヒューマン Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
●身長 148センチ ●体重 50キロ ●頭 髪型はボブカット。瞳は垂れ目で気弱な印象 顔立ちは少し丸みを帯びている ●体型 胸はCカップ 腰も程よくくびれており女性的なラインが出ている ●口調 です、ます調。基本的に他人であれば年齢関係なく敬語 ●性格 印象に違わず大人しく、前に出る事が苦手 臆病でもあるため、大概の事には真っ先に驚く 誰かと争う事を嫌い、大抵の場合は自分から引き下がったり譲歩したり、とにかく波風を立てないように立ち振舞う 誰にでも優しく接したり気を遣ったり、自分より他者を立てる事になんの躊躇いも見せない 反面、自分の夢や目標のために必要な事など絶対に譲れない事があれば一歩も引かずに立ち向かう 特に自分の後ろに守るべき人がいる場合は自分を犠牲にしてでも守る事になんの躊躇いも見せない その自己犠牲の精神は人助けを生業とする者にとっては尊いものではあるが、一瞬で自分を破滅させる程の狂気も孕んでいる ●服装 肌を多く晒す服はあまり着たがらないため、普段着は長袖やロングスカートである事が多い しかし戦闘などがある依頼をする際は動きやすさを考えて布面積が少ない服を選ぶ傾向にある それでも下着を見せない事にはかなり気を使っており、外で活動する際は確実にスパッツは着用している ●セリフ 「私の力が皆のために……そう思ってるけどやっぱり怖いですよぉ~!」 「ここからは、一歩も、下がりませんから!」
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《人たらし》七枷・陣
 ヒューマン Lv18 / 賢者・導師 Rank 1
異世界:情報旅団テストピアという所に住んでいたが、とある仕事の最中に、この世界に強制転移してしまった。 普段は一人称おじさん。真面目、シリアスな場合はオレ。 本来は50手前のアラフィフおじさんだが、何故か30歳以上若返ってしまった。強制転移した経緯が原因と思われるが真偽は不明。 普段はいかに自分の得意分野だけで楽出来ないかを考えているダメ親父的な人間。 自分や同行する仲間が危機に陥ると気合いを入れて打開しようと真面目モードに。 厄介事に巻き込まれるのは嫌い。お金にならない厄介事はもっと嫌い。でも一度関わってしまったら何だかんだ文句言いながら根気よく取り組む。 やれば出来る人。でも基本ダメ人間。 恋愛事は興味をあまり示さない枯れ気味な人。超若返っても現状は変わらず。 どうにかして元の世界へ戻る為、フトゥールム・スクエアに入学。 転送、転移関係の魔法や装置を徹底的に調べる事が目下の目標。 魔法系の適性があったらしいので、雷系を集中的に伸ばしたいと思っている。自前で転移装置の電源を確保出来るようにしたいのと、未成熟な体躯のフォローとして反応速度メインの自己強化が主な理由。理想は人間ダイナモ。 転移直前まで一緒にいた仲間の女性3名(マナ、マリア、マルタ)の安否を心配している。 「はぁ~…どうしてこんな事になったんだ?…おじさん、ちゃんと元の世界に戻れるんだろうか…こんな厄介事は前代未聞だよ…トホホ」
《後ろの正面》イヴ・イルシオン
 カルマ Lv4 / 黒幕・暗躍 Rank 1
「何事もサクっと進めるのが暗殺のコツなのです」 暗殺技術を高めるために入学したと言う訳では無いのです。 社会適応とかいうのをする為なのです。 その為にはまず金が必要……前の職場同僚の戦場おじさんがそう私に何度も言っていたのです。先立つ物はカネだと。 ここでは収入も得られる上にコミュニケーション渦巻く混沌の世界だと聞いているです。 お手柔らかに会話をお願いするですよ twitter → @ILSION_yusya
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《新入生》鳥珠・菖蒲
 ルネサンス Lv12 / 芸能・芸術 Rank 1
名前:鳥珠 菖蒲(ぬばたまの あやめ) 種族:黒狐のルネサンス 【外見】 ・黒髪ゆるウェーブで右側お団子サイドテール ・グラマーな巨乳 ・紫の瞳 ・左目に泣きぼくろ ・妖艶な色香が漂う女性 【服装】 ・黒のオフショルダーミニ着物 ・制服のマント着用 【性格】 はんなりマイペース お茶目で悪戯っ子だがドジっ子な為に悪戯が成功しない 料理が壊滅的に下手なのに出来るはずとやりたがる 舞妓に憧れており舞を習えるのが嬉しい ゆうがくの皆の事を「我が子」と同然と捉えておりすんごく可愛がる 基本的にポンコツお姉さん 【口調】 普通の時は ~ですわ。 ~かしら。 テンション高い時 ~でありんす。 どうやら素は~でありんす。の方で意識してないと方言が出てしまうらしい。

解説 Explan

 バレンタインデーを楽しく過ごすというお話です。
 舞台は当日でもいいですし、ちょっと前とか後でも構いません。場所も不問! 好きなタイミング、好きなシチュエーションをご呈示ください。

 お友達同士の参加は大歓迎!
 ひとりでは寂しいというかたなら、NPCと絡むお話でもお任せ下さい! 公式NPC、桂木京介が書いてきた友好NPC(教師たちやツリーフォレストマンなど)なら誰でも呼び出すことができます。

 アクションプランを書くのが苦手というかたは、
 ・こんなNPCと
 ・こんなシチュエーションで
 ・こんな展開になったらいいな
 程度に箇条書きにして下さっても大丈夫です。
 (例 ラビーリャ・シェムエリヤと、吹雪に包まれた山小屋で、チョコレートフォンデュをふるまわれる)

 最大限ご希望にこたえる内容にしたいと思いますが、『テス・ルベラミエ様に白いチャペル前で告白されて結婚する!』とか極端なリクエストをしていただくと、最終兵器夢オチが発動するかもしれません。


作者コメント Comment
 通常エピソードではお久しぶりです!
 桂木京介です。

 このお話は、日常系ほのぼの(ラブラブ?)バレンタインエピソードとなっております。
 ほのぼのしてください、ラブラブしてください、あるいはハラハラしちゃったりするかもしれませんがそれはそれで!

 あなたのご参加をお待ちしています。
 次はリザルトノベルでお目にかかりたく思います。桂木京介でした!


個人成績表 Report
エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
・ネビュラロン先生に

・真面目で穏やかなシチュエーションで

・ヘルメットの隙間からでも飲めるようにストローで飲める
 熱過ぎないホットココアドリンクをプレゼント

 ココア製作中、なんだか懐かしさを感じて、
 以前にもこうやってお菓子を作ったことがあったような……
 記憶はないけれど、プレゼントしたい相手を想いながら
 楽しく調理していたような気がする……
 どこで? 誰にあげたかったのか……
 それ以上は思い出せないけれど、とても胸の奥が温かくなった。
 
 お世話になってる先生にお礼を届け、
 これから学園生がなすべきこと、できることについて話をする。

 ミステリアスなネビュラロン先生の事をもっと深く知りたい(傷付けないように)

アドリブ歓迎

ビアンデ・ムート 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
ここだと今日はお世話になった人にチョコで感謝の気持ちを表す日らしいですね
私の住んでいたところとは少し違いますが、とても素晴らしい文化ですから参加させてもらいます!

というわけで、授業などでお世話になったネビュラロン先生に『チョコ・マオマオ』とお菓子をお渡しします
本当ならきちんとチョコを作って渡すべきなのですが、チョコ料理は今まで作った事がなかったので勝手が良くわからなくて……お店の方に聞いて選んだので、味はきっと大丈夫です!

そういえば、先生の故郷ではバレンタインデーは何をしたのでしょう?
ここと同じか、それとも違うのかちょっと気になりますね
同じなら、先生にも手作りチョコを渡した人とかいるのかな?

ベイキ・ミューズフェス 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
入学直後にお世話になった【サラシナ・マイ】先輩にご相談し、プリズン・スクエアに居る学生のみなさんにチョコやお菓子を差し入れにいきます
ところで……プリズン・スクエアってどの位学生さんが居るので?

人数が多いようなら、よろしければ……先輩にも手伝って頂けると助かります
それに、先輩が作ったチョコと言ったら、みなさんも喜ばれるかもですし

更正施設だと楽しみも少ないでしょうし……こういった交流をきっかけに、施設の外の良さを思い出して、早く更正できるよう身を正して頂けると嬉しいです

施設の外で、あなた達を待ってる方が居るでしょうから
私達も……待ってますよ

ほら、順番に並んで
割り込みや他の人のを取っちゃダメですよ?

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:5
獲得努力:5
獲得希望:5

獲得単位:0
獲得称号:---
・・・誰とは言わないがごうだ・・・ゆす・・・んんっ、ねだられる前にチョコを渡しに行こうと思う

だが、その前にお世話になってる先生方にチョコ渡しに行かないとな
ってことで職員室へ行き干しブドウボンボンを配るとするよ
あぁ、コルネ先生はなんて言うかいつもメメたんに迷惑かけられてるからそのねぎらいでもあるんだけど・・・
要らなかったかな?

誰かとは言わないがの誰かことメメたんだけどどうせ嫌がらせというか良いタイングでチョコ貰いに来るんでしょ?
なにも用意しておかないとチョコすべて持っていかれそう何で痛チョコを準備しておいた
うん、メメたん色々衣装変えたりしてるけどムリシテナイ
ニアッテルヨ
メメタンカワイイヤッター

七枷・陣 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
図書館で調べ物の日々を過ごす

【行動】
世間では甘い予感がしゅる~♪みたいなイベントがそこかしこと行われているようだけどおじさん的にはあんまり関係ない
いや、関係あったらあったで色々不味いんだよね…異邦人的に考えて
とまれ、おじさんは今日も必死こいて書物と格闘だ
いい加減、転移の魔法なり機械なりの名前くらいは見つけ出したいところだよホント…

普段は寡黙な司書さんとも軽く雑談したり、メメたんに関しての愚痴を語り合ったり、甘い空気は微塵もないけど、物理的に甘いモノを食ったりして過ごそう

…今日はからかう対象も多いし、流石に図書館凸はしてこないよねあの校長?
来るなよ?絶対来るなよ?フリじゃないからね?

イヴ・イルシオン 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
・リーエル・アムフィリムと
・楽しく雑談して
・お友だちになれたら嬉しいのです

右も左も分からないのです。ならば分かるのは上と下でしょうか?
同じくらいの背丈の子……きっとあそこにいるあの子ならば、同世代くらいの筈なのです。さっそく接触を試みて情報収集開始なのです。
そしてポケットに入っているこれこそが私の得物なのです。『いつまでもあなたと』
チョコに添えられたメッセージにはこう書かれているのです。

『これは私の愛なのです』

人は愛が無ければ生きていけないという過去の知り合いの傭兵おじさんからの教えなのです。バレンタインにはチョコで愛を伝えるらしいですし、きっと愛って奴がチョコに詰まっているに違いないのです。

クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
メメル学園長がその辺りを妙な姿で歩き回っているという話が流れてきた。
俺もそのあたりを歩いていればエンカウントするかもしれない、すごいな、魔物と同じ扱いだぞ。
そしてある時俺も見つけた。今はたまたま本を返しに行くところだったが、廊下で出会ってしまうとは。

やあ学園長。
噂になっていますよ、おかしな格好で学園中を徘徊していると。
うん?なるほど、バレンタインだからチョコレートが欲しいと……
それならちょうど今作ったものがありますよ、どんな形が良いかこの本を参考にしていたんです。

ええ、そうです。今日は俺の誕生日です。
ところで……学園長はそんな俺に一体どんなプレゼントをくれるのでしょうか?
期待しちゃうなあ……

鳥珠・菖蒲 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:3
獲得努力:3
獲得希望:3

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
『ばれんたいん』は大切な人にチョコレートを上げる日
学校の皆は我が子同然!わっちの『母チョコ』をプレゼントするでありんす!

【行動・心情】
さて、チョコレートを作るでありんすが…ところで、チョコレートって何でありんすかね?
えっと、茶色い洋風のお菓子でありんすか

でもお菓子ばかりだと栄養が偏るでありんすね?

わっちの持ってるこの<やみなべ>を加工してチョコを作るでありんすね♪(ふんすっ

えっと、お菓子なら甘いでありんすよね!
砂糖かもん!(ダバー

あとは茶色くする?
焦がしまくるでありんすか?
あ!醤油!醤油でありんすね!
焦がししょーゆー♪(ファイヤ

…黒いチョコでありんす!
さぁ、食べるでありんす(顔面そぉい

リザルト Result

 その噂を耳にしたとき、【クロス・アガツマ】は思ったものだ。
 まさかな、と。
 いや――クロスは眼鏡の弦に指を当てて考え直す。フルボディのワイン色した瞳が翳(かげ)った。
 ありえる。
 ありえるどころではない。学園長【メメ・メメル】ならやる。きっとやる。紐がけした大きな箱をぶら下げたという妙な格好で学園内を徘徊し、出会う者すべてに義理チョコをねだるというさもしい、もとい、本能のままの行動を!
 学園内を歩いていればそんな学園長にエンカウントするかもしれない……。
(すごいな、なんだか魔物と同じ扱いだぞ)
 などと考えていると、なんだか見てみたいという気持ちと、災難は避けて通りたいという気持ち、その両方がクロスのなかに顔を出すのである。
 それはともかく、クロスは図書館に行かなければならない。
 彼はいま小脇に書物を抱えているのだった。分厚い革表紙だ。かなりの年代物でもある。珍しい生物をあつかった本、古いものだから半分くらいは著作者の想像の産物だ。しかし読み応えはあった。これを返却しに行くのである。
 じきフトゥールム・スクエアが誇る大図書館『ワイズ・クレバー』だというあたり、長い廊下の途中でクロスは首の後ろに気配を感じた。
 ひたり、と冷たいものでも押し当てられたような感覚。
「ひっひっひ……♪」
 妖怪変化か鬼か蛇か、名状しがたき含み笑いを耳にしてクロスは振り返った。
「廊下で出会ってしまうとは」
 観念したように、こめかみに手を当てる。
「やあ、学園長」
 これを聞いてメメルはニヤリと笑った。
 仮にも教育者、それもその長たる者にふさわしい服装であろうか。遠慮なくとびだした胸、タイトと表現するにしたって短すぎるスカート、シャツなんて片肌脱ぎだ。
 紳士のクロスとしては少々、目のやり場に困るのである。とりわけメメルがクネクネと謎の動きをしているとあっては。
 クネクネ……?
「学園長、その面妖な舞踏はなんでしょう?」
 実際、メメルは両手を揃えて伸ばし、ダンスらしきものを披露しているのである。強いていえばベリーダンスに近い。だがほとんどデタラメだ。
「躍動感のある登場が好みかと思ってな☆」
「そんな好みはないです。単に廊下で声をかけるのに躍動感はいらないと思いますが」
 こちらの理解の範疇を超えた人だ、と驚嘆とも嘆息ともつかぬものを抱かずにはいられない。
 それにしても、とクロスは言った。
「噂になっていますよ、学園長がおかしな格好で学園中を徘徊していると」
「オレサマがおかしいのは今に始まったことではないゾ☆」
 それは偉そうに言っていい言葉だろうか。
「だがまあ」
 ひょい、とメメルは足元からフタのついていない木箱を持ち上げた。
「ここのところ言われとるのは、これのことだろうなあ」
 紐がついていて首から下げられるようになっている箱、その側面には『義理チョコ☆大募集中!』という直球にしてもほどがあるメッセージが殴り書きしてあった。
「うん? なるほど、バレンタインだからチョコレートが欲しいと……」
「恩師に義理チョコを送るのは様式美であろう☆ うん」
 メメルが動くと箱はざらざらと音を立てた。それなりに入っているらしい。
「それならちょうど作ったばかりのものがありますよ、どんな形が良いかこの本を参考にしていたんです」
 とクロスが差し出したチョコレートは、南方のメガネザルをかたどったものだった。ミニチュアサイズ、リアル志向でやや怖い。けれどもメメルは、
「これはこれはかたじけない☆」
 てらいもなく受け取って箱に入れた。見た目にはこだわらないというのか、むしろリアル志向を評価したというのか。
「ところで今日、誕生日をむかえた生徒がどこかにいるそうだが?」
 などと言ってまたメメルはニヤリとした。
「ええ、そうです。今日は俺の誕生日です」
「気がついたのでなにかあげようかと思ったが、今日はオレサマ『もらう側』なのであいにくと持参物がない。なのでな、クロスたんにはオリジナルダンスをプレゼントすべく、さっきから踊っておるのだよ♪ 忌憚なく鑑賞せよ☆」
 ああなるほど……だから踊っていたというわけか。
「わあ、誕生日プレゼントですか? なんてことだ、ありがとうございます」
 もちろんこのセリフは棒読みだ。
 かくてクロスは立ち尽くすのだった。
 いつになったら終わるのだろう、学園長の変なダンス――。



 好意で声をかけるにしたって、緊張する場面はあるものだ。
 バレンタインデー。
 意中の相手にチョコレートを渡す日――というのがかつての基本形だったが、いつしかその意味合いは変化している。このごろでは、周囲の人に日ごろの感謝をこめてチョコレートを渡すほうが主のようである。
 いや、『感謝をこめて』などとかしこまらずに単に『おいしいチョコを食べよう!』の日になってきたというほうが正確か。
 といってもこのときの【エリカ・エルオンタリエ】は、かしこまらずにはいられなかった。
 なにせ声をかけるその相手が、【ネビュラロン・アーミット】なのだから。
 その日、四半刻ほど探してエリカはネビュラロンを見つけた。特徴的なプラチナホワイトの甲冑、ヘルメットからブーツ、剣の鞘まで同じ色、やはり白いマントをなびかせている。
 フルアーマーの背中はエリカに気付くことなく、石造りの回廊を少しずつ遠ざかっていく。
 エリカの喉はからからに渇いていた。足は根が生えたようにその場から動かない。
 でも――。
 先生にお礼を届け、これから学園生がなすべきこと、できることについて話をする、そんな機会はそうそう訪れないだろう。
 それに、ためらっている間にもココアは冷めていく。
 胸の前にかかえたポットから、ひとすじの香りがたちのぼっていた。
 カカオだ。甘くて、なんだか切ない。ノスタルジックな香り。
 そうだ。エリカは気がついた。
 ココアを作っているときずっと抱いていた感覚、あれは懐かしさだった。
 小鍋にココアパウダーと砂糖を入れ、弱火にかけながら牛乳を少量加えてペースト状になるまでじっくりと練る。この過程がココアの面倒なところ、練りが甘いと粉っぽくなるし、急ぐと焦げてしまう。落ち着いて時間をかけるのがコツだ。
(以前にも、ああやってお菓子を作ったことがあったような……)
 かつて自分には、プレゼントしたい相手を想いながら楽しく調理した経験があったはずだ。
 それがどこであったか、誰にあげたかったのか……それ以上は思い出せない。
 けれど胸の奥が温かくなった。とても。
 そのときにはもうエリカは駆け出し、ネビュラロンに声をかけていたのである。
「先生、ハッピー・バレンタインです」

 伏せた半球のような『体育館』を一望できるあたりにベンチがあった。
 そういえばあそこは、先生とはじめて会った場所だった――。
 エリカはこのベンチに、ネビュラロンと並んで腰を下ろしている。
 用向きを伝えると、
「わかった」
 と端的にネビュラロンは応じた。そしてエリカのホットココアを受け取ったのである。
「ヘルメットの隙間からでも飲めるようにストローを付けました」
「気づかいは無用だ」
 ネビュラロンはヘルメットに手をかけた。脱ぐかと思いきや、口元のプレートを外しただけだった。顎から下が露出している。やはり女性の唇だ。思ったよりずっと小ぶりの。
「お口にあうかどうか」
「好みだ」
「えっ」
「意外か」
 ネビュラロンがこちらを見ている。口調は平板で、兜に隠れた瞳は見えないものの、怒っているわけではないと思う。むしろ――こう言ってさしつかえなければ、可笑しがっているように聞こえた。
「いいえ」
 いろいろ良い噂は聞いている。自分の水着選びに付き合ってくれたこともある。だから外見や物腰のイメージと違って、本当のネビュラロンは優しく面倒見の良い人なのだという思いをエリカはあらたにした。
「うかがいたいのですが」
 うながされて続ける。
「先生は魔族をどう思っているのでしょう?」
「私の考えを、聞きたい理由は?」
「華鬼事件では、魔族が心に隙のあった生徒を操っていたような形跡があり、夏のアルチェ周辺での事件多発や、リーバメントでの三お化け事件の背後にも魔族の影を感じます」
 一気に語って、エリカは息を吸い込んだ。
「でも魔族は破壊や混乱が目的で、滅ぼすべき敵なのでしょうか? 彼らにも彼らなりの理由や目的があるはず。うまくやれば殺し合わずに共存できないものでしょうか?」
「大切なのは」
 と、ネビュラロンはココアを一口して答えた。
「私の意見ではない。エリカ自身がどう思うかだ。そして結論は、もう出ているようだな」
 それでいい、と言ってネビュラロンは魔法瓶をエリカに返した。
「馳走になった」
 そう告げた彼女の声は、やはり平板で、それでも温かいものに聞こえた。



 そいつはいいなと【サラシナ・マイ】は笑った。
「みんな喜ぶと思うぜ」
「それに伴って、ですが」
 と【ベイキ・ミューズフェス】は言ったのである。
「先輩にも手伝って頂けると助かります」
「喜んで力を貸すぜ」
 ふたつ返事とはこういうものを言うのだろう。マイはからからと笑ったのだが、その内容を聞いていささか当惑気味な顔をした。
「チョコ作りから手伝い……か? お、おう。でもオレ不器用だからなァ……」
 ベイキはまずマイに、エプロンの付け方から教えなければならなかった。

 翌日。
 学園の片隅にある『プリズン・スクエア』は、学園の他の場所とはまるで様相が違っている。
 まず高い塀がある。城塞都市のように、ぐるりとスクエアを取り囲んでいる。
 加えて空中にときおり、放電のような稲光が鈍く光るのは、飛行能力のある生徒の逃亡を防ぐためなのだろうか。
 正面には巨大な両開きの門扉があるのだが、その高さだけでも巨人のようだ。
「聞きしに勝るといったところですね」
「かもな。けど、獄内(なか)の連中は案外気のいいやつらだぜ」
 マイは鉄扉を見上げて大声を上げた。
「事前連絡は行ってるだろ? サラシナ・マイとベイキ・ミューズフェスだ! ……出戻り? 馬鹿言うな! 慰問だよ慰問、バレンタインデーのな!」

 広大な敷地内には多数の、収監生という名の学生がいた。
 学園内にも物騒な見た目の者はいるが、ここはその割合が段違いだ。揃いのオレンジ色のツナギを者たちは、タトゥーだらけだったり、顔面に大量のピアスをほどこしていたりする。
 運動場として使われているグラウンド、その中央にベイキは立つ。プリズン・スクエアの生徒たちを見回して言った。
「ハッピー・バレンタイン、今日はチョコレートを配りに参りました」
 罵声や恫喝が返ってくることも覚悟した。
 しかし実際はその反対だ。聞いた生徒たちは一斉に歓声を上げたのである。
「マジか!?」
「チョコだってよ!」
 太陽が降りてきたかのような盛り上がりではないか。
 ベイキはこの反応に希望をみいだす。今日のような交流をきっかけに、彼らに施設外の良さを思いだし更正してほしいと願うためだ。
 そうしてベイキは、チョコレートの山の前に立って告げるのである。
「さあどうぞ」
 とたん、それまで整然としていた収監生が押し寄せてきた。
「ほら、順番に並んで。数は十分ありますから、割り込みや他の人のを取っちゃダメですよ?」
 ふたりが配布するのはチョコやビスケットの甘いお菓子が中心だ。甘いのが苦手な人向けに香草やチーズを利かせたクラッカーも持ってきている。それを数種類混ぜて、紙に包んでひとり分ずつ小分けにし、人数分と職員の分を用意したのだった。
「ほら、こっちはマイ先輩が愛を込めてとろけさせたチョコですよ!」
 これを聞いたとたん、マイが真っ赤になるのがわかった。
「オイ! オレはただ湯煎しただけだっつーの!」
 これには収監生たちも大笑いだ。照れてんじゃねーよと揶揄する声もある。それにいちいち、
「テメー! 娑婆に戻ってきたら覚えてろよ!」
 と食ってかかるマイの反応もさらなる笑いを誘った。
 厳しい半生を送ってきた生徒もあろう。心に闇をかかえた生徒も。だがこのときは、誰もがにこやかにチョコを受け取り、分け合って食べていた。
 収監生といっても同じ年頃の学生だ。歳相応の笑顔をたくさん見ることができてベイキの胸は詰まった。
「こうやってお菓子を食べてるみなさんを見ていると……」
 そっとベイキは、マイに語りかけた。
「わかるぜその気持ち。今日は誘ってくれてサンキュな」
 そしてベイキは、
(施設の外であなたたちを待ってる方がいるでしょう。私達も……待ってますよ)
 心の中で告げ、マイとともにスクエアを後にしたのである。

 施設を後にして別れ際、ベイキは小さな包みをマイに手渡した。
「先輩の分です」
「オレの?」
 予想していなかったのだろう。マイは目を白黒させていたが、
「ありがとう」
 と首の後ろに手をやりつつ受け取ったのだった。
「いつもありがとうございます」
 軽く咳払いしてベイキは言った。
「先輩から見て……少しは私も、入学当時よりはマシになりましたか?」
「なに言ってんだ」
 マイは頬を染めつつ言ったのだった。
「そいつはオレのセリフだよ。ベイキから見て、ちったーマシな先輩になってりゃいーんだけどな、オレのほうこそ」



 この地域にもバレンタインデーの習慣があると聞き【ビアンデ・ムート】は驚いた。ただ彼女の出身地とは少し内容が異なるようだ。
 お世話になった人に、チョコレートで感謝の気持ちを表す日だという。
 この地のバレンタインも、とても素晴らしい文化だとビアンデは思う。
 それに、お世話になった人、というのであれば、ビアンデには真っ先に思い浮かぶ人がいることだし。
「チョコ・マオ・マオです。どうぞ、お納め下さい」
 緊張した面持ちで、ビアンデはネビュラロンに向き合っていた。
 表彰状を受け取るときのような姿勢、両手で箱を捧げ持ち、さっとフタをとって見せる。
 なるほどチョコ・マオ・マオという表現は間違いではなかった。箱の内にはミニパンダ……と思われる生物すなわち【マオ・マオ】が、手のひらサイズのチョコレート人形になったものが置かれているのだった。このチョコ・マオ・マオの周辺に、花のかたちをした手製のクッキーを並べていた。花畑のまんなかに、マオ・マオが一匹ちょこんと座っているように見える。
「もらおう」
 戸惑うこともなくネビュラロンは告げて、宿直室と書かれた一室のドアを開けた。

 奇妙な一室だ。
 畳敷きの小部屋、靴を脱いであがるよう指示された。部屋の中央には奇妙な暖房器具がある。テーブルと毛布が一体になったような姿で、この前に座って足を伸ばし、下半身を温めるのだという。『コタツ』なる名前らしい。
 宿直当番でな、と、慣れた様子でネビュラロンは『コタツ』に入った。甲冑の騎士が取る姿勢としては多少、いや、かなり奇妙だ。
「茶でも淹れたいところだが私は下手だ。好きにやってくれ」
「はい」
 招待されたビアンデが、いそいそと茶を入れることになった。小さな台所がついている。湯飲みという持ち手のないマグカップに注ぐ。
 くつろいでいる様子だが、ネビュラロンは鎧はおろかガントレットすら取らない。ただ、兜の口元だけ取り外していた。
「本当ならきちんとチョコを作って渡すべきなのですが、チョコ料理は今まで作ったことがなかったので勝手がわからなくて……お店の方に聞いて選んだので、味はきっと大丈夫です!」
 いささか早口でビアンデは述べたが、ネビュラロンの回答は、
「気にするな」
 という短いものだった。さく、さくと食べている。
 そういえば先生が食事をするところを見るのは初めてだとビアンデは思った。
「先生の故郷ではバレンタインデーは何をしたのでしょう? ここと同じか、それとも違うのかちょっと気になります」
「同じだ」
「先生はどなたかに、チョコをさしあげたことはありますか?」
「ない。もらうばかりだった」
 故郷で先生は人気があった――? とビアンデが考える間もなく、
「そっちはどうだったのだ? 私の知る『バレンタイン』とは違ったようだが」
 とネビュラロンは返してきた。質問の仕方から読み取ったらしい。
「ええ、私の故郷では、豊穣と親愛なる者の幸福を祈願するお祭り的なものでした。チョコレートというものもなく……」
「ないのか」
 意外だな、と言うようにネビュラロンは唇を歪めた。ネビュラロンからこういった、心の動きがうかがえるのはまれなことだ。
「入学するまで縁がありませんでした。なにぶん辺境でしたので」
 でも、とビアンデは花型のクッキーを示して言う。
「その分クッキーは豊富でした。こんな風に、木の実などを練りこんでいるんですよ。大地の恵みの加護で健康でいられますように、という意味があるんです」
 私なりに故郷の味を再現しました、というビアンデにうなずくと、ネビュラロンは口元にプレートをはめ直した。一切の表情はうかがえなくなる。
「……馳走になった。残りは、陽が落ちてからにでももらうことにする」
 箱のフタも閉じている。
「お気に召しませんでしたか」
「いや。素朴な味で好みだ」
「もしや」
 逡巡したが、ビアンデは思い切って続けた。
「私が、故郷の話ばかりしたことが先生のお気に障ったのでしたら――」
 まさか、とネビュラロンは告げた。
「私に故郷はない。帰りたくとも帰れないし、帰ることができたとしても、帰りたいとは思わない」
 そろそろ寝る、とネビュラロンは言う。
「宿直は夜通しだからな」
 それきりネビュラロンは黙して語らなかった。
 それでは、とビアンデは部屋を辞したが、扉が閉まっても何度か足を止めて振り返った。



 世間では『甘い予感がしゅる~♪』みたいなイベントがそこかしこと行われているようだけど――。
 苦み走ったニヒルな笑みが、まったくもってニヒルの似合わないお肌つるつるの少年の口元に浮かんだ。
(おじさん的にはあんまり関係ないんだよね)
 関係あったらあったで色々マズいか……異邦人的に考えて、と【七枷・陣】は思ったりもする。
 外のキャッキャウフフとは無縁、静寂に包まれた大図書館にいるせいか、手を止めるとつい、不要なことを考えてしまう。
 これというのも、転移の魔法なり機械の名前なりといった手がかりが一向に見つからないせいなのだ。袋小路にいるのに、それでもガリガリと石壁を爪でひっかいている気分だ。
 このとき陣は数日かけて分厚い本にとりかかっていた。本はなかば紀行文みたいな内容で、しかも面白くない冗長な文体がダラダラつづくという酷いものだった。
 それでも、どこかに参考になる部分があると思って読みつづけたのだが……最後までついぞ、役立ちそうなものは見つからなかった。
 本を閉じて陣は、ゆっくりと机に突っ伏した。
「……ああ~」
 消え入りそうな声でうめく。頭だけ机に、両手はだらりとさげ、無駄にした時間に思いを馳せる。
「お疲れですね」
 頭上から声がした。顔を上げると、いつも入り口受付にいる司書の顔が目に入った。
「あっ、おじさんね、騒音を立てるつもりは……」
「大丈夫です。図書館でも、普通の声でなら話していただいて構いませんもの」
 司書はエルフタイプのエリアル女性で、名を【エミ・バナーマン】という。
 フレームが大きく、蝶みたいにつり上がった眼鏡が特徴だ。ヘアカラーは暗い桃色、前髪の一部を縛ってヘアバンドで巻いたセミロング、あの髪型はなんというのだろう。外見年齢は三十前後だ。といっても強烈な個性の眼鏡と、肌の露出がほとんどない紺色のワンピースのおかげで、年齢不詳というのが正確なところだが。
 怒ると赤鬼みたいになるバナーマン女史だが、今日は彼女の天敵『図書館で騒ぐ大人げない大人(=メメル)』がいないせいか落ち着いている。こうしてほほえんでいるとそれなりに美人だ。でも、服装と眼鏡は変えたほうがもっといい気がする。
「……珍しいねバナーマンさん」
「エミで結構です」
 いまは休憩時間ですので、と彼女は言った。
「うん、なら、エミがおじさんに話しかけるなんて珍しいよね」
「かもしれませんね。なんだか七枷さんが、落胆されているように見えましたから」
 否定しても無意味だろう、溜息まじりに陣は答えた。
「……まあね。探し物が見つからなくて」
「メメル校長のことですか」
 腕をクロスさせ全力で『NO!』のポーズを陣は取る。
「ありえないから。あの人はおじさんのこと邪魔して遊んでるだけだから」
「そうですか、私はてっきり……」
「それだけは、ない」
 魂を込めてもう一度、陣は『NO!』のポーズを取った。
「だからかぁ……いつもおじさんがメメたんとセットで館外へ放逐されるのは……。あのね、おじさん被害者枠だよ?」
「でも校長だけ出しても、あの人なら『一人だけ追い出されると調子狂う』とか言ってすぐ戻ってきますよ、きっと」
「……否定できない」
 ところで、とエミは言った。
「図書館は飲食厳禁ですけれど、よろしかったら、これ、お持ち帰りください」
 どうぞと彼女が差し出したのは、小さな巾着型の包みだった。
「来館者へのプレゼントです……バレンタインですから」
 大図書館『ワイズ・クレバー』の守護魔神、鬼のバナーマン――みたいなイメージが彼女にあっただけに意外だった。反射的に陣は立ち上がり、両手で包みを受け取る。
「ありがとう。手作りとか?」
「包装だけです。中身は市販品です……私、料理は全然できません」
「ご謙遜を」
「火事を出したことが三度あります」
 両手をもじもじさせ上目づかいで話す様子からして謙遜ではなかろう。
 このとき、ボリボリと派手な咀嚼音がした。
「図書館って飲食厳禁だったんだ~」
 オレサマ知らなかった☆ と、二人の真横のテーブルにあぐらをかいて座って、食べかすを散らしながらチョコクッキーをむさぼっている姿があった。
 それが誰であるかは書く必要はなかろう。
 あっ、と陣は思った。
(いつも見慣れたエミ……鬼のバナーマン女史に戻った)
 当然のように陣も放逐されてしまった。図書館から! 



 校舎と校舎をつなぐ渡り廊下。
 歩む【イヴ・イルシオン】は猫のように無音だ。
 リラックスしているのに、気配も完璧に殺している。大抵の人間ならイヴに背後をとられようとも、空気の動きにすら気付かないのではなかろうか。
 気付いてイヴは嘆息した。
(どうしても歩き方が、『暗殺人形』のそれになってしまいます)
 一般的な生き方を身につけるのは容易ではなさそうだ。
 エメラルド色の瞳で校舎を見上げる。
 土埃の匂い。学園旗をなびかせる風。
 風に交じる若草の香りが春を告げている。
 それでいいか、という気もしてきた。
 なぜってイヴは、社会適応とかいうものを学ぶためにここに入学したのだから。
(私はまだ、右も左も分からないのです)
 ならば分かるのは上と下でしょうか? なんて考えてみたりする。
 イヴの思考は中断された。
 このとき廊下の向こうから、りんりんしゃんしゃんと歩いてくる姿を目にしたからだ。実際にそんな音がするわけではないが、頭の中で効果音をつけたくなる。
 同世代くらいの子……?
 頭の王冠は斜めがけ、鮮やかな黄緑色の服を着ている。怪我でもしているのか包帯を右目に巻いているが表情は明るい。思い出し笑いでもしているのか、ニコニコ楽しそうだ。
 社会適応への第一歩として、彼女から情報を収集しようとイヴは決めた。
「あの」
 声をかける。
「学園生の方ですか?」
 口にしてみて、間の抜けた質問だと気がついた。学園の敷地内にいるのだからそうに決まっている。不審な顔をされるのではないか。
 ところが、
「へへへ~♪」
 彼女は予想外の反応を示した。歯を見せて笑うと口元に手を当て、
「どう見える? やっぱ学生? それともお忍びのお姫様?」
 イヴはおずおずと言ってみる。
「お忍びのお姫様で学生、とかですか?」
「正解♪」
 ぱんぱかぱ~ん、と言って、
「【リーエル・アムフィリム】だよ。実はいまも、ふたりの従者をまいてきたとこ~!」
 仲良くしてね、とリーエルはイヴの手を握ったのだ。
「よろしくお願いします」
 イヴも頬を緩めた。

 ふたり連れとなって歩く。
「いいのですか? 反対方向になりますが」
「散歩してただけだもん。散歩は道連れ世は情けってね~♪」
 道々いろいろと話した。
 リーエルは上級生だという。好奇心のかたまりで、何かをしていても気になることがあれば、ついフラフラと見に行ってしまうそうだ。
「最近、興味があるものはなんですか? 教えてほしいのです」
「イヴくん」
 即答だ。
「私、なのですか?」
「うん♪」
 リーエルは屈託がない。また歯を見せる。
「そのリボンも服もかわいいし~、なんだかミステリアスだし~、全部ひっくるめてカッコイイもん!」
「そういうことを言われたのは……はじめてなのです」
「じゃあこれからは、会うたびに言ってあげよう♪」
「ええと」
 イヴは鼻の頭をかいた。
「こんな場合、私はどう返すべきなのでしょうか?」
「どういたしまして、って言うんだよ♪」
「それは……どういたしまして」
 照れくさくてくすぐったいのです、とイヴは思った。
 でもこの感覚は、嫌いじゃない。
「あっ!」
 リーエルが声を上げた。敵襲? イヴは瞬時に身構えた。
 しかし違うようだ。
「いいもの持ってたんだ! 誰かにあげるつもりだったんでイヴくんにあげよう、そうしよう♪」
 リーエルは紙製の小箱を手にしていた。
「はい♪ 友チョコをどうぞ~」
「お友だちにさしあげるつもりだったのでは?」
「だから新しいお友だち、イヴくんにあげるんだよ♪ これからも仲良くしてね♪」
 じゃねー、と告げてリーエルは小走りに去って行った。
 つづいて従者らしいエルフ型エリアル女性が二名、リーエルを追って走っていくのが見えた。
「……」
 イヴは小箱を開けてみた。
 トリュフチョコの詰め合わせだ。カードが添えられている。
 カードに書かれたメッセージは、『いつまでもあなたと』。
 じわっと胸があたたかくなる。
 もしかしたら、とイヴは思った。
(これが、愛なのでしょうか?)
 このチョコには、愛というやつが詰まっているにちがいない。
 人は愛がなければ生きていけない――過去の知り合い、傭兵のおじさんの教えだ。そのときは言葉の意味はわからなかったが、いまならいくらか、理解できる気がする。 
(お返しをしたいのです)
 カードを添えてリーエルに渡そう。
 添えるメッセージの文句ならもう決めている。
 『これは私の愛なのです』と。



 誰とは言わないが学園長にチョコレートをごうだ……ゆす……んんっ、ねだられる前に。
 強奪とか強請(ゆすり)とか、物騒な言葉が浮かびそうになったが、そこは前向きに忘れたい。
 というわけで頭を整理し、【仁和・貴人】は職員室のドアをノックしたのである。
 メメルに会う前に、お世話になっている先生がたにチョコを渡しに行きたい。
「失礼します」
 入室すると、放課後の職員室にはすでに何人もの生徒がいて、【ユリ・ネオネ】ら教師にチョコレートを配っているようだ。
「学園長に捕まる前に!」
 と言っている生徒もいるところからして、貴人の考えはポピュラーらしい。
「干しブドウボンボンです、どうぞ」
 真っ先に貴人がチョコレートを差し出した相手は【コルネ・ワルフルド】であった。
「チョコレート・ゴーレムと戦って入手したチョコと、干しブドウ作りの名人【プレグ・イーラッド】さんの干しブドウで作成しました」
 素材にも気をつかった至高のチョコなのだ。
「そんないいものくれるのー☆」
 と言いながらもう、コルネは包み紙を開けてボンボンを口にしていた。たちまち天にも昇りそうな表情となる。
「ンマーい! これアタシ向きじゃない? わざわざ作ってくれたの?」
「コルネ先生はなんていうかいつもメメたんに迷惑かけられてますんで、そのねぎらいという意味でして」
 聞いて思わず、目を潤ませてコルネは貴人を拝んだ。
「ありがとう~! エエ子やのう~」

 その後も貴人は、教師たちに干しブドウボンボンを配っていった。
 配布し終えて違和感を抱く。
 おかしい。
 コルネに渡そうとした瞬間に来てもおかしくなかった。
 配布途中で奪取されても。
 職員室前で足を止めた瞬間、強奪される可能性だってあった。
 なのに、来ない。
 メメルが来ない。
 チョコレートを奪いに来ない!?
 どうせ嫌がらせというか絶妙のタイングでチョコもらいに来るんでしょ? と思っていたのだが。
 こうなったら自分から探しに行くべきか。
 待て待て、それだと本末転倒では――などと迷っているうちに他の生徒たちは帰ってしまったらしい。
 仕方ない。帰るか。
「失礼しました」
 扉を閉めて一歩踏み出して、そこで貴人は、大きな荷物をかかえた女性と正面衝突した。
「いった~い☆」
 バラバラっと荷物が崩れる。一抱えほどもある箱と、その箱に入った大量のチョコレートであった。
「きゃー大事なチョコレートがぁ~!」
 大量のチョコが床に散らばった、と思いきや、
「……なーんてな」
 すべては空中で停止し、するすると箱に戻っていったのだった。
「オレサマにそんなぬかりはない☆」
 メメルだった。持つのが面倒になったのか、チョコぎっしりの箱を自分の隣に浮かべている。
「ウワーイ、メメタンカワイイヤッター!」
 不意打ちで動転したのと、会えないかもという不安というか残念感と、いやオレ会いたいとか思ってなかったし! マジだし! みたいな複雑な感情とがミックスされて、貴人は謎の声を上げた。
「おう、オレサマがかわいいのは当然だが褒められて悪い気はせんな♪」
「さっきの賞賛は社交辞令でして」
「なぬ? 教室を出たとこで正面衝突、みたいな乙女チックシチュエーションの相手が校長だと不満か? ならこれでどうだ!」
 と告げるや、メメルの服は女子制服に一変したのである。胸まわりがぱっつんぱっつんだ。
 貴人は明後日の方向を向いた。
「メメタン制服姿ムリシテナイ。ニアッテルヨ」
「……目が泳いどるぞ」
 メメルは顔をしかめて続ける。
「しかし職員室から出てくるとは、灯台もと暗しというやつか。オレサマも不覚であったわチョコよこせ」
「語りからシームレスに強請(ゆすり)に入りましたね」
「これはな少年、お強請(ねだ)りというのだ」
 かくしてついに、貴人の用意したチョコの出番となった。
「はい、『痛』チョコです」
 エッチ風味(非18禁)の美少女イラストが包み紙に書かれたものすごく恥ずかしい板チョコだ。
「貴人たんこれセクハラだぞ」
「メメたんが常識的な返しを!」
「これでも一応教育者だいっ☆」
 オレサマからのお返しはあいにくと用意していないが、と前置きしてメメルは言ったのである。
「こういうのを持っているとコルネたんに怒られそうだ。貴人たんのチョコ、いまから分け合ってそこらで食うとするか?」
 でも他のチョコはやらんぞ、と付け加えるのをメメルは忘れなかった。



 子どもたちをあまねく照らす無償の愛、それは母の愛だろう。
 大切な人にチョコレートをあげる日、それが『ばれんたいん』ならば――両手を握り合わせて【鳥珠・菖蒲】は想う。
(わっちにとって大切な学校の皆は、我が子同然。ならば母の愛の証として、わっちの『母チョコ』を配るでありんす!)
 海よりも深い慈愛をもって、菖蒲は単身厨房に立つ。
 純白の割烹着と三角巾まで着込んだ状態で、ところで、と腕組みした。
(チョコレートってなんでありんすかね?)
 問題だ。
 菖蒲はついぞ実物に触れたことがないのだった。
 イメージはある。茶色いお菓子だ。甘いはずだ。
 しかしその材料となると、とんと思いつかない。
 ならば既存の料理に一工夫してチョコレート風にするというのはどうだろう。カレーを入れればなんでもカレー風の料理になるという技術の応用だ。(※チョコレートがなにかわかっていない以上、その発想は適用できないということは誰も指摘してくれない)
「えっと、たしか……」
 大量に持ってきた持参品を調べ菖蒲は笑みを浮かべた。
「あったあった! これでありんす♪」
 ふんすっ、勢いよく鼻息して置く。
 土鍋。
 それも超大型の鍋だ。
 中身もあらかた揃っている。
「お菓子ばかりだと栄養がかたよるので、これを加工すればとても体にいいでありんす」
 豆腐とか白菜とか、切って放り込めばいいだけだ。それにとどまらず毒々しく赤茶けた色のキノコや、フグにそっくりの……というか、そのものな魚類までゴロゴロ出てくる。
 このセットはアイテム名『やみなべ』なるブツなのだが、菖蒲はその意味をあまり真剣に検討していなかった。
「お菓子なら甘いでありんすよね! 砂糖かもん!」
 白い悪夢を大量に流し込む。
 ダバー。
「あとは茶色くする? 焦がしまくるでありんすか? ……あ! 醤油! 醤油でありんすね! 焦がししょーゆー♪」
 黒い地獄も追加だ。さらに加熱。
 ファイヤ。

 バレンタインデー当日。
 小規模の学食を貸し切りにした菖蒲は、教員や生徒たちを大量に招待していた。ポスターを貼りビラを撒いた効果があったようで、開場するやたちまち満員となる。
「ようおこしやす、我が子たち。愛しい子らにわっちから、母チョコの大盤振る舞いでありんすよ♪」
 まごころが通じた喜びで、菖蒲は純度百パーセントの笑顔だ。
「あー、あれだね? 『チョコ誰からももらえなかったけど、お母さんからはもらえたよ』ってやつだね」
 期待に目を輝かせているのは【イアン・キタザト】だ。
「お前と一緒にするな。私には妻が……ああ、確かに脳内だが……放っておいてくれ……」
 ぶつぶつ言いながら【ゴドワルド・ゴドリー】はキタザトの隣に立っている。
「なんでぇお前、今日はチョコレートサンデー食い放題とかに行ってたんだろ? まだ食うのかよ」
 とマイに言われて、
「いいんだもん! チョコは別腹っ」
 胸を張るのは【エミリー・ルイーズム】だった。
 学生教員を問わずさまざまなメンバーが集まっているが、どちらかといえば男性が多いようだ。
「質問、よろしくて?」
 手をあげたのは【ミレーヌ・エンブリッシュ】である。
「どうして、入り口を施錠しますの?」
 かしこまって菖蒲は答えた。
「定員に達したからでありんす」
「ではなぜ、ドアノブに鎖を巻き付けますの?」
「わっちの愛情が外に漏れ出さないためでありんす」

 そして土鍋が登場した。

 すでに菖蒲は『やせーの勘』で、なにが起こるかを察知していたようだ。ドアはもちろん窓すらも、ガッチガチに閉ざされていた。
 だからとっても、阿鼻叫喚のひとときとなった。
 阿修羅のごとき菖蒲の活躍、しかと見よ。
「そぉい!」
 喰らわせる。食べさせるんじゃなくて喰らわせる。それも顔面に喰らわせる。
「そこっ!」
 逃がさない。食べずに逃亡なんて許さない。立体機動して先回り。祖流還りの力で引き戻す。
「我が子たちは、この母の獲物でありんすよー!」
 そんな母親はおらん! というツッコミができる精神的余裕のある者はいなかったという。
 ただ、この会場の片隅で、
「このコゲコゲが、しげき的な味でクセになるの~」
「私は……味とかあんまり、わからない、から……」
 惨劇をよそに、マイペースで『チョコレート?』を食べ続ける【キキ・モンロ】と【ラビーリャ・シェムエリヤ】という存在がいたことも、どうか覚えておいてほしいのだ。



課題評価
課題経験:0
課題報酬:0
【心愛】どっきん! 学園バレンタインっ!
執筆:桂木京介 GM


《【心愛】どっきん! 学園バレンタインっ!》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2020-02-19 00:08:51
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。
どうするかはまだ決めてないけれど、よろしくね。

《後ろの正面》 イヴ・イルシオン (No 2) 2020-02-19 07:10:57
誰かと関わったこともない私なのですがよろしくなのです。

《後ろの正面》 イヴ・イルシオン (No 3) 2020-02-19 23:32:22
とりあえず背丈が同じくらいに感じる子(リーエル)に接触を試みる予定なのです。

《人たらし》 七枷・陣 (No 4) 2020-02-19 23:33:53
賢者・導師コースの七枷陣だよ。
うーん…おじさんはまぁ、どっかで細々とやってると思うよ。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 5) 2020-02-20 03:27:19
わたしはネビュラロン先生に会いに行くことにしたわ。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 6) 2020-02-20 05:33:05
教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。
さて、なにしようかな……。

《新入生》 鳥珠・菖蒲 (No 7) 2020-02-20 10:52:10
わっちは、皆を我が子の様に思ってるでありんす。
だから、皆に手づくりチョコなるものをプレゼントするでありんすね!

【PLより】
俺はヤバいチョコレートを作るぞジョ〇ョー!

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 8) 2020-02-21 11:17:28
魔王・覇王コースの仁和だ。
・・・誰とは言わないがごうだ・・・ゆす・・・んんっ、ねだられる前にチョコを渡しに行こうと思う。
時間があるようならお世話になってる先生方にもだな。

《後ろの正面》 イヴ・イルシオン (No 9) 2020-02-21 12:03:07
こちらに発言すると1日三回まで友情が300貰えるのですね。大きそうです。

《甲冑マラソン覇者》 ビアンデ・ムート (No 10) 2020-02-21 22:48:38
勇者・英雄コースのビアンデ・ムートです。遅くなりましたがよろしくお願いいたします

タイミングは別になると思いますが、私もエリカさんと同じくネビュラロン先生に会おうかなと考えています

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 11) 2020-02-23 19:28:30
賢者・導師コースのクロス・アガツマだ、よろしく頼む。
そうだな……チョコレートを、せびりに行ってもいいかもしれない。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 12) 2020-02-23 19:52:32
とりあえず、サラシナ・マイ先輩と一緒に、プリズン・スクエアにお菓子を差し入れしに行くことにしました。
なかなかこういった交流や娯楽がない場所でしょうし、施設の外の良さを思い出して貰って、少しでも身を正して更正に近づいていただけたら嬉しいですね。