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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



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悪役のシナリオ 秀典 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 通常

公開日 2019-10-23

予約期間 開始 2019-10-24 00:00
締切 2019-10-25 23:59

出発日 2019-10-31

完成予定 2019-11-10

参加人数 4 / 8
 学園のとある一室。  長机をコの字に並べ、黒い全身タイツを着た人物が並んでいる。  その中心には、リーダーらしき男が座っていた。  その名を【アクス・ルゾー】といい、このクラブの創設者である。 「もうすでに事情は知っていると思うが、まあ座ってくれたまえ」  アクスは前にある椅子に手を向ける。  そこに座ると、アクスから説明が始まった。 「今一度説明しよう。我等悪の巣窟は、ピカピカの新入生を相手に活躍するクラブである。活動内容は、時に花壇の葉っぱを千切り、窓に落書きをし、挙句の果てには合意の上の女生徒を攫ったりと、学園において悪逆非道の数々を繰り返し、相手に解決させ、倒されて自信をつけさせることにある。つまりは我等は悪役なのだ」  アクスがバッと手を上げると、周りから歓声と拍手の音が聞こえて来る。  しかし手を下ろすと、何も無かったかのように静けさを取り戻す。 「だが都合が悪い事に、遠出の為に殆どの人員が出払うことになってしまってな。……言いたい事は分かるだろう? ハッキリ言えば、我等の手先となって悪の限りを尽くしてほしい。まあここに来たということはやる気があってのことだろう」  アクスは手を組み合わせて両肘を机に置いた。 「もちろん何が有っても勝ってはならない。負けることが使命なのだ。狙うのは、【アクエリア・セレスティア】と、【スコーピオ・レダトリア】の二人だ。アクエリアは11歳の少女、それとスコーピオは12歳の少年だ。当然、学園は了承済みである。もう一度繰り返すが、決して勝ってはならぬ仕事だ。やれるのだな?」  アクスは指を組むのを止めて、胸の前で腕を組む。 「ふむ、頷いてくれて嬉しいぞ。まあ方法は何でも構わない、君達の好きなようにやって貰えればいい。ただし、体に傷をつけるようなことはしては駄目だ。悪役の道に反するからな」  アクスは机の下、備え付けの棚に置いてあった資料を取り出す。 「ではこの資料を渡しておこう。好きに使ってくれたまえ」  アクスは前に資料をつき出し手渡した。 「決行は明日の朝から、昼にかけてだ。それと、この部屋は自動的に消滅する。次この部屋に入ったとしても、我等は存在してはいない。では、健闘を祈る」  座っていた人物が立ち上がり、部屋の外へと向かう。  部屋の扉が閉まり、もう一度扉を開けたのだが、そこには黒い人物の痕跡さえ残されていなかった。  悪の巣窟とは一体なんだろうかと、そう考えても答えは出て来ない。  しかし手渡された資料は本物で、この場に来たからにはやるしか無いのだろう。  資料を開き、決行の日にちを待った。
クマさんとハニーハント 七四六明 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-10-15

予約期間 開始 2019-10-16 00:00
締切 2019-10-17 23:59

出発日 2019-10-24

完成予定 2019-11-03

参加人数 5 / 8
 秋も中旬。蜂にとっては繁殖と越冬のための大事な時期。故に攻撃的になる時期。それは、蜂型の魔物もまた同じ。  巣の近くを通る旅人らを襲う蜂型の魔物駆除のためやってきた新入生一行。  しかし森の中、魔物や獣との遭遇を回避するために迂回を続けていたせいで道に迷ってしまう。  そこに別の依頼を終えて帰路の途中にあった先輩らと偶然出会い、事情を説明すると先輩の一人が提案した。 「クマさん、この子達を案内してあげたら? あなたなら、蜂蜜の匂いを頼りに見つけられるんじゃない? 手助けしてあげなさいよ、大好物でしょ?」  無言で頷くクマのルネサンス。通称【クマさん】。  周囲も皆がクマさんと呼ぶため、新入生らは彼の本名を誰も知らない。そして喋っているところを見たところがないくらいに無口で、表情もほとんど変わらないため何を考えているかわからない人だが、協力してくれるらしい。 「蜂型の魔物は巣の中で新女王が越冬し、また新たに子供を産み、巣を作る。早めに叩き潰しておいて損はないだろう。報告はしておく。せいぜい後輩らの面倒を見てやれ、クマ」 「ほな、みんな頑張ってなぁ。近々ハロウィンパーティーもやるさかい、いい蜂蜜取って来て欲しいわぁ。木に引っ付いてる部分を切れば簡単に落っこちるから、頑張ってなぁ」  と、流れで蜂蜜採取まで頼まれてしまった一行は、無言のクマさんについていく。  クマさんとのハニーハントが、始まったのだった。
【優灯】 Trick yet Treat! 伊弉諾神琴 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 とても難しい

報酬 多い

公開日 2019-10-12

予約期間 開始 2019-10-13 00:00
締切 2019-10-14 23:59

出発日 2019-10-20

完成予定 2019-10-30

参加人数 7 / 8
 ハロウィンを数日前に差し掛かったある日の学園都市、レゼント。  中身をくりぬいたカボチャを幾つも陳列している商店の男性。鋭く尖った牙のアクセサリや付け耳付け鼻など装飾品を作っている女性などなど、思い思いに仮装や装飾の準備をしながら語らう人たちを眺めるのは【コルネ・ワルフルド】。  とある事件を端とし、ハロウィンというイベントのイメージを悪くしている人が多かったのだが、多数の生徒の尽力もあり、そこそこハロウィンムードで賑わっているという様子だ。 「万事問題なさそうかな!」  軽く見回りを終えたコルネは売店で干しブドウの大袋を買っていた。大きな袋一杯の干しブドウを抱えて、ほくほくと効果音が出そうな表情と軽やかなステップで通りを歩いていると、何やら上空から自分の名前を呼ぶ声がした。  聞きなれている声。立場上自分の上司の声。自分によく無茶ぶりを仕掛けてくる声。勢いよく晴天の空を見上げると、体を覆い隠すかのような大きな帽子とマントに身を包む女性が一人、箒に跨っていた。 「コールネたーん! トリッーク・オア・トリートー!」  校長先生の【メメ・メメル】だ。普段は見回りなんてしないような人なので、珍しくレゼントの上空を飛んでいることにコルネはやや驚く。ついでに気になることと言えば、何故か彼女の右手には深紅の液体が入ったグラスを携えられていることだ。 「校長先生……まだハロウィンは先ですよ? それに箒に乗って珍しい……というか、そのグラスはなんです?」 「まーまー、コルネたん! 何はともあれ駆け付け一杯ってことでぐぐいと飲みたまえ!」 「それを言うなら三杯……ってこれワインじゃないですか!?」  話の流れもお構いなしと、ずずいと顔を近づけ強引に手渡されたのはブドウの醸造酒こと、赤ワインだ。鮮血のような深紅色の液体は、濃縮したブドウの芳しい香りを漂わせている。  仕事中故いくら校長権限と言えど飲めません、と丁重に断ったコルネの耳元でうわ言のように呟いた。 「……知り合いのツテで貰った特製の干しブドウワイン……極上の干しブドウで作ったこのワイン、口の中ではほのかな甘みと深い苦みが最高のハーモニーを奏でる――」 「いただきますっ!」  飲む意欲を掻き立てるような言葉……よりも干しブドウという一言に反応した気もするが、有無を言わさずコルネは一気に飲み干した。  そんな彼女へと、メメルは形容しがたい邪悪な笑みを浮かべる。特製、極上、最高という謳い文句に恥じない芳醇かつ重厚な味わいが舌一杯に広がり、ついうっとりしてしまうコルネだったが、すぐに体に異変が起こる。 「ん……あれ? 校長先生が……分身して……みえ――」  虚ろな目でメメルを見たり目をこすったりしていると、数秒後にパタリと地面に崩れ落ちるコルネ。 「ふふっ……オレサマの計画通りだなー!」  頬を指で突いて起きないことを確認すると、胸元から蛍光色の液体が満ちた試験管を取り出す。中身は所謂睡眠薬であり、コルネが瞬時に眠るようにメメル自身が調合したものだ。  ここでその光景を見てふと足を止めた学園生徒や、そのまま通り過ぎる人々は一同にこう思っていた――何故そんなことをするんだ、と。  コルネが抱えた干しブドウの大袋をメメルはどうにかひったくる。昏睡しているはずなのに、凄まじい握力で中々剥ぎ取れなかったことに爆笑しながら、手近にいた男子生徒へとパスした。 「そこのチミ! これの一枚目を今、高らかに読み上げるのだー!」  そして再び胸元……というかその豊満な胸の谷間から数枚のカードを取り出すと、ウインクして傍にいた女子生徒へと渡す。その一枚目をメメルに読み上げるよう促されると、恐る恐る口を開いた。 『これは抜き打ちテストだぞっ! 干しブドウの袋を持ったまま、ファンタ・ブルーム大講堂内に辿り着くのだー! 昔のチミらと一味も二味も違うとこ、コルネたんに見せつけちゃえっ!』  話の内容が飲み込めない生徒たちへにんまりと微笑むメメル。 「それじゃあ頑張りたまえよ、チミたち! トリック・イェット・トリート!」  それだけ言い残すと、メメルは箒に跨ってすたこらさっさと空の彼方へ消えていった。  干しブドウの袋、持ち主はコルネ先生、眠らせて奪い取った――袋を渡された生徒は青ざめる。  これが狂騒と波乱の幕開けだということに気付くのは、数秒と掛からなかった。
【優灯】お化け盗賊をやっつけろ! 機百 GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

公開日 2019-10-12

予約期間 開始 2019-10-13 00:00
締切 2019-10-14 23:59

出発日 2019-10-21

完成予定 2019-10-31

参加人数 5 / 8
●鏡と白い何か  秋晴れの朝。あなたは小さくあくびしつつ、洗面所に立った。  まずは水を口に含んで、軽くすすいでから吐き出す。次に自分のコップの中に立てた歯ブラシを取り、ブラシに適量の歯磨き粉をつけて歯磨きを始めた。  鏡に映る自分は、少し顔色が悪い。今日は空気に寒気が混じりつつあり、風邪をひきかけているのかもしれない。  もうじき十一月で、冬の入り口に差し掛かっている。ハロウィンの時期でもあるが、どうもおかしな話をよく耳にする。多くの人が記憶を無くし、魔物の大軍を引き連れた奇妙な三人組が現れたという話だが――。  考え事をしながら歯磨きをしていると、何の前触れもなく、パカッと鏡が開いた。  思わず目をむいてしまう。『鏡』が扉のように開いたのだ。  そしてその向こうには、狂気的な気配を瞳に宿した、女性教師の顔があった。 「やあ、おはよう。いい朝だなァ?」  思わず口の中身を吹き出してしまった。この女性教師の褐色の顔にかかってしまうが、それどころじゃない!  さらに歯磨き粉が喉に飛び込んで、ついむせて咳き込んでしまった。  なんて朝だ! 「おおっと……顔に遠慮なくぶちまけるとは、なかなかいい素質だなァ?」  何が!? 訳が分からないよ! と言うか分かりたくもない!!  女性教師はこっちが咳き込むのを無視して、水場の蛇口を開けて自分の顔をさっと洗い流すと二タッと笑い、 「そんな事よりもお前に課題を与えよう。放課後に呼んでやるからな」  一言だけ伝えると、鏡をパタンと閉じていなくなった。まるで、最初から自分しかいなかったかのようだった。  こっちがやっと落ち着いたらこれである。女性教師が言ったことは一応理解できたが、今はそんなことを考えられなかった。  この鏡、少し調べてみたがどうやっても開けることができなかった。念のため、接着剤を縁に塗っておこうか。 ●脱力して真剣に聞いて困惑して  そんなこんなで、例の女性教師は放課後の教室で説明を始めた。 「さて? ここ最近、ハロウィンが怖いものになっていると評判らしいなァ? その影響なのかどうか分からないが、エルメラルダで面白い話を耳にした」  ろくでもない事のような気もするが、一応聞いておこう。 「夜間、エルメラルダ近辺の森でキャンプをしていた隊商が、奇妙な盗賊に襲われた。そいつらは何と、揃いも揃ってお化けの恰好をしていたらしい」  何それ。  それは確かに奇妙な盗賊というほかない。盗賊達もハロウィンを楽しむ気は……いや、それはないだろう。 「どうもこの盗賊達、巷でハロウィンが恐ろしいことになっていることに便乗して、お化けの恰好をして悪事を働くことで相手の戦意を喪失させているらしい。なかなか冗談のような話だが、これまでに二回も被害が出たそうだ。だが盗賊に襲われたものの、魔物に襲われたという報告はなかった。偶然だろうが、例の三人組の魔物はあの辺りに出没しないようだ。故に盗賊だけに専念してくれ」  こうして話を聞く分にはまさに冗談のようにしか聞こえないが、逆に言えば例の三人組による影響がそれほどまでに大きいと考えるべきだろうか。  何にしても、そんな卑劣な盗賊は成敗しなければならない。 「ここで注意してほしいのだが、盗賊達は奥の手として『眠りの粉』を持っている。それほど珍しい道具ではないが、簡単に手に入るものでもない。これを顔面に振り撒かれると、戦闘中だろうと簡単に眠ってしまうからしっかり対策しろよ? だが、ここにちょっと引っかかる点があってなァ……」  するとこの女性教師は小さく眉間にしわを寄せて目を瞑りながら話し始めた。  眠りの粉を塗されるなら、少々値は張るが購買で売られている道具で対処できるだろう。それでは駄目なのだろうか。 「そうではなくてだな、この盗賊達が使う眠りの粉で眠らされた者は、全員がとてもひどい悪夢にうなされたそうだ。悪夢の内容は様々だが、起きた時には疲労でガタガタになるほどの恐ろしい悪夢だったと証言している。一般に出回っている眠りの粉に悪夢を見せる効果はない筈なのだがな? それを確かめるためにも、奴らが持つ眠りの粉を、使われる前に一袋だけでも確保してきてくれないか?」  やるべきことはそれほど難しくはない。だが、話が奇妙な方向に向かってきていると思った。  ただの偶然とは思えないが、どういうことなのだろうか? 盗賊達を捕らえれば分かるのだろうか? 「お前達には、エルメラルダ行きの隊商に同行してもらう形で護衛してもらうぞ。盗賊の強さはまちまちだが、こちらの数が余程少なくない限りは苦戦することはないだろうな。だが安心するといい。【ミロワール・ド・スクレ】が盗賊達を討伐すると予告状を出したのでなァ」  ミロ……えっ、何だって? 「大陸中の多くの悪人の悪事を暴いてきた、一定の姿を持たない正義の怪傑だ。まだ卒業はしていないが、一流の腕を持つお前達の先輩でもある。見た目はアレだが、頼りになるはずだぞ。尤も、何を目的とし、どんな姿で現れるかまでは私にも分からないがなァ」  また話が妙な方向に進み始めた。ミロ……何とかさんは、本当に頼りにしていいのだろうか? 「今回の課題の一番の目的は、仮装盗賊の討伐だ。眠りの粉の件は、なるべくといったところだ。説明はこんなところだなァ」  女性教師は生徒達をちらりと眺めて、そう締めくくった。
【優灯】名人の記憶を取り戻して! はまなたくみ GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

公開日 2019-10-09

予約期間 開始 2019-10-10 00:00
締切 2019-10-11 23:59

出発日 2019-10-17

完成予定 2019-10-27

参加人数 4 / 8
「うわあああああああ!?」  フトゥールム・スクエアの教員である【コルネ・ワルフルド】は叫びながら飛び起きた。跳ね飛ばされた布団が床に落ちる。心臓はバクバクと早いリズムを刻み、全身にはびっしょりと汗をかいていた。 「い、嫌な夢だったよ……」  まさにコルネ先生にとっては悪夢だったろう。世界から干しブドウが一粒残らず無くなるなどという夢は。 「ま、まさか正夢になるわけないよね!」  彼女はそう自分を納得させると、夢のことは忘れて身支度を始めるのだった。 「プレグさん、今日も精がでるねえ」  ここは学園の近くにあるフリセッキ村。この村は水はけのよい土で覆われ、日当たり良好なため、農作物を育てるのに非常に適していた。ここで育てられた良質の作物の一部は学園にも運ばれている。  その村で働く一人の老人に、通りがかりの男が話しかけていた。 「おう、今日もいい天気じゃからな。この天気を逃す手はないってもんじゃ」  【プレグ・イーラッド】は話しかけてきた住民に上機嫌で答える。彼の仕事は干しブドウづくりだ。しかも彼はただの干しブドウ職人ではない。干しブドウづくりの名人として知られていた。 「干しブドウづくりにはお日さまの光が欠かせないからのう。この天気ならいい干しブドウができるってもんじゃ」  彼の言う通り、ここ数日のフリセッキ村は雲一つなくカラッと晴れた日が続いている。この天気なら文句なし、最上級の干しブドウが作れることだろう。 「プレグさんの干しブドウは絶品だからなあ。期待してるぜ!」  そういうと男は用を足しに村の外へと出て行った。  その日の夜。プレグはいつものとおり、天日干ししていたブドウを屋内に取り込んでいた。干しブドウに夜露は天敵だ。最悪カビが生えてしまうことになる。日が落ちたらこの作業は干しブドウづくりに欠かせなかった。 「ん、何じゃ?」  外で物音がしたような気がして、プレグは作業の手を止める。幸い、取り込んだブドウはこれが最後だ。これを室内の風通しのいい場所に置いたら、少し外の様子を見に行ってみようか……。  そんなことを考えながらプレグは家の扉を開けた。  翌日。  用を足して戻ってきた男は、村の様子を目にして呆然としていた。 「なんだこりゃあ……一体、どうなっちまったって言うんだ……?」  あちらこちらで家が焼けこげ、村人たちの自慢である畑も踏み荒らされたりとひどいありさまである。  そんな中、奇跡的にほぼ無傷の家から村人が出てきた。 「プレグさん! 無事だったか!?」  男が駆け寄ると、プレグは頭を振りながらこう言った。 「ああ、わしは無事なんじゃが……家の中によくわからんものが山のように置いてあるんじゃ。これは一体、何じゃったかのう……?」  男が家の中を見ると、そこには見事に出来あがった干しブドウがざるに並べられているのだった。 「みんな、大変なんだよ!」  コルネ先生によって集められた生徒は、みな神妙な面持ちで話を聞いている。  被害が出た村のことや、記憶を失った人のこと。とても心配だ。だが、それとは別の心配事もあった。 「このおじいさんの記憶を何とかして取り戻してあげてね! でないと……」  干しブドウが切れたコルネ先生がどうなるか……そちらも心配だ。  学園の生徒たちは大慌てで記憶を取り戻すすべを探し始めるのだった。
波乱の秋物バーゲンセール!! GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-10-11

予約期間 開始 2019-10-12 00:00
締切 2019-10-13 23:59

出発日 2019-10-19

完成予定 2019-10-29

参加人数 5 / 8
 夏の暑さも終わり、次第に風も涼しくなってきた。あれほどうるさく感じていたセミの声も今ではすごく懐かしい。  暑さを通り越して最近は肌寒く感じるようになり、秋の訪れを感じる季節となってきたのだが、そんな穏やかな季節とは裏腹に女性用の服を取り扱っている『コンポタンジュ』では、開店準備に慌てふためく2人の姿があった。 「あー、もうなんでこういう日に限って2人しかいないわけ!? どう考えたって人足りてないし、正気の沙汰とは思えないんだけど!!?」 「だいじょーぶ、だいじょーぶ。ちゃんとフトゥールム・スクエアの学生さんにヘルプ求めてるし、誰かしら手伝いに来てくれるって!」 「すごいお気楽風に言ってるけど、ほんとに来てもらわないと困るからね? ちゃんと依頼出したんでしょうね」 「出した出した。ちゃんと1ヶ月前には依頼出してたし、そんなに確認してくれなくても大丈夫だって。私に任せなさい」  平日の昼間でさえ2人で回すのがやっとだというのに休日の昼間、しかもバーゲンセールを行っている日に2人しかお店にいないなんて死刑宣告をされているようなものである。  どうしても2人で回さなければならない状況であればなんとかするが、その時は商品の補充とお会計に専念しなければならず、店内清掃や接客等の他の業務は全て後回しにするしかない。  そんな猫の手でも借りたいような状況の中、接客業のことについてなにも知らないような学生さんでも、なんなら人と接することがとことん苦手な恥ずかしがり屋な学生さんでもうちとしては大歓迎である。  なんならそのままコンポタンジュの店員として働いてくれれば長年の人手不足も解消されるのだが、わざわざ今日のために学園からお手伝いに来てくれるというのにさすがにそこまで欲張るわけにはいかなかった。 「……そういえば、フトゥールム・スクエアに依頼出すときにちゃんとうちのお店の事詳しく書いた? うち女性服扱っているお店だけど、まさかそれ伝えてないなんて事はないでしょうね」 「……ナ、ナンノコトカナー」 「あんた嘘でしょ……。うちのお店って女性服しか置いてないのに、男性の学生さんが来ちゃったりしたらどうするのよ……。まぁ、私からしてみたら若い学生さんが来てくれるのは万々歳なんだけどさ」  まさかそんなことはないだろうなと思いながらも念のために確認を取ってみると嫌な予感が的中する。  別にコンポタンジュでは男性の入店を拒否しているわけではないのでお客さんとして来てくれる分にはとてもありがたい事なのだが、働く側に立とうとするとお店で売られている服を来て接客を行わなければならない。  これはお店の宣伝も兼ねているのでアパレル店の間では至ってごく普通な規則なのだが、問題はコンポタンジュに置かれている服だ。  コンポタンジュでは主に20代から30代と比較的若い女性向きの服しか取り扱っておらず、男性用の服は一切置かれていない。  店長の許可があれば他のお店の服を着て接客をすることもできるのだが、残念ながら店長は今日の秋物バーゲンセールに向けて残業続きだったため今日はお休みである。  綺麗な顔をしていてほっそりとした学生さんなら少し長めのズボンと黒を基調とした服を合わせれば少しはましになるかもしれないが、その格好だとどうしてもボーイッシュの女の子を連想してしまう。  男性は髪が短い人が多いので女性の服と合わせようとすると違和感が出てしまうのは仕方のないことなのだが、なんとか合わせることができないかと考えてしまうのはアパレル店員としての性だった。 「……あっ、そういえばあそこにいいもの置いてあるじゃん! あれもこのお店にあるものだし、コーディネートに使っても怒られないよね!!」  彼女が指さしているのはお店の角にこじんまりと構えられている小物コーナー。このコーナーには帽子や伊達メガネの他にもイヤリングやチョーカー等のアクセサリーが並べられており、鏡で自分の姿を確認しながら自由な組み合わせでコーディネートを楽しむことができる。  特に20代前半の若い女性の方から人気のあるコーナーで、たまに購入した商品を試着室で着てその服に合うアクセサリーを選ぶ人がいるぐらいなのだが、どうやら彼女はそこに置いてあるウィッグのことを言いたいらしい。  本来は自分が髪を切った時の姿やカールをかけたときの姿を想像しやすくするために置かれているもので、もはや売り物ですらもないのだが、確かにこの状況を打破するコーディネートとなれば、ウィッグの存在はなくてはならないものだった。 「……いやいや、確かにウィッグを被れば見た目は女の子に近づけるかもしれないけどさ。さすがにそれはまずすぎでは?」 「えっ、だって似合ってるなら着る服なんて男性用でも女性用でもどっちでもよくない? 女性の服を着ている男性、つまり女性だよね。なにも問題ないじゃん!!」  その自信はどこから出てくるんだろうと思いつつ、彼女は倉庫の中からありったけのウィッグを持ってくる。  肩元で綺麗なカールを巻いているウィッグがあったり、頭の上にお団子のあるウィッグがあったりと種類は様々だ。  そのときのお客さんに合った服を選ぶことがアパレル店員のお仕事なのだが、まさか男性に女性用の服を見立てる日が来るとは思ってもいなかった。 「ほらほら、早くしないと開店時間に間に合わなくなっちゃうよ。さっさと手を動かす動かす」 「……あんたに言われるとすっごいムカつくけど、まぁ急がないといけないのはほんとだから何も言わないでおくわ。なんとか開店時間までに間に合わせるわよ」 「あいあいさー」  時計を確認してみると、今は8時45分。開店時間まであと1時間弱しかない。  フトゥールムスクエアの学生さんには10時すぎぐらいに来てほしいとだけ伝えているので、それまでは2人の頑張りどころだ。  すでに店内には値下げシールが貼られている洋服がずらりと並べられており、後は開店前の店内清掃とまだ倉庫から出していない商品の品出しとバーゲンセール用のPOPを店内に貼り付けるだけである。  普通にやればあと2時間はかかるだろうが、かなり急ぎ気味でやればなんとか開店前には間に合うはずだろう。……いや、終わらせないとまずい。  2人はお互いに目を合わせ、先ほどまで軽口を叩きあっていたのが嘘のように黙々と作業に取り掛かり始める。  そのおかげか開店10分前には全ての業務を終わらせることができ、後はフトゥールム・スクエアから来てくれるであろう応援を待つのみとなった。
【優灯】ハロウィンを演じよう! 夜月天音 GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-10-08

予約期間 開始 2019-10-09 00:00
締切 2019-10-10 23:59

出発日 2019-10-16

完成予定 2019-10-26

参加人数 3 / 8
 朝、魔法学園フトゥールム・スクエア。  各コースの最初の授業を始める前に、教師達は一つのお知らせを伝え始めた。 「現在、子供を中心にハロウィン自体を怖がるような現象が発生しています。その恐怖を払拭したくトロメイア大劇場で、子供達が楽しめるハロウィンの催しをするそうです。その催しへの参加のお願いが先程入り、受け入れました。開演は夜だそうです。催しはハロウィンを含んでいる物であれば、何でも構わないそうです。どうか参加を考えてみて下さい」  お知らせが終わると、いつも通り授業が始まった。  学園での一日が終わると、協力を決めた学生達は夜が訪れた『八色の街』トロメイアに建つトロメイア大劇場へ向かった。 「……怖いこと、起きないよね。起きたらやだなぁ」 「今日は夜更かしをしていいって、お父さんとお母さん言ってたけど」 「ハロウィンって、楽しいと思ってたけど、本当は怖いものだったのかな」  夜を迎えたトロメイア大劇場では、ハロウィンを怖がる子供達で観客席は満席となっていた。 「ハロウィンを楽しんでくれるといいんだけど」 「子供達が怪我をしないようにしないと、トロメイア大劇場の名に傷がつく」 「観客を巻き込んだ楽しい物にしたいけど、出来るかな」  トロメイア大劇場の関係者達は、緊張気味に観客席を見ていた。
【優灯】きみと、大空へ。 白兎 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 普通

報酬 多い

公開日 2019-10-06

予約期間 開始 2019-10-07 00:00
締切 2019-10-08 23:59

出発日 2019-10-16

完成予定 2019-10-26

参加人数 8 / 8
 ――『フトゥールム・スクエア』内、職員室にて。 (ふむふむ……)  長い金の髪に、赤の瞳。ハーフリムタイプの眼鏡をいつも通りにかけた【シトリ・イエライ】は、手にした羊皮紙の束に目を通していた。  研究室を兼ねている執務室に引きこもりがちな彼も、事件が起きたとならば、ちゃんと『先生』らしいことをしに出てくるようらしい。 (といっても。この情報だけでは何もできませんがね)  各地で脅威を振りまいている怪しい三人組の出現に、魔物の大群の襲来。  そして、被害は大小さまざまだが、記憶をなくすという事件の勃発。  しかし、『記憶をなくす』とだけ聞くと大仰に聞こえるが……。 (……ひとによって、差がありすぎるんですよね。全く意図が読めないというか)  『犬の名前を忘れた』なんて小さな被害であるかと思えば、『自分の名前を忘れた』なんて、アイデンティティの喪失と言えるものまである。 (ただ世界を混乱に陥れたいのでしたら、後者に統一すれば良いものでしょうに)  何か意味があるのだろうか。それとも、こうしなければならなかった理由が?  思考の渦に入りかけたシトリは、一度首を振り、考え事を頭の外へと追いやった。 (いけませんね。数少ない情報で動くのも、推測をするのも、あまりよくない)  そう思ったシトリは、ふと目に入ったものへと足を進めた。 (これは確か、生徒の皆さんが授業内容の希望を書かれるというものでしたか)  生徒が見られる場所と、職員室の既定箇所を行き来するようにされているという『連絡帳』を、シトリは軽く開き。  それから文字の記されているページをぱらぱらと捲りながら、なるほど、なるほど、と言葉を零した。 「……そうですね、復興支援に慰問。情報不足の状況とはいえ、私達にできることはたくさんありますか」  それにグリフォンも良い案です。そう言い残したシトリは、ノートを閉じて、職員室を後にする。  その足取りは、考え事をしていた時よりも、軽かった。 ◆ 「――ということで。皆さんには復興支援及び、傷ついた方々への慰問へと向かってもらいます」  数日後。校庭では、とある課題の募集要項を見た生徒たちが集められていた。  課題の依頼主は『シトリ・イエライ』。この学校のいち教師であり、賢者・導師コースを担当するローレライの男性だ。  彼は眼鏡の奥に控える赤の瞳を緩めると、まずは、と集まった全員に地図を渡しながら、 「私たちの住まうフトゥールム・スクエアは、その地図の真ん中に描かれています」  彼による課題の詳細説明が始まる。 「そして、今回みなさんに向かってもらうのは、その周辺の赤い丸印がある部分です」  『きみ』がシトリの言葉を聞きながら地図を確認すると、学園の周りには、赤丸がぽつぽつとつけられていた。  しかし、その位置に規則性もないようだ。少し大きめの町から、辺境の小さな村まで。  対象も、並びもてんでばらばらなそれに、しかし『きみ』は眉を潜める。 「ええ、そうです。見てお気づきかもしれませんが、小さな村や町が主な被害地なのです」  つまり、自分たちの力だけでは復興が難しい状況が相次いでいる、ということだ。  『きみ』はそれに対し、どう思っただろうか。弱者ばかりを狙う悪質な行為だと怒りに震えた?  それとも、それほど大きな力を持ってはいない敵なのだろうかと推測しただろうか。  どちらにしても、真相は未だ闇の中であり、それに対して対策できることはない。  ならば今、すべきことは――。 「皆さんには、その被害があった場所へ赴き、『自分にできること』を実行してきて欲しいのです」  力自慢であるならば、壊れた家屋の撤去や、新しい建物を建てるための素材集めもいいだろう。  逆に考えることが得意であるのなら、もしまた魔物の襲来が起きた時の対策を考えることだって可能だ。 「もちろん、目に見えるものだけが全てではありません。心に傷を受けたかたも多くいらっしゃいます」  はじめて命の危険に晒された子どももいれば、記憶を失うというあやふやな状況に怯える大人だっている。  そんな相手には何が良いだろう? 優しい音楽か、話し相手か、やれることはたくさんあるはずだ。 「もしも持っていきたい道具があるのなら、私のほうで手配いたします。しかし、持っていけるのはこの荷車に積められる量だけです」  そう言って、シトリは次に1台の荷車を指で示して見せた。  『きみ』が視線を向けると、そこには手綱のつけられた一頭のグリフォンが、荷車の軛(くびき)をかけられる形で立っていた。 「クゥルル……」  鷲の翼と上半身、そしてライオンの下半身を持つその原生生物は、力強い四肢を持ち、グリフォン便という交通手段としても有名だ。 「皆さんには、グリフォンと荷車を1組ずつお貸しします。現場には彼らの背に乗って、向かってください」 「クゥ!」  任せて! と言いたげに鳴いたグリフォンは、どこか誇らしげだ。『きみ』は思わず頬を緩めそうになるが、すぐに気を引き締め直す。  なぜなら、荷車は一頭のグリフォンが引ける程度の大きさ……つまり、それほど大きくはないのだ。  これでは復興か、慰問か。目的を1つに絞らなければならないだろう。どちらもに手を出して中途半端になっては意味がない。  そんなことを考えている『きみ』の緊張を和らげるつもりなのだろうか、シトリは最後にもう1つの言葉を付け足した。 「そして皆さん、これは私からのお願いなのですが。できればいつもの制服姿ではなく、『仮装』をして頂けませんか?」  顔を上げた『きみ』は、シトリが微笑んでいるのを見る。彼はにこやかな笑みのまま、 「被害にあった村の皆様は、とても心を痛めています。ですから皆さんには、できるだけ『楽しい』気持ちを運んで頂きたいのです」  肩を落とした人に、哀しい顔で接しては、なかなか気持ちの切り替えを促すことは難しい。  たとえ敵の目論見がわからない、再発の危険性だってある状況だとしても。 「笑顔を向け、不安を追い払い、再び奮い立つ勇気を持たせる。それもまた、ひとつの『勇者』の在り方ですからね」
【優灯】 トリックスターへ捧ぐ 根来言 GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2019-10-07

予約期間 開始 2019-10-08 00:00
締切 2019-10-09 23:59

出発日 2019-10-15

完成予定 2019-10-25

参加人数 2 / 8
 何年前も、きっと何年後も。この日は彼にとっては最悪で、憂鬱な日になったはずだ。……今年も、そうであったはずだ。  『何も仕掛けられていないごく普通の手紙』。それと、クソ真面目な季節の挨拶と、長ったらしい用件。  要約すれば簡単なことなのに、どうしてこうも、今日はめんどくさい。いつもに増して今日の文言は酷く、眩暈すらもしてしまうようだ。  僕達の間には、『帰ってこい』。それだけの言葉と、適度ないたずら。  それだけあれば、心配などせずに済んだのに。  手紙の受取人は小さな男子生徒。フェアリータイプの【アデル・ミドラ】。  寮の一室にて、背丈に不釣り合いなほど大きな椅子を左右に揺らし、アデルはその封筒の中身に思わず眉をひそめた。  宙に掲げたり、火にあぶってみたり、特定の文字を飛ばしてみたり。  すべてが徒労に終わり、更に眉間のしわを深くした。  少しばかり慎重に封を開いた手紙には、当然のようになにも仕掛けられてはいない。 (普段の手紙にはあれほど、手の込んだことを仕掛けておいて……今日は様子がおかしい)  手紙の差出人のアデルの旧友【マシュー・マグラ】は毎回何かしらのいたずらを手紙に仕込む。  びっくり箱のメッセージカード、開けると小さな爆発を起こして読む前に消滅する手紙、逆から読まなければ読めない文章なんてものもあった。  そして、それを読んだアデルが『面白かった』『読めなかった、ナイセンス』『めんどくさい』等、感想を送り返る。  この関係はアデルが寮に住んだ当初から当たり前のように続いていた。なのに、今回はやけに他人行儀というべきか、この手紙は違和感の塊となっていた。 (今回はこういういたずら……? いや……こういう系統のいたずらをするときには、マシューは必ずもう1つネタばらしの手紙を送ってくるはず。だから……多分、あれかな……)  アデルには何となくではあったがその正体に思い当たる節があった。 (ここまで、頑張って読んだんだけどなぁ……また来年)  ちらり。机の上に置かれた分厚い愛読書をみてため息が出る。  手紙を読む前までは熟読していた『いたずらに対する行動・対応全集』に小さく手を振り別れを告げ、本棚に。  代わりに取り出したものは、図書館でもらった回覧紙。  いつもは手に取ることもないが、今回ばかりは、少し気になる小さな見出しがみえたから。  アデルの故郷の村周辺で起きたことが取り上げられていたから。  たったそれだけの些細なきっかけで持ち帰ってしまったけれど、これが、ここで役に立つとは思わなかった。  近隣の村が襲われた、どこの街で生徒が活躍したという記事を読み飛ばして……目当てのものを見つける。 「噂には聞いていたけど……」  そこに書かれていたものは、記憶を奪う魔物。そんな恐ろしい存在が噂されているという小さな見出し。  村々を襲い、大切な記憶を奪い、恐怖を植え付ける怪物。  見た目の被害はなくとも、去った後の村では何かが失われている。そんな噂。  文化・習慣が記憶として認識されているのであれば、今アデルの村で何が起こっているのかが何となく読めてきた。  『いたずら』。それが、アデルの村から消えている。間違いない。  アデルの出身地であるエリアルの村の者たちは、過去、現在全てにおいていたずらとともに生きてきた。  甘いお菓子の中に辛いソースを混ぜてみたり、家の出入り口に落とし穴を掘ってみたりとやんちゃ者ばかり。  『やってやった』と『されてしまった』。そしてそれがコミュニケーションのひとつとして定着した小さな村。  そんな彼らが本領を発揮する日。世間をにぎわせるハロウィン。  お菓子があってもいたずらを。お菓子がなければもっといたずらを。  するものもされるものも、最後には『やった』。『やられた』と笑顔になる。  何時もいたずらをされる方ばかりのアデルも、今年こそは自分もと張り切っていた。そんな時のこと。  ……村の皆から奪われてしまったハロウィン。  フェアリータイプのエリアルというものは、いたずら好きの者が多い。アデルの村の皆も、そしてアデルも例外ではない。  そんな彼らがいたずらの記憶を奪われたとすればそれは……。  ……きっと、喜びという感情を奪われたようなものなのかもしれない。 「……とりあえず、は」  アデルは『帰ってこい』との言葉通りに里帰りの支度を始めることとした。  持ち物は着替えにおやつ。ロープに激辛ソース。それから花火に……いたずらに使えそうな部屋の物を片っ端からカバンに詰めていく。  忘れてはいけないのは、いたずらに詳しそうな友達数名。早速手紙を送ってみよう。きっと来てくれるはずだ。  いたずらはあまり得意ではない。いつも手際が悪くて下準備もバレバレで誰も引っ掛からないから。  いたずらをするのはあまり好きではない。けれど……皆が笑っていないのもいやだ。  これは皆のため。何時もの仕返しじゃないんだ。多分。
《紅葉狩り:前編》紅葉の調査隊 宇波 GM

ジャンル サスペンス

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 多い

公開日 2019-09-30

予約期間 開始 2019-10-01 00:00
締切 2019-10-02 23:59

出発日 2019-10-09

完成予定 2019-10-19

参加人数 7 / 8
 まっかな、まっかな、手。  ふくふくやわらかい、ふくふくやわらかい、手。  もちもちぷにぷにの、もちもちぷにぷにの、手。  あまそうな、あまそうな、手。  おいしそうな、おいしそうな、手。  もぐもぐ、もぐもぐ、手。  たべたら、たべたら、手。  なくなっちゃった、なくなっちゃった、手?  どこだろう、どこだろう、手?  もっと、もっと、手。  ちょうだい、ちょうだい、手。  ほしい。  ほしい。  ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、おかあさん、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、うひゃひゃひゃ、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、たすけて、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、なくな、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、おいしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、いたい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、もっと、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、きっと、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、もっと、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、うまい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、たすけ、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、くるよ、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、よこせ、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、ほしい、手。  もっと、ほしい、ちょうだい、手? 「フトゥールム・スクエアから参りました」 「要請を受けていただき、感謝する」  ここは『トルミン』にある温泉街の一画。  そこでは物々しい装備に身を包んだ、自警団や町人が集っている。  そこに学園からやって来た生徒たちも加わると、簡素な台の上に男が上る。  どうやら、この臨時調査隊のリーダーのようだ。  男は拡声魔法石を口元に持って行く。 「今日は、これだけの人が集まってくれて感謝する! 概要はもう伝わっていることとは思うが、認識を合わせるためにもう一度周知する」  男はこほん、咳払いをする。 「……温泉街で起こった児童行方不明事件。既に二桁に差し掛かる数の児童が行方不明になった。我々はこのことを受け、児童たちを探す調査隊を結成した。それが君たちだ」  男の言葉には熱がこもる。 「この調査では、児童たちが行方不明になった、その真相を探る。そのために、注意事項を設けた。きちんと覚えて行動を開始してくれ」  男は傍らにいた女に目配せをする。  女は一枚一枚、大きく注意事項の書かれた紙を掲げていく。 「まず一つ目。調査を行うにあたり、見つけた児童は救出、及び保護すること」  集まった人々は頷く。  中には子供が行方不明になった親もいるようで、その首肯にはより熱が籠る。 「二つ目。万が一児童が魔物に捕まっていた場合、刺激しないよう、極力戦闘は行わないこと。救出する場合は、隙を突いて行うか、より戦闘力のある者を呼ぶか、状況に応じて選択を頼む」  納得はできる。  冷静に対処できるかは分からないが。 「三つ目。止むを得ず戦闘を行う場合、必ず一撃離脱、隊と身の安全を最優先にし、逃げることを考えてくれ」  そして最後に。  物々しく告げられた言葉は、多くの大人たちを絶望に叩き込んだ。 「四つ目。どうしても敵わない敵に相対した場合、隊と身の安全を最優先にすること。その際、児童を見捨ててでも逃げてこい」 「子供を見捨てて来いというのか!」  憤慨した様子のひとりの言葉を、リーダーは仕方ない、と言い捨てる。 「情報を失くすリスクがあるためだ。……児童がひとり、生き残るのと引き換えに、他の児童がすべて助からないのでは、本末転倒だと、俺は考える」  男は静まり返る群衆を眺める。 「質問はないか? ないのなら、速やかに行動を開始しろ! 児童たちの命は、刻一刻と脅かされているぞ!」
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