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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



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さよならは、言わない 桂木京介 GM

ジャンル 日常

タイプ EX

難易度 簡単

報酬 なし

公開日 2022-12-10

予約期間 開始 2022-12-11 00:00
締切 2022-12-12 23:59

出発日 2022-12-20

完成予定 2022-12-30

参加人数 7 / 7
◆現在◆ 「学園長!」  ドアごと蹴倒す勢いで部屋に飛びこんできたのは【コルネ・ワルフルド】だ。 「……なんだね?」  執務机で書物をひろげていた【メメ・メメル】は顔を上げ、大儀そうに首をかたむけ肩をもむ。なんとなく仕草がフクロウっぽい。眼鏡をかけているせいだろうか。 「ご覧の通りオレサマ仕事中なもんでな、手短に頼むぞ」 「留学生アルバさんがですね……」 「あー」  またかとメメルはため息をついた。【アルバ・アロンソ】、押しかけ同然にリーベラントからやってきた留学生である。留学生といっても若者ではなく、むしろはっきり老人と言える風貌かつ年齢の者だ。リーベラント名門貴族の長で、かの国では貴族院議長という立派な肩書きも持っている。  リーベラント王族の結婚相手がふさわしい者か見きわめる! と息巻いて、先日アルバはフトゥールム・スクエアに乗りこんできたのだった。リーベラント国王ならびに王妹が婚約中の相手はともに学園生なのである。だが同時に彼は、学生としての身分も忘れていない。従者もつけず単身、似合わないのに学園制服まできっちり着ているところにはメメルも舌を巻いた。  見きわめミッションは早々に終わった模様だが、アルバはいまなお学園にとどまって慣れぬ学生生活に不平ばかり並べている。文句が多い割に立ち去る様子がなく授業も熱心に受けているあたり、もしかしたら彼なりに学園ライフをエンジョイしているのかもしれないが。 「今度は何だね」 「いつまでたっても学食で、ウェイターが注文を取りに来ないことにご立腹のようで……」 「セルフサービスという言葉を知らんのかあのじーさん」  まあ知らんだろうなとメメルは苦笑いする。勇者元年の時点で十四才だったメメルは、当然『あのじーさん』より実年齢は上なのだがそこは言うまい。 「用が済んだらとっととリーベラントに帰ればいいのになぁ……」  と言ってメメルは腕組みした。 「まーテキトウに相手してやってくれ。その程度のことでオレサマの仕事の邪魔をするでない」 「でも議長ってばアタシの話聞いてくれないんですー」  蜂にでも刺されたような顔をするコルネだ。相当手を焼いているのだろう。 「しっかりせいよコルネたん、もうあと一ヶ月もせんうちに学園長交代だろうが」  まったく、と腕組みするメメルの肩に、シャボン玉のようなものがふんよりと乗った。 「……なんです、それ?」  コルネは片眉をあげ顔を寄せる。手のひらサイズ、ふるふるとした透明の半球体だ。内側に黒い煙のようなものがただよっている。 「わ!」  球体の表面に大きく丸い目がふたつ、ついていることにコルネは気づいたのだった。まばたきしたのである。にわかには信じがたいが生物らしい。 「これか? ガスペロだよ」 「ガスペロ? ……ガスペロ……って!」  コルネの髪が逆立った。目を吊り上げて牙を剥く。 「あの【ガスペロ・シュターゼ】ですかっ!?」  魔王軍幹部ガスペロは実体を持たぬガスのような存在だった。人間の体を乗っ取っては、魔王軍に邪悪な命令を下していたものだ。 「そうとも♪」  メメルは楽しげである。 「魔王決戦の舞台、おぼえとるか? 最近また西方浄土に行って見つけたのだ。こやつ、滅びたと思いきや魔王の一部になって生き延びていたようだな。魔王の下で恐怖とかネガティブな感情を吸いつづけて邪悪な存在になっておったが、初期化された現在ではこの通りだ。もともと、こういう無害な魔法生物だったのだよ☆」  ふっとメメルが息を吹きかけると、小鳥のような声で魔法生物は鳴いた。ふわふわと宙に浮かんで、今度はコルネに近づいてくる。 「そ、そうなんですか……といっても……ねえ」  浮かぶガスペロをコルネは手で扇いだ。重さは限りなくゼロに近いのか、魔法生物は上下逆になってまたふよふよと飛ぶのである。 ------ ◆過去(一人称)◆  最初、【ネビュラロン・アーミット】という名前には馴染めなかった。  ……そもそも、この世界にも馴染むことすらできなかった。  片腕を切り落とされ虚無(アビス)へと落下した私が、なんの因果か新たな生を得てこの地に転生し、メメ・メメルなる人物の庇護を受けることになった。  メメルは私に、自分が運営する学園の教師をやれと言った。それが私にとって、拾った命を役立てる道だというのだ。  単なる思いつきなのだろうか。ここに来た当初のように、私が自暴自棄にならないよう手元に置いて見張る意図なのかもしれない。そもそも、利き腕を失った私に何が教えられるというのか。  それでも私はメメルと過ごすうち、この人物が世間的に見せている顔とは異なり深い洞察力の持ち主であると気づくに至った。いつもふざけているようで、彼女の選択が誤っていたことはない。  もしかしたら――。  ふと思った。  もしかしたら、いつの間にか私はメメルの術中にはまっているのだろうか。  しかし、 「で、考えは決まったかい? 【リン・ワーズワース】」  その日、メメルに問われた私は首を縦に振った。 「お引き受けします」  いいだろう。  なら術中にはまるとしよう。どうせ一度は失(な)くした命だ。  メメ・メメル、私はあなたの策(て)に乗ろう。 ------ ◆未来◆ 「ああ、ここですか……!」  少年は目を輝かせる。ずっと憧れていた場所、伝説の場所、フトゥールム・スクエアに自分がいるという事実が、まだにわかには理解できないでいる。  真新しい制服に身を包み、少年がまっさきに訪れたのは学園の片隅にある資料館、通称『メメ・メメル記念館』だった。本当はれっきとした名前があるのだが、初代学園長の名を取ってこう呼ばれることが多い。  百五十と数年前、勇者歴2022年の魔王決戦と、それに至る数年の黄金期を今の世に伝えるものがこの資料館である。この時代にあった冒険や戦いの記録、勇者たちの肖像画、所持品や獲得した宝物などがところ狭しと収められているという。  現在ではもうメメルも、その後を継いだコルネも世にない。ごく一部の例外はあれ、記念館に姿をとどめる勇者たちもすでに歴史上の人物だ。けれども彼らのありし日の姿を、しのぶすべならこの場所にある。それも大量に。 「僕は――」   受付で名を聞かれ、少年はいくらか照れくさそうに、けれども胸を張って名乗ったのである。 「あの人の子孫です」    彼のまなざしは、入口そばにならぶ肖像画のひとつに向けられている。
新たな精霊王 春夏秋冬 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2022-12-01

予約期間 開始 2022-12-02 00:00
締切 2022-12-03 23:59

出発日 2022-12-11

完成予定 2022-12-21

参加人数 3 / 8
 精緻な巨大魔法陣。  見る者が見れば言葉を無くすほどの代物だ。  それが今、学園の運動場に敷かれている。  目的は、ただひとつ。  新たなる精霊王を生み出すことだ。 ◆  ◆  ◆ 「問題は無いと思うゾ☆」  運動場に敷かれた魔法陣を検分した【メメ・メメル】に、異世界人である【メフィスト】は返す。 「お墨付きをいただきましたー。これで安心して儀式を進められますよー」  メフィストが声を掛けたのは、【アンリ・ミラーヴ】と魔法犬【ココ】。 「あとは霊玉を精霊王の人達が持って来てくれればー、いつでも精霊王への転化の儀式を始められまーす。」  メフィストの言う通り、これから行われるのは新たなる精霊王を生み出す儀式だ。  霊玉の魔力を精霊王達により全て引き出して貰い、魔法陣に注ぎ込むことで実行される。  新たなる精霊王が産まれることで、魔族のようにこれまで精霊王の加護を得られなかった種族にも加護を与え、霊玉の力を消費し尽くすことで、霊玉の核となっている勇者達の魂を解放し、赤ん坊として初期化することで新たな生を与えようとしていた。  それを実現するために必要なのは、精霊王になり得る器を持ったモノであり、今ここにいるココこそが、その資格者だった。 「最後の確認になりますがー、本当に精霊王になるつもりがありますねー?」  メフィストの問い掛けに、ココは応える。 「うん。ボク、せいれいおうになる」  ココの応えを聞いたあと、メフィストはアンリにも尋ねた。 「止める気はありませんかー? 止められるとしたらー、貴方だけですしー」  これにアンリは、軽く首を振って応えた。 「ココの、やりたいことを、させてあげたい。それに精霊王になっても、問題は起らないと聞きました」 「それは大丈夫でーす」  メフィストは、アンリを安心させるように応える。 「ココちゃんに害はありませーん。単純にー、精霊王としての力を使えるようになるだけでーす」  メフィストが言うには、精霊王になったからといって精神や外見に変化は無いらしい。  単純に、精霊王としての力を得るだけとのこと。 「逆に言うとー、精霊王になったからといってー、いきなり成長するわけではないのでー、時間をかけて育ててあげる必要がありまーす。その役割をー、引き受ける気はありますかー?」 「ココとは、最期までずっと一緒にいるつもりです」  話を聞いてから、将来のことを考えていたアンリは迷いなく応える。 「ちゃんと考えて、決めました」 「好い応えでーす」  安堵するようにメフィストは言った。 「ほっとしてまーす。ではココちゃんにはー、魔法陣の中央に行って貰えますかー?」 「うん!」  元気よく応え、たたたっと駆けていく。そんなココに―― 「ぴっ!」  がんばれー! というように鳴き声を掛けたのは、見た目は手の平サイズの子犬の姿をした【シメール】。  元々は魔王が創り出した最強の魔獣だが、魔王決戦の時に初期化され、今では文字通り子犬になっている。  本来、世界の根源と繋がっているので、あらゆる生物の姿を取ることも出来、単体で精霊王を超える戦闘力を得ることも出来るのだが、現在は無害な子犬でしかない。  ここからの育て方次第で、善にも悪にもなり得るのだが、ココと同様にアンリが育てているので、その心配はないだろう。 「ぴー!」  「がんばるー!」  シメールの応援に応えながら、ココは魔法陣の中央で、おすわりして待機している。すると―― 「おーう、霊玉持って来てくれましたねー」  精霊王達が空を飛び、あるいは地面から浮かび上がる様にして現れる。そして―― 「それでは始めましょー」  新たなる精霊王の生誕が始まろうとしていた。
悪の秘密組織のロボを粉砕せよ! 春夏秋冬 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2022-11-19

予約期間 開始 2022-11-20 00:00
締切 2022-11-21 23:59

出発日 2022-11-29

完成予定 2022-12-09

参加人数 2 / 8
 見上げるほどの鋼の巨体。  騎士を思わせる風体のそれは、異世界の技術を組み込んで作られたものだ。  全長十m。  型は、大きく分けて二つ。  機体と操縦者の感覚を一体化させる、『人機一体型機体(エクステンションマシン)』と、機体にパイロットの補佐をするAIが組み込まれた『相棒型機体(パートナーマシン)』だ。  機体性能は、次の通り。  人機一体型機体。  武装。目から放たれるビームと、指先から撃ち出される機関砲。  それに加え盾と剣を装備し、操縦者の魔法を増幅して使用することも出来る。  防御面では、光学兵器を拡散する特殊な塗料が塗られ、魔法で強度自体が上げられていた。  操縦者の感覚と一体化する性質から、戦いに集中し過ぎると、機体状況の把握が疎かになる可能性があったが、逐次操縦者に状況を把握できるように表示することで問題点は解決している。  機体を起動させると同時に、最初から全力を出し易い機体で、先行部隊に適している。  相棒型機体。  武装。剣と盾。近接戦タイプ。人機一体型機体と同じく、操縦者の魔法を増幅して使用することが出来る。  防御面では、人機一体型機体と同じ物を使用。  そして機体を制御しサポートするAI――リュミエールが内蔵されている。  学園生の協力により生まれたリュミエールは、株分けされL型AIとして全ての相棒型機体に組み込まれていた。  L型AIは、操縦者の生存を第一の命題としており、防御や回避といった守りに秀でた性質をしており、それが相棒型機体と相性が良い。  相棒型機体は、起動と共に出力が上がっていく性質のため、戦闘の初期では力を出し切れないが、逆に言うと時間が経てば経つほど強くなる。  出力が上がった状態では、全身に魔力を纏い防御力を強化したり、推進力として使用することで急加速も出来る。  また、掌に収束した魔力を撃ち出すことで、高い攻撃性能も持っていた。  先行部隊が進攻したあと、第二陣として突撃する追撃部隊に適している。  この二種類の機体が、それぞれ50。  合計100機が、魔導列車に搭載され目的地に向かっていた。 「最終チェック急いで! 万全の状態で送り出すわよ!」  整備員達に檄を飛ばしながら、自分も忙しく機体整備に動き回っているのは、【シルク・ブラスリップ】。  相棒型機体の、GD-X1シリーズの設計者であり、フトゥールム学園生でもある。 「【ヤン】! そっちの進捗は?」  人機一体型機体の整備チームリーダーに声を掛けると、テンションの上がった声が返ってきた。 「万全だ! 折角の貴重な実戦データが取れるチャンスだ! これ以上ないほどに仕上げてみせるとも!」  ノリノリである。  それもその筈、巨大人型兵器の軍団戦がこれから行われるのだ、マッドサイエンティ――もとい、熱心な科学者なら興奮しないわけがない。しかも―― 「人の成果をパクろうとした異界同盟にはキッチリ落とし前をつけて貰わねばな!」  恨みもあるのでひとしおである。  いまシルク達が向かっているのは、異界同盟と呼ばれる秘密組織の拠点のひとつだ。  異世界の技術を使って世界に覇を唱えようという、その組織に、シルクとヤンは一時所属していた。  もっともシルクは、潜入工作員ではあったが。  異界同盟の危険性を知った学園が壊滅させるために送り込み、そこで巨大人型兵器の開発をしつつ工作していたのだ。  その工作が功を奏し、ヤンを含めた技術者を多数学園側へと引き込み、いま異界同盟の拠点のひとつに向かっている。 「向こうにもこちらに匹敵する数の機体がある。全て叩き潰せるよう、機体を仕上げるぞ!」  ヤンの檄に整備員達は応える。  いま向かっている異界同盟の拠点には、ほぼ同数の機体があるのは調査していた。  シルクやヤンの設計した機体をベースにしているので基本性能は近いが、こちらの機体は学園生の協力により性能が上がっている。  それでも油断なく整備を続け―― 「あと20分で目的地に到着予定。操縦者は準備されたし」  先頭車両からの連絡が響く。それに続けるように―― 「さあ、始めるわよ! 戦闘準備!」  シルクが改めて檄を飛ばし、出撃の準備が急ピッチで進んだ。
コルネ・ワルフルドの結婚式 春夏秋冬 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2022-11-13

予約期間 開始 2022-11-14 00:00
締切 2022-11-15 23:59

出発日 2022-11-23

完成予定 2022-12-03

参加人数 4 / 8
 次期学園長になることが決まった【コルネ・ワルフルド】の日常は、大きく変わっていた。  仕事の質や量が変わったのはもちろん、色々と気遣いしないといけないことも増えている。  そして予想もしなかった厄介事も身に降りかかろうとしてた―― ◆  ◆  ◆ 「貴女との婚姻を望みます」  美丈夫な相手からの求婚に、コルネは渇いた笑みを浮かべる。 (これで何人目だっけ……?)  正直、げんなりしている。  バッサリと断れればいいのだが、相手は大国の大貴族。  学園の外交を考えて相手に恥をかかせるわけにはいかない。 (こんなことになるとは思わなかったよ……)   次期学園長になることで、仕事や責任が圧し掛かるのは覚悟していた。  けれどまさか、ハニートラップの如く、次から次に求婚されるのは予想外すぎる。 (学園と強い関係を作りたいってことなんだろうけど……)  王侯貴族なら普通の習わしなのかもしれないがコルネとしては、まっぴらごめんである。 「折角の申し出ですが、アタシには御付き合いしている方がいます」  気遣いつつキッパリ断る。しかし―― 「気にしません」  笑顔で相手は応える。 「相手の方がどなたかは存じませんが、私との婚姻をしていただければ、学園をより一層発展させてみせます」  プロポーズというよりセールスするようにぐいぐい迫ってくる。 「別れろとは言いません。ただ、婚姻は私と結んでいただきたい。先に私との子供は必要ですが、あとは相手の方と幾ら作られても構いません。嫡子でなければ、どうとでもなります」  かなりエグイことを言っているが、相手は自覚がない。  それが却って、コルネを冷静にさせた。 (学園長は、こういう時どうしたんだろう……)  理事長になる【メメ・メメル】のことを思い浮かべるが、「まぁ、メメルだし」の一言で納得できる。  実際、メメルに求婚しようなどという恐れ知らず……ではなく、覚悟を持った者はいなかった。 (結局は、あたしが与し易いって思われちゃってるんだろうなぁ……)  などと思いつつ、美丈夫をなんとかあしらうコルネだった。  その一部始終を、コルネは恋人である【クロス・アガツマ】に話していた。 「――ってことがあったんだよ」 「大変だったね」  人気のないテラスに置かれたテーブルに突っ伏すコルネを慰めるようにクロスは言った。 「もし何かあったら、言って欲しい。俺も立ち会うよ」 「ん……ありがと」  小さく笑みを浮かべコルネは礼を言うと、胸の中の物を吐き出すように喋っていく。 「それにしても、もう少し言い方あるよね。だいたい、子供を先に作れば後はどうでもいいって、生まれた子供の将来はどうするのって話だし」  怒るように話すコルネ。  それを聞きながらクロスは思う。 (子供、か……)  それは自分とコルネでは叶わない。  なぜならクロスはリバイバルだからだ。  未練さえあれば、実質寿命のないリバイバルだが、それは同時に、生身で生きていないことを意味している。  生身として触れることも出来ず、食事を同じように摂ることも出来ない。  そして同じ時を歩み生きていくこともないのだ。  コルネは、その事を理解し、その上でクロスと生きていこうと思っているが―― (俺は、彼女の想いに、なにを返し残せるだろうか……)  コルネの負担にならないよう表情には出さず、静かに思っていた。  苦悩を抱くクロスに、能天気な声で髭オヤジ――異世界人である【メフィスト】が提案した。 「生身の人間になりませんかー?」 「唐突になんだ」  人気のない場所で、突如現れたメフィストに胡散臭そうな視線を向けながらクロスは言った。 「リバイバルからヒューマンにするということか?」 「違いまーす。他の種族になって貰いまーす」 「他の種族?」 「そうでーす。近い内にー、新しい精霊王が生まれる予定なのでー、その加護を受ける新種族にならないかってことでーす」 「……詳しく話せ」 「オッケーでーす」  詳細を話すメフィスト。  それは次のような内容だった。  霊玉の力を使い、新たな精霊王を生み出す。  それにより霊玉の力を使い切り、核となっている勇者達の魂を解放。  新たな精霊王は、魔族のように『それまで精霊王の加護を得ていなかった種族』や、『他の精霊王の加護を受けている種族』にも加護を与えることが出来る。  加護を与えると、元々の種族としての性質と共に、新たな種族としての特質を得ることになり、それはある種の『変質』に近い。  リバイバルの場合は、初期化の技術と合わせることで、生身の人間になることが出来る。 「――ということでーす」  メフィストの説明を聞いたクロスは、黙考したあと尋ねる。 「具体的に、どういった変化が起こるんだ?」 「リバイバルの場合はー、元の種族であるヒューマンの体になるでしょうねー。年齢などはー、今の貴方の外見的な物に準じる筈でーす」 「ヒューマンとして生き返ると?」 「違いまーす。そもそもリバイバル自体がー、幽霊の類じゃありませんからねー。リバイバルは生身の肉体がないだけで生きてるのですよー」 「……ヒューマンとして肉体を得ることが出来るが、ヒューマンではないと?」 「そうでーす。なのでー、リバイバルになったりアークライトになったりすることは出来なくなりまーす。つまり定命の運命を受け入れるということでーす。貴方の場合はー、だいたい五十年ぐらいの寿命になるでしょうねー。リバイバルならー、未練さえあれば際限なく生きれますがー」  生身がないまま未練を抱え生き続けるか、定命を受け入れ生身として生きて死ぬか、選べということだ。 「まぁその前にー、色々と片付けないといけないことがありますがー」 「どういうことだ?」 「異界同盟って組織がー、精霊王の力を探ってるみたいでーす。邪魔されたら嫌なのでー、壊滅して欲しいですねー。学園も準備してるみたいですしー」 「その手伝いをしろということか?」 「いえいえー、その前に貴方はー、結婚式した方が良いと思いますよー」 「……随分と踏み込んだこと言ってくれるな」 「経験者としての助言でーす。しといた方が良いですよー」 「……お前、結婚できてたのか」 「娘もいますよー。娘の彼氏の実家の蔵から金目の物持ち出したらぶっ飛ばされましたがー。まぁそれはともかくー、結婚式しておいたらどうですかー? その方が対外的にケジメがついて良いでしょうしー。ちょっかい出してくる人達の調査に割かれてる人員もー、異界同盟の壊滅に集中できるので良いと思いますしー。じゃ、そういうことでー」  言うだけ言って去っていくメフィスト。  あとに残されたクロスは―― 「……結婚式か」  何かを決意するように呟くのだった。  ということがあり、時期学園長であるコルネとクロスの結婚式が執り行われることになりました。  その手伝いをして貰えるよう、課題も出ています。  新たな出発の門出を、みなさんで盛り上げてあげて下さい。
この空の下のどこかに 桂木京介 GM

ジャンル 日常

タイプ EX

難易度 普通

報酬 少し

公開日 2022-11-05

予約期間 開始 2022-11-06 00:00
締切 2022-11-07 23:59

出発日 2022-11-13

完成予定 2022-11-23

参加人数 6 / 6
 後の時代の歴史書にはこう記されることだろう。  勇者歴2022年の魔王決戦において、魔王軍には四大幹部が存在したと。  顔ぶれについては基本、以下に落ち着くと思われる。  仮面道化師【ナソーグ・ベルジ】。  禁忌研究者【ドクトラ・シュバルツ】。  非実体怪紳士【スチュワート・ヌル】。  九尾の扇動者【エスメ・アロスティア】。  無論これが正解と断定はできない。あれが入っていてこれが入っていないのはおかしいとか、【シメール】や【怪獣王女】、はたまた【ガスペロ・シュターゼ】も入れるべきだとか、いっそ五大なり六大なりにしろだとか諸説が競い合うことになろう。八大幹部説をとなえる歴史学者も出るかもしれないし、逆に、ナソーグ以外は幹部ではなかったと主張する学者も出るかもしれない。  定義の正当性はさておき、上記四大幹部のその後については知られている通りだ。  ナソーグは仮面を砕かれ、かろうじて本体――闇の霊玉として生きながらえた。しかし最終的には魔王復活の原動力として消費された。  シュバルツは魔王決戦で戦死した。  エスメは魔王本体に取り込まれたが、初期化技術をうけ赤ん坊の姿へと還った。  しかしヌルのみは、魔王決戦を迎える前に学園と和平し異世界へと移住したのである。大地を持たぬ世界だ。地面のかわりに巨大飛空挺が存在するという。ヌルが譲渡を受けたのはかの地で、『無可有郷(ユートピア)』と名付けられた無人の飛空挺だった。戦いを望まぬ多数の魔族も、ヌルの引率をうけ無可有郷へ移民した。  ヌルとの別れは友好的なものではあった。『人族と魔族が結んだこの盟約が、今後も末永く続きますように』と学園生に呼びかけられたヌルが『ええ。私も望みます』と回答したことも事実だ。  だというのになぜヌルは舞い戻ったのか。  そしてなぜ、次期学園長【コルネ・ワルフルド】とむかいあっているのか。 (なんでだよ~!)  内心半ベソのコルネだったが憶したところを見せるわけにはいかない。突然来訪したヌルを、平然と迎えた。  不気味とコルネが感じたのもいたしかたないだろう。ガスマスクの頭部、オーケストラ指揮者のようなタキシードに白手袋、そしてエナメルの靴、これがヌルのほぼすべてなのだ。首があるべきところも手首があるところも、足首があるところすらも虚空なのである。透明ではなく存在しないのだ。それでいて服の内側には肉体があるように見える。だがもしヌルが袖口をまくって見せたら、やはり虚空が顔を見せるにちがいない。  慣れぬ学園長席だが慣れねばなるまい。ふかふかの椅子に座ったままコルネはヌルを迎えた。 「次期学園長のコルネです。本日は代理をつとめます」  お噂はかねがね、とヌルのマスクの奥から笑い声めいたものが聞こえた。 「ヌルと申します。本日はお話があって参りました」 「話し合い……ですよね?」 「もちろんです」 (助かったー!)  コルネは心の声を懸命にこらえた。ここはフトゥールム・スクエア学園長室、いわば本拠地中の本拠地である。いざとなれば一騎当千の学園生がいくらでもいる。なので負ける気はしないが、でも平和的に解決したい。  怪紳士は言う。 「ご相談したいのですよ。我々の……あなたたちの仮称『飛空挺団世界』との時間調整を。そして、二次移民の受付と、そちらへの帰還希望者の受け入れを」  ところで現学園長はどうしました? とヌルは尋ねた。 「……風邪で伏せっています」  初期化した【メメ・メメル】はもはや、『オレサマがかかる病気は二日酔いだけ!』といえるスーパー健康体を失っているのであった。 ◆  ローレライは半液体の美しい髪が特徴だ。彼らは髪をあまり束ねたりくくったりせず、長く伸ばすことを好む傾向にある。  ゆえにローレライなのに髪をまとめウィッグ(かつら)で隠している彼らは異様な印象を与える。しかもそのウィッグがそろって、不自然にカールした白髪なのだからなおさらだ。  だがリーベラントにおいてこのウィッグは、貴族院議員の象徴である。 「王妃陛下、公女の国婿、いずれもそのような身分の者は認められませんな」  代表は鷲鼻の横にしわを寄せ小馬鹿にしたように言った。むろん肩書きは白カツラ愛好団長ではなく貴族院議長だ。名を【アルバ・アロンソ】という。男性の老人だ。 「なんだと……!」  反対は予想していたが【ミゲル・シーネフォス】王も不快感をあらわにせずにはいられなかった。仮にも議会の代表が審議もせずに即却下とは!  リーベラントは王制ではあるが専制君主の国ではない。世襲制の貴族院議会、選挙を経て平民代表がつく国民議会、そして国王、この三者によって国家運営がなされているのだ。国王は方針を定め両議会にはかり、ときには議決に対し拒否権を発動する。  といっても貴族院は老人ばかりはびこって新陳代謝が進まず有名無実化しつつあり、大抵は国王提言後に国民議会承認、あるいは国民議会提案後に国王承認のかたちで政権運営がなされていた。かつて国民議会と国王が対立する時代もあったとはいえ、先王クラルテの代からはおおむね良好な関係がつづいている。  ところがミゲル国王とその妹【マルティナ・シーネフォス】公女の配偶者に限っては、貴族議会が口をだしてきた。もともと貴族院は自分たちが配偶者を決めると主張していたのだ。 「前代王にして兄上、アントニオ公については譲歩しましょう。ジルヴェストロ伯爵令嬢であれば家柄もいい。まあ、世襲伯ではないのが気がかりですが」  アルバは嫌味たっぷりにそう言ったものだ。【アントニオ・シーネフォス】と【ジルダ・ジルヴェストロ】の婚礼についてである。世襲伯うんぬんというのは、三代以上つづいた家でないかぎり真の名門ではない、といういかにも名門貴族の言いそうな言葉だった。(※ジルヴェストロ家は先日伯爵に昇格したばかりだ)  はらわたが煮えくり返りそうだがミゲルはこらえた。こんなに腹が立つのは、と考える。 (自分も一年ほど前までは、ああした世襲貴族的な考え方を持っていたからだろう)  だからこそミゲルは目を覚まさせてくれたフトゥールム・スクエア、そして愛する彼女にはいくら感謝してもしたりない気持ちだった。アントニオもそうだと思う。  「余はともかく、マルティナのことまで口出しする権利があるのか」  ミゲルもいまなら、亡き父王の考えがわかる。父は非ローレライ(ルネサンス族)の孤児マルティナを養女として王家に入れ、国民統合の象徴としようとしたのだ。しかしマルティナを利用しようとしたのではなかった。愛情を受けて育ったゆえか彼女は公正で立派な女性へと成長した。一時は反目し合っていた父と自分たち兄弟を融和に導いたのもマルティナだった。せめて妹だけは因襲から救いたかった。  だがアルバは譲らない。 「あります。王家の配偶者については、両議会の承認が必要と法にもありますからな」  マルティナは国民人気が高い。リーベラントとフトゥールム・スクエアの友好ムードも進んでいる。配偶者がフトゥールム・スクエアの勇者とあれば、国民議会はほぼ満場一致でマルティナの婚姻を承認するはずだ。  そうかとミゲルは思った。 「王妃がフトゥールム・スクエア出身なら国民は歓迎しよう。貴族院は国民の支持を無視するのか」  ところがこれこそ、アルバが待っていた言葉だったのだ。自信たっぷりに議長は言った。 「ですから我々は、王妃候補として学園生【フィリン・アクアバイア】嬢を推すのです!」
学園生の日常 その4 春夏秋冬 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2022-11-04

予約期間 開始 2022-11-05 00:00
締切 2022-11-06 23:59

出発日 2022-11-14

完成予定 2022-11-24

参加人数 3 / 8
 今日も今日とて、学園では学生たちの日常が続いている。 「うおぉぉ、年末が近いせいで忙しい」  学食で、かっ込むように昼食をとる友人に学園生は声を掛ける。 「どしたん?」 「聞いてくれるか」 「いーよ。どーせ、それが目的で相席したんだろ?」 「まーな。てか聞いてくれよー。学園長が変わるじゃんか」 「そだな」 「それの玉突き事故で事務仕事が増えて借り出されてるんだよぉぉ」 「あー……お前、教職目指してるから良いんじゃね?」 「そりゃまぁ、コネとか出来るからそこは良いよ。でもさー、事務仕事はしつつ単位も落とすなってのは厳しくない?」 「普段から授業出てたら余裕だろ」 「……出席日数ギリギリなんだ」 「アホなん?」 「しょうがないじゃんかー色々あったんだからさー。で、物は相談なんだけど――」 「手伝えってんならバイト代は出せ」 「えー金取るのかよー……って、金出したら手伝ってくれんの?」 「今月金欠なんだよ。で、どうする?」 「おねがいしやす!」  などという話が、学園では見られます。  他にも学園生ごとに、それぞれの目的に沿った日常を過ごしています。  中には、邪悪な何かと戦う者もいるでしょう。  あるいは、力なき人々に手を差し伸べるため奮闘する者もいる筈です。  ひょっとすると、過去の因縁にまつわる何かの決着をつけるため動いている人もいるでしょう。  そうした重苦しいことだけでなく、明るい日常を送る者もいるのです。  日常と一口に言っても、人によって千差万別。  その日常を守るために、学園は力を貸してくれるでしょう。    そんな中で、アナタ達は、どう未来を進みますか?  自由に、好きなように、アナタ達の物語を進めてみてください。
異世界留学 春夏秋冬 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2022-10-27

予約期間 開始 2022-10-28 00:00
締切 2022-10-29 23:59

出発日 2022-11-06

完成予定 2022-11-16

参加人数 2 / 8
 世界は、無数に存在する。  それは異世界転移門があるセントリアが証明していた。  なにより、他の世界から訪れ、こちらの世界の『人間種』に変化した者が学園にも多数在学していることからも明らかだ。  その内の1人、高度な科学技術により『星の海』を渡ることさえ出来る世界から訪れた【レネンヴィオラ・ウェルス】は、今後のことを話し合っていた。 「メフィちゃんの申し出~受けることになったわ~」 「おーう。ありがたいですねー」  レネンヴィオラに礼を言うのは、【メフィスト】。  学園がある世界とは別の世界の人間だが、彼はレネンヴィオラ達に提案をしていた。  それは全界連盟(ワールドオーダー)と呼ばれる、異世界間の共存組織に入らないかというものだった。 「助かりますよー。星の海を渡れるほどの科学力を持った世界はー、中々お目に掛かれませんからねー」  メフィストが言うには、その段階に行くまでに、大抵の文明は滅ぶか停滞するとのこと。 「それでー、そちらの本部はどこに置くつもりですかー」 「いま~避難民を受け入れている惑星に~置こうと思うの~」  魔王との決戦時、レネンヴィオラの世界は惑星1つ丸ごと避難地にした上で引き渡すという離れ業をやってのけた。 「元々は~こっちの生物全部~避難させるつもりだった場所だから~広さも~居住性も十分だし~」  それだけ好条件の惑星を用意していたのは、いまレネンヴィオラが言った通り、場合によっては、こちらの世界の生き物を全て移住させるつもりだったからだ。  なぜならレネンヴィオラが所属している組織、CGFは、こちらの世界の住人の力では魔王を倒せないと判断していたのだ。  高度な科学を前提とした分析により、それは正しい見解ではあったが、幾つもの条件が重なり、魔王は無力化された。  結果、CGFは評価を改め、むしろ学園側に力を借りれないかと思っていた。なぜなら―― 「広さは十分だけど~ちょっと~大き過ぎるかもしれないの~」  何しろ惑星ひとつ分である。  それに比べ避難民は少なく、とてもではないが星を維持することができない。 「他から人を呼ぶことは出来ないのですかー?」 「ちょうど~そういう申し出があったんだけど~それはそれで問題があるの~」  メフィストの問い掛けに、レネンヴィオラは説明した。 「新しく入植してくれる人達の方が~すごく人数が多いの~」  余りにも数に差があるせいで、肩身の狭い思いをしてしまうかもしれないとのこと。そもそも―― 「避難民で~あちらに残る人は~こちらの世界で~肩身の狭い思いを~してきた人達だと思うの~。詳しく話せる人に~説明して貰っても良い~?」 「お願いしまーす」 「分かったわ~」  レネンヴィオラは応えると、空間投影型ディスプレイに1人の人物を映し出す。 『始めまして。私の名は【ダゴン】。異界の方、どうか見知りおいていただきたい』  それは頭髪がうねうね動く触手で、牙が百本はありカチカチと音を鳴らした、目が血のように赤いダゴ星人だ。  見た目は怖いが、理知的な声で物腰は柔らかい。 「ダゴちゃんは~参謀副長なの~」 「おーう、お偉いさんですねー。どうもでーす」  微妙にごまを掏ろうとするメフィスト。  そんなメフィストに、ダゴンは説明した。 『我々が最も懸念しているのは、最終的に戦争に発展することです』  ダゴンは恐れを口にする。 『避難民の健康診断で、そちらの世界の人は、こちらの世界では大幅にパワーアップすることが確認されています。その拡大した力で大きな戦争に発展したら、ただでは済みません』 「おーう、それはー……新たに入植する人達がー、一方的にやられちゃうかもってことですかー?」 『いえ、それは無いと予想しています。なぜなら入植を予定している人達は、遠い昔に、そちらの世界からこちらの世界に訪れた者達の子孫ではないかと推測されるからです』  遺伝子レベルで近しい種族である事は既に確認しているという。 『1人1人が、稀なレベルの力を持っています。幸い、問題行動をとるような人達ではないので大事にはなっていませんが、そちらの世界の住人と接触することでどういう変化が起きるか、予想も出来ません』 「おーう、それはー……こちらの世界のようにー、世界からの制約も何も無いってことですかー?」 『我々と、そちらの世界。そして貴方の世界の大きな違いは、恐らくはそれだと思います』  ダゴンは、思案するように無数の牙をカチカチ鳴らしたあと続ける。 『そちらの世界の上位者は、うまく力の制限をかけているようだが、こちらの上位者は野放図なようです。でなければ、宇宙怪獣だの、L01i星人だのは、生まれぬ筈ですから』 「おーう、それは恐らくー……世界を創った者がいなくなってるかー、自然発生タイプの世界ってことですねー」 『どういうことなのだろうか?』  ダゴンの問い掛けにメフィストは応える。 「世界と一口に言ってもー、色々あるのですよー。世界の外側に単独で存在できる『超越者』が創造神として創った世界もあればー、世界そのものが外界から創造者となるモノを喚び寄せる世界もありまーす」  学園のある世界は後者らしく、無限の魔力が存在する世界が『人』を喚び寄せ、世界のバックアップにより創造者とした世界とのこと。 「自然発生型の世界の場合はー、恣意的な制約が無い『自然な』世界になりますしー、世界を創った者がいなくなってればー、制約を課す者はいませーん。もっともー、なにか意図があって掛けてない可能性もありますがー」 『ふむ。興味深い話だが……と、申し訳ない。話が逸れそうなので元に戻させて貰うが、我々は今までになく稀有な力を持つ同胞の発生を恐れていると同時に、期待もしています』 「どういうことですかー?」 「一言で言うと~人手が足らないの~」  レネンヴィオラは言った。 「第一級侵略型生命体のせいで~CGFの隊員が~たくさん殉職しちゃったの~」  憂いを込めた声を一瞬だけさせ、気持ちを切り替えるようにレネンヴィオラは続ける。 「だから~学園生の子達に~一時留学して~もらえないかと思って~。そうすれば~抑止力の証明にもなるし~移民問題も和らぐわ~」 「なるほどー。それは学園生ならだれでも良いのですかー?」 「ある程度は力がないと~危ないわ~。学園の評価基準で言うと~レベル45以上ね~」 「おーう、それはどうにかできますよー」 『できるのかね!?』  ダゴンにメフィストは応える。 「こちらの世界にはー、魔王を封じた勇者の魂を核にした霊玉がありまーす。その力を使えばー、一時的にレベルを上げられまーす。試してみますかー?」 「いいかも~」  というわけで、一時的にレベルを上げ、レネンヴィオラの故郷である世界で任務を手伝う課題が出されることとなりました。  この課題、アナタ達は、どう動きますか?
GDプロジェクトに協力しよう 春夏秋冬 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2022-10-19

予約期間 開始 2022-10-20 00:00
締切 2022-10-21 23:59

出発日 2022-10-29

完成予定 2022-11-08

参加人数 4 / 8
 GDプロジェクト。  それは異世界の技術を組み合わせ作られる巨大機体計画のことだ。  発案者は、【シルク・ブラスリップ】。  彼女は今、学園で危険な実験を行ったことで休学処分(潜入工作のための演出)となったあと、異世界出身者が中核メンバーである異界同盟と呼ばれる組織の客分となっていた。  そこで、他のマッドサイエンティスト……――もとい、研究者達と共に、巨大機体の製造に勤しんでいる。  そんな彼女が、ライバル研究者のリーダー格、【ヤン】に呼ばれていた。 「何の用?」  フェアリータイプのエリアルなので、ふわふわ浮かびながらシルクはヤンに尋ねた。 「パイロットを寄こせって言うならダメよ」  シルクのチームのパイロット、【ゼノ】は、類まれな操縦技術を使い試作段階で目を見張る動きを見せている。  そのデータをフィードバックさせることで、シルクの研究チームはメキメキと成果を上げていた。 「ゼノは、うちの大事なパイロットなんだから。良いパイロットが欲しいなら、そこは自分で見つけて来ないと」 「道理だな」  落ち着いた声が返ってくる。 「……なにかあった?」  気になったシルクが声を潜めて聞き返すと、ヤンは応えた。 「この場所は盗聴対策をしてある。だから話すが、お前は学園と繋がってるな?」 「そりゃ、学園生だもの。休学中だけど」 「心配しなくても、その事で糾弾するつもは無い。むしろ協力を求めたい」 「……どういうこと?」  ヤンの真意を窺うように尋ねると、明朗な応えが返ってきた。 「結論から話す。私も含め、研究チームを学園に保護して欲しい」 「……危機感を抱くようなことがあったってこと?」 「ああ」  ヤンは応えると、詳細を説明し始めた。 「うちの研究チームの情報が、上に抜かれてる。それに合わせて、うちで製造中の機体の資材が流れているのを確認した。十中八九、うちのチームの研究成果を上が奪うつもりだ」 「それは……あり得るわね」  異界同盟の壊滅のため、潜入工作をしているシルクだが、ここしばらく内部で活動している中で、下部組織の上前を撥ねるような組織だというのは感じ取っていた。 (死人兵なんてものを作ってるぐらいだし)  死者を利用した兵隊を作り出し、異界同盟に所属している者に『死後の利用許可』を求めるような組織だ。 「研究成果だけ取られて捨てられるぐらいなら、学園に確保された方がマシってことね」 「そう取って貰って構わない」  ヤンは平然と応えると、続けて少し悪い顔を覗かせながら続ける。 「学園に保護を求めるが、その前に、少し協力して欲しい」 「……内容によるわね」 「なに、お前にとっても悪い話じゃない。そちらの機体と、こちらの機体の模擬戦を行いたい。その協力を学園に求める」 「逃げ出す前に実験したいってことね……良い性格してるわねぇ」 「否定はしない。だが、お前も望むことだろう? 自分が作った物を、思う存分動かしたいと思うのは、作り手の性だろう?」  そこまで言うと、続けて―― 「巨大ロボットでバトルしたいって思うだろ」 「分かる」  即答だった。 「やっぱり作るだけじゃなくて、動かしてみたいわね」 「くくくっ、さすがシルク・ブラスリップ。私がライバルと認めただけはある」 「はいはい。おだてても何も出さないわよ?」 「本音を口にしただけだ。まぁ、それはそれとしてだ。実利の面でも必要だ」 「実利?」 「ああ。うちのデータをパクってる部署だが、資材の動きが派手だ。恐らく大量生産しているはずだ。しかも死人兵をパイロットにしている可能性が高い」 「……そこまで予想できるの?」 「うちで作っている機体の性質と、死人兵の相性は良いからな」  ヤンのチームが作っているのは、機体と操縦者の感覚を一体化させる、『人機一体型機体(エクステンションマシン)』。  操縦者の肉体と機体を同調させることで高度な動きを実現できるが、操縦者に機体の損傷が痛みとして伝わる欠点がある。  だが死人兵なら、死んでいるのでお構いなしというわけだ。  それに対してシルクのチームが作っているのは、ゴーレム技術を併用した、機体にパイロットの補佐をするAIが組み込まれた『相棒型機体(パートナーマシン)』。  操縦者が誰でもある程度は動かせる利点がある代わりに、一定以上の動きを取るには、AIと操縦者の相性が重要になってくる欠点がある。 「――とにかくだ」  話を纏めるように、ヤンは言った。 「勝手に研究成果を盗み出すような奴らの下でこれ以上やってられんので逃げることにした。だがその前に、組織の金と資材で実験して、今ある機体をチューンナップする」 「……それを使って暴れて、逃げ出すってわけね」 「ああ。どうだ? この話、乗らないか?」 「乗った」  笑顔で応えるシルクだった。  そして学園に連絡が来ます。内容は――  異界同盟の兵器部門研究者を、学園に保護要請。  ただしその前に、巨人機体の稼働実験に協力を求む。  その際に得られたデータで機体を強化し、異界同盟からの脱退時に使用する計画を進行中。  というものでした。  これを受け、学園は課題を出し、アナタ達は協力するのでした。
シェリーに口づけ 桂木京介 GM

ジャンル ハートフル

タイプ EX

難易度 簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2022-10-18

予約期間 開始 2022-10-19 00:00
締切 2022-10-20 23:59

出発日 2022-10-26

完成予定 2022-11-05

参加人数 6 / 6
 華燭の典と書けば大仰だが、ようは結婚式である。  長い歴史を持つフトゥールム・スクエアで、婚礼が行われるのはこれが初めてではない。  といっても、舞踏会も開催できる格調高き講堂や、野外パーティにもってこいの風光明媚な湖畔、あるいは霊樹前に即席のチャペルを設け厳粛に……というスタイルではなく、普段づかいの学食を会場にするというのは学園史上初ではなかろうか。  ここは日夜とりわけ昼食どきには、喧騒が支配し料理が競り市のように飛びかい、食事と団らん、おしゃべりにも討論にも満ちる一種の戦場だ。ときに決闘沙汰ときに恋愛、決起集会や悪だくみ(=【メメ・メメル】のいたずら)が醸成されることもある。よそ行きの化粧をほどこした学園名所ではなく、いわばスッピンの日常生活拠点、それが学食なのだ。  柱は油汚れでテカテカ、床には変なシミができておりテーブルは落書きや彫り物だらけ、扉の蝶番もキイキイ鳴る。もちろん祝宴を迎えるにあたり掃除はしたけれど、口が裂けてもゴージャスな結婚式場とはいえまい。  でもこれがいいのだと花嫁――【ヒノエ・ゲム】は言う。 「だってここが、 あたしの職場なんだからね!」  ウェディングドレスとて学園有志による手縫い、真っ赤な髪に純白のベールを重ね、花嫁ヒノエはその父【アーチー・ゲム】にエスコートされ入場する。会場も衣装も質素だけれど、それでも目が覚めるような晴れ姿だ。コブだらけ眇(すがめ)にして禿頭という悪人づらのアーチーだが、今日ばかりはお仕着せながらタキシードを着て、娘の門出に感極まった様相(というかすでに半泣き!)ゆえか、それなりに人のよさげな親父に見えた。  祭壇、といっても普段はキッチンカウンターとして使われる場所にしつらえた即席のものにて彼女を待つ花婿は、リーベラントからの留学生【パオロ・パスクヮーレ】だ。白いタキシードだがフトゥールム・スクエアの学園章を胸にあしらい、やはり学園カラーのネイビー、さらにはリーベラント国を象徴するパールレッドをアクセントラインとして配しているのは、学園とリーベラントの永き結びつきを体現したいという意味だろうか。もともと貴公子然としたパオロだが、今日はいちだんと輝いて見えた。  本日は大切な席ということで、今年いっぱいで学園長を退くメメ・メメル、二代目学園長就任予定の【コルネ・ワルフルド】はもちろんのこと、リーベラント王【ミゲル・シーネフォス】、その兄にして王を補弼(ほひつ)する【アントニオ・シーネフォス】、前王の養女だが今では王家の一員として溶けこんだ公女【マルティナ・シーネフォス】も列席していた。  もちろんおヒゲのダンディ【メフィスト】も異世界交流代表としてかしこまっているし、最近では『大ドーラ』と呼ばれることも多い【ドーラ・ゴーリキ】(怪獣王女)も、魔族と学園の両方に籍を置く身としてこの場にいた。なお大ドーラの呼び名は、本人もけっこう気に入っているそうだ。  つつがなく式が進みそのまま披露宴、すなわち立食パーティへと移るやすぐに、マルティナは貴賓席から降りて、 「みーつけたっ」  ある学園生の袖を引っ張るのである。 「ちょい抜け出さへん? うちな……胸キュンの式を見てたらなんか暑うなって」  外の空気にあたろうとマルティナは誘う。  同じころやはり、ふたりの女性に左右の袖を引かれている学園生もいる。なぜなのだろう左右の女性いずれとも、図書館でよく見る顔だ。  外はもう夜だ。 「はあぁ~」  日ごろは屋内が満席のときにつかう屋外テラスも、いまは披露宴会場の一部と化しており、ほうぼうで飲めや唄えやのいいアンバイとなっているが、離れた席ならまだ静かだ。屋外テラスのもっとも暗い席、テーブルに突っ伏してコルネは尻尾で床をこすっている。 「疲れる~」  もうギブアップしたいと弱音をはくと、慣れる慣れると言ってメメルが笑った。  コルネは次期学園長と決まった身の上、結婚式ではコチコチに緊張しながらスピーチをして、大量の汗を額と背にかいた。スピーチライターなんて便利なものはないから、当然文面も何時間もかけ自分で書いたものである。おかげで今日は寝不足でフラフラだ。なのにリーベラントの王族はもちろん、その他諸国からの代表もこの式に訪れたものだから、その一人一人に会ってあいさつをして、苦手なよもやま話までした。いっぽうで学園生たちからも次期学園長の意気ごみを聞かれたりするものだから、茹ですぎたスパゲッティ並にくたくたなのだった。 「学園長、よくこんな大変な役目ずっとやってましたねぇ……」 「オレサマの偉大さがわかったろう? ま、さっきも言ったがいずれ慣れるさ」 「慣れませんよぅ……アタシ、そんなに器用じゃないモン」 「だったら器用なパートナーに頼ったらよかろーて☆」 「……えっ?」  コルネが顔を上げたとき、すでにメメルの姿は席になかった。  この日の結婚式がきっかけであったかのように、学園にロマンスの花が咲きはじめた。  つのる想いを打ち明けるとき、唐突にやってきた一目惚れ、すれちがいや散る恋だってあるだろう。秋を彩る恋模様だ。  けれどハートフルの波はただ、恋愛にだけとどまるものではない。  別種の切ない感情が降ることもある。  ある人は、旧友の墓をたずねるかもしれないし、  ある人は、長く絶縁関係だった親元を訪(おとな)うかもしれない。  あなたに訪れた心の変化を、映し出す物語になるだろうか。
学園生の日常 その3 春夏秋冬 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2022-09-13

予約期間 開始 2022-09-14 00:00
締切 2022-09-15 23:59

出発日 2022-09-22

完成予定 2022-10-02

参加人数 5 / 8
 今日も今日とて、学園では学生たちの日常が続いている。 「いよっしゃー! セントリアに潜り込めたー!」 「マジか。おめでとう」  友人を祝いながら学園生は言った。 「それで、どんな伝手で入ったんだ?」 「親戚のおじさんが実験材料の納入業者してたから、その手伝いしつつ地道に研究員の人達に売り込みかけてたら採用された」 「執念だねぇ。でもこれで、異世界関連の実験できるんじゃねぇか?」 「そうなると良いけど、まだ先は長ぇな。それで、そっちはどうよ」 「俺か……あ~、色々とあるなぁ」 「んだよ、歯切れ悪いな」 「学園の中とはいえ、詳しく話せんのよ。ほら、例のアレ」 「それって、例の同盟のヤツか?」 「まぁ、そんなとこ。色々と水面下で動いてるから、俺も援護に入ってんのよ」 「は~、大変だな」 「他人事みたいに言ってる場合じゃないぞ。こっちの活動が巧くいかなきゃ、セントリアの異世界研究に待ったがかかるかもしれんし」 「なんでだよ!」 「そんだけヤベーってこったよ」 「いやそれダメだろ。せっかく潜り込めたっていうのに……頼むからどうにかしてくれ」 「へいへい、せいぜい頑張るよ」 「いやもっとやる気だせ! あーもー、そんなことなら俺も何か手伝わせろ! これまでの苦労を水の泡にさせてたまるか!」 「いいね。人手は多い方が良いしな。じゃ、先生の所に行こうぜ」  などという話が、学園では見られます。  他にも学園生ごとに、それぞれの目的に沿った日常を過ごしています。  中には、邪悪な何かと戦う者もいるでしょう。  あるいは、力なき人々に手を差し伸べるため奮闘する者もいる筈です。  ひょっとすると、過去の因縁にまつわる何かの決着をつけるため動いている人もいるでしょう。  そうした重苦しいことだけでなく、明るい日常を送る者もいるのです。  日常と一口に言っても、人によって千差万別。  その日常を守るために、学園は力を貸してくれるでしょう。    そんな中で、アナタ達は、どう未来を進みますか?  自由に、好きなように、アナタ達の物語を進めてみてください。
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