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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド
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豆まきフェス!!
GM
ジャンル
日常
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
通常
公開日
2020-02-01
予約期間
開始 2020-02-02 00:00
締切 2020-02-03 23:59
出発日
2020-02-09
完成予定
2020-02-19
参加人数
5 / 8
購買部に程近い、フトゥールム・スクエア校舎内の一角にて。 これでもかと大量の木箱を積み上げた青年【カル・レケト】は、満面の笑みでその数を数え続ける。 彼は近くを通りすがった少女に気づくや否や、箱をひとつ抱えていそいそとそちらへ近づいていった。 「おっ、良いところに来たっすね! 『節分』ってヤツに興味ないっすか?」 カルがぱかりと箱を開ければ、そこには大量の豆、豆、豆。 見ているだけで腹が膨れそうなそれを見て、少女【リルルノア・ヴィード】は思わず一歩後退りしてしまう。 「……な、何よその箱。え、まさか後ろの山、全部それが入ってるの?」 「その通りっすよ?」 当然、といった顔でカルが首を傾げると、リルルノアはこめかみを抑えてため息を漏らした。 カルのそばにある箱の数は、ざっと見ただけでも五十を超えている。 これで大食い大会をするにしても、余程の猛者か人数が現れない限り使い切るのは難しいだろう。 どうすんのよそれ、とリルルノアが腰に手を当てて問うと、カルはにやにやと笑って箱の山の後ろから何か大きな杖のようなものを取り出した。 「これっすよ、これ!」 どーん、とカルが掲げたのは見慣れない形の杖。 長い木の棒の先端に透明な球体が乗っており、中は空洞になっているようだった。 「……ええと、それで?」 「察しが悪いっすねぇ〜」 その言葉にリルルノアが苛つくのを他所目に、カルがとんと球体をつつく。 彼は壺のようにぽっかり口を開いた球体へ、箱の中の豆を詰めていった。 豆でぱんぱんになった杖を振り上げ、軽く魔力を籠めれば――ダダダッ、と途端に大量の豆が弾のように射出される。 「きゃああ!?」 思わず腰を抜かしたリルルノアに、どうっすかとカルは得意げに胸を張って杖を床についた。 「これで豆を撒いて、邪を払う『節分』ってのがあるんすよ。なんかそういうイベントがとある施設で開催されるらしいっす。参加するならガチで行きたいっすよね?」 ――勿論賞品とか出るっすよ。 カルがひそっと囁けば、リルルノアは少し興味を持って。 「……で、その施設ってのはどこなのよ」 「おぉーっ、さては行ってくれるっすね? 開催場所は『レゼント』の――」 詳しい場所を告げ、カルはがさがさと箱の後ろを漁る。 彼の手が次々に掴むのは、先程と同じ杖や豆の詰まった爆弾、手頃な大きさのバケツ等。 大小形様々なそれらを取り出して、カルはぽんとリルルノアの肩に手を置いた。 「じゃ、俺はこれ運んでおくんで! リルさんは意欲ある生徒の皆さんを集めてほしいっす!」 「は!?」 声を裏返すリルルノアにくしゃくしゃの紙を押し付け、カルはすたたっとどこかへ走り去ってしまう。 何なのよ、とリルルノアが手元の紙に視線を移せば――それはカルが言っていた施設のイベントのチラシであった。 ――みんなで豆まき! 鬼バルーンを沢山割って、豪華賞品を手に入れよう! 「鬼バルーン……?」 ぱらり。リルルノアがチラシの裏面を見れば、そこには詳しいルールが記載されていた。 ターゲットは会場の至るところに設置された鬼の顔付きの紙風船。 その中に入っているメダルを沢山集めると、ぬいぐるみやお菓子、近くの商店の割引券などの景品と交換することができるらしい。 そして――一番下。 チラシとは別に、何か小さな付箋が貼られている。 リルルノアがよーく目を凝らすと、そこには。 「ただバルーン潰すだけじゃつまらないっすよね。そんなもんで終わらないように施設に掛け合ってあるっす! 皆さんのウデの見せ所っすよ!!」 ……どこまでも余計なやつめ。 リルルノアはまたため息を付きながら、イベントに参加する生徒を集めるべく校舎の中を歩き出すのであった。
良かれと思って
瀧音 静 GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
少し
公開日
2020-01-24
予約期間
開始 2020-01-25 00:00
締切 2020-01-26 23:59
出発日
2020-02-01
完成予定
2020-02-11
参加人数
4 / 8
シンシンシン。 コンコンコン。 ドザァーーーーッ。 静かに降っていた雪は一転。 突如として降り注いだ。――ゲリラ豪雪とでも言うべきか。 そんな、【コルネ・ワルフルド】もコタツで丸くなるような気候の中、動く影が一つ。 ズンッ、ズンッ、と。 独特な跡を地面の雪に残しながらその影は、猛吹雪の中で何かを象っていた――。 * 一夜明け、朝の日差しを取り入れようとカーテンを開けた生徒は驚愕した。 見覚えの無い建物が目に入ったからだ。 その建物の外見は白く、むしろそれが優雅さを醸し出している。 その生徒は、建物の全容を把握するためにマフラーを巻いて外へと駆け出した。 * すでに建物の周りには生徒や教員等で人だかりが出来ており、様々な会話が聞こえてくる。 「城?」 「誰が作った?」 「あんな吹雪の中で?」 「何のために?」 けれどもそんな会話の内容も、全て疑問符が付くものばかりであり、それに対する反応も推測の域しか出ないもの。 つまり、誰もが納得出来るものでは無かった。 ――と。 ギイィッ。 どこからそんな音が出るのか不明だが、雪の城の門が開き、中から、 「これはこれは大衆であるな。所で聞きたいのであるが」 威厳と戦痕と強者感を纏った雪だるまが出てきて――、 「この場所、ちと寒すぎでは無いか?」 雪だるまとは思えない言葉を発した。 * 「おー、暖かい。はぁ……末端が感覚を取り戻していくのである」 城の中に招かれた生徒達は、これでもかと寒がるその雪だるまに対して、城の中で焚き火を熾し暖を取らせる、という事を提案した。 これを喜んで聞き入れた雪だるまは生徒達を城に招き入れ、雑談に興じていた。 「我が名は『冬将軍・ジェネラルフロスト』である」 そんな雑談の中で手に入れた雪だるまの情報。 その情報を手に入れた生徒が一人、大図書館『ワイズ・クレバー』へ向かってダッシュ。 名前からして魔物では無いか、と疑ったその生徒はモンスター図鑑を勢いよく捲る。 そうして見つけたジェネラルフロストの情報には、驚くべき事が書かれていた。 一方その頃、焚き火で暖を取り続けていたジェネラルフロストの足下に、ほんの僅かに水たまりが発生している事に、まだ誰も気が付いていなかった。
ダンジョンで『福』あつめ
ハザクラ GM
ジャンル
日常
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
少し
公開日
2020-01-27
予約期間
開始 2020-01-28 00:00
締切 2020-01-29 23:59
出発日
2020-02-04
完成予定
2020-02-14
参加人数
4 / 8
「ねえねえ、『ダン福』行ってみた? 私、中吉しか取れなかったー!」 「すげーじゃん、俺末吉だった」 「あんたのことだから、一人で行ったんじゃないの? あのダンジョン、協力プレイしないと集められないコインもあるんだって」 「マジかよ!? ボッチにもっと優しくしとけよ!!」 学園都市の居住区域『レゼント』の一角にある体験型レジャー施設『勇者の穴』では、期間限定イベントが行われていた。 今回開かれているイベントは『ダンジョン・福・福』、略して『ダン福』だ。 『力試しの運試し。罠あり、敵あり、隠し扉あり。仲間と協力して、最高エンディングを目指せ!』 そんなキャッチフレーズを掲げるこのイベントでは、誰でもミニダンジョンに挑戦する事が出来る。 罠を回避したり敵を倒したりするとゲット出来る『福コイン』を集めて、最奥の部屋へ進もう。 罠は落とし穴やタライ落とし。敵はミニオルトロス(小さな二頭犬)の魔法人形だ。 全て無視しても先には進めるが、その場合は福コインを諦める事を意味する。 怪我はしない仕様になっているので、安心してチャレンジしていこう。 ダンジョンの達成度によって『末吉・中吉・大吉』のエンディングがあるらしい。 しかし、今までのチャレンジャーの中では、まだ誰も『大吉』に到達した者はいないとのこと。 今日はイベント最終日。 最後に完全クリアしてみせる! 意気込んでイベント施設に訪れた生徒達は、協力プレイが必要だという噂を耳にして。 他の生徒達と即席のパーティを組み、ダンジョンへ挑むのだった。
本から飛び出した騒ぎをねじ伏せろ!
夜月天音 GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2020-01-22
予約期間
開始 2020-01-23 00:00
締切 2020-01-24 23:59
出発日
2020-01-30
完成予定
2020-02-09
参加人数
7 / 8
放課後、魔法学園フトゥールム・スクエア、第一校舎『フトゥールム・パレス』、大図書館『ワイズ・クレバー』。 「今、大変なんです!」 入館した学生達を迎えるのは、17歳のローレライ女性図書委員だった。 酷く焦った彼女の背後では、あちらこちらから騒ぎの音が聞こえて来る。 「入荷した本の落丁など不備を確認しようと本を開けた途端、生き物達が飛び出して館内の一角で暴れているんです……欠陥だったみたいで」 女性図書委員が状況説明を始めた。 「他の図書委員と教師達が何とか、魔法で結界を構築して、その範囲から外には出ないようにはしたのですが……」 女性図書委員は、困った声と共に被害現場を示した。 「本は『飛び出す生き物図鑑』といいます。写法術を使用していて、開くと図の生き物が立体として浮かび上がる……だけのはずだったのですが、この有様です。人手が足りなくて助けを呼びに行って貰っているのですが、すぐには来なくて、逃げ遅れてる学生がいたり棚の本が床に散らばったり……本の損傷の心配は防護魔法が掛かってるので無用なのですが、このままでは図書館がめちゃくちゃに……どうか力を貸して下さい」 そして、助力をお願いする。 「もし貸してくれるのなら、どんな手段でも構いませんので、生き物達を戦闘不能にして下さい。そうすれば、ページが真っ白になったこの本に戻ります。炎や氷を吹いたりと様々な攻撃を仕掛ける生き物もいますので、十分に気を付けて下さい。相手は本に描かれた偽物ですので、本物よりは格段に弱いです。出来れば、後片付のお手伝いもお願いします」 女性図書委員は、真っ白になった本を見せながら言った。
勇者になりたい少年がいた。
じょーしゃ GM
ジャンル
戦闘
タイプ
EX
難易度
難しい
報酬
通常
公開日
2020-01-17
予約期間
開始 2020-01-18 00:00
締切 2020-01-19 23:59
出発日
2020-01-28
完成予定
2020-02-07
参加人数
8 / 8
● 勇者になりたい少年がいた。 彼は手のひらで涙を拭いながら、火に飲まれた村の中で母の亡骸を見つめている。 勇者になりたい少年がいた。 彼は生き残ってしまった者としての使命を果たすと心に誓う。 それが、どんなに無謀なことであろうとも。 勇者になりたい少年がいた。 彼は強くなりたいと願い、求め、それ故に各地を渡り歩く。 そして村を、母を焼き払った悪夢との再会を果たした。 ――勇者になりたい少年は今、死の間際で戦っている。 ● 年が明け、新たな歴史が始まりそうな勇者暦2020年1月。 フトゥールム・スクエアから少しだけ離れた街、トロメイア。 この街はアルマレス山の麓に集った巡礼者の宿場街として始まり、そこから栄えて来たという歴史がある。 そして精霊が住むとされるアルマレス山には、雪が積もるこの季節になっても巡礼客が絶えない。 宿場はいつも賑わっていて、夜になれば酒の席で騒ぐような人間だってしばしばいるが、今日の夜はいつにも増して騒がしい。 そして事件はいつだって、誰かが扉を勢いよく開く音で知らされるものだ。 「大変だ! 山の中腹に『カリドゥ・グラキエス』が現れた! 動ける者は今すぐに戦闘準備を!!」 酒で火照った体が、氷を入れられたように冷え切る感覚を、その場にいた全員が感じただろう。 カリドゥ・グラキエス――氷山地帯に生息するとされる翼竜だが、普段なら人里から遠く離れた場所で温厚に暮らしているはずだ。 歴史書を漁れば、武功を示すためにとカリドゥ・グラキエスに挑んだ人間がその翼竜の逆鱗に触れ、村ごと焼き払われた事例がいくつか存在する。 最悪の事態を考えるとすれば、この宿場街に攻め入られても何らおかしくない状況だ。 「フトゥールム・スクエアにも緊急で救援要請をしてくれ! 魔法が扱える人材が必要だ!」 巡礼者が用心棒として雇い入れた個人の傭兵が集っていたことが救いで、増援までは難なく持ちこたえることができそうだ。 酔いが浅い者たちは登山用の装備を背負い、来たる翼竜との戦いに備える。 「準備ができた者から行軍開始だ! 遅れるな! 進め!!」 ● 勇者になりたい少年がいた。 吐いた息が熱く、吹雪でぼやける視界をさらに曇らせていく。 握りしめた剣に翼竜の血を滴らせながら、その生臭さで自らの生を確認する。 勇者になりたい少年がいた。 体力はとうに底をつき、自らの心臓に熱を与えるのは、亡き母への熱き思いだけ。 足の震えは寒さからか、それとも恐怖からか、今の彼には考える余裕もない。 勇者になりたい少年がいた。 幾度か見た閃光。 翼竜の口から放たれる、死の炎。 鉛を背負ったかのように動かない体へ込める力は残されておらず、雪の中に膝から崩れ落ちる。 その少年――【フィーカ・ラファール】は灼熱を前に涙を流しながら、震える唇で『ごめんなさい』と――。 「てめぇか! このクソ野郎を呼び寄せやがったのは!!」 大盾を持った壮年の男が、両者の間に割って入る。 体を覆い隠さんとするほどのまさに鉄壁が、死の炎を退ける。 死を覚悟していた少年は突然のことに全身の力が抜け、そのまま雪の中に突っ伏せることしかできなかった。 ――勇者になりたい少年は今、背後から聞こえる複数の足音に耳を傾けながら、静かに目を閉じた。 ● 魔法学園フトゥールム・スクエアにも、アルマレス山への救援依頼が届いていた。 学園長【メメ・メメル】からも、すぐに現地に向かうようにと指示が飛ぶ。 今からメメルの転移魔法で現地に近い安全地帯へ向かっても、時間は完全に夜。 かろうじて月は明るいが、それでも吹雪の中だ。 学園生たちはできる限りの装備を整え、カリドゥ・グラキエスとの戦いに臨むのであった。
!船・戦!海嵐の歌姫
へぼあざらし GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
通常
公開日
2020-01-07
予約期間
開始 2020-01-08 00:00
締切 2020-01-09 23:59
出発日
2020-01-16
完成予定
2020-01-26
参加人数
6 / 8
――なぁ、おめェさんは聞いたかい? またアイツが出てきたらしいぜ。 はて、何の事だろう。 「ん? 何の話かって? そりゃあ、ここ最近、漁師の間で噂になってる例の話さ」 アタシはその話を聞いて首を傾げた。 「…………なんだぁ、おめェさん、ホントに知らないのかい。なら教えてやるよ。この、海と潮風の街『アルチェ』で起きている怪事件をよォ」 ここはさびれた漁師小屋。夜更けと言う事もあるが室内は薄暗い。周囲はほこりっぽく、床の木はところどころ古くなって腐っているようだ。目の前には恰幅の良い漁師。彼は酒のグラスを脇に置き、無精に生やした髭を撫でながら、アタシに語り掛ける。 「前にもあった話さ。『イルフィナ海』の沖合付近で『セインディーネ』が出るようになっちまった。あの、人魚の魔物さ。アイツら、特殊な歌声で海水を操りやがる。おかげさまで仲間の船が何隻も沈んじまっている」 彼はため息を吐き酒を口に運ぶ。机に置かれたランプのなかで弱々しくゆれる焔は、まるでこの漁師とこの街の不安を指し示しているかの様だった。 「腕っぷしで何とかなるならとうの昔に何とかしているさ。けどよぉ、魔法となっちゃあ俺たちには手も足も出ねぇ。だからこそゆうしゃのアンタにこうして頭を下げている訳だ」 彼はグラスの酒が無くなったので、ウイスキーボトルを掴むと、乱暴に目の前に置かれた自分のグラスにソレを注いだ。やたら酒が進んでいるようにうかがえるのは、心底では怪物に怯えているからだろうか。恐怖をアルコールで紛らわすために。 「……なぁ、アンタ程の先生なら何とかできるハズだろう」 そうして、彼は弱々しい声で、それでも確かな信頼を持って、対面にいるアタシの名前を呼ぶ。 「【コルネ・ワルフルド】先生よ」 「……こんな形で再履修になるとはね~」 つい、苦笑いをしてしまう。しかしながら、この人に先生と呼ばれるのはなんだかむずかゆい。だって、アタシはこの街で、この依頼人から、最初の課題を受けることになったのだから。 「引き受けてくれるのかい?」 「あたりまえですよ~!」 元気よく返事をすると、彼は少し安心したように見えた。そうだ、こんな依頼を断る理由がない。困った人を見捨てない。それがゆうしゃの鉄則だから。 依頼の概要はこうだった。 「目的はヤツらの棲み処である岩礁の破壊だ。そうすればここにはしばらく棲みつかなくなるだろう。俺の船にはしこたま爆弾を積んでおく。岩礁にたどり着くまで俺をセインディーネから守ってくれさえすればいい。ちなみに、沖合から岩礁まではそう遠くないから安心しろ」 彼は続けて作戦について話す。 「セインディーネの歌声をより大きな音でかき消す。爆弾でも太鼓でも何でもいい。ただし、中途半端な音じゃあダメだから注意しろ。嵐にならなくても、船ぐらいは転覆させられちまうからな。そんで、目撃されているセインディーネは一体だけだ。岩礁付近で数が増えない事を祈るが、どうだか。ちなみに交渉なんて一切受け付けねえから野暮な事ぁ考えんなよ。……って、先生のおめェさんに言うまでもないかもしれないが」 その言葉を聞いてアタシはつい笑みがこぼれた。そうだ、私は今、先生なんだ。そう考えると何だか不思議な気持になる。 「夜明けとともに海に出る。おめェさんが選んだ生徒さんの数に応じて船は貸してやる。何隻でも貸せるが定員は三人ずつだ」 アタシは一通り彼の話を聞いて、どんと自分の胸を叩く。 「任せてください!! さぁて、今度は先生の立場としていっちょ頑張りますか~!」 アタシが受けた最初の課題。さぁ、生徒たちはどう立ち向かうのか。アタシはそんな事を考えて、何だかワクワクしていた。
嘘か真か
あいきとうか GM
ジャンル
日常
タイプ
ショート
難易度
とても簡単
報酬
ほんの少し
公開日
2020-01-10
予約期間
開始 2020-01-11 00:00
締切 2020-01-12 23:59
出発日
2020-01-18
完成予定
2020-01-28
参加人数
4 / 8
「おはようございます、皆様。さっそくですが、ウソドリをご存知ですか?」 廊下にいた生徒たちに声をかけ、ひとつの教室に集めた【テス・ルベラミエ】は教壇に立って、笑顔で一同を見回す。 ひとりがすっと手を挙げた。 「えっと、確かとても珍しい魔物、だったような……?」 「はい。個体数は少なく、目撃例もそれに比例して多くはありません。翡翠色の体に深紅の瞳、大きさはスズメほどで尾が長い、というのが特徴ですわ」 それが、とテスは続ける。 「学園内で発見されました」 「えっ」 「今朝、メメル学園長がお散歩をしていらっしゃった際に見かけたそうですわ。場所は『リリー・ミーツ・ローズ』。低木で身を休めていた、とのことです」 「もうどこかに行っているのでは?」 「その可能性も考慮し、監視用の結界もメメル学園長が用意してくださいましたわ。現在、その領域から逃亡したとの報せはありません」 つまり、ウソドリはまだそこにいる。 魔物が驚いて飛び去ってしまわないよう、捕獲のときまでほとんどの学生は立ち入りを禁止されている状態だ。 「あの、私たちも鳥を捕まえるプロとかじゃないんですけど……」 おずおずと女子生徒が先輩であるテスに意見を述べる。 委細承知というように、テスは頷いた。 「繰り返しますが、ウソドリは珍しい魔物ですわ。つまり、学園としてはなんとしても捕獲し、研究したいと思っております」 そこは理解できると、学生たちは戸惑いを顔に浮かべながらも頷く。 「では誰でも捕らえられるかといえば、そうではありません。ウソドリは、皆様がウソにしたいと思うことを、幻覚として見せるのです」 「ウソに、したいこと……?」 「つらい過去、悲しい出来事、現在、未来。起こるかもしれない最悪の事態、信じたくないこと――すなわち、ウソにしたいこと。ウソドリはそれを見せ、ウソにしたいと願ったなら、本当に『ウソ』にしてしまう、と言われていますわ」 幻覚を見せる際、ウソドリは対象の魔力を特殊な方法で吸収し、使用するらしい。 それだけでもいい気分ではないのだが、挙句『ウソにしたいことをわざわざ見せられる』のだ。 それを知った学生たちは、揃って捕獲役に就くことを嫌がった。 かくいうテスも例外ではない。見たくないものを見せられることは、明らかなのだから。 「勇気ある皆様にお願いいたします。どうか、ウソドリを捕まえてくださいませ」 深々とテスは頭を下げた。
メーデーメーデーメーデー
瀧音 静 GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
とても難しい
報酬
多い
公開日
2020-01-05
予約期間
開始 2020-01-06 00:00
締切 2020-01-07 23:59
出発日
2020-01-14
完成予定
2020-01-24
参加人数
8 / 8
とある依頼があった。 『村の近くに何かが潜んでいる気がする』。 『近くの川から魚が姿を消した』。 『地鳴りのような声がするようになった』。 だから、周囲の見回りと、何か魔物がいたら討伐を頼みたい。 そんな依頼。 依頼を読んで参加を表明し、話を聞きに行けば、そこには見慣れない姿をした生徒がいた。 真っ赤な紅の髪を腰まで伸ばし、髪よりも赤い炎のような色をした瞳を光らせる女性。 耳と尻尾が生えていることからルネサンスだと分かり、尻尾の形状からどうやら馬のルネサンスであることが窺えた。 凛とした空気を纏い、どこか遠い所に居るような錯覚すら覚える。 ――と、 「おや? 君たちもこの依頼を?」 どうやら自分の存在に気が付いたらしい。 依頼を受ける為に来たことを告げると、そうか、と短く頷かれた。 そこで、彼女の声に、どこかで聞き覚えがあることを思い出す。 一体どこで。そう悩ませて少し、その声は、学園内に度々響き渡る放送を行っている声ではなかったか。 思わず会釈をすれば、それに気をよくしたのか勝手に自己紹介を始めた。 「私の名前は【ダヴィヤ・スカーレット】だ。好きに呼んでくれ構わない。見たとおりに馬のルネサンス。チャームポイントは真っ赤な髪と尻尾だ」 そこまで言って仁王立ちをする彼女に、依頼主はポカンとした顔をするが、すぐに気を取り直して依頼の内容を話し、すぐに村に来て欲しい旨を伝えるのだった。 * 依頼を受け、学園を出発してから三度目の夜営。 森の中でテキパキとした動きでテントを張り、火を熾(おこ)したダヴィヤは、村人が寝たのを確認し、生徒達へとあることを伝えた。 「実は、今回依頼があった村の周辺で、様々な異常な現象が起きている。生物が姿を消すのはもちろん、森の木々が残らず倒されていたり、大きなクレーターが出来ていたりな」 冗談でも、驚かすようでもなく、淡々と。 誰か、もしくは何かによって引き起こされていると推測出来るその情報に、思わず唾を飲む生徒達。 「万が一村の周囲で魔物を見かけても、決して一人で立ち向かおうとするな。すぐに私を呼んでくれ」 君たちも守るのが私の役目だ。 静かにそう言ったダヴィヤは、夜の見張りを代わってもらい、直ぐさま寝息を立て始めた。 依頼主の村には、明日にでも辿り着くだろう。 * 村に辿り着いた――筈だ。 村の周辺には、小さな魔物や野生の動物達を防ぐ柵が立っていた。 ――が、家屋が無い。 壊れ、潰れ、燃え尽きた家屋だった物は溢れているが、およそ大丈夫だと思える家屋は一軒として無かった。 「そ……そんな……」 当然、それが当たり前であるはずがなかった。 信じたく無い、と。 恐らく自分の住んでいた所なのだろう。 もはや瓦礫の山でしかないその場所へ依頼主がフラフラと歩いて行った、そんな時。 ダヴィヤも、他の生徒達も、同じタイミングで同じ物を見つけた。 それは――――時間が経ち、どす黒く変色した……地面に染み込んだ血だった。 途端、 「離れろ!!!」 ダヴィヤが叫ぶ。 それは、依頼主である村人に対してか。 それとも、依頼主を案じて駆け寄ろうとした生徒にだったか。 声に反応し、咄嗟に後ろに飛んだ生徒と、膝から崩れ落ちた直後で顔を上げることしか出来なかった村人との命運は、そこで違った。 ゴウンッ!! 勢いよく瓦礫が吹き飛び、中から一体の『鬼』が現れたのだ。 ニヤけたような顔をしたその鬼は、その表情のまま目の前の村人を裂いた。 上がる悲鳴に飛ぶ飛沫。 一瞬生徒がたじろいだ瞬間、ダヴィヤはその鬼目掛け――疾(と)んだ。 地を蹴り、空気を震わせて。 渾身の踵(かかと)落としを鬼の顔面へと叩き込んだ。 ――が。 鬼はまともに受けたにも関わらず、身動(じろ)ぎ一つしない。 ただ、ダヴィヤを観察するように、じっと見続けていた。 「逃げろ!! 私に構わず、学園まで走れ!!」 怒号にも似たその叫びは、鬼から離れたダヴィヤの口から放たれたもの。 先ほどの一撃で、どうやら自分たちの手に負える魔物では無いと判断したらしい。 その事を理解し、生徒達が走り出した事を確認して、ダヴィヤは二撃目を放つ。 今度は踵落としでは無く、レガースで――自身の脚で、鬼の視界を塞ぐように。 僅かでも、生徒達の姿をその視界から消すように。 けれども、そんなダヴィヤをまるで小バエでも払うが如く、鬼は手首の返しだけで吹き飛ばした。 咄嗟に防ぐも力の差があり、盛大に吹き飛ばされたダヴィヤは、川へと着水――せずに水切りの要領で何度も跳ねて。 何度目か分からぬ跳ねの途中で何とか体勢を立て直し、岸へと跳ぶ。 そこには、おもちゃでも見つけたように、よりニヤけた顔を見せる鬼が立っていた。 * 逃げろと言われ、学園へと全力でダッシュしていた生徒達は、後方で聞こえていた戦闘の音が消えたことに気が付く。 思わず振り返りそうになるが、何か背筋に冷たいものを覚えたような気がして、ひたすらに前のみを見ていた。 俺らに出来る事があったのでは。 先輩一人で大丈夫なのか。 もし――もしも先輩がやられてしまっていたら。 考え出せばキリが無いそんな思考は、不意にかき消された。 逃走を続けていた自分らの横に、ダヴィヤが並走してきたのだ。 祖流還りを行っており、四足で真っ赤な馬体を走らせるその口からは、別の赤いものが垂れていた。 思わず大丈夫かと声を掛けようとしたが、それよりも先にダヴィヤが口を開いた。 「すまない。君たちから遠ざけようとしたが、私が君たちから離れると知って、ヤツは君達を追い始めた。このままのペースだと学園に着く前に追いつかれてしまう。力の差は歴然、申し訳無いが、君達ではまるで歯が立たないだろう」 そんなダヴィヤの説明を受け、足から力が抜けそうになる。 ――が、 「だから私が、学園へ先に向かい報告する。そうすれば、教員やマスターランクの方々の援軍が期待できる。頼む。その援軍が来るまで、耐えてくれ。夜営に使っていた場所で遅滞戦や遅延戦でどうにか……」 僅かながらに希望が出てきて、しっかりと大地を踏みしめる。 それでも、いつ来てくれるか分からぬ援軍を待ち、自分より遙かに強い相手を足止めしろ、という難題はあった。 しかし、目の前の希望を諦めるのは学園の生徒と言えるだろうか。 そう自分に問いかけ鼓舞し、ゆっくりとダヴィヤへ頷いて見せた。 その行為を確認し、並走していたダヴィヤは風を纏って消えていく。 自分たちが殿(しんがり)の撤退戦。 生徒諸君は一層奮励努力せよ。
きみの噂も、七十五日。
白兎 GM
ジャンル
コメディ
タイプ
ショート
難易度
とても簡単
報酬
ほんの少し
公開日
2020-01-03
予約期間
開始 2020-01-04 00:00
締切 2020-01-05 23:59
出発日
2020-01-13
完成予定
2020-01-23
参加人数
8 / 8
――フトゥールム・スクエア内、食堂。 「いや~冬休みッスわ~」 暗い赤色の髪に、同色の獣耳を生やした青年が声をあげる。 窓の向こうでは雪がひらりと振り舞うこの季節、彼はヒマヒマオーラを出しながら、食堂の机にうつぶせになっていた。 名前を【東雲・陽】(しののめ よう)、去年の冬にこの学園にやってきた、勇者・英雄コース所属のルネサンス(レッサーパンダ)である。 「ですわねぇ……」 そんな陽の言葉に頷きを返したのは、見るからにゴージャスな雰囲気の少女であった。 ゴールデンパールを思わせるような金色の髪はミディアムで、毛先のみを縦巻きにした、清楚なお嬢様仕立て。 その上絹のような光沢を持つドレスを身に纏っているのだから、正真正銘の『お嬢様』なのだろう。 彼女……【ラスク・シュトラール】は、頬に手をあてながら、 「やはり日々の授業がありませんと、シャキっとしませんわね」 「だよなァ~。実は時間割って大事なんじゃね? ないと無限にだらけちゃう的な?」 「いやそれは……君達くらいだろう」 思わずため息をつきながら、褐色肌の青年は、眼鏡の真ん中の金具を人差し指で持ち上げる。 青みがかった黒の髪を、先の尖った長い耳にかけているあたり、エリアルの中でもエルフタイプに属しているらしい。 見るからに真面目な雰囲気を漂わせている彼は、陽とラスクの友人でもあり、同級生でもあった。 所属が違えば必修科目で会うことはそうないが、課題(直近ではグリフォンに乗って復興に回ったりもした)や選択科目で一緒になったのが運の尽き。 考えるよりも先に動くタイプの陽と、独自の価値観で突っ走りがちなラスク。 そんな二人の御守を自然とする形になった青年……【サフィール・エルネスト】は、本日二度目の溜息をつき、 「暇なら宿題でもすればいいじゃないか。長期休みなんだ、君達にも出されているんだろう?」 「あー……俺そういうのォ、ラストにばばーっとやっちゃうタイプなんで?」 「わたくしはもちろん、既に終わっておりますわ。えぇ、全て!」 全く正反対のことを言いながらも、同じくらいに堂々とした態度で言われては、返す言葉もなくなるというもの。 ゆえに三度目の溜息をついたサフィールは、『どうしてこいつらと1年うまくやってこれたんだ』と首を傾げる。 そんな物思いに気付いているのか、いないのか、陽はおもむろに体を起こし、 「そーいや。冬休みナウってことは、俺らもここに来て一年経ったってことじゃね?」 「まぁ、そうだな」 「ヤバくね? 一年って言ったら蛹も蝶になって飛び立つレベルじゃん? 人生の岐路的な?」 「人生の岐路かどうかはともかく、蛹から蝶になるくらいなら、一年もかからな……」 「まぁまぁ! ではわたくしたちも、ついに勇者として羽ばたく時が来ましたのねっ!」 「君達、僕の話を全く聞く気がないな」 だったら僕は部屋に帰るぞ。と立ち上がりかけたサフィールの腕を、まあまあと二人は引き留め、 「思い出話でもしようぜェ、サフィ。一年っていやー、結構な量できんじゃん?」 「できるって何がだ」 「Memoryよ。それにDream」 「なんだその無駄に良い発音は……」 「夢はともかく、思い出はたくさんできましたわね。去年の冬ですと、新入生歓迎会としてツリーフォレストマン様と相対しておりましたし」 「まさか今年は俺らが、メメたんセンセ側を手伝わされるとは思わなかったけどなァ」 「メメル校長には振り回されてばかりだったな。異次元お食事会もそうだし、そもそもカカオポッドの生育を命じたのだって校長先生なんだろう?」 「あれは不思議な生き物でしたわ……走り回るチョコレートだなんて、わたくし考えたこともありませんでした」 「いや、普通考えねぇっしょ。メメたんセンセっていや、水着姿がキャワたんだったなァ……コルネセンセも揺れが最高でd(*´∀`)bイイネ!」 「ヨウ……君はそういう事ばかり、よく覚えているな……」 「ですが、コルネ先生には『無垢な生徒を捕まえては干しぶどう狂になるよう調教している』なんて噂もありますわよ?」 「……マジで? それヤッベーんじゃ? 俺実はドライフルーツ系ちょー苦手なんだけど、コルネセンセにバレたら調教される?」 「いや、さすがにそれは……」 ないんじゃないか? と言いつつも、ハロウィンの頃だったろうか、干しブドウを持った生徒を追い回していた姿を見かけたサフィールは口をつぐみ。 そんな三人の会話を耳にしながら昼食をとっていた――別に聞き耳を立てていたわけではない、彼等の声が大きいのだ――『きみ』も、苦笑する。 確かに、この学園に来て、色々なことがあった。 夏にはアルチェでの臨海学校を楽しんだし、秋には記憶を失うなんていう騒動が起きて、3人の謎の人物と刃を交えたりもした。 哀しいことがあれば、楽しいこともあり。振り返ってみれば、あっという間の一年であったような気もする。 そうしてまた、新しい一年が始まる。 『きみ』がぼんやり考え事に耽っていると、ふいに聞きなれた名前を耳にして、顔をあげる。 「なぁ、そういえばさ――」 続いた話題は、どうやら『きみ』のことであるらしい。 赤、青、黄色の三人組は、この場に本人がいることにも気づかず、噂話に興じている。 このまま聞くか立ち去るかは『きみ』の自由だが、さて。 彼等はいったい、どんな『きみ』を語っているのだろう――?
新たな年、貴方の抱負は何ですか?
夜月天音 GM
ジャンル
日常
タイプ
ショート
難易度
とても簡単
報酬
少し
公開日
2020-01-03
予約期間
開始 2020-01-04 00:00
締切 2020-01-05 23:59
出発日
2020-01-11
完成予定
2020-01-21
参加人数
2 / 8
朝、魔法学園フトゥールム・スクエア、勇者・英雄コースの授業が行われている教室。 「明けましておめでとう。みんな、去年はどんな年でしたか? 授業や訓練に冒険に大忙しだった人も色んな出会いをした人も失敗した人もいるでしょう」 本日最初の授業が始める前に女性教師が、まずはと新年の挨拶を始めた。 「今日から新たな年が始まります」 女性教師がパン、と両手を叩き声を大きくした。 「という事で、一つ、大事な課題を出します」 人差し指を立てながら言った。 「それは、今年の抱負を考えてくる事です。期限は明日です! 抱負を考える事で、休暇で緩んだ気が引き締まり新しい年への気合いも入るでしょう」 課題を提示しながら、女性教師は様々なひとときを過ごしただろう学生達の顔を見回した。 「抱負は、難しく考える事はありませんよ。勉強を去年より頑張るとか新しい事に挑戦するとか友達を沢山作るとか、どんなものでも構いません。誰かと相談してもいいですよ」 女性教師は、学生達が少しでも課題に取り組みやすいようにと、幾つか例を挙げた。 「これで、課題の説明は終わりです」 課題の説明が一段落した所で、女性教師はパン、と手をまた叩いた。 「さあ、授業を始めますよ!」 そして、本日の授業を始めた。 丁度、他のコースでも同様の課題が出されていた。
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