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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



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侵入! サンタ大作戦! 〜☆Wi☆〜 GM

ジャンル 冒険

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-12-05

予約期間 開始 2019-12-06 00:00
締切 2019-12-07 23:59

出発日 2019-12-15

完成予定 2019-12-25

参加人数 3 / 8
『サンタ募集』  そう書かれたポスターが教室の隅に張り出されていた。  地味で見にくいポスターだったが、タイトルに興味をひかれた君は、小さく書かれた。 『興味があるものは担当、【センジンス・ゲー】の元へ』  の文字の通りゲー先生の元へ行ってみることにした。 「おぉ、来てくれたのか。助かるねぇ」  椅子を三つ並べ寝転ぶ白衣の幼女。  彼女がフトゥールムスクエア考古学担当のセンジンス・ゲー先生だ。 「実はな、フトゥールムスクエアの敷地内の町の子供達にプレゼントを配る仕事をサンタクロースから直々に頼まれたんだよねぇ……。今年は人手不足なんだとさ。よっこいしょ」  ゲー先生は体を起こして椅子に座った。 「ってことだから、君達には十二月二十四日の夜中、子供のいる家に……侵入してほしい。もちろん、悪さをするためじゃないからね?」  ゲー先生はゆっくりと立ち上がる。 「なんだその眼は……。まさか、私は鈍感そうだから邪魔になりそうとか考えてるんじゃないだろうねぇ?」 「安心したまえ可愛い生徒諸君! ゲーたんは調査のためにたくさんの遺跡に入ってきてるけど、罠にかかったことはないという凄い人なんだぞ☆」  と、突如【メメ・メメル】校長が現れた。 「まぁそういうことだから、町の大半は私がやろうとおもってるんだけど、一人だとどう頑張っても夜が明けちゃうんだよねぇってことで、簡単に四件分のプレゼントを配ってきてくれ。各家庭子供は一人。内装は……未知だな。薄暗くて見にくいと思うが、ばれないようにとにかく……頑張ってくれ」  腕を組み仁王立ちで悩むゲー先生に侵入時のヒントを尋ねた。 「ん? ヒントねぇ……どの家庭においても必要な技は四個。まず、音を立てずに移動する力。次に、小さなものをよける力。子供の部屋は色々なおもちゃが転がっていて踏んだら痛いし、音もたっちゃうからねぇ。次に、近づいてもばれないように気配を消す力。最後に、煙突を登る登攀の力。以上かなぁ。煙突から入るときは割と簡単に入れるからな……。そうだ、汚れてもいい服で来てねぇー」  と、言い終え少ししてゲー先生はハッと声を出した。 「そうだ、一番大事なことを伝え忘れてたよぉー。もし、潜入中にMMやPP……俗に言うママやパパが起きてきてしまった場合、急いで逃げるんだよ? プレゼントを置き終えていなくても。あと、窓辺とかにサンタさんへと書かれた何かを用意されていた場合、必ずもらうなりその場で食べる等をして、多少の痕跡を残すこと! これが一番大事よ! ちなみに、プレゼントを渡せなかったお家に関しては逃げ切った後に私に連絡して頂戴ねー。両親が寝静まった頃に私が届けておくわ」  ゲー先生は最後に紙を手渡してきた。 「これは町の地図だよー。これの赤い印が付いている所が君達にプレゼントを任せる所ねー。えー、まず、右下の赤い印は十歳の女の子のお家。ここが一番片付けられていて簡単かもねぇ。次に左下。七歳の男の子のお家。ここはお母さんが綺麗好きな家庭だから、そこそこ簡単だと予想できるわねぇ。次に右上。十二歳の男の子のお家。反抗期真っただ中だから、一番難しいかもしれないねぇ。最後に左上。同じく十二歳の女の子の部屋。彼女の部屋はそこそこ難しいかもねぇ。スポーティーな子だから、気配とかに敏感だかあねぇ」  そして、ゲー先生は再度寝転がった。 「じゃ、当日よろしくー」  ゲー先生は昼寝に入った。
《紅葉狩り:後編》紅葉の後日談 宇波 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

公開日 2019-12-06

予約期間 開始 2019-12-07 00:00
締切 2019-12-08 23:59

出発日 2019-12-14

完成予定 2019-12-24

参加人数 7 / 8
《勇者暦2019年11月8日》  今日、弟が帰ってきた。  3日くらい前から行方不明になっていた弟よ。  捜索隊も出ていて、あたしも捜索に参加したかったけれど、ダメって言われたわ。  まだ大人から見ると子供だから家にいなさいって。  探しに行けないことで感じていた歯痒い思いを誤魔化すように、あたしはひたすら木を削ってコップを作っていたの。  作ったコップがちょうど40個になった3日目。  弟が帰ってきたわ。  弟はぐるぐる巻きに、まるで腕だけがミイラになったかのように、きつく包帯を巻かれて帰ってきたのよ。 「どうしたのよ、それ」  とあたしが言うと。 「魔物に攫われていたのよ」  と母さんが言う。 「え? 魔物?」  あたしはてっきり、弟は魔物ではなくて、人間に攫われていたのだとばかり思っていたのよ。  まさか、魔物が攫うなんて思わないじゃない。  だって魔物は、たいていが知能が幼児並みに低いって、そればっかり思っていたもの。 「腕が取れかけているから、しばらく安静にってお医者様が言っていたわ」  なんて母さんが言うものだから。  あたしは驚きすぎて、机の上に置いていた工具をぶちまけてしまったわ。 《勇者暦2019年11月15日》  弟の状態は快方に向かっているようね。  今日、お医者様がそう母さんに言っていたのが聞こえたのよ。  あたしはよかったって、心底思ったわ。  弟がよくなれば、きっと母さんが疲れたような顔をすることも少なくなるはず。  あたしはそれを期待している。  そう言えば、宿街の方の【ソムリ】さんが言ってたわ。  騒動が終わった反動が今来ているって。  騒動の時に来れなかった観光客たちが、わっと集まっているんだって。  人手が足りないって、嬉しい悲鳴を上げていたわ。  でも洒落にならない程忙しいらしいから、この皿を作り終わったら、あたしも少し手伝いに行ってみるわ。   《勇者暦2019年11月18日》  今日は、温泉に行ってきたわ。  効能なんて眉唾物の温泉だけど、天然温泉だから、弟がちょっとでもよくなりますようにって。  あ、もちろん、弟の腕はまだくっついていないから、あたしだけ下見。  母さんたちに内緒でね。  下見に行くのは、天然の温泉。  お店のじゃ駄目よ。なんとなく、そう思ったの。  生垣も何もない、青々とした晴天に見守られながら入る温泉は、きっと格別でしょう。  そう、ルンルン気分で行ったはいいけれど、残念ながら先客がいたみたい。  シルエットから男性。  誰かにバレてしまっては、あたしの弟へのサプライズが、その誰かから漏れてしまうかもしれないわ。  仕方がないから、諦めて帰って来たわ。  ああ、でも。  あの男性、なんだか白銀にきらきら輝いていたわね。  きっと、輝いて見えるほどにイケメンだったのかもしれないわ。  ああ、もったいない!  その顔を見ておけばよかったわ! 《勇者暦2019年11月25日》  母さんが言っていたけれど、魔法学園の生徒たちが何回かに分けて街にやってくるみたい。  名目は『ボランティア』。  魔物の被害に遭ったこの街の復興をお手伝いしますってことらしいわ。  あたしのところは、弟の腕が取れかけたけど……。  それでも、弟は生きて帰ってきたから、そこまで悲しい空気にはなっていない。  でも、他の家は違うわ。  五体満足で帰った子たちは3人いるって聞いているけど、裏を返せば、それ以外の子たちは助からなかったってことだもの。  捜索隊を出して。  原因を突き止めて。  討伐依頼を出して。  ……全員、助かっていればよかったんでしょうけど。  あたしが人ごとでいられるのは結局、弟が助かった、その一点だけが他所と違うからなのね。  学園の生徒さんたちは、心に傷を負った子たちや、子供を失ってしまった家庭へのカウンセリングをする人たちも来るらしいわね。  それだけでなくて、期間限定で足りない人手の補充とかもできるらしいわ。  ……あら! ソムリさん、人手不足が解消できそうでよかったじゃない!  あたし、俄然楽しみになって来たわ。  一体、どんな人たちが来るのかしら。
崩落に巻き込まれたルネサンスを救出せよ! GM

ジャンル 戦闘

タイプ EX

難易度 難しい

報酬 多い

公開日 2019-11-20

予約期間 開始 2019-11-21 00:00
締切 2019-11-22 23:59

出発日 2019-11-30

完成予定 2019-12-10

参加人数 8 / 8
 今からおよそ3年前。人里離れた小さな村がジャバウォックの群れに襲われるという事件があった。  この事件により村で畑作業をしてた成人男性3人が負傷、うち1人は全治1ヶ月の重傷を負った。  ジャバウォックによる被害は幾度にも渡り、畑は荒れ果て、村人たちはまともに外を歩くことさえ許されない。このままでは村から死傷者が出ることだってあり得るだろう。  事態を重く見た村人たちは勇者の育成を行っているフトゥールム・スクエアにジャバウォックの討伐を依頼。後日、学園からジャバウォック討伐部隊が派遣された。  勇者・英雄コースに通う生徒たちで構成された討伐部隊は村人たちからジャバウォックの巣窟と呼ばれている洞窟に足を踏み入れ、負傷者を1人も出さずに見事討伐に成功したのだが、そこで思わぬ問題が起きたのだった。 「ちょっとキミ、大丈夫!!?」  洞窟内に転がっているジャバウォックの死体が次々と光の粒子となって消滅していく中、肩から腰に向けて深い切り傷を負っている狼のルネサンスが紛れ込んでいたのである。  彼の存在にいち早く気づいた【サクラ・スミレ】は大慌てでその青年を抱き寄せ、自身が持ちうる限りのありったけの魔力を使って彼の胸元にできている傷を塞ぐ。回復魔法をあまり得意としていないサクラにとって、これが今できる精一杯の応急処置だ。 「早くこの子を救護班のところへ!!」  しかし、いくら傷を塞いだところで傷が癒えているわけではない。うす暗い洞窟の中でも明確に分かるほど彼の顔からは血の気が引いており、一刻も早く治療しなければ命を落としてしまう。  幸いにも今回の作戦で負傷者が出てもすぐに治療ができるよう、洞窟の外には回復魔法を得意とする教祖・聖職コースの生徒たちを待たせている。彼らならばこの青年を救うことが出来るかもしれない。  サクラは今にも死にそうになっている青年をそっと担ぎ、洞窟の外へと連れ出したのだった。 「オレ……、ユウシャ……タオス」 「はいはい、今日もあなたは元気ねー」  そして時は経ち、勇者暦2019年。ジャバウォックの巣窟から助け出された青年は【ラルフ・ネイン】と名付けられ、フトゥールム・スクエアの生徒として学園に通うようになっていた。  後に詳しい話を聞いてみると、どうやらラルフは小さい頃からジャバウォックの巣窟に住みついていたらしく、その間はジャバウォックが親代わりとなって育ててきてくれていたらしい。魔物が自種族以外の子供を育てていたなんて話は聞いたことがないのだが、不思議なこともあるものである。  ジャバウォック討伐の依頼が出されていたとはいえど、ラルフの親代わりとなっていたジャバウォックたちを殺してしまったのは紛れもなくフトゥールム・スクエアの生徒たち。  ラルフは勇者を憎み、人間を滅ぼすために魔王・覇王コースへと入学を希望したのだが、今では勇者・英雄コースのサクラが親代わりとなって行動を共にしているというなんとも不思議な関係である。  今日受けた依頼は洞窟の奥深くでしか取れない鉱石を取ってきてほしいという、至ってシンプルなもの。  力仕事である鉱石採掘はラルフへと任せ、サクラは大きなバックパックを背負いながら適当に歩いていたのだが、ラルフが急に立ち止まったことによりサクラは鼻を強く打ち付ける結果となってしまった。 「痛ッ! もー、急に止まらないでよ。鼻が曲がったらラルフのせいだから……って、どうしたのラルフ?」 「…………ナニカ、クル」  ジャバウォックに育てられた時の影響からか、ラルフは妙に鼻がいい。サクラには何も見えないがおそらく魔物の気配に気づいたのだろう。  ラルフは音もたてずに戦闘態勢へと入り、サクラも腰に差している刀に手をかける。さっきまで楽しく会話を楽しんでいたのが嘘のように、2人の間には静寂の時が流れていた。 「……これはなんだかやばそうな気がするね。敵はどれぐらいいる?」 「ジュウ……。チガウ……、モット、タクサン……。カゾエル、ムリ……」  フトゥールム・スクエアの情報によると、このダンジョンで確認されている魔物はゴブリンとスライムナイトの2種類。どちらも魔物の中では下級と扱われており、2人の手にかかればそれほど脅威な魔物ではない。  だが1人は野生としての勘、もう1人は勇者としての勘がこう警鐘を鳴らしていた。闘うな、逃げろと。 「サクラ。ニゲル、ユウセン……。ラルフ。テキ、タオス……」 「なに言ってるの。さすがにこの数をラルフ一人で倒せるわけないじゃない。私も一緒に闘うよ」 「チガウ。フタリデモ、タオス……、ムズカシイ。ラルフ。ジカン、カセグ……。サクラ。サキ、ニゲル……」 「……うん、分かった。危なくなったらラルフも逃げるんだよ」  恥ずかしながら、サクラはあまり逃げ足が速い方ではない。ここで闘うことを諦め、戦略的撤退を選ぶならば、ラルフが敵を引き留めてくれている間にサクラが先に出口へと向かうべきだろう。  そうサクラは判断し、ラルフができるだけ早く逃げ出せるようにするためにも出口へと向かって全力で駆けだす。脇目も振らず、ただ前だけを向いて。 「……ソレデ、イイ。サクラ。……タオスノ、オレ。オレイガイ、……タオサレル、ゼッタイ……、ユルサナイ!!」  だが、サクラはそのとき気が付くことが出来なかった。サクラとラルフが無事に洞窟から脱出できたところで、敵の数が減っていなければ窮地に立たされることに変わりないと。  ラルフは持ち前の怪力さを活かし、鉱石採掘用のピッケルを思いっきり振りかざして手当たり次第に壁を攻撃する。いくらピッケルが壁に跳ね返されようとも、何度も、何度も。 「……ゴゴゴゴゴ」  魔物たちもラルフが何をしようとしているのか分からず、しばらく様子を見ていたが、洞窟内に地鳴りが響き始めると一目散に去っていく。  今回の依頼を受ける際に散々言われた注意事項。この洞窟は脆く、崩れやすい。それを逆手に取った捨て身の作戦だ。  魔物が散っていったことを確認したラルフはすぐさま手に持っていたピッケルを投げ捨て、洞窟の奥へと向かう。  今ここでサクラが走って行った方へと向かえば、まず間違いなく崩落に巻き込まれてしまうだろう。ラルフが生き残るためには、自分たちが入ってきた方とは違う出口を見つけ出すしか方法はない。 「えっ、これってもしかして……。ラルフ? ラルフーーーーー!!!」  この地鳴りはすでに洞窟から脱出していたサクラの耳にも聞こえ、振り向いた頃にはすでに崩落が終わった後だった。もう引き返すことはできない。 「早くラルフを助けにいかないと!!」  洞窟に入るための入口はここを除いてあと1つあるが、サクラ1人で救出に向かったところでラルフを助け出す前に自身が力尽きる可能性の方が高い。  サクラはラルフの無事を祈り、急いで学園へと戻ってラルフの救助要請を出したのだった。
残照の番人 白兎 GM

ジャンル 冒険

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 多い

公開日 2019-12-01

予約期間 開始 2019-12-02 00:00
締切 2019-12-03 23:59

出発日 2019-12-10

完成予定 2019-12-20

参加人数 8 / 8
 音が、鳴っていた。それはまるで大地を揺るがすような轟音(ごうおん)で、鼓膜を圧し潰すかのような重さで。  けれどその発生源は地下であり、走る二人のすぐ後ろから、鳴り響いていた。 (『ケルベロス』……っ! いったい何故、こんなところに……っ!) 『―――― ……ッ……―――― !!』  迫りくる足音に加え、耳をつんざく咆哮(ほうこう)が、逃走する男……【シトリ・イエライ】の物思いを掻き消す。  そうだ、今は考える暇などない。とにかく、逃げなければ。 「ハッ……ァア――ッ……!」  しかし逃走していたもう一人、【ベリル・ドロン】の考えは違った。  彼女は立ち止まり、振り返り、迫りくるケルベロスへと跳躍――並ぶ3つの頭のうち1つへ、蹴りを放つ。 「チッ……」  だが、それは何の抑止にも至らない。  ごわついた黒の毛皮に全ての衝撃が吸収されてしまったことを悟ったベリルは、振り上げられた爪に串刺されるよりも早く、再度跳躍する。  そのまま後方へ、唸るケルベロスの鼻筋を蹴り飛ばすようにして、少女は再び大地へと降りた。 「マスター、やはりあれは……」 「あなたも学園で見たことがあるでしょう! 紛うことなきケルベロスですよっ!」  悠長に話し始めたベリルの手を取り、シトリが走り出す。ありありと感じられる危機感の差は、教師と生徒という知識量の差でもあった。  ――魔獣、ケルベロス。  かつてこの世界を混乱に陥れた『魔王』が、ペットとして愛玩していたともいわれている、獰猛な獣。  ヒトの何倍もの巨体を持つその獣には、犬科の頭が3つ……それらの全てに鋭い牙や優れた聴覚、嗅覚、そして知能が備わっている。  つまり、単純計算でも通常の生き物――それはもちろん、ヒト種も含まれる――よりも五感が、さらには思考力が、三倍高いのだ。  おまけにあの巨体に見合わせた体力、筋力もあり、魔獣らしい攻撃性だって備えている。 (どう考えたって、こんな状況で対峙する相手ではありません……っ!)  それは自分が、フトゥールム・スクエアにて教師の立場を預かれるくらいの導師だったとしても、だ。  仮に討伐に乗り出すのだとしたら、学園内の有力者が4人は欲しい。そんな相手を前にして、戦闘行為などもってのほかだ。 (ならば逃げるしかありません……っ!)  万に一つも勝ちのない状況だとわかっているのに、立ち向かうのはただの無謀であって、勇気ではない。  だからシトリは生き延びる方法を模索した。逃げながら、どうすればこの状況を切り抜けられるのか、思考する。  そもそもどうしてこんな状況……古い坑道の中、ケルベロスに追われることになってしまったのか。  それを話せるようになるまで、彼は暫くの逃走劇を繰り広げるほか、なかった。 ◆ 「そういうわけで。私も久しぶりに、死の危険を感じましたねぇ。あっはっは……」  いや、全く笑えないのだが。彼の話を聞いていた誰もが、そう思った。  しかしシトリの様子から、彼の言葉が嘘ではないだろうことも感じていた。  いつも笑顔が絶えず、飄々(ひょうひょう)とした様子のこの教師が、疲れを隠すことすら放棄していたからだ。  それでも休まず教壇に立っているのだから、これから説明される課題はそれほど重要だということだろう。 「シトリ教官。まずどうして、ケルベロスに追いかけられるような状況に?」  話を聞いていた生徒のひとりが手を挙げた。その表情は固く、険しい。  だからシトリも笑うのをやめた。眼鏡の奥で、赤の瞳を細める。 「あなたは、グラヌーゼのことをどれほど知っていますか?」 「この学園の北部にあり、『繁栄と存亡の交わる村』と呼ばれ。かつての魔王大戦で大きな戦禍に巻き込まれたということ、くらいです」 「充分です。故にかの村の周りには今でも多くの傷痕が残り、グラヌーゼの村に関しては復興も満足にできてはいません」  昔は美しいグラヌーゼ麦の稲穂に囲まれ、『黄金郷』などとも呼ばれていたのですがね。  そう付け足しながら、シトリは教壇を降り、集まった生徒達に数枚の羊皮紙を配り歩く。 『きみ』もその一人だった。渡された羊皮紙に書かれた内容を確認しつつ、シトリの言葉を聞く。 「このグラヌーゼ村の近郊に、古びた井戸が点在しておりまして。周辺住民はそれらを纏め、底のない井戸……『果てなき井戸』と呼んでいるのですが」  この井戸の奥にですね、やはりあったのですよ。秘密の地下道が。  続いた言葉はどこか楽しげだ。不思議に思った『きみ』は、思わず顔を上げ、たずねる。  やはり、とは? 「点在する井戸の底。そのそれぞれに、行き先の分からない通路があるという噂は、昔からあったのです」  ですが本当にあるのかは、解明されてはいなくて。告げながら、シトリは名案とばかりに人差し指を立て、 「だからその中から適当に1つ選び、飛び込んでみたのです」  なるほど、と『きみ』は思う。そうしてケルベロスに追われる事態になったのだろう。  疑問が解消された『きみ』は、再び口を開いた。ならこの課題は、ケルベロスの討伐なのか? 「いやいや、そんなことはしません、させません。ケルベロスは並大抵の相手ではありませんからね。また見つかったら、即逃げます」  迷うことなく言い切った教師に、『きみ』は再び問いかける。ならば、いったい何をする課題なのか? 「内部調査です。二枚目の資料をご覧ください」  言われるがままに、羊皮紙を捲(めく)る。そこに書かれていたのは、シトリによる手書きの地図だった。  スタート地点は、シトリが無作為に選んだらしい、井戸の底。そこから繋がる広い道をしばらく歩くと、T字路に突き当たり……。 「右か左か。分かれ道になっているようで、しかしこの道は、奥で繋がっています」  つまりは一本道だ、ゆえに迷うことはないのだが。 「この道の上を、ケルベロスは巡回しています。ぐるぐると回るように」  理由はわからない。どうしてこの場所にいるのか、どうやってこの場所で生きていられるのかも不明だ。  しかしわかることもある。この通路の狭さでは、ケルベロスは『後退できない』。 「ケルベロスはかなりの巨体です。あれでは前に行くことしかできず、後ろを振り向くことすらままならないでしょう」  優れた聴覚で音を拾うことはできるかもしれませんがね。  そう続く言葉を聞いた『きみ』は、あることに気付いた。書かれている通路上、扉のようなものがいくつか存在していたのだ。  この扉の先は? たずねる『きみ』に、シトリは首を振る。 「確認できてはおりません。ええ、だから、――皆さんに集まって頂いたのです」  書かれている扉は全部で6つ。そのうちの1つは、シトリが『ケルベロスの視界から逃げる』ために飛び込んだらしいのだが。 「他の5つの扉の先に何があるのか、未だわからない状況でして。ですので、皆さんの力を貸して頂きたいのです」  鬼が出るか、蛇が出るか。全くわからない状況だが、しかしその場所に何かが眠っているのは確かだろう。  しかもその番人が、あの『魔王のペット』であるというのなら。 「……探ってみる価値があるとは思いませんか? 多少の危険が待ち受けているとしても、ね」
見せた一面 瀧音 静 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2019-12-03

予約期間 開始 2019-12-04 00:00
締切 2019-12-05 23:59

出発日 2019-12-10

完成予定 2019-12-20

参加人数 6 / 8
 異変は、静かに起きた。  学園に通う生徒達が暮らす寮。  その一室で、雨漏りが発生した。  雨漏り……なのだが、天候は晴れ。  ましてや最上階でも無いその部屋で暮らす生徒は、一度首を捻る。  何故水が? と。  そして、自分の上の階に住む先輩が誰かと思案して――。  即座に寮長に相談し、上の階の様子を確認して貰うと……。 「ようやく……誰ぞ来てくれたか。……すまぬのじゃ。……助けを」  弱々しい声に、ベッドに投げ出されたままの身体。  ローレライ特有の浮遊する水は全て床に落ち、それが下の階へと滴っていたらしい。  トレードマークたり得る赤ぶち眼鏡を掛けたまま、救いが来た、と手を伸ばすその存在は。  妖艶にてクール系。知識欲の権化、【フィリン・アクアバイア】その人であった。  一体どうしたのかと聞く声に、 「体調が優れぬ。……原因が分からんのじゃ」  と弱々しく返した直後、がっくりと全身の力が抜けて、伸ばした腕すらベッドに沈む。  どうしたもんかと慌てる寮長と生徒へ、フィリンは魔力を帯びた水に乗せて、一枚のカードを渡した。  魔力による遠隔決済を可能にした支払いカード。  通称『メメペイ』という、現在試用中の支払いシステム。  それを可能にするメメペイカードである。 「ソレを使えば、妾の支払いで購買部で購入できる。……頼む、何ぞ買ってきてもらえぬか?」  あまりにも突飛な話だったが、それだけフィリンの余裕が無いのだろうと察し、カードを受け取った生徒は走った。  目標は購買部――ではなく談話室。  そして、談話室に居た皆へ、状況を説明する。  イタズラ好きでも知られるフィリン先輩。  そんな先輩が弱っているときに、お眼鏡にかなう物を買っていけなければ、快復したときにどんな報復をされるかなど想像すら出来ない。  ならば、自分一人ではなく大勢を巻き込んでしまえば、誰か一人くらいはお眼鏡にかなう物を買うだろう、という魂胆だった。  かくして、この話を聞いた生徒達はメメペイカードを持って購買部へと向かう。  大量の品揃えを持つ購買部に、果たして弱ったフィリンを満足させる物は陳列されているのだろうか……。
☆ラブ先生☆『デート』こそ愛よ! 間代 空 GM

ジャンル ロマンス

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2019-11-29

予約期間 開始 2019-11-30 00:00
締切 2019-12-01 23:59

出発日 2019-12-08

完成予定 2019-12-18

参加人数 3 / 8
 教壇には1人の男性教師が立っている。  筋骨隆々とした逞しい肉体。精悍ながらどこか優しさを携えた瞳。  厳ついけどちょっと優しそうなおじさん。そんな表現がしっくりくる。 「はぁーい、みんな! ラブ先生から次の課外授業のお話よん。よぉく聞いてね?」  厳つい(中略)おじさんこと、【ライオット・ブランドー】先生は低音ボイスのオネェ言葉でそう言った。  ライオット先生……自称『ラブ先生』。  武神・無双コースを担当する教師の1人であり、ごく一部の生徒からは人気があったりする。  そんなラブ先生は逞しい肉体をくねらせながら生徒達に問いかけた。 「勇者にとって1番大切なものって、何か分かるかしらぁ?」  なかなか深い問いかけだ。  生徒達は各々が思い描く勇者像をもとに返答する。  強さ、勇気、魔力、信念、名声、権力、野望――。 「あぁん! どれも悪くはないわ! でも違うのよ!」  生徒達の答えにラブ先生が教卓を叩いて反論した。  教卓がメキッと嫌な音を立てた気がする件については、ラブ先生も生徒達もスルーしている。 「答えは『愛』よ! 愛があれば何だって解決できるわ!」  生徒達は内心思っていた。 (先生の場合、筋肉で全て解決できそうです……)  そんな生徒達の心中などお構いなく、ラブ先生は続ける。 「と、言うわけでぇ……。次の課外授業のテーマは『デート』よ! うぅん、愛を感じるわ!」  そんなラブ先生の言葉に生徒達の反応は多種多様。 「よっしゃ! あの子を誘おう!」  待ってましたと言わんばかりの生徒。 「デートの授業って具体的に何をすればいいのかしら……」  デートもまた授業の一環として冷静に分析しようとする生徒。 「相手いない。リア充爆発しろ」  思わず応援したくなるような生徒もいる。 「うふふ、不安になっちゃうのも愛よね。分かるわぁ」  でもぉ、と続けるラブ先生。 「ラブ先生、ちゃんと見守ってるからっ! あと成績にもちゃんと影響するから!」  思いっきり覗いてると宣言された生徒達は複雑そうな顔をするしか無かった。 「みんなの愛、先生に思いっきり見せつけちゃってねん!」  かくして、ラブ先生の覗き付き愛の課外授業デートに向けて、生徒達は各々準備を始めるのだった……。
GGGグレート・ゴールド・ゴーレム 秀典 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 通常

公開日 2019-11-27

予約期間 開始 2019-11-28 00:00
締切 2019-11-29 23:59

出発日 2019-12-04

完成予定 2019-12-14

参加人数 6 / 8
 ゴールドラッシュ村。  ある重大な要件を伝えるために村長の【キンガ・アルジャー】は村人達を呼び出し、食事に招待している。 「諸君、この村に金が無くなってしまった」  適当に食事を食わせ、タイミングよくキンガが言い放つ。  呼び出された村人は、一瞬冗談を言われたのかとザワついている。  だがそれが本当だと気が付いた一人の男が、ドンとテーブルを叩いた。 「どうするんですか村長! 一体何に……」  男は出された料理を見下ろし、その皿がとても綺麗な物だと気が付いた。  部屋の中を見渡すと、よく分からない壺や、変な絵画まで飾られている。 「まさか村長、私腹を肥やすために金を使い込んだのか!?」  男はもう一度テーブルを叩きキンガを睨んだ。  他の村人も同様に睨みつけるが、村長は動じない。 「それは違う、絵画も壺もワシの趣味だが村の金を使ったりしない! ただちょっと詐欺師に騙されちゃっただけなのだ。テヘ♪」  キンガは舌を出し、目一杯の可愛さを出した。  まずぶん殴ろうと全員が席を立ち上がり拳を構えるが、キンガは慌てて方法を思いついた。 「ま、待て、手が無いとは言っていないぞ! お金を得る方法ならある! 聞け、聞いてえええええ!」  どうせ嘘だと村人達が騒いでいる。 「少し待ってくれ。ここで責任を取って貰うのは簡単だが、一応言い分を聞いてみよう。もしあったとしたら勿体ないからな」  しかし先ほどの男が皆を止めてキンガの命を救ったのだった。  キンガは椅子に座らされ、睨む村人達の前で語り出す。 「この家には代々伝わる伝説がある。この家の窓から見える山の頂に、三日雨の降った後の晴れた日にグレート・ゴールド・ゴーレムが現れるという。その魔物の体は全て金で出来ていて欠片だけでも一財産になるのだ。幸い今日も雨、これで三日。次に晴れた日に現れるはずだ!」  キンガは必死に訴えている 「村長、嘘じゃないでしょうね? もし嘘だったなら私財全部売っぱらいますからね」  先ほどの男は睨みをきかせるが。 「嘘じゃない! ワシの澄み切ったチャーミーな目を見てくれ!」  キンガは目を輝かせて無実を訴えている。 「目が腐っている。やっぱりここで始末した方が……」 「待てえええい! 一回見て来てからでもいいだろう! それとも独り占めしたいからってワシを抹殺するのか!? 卑怯者、卑怯者おおおおお!」  キンガの叫びに、村人達も動揺を見せている。 「わ、わかったから、その代わり居なかったらタダじゃ置かないからな!」  そして次の晴れの日、村人総出で山に出たのだが。 「グレート・ゴールド・ゴーレムが出たぞおおおおおおお!」  その声に反応して、大勢の村人が集まって来ていた。  出現した大きな金のゴーレムは、所々欠けていて体がボコボコになっている。  遥か昔から金を採取されていたのかもしれない。  金に目がくらんだ村人達はやる気を見せたが、足の一振りで一蹴されてしまっている。  これでは勝ち目がないと逃げ帰り、やっぱりキンガの家財道具は売り払われてしまう。  当面村の資財は確保できたが、その日常も終わり始めた。  次の雨が訪れた日、村の中に怪我人が出始めた。  誰も彼もがあの金を狙い疑心暗鬼になっている。  小さな子供ですらも噂になっているらしい。  そして日を追うごとに怪我人が増え。 「う~む、このままでは平和な村の暮らしが台無しになってしまう。やはりグレート・ゴールド・ゴーレムのことは秘密にしておくべきだった! こうなったらもう勇者の皆さんに倒してもらう他はない!」  キンガは三日以上の長雨が降った日に学園に手紙を出した。  ちなみに手紙には依頼の他に、『これはあくまでもお願いだけど、倒したゴールドゴーレムの破片は全部ワシが預かるので誰にも言わないでね』と書かれていた。
ジャックフロストを助けて はまなたくみ GM

ジャンル シリアス

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-11-20

予約期間 開始 2019-11-21 00:00
締切 2019-11-22 23:59

出発日 2019-11-28

完成予定 2019-12-08

参加人数 8 / 8
「あの……」  やや肌寒くなってきたものの、本格的な冬の到来にはまだ間があるフトゥールム・スクエアのとある教室。本日の授業をすべて受けおわった生徒たちはそれぞれの形で自由を謳歌すべく、足早に教室を去ろうとしていた。そんな生徒たちにかけられる小さな声があった。 「ちょっと、皆さんにご相談したいことがあるんです……」  生徒たちが振り向くと、そこには黒髪のヒューマンの少女、【ジェシー・エリス】の姿があった。彼女はなんだかもじもじと言いづらそうにしていたが、意を決したようにひとつうなずくと続けた。 「みなさんでないと相談できないことなんです。少しお時間、よろしいでしょうか……?」  ジェシーに連れられて空き教室に向かった生徒たちは、教室の隅に置かれた箱を見つけた。両手を広げたくらいの大きさだろうか。さほど大きくはない。 「この子、わたしが見つけたんですけど……」  そう言って彼女は箱を指さす。生徒たちがよくよく目を凝らすと、箱の中には何かが入っているようだ。  箱の中にいるのは……なんだろうか? 生き物のようだが、ぐったりとして動く様子がない。 「ああ、大丈夫!? 今お水かけてあげるね!」  ジェシーは大慌てでコップに汲んできた水をかける。箱の中の生物は少しだけ元気を取り戻したようで、羽をパタパタと動かして喜んでいるようだ。  それは結局何なの? と生徒の一人が問いかける。 「えっと、たぶんなんですけど……ジャックフロストなんじゃないかな、って思うんです」  ……ジャックフロスト!?  彼女の説明によると、このジャックフロストを拾ったのは学園の敷地内だった。地面にぐったりと倒れていたので、かわいそうに思って拾ってきたらしい。 「かわいそうだから、この子が住んでいた場所に戻してあげたいんです。でもわたし一人の力じゃ、どうにもできなくて……」  だから生徒たちに助けを求めたのだ、と言う。  だが、ジャックフロストは基本的に攻撃はしないとはいえ立派な魔物だ。  元の住処に返しても、いついたずらで人に害を与えるかもわからない。ゆえにここで討伐してしまうほうがいいかもしれない。  さて、君たちはどうするべきだと思うだろうか?
おいしいナポリタンがたべたい 樹 志岐 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2019-11-24

予約期間 開始 2019-11-25 00:00
締切 2019-11-26 23:59

出発日 2019-12-02

完成予定 2019-12-12

参加人数 4 / 8
●富豪 ナ・ポールタ=スパゲティーニの依頼  その日、とても不思議なチラシをあなたは拾った。 『求む! おいしいナポリタン!  貴殿の考案したおいしいナポリタンを振る舞うだけの簡単なお仕事。  きれいなキッチンと豊富な食材を用意して貴方をお待ちしております。  詳細はこちらまで……。                ナ・ポールタ=スパゲティーニ』  チラシの右端にはナ・ポールタ=スパゲティーニの屋敷と思われる簡素な地図が書かれている。  必要な情報だけが書かれたチラシ。 『なんだ、この程度か』  誰かがチラシを丸めて捨ててしまおうとすると、地図のさらに下に小さくこう書かれているのを見つけた。 『僅かながらですが御礼もご用意しております』  報酬がもらえるならいくしかない。 ●  屋敷を訪れた貴方達を、老齢の使用人――おそらく執事だろう――はなにも言わずにキッチンへ通してくれた。 「旦那様はずっと『おいしいナポリタン』を探しておいでで御座います。ですが、私どもにはどのようなナポリタンが旦那様の言う『おいしいナポリタン』であるのか、教えてはくださりませんでした」  だから若い力に助けを求めたのだ。学生のような、独創性のある者ならば、きっと答えにたどり着けると信じて。  心なしか執事の目は潤んでいるように見え、それはこの依頼がただ事ではないことを物語っているようにも感じられた。 「旦那様の願いを叶えるのが使用人の、私の務めに御座います。何卒、力をお貸し下さいませ」  深々と頭を下げ、執事は厨房を後にした。  さぁ、これから先はスパゲティーニと自分達の戦いだ。自分がおいしいと思うナポリタンを作り、彼を唸らせろ!
ピーチビーチピッチ! 水無 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-11-22

予約期間 開始 2019-11-23 00:00
締切 2019-11-24 23:59

出発日 2019-11-30

完成予定 2019-12-10

参加人数 3 / 8
 ピーチ!!(挨拶)  ……諸君、吾輩だ! 桃色軍曹だ! ついにやってきてしまったな、この季節が!  色づく紅葉、爆ぜる芸術、血反吐に塗れるスポーツ、そして全てを喰らう暴食の秋!  そう、つまり桃の俎上の季節だ!  ご存じの通り春先、川に放流された桃の稚魚は豊かな清流に抱かれ、その後大海を知り、人生……もとい桃生の荒波にもまれる! やがて産卵時期に入ると故郷の川へと戻り、命がけで子孫を残そうと、どんぶらこして、果てる!  まさに自然の神秘というやつだな!   そして何より、酸いも甘いも乗り越え、子孫を残そうと必死にもがき、あがき、がむしゃらに川を俎上して桃生を全うした桃たちの果肉は最高に引き締まっており、その味は至高にして至福なのである!  この桃を食している時に感じる多幸感などは、まさに桃源郷と表現して差し支えない程であろう!  ピーチッチッチ!!(笑)  吾輩、またしてもうまい事を言ってしまったようだな!  ……さて、歓談もこれくらいにして、本題へと入ろうではないか! じつは諸君にはこの一大イベントの陰に潜むと噂される――む? なに? 桃の俎上なんて知らないし、聞いたこともない? ましてや、桃が川や水の中を泳ぐなんて信じられない? 鮭と間違えていないのか……だとォ?  ピィィーッチ!!(怒)  諸君、世間知らずにも程があるぞ! 今までの桃生……もとい、人生を如何様に過ごしてきたのだ!! 己が無知と無関心さを恥じるがよい!!  ……などと怒っていても仕方がない!  本題へと入ろう! 事は一刻を争う!  じつは最近、桃の俎上する地域に桃狩りに来ているクマさんが出没していてな……いや、クマさんが桃を食べること自体は何も問題はない。問題は、それが一頭や二頭ではないというか……同志たちによるクマさん目撃情報は相当数で、中には狂暴化しているクマさんもいるらしいのだ!  この時期、例年通りであれば、子供たちからご年配の方まで、様々な方々がやってきて、桃の俎上を通して大自然の過酷さ、美しさ、壮大さを肌で感じてもらっているのだ! その間、吾輩たち『すもももももももものうち隊』がクマさんたちを一時的に川から引き離し、ギャラリーの安全を確保していたワケだが、こうも数が多いと吾輩たちの首も回らん……ということで、『すもももももももものうち隊』は現在、猫の手も借りたいという状況なのだ!  そこで諸君らには、我々の手伝いを頼みたい!  なに、心配するほどの事でもない! 何もクマさんを殺して追い返せなどとは言っていない! 桃には桃の、吾輩たちには吾輩たちの生活があるように、クマさんにもクマさんの生活がある! それを脅かすことは何人たりとも許される行為ではない! 吾輩たちが行っているのは、一時的な誘導! それもあくまで生態系に影響を及ぼさない程度でだ! こちらから危害を加えることは決してない! ……だがまあ、たしかにクマさんたちの攻撃を喰らってしまえば致命的だろう! しかし、我々には秘密兵器である、特別製の熊鈴だ!  熊鈴をひとたびガランゴロンと鳴らせば、クマさんたちは尻尾を巻いて逃げ出していくのだ!  諸君らには期間中、特別製の熊鈴を配布する! これを所定の位置について、時折鳴らすのが諸君らの仕事だ!  報酬についてだが、通常報酬に加え、別途現物支給(桃)も視野に入れている! 是非、奮って参加してくれたまへ!  ……あと、これは注意というより警告だが、海と川の境目……河口付近の浜辺には近づかないほうがいい! どうやらクマさんを狂暴化させ、操っている原因である『セインディーネ』がいるとの噂を耳にした! やつらは美しい女性の見た目に反し、非常に狂暴かつ、残忍で冷酷無比! 敵とみなしたものには問答無用で襲い掛かかるうえに、なんと好物は人肉とのこと!  ピーチ……(震)  そして最も厄介なのが、通常のセインディーネは歌声で水を操るのだが、このセインディーネはクマさんを操っている! つまり、吾輩たちも操られてしまうかもしれないという事だ! 以上の事を念頭において、この一大イベントを管理かつ楽しんでもらいたい!  そして……いいか! セインディーネには決して近づくんじゃないぞ! 絶対だぞ! 特別討伐報酬は出すが、絶対に近づいちゃダメだぞ! 桃色軍曹の約束だ!
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