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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
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秋のアルマレス山を楽しもう
鞠りん GM
ジャンル
冒険
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
少し
公開日
2019-09-30
予約期間
開始 2019-10-01 00:00
締切 2019-10-02 23:59
出発日
2019-10-08
完成予定
2019-10-18
参加人数
3 / 8
● ――知っているかい。 秋の『アルマレス山』は、赤く色づく紅葉が見られ、幻と呼ばれるキノコが取れるらしいと。 そのキノコの香りはカレーに似ており、味は高級キノコを超えるとか。 一度は食してみたいという観光客や冒険者は後をたたないが、見つけられるのは一握りの者だけ。 君たちも、この幸運をつかんでみないか。 この季節の『トロメイア』という街は、アルマレス山への巡礼者や、紅葉狩りにと大にぎわい。 『八色の街・トロメイア』と呼ばれるとおり、街の中心である『オクトー広場』から、八本の大通が放射線状に広がって、八種族それぞれが特色を活かして生活しているので『八色通り』とも呼ばれ、各種族ごとの持ち味もまた観光客の目を楽しませている。 「この時期は幻の『コウノダケ』さ! 味も香りも一級品、だが見つけるのは困難と来たぁー!」 「そりゃ食ってみたいものだな」 八色通りにある宿屋で、キノコの話題に盛り上がる観光客たち。 彼らもまた、アルマレス山へ紅葉狩りにやって来た。 その途中で聞いたのが、幻のキノコ『コウノダケ』の存在。 「芳ばしい香りと、高級キノコ以上の味。食べてみたいねぇー」 「見つからないのだろう?」 「見つからん理由は、一年で数日しか生えていないからだ。運が良ければ見つかる。後は少し湿った場所を探すのがポイントらしい」 アルマレス山は、食材も木材も豊富で綺麗な山。 泉や滝もあり、観光客には打ってつけ……なのだが、問題は麓を過ぎた辺りから、ゴブリンが出現していること。 なので、巡礼者や観光客は護衛を雇い山へと登る。 腕に覚えのある冒険者は、単独や仲間を作って山に入るが、中にはゴブリンにやられて、怪我を負い下山して来る者も居るから困ったものだ。 ● 噂というものは早いもので、フトゥールム・スクエアにも、幻のキノコの噂は毎年届いている。 「今年こそは行ってみたいな」 「それは紅葉狩り? それともキノコ狩り?」 「もちろんどちらもさ!」 授業の間の少しの時間に、噂を語る先輩たち。 「でもね、中腹は密林よ」 先輩が言うとおり、アルマレス山の中腹は軽く木々が生い茂る密林地帯がある。 迷路とまでは言わないが、初めて山に入る者は、道に迷ってしまう可能性があるというわけだ。 「装備さえしっかりしていれば行けるさ。後は太陽の向きを把握する。ゆうしゃには当然のことだろう?」 「新入生はどうかしら? 迷わないかしら? ちゃんと教えたほうがいいわよ」 「そーだなぁー。よし、俺の装備品を貸してやろうじゃないか!」 「なにを貸すのよ?」 「ん? 方位磁針」 「それだけー!?」 方角は一番大切だが、果たしてそれだけで突破出来るのだろうか? 「じゃあ地図もつける、それでいいだろ」 「そうね。方角さえ間違わなければ魔物は弱いし、紅葉狩りでも、キノコ狩りでも楽しめるわ」 「俺は普通のデートスポットだと思っていた」 「言いすぎよ、もうっ!」 そりゃ毎日『ゆうしゃ』になるための授業を受けているのだから、ゴブリン程度など敵にすらならないだろう。 それがまたフトゥールム・スクエアの学生の一部でもあるけれど。 「紅葉を見ながら、街への貢献ってのも、学生らしくて良いだろ?」 「街のみなさんに、幻のキノコを採って来てあげるというのもあるわ」 「アルマレス山だからな。キノコの他にも、秋の味覚は沢山あるんじゃないか?」 「そうねえー。栗にアケビ、芋なんかもありそうね」 ここで、『そうそう』と上級生は付け足しをする。 「山ブドウもね。干ブドウにすると……」 「おいおい、怖いことを言うなよ」 山の幸に思いを巡らす上級生。 でも干ブドウにすると、コルネ先生が飛んで来る。 ――しかも鬼の形相で来るだろう。 「まぁあれだ。東に行けば山頂、西に戻ればトロメイアの街! それさえ忘れなければ迷うことはないさ」 「方位磁針と地図が、役にたてばいいね」 「俺は武器を持って、ゴブリン狩りだけどな」 「私は幻のキノコを探すわよ」 どうやら上級生が、方位磁針と地図を貸してくれるらしい。 アルマレス山の紅葉を見ながら、キノコ狩り? それともゴブリン狩り? あなたはどうアルマレス山を楽しむのだろうか。 遊び尽くす方法は、あなたたち次第だ。
どこまでも高く積み上がる皿
瀧音 静 GM
ジャンル
コメディ
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
少し
公開日
2019-10-02
予約期間
開始 2019-10-03 00:00
締切 2019-10-04 23:59
出発日
2019-10-09
完成予定
2019-10-19
参加人数
6 / 8
あらゆる場所に、暗黙の了解――あるいはタブーと言われる物事がある。 飲食店においては清潔感を欠き、虫などをお客様の目に触れさせるようなことは絶対のタブー。 そんな絶対常識とは別に、学園都市内に存在する飲食店にはタブーとされる暗黙の了解があった。 それは――――。 『食べ放題』や『大食いチャレンジ』の禁止である。 料理によっては安定して手に入るものでは無い食材を使うため、当然と言えば当然なのだが……。 それとは別に、この暗黙の了解が出来るに至った最大の元凶というのが……。 「お腹すいたの~」 くぅ~。という可愛いお腹の音を響かせながら歩いている【キキ・モンロ】という少女の存在だ。 『空皿積みのキキ』とは誰が呼び始めたか、彼女にかかれば、用意した一日分の材料すらあっという間に平らげられる。 これでは商売にならない、と全ての飲食店が食べ放題や大食いチャレンジを取りやめたのだった。 が、人には怖いもの見たさというものがある。 更には、勝手に勝負と思い込み、熱くなる人すら存在する。 ここは、とある大衆食堂。 山のように積まれた食材を前に、腕を組んで不敵に笑う店主が一名。 * 学園内に配られたビラには、『大食いチャレンジ!! 食べ切れたなら料金タダ!! 優勝者には賞品進呈!!』と書かれていた。 手に取り確認した生徒、教員は、静かに胸の中で拝む。 店主……南無、と。 そして、そのビラが出回った日と丁度同じ頃に、一つの依頼が張り出された。 切実な文章で、臨時のアルバイトをやって欲しいという依頼。 それは、どういった訳か、ビラを配った大衆食堂からの……依頼だった。 依頼を見れば、空皿積みのキキに恐れをなして、従業員が全員休暇申請をしてきたらしい。 休めぬなら、退職も辞さない、と。 この時点で身に余る勝負を仕掛けてしまったかと思ったらしいが、一度宣伝してしまった以上はやりきらねば店の沽券に関わる問題。 藁にもすがる思いで依頼を出したが、店主も自ら知り合いに声を掛けて人手を確保しようとはしているらしい。 そんな、すでに負けた気分になっている店側の思いなど知る由も無く、キキは鼻歌交じりに大食いチャレンジを行う食堂へと歩いて行くのだった。
貴方の見たい夢は何ですか?
夜月天音 GM
ジャンル
日常
タイプ
ショート
難易度
とても簡単
報酬
少し
公開日
2019-09-27
予約期間
開始 2019-09-28 00:00
締切 2019-09-29 23:59
出発日
2019-10-05
完成予定
2019-10-15
参加人数
3 / 8
放課後、魔法学園フトゥールム・スクエア、正面玄関。 「授業、お疲れ様です。この後、お忙しいでしょうが、少しよろしいでしょうか。わたくしは、【ウォルラ・ミズリー】。見ての通りローレライです」 授業を終え、いざ放課後を楽しもうとする学生達に声を掛ける25歳の人種の女性ローレライがいた。濡れても大丈夫な衣装を着て水分放出を髪の毛に集中させている。 「おふざけで毎日を笑って楽しいものにしようという御巫山戯クラブに所属する者です。相手に怪我をさせなければ、何をしても構わないクラブで、部室は第八校舎にかまえています」 温和な笑みを口元に、自身が所属するクラブの紹介をする。 「季節も秋になって涼しくなり、眠りに最適な日が増える中お願いしたい事があります」 初対面の挨拶の類が終わると、ウォルラは見た目可愛らしい布袋を取り出した。 「この匂い袋を夜眠る時に揉んでから枕元に置いて欲しいのです。そうすれば、貴方の見たい夢を見る事が出来ます。その名も『夢見香』(ゆめみこう)です。揉む事で匂いを放出し夜明けと共に、匂いと見たい夢を見させる効力が消えます。匂いは、数多の花を調合した少し甘いものです」 丁寧な解説を始めた。 「……ただ、悪戯が好きなフェアリーの部員が刺激がないとつまらないといって、一工夫してしまい、見たいと思う素敵な夢だけを見るはずが、時に怖い夢を見てしまう物になってしまいました」 ウォルラは、相手が体験を断るのではと少し危惧しながら、負の部分を説明した。 「どんな夢が見られるかというと、空を飛んだり、大人になったり子供になったり、動物や植物や無機物になったり、行きたい場所に行ったり、天地が逆さになったり、会いたい人に会ったり食べたい物を食べたり実力以上の戦いが出来たり海中にいたと思ったら空の上だったり場面転換も自由自在です。時には、好きな人にふられたり授業に失敗したり苦手なものが出て来たり匂い袋を使用している同士であれば互いの夢を行き来する事も出来ます。そのおかげで、悪戯好きの部員に自分の夢をめちゃくちゃにされて……」 基本的な説明が終わるとウォルラは、相手が少しでも惹かれたらと、見る事が出来るだろう夢の内容を次々と列挙をした末に溜息を吐き出した。 「……試作段階の物を使用した時、わたくしは今まで出会いもう会えなくなった人達とお茶会をする夢を見ました。お話が弾みとても嬉しかったです……こう見えてもおばあちゃんですから、会えなくなった人も多くて」 ウォルラは過去を思い出してか、遠い目で話していた。 「……以上で説明は終わりです。どうでしょうか? わたくしも夢見香でまたお茶会を行う予定です。良ければどうぞ遊びに来て下さい」 何とか、夢見香の説明が終わった。 「素敵な夢が見られるなら一つ貰おうかな」 「怖い夢を見るならいらないよ」 「明日、実技の課題があるから予習に使わせて貰うよ」 足を止めて耳を傾けていた学生達は、様々な反応を見せた。 今夜は、一際賑やかな夜となるだろう。
霧の中の吸血鬼
秀典 GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
多い
公開日
2019-09-24
予約期間
開始 2019-09-25 00:00
締切 2019-09-26 23:59
出発日
2019-10-02
完成予定
2019-10-12
参加人数
7 / 8
「助けて……」 そう言った女の顔は、恐怖で歪んでいるように見える。 瞳からは大粒の涙が流れ、化粧がスルリと落ちていた。 真っ黒い服は血にまみれ、大怪我を負っているのだろう。 その目の前には背の高い大きな男が彼女を見つめている。 手には大きなハンマーを持ち、女に向かって大きく振り上げていた。 「私を助けて……」 女は二言目を呟き、大きく口を開いた。 男は何も言ってはくれない。 目を見開いたまま命を落としてしまっているから。 女は首筋に噛みつき、命の残り香を吸い尽くした。 「ああ、おいしい……助けてくれてありがとう……」 女は涙をぬぐう。 人であった時間を思い返して、涙しているのだろう。 既に死んでいた男は、黒色の灰となって崩れ果てる。 その事件が起こったのは、バグシュタット王国の統治しているある地域だ。 この国では、すでに何人もの犠牲者と目撃者により、吸血鬼が出ると噂が広がっている。 吸血鬼を見た目撃者は多く、誰もが、もの凄く美しい金髪の女だと証言していた。 切れ長の目と美しい白い肌、薄いピンクの唇。 黒い帽子をかぶり、爪の先まで、全てが黒で統一された女である。 その顔を見たならば、興味のない同性であっても恋に落ちるほどだという。 女に襲われた犠牲者達も幸せであったのかも知れないが、事件は解決しなければならなかった。 その居場所を探る為に、王は調査員を走らせている。 しかしそれでも犠牲者は出続け、何日もの調査を余儀なくされていた。 掛かったのは一月という時間。 その手掛かりを発見したのはただの偶然だった。 旅の詩人がからっと晴れた真夏日の昼間に、霧を見たという。 雀の涙の可能性に賭け、その霧を見つけ出すまでには、更に一月を要したらしい。 なぜならば、週に一度の月の日の正午、たった一時間しか現れないからである。 見つけたのは川に囲まれた中州のような地。 その場を調べに、調査隊が派遣されたのは、一週間後の正午だった。 「何処に居る吸血鬼!」 十人の調査隊が霧の中に足を踏み入れ、居るかどうかも分からない吸血鬼を探していた。 やはり向うからの返事もなく、ただ霧の中を彷徨う調査隊の十人。 しかし探している内に、一人、また一人と消えて行く。 もう残されているのはたった二人で、二十歳にも満たない若い男と、歴戦の老兵だけである。 既に敵の術中にいると考えた二人だが。 「私を助けに来てくれたの?」 若い男の背後から、女の声が聞こえて来る。 老兵は剣を引き抜き構えるが、その声を聴いてしまった若い男は、宝石よりも美しい女へと手を伸ばした。 吸血鬼の美しさに魅了されているのだろう。 その男も霧の中に消え果て、残されたのは老兵の一人である。 「貴方は……要らないわ」 何が起こったのかも分からず、老兵はその場に崩れた。 彼が意識を取り戻した時、霧は消え果て、仲間は誰一人存在していなかったらしい。 老兵はたった一人で王都へ戻り、城の王へと伝えたという。 「もし私を助けてくれるのなら、もっと人数を連れて来なさい」 玉座の間で王に伝えられた声は、ハッキリと女の声であった。 この老兵が発する声ではなかったという。 声を発し崩れ落ちた老兵に、事態を重く見た王は、部下に命じて吸血鬼の文献を調べさせた。 城の書庫に隠されるようにしてあったとても古い文献には、吸血鬼の女の正体が書かれている。 四百年もの昔、この女の吸血鬼が出現した時に書かれた物らしい。 その女の正体は、あり得ない程遠い地に、遥か昔に生誕した王女だという。 家臣の裏切りにより生きながら焼かれた過去があり、民からは罵倒され、恋人に蔑まれたとだけ書かれていた。 しかしその死の間際、生を呪い運命を嘆いて、吸血鬼へと落とされたようだ。 その際、裏切者へと死を与え、愛していたはずの民も皆殺しにして、たった一人生きながらえたらしい。 遥か時が流れ、国が風化して歴史が消滅しても、彼女はまだ存在を続けている。 空腹を満たす為に人を襲うが、涙を流すほどには悲しみ続けている。 延々に生きざるを得なかった時の中で、凶悪な気性と生への渇望を持ち続け、それでも自身の死を望んでいるのかもしれない。 そう書かれた文献を読み、王は勇者となる者へと知らせを送った。
僕らの最期のメッセージ
宇波 GM
ジャンル
シリアス
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
ほんの少し
公開日
2019-09-22
予約期間
開始 2019-09-23 00:00
締切 2019-09-24 23:59
出発日
2019-09-30
完成予定
2019-10-10
参加人数
6 / 8
『君たちは、もし明日死ぬとしたら』 課外活動帰り、話しかけてきたアークライトの青年のことは記憶に新しい。 その記憶は、きっと彼の持ちかけた話題の、衝撃的な印象に彩られているのかもしれない。 兎にも角にも不思議な青年だった。 儚げな印象が板についた、とても現世に存在しているなどとは思えぬ青年だった。 もしかするとあの時既に、彼はこの世界の住民ではなかったのかもしれない。 リバイバルがアークライトになることなどありえないことなのに、そんな風に考えてしまえるほどに、彼は儚げな雰囲気を醸していた。 今となっては、なぜその問答をしたのか。 その心の内をもう知る術などないが、ふとした拍子に彼のことが、彼の話題が頭を過ぎるのだろう。 『今日何をして、何を遺したい?』 「明日死ぬとしたら、ですか?」 「そ。明日死ぬとしたら、今日何をして何を遺すのかって空想」 窓口に持ち込まれた話は、依頼に関する話ではなく、単なる雑談。 それも、哲学色の濃い雑談。 話を持ち込んだ、ドラゴニアの生徒は、何を考えているのか分からない笑みを浮かべる。 「前提条件が分かりませんね。明日突然死ぬと言うことは分からないのが普通のはずですが?」 受付職員【ウケツ・ケ】は、彼に首を傾げる。 「いや、それが不思議な話で。明日死ぬことを、俺たちは何となく知っている、そんな状況で。俺たちは俺たちが明日死ぬだろうってことを知っているんだって」 眉を下げるウケツはしばらく悩んだ後、そうですねえ、と言葉を選ぶ。 「やはり、ここで受付業をしていると思いますね。……ああ、でも、迷惑はかけないように退職届は出しておかないと」 「真面目だなぁ」 生徒はふは、と笑い、遠くの景色を見るような目になる。 「どうしましたか?」 「いや。あの話を一緒に聞いた後輩たちは、なんて言っていたかなって」 『もし明日死ぬとしたら、今日何をして、何を遺したい?』
その筆に情熱を乗せて
瀧音 静 GM
ジャンル
日常
タイプ
ショート
難易度
とても簡単
報酬
ほんの少し
公開日
2019-09-19
予約期間
開始 2019-09-20 00:00
締切 2019-09-21 23:59
出発日
2019-09-27
完成予定
2019-10-07
参加人数
4 / 8
『読書の秋! みんなで読書をして、読書の楽しさを再確認しよう! 読書強化月間開催中!!!』 読書が続く、何というか……言い方は悪いが頭が弱い人が考えたような文句の垂れ幕。 まだ暑さが残るが、肌に感じる気温の変化に、徐々に季節の移り変わりを覚える頃。 大図書館『ワイズ・クレバー』には多くの生徒や先生が足を運んでいた。 ○○の秋、○の中に入る言葉は数多く、垂れ幕にある読書ももちろんポピュラーなものの一つだろう。 そんな言葉の影響か、普段よりも多くの人数が利用する図書館の広間を、重力を感じさせない佇まいで眺める生徒が一人。 種はローレライ。いつ頃からこの学園に居るかを知る者は無く、気ままに自由に、自分の知識欲の赴くままに生活する【フィリン・アクアバイア】という存在。 体内で溢れた魔力は水として、羽衣状にし体外で形成。 そんな羽衣を漂わせながら、人の往来を観察していると……。 「ふむ、ここまで人が来るのならば、今回は提供側となっても面白いかも知れぬのぅ」 赤縁眼鏡をキラリと光らせ、何やら思いついたらしいフィリンは近くを通った図書委員を捕まえて何やら話をし始めた。 問うフィリンに応える委員。 何やら話がついたらしく、妙にご機嫌になったフィリンは――。 「さてさて、妾はどんなものを書こうかのぅ」 楽しそうに、というよりはちょっぴり邪悪な笑みを浮かべて。 フィリンは静かに、図書館を後にした。 * 「と言うわけで、暇そうなお主らを捕まえて妾の手伝いをやらせようと思ったのじゃ」 理不尽ここに極まれり。 と言うわけでと言われても、彼女が何かをしようとしている、と言う事しか分からず。 しかも暇そうな、というのは彼女の主観でしか無い。 しかも手伝いをやらせる、という半ば確定事項のように言われてしまえば、理不尽という感想を抱いても仕方が無いだろう。 「何じゃ、不満そうじゃな? 妾と共に本を作れるなぞ、気まぐれ以外では出来ぬ稀少な体験じゃぞ?」 なるほど、図書館で考えた何かを作る、という行為は、本を作るという事らしい。 ……が、その書いた本をどうしようというのか。 「図書館に置いて読ませるに決まっておるのじゃ。読まれなくして何が本かや?」 何を当たり前のことを……。 そう言いたげに生徒の顔をのぞき込んでくるフィリンは、上機嫌に続ける。 「初めは妾一人で作ろうとも思ったのじゃが、折角じゃ。共著として名を連ね、中身を愉快な本にしてみたくなってのぅ」 彼女を知る生徒が聞けば、 「あぁ、またイタズラ心が鎌首を……」 と納得する言葉と表情。 「どうじゃ? 読書の秋という言葉に釣られ、更には在学生徒の書いた本を手に取った者が楽しくなる内容でもよし」 彼女の魔力で出来た水が、連れてこられた生徒の鼻先を掠める。 「納涼とは時期が遅いかもしれんが、怪談話なんかも好まれたりするのじゃ」 別の生徒の目前を、フィリンの水が舞い踊る。 「情報、お知らせ。あるいは、勝手に創造した噂話なんかも面白いかも知れんのぅ。……どうじゃ? 妾と一緒に本を作ってみぬか?」 興奮気味に生徒へと身を乗り出したフィリンは、晒される胸元も気にせずに、生徒へと詰めかけた。
恐怖チラシ
革酎 GM
ジャンル
コメディ
タイプ
ショート
難易度
とても簡単
報酬
ほんの少し
公開日
2019-09-21
予約期間
開始 2019-09-22 00:00
締切 2019-09-23 23:59
出発日
2019-09-29
完成予定
2019-10-09
参加人数
3 / 8
深夜0時59分。 男子寮ノホナの一室でのこと。 フトゥールム・スクエアに籍を置く男子学生【チャッキー・ハマー】17歳は、ガラスが砕けるけたたましい音に目を覚ました。 おっかなびっくり壁際を覗き込むと、月明かりに照らされて、異様な光景が視界が飛び込んできた。 板床に飛び散るガラスの破片と、一束のチラシ。 そう、このチラシの束が何をどうやったのか知らないが、窓ガラスを突き破って部屋に突入してきたのだ。 チャッキー青年は恐怖におののき、短い悲鳴をあげた。 「ま、まさか……また、恐怖チラシがッ!」 恐怖チラシとは、悪霊の類と思われる何者かが配布する恐ろしいチラシで、このチラシを見た者は百日分の貯金利息が消え去るのだという。 少ない小遣いをこつこつと集めているチャッキー青年には、100日分の金利が失われるのは死活問題に等しかった。 それでもチャッキー青年はぶるぶると震える手で恐怖チラシを拾い上げ、そこに記されているド派手な広告内容を読まずにはいられなかった。 「な、何だってッ! 日頃のご愛顧にお応えして、ボッタクリーブスマーケットで魔斬龍セルセトの胸肉300グラムを超特売価格にてご奉仕致しますだとッ!」 思わず叫んでしまったチャッキー青年。 すると両隣の住人達から、 「うるせぇぞッ! 今何時だと思ってんだッ!」 「静かにしやがれ馬鹿野郎ッ!」 などと口々に怒りの声が飛んできた。 しかしチャッキー青年は完璧にシカトをかまし、更に恐怖チラシを大声で読み上げる。 「お、恐ろしいッ! 午後3時からはタイムセールスで更に3割引きッ! こ、こんな……こんな、けしからんことがッ!」 あまりの恐怖と驚きに、チャッキー青年は弓ぞりに体をのけぞらせ、白目を剥いた。ついでに、 「ガハッ!」 と勢い良く吐血した。擬音や効果音でガハッと吐血するのはよくある話だが、自分でわざわざ、ガハッという台詞をいいながら血を吐くというのは如何なものであろう。 それはともかく、チャッキー青年は口元を拭いながらクローゼットに駆け寄った。 「こうしてはいられない。恐ろしい胸肉がマダム達の手に亘る前に、何とか阻止しなければ」 開け放たれたクローゼット内にはびっしりと女性用の服が。チャッキー青年がどういう性向の持ち主であるかは、今は問うまい。 それよりも彼は、酷く憂鬱な顔で呟いた。 「ひとりでは無理だ。仲間を募らないと……そうだ、フトゥールム・スクエアの暇人達を集め、彼らに何とかして貰おうッ! 我ながら、ナイスアイデアだッ!」 一般にそういうのを、丸投げ、という。
水際に佇む古強者の意地
機百 GM
ジャンル
シリアス
タイプ
EX
難易度
難しい
報酬
通常
公開日
2019-09-18
予約期間
開始 2019-09-19 00:00
締切 2019-09-20 23:59
出発日
2019-09-27
完成予定
2019-10-07
参加人数
2 / 8
「フン、今度はお主か」 かつての古強者が海を見ていた。それは怨敵を見つめる鋭い目であり、その貌は鬼のように歪みきっていた。 その先に見えているもの。今は日が沈む大海原でしかないが、彼には怨敵が見えているようだった。 「恩師に大した言い草だな。昔はからかい甲斐があって可愛かったのになァ?」 「……フン」 古強者は振り返らない。振り返ってはならなかった。 私はきっと暖かかった過去だ。故に、過去にすがりそうになってしまうのだろう。 「耳を貸す気は、無さそうだなァ?」 「無論じゃ。まだ去るつもりはない。邪魔立てするなら、お主とて従では済まさぬ」 「荒んだなァ。お前は鬼になれる男ではなかったと思っていたが?」 彼から全てを奪ったもの。それがこの時期に、あの海の向こうからやってくる。 けれど、彼の命の火はもう消えかかっている。だからこそ、ここで皆の後を追うつもりなのだろう。 「今のお前でどうにかなるなら何も言わんよ。そうならないから、少々お節介を用意させてもらうが」 「要らぬ! 心に生きる皆が儂に頼んでいるのだ、奴らを討てと哭き叫んでな……!」 全く、あの頃から頑固さだけは変わっていないようだ。 故に私は彼を止めない。止める権利も理由もない。それは間違いなく復讐だが、それを果たすことだけが、今の彼の全てなのだから。 「そうか……お前は優等生ではなかったが、確かに模範的な勇者だった。またな」 それだけに、そんな悲劇的な最期が似合う男ではない。らしくないことが似合うわけがない。 踵を返すも、古強者はやはり振り向かなかった。 「……守れなかった勇者など、何の意味があろうか」 古強者の頬をつたう涙に、夕日が溶けるように煌めいた。 ●彼が生きる理由 あなたは赤い手紙を持って学校の校門前に向かっていた。道中で同じ手紙を持った生徒を見つけ、言葉を交わすことなく互いに頷いた。 自室の机の上に、いつの間にかこの赤い手紙が置かれていたのだ。 内容はこうだ。 『特別な課題を受けたい者は、明々後日の下校時刻に学園正門右側へ行け。断ったら後の授業がもっと楽しくなると思えよ。 В.С.』 白いインクでそのように書かれていた。どうやら課題の案内らしいが、断った後が理不尽だった。 『В.С.』とやらが何者か分からないが、とりあえず不気味な赤い手紙に従って指定された場所まで行くことにした。 目的地である学園正門の右側には、大太刀を携えたローレライの学生が立っていた。顔立ちや服装が中性的で、百合の花のように華やかながら落ち着いた雰囲気を放っていた。 「おやあなた達が……自分は【クスギリ・カテツ】と申します。以後、お見知りおきを」 カテツは赤い手紙を持った一同に気が付くと、自己紹介しながら恭しく一礼した。その動作は流麗ながらも無駄がなく、これだけで彼が只者ではないと何人かの生徒が見抜いた。 「恐らく、赤い手紙の特別な課題について聞きに来たのでしょう。これから説明を始めますので、聞いてください」 カテツは集まった生徒の顔を一目見てから話し始めた。 「まず課題を行う場所は、エイーア大陸の西の果てにある、小さな漁村だった場所です」 だった、とということは今は違うのだろうか。カテツは集まる視線で疑問を察知し、説明を続けた。 「一年前にその漁村は、ある魔物によって滅ぼされてしまいました。交通の便が悪かったため復興されることもなく、廃墟として打ち捨てられましたが、今は唯一の生き残りが住んでいます」 学園のすぐ近くは平和でも、少し離れれば幾らでも魔物の脅威がやってくる。その漁村はそんな犠牲者ということだろう。 だが、生き残りとは? そんな場所に一人で住んでいるとは一体何者なのだろうか。 「彼の名は【サロス・ペトラケファリ】。六十年程前にこの学園を卒業した人です。卒業した後は、ずっと故郷の漁村を一人で守ってきました」 フトゥールム・スクエアを卒業したからと言って、理想を実現したり、大願成就出来るとは限らない。だが彼の様な生き方もまた、この学園の卒業者ならではのものである。少なくとも、故郷の人々には慕われていたに違いない。 彼の故郷の漁村が廃墟になった原因は、やはり魔物の仕業なのだろうか? 「はい。彼が用事で村を出ていた間に、ある魔物達が村を襲いました。村は魔物達によって大火に覆われ、誰一人生き残ることができませんでした。その中に、サロスさんの息子さんとお孫さんも含まれていたそうです。それからサロスさんは、廃墟となった漁村に一人で住み続けているのです……魔物達への復讐の為に、です」 珍しいことではないとはいえ、それはあまりにも痛ましい話だった。自らの境遇と重ね、彼に共感する生徒もいた。 だが同時に疑問も湧いてくる。今は彼が一人で住んでいるとは言え、廃墟になってしまった場所に再び魔物達が襲いに来るという確信があるのだろうか? 「サロスさんはその魔物達とずっと戦い続けてきたため、習性を熟知しています。魔物の名は『火鷸(カシギ)』。別の大陸から海を渡ってやってくる、渡り鳥の姿をした魔物です。サロスさんは毎年、一人で火鷸の群れと戦って村を守っていたそうですが、去年は例年より早く――まるでサロスさんがいないのを見計らっていたかのように襲ってきたそうです」 運が悪かったというべきなのだろうか。だがそれだけに、彼が抱いた無念と後悔は計り知れない。 村を襲った火鷸という魔物の特徴は何か、訊ねてみることにした。 「火鷸は、翼を広げた時の大きさが四メートル程の巨鳥で、翼の両端の風切羽と嘴が常に炎に覆われています。局所が炎に覆われていますが、魚を捕食するために短時間海に飛び込むこともあるそうです。主な攻撃方法は、嘴で突いてきたり、炎の息を吐きかけてきたり、足の鉤爪で掴みかかってきたりします」 空を飛ぶだけでも十分に厄介なのに攻撃手段が多彩ときた。炎の攻撃による灼熱状態も懸念すべきだろう。 カテツは更に説明を続けた。 「一番厄介なのは、常に群れで行動することと、それで巧みに連携を取って行動することです。集中狙いをしようにも横槍を入れてきたり、別の火鷸を囮にしてフェイントを挟んできたりします。この連携と知能の高さこそが火鷸の最大の武器と言っても過言ではありません」 狡猾に動く敵に真っすぐ向かえば苦戦は必至だろう。こちら側も何か工夫する必要がありそうだ。 「火鷸の討伐が今回の課題の目標となります。でもできる事なら……サロスさんを助けて頂けないでしょうか? 彼は重度の病を患っており、このままでは火鷸に勝てたとしても先は長くないでしょう。病は学園くらいの設備がなければ治すことができません。ですが、彼は意地でも村に居残ろうとするでしょう。どうか皆さんも説得していただけないでしょうか?」 待て。彼はそんな状態でそんな厄介な魔物と戦おうとしていたのか。 それでは幾ら大先輩であるとは言え、火鷸相手に勝てる見込みなど無いのでは? 「そうですよね。これは自分の勝手な思い込みですが、サロスさんはもしかしたら……死の先に魅入られているのかもしれません。復讐の成否にかかわらず、亡くなった村人達の後を追いたいのだと――そのように思えるのです」 カテツは青ざめた顔を小さく俯きながらそう答えた。 火鷸を倒すだけならそれ程大変ではないが、彼を死なせないとなると難題になる。 それ故に、後悔のない最善の選択を望むべきだろう。
拝啓、見知らぬ貴方様へ
pnkjynp GM
ジャンル
イベント
タイプ
EX
難易度
難しい
報酬
通常
公開日
2019-09-16
予約期間
開始 2019-09-17 00:00
締切 2019-09-18 23:59
出発日
2019-09-23
完成予定
2019-10-03
参加人数
8 / 8
肌をなでる風の感覚。 耳を和ます規則的で安定した翼の羽ばたき。 一行を乗せた巨大な荷車を引く2組のグリフォン便は、真昼の空を駆けていた。 「風が気持ちいいですねぇ~」 【シルフィア・リタイナー】の小さな声が、風にのって荷車中に伝わる。 随分呑気なものだ。そう思った人もいたかもしれない。 だが、普段からゆるゆるとした雰囲気の彼女には似つかわしくない、憂いを帯びた瞳を印象的に感じた者もまた、そこにいたのかもしれない。 「あっ、到着したみたいですぅ」 シルフィアの視線の先、もう1つのグリフォン便から、こちらに手を振るのは【パルシェ・ドルティーナ】。 彼女の合図に従い、シルフィアが指示を出すと、グリフォンは乗組員に負担の無いようゆっくりと降下し始める。 「ここが今回連絡があった、『ベカジボ村』ですぅ」 眼下には、ごくありきたりな緑溢れる村の風景……ではなく、まるで戦場跡。 災害にでも見舞われたような、倒壊した家屋や焼けただれた植物が目立つ、異様な光景が広がっていた。 そこに、降り立つ一行を迎え入れるように、2人のエルフが姿を現す。 「お待ちしておりました。皆様」 「こんな辺境の村までようこそー♪ 長旅お疲れ様でーっす♪」 「あ、ルミネさん。ランテさん。こんにちはぁ~」 シルフィアはどうやらこの2人と顔見知りのようだ。 気になってそっとパルシェに尋ねると、彼女は少し驚いた表情を浮かべたが、やがて得心がいったのか、笑顔で応えてくれた。 「そっか、学園だと今みたいなマント姿じゃなくて、メイド服姿だもんね。あっちの物静かで切れ長の目をした人が【ルミネ・パロクベリル】さん。もう1人の元気でおっきな目が特徴的なのが、【ランテ・パロクベリル】さんだよ」 彼女の話によれば、2人は学園でお騒がせフェアリーとして知られている【リーエル・アムフィリム】の従者で、両者ともに学園の暗躍・黒幕コース、村人・従者コース、双方を修了認定できるだけの単位を認められた存在らしい。 よくよく思い起こせば、確かにリーエルの周りには、綺麗なライムグリーンの髪をした従者達がいつもついていた。 「それで、被害の方はどうでしたでしょうかぁ?」 「う~ん。もう片付けるのが面倒だから全部壊してゴミにしちゃえー♪ ってくらい派手にやってますねぇ!」 「ラン。もう少し言い方というものを考えて」 「ぶぅー。だって見渡す限りの焼け野原だったじゃん」 「確かに村としての機能はほぼ壊滅。けれどケガの大小はあるとはいえ、村人はほぼ命を失ってはいない。全てが消えてしまった訳ではないわ」 そしてベカジボ村に関してルミネから詳細な説明を受けるパルシェ達。 調査報告曰く、この村が襲われたのは昨日の夜。 来るハロウィンに向けて、カボチャを収穫したり、飾り付けを作ったりと、多くの村人が準備のために夜遅くまで起きていたという。 「そして宵も深まって来た頃、突如魔物の集団が大挙して襲ってきたとのことです」 「魔物自体はほとんどがジャバウォックとかゴブリンとか、大した敵じゃなかったらしいんだけど、そいつらを指揮してたのが、なななんと! 噂のお化け3人組だった! ということだそうです♪」 それはつまり……。 1人が疑問を呈すれば、ルミネは静かに頷いた。 「はい。村中の人々が、大半の記憶を失っています。それも主に家族との記憶や、友人との約束、大切にしていた物への執着など」 「でも逆に、襲われた時の怖ーいって記憶は、台所で繁殖して1年経ったカビくらいこびりついている人もいるみたいですよ! どうせなくなるなら、逆だったら良かったんですけどねー♪」 「うぅ、そんな状況だったんですかぁ……。なんとかしてあげたいですぅ」 シルフィアの言葉に、今度はランテが頷いた。 「だぁーいじょぶですよ♪ 今日は皆さんにこの村を救ってほしくて来て頂いたんですから♪」 それでは、困ったさん、いらっしゃーい! そんなかけ声に半ば強制的に背を押されるようにして、若い男性が姿を現した。 「あの、どうも……」 「はいそれじゃあ! 思い出の一品をどうぞー♪」 まくし立てるランテに従い、男はおずおずと羊皮紙を差し出した。 「これ、私宛の手紙だと思うんです。……多分」 それは、男の家の残骸から発見されたという。 手紙には、こう書き記されていた。 拝啓、愛する旦那様へ 今日も遅くまでお仕事お疲れ様。 ハロウィンに必要なメダルの買い出しを頼まれたから、ちょっとペルルを連れて隣村まで買い物に行ってきます。 今からだと遅くなっちゃうから、1日向こうに泊まってから帰ろうと思います。 晩ご飯はお鍋にカボチャスープを作り置きしてあるから、それで食べて下さい。 あ、ペルルがジャック・オー・ランタンが欲しいって言っていました。 帰ってきた時にあったら、きっと喜ぶと思うわ。 もし疲れていなかったら、宜しくね。 マリーナより 「正直、このマリーナもペルルも、聞き覚えがない名前です。でもきっと……これは忘れちゃいけない名前だったと思うんです」 男は、顔を上げる。 「お願いします。この2人を、無事にこの村まで連れ帰ってほしいんです」 その目には、確かに何かを取り戻したいという、強い想いが宿っていた。
ほのぼのしたティータイムをどうぞ
鞠りん GM
ジャンル
ハートフル
タイプ
ショート
難易度
とても簡単
報酬
ほんの少し
公開日
2019-09-15
予約期間
開始 2019-09-16 00:00
締切 2019-09-17 23:59
出発日
2019-09-23
完成予定
2019-10-03
参加人数
3 / 8
雄大なフトゥールム・スクエアには、敷地内に様々な施設が存在します。 その中の1つである超大型商店『クイドクアム』の一角にある喫茶店で、【ユリウス・シーエンス】と【キャロライン・セイント】は、放課後に決まってティータイムをするのが大のお気に入りです。 ほら、今日も窓際の席に座り、二人はティータイムをしながらお喋りに夢中のようですよ。 「……それでねユリウス、せっかく新入生が入学して来たのだし、恒例のあれをやらない?」 「相変わらずだなキャロラインは。僕は構わないが、新入生全員は無理だぞ?」 「分かっているわよ、そんな大きい事はしないから。ただこの喫茶店に入る人数程度は集まって欲しいかな?」 お世辞にも、大人数が入れるような広さとは無縁の小さな喫茶店で、こだわり派のマスターの影響か、提供されるのは飲み物と、トーストだけというシンプル過ぎる軽食のみ。 それでもマスターの淹れる珈琲や紅茶は絶品なので、ユリウスもキャロラインも毎日通いつめていたりします。 「開くなら、この喫茶店よね」 「でも食べ物はどうするんだ? トーストだけじゃつまらないだろキャロライン?」 「そうねぇ……。マスター、持ち込みは大丈夫かしら?」 キャロラインがお願いの瞳でマスターを見つめると、マスターは渋々ながら頷いてくれた。 これで、この場所を使って新入生とティータイムが出来ると、喜ぶキャロライン。それを見てユリウスはお人好しと呆れるばかり。 でも断り切れず付き合うのがユリウスの良いところだったりもします。 「新入生だって、友好と出逢いの場所くらい欲しいと思わない?」 「……それって。まぁいいけど」 「新しい友! 新しい恋! あ、もう居たりして」 「それはいいんじゃないか。同じ学生なんだ、そんなこともあるだろう?」 全員が寮生活です。 男女別々の寮でも、授業や共有スペースがあるのだから、少なからず出逢いはあるものです。 「ちょっとだけのお手伝いもかねて……ね、ユリウス?」 「……お人好し」 とうとう口に出して言ってしまったユリウスに……キャロラインは、あぁ少しだけ怒っているようですよ。 「と、とにかく、寮に帰ったら、参加したい新入生は各自お菓子を持参で集まってと書いて貼り紙を貼るわ」 「参加希望者はキャロラインのところまでが抜けてる……」 「もちろん書くわよ。それに突っ込みを入れないでよねユリウス」 「はいはい」 「それでね、沢山集まったら私たちどうしょう?」 「どうって……僕たちは普通だろ。僕とキャロラインの仲なんだ」 「ユ、ユリウス! ここ喫茶店の中!」 「あ、ごめん」 照れ隠しのように、真っ赤になりながらも叫ぶキャロラインと、素直にあやまるユリウス。 それを見て、マスターは『知っているよ』と笑っています。 どうやらこの二人も付き合っているようですね。 そしてキャロラインは寮に帰ってから、談話室にこんな貼り紙を出してしまいます。 『新入生の皆さん、私と一緒にティータイムをしませんか? 新入生の皆さんの、楽しい放課後のひとときになればと思います。 場所はクイドクアム内にある喫茶店です。あまり広くはない場所なので、入れる人数に制限がありますから、先着順になってしまいます。 なお、来る時は、それぞれ好きなお菓子を持参して下さい、みんなで分け合って食べましょう。 飲み物はマスターの美味しい珈琲か紅茶を用意してくれますので、一緒に飲みましょうね。新入生の皆さんの参加を心からお待ちしています。 参加希望者は私、キャロライン・セイントまで直接来て下さい』 最後の一文は、ユリウスに言われた通り、取って付けたような書き方のキャロライン。 そして一緒に企画するユリウスの存在すら忘れたような、こんな貼り紙を出してしまいます。 (ティータイム当日に、急に僕が入ってもビックリしないよな?) これでも真剣なんだから、多少のドジは見逃してやって欲しいと、キャロラインの貼り紙を見たユリウスは、当日の僕はどうしようと頭を抱えしまったようです。 さあ上級生からのティータイムのお誘いです。 新入生の皆さん、このティータイムに参加しませんか?
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