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怯える幽霊少女と飢えた鬼達


ストーリー Story

●理解不能な心の震え
「えっ、そろそろ私も戦いに行かないといけないんですか!?」
 教祖・聖職コースで学ぶリバイバルの少女【メルティ・リリン】が教員の突然の提案に悲鳴のような声を上げた。
 提案といっても別に特別な環境に放り込むとか、特殊な外敵と戦えと言われたわけではない。
 単純に――トルミンの集落にある貴重な酪農地域へゴブリンの群れが現れ、現在は現地の自警団が対応に当たっているということと。
 そして魔法学園『フトゥールム・スクエア』の学生に奴らの討伐を願いたいと依頼を受けたという、たったそれだけのこと。
「教祖・聖職コースの学生は民草に救済と希望を与える人物となることを目指すべし、そのことは重々承知の上であなたは入学したんでしょう?」
「そ、それはそうですけど……」
「だったらいつまでも座学と模擬戦だけじゃなくてきちんと外の世界を見てきなさい。勇者活動に参加しないままだと課題の評価をつけられないどころか、あなた自身の志をも否定することになるのよ?」
「でも……」
 メルティの中には戦いに対する大きな心の揺れがあった。
 それは自分が旅芸人の踊り子として生きていた頃――移動中に家族同然の仲間達と共に巨大な何かに襲われ、数日間逃げ回った恐怖に原因がある。
今はすっぽりと頭から消えてしまっているけれど、最期の瞬間に心を引き裂くような何かがあったのだとも。
 だからメルティは死者となっても自分と同じ思いをする人がいないよう、聖職者の道を選んだ。
 それでも戦いとなると、どうしても怖い。
 無意識に愛用の本を掴む白い指を震わせた彼女へ、教師はふふっと穏やかに微笑んだ。
「大丈夫よ、あなたは癒し手の才がある。あとは一緒に戦ってくれる仲間がいれば、余程油断しないかぎりゴブリンの群れぐらいどうにでもできるはずだから」
「仲間、ですか」
「もう一端の勇者になりかけている学生もいるけれど、学園の中にはあなたと同じ発展途上の勇者見習いも多いわ。先を征く先輩と、共に歩む同輩。どちらからも学ばせてもらえることは多いはずよ。だから、気をつけていってらっしゃい」
 そう言って教員は不安定に揺れるメルティの肩をぽふ、と叩いた。

●教員からの呼びかけ
「さて、皆に頼みがあるの。メルティを連れてトルミンへゴブリン討伐に行ってくれないかしら」
「メルティっていうと……あの学園引きこもりの?」
「そう。あの子、才能はあるはずなんだけど過去に何があったのか……本物の戦いに異常なほど拒絶反応を示すのよね。申し訳ないけれど、そのフォローもお願いするわ。一度戦いを経験して、自分のやるべきことを見出せばあの子もきっと前に進めると思うの」
 唐突に出された『学園引きこもり幽霊少女』の名前を出され、きょとんとするあなたに教員は軽くウィンクする。
 いずれにせよ相手がゴブリンなら討伐自体はそう難しいことではない。
 あとはその戦いで何をするべきか――あなたは考え始めていた。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 5日 出発日 2020-07-18

難易度 簡単 報酬 少し 完成予定 2020-07-28

登場人物 8/8 Characters
《枝豆軍人》オルタネイト・グルタメート
 リバイバル Lv15 / 魔王・覇王 Rank 1
■性別■ えだまめ(不明) ■容姿■ 見た目:小柄で中性的 髪:緑のショートヘア 目:深緑色 服:生前の名残で軍服を好む。 あとなぜが眼帯をしてる。 ※眼帯に深い理由はない。 ■性格■ 元気(アホの子) 意気揚揚と突撃するが、結構ビビりなのでびっくりしていることもしばしば。 ■趣味■ 枝豆布教 ■好き■ 枝豆(愛してる) ■苦手■ 辛いもの(枝豆が絡む場合は頑張る) ■サンプルセリフ■ 「ふはっはー!自分は、オルタネイト・グルタメートであります。」 「世界の半分を枝豆に染めるであります!」 「枝豆を食べるであります!おいしいのであります!!怖くないのであります!」 「これでも軍人さんでありますよ。ビビりじゃないであります!」 「食べないで欲しいでありますー!!自分は食べ物ではないであります。」
《新入生》レイラ・ユラ
 リバイバル Lv8 / 黒幕・暗躍 Rank 1
レイラ・ユラです。 行きたい場所、やりこと。沢山あります。 よろしくお願いします。 ■何かをしたいという思いだけが残っていたリバイバル。 些かマイペースで感情の起伏が見えにくい表情(ただ微笑んでいたり)でいることが多いが、基本素直で真っすぐな性格ゆえ、感情のまま走り出しそうになることも。 そのせいで言葉少なく動き出そうとすることもあるため、何を考えているのかわからなく見えるかもしれない。 【姿形】 手足が長く全体的に凹凸が少なめ。 やや釣り目で涼し気な目もと。色は深みのある真っ赤な紅色。 膝の辺りまで根性で伸ばした暗めの紫色のロングストレート。 ぱっつん前髪に合わせるように目じりから耳の前の髪を頬骨の下を口元辺りでぱっつんと。 右側(←)のサイドトップ(耳上あたり)には黒いラナンキュラスの髪飾り。 服装は基本的に黒のシフォンのマキシワンピースや黒の着物などに黒いレースの手袋(デザインなどはその日の気分だがリボンがついていたりとかわいい系の物を好んで着ている) 【傾向】 交流を断絶して生きていたことから、他者との交流に人並以上に感心がある。 自分ではないものの意見や経験、思考に触れるのが好き。 口調はやや硬く、それが通常運転になっているため親しさと口調は比例しない。
《ゆう×ドラ》アレイシア・ドゥラメトリー
 リバイバル Lv11 / 村人・従者 Rank 1
「あたしはアレイシア、あなたは?」 姉妹の片割れ、妹 思考を重ね、最善を探す 奥底に、消えない炎を抱えながら 容姿 ・淡い薄紫のミディアムウェーブ、色は紫色寄り ・目は姉よりやや釣り目、同じくやや水色がかった銀色 ・眼鏡着用、目が悪いというわけではない。つまるところ伊達眼鏡 性格 ・妹と対照的に、考えで動くタイプ。人当たりは良く、社交的 ・好奇心旺盛、知りたいことはたくさんあるの! ・重度のシスコン、姉の為ならなんだってする ・結構子供っぽい所も、地は激情家 ・なぜか炎を見るとテンションが上がるらしい、熱いのが好き、というわけではない模様 姉について ・姉が全て、基本的に姉・自分・それ以外 ・人当たり良くして姉の居場所を増やしたい 好きなもの 姉、本 二人称:基本は「あなた」 先輩生徒「センパイ」 初対面には基本敬語
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《1期生》アケルナー・エリダヌス
 ローレライ Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
目元を仮面で隠したローレライの旅人。 自分のことはあまり喋りたがらない。適当にはぐらかす。 ふとした仕草や立ち居振舞いをみる限りでは、貴族の礼儀作法を叩き込まれてるようにもみえる。 ショートヘアーで普段は男物の服を纏い、戦いでは槍や剣を用いることが多い。 他人の前では、基本的に仮面を外すことはなかったが、魔王との戦いのあとは、仮面が壊れてしまったせいか、仮面を被ることはほとんどなくなったとか。 身長は160cm後半で、細身ながらも驚異のF。 さすがに男装はきつくなってきたと、思ったり思わなかったり。 まれに女装して、別人になりすましているかも? ◆口調補足 先輩、教職員には○○先輩、○○先生と敬称付け。 同級生には○○君。 女装時は「~です。~ですね。」と女性的な口調に戻る。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《自称「モブ」》チョウザ・コナミ
 ヒューマン Lv34 / 村人・従者 Rank 1
「よーこそお出ましゆーしゃ様。 ザコちゃんの名前?…あー、チョウザ・コナミ。 お気軽気楽に『ザコちゃん』って呼んでくれていーよぉ? 面倒だったらこの記憶はまとめてポイして経験値にしたって、 全然丸っと了承了解?」 「ゆーしゃ様の近くでただ在るだけがザコちゃん。 モブへの用件ならいつでも呼びつけ招いちゃってよ。 何かの名前を呼び続け連呼とか?森の浮浪者とか? はたまた魔物に狙われ襲われな第14人目位の村人とかぁ?」 ■■ 名前:蝶座 小波(自称 身長:176cm 実年齢:20歳(自称 瞳の色:エメラルドグリーン 髪色:カラフルなメッシュ入りのマゼンタ 肌色:魚の文様が頬にある日本人肌 髪の長さ:編まれ端を結んだロング その他外見特徴:古びた布の服に大量の装飾品。 常に腰か手元に携帯する水煙草の瓶は『預かり物』だとか。 頭や腕に謎の斑模様で派手なスカーフを巻く。 一人称:ザコちゃん・(ごく稀に)あーし 二人称:『ゆーしゃ様』等の平仮名表記の立場+様 特徴+様、(稀に)名前+様 他 呼称:「ザコちゃん」呼びを望む。 「モブ」も反応するが、それ以外だと気づかない事が多い。 口調:投げやりで適当な話し方。敬語は一切使わない。 似た言葉や語感を繰り返し、まるで言葉遊びのように話す。 口先は冗談とでまかせ、ノリとハッタリで構成される。 貴族や東の国関係に妙な嫌悪を持つ。 魔法を扱う気は微塵も無いとか。 他者からの詮索、視線、物理接触、色恋話を避ける節がある。
《新入生》ナレディ・ディトゥーニャ
 ルネサンス Lv8 / 勇者・英雄 Rank 1
『我は一族を護る為の力、そして強き伴侶を求めてガクエンの門を叩いた。ここは地面が固く、大地と隔たりがあるようで慣れん。お前らはこんなので平気なのか?…信じられんな。』                              ――――――― 【種族】 アフリカスイギュウのルネサンス 【性格】 健康的で美しい容姿をしているが、争いの絶えない土地で育ち、幼少より生き残るべく戦闘技術を骨の髄まで叩き込まれてきた為『諍いは力の優劣で決める』脳筋気味の思考をしている。 気性はかなり荒く、一度敵対したら徹底抗戦するが、仲間思いでもあるので学友には努めて理性的に接し親切にしてくれる。 「ただしライオン、貴様は許さん。殺す。」 彼女の部族では文字は一般的でなく、族長や祈祷・呪術師が扱う特別で神聖なものだったので座学は不得手な様子。 なので、貴方が勉学を教えてあげれば大変感激し「我らはもう親族だ!ボト族の地を訪れた時は集落全体で歓迎の宴をしよう」と喜ぶだろう。 男なら彼女を口説く方法として有用だ。 「おお!そうか、ならば我は喜んで妻になろう。」 「―お前が我に勝てたならな!」 …最後には必ず戦闘に入るが。 因みに、パンツは履いていない。 そんな文化はない。 【好き/好意的】 グリーンスムージー(文明が発達した国で口にして感動した) 強い男 ボト族 土、草地(舗装されていない地面) 空 ダンス(宴/祭) 【嫌い/敵対的】 ライオン(ルネサンス、原種問わず) 牛肉 自分の意見がハッキリしない者

解説 Explan

●目的
 ゴブリンの群れ(10体)の討伐

●戦場
 トルミンの小さな農場。
 到着時点で自警団20名がゴブリンと拮抗した状況でなんとか耐え抜いています。
 学生の到着を確認し次第、状況をみながら後退しますので彼らとほぼ交代する形で戦うことになります。
 農場には逃げ遅れた牛15頭がおりますので、できるだけ被害が出ないようご注意ください。
 なお地形は平坦で、戦闘によりぼろぼろになった柵があるだけですので良くも悪くも自由に動けます。

●ゴブリン:格「2」
 頭はあまり良くないですがほんの少し強いゴブリン10体で編成されています。
 武器は棍棒か粗末な剣や斧で、防御をするような知性はありません。
 遠距離を狙えるような攻撃や状態異常を付与する行動も行えません。
 なお食欲が旺盛なため、自警団員や学生よりも牛を優先して狙う可能性が強いです。

●登場NPC
 メルティ・リリン
 学業だけは上等の聖職見習い。
 しかし学園外での課題に取り組んでいないため、単位足らずで頭でっかちの気があります。
 そのため魔法による簡単な治療をする能力を持ち合わせてはいますが、
 血を見ると動揺してしまい実力を発揮しきれないという難しい面を持っています。
 なお、薬や添え木を使うような物理的なものであれば治療行為は可能です。


作者コメント Comment
はじめまして、こんにちは!
ことね桃と申します。
今までいくつかの作品を手掛けて参りましたが、今回は初めての学園もの。
それでも魔法と剣のファンタジー世界での冒険あり! ということで喜び勇んで参りました。
これから何卒よろしくお願いします。

今回は初めてなのでスタンダードにゴブリンとのバトルを。
でもこっそり心情も絡んでおりますので、
皆様がなぜ勇者を目指したのか、これから何を目標としているのか聞かせていただけますと幸いです。
素敵なプランを心待ちにしておりますね!



個人成績表 Report
オルタネイト・グルタメート 個人成績:

獲得経験:66 = 44全体 + 22個別
獲得報酬:1800 = 1200全体 + 600個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
心情:
「同じリバイバルが困っているなら、手を貸すであります!」

接敵前:
【事前調査】で地形や敵の位置情報を再確認
味方に初手でと突撃することを伝える

接敵後:
特攻して、初手で【楽園楽土Ⅰ】
散漫付与を行い、通常攻撃
牛の撤退が完了するまで、時間を稼ぐ
攻撃の優先順位は
牛と近い>遠距離攻撃勢を狙う>どちらでもない

【聞き耳】で敵の動きを逃さないように心がける
牛に近い敵を逃したら、すぐに報告
注意喚起とフォローをお願いする

攻撃を受けた場合は【生気喪失】

戦闘終了後:
枝豆を振舞おうとする

共通:
リリン殿への対応は、言葉がけで安心を誘う
万が一、血を見てしまった場合は、近づいて安心させるようにする

レイラ・ユラ 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
引きこもりのリバイバル…ですか
貴方は一人じゃない、大丈夫ですと伝えてあげたいです

・戦闘
今回は囮役
牛さんが狙われてしまう前に素早く移動して、ゴブリン達を引き付けます
【隠匿】で牛を引き付けてくれている方達に気づかれないように行動します
血を流す事を恐れずに狙われた場合は【緊急回避】もし攻撃を受けてしまった場合は反撃の【生気喪失】
遠距離からの攻撃が上手く当たるようにできる限りサポートしていきます

・ケア
何とか自分の意思で治療に踏み切って欲しい
動揺で実力を発揮できない時は傍で支えたいです
可能ならば手を握っていてあげたい
そして笑って
「私は貴方と同じ引きこもりで、今日が初めての討伐
本当はとても怖かったんです」

アレイシア・ドゥラメトリー 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
リバイバルに限らず、過去に受けた心の傷ってなかなか治らないものでしょうに
…いざって時に、使いものにならないよりはマシね

・事前準備
メルティの技能を確認 自分の役目も伝える
「月並みな言葉だけど、一人で戦うんじゃないんだから
役目はざっくりでもいいから把握しておきたいの
あなたは何ができる?」

・行動
仲間が前線へ向かう間、牛たちの避難を
共に行く仲間と協力
牛たちを後方の安全な場所まで避難させる
避難の際は「生物学」と「生物騎乗」の知識で牛を過度に刺激させないような行動を取る
避難完了後はすぐさま前線へ戻り加勢に入る
基本は銃で援護射撃と【二連射】
敵の攻撃は「リ1」で回避

・メルティへ
どうだった?
恐怖は恥じゃないわよ

クロス・アガツマ 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:132 = 44全体 + 88個別
獲得報酬:3600 = 1200全体 + 2400個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
リバイバルが5人か、課題じゃなかなか珍しい光景じゃないか?

仲間がゴブリンを散漫状態にしてくれたら、そこに挑発を仕掛けてゴブリン達の注意を引くよ
そして仲間が牛を逃がせるよう、ゴブリン達を引き付けて付かず離れずの間合いで立ち回ろう
時々、他に向かいそうなゴブリンを優先にプチダードで攻撃し狙いを俺に留めさせ続ける

牛の退避が完了できたら、物体透過を駆使しながら近づいたり離れたりして、敵を一ヶ所に集めるように誘導してみるよ
うまく集まったら、皆と息を合わせ、自然友愛を発動後マドガトルでゴブリンを蹴散らそう

それとメルティ君の調子が悪くなったらその時は……彼女と話をしよう
相談に乗り、彼女を俺なりに説得してみるよ

アケルナー・エリダヌス 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
現地の自警団と入れ替わりでゴブリンへ応戦
仲間と手分けして、囮でのゴブリン誘い出しや牛の誘導、誘い出したゴブリンへの攻撃等を行い、牛への被害も最低限で抑えたい

◆役割
私は、遠巻きにゴブリンを狙う仲間とゴブリンの間に割り込み、リターを構え衝撃享受で攻撃を凌ぎ、仲間の壁役に徹する
囮役や牛、後退中の自警団が狙われそうなら、敵単体ならプチマド、敵が複数ならアクラで牽制して、囮役等から敵の注意を逸らすように動く

敵に押し切られない程度に、敵の注意を引き味方が動きやすいよう動きつつ、敵の数が減り盾役の必要がないようなら、簡易救急箱を使い負傷者の応急処置

応急処置等を見たら、メルティさんもやるべきことを思い出すかも

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
リリンくんの実力を発揮しきれない云々は戦闘中はこの際放置しておく
護衛も付くし大丈夫だろ

というわけで対ゴブリンだが
干し肉をゴブリンにばら撒きながら楽園楽土で『餌が欲しいか…ならくれてやる!』とでも叫びながら基本鎌術、ヒ10を使い手前のゴブリンから切り捨てていく

動作察知で味方と牛、ゴブリンの動きを気にしながら動き味方と牛が攻撃されそうになったら自分の近くなら全力防御でカバーに入る
対象が遠いのならマドで牽制

戦闘後、傷ついた者が居ないかチェック
居るのならリリンくんに手当を頼む
持ってきた簡易救急箱はいざという時の備えにしておく

使えそうな一般技能があれば使っていく

アドリブA 絡み大歓迎

チョウザ・コナミ 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ゴブリン、どこにでもいんよね。
もっかしたら人種より多いくない?わちゃわちゃに詰まってんじゃないの?どっかの洞窟に。

なんでもいーけどね。未だにゴブリン語分かってないし。知らないもんがあるうちはてきとーにぽこしにいこ。
あとついでに牛の首の皮膚触りにいこ。あの皮膚、ふわふわのぽよくない?なんてーの、綿の詰まった皮袋的な感触。

とりまゴブリン仕留めればいーんでしょ?
てきとーに【挑発】して、牛狙うゴブリンをザコちゃん側に寄せてこ。
全然こっち来ないなら【キラキラ石】投げたり、【高級なお肉】見せて気引いてく。
お腹すいてるなら、生きてるの仕留めるよか、死んでる肉なのは方が楽でしょ?持ってるのはへっぽこモブだし。

ナレディ・ディトゥーニャ 個人成績:

獲得経験:52 = 44全体 + 8個別
獲得報酬:1440 = 1200全体 + 240個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■アレイシアと共に牛を退避させる。
アレイシアの指示に沿う形で、【祖流還り】で水牛に戻り牛たちを引率。
【地形学】で魔物が出現しそうな場所を避け、【聞き耳】で警戒をしよう。
牛達を魔物どもの糧にはさせんぞ。
フ、ライオン共と殺し合った日々…故郷を思い出すな。

■ゴブリンとの戦闘
【二連突き/勇者斬り】で攻撃、【ランスステップ/緊急回避】で避ける。
水牛から人形態に戻った後は、我の槍で魔物どもを一匹残らず貫いてやる。
「牛が秘める恐ろしさ、その体に刻むがいい!」

■恐怖
話すのが得意な仲間が多いし、十分彼女に寄り添い鼓舞してやれるだろうが…。
そうだな、仲間の言葉は心強い。拙いながらも我も言を添えるとしよう。

リザルト Result

●あなたは何故戦場にあるのか
「リバイバルが5人か、課題じゃなかなか珍しい光景じゃないか?」
 これまで長年リバイバルとして永らえてきた研究者【クロス・アガツマ】は目の前に並ぶ仲間達の顔を見るや、感慨深げに呟いた。
 その言葉に【アケルナー・エリダヌス】が頷く。何しろ集まった9人のうち5名が肉の身体を持たないのだから。
 だがマイペースを貫く者もいるもので。
「ゴブリン、どこにでもいんよね。もっかしたら人種より多いくない? わちゃわちゃに詰まってんじゃないの? どっかの洞窟にでもさ」
 いつもと変わらぬ独特の気だるさ。そんな【チョウザ・コナミ】を含めた学生達は農場の周辺に到着すると、建物や木陰に隠れて状況を確認した。
 特に抜け目なく事前調査を用いて状況確認した【オルタネイト・グルタメート】はむむ、と唸る。
「この状況はよろしくないでありますな。農場手前には障害物が一切なし。10体のゴブリンが意気揚々としているのに反し、自警団側は明らかに疲弊しているであります。まずは自分が突撃、ゴブリンの意識を散らすであります。その間に攻撃と支援を頼むであります」
 その提案に皆が頷く。それは各々がやるべきことを既に見出しているという証。
 【仁和・貴人】(にわ たかと)は『策は既にある。あとは切り捨てるだけだ』と無機質な仮面を斜に構えた。チョウザに至っては小さく鼻を鳴らす。
「ま、なんでもいーけどね。未だにゴブリン語分かってないし。知らないもんがあるうちはてきとーにぽこして、牛の首の皮膚触りにいこ。あの皮膚、ふわふわのぽよくない? なんてーの、綿の詰まった皮袋的な感触」
 その問いかけにアフリカスイギュウのルネサンスである【ナレディ・ディトゥーニャ】が僅かに肩を竦めて小さく笑う。
 しかし【メルティ・リリン】だけはどうも違うようで、眼前の戦に明らかに怯えている。
 その様子を【アレイシア・ドゥラメトリー】は懸念した。
(リバイバルに限らず、過去に受けた心の傷ってなかなか治らないものでしょうに)
 そこでアレイシアは言葉を選びながらメルティに話しかける。
「月並みな言葉だけど、一人で戦うんじゃないんだから互いの役目は簡単でもいいから把握しておきたいの。あなたは何ができる? あたしはまず牛達を避難させるつもりよ」
「私は復活呪文と祈祷はできるので、治療行為をできればと……」
「そう、それなら支援は頼むわよ。今回は囮ありき、少数での電撃戦で始まるんだから癒し手の力は不可欠。頼りにしてるわ」
 アレイシアは勝気そうな顔をほころばせ、メルティの肩を両手でしっかりと掴んだ。
 そして作戦の相棒であるナレディへ声を掛ける。
「準備できてる? ナレディ」
 するとナレディは真っ先に頑丈そうな石造りの倉庫とその裏に広がる林を指で示した。
「少し遠いがあの倉庫を防壁代わりにし、林に牛を隠そう。あちらに魔物がいるなら既に出現しているはずだが、今のところこれといった物音は聞こえない。その点からも私はあの地点が現状では最良と判断する」
「わかったわ。あの周辺を防衛ラインにしましょう」
 頷きあうアレイシアとナレディは仲間達にハンドサインを送ると、建物や木々の間を縫うように移動を開始。その素早い判断に【レイラ・ユラ】が感嘆のため息を吐いた。
(凄い……皆さん、次々とやるべきことを見つけている)
 実はレイラも本格的な実戦は初めて。不安そうなメルティを横目で見るとずきん、と胸が痛んだ。
(メルティさん、引きこもっていると、外に出るのも怖いですよね。その上初めての戦闘となると……私も初めての討伐なので怖くて怖くて、部屋に帰りたいです。でも私も変わりたい。私と一緒に乗り越えて欲しい……!)
 そう心に決めたレイラは『貴方は一人じゃない、大丈夫です』とメルティに精一杯微笑みかけ、自身に魔力の膜を纏い姿を隠した。
(牛さん達が襲われる前に、例え私が傷ついたとしても!)
 レイラはアレイシアらとは異なる方角から戦場に回り込む。自分の役目は中距離からゴブリンを攻め奴らの動きを攪乱すること、つまりは囮だ。彼女は毒針を華奢な手にしかりと握り、戦場へとひた走った。

●朗々たる宣戦布告、そして密やかに進む戦況
「ふはっはー! 自分は、オルタネイト・グルタメート! いずれ自分は、世界の半分をこの枝豆に染める所存! なぜって自分は秘密結社『えだまめん』の総統でありますから! お子様のおやつに! ビールのお供に! ビバ! 枝豆!」
 オルタネイトはゴブリンのもとに全力で駆けつけるや、その薄い胸を大きく張って声を上げた。
 これは楽園楽土の力を篭めたものであり、彼の有り余る枝豆への情熱が言葉の壁を越えてゴブリン5体の戦意を散漫とさせる。
 ――もっとも自警団員達も彼の唐突な宣言に顔を見合わせたのだが。しかし。
「君は魔法学園の学生さんかい?」
「左様。自分の仲間も既に行動を開始しているであります。もっとも自分はいずれ枝豆を世界に広め、枝豆の魔王となる身。ここトルミンにもいずれ枝豆の美しき緑を広めてみせるのでありますが! その時を楽しみに待っているがいいでありますー!!」
「そ、そうか……助かるよ。うん、枝豆は美味しいもんな。温泉に浸かった後のビールと枝豆は最高だよ……」
 自警団員はオルタネイトにすっかり気圧されたが、やがて状況の変化に気づくとじりじりと後退を始める。
 何しろ牛達が一頭のアフリカスイギュウに導かれて避難を始めたのだから、彼らはそれを護衛しないわけにはいかない。
「どうどう……ほら、大丈夫よ。安全な場所にあなた達を隠してあげるから」
 アレイシアが生物学の知識を活かし、怯える牛の背に乗り優しく誘導する。
 一方で牛の先頭をきるスイギュウの正体は祖流還りしたナレディだ。彼女はゲートを押し開けると牛達に先へ進むよう鼻を振る。
(あともう少しだ。牛達を魔物どもの糧にはさせんぞ。フ、ライオン共と殺し合った日々……故郷を思い出すな)
 その様子を目に留めたゴブリンが仲間達に大声で叫ぶ。すると貴人が腰の袋から千切った干し肉を鷲掴みにした。
「餌が欲しいか。……ならくれてやる!」
 声に篭った楽園楽土の影響もありゴブリン達は険しい顔で反応するも、途端に広がる匂いに顔をにんまり緩ませた。
 同時にチョウザもトルミン牛の骨付き肉を振り上げ、ゴブリンを挑発する。
「ゴブリンちゃーん、ここに丁度いいザコちゃんが美味しいお肉を持ってんよー。お腹すいてるなら、生きてるの仕留めるよか、死んでる肉の方が楽でしょ? 持ってるのはへっぽこモブだしさー」
 へらっと笑うチョウザ。そこで彼らから肉を奪おうと我先にと8体のゴブリンが飛び跳ねた瞬間、クロスが『ふむ』と息を吐く。
「君らは餌をくれるのなら相手が何者であろうとだらしない顔をするのか。どうした、ここに獲物を逃がした元凶がいるぞ? ああ、言葉が通じないのか」
 彼の顔には惨めな弱者を憐れむような不遜な笑みが浮かんでいた。そして小石を拾うとあえていたわるような手つきでゴブリンに投げつける。
「……もしかして餌よりもこの方が判りやすいかい?」
 こつんと石が額に当たったゴブリンはその意味に気づいたのだろう。奇声を上げるとクロスに向かって駆けだした。
 しかしその勢いはアケルナーが構えた大盾によって消失した。白く美しい盾が衝撃享受の力を宿し、ゴブリンの攻撃を弾いたのだ。
「好きにはさせんよ、君達のように野放図に命を喰らう者にはね」
 仮面の奥の瞳が強い光を宿す。するとこれまで執拗に牛を狙っていた残りの2体もアケルナーに敵意を見せ始めた。
(牛達が逃げ切るまで何としても耐えてみせる。それが私の、守り手としての矜持だ)
 再び盾を構え直すアケルナー。その姿にメルティの胸は大きく高鳴った。
「守るための戦い……逃げるだけじゃなくて、誰かの命を守るために?」
 その時、我を取り戻したゴブリンがメルティに棍棒を振りかざした。だが彼女が頭を両腕で庇った瞬間、ぶるりと体を震わせる。
「メルティさん、そうですよ。私だって……皆さんを守ってみせますから」
 それまで沈黙影縫で姿を隠していたレイラが毒針をゴブリンの背に深々と突き刺したのだ。
 猛毒を喰らったゴブリンが苦しみ足掻くも、間を置かずにクロスがプチダードを詠唱。魔導書から放たれた闇の球がその命を絶つ。
「俺達には連携という概念がある。君達にはそれができるのだろうか?」
「そういうのはできないっしょ。餌で我を忘れる連中だもん。ま、ザコちゃんはザコらしく振る舞うとしますかね」
 チョウザは戦に巻き込まれた哀れな村人を演じ、肉を持ったまま右往左往する。
 その様子にゴブリン達は『これなら突破できる』とでも考えたのか、彼女に真っ先に襲い掛かった。
 だが。
「ただの村人も業を極めれば相応の腕になるのよねー」
 チョウザが炸裂の種を投げつけ、ゴブリンを激しい爆撃の餌食にする。一瞬にして傷だらけになった2体のゴブリンがうめき声を上げる中、貴人が大鎌を振るった。
(リリンくんには護衛がいる、後回しでいい。それよりも……ゴブリン達の敵意がこちらに向かっているのは好都合。難しいことを考えず、傍にいる者から斬ればいいからな)
 ざくり。大鎌が倒れたゴブリンの首を裂く。その様にメルティがへたりこむ様を彼ははっきりと目にした。
(っ、敵の血さえも駄目なのか!?)
 仮面の奥で唇を噛んだ貴人はオルタネイトへ視線を送った。するとそれまで熱心に演説を行っていたオルタネイトが言葉を区切り、すぐさまメルティの傍へ駆け寄る。
「リリン殿と自分は同じリバイバル。困っているなら、手を貸すであります! 怖くても、自分たちが一緒であります」
「ありがとうございます。……そうですよね、ヒトを救う道を選んだのなら頑張らなくちゃ」
 その言葉にオルタネイトは大きく頷くとメルティに手を差し伸べる。今は問題なさそうだ。
 そこでアケルナーが今が攻め時とプチマドを放ち、ゴブリンを魔力で圧した。その間にクロスが問う。
「アケルナー君、残りは何体だ」
「負傷した者を含め、8体」
「それならこのままこちらに引きつけつつ、一気に叩くか。メルティ君の気が確かなうちに蹴りをつける」
 彼は敵を誘導するべくしたたかに足を運び始めた。全ての存在を守るために。
 その頃、アレイシアとナレディは林に牛達を全て誘導したのを確認し、戦場へとひた走っていた。
「皆、頑張ってくれているようね」
「うむ。それだけに無事であると良いのだが……ん、2体ほど来たぞ。状況を不利とみたか?」
 ヒトの姿に戻ったナレディは群れから離れたゴブリンを見つけると槍を構えて突進した。
「牛が秘める恐ろしさ、その体に刻むがいい!」
 轟、と槍が疾風の如くゴブリンの体を2度突き破る。血反吐を吐きながら崩れるゴブリンにアレイシアが銃で魔力の弾丸を見舞うと、奴はぴくりとも動かなくなった。
 だが残ったもう1体は血が頭にのぼったのか、恐れることなくナレディに向けて剣を振るう。とはいえその軌道はごく単純なもの。ナレディは槍の柄で剣先を弾き、驚くゴブリンに向けてこう言い放った。
「怖いか、己より力あるものの存在に。それは誰しもが同じ。……ただ、お前達は常にそれを『やり過ぎる』。だから私はお前達と刃を交わすのだ」

●痛み、そして終焉
「ほらほら、こちらでありますよ。存分にモノを食したいなら自分達を倒し、存分に暴れるでありますっ!」
 オルタネイトはメルティを庇うように意識しながら大鎌を振るい、ゴブリンを薙ぎ倒した。
 しかし多勢を相手取るということはそれだけ危険性も高い。彼が鎌を振り下ろした瞬間を狙いゴブリンが斧を払った瞬間、アケルナーが己が身を盾に彼を突き飛ばした。
「アケルナーさんっ!」
「大丈夫だ、リリン君。私とてこれぐらいの傷……ぐっ」
 どうやらアケルナーは足を痛めたらしい。
 血の滲む太腿を押さえる彼女にメルティは駆け寄るも、その顔をかたく強張らせた。
 ――ワタシハイッタイ、ナニヲスレバイイノ?
 だがそんな彼女の手を優しく握る者がいた。レイラだ。
 今まで支援攻撃に集中していた彼女が姿を現わしたのは心を閉ざしていた者同士、共に前に進みたいと思ったから。
「私は貴方と同じ引きこもりで、今日が初めての討伐。本当はとても怖かったんです。……でも誰も傷ついてほしくなんてないから」
 儚げな美貌に優しい笑みを添えて。その励ましにメルティは頷き、癒しの祈りを捧げた。
 するとアケルナーの傷がみるみるうちに塞がっていく。
「どうやら一線を越えられたようだね。ありがとう、メルティ君」
 アケルナーはそう言うと再び盾を力強く掴んだ。
 その時、貴人が『さあ、おやすみなさいの時間だ』と宣告し、干し肉に引き寄せられたゴブリンを鋭い刃で真っ二つに斬り裂く。
 同時に仲間達と合流したナレディが二連撃でゴブリンを貫くや、アレイシアが冷静に銃を構え相手の胸を撃ち抜いた。倒れるゴブリンを前にアレイシアはメルティに語り掛ける。
「あたしにとって怖いことなんて、姉さんがいなくなることぐらいよ。……あなたにも大切な人が現れたらきっと変われる。守るための強さを手に入れられるから」
 一方、残りの4体のゴブリンは明らかに不利な状況に関わらず、大鎌を構えたオルタネイトへ次々と攻撃を繰り出した。
「っと。こんなこともあろうかとでありますっ!」
 彼は傷を負いながらも生気喪失で敵の動きを鈍らせる。
 その行動は軍人の矜持か、魔王を目指すゆえの野心に支えられたものか。
 いずれにせよ、これで状況は整った。
「さて、行こうか……皆?」
「了解した。殲滅戦と行こう」
 クロスが自然友愛で愛らしい精霊を呼び出し、マドガトルを詠唱。純粋なエネルギーの球がゴブリンの体を呆気なく破砕した。
 同時にアケルナーもアクラを詠唱、ゴブリンを魔力と水の奔流に呑み込ませる。
 そしてチョウザが『ザコちゃんはただの村人なんだけどねぇ。でも出会ったのが運の尽き』と告げ、六角棒を豪快に最後の1体の頭に叩きつけると――全てが終わった。

●祝福
 牛達が全頭無事に帰還する中、メルティはオルタネイトの傷を祈祷で治療した。
「なかなかの腕でありますな。すうっと痛みが消えていったであります」
 感謝と共に小袋から自慢の枝豆を取り出し、皆に気前よく振る舞うオルタネイト。
 クロスはそれを『ありがとう』と受け取ると、腰を落としてメルティに目線を合わせた。
「悪いが俺は君を慰めることはできない。だからこそ君に訊きたい。どうして学園をやめないんだい?」
「え?」
「簡単なことだ、嫌なら『退学』すればいい。このまま居たって無意味なのは自分でもわかる筈だ。……今一度問おう、君は何故フトゥールム・スクエアにいる?」
 突然かけられた厳しい言葉。しかしメルティは逃げずに懸命に考え込むと、拙くも想いを吐き出した。
「私と同じ思いをする人がいなくなるように、です。魂がこの世界に残ったのは、今度こそ自分の力で願いを叶えなさいって助けられたと、思うから……」
「……そうか、よかった、君自身の言葉が聞きたかったんだ。君の学業の成績が優秀なのは知っている。でもそれだって紛れもなく、今まで君が頑張ってきたからこそだろう? その努力を、俺は微塵も疑ったりはしない。君のその想い、俺は信じるよ」
 この時クロスが見せたあたたかい笑顔と言葉。メルティは安堵の涙をいくつも落とした。
 続いてアレイシアがメルティと向き合う。
「本来あなたのソレは、今すぐに解決できるものじゃない。第一、恐怖は恥じゃない。生存本能が恥であってたまりますか。……今すぐにはできないことを、無理に成し遂げようとするから、無理がでるのよ。いい? 他人は他人、自分は自分。それを忘れないで」
「自分なりの、歩み方?」
「そう。……とりあえず、今日はありがとう。あなたのおかげで助かった」
 メルティはその言葉に心が大きく揺れた。今日は初めてのことばかりだ。戦は勿論、誰かに必要とされて感謝されたことも。
 ナレディは枝豆を口に含み、逡巡してから言葉を紡ぐ。
「心に深く刻まれた恐怖というのは克服しがたいものがあろう。我だってそうだ、今回の様に牛は常に捕食される側だからな」
「ナレディさんも?」
「ああ。気性の荒い我々でさえ、捕食者と対峙する時は『死にたくない』と脚がすくむ。しかし、その恐怖は言い換えれば『生きたい』という願いなのだ。だから、我は武器を手に取り捕食者を屠る。願いを勝ち取る為に」
 常に勇猛果敢に戦うナレディだが、それは生き抜くための覚悟があるからこそ。メルティはかつての自分に欠けていたものが見つかった気がした。
「メルティの恐怖の源がどこから来ているのか、よくよく考えるんだ。漠然とした恐怖を形ある願いに昇華出来た時、お前は困難に立ち向かう為の力を得るはずだから」
 一方、貴人は『リリンくん、君には夢があるかね?』と静かに尋ねた。
「夢……ですか? それはまだ……具体的には」
「それなら自分のためにも夢を持て。オレはいずれは魔王となり皆が安寧に暮らせる世を築く。その協力者のためなら血を流すのも吝かではないとさえ考えているのだよ」
 もっともこれは彼の野心の『綺麗な部分』のみなのだが、純朴なメルティにはとても魅力的に響いたようだ。
「あの、私にできることがあったら……皆が幸せになるのなら私、精一杯お手伝いしますっ」
 その申し出に貴人はにんまりと笑う。激チョロ配下ひとりゲット。野望に一歩近づいたと思わず拳を強く握った。
 と、その時――チョウザが牛の首を撫でつつ、ご満悦な顔で大きな袋を担いでくる。
「うーん、やっぱこの感覚イイよねー。あ、ところでゴブリン素材は持って帰っけど。ゆるされ案件でしょ?」
 どうやら彼女は抜け目なくゴブリンの遺骸から素材を集めていたらしい。
 そのしたたかな村人魂にレイラとメルティは笑い合うと、互いの虚ろな手を優しく重ねあった。はじめての、友達に。



課題評価
課題経験:44
課題報酬:1200
怯える幽霊少女と飢えた鬼達
執筆:ことね桃 GM


《怯える幽霊少女と飢えた鬼達》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 1) 2020-07-13 00:53:51
リバイバルがピンチなら駆けつけなければならぬ気がした!!
自分こそが、枝豆を愛するリバイバル、オルタネイトであります!!

…と言ってみたもののまだ誰も来てないでありますな。
とりあえず、散漫付与でも目指すでありますかねぇ〜

しかし、血を見るとダメとは…どうしたものでありますかね…

《新入生》 レイラ・ユラ (No 2) 2020-07-13 10:35:47
黒幕・暗躍コースのレイラ・ユラです。
よろしくお願いしますね。

どうにも他人事とは思えません…。
そしてゴブリンから牛さんを守りたいです。

しかし、メルティさんが血を見てしまうとダメなのですね…。
棍棒打撃は受けてもセーフだけど刃物で切られたらアウトな予感。
でしたら、刃物を持ったゴブリンから優先的に処理して行く方か良いかもしれませんね。
散漫付与の後、弓などの遠距離で倒して行けばゴブリンの血も回避できるでしょうか。

《ゆう×ドラ》 アレイシア・ドゥラメトリー (No 3) 2020-07-13 21:16:33
村人・従者コースのアレイシアです
よろしくお願いします、せ………あぁ、あたしがもう先輩になるのね
時期としてはほぼ二期みたいなものだから…同期だとでも思ってくれれば、あたしも気が楽

血液がダメ、というけど何処までダメなのかしらね
遠距離手段は持ち合わせてないみたいだし、魔法で遠くから攻撃すれば、とりあえずあたし達が血を出す事態はある程度避けれると思う
…そういえば、いまのところ全員リバイバルなのね
それなら万が一刃物持ちに接近されても【物質透過】で避ける事はできそう

…正直、そういうのって、無理に克服できるものじゃないでしょ?
あたしは逆に苦手なものがないから、彼女の気持ちを真に理解することは難しいけど
まぁ、話くらいは聞いてあげたいかな

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 4) 2020-07-13 23:14:36
リバイバルの賢者・導師コースのクロス・アガツマだ。
またリバイバルなわけだが……概要を見る限り放ってはおけなくてね、よろしく頼む。

血を流さないに越したことはないが、そうなってしまった場合にどうケアするかも大事かもしれない。
俺はとりあえず話を聞いて説得してみよう。課題としては今を乗り切ればいいが、彼女のその後も心配だからね。
戦闘では、プチダードとマドガトルで中距離から攻撃する予定だ。あまり遠いと牛を狙いに行ってしまうかなと。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 5) 2020-07-14 08:43:02
やあ。私は勇者・英雄コースのアケルナー。よろしく頼むよ。
今回は農場を襲ってるゴブリンの群れの退治だね。

数が10体で飛び道具はなし。
現状は自警団が食い止めてるから、到着次第彼らと入れ替わって交代する感じのようだけど……牛が結構多いね。
ゴブリンが各々最寄りの牛に向かう状況は避けたい。

そうなると、こちらも戦力を割く必要があるし、牛への被害も避けられない可能性が上がるからね。

>流血
腕利きの先輩方ならまだしも、私も3月入学で日が浅いから、流血自体を避けるのはかなり困難だと思うし、メルティさんもこのまま学園で活動するなら……流血は避けて通れないよ。
流血自体の回避よりも、流血の際のフォローも考えておいた方がいいんじゃないかな。

私も考えてみるよ。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 6) 2020-07-14 11:04:47
魔王・覇王コースの仁和だ。

不確定要素があるから確実とは言えないがゴブリンに対して挑発を使用したりするなどの囮役を用意して他の被害を抑える様にすること位しか思い浮かばないな・・・
勿論、遠距離からの迅速な攻撃は有効だと思うが。

流血に関してはエリダヌスくんが言うようにフォローの方向性で対処するのに一票だ
・・・なんだったら戦闘後に少しだけなら血を流すのも吝かではないな。
克服には慣れが必要だとも思うしな。

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 7) 2020-07-15 00:35:07
おっとっと、枝豆栽培中に人がどばばっと増えてるであります!!
皆さんよろしくでありますよ〜

そうしたら、散漫付与よりすばやさ下げで一気に叩いた方が早いでありますかね?
散漫で良ければ突貫して、口上述べて来るでありますよ。
度肝抜いてやるであります。

流血についてはフォローに自分も賛成であります。
自分の所持武器、鎌なので流血なしは割とつらたんであります…

《新入生》 レイラ・ユラ (No 8) 2020-07-15 01:23:48
ありがとうございます。皆さんのお話、とても勉強になります…。

ゴブリンの数より牛の数が多いのが少し気になります。
そうなると仁和さんがおっしゃるように囮は有効かと。
囮を用意しつつ、遠距離で数を減らすというのはいかがでしょうか?
その際囮役に立候補したいです。緊急回避もありますし。

要の流血についてですが、色んなパターンを考えてみた結果、フォローに賛成です。
メルティさんが動揺して力を発揮できないようなら、傍にいて声をかけたり、少しでも何かしてあげられたらいいなと。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 9) 2020-07-15 08:51:03
>牛
15頭と多いから、ゴブリンを食い止めつつ牛を誘導して一ヶ所に集めたりできれば、牛を集めた後は牛を狙うゴブリンを倒していけばいいし、少しは楽になりそうではあるよね。

そのためにも、囮は有効かもしれないね。

《ゆう×ドラ》 アレイシア・ドゥラメトリー (No 10) 2020-07-15 20:29:53
いつの間にか満員になってたのね、他の皆さんもよろしくお願いします

>牛
牛って、確か集団行動する生き物だったような…
ある程度の数を誘導できれば、残りの牛も着いてきてくれると思う
そうね、時間稼ぎにも囮は必要だし

あ、そうだ。あたしが牛の誘導しましょうか?
げんき有り余ってたので、取り急ぎ必要そうな技能は習得してきましたし

>メルティさん
…あぁそうか、今だけ我慢できても意味がないわね
フォローに関してはあたしも異論なしです
……まぁ、あたしはさっきも言いましたけど
具体的な解決策はちょっと思いつかないので、彼女の話聞くぐらいですね

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 11) 2020-07-16 06:37:58
>メルティさん
そうだね……彼女は聖職見習いだよね。
同じ専攻コースの人がお手本で動ければ、素質があるなら体が自然に動くかもとも思ったけど、今回は彼女と同じ専攻コースの人は居ないようだね。

まあ、教祖・聖職コースの人以外でも、応急処置や回復魔法は使えないこともない。
私も一人旅に備えて、応急処置の心得はあるから、応戦中は難しいけど事後の手当の対応をしておくよ。

そうすれば、彼女も今やるべきことを思い出して、体が覚えてることをやれるかもしれないしね。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 12) 2020-07-16 08:12:32
>分担
今回は遠巻きに敵を狙う人や囮役の希望が多そうかな?
じゃあ、私は両手盾を用意して、今回は壁役で動こうか。

そうすれば、囮役のカバーや遠距離攻撃役の盾になれるだろうし。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 13) 2020-07-16 23:45:08
まとめてになってしまうが、合流した他の方もよろしく頼む。生気が増えて何よりだ。
では俺は挑発を駆使して牛を逃がす時間を稼いでみよう。その後、囮として引き付けながら立ち回ってみるよ。
そしてオルタネイト君は散漫付与で大丈夫だと俺は思う。使うタイミングはやはり遭遇時だろうか?散漫になっている方が挑発等もより効果的に働くかもしれない。
それから、頃合いを見てメルティ君と会話を試みてみるよ、うまく説得できるといいんだが。

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 14) 2020-07-17 00:06:28
ドゥラメトリー殿、ユラ殿は囮役を、エリダヌス殿は壁役よろしくお願いするであります。
アガツマ殿は散漫への返事ありがとうであります。
では、自分は、初手で散漫付与。
牛に1番近いゴブリンから通常攻撃をドンドコやっていくであります。

《新入生》 ナレディ・ディトゥーニャ (No 15) 2020-07-17 10:54:41
会議に参加出来なくてすまない。

流血のフォロー、理解した。
我も月並みの言葉しか話せないだろうが、助言できればと思う。

牛の誘導なら、同じ牛である我が一緒にやれば成功率は上がるとは思うが、アレイシアが単独でも大丈夫というのであれば一任しよう。

戦闘に関しては、近接で挑む形になるだろう。
打ち漏らしたゴブリンを貫いてやる。

《新入生》 ナレディ・ディトゥーニャ (No 16) 2020-07-17 10:58:16
…あと、30秒だけしかないが、牛を避難させる過程で祖流還りをして、単独になりゴブリンを引き付けてもいい。
肉食は群れから外れた得物を狙うからな。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 17) 2020-07-17 17:06:42
ふむ・・・
ならオレもグルタメートくんと同じく初手で散漫付与を狙ってみよう。
そのまま接近戦に行くのも同じだな。

・・・なんにせよ、大きな犠牲が出ないとよいな。

《ゆう×ドラ》 アレイシア・ドゥラメトリー (No 18) 2020-07-17 19:27:27
>ナレディさん
良ければお願いしてもいいですか?知識だけで、実際の現場でうまくやれるかはあたしも不安だったので
一緒に誘導していただけると心強いです

誘導が終わったらすぐに戻って、あたしも戦闘に加わりますね

《新入生》 ナレディ・ディトゥーニャ (No 19) 2020-07-17 22:59:30
>アレイシア
了解した!アシストしよう。
牛の強みを活かしてやろう。

《枝豆軍人》 オルタネイト・グルタメート (No 20) 2020-07-17 23:13:10
仁和殿も散漫付与いっちゃうでありますか?
では、仲良く、ゴブリンたちの度肝をぬいてやるでありますよ!

枝豆に誓って、頑張るであります!