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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド
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ぬるぬるショコラティエ?
正木 猫弥 GM
ジャンル
コメディ
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2021-02-08
予約期間
開始 2021-02-09 00:00
締切 2021-02-10 23:59
出発日
2021-02-16
完成予定
2021-02-26
参加人数
6 / 6
「さっさと起きなさい!」 強烈なビンタを見舞われ、混濁していた意識が急激に取り戻されていく。 「う、うう……?」 新進気鋭のオペラ歌手、【エメリート・クラッセ】が目覚めた時に最初に目にしたもの。 それは、長い前髪で両目を隠した陰気な雰囲気の女であった。 「こ、ここは……? 君は一体……?」 「ふん、死にかけているくせに呑気なものね。流石今をときめく大スターは違うわ」 「!? な、何だこれは!!」 首から下がずしりと重く、指1本すら動かす事ができない。嘲るような女の言葉によって、エメリートは初めて自分の身体が半透明の茶色い粘液に取り込まれている事を認識した。 「な、何故、こんな真似を……? 私に何の恨みが……?」 「恨み、などという低俗なものではないわ。これは天罰よ。偉大なる芸術を踏みにじった愚か者には似合いの末路だわ!」 「……!」 『バグシュタット王国』の南東部は、歓楽街であると同時に多くの劇場や音楽ホールが存在する事で知られている。 その中で最も有名なものの1つ、『ジルフォニアホール』でエメリートが主役を務める歌劇『ショコラティエ』は、『トロメイアの菓子職人』という戯曲を下敷きとしている。元は悲劇であった原作を喜劇へと改変した事で、普段観劇をしない層から絶大な支持を得た半面、コアなファンからは批判を受ける事も少なくない作品であった。 (つまり、この仕打ちは『ショコラティエ』に対する不満って事か。冗談じゃない!) 今回の新作歌劇を公演するにあたり、エメリートはもちろん多くの関係者が血のにじむような労苦を重ねてきたのだ。仲間達の、そして自分自身の芸術家としての誇りにかけて、こんな脅しに屈する訳にはいかない。 そして、エメリートには帰りを待ってくれている人がいる。 (愛しいマリー。そしてポーラ、ジョアンナ、アリシア……。えーと、後誰だっけ?) 大切な恋人『達』の顔を思い浮かべながら、エメリートはこの窮地を脱するために必死で頭を巡らせるのだった。 ◆ 「――おお! 『フトゥールム・スクエア』の皆さん、よく来て下さいました!」 『ジルフォニアホール襲撃事件』が発生してから12時間が経過した頃。 歓楽街の中央広場に避難していたジルフォニアホールの支配人は、待ちかねていた救いの手に目を輝かせた。 「脅迫状が届いていたのに、本気にしなかった私の責任です。もっとちゃんと警備体制を敷いていれば……」 ほっとして気が緩んだのか、支配人が涙ながらに反省の弁を述べる。 一方の学園側も、提供を受けた脅迫状から分析を行い、実行犯を特定する事に成功していた。 支配人は学生達が告げた【セレス・ミラン】という名前に心当たりはなかったが、容姿と『スライムを自在に操る』という特徴に大きく頷いてみせた。 「その女で間違いありません。ホールの正面入り口と、楽屋に通じる裏口は得体の知れない茶色のスライムが塞いでいます。ホール内にも同じようなスライムがうじゃうじゃいて、うかつに手出しできなくて……」 言葉の端々に無念さをにじませながら話を続ける支配人。 1000人超の観客数を誇るジルフォニアホールには、それだけスライムが入り込めるだけの隙間が多いという事になる。戦いに慣れない者が手出しをすれば、さらなる被害を招く事になるだろう。 「エメリート・クラッセは我がジルフォニアホールの、いえ、バグシュタット王国の宝です。どうか、どうかエメリートを助けてやって下さい……」 無名時代にエメリートを見出し、引き立ててきた支配人にとって、彼は自慢の息子同然。 溢れる涙をハンカチで拭いながら、学生達に深々と頭を下げる支配人であった。
わたしのおもいで
pnkjynp GM
ジャンル
日常
タイプ
EX
難易度
とても簡単
報酬
ほんの少し
公開日
2021-02-02
予約期間
開始 2021-02-03 00:00
締切 2021-02-04 23:59
出発日
2021-02-08
完成予定
2021-02-18
参加人数
4 / 4
●感応 それは何気ない日常の中にいた。 学園の廊下を歩いていて。 教室の片隅で。 校庭の木の下で。 学食の長い列の最後尾にいたこともある。 とにかく、気づいてしまったその日から意識してみれば。 学園中の至る所で『それ』に出会うのである。 君はこれまでそれに気づかなかったのかも知れない。 いや。気づいていたが本能が認識を避けたのかも知れない。 それとも。 様々な幸運や不運が結果を形成しただけで、気づくかどうかの選択肢すらなかったのであろうか。 その答えはここにはない。 だが君は、いつかのタイミングで。 確かにそれに気づいたのだ。 ソワソワしながら常にこちらの様子を伺う存在に。 ●邂逅 数日後。 ストーカーがごとくつきまとうそれに嫌気がさして来た頃。 「うううおおおおお!? ……ごほん。そっちから声をかけてくれるなんて珍しいじゃーん。それで、俺に何か用ー?」 我慢の限界をむかえた君は、遂にそれへ声をかける。 するとそれは、まるで普段同じ授業を受けていると分かっていながら特に機会も無かったので話した事のないだけで、話してみれば意外と気があって気づけば友情が芽生えてそうな男子的返答を投げかけてきた。 端的に換言すれば、些かチャラい男子生徒のノリである。 実際には話かけられると思っていなかったのか、目をまたたかせ一瞬戸惑うような素振りを見せていたのは気にかかるが。 「なになに? その『学園教師に理不尽な課題を命じられてマジでダルい。萎え萎え魔法マジダール!』 みたいな表情? 折角のファーストコンタクトだもん。楽しくいこうよ~」 しかし次の瞬間にはこれである。 精神を逆なでる言い回しとコロコロ変わる表情筋。 これが彼の編み出した(?)魔法、マジダールに必要な呪文と魔法陣なのだろう。 少なくとも、大切な第一印象に『けだるさ』という状態異常を付与する点では、この魔法は名に恥じぬ性能を持ちそうだ。 「あ、怒った? 悪い悪い!」 人によっては反射的に拳を握りしめたかもしれない。だが落ち着こう。 ここで安易に繋がりを絶ってしまえば、恐らくこれからも視界の端にちらつくこれに悩まされる。 取りあえず、自身の生活リズムを乱す元凶が意思疎通が出来る存在であることは確認できた。 自分の心にゴメンねを言いながら、もう少し分析を進めてみる。 蒼白とすら言えそうな白い肌と、前髪の隙間から覗く茶色の瞳。 ニヤリとした薄ら笑いが似合う人型のシルエット。 体躯や口調、声色からも推測するに男性だろう。 そして、最も特徴的なのは――。 「どったの? だんまり? ……まさかあんさん。『リバイバル』は生命体ではなくオカルティックな怪奇現象説を唱える過激派の方だった?! こわー。音楽性の相違やわー」 彼の身体が透けているように見えること。それだけだ。 「ちょ、そんな目で見られるとなんかバツが悪いじゃん? そこはさ、『まだ何にも言っとらんやろ! こっちに喋る隙も与えんマドガトルトークされたらシルトもできんわ!』とかさ。あとは……」 これ以上漫才の練習相手を務める必要はない。 君は、彼がいつも視界に入って気になっていること。 どうして自分の周りに出没するようになったかを問いかける。 「え、ちょ、は? 気になるって、それってまさか、こここ、こくは……?!」 違います。 「あっ、はい。分かったから武器に手をかけるのはやめよ? ね?」 こうして茶番劇に打ち勝った君は、ようやくリバイバルの青年【オッドリーク・ブロームス】と建設的な会話をすることに成功した。 といっても結論からいえば、彼もまた一般的なリバイバル同様記憶が抜け落ちているらしく、肝心なことはほとんど分からなかった。 自分のことは、気楽に『オッド』と呼んでほしいこと。 彼が目覚めた時には既に学園にいたこと。 色々と校舎を回ってみたり先生達に尋ねたりしたが、知り合いに出会えなかったこと。 学園長から『期待の学園生』達がいるから相談してみると良い、という助言を受けたこと。 人見知りだから自分からは中々声がかけられなかったこと。 要点をまとめれば、大体こんなところだろうか。 一応彼が必要以上に強調するため組み込んだが、特に最後のひとつについては正直納得がいかない。 けれど思い返せば、確かに壁や柱など、いつも何かしら障害物に隠れるようにしてこちらの様子を窺っていたのは確かだ。 「というわけで。俺の記憶を取り戻すのに協力してほしいんだよね」 様々な紆余曲折があったものの、こうしてみればシンプルな依頼に思えた。 リバイバルが自身の記憶を探す。 そのための手助けというのは、魔法学園と呼ばれるここ『フトゥールム・スクエア』では日常茶飯事だ。 これを解決すれば、授業の合間にこちらを覗き込む物欲しそうな視線から逃れる事ができる。 もしくは、単純に人助けに熱意を燃やす者もいれば、ただただこの男の過去に興味を持っただけの者もいるだろう。 理由はともあれ、彼からの依頼を受けることにした君達は、後日呼び出しを受ける事となったのである。 ●回想 『皆はなんで学園に辿り着いたのかを教えてほしい』。 それはあまり大きな音ではなかった。 だが、放課後の教室で理由も分からず待機する面々の注目を集めるには十分すぎるもの。 リバイバルの青年が発した開口一番。 突然投げかけられたそれに、集まった面々は困惑の視線を交わしあう。 「って、こんな風に言ったらそりゃ困るよな。えっと、助けてほしいってお願いした身分でこんなこと言うなんて、申し訳なさで胸がはち切れそうなんだけどさ。なんてーか……俺自身、何を忘れてるのか。何をしたいのか。正直曖昧で……」 へへへと頭をかく仕草は、情けなさを感じさせた。 だが、普段のおちゃらけた雰囲気とは少し違う。 記憶がないことへの負い目だろうか。 ばつが悪そうに目を逸らす姿は、彼なりの精一杯の姿にも見受けられた。 「取りあえず、まずは俺に気づいてくれた皆の役に立つ事がしたいと思ったわけ。皆も、顔見知り同士なら互いにやりたいことを手伝いやすいだろうし、初対面なら初対面で、互いの目標とかを知れるのはいいきっかけになるっしょ? てか俺天才じゃね!?」 なるほど。 彼に対して各々の自己紹介は済んでいるであろうが、それぞれの関係性や、これまで繰り広げてきた冒険の思い出などは、当然伝わってはいないだろう。 彼のいう通り、紹介ついでにここで振り返るのは悪くはないかもしれない。 間違いなく調子に乗るので、絶対に言ってやらないが。 「勿論、学園に入る前と今で変わってるならそれも面白いだろうし、俺みたく見失っちまってんなら、ここで新しい目標を決めてもいいかもな」 こうして放課後の教室では、ささやかな懇談会の会場へと変化する。 オッドが用意した軽食や飲料を片手に、君達は何を語らうのであろうか。 ●感情 時は常に流れる水のようなもの。 岩をも砕く激流のような一瞬もあれば、穏やかで優しいせせらぎだったこともある。 それらは思い出という名の生きた証となって心に降り積もる。 思い出に善悪はない。 得たことも失ったことでさえも平等に記憶される。 ならば。 重ねた記憶はどうして価値が異なるのであろうか? ……過ぎ去れば早かった、と感じたその先に。 どうせなら。 いつかの未来で楽しく笑い合えるように。 彩りを与えられますように。
ミラちゃん家――嘘かまことか
K GM
ジャンル
推理
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2021-01-26
予約期間
開始 2021-01-27 00:00
締切 2021-01-28 23:59
出発日
2021-02-04
完成予定
2021-02-14
参加人数
5 / 8
●ウソも方便 シュターニャ。 ビジネスタウンの一角にある高層建築――各地で観光業を展開している『ホテル・ボルジア』の本社。その社長室。 「新年の浮かれた気分も一段落ね。で、【赤猫】をサーブル城から排除する算段は出来た?」 身をぴったり寄せて聞く【ラインフラウ】に【セム・ボルジア】が答える。 「一応。これまでに得た情報からするに赤猫は、【黒犬】同様自分にかけられた呪いに反発を抱いてます。まずはその感情を利用して、こちらに対する警戒心を低下させようかと」 「ということは、呪いの解除を手伝ってあげるわけね。学園の子たちが今、黒犬に対してやってるみたいに。もっともあなたのは、手伝ってあげる『ふり』でしかないんだろうけど」 「ええ。いずれ始末するにしても、最初から敵対的な姿勢で臨むのは下手なやり方です――ことに桁違いな力をもつ相手には。ある程度信頼関係を築かない限り、策を弄することも出来ませんしね」 「わー、悪人。そういうとこ本当に好きよセム。やっぱり結婚しない? 私はいつでもそうしていいわよ?」 「ご冗談を」 「冗談じゃないんだけどなー。あなたったらいつもそういう反応。つれないわー……まあでもそういうことなら私、交渉役を務めてあげていいわよ?」 ●赤猫だけが知っている グラヌーゼ、サーブル城。 少女の姿をした赤猫は、『わーお』と鳴き声を上げた。 緑の目を底光りさせ、眼前に広がる豪奢な地下通路――彼女にとって、不愉快千万な思い出と強く結び付いた場所――を見やる。 「いつの間に、ここ、水がなくなった?」 道そのものに問いかけるように一人ごち、足音も立てず進む。鼻をひくつかせながら。 「人間の匂い、残ってる。古臭くなってるけど」 赤猫は知っている。この通路がとある部屋に通じていることを。その部屋に、ノアの呪いについて記された本が保管されていることを。 しかし今に至るまでの長い年月、彼女は、その本を捜し出そうとしなかった。 第一には、『グラヌーゼの悲劇』が起きた頃、ノアが通路を水没させてしまったから(水の中をくぐって行くなんて、赤猫にとっては全く、身震いするほどいやなことなのだ)。 第二には、ノアが本に『持ち主以外の者が触れたら発動する呪い』をかけているだろうと確信していたから。 赤猫は黒犬と異なりノアと居住空間を同じくしていた。それゆえ、黒犬よりもなお彼らのやり方を熟知している。 呪いをかけるときは簡単に効果が破られないよう、何重にも鍵をかける。あるいは破るという行為自体が落命のトリガーになるよう仕組む。そういう事例が実に多くあったのを、彼女はよく覚えている。 (だから呪いを完成させる前にあいつらを殺さなきゃならなかったというのに、黒犬のバカがしくじったせいで……いつまでも荒れ地をうろついていればいいものを、城に入り込んでくる。本当に余計なこと) 酔いで濁った目を据え彼女は、電流を走らせた。そして、ドーム型の天井がある小空間に入った。 じめついた床の上に魔王像が倒れ、焦げた革表紙と羊革紙の切れ端が散乱している。 赤猫はすぐさま悟る。ここに匂いを残している人間の手ですでに、本が開かれたということを。その人間が、以前黒犬とつるんでいたカサンドラなる者であるということを。 「ということは、呪いは発動済みということね。なるほど。それで黒犬とつるんでた人間、消え損ないになったんだ」 少し前人間から聞いた話によれば、黒犬は解除方法をまだ聞き出せていないらしい。 赤猫としては、そのままであり続けるほうがいいと考える。先にも言ったように、ノア一族の呪いは多重構造なのだ。下手に解除を試みた結果状況を悪化させるという可能性も、十分考えられる。 赤猫は魔王の像の台座に座り込み、もしゃくれた赤毛を神経質に撫でる。 「ポンコツの様子、探った方が、いいかな」 と、彼女は、唐突に顔を持ち上げた。城に住まう取り巻き猫たちの鳴き声が聞こえてきたのだ。 「誰か、来た?」 ●酒の肴はなんじゃいな 夜のサーブル城。 城壁の上に立っているのはラインフラウ。 周囲には大勢の猫が集まり、うさん臭そうに彼女を見ている。 そこへ相変わらず泥酔している赤猫がやってくる。 「こんばんは、初めまして赤猫さん。私はラインフラウという者なんだけど」 挨拶するラインフラウに赤猫は、鼻をひこつかせた。やや前のめりな姿勢を取っているのは、攻撃するかしないかの線上に気持ちがあることを指す。 「お前、前に見たことがある。ほかの人間と一緒に、ここへ入ってきたことあるわよね?」 ここで背を向けたら、間違いなく襲ってくる。そう心得てラインフラウは、なるべく相手と目線を交錯させないようにしつつ答える。 「あらあ、覚えてもらっていたのね。うれしいわ。そうよ、私、ここに来たことがあるの――あ、よかったらこれをどうぞ」 彼女は高級酒がぎっしり詰まった紙袋を、相手に渡す。 「おー、酒」 赤猫は愉快そうに手を打った。遠慮会釈なく酒瓶を手に取り、がぶ飲みし始める。ではあっても、ラインフラウから気をそらしたわけではない。一挙手一投足の動きを探っている。 そのことを意識しながらラインフラウは、話し始める。 「赤猫さん、黒犬さんとの呪いについてなんだけど、もしかしたら私、それを解消出来るかも知れないわよ」 赤猫は『へー』と白けた声を出した。 「お前、ノアの呪いを解けると思ってるの?」 ラインフラウはふふっと笑う。 「いいえ、そんなこと全然。でも、呪いをよそに移し替えることなら確実に出来ると思うわ」 赤猫は瞳孔を丸くし聞き返す。 「移し替える?」 「ええ。黒犬とあなたにかかっている『命を繋ぐ』と言う呪いを、誰かに肩代わりしてもらうの」 ●情報の限られた共有 フトゥールム・スクエア。 居住区域『レゼント』にある学生に人気のカレー食堂『おいらのカレー』。 「――ということで、ラインフラウが赤猫から色々話を聞き出してきてくれました」 生徒達を前にして、セムはそう言った。タバコを携帯灰皿でもみ消しながら。 「それについて知りたいことがあれば、なんなりと聞いてください。その代わりあなたがたからは、呪いについて今知っているところを私に教えてほしい。情報共有しましょう。お互いの今後のために」
Mid Winter Fes!
SIGINT GM
ジャンル
日常
タイプ
EX
難易度
簡単
報酬
通常
公開日
2021-01-20
予約期間
開始 2021-01-21 00:00
締切 2021-01-22 23:59
出発日
2021-01-30
完成予定
2021-02-09
参加人数
2 / 8
「はぁ……さむっ」 それは誰の声だったのか? フトゥールム・スクエアには多くの学生が在籍しているが、その多くが特に寒さを感じる今年の気候に、体をぶるぶると震わせている。外で授業を受けていた学生は、授業が終わると駆け足で校舎や寮へと戻っていく。移動教室をしている学生は手袋を着用してなお、手をこすり合わながら吐息で暖を取ろうとしている。中には上着の下に何枚も着込み、だるまのようになっている学生もいた。その学生に雪が積もればそれこそ雪だるまというのだろうか? そんな、せっかくの快晴なのに、どんよりとした曇りのように感じる寒空の下。一人の女性が呟いた。 「ふぅ~……。こんな寒いんだからアガってかないと、やってらんないよ」 彼女の名前は【ディージェイ・アンネリネ】。芸能・芸術コースの教官だ。噂によると、彼女の名前は本名ではなく自称らしい。おおよそ聞いたことのない言葉ではあるが……アンネリネはまだしもディージェイとはいったい何の意味があって自称しているのだろうか? 閑話休題。 確かにこんな寒い日がずっと続いていると皆から熱気が、やる気が失われていくのも頷ける。 こういう時に自然界の動物たちはどうやって寒さを凌いでいるのだろうか? 例えば冬眠というものが真っ先に挙げられる。体力を温存するためにじっと動かず、なるべく暖かいところで丸まって過ごす。もしくは地中であったり水中で過ごす。どれも厳しい自然を生き抜くためにそれぞれに適した方法なのだろう。 しかし、この方法を学園生がとるわけにはいかない。そんなことをしようものならば、もれなく留年という恐ろしい言葉を聞く羽目になってしまうのだ。 では他を考えてみよう。それは密集して、お互いの体温を使って寒さを凌ぐというものだ。なるほど、これならば一理あるかもしれない。そこに運動による熱が加われば……屋外だとしても寒さを忘れられるかもしれない! さて、こんなまどろっこしいことをつらつらと理屈をこねくり回して考えていたアンネリネであったが、ようはやりたいことは最初の一言に集約されていたのであった。 『アガってく』。この場合ではテンションがアガってくるととらえるのが正しいだろう。即ちこういうことだ。 (クラブイベント。やってきますか!) M.W.F.……ミッドウィンターフェス。またの名を真冬の音楽祭。これはアンネリネが勝手にフェスを作りだし、勝手に準備を進めて、勝手に設営をし始めたイベント。 もちろん開催の建前は決まっている。学生に舞台経験を積ませるということだ。つまり立派な実践的授業だ。なにも、問題ない。絶対面白くなるし、謎の力が働いて開催にこぎつける自身もあった。だからあとは――。 「ディージェ……もとい学生たちを集めないとね!」
これが俺たちの生き様だ!
海無鈴河 GM
ジャンル
日常
タイプ
ショート
難易度
とても簡単
報酬
少し
公開日
2021-01-19
予約期間
開始 2021-01-20 00:00
締切 2021-01-21 23:59
出発日
2021-01-27
完成予定
2021-02-06
参加人数
2 / 4
「村人とはどうあるべきか」 男がそんな哲学めいた問いを発した。 冬めいたフトゥールム・スクエア。その本校舎のとある教室からである。 「我々村人は生産、流通、娯楽……様々な側面から、勇者や魔王をはじめとした他の人々の生活を支える使命がある」 声の主は【ダミアン・オットー】。村人・従者コースの教官をしている。昔は勇者だったが、今は学園で教鞭をとる傍ら、村人(トマト農家)人生を謳歌しているという異例の経歴の持ち主だ。 きっちり着込んだスーツの上からでもわかるぱっつんぱっつんの胸筋が、彼の武勇伝を物語っている。 「しかし、我々は力を持たない。武器を持たない」 (これほど説得力皆無の言葉も他にないですねぇ……) などと授業のサポートに入っていた考古学教師【エヴァン・テール】は思った。 「しかし、魔物や天変地異の脅威は常に迫っている。そこで我々はそれらの事態に遭遇した際、『村人として』どう行動すべきか、反応すべきか。それをこの授業を通して実践してもらう」 題して『村人実践学』である。 ダミアンはバン、と大きな手のひらで黒板を叩いて示した。 「本日行うのは『魔物が村を襲った際の村人らしい対処法』の実践だ。4人以内のグループに分かれ、学園で用意した模擬村を使用して魔物の襲撃から村の制圧までの一連の流れをシュミレーションする」 エヴァンは横から補足をした。 「村の状況は、穏やかな春の気候で、晴天です。時刻は昼。授業開始の合図とともに、魔物――私が作成した授業用のものですが――が、村の門を破壊しようと攻撃を始めます」 その後15分をかけて、門を破壊。10体の魔物が村に侵入してくる。 「なにごともなく村に侵入した魔物は45分で村を制圧したとして、撤収します」 「つまり諸君らには、この計60分の間、どんな行動・反応が村人らしいのか、を考えて過ごしてもらう」 と言われた物の、具体的には……? 生徒の表情はぴんと来ていないようだ。 ダミアンはそうだなぁ、と腕を組んで考え込み、ぽん、と手を叩いた。 「たとえば、魔物に果敢に挑んで、綺麗な死にざまを見せてもいいぞ。勇敢な村の青年の最後、のような感じで」 まあその後ずっと地面で転がっているのは辛いかもしれんけどなぁ、あっはっは。 軽い調子で言われ、生徒たちの表情がドン引きのそれに変化した。 「まあ、偽物の魔物なので実際に死にはしませんから……そこは安心してください」 エヴァンのフォローはフォローじゃない。 「他にも、自分たちの村や大切な人を守るために防御を固めようと奔走するのもまた一つの行動ですね」 「あとは、ひたすら『今日はいい天気だなぁ』と言いつづけたりするのもいいかもしれないな。危機にも動じず、普段通りの言動を心がけるのも村人としての在り方の一つだろう」 「ダミアン先生は出す例が極端ですよね……」 呆れ気味のエヴァンは、こほんと一つ咳ばらいをして、 「注意事項等は配布した紙にまとめていますから、しっかり読んで準備を整えてくださいね」
冬季、雪合戦演習!
SHUKA GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
通常
公開日
2021-01-09
予約期間
開始 2021-01-10 00:00
締切 2021-01-11 23:59
出発日
2021-01-18
完成予定
2021-01-28
参加人数
3 / 8
季節は冬の真っただ中。 昨日記録的な大雪に見舞われた屋外演習場は未だ雪かきもされておらず、真っ白に染め上げられている。 そんな演習場に生徒たちが集められていた。 生徒たちの前には一人の細身の男が立っている。 「やあ、僕の名前は【ニルバルディ・アロンダマークォル】、ここの卒業生で冒険者として現場でバリバリ働いている超優秀なお兄さんだよ。おっとそこ、おっさんなんて言ったら首と胴体が離れることになるから注意しようね。これでも僕はギリギリ二十代なんだ」 講師の男は朗らかに笑う。 腰に提げた双剣、体のラインが分かる身軽そうな服装。 切れ長の目と整った顔立ち、細身ですらりと背の高い彼は、忍者や暗殺者を思わせる雰囲気を醸し出している。 「先輩……いや、今は講師だったね。その人の紹介で今日は遊……ゲフン、特別講師として招待された。今回君たちの実戦演習を担当させてもらうよ」 そのひょうひょうとした態度とは裏腹に、武芸に通じている者であれば油断ならない気配を敏感に察知することだろう。 ここの卒業生で講師の友人、さらには現役の冒険者としても活躍しているのだから、その経験も技能もかなりのものに違いない。 「君たちはとても優秀な学生だと彼女から聞いているよ。今日は存分に君達の実力を……と思ったんだけどね」 そこでニルバルディは周囲を見渡して苦笑を浮かべ両手を広げた。 「こうも雪が降り積もっていては演習どころじゃないね。いやまあ雪の除去を待ってもらうよう頼んだのは僕なんだけど。せっかくだし、今回君たちには特別な演習を用意したかったからね。このままにしておいてもらったよ」 そう言うとニルバルディは一本の大きな旗を用意し、演習場のど真ん中に突き立てた。 軍隊が拠点に立てるような背の高い旗で、そこには学園の校章が描かれている。 「君達にはここで雪合戦をしてもらおう」 ざわりと周囲がざわめいた。 雪が降ったんだからレクリエーションでも行おうというのだろうか? 「まさかとは思うけど、勇者を目指そうという君たちが雪を丸めて投げ合うようなキャッキャムフフな青春の一コマを思い浮かべていたりなんてしないよね?」 圧のあるにこやかな笑みに一部の生徒が目を逸らす。 一方で初めからその意図に気づき、力強く頷き返す生徒もいた。 「君たちはこれまでの学園生活で様々な経験を積み、技能を習得している事だろう。だが時にはその力を万全に振るえない環境だって存在する。状態異常然り、周囲の天候や地形然りだ」 そこでニルバルディは指を立ててくるくると回しながら歩き出した。 「だが考えてもみたまえ。逆にそれらの周囲に存在するものをとことん利用して状況を有利に運べられたらどうだい? どんな状況でも環境を味方につける。それくらいの気概をみんなには見せてほしいと思っているんだ」 唐突にニルバルディはパチンと指を鳴らした。 すると彼の足元に魔法陣が浮かび上がり、そこから一体の雪の人形が姿を現す。 大きさは彼と同じくらい。 粘土細工のようなぐにゃぐにゃとしたもので、両手をぶらんぶらんとさせている。 「こいつの名前はアイスドール。見ての通り雪を人の形に固めて操る簡易の分身魔法だ」 ニルバルディは短剣の一本を引き抜き軽く薙ぐ。 それだけでアイスドールは雪塊となり、ボロボロと崩れ去ってしまった。 「見ての通りアイスドールは脆い。武器で攻撃すれば簡単に崩れ去ってしまうデコイで、主にトラップ探知や偵察に使われるんだ」 今度は二体のアイスドールが呼び出される。 呼び出された二体は壁に向かって走り出した。 見た目に寄らず足は速い。そして壁に到達したアイスドールは丸い手足を壁にくっつけてよじ登り始める。 耐久性こそないものの、身体能力自体はそれなりに高い。 特に速度に関しては格闘家並みの速度を持っているようだ。 「という訳で具体的な話をしよう。君たちにはこの『雪』を使ってこの演習場の防衛を行ってもらう」 戻ってきた二体のアイスドールが手を繋ぎその場でぐるぐるとダンスを踊るように回りだす。 かなりコントロールが効くらしい。 臨機応変な行動をとることも可能だろう。 「僕はこれからこのアイスドールを……そうだな、一人頭50体くらいにするか。勝利条件はこのアイスドールたちから制限時間一杯旗を守ること。もちろん迎撃に際してドールを破壊してもいいし、制限時間内にドールをすべて破壊できれば特別報酬を用意すると約束しよう」 その言葉に生徒たちが囁き合う。 いくら弱いとはいえ、すばしっこいアイスドールの大群に雪崩込まれれば、数の暴力であっという間に押し込まれてしまうだろう。 「もちろん君たちには準備時間を与えるつもりだ。午前中はこの拠点に防衛陣地を作ってもらう。昼食を挟んだ休憩後に演習開始だ。魔法や技能を駆使して頑強な要塞を作ってくれたまえ。ただし、すべては『雪』を加工して使用すること。これはドールへの迎撃にも適応される。今回君たちはドールに対しての武器や魔法、技能の使用は禁止だ。すべては雪を用いて戦うように」 ニルバルディは歩きながら指をふるふると降り始めた。 「火をくべれば溶けて水になる。風に巻けば煙幕になる。土で踏み固めれば何よりも硬い岩になる。やりようはいくらでもある。技術と知恵、チームワークを駆使して最高の要塞と罠を作ってみてくれよ?」
ミラちゃん家――幻惑の森探検隊
K GM
ジャンル
冒険
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2021-01-12
予約期間
開始 2021-01-13 00:00
締切 2021-01-14 23:59
出発日
2021-01-21
完成予定
2021-01-31
参加人数
6 / 8
●虫食いだらけの初夢 私はランプを手にして暗い廊下を歩いていた。 柱にも壁にも華麗な装飾が施されている廊下には、窓が一つもない。外からの明かりは入ってこない。 足を進めるたび起こる細かな波音。 廊下は一面水で覆われているのだ。深さは膝下くらいまで。だが、もともとはもっと深くまで水没していたはずだ。天井近くまで浸っていた形跡がそこかしこに残っているのだから。 どうして急に水がここまで引いてしまったかについては、思い当たるふしがある。グラヌーゼ南部における新規貯水池の掘削だ。あれでここに注がれていた地下水の流れが変わったのだ。 ランプに閉じ込められた魔法石の輝きが床に反射し、細切れとなってたゆたう。 進んで行った先は行き止まりだ。ドーム型の天井がある小空間。礼拝室のような趣がある。正面にある壁の窪みに、魔王を象徴する像が安置されている。 そこに『あの』本が置いてあった。 私はランプを像の脇に置き、その本を手に取った。開こうとした。 その瞬間本が燃え上がった。後から思えば、第三者が触れた時点で消滅するような仕掛けが施されていたのだろう。 私は思わず本を水の中にほうり込んだ。激しい蒸気が上がる。 はたと我に返り、震える手で本を取り上げた。分厚い表紙がぼろっと崩れ落ちた。 でも、大丈夫、中身が全て焼けているわけではない。読めるところもある。 ランプの光でバラバラになった頁を読みふける。呪い、呪い、呪いに関係する記述はどこだろう。 ああ、あった。ここに。 ――ああ、そうなのか。呪いにはそういう作用も含まれていたのか。 やっぱり彼は私に嘘をついていたのだ。そうなんじゃないかとは薄々感じていたけれど。 もし呪いを解いたら、彼は、そして赤猫は××××××××。 それは人間全体にとって危険なことではないだろうか。 だけど私は彼に約束した。呪いを解くと。その約束を反故にしていいものだろうか。私の身に危険が及ぶことについては、もちろん覚悟している。最初から想定してもいる。 だけどもし家族に、あるいはこの地に住む人々に、彼が怒りの矛先を向けるようなことでもあれば。 ……決められない。私だけでは手に余る問題だ。 とにかく、少なくとも、これは彼には見せられない。 ××××に×××××て××××隠す×××幻惑の森××××××××××××。 「!?」 【カサンドラ】は跳ね起きた。 数秒間はあはあ息を荒げ両手を握り締め、自分がどこにいるのか思い出す。 窺うように窓へ視線を向ける。夜明け前だというのに、やけに明るい。雪が積もっているのだ。 「夢……」 呟いて自分で否定する。いいや今のは夢ではない。夢にしては生々しすぎる。あれは実際に起きたことなのだ。でなければこんなに冷や汗が出るものか、胸が苦しくなるものか。 ●夢の続きの現実 新年早々カサンドラは言った。ひどく張り詰めた顔で。 「あの本をどこで見たのか、思い出しました。地下通路の中です」 その言葉を聞いた【アマル・カネグラ】が思い浮かべたのは、『果て無き井戸』の一つ――【赤猫】とその仲間が通用口として使っているもの――だった。 そこからはすでにノアの遺物が複数発見されている。カサンドラが探している『本』もまた、そのノアたちが所有していたもの。だからてっきり同じ場所のことを言っているのに違いないと考えたのである。 だがカサンドラは彼の見立てに対し、『いいえ』と首を振った。 「その井戸ではありません――別の井戸です。一応思い出せる限り絵に起こしてみたのですが……こんな感じなんです」 アマルは、カサンドラが広げたスケッチブックをのぞき込む。 それは『地下通路』という単語からイメージされるものとは掛け離れていた。予備知識がないままだったら、宮殿の一角を描いたのかなとしか思えない。浸水してはいるが。 「これが通路の終着点です」 ドーム型の天井がある小部屋についても同様だ。不必要なほどの装飾に満ち満ちている。 「身分の高い者専用の通路、とかだったんですかねえ……これで行き止まりだったんですか?」 「はい。この地下道は、多分、転移魔法によって城への出入りを行うタイプのものなのではないかと。私はここで本を見つけたんです。それから、隠した。幻惑の森のどこかに」 こうまで断定的な言い方をするからには、相当量の記憶が蘇ってきているらしい。 アマルはふと、カサンドラが生前最期にいた場所が、他ならぬ幻惑の森近辺であったことを思い起こした。 (あの森にもそういえば、ノアが呪いをかけていたんだっけ……今も生き続けているほど強力な) すうっとアトリエが薄暗くなった。厚い冬雲が太陽を遮ったのだ。ここのところ雪模様が続いている。 「……私は、今から幻惑の森に行って、その本を探そうと思います」 「えっ、い、今からですか?」 「はい。今でなければ出来ないと思います。これだけ天気が悪いなら、赤猫も容易に城から出てこない。だから、グラヌーゼでもある程度安全に探索が出来るのではないかと……」 それは確かにそうだ、とアマルは納得した。真ん丸い顔をほころばせ、どん、と自分の胸を叩く。 「じゃあ、善は急げだ。僕も一緒に行きますよ。他の皆にも声をかけます。ところでカサンドラさん、【黒犬】にはこのことを知らせますか? 話を聞いたらついてきたがるんじゃないかって思えるんですが」 「……いいえ。探索が終わってから経過を知らせることにします。どの道彼は、まだ満足に動けないでしょうから」 カサンドラがそのように言ったことに、アマルはほっとした。この調査に黒犬が参加してきたら、マイナス要素にしかならない。本には、呪いの解き方が載っているかも知れないのである。黒犬たちの呪いを解くべきか解かざるべきか一致した方針が出ていない段階で、それを相手に見せる形になるのは、さすがに避けた方がいい――そう思ったから。 ●現実の続きの現実 【トーマス・マン】はカサンドラから『幻惑の森』探索に行くこと、並びに自分達が帰ってくるまでそのことを黒犬に知らせないよう言い聞かせられた際、直ちに反論した。 「どうして?」 彼は敏感に察したのだ。カサンドラの黒犬に対する物言いに、これまでになかった微妙な陰りが生じていることに。 だからしつこく食い下がる。 「本が見つかりそうなことは教えてあげてもいいじゃない。森へ一緒に来て欲しくないなら、そのことを手紙で言えばいいじゃない。そしたら黒犬も無理して先生達について来たりしないよ」 カサンドラは笑うとも泣くともつかない微妙な表情を浮かべ、言った。 「……それだと、彼をぬか喜びさせることになるかもしれないから。本がちゃんと見つかるかどうか、分からないのよ」
アメシスト・オンステージ
七四六明 GM
ジャンル
冒険
タイプ
EX
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2021-01-08
予約期間
開始 2021-01-09 00:00
締切 2021-01-10 23:59
出発日
2021-01-16
完成予定
2021-01-26
参加人数
2 / 6
新年を迎えた魔法学園『フトゥールム・スクエア』に、一通の手紙が届く。赤い封蠟がベーシックなところ、紫の封蠟で閉じられた手紙は、一枚の依頼書。 差出人は昨今、若者を中心に業界を賑わせる人気歌手。魔物をも魅了する玲瓏なる歌姫、【アメシスト・ティファニー】。 「馬車を使いたいのだけれど……魔物にお馬さんが襲われて危ないし……この子が暴れても危ないから、ね」 と、手懐けているデスレイプニールを撫でる彼女の肩に、乗っているのはケットシー。 アルチェにある彼女の別荘にて、二匹の魔物を従える彼女を、アルチェから目的の街まで護衛するのが今回の仕事。 だが、徒歩での道のりとなると一日がかりの大移動。近道を使えば半日で到着するものの、狼型のジャバウォックの群れが作る巣の真ん中を突っ切らないといけない。 魔物を引き寄せる彼女の性質上、通常ルートを通っても魔物や獣との接触は避けられまい。しかしそれでも、ジャバウォックの群れと遭遇するよりはマシと考えてそちらを選ぶか。 それともジャバウォックの巣を通過してでも、近道を通って早期到着を試みるか。 「危険な旅路になるかもしれないけれど、私、今回どうしても歌いに行きたいの。行かなくちゃ……いけないの。だから、お願いします」 今回で三度目の依頼だが、何やら今までと違う様子。 通常ルートか近道か。どちらを選んでも艱難辛苦は変わらぬけれど、それでも歌姫の願いを届け、街に彼女の歌声を届けよ、未来の英雄達!
ワイズ・クレバーの単純なお仕事
正木 猫弥 GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
難しい
報酬
多い
公開日
2021-01-03
予約期間
開始 2021-01-04 00:00
締切 2021-01-05 23:59
出発日
2021-01-13
完成予定
2021-01-23
参加人数
6 / 8
「おはようございます、学園長」 「おっすおっーす! 今日も寒いねえ!」 ある冬の日。 魔法学園『フトゥールム・スクエア』の大図書館、『ワイズ・クレバー』の一室で、学園長【メメ・メメル】と教師が話を交わしている。 2人の目の前には、古びた木製の本棚が鎮座している。収められた書物は本棚に負けず劣らずのオンボロだが、見る者が見ればその禍々しい雰囲気に気付いたかもしれない。 「……おお、結構溜まってるねえ。もうそんな時期かあ」 「前回から結構経ちましたからな。そろそろ頃合いかと」 本棚の書物は、その危険性故に禁書に指定されたいわく付きの代物揃い。学園長自らが施した封印は完璧ではあるが、それでも少しずつ『瘴気』が溜まってしまうのは避けられないのだ。 「見た感じ、瘴気を発散させるには最低10時間は必要だな! となると、『紙魚』が発生するのは避けられないから……」 「やはり、『虫干し』が必要となりますな……」 虫やカビを防ぐため、本や衣類に風を通すのが虫干しであるが、2人の言うそれは意味合いが異なる。 無数の禁書から発せられた瘴気は、それだけで周囲に様々な影響を及ぼす。元はちっぽけな紙魚であっても、それが巨大化し、大量発生するとなれば見過ごせない脅威となるだろう。 「瘴気が充満し過ぎると危険ですので、本棚には1時間おきに封印の解除と再封印を自動で行う細工を仕掛けるようにしましょう。単純ではありますが、1日がかりの過酷な作業になりますな」 「その分、報酬はバッチリ弾んじゃおっかな~☆ サポート態勢も整えて」 「かしこまりました。早速手配いたします」 「じゃあよろしく!」 「はっ」 ウインクをして颯爽と立ち去る学園長を、教師は恭しく見送った。 (相変わらず決断が早い。流石だな) 気まぐれな言動に振り回される時もあるが、教師が学園長に抱いている尊敬の念は揺らぐ事はない。しかし。 「にしても……ネーミングセンスだけはどうにかならんかなあ」 そう独り言ちながら、教師は『メメたん☆文庫』と名付けられたその本棚を見つめるだった。
【体験】スイートスパイシーハンティング!
樹 志岐 GM
ジャンル
イベント
タイプ
マルチ
難易度
とても簡単
報酬
ほんの少し
公開日
2020-12-11
予約期間
開始 2020-12-12 00:00
締切 2020-12-13 23:59
出発日
2020-12-22
完成予定
2021-01-18
参加人数
5 / 16
○甘くてピリッとした回想 ――お砂糖にスパイス。それから素敵なもの。 そういったもので女の子は出来ているらしい。 ならば、素敵なものを別のもの……たとえば、バターと小麦粉に変えて。 それにほんの少しの魔法を添えてみたらもっと素敵なものが出来上がるんじゃない? そう思って丁寧に生地を作って、じっくり焼き上げて、ひとつひとつに想いという魔法をこめて作ってみた。 クリスマスだもの、沢山の人が幸せになればいいな。 ○そう思っていた時期が私にもありました 「いやぁ、オレサマはちょっと手助けのつもりでやってたんだぜ? いやほんと」 肌寒さを感じる朝と昼の合間のひととき。関係者以外立入禁止の札のかかった空き教室に、その人物――【メメ・メメル】は悪びれた様子も見せずあなたたちの前にやってきた。 傍らには机に突っ伏したまま泣きはらした表情の女子生徒がみえる。 なにやらうわ言のように『ひどいです、あんまりです』と繰り返す彼女の言動と学園長の様子からここに集まった何人かは何かを察したようだった。 「うーん、ちょっと今しゃべれないみたいだから、オレサマが代わりに説明させてもらうゾ☆」 星が飛んでいきそうなほど見事なウインクをし、メメルが代わりに説明する。 「この子が作ったジンジャーブレッドマンが意思を持って学園中に逃げて行ってしまったんだ」 ジンジャーブレッドとはショウガの入った焼き菓子のことで、特に人型の形をしたものをジンジャーブレッドマンと呼称する。 焼き菓子であるため、ひとつひとつ……もとい一体一体の背丈はそこまで大きくない。 それが学園中に逃げて行ってしまったらしい。 それだけならただ捕まえるだけでいいかもしれないが、意思を持っている以上、何かを企んでいるジンジャーブレッドマンもいるかもしれない。 それがただの悪戯程度ならいいのだが!、時間がたてば経つほど意思は強くなり、取り返しがつかなくなるらしい。 「というわけでチミたちにはジンジャーブレッドマンを捕まえてきてほしい!」 言いながらあなたたちの目の前に人数分の小袋が置かれる。 中には白い粉が入っている。香ると少し甘い匂いがした。 「それはパウダーシュガーです。それを振りかけるとジンジャーブレッドマンは普通のジンジャーブレッドマンにもどる……そうです」 机に突っ伏していた女子生徒がもごもごと説明をする。 イマイチふわふわとした様子であるのは、意思を持ち始めた原因が彼女にはないから、だろう。 その原因たる人物をちらりと見ると目をあからさまにそらしていた。 「私が作ったジンジャーブレッドマンは合計で20枚です。その、意思を持った時の『特典』で踏みつぶされたりはしないようになっているので……きっちり20枚、見つかると思います」 お手数ですがよろしくお願いします。 女子生徒は丁寧に頭を下げた後、再び机に突っ伏した。 現在時刻はお昼少し前。 日が地平線に消えてから学園の時計台が鳴るまでの間に20枚のジンジャーブレッドマンを捕獲しろ!
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