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吸血鬼さんを気軽に殺そう


ストーリー Story

 トロメイア。
 精霊の住む山とされるアルマレス山の麓に広がる街だ。
 アルマレス山の精霊たちを祀る神殿があり、観光客を多く迎え入れている。
 そのため、宿屋も多い。
 もちろん質はピンからキリまであり、素泊まり宿からスイートルーム完備の高級宿まで様々だ。
 その内のひとつ。
 超が付くほど高級な宿に、祖母と孫が泊まっていた。

「いよいよ時が来たのじゃ!」
「はぁ、そうですか」
 やたらとテンションの高い祖母【ヴィヴィ・ストーカー】に、孫娘である【カタリナ・ストーカー】はおざなりに応える。
「何でそんなに嫌そうなんじゃ」
「そりゃ嫌になりますよ」
 ため息をつくように、カタリナは返す。
「二千年前に封印された魔族が解放されるって古文書を見つけたから会いに行くって、どんな酔狂ですか」
「何を言う。浪漫じゃろう」
 楽しそうに言うヴィヴィ。
 元々は文学少女だったが、商才があるばっかりに一族の長として数十年を過ごし、後継者が育ったので後は趣味に生きる彼女としては、伝説の封印された魔族と会える機会を逃したくはないのだ。
 それに付き合わされるカタリナとしては、堪ったもんではないが。
(みんなで押しつけるし)
 父も母も伯父も伯母も兄×3も従兄弟達も、皆が良い笑顔で送り出した。
 げんなりとする孫娘に、ヴィヴィは言った。
「やる気を見せるのじゃ。なにしろ、ウチの一族にも関わりのある魔族なんじゃからの」
「本当ですか?」
 胡散臭そうに返すカタリナ。
 なんでも、当時の一族の長が契約し、今に至る繁栄の基礎を築いたという話が残っているというのだが、カタリナは本気にしてない。
(どうせ箔をつけるために作り話だろうし。それに万が一にも本当の話として、封印されるような魔族に会いに行くってどういう神経なのよ)
 心底乗り気でないカタリナ。しかし――
「さぁ、行くのじゃ!」
「はぁ……」
 なんだかんだで祖母が心配なカタリナは、ため息をつきながら連いていくのだった。

 そして今、封印場所に2人は辿り着いた。

「……これ、マジ物じゃないですか」
 緻密な魔法陣の中央に鎮座する魔法石を前に、カタリナは引きつった声を上げた。
「最初からそう言っとるじゃろ」
 平然と返すヴィヴィ。
 2人が居るのは、アルマレス山の裾野に作られた地下建造物の中だ。
「ここまで連いて来たんじゃから腹を括れば良いじゃろ」
「途中から止めたのに言うこと聞かなかったじゃないですか!」
「こりゃ引っ張るな。ここまで来て会わずに帰れるか」
 2人がもみ合っていると、突然魔法石に罅が入る。
「おおっ、復活の時じゃな」
「ああああっ、手遅れだったー!」
 喜ぶヴィヴィと慌てるカタリナ。
 対照的な2人を前に魔法石は完全に砕け、そこから灰が零れ落ちて来たかと思うと、あっという間に人の形を取った。
「我輩、復活である!」
 現れたのは、黒マントを羽織った男。その姿は――
「なんかしょぼい?」
「えらく痩せとるのぅ」
 カタリナとヴィヴィの言う通り、貧相な姿をしていた。
 それを聞いた男は――
「ガハッ!」
 精神的ダメージを受けて死んだ。
「なんでー!?」
「言葉のナイフが刺さったからだー!」
「一瞬で復活するのぅ」
 死んで灰になってから、すぐさま復活した男に、ヴィヴィは近付くと――
「てぃ」
「ぐはっ!」
 ちょっぷを叩き込んでサクッと殺す。
「なにをするー!」
 すぐさま復活して突っ込む男。
「面白そうじゃったから」
「そんな理由で気軽に殺すなー!」
「ちょ、おばあさま」
 男からヴィヴィを引き離すカタリナ。
「挑発しないで下さい。危ないですよ」
「そうかのぅ」
「……いや、それは、まぁ、そうかもしれないですけど。でも封印されてた魔族であることは変わらないんですよ。今の内に逃げましょう」
「ふははははーっ! 正しく我輩を畏れておるようだな! 感心感心。その心意気を見込んで、復活後の眷属第一号にしてやろう」
「えっ、て、いやーっ!」
「ぐえっ!」
 いきなり近づいてきた男に驚いてカタリナが突き飛ばすと、死んで灰になる。
 すぐに復活したが。
「そこまで嫌がることは無かろう。思わず死んでしまったではないか」
 突き飛ばされるより、そっちの方がダメージが大きかったようである。これにヴィヴィは――
「いきなり抱きつこうとして来たんだから当たり前じゃないですか!」
 涙目で言った。
 これに男は怯んだ様子を見せると、言い訳がましく返す。
「抱き着くなど破廉恥なことをする気は無いぞ。ただ我輩は、血を吸って眷属にしようとしただけだ」
「血を吸うって、やっぱり変態――」
「違うぅ! 我輩は吸血鬼だから血を吸って眷属にしようというだけだ!」
「エロい魔族じゃのぅ」
「誰がだー!」
 ヴィヴィに突っ込むと、男は自分を落ち着かせてから言った。
「とにかく、お前達は何だ。この場所を知っているということは、【ブラム・ストーカー】の子孫だろう」
「おばあさま、誰です?」
「ウチの一族の初代じゃな。夜天覇道(ナイトウォーカー)の威名を持った血の魔族、吸血鬼【アーカード】の眷属となった方じゃ」
「夜天覇道って、これが?」
「指を指すなー!」
 涙ぐむ吸血鬼、アーカード。
「おのれ、また勢いで死ぬところだったぞ」
「貧弱すぎる」
「何でそこまで弱体化しとるんじゃ」
「そんなもの、封印され続けていたからに決まって――って、ちょっと待て。今はいつだ? 魔王が封印されてから百年後に起こしに来いと、ブラムには言っておいたはずだが」
「え? 百年じゃなくて二千年経ってますよ」
「長すぎるわー! どんだけ放置されとるんだ我輩!」
「それには理由があるのじゃ」
 ヴィヴィは、キリっとした顔で言った。
「預かっておった財宝を横領して商売の元にしたので気まずくなったのじゃ」
「何やっとんだアイツはー!」
 頭を抱えるアーカード。そして――
「ええい、このままここに居ても埒が明かん。外に出て眷属募集を掛け、血を吸って力を取り戻してくれる」
 そう言うと、霧に変わり外へと出ていく。
「おばあさま、どっか行っちゃいましたよ。どうするんです」
「見なかったことにするかのぅ」
「いやダメでしょそれ! 何かあったらウチの一族のせいになるんですよ!」
「大丈夫じゃと思うがのぅ」
「ダメですよー。あああ、こういう時は……そうだ、学園。学園に頼めばどうにかしてくれるかも!」
 藁をも掴む気持ちで、一縷の望みを掛けるカタリナだった。

 そして、ひとつの課題が出されることになりました。
 内容は、封印されていた血の魔族、吸血鬼アーカードが解き放たれたので、どうにかして欲しいというものです。
 話を聞くと、アーカードはトロメイアの街に度々表れては、眷属にならないかと誘いをかけてるようです。
 その度に拒否されて死んでいるようですが。
 話を聞けば聞くほど、問題ないんじゃないかと思えてきますが、すでに依頼料という形で学園に多額の寄付がされているので、何もしないわけにはいきません。
 現地に訪れて、アーカードと接触してきてください。


エピソード情報 Infomation
タイプ ショート 相談期間 6日 出発日 2021-12-11

難易度 普通 報酬 通常 完成予定 2021-12-21

登場人物 8/8 Characters
《光と駆ける天狐》シオン・ミカグラ
 ルネサンス Lv14 / 教祖・聖職 Rank 1
「先輩方、ご指導よろしくお願いしますっ」 真面目で素直な印象の少女。 フェネックのルネサンスで、耳が特徴的。 学園生の中では非常に珍しく、得意武器は銃。 知らない事があれば彼女に訊くのが早いというくらい、取り扱いと知識に長けている。 扱いを知らない生徒も多い中で、その力を正しく使わなくてはならないことを、彼女は誰よりも理解している。 シオン自身の過去に基因しているが、詳細は学園長や一部の教員しか知らないことである。 趣味と特技は料理。 なのだが、実は食べるほうが好きで、かなりの大食い。 普段は常識的な量(それでも大盛り)で済ませているが、際限なく食べられる状況になれば、皿の塔が積み上がる。 他の学園生は、基本的に『○○先輩』など、先輩呼び。 勇者の先輩として、尊敬しているらしい。 同期生に対しては基本『さん』付け。  
《グラヌーゼの羽翼》エリカ・エルオンタリエ
 エリアル Lv33 / 賢者・導師 Rank 1
エルフのエリアル。 向学心・好奇心はとても旺盛。 争い事は好まない平和主義者。(無抵抗主義者ではないのでやられたら反撃はします) 耳が尖っていたり、整ってスレンダーな見るからにエルフっぽい容姿をしているが、エルフ社会での生活の記憶はない。 それでも自然や動物を好み、大切にすることを重んじている。 また、便利さを認めつつも、圧倒的な破壊力を持つ火に対しては慎重な立場を取る事が多い。 真面目だが若干浮世離れしている所があり、自然現象や動植物を相手に話しかけていたり、奇妙な言動をとることも。 学園へ来る前の記憶がないので、知識は図書館での読書などで補っている。
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《虎児虎穴の追跡者》シャノン・ライキューム
 エリアル Lv11 / 教祖・聖職 Rank 1
エルフタイプのエリアル。 性格は控え目で、あまり声を荒げたりすることはない。 胸囲も控え目だが、華奢で儚げな外見のせいか、人目を惹きやすい。 本人は目立つことを嫌うので、服装は質素で地味なものを好む。 身長は160センチほど。 学園に来る前は、叡智を司る神の神殿で神職見習いをしていた。 叡智神の花嫁と言われる位に、叡智神の加護を受けていると言われていたが、何故か、 「その白磁の肌を打って、朱く染めたい」だの、 「汚物を見るような目で罵って下さい!」だのと言われたり、 孤児院の子供達から、流れるようなジェットストリームスカートめくりをされたりと、結構散々な目に遭っている。 最近では、叡智神ではなく「えぃち」ななにかに魅入られたのではと疑い始めたのは秘密。 学園に腹違いの妹が居るらしい。
《ココの大好きな人》アンリ・ミラーヴ
 ルネサンス Lv18 / 教祖・聖職 Rank 1
純種が馬のルネサンス。馬の耳と尻尾を持つ。 身長175cm。体重56kg。 16歳。 性格は温厚。 あまり表情を変えず寡黙。 喋る際は、言葉に短く間を置きながら発していく。 少しのんびりした性格と、言葉を選びながら喋るため。 思考や文章は比較的普通に言葉を紡ぐ。 表現が下手なだけで、年相応に感情は豊か。 好奇心も強く、珍しいものを見つけては、つぶらな瞳を輝かせながら眺めている。 群れで暮らす馬の遺伝により、少し寂しがり屋な面もある。 やや天然で、草原出身の世間知らずも合わさって時折、突拍子の無い発言をする。 好きな食べ物はニンジン。 食べていると美味しそうに目を細めて表情を和らげる。 趣味はランニング。運動自体を好む。 武術だけは、傷付ける行為を好まないため苦手。 入学の目的は、生者を癒し死者を慰める力を身に着ける事。
《新入生》キィ・トリークル
 ヒューマン Lv8 / 賢者・導師 Rank 1
「困ったことがあれば、ウチに相談するといいのだ!」 ■容姿■ 見た目:幼女 髪:ショートヘア ■性格■ ・長所 元気で明るい性格。好奇心旺盛。 人懐っこく、誰とでもすぐ打ち明けられる。 大人の知識をさらっと当たり前の様に語る。 ・短所 承認欲求が強く、 自分が必要とされない事を何よりも恐れる。 自分で自分の価値が分からない他者準拠な悲しい性格。 年相応の子供っぽいところ。 ■口調 ちょっと片言の様な幼い口調で話す。 話し方は偉い人であっても基本変わらない。 ~なのだ(口癖) 二人称:名前、お前(敵に対して) ■サンプルセリフ ・ウチはお腹が空いたのだ ・これが本末転倒というやつだな ・これ、知ってるか? ・気分いいな!
《剛麗なる龍爪龍翼》カゲトラ・トウジロウ
 ドラゴニア Lv9 / 村人・従者 Rank 1
「炉の炎が如く、我の血も滾っておる」 筋肉質な巨躯が目を惹くドラゴニアの女性。 鋭い目つきと古めかしい口調が印象的。 正式な名前表記は藤次郎景虎。 現役の刀工であり、武具甲冑の職人。 代々、鍛冶製錬を生業としてきた由緒あるドラゴニア一族の長女であり、その技術の後継者。 炎の加護を受けた種族であるため、武具づくりに欠かせない炉に灯る炎を神聖なものとして崇めている。 幼少から鍛冶職人としての技術を学び、現在に至るまでの長年に渡って炉の炎を近くで見てきたせいか実は目が悪い。 そのため、勉学の場では眼鏡を掛けている。 戦闘にはあまり影響はない。 体格のせいで時々、武神・無双コースや魔王・覇王コースの生徒と間違われる。 身長は約2メートル。 発達した筋肉は幾万回も鉄塊や金床に向き合った結果、自然と身についたもの。 外見よりも実年齢は数十年ほど上。 趣味は作刀や工芸製作。 好きなものは風呂(高温下で仕事すると汗をかく為)
《熱華の麗鳥》シキア・エラルド
 ヒューマン Lv25 / 芸能・芸術 Rank 1
音楽と踊りが好きなヒューマンの青年 近況 自我の境界線が時々あやふやになる みっともない姿はさらしたくないんだけどなぁ 容姿 ・薄茶色の髪は腰の長さまで伸びた、今は緩く一つの三つ編みにしている ・翡翠色の瞳 ・ピアスが好きで沢山つけてる、つけるものはその日の気分でころころ変える 性格 ・音楽と踊りが大好きな自由人 ・好奇心>正義感。好き嫌いがハッキリしてきた ・「自分自身であること」に強いこだわりを持っており、自分の姿に他者を見出されることをひどく嫌う ・自分の容姿に自信を持っており、ナルシストな言動も。美しさを追及するためなら女装もする。 好きなもの 音楽、踊り、ともだち 苦手なもの ■■■■、理想を押し付けられること 自己犠牲 二人称:キミ、(気に入らない相手)あんた 初対面は名前+さん、仲良くなると呼び捨て

解説 Explan

●目的

トロメイアの街に出没するアーカードと接触する。

どのように接触して、どのような会話や行動をするか、プランにお書きください。

あくまでも接触できれば成功以上になります。なので捕まえたり出来なくても失敗になりません。

ちょっとしたことですぐ死ぬので、気軽に殺しても良いです。どうせ、すぐ復活します。 

●場所

トロメイアの街。

精霊信仰が篤い観光名所。

さまざまな商店が立ち並ぶオクトー広場や、オクトー広場に面した一等地にあるトロメイア大劇場。

各種族の居住地が連なる八色通りなど、様々な場所に出没します。

プランで好きな場所を書いていただければ、そこで接触したことになります。

●NPC

アーカード。

血の魔族。吸血鬼。

ちょっとしたことですぐ死んで灰になります。でもすぐ復活します。

性格は、基本紳士ですが、言動が大仰です。

ナンパするみたいに、眷属にならないか声を掛けてますが、尽く拒否られて死んでます。

ヴィヴィ・ストーカー

依頼人。富豪。

適当に封印を解きに向かったように見えるが……?

関わっても良いですし、関わらなくても良いです。

必要な物があれば、用意してくれます。

カタリナ・ストーカー

依頼人、その2。

祖母に振り回されている。

関わっても良いですし、関わらなくても良いです。

必要な物があれば、用意してくれます。

●PL情報

アーカードは、捕まえることは出来ません。

今後、他のエピソードで出て来る可能性があります。

かつて、魔王とは敵対していました。

以上です。


作者コメント Comment
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。

今回は、すぐに死ぬ吸血鬼のアニメが面白いので、ネタにしたいと思って作ったエピソードです。

なので、アーカードは気軽に殺して下さい。ギャグキャラ補正で、すぐに復活しますので問題ないです。

それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリザルトに頑張ります。


個人成績表 Report
シオン・ミカグラ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
む、難しい課題だと思って準備万端で来たのですが……

私はとにかく地道にトロメイアを聞き込みをして回ります
話しかけられた方に、いつごろ話したのかを教えてもらい、そこからどのあたりに向かったのかを推測して追いかけましょう

って、なんかいるー!?

一応、血を吸うのは眷属になるか聞いてからなんですね……
そして受け入れてもらえることを前提として声を掛けている……な、何なんでしょうあの謎の自信は!

アーカードさんに聞いてみたいことは……吸血鬼以外の他の魔族の種類です
随分長生きな方のようですし、魔王そのものを見たことがあるかもしれません。それも尋ねます

……え?私から、匂いが……?

て、てーいっ!(ぽこっとチョップ)

エリカ・エルオンタリエ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
個人的には魔族とはいえ、何をしたかもよくわからないのに殺すというのは
どうかと思うので、とりあえずの所は口頭で説得して確保を試みる
拒否されたり抵抗された時は、周囲への被害や影響をみて、やり過ぎない程度に対応

一般の人を襲うなどの実害が出ていなければ、穏やかに学園への同行を求める
逆に無闇に殺傷されるようであれば、かわいそうなので助けようとする
本来の目的は確保であって討伐ではない
(過去の罪状などについてはきちんと取り調べしてから裁くべき)

魔王や魔族についていろいろ知っているのではないかと思われるし
何とか仲良くなって、これからの魔王軍とのやり取りに生かしたい

他参加者やNPCとの絡み・アドリブは大歓迎です

仁和・貴人 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:144 = 60全体 + 84個別
獲得報酬:3600 = 1500全体 + 2100個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
トロメイアの街に魔族が出現したらしいな・・・
何でもの魔族、眷属を増やそうとしてるとか
・・・ふむ、戦力の差でこちら側が不利になってもいけないし相手の邪魔をするという意味合いでもこちらも部下取に動くとしよう

オクトー広場などの人が集まるところで活動してればそのうちかち合うんじゃないか?

どうにかしてくれって言われても、な
・・・どうしよう?
取り敢えず本人と接触出来たら話を聞いてそれから考えよう

アドリブA 絡み大歓迎

シャノン・ライキューム 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
吸血鬼と接触し、なんらかの対処をする

◆心境
実際に誰かに被害を与えてるなら放置はできませんが、その辺はどうなのでしょう?
問答無用で倒すのは、個人的にはちょっと乱暴にも思えますし

◆聞き込み
トロメイアの街の聖堂等で聞き込み
相手が吸血鬼ならば、高位の聖職者は対処を心得てるでしょうから……被害者からの相談等を聞けるかも

◆接触
聖堂で情報収集したら、仲間との合流を急ぐために、聖堂の周りの墓地を抜けて街へ……こ、こんなところで吸血鬼と鉢合わせたりしませんよね?

もし……吸血鬼と遭遇し、その場に一般人が居たら、庇うように一歩前へ
なるべく戦いは避け、吸血鬼の目的や眷属を増やす手段、眷属を増やし何をするか尋ねて

アンリ・ミラーヴ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
アーカードさんと会って、ヴィヴィさんの元へ戻るように説得する。
夜のオクトー広場で探し回る。
時々は通行人に声をかけ、変な吸血鬼を見かけませんでしたか、と尋ねる。
目撃談も参考に、アーカードさんを見つけたら。
身代わりうさぎ・改を、俺の胸の前に掲げながら近づく。
裏声で「ぬいぐるみのパノン」になりきって会話する。
アーカードさんから突っ込まれたら普通に話す。
眷属に誘われたら「嫌です」と即答、死んだら慌てて復活呪文をかける。
彼が復活すれば、凄い吸血鬼だと聞いてます、封印される前の過去の話、たくさん聞かせてください、酒場でお酒を飲みませんかと誘う。俺の奢り。
泥酔や寝るまで飲ませてから、連れ帰りたい。

キィ・トリークル 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
「大人がウチをナンパするとは…。もしかしてアーカードはロリコンなのか?」


飲食店前でアーカードと接触する。
とりあえず初めは警戒し、異世界の「いかのおすし」防犯標語を実行する。
アーカードは分からないと思われるので解説もする。

声を掛けられてもお腹が空いてるので、
話半分に聞き、相手が紳士気取りなのを良いことに奢ってもらう。
奢ってもらうのはにんにくマシマシ料理。

お冷と称して聖水を飲ませ、
奢ってもらう代わりと言って十字架のペンダントをあげ、
最後にお勧めのにんにくマシマシ料理を食べさせる。

死なせてしまうかもだけど、
漫才の様にアーカードを弄られキャラの様ないろんな突っ込みを引っ張り出す。


カゲトラ・トウジロウ 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ふゔむ、魔族か……
個人的に思うところがあってな

我は龍の翼で飛翔し、高所より吸血鬼を探そう
一致団結も心得て、他の学園生とも連携を強めることでアーカードとやらを追う

奴が灰になったら……そこに水を加えてよく練る
そして形を整え、プチヒドで熱を通すことで、壺を作り上げよう
うむ、好い出来栄えだ

気を取り直し、質問に移る
アーカードとやら、ぬしに聞きたいことがある
ワームという魔族についての情報を知りたい。我の一族の仇が使っていた武器にはその邪悪な力が込められていた……
もちろん、他の魔族のことも話せよ
あの魔銃の男……ひいてはそれを動かしていた魔王軍は一切の余地すらなく敵だと断じておる

シキア・エラルド 個人成績:

獲得経験:72 = 60全体 + 12個別
獲得報酬:1800 = 1500全体 + 300個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
またトンチキな魔族が…え、魔族?吸血鬼?
何やら事情がおありなようで、おかね貰ってるなら仕方ないねぇ!

とりあえず騒ぎがないかパトロール
劇場付近を聞き込み
発見次第接近、周辺の住民に危害がないなら様子見を
いやいや、流石にすぐに死んじゃうだなんてそんな…
ウッソ本当に死んでる……たいりょく低すぎない?

眷属?やだ(笑顔)
だって、顔が好みじゃないんだよねー
あっ間違えた、怪しい人の誘いに乗る訳にはいかないからね

ところで真面目な話、何が目的?
眷属=操るってわけじゃないよね、どこぞの仮面みたく
ただ奇行()を繰り返してるだけなら…まぁ、厳重注意?

リザルト Result

 依頼人の【ヴィヴィ・ストーカー】と【カタリナ・ストーカー】から詳細を聞き、皆は【アーカード】を探すことにした。

(何をしたかもよくわからないのに殺すのは、ちょっと……)
 依頼人から「気軽に殺しても大丈夫」みたいなことを言われた【エリカ・エルオンタリエ】だが、気が引けている。
(本来の目的は確保であって討伐ではないし。もし過去に罪を犯していたとしても、きちんと取り調べしてから裁くべきよ)
 博愛主義なエリカとしては、平和的解決を求めて動いていた。とはいえ――
(どこに行けば見つかるかしら?)
 少し考えて決める。
(吸血鬼なのだし、無警戒な振りで一人で人気のない所をうろつくとかすれば、血を吸いに現れるかしら?)
 あえて裏通りをひとり歩いていると――

「我輩の眷属になるがいい!」
「なにこいつキモい」
「がはっ!」

 勧誘を拒否られ気軽に死んでるアーカードを発見した。
「大丈夫!」
 慌てて灰になったアーカードに駆け寄るエリカ。
「生命の息吹で回復を――」
 にゅにゅにゅ、と一瞬で復活するアーカード。
「ふぅ、助かったのである。レディ、礼をせねばならぬな」
 そう言うと掌に魔力を込める。
「ぐおおおおっ!」
 やたらと力んで、ぽんっという音と共に一本のバラを出しエリカに渡した。
「ほんの、げふ……礼なのである、ぐふ」
 息切れして力尽き死ぬアーカード。
 慌てて回復するエリカ。
 改めて礼を言うアーカード。そこから眷属勧誘をされる。
「眷属ですか?」
(このまま話をしていけば良いかも)
「あの――」
 上手く会話が出来そうなので、エリカが返事をしようとした時だった。

「あいつです。なんかキモいの」
「分かりました」
「おい、女性に迫ってるぞ」

 先程アーカードの眷属勧誘を拒否した女性が、街の警吏を連れて来た。
「待って。その人は――」
「我々が来たからには大丈夫です!」
 エリカは止めようとするが、会話のすれ違いがあり――
「ぎゃー!」
 捕縛のショックで死んで灰になるアーカード。 
 しかも強風でどこかに飛ばされる。
「待って!」
 慌てて追うエリカだった。

 殺す気が無くてもサクッと死ぬアーカード。
 彼を【仁和・貴人】も探していた。

「どうにかして下さい」
「いや、そんなことを言われてもな……」
(……どうしよう?)
 カタリナに頼まれ、貴人は内心困る。 
 しかしそこは魔王・覇王コースを専攻している貴人。
「眷属を集めているようだから、人が集まるオクトー広場に行こう」
 出来るだけ威厳を滲ませながら言った。
「向こうが眷属募集をするなら、こちらは部下取りで先手を打つ。相手の邪魔が出来て、こちらは戦力が上がるので一石二鳥だ」
「……はぁ」
 微妙に、なんて返して良いのか悩むカタリナ。
 一方、ヴィヴィは乗り気だ。
「おおっ、対決じゃな」

 という訳でオクトー広場に赴くと――

「我輩の眷属にならぬか」
「何このオッサンキモい」
「ぐふっ」
 言葉のナイフでサクッと死んでるアーカードを発見。
「あんたがアーカードか」
「む、汝は一体?」
 貴人は状況を説明。
「――というわけだ。だから」
「ふふっ、よかろう」
「ああ、勝負だ」
 2人で道行く人達に声を掛け始めた。結果といえば――

「え、やだ」 
「人を待たせてますから」

 全滅であった。
「何故だ」
「もっと回数こなせば……」
 仲良く落ち込む2人。
 そこにカタリナとヴィヴィの突っ込みが入る。
「2人とも紳士的なのは良いんですけど、押しが強いようで待ちに徹しているというか」
「というよりキャラ作ってる感が伝わって来るのぅ」
「がはっ!」
 言葉のナイフで死ぬアーカード。
「くっ」
 精神的ダメージを受ける貴人。
「これは引き分けであるな」
「ああ、そうだな」
 微妙に共感めいた物を感じる2人。
 それを頼りに、貴人は情報を引き出すために話をする。
「あんたが魔王をどう思ってるか教えてくれ」
「ふむ……今の世の話をしてくれるなら教えよう」
 ということで、貴人は先に伝える。
「――ということになってる」
 話を聞き、アーカードは応える。
「我輩、魔王にムカついたので喧嘩売ったのである。他の魔族にも居るぞ」
「そうなのか?」
「魔王信仰者のように完全服従も居たがな」
「それは――」
 より詳しく聞こうとした、その時。
「カア」
 ざく。
「ぎゃあ!」
 突如飛んで来た鴉に嘴で刺されて死ぬアーカード。
 灰になり、飛んでいくのだった。

 その頃、アーカードを探していた【キィ・トリークル】は、お腹を空かせていた。

「見つからないのだ……」
 張り切って探していたキィだが、ついつい飲食店に足が向く。そこに――
「そこな少女よ。我輩の眷属にならぬか?」
 声を掛けて来るアーカード。
「不審者なのだー!」
「待つのだ少女よ!」
「待たないのだ。こういう時は『いかのおすし』なのだ」
「なんだそれは」
 異世界の知識を披露するキィ。
「――というわけなのだ。だから不審者には大声を出すのだ」
「我輩不審者ではないぞ。夜天覇道アーカード。眷属募集中なだけである」
(アーカード。見つけたのだ)
 相手が誰か分かったので、学園生として行動するキィ。
「眷属って、なんなのだ?」
 まずは情報を引き出すキィ。応えるアーカード。
「我輩の一族になるということだ」
「それってナンパなのだ。大人がウチをナンパするとは……。もしかしてアーカードはロリコンなのか?」
「ロリコン!」
 ショックで死ぬアーカード。
「くっ、少女よ。違うことを証明するためにも、我輩の眷属にだな――」
 灰から復活しながらアーカードが勧誘していると――
「それならご飯を食べながら話を聞くのだ」
「ふはははっ、よかろう。幾らでも食べるがよい」
 手ごろな食堂に入ると、キィが注文する。
「何を注文したのだ?」
「お勧め品なのだ。それより、これあげるのだ」
 カタリナに用意して貰っていた聖水を渡す。
「おお、貰うとしよう――がはっ!」
 飲んだ途端死ぬアーカード。
「こ、これは聖水。これで死ぬとは我輩貧弱すぎる」
「聖水は効果ありなのだ」
「何をメモってるのだ少女よ!」
「細かいことはいいのだ。それより料理が来たから一緒に食べるのだ」
「ふむ、いただき――ってこれは大蒜ぐふっ!」
 サクッと死ぬアーカード。
「これも効果あり。あとは十字架なのだ」
 死なないアーカード。
「し、少女よ。我輩弱ってるから聖水と大蒜は効くが吸血鬼だから効くわけではないのだぞ。特に十字架は――」
「リアクションがなってないのだ」
「ぎゃー!」
 ぽすっと軽くチョップの突っ込みを入れられ気軽に死ぬアーカード。
 その後復活するも金が無かったので店で皿洗いをさせられる。
 洗い終わり疲れて灰になり、そのまま風に飛ばされていくのだった。

 その頃、【シオン・ミカグラ】は【カゲトラ・トウジロウ】と連れ立ってアーカードを探していた。

「難しい課題だと思って準備万端で来たのですが……それほど警戒しなくてもいいかもしれませんね」
 同期生ということもあり仲良くしたいシオンは、積極的に話し掛けていた。
 これにカゲトラは応える。
「ふうむ、魔族か……」
「どうかしたんですか?」
「思うところがあってな」
 声音は平静とした物だったが、含む物がある気がする。
(なにかを、知ってらっしゃるんでしょうか?)
 シオンは気になったが、踏み込んだことを訊くのは気が引けるので、課題に話を戻す。
「私はとにかく地道に、トロメイアで聞き込みをして回りたいと思います。カゲトラさんは、どうしますか?」
「我は龍の翼で飛翔し、高所より吸血鬼を探すとしよう。近くに学園生が居れば知らせることも出来るからな」
「では、手分けして探しましょう」

 別れて探していき、龍の翼を使い上空から見て回っていたカゲトラが先に見つけた。

「ふむ、アレだな」
 女性に声を掛け断られショック死してるアーカードを見つけ、背後にカゲトラは降り立つ。
「おい」
「ぐおっ!」
 逃げられない様、少し強めに肩を掴んだだけで死ぬアーカード。
 ふわさっと、地面に灰となった。それをカゲトラは見て――
(これは!)
 職人としてのインスピレーションが刺激された。
「……視えた!」
「なにをす――ぎゃー!」
 カゲトラは、カタリナが念のためにと渡してくれた聖水を灰となったアーカードにぶっかけた。
 しっかり水を吸った所で、よく練る。
「ああぁぁ」
 灰のまま声を上げるアーカードだったが、集中しているカゲトラは気にしない。
 練り上げた灰をプチヒドで焼く。
「あっっついー!」
 なんていうことでしょう。
 あっという間に見事な壺が出来ました。
「これが、我輩」
 まんざらでもないアーカード。
「うむ、好い出来栄えだ」
 満足するカゲトラ。
 突っ込み不在の所に、途中でカタリナ達と合流したシオンが駆け寄った。
「カゲトラさん、見つけたんですか――って、なんかいるー!?」
「ふはははーっ! ニューマイボディの素晴らしさに眷属になりた――ぐあっ!」
 壺のまま駆け寄ろうとしてこけて割れ灰になるアーカード。しかし――
「復活。さあ眷属になりたいのならこちらに来るのだ」
 さらっと復活し、眷属勧誘してくる。
「一応、血を吸うのは眷属になるか聞いてからなんですね……」
 断られるとは思ってないアーカードに力が抜ける。
「受け入れてもらえることを前提として声を掛けてるみたいですけど、何なんでしょうこの謎の自信は」
 害が無さそうなので、ひとまず捕縛は止め話をする。
「吸血鬼以外の他の魔族の種類のことを教えてくれませんか? それと魔王の事も知っていれば教えて欲しいです」
 シオンに続けるようにしてカゲトラも問い掛けた。
「我も訊きたい。ワームという魔族についての情報を知りたい。我の一族の仇が使っていた武器にはその邪悪な力が込められていた……」
「虫の魔族のことか?」
「知ってるのか!?」
「虫の姿と人の姿の両方が取れる魔族だぞ。気の良いのもいるが、毒や呪いが得意で性格悪いのもいるな。ワームがどうかしたか?」
「我の一族の仇である、あの魔銃の男……ひいてはそれを動かしていた魔王軍は一切の余地すらなく敵だと断じておる」
 その時のことをカゲトラは話し、シオンは血の気が引く。すると――
「むっ、汝は……すこーしだが匂うな」
「……え? 私から、匂いが……?」
 シオンにしか聞こえない小さな声でアーカードは言った。
「ワームの血の匂いだ」
 そしてお茶らけた声で続ける。
「まっ! 我輩ほどの吸血鬼にもなればこの程度わかってしまうのであるなー!」
「て、てーいっ!」
 ぽこっとチョップで死ぬアーカード。
「うわ最低……女の子に匂うとかいうから……」
「アホーッ! そういう意味ではないわー!」
 カタリナの突っ込みに反論するアーカード。
 そこにカゲトラが声を掛ける。
「おい吸血鬼、シオンと何を隠れるように話している」
「秘密であるー!」
 逃げ出すアーカード。
「待てー」
 追いかけるカタリナ。
 同じように追いかけようとするカゲトラに、シオンは振り絞るような声で言った。
「私の父は、魔王軍についていました。なので、おそらくは魔族との繋がりが……」
「……」
「カゲトラさんが言っていたのも、たぶん父のことです……」
「……そうか」
 問い質すよりも課題遂行を優先し、カゲトラはシオンと共に走り出した。

 そしてアーカードが逃げ回っている頃、【シャノン・ライキューム】は教会に向かっていた。

(相手が吸血鬼ならば、高位の聖職者は対処を心得てるでしょうから……被害者からの相談等を聞けるかも)
 シャノンとしては問答無用で討伐する気は無いので、その辺りの情報も手に入ればと思っている。
(実際に誰かに被害を与えてるなら放置はできませんが、そうでないなら)
 平和的解決も考えながら向かうと先客がいた。
「カタリナさん?」
 声を掛けると状況を説明してくれる。
「血を吸いに来るような変態を撃退できますようにって祈りに来たんです」
 切実に祈っていた。
(……何だか、他人じゃないような)
 親近感を抱いたシャノンは、一緒に行動することにする。
「情報も手に入りましたから、皆さんと合流しましょう」
 教会主から話を聞き、近道するために墓地を横切る。
「……こ、こんなところで吸血鬼と鉢合わせたりしませんよね?」
「え……」
 シャノンの言葉に無言になるカタリナ。そこに――
「我輩参上!」
 突然現れるアーカード。
 シャノンはカタリナを守る様に前に出る。
「近付かないで下さい」
 その時、周囲の木の枝で少し肌を切ってしまう。するとカタリナが心配して言った。
「気をつけて! 血が落ちるのを待って口を開けてるかも!」
「我輩を何だと思ってるのだ!」
 ショックを受け軽く死ぬアーカード。
 復活すると、シャノンの傷を癒す。
「こ、これで、がふ、傷跡も、残らんはずである、げふ」
 軽い傷口を癒すだけでサクッと死ぬアーカード。
(悪い人ではないんでしょうか?)
 気になったシャノンは尋ねる。
「眷属にする方法と、眷属にしてどうするか教えて貰えませんか?」
「我輩が血を吸って相手が我輩の血を飲めば契約できるぞ。眷属が増えれば我輩の力も増すので魔王に喧嘩を売るのである」
「血を吸って、飲ませるんですか……」
「そうである。とはいえ――」
 シャノンを見詰めながら続けて言った。
「神に愛された穢れのない乙女の血……まさに甘露! 眷属にしたいが、眷属にしたら二度と味わえないのが悩みどころである」
 これにカタリナが物理的突っ込みを入れた。
「やっぱり変態じゃないですか!」
「ぎゃー!」
 聖水入りの瓶を叩きつけられ死ぬと、灰になり強風で飛ばされるのであった。

 風に飛ばされたアーカードは劇場付近で復活。
 それを近くでパトロールしていた【シキア・エラルド】が気付いた。

(あれが、そうだよね?)
 聞いていた風体と合っているので確認することにする。
(周囲に危害を加える気は無いみたいだけど)
 いつでも駆け寄る体勢を取りながら様子を見ていると――

「そこな娘よ。我輩の眷属にならぬか?」
「何このキモいオッサン」
「がはっ」

 眷属勧誘を断られ死ぬ。
「ウッソ本当に死んでる……」
 灰になったアーカードに近付き、呆れたように呟くシキア。
 その前で、にゅにゅにゅ、と復活するアーカード。
「簡単に生き返るんだ……ちょっと話を聞きたいんだけど」 
「むっ、さては追手であるな」
 シキアに声を掛けられ逃げ出すアーカード。
 しかしすぐ息切れして死ぬ。
「たいりょく低すぎない?」
「ふっ、かつての力さえ取り戻せば。というわけで汝、我輩の眷属にならぬか?」
「眷属? やだ」
 笑顔で応えるシキア。
「何故だ!」
「だって、顔が好みじゃないんだよねー」
「ぐふっ」
 ショック死するアーカード。
 でもすぐ復活する。
 そんな彼に、シキアは尋ねる。
「ところで真面目な話、何が目的? 眷属にしたいみたいだけど、操りたいの?」
「馬鹿にするなである。吸血鬼にとって眷属は己が一族に加える事と同じであるぞ」
(どこぞの仮面とは違うみたいだね)
 問題なさそうなので、個人的な話をする。
「昔の魔族なら、『これ、知ってるよね?』」
 シスイノシを発動する。
「『なんか特殊な言葉なんだって?』」
「知らぬであるか?」
「『俺はなぁんにも知らないよ』『なんにも、ね』」
「どうやって使っているのである?」
「どうやってるのかって……こう、喉に力入れる感じ? 乱用したら暫く頭ふわふわするけど」
「それは反動である。本来は、言葉の魔族『モノノベ』が使う物であるからな。先祖に眷属となった者でもいたのか? あまり乱用すると、五感が削れるので気を付けると良いのである」
「それって――」
 さらにシキアが聞こうとしていると、野良猫がアーカードの足元に来て引っ掻いた。
「いたーい!」
 サクッと死ぬアーカード。
 そのまま風に飛ばされていくのであった。

 そんなこんなで日が暮れて。
 夜になるが観光名所なので周囲は明るい中、【アンリ・ミラーヴ】はアーカードを探していた。

「変な吸血鬼を見かけませんでしたか?」
 オクトー広場で聞いて回り、得た情報でアーカードを見つけ接触する。
 身代わりうさぎ・改を胸の前に掲げながら近づくと、裏声で『ぬいぐるみのパノン』になりきって会話する。
「ハジメマシテ。あーかーどサン。僕ハ、ぱのんデス。ヨロシクデス」
 ちょっとしたことで死ぬアーカードのメンタルを刺激しないように考えての物だったが、幸いというべきか、今の所アーカードは死ぬ様子は無い。
 むしろ、右手でキツネを象ると――
「初めまして♪ パノンくん。私はミラだよ。よろしくね」
 流暢な腹話術で応えた。
「パノンくんは、私に用なの?」
「ハイ。びぃびぃサンニ頼マレタンデス。彼女ノ元ニ戻ッテ下サイ」
 流れ的に腹話術劇場が始まる。
「ごめんなさい。私まだ帰れないの」
「ソウナノデスカ? 帰ッテアゲナイト可哀ソウデス」
 いつの間にか観客が集まり出し、幾つかやりとりをした後――
「ならば我輩の眷属になるのだ!」
 どさくさまぎれに眷属募集するアーカード。
「嫌です」
 即座に断るアンリ。
「がふっ」
 すぐ死ぬアーカード。
 慌ててアンリが復活呪文をかけ元に戻るアーカード。
 これを見て見世物の終わりだと思ったのか、お捻りが投げられた。
「これは汝の取り分である」
 お捻りをアンリと分けようとするアーカード。これにアンリは――
「いらないです。代わりに、話を聞かせて下さい」
「話であるか?」
「はい。貴方は、凄い吸血鬼だと聞いてます、封印される前の過去の話、たくさん聞かせてください」
「よかろう、このお捻りで飲みに行くぞ」
「はい」
 というわけでお酒も出すお店に行く。
「汝は飲まないであるか?」
「お酒に慣れてないので、飲まないです」
「なら我輩だけでも」
 一口飲んで――
「ぐふっ」
 死んで灰になった。
「むぅぅ、酒にまで弱くなっているとは……」
 灰のまま無念そうに言うアーカード。
 そこにヴィヴィがやって来て灰のアーカードを袋詰めにする。
「あまり乱暴にすると、可哀そうです」
 アンリの言葉に、ヴィヴィは頷きつつも袋に入れたアーカードを持って行くのであった。

 その後、さらっと逃げられたらしいが、学園生達はキッチリ自分達の仕事をこなした課題であった。



課題評価
課題経験:60
課題報酬:1500
吸血鬼さんを気軽に殺そう
執筆:春夏秋冬 GM


《吸血鬼さんを気軽に殺そう》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《グラヌーゼの羽翼》 エリカ・エルオンタリエ (No 1) 2021-12-05 00:16:55
賢者・導師コースのエリカ・エルオンタリエよ。よろしくね。

個人的には、魔族とはいえ何をしたかもよくわからないのに殺すというのは
どうかと思うので、とりあえずの所は確保して学園に同行をお願いしてみるつもりよ。
拒否されたり抵抗された時は、周囲への影響をみて、やり過ぎない程度に対応しようと思うわ。

《新入生》 キィ・トリークル (No 2) 2021-12-05 12:19:18
ウチは賢者・導師コースのキィ・トリークルなのだ。
学園生活にまだ慣れてないけど、よろしくなのだ!

簡単に死んでるけど、
吸血鬼といえば聖水、十字架、にんにくがちゃんと効くか試してみたいのだ。


《光と駆ける天狐》 シオン・ミカグラ (No 3) 2021-12-06 21:53:23
教祖・聖職コースのシオン・ミカグラです、よろしくお願いします!

すぐ死んじゃうんですね……うん、ちょっと気の毒ですが、人の血を吸うとわかっていて力を取り戻されてもよくないですからね。
それに実際、魔族の情報というものも気になりますから……

《ココの大好きな人》 アンリ・ミラーヴ (No 4) 2021-12-07 00:58:50
教祖・聖職コース、アンリ・ミラーヴ。よろしく(尻尾ぶんぶん)
死なせるの、かわいそう。悪い人じゃ、ないみたいだし。どうしようかな。

《剛麗なる龍爪龍翼》 カゲトラ・トウジロウ (No 5) 2021-12-07 22:53:59
村人・従者コースのカゲトラだ、初課題が斯様なものとはなんとも……だが、よろしく頼む。

そうだな……灰のようになるのなら、水を加えてよく練り、壺を作ってみよう。
真面目な話もするが、基本は遊んでいるだろうな。

《虎児虎穴の追跡者》 シャノン・ライキューム (No 6) 2021-12-09 21:21:49
ご挨拶が遅くなってごめんなさい。
エリアルの教祖・聖職コースのシャノンです。よろしくお願いします。

吸血鬼……ですか。
しかし、実際に誰かに被害を与えてるなら放置はできませんが、その辺はどうなのでしょう。
まあ、まずは聞き込みでしょうかね……。

問答無用で倒すのは、個人的にはちょっと乱暴にも思えますし。

《熱華の麗鳥》 シキア・エラルド (No 7) 2021-12-09 22:58:59
芸能コースのシキア、よろしくね

え、吸血鬼ってすぐ倒れるやつだっけ?
俺だいぶ前に似たようなヤツと戦ったけど、すっごい大変だった気が…え?違う?亜種?まぁなんでもいいや、長生きなら聞きたいことあるし

寧ろ意図せずウッカリ灰にしちゃういそうで怖いね(