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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



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ミラちゃん家――保護案件発生 K GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-08-06

予約期間 開始 2020-08-07 00:00
締切 2020-08-08 23:59

出発日 2020-08-16

完成予定 2020-08-26

参加人数 6 / 8
●グラヌーゼの片隅で  夏。冷涼なグラヌーゼではこの季節も、空の色は軽く浅い。  不吉な場所とされるサーブル城。  長い渡り廊下を魔物が、千鳥足で歩いてくる。慕うようについてくる猫たちに話しかけながら。 「【黒犬】、いないんだ。グラヌーゼにいるっていう話だったけど、違ったみたい」  ビーズで彩られたガウンを身につけた、赤毛の少女――【赤猫】である。  打ち捨てられた古城の中に満ちるのは沈黙だ。  しかしそれは、何もいないということを意味しない。昼なお消されることのない暗がりから気配がしている。  それはどこからかやってきて住み着いた、あやしげなものたちの気配だ。  閉め切られたままの窓に映る顔。  鏡の中を不意に横切る人影。  誰もいない部屋に突然響く笑い声。  うっすら開きかけた扉からはみ出している何か。その他、もろもろ、もろもろ。  彼らは赤猫が近くを通りがかった途端、急いで身を引く。恐れているのだ。自分たちより力が強い上に、酔っていて何をするか分からないから。  赤猫は鼻歌を歌いながら進んで行く。やがて、大きなホールに入って行く。  そこにはたくさんの絵が飾ってあった。  一番大きな絵は、豪華な部屋に集う老若男女の肖像画。皆王侯貴族のような身なりで、満ち足りた表情をしていた。  赤猫はそれの前で足を止め、喉を鳴らす。 「……えーと、これ、誰だっけ?」  しばらくそのままでいた後、不意に猛悪な表情になる。  ついてきていた猫たちが毛を逆立て、ぱっと柱の陰に隠れた。 「そうだ、こいつらが、呪いをかけたんだ。わたしにあのポンコツ野郎の――」  赤猫が絵の額縁を掴んだ。  額縁ごと絵が引きずり下ろされる。紙のように引き裂かれる。尋常でない膂力によって。 ●黒犬、はかりごとを企てる  【カサンドラ】は必ず勇者の元にいる、と【黒犬】は踏んでいた。  とすると、行く先はフトゥールム・スクエア以外にないとも。 (あの女……絶対捕まえてやる……)  その一念に燃えて黒犬は、グラヌーゼからはるばるフトゥールム・スクエア近くまでやってきていた。  だが、うかうかと敷地内には入らない。勇者とその候補がわんさかいる地帯に足を踏み入れるのは、今の自分の力から考えて、さすがに危険だからだ。  というわけで、目下、周辺の村付近に潜んでいる。本来は体高が2メートルほどある体を、普通の大型犬くらいに縮めて――そうすると見た目は、ただの黒いマスチフ犬となる。 (とにかく、敷地に入っても怪しがられない奴に、カサンドラがどこにいるのか調べさせなければ)  黒犬は、バスカビルという犬の魔物だ。バスカビルは犬を支配出来るという特殊能力を持っている。  だが彼は今回、その能力を駆使するだけではいかにも心もとない、と思っていた。犬は所詮犬なので、人間の喋る言葉の細かいニュアンスが分からない。というかそもそも、人間にものを尋ねることが出来ない。 (もう少し知恵の回る奴が必要だな)  本来こういった仕事は、赤猫のほうが向いているのだ。シャパリュは猫を支配出来る。猫なら足音をさせず歩き回れる。人の家にも上がりこみやすいし、何より身を潜めることに長けている。  だが黒犬は、赤猫に助力など一切求めないことにしていた。  あのいけすかない女に頼みごとなど、死んでもやりたくない。 (大体あんな飲んだくれに何が期待出来るものか。全てを台無しにすることが目に見えている。そのへんで小魔物あたりでも捕まえて脅し上げてやろうか)  そんな思案をしながら、月夜に畑のへりをぶらぶら歩く。  そこで、叫び声を聞いた。  足を運んでみれば粗末な服を着た十くらいの少年が、よってたかって男たちから袋叩きにされていた。殴り殺すぐらいの勢いで。多分、本当に死んでもいいと思っているのだろう。  まだ熟れ切っていないカボチャが2、3個場に散らばっている。 「このくそがき! またお前の仕業か! なめやがって!」 「今日という今日はもう勘弁ならねえ!」 「みなし子だと思って甘く見てやりゃあ、つけあがりやがって!」  黒犬は、その少年が使えると思った。のそりと場に近づく。  大人たちがそれに気づいた。 「おい、でかい犬が来たぞ」 「誰のだ」 「村で飼われてる奴じゃないぞ」  寄ってこられまいと彼らは、しっ、しっと手にした棒を振り回した。  黒犬が黄色い目でじろりと睨む。  男たちは棒を取り落とし後退りした。  かくして黒犬はなんなく、倒れている少年に近づく。  両目がふさがりそうなほど顔を腫れ上がらせた相手に、人間の言葉で尋ねる。 「おい、お前。助けて欲しいか? もしそうなら、そう言え。俺がこの場の始末をつけてやる」  少年は朦朧とした意識の中でそれを聞く。  ひとまず彼は自分自身が死にたいとは思っていなかった。今この瞬間も自分の帰りを待っている、幼い妹のことが心配だった。両親を亡くして以来つらく当たってくる周囲の大人へ、猛烈な反感を抱いていた。  血のこびりついた唇から『助けて』という言葉が絞り出される。 ●勇者、迎えに行く  【アマル・カネグラ】以下学園生徒達は、とある山間の村を訪れていた。  そこではつい先日、血なまぐさい事件が起きたばかりだ。  複数の村人が殺されたのだ。明らかに普通ではない殺され方だった。ものすごい悲鳴を聞きつけ村人が駆けつけてみれば、全員体のほとんどを食いちぎられていた。獣に襲われたとしてもありえないくらいに。  その現場を見たのではないかと思われる少年――名前は【トーマス】――がいるのだが、一体何が起きたのかどんなに問い詰めても、一切説明しないのだという。  村人たちはそのことを薄気味悪く感じた。もしかしたらこの不吉な出来事が、少年に起因するのではと思い始めた。  それで厄介払いがしたくなったらしい。学園へ少年を預かってくれないかと申し出てきた。まだ幼い妹と一緒に。 「その子の家は、両親が亡くなってしまったらしいですよ。その後は親戚の手伝いなんかして食べさせてもらっていたようで」 「親戚は、学園へ預けるのをよしとしたのか?」 「ええ。もともと豊かな村じゃないみたいで……このまま養っていくのも難しいとのことでした。向こうからの説明では」  馬車が止まる。村の入り口に入ったのだ。  窓から顔を出してみれば、例の少年だろう子が妹の手を引き待っていた。  着ているものがひどく貧弱だ。顔中にあざが出来ている。
元気過ぎる雑草と戯れよう 夜月天音 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-08-06

予約期間 開始 2020-08-07 00:00
締切 2020-08-08 23:59

出発日 2020-08-14

完成予定 2020-08-24

参加人数 2 / 8
 放課後、魔法学園『フトゥールム・スクエア』、第一校舎『フトゥールム・パレス』の植物園『リリー・ミーツ・ローズ』。 「最近手に入れた魔法含有の肥料は凄いな」 「いつもより花の数は多いし、色艶も綺麗」 「どの植物も元気だよ」  植物委員会に所属する学生達が、嬉しさと誇らしさが混じった表情で、咲き誇る植物を眺めていた。  彼らの晴れやかな顔が一瞬にして変わった。 「問題は雑草だな」 「魔法含有の肥料のせいで、凄く元気になってしまったんだよね。いつもより丈夫で、なかなか引き抜けない」 「魔法のせいで何か変な力も持っちゃってるし、見た目が可愛い雑草もあるけど」 「そのせいで、私は右手を火傷しちゃったし、石にされたり、眠らされたり、幻覚見せられたりしてる子もいるし、襲ってくる元気過ぎる雑草もいるし」 「このままだと植物達に栄養が行かなくなってしまうから、引き抜かないといけないですよ」  その理由は、雑草だ。植物を育てる者として誰もが抱く問題だ。 「他の学生達にお手伝いをお願いしちゃいましょう。植物に親しんで貰う良い機会ですし戦闘の訓練にもなります」 「それなら雑草の処理だけでなく水やりとか他の世話をして貰ってもいいかも……園芸の道具とかは好きに使って貰ってさ」  随分雑草に手こずっているためか、他の学生の協力を得る事に決めたようだ。 「それじゃ、事情を話して力を貸して貰おう」  植物委員会の学生達は、授業を終え放課後を満喫する学生達に協力を仰ぎに行った。
空の恐怖を越えて届け、癒しの心 ことね桃 GM

ジャンル 冒険

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2020-08-04

予約期間 開始 2020-08-05 00:00
締切 2020-08-06 23:59

出発日 2020-08-12

完成予定 2020-08-22

参加人数 6 / 8
●命懸けのお届け物  元引き籠り幽霊少女【メルティ・リリン】が初めての課題を経験してから間もない頃。 「シュターニャのとある街に住む少女が難病に侵されていてね、その治療に使う薬草を届けてほしいっていう依頼が学園に来ているのよ。どう? やってみない?」  教師がイキイキした顔でメルティの肩を軽く叩いた。 「薬草を届けるの……それだけでいいんですか?」 「まぁ、基本的にはそうね。その薬草はこっちでは割と手軽に手に入るんだけど、あっちではそうじゃないみたいで。だから学生の力を借りたいんですって」 「それなら私、頑張ります! 困ってる人を見過ごすわけにはいきませんもの!」  どうやら初めての課題挑戦は彼女にとって素晴らしいものだったようだ。  だがすぐさま仲間を集めようとするメルティに教師は言う。 「ただねー……あっちは足場の危ない岩場があってね。そこにワイバーンが出るって専らの話なのよ。そいつに遭わなければすぐに課題解決できるだろうけど、遭ってしまったら気をつけて。あいつら、死ぬまで空を飛んで火を吐いて暴れまくるから厄介なのよ」 「……! 先生、何でそれを先に言ってくださらないんですかー!」  メルティは顔を真っ赤にして怒ると唇をツンと尖らせた。  しかし逃げを予感させるような怯えの表情が見えなくなったことは確かで。  それが教師にとっては何よりも嬉しかった。 ●シュターニャの岩場にて 「全く……こんな日に限って姿を見せねえとはな」  傭兵組合『シュッツェン』の組合員たちは弓や剣を手にしながらも、不満そうにため息を吐いた。  何しろここは夕日が美しく見えると評判の観光地。  観光組合『アイネ・フォーリチェ』からも早くワイバーンを仕留め、安全に観光者が訪れられるようにしてほしいと急かされているのだ。  そこで組合員がワイバーンを『古龍のバッタモン! ビビッて隠れちまってんのかよ!!』と叫んだところ、ワイバーンの群れが突然岩場の下から天をつくように舞い上がり、彼に向かって火球を吐いた。  もちろん組合員とて腕は立つ。  咄嗟に身を転がし、火球を避けた。  しかしその焔は岩の表面を焦がし、切り立った岩先をぼろりと崩す。  もし一斉に岩場の脆い面を狙われたら危険だ。 「……ちっ、ここから落ちたら全員死んじまう。皆、一旦撤収! 態勢を整えてから再度挑むぞ!」  組合員の中で最も年長の剣士がそう言うと、彼らは弓矢でワイバーンを牽制しながら後退した。 ●その頃、学生たちは  ――この課題に参加することになったあなたは件の岩場に近づくと思わず息を呑んだ。  高所に広がる岩場、そして自然に崩れたとは思えない岩の焼け跡。  さて、ここをどう切り抜けたものか。  この地を脅かす魔物を倒し、駆け出し勇者として凱旋するべきか。  それとも慎重に草木の合間を横切り、安全に課題を達成するべきか。  メルティの顔を思わず見ると、彼女の瞳は不安そうに揺れていた。
きれいなコルネさんは、好きですか。 正木 猫弥 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2020-08-04

予約期間 開始 2020-08-05 00:00
締切 2020-08-06 23:59

出発日 2020-08-12

完成予定 2020-08-22

参加人数 5 / 8
「おっすおーーっす! いやあ、良い朝だねえ!」  この人に『眠い』とか『だるい』とかいう感覚はあるのだろうか。  魔法学園『フトゥールム・スクエア』学園長、元気一杯の【メメ・メメル】を前に、早朝から課題に駆り出された学生達はそんな想いを新たにする。  ここは『スペル湖』にほど近い森の入り口。少し進んだ先には、学園長所有のログハウスが建てられているらしい。  独りで研究や骨休めを行うために確保した場所ではあるが、神出鬼没のメメたん先生がじっとしている事などそうあるはずもなく。 「最近全然行けてないから、水やりをしてない『花』が凄く怒ってると思うんだよね。悪いんだけど、様子を見てきてもらえない?」  ……水をやらなければ、花は枯れるのではなかろうか。 「ログハウスの鍵はこれね。ちゃんと水やりをすればすぐ大人しくなるから、かっとなって火を付けたりしたらメッ! だぞ☆」  学生達の疑問をよそにぽんぽん話を進める学園長と、自由奔放なメメたんらしいと思いながら課題の説明を受ける学生達。  ここまでであればよくある学園生活のひとコマ、というだけなのだが――今回は少し様子が違うようだ。 「水やりが終わったら、ログハウスや近くの施設を使って存分に楽しんでいいからね。で、一つお願いがあるんだけど……それにコルネたんも加えてもらえないかなあ?」  【コルネ・ワルフルド】。学園教師にして新入生の対応や広報まで担当する優しいお姉さん。  そんな彼女の事を学生達も知らない訳ではないが、何故今その名前が出てくるのだろう? 「最近何かと忙しかったからね。コルネたんに無理させちゃったかなって、メメたんちょっち反省してるんだ。……で、これはせめてもの埋め合わせ」  学園長が取り出したのは、白地に葡萄の柄があしらわれた木綿の着物と赤色の帯。 「これは『浴衣』っていう東方の着物でね。夏の暑い日に、これを着てお祭りに行ったりするんだって。でも、これはあくまで小道具。コルネたんを本当の意味で癒す事が出来るのは、君達しかいないと思うんだ。……だから、頼むね☆」  コルネたんにはちゃんと纏まった休みを取ってもらうから安心してね、と言いながら、我らが学園長は学生達にウインクを飛ばすのだった。
魔法学園生の夏 夜月天音 GM

ジャンル 日常

タイプ マルチ

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2020-08-01

予約期間 開始 2020-08-02 00:00
締切 2020-08-03 23:59

出発日 2020-08-09

完成予定 2020-08-19

参加人数 12 / 16
 放課後、魔法学園フトゥールム・スクエア。 「さあ、季節も夏となり、あちこちで夏の催しが開催されているかと思いますが、勉学を怠らない程度に楽しんで下さいね」  最後の授業を終えた各コースの教師達は、厳しさと優しさを含んだ調子で夏の陽気さにあてられた学生達に言った。 「学園の正門で、報道クラブの学生達が催しをまとめたパンフレットを配っているから参考にして下さいね」  教師はにっこりと笑い、学生達が夏を有意義に過ごせる事を願って、教室を出た。  正門。 「やっほー、報道クラブだよー! 夏を満喫するお手伝いをするよー」  数人の学生達が、元気いっぱいに手に入れた情報を下校しようする学生相手に披露していた。 「トルミンの温泉宿ペアで一泊二日無料宿泊券が何枚かあるから使わない? どの温泉宿にも使えるよー。ギンザーンにある鍋専門店の『鍋奉行』で夏限定の鍋があるよ。鍋の色は真っ赤で具材は全て激辛であまりの辛さに失神する人続出だって。その名も『溶岩鍋(ようがんなべ)』! 食べ切ったら無料の上に冷たくて美味しいアイスクリームがつくよ!」 「アルチェのサビア・ビーチで海水浴もいいけど、海の家が人手が足りないから困ってるって、イルフィナ海では釣りクラブが合宿するそうだよ」 「シュターニャの体験工房『ボノダータレン』は夏の爽やかな香水を作る事が出来ますよ。トロメイアで芸術巡りもいいですが、トロメイア大劇場で一日限りの求人をしているので役者や裏方として芸術に関わるのも素敵ですよ」 「グラヌーゼの東部の麦畑ではグラヌーゼ小麦の収穫が始まるんだけど、働き手が少なくて困ってるから助けて欲しい」 「学園でも中庭で、夜、料理研究クラブが食べたり飲んだりの夜会をするそうだよ」  情報を伝える報道クラブ員達は皆いい顔であった。 「まあ、一番大切なのは自分が楽しいかどうかだから、私達の情報を絶対に使わなきゃじゃないからね!」  情報を伝えた終えたクラブ員達は、引き止めた学生達を解放した。  とにもかくにも、レジャーが楽しい季節が訪れた。
緋色の辻斬り 七四六明 GM

ジャンル 戦闘

タイプ EX

難易度 とても難しい

報酬 多い

公開日 2020-07-30

予約期間 開始 2020-07-31 00:00
締切 2020-08-01 23:59

出発日 2020-08-08

完成予定 2020-08-18

参加人数 8 / 8
 とある集落にて、今宵、結婚式が開かれる。  集落には古くから代々続く、結婚にまつわる風習があり、結婚する男女が永遠の愛を誓うのは神に仕える神父ではなく、集落近くの山を護る守護神――とされている牛のルネサンス。通称【牽牛】(けんぎゅう)様だと言う。  彼に永遠の愛を誓い、彼の洗礼を受けることで結婚したことになるらしい。  そして毎年、牽牛様を狙って襲って来る輩がいるのだとか。  一体どこから、またいつからなのか知らないが、牽牛様の角は高く売れるという噂が周辺地域から国内へと広まり、以来、牽牛様が出て来ると狙って来る賊が出るようになったそう。  故に集落は、対策として牽牛様の洗礼と宣誓を年に一度としたのだが、逆に年に一度のチャンスだと、より多くの賊が一度に襲って来るようになってしまった。  そして今年もまた、一組のカップルのために牽牛様が集落へ赴く。魔法学園『フトゥールム・スクエア』の生徒達は、牽牛様護衛のため駆り出された。 「で、何で俺達まで来なきゃダメなんだよ、畜生……」  学園を出発してから、アークライトの弓兵【シルフォンス・ファミリア】はずっと、ぶつぶつぶつぶつ呪いの言葉のように文句を言い続けている。  そして度々、隣を歩く虎のルネサンス【ティグー・ラント】に脛を蹴られていた。 「ったくあんたは、いつまで経ってもウダウダウダウダ! 殴るわよ!」 「蹴ってから言うなっての! ……ったく、わかってるよ。大物が出て来るかもしれねぇってんだろ? あぁあ、せめて確実な情報寄越せっての。来るかどうかもわからねぇ奴相手に出向くなんざ――ってイったっ!」  また、ティグーに脛を蹴られる。  二人の後ろを歩く【灰原・焔】(はいばら ほむら)は面白いよな、と二人を指差してケタケタ笑い、こちらの緊張を緩めようとしてくれていた。 「ま、だけど俺も緊張するよ。牽牛様――仮にも神様の護衛だなんてさ。しかも狙って来る敵も大物も大物、って、まだ噂の域を出ないのだけれどね。緊張するのは仕方ないよ」  牽牛様の角を狙う輩など、毎年多過ぎて絞れはしない。  だが今年は偶然、別の学生が依頼で行った大型盗賊団の支部となるアジトにて、その盗賊団が牽牛様を狙い打つ計画書を発見。学園に持ち帰り、今回の依頼に至ったわけだが、その計画書の中にあった名が問題だった。  【荒野・式】(あらや しき)――通称、緋色の辻斬りと呼ばれる指名手配犯。  老若男女問わず、種族問わず、人数も家も問わず、視界に収まった相手を襲い、斬りつける極悪非道の人斬り男。  確かな証拠こそ見つけられなかったが、そんな男を盗賊団が雇った可能性がある以上、今まで以上の警戒をしなければならない。  そのため学園は自分達に加えて、急遽、手練れの先輩方三人を手配した。  出発前になって急に決まったので、伝わってしまった緊張感に背筋を撫でられ、悪寒を誘われている気分だ。  先輩方にとっても急な話だったので、シルフォンスは不機嫌だし、ずっとぐちぐち言っているシルフォンスにティグーが苛立っている。 「荒野・式はかなりの手練れって聞いてる。俺のきょうだい弟子が一度遭遇したらしいけど、間合いの違う二本の薙刀を駆使して、懐に入れて貰えなかったらしい。ま、あいつも当時は酒が入ってたらしいから、普通にやってたら勝っただろうけどな!」  緊張感を振り払うため、焔は笑い飛ばす。  結婚式を挙げる集落に、未だ確実とは言い難い人斬りの存在を明かしてはいないため、依頼人のカップルや集落の人々に気取られないようしなければならない。  緊張を表に出して、不安を煽るようなことはなるだけ避けるべきだし、何より学園側にも狙いがある。 「いいか? 俺達の依頼はあくまで牽牛様の護衛だ。そして、その中に辻斬りがいる、かもしれない。それだけだ。神出鬼没の辻斬りが出る可能性があるから捕らえる――ってのは、あくまでついで。学園が決めた勝手な都合だ。だから、俺達の仕事は護衛なんだ。だから、そんな緊張すんなって」  そうやって焔に背中を叩かれ、励まされながら、集落へと到着した。  神様の護衛依頼、始まる――。
【体験/水着】流星のメモリア 白兎 GM

ジャンル イベント

タイプ マルチ

難易度 とても簡単

報酬 多い

公開日 2020-07-10

予約期間 開始 2020-07-11 00:00
締切 2020-07-12 23:59

出発日 2020-07-21

完成予定 2020-08-15

参加人数 16 / 16
●学園長の一声、および、思いつき  ――フトゥールム・スクエア、学園長室。 「ほう、ほうほう! 流星雨とな!」  元気いっぱいの声が頷くたびに、青のとんがり帽子が揺れる。  見るからにふかふかな椅子に腰かけ、サファイアのような青の瞳を瞬かせる【メメ・メメル】は、この学園のトップに位置する存在であり、『精霊賢者』の異名を持つ、大変優秀な魔法使いである。  しかし、性格は突飛で自由奔放。  彼女を快く思う者が聞けば、『そんな中にも、ちゃんと、学園長なりの考えがあるんです』なんてフォローも入るのだろうが、最近は適当な所ばかりが前面にでているため、一部の生徒達からはSSM!(※『そこまでにしておけよメメたん』の略である)なんて言われることも多い。  そんな彼女は今、学園教師の一人である、【シトリ・イエライ】からの報告書を読んでいた。  内容は、『数日後に、流星群が観測されそうだ』という、彼による天体予測だ。  しかし、この世界において、流星群はそこまで珍しいものではない。  『星の降る夜に、スペル湖にて愛を語り合うと。真実の愛に巡り合える』なんていう噂が生徒間で飛び交う程にはポピュラーで、頻度としては月に一、二度あることなのだ。  それなのに、わざわざ報告書を認めたということは、 「今回の流星群は、通常とは少々異なり、かなりの量になりそうです。まさに『雨』といって良いでしょう」 「シトりんはそれを、天変地異とか異常気象……つまり、凶兆ではないかと感じているのかえ?」  「はい。近頃は魔物の脅威も増えていますし、魔王を信奉している魔族が暗躍している節もございますので」 「んん~……そうだなぁ」  告げながら、メメルは椅子の背もたれに寄りかかる。木の軋むような音がする中、彼女は浅い息を吐いた。  確かに、占星術という言葉があるように。『星』は占いや魔法にも取り入れられ、『世界』そのものから様々な啓示があるとも考えられている。 「でもなぁ~……オレサマ、流星雨はスキなんだよな~、キラキラ綺麗だし、これも吉兆じゃないかな~」 「そんな判断の仕方で、良いのです?」  苦笑するシトリに、メメルは笑う。シトりんは頭が固いなあ、なんて言いながら。 「ま、仮に凶兆だとしても、人生楽しんだもの勝ちだゾ☆ これから何か起こるかもしれないのなら、今は羽根を伸ばして、英気を養う時だとオレサマ思うな~」  と、いうわけで。 「しょく~~~~ん!! 星降る夜に、キャンプをするぞ~~~~!!!」  メメル校長お得意の『学園全体に声を響かせる』魔法が、突然の野外活動を高らかに宣言したのであった。 ●星の降る夜に  そんなわけで。  今『きみ』は、掲示板に突然現れた(恐らく魔法の類だろう)、『スペル湖で流星雨を楽しもう! 水着で水遊びしたり、浴衣でキャッキャウフフにあ~れ~なこともできるゾ☆』なんていう張り紙を見ていた。  やたらと長い題目ではあったが、つまり『思いっきり、夏を楽しもう!』ということであるらしい。  確かに、授業や課題の毎日ばかりでは、息が詰まるというもの。  『きみ』がもし新入生であるのなら、慣れない環境への対応も相俟って、尚更疲れが出てきていることだろう。  ならば、こういった催しでゆっくりと疲れを癒すのは、とても良いことなのかもしれない。  そう思った『きみ』は、概要を読み進めてみる。なになに……? 『場所はスペル湖だ! この日は流星雨が流れるらしいので、恋人が欲しいチミは、存分に愛について語らうと良いゾ☆』  スペル湖といえば、広大な学園の敷地内の西側に広がる、これまた広大な湖だ。  湖畔には公園もあり、生徒や近隣の住民の憩いの場にもなっているのだが、今回はキャンプイベントで貸し切り状態になるらしい。  泳ぎの授業にも使われる場所なので、夏の暑さが厳しくなってきている今日この頃、水遊びにはちょうど良いのかもしれない。 『水着や浴衣を持っていないチミ達! 安心したまえ! 貸し出しスペースを用意したので、みんなでキャッキャウフフと選ぶのだ!』  キャッキャウフフはさておき、借りることが出来るなら、お財布にも優しいだろう。  気に入ったものはそのまま購入もできるようなので、気になるあの子がいるのなら、コーディネート&プレゼントも出来そうだ。 『というわけで、服装は自由だゾ☆ 一日水着で過ごすもよし、夜だけ浴衣に着替えるもよし。自分なりの楽しいを満喫するべし!』  なるほど、なるほど。やはり暑いからだろうか、行程にはテント設営や夕飯(カレー)作りなどもあるが、そういった時間も服装は自由であるらしい。つまり、オール水着でも問題ないわけだ。 『そういえば、この時期のスペル湖では、たま~~~にファイアフライ(東の方で『蛍』とも呼ばれている奴だな!)も来るみたいだな。運が良ければ見られるかもしれんのう』  ファイヤフライ……蛍といえば、淡い黄色の光を灯す、とても美しい原生生物だ。  空には流星雨、そして湖のほとりに蛍まで現れたら、まさに絶景であるのかもしれない。  ゆえに『きみ』は、誘われるように、参加チケットに手を伸ばす。  この学園らしい、賑やかな夏の始まりを、感じながら。
蒼炎恋歌 土斑猫 GM

ジャンル シリアス

タイプ EX

難易度 とても難しい

報酬 多い

公開日 2020-07-25

予約期間 開始 2020-07-26 00:00
締切 2020-07-27 23:59

出発日 2020-08-04

完成予定 2020-08-14

参加人数 7 / 8
 その客がフトゥールム・スクエアを訪れたのは、もう夜半も過ぎた頃。  来訪の知らせに担当の職員がブツブツ言いながら出た所、門に立っていたのは女性。見慣れない異国の衣装に身を飾った、若い女性だった。 「阿保が、おりゃんして」  害意はなさそうと判断され、応接間に通された彼女。ソファに座ると、唐突にそう言った。 「これが、随分な身の程知らずでありんしてねぇ。魔王とか言う古物に魅せられんして。同じ高みに上がろうと、巣を抜けたんでありんす」  唄う様な言綴り。漂う、奇妙な香。彼女が、纏う。 「そこな時、出がけの駄賃に幾つか持ち出しんして。『苗床』にするつもりだったんしょう。此方に来てから、あちこちにばら撒いた」  取り出す煙管。何もしないのに、焔が灯る。『ごめんなんし』などと言いつつ、返事が返る前に一吸い。吐いた煙は、ヤニではなく甘い薬草の香り。 「で、『そろそろ』と言う頃合いで。尻拭いにわっちが出張ってきた訳でありんすが……此れが、意外」  ポンと叩く手。どうにも大仰で、わざとらしい。胡散臭そうな職員の目など無視して、続けた話。 「もう、こちらの生徒さん方が、『風』と『土』を調伏済みでありんした」  それが、眠たげだった職員の目を覚まさせる。顔を上げた彼を妖しげな微笑みで見つめると、また煙管を揺らす。 「全く、大したモンで。『風』は封じた様でありんすが、『土』は見事に滅して見せた。実に、見事」  『風』と『土』。学園の生徒達が関わった事件。心当たりが、ある。 「それで、わっちも一つ悪心が湧きまして」  職員の問いを塞ぐ様に、にやける女性。 「『残り』も、お任せする事にしんした」  途端、女性の姿がユラリと霞む。察した職員が咄嗟に捕縛の魔法を発動するが、既に手応えはない。 「差し当たり、『火』の鍵を解きんした。後、半刻程で動き出しましょうか」  揺らぎ溶けていく、彼女。哂う声が、言う。 「何、『火』は『風』や『土』程に荒んくはございせん。此方のわっぱ達でも、十分でありんしょう。それと……」  ポトリ。  何かが、テーブルに落ちる。 「代価くらいは、置いていきんす。使ってくださんし」  見れば、そこには幾つかの指輪と符。  声だけが、言う。 「差し当たり、滅するが近道ではありんしょう。けど……」  また、笑い。チラつく、悪意。 「急くのも、考えモノでありんしょなぁ。何のかのと、『哀れな娘』ではありんすから」  どういう事かと問う職員の前に、『読みんし』と落ちる一冊の古書。 「入り用な事情は一切合切、書いてありんす」  遠のく、声。 「ではでは。此方自慢のわっぱ達の手際と心意気、存分に愉しませて貰いんす」  消える、気配。  後に残るは、白い煙と甘い薬香。  ◆  正しく、異変は程なく起こった。  東に広がる、のどかな田園地帯。農民達が穏やかに暮らすその中心で、突然異常な魔力反応が起こった。次いで、周囲の気温が異常上昇。『暑い』ではなく、『熱い』。耐えかねた住民達は我先にと逃げ出した。  地元の有志が集まり、耐熱魔法を使って灼熱地獄の中に侵入。熱感に耐えながら、魔力の元を探る。  行き着いた先。そこは、住民達の話では古い祠らしきモノがあったと言う林。燃え尽きた木々の残骸の向こう。彼らが見たモノは、見上げる程に巨大な青い火球だった。  原因は明白。正体の解明は後回しにされ、大規模な消火活動が行われた。浴びせられる、大量の水。  けれど。  無意味だった。  いくら水をかけようとも、衰えない炎。それどころか、明確に熱量が増してくる。  ――只の炎ではない――。  皆が、そう思い始めた矢先。 「何方か、居られますか……?」  声が、聞こえた。  途端、火球が焔柱となって天に向かう。驚く人々。その中に在ったモノに、再度驚愕した。  青白く燃える地獄の中、座していたのは蒼く焼け付く巨大な鐘。そして、其れに巻き付く半人半蛇の少女が一人。  ルネサンス? 否、そうではない。異形。魔力。明らかな、『人外』。 「ああ、何と言う僥倖……」  絶句する隊員達に、少女は場違いに静かな声音で語り掛ける。 「そこな方々、今世の人方と存じます……。こうして来たれりも、何かの縁……。無礼は承知で、お頼み申します……」  願いは、簡潔だった。  ――やつがれを、殺めてはいただけませぬか――?  息を呑む皆に、少女は続ける。 「やつがれでは、どうにも出来ぬのです……。己で滅ぶ事も……。この忌しき鐘を壊す事も……。『この方』から離れる事さえも、叶いません……」   瑠璃色の燃える眼差しから落ちる、燐火の涙。鐘に巻き付く蛇体で弾け、きらりきらりと散って溶ける。 「このままでは、いずれやつがれは己を失いましょう。この地に住まう、全ての方々を共連れにして……」  ズルリと蠢く蛇体。灼熱する鐘を、愛しく抱く。 「時が、ありませぬ……。どうか、どうか……我が浅ましき情念を、滅ぼし下さいませ……」  鐘の上で両手を突き、平服する少女。長い髪がサラサラと泣いて、火粉を舞う。  青焔の煉獄で泣く可憐の様を、美しいと思った事は罪だろうか。 「どうか……」  呆然と見守る皆の前。  最後の懇願を遮る様に、炎の柱は蒼珠と閉じた。  ◆  明らかに、超常と思しき存在起因の災禍。当然の様に伝えられた学園では、教師達によって奇妙な女が残していった品物の検分が行われていた。  そこに伝わった異形出現の報。出現の時刻。『火』と言う関連語。聡明な教師達が気づかぬ道理はない。  急ぎ開かれたのは、例の古書。  果たして、そこに事の真相らしき事が記されていた。  ◆  かの半蛇の少女の姿をしたモノは、名を『清姫(きよひめ)』と言う。  時は、遠い昔の頃。  彼女は遥か遠東にあるらしい異国、その下級貴族の娘だった。  生まれつき身に『火乃蛇』と言う霊獣の加護を得て、齢12歳にして稀なる炎術師の才を観出されていた彼女。階級の低い家の希望として、大事に育てられていた。  当の本人は優しく大人しい性格で、幼くして想いを寄せた同い年の少年以外は何もいらないと、静かに嫋やかに日々を送っていた。  けれど、災いは突然に起こった。  何処からか現れた魔物の群れが、清姫の住む都を強襲。その数は多く、戦力の足りない都は瞬く間に蹂躙を許してしまった。事態を危惧した時の帝が下したのは、冷酷にして悍ましき邪法の使用許可。  白羽が建てられたのは、霊獣の加護を持つ清姫。  帝室付きの術者達は、高い位への昇級を餌に、清姫の父親と親族を説き伏せた。その後、都から清姫と恋人の少年を連れ出す。戸惑う彼女の眼前で、彼らは少年を斬った。  半死の状態になった少年を、呪法で生み出した大鐘の中に閉じ込める。鐘にすがり付き、泣き叫ぶ清姫。鐘の中で途切れ行く少年の声。ついに彼女の心は壊れ、内に秘められていた火乃蛇の権能が暴走を始める。意思なき業火は術師達に繰られ、魔物を一体残らず焼き滅ぼした。  全てが終わった後、術師達は火乃蛇の浸食によって異形と化した清姫を、しがみつく鐘ごと封印した。  憎悪と恋慕の炎。溶けた彼女は、もはや魔性。抱く憎念が、都に新たな災いを招かぬ様にと。  ◆  読み解き、沈黙する教師達。そこへ、新たな報が届く。  清姫が核となる火球の温度が、どんどん上昇している。もはや有志住民が持つレベルの耐熱魔法では対処不能。このまま上昇を続ければ、炎は大気さえも発火させる。燃えた大気は導線となって炎を伝播させ、大火災を引き起こす。  少なくとも、周辺の村は無事では済まない。  今のうちに、何とかしなければ。  時が、迫る。
【水着】求ム!海の家を手伝ってくれる人 橘真斗 GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2020-07-27

予約期間 開始 2020-07-28 00:00
締切 2020-07-29 23:59

出発日 2020-08-04

完成予定 2020-08-14

参加人数 5 / 8
~逆転の一手~  アルチェ、サビア・ビーチのとある海の家。  海の家はこの季節が稼ぎ時ではあるが、この店は静まりかえっている。 「出遅れた、このままでは店の売り上げが立たんなぁ……どないしょ」  海の家を経営するオーナーの【トム・ブレイカー】はがっくりと肩を落とし独りごちる。  今回が初参入であるものの、もう少し入るだろうという予想が大きく外れてしまった。  そんな時に耳にしたのは魔法学園の学生のライブに人が集まっているという話である。 「なるほど、その手はなかったなぁ。キレイどころもイケメンもいるようやし魔法学園にちょいと頼んでみる手でいこか」  決断は早く、それが彼のモットーでもあり数々の思い付きを形にしていく秘訣でもあった。 ~集いし『ゆうしゃ』たち~  魔法学園の授業の一環として受理されたの依頼に生徒たちが引率の教師と共に姿をみせる。 「よぉー来てくれたわぁ、ホンマ助かるわぁ!」  サングラスにアロハシャツの陽気なトムがシェイクハンズで挨拶を一通りすませると依頼の説明をはじめる。 「今回、頼みたいんわ、店の手伝い全般やな。大まかにはホール、キッチン、呼び込みの3つ。水着でやってしっかり目を引いてもらいたいんや」  ふむふむとうなずく生徒たちは店内にある広いステージに視線がいく。 「暇な時間があれば、ステージでなんかやってもええよ。歌も歌えるし、楽器は一通りあるから、使ってもらってもええよ。ワイも演奏できるさかい、言ってくれればかまへんよ」  納得してくれた様子の面々に頼もしさを感じたトムは笑顔で伝える。 「ほな、開店までもうちょいやから、最後の詰めよろしく頼むで~」  ゆうしゃたちの一夜限りの海の家デビューが決まった。
死人と語らうひととき 夜月天音 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2020-07-26

予約期間 開始 2020-07-27 00:00
締切 2020-07-28 23:59

出発日 2020-08-03

完成予定 2020-08-13

参加人数 4 / 8
 日没、シュターニャの寂れた裏路地。 「そこのお客さん、ちょっと見ていかないかね」  70歳の鷲鼻の年老いたヒューマン男性が、行き交う通行人に声を掛けていた。 「儂は名無しの商人と通している商売人なんだがね。面倒なら適当にジジイやらじーさんやら好きに呼んでくれて構わないがね、本名は商売柄勘弁しておくれ。何せ、扱う物が物だけに」  相手が足を止めると、まずはと名乗った。 「怪談話にぴったりの季節が訪れたという事で、どうだね。少し怖い思いをしてみないかね? この魔法の蝋燭である死人(しびと)帰り蝋燭で、なかなか手に入らない珍しい品だ」  それから合法非合法の商品がたっぷりと入っている魔法のトランクから、紫色の蝋燭を取り出した。 「蝋燭に会いたいと思う亡くなった人物の名前を書いて、着火したら青い火が点くと共に、現れるんだがね。火が消えるまでの1時間だけ生前と同じように触れたり言葉を交わしたり、飲食をしたり共に過ごす事が出来る。ただし、使う時は騒がれない場所で頼む。品から儂の事が知られて、商売に影響が出てはたまらんからな」  ニヤニヤしながら使い方を話した。 「最後に、その人物が本物なのか魔法で作られた幻なのかは儂には分からない……どうするね?」  名無しの商人はそう言ってから、改めて蝋燭を差し出した。
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