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学園生の日常 その1


ストーリー Story

「今度の休みの日、どうする?」
 授業の終った学園生が、友人に問い掛けた。
「ちょっと街の方にでも行ってみるか?」
「ん、いや止めとく」
「えー、なんで?」
「実家の手伝いしようと思って。この前、故郷に帰る課題あったじゃんか」
「あったけど、お前帰ってなかった?」
「帰ったんだけど、割と魔王戦の影響で荒らされててさ」
「お前んち、学園に近かったよな……進攻ルートに引っかかってた?」
「微妙にだけど、おかげで魔物に荒らされてさ。避難してたから人死には出なかったけど、家とかボロボロになってて」
「その後片付け、まだ終わってなかったのか?」
「いや、大体の目処は立ったんだけど、問題は復興でさ。家立て直したりするにも先立つ物はいるし。だから学園のコネ使って、どうにかしてくれって言われてさ」
「無茶ぶりだな、おい」
「だよなー。とりあえず先生達にOBやOGの伝手紹介して貰って、商人の人らから金引っ張って来れないか交渉しなきゃなんねーんだ。手ぶらじゃ話になんねーから、なんか商売のプレゼンしなきゃなんねーし」
「おぉう、大変だな」
「そういうお前はどうなん? 暇なら手伝ってくれよ」
「んー、いいけど、日によっちゃ無理だぜ。受けたい講義があるし」
「勉強熱心だな。研究職目指してるの、変んねーんだ」
「おう。どうにかしてセントレアに潜り込んで、異世界の研究してぇ」
「異世界か~、商売のネタになるかな?」
「なるんじゃね? でも、かなり熱いことになってんぜ」
「え、どういうこったよ」
「利に目敏い商人が黙ってるわけねーじゃん。どうにかして利用しようとしてるみたいだけど、学園がストップかけてるみたいだな」
「……同じ世界でも争いは絶えないってのに、それを他の世界にも広げたらめちゃめちゃになるわな」
「そういうこと。そういう状況で、どうにか食い込めねぇかと日々奮闘してんですよ、俺は」
「なるほどね。なら、その手伝いをするよ。そん代わり、俺の方の手伝いもしてくれ」
「んー……分かった。それじゃ、先生にセントレアに行く許可貰いに行くか」
「オッケー」

 などという話が、学園では見られます。
 他にも学園生ごとに、それぞれの目的に沿った日常を過ごしています。
 中には、邪悪な何かと戦う者もいるでしょう。
 あるいは、力なき人々に手を差し伸べるため奮闘する者もいる筈です。
 ひょっとすると、過去の因縁にまつわる何かの決着をつけるため動いている人もいるでしょう。
 そうした重苦しいことだけでなく、明るい日常を送る者もいるのです。
 日常と一口に言っても、人によって千差万別。
 その日常を守るために、学園は力を貸してくれるでしょう。
 
 そんな中で、アナタ達は、どう未来を進みますか?
 自由に、好きなように、アナタ達の物語を進めてみてください。


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 6日 出発日 2022-08-03

難易度 普通 報酬 なし 完成予定 2022-08-13

登場人物 5/8 Characters
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《ココの大好きな人》アンリ・ミラーヴ
 ルネサンス Lv17 / 教祖・聖職 Rank 1
純種が馬のルネサンス。馬の耳と尻尾を持つ。 身長175cm。体重56kg。 16歳。 性格は温厚。 あまり表情を変えず寡黙。 喋る際は、言葉に短く間を置きながら発していく。 少しのんびりした性格と、言葉を選びながら喋るため。 思考や文章は比較的普通に言葉を紡ぐ。 表現が下手なだけで、年相応に感情は豊か。 好奇心も強く、珍しいものを見つけては、つぶらな瞳を輝かせながら眺めている。 群れで暮らす馬の遺伝により、少し寂しがり屋な面もある。 やや天然で、草原出身の世間知らずも合わさって時折、突拍子の無い発言をする。 好きな食べ物はニンジン。 食べていると美味しそうに目を細めて表情を和らげる。 趣味はランニング。運動自体を好む。 武術だけは、傷付ける行為を好まないため苦手。 入学の目的は、生者を癒し死者を慰める力を身に着ける事。
《熱華の麗鳥》シキア・エラルド
 ヒューマン Lv25 / 芸能・芸術 Rank 1
音楽と踊りが好きなヒューマンの青年 近況 自我の境界線が時々あやふやになる みっともない姿はさらしたくないんだけどなぁ 容姿 ・薄茶色の髪は腰の長さまで伸びた、今は緩く一つの三つ編みにしている ・翡翠色の瞳 ・ピアスが好きで沢山つけてる、つけるものはその日の気分でころころ変える 性格 ・音楽と踊りが大好きな自由人 ・好奇心>正義感。好き嫌いがハッキリしてきた ・「自分自身であること」に強いこだわりを持っており、自分の姿に他者を見出されることをひどく嫌う ・自分の容姿に自信を持っており、ナルシストな言動も。美しさを追及するためなら女装もする。 好きなもの 音楽、踊り、ともだち 苦手なもの ■■■■、理想を押し付けられること 自己犠牲 二人称:キミ、(気に入らない相手)あんた 初対面は名前+さん、仲良くなると呼び捨て
《新入生》ウィトル・ラーウェ
 エリアル Lv9 / 黒幕・暗躍 Rank 1
不思議な雰囲気を漂わせるエリアル どちらつかずの見た目は わざとそうしているとか 容姿 ・中性的な顔立ち、どちらとも解釈できる低くも高くもない声 ・服装はわざと体のラインが出にくいものを着用 ・いつも壊れた懐中時計を持ち歩いている 性格 ・のらりくらりと過ごしている、マイペースな性格 ・一人で過ごすことが多く、主に図書館で本を読みふけっている ・実は季節ごとの行事やイベントには敏感。積極的に人の輪には入らないが、イベント時にはそれにちなんだコスチュームを纏う彼(彼女)の姿が見れるとかなんとか ・課題にはあまり積極的ではなく、戦闘にも消極的 ・でも戦闘の方針は主に「物理で殴れ」もしかしなくとも脳筋かもしれない 「期待しすぎるなよ、ぼくはただの余所者だ」 二人称:きみ、あんた 相手を呼ぶとき:呼び捨て 「ぼくのことは、ラーウェと呼んでくれ。ウィラでもいいぞ。前にちょっと世話してやった家出少年はそう呼んだよ」
《新入生》レネンヴィオラ・ウェルス
 カルマ Lv10 / 賢者・導師 Rank 1
同世界出身の仲間の求めに応じて、異世界の協力者、メフィストの助力で転移した。表向きはセントリアからの留学生となっている。 仲間二人が”能力”的に近しい、ドラゴニアに変じたのに対し、”容姿”的に近しくなるカルマに変じた。 髪は薄紫。前髪は軽くウェーブのかかった、真ん中分け。後ろ髪はパイナップルみたいな、編み込みシニヨン。 わっかのような角が生え、四肢は白磁のような外殻に覆われている。 豊満でふくよか。高貴な色香を漂わせている。 いつものんびりマイペース。めったなことでは物おじしない。だれでも、ちゃん付けで呼び、お姉さんとして接し、間延びした口調で話す。 無自覚に色香を振りまく困った人。いわゆる”いやらしさ”がなく同性でも惑わすため、なお質が悪い とにかくベタベタよく触る。スキンシップ過剰。「ふれあっていれば、お互いの気持ちが伝わり、解りあえる」と、いう信条に基づく行為であり、悪意がないので一層、質が悪い ”力なき人々の力になること” ”悪には屈しないこと” ”あきらめないこと” ”仲間を信じること” ”約束は絶対に守ること” 五つの誓いを、一応、心の片隅に置いて、まったりと過ごしている

解説 Explan

●概要

全校集会後の、ゆうがく世界での、アフターストーリーです。

何をしても自由です。

魔王後の世界を、のんびりと満喫するも良し。
自身のまつわる因縁に関わるも良し。
この世界だけでなく、他の世界と関わっても良し。

好きに動いてみて下さい。

●舞台

学園でも、他の地域でも、または異世界でも可能です。

公式に出てきた異世界だけでなく、PCの自由設定に出て来る異世界と関連づけてもオッケーです。

また、ゆうがく世界でも、PCの故郷とか、自由に出せます。

これまでの結果を破綻させない範囲であれば、自由に出せます。

●NPC

PCに関連するNPCでも、自由に出せます。

自由にどうぞ。

●内容

自由です。

PCの設定に関する話を進めてみるのも良いですし、これまでのエピソードから話を進めても構いません。

●その他

今回の自由度の高いアフターストーリーエピソードは、連作として定期的に出して行く予定です。

なので、複数回に分けて進めるとかも出来ます。

方向性としては、ノベル形式のエピソード版、みたいな感じです。

個別にPCの話を進めるでも良いですし、複数のPCでひとつの話を進めるような内容でも構いません。

これらを進めていく中で、ネタ的に拾って、個別エピソードとして出す可能性があります。

その辺も自由度の高い物になっています。

以上です。


作者コメント Comment
おはようございます。もしくは、こんばんは。春夏秋冬と申します。

今回は、アフターストーリーエピソード第五弾、になっています。

今まで他のエピソードで進めたお話の続きでも良いですし、全く関係ない個別の話でも大丈夫です。

基本的には、連作のノベルにご参加いただくような内容になっています。

自由度が高いですので、それぞれ個別にPCの物語を進めていただいても構いません。

PC達の物語に区切りをつけるような進め方でも良いですし、他にも、何か思いついたことがあればプランにお書きください。

それに沿って進行し、描写されます。

今後もちょこちょこ出して行く予定ですので、今回一回で終わりにしても良いですし、続けて話を進めてみたりも可能です。

書いていただいたプランによっては、関連エピソードが出て来る可能性もあります。

それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリザルトに頑張ります。


個人成績表 Report
仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
学園でまったり過ごしながらいろんな人と話をしてみようと思う。
覇王六種の面々だったり、面識のある精霊王様方だったり・・・

基本的には休日に趣味の話だとかそういう話から入れればいいなとは思う
オレの趣味?
少々オタク趣味入ってるよ後料理(作って食べるだけ)
なんで、女華さんとは話が合うはず・・・最近忙しくてこっちの世界にどういう変化あるか追えてなかったし色々聞いてみようかな


ついでと言っては何だけどこれからの世界にどういった動きをするのかしたいのかも聞いておきたいかなとも思っている
魔族さん方を纏める気はあるのかとか、精霊王様方には加護を与えるために新たに精霊王誕生させたりだとか

アドリブA絡み大歓迎

アンリ・ミラーヴ 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ココと一緒に孤児院で子供達を楽しませるショーを行う。
事前に院長さん達に話をして許可を得る。
庭など広い場所に集めてもらった子供たちの前へ、ココと一緒に登場。
俺の自己紹介に続き、ココを抱き上げて紹介。
降ろしたココが俺の足元で歩き回り、俺がこけそうになったりココを踏みそうになったり困惑するフリを、少しの間続ける。
ココから飛び退き、傍に置いていた大きなシーツと杖を持って、ココを魔法で石に変身させようとする。
ココにシーツを被せ、魔法を唱えてシーツを外す。ココが別の動物に変身する。慌ててもう一度被せる、を繰り返す。
最後は俺の周りをココが回ると祖流還りⅡで顔や足と手を馬に変えて、馬に変えられたように見せる。

シキア・エラルド 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
ウィトルを見つけ、笑顔で近づき
不意打ちで蹴り上げ 反撃されても冷静に
よぉ「余所者」 こうして直に顔合わせんのは初めてか?
お前のせいで計画の大半が台無しだ
シキア(こいつ)が呪いを引き出したお陰で、ある程度は軌道修正できたが
……それでも面倒臭いことになってやがる

お前に何の得があるんだよ、なぁ?
ある意味不幸にしたも同然だろ、これからも魂削るんだから
止めるわけない、そもそも「シキア」が選んだ選択肢だ
ただの「器」でいた時の方がよかったかもな?
少なくとも、何も感じないんだから苦痛もないだろ…!?
(殴られ)

こ、の…っ余所者の分際で…!!

ウィトル・ラーウェ 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
今後のこと考えていればシキアに呼び止められる
ニコニコしながら来るのは、いつも通りで
だからこそ、不意打ちに対応し損ねた
咄嗟に応戦するも本気を出せない
お前、オズマの方か…!?問いかければ床に打ち付けられる

責める言葉には返せない
その通りだ、筋書という運命があるなら
それを捻じ曲げたのは、きっとまぎれもなく自分だ

……そう、思っていたけど
あーそうかよ
黙って聞いてれば、べらべら好き放題喋ってくれたなクソ野郎が
大人しく殴られてやろうとは思ったけど、気が変わった
上等だテメェいっぺん痛い目見なきゃわかんねぇみたいだなぁ!?
お前もだぞシキア、病み上がりの分際でフラフラするなバカ!!
知ってるぞ一度「死んだ」のは!!

レネンヴィオラ・ウェルス 個人成績:

獲得経験:0 = 0全体 + 0個別
獲得報酬:0 = 0全体 + 0個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
NPC【セレスティンローザ】セティ

登録シナリオ(異世界人と、こんにちわ、学園での一日・異世界人+α編、学園での一日・異世界人+α編)

今作戦(魔王、及び魔王軍との戦い)の報告書をまとめ、本部に送る。安全が確認されたので、自分たちの世界に避難していたものたちの帰還と、残留希望者の市民登録を自分の権限で行うよう指示

セティから、自分を含め、三人の同世界人の帰還はいつになるのか?という質問に対し、自分以外の二人が、名残惜しそうにしているので、もう少しかかりそうだと返答(元来、CGFでは任務期間を最長3か月とし、未完了の際は、別部隊に交代する。これは長期間に渡ると、深い人間関係ができてしまい、馴れ合いや、里心が生じてしまうのを防止するため)

セティ「大佐。任務、ご苦労様です」

「お姉さんって~よんでぇ~?」

セティ「階級の違いを明確にせねば、指揮系統に乱れが生じ、ひいては作戦遂行能力に悪影響が及びます」

リザルト Result

●休日の一日
 麗らかな学園の休日。
 まったりと、【仁和・貴人】は過ごしていた。

「――ん、まぁ、こんなもんかな?」

 台所でカナッペを作り終えた貴人は、ついでに調理器具を片付ける。
「片しておくけど、置き場所はこっちの好きにしていいの?」
「ああ好きにしてくれっ」
 微妙にせっぱつまった声が返ってくる。
 それは覇王六種が一柱、【女華】のもの。
「このっ、くっ、ああーっ!」
(あ、嵌め技食らって悶絶してる)
 異世界から持ち込まれた格闘ゲームをしていた女華は、CPUに嵌め技をされ、満タンだった体力ゲージを一気に零にされた。
「酷いっ、なんてゲームだ!」
「持ちキャラ変えたら?」
 カナッペを乗せた皿を持って行きながら貴人は言った。
「そのキャラ見た目は良いけど性能に癖があり過ぎるし」
「何を言ってるのかね、貴人くん」
 断言するように女華は返す。
「勝率と推しキャラどっちを選ぶとなったら愛でしょ」
「分かる」
 オタク趣味のある貴人は賛同する。
「勝ち負けの前にキャラを愛でたい」
「はっはっは、分かってるじゃないか」
 言いながら女華は、ゲームを対戦モードにする。
「1人でやってるのも飽きたから、そろそろ戦ろうじゃないか」
 俺より強い奴に会いに行く! といったノリで、コントローラーを渡される。
 その横では、胡坐をかいている女華の腿を枕にしていた覇王六種が一柱、【レン】が、カナッペを手に取りもぐもぐしていた。
「えーと、レンさんはしないの?」
「パス。見てるー」
 もぐもぐしながらゴロゴロするレン。
 なので貴人は女華からコントローラーを受けとり対戦開始。
「はははーっ、くらえスーパーアークっ!」
「ちょ、初っ端から嵌め技使ってくる!?」
「勝負は非情なのだよ貴人くん!」
「なら嵌め技返し」
「ああああーっ!」
「そしてスーパーコンボ」
「あああああああーっ!」
 貴人もオタク気質なので、すでにこのゲームはやり込んでいたこともあり完勝する。
「勝った」
 どこかの世界だと『コロンビア!』とか背後に出そうなガッツポーズを取る貴人。
「うぅ、酷い、弄ばれた」
「いやそんな、言い方の悪い」
「ふふふっ、なら責任とって再戦してくれたまえ」
「いいよ」
 
 そのまま格闘ゲームをしたり、あるいは鉄道で各地を巡る札束ゲームをしたりしてまったり過ごす。

「あ、カナッペ無くなったか」
 ゲームの合間合間に摘まんでいたので、いつの間にか無くなっている。
「何か新しい物を作るよ。何が好い?」
「お任せするよ。ふむ、しかしこのまま供物を貰うだけではなんだから、何かして欲しいことがあれば叶えよう」
「ん、良いよ別に」
「いやいや、気にしなくても良い。そうだな、例えば訊きたいことがあれば答える、というのはどうかな?」
 面白そうに貴人を見詰めながら女華は言った。
「今日遊びに来たのは、それも目的なんだろう?」
「……うん。まぁ、そうだけど」
 カナッペの乗っていた皿を片付けながら貴人は言った。
「これからについて、気になってるんだ」
「それは私達、覇王六種が、この先どう動くか? ということでいいのかな?」
「うん。覇王六種の面々は、みんなクセが強いから色々と意見が分かれるとは思うけど、これからどうするつもりなのかな?」
「それは、どういうつもりで訊いてるのかな?」
「オレとしては、可能な範囲で協力していきたいと思ってるけど、聞いとかないと協力も何もだからね」
「私はこれまでと同じだよ」
 女華は、レンの頭を撫でながら応える。
「捧げる供物に応じて望むモノを『創る』。あとは、私の片割れである【饕餮】が食滅し過ぎて世界のバランスが壊れそうになれば、それを戻すために『創造』するぐらいかな?」
「饕餮さんも、今まで通りってこと?」
「ああ。それが『世界維持システム』である私と饕餮の在り様さ」
「そっか……レンさんは?」
「ゴロゴロするー」
 フローリングの床をゴロゴロしながら応えるレン。
 補足するように女華が言った。
「レンも【アーカード】も起源が創造神の遺骸だからね。何もしなくても力が湧き続けて最終的には創造神になりかねないけど、そうなる前に眷属や血族を作って力を分け与えることで防ぎ続けるだろうね。それでも追い付かなければ自ら封印されて弱体化するだろう」
「眷属や血族って……契約したり血を飲んだりするってこと?」
「契約したり血を与えたりだね。それで湧いてくる力を分け与えることで定期的に弱体化し続けるんだ」
「……それって、他の2人もそうなのかな?」
「いや。【コトノハ】や【スルト】は『完成』してるからね。余計なことをしなくても今のままだから、美形巡りしたり食道楽したり、趣味に生き続けるよ。もし趣味の邪魔になるような世界の危機とかあれば協力するだろうね。それ以外で協力して欲しかったら、美形とか美味しい物用意すれば良いと思うよ。他に、聞きたいことはあるかな?」
「魔族を纏めたりとか、する気はある?」
「気が向いたら、気に入った魔族を助けるとかはするよ」
「そっか……加護を与えるとかは、無理なのかな?」
「精霊王が人間に与えるみたいに、かい?」
「ああ」
 貴人は自分の考えを伝えた。
「魔族へのあたりが強いのって、今まで敵対してたこともあるけど自分達と違う部分があるからもそうだと思うんだよね。特に精霊の加護。まぁ、新しい精霊王の当ては【メフィスト】さんがあるって言ってたけど」
「へぇ……さすが異界の創造主。デタラメするね」
 ぼそりと言ったあと、女華は続けて言った。
「新しい精霊王については、他の精霊王に訊くと良いよ。最近は、眷属っぽい隼と一緒に【アリアモーレ】が学園に来たりするから、話してみると良い」

 女華に勧められ、学園でアリアモーレを見つけた貴人は尋ねた。

「新たな精霊王の誕生についてどう思うのか、教えて貰えませんか? 協力できることがあればしたいし、要望があれば対応したい」
 これにアリアモーレは応えた。
「新しい精霊王が生まれるなら、私達は受け入れるわ」
 アリアモーレは、過去を思い出しながら言った。
「私達の力が足らないせいで、全ての種族に加護を与えられなかった。それは今でも悔んでるの。でも新しい精霊王が生まれたなら、今まで以上に多くの種族に加護を与えられる。それを実現できるなら私達は協力したいし、もし助けてくれるなら、手伝って欲しいわ」
「もちろん」
 貴人は確かな口調で応えた。
「オレに出来ることがあるなら協力するよ」
「ありがとう」
 貴人の言葉に、嬉しそうに返すアリアモーレだった。

●ショーで笑顔を
 休日のある日。
 アニパークに訪れた【アンリ・ミラーヴ】は、魔法犬【ココ】に言った。
「ココ。今度の休日に、孤児院でショーをしようと思うんだ。手伝ってくれる?」
「ひゃん♪」
 やるー♪ と言うように尻尾をふりふりしながら、ココは鳴き声を返す。
 アンリはココを撫でてあげると、ショーに向けた練習の準備をする。
「ショーの時は、これを使うんだ」
「わふ?」
 アンリが広げたシーツを、ココは興味深げに匂いを嗅ぐ。
「わふ?」
 アンリを見上げ、シーツを使って何をするのか尋ねるように鳴くココに、アンリは説明する。
「――というように使うんだ」
「ひゃん!」
 分かった! というように鳴くココを撫でたあと――
「それじゃ、本番に向けて練習しよう」
「ひゃん!」
 やるー! というように鳴いたココと一緒に練習をするアンリ。

 それから数日が過ぎ、当日。

「行こうか、ココ」
「ひゃん♪」

 一緒に孤児院へ向かい、幾つか乗り物を乗り継いで到着。

「こんにちは」
「よく来てくれました。可愛らしいお友達も、こんにちは」
「ひゃん」
 孤児院の院長とご挨拶。
 幾つか話をしたあと、子供達が集まっている講堂に向かう。
「子供達も楽しみにしているんです。特に、小さいお友達のことを話したら、喜ぶ子達も多かったんですよ」
 ココを見詰める院長に、ココは鳴き声で返す。
「ひゃん!」
 がんばるー! 
 というように鳴くココに、院長とアンリは笑みを浮かべた。

 そして講堂に辿り着く。
 扉を開けて中に入ると、子供達のざわめきが。
 視線はアンリに向かったあと、足元のココを見つけて嬉しそうな声が上がる。
「犬だー」
「さわっても良い? 良いの?」
「わんちゃん」
 院長に言われているのか、席を立つようなことはしないが、ココに触れようと子供達は手を伸ばす。
「わふ」
 子供達に応えるように、ココは子供達に近付く。
「わー」
「ふわふわしてるー」
「かわいい」
 子供達の間を歩き回り、好きに撫でさせてあげるココ。
 その間に、アンリは壇上に向かい、ショーの準備をする。
 全部整った所で、アンリはココを呼んだ。
「ココ、用意出来たよ」
「ひゃん!」
 呼ばれてココは駆け寄ると、アンリの足元にちょこんとおすわり。
 すると子供達の視線が一斉に向く。
 それを受けながら、まずは自己紹介をすることにした。
「初めまして」
 おじぎをして、ココと一緒に挨拶をする。
「俺はアンリ。フトゥールム・スクエアで、勇者の勉強をしてます」
 ついでココを抱き上げる。
「この子の名前は、ココ。俺の家族。とっても賢くて、良い子。みんな、仲良くしてね」
「ひゃん」
 ココが鳴き声を上げると、子供達も挨拶してくれる。
「こんにちはー!」
 期待感いっぱいの眼差しを向けてくれる子供達に、応えるようにショーを開始する。
「今日はみんなに、秘密の魔法を見て貰いたくて来たんだ。その前に、まずは準備をするよ」
 そう言って、アンリは持って来ていたカバンを、講堂に置かれた机に載せる。
「使う物は、この魔法のシーツ」
 カバンからシーツを取り出すと、子供達がよく見えるように広げ持って歩く。
 するとアンリの足元を、ココがちょこちょこついて歩く。
「わぁっ、ココ、危ないよ!」
「わふ?」
 なんで? というように小首を傾げるココに、アンリは小さな子供に言うように言った。
「踏んじゃうかもしれないだろう? 尻尾とか、踏まれたら大変だろ」
「わふ!」
 ココは自分の尻尾を見詰めたあと、アンリの言葉に頷くように鳴き声を上げた。
「好かった。分かってくれたんだね」
「ひゃん♪」
 尻尾ふりふり鳴き声で応えるココ。
 それに安心したように、アンリは再びシーツを子供達に見せに行くが――
「おっとっと。危ない、危ないよ。踏んじゃうよ」
「わふ」
 アンリが目を離した隙に、足元に近付くココ。
「危ないから、少しそこでお留守番」
「わふ」
 分かった、というようにおすわりするココ。
 そしてアンリがシーツを子供達に見せに行くと、今度はアンリの後ろに、そろりそろりとココが近付く。
 笑い声が子供達から上がる。
 それに合わせてアンリは振り返り、ココはぴたりと動きを止め、おすわり。
「ココ、お留守番、してる?」
「わふ!」
 してる! というように、元気よく鳴き声で返すココ。
 でもその後も、アンリに気付かれないような動きで、足元に近付こうとするココ。
 そして確かめるように後ろを振り返るアンリ。
 アンリとココの掛け合いに、子供達からは楽しげな笑い声が上がる。
 その後も、ココがアンリの足元で歩き回り、時にはアンリがこけそうになったり、ココを踏みそうになったり。
 その度に困惑するアンリと、おすましするココ。
 アンリとココの掛け合いに、子供達はみんな笑顔になった。
 十分に場が温まった所で、本命のショーを開始する。
「えーい、落ち着きのない子は、一度、石に変えてしまうぞ」
 足元にいるココから、ひょいっとアンリは飛び退くと、持っていたシーツをふわりと掛ける。
「石になーれ」
 シーツを被せたココに向かって、持って来ていた杖を振るようなしぐさをする。
 すると、ぴたりと動きが止まるココ。
「よーし、石になったかな~?」
 子供達の視線が集まる中、シーツをアンリが持ち上げると――
「あれれ? 失敗しちゃったぞ」
 シーツの下から現れたのは、小さな馬になったココの姿。
 それを見て、子供達から一斉に歓声が上がる。
 子供達の視線が釘付けになる中、アンリは慌てたようにシーツを再び掛ける。
「今度こそ、石になーれ」
 シーツを捲れば、今度はトカゲの姿になっている。
 それを見て、子供達は興奮したように席から立ち上がり、もっとよく見ようと前に乗り出す。
 子供達の視線を集め、さらにアンリは何度もシーツをココに被せる。
 その度に違う姿になるココ。
 鳥やパンダに、ラクダにライオン、色々な姿になる。時には――
「つぎ、なに、なに?」
「ねこ、ねこさんになるとおもうー」
 子供達のリクエストに応えるように、猫の姿になるココ。
「ひゃん」
 でも鳴き声は犬なので、それを聞いて面白そうに笑い声をあげる子供達。
 それを何度か繰り返し、子供達が飽きてしまう前に、アンリはココと目配せ。
「わふ」
 応えるようにココが鳴いたあと、アンリは次の演目に移る。
「石になれ。違うなぁ。なんでだろう」
 困ったように首を傾げ腕を組もうとすると、持っていた杖を落としてしまう。
 それをココは咥えると、咥えたままアンリの回りを駆けまわる。
「わあっ、ダメだよココ。そんなことしたら、俺に魔法が掛かっちゃう」
 子供達が次の展開が予想できるよう声を上げると、祖流還りを使って姿を変える。
「ご先祖様の姿になっちゃう」
 足や手を馬の姿に変え、最後に顔を馬の物にする。
 それを見て、子供達は息を飲み、ココは驚いたというように咥えていた杖を落とす。けれど――
「ひゃん!」
 大変戻さなきゃ! とでも言うように鳴き声を上げ再び杖を咥えると、今度は逆向きにアンリの足元を駆けまわる。
 それに合わせ、姿を戻すアンリ。
 最後に、アンリはココから杖を受けとり、子供達に一礼して言った。
「楽しんでくれたかな? ココとアンリの、変身マジックショーでした」
 全てがショーだったことを明かされ、子供達に安堵するような空気が流れたあと、一斉に歓声が広がる。
 それを受け――
「ひゃん♪」
 嬉しそうな鳴き声を上げるココに、笑顔で応えるアンリだった。

●拳で意思疎通
(さて、これからどうするか……?)
 学園の、人気のないとある場所。
 今後のことを考えながら【ウィトル・ラーウェ】は、つらつらと歩いていた。
(色々と起ってるけど……こういうのも因縁っていうのかな?)
 ここ最近、無視するわけにもいかない事態が起こっているのを知って、自分の立ち位置という物を考えている。
(放置するわけにはいかないけど……何から手を付けるべきか……)
 幾つかの懸念の中で真っ先に思い浮かぶのは、1人の学園生。
(ひょっとしたら、あの時の『言葉』が切っ掛けのひとつかもしれないし……)
 全てが自分のせいだと思い込むつもりは無いが、影響を与えたのは事実だろう。
(責任を取る……違うな……背中を押す? いや今以上に押してどうするんだ……理屈で計算できないのは大変だ……)
 ウィトルは出自が出自なので、未だ『人間の機微』に疎い部分がある。
(とはいえ、今のぼくも『人間』だから……少しは人間らしくあるべき……かな?)
 答えの出ないことをグルグル考えていると――
「よう」
 悩みの原因となっている彼が声を掛けてきた。
 それは【シキア・エラルド】――であるように、ウィトルは思い込む。
「シキ――」
「勘違いすんな、『余所者』」
 気付いた時には距離を詰められていた。
「――!!」
 反射的にウィトルは、両腕をクロスさせて受ける。
 舞踏を思わせる流麗な動きで繰り出された前蹴りを、辛うじてウィトルは防いだが次が続かない。
「調子のんな」
 シキアの声で、彼――【オズマ】は不機嫌そうに、軸足を捻り二段蹴りを放つ。
 ウィトルの腹を撃ち抜くような直蹴りを叩き込む。
 防ぎきれなかったウィトルは後方に蹴り飛ばされるが、痛みを無視して臨戦態勢を取る。
「お前、オズマの方か……!?」
「こうして直に顔合わせんのは初めてか? 気付くのが遅ぇな」
 苛立たしげに言いながら、オズマは再び距離を詰めて来た。
 繰り出される蹴り技の連続に、ウィトルは応戦しようとするが押されていく。
「抵抗すんな、『余所者』が」
 激しさを増すオズマの蹴りを辛うじて捌きながらウィトルは言った。
「なんで、お前が……」
「俺が俺のものを好きにして何か問題でもあんのか?」
 ウィトルは反論しようとするが、その隙をついて襟首を掴まれ、足払いで崩され地面に叩きつけられる。
「お前のせいで計画の大半が台無しだ」
 腹立たしげにオズマは言いながら、ウィトルを蹴り飛ばす。
「シキア(こいつ)が呪いを引き出したお陰で、ある程度は軌道修正できたが……それでも面倒臭いことになってやがる」
「……それは」
 責める言葉には返せない。
(その通りだ。筋書という運命があるなら)
 定められたプログラムがあるなら、それを書き換えれば全体が破たんする。
 運命がプログラムのようなものであるなら、捻じ曲げようとする行為は間違っているのだろう。なのに――
(それを捻じ曲げたのは、きっとまぎれもなく、ぼくだ)
 その時は、思ってもいなかったのだ。
 ただの言葉。
 取るに足らない、その場限りの言葉が、『人間』に運命に立ち向かう意志を与えるかもしれないと。

『いいんじゃないの、自分で名前を決めたって』

 その時、自分が何を思って、今ではシキアと名乗る『彼』に言葉を掛けたのかは覚えていない。
 きっとそれはその場の思いつき。
 けれど心から零れ落ちた言葉だったはずだ。
(心、か……)
 オズマに蹴られ殴られ叩きつけられながら、ふつふつとウィトルの内から何かが湧きあがる。
 それは肉体的な痛みから浮かび上がる物ではなく、オズマの言葉がザクザクと刺激するのだ。
「お前に何の得があるんだよ、なぁ?」
(得……ないとダメなのか?)
 蹴られながら、ウィトルはオズマを見る。
 今にも舌打ちしそうな表情で、オズマは言った。
「ある意味不幸にしたも同然だろ、これからも魂削るんだから」
 嘲笑うように、それでいて怒っているように、オズマは続ける。
「こいつが止めるわけない、そもそも『シキア』が選んだ選択肢だ」
(シキアが選んだ……)
 オズマの言う通り、切っ掛けは何であれ、選んだのはシキアだ。
「今みたいなことになるなら、ただの『器』でいた時の方がよかったかもな? 解ってんのか? 全部じゃねぇが、『余所者』のお前の思いつきの言葉で、こいつはこうなってんだぞ」
「それが、悪いってのか……」
「そうだよ」
 蹴り飛ばしながらオズマは言った。
「以前のこいつなら、少なくとも、何も感じないんだから苦痛もないだろ……」
 それはきっと道理。
 悲劇という運命を導くためのプログラム。
 間違いは無く、計画通り。
 捻じ曲げ壊せば未知が広がり、どうなるかが分からない。
 それは正しいのか?
 正しくは、無いだろう。
 あるべき運命、あるべきプログラム。
 全てを既知に均し最適を得るために必要な道筋を壊すことは、不適切だ。
 従うべきだ。考えるな。与えられたプログラムを運用するのが、自分達の役割。
 そのはずだ。この世界に訪れる前のウィトルであれば、プログラムに逆らうことは許されない。けれど――
 今のウィトルは『人間』なのだ。
「あーそうかよ」
 悪態と共にウィトルは拳を振るった。
「――なっ!?」
 思ってもいなかった反撃に、オズマは驚いたようによろめく。
「お前――」
「うっさい!!」
 問答無用でウィトルは拳を振るう。
「黙って聞いてれば、べらべら好き放題喋ってくれたなクソ野郎が」
 1人の人間として、ウィトルは拳と言葉で返す。
「こっちにも少しは責任があるから、大人しく殴られてやろうとは思ったけど、気が変わった」
 隠密の動きを活かし、オズマの虚を突き間合いを詰めると、遠慮なく殴りつけた。
「こ、の……っ余所者の分際で……!!」
 沸点が低いのか、キレたオズマは『言葉』を使おうとする。
『動く――』
 しかし、押し込めたはずのシキアに邪魔される。
(止めろ!)
「ちっ、余計な――」
 気が散った瞬間、ウィトルに再び殴られるオズマ。
「お前、調子に乗るな!!」
 怒りで我を忘れたのか、『言葉』を使うことも無く、殴り返す。
「余所者が!! 身の程を知れ!!」
「知るかバカ!!」
 ウィトルはヒートアップしているのか、いつもより荒い言葉を投げつける。
「こっちが余所者ならそっちは死人だろうが!! それも子孫の身体乗っ取ってやりたい放題のバカの極みみたいなことしやがって!! バカは死んでも治らないって見本見せんなバカ!!」
「テメェッ……殺す!!」
「上等だテメェいっぺん痛い目見なきゃわかんねぇみたいだなぁ!?」
 真正面から殴り合うオズマとウィトル。
 2人とも頭に血が昇ってるのか、技術も何も無く、勢いのまま殴り合う。
「死ね!! 余所者!!」
「テメェは死んでんのにしゃしゃり出てくんなバカ!!」
 お互い退かず殴り合う。
 しかしオズマはシキアの身体を使っている。そのため肉体的な能力で劣るウィトルは押されていく。
 そのまま行けば、オズマが殴り勝ちそうになってたが――
「くあっ!?」
 オズマは耳元で大声を出されたように顔をしかめ動きが鈍る。
「クソッ、黙ってろシキ――」
「とりゃあ!!」
 問答無用で殴るウィトル。
「テメェ、大概に――」
「知るかバカ!!」
 問答無用で殴る。殴る! 殴る!!
 オズマは反撃しようとするが、その度に押さえつけているはずのシキアが頭の中で大声を上げて止めようとした。
「邪魔すんなシキア!!」
(邪魔するに決まってるだろ! ウィラさんに何てことするんだ!)
「はぁ!? こいつのせいで色々滅茶苦茶になったのに逆切れされたんだが」
 頭の中で大声を上げ続けるシキアを抑えつけようと、オズマが意識を向けた瞬間――
「隙あり!!」
「ぐあっ!!」
 渾身の一撃をウィトルは叩きつける。
 すると、ぐらりとオズマはよろめいたあと、急に体勢を戻し、自分の内側に言い聞かせるように声を上げた。
「煩い黙って殴られてろ、っていうかやっぱりお前のせいもあるじゃんか!!」
「……シキア?」
 表情や気配が変わったのを見てウィトルが問い掛けると――
「ごめん!! ウィラさん!!」
 シキアは泣きそうな声で言った。
「ごめんなさい。大丈夫? オズマのバカが酷いことして……ごめん」
 これにウィトルは、シキアの頬を軽く摘まんで引っ張りながら言った。
「ぼくのことばかりじゃなくて、自分のことも気にしなよ。オズマにも言いたいことはあったけど、それはシキアにもあるんだからな」
「ふぇ?」
 ウィトルは詰んだ頬を引っ張ったあと、兄のように、あるいは姉のように言った。
「病み上がりの分際でフラフラするなバカ!!」
「え、いやそれは――」
「知ってるぞ一度『死んだ』のは!!」
「うっ……」
 思わず言葉に詰まるシキア。
 魔王決戦で魔王軍が学園に攻めて来た時、シキアは全力を出し切って戦ったのだが、それでも敵の1人である【テイ】に一度は殺されている。
 シスイノシを使った呪言をテイに喰われ、それを逆に返されて動きが鈍った所を、テイの分身である蟲達に串刺しにされた挙句に八つ裂きにされのだ。
 幸い、アーカードの力を借り受けていた仲間のお蔭で生き返ることが出来たが、死んだのは事実だ。 
 シキアは、悪戯が見つかった子供が言いわけする様に、ウィトルへ応えた。
「死んだけど、すぐに生き返ったし……死ぬ時は一瞬だったから痛みを感じる暇も無かったというか……それに生き返ったあとはむしろ調子よかったし――」
「そういう問題じゃないよね」
「……はい」
 言い訳するも通じず、しゅんと項垂れるシキア。
 そんなシキアに、苦笑するようにウィトルは息を抜くと、自分が殴りつけた箇所を確かめるように触る。
「加減しなかったから跡になってるな。保健室に行って治して貰いなよ」
「だったら、ウィラさんも一緒に行こう。オズマのせいで、怪我してるよ」
「ぼくはいいよ」
「え、なんで?」
 心配するシキアに、ウィトルは言った。
「この怪我は自業自得。オズマの言ってたことは事実だし、そのツケを払ったようなものだから――」
「事実なんて言わないでよ」
 悲しそうに、シキアは言った。
「少なくとも、あの日にウィラさんが俺のこと連れ出してくれたから、俺は今ここにいられるんだよ」
 シキアはウィトルを見詰め、想いを吐き出す。
「だからぼくのせい、なんて言わないでよ……」
 それはシキアが『シキア』になれた始まりの想い出。
 自分という物を求められず、『誰か』の代わりであることしか求められ無かったシキアに、自分が望む自分であっても良いと教えてくれた魔法の言葉。

『いいんじゃないの、自分で名前を決めたって』

 ウィトルが一時同居し面倒をみていた頃、贈ってくれた言葉が、今のシキアの始まりなのだ。だから――
「ウィラさんのせいじゃないよ……なのに、そんなに怪我させちゃって……ごめんなさい……」
 項垂れながら謝るシキアに、ウィトルは頭にぽんっと手を置くと――
「謝るな、大体ぼくが勝手に暴れただけだし」
 小さな弟にするように、くしゃりと頭を撫でて言った。
「……わかった。お前に関しては、あんまり悩まないようにしておく」
「……うん」
 泣き笑いのような表情で、シキアは応える。
「ありがとう、ウィラさん」
 兄のような姉のような恩人に、シキアは礼を告げることが出来た。
 それにウィトルは、小さく笑みを浮かべて返すと、続けて言った。
「それじゃ、これについては今日で終わり。それはそれとして、怪我はしてるんだから保健室に行こう」
「え、いいよ」
「跡が残ったら大変だろ? ぼくも行くから。ほら」
 手を繋ぎ引っ張っていくウィトルに――
「うん」
 信頼した笑みを浮かべながら、一緒に向かうシキアだった。

 そのあと、怪我をした理由が殴り合いだったことを聞き出した保険医に、滅茶苦茶怒られる2人。
 けれどそれも、想い出のひとつと成る2人だった。

●SF世界との交信
 フトゥールム・スクエアは広大である。
 広さとしては小国に匹敵し、場所によっては人目につかない場所もあった。
 今、【レネンヴィオラ・ウェルス】がいるのも、そんな場所のひとつ。
 故郷である異世界と交信するため、人気のない林の中に訪れたレネンヴィオラは、簡易AIに言った。
「交信するから~投影してくれる~?」
 レネンヴィオラの言葉に応じ、前方に空間投影型のディスプレイが浮かび上がると、1人の女性を映し出した。
『大佐。任務、ご苦労様です』
 規律正しい声でレネンヴィオラを労うように言ったのは、男装の麗人といったいでたちと、銀の髪を縦ロールにした【セレスティンローザ】。
 レネンヴィオラの大切な『妹』の1人である。
「セティ~」
『なんですか?』
「お姉さんって~よんでぇ~?」
『いけません』
 キリっとした声で、セレスティンローザは返す。
『階級の違いを明確にせねば、指揮系統に乱れが生じ、ひいては作戦遂行能力に悪影響が及びます』
「え~でも~他に人は居ないのに~」
『本部にリアルタイムで内容が送られて記録されています』
「司令は~気にしないと思うの~だめ~?」
『ダメです』
 変わらぬ規律正しさを見せるセレスティンローザを、レネンヴィオラは微笑ましげに見詰める。
 レネンヴィオラに見詰められ気恥ずかしさを感じたセレスティンローザは、少し強引に話を戻す。
『大佐、報告をお願いします』
「分かったわ~」
 レネンヴィオラは笑顔を浮かべながら応えると、報告をまとめたデータを送信した。
 それは魔王と、魔王の軍勢との戦いを纏めた物だった。
 レネンヴィオラは魔王決戦に合せ、こちらの世界に転移した2人の『妹』のバックアップをするため訪れている。
 こちらの世界に訪れたレネンヴィオラは、2人の『妹』と同じように、この世界における人間種に存在変換されており、それも含め様々なデータを送っていた。
 レネンヴィオラの居る世界とは異なり、こちらの世界には高度な科学技術を伴った道具は無かったが、異世界人であるメフィストから提供されたシステムをレネンヴィオラが属する組織、CGFでは解析し異世界間での交信を確立していた。
『――データ送信完了しました。少し内容を見させて貰いましたが、魔王と呼称される存在を無力化し、その軍勢の沈静化も成功したようですね』
「そうよ~2人もがんばってて~えらいわ~」
 誇らしげに言うレネンヴィオラに、セレスティンローザも同意してしまいそうになったが、状況を思い出し確認作業を続ける。
『2人のことは戻って来てからまた話をしましょう。それより今後の指針の摺合せをします』
 セレスティンローザは手元のコンソールを操作し、必要なデータをレネンヴィオラが見ている空間投影型のディスプレイに映す。
『そちらの作戦完了が確認されたので、次のフェイズに移行します。こちらの世界で保護受入れを行っていた人間種族と原生生物の処遇についてですが――』
「セティ~その権限~お姉さんにちょうだい~」
『避難対象の帰還と、残留希望者の市民登録を大佐の権限で行うということですか?』
「そうなの~こちらの世界に住んでみて~色々と事情を知ってる立場で調整した方が~良いと思うから~」
『少し待って下さい。司令部に確認を取ります』
 間を空けて、応えは返ってきた。
『権限承認を受けました。今回の事案の権限者として大佐が登録されます。それと同時に、魔王無力化作戦失敗を見越した殲滅作戦の任は解かれました』
「好かったわ~」
 安堵するようにレネンヴィオラは言った。
 いま2人が話しているのは、勇者達が敗れた場合を見越して立てていた作戦だ。
 魔王を寺院ごと自分たちの世界の廃棄惑星に転移させ、待機している精鋭艦隊の一斉攻撃により惑星ごと魔王を破壊する、という作戦を水面下で展開していた。
 レネンヴィオラが転移してきたのは、この作戦の遂行が真の目的であり、表向きは演習という形を取っていたが、それが完了したという報告を受けたのだ。
「止めた方が良い気がしてたから~実行しなくてすんで安心ね~」
『そうですね……この作戦のことが知られたら、あの2人は反対したでしょうから』
 セレスティンローザは、レネンヴィオラと同じく転移している2人のことを思いながら言った。
『われわれがこのようなことをしていたと知れば、憤られるのでしょうね』
「理解は~してくれると思うよ~」
『理解……ですか』
「納得するような子なら~軍規やぶってまで~ゲートに~飛び込まないよ~」
『……ええ。そうですね』
 セレスティンローザは苦笑するように言うと、続けて尋ねた。
『大佐。そちらの世界に滞在する、大佐も含めた三名の帰還は、いつになるでしょうか?』
「お姉さんはともかく~あの子達は~もうしばらく待ってて欲しいの~」
『何故ですか?』
「こちらの世界を~名残惜しそうにしてるから~もう少しかかると思うの~」
『それは……よくない傾向ですね』
 セレスティンローザは形の良い眉を僅かに寄せながら言った。
 元来CGFでは任務期間を最長三カ月とし、未完了の際は別部隊に交代する。
 これは長期間に渡ると深い人間関係ができてしまい、馴れ合いや里心が生じてしまうのを防止するためだ。
『早くこちらに帰還させた方が良いのでは』
「それは待って欲しいの~」
『ですが――』 
 2人が話している時だった。
「ちょっとぐらい良いんじゃないですかー」
 にょいっと、突然メフィストが現れた。
「あら~メフィちゃん~」
『なぜいる!?』
「何か色々話してるのが分かりましたからー。話しておきたいこととかもあったので来ましたー」
 セレスティンローザの突っ込みをのほほんと返しながらメフィストは言った。
「魔王をそっちの世界に転移させちゃうとー、そっちの世界の生物の恐怖も食べて超絶パワーアップするのでー、止めて正解でしたよー。多分恐怖を食べてパワーアップしてー、こっちの世界に戻って来たと思いますよー。そのあとはー、他の世界に進攻してる可能性もあったのでヤバかったですねー」
「あら~そうだったの~」
『そういうことは先に話せ』
「まさか魔王の転移をしようとしてるとはこちらも思いませんでしたからー。あと下手にこちらの世界に直接干渉しようとするとー、世界の免疫機構である饕餮さんが食べに来るので気を付けた方が良いでーす」
『どういうことだ』
 話を聞くと、世界のバランスを壊す存在を『食滅』する饕餮と呼ばれる者がいるが、それが動きかねなかったとのこと。
「貴女達の行動が危険度が高いと認識されちゃいましたからー。観察対象になったみたいでーす。それも伝えに来たんですよー。本人が動くと本気で洒落にならないことになるので代わりに来ましたー。まぁこの世界に危害を加えない限りは大丈夫でしょうからー、そんなに気にすることは無いですがー。あとこれをー」
 メフィストは魔方陣を作ると、羽の生えた猫のようなものを召喚する。
「前に宇宙戦艦くれたじゃないですかー」
「あげたわね~」
「それを魔改造してこうしましたー」
『何してるんだ……』
 理解に苦しむような声を上げるセレスティンローザ。
 そこに続けてメフィストは言った。
「付喪神にして猫の姿も取れるようにしてますがー、その気になれば元の戦艦の姿にもなれまーす。でもこっちの世界の影響で『宇宙戦艦レベル1』の状態なんでー、しばらく預かって下さーい。一緒にいたらレベル上がると思うんでー。それとー」
『まだ何かあるのか』
 突っ込みを入れるように返すレネンヴィオラに、メフィストは言った。
「そっちの世界とこっちの世界は繋がっちゃいましたからー、それ前提で考えた方が良いと思いますよー。例えばー、そっちの世界では手に負えないモノもー、こっちの世界に放り込めばレベル1に初期化されて弱体化しますしー。世界の特性を利用した投獄場所にするとかー色々と使い方はありますよー。戦闘で疲れた人の避暑地にするとかも出来ますしー」
『……何が言いたい?』
「何かあれば協力するってことでーす。こちらとしてもー、その方が利益が大きくなるのでー、もし良ければ考えておいてくだーい。ではそういうことでさらばでーす」
 言うだけ言って消えるメフィスト。
「あら~もう帰っちゃったのね~お茶ぐらい出してあげたのに~」
『そういう場合では……こっちの探査に引っかからずにどうやって来たんだ……』
 データ収集するセレスティンローザに、レネンヴィオラは言った。
「色々あるみたいね~、それよりセティ~、さっきの話なんだけど~」
『2人の即時帰還に、待ったをかける話ですか?』
「しばらく待ってくれると嬉しいわ~」
 柔和な笑顔を浮かべながら頼むレネンヴィオラに――
『司令部と掛け合ってきます』
 出来る限り要望に応えてくれようとする、セレスティンローザだった。

 こうして、それぞれの日常を過ごした、学園生達であった。



課題評価
課題経験:0
課題報酬:0
学園生の日常 その1
執筆:春夏秋冬 GM


《学園生の日常 その1》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 1) 2022-07-29 03:23:59
魔王・覇王コースの仁和だ。
学園でまったり過ごしながらいろんな人と話をしてみようと思う。
覇王六種の面々だったり、面識のある精霊王様方だったり・・・

これからの世界にどういった動きをするのかしたいのかも聞いておきたいかなとも思っている。