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こんごう GM 

皆様はじめまして。この度GMとなりました『こんごう』と申します。
シリアスな話はあまり得意ではないので、日常やコメディ等のゆるいお話が中心になるかと思います。
皆様に楽しんでいただけるよう、精一杯頑張ります。

担当NPC


メッセージ


作品一覧


山荘の怪異 (ショート)
こんごう GM
「学園の生徒さん達ですね。ようこそいらっしゃいました」  村の門をくぐった学生達を、白髪混じりの髪を七三に分けた、村長と名乗る初老の男性が出迎えた。  ここは、フトゥールム・スクエアにほど近い山間の村『オータムーン』。  林業と農業が盛んということ以外、取り立てて目を引くような物の無い、いたって普通の村だ。  そんな村の奥まった場所に、およそ場違いな建物があった。  それは、とあるヒューマンの富豪だか貴族だかが、避暑地の別荘として数十年前に建てたものだと言われていた。  別段、観光地として名が知られているわけでもないこの村に、何故そんなものを作ったのか、理由は分からない。  金持ち特有の気まぐれなのだろうと、村人達は気にも留めなかった。  別荘が出来て暫くの間は、持ち主とその家族が訪れる姿を見ることもあった。  村に適度に金を落としてくれたし、横暴な振る舞いをするわけでもなかったので、当時の村人達は好意的に受け入れていた。  当時を知る村人によると、一家の中に小さな子猫を抱いた、人形のように愛らしい少女がいたらしい。  いかにも育ちの良いお嬢様という感じで、明るく礼儀正しい子だったようだ。 「少々、悪戯好きなところがあったのが玉に瑕じゃったが……」  当時の事を知る村長は、懐かしそうに目を細めた。  悪戯と言っても、そう深刻なものではなく、微笑ましい類のものだったようだ。  ところが、ある日を境に、その一家はぱったりと姿を見せなくなってしまった。  詳しいことは分からないが、没落してしまったのでは無いかと言われていた。  管理する者が居なくなった別荘は、荒れ放題に荒れ、かつて茶会などが開かれたであろう広い庭園は雑草が生い茂り、長年にわたって風雨にさらされた建物は一部が倒壊している有様だ。  このまま放置していては村の景観を損ねるし、第一、村の子供達が遊び半分で入り込んで、怪我をしてしまう危険性もある。  そんな経緯もあって、村では近々取り壊しが行われることになっていた。  ところが、取り壊しを行う前日の夜、村の若い恋人達が別荘の敷地内に侵入した事があった。  肝試し感覚で訪れたのか、それとも別の目的があったのかは不明だが、その二人が泡を食って逃げ帰って来たのだ。  逃げ帰った彼らは、部屋の中から身の毛がよだつような唸り声が聞こえたとか、小さな女の子の笑い声が聞こえたとか、何者かが屋内を走り回る音が聞こえた、などと訴えて来たのだ。  村人の大半は半信半疑ではあったものの、何か問題が起きてからでは遅いという村長の決定で、フトゥールム・スクエアの勇者の卵達に調査を依頼してきたのだった。 「元々取り壊す予定なので、建物の損壊については、気にしていただかなくて結構です。むしろ、思いっきりやってもらったほうが、手間が……ごほん」  村長は誤魔化すように咳払いをした。  学生の一人が、この村もしくは、別荘の立っている土地に、何かいわくなどは無いのかと尋ねた。 「ううむ。とんと思いつきませんなぁ……ああ」  まるで心当たりがないとばかりに首をひねる村長だったが、何かに気付いたように声を上げた。 「そういえば、その一家の女の子ですが、病弱な子だったらしく、彼女の両親がこの村に別荘を作ったのも、その子の静養のためと聞いておりましたな。その子やその家族がどこでどうしているかまでは……」  村長は言葉を濁した。  いずれにしろ、何者かが潜んでいるらしい廃屋をそのままにしておくわけにはいかない。  山賊が隠れ家に利用しているという可能性だってあるのだ。  村の治安のためには、放置するわけにはいかない。  学生達は、準備を整え、廃別荘へと向かうことにした。
参加人数
2 / 8 名
公開 2020-09-30
完成 2020-10-17
ゆうがく秋の安全教室 (ショート)
こんごう GM
 フトゥールム・スクエアは勇者養成の場という性格上、周辺の町や村から様々な相談や依頼を受ける事が多い。  時には、課外授業として学生を現地に派遣し、問題の解決にあたらせることもある。  そんな日頃の学生や教員の活躍もあってか、周辺の治安は向上し、フトゥールム・スクエア近辺に住む人々からの評判は、概ね良好だった。  特に、毎年この時期になると、収穫を控えた農家の田畑を狙ってやって来る、野生動物やゴブリンのような魔物を退治する依頼が急増する。  ゴブリンを始めとした人型の魔物は、作物だけではなく家畜に害を及ぼすことも多く、それを追い払ってくれる学園の活動は、農業や畜産を生業とする人々にとって不可欠だった。  ところが、意外なところから一つの問題が浮上してきた。  学生達の活躍を間近で目撃したある村の子供達が、『俺も勇者になる!』とばかりに、学園の生徒の真似事を始めたのだ。  その辺に落ちている棒切れを振り回して、ごっこ遊びに興じるだけなら可愛いものだが、ゴブリンが度々目撃される森に、親の目を盗んで入り込んだりしているらしい。  どうやら当人達は、森をパトロールしているつもりらしいのだが、いつ事故が起きてもおかしくない危険極まりない行為だ。  本能の塊であるゴブリンはもちろんのことだが、イノシシやクマといった、野生動物はそれ以上に危険な存在だからだ。  子供達がそんな遊びに興じているせいで、家の仕事を放りだしたり、夕飯までに家に帰って来なかったりという問題も発生しているようだ。  うちの子達が学園の生徒の真似事をして困っているので何とかしてほしい。  子供に悪影響を与えるので、活動を控えるか、人目につかないようにやってほしい。  学園の職員会議の場で、子供達の親達から、そんな苦情が寄せられていることが議題に上がったのだ。 「うーん、そりゃ確かに放置は出来んなー」  いつも陽気な学園長【メメ・メメル】が、彼女にしては珍しく、少しばかり真剣味を帯びた表情で呟いた。  子供に言い聞かせるのは親の仕事じゃないかと思わないでもなかったが、かといって、学園側で何の対策も取らないというわけにはいかない。  子供達が被害にあってからでは遅いのだ。 「んー、どうしたもんかなー」  いかにも常識的な、もっともらしい説教などに、子供達は耳を貸さないだろう。  そのぐらいのことは、既に両親達がやっているはずだ。 「あー、そっかそっか。いーこと思いついた!」  メメルはひらめいたとばかりにパチンと指を鳴らした。  子供達は学生達の活躍を見て、勇者の真似事をしている。  となれば、彼らの憧れの対象からの言葉であれば、素直に耳を傾けるのではないだろうか。 「そうとなれば早速、優秀な我が校の学生達に、一肌脱いでもらうことにするのだー!」 「……というわけで、チミ達には、村の子供達相手に、秋の安全教室の指導員をやってもらいたいのだー!」  集められた学生達の前で、メメルは胸をそらしながら言った。 「子供達は勇者に憧れているわけだから、チミ達の言うことなら素直に聞いてくれるはずだ! たぶん!」  そうは言っても、どうやって子供達に危険な遊びを止めさせれば良いのだろうかと、学生達は困惑した。 「もちろん、ただのありきたりな説教なら聞かないだろうなー。いかにも勇者っぽい感じで子供達に安全指導をして欲しいのだ! そうだなぁ、例えば……」  メメルは顎に指を当て少し考えこんだ後、言った。 「『勇者はみんなを守るヒーローだ! ヒーローは、お父さんお母さんを困らせてはいけない!』とか、そんな感じ?」  どうにもこじつけっぽく聞こえる。  だいたい、そんな今週の努力目標みたいなもので、本当に良いのだろうか。 「あとは、そーだなー。森に入るのはキケン! っていうのもきちんと指導してほしいなー。勇者っぽく」  勇者っぽい指導とは、いったい何なのだろうか。  学生達は、早くも頭を抱えそうになってしまうが、彼らも未だ見習いとはいえ、勇者のはしくれだ。  子供達が危険な目に合うのを見過ごすわけにはいかない。  指導内容に頭を悩ませつつも、学生達はメメルの見送りを背に、村へと向かうのだった。
参加人数
2 / 8 名
公開 2020-10-31
完成 2020-11-17
開設! フトゥールム・スクエア広報館 (ショート)
こんごう GM
『フトゥールム・スクエア』は、来るべき魔王復活に備え設立された勇者養成の場であることは、周知の事実だが、平和な時代が長く続いているということもあり、学園の存在意義が、一般の人々に正しく認識されているとは言い難い状況である。  普段から様々な民生協力を行っているおかげで、学園への印象は概ね良好と言えるが、人々の多くの認識は、どちらかというと、自分達では解決できない厄介事を解決してくれる冒険者などに近いものがある。  人々の役に立つという点では、間違いではないのだが、学園の本質は、あくまで魔王復活に対する最後の砦だ。 「というわけで、一般の人々に広告する意味も含めて、この度、学園の敷地内に広報館を設立することになったんだ。ついては、広報館に展示する資料について、キミ達に意見を出し合ってほしいんだ」  【コルネ・ワルフルド】が、職員会議で決まった内容を生徒達に告げた。  最初は教員が相談のうえで決めようとしていたのだが、学園長【メメ・メメル】の『学園の主役はオレサマ……ではなくて、あくまで生徒達であるからして、生徒諸君に展示物を考えてもらうのだ!』という鶴の一声で、学生達に一任することになったらしい。  学生達の反応は、余計な事をと思う者が半分、メメルにしては、比較的まともだと思う者が半分といったところだ。 「学園長の意見にも一理あるね。学園の主役がキミ達であることは事実だし、勇者は戦う力だけじゃなく、自身の正当性を主張して、人々の協力を得るための広報力だって必要だからね」  若干生々しい話だった。 「いちおう、学園長の考えるコンセプトを伝えるだけ伝えるよ」  コルネは、ごほんと咳払いをした。 「『こーほーかんのコンセプトは、単純明快だ。見て、聞いて、触って、感じて、戦って! 勇者の学園を知ろう!』……だそうだよ」  なにも、口調まで真似する必要は無いのにと、学生達は思った。 「最後の『戦う』っていうのは、何ですか……?」  学生の一人が、至極もっともな質問を投げかける。 「あー、そんなに気にしなくていいと思うよ。たぶん、身体を動かすアトラクション的な何かがあると良いとか、そういうことじゃないかな」  答えるコルネは、曖昧に頬を掻いた。  そもそも、広報館にそんなアトラクション要素が必要なのだろうか。 「ま、そんなわけで! みんなで知恵を出しあって、展示物の内容を決めてもらいたいんだ。頼んだよ!」
参加人数
6 / 6 名
公開 2021-02-13
完成 2021-03-06
偽勇者を捕えろ! (ショート)
こんごう GM
 それは、街道沿いのとある村での出来事だった。  この村では、数週間前、土砂崩れによって街道から孤立してしまい、『フトゥールム・スクエア』から派遣された学生達の救援活動によって、街道へ通じる道が無事に復旧したばかりだった。  その村に、二人の若い男女が訪れた。  どちらも、学園の制服に身を包んでいる。 「こんにちは~」  にこやかに笑みを浮かべながら、若い男女二人は農作業中の男性に声をかけた。 「おお、あんた達は。学園の生徒さん達だね。この前は助かったよ! 有難う!」  農作業の手を休め、村の男性は二人組の男女に笑顔で挨拶を返した。 「この前の依頼の追加徴収に来ました」 「つ、追加徴収……?」  予想もしなかった一言に、男性は目を丸くした。  男性の反応に、男子学生のほうが眦を釣り上げた。 「おいこら、おっさん。俺達にあれだけの事をやらせておいて、払えねえってのはどういう了見だ!? あァ!?」 「アタシ達は、天下のフトゥールム・スクエアの学生だぞ!? わかってんのか!?」  豹変した二人組は、血走った目で、動揺する男性を口汚く罵り始めた。  何事かと、傍で作業をしていた人々も彼らの元に集まって来た。 「払わねえってのは、つまり、勇者の活動を妨害するってことだな! そんなことが許されると思ってんのか!」 「アタシらフトゥールム・スクエアの学園長が黙っちゃいないよ!」  呆然と見守る村人達を前に、学生服の男女は、恫喝じみた声を上げ続けた。 「いいか! 次に来るまで用意しておけよ! 俺達フトゥールム・スクエアの勇者に逆らうとただじゃ済まねえからな!」  幾度もフトゥールム・スクエアの名を連呼し、呆然と見送る村人を尻目に立ち去って行った。 「一大事だよ、みんな!」  息せき切って、【コルネ・ワルフルド】が教室に駆け込んで来た。 「近隣の村に、学園の生徒の偽物が現れたんだ!」  コルネによると、過去に依頼を受けて、学園が解決に乗り出したいくつかの村に、『依頼料の追加徴収に来た』などと言って、金品を要求しているのだという。 「拒否すると『学園長が黙っていない』とか『勇者の活動を妨害するとはいい度胸だ』などと恫喝めいたことを仄めかすらしいんだ……!」  握りしめた拳を小刻みに震わせながら、コルネは絞り出すような声で言った。  恫喝に恐怖を覚えて、言われるがままに金銭を支払ってしまった村もあったらしい。  今まで発覚していなかったのは、二人組がさもフトゥールム・スクエアから報復されるかのような恫喝をしていたかららしい。  この情報が学園にもたらされたのも、当事者からの苦情などではなく、学園の購買部に商品を卸している行商人からのものだったのだ。 「行商人からの話だと、その偽学生が着ていた学園の制服は、この前の広報館開設で来場者に貸し出していた試着用のレプリカ制服らしいんだ」  コルネは表情を曇らせた。 「実はね、広報館開設記念行事終了後、試着用に貸し出していたレプリカの学生服が、何着か行方不明になっているんだ」  偽学生は、どうにかして手に入れたそれを使って学生を装っているらしい。 「キミ達にやってもらいたいのは、単純明快! そいつらを捕まえることだよ!」  学園の名を騙って悪事を働く者を、このまま放置しておくわけにはいかない。 「学園長は、かなり本気で怒っててね。自分自ら尋問するって息巻いているんだよ」  そう言った後、コルネは何かにおびえるように、視線をさまよわせた。  どうやら、学園長【メメ・メメル】は、相当ご立腹らしい。  普段の彼女が彼女なだけに、怒り心頭のメメルというのが学生達には想像もつかなかったが、コルネの怯えぶりを見る限り、かなりのものなのだろう。  しかし同時に、メメルの怒りは尤もだとも思う。  学生達自身も、日頃の勉学や活動を不当に貶められて、良い気分でいられるはずがない。 「そんなわけで、頼むよ! そんな奴らに、これ以上好き勝手させるわけにはいかないからね!」  コルネの言葉に、学生達は一斉に力強く頷くのだった。
参加人数
6 / 6 名
公開 2021-03-28
完成 2021-04-16

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