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芋掘りと子供たち


ストーリー Story

●美味しい芋を堀りに行こう
 秋は食べ物の季節である。美味しいものは心が幸せになるものだ。
 フトゥールム・スクエアから少し歩いた場所にある原っぱ。そこには自然に出来た芋の群生地がある。
 そこにある芋はとても美味しく、焼き芋にすれば甘くて頬が落ちてしまうほどだという……。だがその美味しさは掘り返して数時間しか持たないらしく、運ぶのは限度があった。
 そしてもう一つ、難点があるのだ。芋の群生地の傍にはとある花が咲いている。ここしか咲いていない特別な花だ。その花の花粉には特別な効果があった。
 花粉を吸ったものを数時間子供の姿にしてしまうのだ。なので芋を掘る時は全員子供の姿になってしまう。
 非力な手で芋を掘り、そして焼き芋を作らなければいけない。美味しいものを食べるには、試練が必要なのだろう。

 案内人の【メグル・ヴィオン】は一年に何度かこの芋の群生地を訪れ芋を食べていた。なのでこの美味しさを分けようと魔法学園の生徒たちに声をかけたのだ。
「いやぁ、いつも一人で食べるの寂しいですし、何より子供の姿で掘るのが大変なんですよね! だから君たちに手伝ってもらうのが一番だと思ったんですよ」
 メグルは笑いながらもそう言った。
「焼き芋の用意とか、そういうのも持って行っていただけると嬉しいですね。あ、調味料もあればいいですなぁ、あっはっは」
 荷物持ちも用意も全て学生たちにやらせる気が満々のメグルは明るく言う。いや、しかし美味しいものが食べられるのならそれも必要なことだろう。
 子供の姿になった時の為に服や装備も変えなければいけないかもしれない。たるんたるんの服では芋掘りもうまくできないだろう。
「あぁ、心配なさらず。子供化は芋の群生地を離れたら数時間で元に戻るでしょう。少なくとも次の日には元に戻っていますよ」
 メグルが胸を張り太鼓判を押す。子供の姿でこれからずっと生きていかなくてはいけない、なんてことにはならないようだ。
「君たちもあの芋のおいしさを知ったらきっと病みつきになりますよ!」
 にへへ、とメグルは嬉し気にそう語るのであった。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 7日 出発日 2020-10-15

難易度 とても簡単 報酬 ほんの少し 完成予定 2020-10-25

登場人物 5/8 Characters
《新入生》フランツ・キャンベル
 ドラゴニア Lv12 / 村人・従者 Rank 1
■容姿■ 見た目:気だるげな中年男性(脱ぐとムキムキ) 髪:銀髪 目:桔梗色 ■口調補正■ 一人称:俺、おいちゃん(主に年下に話すときに使用) 二人称:兄ちゃん、姉ちゃん、名前呼び捨て 語尾:~だぞ。~だわ。 ■性格■ 面倒くさがり 趣味優先 ■趣味■ 道具の製作、修理 ■宝物■ 子どもたちに貰ったお守り 『引き寄せの石』と呼ばれる石を削ったお手製 『どこにいても必ず君を見つける』という意味があるとかないとか。 ■苦手■ 面倒くさいもの ■サンプルセリフ■ 「名前、名前ねぇ…、おいちゃんはフランツ・キャンベルだぞ」 「おいちゃん、めんどくさいことはしたくないんだわ」 「えーはーたーらーきーらーくーなーいー」 「はぁ、しゃーない、ちょっとだけだぞ」 「帰って来れる場所くらい作ってやるよ」
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《新入生》リーゼ・ガルシュタイン
 カルマ Lv12 / 武神・無双 Rank 1
ん~~とね。リーゼはかみさまになるの。だって、パパがいってたんだよ。『おまえは神になるのだ。神となって魔王を打ち倒し、世界を救うのだ』って。 でも、まおうってやつ、もういないんだよね・・・リーゼずっとねてたから・・・みんな、なにもいわないけど、パパも、もういないってわかってる。リーゼにだってそれぐらいわかるよ。 _________________________________________________________ とある廃墟で、培養液に満たされた、巨大な水槽の中で眠り続けていた。建物の腐食が激しく、放置すれば下敷きになってしまうため、学園所属の研究員に保護された。 その廃墟は、魔王事変発生時、忽然と姿を消した、高名な魔導師、ゲオルグ・ガルシュタインの研究所であり、長らく、その所在は不明であった。 資料となりえるものはすべて朽ちてしまっているが、彼が創造したものと推測される。 ”父”の英才教育の賜物か、幼い見た目にかかわらず、知能は高い。だが、経験がなく、精神年齢が低いため、それを十分に生かせないようだ。天真爛漫で、ちょっとわがままな、甘えん坊。駄々をこねだすと大変なことになるが、甘いものをあげれば、すぐ大人しくなる。 『神となって、世界を救う』という意思は強固であり、どんな敵にも物怖じすることはない。 武神コースを選んだのは、武神が何かわからずに聞いたら、武術の神様と返答を得たため
《勇往邁進》ツヴァイ・リデル
 カルマ Lv11 / 教祖・聖職 Rank 1
「このコースに来た理由?回復って使えると便利だよ…えっ?うん、それだけ」 「僕は僕のやりたいようにやるだけさ」 容姿 ・黄色のメッシュをいれているショートウェーブ ・釣り目、少しまつげあり ・眼鏡着用、度が入ってるのか入ってないのかは不明 ・魔法陣は右手、もう一つは胸の中央 性格 ・のらりくらりのマイペース、基本的にのほほんとしてる ・穏やかであろうと努めているが、仲間が傷つけられると口調が荒れる傾向がある ・宗教に興味はあまりなく、蘇生の技術に関心を持ってコースを選択している ・ある目的を以て造られたカルマ、使命と願いを守るつもりではいるが、縛られたくはない模様。というより反抗心バリバリ ・一方的に知っている子どもたちがいるらしいが…? 好きなもの 物語、魔術本、こどもたち 趣味 おやつの食べ歩き 一人称:僕、お兄さん 二人称:きみ、激昂時:お前
《ココの大好きな人》アンリ・ミラーヴ
 ルネサンス Lv18 / 教祖・聖職 Rank 1
純種が馬のルネサンス。馬の耳と尻尾を持つ。 身長175cm。体重56kg。 16歳。 性格は温厚。 あまり表情を変えず寡黙。 喋る際は、言葉に短く間を置きながら発していく。 少しのんびりした性格と、言葉を選びながら喋るため。 思考や文章は比較的普通に言葉を紡ぐ。 表現が下手なだけで、年相応に感情は豊か。 好奇心も強く、珍しいものを見つけては、つぶらな瞳を輝かせながら眺めている。 群れで暮らす馬の遺伝により、少し寂しがり屋な面もある。 やや天然で、草原出身の世間知らずも合わさって時折、突拍子の無い発言をする。 好きな食べ物はニンジン。 食べていると美味しそうに目を細めて表情を和らげる。 趣味はランニング。運動自体を好む。 武術だけは、傷付ける行為を好まないため苦手。 入学の目的は、生者を癒し死者を慰める力を身に着ける事。

解説 Explan

秋と言えば、芋!

今回していただくことは
●子供の姿になり
●芋掘りをする
●焼き芋をする
です。

【メグル・ヴィオン】
25歳男独身。芋が大好きで毎年芋掘りをしている男。
毎回の荷物持ちや、その手間が学生たちを呼ぶことで、無くなることを期待している。
話しかけたら答えますが、基本は皆のことをお手伝いしていたりしていて描写は特にありません。

【芋】
とても美味しい芋。ほっぺた溶けます。
焼き芋にすると美味しさが倍増します。

【花】
可愛いピンクのお花。
その花粉は吸ったものを子供化させる不思議な力を持っています。
子供(6~7歳)くらいの年齢になります。また思考は子供化しませんが精神が肉体に引っ張られることはあるでしょう。肉体だけ小さくなるので服はそのままです。
また、もともとその年齢の場合の学生たちは花粉の効果が薄くなるらしく、1~2歳ほど身体が幼くなってしまうようです。


作者コメント Comment
こんにちは、笹山ぱんだです。
お芋、美味しいですよね。ということでお芋掘りにいくお話です。
楽しくわいわいお芋を掘れるといいな、と思っています。
宜しくお願いします!


個人成績表 Report
フランツ・キャンベル 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
■心情
芋が食えると聞いて…うまいんだったら、働くしかないよな

■持ち物
子供用の服
調理道具一式

■行動
【汚れ耐性】で汚れを気にせず、ひたすら掘る
珍しくやる気があるのは、おいしいものが食べられるから
「とにかく掘るぞ。話はそれからだ。」

調理方法は、石を温める方式を提案
時間はかかるが、石で焼くほうがおいしいと【説得】
待ち時間でさらに芋を掘ったり、別な料理に挑戦
「焼き芋をおいしくするには、「温度」と「水分」らしい…
低温でじっくりと水分を飛ばすと、甘みが増すらしいぞ。
より一層うまい芋を食いたくないか?お前たち。」

【料理】を使って、芋を調理
無難に焼き芋くらいしかやらない
提案されればやる
「できたぞ。食ってみろ」

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
芋堀りなー・・・
たしかに焼き芋は美味しんだが・・・掘った後寝かせなくても大丈夫か?

・・・まぁ花粉を吸うと子供になる不思議植物らしいし寝かせなくても大丈夫かもだが

・・・これ芋自体もだけど、花粉の方が価値ありそうじゃないか?
妙齢の女性に

若く見られたいと思う女性はいっぱいいそうだしな―・・・
ロリバ〇ァ量産・・・恐ろしいことになりそうだな

馬鹿なこと考えてないで芋掘ってその芋使って色々作ろうか。
大学芋とかスイートポテトとか・・・
蒸しパンなんて言うのも美味しそうだよな

・・・花粉採取しておこうか?
小遣い稼ぎだったりジョークグッツとして優秀だろうからな

アドリブA 絡み大歓迎

リーゼ・ガルシュタイン 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
リーゼ、やきいもだいすきーがんばる!
おいもはこのつるっていうやつをひっぱると、とれるんだよね。リーゼしってる

リーゼおみやげにい~~~~っぱい!やきいももってかえるんだ。だから、おっきいかばんもってきたよ。

あ、でも、やきいもってどうやってつくるのかな~?どらごにあのねーねは、おくちから、ぼぉ~~ってひをふいて、つくってくれたけど、あれ、リーゼできないんだよね。あの、メグルってにーににおねがいしたらいいのかなぁ?うん、そうしよっと。

ちいさくなれるおはなかぁ・・ここにしかないんだよね?もちかえってもだめなのかな?
おうちでさかせられたら、いつでもちいさくなれて、たのしそうなのになぁ

アドリブA

ツヴァイ・リデル 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
秋と言えば焼き芋なんでしょ?
わぁ、僕楽しみ!

・目的
みんなで芋ほりを頑張る(建前)
美味しい焼き芋たべたい(本音)

・準備
調味料もとい自分が食べたいのではちみつ持参
浴衣をサイズが調整できるように

・行動
つけば周りの仲間と協力して芋ほり
土は適度に落とします
芋が集まれば葉っぱを集めて【プチヒド】で火をつける
火がついた後は適度に様子を見ながら春一番で風を静かに送る
大丈夫大丈夫、消さないって!

ちっさくなったら浴衣の丈を頑張って調節 そこ、ぐるぐる巻きとか言わない
うわなにこれ視界が低い、狭い!手も小さい!
あっはははは!へぇーカルマでも効果あるんだ、おもしろーい

焼き芋ができたら持参したはちみつをかけて食べる

アンリ・ミラーヴ 個人成績:

獲得経験:16 = 13全体 + 3個別
獲得報酬:432 = 360全体 + 72個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
お芋掘り、がんばる。
美味しいお芋食べたい。
子供になるお花も興味ある。
メグルさんの荷物も、手に持って一部運んでいく。
お芋を教えてくれたお礼。

子供の姿になったら、カバンで持ってきた、子供服に着替える。

お芋掘りは初めて。本で調べてきた。

白い麻手袋をはめて、まず蔦を切る。
小さく残して、石の手鎌で切っていく。
ごめんね。また元気に伸びてね。

次に掘りやすいよう、スコップで土を耕す。
お芋を刺して傷つけないよう、気を付けながら。
体も小さくなって、力が減って疲れる。
でも美味しいもの、食べるため。

お芋出てきたら、周りの土をスコップと手で掘って、引き抜く。

お芋の食べ方、メグルさんに質問する。
調理器具、あるから手伝う。

リザルト Result

●快晴
 空は晴天、良い芋掘り日和である。学生5人と案内人【メグル・ヴィオン】は目当ての芋畑を目指して歩き出した。
「いやあ、荷物まで持ってくださるとは有り難い!」
 芋掘り道具一式を学生たちに持ってもらったメグルは嬉し気に笑った。
「お芋を教えてくれたお礼だ」
 銀の髪を持つ馬のルネサンス【アンリ・ミラーヴ】がメグルの言葉に頷く。
(美味しいお芋食べたい)
 メグルが推す芋のおいしさとは、どんなものなのだろうか。わくわく。楽しみな気持ちを胸に秘め歩く。
「芋が食えると聞いて……うまいんだったら、働くしかないよな」
 いつもはあまりやる気を見せない【フランツ・キャンベル】も今回ばかりはやる気を見せる。それは美味しいものが食べられるからだ。
「リーゼ、やきいもだいすきーがんばる!」
 【リーゼ・ガルシュタイン】も手を挙げてやる気を示した。『どらごにあのねーね』に同行を持ち掛けられたが『ひとりでできるよ』と断ったので頑張らなければいけない。えいえいおー!
「秋と言えば焼き芋なんでしょ? 僕も楽しみ!」
 秋の美味しい味覚を食べられるのなら選択肢は頑張るの一つだけである。【ツヴァイ・リデル】も楽し気に笑う。荷物の片隅にあるはちみつも楽しみの一つだ。
「たしかに焼き芋は美味しいんだが……掘った後寝かせなくても大丈夫か?」
 【仁和・貴人】も芋掘りを楽しみにしつつ、首を傾げる。その言葉にメグルは頷いた。
「寝かせたら美味しい芋もありますね! でも今回採るのはしなくて大丈夫なんですよー」
 ふふふふ、楽しみですね!とメグルは笑うのだった。

 花の香りがする。6人の鼻がそう感じ取った時だった。
「あ、そろそろですねぇ」
 メグルが芋畑の方を指さす。そこには大きな芋畑が広がっていた。そして隣には可愛らしい花が広がる花畑もあった。
 変化は既に、始まっていた。最初に気付いたのはリーゼだ。
「わ、わー! ちいさくなったー!」
 巨大だが、幼い彼女の外見はそれよりも少し幼くなる。ふにふにの手のひらを広げては閉じて、畑の方へと走った。
「……これ芋自体もだけど、花粉の方が価値ありそうじゃないか?」
 貴人が自分の幼い容姿に気付けばそう呟く。頭が小さくなったせいで顔を覆う仮面が取れそうになり慌てて付けなおした。
 妙齢の女性にこの花の花粉、人気になるのでは?との疑問に子供化していたメグルは苦笑をする。
「いやはや、ですがねぇ、気候があってるのかこの花もここでしか咲かなくて量産も出来ないんですよー。なんでこの姿になるのかも解明出来てないですしね!」
 花粉のどのような成分で身体が子供化するのか、その疑問が解明されなければ商品化も出来ないだろう。
「若く見られたいと思う女性はいっぱいいそうだけど……」
 ロリなご婦人方が量産されることは無いようだ。恐ろしいことにならなくて良かった。歩き出せば子供化した身体に合わない服はずるりとずれ、足で踏んづけた。
「うわっ」
 べしゃりと顔面から地面にダイブをするが柔らかい草が身体をガードして幸い怪我をしていないが痛いものは痛い。
 身体が幼くなっているせいか涙腺が緩んでいる、仮面の下で零れ落ちそうになる涙を堪えて立ち上がった。
「大丈夫?」
 小さくなったツヴァイが首を傾げ貴人の様子を眺める。ツヴァイの服は浴衣で、小さくなった体に巻きつけ調節をしている。
「……大丈夫。……ぐるぐる巻きだな」
「そこ、それは言わないお約束!」
 ツヴァイは作られた当初から成人している姿なので、幼い姿になるのは初めてだった。改めて自分の手や足、身体を見下ろしてみる。
「うわ、なにこれ視界が低い、狭い! 手も小さい! あっはははは! へぇーカルマでも効果あるんだ、おもしろーい」
 花の花粉がどうして魔生族――カルマでも効果があるのかは謎である。だが効果があるのは事実だ。歩く一歩が小さく、歩きにくい。これでは力もあまり出せないかもしれない。
 微笑みを湛えながらも内心では、
(うわぁクッソ不便)
 と思っているのだった。
「すごいぞお前たち、腰が、腰が痛くないんだぞ!」
 そう言葉に出したのはフランツである。いつも自分の腰の爆弾に泣いていたフランツは子供の身体になり痛みが無くなった。
 その事に思わず皆に伝えたのだった。持ってきた子供用の服一式に着替え、さらにやる気を見せると畑へと歩いていった。
 テカったローブで身体を包み子供の服に着替えたアンリは畑につくと白い麻手袋を付けて幼い時の自分を思い出す。
 小さい頃から村で農作業を手伝っていたときのことを。人参は掘ったことがあったが芋を掘ることは初めてだ。楽しみな気持ちを抑えながら畑へと走っていった。

「……とにかく掘るぞ、話はそれからだ」
 フランツは手袋を嵌め、芋掘りを頑張るのだ。美味しい芋を食べるためには沢山取らなければいけない。汚れを気にせず、ひたすら、ひたすら掘る。
「えーい!」
 リーゼは知っていた。蔓を引っ張れば芋が取れるのだ、と。ぎゅうう、と引っ張れば土の中から芋が引きずりだされていく!
「ほれた! リーゼすごい? すごい?」
「あぁ、凄い。……ん、なんだ、遊んでるのか」
 芋掘りしていた貴人は芋畑の周りをくるくる走ってるアンリを見てふらりと寄っていく。
「一緒に遊ぶ?」
 貴人を見たアンリは首を傾げ聞いてみれば、こくりと頷く姿。
(このくらいの年齢の俺は、どうだったろう)
 アンリは思わずそう思った。こうして友達と一緒に走っていた気がする。
 アンリが走ると貴人も走る、それに気付いたリーゼは芋掘りをしている手を振る。
「たのしい? リーゼもあそびたい!」
 あれ? でも遊んだらどらごにあのねーねに怒られる?難しい顔をする。
「少しだけなら、大丈夫じゃないか」
 リーゼの零した言葉に気付いたアンリはそう言って誘う。誘われれば遊ばない理由は無い。
 ぴょんっと飛び跳ね畑の周りをぐるぐる駆け回り、遊ぶ。
「……楽しい」
(友達と、弟もいたんだ)
 ふと、アンリは思い浮かべる。自分がこのくらいの身体の時に亡くなった弟の姿を。
 
 楽しいことに身体が引きずられるのはしょうがないことだ。貴人は畑の周りを走り回りながらそう思う。
 だって今の貴人は子供だから。目的が変わるのは仕方ない、仕方ない。……少し、恥ずかしいけれど。
「……そうだ、お芋、掘るんだった」
 目的を思い出したアンリの一言に3人は再び芋掘りへと身を投じるのだった。
 次に掘りやすいように掘った後はスコップで土を耕した。芋に差して傷つけないように気を付けながら。
 子供の姿となり力が減って疲れても、美味しいものを食べる為。頑張って芋を掘るのだ。
「楽しそうだったね」
 遊んでいた様子を見ていたツヴァイはそう呟きながらも掘られて姿を見せた芋たちの土を払い綺麗な状態へとしていた。
 水はメグルの荷物の中にあったのでこれで美味しく食べれるように変身させていく。
 そうして皆で掘った芋たちは山の様に積まれていくのだった。

 フランツは提案した、美味しく芋を焼く方法を。
「焼き芋をおいしくするには、『温度』と『水分』らしい……低温でじっくりと水分を飛ばすと、甘みが増すらしいぞ。より一層うまい芋を食いたくないか? お前たち」
 石を温め、その石で芋を焼く石焼き芋だ。落ち葉で焼くより美味しい。フランツはそう言った。
 美味しい芋をさらに美味しく食べれるのならそれを否定する人はここには居なかった。
「良いですねぇ、そうしましょう!」
 メグルがそう言うと、石を拾いに学生たちは歩き出したのだった。メグルは芋番を担った。
 そして大量に集まった小石たちを鍋に入れ芋を乗せる。簡易的に作ったかまどへツヴァイはプチヒドを使い火をつける。火力調整の為、穏やかな風を起こすことができる団扇、春一番を使い風を起こした。
「わ~、ひがきえちゃう!」
 その風に驚いたリーゼが慌てて眉根を下げる。
「大丈夫大丈夫、消さないって!……ほら、火が大きくなったよ」
 かまどの火が強火になったことにリーゼは驚き瞳を瞬かせた。
「ほんとだ! すごーい!」

 芋料理と言えば、何と答える? 焼き芋、ふかし芋、スイートポテト、蒸しパン、芋ご飯……。
 石焼き芋に火を通している時間は何をしよう? そう皆で考える。まだまだ芋は沢山。
 ならばさらに美味しい芋料理を作るのが一番だろう。
「大学芋とかスイートポテトとか……」
 芋料理を考え貴人は首を傾げた。レシピはどうだったろうか。
「おや、おやおや、お菓子を作るのですね、いいでしょう! 内緒のレシピを教えますね!」
 メグルはその横からぴょんっと飛び出て驚かせながらも楽し気に自分の知っているレシピを披露し始めた。

 芋の皮を剥き、適度な大きさに切り分けると焼き芋とは別のかまどに鍋を置き、水を入れ茹でる。柔らかくなったそれをマッシャーで潰していくのだ。
「っと…こうして潰して裏ごしすればいいんだな」
 火の番をしつつ、剥かれた芋を潰しているのはフランツだ。
 メグルは調理器具を色々持ってきていた。何事にも対応できるようしているのだ。食への熱量が大きい。
 茹でて柔らかくなった芋は潰しやすく、また甘い芋の香りを漂わせていた。
 それにツヴァイが持ってきていたはちみつや、生地を固める粉を入れ味を調えた後、形を整える。
「ぺったん、ぺったん。これくらい?」
「うーん、フライパンに乗るくらいの大きさのほうが良いと思うよ」 
 リーゼが作った大きな芋の塊にツヴァイは苦笑し、見本を見せる。手のひらサイズの塊だ。
「むー、むずかしい~、でもおみやげにするんだもん、がんばってつくるよ!」
 持ってきた大きなカバンにたくさん焼き芋と、芋のお菓子を詰めるのだ。リーゼは見本を頼りにぺったん、ぺったん、作った。

 作り上げられた芋の塊はバターの香りを漂わせたフライパンにイン。
 甘い香りに香ばしさがプラスされ、周りに充満させる。
「美味しそうな、におい。……つまみ食いは……」
 子供心を擽らせたアンリはフライパンに乗った芋の塊に手を伸ばしそうになる。
「……オレもしたいけど、駄目だろたぶん」
 そう言った貴人も持ってきていたグラヌーゼ麦を使い、蒸し器を頑張って使いながら蒸しパンを作っていた。
 柔らかく甘い蒸しパン、それはきっと芋の甘みを増し更なる美味しさを引き出してくれるに違いない。
 もちろんどちらもつまみ食いは禁止である。
 
「ちいさくなれるおはな……ここにしかないんだよね? もちかえってもだめなのかな?」 
「持ち帰っても枯れてしまいますねぇ」
 小さくなる花粉を広げる花。リーゼは持ち帰って家で咲かせたい、そう思った。しかしメグルに苦笑と共にそう告げられしゅんとする。
「おうちでさかせられたら、いつでもちいさくなれて、たのしそうなのになぁ」
「……花粉採取しておこうか?」
 ふむ、と首を傾げていた貴人は採取キットを手にそう言った。
「おや、その方法ならもしかしたら持ち帰れるかもしれないね」
 持ち帰ったとして効果が出るかどうかは、メグルにも解りはしなかったが少年たちの楽しみはあまり奪いたくないのは確かなのだ。
「じゃあ採取しとこう。……ガルシュタインくんの分も」
「ほんと? ありがとう~、貴人にーに!」
 リーゼのおみやげを詰め込む予定のカバンに、花の花粉も追加された。

「できたぞ。食ってみろ」
 石焼き芋が完成し、フランツは皆に一つずつ差し出した。もちろん持ち帰る用にまだまだたくさん残っている。
 皆が一斉に芋にかじりつく。熱い。しかし一口かじれば口の中に広がるのは芋の甘み。それもガツン、と脳に響くような忘れられないような甘み。
「美味くできたな」 
 フランツは満足げに頷き石焼き芋を齧る。二口目、三口目、食べても衰えることない甘さが口の中を包み込む。
 柔らかく口の中でとろける芋は正しくこれまでで一番おいしい焼き芋だった。
 そんな甘い芋にはちみつをかけるのはツヴァイだ。
「はちみつ、一応そこそこ持ってきたから食べたかったらどーぞ!」
 はちみつをかけることで甘さが増し、風味もまた変わる。味変というのものだ。はちみつも皆で食べたほうがきっと美味しいだろう、とお裾分け。
「リーゼも、かけて!」
「はい、どうぞ」
「ありがとう~! わ、あまーい、おいしい~!」
 まるで口の中が甘みの工場のよう。美味しいの表現をうまく伝えることは出来ないが、その様子と表情で皆に気持ちは伝わっていた。
 
 フライパンで作り上げられていたのはスイートポテトだ。
 焼き芋とはまた違う、ほくほくとした甘みがアンリの口の中に広がる。焼き色を付けたことで香ばしさが増し、それもまた美味しさを倍増させている。
「美味しい……。芋って、こんなに甘いんだ」
 幸せを言葉に込め、スイートポテトをもう一口。そしてツヴァイのはちみつもかけて、もう一口。
「いいね、甘いものがたくさん食べられる……」
 ツヴァイは言った。無限に食べられるかもしれない。いや、無理だけれど。

 貴人の作っていた蒸しパンも完成していた。
「……野外で出来るか不安だったけど、ちゃんと膨らんだな」
 ふんわりと膨らんだ蒸しパンの中にはサイコロ上に切った芋が入っている。
「お、それもうまそうだな」
 フランツの言葉に貴人は蒸しパンを差し出す。
「美味しい。まだ味見してないけど……」
 そう言いつつも二人は蒸しパンに齧りつく。蒸しパンの柔らかくふわりとした触感。その中に転がるのは芋の甘味。
 スイートポテトや焼き芋とはまた違う、柔らかな甘みに頬を綻ばせる。
 作りたてのおいしさは、料理を作った人物しか味わえない最高の贅沢だ。

 持ち帰り用のカバンにそれぞれお土産用の料理を詰め込み、学生たちはフトゥールム・スクエアへ帰る道を歩いた。
 子供の足だが、たくさん食べた事により体力は回復しその足取りは軽やかだった。
 
 それは秋のとある一日のお話。
 美味しい芋を食べた、皆の想い出。



課題評価
課題経験:13
課題報酬:360
芋掘りと子供たち
執筆:笹山ぱんだ GM


《芋掘りと子供たち》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《新入生》 リーゼ・ガルシュタイン (No 1) 2020-10-09 07:20:54
リーゼ、やきいもだいすきー。がんばる!

《新入生》 フランツ・キャンベル (No 2) 2020-10-11 17:01:43
おっと、知らない間に人がいっぱい。
よろしくな。

《ココの大好きな人》 アンリ・ミラーヴ (No 3) 2020-10-12 23:21:16
教祖・聖職コース、アンリ・ミラーヴ。よろしく(尻尾ぶんぶん)
芋掘り。楽しみ。