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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



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美容を捕まえろ! 瀧音 静 GM

ジャンル ハートフル

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-08-04

予約期間 開始 2019-08-05 00:00
締切 2019-08-06 23:59

出発日 2019-08-12

完成予定 2019-08-22

参加人数 3 / 8
「――っ!? パターン青!! ヤツです!!」  水面に触れ、察知の魔法を展開していた女性のローレライが声をあげる。  緊張で張り詰めたその場に、より一層の緊張が広がり――。 「やるっきゃねぇぞ!! 俺らの未来はここを超えた先にある!! 全従業員は一層気張りやがれぇっ!!」  髭を蓄えた屈強な男の叫びに呼応するように、投網や釣り竿を持った従業員達は腕を上げて進む。  目指すは、川の中に居るはずの――――ヌシである。  * 「私達の未来が掛かってるんです!!」  依頼を受けた生徒達に力説するのは、白く濁った水を漂わせているローレライの女性。  【キヌガワ・ユフイン】と自己紹介した彼女は、依頼の内容よりも先に、先のことを口にしたのだ。  依頼の内容が分からなければ、と困惑する生徒達へ、ハッと気が付いた様子で手を振り回すキヌガワ。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。私みんなからせっかちだって言われててそれで……。えっと、依頼の内容ですね?」  それ以外に何があるのかと思うが、それを口にするとさらに説明が遅くなりそうだと悟り、ツッコむのを控える生徒達。 「実は、私達は温泉旅館を営んでおりまして……。中でも目玉は『ガルファラ』と呼ばれる小魚型の原生生物によるドクターフィッシュ風呂なんですけど……」  ドクターフィッシュ。人の古くなった角質を食べ、その食べるときの刺激でマッサージ効果などがあるとされている魚の事で。  しかしそれが原生生物であるとは初耳な生徒達は警戒を強める。  と、それに気付いた様子でキヌガワは慌てて手を振り――、 「違うんです違うんです。ドクターフィッシュとして使用するのは稚魚の時だけで、成長したら食用に様々な所に出荷しているんです」  と説明。  温泉で育ったドクターフィッシュは身の締まりがよく、味も他と比べてよくなるのだとか。  稚魚と聞き思わず肩の力を抜くが、ならば何故依頼をしてきたのか。  その疑問を誰かが口にすると、キヌガワはモジモジしながら小さく呟いた。 「大きくなり過ぎちゃったんです」  と。  そこからの説明は生徒達に取って全て初耳となるもので。  依頼として持ち込んでくる内容として、納得出来るものだった。  何でも、ドクターフィッシュの稚魚は毎年、旅館の従業員達で卵を持ったガルファラを捕獲することで用意しているらしく、今年も例年通り捕獲しに行ったところ――。  見たこともない大きさのガルファラだったらしく手も足も出なかった、と。  そこで、そのガルファラを捕獲し、ドクターフィッシュを、卵を確保して欲しい、という内容だった。 「ドクターフィッシュ風呂や、出荷出来ないとなれば私達の旅館は風前の灯火です。どうか――どうかお力添えを……」  キヌガワに頼み込まれた生徒達は、それぞれどうやってガルファラを捕獲しようかと相談を始めた。  心なしか表情が期待に満ちあふれているのは、 「依頼達成の折は、精一杯もてなさせていただきます!」  というキヌガワの言葉のお陰だろうか。
な~にがでるかな な~にがでるかな GM

ジャンル 日常

タイプ EX

難易度 簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2019-08-02

予約期間 開始 2019-08-03 00:00
締切 2019-08-04 23:59

出発日 2019-08-10

完成予定 2019-08-20

参加人数 2 / 8
 その日は雲1つないような晴天で、とても気持ちのいい夏の日だった。  最近雨の日が多くてなかなか外に出られなかったということもあり、彼女たちは中庭にブルーシートを広げてお弁当を食べる。  春になれば桜が咲いてとても綺麗な景色になるのだが、たまには深緑色に染まった桜を眺めるのも悪くない。特にここの桜は毛虫が寄り付かないように対策されているのでお昼ごはんを食べるには最適だ。  彼女たちはお弁当のおかずを見せ合ったり交換したりしながらのどかな時間を共有し、お腹が膨れるとそのまま食後の散歩をすることにした。 「暑いねぇ……」 「うん、暑いねぇ……」  1度教室へと戻ってお弁当箱をカバンの中へとしまい、校庭を歩き始めてからおよそ5分。彼女たちは迂闊な判断で散歩を始めてしまったことを後悔していた。  お昼ご飯を食べている時は木陰に入っていたのであまり気にしていなかったが、いざ歩き始めてみるととにかく暑い。  なるべく日に当たらないようにと陰を選びながら歩いているが、足を踏み出すたびに首からはすーっと汗がしたたり落ちる。  水分は十分に取っているはずなので熱中症になる可能性はないだろうが、時間が経つにつれて2人の口数は徐々に減っていった。 「ストーップ!! 2人とも、ストーーップ!!」  彼女たちの頭の中から暑い以外の情報が全てシャットダウンされ始めた時、元気な声が頭の中に割って入ってくる。  なんでこんな暑い日にそこまで元気なのだろうかと不思議に思いながらも顔を上げてみると、そこには同級生の【冬空・コタツ】が立っていた。 「あっ、コタツちゃん……。こんなところで、何してるの……?」  手には杖のように長い木の枝を持ち、小麦色に焼けた腕で汗をぬぐいながらコタツは満足気な笑みを浮かべている。  やけに手が泥だらけになっていたので気になってコタツの持っている枝の先に視線を向けてみると、地面をえぐって書いたのであろう黒い線が先へ先へと続いていた。 「なにってすごろくに決まってるじゃん! だからそこのマスは踏まないでね。そこを踏んだら秋刀魚の香りに誘われて2進まないといけなくなるから!!」  一体なんのことだろうかと首をかしげながらも足元を確認してみると、2人の目の前には『2↑』と書かれたマスがある。どうやらこれはすごろくの一部らしく、このマスに止まれば2マス進むことが出来るらしい。  マスの隣には大きな文字で「1」と書かれており、「2」「3」「4」と続いてる。スタート地点がドッジボール並みの広さなのには少し違和感を覚えるが、思っていたよりも本格的なすごろくだった。 「あぁ、すごろく作ってたのね。邪魔してごめん。…………あともう1つだけ聞かせて。これはなに?」 「えっ、サイコロだよ? すごろくするならサイコロも必要でしょ?」 「いやいや、そうじゃなくてね。なんでこんなに大きなサイコロがあるのかなって思ったの。いくら何でも大きすぎじゃない!?」  コタツの傍に置かれているのは、1辺が1mあるのではないかと疑うほど大きなサイコロ。見たところサイコロの出目は一般的なもののようだが、なによりサイズが規格外すぎる。  何でここまで大きなサイコロを作ったのかとコタツに聞いてみても、返ってくるのは大きいサイコロの方がいい数字が出そうだからというよく分からない答えだけ。終いには、このサイコロはものすごく軽いんだよという謎の自慢をし始めた。  もはや話の方向性が迷子になっているような気もするが、コタツが楽しそうに話を進めているのでよしである。 「ぐぅぅぅ……」  話はさらに盛り上がっていき、なぜ秋刀魚は美味しいのかという話になり始めた時、コタツのお腹からぐぅっと可愛い音が鳴る。  どうやらコタツはまだお昼ごはんを食べていなかったらしく、朝からずっとここですごろくを作っていたらしい。道理で先ほどから食べ物の話しかしていなかったわけである。 「うぅ、お腹減った……。ちょっとお昼ごはん食べてくるね!」 「うん、分かった。……えっ、ちょっと!? まさかのこの流れで!!?」 「秋刀魚がボクを呼んでいる気がする! それじゃあねー!!」  今は夏真っ盛りなんですけど!? と心の中で突っ込みをいれている間に、コタツは校舎の方へと走り去っていく。入学当初からあんな感じだったのでもう慣れたが、相変わらずの気まぐれっぷりだ。 「えっと……、これどうする?」 「どうするって……、せっかくだしやってみる? あー、けど私たちはそろそろ教室に戻らないといけないか。誰か代わりにやってくれないかな」  疾風の速さで駆けていったので、コタツ特製の巨大サイコロはその場に転がったまま。すごろくにはまだなにも書かれていないマスが目立つが、適当につけ足せば十分に遊べるだろう。  幸いにも、すごろくが描かれているのはとても心地の好い木陰で暑さの心配もない。さっきまで外で遊んでいた人にとって、ちょうどいい休憩となるだろう。  2人はすごろくをやる参加者を集めるため、近くにいる生徒たちに声をかけ始めた。
金紅の麗人が馳せるはキノコへの思慕か 水無 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

公開日 2019-07-30

予約期間 開始 2019-07-31 00:00
締切 2019-08-01 23:59

出発日 2019-08-08

完成予定 2019-08-18

参加人数 3 / 8
「――ではお次でお待ちの方、どう……ぞ……」  学園の案内窓口。  そこの受付嬢が右手を挙げ、順番待ちをしていた女性を促そうとして、息を吞む。  女性は金髪紅眼の麗人で、漆黒の――ともすれば、不吉ともとれるドレスを身に纏っていた。『歩く』という所作ひとつをとっても一切の隙は無く、そして、どこか柔和で物憂げな視線に、受付嬢は釘付けになっていた。  やがて女性が窓口の前まで来ると、受付嬢はその佇まいに圧倒されつつも、なんとか口を開いた。 「ほ……本日は、どのようなご用件……でしょうか……?」  いつの間にか、その場にいた全員が、その女性の一挙手一投足に注目していた。女性はほんの少しだけ間を置くと、遠慮がちに、おずおずと口を開いた。 「――キノコ」 「……………………へ?」  受付嬢は何が起こったのか理解できず、間の抜けた声で訊き返した。 「えっと……いま、なんと……おっしゃい……ました……か?」  女性はすこしだけ驚いた表情を見せると、気を取り直し、見る者全てを凍てつかせるような表情で、再度『キノコ』とだけ答えた。  ――沈黙。  その空間が、まるで永久凍土に閉じ込められたのではないか、と錯覚してしまうほどの中、突然、メイド姿の女性が息を切らしながら女性の横に立った。 「す、すみません! 寝てました!」 「……はい?」  受付嬢は事態が飲み込めず、あからさまに首を傾げてみせた。 「あの! わたし、この方の従者で【マリア・アレストポーチャー】と申します。本日は、この方の通訳として同行させて頂きました!」 「は、はぁ……ということは、こちらの方がさきほど仰っていたのは……?」 「わたしたちの言語でございます!」 「そ、そうなんですねー……へー……」  とても承服できないという表情を浮かべながら、受付嬢は自分を納得させた。 「そ、それで、本日はどのようなご用件で?」 「……マイタケ」  女性がポツリと、呟くように言う。 「あの、そちらの方は今何と……?」 「『本日は魔物の討伐依頼でこちらへ伺いました』と、仰っております!」 「あ、そうなんですね。わかりました。では、依頼の詳細をお教えいただけますか?」 「……エリンギ」  もはや、女性とは目すら合わせなくなった受付嬢は助けを乞うように、マリアに目配せをした。 「『わたくし、じつはキノコ狩りが趣味でして、毎年秋には山へキノコを狩りに行くのです。その時期に生えるキノコというのはとても美味でして、食感、味、香り……どれをとっても天へと昇るほどの高揚感、多幸感を味わえるのです。それはまさに、天からの贈り物。それはまさに、自然が生み出せし神秘の結晶。わたくしは――』」 「ちょっとちょっと! ちょっと、待ってください!」  受付嬢が手のひらをマリアに向け、話を中断させた。マリアは話を中断させると、不思議そうな顔で受付嬢を見た。 「いかがなさいましたか……?」 「いやいや、『いかがなさいましたか……?』じゃなくてですね、おかしいでしょう! 私の耳が確かなら、そちらの方はエリンギとしか仰っていないように聞こえたのですが? 本当にそう仰っているのですか?」  マリアはすこし眉を顰めると、女性に向かって『ブナシメジ』と言った。女性はマリアの言葉を聞くと、受付嬢をまっすぐに見て、しっかりと『ブナシメジ』と答えた。 「えっと、なんと仰っているのですか……?」 「『マリアは信頼できる従者です。嘘偽りを述べる筈はありません』と、仰っております!」  受付嬢は軽くため息をつくと、『中断させてしまい申し訳ございません。……ですが、出来るだけ要点のみをお願いできますか』と答えた。 「……シイタケ」 「『はい。では、話を続けさせて頂きます。……もちろん、わたくしは毎年それを楽しみにしていたのですが、最近キノコ狩りが流行っているのか、多くの方たちがキノコを狩るようになってきました。すこし複雑ではありますが、皆さんがキノコの良さに触れ、キノコを美味しく食しているというのは大変喜ばしい事です。ですが、最近では狩ったキノコを自分では食べず、高値で市場に卸す不届きものが出没するようになってきたのです。これでは本当にキノコを食べたい方が食べられなくなってしまいます。ですので、このわたくしが秋になる前のこの時期に、キノコをひとつ残らず狩り尽くし、栽培し、皆さんに配ろうと考えていたのですが……最近、その山にジャバウォックという魔物が住み着いたと聞きまして、わたくし、実際に確かめに行ってきました。そこで見たのはエリンギのように発達した爪と、マイタケのように鋭い牙を持った魔物でした。これではキノコを狩る前にわたくしが狩られてしまいかねません。……ちなみにこれはキノコジョークです』と、仰っております!」  マリアがそこまで言うと、女性は何か期待するような眼差しで受付嬢を見た。 「……いや、笑いませんよ?」  受付嬢はそうやって冷たく突き放すと、女性はあからさまにシュンと小さくなってみせた。 「はい。大体の話はわかりました。要するにジャバウォックの討伐依頼ですね」 「……エノキタケ」  女性が声を発した瞬間、受付嬢はすぐさまマリアを見た。 「『もし、この課題を達成していただけましたら、わたくしセレクトの珠玉のキノコと少しばかりのお気持ちを差し上げます』と、仰っております!」 「承りました。では、その様に募集させていただきますね」 「……トイレドコ」 「はあ?」 「『御手洗はどこですか?』と、仰っております!」  受付嬢は何か言いたそうにすると、『み、右手方向をそのまま進んで、突き当りを左です』と、グッと飲み込んだ。
美味しいご飯は、魔物退治の後で。 白兎 GM

ジャンル ハートフル

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-08-02

予約期間 開始 2019-08-03 00:00
締切 2019-08-04 23:59

出発日 2019-08-10

完成予定 2019-08-20

参加人数 4 / 8
 穏やかな陽気も薄れ、湿り気を帯びた暑さが風に入り混じる、夏の最中。  こんなときこそ、乾いた喉を潤してくれるみずみずしい夏野菜……キュウリやトマト、トウモロコシなどの恩恵に預かりたいものだと思いながら、青年は足を進める。 (といっても、大半は『レゼント』に出荷するから、手元に残るのは少しだけどさ)  大陸全土から『ゆうしゃの卵』が集結する特別な場所、『フトゥールム・スクエア』。  その学び舎の中に広がっている居住区域『レゼント』は、集まる人の数だけ消費が激しく、いわば大陸有数の商いの場でもある。  ゆえに、彼のように農業に携わる者にとっては、大きすぎるほどの商売相手であり、 (俺達みたいな小さな村にとっちゃ、収穫できればできるほど利益になる場所ってのはありがたいもんだよな)  そんなことを思いながら、青年は村から少し離れた自分の畑へと向かう。  春夏秋冬、狭いながらも各季節に対応したものを植えている彼の野菜畑は、全ての季節が書き入れ時であり、彼の家族だけでなく村にとっても重要な収入源だ。  だからこそ、目的の場所にたどり着いた青年は、目の前の光景に声を張り上げた。 「な……っ! おい、何してやがる……っ!?」 「ブルル……ッ!!」  胸の奥からこみ上げる、びりびりとした怒号に応えたのは、イノシシ型モンスター達の鳴き声だった。  足元には食い荒らされてしまった、収穫予定だったものの残骸が転がっている。どうやら美味しい部分だけを齧っては、別のものに手を出しているらしい。  穴だらけの葉っぱが無残に散らばり、踏みつけられている様子に青年が肩を震わせた。 (種の時から、毎日様子を見に来ていたのに……)  昨日までは青々とした葉を広げていて、立派に育った姿に少し誇らしくも思っていたのに。  この野菜たちが、未来の『ゆうしゃ』の口に運ばれるかもなんて。そんな夢だって。 「許さねえ! あっちいけっ! この……っ!」  感情の高ぶるままに、青年は声を荒げ、肩にかけていた手ぬぐいを振り回す。  それを敵からの攻撃だとみなした魔物たち……ワイルドボアの群れは、まるまると太った体を大きく揺らしてから、青年へ飛び掛かった。 ◆ 「こんにちは。これで全員揃いましたね」  あなたが最後の一人です。そんな言葉を聞きながら扉を閉めた『きみ』は、室内に集まる者たちの顔をぐるりと見回した。  時刻は昼食を済ませたばかりの、学園の時間割でいうならお昼休みの時。  とある課題に参加表明を示していた『きみ』は、指定された部屋へと足を運んだ。  待っていたのは同じく課題に参加するメンバーと、課題の担当をしている男性教諭だ。  長い金色の髪を肩のあたりで軽く結わえ、ハーフリムタイプ眼鏡の向こう側で赤の瞳を緩めた男性教諭は、穏やかな笑みのまま、 「では説明します。まずは自己紹介を、私の名前は【シトリ・イエライ】。見て分かり辛いかもしれませんが、泡麗族です。担当は賢者・導師コース、普段は上級魔法に関する授業を受け持っております」  告げながら、シトリと名乗った男がテーブルの上に地図を広げる。  ゆうしゃ達の視線が集まる中、白い指先が指示した場所は、 「私たちの住まう『レゼント』から少しばかり離れた場所……この辺りに、地図には載っていないのですが、小さな村があるのです」  皆さん、野菜はお好きですか? と続いた男性教諭の質問に、集まった面々は思い思いの返答を述べる。  その言葉を聞いたシトリはゆっくりと頷いてから、それでは、と言葉を繋いだ。 「地図にすら載らないこの村から、たくさんの農作物がこの『レゼント』に出荷されているのはご存知ですか? 私たちが使う食堂も、その恩恵に預かっています」  彼が言うに、小さい村ながらも住民全員が農業に特化した結果、一人ひとりの収穫量は些細なものでも、毎年安定した量の野菜を届けられるようになったらしい。  しかも、春夏秋冬、様々な種類の野菜にも対応しているのだから、その恩恵は計り知れない。  ……だというのに。 「実は、最近この村の近くにワイルドボアの群れが巣を作ってしまったようで。どうやらこの村の農作物を食べ荒らしているようなのです」  ワイルドボアはあまり森からでてこないはずなのですが、不思議なことですよね。  静かに続くシトリの言葉を聞いた面々は、思わず地図から顔を上げる。  ならばここは自分たちが、そんな意志を秘めた瞳もあったのかもしれない。  集う視線に微笑み返したシトリは、ですので、と前置いてから。 「今回の皆さんの課題は、集まったワイルドボア達を撃退し、この村の窮地を救うことです。といっても、彼らは自身に不利な状況と分かれば逃げ始める習性がありますから、群れを半数ほど減らせば問題ないでしょう」  告げながら、シトリは新たにもう一枚の紙を机上に乗せた。  視線を寄せれば、ふくふくと丸いイノシシの絵の下に、数行ほどの文字が記されている。  どうやらあらかじめ、シトリがまとめておいたモンスターの情報のようだ。 「ワイルドボアは土属性。この学園で学ぶ皆さんならば、そこまで強い相手ではありません。通常のイノシシよりも小さく食用にも使われており、素早さに欠けています」  主な攻撃方法は体当たりでしょうか。読み上げる形で情報の共有を終えたシトリは、熱心に耳を傾けていた『きみ』に笑いかける。 「ですが、皆さんはまだ『ゆうしゃ』の卵ですから、今回は私も同行致します。手伝ってほしいことがあったら言ってくださいね」  課題という形をした実践授業ともなれば、机の上で学んだ知識だけでは対応しきれないこともあるのだろう。  だからこそ、自分たちには入念な準備とイメージトレーニングが必要になり、事前にこうして集まる時間を設けられたのだ。  ならば、さあ、ここからは知恵を集める時間だ。  どうしたら自分たちは、見えない場所から食料供給という形でずっと助けてくれている村人たちに恩を返すことができるのか。 「しばらくはここで作戦を練り、動きが決まり次第、出発しましょうか。あぁ、退治したワイルドボアを持ち帰ることは衛生上できませんが、村の皆さまに食料として差し上げたり、彼らにバーベキューを振る舞うことなどはできるかもしれません」  私も同行しますから、門限の件はあまり気にされなくても大丈夫ですよ。  そう告げた男性教諭は、胸ポケットから古びた懐中時計を取り出した。  カチ、カチ、カチリ。誰もが思考を巡らし無言になる間も、時計の針は進んでいく。  だから『きみ』は口を開いた。自分の中にあるイメージを他のメンバーと擦り合わせ、自分に何ができるのかを模索するために。
お中元にはスライムを 宇波 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

公開日 2019-07-25

予約期間 開始 2019-07-26 00:00
締切 2019-07-27 23:59

出発日 2019-08-02

完成予定 2019-08-12

参加人数 2 / 8
「それではぁ、本日の授業を終わりますぅ」  さわさわと、桃色の桜も葉が目立つ頃。  その日、午後の授業を終えた教師、【アキ・リムレット】は、席を立つ生徒の幾人かに声を掛ける。  それは授業としてではなく、アキの個人的なお願いだった。 「あなたたちに少し、手伝ってもらいたいことがあるんですぅ」  場所は変わり、授業用のキッチンに、アキと君たちは立つ。  囲むはどーんと置かれたひとつの木箱。  中からはもちゃ……もちゃ……とおよそ嫌な予感しか抱かない音が響いてくる。 「アキ先生、とても嫌な予感しかしないのですが、これは……?」  勇気を持って質問をしたひとりに、アキはとてもいい笑顔で告げる。 「お中元のぉ、材料ですぅ」 「すごく信じられない単語が出てきたのですが?!」  お中元の材料? これが?!  まだ中身は見ていないが、もっちゃもちゃと尚も鳴り続ける音は、明らかにお中元の材料ではない。  わざと言っているのか? それとも本気で? 「はいぃ、毎年この時期にぃ、水饅頭や羊羹を作って贈っているのですがぁ。今年はちょっと手伝ってくれる人がぎっくり腰になってしまいましてぇ」  人手が欲しかったんですよぉ。  のんびりと言うアキの真意は、糸目に隠され分からない。  とにかく、材料を見ないことには進むも戻るもできない。  勇気を出し、恐る恐る木箱の蓋を開けていく。  明らかになった中身は色とりどりの透明なゼリーのようなもの。  フォルムはつるんと丸く、重力によって楕円形に地面に引かれている。  しかし、なんというか。  なんだか、蠢いているような。  ゼリーにしてはプルプル蠢き、しかも自重でプルプルしているだけでなく、動いている……。  さすがに鈍くてもわかる。  これはゼリーではなければ、食べ物の材料でもない。 「スライムだ!」  空気を切り裂く注意を受け、臨戦態勢に入る生徒たち。  そんな中、アキただひとりだけは、相も変わらずのんびりと木箱の中を覗いている。 「あらら、あららぁ? スライムですねぇ? おかしいですねぇ、私は寒天と片栗粉とあんこを頼んだはずなのですがぁ……」  スライムと分かって尚、アキは木箱の中に手を突っ込む。 「アキ先生! 何やってるんですか!」  見ている方がハラハラする行動を起こしたアキは、底の方に何かを見つけ、嬉しそうに笑う。 「あんこは間違いなく入っていましたよぉ」  そこじゃないだろ!  天然なのかわざとなのか、真意はやはり、その糸目に隠されて分からない。  アキはしばらく、蠢くも箱の外へ出られないスライムを見る。  そして名案を思いついたと言わんばかりにポン、と手を打った。 「スライムでもぉ、食べられないことはないでしょうぅ」  とんでもないこと言いよった、この教師。  かくして、軽い気持ちで手伝いに来た君たちはなぜか、スライムを使ってお中元のお菓子を作ることになったのだった。  ……どうしてこうなった?
新入生の切実な願いコンテスト!? 鞠りん GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2019-07-25

予約期間 開始 2019-07-26 00:00
締切 2019-07-27 23:59

出発日 2019-08-01

完成予定 2019-08-11

参加人数 2 / 8
●  フトゥールム・スクエア学園で、毎年の恒例行事……というか、一部の学生たちに人気の催しがある。  それは新入生限定のコンテスト。  実行委員の上級生たちは、今年も大々的に開こうと画策中で、先生たちから許可を取り、放課後のファンタ・ブルーム大講堂を借りきった。  ファンタ・ブルーム大講堂は、学園の中心部にある5万人ほど収用出来る巨大講堂で、学園行事からクラブ活動まで、様々な事に利用されている。 「やっぱり今年もあれか?」 「年々多くなるよな告白の叫び」 「彼氏彼女が欲しい叫びも増えてるだろ」  実行委員たちが言うように、初めは男女どちらでも容姿や歌をアピールする新入生が多かったのだが、いつの頃からかお笑いから、果てには好きな子に告白する新入生が増えていき、今ではこのコンテストの事は『新入生の切実な願いコンテスト』と、影で呼ばれている始末。  まあ、上級生も手の届かない容姿端麗の男女新入生を見るよりも、おどおどしながら告白をする方が面白味があり、それに強烈なヤジを飛ばすのも恒例になりつつあるのが学生らしい。 「去年も面白かったよな、『マッハで彼女が欲しいー!!』って叫んだやつ、あの後ヤジはあったが、本当に彼女が出来たらしいぞ?」 「コンテストで叫べば願いが叶うなんて、変な噂が出たからだ」 「実際に高確率でカップリングが出来ているだろ、あながち噂だけじゃないのさ」  フトゥールム・スクエアで愛を叫ぶですよ。それだけ新入生も本気モード全開で挑んで来ますから。勿論コンテストの本来の目的であるプロポーション自慢や歌自慢も少ないわけでもなく、今は『お題は自由』という方針で、実行委員たちは計画を立ててはいる。  でも恋ネタが一番最後まで残りやすいのは確か。理由的には面白いから、これに限るでしょう。実行委員たちも盛り上がりを狙っているので、予選で恋ネタを優先的に通過させ、コンテストを盛大にしようという意図が丸分かりだが、これはこれでいいような風潮もあったりする。  自由なフトゥールム・スクエアらしいイベントである。 ● 「受付はこっちだ! まずは発表する内容を、この紙に書いて欲しい。人数が多い場合は抽選式で選ぶからなー!」  コンテスト前日、クラブ棟で受付を開始した実行委員たち。今年も沢山のエントリーがあり、例に漏れず愛を叫ぶ内容も多数。 「予想通りだな」 「さて、これから何人選ぶべきか」  机の上に広がった、内容を記した紙は30枚ほど。大講堂の借り受け時間を考えれば、10人以下に落とさなければならない。 「叫び系は……ああ、あるある。だがな、他のも多少入れなければ不公平になるだろ」  コンテストで全員が愛を叫ぶのは、あまりにも不自然と、普通の内容も入れる予定の実行委員たち。 「……よし、これで本決まりだ。最終まで残った新入生に、明日の段取りの説明は手分けした方がいいだろう」  決まれば早いと、早速動き出した。  そして、実行委員がやって来たのは、あなたのもと。 「最後まで残ったぞ。明日の放課後に大行動に来てくれ、その頃には舞台は出来上がっている」  あなたが『分かりました』と、声をかける暇もなく、次があるからと、実行委員はさっさと行ってしまった。  次の日の放課後。言われた通りに大講堂に来たあなた。でもそこには観客と称した上級生が多数大講堂内に集まり、コンテストが始まるのを、今か今かと待ち構えている。  こんな中でやるのかと、愕然とするあなただが、出ると言った以上やらないと、実行委員たちの目が怖い。  ……そしてあなたは舞台の上に立つ。  自分が書いたコンテスト内容をお披露目する為に。  ――ええぃ! 後はどうにでもなれー!!
精霊を持って響かせろ 瀧音 静 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-07-22

予約期間 開始 2019-07-23 00:00
締切 2019-07-24 23:59

出発日 2019-07-29

完成予定 2019-08-08

参加人数 3 / 8
 『絶唱型呪文演習施設』という施設がある。  字面から分かるであろうその施設は、大声はおろか魔法を発した際に起きる轟音をも防ぐ防音性の高い施設であり、その施設はもっぱらストレス解消目的で使用されている。  学園の生徒はもちろん、時には先生達も抱えたストレスなどを発散していた。  しかし、そんなストレス解消目的で利用されるのは、基本的に放課後、あるいは夜の利用が当然多いわけで。  まだ日が高い時刻に、先生の一人がそこを利用しようとするのは大変珍しいわけで。  さらに言えばおおよそ一人では演奏出来ないであろう大量の、多種類の楽器を持ち込むと言うことは、珍しいを通り越して異常であった。 「さてぇ、準備は整いましたしぃ、ようやく授業を行えますぅ」  額に浮いた玉の汗を拭い、そう呟いた呟いた先生は、部屋の中の楽器達を見回すと、 「演奏会が楽しみですねぇ」  そう、微笑みをこぼすのだった。  *  生徒達に伝えられた授業が行われる場所。  それは、絶唱型呪文演習施設『スペオケ』と呼ばれる場所で、今までそんな場所で授業が行われるとは知らなかった生徒達は驚いた。  なにせ、レジャー以外の用途が思いつかなかったからである。  とはいえ授業だから、と気を引き締めて指定された部屋の扉を開けば、視界に現れたのは大量の楽器。  思わずキョトンとする生徒達に、真上から声を掛けた存在が一つ。 「いらっしゃぁい。魔法コントロールの授業にようこそぉ」  おっとりとした女性の声だったが、如何せん急に、しかも頭上から声を掛けられれば、誰でも例外なく驚くこと請け合い。  そんな生徒達の目前に降りてきたリバイバルの先生は、自己紹介を始めた。 「私はぁ、【ストラテリ・ディエロ】と申しますぅ。私の担当する授業はぁ、魔法――とりわけ精霊に関する授業が主でしてぇ」  ふよふよと漂い、楽器達を撫でながら続けるストラテリ先生。 「今日はぁ、その精霊さんを使って皆さんで演奏会をしたいな~と思いますぅ」  魔法と精霊の繋がりは分かるが、それに演奏がどう繋がるか全く理解出来ずに首を捻る生徒達。  そんな生徒達へ、ストラテリは実演を持って見せつける。 「例えばぁ……えい☆」  バイオリンへ向けて指を鳴らし、指揮者のように腕を振るえば、バイオリンが独りでに音楽を奏で始めたではないか。  それを見て呆然とする生徒達へ、 「実はぁ、ここにある楽器達はぜぇんぶ魔法道具なのですよぉ。精霊に反応し、音楽を奏でるようにしてもらっているのでぇ――」  とネタばらし。  そして、 「今日の授業ではぁ、みんなで精霊達をコントロールしてぇ、大合奏をしちゃいましょぉ!」  ストラテリが掲げた腕に合わせてシンバルが鳴る。 「ここにある楽器ならどんな楽器でも自由、一人でいくつ演奏してもいいですがぁ、取り合いになっても困っちゃいますしぃ、一人二個までにしましょうかぁ」  ギターの音が混じったかと思えば、今度はティンパニも参加して混沌へ。 「ふふふ、楽しみですねぇ。――それではぁ、魔法コントロール実習、『精霊交響曲』を始めましょぉ!!」  生徒達が部屋に入ってから、一度も開かれなかったストラテリの目の奥底が、ほんの少しだけ光ったような気がして、それまで鳴っていた楽器達の音色が止まる。  と同時に、授業の開始を示すチャイムが鳴り響くのだった。
美味しい美味しい卵料理はいかかでしょう! GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 少し

公開日 2019-07-19

予約期間 開始 2019-07-20 00:00
締切 2019-07-21 23:59

出発日 2019-07-27

完成予定 2019-08-06

参加人数 7 / 8
 この世界の明日を担う勇者のために開かれた学校、ここフトゥールム・スクエアでは日々様々な授業が行われている。  街に現れた魔物を退治するのはもちろんのこと、迷子になった子どもを探しに森の中を歩き回ったり、参加人数がいまいち足りないからという理由でマラソンに参加させられたりと授業の内容は様々だ。  入学したときに選んだコースによって授業内容は多少変動するが、生徒たちはそれぞれの思い描いた将来像により近づくために、日々勉強をしながら少しずつ成長していくのであった。 「はーい、みなさん準備は出来ましたね。それでは、今日もみんなで楽しく調理実習をやっていきましょう!」  フトゥールム・スクエアでは、月曜日から金曜日を平日と定められており、土曜日と日曜日は休日ということで学校はお休みとなる。  いつもならば教室に残ってお喋りを楽しんでいる生徒達も、金曜日はあまり学校に残りたがらない。みんな明日から始まる休日のために早々に家に帰って休息をとっているか、待ちきれずにすでに遊びに出かけているからだ。  そんな中、学園内のとある調理室では毎週金曜日に自由参加型の調理実習が行われる。  自由参加といえど、調理室を借りる名目上は授業でないといけないので特別授業扱いになってはいるが、実際はただお喋りを楽しみながら夕飯を作っているだけだ。  先々週はさんまの塩焼きを作ってみんなで魚パーティーを開き、ある日は自宅から自分の好きな材料を持ってきてオリジナルのお好み焼き。またある日は豚の生姜焼きやクレープ作りと作るものは日によって大きく異なる。  気持ち的にはお肉を使ってがっつりといきたいような気もするが、ちょっと趣向を変えてデザート作りなんていうのもいいかもしれない。なんて考えて、何を作るのか楽しみにしている生徒もいる。  生徒たちは今まで気にしたこともなかったが、この調理室には様々な種族の生徒たちが集まっており、それぞれ生まれも育ちも違う。その生徒しか知らない郷土料理があってもおかしくない。  この授業では事前に作る料理を教えてもらえず、使う食材ですらいつも直前になって知らされる。授業の初めに行われる食材お披露目タイムは、緊張の一瞬であった。 「せんせー、今日はなにを作るんですか? かつ丼とか?」 「んー、ちょっと惜しい! 今日はみんな大好き卵料理を作ってもらうよ!」  どうやら今日卵料理を作る予定だったらしく、先生は冷蔵庫の中から今日のメイン食材である卵を4パック程取り出してくる。今日の調理実習に参加している生徒は30人とちょっとなので、平均すると1人1玉ぐらいだろうか。  卵に余裕があるならば温泉卵を作ってトッピング! なんていうのもありかもしれないが、これぐらいの量なら溶き卵にするのが限界だろう。  さっき誰かが先生に聞いていたが、かつ丼や親子丼にするならば卵の量もちょうどいいだろうし、作るのも簡単だ。鍋を作って最後の締めに卵雑炊! なんていうのも面白い。  調理室に集まっている生徒たちのお腹は減る一方なのに、頭の中に広がっている夢はみるみるうちに膨らんでいった。 「なんと、まだまだありまーす!」  どんな卵料理を作ってやろうかと生徒たちが頭の中で試行錯誤を繰り返していると、先生が追加の卵を持って再び教卓の前へと立つ。  先生の手に2パックの卵が握られているということは、すでに置かれている卵も合わせて今回使用するのは全部で6パックの卵。  こんなに卵があるならばたっぷり卵を使ってオムライスやオムレツに挑戦してみるのもいいかもしれないが、メインは違うものにして副菜のサラダに卵を混ぜても美味しそうだ。  増えたのはたったの2パックだけだが、生徒たちの頭の中では料理のバリエーションが莫大に増えていった。 「……って先生、一体何パック買ってきたんですか。いくらなんでも多すぎますよ……」 「だって仕方ないじゃん。先週やる予定だった調理実習が中止になったんだもん!! 腐らせるのももったいないし、消費するの手伝って!!」  しかし、先生は冷蔵庫から2パックの卵を出した後にも次から次へと卵を出してくる。  ようやく先生の手が収まったかと思えば、教卓の上に並べられているのは全部で10パックの生卵たち。1パックには10個の生卵が入っているので、合計で100個の生卵となる。  呆れすぎて開いた口が塞がらない生徒たちが心の中で思っていることはただ一つ。 『これ、どうやって消費すれば……』
超激戦、蚊との戦い! 秀典 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 通常

公開日 2019-07-20

予約期間 開始 2019-07-21 00:00
締切 2019-07-22 23:59

出発日 2019-07-27

完成予定 2019-08-06

参加人数 3 / 8
 夏。  暑い夏。  花火や海水浴、水着鑑賞やスイカ割り、色々と楽しいことが満載の季節ではあるが、逆にやって来て欲しくもない生物の発生もこの季節に起こる。  それは生物の血を啜り、自身の栄養とする蚊という虫の存在だ。  とある国では、血の媒介により病気を感染させたりと、あまりいいイメージはあまりない。  それでなくとも痒みを併発する吸血は普通に迷惑だろう。  このフトゥールム・スクエアにおいても、その存在は確認されている。  確認というか、毎年のように発生するのが常である。  病気の感染を起こすものは持っていないのだが、血を吸われて皮膚を腫らすと痒いのだ。  薬や虫よけの技術はすすんでも、完全には防ぎきれないのがこの蚊という生物である。  寝ている時分に耳元でブーンなんて飛ばれると、寝不足になってしまうのもよくある話だ。  ハッキリ言って魔物より厄介な存在だろう。  ここにも蚊の被害に悩まされる少女が居る。 「アツゥイ! カユゥイ! イライラするううううううう! もう滅ぼしても良いよね? 良いよね?!」  魔王・覇王コース専攻の少女、【フー・デストロイヤー】は、毎年の脅威に今それを思いついた。  だが学園の中に何匹、何百匹居るかもわからない蚊に対して、戦いを挑むのは辛いものがある。  奴等の襲撃や潜伏能力、小さく見つけ辛い奴等は、中々に能力が高い。  一匹を探し出すのも大変なのだ。  だからフーは頭を捻って考えた。 「そうだ、一匹に纏めて大きくしたら簡単なんじゃないのかな。メメたんなら、あるいは……」  フーは学園の中を這いずり回り、五時間をかけて学園長を探し出したのだ。 「えー、蚊を倒したいんだってー? オレサマも蚊は嫌いだから、手伝ってやってもいいぞ♪ じゃあちょっとまってー、儀式の準備するから♪」 「私も手伝いますから、あの蚊共を殲滅しましょう!」 「じゃあお手伝いを募集しよー!」  学園長の呼びかけに応じたのは、約千人にのぼった。  たかが蚊であるが、されど蚊なのである。  これ程の人数が居れば何でもできると、千人による魔法が展開された。  千人がそれぞれに得意な能力を使い、学園の端から端まで全ての蚊がサーチされたのだ。  そしてメルルの魔法で、校庭に学園中の蚊が集められた。  千平方キロ以上と言われるこの学園の全てから集められた蚊の大群は、とてつもなく膨大な数が集まっている。  もしあの中に人が入ったのなら、蚊によって全ての血を吸い取られそうなほどだろう。 「これを一つに纏めちゃえば!」  その集められた蚊の大群は、学園長の魔法で融合をさせている。  だがその時、何者かの干渉があった。  そう、それは三階辺りで肥大化魔法の魔法の練習をしていた、学園の生徒達である。  何故こんな時に、と思われるかもしれないが、参加していない生徒は授業中なのである。  二つの魔法の干渉を受けた蚊の体は、規模にして小さな屋敷一軒分、大きな翅はその三倍はあるほどに変わってしまった。 『ギャアアアアアアアアアアアアアア!』  余りの大きさに千人の悲鳴が上がる中、奴は翅を動かし飛び始める。  だが、その自重により殆ど飛べず、ズーンと地面に足をつけていた。  巨大な蚊の魔物となってしまったコレは、今直ぐに倒さなければならないだろう。  世界を救う為にも、退治しなければならない。 「さあチミたちー♪ あの蚊を退治しちゃえば今年は蚊に悩まされなくて済むぞー! 一気にぶっ倒しちゃおう♪ 一斉射撃ー!」 『うおおおおおおおおおおおおおおおおお!』  魔力弾や魔法が飛び交い、全員が蚊の怪物にダメージを与えている。  だがその時、大きいだけでタダの蚊である奴の周りに、巨大な魔法陣が浮かび上がる。  そしてついには空中に人間大の魔法陣が形成されたのだ。  その魔法陣からは、大きさに見合っただけの蚊の化け物が現れる。  肥大化魔法の影響を受けた為か、魔物と化した蚊が自身の眷属を呼び出した。  巨大な本体とは違い、人のような大きさの蚊達は、学生達を狙い行動を起こしたのだ。 「ち、血が吸われ……かゆい、かゆいいいいいいいいいいい! ……ガク」 「うおおおおおおおおおおお、こっちへ来るなあああああ!」 「メディック! メディイイック!」  学生達に被害が多発し、本体を倒さなければこの混乱が収まりそうもない。 「それじゃ、奴が飛ばないように押さえてるから、誰か本体をやっちゃってー♪ 学園の未来は、チミたちの手に掛かっているゾ☆ じゃああの蚊の中に転移させてみるから、ちょーっとそこにならんでね☆」  そして、何人かの学生達が、蚊の体内に送り込まれたのだった。
あっちの世界はどんな世界? 夜月天音 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-07-14

予約期間 開始 2019-07-15 00:00
締切 2019-07-16 23:59

出発日 2019-07-22

完成予定 2019-08-01

参加人数 8 / 8
 日没、シュターニャの寂れた裏路地。 「そこのお客さん、ちょいと見て行かないかね」  70歳の鷲鼻の年老いた男性が、通行人を見掛ける度に声を掛けていた。 「この魔法のトランクは、沢山物が入ってな……じっくりと見ていかないかね」  通行人が立ち止まると、男性は嬉々と魔法のトランクを開け、中に収まっている様々な商品を披露する。 「儂のことは好きに呼んでくれていい。ジジイでもじーさんでも……一応、名無しの商人と通しているがね。少しばかり危ない物を扱っている故、本名は勘弁してくれんかね」  男性はにやりと口元を歪めた。よく見れば、明らかに非合法な物がトランクのあちこちに見える。 「お客さん、こんな事は想像しないかね? こっちとは違う世界があるのではないかと。辛い運命に苦しんでいる自分とは真逆の幸福な運命に歓喜する自分がどこかにいるのではないか、あの時選ばなかった選択を選んだ自分がどこかにいるのではないか、逆の性別で幸せに生活する自分がいるのではないか、違う名前で呼ばれている自分がいるのではないか、魔法とは違う技術が発達した世界があるのではないか」  名無しの商人は、唐突に妙な事を口走り始めた。 「それが見られるのが、この魔法を込められた紙切れ1枚。開いた瞬間、魔法が発動し、紙にどこかの映像が映るそうさ。魔法の存在する世界だからあり得てもおかしくはないだろうがね。これも何かの縁、無料でいいが、どうだね?」  存分に客の好奇心を刺激した上に、『折り畳んだ紙』を1枚取り出し追い打ちを掛ける。 「ただ、あっちの世界が本当に存在しているかは、うやむやで頼む。種明かしはつまらんからな。紙を開くのは、家に帰ってからゆっくりと頼むさ」  名無しの老人は、肩を竦めいやらしく口元を歪めて肝心な事は言わないままである。  客達の反応はというと、詐欺だと言って受け取らぬ者もいれば、好奇心から受け取ったりと様々であった。
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