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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド
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カープクライムと仲良くなろう!!
〜☆Wi☆〜 GM
ジャンル
日常
タイプ
ショート
難易度
簡単
報酬
通常
公開日
2019-05-02
予約期間
開始 2019-05-03 00:00
締切 2019-05-04 23:59
出発日
2019-05-11
完成予定
2019-05-21
参加人数
3 / 8
『春半ばの空の下、体に穴開きし魚、空を埋め尽くさんとばかりに現る。 其の魚小さな村、襲いけり。建物、食い物、村民全て腹に入れ飛び去ろうとす。 突如少年現る。 鱗のような装備『ヨロイカブト』を身にまとい、桜の彫刻淡き桃色美しき剣『カタナ』を腰にさす。 少年、其の剣を抜き魚倒しけり。村救う。 この日境にこの村では五月五日は少年の日『子供の日』となった。 その日の宴に世にも珍しき料理、振舞われる。 米に味を付け竹の皮で巻いて蒸す。 名を『チマキ』と言ふ。 甘味には餅を葉で包んだ『カシワモチ』が振舞われた。 これより子供の日には『ヨロイカブト』『カタナ』を飾り『チマキ』『カシワモチ』を縁起物として食すようになった』 分厚い第一世界古文書をパタンと閉じて教壇の上に立っているのはフトゥールム・スクエア考古学担当【センジンス・ゲー】先生だ。 銀髪、碧眼、どこか謎めいた性格の『ゲー先生』の愛称で親しまれる彼女の授業はとても興味深いものだが非常に眠くなると定評がある。 そもそも彼女自身が授業中に寝ていることがあるので色々な意味で人気がある。 「さーて、そろそろ子供の日だねぇ。ちなみに古文書の日以来空飛ぶ魚の目撃情報は出ていないのよねぇ。見てみたいわー。おや、今日の授業はここまで。ばいばーい」 とゲー先生は教室を後にした。 次の日。 考古学の授業中クラスで寝ていると。 「ゲーたん! 空飛ぶ魚、現れたみたい!」 と、声を弾ませながら【メメ・メメル】学園長が入ってくる。 「な、なんですってぇ!? 歴史的快挙よ! 今すぐにでも行かなくちゃー!」 ゲー先生は飛び起き、瞬く間に外に走り出した。 メメ先生はついていくべきか、生徒を見ているかの間で揺れていた。 それを察した生徒の一人が立ち上がるのを見て生徒全員がメメ先生の元へと集まる。 「皆、行くよ!」 メメ先生は時折後ろを振り向きながら走って校庭に向かった。 校庭には何匹もの魚が降りて来ている。 「うおぉぉぉぉぉ!」 ゲー先生の声が聞こえてくる。 皆で向かうと彼女は魚の腹に入れられてしまっていた。 「ゲーたん? 今行くぞ!」 「ちょっと待ってねぇ、学園長。こいつらの名前は『カープクライム』ってんだぁー。普段は温厚な魔物なんだがなぁー……。よーし、こいつらに『チマキ』を作ってあげてみようか。もしかしたら仲良くなれるかもしれないねぇ! 学園長と半分くらいの生徒は厨房で古文書から作り方を探してちょーだい。残りの人間は足りない材料を取りに行ってねぇ。いいかい? まずは『タケノコ』! 次に『シイタケ』! そして『兄弟の息子星ソース』! 以上だよぉー! 兄弟の息子星ソースは樹液として木から採集できるからねぇー」 ゲー先生は一息ついて。 「いい? 『タケノコ』は地面の中のものを使うよぉ。つまり、よーく探さないと見つからないからね。次に『シイタケ』は毒キノコに十分注意してね。最後に『兄弟の息子星ソース』によく似た『鵜星ソース』というものもあるから、よく見分けるんだよぉ。違いは兄弟の息子星ソースの木には貝の柄、鵜星ソースには鳥の柄が入っているからねぇ! そうだ、君達にこれを渡しておくねぇー! 私特製の『木にぶっ刺して蛇口をひねると樹液が取れる魔法道具』だよぉー! じゃあ行ってらっしゃーい! 近くの森でいいと思うから、魔物もいないはずだから安心してねぇー!」 と言って生徒を送り出した。
捜索!城に潜む者
へぼあざらし GM
ジャンル
冒険
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
少し
公開日
2019-05-03
予約期間
開始 2019-05-04 00:00
締切 2019-05-05 23:59
出発日
2019-05-11
完成予定
2019-05-21
参加人数
3 / 8
――繁栄と存亡の交わる村【グラヌーゼ】。その北西部にある【サーブル城】であるウワサが立っていた。 「城に近づいた人が正体不明の魔物に襲われたらしい」 サーブル城は元々、魔族の【ノアー族】が拠点としていた城なので、魔物が出てきて人を襲っただなんてウワサなど別におかしな話ではない。ただ、今回はその襲われ方に問題があった。 「なんたって、全員不意打ちでやられているらしい。だから、その魔物の目撃者がほとんどいないんだって言うんだから困ったものだ。何にやられたかもわからず、犠牲者がどんどん出てきている」 とある老人はそう告げた。彼は今回の依頼者である。この土地に昔から住んでいて、小さな麦畑を懸命に耕す農家だ。顔には深いしわが刻まれ、普段の生活の苦労がうかがえる。 かつて、グラヌーゼの土地には畑があたり一面に広がっていて、特に麦の産地として有名だった。しかし魔王の出現からは、たび重なる悲劇に巻き込まれ、最終的に豊かな土地は焼かれて失われてしまっている。 結果として人離れがはげしくなり、今や麦を十分に育てるだけの人手が足りなくなっていた。 「……周辺住民は不安でいっぱいだ。これ以上、人が寄りつきにくい街になってしまっては困ってしまう。だから、申し訳ないが城の周囲を調査してきて欲しい」 そんな理由で、魔法学園フトゥールム・スクエアへ依頼が来たのである。正体不明の魔物が出没するとなれば、そんな危険なところに近寄る人もいなくなってしまうだろう。もちろん前に手は打っていて、過去に調査のために手練れのゆうしゃを現地に向かわせたこともあった。ただ、どうにも今回の問題の内容と一致するような魔物は見当たらないとのことだった。 「どうにも妙な話でねぇ。ゆうしゃ様はいくら探してもゴブリンくらいしか見当たらなかったと話していた。それ以外の報告はなくてねぇ。でも、ゴブリンは誰にも気が付かれないほどの不意打ちを仕掛けられる頭はないはず。それに、見かければ逃げるのは訳ないはずなんだが……」 さらに依頼主は次のように詳細を話してくれた。 外から眺めた限りでは怪しいところは見当たらない。城は立派な外観をしていて、入り口には身の丈の倍以上はある立派な門があり、その両脇には羽の生えた化け物の薄気味悪い彫刻がある。ただ、管理が悪いのか、その外見はボロボロになって羽根は一部欠けている。庭周りにはぼうぼう雑草が生い茂り、いかに普段は人が寄り付かず、管理されていないかがよくわかる。城の周りには堀もあり、そこは水が流れている。入ればかなり深いであろう。 「前に来たゆうしゃ様は勇敢で力強そうな方だったが、魔物には精通していないようだったなぁ。もしかしたら、見逃している何かがこの城に住みついているのかもしれない。もしくは余りに強い相手には手を出さないのだろうか」 結局、肝になる情報はつかめずじまいだった。とりあえずはしらみつぶしに調べてみるしかないのだろう。 そして、困っているのは依頼主だけではない。この村の住人が皆、毎日辛い思いをしているのだ。これ以上は彼らが悲しむ顔は見たくないと、この街の復興のためにも協力したいと願う、ゆうしゃのたまご達がいざ立ち上がったのであった。
変異ジャバウォックとの激戦!
秀典 GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2019-05-08
予約期間
開始 2019-05-09 00:00
締切 2019-05-10 23:59
出発日
2019-05-15
完成予定
2019-05-25
参加人数
8 / 8
フトゥールム・スクエアより、大人の足で徒歩四日ほどの距離にある、小さなマニという村。 今この村の中は、大変危険な状態となっていた。 「お姉ちゃん!」 そう叫んだ【サーラ・レアルトリア】という少女こそが、この依頼の依頼者である。 そしてもう一人、それが彼女の姉である【サルサ・レアルトリア】だった。 「サーラ、良く聞きなさい。私は村を守らなければならないの、貴女だけでも逃げなさい」 「やだ、私も一緒に戦うんだ!」 「サーラ、私達が生き残れるかは貴女に掛かっているの。あのフトゥールム・スクエアを目指しなさい、きっと勇者様が助けてくれるわ」 「でも……」 「大丈夫、お姉ちゃんを信じるの。さあ早く! あの魔物が来る前に!」 この小さく二十人にも満たないマニの村に、一体何が起こったのか。 それは、たった三体のジャバウォックと呼ばれる魔物の進入によるものだった。 純粋なジャバウォックとは違うもので、三体とも同じ魔物とは思えない程に変わっている。 まずは一体目、顔は狼にとても似ている。 体毛は白く、森にすむには不向きなほどに目立っていた。 目は赤く、スラッとした体躯に似合わず、前足となる二本だけはとても太い。 体を支える掌は広く、大きく巨大な爪を隠そうともしていない。 この三体のジャバウォックの中では、動きが相当素早かった。 二体目のジャバウォックは、一体目と、顔さえも違う。 例えるなら熊。 赤い目と大きな爪は同じであるが、黒い体毛とその体躯はそうとうに違う。 一体目の倍ほどの上半身に、それに似合わない細い腰、後ろ脚は太いが、あの腰の細さでは立ち上がるのは不可能だろう。 動きはそれ程でもないが、力だけはそうとうに強そうだ。 三体目のジャバウォックは、白と黒とを混ぜた灰色の体毛をしている。 顔付きが猫科の動物のそれに似ていて、やはり目は赤く染まっていた。 絶えず牙をむき出しにして、手にある爪より、その牙に自信がありそうである。 他の二体と違い、人のような均整の取れた体つきで、二本の足で歩行していた。 ただし、これはルネサンスではなく、言葉も喋れないただの魔物でしかない。 勇敢な大人達は、その三体の魔物を追い払う為に立ち向かったのだが、むしろそれが災いしてしまう。 だった三体だと油断したこともあるが、相手の強さは予想以上で、立ち向かった大人達は全員怪我をしてしまったのだ。 村に迷い込んだその魔物達は、大人や子供を次々と村人を遊ぶ様に襲い、多くの村人が怪我をしてしまっている。 今この村の中で真面に動けるのは、もうこの姉妹しかいなかった。 姉のサルサが魔物の注意を引くため、鍋をガンガンと鳴らし、家から飛び出して行く。 「行きなさいサーラ、さあ早く!」 「……うん、待っててねお姉ちゃん、必ず勇者様を連れて来るから!」 村から脱出した小さなサーラの旅が始まる。 生き残れるだけの食糧と、旅の為の費用をカバンに入れ、タタタと走りフトゥールム・スクエアを目指した。 ● 少女の足で二日、親切な旅人と同行し一日、馬車に拾われ一日を掛け、少女はその場所へと辿り着く。 「ここがフトゥールム・スクエア……誰か、誰か居ませんか! 私の村が大変なんです! お願いです、誰か助けてください!」 その声は道行く者、門を護る者、学校の中に居る者にまで届き、全ての者がその子の前に押し寄せる。 『どうしたんだい? 何かあったのかい?』 泣きながら話す少女の言葉は、直ぐに学校の教師達に伝えられ、救出隊が手配されたのだった。
正義の怪傑参上!
機百 GM
ジャンル
コメディ
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2019-05-03
予約期間
開始 2019-05-04 00:00
締切 2019-05-05 23:59
出発日
2019-05-11
完成予定
2019-05-21
参加人数
6 / 8
相変わらずそんなことを言うのね。大きすぎるお世話だって何度も言ってるのに。 またそんなつまらないことを言うんだから。そんなんじゃ、幾らでものさばる悪がいるってものよ。 それに私には、何よりも譲れない思いがあるの。 何故ならあたしは、千変の使者にして夜の淑女。そして、みんなの希望なんだから! ●景観・風情ぶち壊し 時候は暖かき春の青空。それは学園の桜もすっかり青づいてきた頃の事。 廊下を歩けば、まだ皺のない制服を着た新入生を見かけた。自分も前まではこんな晴れた顔をしていたかもしれない。 ふと、窓から外の景色を眺めてみた。新緑芽吹く木々が目に入り、少し生暖かい風が吹き込んできた。この学園『フトゥールム・スクエア』の授業は大変だが、広大な敷地内の眺めはそんな疲れも吹き飛ばしてくれるようだ。 「退屈しているようだなァ?」 顔だ。 いきなり顔だ。 にゅっと顔だ。 逆さまの顔だ。 切れ長の目が下、三日月のような不敵な口が上についた褐色の顔が目の前にいる。 バケモノだ! ひるんだあなたは思わず跳ぶように後ずさった。 「失礼なことを考えてくれたようだがまあいい。それよりも、だな」 逆さまのそいつは、どういう手段を用いてか上の階から逆さまにぶら下がって、外からあなたを覗き込んでいたのだった。そいつはあなたがいる階に、蛇が潜り込むようにするりと入ってきた。一応人間のようだが、行動がバケモノじみている。 とんでもない出現を果たしたそいつは女性の教師だった。彼女はあなたの顔を見て不敵に笑ったが、思わず引きつってしまう。 「そんな顔をしてくれるな、些末な頼み事だ。折角だし、その辺のお前達も聞いていくがいい」 そう言って、女性教師は近くを歩いていた生徒に声を掛けた。 興味本位で素直に近付いてくる生徒や、咄嗟に逃げようとしたが、微笑まれて何故か観念してしまった生徒もいた。 奇異な状況に困惑するしかなかったが、少なくとも『今逃げる』と言う選択肢は無かった。 ●それは正義か、変人か こうして、集められた生徒達と共に空き教室まで来てしまった。 集めた女性教師は黒板の前にもたれかかると、説明を始めた。 「さて、少し話をさせてもらおう。ある貴族から護衛の依頼が来た。怪傑『ミロワール・ド・スクレ』なる怪人から脅迫されている、となァ」 貴族の護衛。授業としてはそんなに珍しいものではない。 然し、怪傑とは? 少なくともあまり尋常な存在ではないのは確かなようだ。 「怪傑『ミロワール・ド・スクレ』。おおよそ2年前から活動している怪人だ。その活躍によって多くの名家を破滅に追い込んできた極悪人……とも言えるかもしれない。自らを千変の使者と名乗っているが、その異名の通り変装の腕前は凄まじい。かつて、30年間家に仕えてきた執事に変装して、正体を明かすまで主人にも見抜けなかったという逸話もあるくらいだからな」 女性教師は少し楽しそうに説明を続ける。そんな話の一体どこに楽しそうな要素があるのか。 けれども『怪傑』とはまるで、本か劇の中のような存在だ。なのにまさか実在するなんて、と羨望する生徒もいた。 「貴族の屋敷に、剣使いの傭兵で構成された腕の立つ用心棒が3人いるそうだ。まあ、それだけでは足りないと判断して学園に助けを求めたのだろう。ミロワール・ド・スクレはレイピアの腕も長けているからな」 変装だけでなく、戦闘技術もこの怪傑にはある。 そんなにレベルの高い存在が相手となると、自分達では足手まといになるのではないだろうか? 「貴族の館はまあそこそこに広いが、迷ったりするようなものではもない。2階と地下室がある程度だ。さて、ここまで説明したところで怪傑からこの貴族を救ってやれ………と言うのは、ずばり建て前だ」 突然手のひらを返したような言動に、誰かしら生徒が思わずつんのめった。 どういうことだ? 一体、自分達に何をやらせたいのだろうか? 「ここからは学園としての依頼であり授業の一環とする。心して聞くといい」 女性教師は懐から取り出したナイフを掌で回しながら、改めて説明を始めた。 「先に言っておこう。そもそも怪傑『ミロワール・ド・スクレ』は悪人にしか犯行を予告しない。そして、予告で指定した時間に堂々と現れては、華々しく大立ち回りをして、様々な悪事を暴いてきた。そして、私が独自に裏付けを取ったのだが――この貴族、どうも悪徳商人に賄賂を渡しているということが分かった。つまるところ、この貴族が学園に依頼してきた時点で大墓穴だったということだなァ」 『脅迫された』と言っておいて、どうやら自分に都合が悪いことは隠して、学園の生徒に護衛をさせようと考えていたらしい。 然し、どうやってこんな際どい情報の裏付けを取ったのだろうか? 「む? 黒幕・暗躍を専攻にしているなら、この程度の情報収集が出来なくては困るなァ。それはいいとして、ここまで聞いたところでお前達にやってほしいことがある。ミロワール・ド・スクレより先に貴族の悪事を暴いてやれ」 えっ? いやいや、その怪傑が善人だと言えないが、ここは怪傑と協力して貴族の悪事を暴くのが常道なのでは? 「私は彼女のような生き方は嫌いではない。むしろこれもこの学園の生徒の在り方として、寧ろ大いに肯定しているとも。だが、学業を修める上で出席日数など、学生として先立つものが色々と不足しがちでな」 ちょっと待て。 この学園の生徒ってつまり、ミロワール・ド・スクレって……!? 「あァ。何を隠そう、お前達の先輩だ。彼女は彼女らしく黒幕・暗躍コースを歩んでいるんだが、学生らしくもう少し学業にも力を注いでほしいと多くの先生に言われててなァ……気は進まないのだが、新入生のお前達が何らかの手段で出端をくじいてやって失敗させれば、少しは懲りると思ってな」 貴族が脅迫されていると思って聞いてみれば、話がおかしな方向に飛んでいってしまった。怪傑がまさか自分たちの先輩だとは。 然し、気は進まないと言いながらも、この女性教師はやはり楽しそうに話を進めているように見える。真意がまるで見えないが、こんな状況すら楽しんでいるようにも見えた。 「お前達は護衛という名目で入館が許可されている。それを逆手にとって、貴族の悪事の証拠を掴んでやれ。但しコスプレ……じゃない、ミロワール・ド・スクレが現れて、彼女が失敗するまでは誰も館から退散してはならない」 えっ、えっ? ええっ?? 今、コスプレが何とかって言いませんでしたか? 「おっと迂闊だったなァ、彼女の名誉のためにあまりその名で呼ばないでやってやれ。彼女が素の怪傑の姿で活動する時は、給仕、踊り子、医者など様々な姿で現れてきた。これが本人の生き様と趣味らしいのだから仕方がないが、そんな姿勢を貫いた結果、『コスプレ仮面』なんてあだ名が浸透してしまうのもまた仕方のないことだなァ?」 何だか、話の最初の方のミステリアスな空気が遥か彼方に吹き飛んでしまった。もはや唯の不審者ではないのか。 そんな変人の出端をくじけと言われても……。 「ふざけているように見えるが、学園の先輩らしく実力は相当なものだ。今のお前達では、力では到底敵わん。だから、出端をくじくという手段に出るしかないわけだ」 少し頭が痛くなってきた。要は貴族の悪事を暴けと言う事なのだが、余分な筈の要素が妙に大きい気がする。 「では、今回も可能性の辰星に期待させてもらおう」
黄金のちくわ像を奪還せよ!
くそざこあざらし GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
難しい
報酬
通常
公開日
2019-04-30
予約期間
開始 2019-05-01 00:00
締切 2019-05-02 23:59
出発日
2019-05-07
完成予定
2019-05-17
参加人数
3 / 8
――ちくわ祭り。それは学園より南方にある小さな村で催される、ちくわに感謝する春の祭りである。 ちくわ祭りの歴史は古く、さかのぼること数10年ぐらい前、村を襲った魔物の大群を、突如として現れた謎の武芸者がちくわを吹き矢のように使って退治したことから、村人達はその武芸者ではなく、ちくわを崇めるようになった。なぜ武芸者ではなくちくわなのかは、恐らく、村人の誰も武芸者の顔を覚えていなかったからだろう。 ちくわ祭りは村の中心にある広場で執り行われ、広場には様々な練り物の屋台が立ち並び、広場の中央にはご神体である『黄金のちくわ像』がまつられる。 このちくわ像を、ちくわ像がまつられているやぐらを中心として、その周りで『ちくわ踊り』と呼ばれるヘッドバンギングに似た踊りを踊ることが、ちくわ祭りの醍醐味だ。 ――そんなちくわ祭りに向けて村人達が準備をしていたその時、事件は起こった。 「何やってんだ『雷蔵』ぉぉ! ご神体を元の場所に戻せぇぇ!」 「そんなことをして許されると思っとるのか!? さっさと戻さんか!」 「うるせぇんだよクソジジイ共!」 雷蔵と呼ばれた青年――【毬栗・雷蔵】(いがぐり らいぞう)は黄金のちくわ像を片手に、村人達を見下ろす。 黄金のちくわ像は祭りの最高責任者、つまり村長にしか触れることの許されない、神聖なモノだ。 黄金のちくわ像がまつられているやぐらに上ることも、黄金のちくわ像を普通のちくわのように片手で掴むことも、雷蔵には許されていない。 だが、そんなことは雷蔵に関係なかった。 「意味分かんねーんだよ! こんな祭り! 何がちくわだよ! 何でこんなもんまつってんだよ!」 「それ以上はよせ! 雷蔵! ちくわ神(しん)の怒りを買うぞ!」 「買わねーよ! ちくわもちくわ神の怒りも俺は買わねーよ! だいたい何なんだよ! ちくわ神って!」 村の外れというか、もはや村の外と言ってもいいぐらい、平原にポツンと建つ一軒家に住んでいる雷蔵は、大のちくわ嫌いだった。 そんな雷蔵が黄金のちくわ像を手にした理由は、1つしかない。 この祭りを台無しにするためだ。 「ちくわ祭りを中止するまで! この黄金像は俺が預かった! このわけ分かんねーちくわを返してほしかったら! こんな祭り中止しろ! さっさとやめちまえ!」 黄金のちくわ像を片手に、雷蔵はやぐらを跳び下り、家に向かって駆け出した。 『追いかけろぉぉ! 雷蔵を捕まえるんだぁぁ!』 村人達は当然、雷蔵を追いかける。 だが――雷蔵が隠し持っていた『細長い筒』を構え、走りながらそれを使って吹き矢を飛ばすと、矢が命中した村人は『眠りこけてしまったり』、『体が痺れて動けなくなった』。 おまけに雷蔵は恐ろしいほど速く、吹き矢を当てられなかった村人達も、雷蔵に追いつくことは出来ない。 そして、さらに――。 「うおっ!?」 「おい、大丈夫か!? 何が起こっ――うわっ!?」 「『落とし穴』だ!」 突発的ではなく、作戦を立てた上での、入念に準備した上での犯行だったのだろう。雷蔵は家の周りに落とし穴を掘っていた。 落とし穴の深さは数メートル。自力で抜け出せなくはないが、抜け出すのにはやや時間がかかる、ちょっと深めの落とし穴。運が悪ければ、足を捻挫したりしてダメージを負ってしまうだろう。 落とし穴の上には見えないようにフタとカモフラージュが施されていて、微妙に他の場所と色が違うような気もしなくはないが、それぐらい分かり難いモノであり、村人達には判断がつかない。 村人達は雷蔵の家から離れたところで立ち止まり、雷蔵が帰宅するのを見守るしかなかった。 「いいか! ちくわ祭りをやめる気になったら言え! 落とし穴を踏みまくって、黄金像を取り戻しに来ても無駄だぞ! どうせ、お前らじゃ俺には追いつけねぇ!」 捨て台詞――ではないのだが、雷蔵は最後にそう言って、家の中へと閉じこもった。 このままでは、ちくわ祭りを中止するしかない。 いや別に、黄金のちくわ像がなくても祭りは出来るのだが、やはり村人達としては、黄金のちくわ像がなければ締まらないのだ。 誰しもが諦めるようなため息をつく中――。 「……『学園』に依頼しよう」 村長が、そう言った。
血塗れフルーツ大戦線
土斑猫 GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
少し
公開日
2019-04-27
予約期間
開始 2019-04-28 00:00
締切 2019-04-29 23:59
出発日
2019-05-05
完成予定
2019-05-15
参加人数
3 / 8
とても晴れた日だった。 これでもかと言うくらい、快晴の日だった。 サンサンと輝く太陽の下で、あなた達は広い敷地に集められていた。周囲には沢山の樹木が植えられ、甘酸っぱい果物の香りが満ちている。そう。ここは果樹園。魔法学園フトゥールム・スクエアから少し離れた、とある農家が営む果樹農園である。 そこにあなた達は、野良服に麦わら帽子、そして軍手と言うバリバリの農作業スタイルで集められていたのである。 おかしい。 あるつもりで来た、誰かさんが思う。 今回は、戦闘系の課外授業だった筈。何故自分達はこんな牧歌的な格好をして、こんなのどかな風景の一部に組み込まれているのだろう。何か、嫌な予感がする。 おかしい。 そのつもりで来た、誰かさんも思う。 今回は、農作業の実習だと聞いていたのに、何で手に剣だの槍だのを持たされているのだろう。って言うか、さっきから聞こえてくる『あれ』は何だろう。何か、嫌な予感がする。 おかしい。 そんなつもりで来た、誰かさんは思う。 何かとても美味しいものにありつけると聞いていたのに、何でこんな労働バッチこいな格好をさせられているのだろう。優雅なティータイムを過ごせる筈ではなかったのか。何か、嫌な予感がする。 あなた達がそれぞれ不穏な空気に不審な思いを抱く中、一人の男性が皆の前に進み出て来た。魔法学園フトゥールム・スクエア教師の【パグス・スティングレイ】である。ちなみに、彼もばっちり農作業姿。 「やあ、皆さん。ご苦労様。それでは、本日の授業の説明をしよう。後ろを見てごらん」 そう言って、示す先には遥か遠くまで植えられた果樹らしき木々の群れ。遠目に、赤や緑の丸い実がぶら下がっているのが見える。結構大きい。小玉スイカくらいあるだろうか。 「あれは、『ブラッディ・スイート』と言う果物さ。本日は、この農園をお借りして、あれの収穫実習を行うよ。それでは、近くに行ってみよう」 あなた達を引き連れ、果樹園の中に向かうパグス。近づくにつれ、強くなる香気。それと同時に、何かおかしなものが聞こえてくる。いや。さっきから聞こえてはいた。ただ、あまりにもアレだったので、風の音だろうと思い込もうとしていたのだが……。 「憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ憎イ……」 「死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ……」 「殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス……」 呪詛である。 怨嗟である。 聞くのも耐え難い、マイナス思念の呟きが、夏の蝉の声よろしく果樹園の中を満たしていた。 見れば、大きな実の真ん中に大きな割れ目が入り、そこから幾重にも並んだ歯と長い舌が覗いている。それが甘い香りのする果汁を唾液替わりに垂らしながら、延々と恨み言を呟いているのだ。そんな実が、沢山の木にこれまた数え切れないくらいぶら下がっている。ユラユラ、ユラユラと揺れながら。 正直、目眩がする。 誰かさんが訊いた。 「こ、これ、何ですか……?」 「はい。これが、魔果樹・『ブラッディ・スイート』だよ」 怯えるあなた達に向かって、パグスはにこやかに言った。 曰く、時はまだ世界が魔王との戦いの中にあった頃。この地も当然の様に魔王の配下である、魔物の侵略を受けていた。それを迎え撃った勇者達との戦いは壮絶を極め、多大な犠牲の上に魔物達は討伐された。その時流れ出した、大量の魔物達の血。それが村の農業用水の中に混ざり込んでしまった。戦時と言う事もあり、資源は限られている。当時の農民達はやむなく、育てていたリンゴの木に魔物の血が混じった水を与えた。すると、どうだろう。魔族の血を吸ったリンゴの木は壮絶な変貌を遂げ、奇怪極まりない果実を実らせた。その凄まじい様相に、当時の農民達は思った。どうすんだ、これ……。と。しかし、時は戦時。食料もまた乏しい。贅沢は言えない。仕方なく、農民達はその果実を食する事にした。壮絶な戦いの末、収穫したそれを食べてみると……。 美味かった。 口から、感動が閃光となって迸る程に。 これは売れる!! 確信した農民達は、血まみれになりながら挿し木を行った。その努力は実り、『ブラッディ・スイート』と名付けられた果実はこの地域の名産となり、財政を支える要となって今に続くとの事。 何か、闇が深い。 「という訳で、皆さんにはこのブラッディ・スイートの収穫をしてもらおうと思う。お手本は、農場主の【ヘネミー・シュトルツァ】さんにお願いするよ」 進み出て来た男性が、帽子をとってパグスにお辞儀をする。 「先生、お久しぶりです」 「元気そうだね。今日は、よろしく頼むよ」 そう言いながら、パグスはヘネミーを紹介する。 「彼は、我が学園のOBだよ。勇者・英雄コースを卒業して、今はご両親のあとを継いでこの農場を切り盛りしているんだ」 「いやぁ。本当は勇者になりたかったんだけどね。親にどうしてもと頼まれて。まあ、ここなら勇者の技能も生かせるし、充実しているよ」 農作業で勇者の技能が? どういう事? 不審がるあなた達の前で、ヘネミーは一本の木に近づいていく。その手には、片手剣と小型盾。何か、物々しい。 「じゃあ、よく見ててね」 そんな事を言いながら、彼がさらに近づいたその時。 「死ニサラセェエエエエエ!!」 「憎イゾォオオオオオオオ!!」 「殺ッタラァアアアアアア!!」 絶叫と共に、漆喰の様な歯をガチガチ鳴らして、果実達が襲いかかってきた。 「はい。気をつけてね。この葉っぱのトゲトゲと吐き出す息には魔力があって、まともに受けると混乱したり気絶したりしちゃうから。あと、こいつら血が好きだから。噛み付かれると吸血されちゃうからね」 そんな事を言いながら、盾でもって襲い来る果実達をカカカッと盾でさばくヘネミー。そして――。 シュパァアン! 鋭く走った剣閃が、一つの果実を枝から切り離した。ヘネミーの手に落ちる実。それを持って、あなた達の元へ戻ってくる。 「ほら。切り離してしまえば、大人しくなるから」 そう言って、手の中の身をシャクリと齧る。 「美味しいよ。君達にも、ぜひ味わって欲しいな」 ニッコリと笑うヘネミー。 頷いたパグスも言う。 「要領は分かったね。ノルマは一人三個。単独で難しいと思ったら、チームを組んでもいいよ。採った実は、ここで食べたり料理したり出来るから。それじゃあ、始め!」 合図と共に、オズオズと木に向かうあなた達。迎え撃つ様に、実達が叫ぶ。 「来イヤァアアアアア!!」 「肥料ニシタルァアア!!」 「血ィ見ルカァアアア!!」 ほとんど、その道の方達のカチ込みである。相当怖いが、逃げる訳にも行かない。 そして、血塗れの農業実習の幕は開く。
アクアスライムに関する清掃依頼
GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
少し
公開日
2019-05-01
予約期間
開始 2019-05-02 00:00
締切 2019-05-03 23:59
出発日
2019-05-09
完成予定
2019-05-19
参加人数
3 / 8
●水辺は清潔に! 巨大学園『フトゥールム・スクエア』には敷地内に大きな水辺がいくつもある。 当然、学校の美観は保たれるべきであり、各地には清掃を専門とする委員会もあるのだ。 「うふふ。今朝も麗しい湖ですこと! 箒でぱたぱたとお掃除してしまいますわよ!」 水辺美化委員会の委員長は日課である朝の湖の掃除を張り切っていた。 「アヒルボートも雑巾でぴかぴかにしましょう! ……ふぅ、こんなもんでしょうか?」 委員会の学生たちも楽しそうにボートの類を綺麗にふきふきしていた。 しかし、そんな朝の平穏を脅かす事件が!! 「きゃああああああ!」 「おい、なんだ、こいつら!」 水上でカヌーをこいで早朝デートしていたカップルがいたのだが……。 ぷかぷかと泳ぐスライムたちに囲まれて、衝突して、カヌーがひっくり返った! 「ん? うおおお!」 「え? いやあああ!」 浅瀬でゴミ拾いをしていた委員たちも泳いで来たスライムたちにつまづいて……。 次から次と、水辺へ、どぼん、どぼん……! 「委員長、大変です! アクアスライムらしき害獣が現れました!」 委員の報告を受けて、委員長は箒をぱたりと落としてしまった。 「あら? いけませんわね! わたくしは水上にいるカップルを助けますわ! あなたは他の委員たちや近隣にいる方たちを避難させて!」 「はい!」 ●アクアスライムに関する清掃依頼 その後、委員長や委員たちが必死に活動したお陰で、当面の被害は避けられた。 湖は人払いがされて、各出入口には立入禁止の黄色い魔法結界が張り巡らされた。 だが、問題が解決した訳ではない。 大量発生したアクアスライムは今も我が物顔で湖を占領していることだろう。 「委員長、本当にどうしましょう? 私たちはお掃除のエキスパートの集まりであって、戦闘向きの者がこの中にはいません! 現に私も平穏な『村人』志望ですし……」 「そうねえ……。わたくしも戦闘はダメよねえ……。では、こうしませんか? 外部から臨時で戦力を調達してみては?」 「具体的には?」 「先日、他の委員会の方でも外部からアイデアを募って事が上手く処理されたそうね? この学園には人助けを率先する心が綺麗な方たちも多いのよ! 扶助の精神に溢れているお強い学生たちを募るのですわ!」 臨時会議は満場一致で決まった。 どうか、お強い皆さん、非力な水辺美化委員会の危機を救ってはくださらないだろうか?
トロメイア大劇場の大変な一日
夜月天音 GM
ジャンル
日常
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2019-04-22
予約期間
開始 2019-04-23 00:00
締切 2019-04-24 23:59
出発日
2019-04-30
完成予定
2019-05-10
参加人数
5 / 8
午後、『八色の街』トロメイア、オクトー広場。 地元民や巡礼客や観光客など、人で溢れかえり賑やかな空気に包まれている中、相反する空気を纏った人達がいた。 「少しいいですか? 私はトロメイア大劇場で働いている者なんですが、力を貸して貰えませんか?」 作業服を着た女性ヒューマンが焦った調子で、観光客に申し訳なさそうな調子で声を掛けていた。 「実は、出演予定だった旅の楽団であるアレグリ楽団が食べ物にあたって寝込んでしまい空きが出てしまって困っています。その楽団は素敵なのですが、不運の楽団とも言われて事故や災害に遭ったり病気や怪我を負ったり、とにかく不運にとりつかれているらしく、なかなか公演に出会えないんです。今回も……」 挨拶の次に続けるのは、女性ヒューマンが抱く困った事情についてだ。 「それで、音楽や演劇や芸の披露をお願いしたいんです。心当たりのある楽団には声を掛けたのですが、都合が付かなかった上にアレグリ楽団にあてがわれた持ち時間が多くて、困っているんです。楽器とか衣装とか役者とか必要な物はお貸ししますので、どうか、力を貸して下さい。出演までもうすぐなんです」 事情を話し終えると、女性ヒューマンは再度出演を請うた。 「いや、無理だよ……。他をあたってくれ」 話を聞いていた観光客は、申し訳なさそうに去った。 残された女性ヒューマンは諦めず、別の訪問客に声を掛けに行った。 よく見れば、女性ヒューマン以外にもあちらこちらで、トロメイア大劇場の関係者と思われる者達が必死に手助けを求めている姿が見られた。 助けを探しに行っている間、トロメイア大劇場では、滞りなくプログラムが遂行されていた。 「まだ助けは来ないのか」 「このまま穴空いちゃ、来た人をがっかりさせてしまう。それだけは嫌だ」 「お客様を楽しませてこその劇場なのに」 プログラムが一つ終わる度に関係者達は、冷や汗を流しながら助けは今かとそわそわしていた。
ドキドキ魔法薬学実習!(初級)
瀧音 静 GM
ジャンル
コメディ
タイプ
ショート
難易度
とても簡単
報酬
なし
公開日
2019-04-26
予約期間
開始 2019-04-27 00:00
締切 2019-04-28 23:59
出発日
2019-05-02
完成予定
2019-05-12
参加人数
4 / 8
魔法学園『フトゥールム・スクエア』内にある、第一校舎『フトゥールム・パレス』。 地上三十階。地下四十階という馬鹿げた広さを持つ学園の目玉とも言える施設。 その一室では、これから始まる授業について説明する教員が一人。 「座学なんてずっとやっててもつまらないし、僕の授業は全部実習をするからね。目で、肌で、鼻で、耳で、感じたことを忘れないように好き勝手にやろう!」 おおよそ先生とは思えない内容を熱弁する人物は、魔法薬学の先生である【エルリッフ・パウラス】という『人間(ヒューマン)族』である。 薬の研究も教員業の傍らに行っており、その服装は白衣。 短く整えられた髪型に、眼鏡という特に特徴の無い見た目なのだが、その特徴の無さ故に、生徒達からは簡単に名と姿を覚えられたという。 熱弁をしながら、彼は教卓の上にいくつかの物を置いていく。 「今日は、魔法薬学という授業では、必ず行わなくてはならない、「調合」という行為について授業しようと思うんだ!」 何かの種と、何かの葉っぱ。何かの粉に、薄く黄色い瓶入りの液体。 合計四種のアイテムを置いた彼は、順にソレが何なのかを説明する。 「この学園の施設の一つ、『リリー・ミーツ・ローズ』植物園から失敬してきた『白露菊(しらつゆきく)の種』と『日惑(ひまど)い草』」 まるで興奮した子供のように、材料の説明だけで鼻息を荒くする彼からは、本当に魔法薬に関することが好きなのだということが窺える。 「生物園の『アニパーク』からは『砂漠サイの角の粉末』と『大ガマの油』を貰ってきた」 ガマの油という単語に一部の生徒達から悲鳴が上がるが、エルリッフは大丈夫と手を振るジェスチャーをし、 「全員にこの素材をそれぞれ全部渡すけど、調合に使う使わないは自由。魔法薬のベースはもう用意してあるから、そこに好きな素材を好きな種類入れて魔法薬を作ってみよう!」 と説明する。 続けて、 「素材は全部初級魔法薬を作る素材だし、危険な薬が出来る組み合わせは無いから全部混ぜても、一種類だけにしても構わないよ」 と説明した上でただし、と付け加える。 「せっかく自分で作った薬なんだから、自分で飲んでみようね。今言った通り、危険になるような組み合わせは無いから安心して」 それこそが魔法薬学の醍醐味だ、と満面の笑みで言うエルリッフは、生徒達の目の前で自分の調合用の壺に魔法薬のベースであろう空色の液体と先ほど悲鳴が上がった大ガマの油を入れ――、 「んー……そうだなー」 お菓子を目の前に、どれか一つだけと言われ悩む子供のように手をフラフラと宙に彷徨わせ、 「これにしようか」 砂漠サイの角の粉末を手に取り壺に入れ、ゆっくりとかき混ぜる。 何やら香ばしい香りが教室に漂ってき始めた頃、エルリッフは壺を持ち上げ一気に呷った。 生徒達がどうなるのかと固唾を飲んで見守る中、飲み干したエルリッフは――。 「それじゃあみんな! 楽しい実習の始まりだよ!」 ヘリウムガスでも吸ったように高く高くなった声でそう宣言し両手を横に大きく広げて。 生徒達の目の前の机に魔法薬のベース、調合用の壺と撹拌棒、魔法薬の素材である四種をそれぞれ浮遊させ配るのだった。
先生! 魔物はジビエに入りますか!?
くそざこあざらし GM
ジャンル
戦闘
タイプ
ショート
難易度
普通
報酬
通常
公開日
2019-04-21
予約期間
開始 2019-04-22 00:00
締切 2019-04-23 23:59
出発日
2019-04-29
完成予定
2019-05-09
参加人数
4 / 8
地平線まで伸びる草原に、視界の端に映る雑木林、そしてどこまで青い空に、『キュルルル』という不思議な鳥の鳴き声。 冒険を感じずにいられないこの場所は、校庭のとある一角。 生徒達――君達は今日ここに、とある特別授業のために集まったのだが――。 その授業は『冒険』だとか『戦闘訓練』だとか、そういった類のものではない。 『調理実習』のために、メシを作るために君達は集まったのだ。 「……この場所で合ってるよな?」 エプロンを着込んだ君達の1人が不安げに言った。 君達がそう思うのも無理はないだろう。 校庭に冒険はあれど、調理実習に必要なものは何も存在しない。キッチンも調理器具も食材も、ここには何もないのだ。 ――だが、食材になり得る生き物はいた。 「ぶはははッ! その通り……ここが正解だッ! そしてェ! ここへ来たてめぇらも正解だッ!」 その叫び声が聞こえた直後、君達の前に毛むくじゃらの大男が隕石のように降ってきた。 大男の格好は『調理実習の先生』と言うよりか、『山賊』の方がしっくりくる。どう甘く見ても、とりあえず『教師』ではないだろう。 大男が着地した風圧で飛ばされそうになるのを耐えながら、砂煙でエプロンを汚しながら、君達の1人が懇願するように叫んだ。 「あなた……はぁ! 先生じゃないですよねぇ!? 違いますよねぇ!?」 「ぶはははッ! 残念だったなァ! 不正解だッ! 俺がてめぇらに『特別調理実習』を教える教師ッ! 【デイヴ・ボーガン】だッ! 2度は言わねェからなッ! よく覚えとけよッ!」 残念だが、目の前にいる山賊のような大男が『調理実習の先生』だ。 『マジかよ』という表情をする君達に向かって、面倒な前置きが嫌いなデイヴは、さっさと本題に入る。 「さぁてと……早速だがッ! 今から授業を始めるッ! この校庭に2種類の魔物を数体放ったッ! ぶっ倒して調理しろッ! 以上だッ!」 「まもっ……魔物!? どういうことですか先生!?」 「今説明しただろうがァ! 2度言わせんじゃねぇぞコラァ!」 「えぇ……」 君達の1人が質問するも、デイヴはどうやらもう言ったつもりらしい。 しかし、君達が困惑しているのは分かったのだろう。 デイヴは補足として、やや説明を付け足す。 「放った魔物は『ワイバーン』と『ボアファング』だッ! 別にどっちを狙おうが構わねェ! ぶはははッ!」 「1人1体を……倒して調理するということですか?」 「そいつぁ……てめぇらにはまだキツイだろうなッ! ぶはははッ! 1体につき……4人まで合格にしておくかッ! ぶっ倒したらその場でぶっ叫べッ! 確認しに行くからよォ! その後に調理だッ!」 「倒した時点で合格ならば、調理は必要ないのでは……?」 「あぁん!? ……まぁそうだなッ! ぶはははッ! 『味』が良けりゃ加点しとくかァ! もっとも、俺をうならせるのは難しいだろうがなァ! っと! 余った肉や骨や皮は俺の方で引き取るッ! そいつがてめぇらの報酬に変わるからなァ! 間違っても捨てんじゃねぇぞォ!」 「せっ……先生! もう少し詳しく、ワイバーンとボアファングについて教えてもらえませんか!? それと、調理器具は――」 「調理器具なんざその辺に転がってんだろうがァ! 説明は以上だッ! てめぇらの健闘を祈るぜッ! ぶはははッ!」 大きな笑い声を上げながら、凄まじい跳躍でデイヴはどこかへと消えた。 まだ状況が飲み込めず、数人が『ぽかん』とした表情で固まっていたその時、君達の1人が呟く。 「……とりあえず着替えるか」 ワイバーンとボアファングをどう仕留めれば良いのか、どう調理すれば良いのか、まだ分からないことだらけだが――。 とりあえず、この調理実習にエプロンが必要ないことは分かりきっていた。
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