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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
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神に仕える人形少女
七四六明 GM
ジャンル
戦闘
タイプ
EX
難易度
普通
報酬
少し
公開日
2020-03-14
予約期間
開始 2020-03-15 00:00
締切 2020-03-16 23:59
出発日
2020-03-24
完成予定
2020-04-03
参加人数
5 / 8
八色の街、トロメイア。 精霊が住むとされる高山、アルマレス山の麓に広がる信仰の街より依頼を受けて、学園生らは比較的小さな教会へと向かう。 扉を開ければ広大な礼拝堂。 待ち受けていたかのように奏でられているパイプオルガンの旋律に出迎えられて、最奥の精霊の像に祈りを捧げていたシスターがこちらに気付き、深々と頭を下げる。 「魔法学園(フトゥールム・スクエア)の皆様ですね。ようこそお越し頂きました。ワタクシがここの管理を任されている、マザーの【アグネス・ティムス】と申します。どうぞ気軽に、マザーとお呼びください」 と、マザーが自己紹介を終えたのと同時、修道服に身を包んだ銀髪の少女が現れる。 そのときは気付かなかったが、演奏が止んでいたために生まれた静寂が彼女を異質に見せた。 何せ彼女の後に遅れて来た他の修道女やマザーと違って、彼女だけがウィンプル――修道女用の頭巾を被らずにいたから、煌めく銀髪を強く印象付けて見せる。 だが右手の甲に魔法陣を見たとき、少女に対する印象はまた変わった。 「それでは、立ち話もなんですからどうぞこちらへ。【ピノー】、皆様を食堂へご案内して」 「では皆様、どーぞこちらへ」 修道女ピノーに連れられて食堂へ。 その途中、修道女らと遊んでいる子供達で賑わう部屋を通り過ぎた。初めて見る人達の来訪に怯えるどころか、元気に手を振ってくるので、こちらも手を振り返す。 「このきょーかいは、孤児院としての役割も兼ねております。種族も年も関係なく、マザーは身寄りのない子供達を引き取り、育てているのです。カルマのピノーも、その一人です」 やはりカルマ。 学園にも何人かいるのでもう見慣れたものだが、このような場所で、しかも修道服を着たカルマと会うとは思わなかった。 だが彼女の言う通り、この教会には全種族――とは言わないが、種族問わず受け入れているようだ。修道女にも数名、ヒューマン以外にもいる様子。 ただしカルマは、ピノーと呼ばれているこの子以外に、いないようだが。 「今回あなた方にご依頼したいのは、墓を荒らす悪魔の退治です」 悪魔――聞きなれない単語であるが、この教会では怪物か何かを差して使う言葉か。話を聞く周囲のシスター、語るマザーの顔色から、そう見て取れた。 「この教会の裏には小さい墓地があるのですが、最近夜中になると墓荒らしが墓を掘り、悍ましいことに、供養した亡骸を――」 喰らう、そうだ。なるほど確かに悍ましい怪物。マザーが語る悪魔とやらの所業であるのだろう。 要はそれを退治して欲しいとのことだったが、『悪魔』というだけでは情報が少な過ぎて対処も難しい。それを目撃したらしい修道女らの話から、特徴をまとめた。 細い体躯に一対二枚の巨翼。 鋭い爪を持った四足で立ち、唸る口からは冷気を放つ単眼の悪魔――。 情報は、ドラゴニア純種の一種と酷似している。 ドラゴニア純種の一種の中に、単眼の肉食龍がいるとドラゴニアの先輩から聞いたことがある。 ただ先輩の話で聞いたものと、今回の悪魔と呼ばれているそれは、大きさにかなり違いがある。そして何より、死体を喰らうなどという話は聞いていない。 もし先輩から聞いた肉食龍そのものであれば、親からはぐれた子供の可能性があるが。もしそうでないのなら、その肉食龍を元に作られた魔物の一種か。 どちらにせよ、油断は禁物。相手が龍の純種であろうと魔物であろうと、出来る限りの対処をして、挑まなくてはならないだろう。 「こちらがだんせー、こちらがじょせーのお部屋になります。どーぞ、お好きに使ってくださいとのことです。今から一時間後に食事になりますので、先程のしょくどーまで、お越しください」 とりあえず休憩をと、マザーが部屋を用意してくれていた。ただ案内してくれたカルマのピノーは少し黙ると、部屋に通すより前に自分達に向き直って。 「ピノーからも……ピノーからも、お願いします。墓荒らしのしょーたいが何かはわからないけれど、ピノーは怖いです。子供達が襲われないか、いつも、心配です。怖いです。だから、お願いします。悪魔から、子供達を、護ってあげて、ください。ピノーから、せーいっぱいの、お願い、です」 肉食龍には、人さえ喰う種類もいる。話からして、魔物も同じだろう。 大人が食われる事件だって、珍しくない。今回のそれはまだ死体だけを喰らっているようだが、仮に人の子供の味を覚えれば、今後はそれを狙って襲うだろう。 未だ正体に関しては判断し兼ねる部分はあるが、概ね先輩から聞いた話だと、魔物の方だと思っていいかもしれない。 重ねて言うが、断言はしない。 しないものの、もしかしたらそれより恐ろしい相手かもしれないし、まったく見当違いの相手である可能性もある。 どんな相手であれ、子供達が食い殺されていく、だなんて展開になどさせてはならない。 カルマの修道女からの切なる願いも受けて、まず食事までの一時間、魔物である場合の呼称を『アイバーン』として、作戦会議を開始した。
思い出の広場を守って!
はまなたくみ GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2020-03-09
予約期間
開始 2020-03-10 00:00
締切 2020-03-11 23:59
出発日
2020-03-18
完成予定
2020-03-28
参加人数
8 / 8
ここはフトゥールム・スクエアにほど近い、アチュパーデ村。この村には代々続く、ある風習があった。 毎年春になると、村で育った子供たちが、フトゥールム・スクエアに入学すべく旅立つ。または、村の外に仕事を求めて出ていく。 そんな時、子供たちの未来に幸福があらんことを祈りながら、村の高台にある日当たりのよい広場に木を植える。 子供たちがいつかこの村に帰ってきたとき、成長した木を眺めながら子供のころの記憶に思いをはせる。そんな願いも込められている……と村に伝わる歴史書は語る。 それはさておき、今年も春が来た。フトゥールム・スクエアに入学する子供たちが、旅立ちの前に木を植える季節になったのだ。 「なんで木なんか植えなきゃならねーんだよ? かったるいなぁ……」 苗木を手に歩きながら、【ヴィクター・レヴ】がぼやいた。健康そうに日に焼け、いかにも腕白少年といった風貌だ。つまらなさそうに足元の小石を蹴飛ばしながら、広場への道を行く。 「そう言うなよ、ヴィクター。これもこの村の伝統なんだ」 落ち着いた声で【ジェーン・リテイン】がなだめる。こちらは色白の顔の中央に丸眼鏡が収まり、いかにも優等生といった雰囲気をまとっている。対照的な二人だが同い年ということもあって仲が良く、 「でんとーって簡単に言うけどさあ、俺達には関係ないんだよなぁ……」 「まあまあ、すぐ終わることだし、少しくらいいいじゃないか」 ジェーンは相方の愚痴を苦笑しながら聞いている。 「それにさ、将来僕たちがこの村に戻ってきたとき、植えた木がどれだけ成長してるか……想像しただけでワクワクしないか?」 「そういうもんかなあ? ジェーンは夢想家だなあ……」 たわいのない会話を交わしながら、広場に到着した二人は、立ちすくむことになる。 「な、なんだぁ!?」 広場のあちこちが無残に掘り返され、穴だらけになっている。代々村を巣立っていった者たちが植えた樹の一部も、根元から掘り返され倒れてしまっている。 「いったい誰がこんなこと……!」 「ヴィクター、あそこだ!」 ジェーンが鋭く叫び、広場の片隅を指さした。やや大きい穴が開き、その奥から赤く光るものが覗いている。察するに、この広場をめちゃくちゃにしてしまった魔物が、穴の奥に潜んでいるのだろう。 「てめぇら、この広場から出ていけ!」 広場に落ちていた木の枝をつかみ、向かっていくヴィクターをジェーンが引きとどめる。 「無茶だ、ヴィクター! ここはいったん引いて大人たちに知らせなきゃ!」 「……というわけで、皆さんに村の広場に出た魔物を討伐する依頼が出ています」 職員は書類に目を通しながら、淡々と生徒たちに告げた。 「報告による魔物の特徴から推察すると、敵は土龍でしょう」 ぺらり、と書類をめくり、魔物の特徴について説明を付け加える。 「地中をまるで泳いでいるかのように素早く滑らかに移動できる魔物で、本質は臆病のようです。ただ、攻撃されると激昂するようなので十分に注意してください」 そこで言葉を切ると、彼は生徒たちを見回して告げた。 「もちろん楽な相手ではありませんが、油断しなければ今の皆さんの力量であれば危うい敵ではないでしょう。あ、それと……」 職員は思い出したかのように付け加える。 「魔物を見つけた二人の少年が同行を願い出ています。彼らはあなたたちの後輩になるでしょう。先輩として、いいところを見せてあげてくださいね!」 職員の声に送られ、生徒たちは出発した。
BLACKOUT
桂木京介 GM
ジャンル
冒険
タイプ
EX
難易度
難しい
報酬
通常
公開日
2020-03-03
予約期間
開始 2020-03-04 00:00
締切 2020-03-05 23:59
出発日
2020-03-13
完成予定
2020-03-23
参加人数
8 / 8
赤ん坊が泣いている。 いまにも殺されそうといった勢いで、爆発的に泣いている。 かまどの前に立った母親らしき女性はなにもせず、立ち尽くしているだけだ。 火にかけられた大鍋が煮えている。 煮えているなどといった穏やかなものではない。シチューは吹きこぼれる寸前だ。表面には泡がたえず泡が浮かび、破裂してはまた新しいのが生まれている。 赤ん坊は毛布を蹴りのけ、籐編みの籠から飛び出してしまいそうだ。 鍋はもう、軽く手で押しさえすれば溶岩のような中身をぶちまけるのではないか。 それなのに、女は口を半開きにしたままぼんやりとしている。 「ここは……」 まるで寝言のように、ぽつりと女はつぶやいた。 家の戸口には男が立っている。開いたドアを黙って見つめ、こわごわと中をのぞいて、室内に入りかけたものの体を戻した。赤ん坊の泣き声が気になるのだが、自分が行くことにはためらいがあるようだった。 「おうい」 男は間の抜けた声で呼びかけた。 「おうい、なんとかしたほうがいいぞ、あんた」 「え……?」 女は蝋が溶けるように鈍くまばたきすると、周囲を見渡して誰もこの赤ん坊を抱くものがないと知った様子だ。仕方なくこわごわと、手負いの獣に触れるようにして赤ん坊を抱き上げた。 男は首だけのばしその様子を見て、じりじりと後ずさっていった。 ここはどこなのだろうか。 自分は、誰なのだろうか。 あの女は? 赤ん坊は? あの建物は? 仕事を終えた村人が妻子の待つ自宅に戻ってきた光景――だったのだ。ほんの少し前までは。 村人の背が見知らぬ姿にぶつかった。いやこのとき男にとっては、自分を含むすべてが『見知らぬ』存在であったのだが。 振り向いて、村人は彫像のように身を固くした。 先頭にいるのはヒューマンらしい。襟元までしっかり締めた、濃い紫色のフロックコート、ぴったり七三に撫でつけた髪も紫で、ふくよかな、というより小太りといったほうがいい体型をしている。つま先がとがった緑のブーツを履き、左手には象牙色のステッキを握っている。背はやけに低く、鏡のようにぴかぴかした銀縁の眼鏡をかけていた。年齢不詳だ。年寄りのようでもあるが少年のようにも見える。 強い印象を与えるのは、男に浮かぶニヤニヤ笑いだった。口元からのぞく、荒目のノコギリのような歯が恐ろしい。ヒューマン種のようだからあれは牙ではなく入れ歯だろう。さもなくば自分で削ったというのか。 「あの……あんた様、もしかすっとオラのこと、知りませんか?」 「知らんね」 ダッフルコートの男は、どんと右手で村人を突き飛ばした。小さいのにすごい力だ。村人はたまらず尻餅をついてしまう。 男は歩き出す。 村人はそのまま言葉を失った。 ダッフルコートの男につづいて、幽鬼のような集団が続いていたからだ。十人はいるだろうか。そろって同じ扮装。全身が黒。背はひょろりと高く、手足がまたアンバランスなまでに長い。目にあたる部分にハンカチほどの白い布が垂れ下がっている以外は黒づくめだ。影が地面から立ち上がって歩き始めたかと錯覚してしまう。 もうひとつ村人を怯えさせたものは、影のうち二体が、引きずるようにして、ひとりの男を運んでいることだった。狼ルネサンスの男らしい。ひどく傷つき、顔にも紫のアザがある。これほど血と土で汚れていなければ、耳の毛はきっと銀色に見えただろう。 「つまらんなあ」 ダッフルコートの男――【ガスペロ・シュターゼ】は振り返った。 「そう思わないか?」 振り返った拍子に、ステッキの尖端にぶら下げられたランタンの灯が揺れた。 「一般的な村人の記憶などたかがしれている。奪っても得られる力は微弱だ」 引きずられていた男が、首だけ上げて片目を開けた。 「だったらフトゥールム・スクエアでも襲ったらどうだ? さぞや濃い記憶が集まるだろうぜ」 「知ってるだろう? ルガル君、私はそういう無謀をしないのだよ。『彼』の持っていたものに比べれば、これなんてまだ玩具(オモチャ)さ。実用に耐えるものにするためにはもっと使い込まないとね」 「てめぇには過ぎた玩具だよ、ブタ野郎」 ガスペロは黙って、【ルガル・ラッセル】に近づくとその頬を張った。やはりすごい力だ。鞭で打たれたようにルガルの首は真横を向く。 「立場の違いを考えたまえ、ルガル君」 「……ジャックの小間使いだったてめぇが、いっぱしの悪党気取りか」 しかしルガルには、憎まれ口をやめる気はないらしい。 「こそこそしやがって。しょせん小間使いは小間使いだってことかよ」 ふん、とガスペロは鼻を鳴らした。 「目立っちゃいけないんだ。私はね。殺しや火付けをするわけじゃない。大事件のかげで静かに動く。動いて少しずつ力を蓄える。まあ、しばらくの辛抱だ」 「なら、さっさと俺の記憶を吸い取って力に変えやがれよ」 それができたら、とガスペロは言った。 「とっくにそうしてる」 まだ、夜と呼ぶには早い時間帯だ。夕方にしたって明るすぎる。 なのにガスペロがもつ杖、そこに吊されたランタンには紫色の炎が宿っている。 ◆ ◆ ◆ 「不穏な話があるのだよ」 と【メメ・メメル】は腕組みして言った。 教室の一角、集まった生徒たちを前に、メメルは彼女にしてはめずらしい曇り顔を見せていた。 「チミら覚えとるか? ハロウィンの夜、【ジャック・ワンダー】を筆頭にした一派がリーバメントの町を襲い、巨大な魔法陣でなにかを呼び出そうとしていたことを」 ジャックは、大鎌の先にランタンをぶら下げていた。ランタンから発する炎は、これを浴びた者の記憶を奪う力を有する。 ジャックはフトゥールム・スクエアに倒され、カンテラも魔法陣も破壊された。ジャックの部下【ジョン・ドゥ】も消滅した。唯一、一味のルガル・ラッセルというルネサンスだけが逃れたが、以後目立った行動はしていないようだ。 「それなのにな」 最近、ジャックの力を彷彿とさせる事件が三度、立て続けに起こったというのだ。 いずれも舞台は、辺境の小さな集落だ。ある一日を境に、集落の住民全員が記憶をなくしてしまったという。住民はせいぜい十数人で、村と呼ぶにしても小さい規模だが、集落丸ごと記憶喪失となれば話は穏やかではない。 二度目の事件のおり、偶然村の外にいた住民が下手人とおぼしき集団を目にしている。リーダーらしき人物は紫色の服を着た小男、それ以外は影のような姿だという。 「死傷者が出たというわけではないのだな。物盗りもない……といってもなぁ~、ほっぽっておくわけにはいかんよコレは。記憶泥棒ってのは、金品の泥棒よりある意味ずっとたちが悪いからな!」 集団が訪れていたのはともに、リーバメントよりずっと小さい規模の集落だ。 「小さな集落しか襲う力がないのか。大事件にならんよーにしているのか。んー、しかしとっちめるほかないな、と思うわけだオレサマは!」 一計を案じた、とメメルは言った。 「連中の移動ルートから予測できる地点に、住民が見捨てて廃村となっていた地域があるのだ。ここに罠を張る! つまり村人の振りをして、記憶ボードロを待ち構え返り討ちにするってえ寸法よお☆」 ボードロ? と生徒のひとりが聞いた。 「ギョーカイ用語だよギョーカイ用語♪ 泥棒のことな☆」 なんの業界だ。 メメルの作戦は短絡的だが、案外こういう単純な仕掛けのほうが成功したりするものだ。 「ところで集団が来なかったら?」 また別の生徒が訊いた。 「一週間くらい村人ライフを堪能して帰っといで♪」 オイ。
波乱!! シュターニャ旅行記!!
へぼあざらし GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
少し
公開日
2020-03-05
予約期間
開始 2020-03-06 00:00
締切 2020-03-07 23:59
出発日
2020-03-14
完成予定
2020-03-24
参加人数
2 / 8
西部への玄関口『シュターニャ』。この街に数人の生徒が招かれ、この街で名の通る二人からある依頼を受けることになった。 ちょっとその前に、この街についていきなりいろいろと言われてもピンとこないだろうから改めて説明しよう。 まず、皆が通う魔法学園『フトゥールム・スクエア』がある『エイーア大陸』は、雄大な『ノルド川』により東西に分断されていて、その東西をつなぐ架け橋はたった一つしかない。そのもとに位置する街が『シュターニャ』だ。 シュターニャはノルド川の東側に隣接していて、橋を越えた先には、東側よりも強力な魔物もいる。だからシュターニャは西部への玄関口と呼ばれていて、また西へ向かう人々を護衛したり案内することを生業(なりわい)としている人々が集まっている。 活気あふれる商売の街。シュターニャを一言で表すのであればこれに尽きる。町民は活気に溢れ、路地は市や露店で埋め尽くされ、いつも陽気な掛け声が飛び交い、毎日とても賑やかだ。 「ようこそ『シュターニャ』へ。わたしはこの街で旅の案内務め――いわゆる観光案内業を営む【マチルダ・アベーユ】よ」 そう、皆へ微笑みを向ける彼女は観光組合『アイネ・フォーリチェ』の代表者だ。 まっすぐに伸びた長い金髪が彼女のしぐさ一つ一つでしなやかに揺れる。きっちりと純白の制服を着こなし、身なりは清潔に整えている。なのに自然と近寄りがたさはなくて、温和な優しい雰囲気は、さながら近所に住んでいるお姉さんと言ったところか、身近に感じる親しさがあった。 観光案内人は西部へ向かう旅人に安全で快適なサポートを行う。温泉街へ行くための馬車、現地での宿泊施設、魔物から護衛してくれる傭兵まで、必要なものは全て手配してくれる。よって組合所属の観光案内人は知識豊富でサービス精神旺盛、有事の際にも機転が利く上に器量良しと評判がいい。もちろんマチルダも例にならってしっかり者で、その代表というだけあってその資質も飛びぬけている。 「私は【ニキータ・キャンベル】だ。傭兵組合で長を務めている。よろしく頼む」 一方、落ち着いた口調で簡潔に挨拶をした彼女も、この街では有名人だ。どんな人かというならば、この街の屈強な傭兵を束ねる女組長、となれば言わずもがなどんな人物か分かるだろう。 ニキータはすらりとした体型と、整った顔立ちをしていて、立ち振る舞いは舞台俳優を思わせるほどのオーラがある。これでいて、男性と見間違うほど短くした赤髪をしているのだから、世の女性が黙っていない。 ちなみにマチルダは年に男性から何百通のファン(と言うよりもラブ)レターを貰っている一方で、ニキータは女性からだけでもファン(ラブ)レターを年間何千通も受け取っている。 そして彼女は、大盾を背景に、無骨な姿をした長剣をふたつ交差させて背負っていた。なお、その特徴的な姿は傭兵組合のシンボルマークにも採用されている。 ――さて、説明と紹介が長くなってしまったが、ここからが本題だ。 「今回、キミたちには私たちの訓練を受けてもらう。これは一応本番の意味も兼ねているんだ。我々はキミたちが通う学園殿へ緊急で傭兵や観光案内業を依頼することだってある。今回はその練習だ。内容は……なに、そんな難しいことじゃないさ」 「観光案内業担当と傭兵担当に分かれてわたしとニキータを『シュターニャ橋』を超えて西へ案内してね。そして数日かけて私たちを『トルミン』まで案内して欲しいの。訓練と言ってもこれも大切な課題よ。大変だけど、皆さん頑張っていきましょうね」 トルミンとはもゆる煙と極楽の街。観光客が向かうルートとしては定番中の定番ともいえる。 「しかし、珍しい。トルミンは片道でも一日半はかかる。マチルダにしては長く休暇を取れたものだな」 「そうでしょう? わたし、この日のために頑張って残業して、次々来る仕事をいなし、部下へ引き継いで……ふふふ、どれだけ今日を楽しみにしていたことか……」 そうぶつぶつと呪詛の様な言葉を口にするマチルダの目元にはわずかにクマがあった。その一方で両手には大荷物が準備されている。おい、満喫する気満々か。大切な課題に対する想いはどこ行った。 ニキータはマチルダの話を聞いてふぅんと鼻を鳴らす。 「まぁ、私がわざわざ参加する必要もなかった気もするがな」 「そんなことないわ!!」 すると食い入るようにマチルダが言葉を返す。 「いいかしら。傭兵と観光案内業がいかに大変で大切な仕事なのか、それをあえて経営トップであるわたしたちが教えてあげることで真の想いを皆さんに感じ取ってもらう必要があるのよ! あと、ニキータが頑張っているとことか、ニキータのかっこいいところとか、ニキータは本当は カワ……カワッ……いやっ! それ以上は恥ずかしくて言えないわ!! とととにかく! そういった思いを未来ある生徒たちに教えてあげるべきなのよ!!」 なんか早口で怖い。どうしたマチルダ。というかこの課題はもしや、マチルダの大いなる想いにより組まれたプログラムではないだろうか。 ……というか何を教わるの。一方的で重い愛情かな? もしかして受ける課題を間違えた? さておいて、ニキータはその言葉を聞いて優しく微笑む。 「そこまで生徒のことを想っているんだな。分かったよ」 マチルダが想っているのはきっとほとんどがニキータのことだけですよ。まあいいや。いずれにせよ、マチルダの話す傭兵と観光案内業についてしっかりと学んでおく必要はありそうだ。 「では皆さん、ちゃんとわたしたちのデー……案内をよろしく頼みますね。案内のルートには魔物がいたり、盗賊も出たりします。わたしたちがいるからと言って油断は大敵ですよ」 ついに本音を口にしかけたマチルダの方が油断している気もする。しかし、彼女が口にすることももっともで、前述の通り、橋を抜けてから街に着くまでには強力な魔物が潜んでいる可能性がある。 「この間も『ゴブリン』が観光客を襲って大変だったわ」 マチルダが話すように細心の注意が必要だ。他にも草原や平野に出没しうる魔物が出るらしい。 「橋を渡ってから草原を抜け、キャンプで一夜を明かしてから今度は少し山地の麓を歩いていくことになるわ。足はこちらから馬車を手配するから安心してね」 もう準備は完璧らしい。流石は観光案内業の長と言うべきか。 さぁ、色々な意味で波乱が起きそうなこの課題。生徒諸君はいかようにして臨むのであろうか。
【ゆうドラ】I・M・D
pnkjynp GM
ジャンル
イベント
タイプ
EX
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2020-02-22
予約期間
開始 2020-02-23 00:00
締切 2020-02-24 23:59
出発日
2020-02-28
完成予定
2020-03-09
参加人数
8 / 8
●学校と言えば怪談。基地と言えば秘密の地下室。 空が割れ、突然異世界からの来訪者が訪れてからというもの、不思議な出来事は絶えない。 突然空から女の子が! ……ではなく、謎の固形物が降り注いだり、ナイトメアと呼ばれる不思議生物が現れることも幾度かあった。 そうした漂流物や消滅する前の残骸を回収し研究するのが、ここ最近の【ラビーリャ・シェムエリヤ】の役目であった。 『IMD……イマジナリードライブ?』 未知の技術に触れる度、彼女の中で学園長代理と話した会話が反芻される。 『そう。細分化すれば様々な分類があるが、一義的に纏めるならば『エネルギーを増幅、操作するための装置』の総称だ』 「IMD……IMD……いいかげんにメメたんどうにかしないと?」 未知との接触にラビーリャが混乱し始めた頃、彼女のいた部屋に他の学園職員が飛び込んで来る。 「ラビーリャさん! 大変です! 学園の地下から怨念みたいな変な声が!?」 「……声?」 「そうなんです! イマジナリーなんたらがどうとかって……」 「……ん。……分かりました。今、いきます」 そうして数十分。 道中で出くわした学園生達を引き連れて、ラビーリャが辿り着いたのは、第一校舎の地下に広がる、不思議な空間。 「ここは……地下ダンジョン。学園内に幾つかあるって、メメたん先生が言ってました」 ある学園生の質問に、彼女が答える。 「確かここには、不思議な『きょうだい』が置いてあるって……」 ダンジョンの入口まで辿りつき、設置されている看板を見つめラビーリャが呟く。 その看板には『☆メメたん☆のおもちゃ箱』という名前らしき巨大な文字と、その下に注意書きが書いてあった。 『侵入する者、クリアするまで脱出させないぞ☆ 敗北した者はこのダンジョンの肥やしとなるのだ! そのかわり、1人でも脱出できた者が現れれば、全員を解放してやるぞ~♪』 なんだこの不吉な文章は。 一行の中に少々悪寒が漂い始めるが、ラビーリャはそれを解しているのかいないのか、看板横に設置されていた『ダンジョン☆世界地図』と書かれた羊皮紙を広げる。 「……仲間と共にダンジョンを攻略して俺達の機体を手に入れよう……?」 悪寒が加速する。 だが、それに突っ込むよりも先に、その時不思議な事が起こった! 『……。生……学園……生……学園生の諸君……。私だ……イ……ッシャー……。は……今……ダンジョ……ッシャー……皆……クリア……救出…………』 突如として頭の中に響く声! 普通に鬱陶しい。 だが、ここでそれを捨て置く手厳しい勇者は少ないはずだ。 メメルの残した謎のダンジョン、そこに待ち受ける真実とは!? ---文字数不足のためここから解説になります--- グロリアスドライヴ様で好評運用中の『ハントシステム』をモチーフにしたエピソードです。(ゆうがく用のアレンジが入っています) 普段以上にシステマティックに判定しますが、その分コラボ限定なカオス空間でもあるので、自分でもどうなるか分かりません。 ゆうがくの戦闘システムに触れてもらう意図もありますので、少々メタ的な表現が生じます。予めご了承下さい。 今回のみ、通常のエピソードルールの他に下記のルールで判定します。 (競合時は下記ルール優先) <ハントシステムとは?> どのマス目に移動するかだけを入力するだけで結果が判定されるwebゲームです。 ですので、皆様はどのマスに移動するかを考えれば最低限OKです。 但し、今回は通常のエピソードコンテンツとして扱うので、プラン部分も判定に加味されます。 (なので、厳密に数値だけを用いた判定にはなりません) プランで移動ルートを指定する際には、「↓→→↑」などでも、「下に1マス、その後右に2マス」などでも構いません。 但し、移動した結果マスのイベントで戻される場合等を除いて、一度通った道を戻ることは基本的にはできません。 <マップ> 以下参照(8×8)。 普通の土と岩壁に囲まれた学園の地下ダンジョンです。 多少地面を砕いたりはできますがどんなに激しく戦っても崩壊はしません。 ※特殊な技術により、マンティスなどの攻撃を実際に体感できる形になります。 ABCDEFGH 1□□□□□□□□ 2□□□□□□□□ 3■□□□□□□□ 4□□□□□□□□ 5□□□□□□□□ 6□□□□□□□□ 7□□□□□□□□ 8□□□□□□□□ 場所は『縦列の横列』で表わします。 例)「A3」は「左から1行目の上から3番目」のマスを示します。 (黒い四角の部分) <目標> マップ上にいる敵を全滅させる or GOALに誰か1人が辿りつければ成功。 両方達成で大成功。 <ルール> ●移動できる距離は、キャラクターの『移動速度×1』マス ※移動速度=「自分のすばやさ×0.2」(小数切り捨て) ●移動順番は特に規定なし。指定があればそれに乗っ取って、指定がなければアドリブで描写します。 敵NPCは移動しません。 ●1つのマスの上に同時に存在できるPCは3名まで。 敵NPC、障害物のマスにはPC存在不可。 同じマス上のPCは、同時に行動を行う事ができます。 敵NPCマスは、撃破後通過可能。 ●敵との戦闘は、射程内に入った時点で可能。 例) 射程0、1=隣接マスにいる場合のみ 射程2 =対象との間に1マス空きがあっても攻撃可能。 (縦横斜め問わず) 射程を満たしていれば、射程以下の距離でも攻撃可能。 ●PC側が攻撃を行う意志を示した時点で戦闘判定開始。 ※敵のすばやさが勝っていた場合、敵の攻撃から始まる場合あり。 ※1ターンで強制的に先攻と後攻が入れ替わる。 ※戦闘は1ラウンドで一度終了。その後再度戦闘をするかどうかはPCの選択となる。 →たいりょく○割以下は撤退。などプランで指定して下さい。 指定なければこちらでアドリブにて対応致します。 ●イベントマスは通過時に効果発生。 各PC1回のみ通過可能。 (PC1がイベントマス1を踏んだ場合、PC1はもう踏めないが、PC2がイベントマス1を踏む事は可能) ●その他プランで意図が掴みきれなかった場合や、上記ルールに反する指定があった場合は、GM判断で各種行動に変更を加えます。 <初期配置> 【PC】 登場人物欄左上を1番とし、右上を2番、左列上から2番目を3番……として番号を振っていきます。 ・PC1:A1 ・PC2:B7 ・PC3:G6 ・PC4:H4 ・PC5:D3 ・PC6:D8 ・PC7:B4 ・PC8:E6 【敵】 下記のステータスを元に判定します。 敵側の攻撃は、技能内どれかで固定です。 プラン値(結果をある程度選べる乱数)によっては、このステータス状態ではないところからスタートする場合があります。 ・絶対無双メメたん☆ゴーレム(C4) HP:450 つよさ:30 がんじょう:30 かしこさ:30 がまん:30 すばやさ:20 きよう:20 属性:雷 ※物理攻撃は無属性 技能:メメットパンチ(射程3、技能値たいりょく25、物理攻撃) メメルンビーム(射程10、技能値たいりょく15、魔法攻撃) けんじゃのいちげき(射程2、技能値たいりょく40、複合攻撃) ・モッタイナイオバケver干しブドウ(B2、C7、G3) HP:30 つよさ:5 がんじょう:10 かしこさ:5 がまん:40 すばやさ:30 きよう:5 属性:風(B2)闇(C7)光(G3) ※物理攻撃は無属性 技能:体当たり(射程1、技能値たいりょく5、物理攻撃) ブルーベリースプラッシュ(射程2、技能値きりょく10、魔法攻撃)
薬師は悪夢の密林に
機百 GM
ジャンル
冒険
タイプ
ショート
難易度
難しい
報酬
多い
公開日
2020-02-27
予約期間
開始 2020-02-28 00:00
締切 2020-02-29 23:59
出発日
2020-03-07
完成予定
2020-03-17
参加人数
8 / 8
●薬師の課題 「はいはーいみんなー聞いて聞いてー課題ですよー。話だけでもー聞いてってほしいんだよー?」 ある日の放課後に生徒たちは退室前に【パールラミタ・クルパー】に呼びかけられた。受けるかどうかは別にして、話だけでも聞いてみることにしよう。 「大陸の北東にーエルメラルダという村があるのはーみんな知っていると思うんだねー? そこでーここ暫くー不思議なことが起きているんだよー。それはねー住民たちがほぼ毎日ー悪夢に悩まされているんだよー。内容は色々だけど―、起きた時にーすごく衰弱しちゃうくらい深刻なものらしいよー? しかもーお天道様が高い間にもー強い眠気に襲われることがあるらしくてー変な話だねー?」 確かにそれは奇妙な事態である。エルメラルダで何が起きているのだろうか。そしてこれに対して自分たちに何をしてほしいのだろうか。 「そこでー課題だよー。エルメラルダにーまずはこの練香をー村に届けてほしいんだー。これはー夢見香を参考にボクが調合した魔よけの練香でー、強くない魔物とー外因性の悪夢を退ける力があるんだよー。これを香炉に入れてー特定の位置に置いてー香りの魔法陣を村全体に築いてほしいんだねー」 香りの魔法陣を築く? 言葉ではどうにも今一つイメージが湧かないが、そうするとどうなるのだろうか? 「この練香ねー。本当なら各家に1個ずつ配りたいんだけどー材料が足りないしー香炉も必要になるからーそれだけの数を持っていくとなると相当大掛かりな荷物になっちゃうんだねー。だから練香を置いてとってもおっきな魔法陣を描いてから焚くことでー香りが魔法陣によって増幅されてーエルメラルダの村全体にいきわたるようになるんだよー」 どうやら、大がかりな儀式を用いてエルメラルダの人々から悪夢から清めるということらしい。だがそれ程の事をするとなると、高度な技術や知識が必要になるのではないだろうか? 「そうだねー。だからーエルメラルダに【ノーチェ・ヴェルディ】っていうーボクの弟子がいるからー頼ってねー? 後ねー課題に参加する生徒はーあらかじめ練香の香りを浴びていってもらうよー。そうすればー1日はーあっちで悪夢を見たりー急に眠たくなることはなくなるはずだからー安心してー」 事前準備に関しては把握したが、パールラミタの弟子であるノーチェの姿は簡単に思い浮かばなかった。子栗鼠を想起するような童女である彼女に師事する光景は、どう想像してもコントでしかなかったからだ。まあ何であれ、協力者がいてくれるのは頼もしい。 「もしー上手くやってのけられたらー先生がみんなをなでなでしてーいっぱいぎゅーってしてあげるんだよー」 いえ、それは遠慮しておきます。 とりあえずはそんなに難しいことではなさそうだった。事前の準備はほぼ万端だし、戦闘もないだろう。 今はそう、思っていた。 ●サフィロの密林 穏やかな寒風が時と共に流れ、馬車に乗った一行はやがてエルメラルダに到着した。 ここは青々とした大森林に囲まれ、更に大きな湖に面した村で、ローレライ・エリアル・ルネサンスが多く住まうという、自然豊かにしてのどかさと安寧に満ちた場所のはずだった。 だが、住人達の様子は明らかにおかしかった。目の下に隈を作る者、力なくフラフラと歩く者、それどころか道の真ん中で伏せって眠る者までいる始末だった。悪夢と睡魔に悩まされているとは聞いていたが、確かにその光景は異常と言う他なかった。 ひとまずはパールラミタの弟子のノーチェに会おう。そう思い、ノーチェの家を尋ねると、酷く切羽詰まった様子のローレライの女性が飛び出してきた。 「学園の生徒さんですか!? どうか助けてください、先生が……!!」 唐突な事態に思わず目をむいたが、ローレライの女性はすぐにフラフラとして倒れてしまい、すぐに寝息を立ててしまった。だがその表情は引きつり、安らかな夢を見ているようには見えなかった。 奇怪な状況が連続して狼狽えそうになるが、ひとまずは彼女をノーチェの家で休ませることにした。 どうやら、このローレライの女性はノーチェの助手らしい。 彼女をベッドに休ませて暫くすると、彼女は目を覚ますと同時に上体を勢い良く起こした。が、すぐにめまいを起こして布団に突っ伏してしまう。無理をしないようにと言い聞かせ、徐々に気力を取り戻した彼女から話を聞いた。 「先生は悪夢で衰弱する人々を救うため、3日前にサフィロの密林へ薬草を採取に出かけられました。そこは片道で2時間ほどで着く場所なのです。ですが先生はそれから消息を絶ってしまわれたのです」 そのノーチェの行動は勇敢と取るべきか無謀と取るべきか。だが、ノーチェが何の策もなく出ていったのだろうか? 「この異常事態ですから、先生はあらゆる事態を想定してあらゆる道具や薬に装備も入念に選び、重装備をして行かれました。ですがそれでも帰ってこないのです……あぁ先生、どうか無事でいてください」 ノーチェの身に何があったのだろうか? 村で起きている異常事態と関係あるのだろうか? 少なくとも今は皆目見当もつかない。 その時、ふとドアからノックが聞こえてきた。来客かと思う間もなく、そのまま誰かが無遠慮に入ってきた。 「……先客?」 背の低い山猫のルネサンスの少女だった。だが、大男でも扱えないような巨大な弩を肩に担ぐその姿は、唯の少女ではないことを物語っている。更に、少女が纏う黒緑色の戦闘服の左の袖に巻いてある青いリボンは学園の階級章だったはずだ。 ノーチェの助手は少女の姿を見てハッとした。 「ルクスちゃんなの!? お願い、あなたも先生を助けて!」 「待って、話が見えない」 【ルクス・イリニ・ダヌシュ】は助手に詰め寄られて困惑していた。どうやら二人は互いに知り合いのようだが、今は余計な言葉を挟まず静観した方がよさそうだ。 やがてノーチェの助手はルクスにも状況を説明したが、ルクスは目を瞑って俯き、考え込んでしまった。 「困った。ルクスにも課題があるのに」 「そんな……!」 ルクスがエルメラルダを訪れた理由はそれだという。ノーチェの家を訪れたのは、知り合いとしてのノーチェへの軽い挨拶だったらしい。然し、ルクスは明らかに葛藤していた。自らの課題を果たすべきか、或いはノーチェを助けるべきか。 ところでルクスの課題とは何なのだろうか? とりあえず聞いてみることにした。 「仲間と唯の魔物退治。サフィロの密林までの道で2種類遭遇したって聞いた」 それはどういう魔物なのだろうか。 「片方は大きい鳥に腕や足を石にされたらしいから、多分コカトリス。でも数が多い。もう片方は、随分気が立った光る神様っぽいのが1体で……名前何だったっけ……ブレなんちゃら?」 コカトリスは単体なら新入生でも渡り合えるが、多いとなるとその限りではない。後者は漠然とした嫌な予感がする。 再び悩んでいるルクスを後目に、ノーチェの助手は再びこちらに深々と頭を下げてきた。 「このような事態にあなたたちを巻き込んでしまうことをお許しください……こちらとしても万全な準備を致しますので、どうか、先生を助けてください!」 奇妙なことになったが、何にしてもノーチェを頼らないことには練香の魔法陣を設置できず、自分たちも課題を達成することができない。だが不確定な要素が多いため、迂闊な行動は危険が伴うのも確かだ。 さて、思わぬ難題にぶつかってしまったが、どうしたものだろうか?
【心愛】恋するライオン
白兎 GM
ジャンル
イベント
タイプ
EX
難易度
とても簡単
報酬
ほんの少し
公開日
2020-03-01
予約期間
開始 2020-03-02 00:00
締切 2020-03-03 23:59
出発日
2020-03-09
完成予定
2020-03-19
参加人数
7 / 8
バレンタインデー。 それは、甘く優しい思いが、大陸全体を包み込むチョコレート色の季節。 もちろんそれはフトゥールム・スクエアも例外ではなく、2月を過ぎ3月に入った今でも、そこかしこでチョコレートの話題が聞こえてくる。 『気になるあの人にチョコはあげたの?』『今年は1つくらいは貰えたか?』 そんな浮足立った世間話の中を歩いていた『きみ』は、ふと聞き覚えのある声に顔を向ける。 「話は分かったのですが、しかしですね……」 どこか困ったような声音で誰かと話しているのは、【シトリ・イエライ】……この学園にて上級魔法を担当している、泡麗族の男性教師だった。 彼は、話し相手に目線を合わせるよう身を屈めながら、やはり困ったような顔をしていて。 どうしたのだろうと思った『きみ』が静かな足取りで近づくと、シトリも『きみ』に気付いたようだ、次第に表情を緩め、微笑み、 「ちょうど良い所に。どうか頼まれてはくれませんか」 突然の言葉に、『きみ』は首を傾げる。すると不意に、むにゅっとした感覚が、下のほうから――。 「お願いします~~~後生ですから~~~」 顔を向ければ、二つの後ろ足で立ち上がった猫が『きみ』の脚にへばりついていた。むにゅむにゅ。力をこめられるたびに、肉球の感触を感じる。 あぁ、『ケットシー』だと、『きみ』は理解する。 人語を解し、人間のように二足歩行をする大型の猫は、祖流族と妖精族の特性を真似て作られた魔物であるという。 時に悪戯をして困らせ、また時に猫のフリをして人間に飼われていることもあるというケットシーは、比較的悪意のない魔物であり、 「わたくし、チョコを作ってみたいんです~~~」 こんなふうに、唐突なお願いを持ってくる存在でもある。 思わず苦笑した『きみ』は、隣で似たような表情をしているシトリに顔を向ける。彼は一度頷いてから、 「彼は【レオン】と名乗るケットシーです。どうやらバレンタインの話を聞き、自分を猫として飼ってくれている女性にチョコを送りたいらしく……」 「お嬢様に感謝の気持ちを伝えたいのです~~~わたくし、ステラ様に助けて頂いたのです~~~」 聞けば、レオンはまだ子猫(というのかわからないが、とにかく大人になる前に)の頃、【ステラ】に命を助けて貰い、飼い猫となったらしい。 お腹が空いて蹲っていた時、馬車に轢かれそうになったところをステラに助けて貰ったのだそうだ。 「ですが、そのせいでお嬢様は視力を奪われ、脚も不自由になってしまいました~……」 しょぼん。両耳を下げるレオンは、心から哀しんでいるようだった。余程主人のことを大切に思っているらしい。 思わず頭を撫でてやれば、レオンは嬉しそうに喉を鳴らしながら、 「それからわたくしは、お嬢様の猫として過ごしているのですが~、『猫』ではお嬢様に感謝を伝えられず~」 なるほど、と『きみ』は思う。つまり、本当は言葉を話せる身でありながら、伝えられないもどかしさが、彼の中にずっとあったのだろう。 そんな時、バレンタインの話を聞いて、居ても経ってもいられなくなってしまった。 「ですが、どうやってお嬢様にお渡しするつもりなのです? 仮にチョコレートを作れたとして、あなたは彼女の前では『猫』なのでしょう?」 「それは大丈夫です~。お嬢様は毎日、車いすで公園にお散歩するのが日課でして~」 そこでわたくしとお話をしているのです~。 続く言葉に、ん? と『きみ』は思う。お嬢様と、お話しているって? 「はい~。公園で偶然毎日出会うお友達作戦をしているのです~」 「あぁ、なるほど……ステラさんは目が見えないから、声だけなら正体がわからない、ということですね?」 「はい~。なので、今回は『特別なお友達にチョコをあげる』という流れで、その時お嬢様にお渡ししたいのです~」 それは、『優しい嘘』だった。伝えたい、チョコをあげたい、けれど、真実は伝えられない。 どこか抜けている様子のレオンではあるが、どうすれば大好きなお嬢様にチョコを渡せるか、たくさん考えたのかもしれない。 だからだろうか、『きみ』の口から、『どんなチョコが良いの?』という言葉が零れた。 見るからに瞳を輝かせたレオンは、『きみ』の足にへばりつくのをやめ、ふわふわの両前足を大きく広げながら、 「お嬢様が幸せになれるようなものがいいです~! 数はあればあるほど、嬉しいです~!」 ならばやはり、美味しいものが良いだろう。視覚を奪われているようだから、味で勝負、ということだ。 「それなら、カカオポッドを使ったものが良いでしょう。彼等はこの時期、色々な場所に現れますし、チョコの材料になる板チョコを落としますから」 考え始めた『きみ』に、シトリが手助けする。確かに、カカオポッドを使えばより美味しいチョコレートが作れるだろう。 悪さをしていたわけでもないので多少申し訳ない気持ちはあるが、一定以上砕き倒した後に、何故か包装された板チョコが手に入る謎生物だ。 完全に命を奪わずとも、チョコレートの材料は手に入るだろう。 「しかし、やはり猫の手で料理をするのは……チョコに毛が入ってしまうかもしれませんし……」 「それなら、作るのは諦めます~~~お渡しできるだけでも、良いんです~~~どうか、どうか~~~」 お願いします~~~。涙目で再び『きみ』の脚にへばりつくレオンに、『きみ』は微笑みかける。 甘い甘いチョコレート。それはいわゆる食事とは違い、栄養素に関わらない……食べなくても生きていけるという、いわば『嗜好品』だ。 けれど、だからこそ。この世に存在する理由は、『あなたに幸せになって欲しい』という思いの、優しさの結晶。 ならば、そんな思いを守るのだって、『ゆうしゃ』のお仕事の一つだと言えるだろう。 だから『きみ』は頷いた。それなら一緒にチョコを作ろうと、提案しながら。
【心愛】お返しの準備は出来ていますか?
夜月天音 GM
ジャンル
イベント
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
少し
公開日
2020-02-27
予約期間
開始 2020-02-28 00:00
締切 2020-02-29 23:59
出発日
2020-03-06
完成予定
2020-03-16
参加人数
2 / 8
放課後、魔法学園フトゥールム・スクエア、第一校舎『フトゥールム・パレス』の調理室前。 「そこの学生さん、ホワイトデーが近いがお返しの準備は出来てるか? まだなら、僕ら料理研究クラブに任せてくれ!」 17歳のヒューマンの男子部員が、楽しそうに行き交う学生達に話し掛けていた。 「お返しかー」 「バレンタインにチョコ貰ったからなぁ。何かしないとだよな」 「金欠だから、丁度いいかも」 興味を持ったらしい学生達が次々と足を止めた。 「チョコ、クッキー、ケーキ、パイ、希望のお菓子を作るし、一緒に作るのもありだ! しかも、作れるお菓子は普通に美味しい物から魔法入りの物まで何でもありだ! 切り口がキラキラ光るケーキとか」 もっと興味を持って欲しいと、男子部員はあれこれとお菓子の例を挙げた。 「噛み音が動物の鳴き声のクッキーとか、攻撃的なパイとか相手を驚かせるようなお菓子も作れるが、怪我や失敗してもチョコモンスターにならないように安全対策はしてあるから心配しなくていい。だけど、食べ物を粗末にするのは無しで頼む!」 続けて大事な注意事項を伝えた。 「お菓子は自分で食べるもあり、友人、恋人、家族にあげるのもありだ。美味しく食べてくれたらそれで十分だ!」 男子部員は笑顔で言って、お菓子作りの説明を終わりにした。 「さあ、どんなお菓子が希望だ?」 そして、改めて興味を向けてくれた学生達に訊ねた。
殺人料理店
瀧音 静 GM
ジャンル
ハートフル
タイプ
ショート
難易度
とても簡単
報酬
少し
公開日
2020-02-25
予約期間
開始 2020-02-26 00:00
締切 2020-02-27 23:59
出発日
2020-03-03
完成予定
2020-03-13
参加人数
4 / 8
アルチェの地、メルカ市場。 巨大な魚市場であるそこでは、今日も大きな声で競りが行われており。 そんな活気溢れる場内から少し……いえ、わりと――かなーり離れた所に、ポツンと一軒、食事処がありました。 離れすぎて客足などほとんど無く。そして、ごく稀に来たお客さんも、この店の料理を食べると――いきなり倒れてしまうらしく。 ついたあだ名は呪いの食事処。とすると、怖い物見たさで足を運ぶ人や、毒には強い、と自信満々の生徒達が何人も挑戦しますが、結果は返り討ち。 全員気を失って、店主達に謝られながら、帰る場所へと搬送されます。 帰る場所であり、還る場所ではないのであしからず。 そんな事が起こり続ければ、ついには店主は頭を悩ませ、店を閉める事になりました。 ▼ そして、丁度その頃、『フトゥールム・スクエア』の掲示物展示場所には、一つの記事が載っていた。 その記事は――、 『呪いの食事処 その真実』 という見出しから始まり、 『最初に申し上げておくが、あの店の料理に毒などは入っていない。むしろあらゆる研究が積み重ねられた英知の結晶である』 との文に繋がり、最終的に、 『あの店で出される人を倒しまくる料理の正体、それは――――脳の理解を超えるほどの美味しさで口を、舌を、喉を、胃を。通る場所全てを屈服させてくる暴力的な美味さが原因である』 と締めくくられる。 そして最後に、 『残念な事にあの店の店主は勘違いから店を畳もうとしている。……この学園にいる味覚に、胃袋に自信を持つ諸君! 誰も為し得ていない、店主に『美味しい』という感想を届ける大役を、誰か担って貰えないだろうか』 という悲痛な願いが綴られていた。 時を同じくして、 「明日で店じまい。短かったが、料理は楽しかったよ。けど、食べた人ぶっ倒してりゃあ、こうなるのも必然さ。……どうせ最後なんだ。食材を残してもしょうがねぇ。今日は儲けを考えねぇで、来た客全員に大盤振る舞いといくぜ!」 そう意気込んだ店主は、若干の寂しさを背中に漂わせながら、一つの依頼を出した。 もしかしたら、倒れるのを承知で客が大勢来るかもしれない。 そんな淡い期待を胸に秘めた店主は、店の手伝いを募集する依頼を、学園へと、出すのだった。
【ゆうドラ】おいでませ魔法学園!
pnkjynp GM
ジャンル
イベント
タイプ
EX
難易度
とても簡単
報酬
ほんの少し
公開日
2020-02-17
予約期間
開始 2020-02-18 00:00
締切 2020-02-19 23:59
出発日
2020-02-23
完成予定
2020-03-04
参加人数
8 / 8
●グランドプロローグ(おまとめサイズ版) 世界に広がる無限の魔法。 世界を照らす勇者の伝説。 それらが深く根付いた、不思議な世界『ラコン・パルション』。 この場所で人々は精霊が授ける魔法の力を駆使しながら、かつて世界征服を試みた『魔王』の残党たる魔物の脅威と戦っていた。 それはいわば、剣と魔法のファンタジーな世界。 そんな世界には、『魔法学園フトゥールム・スクエア』という施設が存在する。 そこでは明日の勇者を目指し、魔法を始めとした様々な物事を学びながら、沢山の人々が学生生活を謳歌しているのだ。 僕は将来、この世界であんな風に生きていきたい。 私は今、この世界でこんな事を成し遂げてみせる。 俺は絶対、この世界であったあの過去を克服するんだ! 様々な想い。個性豊かな精霊に愛されし種族達。 色とりどりの個性が混じり合って、今日も魔法学園の新しい1日が刻まれていく。 君達は、この世界で何を為すのだろうか。 君達は、この世界に何を望むのだろうか。 どんな形であったとしても。 世界は君の存在を歓迎する。 君がこの世界の勇者である限り。 さぁ、一緒に貴方だけの『ゆうしゃの物語』を始めよう! ●前回の「ゆうしゃのがっこ~!」は! 前回とは勇者暦2019年12月24日から25日の明け方までのお話。 時は聖夜。 学園生達は、時を司る精霊『トリミニ』達と出会い、各々の思う形で過去、今、未来に思いを馳せた。 その結果、弱まっていた精霊達は無事に力を取り戻すことに成功。 力を取り戻した未来を司るトリミニ【デェル】の力により、『ゆうしゃのがっこ~!』の世界に、不思議な出来事が起きた。 空が割れたのだ。 そこから出現するこの世の原理原則を超えた存在。 そしていつの間にか訪れていた不思議なあの人と純金像。 敵か、味方か? いや両方だ! 集え、願いが紡ぎし希有な縁の下へ! ――この交わりに参加する意志を持ったとき空想(IF)が実現する―― ●学園長(仮)と素敵な仲間達 まさに怒濤の展開を迎えた12月25日の正午。 魔法学園第一校舎『フトゥールム・パレス』内、空き教室にて。 そこに無作為に集められた学園生達がいた。 入学したばかりの者。長らく学園に住み着いている者。 既にゆうしゃとして名を上げ始めている者から、背中に羽が生えた可愛いパンダのペットまで。 種族性別お構いなしのこの状況に、集まった面々の大半は戸惑いを隠せないでいた。 そのまま暫く待っていると、唐突に教室の戸が開け放たれる。 「遅くなってすまない」 それだけ告げると、カツカツとあまり見慣れない靴の音を立てながら、その男性は真っ直ぐ教卓へと向かっていく。 「あれ、あんな独特な雰囲気のイケてるおじさん系男子いたっけ?」 「さぁ? でもうちの制服着てるし……。ちょっとパツパツだけど」 「そういえば! 私、あの人の顔と同じ純金像。購買部で売ってる人みかけたわ」 学園生達がざわつく中、目標地点に到達した彼は、その磨き上げられた白い歯を見せつけながらこう言った。 「純白の閃光(ホワイトニング・フィッシャー)!」 「うおわ!?」 突然の大きな声に、一部の生徒達はイスから転げ落ちてしまう。 だが落ち着いて見てほしい。 そこにあるのは、輝かしい歯がもたらす光の反射だけだ。 「突然驚かせてしまってすまない。だが、事態はこのサプライズの1000倍は下らない勢いで唐突に進行している」 そういうと、彼は黒板に何やら絵を描き始めた。 どうやら、先日出現した空の割れ目を描写しているらしい。 迷いのない筆は中々の出来映えだ。 仮に自分の像を造りたくなった時には、他人にイメージを間違いなく伝えられるデッサン力だろう。 「ご存じの通り、先日上空に開いた巨大な空の割れ目がある。そうだな、ここは分かりやすく呼称を『ゲート』としておこう」 書く手を止める事無く、彼は淡々と説明を続けていく。 「ゲートからは、『ナイトメア』の出現が確認されている。君達の認識レベルを超える無礼を承知で言うならば、奴らは異世界より出現する謎の侵略生命体だ」 ないとめあ? いせかい? 不思議な言葉に困惑を浮かべる者も多かったが、『侵略』という言葉を聞いて、一部の者の態度は明らかに変化した。 「分かりやすく表現をリストラクチャーするならば、『招かれざる客』。だが、客人は彼らだけではない」 教師風の男性はチョークを置くと、振り返り学園生達を一瞥する。 「いい目をしているな。君たちなら、この程度の認識阻害など苦でないだろう。というわけで、転校生を紹介する。全員入りたまえ」 男の指示に従うようにして、女性が3人と不思議な生物が1匹。 教卓の前で一列に整列する。 「紹介しよう。向かって左側から、SALF(サルフ)でオペレーターを務めている【リリ・リヴァイヴァル】君」 「リリと呼んでください。今の状況を端的に分析するならば、異世界転移なのです。折角の食事時を邪魔されたのは心外ですが、アニメみたいな展開を経験できたので、今回は許してあげます」 ツインテールとメガネが特徴的な少女が、きっちりとした角度で一礼する。 「次は、ライセンサーの養成校に所属しつつもその報道手腕は一人前のそれを超えている、【中山・寧々美(なかやま・ねねみ)】君」 「宜しくね! あたし、こういう中世ファンタジー風なのも好きだけど、学校っていうのがなんか燃えるんだよね! 皆の知ってること、たくさん教えてほしいかな!」 次に紹介された少女は元気が溢れているというのが適切だろう。 この人当たりの良さが、他者に彼女と話したいと思わせるのかもしれない。 「次だ。SALFに所属するライセンサー、【三保・カンナ(みほ・かんな)】君。一流のゼルグナイトと聞いている」 「そんな、私なんてまだまだ……! あっ、え、えっと宜しくね。ナイトメアの脅威からは、私が皆を護ってみせるから!」 「そして、この兎にも似た姿で浮遊しているのは、【ハナビ】君だ」 「初めましてです! ハナビはハナビなのですっ! これからどんな冒険ができるかワクワクなのです!」 可愛らしい声でふわふわと上下する様に、一部の生徒から黄色い歓声が上がった。 「紹介が遅くなったが、最後は私【レイ・フィッシャー】だ。入学して早々ではあるが、学園長【メメ・メメル】殿からの依頼により、学園長代理の任に着くこととなった。宜しく頼む」 突然の学園長変更宣言。 そして押し寄せる美少女+激カワマスコット。 押し寄せる情報の波に攫われていく者は後を絶たない状況となっていた。 「君達の気持ちは既に把握している。だが、我々もこの世界について知らない事が多い。どうだろう? 互いの利益にコミットするために、まずは情報交換から始めようじゃないか」 こうして、風雲急を告げる事態が勃発した。 今回君達に課されるミッションは、この世界とあちらの世界の情報を繋ぐ事だ。 検討を祈る。
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