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【メイルストラムの終焉】Red


ストーリー Story

 汚れた雑巾のような空色、潮風は生ぬるく、饐(す)えたような匂いが混じっている。波打ちぎわは流木や船の残骸などで埋まり、潮溜まりには青白い海洋生物の死骸が浮き沈みしていた。
 ひどく場ちがいな姿が砂を踏んでいた。
 少女だ。歳のほどは十四、五か。切れ長の目にやどるのは透きとおった碧い瞳、鼻梁はまっすぐで唇のかたちも小さくととのっている。長い髪は紫がかったプラチナだ。
 頭頂にはほぼ三角形の、白くピンと尖った一対の耳が見える。白狐のルネサンスなのだ。ただし普通の狐ではない。尾が九本もある。
 服は両肩をさらす真っ赤なドレスである。牡丹が咲き乱れ鶴が舞い、血のような炎とせめぎあっているという異形の図柄だった。針のような高いヒール履きながら颯爽と歩んでいる。
 目当てのものをみつけ、ドレスの少女は浜にかがみこんだ。
「ああナソーグ様!」
 叫んでひろいあげたのは黒真珠のような丸い宝石である。光を飲み干したかのように照り返しがない。
「こんなお姿になられて……! エスメめは涙の海に溺れてしまいそうです……!」
 身をよじり額に手をあて、彼女は半身を弓なりにのけぞらせた。
「エスメラルダ様」
 彼女の背後から呼びかける者があった。
「どうかして?」
 ポーズをくずすことなく彼女は問いかえす。
「悲劇のヒロインを演じられているところまことに恐縮ですが、残念なおしらせがございます」
「早くおっしゃい。この姿勢、とりつづけるのは楽ではなくてよ」
「現在のナソーグ様は、何も見えず聞こえておりませぬ」
 なーんだ、と舌打して【エスメ・アロスティア】は元の姿勢にもどった。
「ナソーグのキモ野郎こんなんなっちまいやんの! ザマーミロだな」
「大変品のあるご発言です。ナソーグ様もさぞ、草葉の陰でお喜びでしょう」
「生きてんだろぉ!?」
「言葉のあやです。驚いていただけたのであれば無上の喜びです」
「おめーのギャグは笑えねえんだよ!」
 九本の尾がそれぞれ別方向にわさわさと動いた。
「持っとけ」
 エスメは背後に宝石――闇の霊玉を投げる。
 受け取ったのは白い手袋をはめた手だ。
 いや、手だろうか。
 手袋は存在する。
 服もある。いわゆる燕尾服、ワイシャツにネクタイも、スラックスも。
 だが手袋と、服の袖のあいだに肉体がない。衣装のみぽっかりと浮いている。しかし服も手袋も内側から膨らんでいた。黒いブーツもそろっている。
 顔もあるが肌は見えない。頭部は溶接工がつかうような鉄仮面だった。後頭部も覆われた逆三角錐にちかい。そしてやはり、首にあたる部分には何もなかった。顔とシャツの間を風が吹き抜けていったところからして、透明人間というわけではなくそもそも肉体がないものと思われた。
 マスクの窓には分厚いガラスがはめこまれているが、くすんでおり中身は見えない。
 マスクにはもうひとつ異常な特徴があった。底部から、象の鼻のような蛇腹状の管が長くのびているのである。尖端には漏斗(ろうと)らしきものが取り付けられている。鼻(?)は浮かんでおり背後に垂らされていた。
 異形の男はエスメにつかえる執事である。名を【スチュワート・ヌル】という。
「スチュワート」
「ご命令を。聡明でお美しいエスメラルダ様」
「霊玉はシュバルツのところへ運べ。仮面は作り直すしかねーだろうな」
「うけたまわりました。聡明でお美しくて尾籠なエスメラルダ様」
「……なんか悪口言ったか」
「滅相もございません」
 真っ赤なドレスをひるがえしエスメは海岸を戻っていく。
 黒い流木も砂も、彼女の赤に汚れひとつつけない。

 ■ ■ ■ 

 重く濃く、肌にねばりつくような霧をかきわけ森をゆく。いよいよ行き止まりかと思った矢先、ぱっと視界がひろがる場所がある。落雷や倒木により、自然発生的に生じた円形の空間だ。
 その一隅には樹齢数百年とおぼしき大木が佇立している。幹に太い縄がかけられていた。鋼を仕込んだ縄だ。幾重にも巻き付けられている。
 大木にひとりの男を縛りつけているのだった。
 男は瀕死だった。髪は伸び放題で髭も同様、身なりもひどい。
「……!」
 男の目に光がやどった。
 マジかよ、と男――【ルガル・ラッセル】はつぶやく。
 衝動がやんだのだ。彼の内側からルガルを責めたてつづけた破壊と怒りの呪いが。
 ルガルは足元に目を落とす。
 仮面の残骸があった。聖女をかたどった白い仮面だ。陶器のように砕けちらばっている。
 仮面は【ナソーグ・ベルジ】がくれたものだ。仮面をつければルガルの衝動は一時的に収まる。だがその代償として彼は、ナソーグに依存し隷従しなくてはならない。誰かの支配下として生きることがルガルには耐えられなかった。
 だからルガルは仮面を砕いた。あり金をはたいてならず者たちを雇い、猟師も近づかぬ森の奥深くに我が身を縛(いまし)めたのである。
 呪いとの勝負には勝った。だがルガルの体はほとんど動かない。四肢に食い込んだ縄がこすれ、傷口がまた破れただけだった。
「……それ、自分で縛らせたんだろう……なのに……」
 声がした。つぶやくような口調、言葉も不明瞭だ。 
「縄を解ところまで……考えてなかったってわけか……アホ?」
 ルガルの正面に、ひょろりと手足の長い姿がいつのまにか出現していた。
 腰まである長い黒髪、膝より下までのやはり長い白衣、ひどい猫背で前髪が垂れている。
「……アホなの?」 
「好きに呼べよ」
 かすれ声でルガルは告げた。
「あんた、誰か知らんが縄を切ってくれ」
 はぁ……? と白衣黒髪猫背の人物は肩をすくめた。
「切れ? このヒョロい体でできるとでも……?」
 次の瞬間、バサリと音がしてロープが切断された。ルガルは木の根元に滑り落ちる。
「……まあ、できるけど」
 白衣の人物がにじりよってきた。
 女だ。まだ若い。
 目には真っ黒な隈、肌はきわめて血色が悪い。唇は赤く、泣きぼくろのせいもあってか異様ななまめかしさがあった。白衣の下はタンクトップとショートパンツだ。胸が大きい。ずっと前屈みだからその特徴がきわだつ。
「切り刻むほうがお好みかい……?」
「結構だ。礼を言う」
「感謝は言葉じゃなく態度で示せ。ルガル・ラッセル」
 女が自分の名前を知っていたことにルガルは驚かない。どう見ても尋常の者ではなかったから。
「……お前が呪いから解放されたのは、ナソーグが敗北しその支配力が弱まったからだよ」
「ナソーグが?」
「……信じられないだろうが事実だ。フトゥールム・スクエアがなしとげた」
「あいつらならできるかもしれねぇな。見上げたやつらだ」
 どこか誇らしげに言うとルガルは唇をゆがめる。
 女は目を細めた。
「だがナソーグは滅びきってはいない。やがて元に戻るだろう……お前の呪いも含めて……」
「で、俺にどうしろと」
「……火の霊玉を取ってくるんだ」
 女はニタリとする。
「ナソーグの本体は闇の霊玉と一体化している……対抗する光の霊玉は手の届かない場所にあるが火のほうは手つかずだ……光の霊玉ほどの役には立たないが、少なくともナソーグの再活性化は防げる」
 ゆえあって闇の霊玉は手にしている、と女は言った。
「……火の霊玉をよこせばナソーグを押さえておいて……あげるよ。いい取引だろう?」
「そんな与太話、俺が信用するとでも?」
「信じなくてもいい。あの苦しみにまた遭いたいのなら」
「あんたの名を聞かせてもらおうか」
「ドクトラ(博士)だ……【ドクトラ・シュバルツ】」
 シュバルツによれば、火の霊玉は【怪獣王女】と名乗る人物の手に落ちようとしているという。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 7日 出発日 2021-08-27

難易度 難しい 報酬 多い 完成予定 2021-09-06

登場人物 8/8 Characters
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《1期生》アケルナー・エリダヌス
 ローレライ Lv20 / 勇者・英雄 Rank 1
目元を仮面で隠したローレライの旅人。 自分のことはあまり喋りたがらない。適当にはぐらかす。 ふとした仕草や立ち居振舞いをみる限りでは、貴族の礼儀作法を叩き込まれてるようにもみえる。 ショートヘアーで普段は男物の服を纏い、戦いでは槍や剣を用いることが多い。 他人の前では、基本的に仮面を外すことはなかったが、魔王との戦いのあとは、仮面が壊れてしまったせいか、仮面を被ることはほとんどなくなったとか。 身長は160cm後半で、細身ながらも驚異のF。 さすがに男装はきつくなってきたと、思ったり思わなかったり。 まれに女装して、別人になりすましているかも? ◆口調補足 先輩、教職員には○○先輩、○○先生と敬称付け。 同級生には○○君。 女装時は「~です。~ですね。」と女性的な口調に戻る。
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《大空の君臨者》ビャッカ・リョウラン
 ドラゴニア Lv22 / 勇者・英雄 Rank 1
とある田舎地方を治め守護するリョウラン家の令嬢。 養子で血の繋がりはないが親子同然に育てられ、 兄弟姉妹との関係も良好でとても仲が良い。 武術に造詣の深い家系で皆何かしらの武術を学んでおり、 自身も幼い頃から剣の修練を続けてきた。 性格は、明るく真面目で頑張り屋。実直で曲がった事が嫌い。 幼児体系で舌足らず、優柔不断で迷うことも多く、 容姿と相まって子供っぽく見られがちだが、 こうと決めたら逃げず折れず貫き通す信念を持っている。 座右の銘は「日々精進」「逃げず折れず諦めず」 食欲は旺盛。食べた分は動き、そして動いた分を食べる。 好き嫌いは特にないが、さすがにゲテモノは苦手。 お酒はそれなりに飲めて、あまり酔っ払わない。 料理の腕前はごく普通に自炊が出来る程度。 趣味は武術関連全般。 鍛錬したり、武術で語り合ったり、観戦したり、腕試ししたり。 剣が一番好みだが他の分野も興味がある。 コンプレックスは身長の低さ。 年の離れた義妹にまで追い抜かれたのはショックだったらしい。 マスコット扱いしないで欲しい。
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《勇往邁進》リズリット・ソーラ
 カルマ Lv17 / 魔王・覇王 Rank 1
ぼんやりとした表情の記憶喪失のカルマ 男の子なのか女の子なのか自分でもわかってない 口調がとても特徴的 外見 ・黒色の髪に金の釣り目 ・短髪だが、横髪だけ長くそこだけウェーブ ・基本的に無表情 ・魔法陣は右手の甲と左足の太ももの内側 性格 ・基本的にぼんやりとしている ・自分が色々と物を知らないことは何となくわかっているので、色々と勉強したい。最近はとある演劇の課題を通じて物語作りに少し興味を持ち出している ・独特な口調の持ち主(所謂関西弁) ・時折「雑音がする」と元気がない時がある 好きなもの ともだち、きれいな音 嫌いなモノ 人形扱い、雑音、■■■■ 一人称「うち」時々、戦闘中気分が昂ると「ウチ」 二人称「きみ」 名前の呼び捨て
《虎児虎穴の追跡者》シャノン・ライキューム
 エリアル Lv11 / 教祖・聖職 Rank 1
エルフタイプのエリアル。 性格は控え目で、あまり声を荒げたりすることはない。 胸囲も控え目だが、華奢で儚げな外見のせいか、人目を惹きやすい。 本人は目立つことを嫌うので、服装は質素で地味なものを好む。 身長は160センチほど。 学園に来る前は、叡智を司る神の神殿で神職見習いをしていた。 叡智神の花嫁と言われる位に、叡智神の加護を受けていると言われていたが、何故か、 「その白磁の肌を打って、朱く染めたい」だの、 「汚物を見るような目で罵って下さい!」だのと言われたり、 孤児院の子供達から、流れるようなジェットストリームスカートめくりをされたりと、結構散々な目に遭っている。 最近では、叡智神ではなく「えぃち」ななにかに魅入られたのではと疑い始めたのは秘密。 学園に腹違いの妹が居るらしい。

解説 Explan

 全校集会『オペレーション:メイルストラム』のエピローグ、そのラスト作品です。
 魔王復活の鍵アイテム『火の霊玉』をめぐり三つどもえの争奪線が繰り広げられます。

 温泉が湧く山地ズェスカ地域が舞台です。
 ズェスカは地理的に火山から遠い乾燥地帯にあります。なぜこの地に湯が沸くのかは謎でした。グリフォンでも利用しなければ行ける場所でもなく、知る人ぞ知る隠れ湯とされていました。
 温泉の源は火の霊玉がもたらす魔力だったのです。(※この情報はプレイヤーキャラクターは知りません)

 どういうきっかけか「ズェスカに『石の温泉卵』というものがあるらしい」と聞きつけた【怪獣王女】が「コズミックエッグ(怪獣王女独自の呼び方で、実際は霊玉のことです)じゃ!」とこの地に乗りこんでいます。
 いつも偽物をつかまされている王女ですが、今回はついに実物にたどりつきます!

 現在ズェスカには学者による研究チームが派遣されているため、このままでは王女が一騒動起こすのは明白です。
 みなさんは「また怪獣王女か。毎度ながら迷惑な」&「こらしめたら温泉につかって帰ろう」くらいの軽い気持ちでズェスカ入りを果たしますが、かの地には【ルガル・ラッセル】【ドクトラ・シュバルツ】という強敵も待ち構えているのです。

 研究チームの案内で、岩山の地下道を見つけ洞窟を探索します。
 途上で怪獣王女と対決することになるでしょう。ルガルとシュバルツも襲いかかってくるはずです。
 なんらかの知識があれば、石の温泉卵の正体に気づくことは可能です。

 どう洞窟を制覇するか? 霊玉を奪うか諦めるか? 王女、ルガルのどちらかと共闘するか双方を敵に回すか? あなたたちの行動が物語の展開を決めることでしょう!

 シュバルツの能力は不明ですが、鋼のロープを断ち切るほどの戦闘力はあるようです。

 前半の描写は今後の展開につなげるためなので、【エスメ・アロスティア】と【スチュワート・ヌル】は本編に登場しません。


作者コメント Comment
 プロローグが長くなったこと、公開が遅れたことをお詫びします。『オペレーション:メイルストラム』のエピローグ最終作です。
 もちろん『オペレーション:メイルストラム』に参加していないかた、これから登場する新キャラクターの参加も可能です。

 ジャンルは『冒険』としましたが、みなさんのアクションプランに応じて戦闘中心、情緒中心、あるいはコミカル展開なども可能です。もちろん結末も決めていませんので、どうなるのかとても楽しみにしています。

 やや難しいかもしれませんが、みなさんには『激しい戦闘やまだ見ぬ強敵の登場は予期していない』状態から一気に『大変な事態だ!』という切り替えが生じるロールプレイをお願いしたいと思います。

 怪獣王女については拙作『怪獣王女☆出現』など、ルガルについては『ヒノエ・イン・ザ・シティ』あたりをご参照ください。ふたりとも皆さんへの義理は感じつつも、自身の目的を最優先すると思われます。



個人成績表 Report
クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:172 = 144全体 + 28個別
獲得報酬:4320 = 3600全体 + 720個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
洞窟内では地図を手帳に書き記し、気配察知で気を配りつつ進む
時折、写法術で情報を仲間と共有し円滑に
特に暗い場所はランタンで照らす

戦闘はなるべく控えたい
道中、誰かに会うようなら今は戦わなくていいと説得を試みる

もし怪獣王女とルガル・ドクトラの三つ巴になったら、怪獣王女をこう説得しよう
あの女はエッグを集めて君より先に魔王と結婚する気だ、とね
怪獣王女の性格を考えればこれで相手に与するのを防げるはずだ
できれば共闘して彼らを追い払いたい
また、霊玉は全て揃う時まで預かると怪獣王女に持ち掛けよう

戦闘では魔導書で仲間を強化
ルガルはシーソルブ、ドクトラはアン・デ・フィアでそれぞれ妨害
仲間が危機の時はプチシルトで庇う

アケルナー・エリダヌス 個人成績:

獲得経験:216 = 144全体 + 72個別
獲得報酬:5400 = 3600全体 + 1800個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
洞窟に眠る霊玉の確保

◆方針
霊玉は可能な限り学園側で確保
それが難しければ、一旦、怪獣王女に預けるのはやむ無し

◆探索
第六感、含み思考等を頼りに霊玉を探す
火の霊玉なら……近づくほどに温度が上がってくるかも

重要なものだし、祭壇等に奉られているかもね

敵の不意討ちや、互いに想定外の遭遇戦の可能性も考え、仮に霊玉をカ確保しても警戒を維持

◆有事
私はルガルの連れの相手を中心に応戦
相手の力量が不明だし、盾を構え衝撃享受で守りを固め、隙があればグリフォン返し、アクエラで反撃

敵との力量差がありすぎるなら、無理せず防戦に徹し、展開が有利になるまで耐え凌ぐ

深傷の仲間が狙われるなら、我が身を盾にで庇い、全員で生還を

エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:172 = 144全体 + 28個別
獲得報酬:4320 = 3600全体 + 720個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【事前調査】で、図書館や聞き込みでズェスカの歴史や伝説、言い伝えなどを下調べ
情報は仲間と共有し探索の役に立てる

『石の温泉卵』が奪われれば、ズェスカの温泉は失われ
それによって生計を立てている人たちや、温泉で傷や病を治したい人々が困るのではないか
それは阻止したい

【魔法感知】で温泉卵の位置を調べる
ルガル(とドクトラ)やドーラさんの襲撃などは【危険察知】で警戒
他組織に先んじて温泉卵の入手を目指す

戦闘ではドクトラ・シュバルツの行動阻止
エーデンユートで毎回の属性を変えて攻撃
有効な属性が分かれば味方にも知らせる
敵が多い時はエアル(追加あり)で一掃
単体へはフドーガ

回避は妖精の踊り
回復は生命の息吹

アドリブ大歓迎

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:172 = 144全体 + 28個別
獲得報酬:4320 = 3600全体 + 720個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
とある隠れ湯で怪獣王女が出たらしいな
また、コズミックエッグがあったとか言ってるのか?
コズミックエッグ=霊玉だよな
・・・万が一本物だったら魔王復活のために使うだろうしこちらで確保しておきたいよな
ってことで確認と本物だった場合確保しに行くとしよう
王女自身は迷惑かけられなければそれでいいか

霊玉確保第一で行動
怪獣王女との共闘は有りだとは思うがそれもお互いの主張のためにするとしても途中までになるだろうと予想
シュバルツ、ラッセルの陣営に対しては裏が見えないのでそもそもできないだろうな
霊玉を確保して脱出する際の足止め要員及び攻撃役

アドリブA、絡み大歓迎

ビャッカ・リョウラン 個人成績:

獲得経験:216 = 144全体 + 72個別
獲得報酬:5400 = 3600全体 + 1800個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
■目的
洞窟の探索

■行動(戦闘)
戦闘になったら、まずは護衛対象を安全なところに下げる。
その後は前衛として切り込むよ。
もし三つ巴になるのなら、優先度はドーラ→ドクトラ→ルガルの順に相手取るよ。

正義一迅で素早く踏み込んで初手の一突き。
続けて龍の大翼と立体機動を組み合わせた素早い動きで攻め立ててこちらのペースに持ち込む。
相手の攻撃は、間合いを維持しつつ流水の構えで受け流したり部分硬質化で耐えて軽減。
さらに業火纏で反撃するよ。

そして隙あらば、一気に踏み込んで必殺技の耀閃斬。
石の温泉卵…いや、火の霊玉は渡さない!チェストォォォォーーーーーーーーッ!!!

フィリン・スタンテッド 個人成績:

獲得経験:172 = 144全体 + 28個別
獲得報酬:4320 = 3600全体 + 720個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
●方針
霊玉防衛、対ルガル。
シュバルツについて情報を得つつ
可能なら味方に引き込みたい

●行動
洞窟探索ではビャッカと共に警戒、対罠担当。
聞き耳と足跡追跡を欠かさず奇襲に注意。

怪獣王女の事はクロスの『考え』に任せるが
戦闘が避けられない場合は応戦。

ルガルたちと鉢合わせた場合は対ルガルに専念。
『衝撃享受』『九死一生』で粘りつつ、
なぜ霊玉を狙うのか、共にいるのは誰なのか言葉と『肉体言語』で問い正し
シュバルツの勢力と目的を聞き出しに。

ルガルにはナゾークを倒したのが自分(たち)で助ける術はある事
シュバルツが呪いをかけた一味の可能性などハッタリをかけつつ説得。
応じなければ力づくで殴り倒して『鉤爪付ロープ』の覚悟

リズリット・ソーラ 個人成績:

獲得経験:172 = 144全体 + 28個別
獲得報酬:4320 = 3600全体 + 720個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
怪物王女…なんやけったいなヤツもおるね
…でも、油断はできないか

洞窟内では周囲を警戒しながら前衛に
大丈夫やと思うけど、こないだのナソーグの件もあるし…
怪物王女と遭遇時は挙動に気を配りつつ様子を観察

【危機察知】で背後からの奇襲に警戒
第三勢力出現後はドクトラ>ルガル
前衛にスイッチして【三日月斬り】
敵攻撃時は【全力防御】
大きな攻撃は前に出て仲間を庇ってからカ14
消費気力3割以下でカ10

痛む頭を抑えて戦う
黙ってろ、お前の出番はない…!(いつもの幻聴に対して)

シャノン・ライキューム 個人成績:

獲得経験:216 = 144全体 + 72個別
獲得報酬:5400 = 3600全体 + 1800個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
洞窟の奥にある霊玉の確保
確保が難しい場合でも、ドクトラ陣営には渡さないように

◆用意
洞窟内で縦穴等の移動に備え、鉤爪付ロープを用意

◆方針
三つ巴の状況になったら、必要なら怪獣王女と手を結び、霊玉を奪われないように
霊玉の確保を最優先

◆探索
聴覚強化で、周辺の音に注意しつつ探索
足音や、小石が落ちる音、水溜まりを歩くような音等がするなら、自分達以外の侵入者が居るかも

警戒して、不意打ちを受けないように

◆有事
戦闘になったら、私は後方から負傷者を祈祷で治療
毒、麻痺を受けた者が居たらデトルで解除

なるべく岩陰や先輩方の後ろに位置取り、敵に狙われないように
周辺を警戒し、新手が来たりしたら、仲間に伝達し即応を

リザルト Result

◆I
 晩夏の風はやけに乾いて、それでも陽射しはあり暑く、熾(おき)で焼かれているかのような、ちりちりとした感覚を肌に与えてやまない。
「……なんか、寂しい光景やな」
 今日も朝から【リズリット・ソーラ】は軽い頭痛を覚えていた。
 リズリットのまなざし――太陽のしずくのごとき黄金(きん)の瞳に、荒涼たる光景が映りこんでいる。
 白く乾きひび割れた大地には、粉のような砂ぼこりが吹き荒れるばかりで、生命らしきものは見あたらない。
 丘を越える。
 突然、きらめくものが【シャノン・ライキューム】の視界に飛びこんできた。アメジスト色の眼の上に、水平にした手をかざす。
「見えてきましたね」
 高みから見おろす大部分はこれまでと同様だ。ただし山あいの一角にだけ、奇妙な地形が見てとれる。砂漠のオアシスのごとく、こんこんと泉が湧きだしているのだ。湯煙もたっている。
 温泉は大小まちまちな三箇所、周辺には植物もあった。といっても、せいぜいが剃り残したヒゲ程度の緑だ。
 あれか、と【アケルナー・エリダヌス】は胸をうたれたように言う。
「ズェスカの温泉郷というのは。奇景と呼ぶにふさわしい」
 アケルナーは仮面の奥の目を細めている。【クロス・アガツマ】が応じた。
「このような場所のどこに源泉などあるのだろうか? なかなか興味深いね」
「あそこでまた懲りもせず」
 と【仁和・貴人】はため息とともに首を振った。
「コズミックエッグがあるはずじゃ、とか言ってるのか? あのじゃじゃ馬王女は」
 このたび【怪獣王女】出現の報を受け、貴人たちはズェスカに足を踏みいれたのである。怪獣王女がらみの出動は、学園にとってこれが何度目になるだろうか。
 ピンクのガウンに金の冠、トカゲの耳したルネサンス系幼女、コズミックエッグなるアイテムを求め神出鬼没する歩く迷惑、それが怪獣王女だ。
 自称魔族で王族で、ただうるさいだけなら頭が気の毒な子とも言えないこともないが、実力は本物なのだから始末が悪い。怪獣王女は持ち歩いている卵から、独自センスのモンスターを生み出せるのである。
「懲りないな、というのは貴人君に同感だが」
 クロスはややあきらめ気味に述べる。
「王女の言う『コズミックエッグ』が霊玉らしいのであれば、捨ておくわけにもいくまいよ」
 わかってるさ、とクロスに言うかわりに貴人は肩をすくめた。
「まあ、温泉の源が霊玉とはかぎらないけどな」
 二千と二十一年前、魔王を封印した九人の勇者が、自分たちの魂を八つの魔法の塊(かたまり)へと転じた。これが霊玉だ。霊玉が有す強大な魔力が、魔王の現世復活をとどめているのだという。
 土の霊玉と一体化した少年を、魔王復活をもくろむ一派が襲撃した事件は記憶にあたらしい。ボソク島を舞台とした激闘のすえ、一派を率いた【ナソーグ・ベルジ】は、学園生たちに倒され姿を消した。
「でも気をつけなきゃ」
 かく言うのはドラゴニアの乙女、翼もつ【ビャッカ・リョウラン】だ。
「ナソーグを退治できたのかどうか、はっきりしていないんだから」
「それが問題よね」
 ビャッカに応じたのは【エリカ・エルオンタリエ】である。あごに手をあてて言う。
「あの日、北岸方面に展開したチームはナソーグを倒した。ナソーグを構成していた肉体は灰になったって話だけど……」
「でもナソーグは、仮面ひとつになって集落を狙った」
 この目で見たわ、と【フィリン・スタンテッド】がエリカの言葉を継いだ。
「ナソーグの本体は仮面だったのね。でも、すんでのところで仮面は砕くことができた」
 仮面、とフィリンが口にしたことで気になったのか、自身も仮面の主であるアケルナーは、なにげなく自分の面に指をあてている。
「やつを討ち取ったのではないのか?」
「ならいいのだけど……パズルみたいになった仮面を継ぎあわせてみたら、中央に丸い孔(あな)が残ったわ」
 埋めるピースはどうしても見つからなかった、とフィリンは締めくくった。
「抜け落ちた空白こそが問題なのですね」 
 シャノンの問いに、そういうことになりそう、とエリカは応じた。
「わたしは、ナソーグが滅したとはどうしても思えない。だって、あの【ディンス・レイカー】ですら異世界の地で生き延びたっていうんだから」
 ディンスは、ナソーグと同時期に蜂起した旧敵だ。元フトゥールム・スクエア生で、学園を敵視するいっぽう、彼なりの過激なやりかたで魔王復活を阻止しようとしていた。消滅したと思われていたが、異世界に転移して生命をつなぐという執念をみせている。
 ナソーグやディンスのことを考えると、どうしても明るくはなれないものだ。
 だからリズリットはなるだけはずんだ声を上げた。
「あれ付近住民の集落とちゃうか?」
 小さいながら、住居らしいものがかたまっているのを見たのだ。のぼりをだしている店もある。
「だね。探検の前に、まずは栄養補給していこうよ!」
 ひとっ飛びして見てくると告げ、ビャッカは背中の翼をひろげ地を蹴った。

 かしいだ軒先、石の床、壁や椅子も古くてあまり清潔とはいえない。
 がらんとした店内に通された。飲食店といっても、十二人がけはできそうな大きな木のテーブルがひとつあるだけだ。
「名物はもりそばだけなのか……」
 人数分もらおう、とクロスは店員兼店長であり料理人でもありそうな老婆に告げた。
 あい、と気の抜けた返事をして立ち去りかけた彼女にエリカが声をかける。
「最近、変わった人を見かけませんでした? ピンクのガウンを着て王冠をかぶっているとか」
 さあと首をかしげる老婆のかわりに、
「……変わった人、登場」
 ポツリと告げ、シャノンの隣に腰を下ろした姿があった。
 シャノンは声をあげそうになったがなんとか飲みこんだ。まるで気配を感じなかった。
 女性。死人のような肌の色、針金みたいに痩せていて長身、しかも極端な猫背だ。闇みたいに黒く長い髪をしている。黒いタンクトップに黒いスーツパンツ、その上に白い長衣を羽織っていた。
 垂れた前髪のあいだから、細い目を光らせて女は言った。
「にぎやかな皆さんですね……まぶしいくらいです」
 名乗り通り『変わった人』ではあった。だがシャノンは礼儀正しさを失わない。
「私たちはフトゥールム・スクエアの者です。温泉の調査を手伝いに来ました。あなたは?」
「湯治でしてね……持病があるものですから……」
 コホコホと女は咳をしたが空咳っぽい。前髪のせいか表情はよく見えないが、愛想笑いのつもりなのか三日月のようなかたちに赤い口を歪めている。
「……【シャ・ノワール】と言います……知り合えて光栄ですよ」
 うさん臭いやつだな、と貴人は思ったが口には出さず、かわりに、
「もう来たぞ?」
 と、そばが運ばれてくるほうに注意をむけた。
 そば粉で打ったようなものではなく、黄色がかった白い麺だ。人数分のつゆ、色とりどりの薬味もついている。
 だが。
 フィリンは内心うめいていた。
 量が少ない。全員分が大皿に盛られているのはいいとしても、各人でわければ半人前少々と思われた。多めに見積もっても五人前程度といったところだ。
「これは追加したほうがいいのかな」
 とつぶやいたアケルナーは、一度厨房に去った老婆が戻ってきたのを見た。運んできたのはそば大盛りの大皿だ。あと二つ。
「えっ?」
 アケルナーとフィリンは顔を見あわせる。忙しく老婆は出入りして、そば大盛りの皿をどんどん運び入れてくるではないか。最終的には例の女性の分を含め、特大の九皿がテーブルを埋めつくした。
「この量で一人分だったんだ! 特盛りだね!」
 いただきます、と手をあわせてさっそくビャッカはそばを口に運ぶ。
 期待はしてなかったのにおいしい。弾力とコシがあるる。つゆも風味抜群だ。
 ただ……量が多い!
「味はいいんだけど……うーん」
 エリカは舌を巻いていた。この『一人分』、まともに食べきれるだろうか。
「もうじきこの店は閉めるらしくてですね……完全閉店前の大サービスのようです……」
 ノワールが言う。彼女の食べかたは汚い。強烈にズルズルと音を立てるばかりか、グニャグニャしたおかしな箸の持ち方でかきこむようにして喰らっているのだ。そのうえ健啖家で、
「……おかわりを」
 たちまち平らげて老婆を呼んだ。
「もう? っていうか、まだ入るん?」
 軽い頭痛がつづいていることもあってリズリットの食は細い。三分の一も減ってはいなかった。
 さらに二皿目をかるく空け三皿目をオーダーしたノワールに、シャノンは瞠目しつつ言う。
「ご病気だったのでは?」
「……ご心配なく。別腹ですから」
 まるで回答になっていないな、とクロスは思いつつもちらちらと女を見ていた。怪しい印象はぬぐいきれなかった。
「ごちそうさまでした……それでは」
 とうとう三皿たいらげて、ノワールという女はたちあがった。
 ノワールは去りかけたが、一瞬、アケルナーの背後で足を止めた。
「ご縁がありましたら、またいつか……お目にかかりましょう……」
 のそっと頭を下げ、含み笑いを残して出ていく。
 アケルナーは黙って女の背を見送った。
 お辞儀したまま歩いているような異様な猫背、煮詰めた漆のごとき黒い髪――。
 一瞬だが、アケルナーは背筋を氷で撫でられたような感覚をおぼえた。
「変わった人だったね」
 ビャッカが話しかけたがシャノンは短く、
「でしたね」
 と短く返すのがせいぜいだった。
 初対面のはずなのに、とシャノンは思った。
 ――あの人のこと、知っている気がします。

 店を退出しようとして一行は知った。
 ノワールという女はすでに、全員分の会計を済ませていたという。

◆II
 白い大地を見おろす岩ばかりの山が、温泉が近づくにつれ湿り気をおびはじめていた。
 学者たちは一行を歓迎した。
「怪獣王女と名乗る妙な子が、我々を閉め出してしまって……」
 ここです、と初老の学者は汗を拭きながら言う。洞窟の入口を岩がふさいでいる。怪獣王女に追い出され、内部の探索は中断してしまったということだった。幸い内部に取り残された調査員はいないそうだ。
 案内の礼を述べビャッカは腕まくりした。
「みなさんは集落で待機してください。調査は私たちに任せて!」
 えいやと岩に手をかけた。ビャッカの細腕には金剛力が宿っている。岩はミシミシと音をたててぐらつきはじめた。
「手伝うわ」
「オレも」
 フィリンと貴人が手を貸し、アケルナーとリズリットも参加すると、抜けかかっていた乳歯のごとく、岩は外れて山肌を転がり落ちていった。
 お疲れ、と言ってからエリカは洞窟をのぞきこんだ。
「四人がかりでやっと動かせた岩を使ったということは、今回、怪獣王女が手先にしているのは力自慢のモンスターってことになりそうね」
「手をかえ品をかえ、というやつか。彼女の芸風の広さには恐れ入るね」
 クロスは地図をひろげた。マッピングは彼の担当だ。失っても困らないよう、手帳にも書き写していく考えである。
「行きましょう。またあの子にはお灸をすえてあげなきゃね」
 エリカがくすっと笑ったので、貴人も釣られて言い加えたのである。
「それも特大のな!」

 ビャッカのキラキラ石を光源にして進む。洞窟内は暑い。それに湿気がひどかった。サウナほどではなくとも、蒸籠(せいろ)料理にされている気分だった。
「なんやけったいなヤツやね。その怪獣王女って子」
 好きこのんでこんなとこ潜るやなんて、とリズリットは言った。カルマゆえリズリットは暑さに参ることはないが、楽な道中でないことはよく理解している。起伏が多く足場は岩で、天井が低い箇所も少なくなかった。
「その彼女を追う私たちも、ある意味『けったいなヤツ』らと言えるかな」
 微笑してアケルナーは汗をぬぐった。意識して軽口をきいたのは、ややもするとさきほどの出会い――ノワールのことを思い浮かべてしまうからだった。なぜこうまで彼女が気になるのかは自分でも説明がつかない。
 道は細かく枝分かれしており行き止まりも多い。おおむねアケルナーの第六感に頼りながら進んでいく。
 やがて広大な地形にたどりついた。外気がきているらしく暑さはわずかにゆるんだ。一方で、先に進むには絶壁にちかい岩肌を降りていく必要があることもわかった。
「用意してきてよかったです」
 シャノンは背嚢から鉤爪付ロープを取り出した。法衣姿のシャノンが手にすると、鉤爪すら儀式につかう聖具に見える。
「私も」
 フィリンも同じものを出してビャッカに渡した。
「ビャッカ、そっちお願い」
 オッケーとこたえそれぞれの縄を受け取ると、ビャッカは滑空して急斜面の下までたどりついた。手近な岩に二本のロープを巻き付けてたどってくるよう指示する。
 貴人はクロスをうながした。
「後方から急に襲われたらたまらない。オレは警戒するからアガツマくんは先へ」
 悪いね、と時代がかった会釈を貴人に見せ、クロスは岩肌を降りていく。顔のむきは進行方向とは逆だ。リバイバルゆえ、万が一落下したところで負傷することはないだろう。かといって飛び降りるのも精神衛生上よくはない。広い洞窟内のあちこちを、見学気分で眺めながらロープを伝う。
「やヤッ!?」
 途中でクロスは頓狂な声を発した。
 彼の目をとらえたもの、それは裸身だった。
 斜面の途上に岩棚があった。ビャッカはもちろん、上部に残るメンバーの誰からも隠れるような位置に岩風呂ができており、女性がひとり湯につかっているのである。遠方だがわかるのは彼女が幼女体型、いや幼女そのものの体型だということ。背を向けて湯からあがるところが視認できた。白いヒップも。トカゲのような尾も。
「怪獣王女……!」
 王女はふりかえると両手をメガホン状にして叫んだ。
「またあらわれおったなフトゥールム・スクエア! 温泉につかりにきたのか!」
「はは、整備されてないなら俺はパスかな、事故が恐ろしすぎてとても……いや、そうじゃなくて!」
「ならここで決着をつけか!?」
「今は戦わなくていい。話し合わないか」
 だから、とクロスは左手で眼を隠しながら言う。
「その前に何か着てくれっ!」

 やっぱりけったいなヤツやね、というのがリズリットの抱いた第一印象だった。
 ――けど、ただもんやない、って感じはするわ。
 一行と対峙する怪獣王女こと【ドーラ・ゴーリキ】は、白いTシャツ一枚という姿だ。裾に隠れているがたぶん腰は下着ひとつだろう。髪は濡れ髪、冠とコスチュームは脇に脱ぎ捨てたままだ。腕組みして尊大にそりかえっている。
 最初に歩み出たのはシャノンである。
「はじめまして。シャノン・ライキュームと言います」
「怪獣王女じゃ。謁見を許す」
「Tシャツ姿で謁見もないだろーに……」
 ぼそっと貴人がつぶやくも、そっとフィリンにたしなめられる。
「刺激しちゃだめよ。できれば戦わずにすませたい」
「悪い。あと、戦わずにってのも同感だ。あいつとはプリン入り豚骨、もとい、甘旨豚骨ラーメンをすすった仲でもあるしな」
 シャノンはさらにもう一歩王女に近づいた。
「私たちは、あなたが閉め出した調査隊の手伝いに来たのです。この洞窟に眠るという『石の温泉卵』……おそらく温泉の源をつきとめたいだけ」
 シャノンの誠実な言葉づかいと謙虚さが通じたのだろう。怪獣王女は組んでいた腕をほどいた。
 シャノンとと入れ替わるようにしてエリカが言う。
「ひさしぶりね、ドーラさん」
「エリカか」
 ちらりと王女は視線を岩湯のそばに向けた。チョコレート色のリュックサックがおいてあった。
「石の温泉卵があなたのコズミックエッグ、わたしたちが霊玉と呼んでいるものと同一の存在なのかはわからない。だからドーラさん、石の温泉卵にたどり着くまでは協力しない? もし石の温泉卵が霊玉でないとわかったら、そっとしておいてほしい。ズェスカの温泉は失われ、それによって生計を立てている人たちや、温泉で傷や病を治したい人々が困ると思うから。王族ならわかるでしょう?」
「コズミックエッグだったらどうする?」
「そのとき考えるわ」
 そうね、と内心フィリンもエリカに同意している。
 怪獣王女も霊玉狙いだとしても、集めて守るだけなら協力する道はあるはずだから――。
 王女は視線をさまよわせた。エリカとは戦いたくないらしい。迷っているのだろうか。
 ここぞとビャッカも言い添えた。
「考えてみてドーラ。一緒のほうが道中も安心だよ」
「うむむ……」
 怪獣王女の目がアケルナーのところで止まった。
「ところであれは誰じゃ?」
 ビャッカに問う。ビャッカが説明するより先に、アケルナーは進み出ていた。
「非才の身ゆえ慎んでおりました。王女様に名を訊ねられるは光栄のきわみ」
 孔雀のように優雅な動きで、しかし貴公子らしさを失うことなく、ひらりとドーラの前に膝を屈する。これくらいアケルナーにはお手の物だ。
「騎士アケルナー・エリダヌスと申します。お見知りおきを」
 深いため息のような声を漏らしたきりドーラは絶句してしまった。アケルナーが彼女の手を取り、口づけたからだ。彼女の血液がみるみる顔に上昇していくのが一目瞭然だ。ようやく王女は口ごもりながら言った。
「ず、随行を許す……」
 目を潤ませてすらいるではないか。国土も臣民もなく、名乗っているだけのプリンセスである。淑女扱いには慣れていないのだろう。
「随行てなんや?」
 リズリットが茶々を入れる。もちろん意味くらいわかっている。からかったのだ。
「ええい! 一緒に行ってやるといっておるのじゃ!」
 いきりたつドーラの顔はますます赤い。
 途中までになったとしても、と貴人は胸をなで下ろして告げた。
「無駄な戦いをひとつ回避できたようでよかったよ」
 闇雲に力で、別の力を封じこめることだけが正義ではない。これは貴人が学園で学んだ真理の一つだ。

 さらに数時間が経過した。
 フィリンが最初に気がついたのは、一行の歩みに耳をそばだてていたからだ。
 ビャッカが踏んだ岩に異音がまじったのだ。甲高くも脆(もろ)い音だ。よく注意していなければ聞き逃していただろう。
「足元気を付けて……その前後も!」
 フィリンはビャッカの肩をつかむ。ビャッカの足下が崩落し、黒い穴が口をあけたのはほぼ同時だった。
「これで終わりじゃなさそうです……!」
 声を上げたのはシャノンだ。フィリンが足下に気をつけていたのと同じく、シャノンは壁の振動や音に警戒をむけていた。
「逃げてください!」
 脇道への退避を指示しフィリン自身は壁に張りつく。
 雷が落ちたような地響きがあった。ここまでたどってきた下り坂、その上方から特大の岩が転がり追って来たのはまもなくのことだった。
「岩やて!?」
 リズリットは脇道に飛びこみ、両膝をたてて座ると額を乗せた。昼からおさまっていた頭痛が、急に息を吹きかえし暴れはじめたのだ。
「あかん……また……」
 聞こえる。リズリットに話しかけてくる声がする。頭の内側から。
 ――苦しいか?
 あざ笑うような声だった。以前からときおり、頭痛とともにこんな声が訪れることはあった。ボソク島の戦いでナソーグの仮面を受けてから頻度は増し、頭痛はリズリットにとっての日常になりつつあった。
 声はなおも言う。
 楽になりたいだろう? だったら、するべきことはひとつだ。
「黙ってろ、お前の出番はない……!」
 リズリットは唇を噛み声を押し殺した。
 岩はもうシャノンの目の前だ。自分以外の仲間は脇道に逃れた。岩と壁の間には空間がある。じっとしていれば当たらないはずだ。すり抜けられる……はず。
 シャノンは息を止めた。
 だがその瞬間は来なかった。
「ゆけい!」
 岩の真正面、怪獣王女の声がすると同時に、彼女が放った複数の卵が一斉に破裂したのである。緑色の煙をまきちらして卵から登場したのはやはり緑色で、ぷにぷにとした肉体をもつ魔人だった。といっても背はシャノンの腰くらい。頭にはターバン、縫い目みたいな目鼻口、ピンと尖端のとがった靴と、ぴちぴちパンツをはいている。何体もいた。
 怪物たちはたくましい両腕をのばし、集団で大岩を支える。
「見たか! 使役獣『じん』じゃ!」
「ジンっていうよりレスラーみたいだけどな」
 貴人も大岩に両手をついていた。岩場が掘れそうなくらいかかとを踏ん張って圧に耐える。フィリンもアケルナーもビャッカの姿もあった。怪獣王女自身もだ。
「力仕事は得意じゃないけどね。ま、猫の手だとでも思って」
 エリカも参加した。ふらつく頭をかかえてリズリットも加わる。
「魂霊族(リバイバル)たる身は参加できなくて寂しいよ。だが誘導なら任せてくれ」
 クロスの指揮のもと、全員は力を合わせ大岩を完全に止めた。
「ありがとうございます。怪獣王女さん」
 シャノンが頭を下げると、照れくさげに怪獣王女は手を振った。
「お互い様じゃ。そちが知らせてくれなんだら、わちきも大岩につぶされておったかもしれん」
 どう思う? と貴人が問うとエリカは即答した。
「人為的な攻撃ね。偶然転がってきたにしては大きすぎるもの」
「だろうな。オレたちを尾行してきた連中がいるにちがいない。ここで岩を転がして始末しにかかった、ということは」
「ゴールは近いわね。きっと」
「暑くなってきた。かなりね」
 アケルナーが気温のことにふれた。
「エネルギー源が近いのかもしれない。急ごう」
 王女様も、と呼びかけるとドーラは、いそいそとアケルナーの甲冑を追うのである。
 まもなく一行は、目的地にたどりついた。
「あれのようね」
 フィリンが指し示すまでもなかった。
 数十人が座れそうな広い空間、その中央には岩を削っただけの祭壇があった。
 祭壇に飾られていたのである。
 赤い、卵型の石が。

◆III
 石を確認するなり王女の目の色が変わった。
「コズミックエッグ……!」
 ウサギを見た猟犬のように駆けだそうとしたドーラに、待ってと声をかけたのはビャッカだった。
「私たち、ここまで一緒に乗り越えてきたよね? この先はわからないけど、まだ仲間だと思ってる」
 だから教えて、とビャッカは告げたのである。
「本当はいくつか聞きたいことがあるんだけど、状況が状況だからひとつに絞って質問するよ。ドーラが、フトゥールム・スクエアのある教師を嫌ってるのは知ってる。それは誰? 学園長じゃなかったみたいだけど」
「……そちたちの尊敬する人間を悪く言うかもしれんぞ?」
「覚悟はできてる」
「わかった」
 これまで見せてきた顔、そのいずれとも比べようのない真剣な表情でドーラは言った。
「【ユリ・ネオネ】……パパ上の仇じゃ」
「ユリ先生が……!?」
 最初はメメル学園長が恨まれていると思っていた。一杯ひっかけたメメルに洒落にならないドッキリをしかけられたとか。しかしドーラはメメルを知らなかった。なのでコルネ先生かと予想した。暴れた怪獣王女がコルネにやりこめられて、公衆の面前でお尻ペンペンされたとか――。
 だがそのいずれでもない。いずれの軽さでも、ない。
「わちきはメメルに学園入りを誘われた。コズミックエッグのことを学ばないかと」
「メメたんなら言いそうだな」
 貴人はつぶやく。自分勝手わがままの代名詞みたいに語られがちなメメルだが、彼女の本当の優しさを貴人は知っているから。
「じゃが!」
 と王女は言った。両目に光るものがあった。
「不倶戴天の敵ユリがおる以上、わちきはフトゥールム・スクエアには断じて入らぬ!」
 パン、パン、パンとスローな拍手が鳴った。
「はいそこまでー。……そんなどシリアス、怪獣なんちゃらと名乗ってる頭ピーマン娘には似合わないから……」
 陽炎のように、一行の真後ろから細い人影が出現した。
 心臓を素手で握られたようにアケルナーは思った。
 ひょろりとした体、長い黒髪、猫背。女性であることは胸の大きさでわかる。アンバランスなくらい大きいのだ。
 ニタリと笑った女に対し、クロスはやれやれとため息をついた。
「そんなことだろうと思ったよ。ランチはごちそうさま。ここまで案内したんだから、むしろ安く買いたたかれた気分だけどね」
 クロスは眼鏡の位置を直した。
「シャ・ノワール君と言ったかな? 『黒猫』か……おおかた偽名だろうがね」
「……ご名答。あたしは……これでも博士(ドクトラ)でね。【ドクトラ・シュバルツ】って呼ばれてる」
 なるほど彼女の白い長衣は、白衣という見方もできよう。
「露骨に怪しかったやつが実際に悪者だったというわけか。順当だな」
 と告げ、貴人が黒いマントをひるがえして歩み出る。 
「で、そのドクトラとやらが何の用だ? 石卵は駄目だぞ」
 軽口ではあるが、仮面からのぞく貴人の目は、けっして笑ってはいなかった。
「……実物を見て……確信した。まちがいなく霊玉だ……だから、あたしたちがもらう。魔王軍がね」
「もらう? どうやって?」
 ビャッカはすでに妖刀を抜き中段の構えをとっている。
 予期はしてないけど、そういう相手が現れたら構えろって話。
 あきらかに、あいつはただ者じゃないから。
 こめかみから手を離し、リズリットも大鎌を両手で構えた。
「くっ……!」
 頭痛がする。ズキズキと痛む。
 でもわかる。
 あいつは邪悪だ。この間のナソーグやガスペロのように、魔王復活のため暗躍しているやつだ。
 ためらってなんていられない。
 ――あんなヤツ、許さん!
 シャノンは後方にあって、シュバルツだけではなく怪獣王女のことも見張っていた。
 あの人、魔王軍と名乗りましたね。
 ということは、怪獣王女とおなじ側の人間……?
 それとも別派閥だとでもいうのでしょうか。
 シャノンの額に冷たい汗が浮いていた。
 もしシュバルツと交戦になっても、そのすきに怪獣王女が霊玉をかすめとる可能性も捨てきれないからだ。
「待って」
 エリカが問いかけた。
「『魔王軍』って言った? どう見てもあなた単身よね? その言い方はナソーグとか、ああいう連中をひっくるめての総称なの?」
「……ああ、これは失礼」
 シュバルツはひひひと耳障りな声をたてた。
「ナソーグは好かないが同志だ……あと、今日のあたしはひとりじゃあない」
 ぱっ、とシュバルツの真横に土埃が立った。
「前口上はたいがいにしろ」
 埃をあげたのは【ルガル・ラッセル】だった。
「悪いな、俺もその魔王軍だ」
 フィリンが息を飲む音が聞こえた。しかしそれもわずかなことで、
「ルガル……そう、やっぱり!」
 そんな気はしてたとフィリンは声を荒げる。
「またちがう女引っかけて! この尻軽狼! 恩知らず!」
 おい! とルガルも声を荒げた。
「それはない! こんなサディスト、俺が一番嫌いなタイプだぞ!」
「……おい、本人目の前にして……」
 シュバルツは口を挟もうとするが、フィリンもルガルも聞いてはいない。
「ナソーグが滅んだのは知ってるだろ! 私たちがアンタを助ける! そんなキモS女と組むな!」
「キモS女は事実だが、俺には俺の事情があんだよ!」
「……だから本人がここにいるんだが……まあいい」
 始末しろ、とシュバルツはルガルに命じた。自身も前衛舞踏のようなステップで飛びかかってくる。
 跳躍と同時に、シュバルツの顔を隠していた黒い髪が逆立った。
 素顔がはっきりと見えた。熱に浮かされたような目があらわになる。
 シャノンはすくみあがった。
「やっぱり……知っている……! 私はあの人を」
 はかなげな外見のせいか、シャノンはある種の人間の加虐性を刺激することがある。
 いじめっ子の目は似ている。シャノンの困る様子、戸惑う姿を喜ぶ目が。
 でもあの人は、どんないじめっこより残酷な目のかたちをしている。
 だがシャノンは、ビャッカへの注意喚起を忘れなかった。
「怪獣王女さんを止めてください……!」
 怪獣王女は祭壇に駆け寄ろうとしたのだ。
「ドーラ! だめだよ!」
 ビャッカは矢のごとく飛翔し、祭壇の前にたちふさがる。
「ビャッカよそこをどけ! エッグはわちきがもらう!」
「……ドーラ、あのドクトラとかいう人たちとは関係ないんでしょ?」
「関係はない。じゃが……」
「だったら私たちのほうが信用できると思うよ。さっきだって一緒にピンチを切り抜けたし」
 わずかに怪獣王女は顔を曇らせたが、
「あれは気の迷いじゃった。フトゥールム・スクエアはパパ上の仇! 許せ!」
 思いを振り切ったかコマのごとく、回転して蹴りを見舞ったのである。
 反射的にビャッカは片腕でガードし、剣で正義一迅の反撃を放った。
 攻撃が、交差した。
 ビャッカとドーラは距離を取って着地する。
 ビャッカは肩で息をする。
 一撃は加えた。だが浅い。蹴りを防いだ腕はしびれている。瞬間的に部分硬質化を発動していなければ危なかったかもしれない。
「きっと誤解だよ! 調べる時間がほしい」
「問答無用じゃ!」
 ドーラはビャッカに躍りかかる。

 貴人はシュバルツの一撃を目視できなかった。
「えっ――!?」
 気がついたときには兜、グロリアスヘッドを跳ね上げられている。
 とっさに盾を突き出したアケルナーは、その盾に重厚な衝撃が走ったのを知った。
 わずか一足でシュバルツは、貴人とアケルナーの両者を攻撃したのだ。
「ドクトラなんて人を食った名乗りだが、相当な手練れのようだね」
 シュバルツの太刀筋が見えなかった。そもそも、どうやって攻撃したのかもわからない。金属のような音がたち閃くものがあったが、敵の得物は見えないままだ。
 しかし技倆よりも、相手の存在そのものに本能的なアケルナーは恐れをいだいている。猫を前にした鼠の心境だ。
「恐れを、断つ!」
 メメント・モリの刃を突き出す。一颯、さらに一颯、グリフォンが飛翔するかのごとき速度で二度。
 されど二度の攻撃は二度ながら、女の腕に防がれた。白衣から剥き出しになったシュバルツの右腕、その手首から肘にかけて、肉体と一体化した長い刃が生えていたのだ。
「断とうと努力している時点で、もう恐怖に呑まれてるって気づかないかい!?」
 シュバルツの左腕がアケルナーの顔に伸びた。やはり刃が生えている。
 脳より先に脊髄が反応した。バックステップしてアケルナーは回避するも、
「っ……!」
 顔を逆撫でされている。
 負傷はなかった。
 チン、と乾いた音を立て、アケルナーの半仮面が地面に落ちた。
「おや」
 シュバルツはニタリと笑った。
「知っているよその顔……あの夜泣いてたお嬢ちゃんが生きていたとはね。今は騎士ごっこの最中かい?」
「!」
 アケルナーは言葉を発することもできず、ただ、阿修羅のようにシュバルツに斬りかかった。連続して打ち込むもやすやすと防がれる。
「馬鹿だねえ」
 シュバルツは嗤って、片腕でアケルナーの頸部を撲ち、叩き伏せた。
「あんたは生かしといてやるよ、そのほうが面白い」
「それ以上は!」
 不覚をとった――エリカはフドーガを放ちシュバルツを下がらせる。アケルナーの鬼気迫る様子に、つい手出しを控えてしまったのだ。
 同時に、貴人も渾身で大鎌を凪ぐ。
「こいつは、悪だ。一点の疑いもなく!」
 シュバルツはいずれも防いだ。しかも背中に目でもついているのか。
「ええかげんにしいや!」
 とリズリットが繰り出した水平の斬撃を、瞬間にかがんでかわしたかと思いきや、
「おやおや、分不相応な武器だねえ……」
 回転して足払いをかけ、リズリットを転倒させていた。 
 シュバルツの強さは圧倒的だ。
「格がちがうってやつなのか」
 クロスが魔導書で底上げしようとも、貴人、エリカ、リズリット三人がかりでも、シュバルツを霊玉に近づけないよう防ぐのがやっとだ。
 シャノンは祈祷でアケルナーを看ながら、震える声でシュバルツに問いかけた。
「魔王軍は、他の霊玉を手に入れているんですか」
「……闇の霊玉はこちらのものってだけ言っておこうか」
 エーデンユートを光属性、さらに水属性に替えてうちかかったエリカの直接攻撃を受けながし、さらに貴人をあしらいながらも、シュバルツは余裕のある口ぶりだった。
「闇の霊玉がナソーグの本体だからね。信じなくたっていいけどね……」
 腕を伸ばしリズリットを吹き飛ばす。
 それはそうと、と振りかえるとシュバルツはシャノンに目を細めてみせた。
「……見覚えがあるね、あんた……昔滅ぼした隠れ里のお嬢さんかな」
 シャノンの心臓はこのとき、確実に止まった、わずか一瞬だが。
 記憶がどっとよみがえる。ボトルシップが砕け、中身がばらばらになるようにして。
 森が燃えている。
 払暁の空が血の臭いに満ちていた。
 折り重なるようにして倒れている人々は、いずれも見知った顔だ。
 その日、街に買いだしに出ていたシャノンは、すべてが終わってからようやく里に帰り着いたのだった。
 加虐心に満ちた目がシャノンを見ていた。きっと魔物を率いていた人物だろう。
 しかし女は、
『殺すのにも飽いたね……』
 口を三日月のかたちに歪めて、シャノンにふれることもなく立ち去ったのだった。
 シャノンは顔を覆った。

 フィリンの守護剣がルガルを襲う。加減はない。受けそこねれば心臓を貫く一刀だ。
「よせ!」
 ルガルは腕に取り付けた爪でしのぎ、怒鳴りつけるように言った。
「戦う気はねぇ。特にお前とはな! 俺はあの霊玉が必要なだけだ!」
「手に入れたらまたいなくなるってのか!」
「ちがう!」
「ちがうってなら……あたしに見せてみせろ……!」
「何をだ!」
「それがわかりゃ苦労しないんだよ!」
 フィリンの剣がルガルの頬をかすめた。これまでにないことだった。
「……腕を上げたな、フィリン」
「アンタをぶっ殺すためだ!」
「言ってくれる」
 ルガルは唇を歪めたがそれもわずかなことだった。
 怪獣王女ドーラが霊玉を手にしたのである。
 その瞬間洞窟の崩落がはじまった。
「やった! コズミックエッグ!」
 勝ち誇るように腕をあげる王女のもとに、ビャッカは翼広げて急行し大きく踏みこんだ。
 もうためらっていられない。
 実家で最初に習った剣術だ。
「火の霊玉は渡さない! チェストォォォォーーーーーーーーッ!!!」
 全力で振り抜く。
 怪獣王女の胴を逆袈裟に斬りあげた。
 手から霊玉が飛んだ。
 ビャッカは手を伸ばしたが。先に落ちてきたのは落盤した岩だった。

◆IV
 エリカは岩に背をもたれさせ、夜空を見上げた。
「出口が近くて助かった。命があっただけでも僥倖と思うべきかしら」
 ああ、と貴人が応じた。仮面の右側が砕け片目がのぞいている。シュバルツに一撃を浴びたのだ。
「だが、ダメージは少なくないな」
 シャノンは大地に両手をついたまま黙っていた。
 アケルナーは半仮面をつけ、剣を杖のようにして立ちつくしている。
 ともに、呼びさまされた過去に耐えているのだ。
 リズリットの敵も自身の内側にいる。彼女は座りこみ、また激しくなった頭痛をこらえていた。
 ビャッカはまだ怪獣王女を探している。あるいはルガルを、シュバルツを。姿は見えない。霊玉も見つからない。
「勝敗は持ち越し、といった感じかな」
 クロスはつぶやくと、呆然とたたずんでいるフィリンを向いた。
「……なあ、フィリン君。前から思っていたが、あの男にどうしてそこまでこだわる? 彼が苦しんでいるのはいわば自業自得、それも元より誉められた人間でもない。学園でなら何とかできるとか、むきあえば改心してくれるだとか、そんなことでも期待しているのか?」
「いいえ」
 でも、とフィリンは言った。
「ルガルは、私の闇を知っているから」



課題評価
課題経験:144
課題報酬:3600
【メイルストラムの終焉】Red
執筆:桂木京介 GM


《【メイルストラムの終焉】Red》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2021-08-20 00:46:46
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

今回はできれば霊玉は学園で確保したいと思っているけれど、
状況や作戦次第では別の立ち回りになる可能性も考えてはいるわ。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 2) 2021-08-20 01:53:15
賢者・導師コースのリバイバル、クロス・アガツマだ。よろしく頼む。
洞窟の探索に、強敵との邂逅か……忙しくなりそうだ。

さて、複雑な状況ではあるが、どのように進めようか……?
怪獣王女、ルガルら、共闘するのか敵対して霊玉を手に入れるのか……

個人的には、怪獣王女に今のあいだだけ預けるというのもひとつの手かなと思う。
彼女が使い方を知らないなら、大事に持っておくように説得するのも不可能ではないだろう。
だがベストを求めるなら、やはり学園が回収すべきなのだろうね。
また、俺はルガル、シュバルツと共闘するのには反対に一票だ。

洞窟探索は、セオリー通りなら光源確保とマップ作製かな。
地図の製作は一応、俺が立候補しておこう。
戦闘に関してのことは基本方針が固まり次第決めるつもりだ。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 3) 2021-08-20 13:20:53
勇者・英雄コースのフィリンよ。ちょっと出遅れたけど、よろしく。

とりあえず怪獣王女を懲らしめて…ただ、他に霊玉を狙う者がいた場合ね、問題は
(ルガルとは因縁もあるし、まとめて味方に引き込めないかと思いますが、全体方針には従う感じで…殴り愛もやぶさかではないです)

《勇往邁進》 リズリット・ソーラ (No 4) 2021-08-20 21:25:36
魔王・覇王コースのリズリット、みんなよろしゅうね
敵がいつも通り単体やったらええねんけど…なんか嫌な予感するわ…

>霊玉
一番は学園が確保することなのは同意見…簡単に許してくれそうな相手やなさそうだけど
ええと、怪物王女?はうち初めて見るな…(報告書読みながら)
一番怖いのは裏で繋がってることやけど、あの王女さんそこまで考えてるんかな(失礼)

預けるかはともかく、うまいこと話を持っていって怪物王女と共闘するのはアリやと思う。
ルガルはどうやろなぁ…アイツ一人やったらそれなりに話できたかもしれないけど、あのひょろくて薄気味悪いのおるしな…

しかし洞窟。どんくらいの広さなんやろね
とりあえず光源になりそうなものはうちも持っていくで

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 5) 2021-08-20 23:12:18
やあ。私は勇者・英雄コースのアケルナー。よろしく頼むよ。

霊玉を学園が確保することが一番理想的なのには同意するよ。
仮に、預けるなり諦めざるを得ないとしても、できるだけ話が通じる相手に託しておきたい。そうなると、予想外の第三者よりは……噂の怪獣王女様の方が幾分はいいかもね。

(ルガルは本PC的には縁がありませんが、受けた恩に対しては律儀みたいですし、今回は共闘は避けた方がいいかと思ってます。拘束を解いたドクトラに恩を返したあとならいいでしょうが。)

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 6) 2021-08-21 00:01:39
確かに、怪獣王女とルガルの両方を同時に相手にするのは大変かもしれないわね。
妥協案として、どちらかと一時的にでも共闘するとしたら、わたしも怪獣王女の方がいいと思うわ。
わたしはルガルと何度か接触したことがあるけれど、彼を説得するのはかなり難しいし
他の人も警戒しているように、ドクトラ・シュヴァルツにかなり危険なものを感じるわ。

地図作製はクロスさんなら慣れているし、ぜひお願いするわね。

《虎児虎穴の追跡者》 シャノン・ライキューム (No 7) 2021-08-21 05:48:15
エリアルの教祖・聖職コースのシャノンです。よろしくお願いします。
研究チームの案内で、岩山の地下道を見つけ洞窟を探索するようですし、研究チームが同行する間は、研究チームの護衛も必要かもしれませんね。

人数的に、洞窟内は私達学生のみでの調査になるかもしれませんが。
さすがに8人以上で洞窟に入るのは、ちょっと動きづらい気もしますし。

光源の用意や地図作成も必要だと思いますので、アガツマ先輩に地図作成をお願いできると心強いですね。
他には、縦穴の移動があるかもしれませんしロープ等があるといいかも。

怪獣王女、ルガルと何者かからの妨害の際に、どちらかと一時的に手を組む必要に迫られたら……私も怪獣王女と手を結んだ方がよさそうに思います。
直接の面識はないので、報告書からの判断ですが、どちらも単独であれば、ある程度は話になると思います。
ですが、今回はルガル側に怪しい存在がついてそうですから。

《大空の君臨者》 ビャッカ・リョウラン (No 8) 2021-08-21 23:34:02
勇者・英雄コースのビャッカ・リョウランだよ。よろしくね。

探索については、私は護衛や警戒を担当しようかな。
キラキラ石を明かりに一緒についていくよ。

共闘についての判断は皆に任せる。
ただ、ルガル達との共闘は難しいかなと思ってるよ。
ルガル自身はともかく、ドクトラが怪しいからね。
少なくとも、怪獣王女みたいな面白理由じゃないだろうし、彼女の手に渡す訳には行かないかな。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 9) 2021-08-22 14:42:10
遅くなってすまない。
魔王・覇王コースの仁和だ。
よろしく。

霊玉の確保、それぞれとの共闘についてはほぼ皆と同じだ。
ただ、出来れば怪獣王女にも霊玉は渡したくはないな・・・
理由としてはルガルからドクトラに渡るであろうように
怪獣王女からドクトラ陣営に渡る気がしてどうもな・・・

共闘を持ち掛けるなら洞窟内で霊玉の確保をした後、ドクトラ陣営の手の届かない場所辺りで霊玉をかけて勝負とか条件が欲しいとは思う。


《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 10) 2021-08-22 22:19:57
ドクトラ・シュバルツに対する不安が最も大きな懸念なので、そちらを最大に警戒するけれど
怪獣王女もまだ味方と呼べるほどの関係ではないし、ともすればドクトラ・シュバルツに言いくるめられたり、
襲撃を受けて霊玉を奪われたりする可能性も十分想定できるものね……

優先順位として
1:最悪でもドクトラ・シュバルツ(とルガル)陣営には霊玉を渡さない。
2:ドクトラ陣営と怪獣王女の両方を同時に退けるのがきつく、やむを得ないと思われる場合は怪獣王女との共闘も検討する。
3:霊玉を怪獣王女に渡すかはまだ未定(できれば学園で確保はしたい)

こんなところかしら。

《虎児虎穴の追跡者》 シャノン・ライキューム (No 11) 2021-08-24 04:55:49
そうですね。優先順位としては、エルオンタリエ先輩が仰るような感じがいいと思います。
基本的には、霊玉は学園側で確保したいですしね。

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 12) 2021-08-24 07:49:17
私もエリカ君の優先順位に賛同するよ。
物が物だし、可能な限り霊玉は学園側で確保したいしね。

さて、そうなると……ドクトラと怪獣王女と同時に事を構えた際に、誰がどの対象を優先して相手にするかも考えておかないとね。
ルガルと怪獣王女に縁がある人が多いから、そちらにばかり集中して、ドクトラがフリーになってもいけない。

とりあえず、三つ巴の状況で交戦になったら、私はドクトラの相手を優先するけど、こいつはかなりの手練れだと思うから、単身では厳しいと思ってるよ。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 13) 2021-08-24 08:21:43
>ドクトラ
はっきりしないけど、ナゾークと同勢力の別派閥か、力だけを狙う第三勢力か…ってかんじなのかな。
危険なのは間違いないし、エリカの基本方針でいいと思うわ。

私はまぁ、ルガルの相手かな。今なら相性も悪くないし、力が戻ってても抑えきれると思う。

>怪獣王女の処遇
いっそこちらを引き込めないかしら?
エッグ(霊玉)の守護者ってことなら目的は一致するし、一緒に守ろうって感じにもっていけないかな。


《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 14) 2021-08-24 16:09:03
ルガルはパワーとスピードがあって接近戦が得意なタイプ。
怪獣王女は卵を使って各種モンスターを使役するテイマー型。
ドクトラ・シュバルツの能力はまだわかっていないから、充分警戒したいわね。
なんとなく毒や能力低下・精神攻撃などの、ねちっこいバッドステータス付与が得意そうなイメージだけど、
決めつけてかかるのも危険かもしれないわね。

>怪獣王女
あくまで、ドクトラ・シュバルツやルガルよりは話ができそうというレベルであって、
実際のところ、彼女は魔王の復活のためにコズミックエッグ(霊玉)を集めているのだから、
警戒は充分にしておかないと、後の憂いになると思うわ。
今回、協力体制をとれたとしても、それは明らかに危険なドクトラ陣営に
霊玉を渡さない為の一時的同盟であって、
怪獣王女との継続的な友好関係を築くには、さらなる機会を持って時間をかけていく必要があると思うの。
「魔王復活」を願いとする彼女と、今回だけで「仲間」となるのは難しいと思うけれど
軟着陸の為の準備をしていく事は今後のためになると思うわ。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 15) 2021-08-24 16:15:26
クロスさん:光源確保とマップ作製
フィリンさん:ルガル対応
ビャッカさん:護衛・警戒
アケルナーさん:ドクトラ・シュバルツ対応

わたしはドクトラ・シュバルツの対応に回るわ。
基本は後衛からの魔法攻撃や回復・支援を行うわね。

《勇往邁進》 リズリット・ソーラ (No 16) 2021-08-24 20:39:12
うちは…どないしよかな…
ドクトラ相手で思ったけど、人数偏りそうやったら他の対応に回るよ
とりあえず第一候補ってことで
ドクトラ…いや、意外となんか変な機械もって殴りにくるかもしれん……

《1期生》 アケルナー・エリダヌス (No 17) 2021-08-24 22:44:44
>怪獣王女
報告書を見た限りだと、彼女の目的は霊玉を集めて、魔王を復活させることみたいだよね。
その辺を考えると、完全に信用はできない。

私も、「ドクトラに渡すよりはまし」くらいに考えてたよ。

《虎児虎穴の追跡者》 シャノン・ライキューム (No 18) 2021-08-25 07:15:27
>応戦時
私は、特にどの相手を優先するかは決めず、負傷者への祈祷での回復を優先しますね。

>用意
キラキラ石等の光源は、アガツマ先輩とリョウラン先輩がご用意されるようですし、私は鉤爪付ロープ(大)を用意しておきますね。

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 19) 2021-08-25 19:47:21
うん……?待ってくれ、俺は地図製作には立候補したが、光源を持っていくとは言っていないはずだ。
空きがあればランタンくらいは持っていくが、これもそれもというのは流石に負担があるので本腰を入れての役割にはならないと思う……

ともあれ、基本方針は学園での霊玉確保に決まりのようだね。
もし共闘が必要な場合の、怪獣王女への説得内容については考えがある。
こちらでプランに書いてみるよ。説得はもちろん渡さない方向で進めるので安心してくれ。

では、俺は戦闘では魔導書による強化や魔法による攻撃など、後方支援を主軸に動こう。

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 20) 2021-08-25 22:45:25
>クロスさん
ごめんなさい。
光源確保の必要性を述べてくれていただけだったのね。
用意はビャッカさんがしてくれるようなので、そちらにお願いするわ。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 21) 2021-08-26 16:08:14
>怪獣王女の目的

あぁ、そうね…手に入れてそのまま守ってくれるだけ、ってわけはないわよね。
目的がはっきりしてるだけ与しやすくはあるけど、一時的な共闘までかな。
クロスが何か案あるなら、そっちは任せるわ。

そうすると当座で気になるのはドクトラ・シュバルツの目的ね。
分かってる事だけでも、ルガルの口から聞き出せればいいのだけど…