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この空の下のどこかに


ストーリー Story

 後の時代の歴史書にはこう記されることだろう。
 勇者歴2022年の魔王決戦において、魔王軍には四大幹部が存在したと。
 顔ぶれについては基本、以下に落ち着くと思われる。
 仮面道化師【ナソーグ・ベルジ】。
 禁忌研究者【ドクトラ・シュバルツ】。
 非実体怪紳士【スチュワート・ヌル】。
 九尾の扇動者【エスメ・アロスティア】。
 無論これが正解と断定はできない。あれが入っていてこれが入っていないのはおかしいとか、【シメール】や【怪獣王女】、はたまた【ガスペロ・シュターゼ】も入れるべきだとか、いっそ五大なり六大なりにしろだとか諸説が競い合うことになろう。八大幹部説をとなえる歴史学者も出るかもしれないし、逆に、ナソーグ以外は幹部ではなかったと主張する学者も出るかもしれない。
 定義の正当性はさておき、上記四大幹部のその後については知られている通りだ。
 ナソーグは仮面を砕かれ、かろうじて本体――闇の霊玉として生きながらえた。しかし最終的には魔王復活の原動力として消費された。
 シュバルツは魔王決戦で戦死した。
 エスメは魔王本体に取り込まれたが、初期化技術をうけ赤ん坊の姿へと還った。
 しかしヌルのみは、魔王決戦を迎える前に学園と和平し異世界へと移住したのである。大地を持たぬ世界だ。地面のかわりに巨大飛空挺が存在するという。ヌルが譲渡を受けたのはかの地で、『無可有郷(ユートピア)』と名付けられた無人の飛空挺だった。戦いを望まぬ多数の魔族も、ヌルの引率をうけ無可有郷へ移民した。
 ヌルとの別れは友好的なものではあった。『人族と魔族が結んだこの盟約が、今後も末永く続きますように』と学園生に呼びかけられたヌルが『ええ。私も望みます』と回答したことも事実だ。
 だというのになぜヌルは舞い戻ったのか。
 そしてなぜ、次期学園長【コルネ・ワルフルド】とむかいあっているのか。
(なんでだよ~!)
 内心半ベソのコルネだったが憶したところを見せるわけにはいかない。突然来訪したヌルを、平然と迎えた。
 不気味とコルネが感じたのもいたしかたないだろう。ガスマスクの頭部、オーケストラ指揮者のようなタキシードに白手袋、そしてエナメルの靴、これがヌルのほぼすべてなのだ。首があるべきところも手首があるところも、足首があるところすらも虚空なのである。透明ではなく存在しないのだ。それでいて服の内側には肉体があるように見える。だがもしヌルが袖口をまくって見せたら、やはり虚空が顔を見せるにちがいない。
 慣れぬ学園長席だが慣れねばなるまい。ふかふかの椅子に座ったままコルネはヌルを迎えた。
「次期学園長のコルネです。本日は代理をつとめます」
 お噂はかねがね、とヌルのマスクの奥から笑い声めいたものが聞こえた。
「ヌルと申します。本日はお話があって参りました」
「話し合い……ですよね?」
「もちろんです」
(助かったー!)
 コルネは心の声を懸命にこらえた。ここはフトゥールム・スクエア学園長室、いわば本拠地中の本拠地である。いざとなれば一騎当千の学園生がいくらでもいる。なので負ける気はしないが、でも平和的に解決したい。
 怪紳士は言う。
「ご相談したいのですよ。我々の……あなたたちの仮称『飛空挺団世界』との時間調整を。そして、二次移民の受付と、そちらへの帰還希望者の受け入れを」
 ところで現学園長はどうしました? とヌルは尋ねた。
「……風邪で伏せっています」
 初期化した【メメ・メメル】はもはや、『オレサマがかかる病気は二日酔いだけ!』といえるスーパー健康体を失っているのであった。



 ローレライは半液体の美しい髪が特徴だ。彼らは髪をあまり束ねたりくくったりせず、長く伸ばすことを好む傾向にある。
 ゆえにローレライなのに髪をまとめウィッグ(かつら)で隠している彼らは異様な印象を与える。しかもそのウィッグがそろって、不自然にカールした白髪なのだからなおさらだ。
 だがリーベラントにおいてこのウィッグは、貴族院議員の象徴である。
「王妃陛下、公女の国婿、いずれもそのような身分の者は認められませんな」
 代表は鷲鼻の横にしわを寄せ小馬鹿にしたように言った。むろん肩書きは白カツラ愛好団長ではなく貴族院議長だ。名を【アルバ・アロンソ】という。男性の老人だ。
「なんだと……!」
 反対は予想していたが【ミゲル・シーネフォス】王も不快感をあらわにせずにはいられなかった。仮にも議会の代表が審議もせずに即却下とは!
 リーベラントは王制ではあるが専制君主の国ではない。世襲制の貴族院議会、選挙を経て平民代表がつく国民議会、そして国王、この三者によって国家運営がなされているのだ。国王は方針を定め両議会にはかり、ときには議決に対し拒否権を発動する。
 といっても貴族院は老人ばかりはびこって新陳代謝が進まず有名無実化しつつあり、大抵は国王提言後に国民議会承認、あるいは国民議会提案後に国王承認のかたちで政権運営がなされていた。かつて国民議会と国王が対立する時代もあったとはいえ、先王クラルテの代からはおおむね良好な関係がつづいている。
 ところがミゲル国王とその妹【マルティナ・シーネフォス】公女の配偶者に限っては、貴族議会が口をだしてきた。もともと貴族院は自分たちが配偶者を決めると主張していたのだ。
「前代王にして兄上、アントニオ公については譲歩しましょう。ジルヴェストロ伯爵令嬢であれば家柄もいい。まあ、世襲伯ではないのが気がかりですが」
 アルバは嫌味たっぷりにそう言ったものだ。【アントニオ・シーネフォス】と【ジルダ・ジルヴェストロ】の婚礼についてである。世襲伯うんぬんというのは、三代以上つづいた家でないかぎり真の名門ではない、といういかにも名門貴族の言いそうな言葉だった。(※ジルヴェストロ家は先日伯爵に昇格したばかりだ)
 はらわたが煮えくり返りそうだがミゲルはこらえた。こんなに腹が立つのは、と考える。
(自分も一年ほど前までは、ああした世襲貴族的な考え方を持っていたからだろう)
 だからこそミゲルは目を覚まさせてくれたフトゥールム・スクエア、そして愛する彼女にはいくら感謝してもしたりない気持ちだった。アントニオもそうだと思う。 
「余はともかく、マルティナのことまで口出しする権利があるのか」
 ミゲルもいまなら、亡き父王の考えがわかる。父は非ローレライ(ルネサンス族)の孤児マルティナを養女として王家に入れ、国民統合の象徴としようとしたのだ。しかしマルティナを利用しようとしたのではなかった。愛情を受けて育ったゆえか彼女は公正で立派な女性へと成長した。一時は反目し合っていた父と自分たち兄弟を融和に導いたのもマルティナだった。せめて妹だけは因襲から救いたかった。
 だがアルバは譲らない。
「あります。王家の配偶者については、両議会の承認が必要と法にもありますからな」
 マルティナは国民人気が高い。リーベラントとフトゥールム・スクエアの友好ムードも進んでいる。配偶者がフトゥールム・スクエアの勇者とあれば、国民議会はほぼ満場一致でマルティナの婚姻を承認するはずだ。
 そうかとミゲルは思った。
「王妃がフトゥールム・スクエア出身なら国民は歓迎しよう。貴族院は国民の支持を無視するのか」
 ところがこれこそ、アルバが待っていた言葉だったのだ。自信たっぷりに議長は言った。
「ですから我々は、王妃候補として学園生【フィリン・アクアバイア】嬢を推すのです!」


エピソード情報 Infomation
タイプ EX 相談期間 5日 出発日 2022-11-13

難易度 普通 報酬 少し 完成予定 2022-11-23

登場人物 6/6 Characters
《マルティナの恋人》タスク・ジム
 ヒューマン Lv36 / 勇者・英雄 Rank 1
村で普通に暮らしていましたが、勇者に憧れていました。 ここで学んで一人前の勇者になって、村に恩返しをするのが夢です。 面白いもので、役所勤めの父の仕事を横で見聞きしたことが、学園の勉強とつながり、日々発見があります。 (技能はそういう方針で取得していきます) また「勇者は全ての命を守るもの、その中には自分の命も含まれる」と仲間に教えられ、モットーとしています。 ※アドリブ大歓迎です! ※家族について デスク・ジム 村役場職員。縁の下の力持ち。【事務机】 (※PL情報 リスクの子) ツィマー・ジム おおらかな肝っ玉母さん。 【事務室・妻】 シオリ・ジム まじめできっちりな妹 【事務処理】 チェン・ジム のんびりマイペースな弟 【事務遅延】 ヒナ・ジム 可愛い末っ子 【事務雛型】 リョウ・ジム 頑固な祖父 【事務量】 マーニー・ジム 優しい祖母。故人 【事務マニュアル】 タックス・ジム 太った叔父。【税務事務】 (※PL情報 リョウの子) リスク・ジム マーニーの元婚約者でリョウの兄。故人【事務リスク】 ルピア・ジム 決まった動作を繰り返すのが大好きなグリフォン。【RPA事務】 ※ご先祖について アスク・ジム 始祖。呼吸するように質問し、膨大なメモを残す。【事務質問】 「あなたのお困りごと、お聞かせいただけませんか?」 セシオ・ジム 中興の祖。学園設立に向けて、土地や制度等に絡む諸手続きに貢献。【事務折衝】 「先祖の約束を今こそ果たす時。例え何徹してもやり遂げる!」
《人たらし》七枷・陣
 ヒューマン Lv18 / 賢者・導師 Rank 1
異世界:情報旅団テストピアという所に住んでいたが、とある仕事の最中に、この世界に強制転移してしまった。 普段は一人称おじさん。真面目、シリアスな場合はオレ。 本来は50手前のアラフィフおじさんだが、何故か30歳以上若返ってしまった。強制転移した経緯が原因と思われるが真偽は不明。 普段はいかに自分の得意分野だけで楽出来ないかを考えているダメ親父的な人間。 自分や同行する仲間が危機に陥ると気合いを入れて打開しようと真面目モードに。 厄介事に巻き込まれるのは嫌い。お金にならない厄介事はもっと嫌い。でも一度関わってしまったら何だかんだ文句言いながら根気よく取り組む。 やれば出来る人。でも基本ダメ人間。 恋愛事は興味をあまり示さない枯れ気味な人。超若返っても現状は変わらず。 どうにかして元の世界へ戻る為、フトゥールム・スクエアに入学。 転送、転移関係の魔法や装置を徹底的に調べる事が目下の目標。 魔法系の適性があったらしいので、雷系を集中的に伸ばしたいと思っている。自前で転移装置の電源を確保出来るようにしたいのと、未成熟な体躯のフォローとして反応速度メインの自己強化が主な理由。理想は人間ダイナモ。 転移直前まで一緒にいた仲間の女性3名(マナ、マリア、マルタ)の安否を心配している。 「はぁ~…どうしてこんな事になったんだ?…おじさん、ちゃんと元の世界に戻れるんだろうか…こんな厄介事は前代未聞だよ…トホホ」
《運命選択者》クロス・アガツマ
 リバイバル Lv26 / 賢者・導師 Rank 1
「やあ、何か調べ物かい?俺に分かることなら良いんだが」 大人びた雰囲気を帯びたリバイバルの男性。魔術師であり研究者。主に新しい魔術の開発や科学を併用した魔法である魔科学、伝承などにある秘術などを研究している。 また、伝説の生物や物質に関しても興味を示し、その探求心は健やかな人間とは比べ物にならないほど。 ただ、長年リバイバルとして生きてきたらしく自分をコントロールする術は持っている。その為、目的のために迂闊な行動をとったりはせず、常に平静を心掛けている。 不思議に色のついた髪は生前の実験などで変色したものらしい。 眼鏡も生前に研究へ没頭し低下した視力のために着けていた。リバイバルとなった今もはや必要ないが、自分のアイデンティティーのひとつとして今でも形となって残っている。 趣味は読書や研究。 本は魔術の文献から推理小説まで幅広く好んでいる。 弱点は女性。刺激が強すぎる格好やハプニングに耐性がない。 慌てふためき、霊体でなければ鼻血を噴いていたところだろう。 また、魔物や世界の脅威などにも特に強い関心を持っている。表面にはあまり出さねど、静かな憎悪を内に秘めているようだ。 口調は紳士的で、しかし時折妙な危険性も感じさせる。 敬語は自分より地位と年齢などが上であろう人物によく使う。 メメル学園長などには敬語で接している。 現在はリバイバルから新たな種族『リコレクター』に変化。 肉体を得て、大切な人と同じ時間を歩む。  
《勇者のライセンサー》フィリン・スタンテッド
 ヒューマン Lv33 / 勇者・英雄 Rank 1
「フィリン・スタンテッド、よ……よろしく」 「こういう時、どうすれば……どうすれば、勇者らしい?」 (※追い詰められた時、焦った時) 「黙って言うこと聞け! 殴られたいの!?」 「ぶっ殺してやる! この(お見せできない下劣下品な罵詈雑言)が!!」   ###    代々勇者を輩出してきた貴族スタンテッド家(辺境伯)の令嬢。  一族の歴史と誇りを胸に、自らもまた英雄を目指してフトゥールム・スクエアへと入学する。  愛と平和のために戦う事を支えとする正義感に溢れた性格で、『勇者らしく人々のために行動する』ことを大事にする。  一方で追い詰められると衝動的に罵声や暴力に訴えてしまう未熟な面もあり、自己嫌悪に捕らわれる事も多い。 『彷徨う黄昏に宵夢を』事件で対峙したルガルとの対話から思うところあったのか、頑なな勇者への拘りは少し角がとれたようだ。 ※2022年8月追記 全校集会『魔王の復活』後、昨年クリスマスに結ばれたルガルとの子供を身籠っていた事が判明 (参考シナリオ) 恋はみずいろ L’amour est bleu https://frontierf.com/5th/episode/episode_top.cgi?act=details&epi_seq=649 ◆口調補足 三人称:〇〇さん(敬語では〇〇様) 口調:~かな、~ね? その他:キレた時は『私、アンタ、(名前で呼び捨て)、(言い捨て)』 ◆Twitter Sirius_B_souku
《メメルの婚約者☆》仁和・貴人
 ヒューマン Lv33 / 魔王・覇王 Rank 1
「面倒にならないくらいにヨロシクたのむ」                                                                                                                                                 名前の読みは ニワ・タカト 身長:160㎝(本当は158cm位) 体重:45kg前後 好きなもの:自分の言う事を聞いてくれるもの、自分の所有物、メメたん 苦手もの:必要以上にうるさい奴 嫌いなもの:必要以上の労働、必要以上の説教 趣味:料理・・・だが後かたづけは嫌い    魔王っぽく振る舞っている    此方の世界の常識に疎い所がある キャラとしてはすぐぶれる 物理と科学の世界からやってきた異邦人だが、かの世界でも世界間を移動する技術はなくなぜここに来れたのかは不明。 この世界で生きていこうと覚悟を決めた。 普通を装っているが実際はゲスで腹黒で悪い意味でテキトー。 だが、大きな悪事には手を染める気はない。 保護されてる身分なので。 楽に生きていくために配下を持つため魔王・覇王科を専攻することにした。 物欲の塊でもある。なお、彼の思想的には配下も所有物である。 服装は魔王っぽいといえば黒。との事で主に黒いもので固めていて仮面は自分が童顔なのを気にして魔王ぽくないとの事でつけている。 なお、プライベート時は付けない時もある 色々と決め台詞があるらしい 「さぁ、おやすみなさいの時間だ」 「お前が・・・欲しい」 アドリブについて A  大・大・大歓迎でございます 背後的に誤字脱字多めなので気にしないでください 友人設定もどうぞお気軽に
《終わりなき守歌を》ベイキ・ミューズフェス
 ローレライ Lv27 / 教祖・聖職 Rank 1
深い海の色を思わすような、深緑の髪と瞳の彷徨者。 何か深く考えてるようにみえて、さして何も考えてなかったり、案外気楽にやってるのかもしれない。 高価そうな装飾品や華美な服装は好まず、質素で地味なものを好む。 本人曰く、「目立つということは、善きものだけでなく悪しきものの関心も引き付けること」らしい。 地味でありふれたものを好むのは、特異な存在として扱われた頃の反動かもしれない。 神には祈るが、「神がすべてをお救いになる」と盲信はしていない。 すべてが救われるなら、この世界に戦いも悪意もないはずだから。 さすがに口に出すほど罰当たりではないが。 ◆外見 背中位まで髪を伸ばし、スレンダーな体型。 身長は160センチ前半程度。 胸囲はやや控えめBクラスで、あまり脅威的ではない。 が、見かけ通りの歳ではない。 時折、無自覚にやたら古くさいことを言ったりする。 ◆嗜好 甘いものも辛いものもおいしくいただく。 肉よりも魚派。タコやイカにも抵抗はない。むしろウェルカム。 タバコやお酒は匂いが苦手。 魚好きが高じて、最近は空いた時間に魚釣りをして、晩ごはんのおかずを増やそうと画策中。 魚だって捌いちゃう。

解説 Explan

 ハートフル、ロマンス、あるいはバトル……?
 オールジャンルエピソードです。エピソードガイドは無視して別のお話でももちろんOKです。
 この青い空の下、あなたの心残りを成仏(?)させてください。

 すべてのNPCが登場可能です。たとえ死んでいてもなんとかします。
 ただし以下のNPCだけは注意が必要です。

【ヌル・スチュワート】
 飛空挺団世界から一時的に戻り、時間調整(両世界の時間軸をどこかで統一する)と移民希望者二次募集のためにやってきました。戦乱が終わったので戻りたいという帰還者も受け入れてほしいと言っています。

【メメ・メメル】
 初期化されて一般的な体質となり、ちゃんと(?)病気になるようにもなりました。
 現在絶賛伏せり中です。でもただの風邪です。学園内にいくつかある別邸で寝ています。

【ミゲル・シーネフォス】
 結婚希望の相手(拙作『シェリーに口づけ』参照)を貴族院議長に反対され、あまつさえ別の王妃候補を推薦されました。貴族院議員(二十名程度)を黙らせる圧倒的な説得力がないか探しています。……が、思いつかず頭を抱えています。

【フィリン・アクアバイア】
 学園上級生。アクアバイア家はじつは、リーベラント名門貴族の家系なのでした。ミゲルとの結婚に興味はないはずなのですが、生来の負けず嫌いが顔を出し「王妃になってやってもいいのう」などと言っており辞退する気はなさそうです。

【マルティナ・シーネフォス】
 ミゲル同様苦しい状況です。いっそ駆け落ちしても……と考えていますが、『よき王族』として国民を裏切ることなるのではと躊躇もしています。
  


作者コメント Comment
 マスターの桂木京介です。
 ラストが迫ってきましたが、盛り上がって参りましょう!

 前作『シェリーに口づけ』の続編という側面もありますし、怪人ヌルの再登場、さらには鬼の霍乱メメル学園長(年内は『現』学園長です)の看病イベント発生、リーベラント王族の婚姻問題……等々フック満載でお送りしております。
 もちろん今回も「あの伏線回収してなかったー!」なあなた、「駆け込みロマンティックを!」なあなたもお待ち申し上げております! 新キャラも歓迎ですよ!

 難易度は『リーベラント貴族院議会も文句を言えないくらいの説得力を見せる』(行動でも舌戦でも実力でも、得意なものを選んで下さい)という挑戦をするPC様は『やや難しい』、それ以外は『簡単』くらいで考えています。中間をとってエピソード全体は『普通』としました。

 それではリザルトノベルでまた会いましょう! 桂木京介でした。


個人成績表 Report
タスク・ジム 個人成績:
成績優秀者

獲得経験:234 = 78全体 + 156個別
獲得報酬:9600 = 3200全体 + 6400個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
【「この世界」の未来を考えるフォーラム】

学園主催、リーベラント主催の二部制で開催

狙いは…

①学園とリーベラントで開催する、という筋立てで、両者の結び付きを世界にアピールする

②ヌルさんとの協議を公開にすることで、異世界交流を文化として世界が受け入れるきっかけにする

③学園開催の実績をもって、リーベラント開催のフォーラムに説得力を持たせる

④リーベラントの婚姻問題を、国際交流のありかたという形の公開意見交換に持ち込み、国民議会と世論を味方に、貴族議会に訴えかける

これまで積み上げた【信用】その他交渉系技能と経験を総動員
各勢力のトップであるコルネ校長、ヌルさん、ミゲル陛下に了承を願い
実施までの調整を重ねる

七枷・陣 個人成績:

獲得経験:93 = 78全体 + 15個別
獲得報酬:3840 = 3200全体 + 640個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
【目的】
ヌルと再会し、メフィストと同様に異世界転移と時間統一についての渡りをつける
そして二人には…意気地なしなお別れを

【行動】
学園でヌルとコルネの時間調整会談に同席
成り行きを見守りつつ、時間調整の件に意見を述べる
特に時間軸の時代等に拘るところがないなら、おじさんの居た時代へ調整して貰えないだろうか
元々居た年代と月日を伝え、不都合がなければその辺りで統一してくれると助かるんだよねぇ
家族のマリアとマルタを置き去りにしちゃってるからさ
統一後におじさんとマナを移民に混ぜて貰って、テストピアへ戻る際にエスバイロも一台頂けると非常に嬉しい
状況をマナに伝えて、コルネ先生に二人への書置きを預け、おじさん達が転移してから渡すよう依頼
後は気付かれずに二人で転移してしまおう
リリィ達は…恐らく考え抜いた上で付いていくって言うのだろう
でも、やっぱり何もかもを絶ってまでおじさんの下に来るのは良くない
オレにそこまでされる価値は…無い

直接言わず不誠実なのは重々承知の上だ
でも、これがきっと一番良い落着となる
なる…筈だ

クロス・アガツマ 個人成績:

獲得経験:93 = 78全体 + 15個別
獲得報酬:3840 = 3200全体 + 640個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
身を固めると決めた以上、皆の事も応援したい
ということで、俺はフィリン・アクアバイアの説得に動く
同じコースだし……一度は学生寮に招き入れてしまった仲でもあるからね

とはいえ普通に説得して聞くとも思えないな
だから彼女に会ってひとまずこの件の話をし、時と場所を改めて再度会う約束を取り付けたい
同時に、貴族院議長ともコンタクトを図る

フィリン君を呼び出すのは、俺が議長と接触する場所
液状化でうまく隠れられるだろう?議長との会話を盗み聞きしてもらおう

会話術に挑発を織り交ぜ、議長から言葉を引き出す
フィリンという人物だから欲しいのではなく、貴族の血があればこそだと、ね
プライドを、婚約を提言した彼自身に折ってもらおう

フィリン・スタンテッド 個人成績:

獲得経験:93 = 78全体 + 15個別
獲得報酬:3840 = 3200全体 + 640個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
●行き先
ヌルとの縁で飛空挺団世界への移民、帰還者受け入れの手伝い
自分は近い将来に卒業するので、その引継ぎ(という名目でアクアバイア先輩を巻き込み)

●行動
急な産休やらで迷惑かけたぶんを返すべく、コルネ校長に協力。
飛空挺団世界とはヌルやネビュラロン先生関係の縁もあるので、情報を元に受け入れ先や教育などについての事務折衝を。
特に代表的な人、移民で主張がある人にはタスクが行うフォーラムを紹介して交流を図れれば。

あと自分は近い将来の卒業後の引継ぎについて…アクアバイア先輩に。

「同じお名前つながりでお願いしたいのですけど」

リーベラントとの婚姻絡みでバタついてるのを聞いて、
話を絡めて力になれないかと。

※提案をかけて勝負もありかと思いますが、直接戦闘は間合いが違い過ぎるのでチェスとか平和ものになりそう…

「もちろん知ってますよ、事情は。それ込みで…先輩が教員になってくれたらと思うんです」

「個人としては…みんなにも好きな人と結婚してほしい。公人としてなら、よりリーベラントとの関係を強められる方を選びたい」

仁和・貴人 個人成績:

獲得経験:93 = 78全体 + 15個別
獲得報酬:3840 = 3200全体 + 640個別
獲得友情:500
獲得努力:100
獲得希望:10

獲得単位:0
獲得称号:---
メメたんの別邸で彼女の看病中

とは言えずっと付きっ切りってわけでもないし、ない頭振り絞ってタスクくんやアクアバイア先輩の恋愛の障害について考えてみようか?

ふたりとも学園関係者とは言え生徒ってことで学園での立ち位置は正直強くもないよな
…俺も同年代の同僚が欲しいし職員に誘ってみるか?
結婚やらで向うに行くときも出向とか退職してもいいわけだし、元でも学園職員だったっていう経歴とコネは何かに使えるだろ
二人に打診しておくか

メメたんの体調にもよるけど良さそうならコルネ先生にアドバイスとか何かないか聞いておこう
物資買いに行くときのついでにでも伝えればいいし


タスクくんの案に乗れる分だけ乗る
アドリブA、絡み大歓迎

ベイキ・ミューズフェス 個人成績:

獲得経験:117 = 78全体 + 39個別
獲得報酬:4800 = 3200全体 + 1600個別
獲得友情:1000
獲得努力:200
獲得希望:20

獲得単位:0
獲得称号:---
◆目的
貴族院をどうにかして黙らせるor介入できない状況に仕向ける

……とは言っても、自力では少し難しそう
さて、どうしたものか

◆行動
これまで友好があった方のお手紙とか漁って、力を借りられそうな方を当たってみる
さすがに貴族院を相手にするなら……ジルヴェストロ家は巻き込まない方がいい

……このお手紙は、あのお方がご生前に送られてきたもの
これに……頼るしか

ちょっと、出掛けてきます!

ジルダさんやミゲルさんが着いてこようとするなら、今回ばかりは断って
ある意味……私も、覚悟を示すときなんですよ

そこらのごろつきには負けないのは、ジルダさんのお名前を借りた戦いで証明済み
向こうが望まないなら、こちらも荒事は避けますし

目的地から戻ったら、一緒に来た方をミゲルさんにご紹介
道中、言葉を交わしただけですが、荒々しさだけでなく、思慮深さもあり、義に厚い
こうでなければ、あの世界では生きていけない

そして、その力は……必ず、リーベラントの力になる

「そう言えば、第4艦隊提督空席だったね」
とか、アントンさんが言い出したらどうしよう

リザルト Result

 窓に向けた指が震えている。
「……見えるか? あの木が」
 かすれた声で【メメ・メメル】は告げた。視線の先にはたしかに、落葉のはじまったケヤキがある。
「あの木の葉っぱ。その最後の一枚が散るとき、オレサマの命も一緒に……」
「またバカなことを」
 けれど【仁和・貴人】は冷静だ。
「ただの風邪だってば。二三日寝てれば良くなるよ」
 言いながらもメメルの額の濡れタオルを取ると水を張った金だらいにつけて、ぎゅうっとしぼる貴人である。食欲がないという彼女のために温かいお粥も用意していた。
 ここはメメルの別邸、本日貴人はこの場所でメメルにつきっきりだ。薬を飲ませたり着替えを手伝ったりと、甲斐甲斐しく彼女を看病していた。
「ていうか本当は、『葉っぱの最後の一枚が~』っていうくだりをやってみたかっただけだろー?」
「まあな」
 へへへと病床のメメルは笑った。
 とはいえ顔は赤いし目はトロンとしているしで、本当に体調は悪そうである。冷え冷えのタオルを額に乗せられて、気持ちいい~とメメルはうめいた。
「……しかし風邪というのは不便なモンだな。頭も喉も痛いし鼻水は止まらんし。本当に皆、年に数回かかっとるのか?」
「まあだいたいは」
 勇者元年まではメメルも風邪くらい引いたはずだが、二千年あまりのあいだにすっかり感覚を忘れたようだ。
 メメルはよいしょと半身を起こし、カーテンに向けて手を振った。音もなくカーテンが引かれる。
 貴人は腰を浮かせかけた。別にどうということもない光景だったはずだ、メメルにとっては……ただし初期化するまでは!
「驚いたか」
「うん……驚いた。マジで」
 メメルはニヤリととする。
「ようやくこれくらいの魔法が使えるようになったんだ☆ だいぶ努力したからなあ」
 校長業引き継ぎの合間を見ては、メメルが魔法の訓練をしていることを貴人は知っている。何度か手伝ったこともあった。それでもここまで進歩していたとは知らなかった。
「だが……一日にできるのはこれが限界だ」
 消耗したようにうなだれて、メメルは前のめりに倒れそうになる。慌てて貴人は身を乗り出し彼女を支えた。メメルはやわらかくてうっすらと甘い匂いがして、カイロみたいに熱かった。
「病人が無理しなくたって」
「がんばった成果を見せたかったんだよ、貴人たんにな」
 がんばりすぎて風邪引いてしまったがと苦笑した。病気で弱っているせいか、今日のメメルはなんともはかなげだ。
 それに、と抱きささえられたままメメルは貴人を見上げた。
「病気もそう悪いことばかりでもないぞ……愛する人に優しくしてもらえる」
「メメたん……」
「貴人……」
 メメルに『たん』を外して呼ばれると、なんだかぐっときてしまう。
 メメルは貴人を見つめていた。
 貴人も、見つめかえした。
 ふたりの顔の距離はこぶし一つほどもない。
 メメルが目を閉じた。
 貴人も目を閉じて唇を……近づけたところでメメルにおしのけられた。
「うわっち! しまったキスはいかんなキスは! 風邪をうつしてしまう!」
「メメたんの風邪ならオレ、うつってもいいよ」
「よせやい照れるだろー。……それより、オレサマは朝よかだいぶマシになってきた。おとなしく寝とるから貴人たんは行ってやれい」
「行けって、どこに?」
 メメルはいまのやりとりで落ちた濡れタオルをひろって、額に乗せ床に戻った。
「リーベラント。いま、友達が大変なことになっとるだろ? ずっと貴人たんが気にしてるのはわかっとる」
「でも」
「オレサマはただの風邪だ死にはせん。早く治すからそのときはいっぱいチューしてくれよな♪」
 お粥も食べるし、とベッドサイドの鍋をメメルは目で示した。
「わかった。……オレ、行くよ」
「皆によろしくな」
 メメルは目を閉じた。カーテンを引いたのは、これから眠る意思だったようだ。
 メメルが寝息を立てるのを確認して、貴人は仮面をかぶりマントを羽織った。

 入ります、と言って【七枷・陣】は学園長室のドアを開けた。
 室内には、仮のあるじ【コルネ・ワルフルド】と、ガスマスクにタキシードの怪人【スチュワート・ヌル】が向かい合って座っている。
「来てくれてありがとう」
 陣に席をすすめるコルネは、いずれこの部屋の本当にあるじになる人物として、それなりに堂に入っているように陣には見えた。彼女の内心はわからないけれど。
「飛空挺団世界への転移の話なら、彼を呼ばないわけにはいかないと思ってね」
「結構です。お久しぶりです、ミスター七枷」
 ガスマスクの奥からくぐもった声がする。マスクの下には何もないと知っているだけに、陣はどうにも落ち着かない。
「どうも。ええと、ミスター……」
「私の口調はプログラムされただけのものです。七枷さんはくだけた感じで結構ですよ」
「ああ、じゃあヌル、お前さんとまた会えるとは思わなかったよ。青天の霹靂だったね。報告書を読んだ限り、もうこっちへ来ることはないと思ってたから」
 ていうかさ、と陣は身を乗り出した。
「めっちゃ驚いたよ。おじさんと同郷人って判明したとき、分かるか! って思ったからホント」
 マスク越しだがヌルがあげた笑い声は、演技ではないように聞こえた。
「私も驚きましたよミスター七枷。あなたが同郷だともっと前からわかっていれば、争うことはなかったかもしれませんね」
 それで、と軽く咳払いしてヌルは言う。ヌルの正体は人工知能なので、この咳はまちがいなく演技だろう。
「現在、いま一度われわれとあなたがた、ふたつの世界が隣接しています。あなたが帰りたいことは承知しています。ミスター【メフィスト】の尽力もあって時間軸の調整もできそうです」
「時間軸の調整って言うと……」
「つまり、飛空挺団世界の、ミスター陣が帰りたい時代に帰れそうということです」
「そんなこと可能なのか!?」
 陣の表情に光がさした。
 チンプンカンプンという顔で、コルネは陣とヌルを交互に見ている。さもあろう。コルネの常識では、巨大飛空挺の集まりが地上のかわりをつとめるという世界など想像するのも困難だし、ヌルの真の姿が飛空挺団『無可有郷(ユートピア)』の防衛システムをつかさどるAIだと言われても理解の範囲外だからだ。そもそもAIという時点で壁に突き当たってしまう。
「ミスター陣、メフィスト氏は単独でこれをなしたのではありません。あなたが調べ上げた膨大なデータから両世界の再接近、時間調整の手法を発見したのですよ。あなたの研究は実ったのです」
 陣は絶句した。
 しばらく様子をみていたコルネだが、フリーズ状態の陣におそるおそる声を掛けた。 
「それっていい話だよね?」
「うん……おじさんにとって、最高に近い朗報だよ」
 ちょっと涙ぐみそうな陣だ。
 帰る時間は、とヌルが言う。
「『黒羊(ブラックシープ)』戦役の直後でいいですね?」
 黒羊戦役? と尋ねそうになって陣は気がついた。虚無(アビス)が黒羊の頭部を持つ巨人と化し、すべての飛空挺団を呑みこもうとしたあの戦いは、その後このような名称に定着したらしい。羊の正体が救国の英雄リン・ワーズワースであったこと、そのリンが陣と同様この世界に転生し、ネビュラロン・アーミットと名を変えて学園教師についていることも奇縁といえよう。
「頼むよ。あとできれば……」
「わかっています。目標はあの子たちとミスター陣が別れ別れになった時代です。実はこの時間が飛空挺団世界にとっても最新の時間なのです。移民団が移り住んだのと同時期でもあります。もっとも、ミスター陣が転生したときから最大で数ヶ月のずれがあるかもしれませんが」
 わかっているなら話が早い、そう言いかけたが陣はえっと問い返した。
「待って、『あの子たち』って? 知ってるような口ぶりだけど」
「誰の話?」
 コルネが口を挟んだ。
「おじさんの家族だよ。フラジャイルのマリアとマルタっていう姉妹さ。詳しいアレコレなんてわからないことだらけだけど、そんなの関係ないくらい良い子たちなんだ」
 まあ、姉はちと愉悦部に過ぎるきらいはあるけども――と陣は苦笑いしたが一瞬だ。すぐにヌルに向き直った。
「ヌル、ひょっとしてふたりを知ってるのか?」
「ええ、フラジャイルシリーズの基礎教育をつとめたのは私ですから。正確には、彼女らにほどこした教育プログラムを私が引きついでいるというべきでしょうか。気持ちのうえでは、ふたりは私にとっては大切な教え子です」
 ひゃーっと陣は首をすくめる。自分はそんな相手と、あわや殺し合いになるところだったのか。
「ところで」
 コルネが切り出した。
「ヌルさん、それに陣クン、ワタシには今から行かなきゃならない場所があるんだ。できれば同行してほしい。もしかしたらこの来訪は、歴史の転換点になるかもしれない」
 大袈裟な言いようだがコルネの口調も表情も冗談を言っている風ではなかった。
「行きましょう」
 ヌルはうなずいた。陣も手を打って言う。
「ああそうか……だから彼、寒くなってきたのにずっと外で待ってたんだ。おじさんが呼んでこようか?」
「お願い☆」
 陣に連れられ学園長室に入ってきたのは【タスク・ジム】だ。
「ヌルさん。僕たちは今日まであるフォーラムの開催を計画していました。どうかスペシャルゲストとしてご参加いただけると幸いです」
「渡りに船とはまさにこのことですな。して、そのフォーラムの名は?」
「『この世界』の未来を考えるフォーラム」
 にこりとタスクは笑みを浮かべる。高い理想を掲げたものだが、理想が高くなくてどうするとタスクは思う。だから堂々としたものだ。
「開催はいつ? そして場所は?」
「開催は明日夜。場所は……リーベラントです!」

 国王としての政務から抜けて、【ミゲル・シーネフォス】は極秘のうちに学園を訪れた。
 声を出さず眼だけで来訪を告げ、【ベイキ・ミューズフェス】の部屋に通される。ベイキの従者にして住み込みのマナー講師【ジルダ・ジルヴェストロ】は彼の姿を見て仰天したが、ベイキは落ち着いたものだった。
「そろそろおいでになるかと思っていました」
「さすがベイキ殿だ。さすれば話も伝わっているであろう」
 ベイキは黙ってうなずいた。水をグラスに注いで渡す。ありがとうと言ってミゲルは受け取ると、ほとんど一息であけた。
「貴族院が頑迷なのは今にはじまったことではないが、議員ひとりひとりはなんとかできそうだ。だが議長が……」
 少年じみた顔立ちに沈痛な色を浮かべ、ミゲルは力なく椅子に腰を下ろした。
「ベイキ殿、私は国を捨ててもいいと思っている。妹なら立派な君主になるだろう」
「そんな……!」
 絶句したのはジルダである。けれどベイキは取り乱さない。ミゲルのことだ。これくらい言う可能性は予想していた。しかし一時の気の迷いであることもベイキは知っている。優しく説いた。
「リーベラントは政変が続いています。お兄上のこと、先代の崩御……魔王決戦から時間も経っていません。これ以上の動乱を招いて、しかもそれを妹君に押しつけるようなミゲルさんではないでしょう?」
 ミゲルの妹マルティナはローレライではないのだ。下手をすれば国が分裂しかねない。
「……すまぬ。いまのは気の迷いだ。しかしどうしたものか、途方に暮れている」
「お恐れながら陛下に奏上いたしますっ!」
 ジルダが甲高い声を上げた。
「ジルヴェストロ家が全力をもって議長に工作をはかりましょう! 陛下とベイキ様のためなれば成否を問うべく師(軍隊)を起こそうとも……」
 さっとベイキは片手をあげた。
「それこそ内乱ではありませんか。ジルダさん、早まってはなりません」
 叱られた子犬のようにジルダは首を垂れてしまった。そんな彼女の肩に手を置いてベイキは言うのである。
「お気持ちだけいただいておきます。貴族院を相手にするなら……ジルヴェストロ家は巻き込まないほうがいいと思うのです」
 私は王妃の座がほしいのではありません、と前置きしてベイキはふたりに言い聞かせる。
「ですがミゲルさん、ジルダさん、それにもちろんリーベラント国民も学園も、すべてふくめて幸せになりたいと願っています。だから希望を捨てないでください。私も、絶望はしません」
 自分を罰したいと思っていたがベイキが、前向きに幸福をもとめる気持ちになったのはここに挙げたすべての人々のおかげだ。
 ベイキは振り返ると、鍵のかかった文机から書簡を取りだした。封蝋で厳封されている。
「……このお手紙は、あのお方から生前にいただいたものです、いざというとき開けてほしいと。これに……頼ろうと思います」
 封筒にはconfidenziale(親展)と血のにじむような文字で書いてある。これを示し、ベイキは立ったまま自身だけで手紙を読んだ。二度読み返したとき、ベイキの顔色は変わっている。
「ちょっと出かけます!」
 外套をひっつかんで肩にかける。
 ミゲルが立ち上がった。ジルダも追わんとする。
「待たれよベイキ殿! 手紙を見せろとは言わぬ。だが私も同行させてほしい」
「私も!」
 だがベイキは頑として首を横に振った。
「ある意味……私も、覚悟を示すときなんですよ」
 護衛としてでも、とミゲルもジルダもせがむがベイキは応じない。
「私も魔王決戦を生き延びた勇者、心配はいりません。荒事は最大限避けますから」
 ベイキは外套を羽織った。彼女の決意を示すかのような、決然と強い赤紫の外套だ。
「タスクさん提唱のフォーラムは明日夕刻からです。時間がない。明日の日中にリーベラントで落ち合いましょう」

 その夜、レイアーニと呼ばれる学園女子寮のひとつ。
 ツタに覆われた建造物一階の突き当たりだ。年季の入ったドアがノックされた。
「夜分遅く失礼します」
 なんじゃねと告げて扉を薄くひらき、【フィリン・アクアバイア】は意外そうな表情となった。
「おぬしとはな」
 赤子はよいのかえ? という問いに、【フィリン・スタンテッド】はええと答えた。
「ドクトリアはルガルに任せていますから。いまは寝てますし」
 少しいいですか、と言う。
「……話は少しじゃないですけど」
「よいぞ。一度、ふたりきりで話したいと思っておったところじゃ」
 部屋の主は扉を開けはなった。
「散らかっておるが入ってくれ。茶でも出そうぞ」
 どこが散らかってるの? 来客のフィリンは尋ねたい気持ちである。決して広くない部屋ではあるが、効率的に使われているのが見てとれた。よく整理された背の高い本棚がならび、水色と紫という彼女のイメージカラーのタペストリー、同様の配色のカーペットが部屋を彩っている。棚には海洋生物の模型があり、備え付けの平凡なデスクすら、海藻柄のマット、透き通る貝殻のペン立てで飾られているではないか。床はもちろん書棚にも埃ひとつ落ちてはおらず、強いて乱れを見いだすとすれば、読みかけの本が開いたまま机に乗っていることくらいだ。
 お構いなくとフィリンは言うも、出されたハーブティーはありがたくいただいた。透明なカップに注がれたホットティーだ。目の覚めるようなマリンブルー、香りはラベンダーに似ている。ほどよく熱いのが嬉しい。渋みは少なく甘酸っぱい味だった。
「おいしい……ほっとする味ですね」
「それはよかった。原料は海辺に咲く稀少な植物じゃよ」
「なんという植物です?」
「アクアバイア」
 くすくすとフィリン・アクアバイアは笑った。
「リーベラントの名門だなんだといったところで、元は薬草採りだったにすぎんということじゃろうて。そも、妾はその末端も末端じゃがな」
 遅ればせながら、と居ずまいを正してフィリン・スタンテッドは言う。
「急な産休やら何やらでご迷惑をおかけしました」
「いやいや、迷惑なものかよ。何より大切な仕事じゃと思う。お疲れさまであったと妾のほうこそ言いたい。むしろ大変なのはこれからかもしれんがのう……経験がないゆえわからぬが」
 詠嘆するように述べて問いかける。
「ルガルはいい父親かな?」
「それはもう。数日預けても全然平気なくらいで」
 意外なくらい良き父親ぶりのルガルなのだった。育児に限らず炊事掃除さらには洗濯を熱心にマスターした彼は、万全の体制で父親業に励んだ。初産にはよくあることなのだがフィリンは母乳の出がよくない。しかし粉ミルクがありルガルがいるので不安はなかった。『俺、育児むいてるかもしれねぇな! 楽しいし。保育士目指すかなマジで』とは彼の弁である。
 といった現状をフィリンから熱心に聴きだすと、
「おぬしがうらやましいわえ」
 眼鏡のフィリンはため息をついた。
「赤子のことだけではない。良き配偶者にめぐりあえたことがじゃ」
「……でもここに至るまでは、お恥ずかしながら」
「命をかけるようなことがあったのじゃろう。聞いておる」
 命がけの恋愛か……とつぶやく。
「妾には縁遠い話じゃ」
 いいタイミングだろう。フィリンは先輩に切り出した。
「同じ名前つながりでお願いしたいのですけど」
「聞こうぞ」
 眼鏡の奥の水色の瞳が、濃いブルーの瞳をぴたりと見すえる。
 フィリンとフィリン、ひとりはヒューマンひとりはローレライ、見た目も生い立ちも異なるものの、名前ばかりではなくふたりには、名門貴族に名を連ねる身(事実上、という但し書きがあるにしても)という共通点があった。
「その前にまず情報を。私、もうすぐ卒業します」
「家族もできたことじゃしな。卒業の後はいずこへ?」
「帰郷します。いまなお大変な状況にある実家を守らないと」
 それはいい、と目を細めたフィリンだが、つづく後輩の言葉に眼差しを一変させた。
「だから……勝手な頼みかもしれませんが、リーベラントでなく、学園をお願いできませんか」
「……ほう」
 彼女は艶然と微笑を浮かべている。
「もう伝わっておったか。まあ、隠したわけでもないからのう」
 学園に残れということか、と尋ねるローレライのフィリンに、ヒューマンのフィリンはこたえた。
「それ込みで……先輩が教員になってくれたらと思うんです」
「ふむ。昼間に仁和貴人からも同様の申し出があったわ」
 貴人は、リーベラントに発つ前にフィリンの元を訪れていたのだ。
「あの男、けっして能弁ではないが熱心に勧誘してくれたものじゃ。『学園職員だったっていう経歴とコネは何かと役立つはず』とか申してな、情と利の両面で説くとは成長したのう……おかげで心がぐらついた。多少じゃが」
「先輩の考えは?」
「妾もそろそろ卒業を考えておった」
 言いながらフィリンはガラスのポットを傾けハーブティを注ぎ足した。
 ならばと膝を進めるフィリンを、眼で押しとどめてフィリンは言う。
「教師になるのも悪くない」
 にやりとする。
「じゃが、王妃になるのもまた悪くはない」
 フィリンは言葉に詰まった。
「……と言ったらどうする?」
「正直、戸惑います」
「おぬしの来訪は、妾の本意を知りたかったからじゃろう?」
「はい。本当にアクアバイア先輩がその気なのか、ミゲル様……陛下を愛されてるのかなって」
「興味すらない。童顔は好まぬ」
「ならばなおさらです。個人としては……みんなにも好きな人と結婚してほしい。公人としてなら、よりリーベラントとの関係を強められるほうを望みます」
「色恋は妾の不得意分野じゃ。後輩の育成のほうが得意じゃろうて」
 身を乗り出すフィリンを、フィリンはふたたび目で制す。
「じゃが統治者も得意じゃと思う。公人としてな……くふふっ、たわむれじゃよ」
 ここで思いついたようにフィリンは席を立ち、
「妾は負けず嫌いでの。黙って譲るのも収まりが悪いわえ」
 まもなくチェス盤を手に戻ってきた。白のナイトの駒を持ち上げて言う。
「こいつで決めぬか? なかなかの指し手と聞いたぞ。負ければ仁和貴人とそなたの提案に乗ろう」
「いいでしょう」
 スタンテッド家でフィリンは基礎教養としてチェスを叩きこまれた。自信もある。
 四半時ほどして、
「……勝ってしもうた」
 フィリン・アクアバイアは舌打ちした。
 フィリン対フィリン、ゲームは中盤までは接戦だったが結末は、グウの音もでないほどのチェックメイトに終わったのである。
 先輩はほどほどにやって負けるつもりだったのかもしれない――フィリンは思う。
 けれど集中するあまり真剣になってしまったようだ。だが絶望はしていない。
「ならばプレイヤー交代といきましょう。『彼』にアイデアがあるそうです」
 彼? と首を傾げたフィリン・アクアバイアだったが、やがて悟ったものらしく。
「クロスじゃな」
 またにやりとしたのである。



 フォーラムは二部制だ。第一部は先週、フトゥールム・スクエアで開催された。各国首脳も臨席したがこれはまだ予行演習というか問題提起の場でしかなかった。前回実績をふまえた決議ないし共同宣言は、今宵リーベラントで行われることになる。こちらが本会といっていい。前回参加を見送った国家や集団も多数参加する。
 リーベラント首都クラテリアは水の都として名高い。葉脈のように運河が流れいたるところに噴水が湧き、王宮は水の壁で守られている。石造りの中庭であれ、小さな泉が湧いているのだから恐れ入る。そういえばこの部屋にも、大きな水槽が置かれていた。
 窓枠に肘を乗せ【クロス・アガツマ】は眼下を眺める。
「あれは魔族のグループ、それにバグシュタッドの使節団か。巨人族までいるじゃないか……。さすがタスク君だ。よくこの短期間でこれだけの参加者を本会に集めたものだ」
 壮大な光景だった。王宮に向かう馬車や儀仗兵が行列をなしているのだ。見上げればやはり王宮に向かうグリフォンが群れを成している。ただ、楽観的なムードは感じない。
「もはや異世界の存在は無視できない。異世界との積極交流に舵を切るか、それとも閉ざすか限定的なものにするか……それを決める会議なんだ。悩ましいだろうね」
 背後でドアが開いた。クロスは振り返りうやうやしく一礼する。
「ようこそおいでいただきました。【アルバ・アロンソ】議長閣下」
 良い第一印象を与えるべく、クロスはにこやかに、しかし胸を張って老人を迎えた。
 ここはホテルの一室だ。といっても狭いものではない。リーベラント最高の高層ホテル、しかもその最上階にあるロイヤルスイートなのである。もちろん予算的にはかなり厳しいものがあったが、リーベラント貴族院議長なる大物を呼びつける以上、『フトゥールム・スクエア学園長の配偶者』としてこちらもハッタリをきかせる必要があった。――実際は『学園長』の前には『次期』のただし書きがつき、『配偶者』ではなく『婚約者』が正確なところではあるが。
「ふむ」
「こちらへどうぞ」
 アルバと従者らを応接間に案内する。
 杖をついた老人は白髪のカツラをかぶっていた。カツラには人工的なカールがつけてあり、マント付のパールレッドの衣装はまるで鼓笛隊だ。クロスからすれば前時代的を通り越して滑稽なほどなのだが、そんな感情はおくびにも出さない。
(まずは議長をいい気分にさせておこうじゃないか)
 簡単な世間話からはじめた。敬意は表しつつへりくだることをせず、クロスは自分がフトゥールム・スクエア特使であると印象づけるようつとめた。楽な作業だった。会話術も宮廷教養もお手の物だ。
「ところで議長、アクアバイア令嬢を陛下の配偶者にご希望とうかがいましたが」 
 機を見て本題に入った。そもそもは、この事前交渉という名目で秘密裏に議長を呼んだのである。
 そらおいでになった、とでも言いたげな表情がアルバの顔に浮かんだ。アルバは軽く振り返った。すでに言い含められているのだろう。従者二名は黙礼して部屋を出て行った。ここからは内密の話というわけだ。
「さよう、アクアバイア家はリーベラントの名門、くわえて令嬢は魔王決戦で功を上げたフトゥールム・スクエアの勇者でもある。これ以上の好条件はあるまい」
「フィリン嬢はアクアバイア家といっても傍流、本人は貴族特権も持たずリーベラント在住の経歴もないとの話ですが」
 やや挑発的に、しかし慇懃さを欠くことなくクロスが言うと、否と議長は言うのである。
「問題は王座にふさわしい家柄である。国民議会を黙らせるには学園生の経歴も必要なのだ。アガツマ殿、貴公も学園長の配偶者となる身、統治者としてわかるであろう」
 わかるはずあるかと思ったがクロスは面に出さなかった。家格だの経歴だのが最重要課題である時点でまったく同意できない。ただ、アルバが『学園生』という称号を喉から手が出るほどほしいということだけは理解できた。たとえその目的が、単なる国民人気のためだけであったとしても。
「ですが彼女には品行の面で不安がありましてね」
 ふーっ、とため息をついてクロスは言った。
「いささか奔放と言いますか……たとえば彼女はかつて聖夜に、独身男性の私室に同意なく忍び込んだ過去があります」
 ここでいう男性とは他ならぬクロスのことで、フィリンも単にからかいに来ただけという事実は伏せた。
 効果は抜群だ。
「破廉恥な!」
 アルバは気色ばんだのである。案の定この老人は、彼女の人となりを知らなかったらしい。
「王妃としては資質に問題ありと言えますまいか。そこで私に考えがあります」
 クロスは声を落として言った。
「リーベラント名門貴族の独身女性を学園に入学させるのです。今度はもっとずっと本流の貴族がいいでしょう。経歴ならあとから書き換えが可能です。書類上、魔王決戦の少し前に入学したことにしておけば……」
「名門と勇者の経歴、その両方が、か。悪くない」
「つまりアクアバイア令嬢でなくても」
「よかろう。すぐに人選を……」
 老人が席を立ちかけたとき、ばしゃ、と大きな音がした。
 飾られていた水槽が倒れたのであった。水槽には水がたたえられていたが、魚が入っていないことにアルバは気づいていなかった。
「よくもまあ……妾をコケにしてくれたもんじゃのう……!」
 倒れた水槽からこぼれ落ちた液体がフィリン・アクアバイアの姿を取った。液状化して隠れていたのだった。アッと声をあげて老人は椅子から転げ落ちた。侍従が飛びこんでこないところを見ると、密談ゆえ離れているようにと命じていたのだろう。
「どうやら議長は、フィリン君という人物だから欲しいのではなく、貴族の血筋で学園生なら誰でもいいという考えだったようだね」
 クロスは笑うも直後飛び上がった。フィリンが耳に息を吹きかけたからである。
「ひゃ!」
「コケにしてくれたと言えばおぬしもじゃ! 『資質に問題がある』はいくらなんでも言いすぎぞ!」
「いやこれは言葉のあやであってだね……」
「アヤもボヤもないわえ。覚悟しておれよ」
 キッと怒りの目を議長に転じてフィリンは言ったのである。
「というわけで議長、王との婚約話はきっぱりと破棄させてもらうっ! 入学経歴の書き換えなんて都合のいいことも、いずれ教師になる妾が認めんからのう!」
 アルバはほうほうの体で部屋を出ていったので、この言葉がどこまで届いたかは判然としないが大意は伝わったことだろう。

 同じころリーベラント王宮の一室では、ベイキがある人物をミゲルらに引き合わせていた。
 ミゲルにとってはもちろん、この場に立ち合ったベイキ以外すべての人間にとって初見の男性である。
「貴公が……」
 ミゲルは立ちつくしている。
 同じ場には彼の兄【アントニオ・シーネフォス】もいるが同様の状態だ。やはり衝撃を受けた様子のジルダと支え合っているアントニオの様子を横目で見て、かすかに微笑するベイキである。
 彼を紹介されたリーベラント人のうち、ただひとり落ち着いているのは【マルティナ・シーネフォス】だった。証拠として示されたものをすべて受け取り、大理石のテーブルにひろげるとタスク・ジムとともに確認する。
「うちが見た限り全部本物や思うけど……事務仕事のエキスパートとしての判断は?」
 エキスパートと頼られては期待にこたえたい。タスクはうなずいて鑑定を引き受けた。
「お任せを」
 マルティナを安心させるべく言葉は穏やかだったが決意は重かった。タスクは鷹の目で調査にかかる。
(僕だって信じたい。これが本当なら逆転の可能性が生まれるから……)
 だが予断は捨てよう。この人物が偽物である危険性を考慮しなくてはならない。
 とりわけ注意したいのは、この人物が示した複数の手紙だ。タスクは自身の経験と学んだ技能、読書でつちかった読解力もフルに動員して真贋を見きわめようとした。
 事前調査してリーベラントのここ数十年の歴史は頭に叩きこんでいた。書かれている記述と現実のあいだに矛盾がないか慎重に読み進めていく。ただ一箇所であろうとも、『この時期にはありえない記述』があればアウトだ。
 この場の全員の視線が、タスクひとりに注がれていた。
 誰も口をきかない。天井に巨大な刃がぶらさげられているような緊張が満ちている。
(焦っちゃいけない)
 タスクの集中が乱れることはない。これから自分が下す判断が大きくはリーベラントどころか世界、小さくは自分の将来を左右するものであることを知っていたからだ。
 マルティナと結ばれることだけを優先するなら、判定はそこそこにしてさっさと本物と宣言してもいいだろう。
 だが、易(やす)きに流れることを、タスクは自分に許さなかった。
(もしいま、うかつに僕が真だと判定して、後年偽物だとわかったら戦争の火種となりかねない。そんなことになったら――)
 愕然とするメメルや青ざめるコルネ、落胆する学園の仲間たちをタスクは想う。
 それに、悔恨の涙をこぼすマルティナも。
 それだけは見たくなかった……絶対に!
 世界の破滅をもたらすのは邪悪な力だけではない。ときには書類上の些細な判断ミスが、世を乱し炎につつむこともあるのだ。そんな歴史的事例は枚挙にいとまがない。
 たかが事務仕事とあなどるなかれ。いまタスクが向かい合っているのは、時代を動かし世界を守る事務仕事だ。
(僕は絶対! 偉大な先輩方と同じ地平に並び立ち……この世界を、守る!)
 声に出さねど心に誓う。不滅の希望を。愛する人との未来を。
 時間にすれば二十分足らずにすぎない。それでも永遠に思える時間だった。
 静かに息を吐くと、ついにタスクは顔を上げたのである。
「すべて本物です。このタスク・ジムが一命を賭(と)して保証します」
 安堵、歓声、拍手が部屋の新たな主となった。とりわけマルティナの示した反応は大きく、皆の前であることも忘れ彼に抱きついたのだった。タスクも笑顔だ。しかし気は緩めていない。
(まだだ。本番は……これから!)
 つぎはこの事実を、あと半刻ほどではじまるフォーラムに持ち込み世界に公表せねばならない。それこそ大きな困難であろう。
 余談だが、このときタスクが手紙の真贋を見きわめるのにあみだした手法は、差出人の名前でも受取人の名前でもなく、判定した彼の名を取って『タスク・メソッド(手法)』と呼ばれ史書に載り、後代の学園授業でも長く教えられることになるのだが……もちろんこのときのタスクには知るよしもなかった。


 
 リーベラント王宮、特設会場となった大広間には各種族の首長や国家代表などそうそうたる顔ぶれが参集している。むろんフトゥールム・スクエア代表団も大きな一角を占めていた。
 会合の名は、『この世界』の未来を考えるフォーラム――穏やかな言葉だが、ここに含まれた真の意味は誰もが知っている。
(……列席者みんな、顔が恐いよな)
 無理もないと貴人は思うのだ。異世界――学園生以外のほとんどの人間にとっては理解の範疇外である別次元との交流についてはかる集まりだからだ。しかし貴人はいっこうに恐いとは思わなかった。数年の学園生活で驚愕にはすっかり慣れたし、そもそも自分だっていわゆる異世界人だからだ。リラックスしてコルネの隣、メメルのために用意されていた革張りの椅子に代理でついている。
 問題は学園代表者コルネが、またもやコッチコチに緊張して見えることだ。
「た、貴人クンなんでそんなに落ち着いてるの……!」
「いやまあ……」
 変なことを言ってコルネをさらに緊張させてはならない。そこで貴人は言った。
「ほらオレ、今日はメメたんの代理なんで。横にメメたんがいるような気持ちでいてくださいよ」
「だったら学園長みたいなこと言って……お願い」
「えっ!」
 やむをえまい。貴人は声色を作って言う。
「ホレ、オレサマが隣におるぞ★ 泥船に乗った気持ちでおるがヨイ♪」
「泥船て! ……あ、ちょっと学園長に似てた」
「……光栄です」
 仮面の内側が熱い貴人なのだった。
「私を直視する人はあまりいませんね。意図的に目をそらす方が大半です」
 ヌルが、隣席の七枷陣にぽそりと話しかけた。陣は苦笑する。
「そりゃお前さんおっかないもんね。そのマスクじゃあ」
 ただ、とフォローするのも忘れない。
「おかげで黙ってても強大なメッセージになってるよな。学園は魔王軍幹部とすら和解したんだぞーって」
「メッセンジャーとしては合格ということですな。来た甲斐があったものです。でも」
 不満そうにヌルは鼻を鳴らすのである。
「どうせ転生するなら、もっと愛想のいい姿になりたかったものです。ミスター七枷のような愛らしい肉体とか」
「そりゃないよ、おじさんはこの『愛らしい肉体』から元に戻りたくてがんばってるのにー」
 しばらく笑い合うも、間もなくヌルは口調を変えた。
「それで……フォーラムが終わればそのまま飛空挺団世界に行くということでいいんですね? 学園に戻らずとも?」
「うん。不誠実かもしれないけど、なんか湿っぽくなりそうだから。気がついたらいない、ってくらいがオレには丁度いいのさ」
 陣はつい、『オレ』という一人称を使ったことには気づいていない。
 リーベラント入りに先立ち、陣は書き置きの手紙を作成していた。すでに陣のパートナーは手紙を配達し終えたことだろう。閉会後、パートナーとは合流することになっている。
「それにしても妙な気分です」
 ヌルは左右に顔を向けて言った。
「この私が、仇敵だったミスター七枷とミズ・スタンテッドの間に座るとは」
「そりゃこっちの言葉だよ」
 陣が言い、ヌルを挟んだ側のフィリンも小さく笑う。
「同じく。思ってもみなかったわ」
 たしかに、思ってもみなかったことばかりだ。名を偽り経歴を偽ったライアが、名と記憶に『フィリン』をとどめたまま学園で多くの出逢いを経て、人生の伴侶ばかりか愛しい小さな命まで授かったのだから。
「もうすぐ開会ね」
 フィリンは言った。
「ヌル……いまのうちに言っておくわ。また会えてよかった」
「私もです」
「私のこれまでについては聞いていると思うけど……なんて言ったらいいのかな、色々変わっちゃってね……」
「いえ、変わっていないと思いますよ。あなたはあなたのままです。我々AIと同じで、完全に変わることはできません」
 意外なことをヌルは言う。
「ただ、あなたが偽りのなかに閉じこめていたものが、ようやく花を咲かせたにすぎません。私はそう思います」
「……それって」
 フィリンにその先を言わせず、ヌルは言葉を重ねた。
「あなたにお願いがあります。これからもときどきはエスメ……エスメラルダ様に会ってやってくださいませんか。こちらの世界で私が気がかりなのは、あとはあの人のことだけです」
 フィリンが口をひらくより先に、鐘が低い音を立てた。
 開会時間だ。司会のタスクが宣を行った。
「これより、『この世界』の未来を考えるフォーラム第二部を開催します!」

 紛糾が危惧された会合だが、意外にも異世界との交流を支持する方向へと話はまとまりつつあった。もちろん全会一致の承認に向かっていったわけではない。無知ないし恐れ、あるいは無知からくる恐れにより異論も出たし、限定すべきだという声も出ないではなかった。
 タスクは会議の流れを見ていた。百論噴出してもいい。むしろそれが望ましい。そのための会合なのだから。
 そうして、ここが要点だ、と見きわめたタイミングで彼は発言する。
「忘れないでいただきたいのです」
 タスクは決して長身ではない。目立つ容姿でもなければ筋肉質でもない。むしろ小柄で目立たぬほうだ。始祖アスク以来、一族はずっとこうだった。けれど彼が受け継いできたジム一族の気概、学園で育てた強靱にして健全な自信は、目には見えねど竜巻(トルネード)のような力の渦となり会議参加者のすべての耳目をひきつけた。
「ここにいる多くの種族、国家の協力を得て、僕たちフトゥールム・スクエアは復活した魔王と戦いそして勝利しました。それも、魔王を滅ぼしたり再封印するという力任せの方法ではなく!」
 一呼吸あけて断じる。
「僕たちが選んだ方法、それは、魔王および魔族との宥和(ゆうわ)でした!」
 タスクは要点だけを切々と説く。魔王を滅ぼし尽くすことはできないと。なぜなら魔王は恐怖そのものをエネルギーとする存在だからだ。再封印もロングスパンで見れば一時しのぎだ。憂いを後代に残すことでしかない。
「憎しみではなく信を示し、学園は初期化した魔王を受け入れました。敵対関係にあった魔族とも互いを許し合った。もちろん憎しみがすべて水に流されたわけではない。これからも紛争は起こることでしょう。ですが交流が、互いの壁を壊し、長い不安の時代から我々を解き放ったとは思えませんか? さあ、僕らの次期学園長の話をお聞き下さい!」
 タスクは目でコルネに合図した。コルネは蒼白の顔色でおずおずと言葉を引き継ぐ。
「フ……フトゥールム・スクエアこそは交流のモデルケースです!」
 息継ぎせずに言い切って自信がついたらしい。コルネの口調はなめらかになる。血色も戻った。
「学園には、色んな種族がいます。経歴もバラバラです。ワタシも前はそうだったんだけど、かつて荒れていた人や」
 フィリンが目でうなずく。
「もう死んでいる人も」
 クロスが、コルネにだけわかるようにウインクして見せた。
「異世界の出身者だって生徒です」
 貴人は手を振り、陣は『おじさんのこと言ってる?』と言うかわりに自分を指さした。
「そんなみんなが日々交流し、刺激し、互いを磨きあっているんです。だからこそ『ゆうしゃのがっこ~!』フトゥールム・スクエアは、魔王から世界を救うことができたのではないでしょうか!」
 最初に手を叩いたのはベイキだった。
 パチ、パチ、と小さな拍手がやがて会場全体に飛び火し、まもなく圧倒的なまでの大喝采へと転じた。
 かくしてフォーラムは、これから異世界交流を積極的に行うという結論に達したのだった。
(ここでねじ込むのはルール違反かもしれないが……)
 迷いはあったが貴人は発言するタイミングをうかがっていた。拍手が途切れた瞬間に声を上げる。
「メメル現学園長の代理、仁和貴人と言います! ここでもうひとつ議題、よろしいでしょうか!?」
 空気を読むのはやめた。メメルの強さは、いちいち空気を読んだりしないことだと思い出したから。メメルはいつも自分勝手なようでいて、なすべき発言は決して引っこめない。そこが貴人は好きなのだ。メメルの代理をするのであれば、発言も彼女のように大胆にさせてもらおう!
「リーベラント国王、ならびに公女殿下が望む相手との婚姻についてです! なぜこれが認められないのか!」
「無礼者! ここは議会ではないぞ!」
 白いカツラの老人、すなわちアルバ議長が貴人に怒鳴った。だがすかさずクロスが指摘する。
「ですがこの場には、国王陛下と公女殿下も、貴族院議長も、国民議会の議長もおいでのようですね。せっかくですから話しませんか。俺の調べでは、国民議会は賛成、陛下と公女殿下は言うまでもなく……貴族院は是非半分ですが、それもどうやら議長お一人が激しく反対しているからのようで」
 クロスとて、道理という意味ではアルバのほうが正しいのは百も承知だ。
(だが、義を見てせざるは勇なきなりともいう。いまなら世界が証人となる。アクロバティックな方法でもやるしかないね)
「貴様……」
 アルバ議長は数時間前クロスに醜態を見られたばかりなのだ。言葉が続かなくなり黙る。
「ベイキ君」
 ボールをパスするようにクロスはベイキを呼んだ。
「ここで私、ミゲル陛下の婚約者ベイキ・ミューズフェスから、ある方を紹介させていただきます」
 ベイキが告げると、それまで学園生の席にいた人物が立ち上がった。
 浅黒く焼けた体、無造作に撫で付けた黒髪。ヒューマンのようだ。彫りの深い精悍な顔つきである。
 誰かに似ていると直感したのかもしれない。アルバは彼を凝視していた。
「私は生前のクラルテ様から、奥様公認ですが他は国内どころかメメル学園長にすら内緒にしてた婚外子がいたことを知らされていました。その方の力になってもらいたいと、もったいなくもお手紙をいただいていたのです」
 会場がざわめいた。そういえば、彼の容貌は亡き前国王によく似ていた。
「彼は【ロドリーゴ・エスカランテ】。母は王家の侍女です。彼は現在、城下の漁村で船団を率い、鯨を捕り暮らしています」
 ベイキは前夜、ひそかにロドリーゴに会いに行き会合への出席を依頼した。一蹴されてもおかしくない話だというのに、ベイキの用件を聞くなり『あんたがいずれ来るのは、親父の手紙でわかってた』とロドリーゴは快諾したのである。
「発言、いいかい?」
 アントニオ、ミゲルにとっては母親ちがいの弟、マルティナにとっては血のつながらぬ兄は広間中央に進み出た。
「一生隠し通してもよかった。王族だの宮廷だのには俺は興味がないからな。だが、病弱のおふくろが亡くなるまで時々顔を見せ、船を買う資金も援助してくれた親父には感謝してる。そして兄者の立場が苦しいとなれば、出ていくことにためらいはなかった」
 いささか照れくさげに言い加える。
「それも、兄者の想い人の頼みというならなおさらだ。スラムにも構わず踏みこんでくる根性も本物だったしな。さて……」
 ロドリーゴは口調を強めた。
「王族の端くれとして問うが、国民議会は兄者、それに妹の結婚には賛成なんだよな?」
 年配の女性ローレライが立った。国民議会の議長だ。
「国民議会の決議は早々に終わっています。我々はアントニオ殿下も含め、すべての婚姻を承認します!」
「貴族院は……」
 アルバが口を挟もうとするがロドリーゴは容赦しない。
「貴族院っていうより議長たるあんたの意見だろ? アクアバイア令嬢には断られたって聞いたぜ、いい加減横やりはやめろや。王の嫁取りで滅んだ国はいくらでもある。それとも、国を割るのが貴族院議長の望みなのか!?」
 真っ赤な顔でさらに反論しようとするアルバにベイキが近づいて告げた。糾弾口調ではない。
「未来を築くのは交流、それがこのフォーラムの決定ではありませんでしたか? 議長も反対ではないはず」
 そこで提案ですとベイキは告げた。
「交流をしましょう。いますぐ承認しろとは言いません。しばらくここに滞在しますので、私とタスクさんの人となりを知ってから、どうか王族の配偶者にふさわしいかどうか判断してください」
「お……王宮に滞在させるわけにはいかん!」
「なら議長が学園に滞在するのは?」
 フィリン・スタンテッドは何気なく言っただけだ。だからまさかアルバ老議長が、
「そのほうがずっとマシである!」
 と断じるとは思わなかった。相当な意地っ張りらしい。
「え……本気?」
 かくして学園には、リーベラントからの留学生がまた一人増えることになった。
 ――その後アルバは本当に一ヶ月滞在し、ベイキとタスクを認めたうえで学園にカツラを置き忘れたまま帰郷することになる。


 
 肩の荷が下りたせいかコルネは、王宮を出るやクロスの元に馳せ参じた。
「クロスくーん、アタシがんばったよー☆」
 ほめてほめてと甘える。クロスにしか見せない表情だ。
「見ていたよ。控え目に表現しても立派だった。次期学園長の資格十分だね」
「ホント?」
「もちろんだ」
 ところが甘い会話に割りこむように、ふたりの間から顔を出した者があった。
「くふふっ、妬けるのう、おふたりさん」
 フィリン・アクアバイアである。媚びるような口調でクロスに問いかける。
「ところでクロス、今年の聖夜はどこで誰とすごすのじゃ? 以前のように自室で、妾とか?」
 ピシッ、と竹が割れるような音がしたのをクロスは聞いた気がする。きっとコルネのこめかみに血管の浮き出る音だ。
(覚悟しておれ、とはこういう意味だったか……)
 つかまえて事情を話させようにも、すでにフィリンは姿を消している。
「ようやくわかった! 妾はああいう男が好みなのじゃ!」
 ベイキにロドリーゴを紹介してもらうためである。



 最後に、陣がとある女性ふたりに残した書き置きをここに転記することで本稿の締めくくりとしたい。

 --------

 黙っていなくなることを許してほしい。
 おじさんの世界と君たちの世界が真にずっと交わらない限り、やはり一緒になるべきではないと思う。
 おじさんとの日々は、泡沫の夢だったと思うようにしなさい。
 オレもそう思うようにする。
 君たちは君たちの世界で、良い人を見つけて幸せになることを祈ってるよ。

 じゃあの。


 七枷 陣
    



課題評価
課題経験:78
課題報酬:3200
この空の下のどこかに
執筆:桂木京介 GM


《この空の下のどこかに》 会議室 MeetingRoom

コルネ・ワルフルド
課題に関する意見交換は、ここでできるよ!
まずは挨拶をして、一緒に課題に挑戦する仲間とコミュニケーションを取るのがオススメだよ!
課題のやり方は1つじゃないから、互いの意見を尊重しつつ、達成できるように頑張ってみてね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 1) 2022-11-08 12:26:16
勇者・英雄コースのタスク・ジムです。
よろしくお願いいたします。
おそらく最後のお困りごと、みんなで解決いたしましょう!

ひとまず、プロローグのあれこれをどうにかするための腹案として、自分が考えたことを表明します。

【「この世界」の未来を考えるフォーラム】

これを、学園主催、リーベラント主催の二部制で開催する考えです。

狙いは…

①学園とリーベラントで開催する、という筋立てで、両者の結び付きを世界にアピールする

②ヌルさんとの協議を公開にすることで、異世界交流を文化として世界が受け入れるきっかけにする
(ただし、時間調整周りなど、専門性・機密性の高い事項まで公開する主旨ではない。その辺の工夫も検討中)

③学園開催の実績をもって、リーベラント開催のフォーラムに説得力を持たせる

④リーベラントの婚姻問題を、国際交流のありかたという形の公開意見交換に持ち込み、国民議会と世論を味方に、貴族議会に訴えかける

一人でこのプランを書く場合は、各勢力のトップとしてコルネ校長、ヌルさん、ミゲル陛下に僕から働きかける予定です。

ただ、個人的な願望としては、おそらく最後なので、せっかくだから、仲間と協力して、こういう大きな作戦を打ち上げたいな、という思いはあります。

もしよかったら…
どんな形でも良いし、ご自分のプランの端っこでも構いませんので、乗っかってもらえたら嬉しいです。

もちろん、この作戦自体に問題がある場合や、もっと良い作戦がある場合は、検討し直しますので、是非教えていただければ嬉しいです。

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 2) 2022-11-09 08:03:26
同じく勇者・英雄コースのフィリンよ。

先にゴールしちゃったのが申し訳ないくらい面倒なことになってるわね…
私は空挺都市の方でヌルとの話し合いを助けに行こうと思うけど、もしできる事があったら言ってね。

家柄とかの話なら少しは力になれると思うわ。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 3) 2022-11-09 12:28:10
フィリンさん、ありがとうございます!

では、こちらの考えで、一部、フィリンさんの動きに乗っかれそうな部分があるので、相談させてください。

②のフォーラムについては、時間調整周りなど、専門性・機密性の高い事項まで公開する主旨ではないので…
そのあたりの、「空挺都市やヌルさんにとって本当に重要な話」は、別に場を設けて、先に実施する、というのが、理想の流れです。

仮に、【事務折衝】と呼称しておきますが。
フィリンさんや、ヌルさん空挺都市ルートで動く方は、この【事務折衝】をメイン、【フォーラム】をついでと考えていただいて差し支えないと思います。

フィリンさんが空挺都市周りをメインに動かれるなら、上記の主旨で話し合いをもっていただき、僕もご一緒することを了承いただけたら助かります。
(【事務折衝】を開催する、みたいなアクション文言自体は、僕の方で書くこともできます。)

あくまでフィリンさんの思う行動をメインに、付け足しとして、ご検討いただけたら助かります。

完全に余談の与太話ですが、
個人的には、フィリンさんVSフィリン先輩というのを見たいかも…(笑)

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 4) 2022-11-11 12:14:47
>タスク

ありがとう。私も具体的なプランは考え中だったし、流れに乗せてもらうわね。
アクバイアさん…対決は面白いかもだけど、何するのかな…?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 5) 2022-11-11 12:53:22
ありがとうございます!
よろしくお願いいたします!

アクアパイアさん対決について少し真面目に考えてみました。
お願いしたいのは、プロローグ記載の動きについて、アクアパイア先輩の真意を聞いていただくことです。
なので、対決というより対話、ということになります。

確認したいのは、
本当に陛下との結婚を望んでいるのか、
それとも、何か別の意図があるのか
はたまた単に楽しいからか、気分なのか
というところです。

今回の陛下の婚姻に関係のない第三者的立場という意味でも適任ですし、
(メタ発言ですが)何より、偶然にも同じ名前ですから、シーンとしてもかなり面白くなりそうなので。

もし、プランに余裕があれば、ご検討いただけたら大変でしたありがたいです。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 6) 2022-11-12 08:16:00
ご挨拶が遅れ申し訳ありません。教祖・聖職コースのベイキ・ミューズフェスです。よろしくお願いします。

今回ばかりは、妙案が出てこない……ウィッシュ枠に期待すべきか。
一応、実は生前のクラルテ様から、奥様公認だけど他は国内どころかメメタンにも内緒にしてた婚外子がいて、その方の力になって貰いたいと……お手紙を頂いていたとか言うネタは考えてて、その破天荒な三男様に、

「国の大事なら、国民議会の意見も是非聞きたいな」
「片っ方だけの意見なんて、フェアじゃねーだろ?」
「それとも何かい? 国民議会の連中に諮ったら……なにやってるかわかんねー貴族の嬢ちゃんだと、分が悪いかい?」

とか、色々と物申して頂けないかなと淡い期待をしてたり。

《メメルの婚約者☆》 仁和・貴人 (No 7) 2022-11-12 10:52:51
ギリギリになって済まない。

うん、皆の思う通り基本的にはメメたんの看病をしていると思う。

アクアバイア先輩とタスクくんの恋愛の障害か・・・
リーベラントは(学園にとって)友好国に戻ったとはいえなんだか内部的にめんどそうなことになっているよなぁ。
・・・少し考えてみるか

以下PL発言
先の結婚式で教師になることを表明した貴人君ですが、自分と同年代の学園職員候補を探してると思うんですよ。
なのでそこからタスク君とフィリン先輩を学園の職員に誘う(勿論引退する前提)→そこから学園とリーベラントの関係強化に話もっていけないかなとか愚考しました。
和解したとはいえ色々ありましたしその上で学園関係者にこの状態ですからね。
確かにお二方の交際、結婚はお国ごとですが・・・
タスク君のフォーラムに乗る形でもあると思うのですがどうでしょうかね?

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 8) 2022-11-12 14:14:14
ありがとうございます!

ベイキさん、そのウィッシュ案ナイスだと思います!
ではこちらのフォーラム案に「仲間の持つ新たな人脈等にも協力を願う」と追記してみますね!
もちろん、行動に困った場合は、どんな形でもいいので、フォーラム案に乗ってくださると大変嬉しいです。
やはり一番の当事者ですし、陛下との連携はベイキさんと一緒のほうが、やはりスムーズなので。

貴人くんは確かに、メメたん先生の側にいるのが良さそうですね。
フォーラムでお願いしたいとしたら、
(メタ入った説明になりますが)
メメたんからの伝言などの形で、コルネ校長を励ましていただくと大変助かりますね。
コルネ先生にとって、校長として初めての外交になるので、そういう形のサポートがあると一番安心すると思うので。

学園職員に誘われる展開は嬉しいです。
マルティナ様と婚約した関係で、そも人生がど~なるかわからないので、就職の確約までは出来ないのですが、誘ってくれた気持ちは本当にありがたく受け取ります。

逆に、駆け落ちルートならマルティナ様も何らかで学園の仕事が出来れば万々歳…なんて、妄想が過ぎますね、たはは。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 9) 2022-11-12 14:19:34
なるほどなるほど、貴人さんの案は、今回の件解決のための布石でしたか。
それでは、タスクとしては前向きに考えますね。少し整理する時間をくださいm(_ _)m

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 10) 2022-11-12 16:19:36
リーベラントに強いパイプというかルーツを持つフィリン先輩の教師就任は、普通に、リーベラントと学園の関係強化にとって良手だと思います。
フィリン先輩にそれをお願いする流れの中で、今回貴族議会が持ち上げるフィリン先輩と陛下の婚姻説について真意を聞ければ、色々つながってすっきり整理出来る可能性も見えてきますね!

僕の場合は、マルティナ様との婚姻を諸手を上げて祝福される状況なら、フィリン先輩の場合と似た効果が期待できますが、そうではないので…(苦笑)
どちらかというと話の順番が逆で、婚姻を祝福してもらうためには、説得活動を頑張らないといけない。
そのために企画してるフォーラムにとっては、いち学園生であるよりは、教師の肩書きがあれば、より説得力がありそうです。
そんなわけで、貴人くんのオファーを受け、僕も教師職をありがたく拝命します。
いきなり教師というのが不自然なら、臨時講師とか教育実習生とか政策研究員など、それらしい肩書きを設定してもいいかもしれませんね。

そのあたりの、貴人くんの構想を、自分のプランに取り入れることにしますね!

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 11) 2022-11-12 17:14:46
渾身のプランが、完成しました!!

これまで書き込んだ内容の他、
皆さんの動きとの関連付けを狙った文言などを以下のように加えてみたので、報告しますね。

***

仲間と協力し仲間の動きとも関連付ける
仲間の持つ人脈にも協力を願う
勿論マルティナ様は一番のパートナーとして励まし合いながら一緒に動く

敵対的な相手でも
隣に並んで同じ方向を見る気持ちで対話する事を心がける

《勇者のライセンサー》 フィリン・スタンテッド (No 12) 2022-11-12 22:08:34
なるほど、学園の職員に就職してもらうのはありね…
卒業してしまう後をお願いしたいみたいな切り出し方ができるし、
人間の貴族って立場でもリーベラントとの関係強化は大義名分に十分だわ


じゃあ受け入れと合わせて、その方向で動いてみる事にするわね

《運命選択者》 クロス・アガツマ (No 13) 2022-11-12 22:11:27
賢者・導師コースのクロス・アガツマだ、顔を出すのが遅くなってすまない。
よろしく頼む。

ようやくやろうということをまとめられた。俺は今回はフィリン・アクアバイア君の説得に回るよ。
議長と接触を図り、その話を彼女に聞いてもらって判断してもらう。
おそらくは条件に該当する人がいれば、貴族院は誰でも良いのだと思う。別にフィリン君じゃなくても。
その本音の部分を引き出してボロを出させたいなと。

《終わりなき守歌を》 ベイキ・ミューズフェス (No 14) 2022-11-12 23:09:09
な、なかなかまとまらんかったけど、まとめました。
貴族院は、国民議会の意見を諮るのを嫌がるだろうと踏んだうえで、最後にウィッシュ案件で、ある方に、

「こんなことで国論を割れないだあ? 王の嫁取りで滅んだ国はいくらでもある
その覚悟もねぇ癖に囀ずってたのか!」

と大一喝してもらうネタを入れてみました。
この男気にフィリン先輩が惚れてまえば、色々と丸く収まる……るる。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 15) 2022-11-12 23:20:39
フィリンさん、ありがとうございます!頼りにしてます!

クロスさん、フィリン先輩の説得そして議長へのコンタクト、助かります!
僕はフォーラムの全体を描写するので精一杯なところ、一番必要なところに手が届いて下さったという思いです。

そして、ベイキさんの一発逆転案がすごい!
こ~れ~は、どんなリザルトになるか楽しみです!

今回もご一緒いただきありがとうございました!
ゆうがく最後の思い出を、皆さんと飾れて、タスクは幸せです。

《マルティナの恋人》 タスク・ジム (No 16) 2022-11-12 23:21:00