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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



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≪雑技団≫荒ぶるアーラブルでトラブル 橘真斗 GM

ジャンル 冒険

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-08-22

予約期間 開始 2020-08-23 00:00
締切 2020-08-24 23:59

出発日 2020-08-30

完成予定 2020-09-09

参加人数 3 / 8
●荒ぶるアーラブル現れる  大陸一の高山『アルマレス山』の麓に広がる『八色の街』トロメイア。  その西側エリアの中心にある八角形の大きな広場に面した一等地に大きな劇場がある。  もとは巡礼客を慰撫するために作られた『トロメイア大劇場』はトロメイアの名所となっていた。  さまざまな種族の出演者が入りまじった多種多様な演劇や音楽がみれることでいつも満員御礼である。  だが、外の盛り上がりとは裏腹に大劇場の支配人は困っていた。 「来るはずだった劇団が到着していないぃ!?」  アルマレス山脈付近を通ってくる予定であったのだが、アーラブルが道をふさいでいるため足止めを食らっているようである。 「時間通りに間に合えばいいが、そうでないなら今後の契約も考えなければな……ブレイカー雑技団、か」 支配人は到着予定の劇団の名前を口にするのだった。 ●コルネ先生はカワイイ  一方、フトゥールム・スクエアでは【コルネ・ワルフルド】が課題の概要を説明しはじめる。 「今日の課題は、大陸一の高山『アルマレス山』で興奮状態になっているアーラブルを退治することだよ」  健康的な笑顔とたわわな胸を揺らしてコルネは説明を続けた。 「興奮状態で大量発生に移動しているため、街道がふさがれていて流通ができないみたいだね」  状況を知らせてきた報告書を片手に尻尾を振ってコルネはアーラブルについての説明に入る。 「アーラブルは赤いものを見ると反射的に突撃する性能をもっていて、頭部に生えた角で突き刺してくるので注意するんだよ」  自分の頭に指を立てた手を当てて、もーもーとアーラブルの真似をする。 (コルネ先生がカワイイ!)  牛の真似をして腰を揺らすコルネの姿に生徒達は全員同じうことを思っていた。 ●トム・ブレイカーの受難 「あー、もうーあかんわー!?」  ブレイカー雑技団の団長である、【トム・ブレイカー】は暴れて突っ走るアーラブルから、走って逃げている。  赤いアロハシャツを着ていたのが運の尽きだった。  馬車で来ていたのだが、群れに突撃されて横転して、負傷してもいる。 「せっかくの、大舞台に間に合わんなんて、やってられへんわ! 神様仏様、誰でもええから助けてぇー!」  届くか届かないかわからない願いをトムは叫ぶしかなかった。
【想刻】悪計の敵意 樹 志岐 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 普通

報酬 少し

公開日 2020-08-20

予約期間 開始 2020-08-21 00:00
締切 2020-08-22 23:59

出発日 2020-08-28

完成予定 2020-09-07

参加人数 4 / 8
●外出許可と特別課題  刺すような日差しを煌々と校舎を照らし、開け放たれた窓から転がり込む風がいくらかその暑さを和らげている。 「……なので、外出の許可を頂きたくて」  職員に外出許可を貰おうとやってきた【咲良・佐久良】は、申請書を手渡そうとして……、何者かに奪われた。 「ふーん? 出かけるのか、王国に」  隅から隅までそれを読んで、ニヤリと笑った犯人……【メメ・メメル】はその羊皮紙を摘んだままペラペラと宙に踊らせた。 「ちょうどいいや、王国に行くならチミに特別な任務を与えよう」  ――頼りにしているよ、“先輩”。  いつものような無理難題ではないため安堵する反面、何処か不穏な空気を感じていた。 ●王国内『恩賜市場(グロリア・マーケット)』にて 「わぁ……」  感嘆とともにため息が漏れる。  物資、人脈、情報。その全てが集まる王国『バグシュタット』の市場は今日も人々の活気に満ちていた。  先日『オミノ・ヴルカ』で相見えることとなった琥珀色の眼をした純種ドラゴニアから得た意見と【馬場・カチョリーヌ】からの有力な情報を得てこの場所にやってきたのだが、その圧倒的な人の量に【カズラ・ナカノト】は落ち着かない様子で視線をあちこち彷徨わせていた。 「大丈夫ですか?」  お兄さん、と声をかけたのは咲良で、その手には沢山の花を抱えていた。 「あ、……えっと、だいじょう、ぶ」  カズラの返答を聞いてにこりと微笑んだ咲良は、荷物を置いてから貴方たちに向かう。 「さて、今日は忙しい先生方の代わりに僕がお兄さん、お姉さん方の引率をさせていただくことになりました」  あきらかにそれだけが理由ではないだろう、何を教員に――おそらく学園長に――言われたのか、想像にたやすい。 「王国は明るい街です。しかし光が明るければ明るいほどその足元に落ちる影は黒く、暗いものです」  故に今回の調査にはいくつかの約束事……ルールを守ってもらう必要がある。  一つ、制限時間は太陽が山の稜線に半分隠れるまで。  一つ、迷子になったら市場に戻ってくること。  一つ、昏い場所に立ち入ってはいけない。 「くらいばしょ、って?」  市場に積み上げられた木箱の上で足をぶらぶらと遊ばせながら【フィーカ・ラファール】が首を傾げた。 「いわゆるスラム……、ならず者が集まる場所があるんですが、そういうところですね。確かに情報は集まりやすいですが、その分危険度は上がっていきますので……」  言いながら咲良は目を伏せる。  引率を任せられた手前、後輩たちを危険な目に合わせたくないのだろう。 「お兄さん、お姉さんが足を踏み入れなくても、闇はいつの間にか背後に忍び寄っているものです。……どうか、お気を付けて」  今の時刻はまだ昼前。これから世界が動き出していく時。  集合場所の確認を行った上で、あなたたちは王国の各所へと繰り出していった。
御霊を還す炎が揺れし夏の海 ことね桃 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2020-08-25

予約期間 開始 2020-08-26 00:00
締切 2020-08-27 23:59

出発日 2020-09-02

完成予定 2020-09-12

参加人数 4 / 8
●海の向こうに皆がいるから 「……キャンドル流しのお手伝い、ですか」  リバイバルの聖職見習い【メルティ・リリン】は課題の案内板を見ると『ほう』とため息を吐いた。  アルチェのとある一地域では夏に死者の魂が海の向こうから戻ってくると信じられており、秋に魂が迷わず元の居場所に帰還できるよう導き手として花の形をしたキャンドルを海へ流す行事が行われているらしい。  しかしそのキャンドルが今年は数が足りないらしく、街で手配した商品を運ぶ護衛をしてほしい……とのこと。 「この手の催しは季節関係なくどの地域でもやるものよねー。歌や踊りで死者を慰めるとか、慰霊碑を浄めるとか……。アルチェの場合は見た目が華やかだから観光客も訪れるみたいだけど」 「アルチェのはそんなに人気があるんですか?」 「まぁね。色とりどりの花が海を彩り、地域の住民が民謡を歌って踊って美味しいものを食べる。ご先祖様に自分達はまだまだ元気だから心配しないでって伝えるためにね。要はちょっとしたお祭りなのよ」 「へぇ……」  メルティはなるほど、と頷いて『この課題を受けてみたい』と教師に告げた。 「私、リバイバルですけど……先に行ってしまった仲間達に伝えたいことがあるんです。魂だけになっても今度は大切なものを守るために頑張るよって。もちろん護衛も頑張ります、しっかりやり遂げます」 「……それはいいことね」  教師はふっと微笑むとメルティの頭を撫でた。もうこれ以上彼女を支える必要はないだろうと。 ●アルチェの海を臨んで  キャンドル運搬の護衛は特にこれといった事件に脅かされることなく終了した。  時は夕暮れ――街では露店が並び、華やかな衣装を着た女性達が小舟にキャンドルを乗せていく。  そんな中、アルチェの商人が学生たちの馬車を見るや頬を緩ませる。 「ああ、ああ。助かりました……これで今年も無事に先祖の魂を送ることができます」  早速子供達にキャンドルを配り、学生たちに一礼する商人。  続けて彼はいくつかのキャンドルを手に取ると『あなた達にも』と差し出した。 「この地域では海の果てに魂の国があると信じております。皆様のご先祖や大切な方があちらにいらっしゃると信じてくださるのであれば……よろしければ」  その言葉にメルティは『ありがとうございます』と精一杯の笑顔で応じた。  かつて守れなかった仲間達のために祈りと言葉を捧げる場が欲しかったから。  一方で街は日が暮れた頃から一層華やかに賑わい出す。  ふんだんに海の幸を使った食べ物、海沿いにたわわに実った果実を用いたジュースやデザート。  そして多くの人が舞い歌う広場。  さて、あなたはどのようにこの日を過ごすのだろうか。  もっとも、しめやかに死者を悼むも。  アルチェの観光地域を満喫するも。  どちらでも死者の魂を癒し、見送ることに変わりはないのだけれども。
夏の浜辺のスイカマン K GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 通常

公開日 2020-08-20

予約期間 開始 2020-08-21 00:00
締切 2020-08-22 23:59

出発日 2020-08-29

完成予定 2020-09-08

参加人数 4 / 8
●真昼の怪談?  とある海岸。水着姿の若者達が束になって青春を謳歌している。  その一角に、うら若き女性たちの一団。 「喉渇いたわねー」 「何か飲み物買ってくる?」 「なんだか頭がボーッとしてこない?」 「そりゃ、これだけ暑いもの」 「雲が一つもないもんね」  そんな彼女たちの頭の上にぽんぽんと、麦藁帽子が被せられる。  続けて爽やかなイケメンボイス。 「お嬢さんたち、この炎天下に無防備な姿でいてはいけない。日射病にかかってしまうよ?」  女性たちは声がした方角に顔を向けた。  見えたのは、たくましく引き締まった青年の体。  顔はその瞬間には分からなかった。帽子のつばに視界が遮られていたもので。 「あ、ありがとうございます」 「すいませーん」  女性たちは先を争い、帽子を押し上げた。可能なら首から上もイケメンであれと願いつつ。  そして凍りつく。  青年の首から上はスイカだった。かぶりものとかそういうのではない。純度100%のスイカ。  それを青年は自らの手で一口サイズに割り、彼女らに差し出す。 「日射病対策には水分補給が大事だ。さあ、私の顔をお食べ」 ●怪しいもの発見  スモウレスラーのごとき体型をした御年70のドラゴニア、【ドリャエモン】は、海風にふんどしをはためかせ悩んでいた。自分が担当している『魔王・覇王コース』に在籍する【ガブ】【ガル】【ガオ】の狼ルネサンス三兄弟について。  さる放置施設のリフォーム作業をきっかけに、素行の面が前よりちょっとはましになってきているが、基本的な所はあまり変わっていない。  魔王を目指す熱意はふんだんに持っているようなのだが、事あるごとに課題をサボリたがる。  本日も強化水練合宿に来ているのに、ちょっと目を離したが最後、波打ち際で遊びほうけ始める始末。 (そこをどうにかさせないとなあ……)  何よりいけないのは、彼らの魔王に対する認識だ。彼らは魔王を、『すんげー強くて、すんげー偉くて、回りに命令だけしていればいい存在』と思っている。  もちろんそんなことはない。『魔王』はある意味『王』より難易度が高いのだ。王であるなら基本人間を統治することを考えるだけでいいが、 魔王はその上に、魔物・魔族を心服させることを考えなくてはならないのだ。魔物も魔族も人間よりはるかに強い。そして、凶暴性の高いものが多い。  それを心服させることがどれほど困難か、入学してから結構たつのに、よく理解していないのではないだろうか。 「やはり、一度きちんと魔物と対峙させなくてはいかんのう……しかし、いきなりあまり強いものをあてがってもいかんしな」  ドリャエモンは、ため息。  それに合わせるように、プピーという気が抜けた音。  振り向いてみればチャルメラを持ったピクシー【ピク太郎】。 「おお、お前は確か、『おいらのカレー』で客寄せのバイトをしておる者だったな?」  そうだ、というようにピク太郎は頷く。そして、手招きをする。  ドリャエモンが近づいて行くと、ぴょんぴょんと後ろに下がって、また手招き。その繰り返し。  どうやら、どこかへ自分をいざなおうとしているようだ。  思いながらドリャエモンは、そのままついていってみる。  すると『おいらのカレー・夏季出張店』と銘打たれた屋台にたどり着く――何故かピク太郎の相棒であるミミックの【ミミ子】が、素知らぬ体でレジスター横に並んでいた。  そこで突如、キャーという叫び声が。  何事かと浜辺へ目をやれば、スイカ頭をした競泳パンツの男が、女性らを追いかけている。一口サイズに割られたスイカを手にして。 「遠慮しなくていい、私の顔は食べられても元に戻るんだ! さあ、お食べ!」 「イヤー!」 「来ないでー!」  よくは分からないが、どうやら緊急事態であるようだ。  ドリャエモンは早速ガブ、ガオ、ガルを呼びに行く。  この際だから彼らに、実戦経験を積ませてやろうと。
炸裂の種、下から仰ぐか傍で爆ぜるか 七四六明 GM

ジャンル 戦闘

タイプ EX

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-08-19

予約期間 開始 2020-08-20 00:00
締切 2020-08-21 23:59

出発日 2020-08-26

完成予定 2020-09-05

参加人数 3 / 8
 海の街、アルチェ――近くのとある洞窟。  そこで夜な夜な、怪しげな人影が目撃されているとの情報を聞きつけ、魔法学園『フトゥールム・スクエア』は生徒達を向かわせた。 「よぉ、着いたか。早速だが、今晩向かって貰うぞ。怪我人の俺がわざわざ調べたんだ、ありがたく思いやがれ」 「動かないでください。包帯が巻けません」 「いいんだよ。今更包帯なんて」 「動かないください……殺しますよ」 「これ治療なんだよな?!」  二日前に到着していたアークライトの弓兵【シルフォンス・ファミリア】より、看護師志望のカルマ【クオリア・ナティアラール】の治療を受けながらの報告である。  どうやら地元の人間も近付かないことを良い事に、洞窟で盗賊相手の物資の取引が行われているらしいのだ。  しかも取引されている物資と言うのが、刺激を受けると爆発する炸裂の種。もしも取引中に爆発すれば、洞窟内部はもちろん、周囲の居住区にも影響を及ぼしかねない量が保管されているという。 「昼間は見事に隠蔽されてる上、万が一にも人が来たら最悪な事態もあり得る。行くなら夜だが……引火誘爆の可能性もある上、商人が邪魔して来る。商人はゴーレム使いだ」 「皆様には、商人の捕縛と、種の回収をお願いします。処理はシルフォンスが行いますので、くれぐれも気を付けて。私は彼の完治していない肩を治しますので」 「もうほぼ治ってるっての」 「完治はしてませんので、治します。大人しくしていないと、殺しますよ」 「――っ。そういうわけだおまえら! 商人は貧弱だが、ゴーレムが多い! あれらをどうにかして種を取って来い! もし失敗して帰ってきてみろ……眉間に風穴開けて――!」 「すみません。騒々しいので、静かにして頂きます」 「ちょ、待て――おまえこれ、冗談じゃ……!?」 「では皆様、こんばんにでも行って来て下さい。怪我をしたならすぐにご報告を。安心してください。殺してでも、治療しますので」  失敗と怪我だけは許されない。締め落とされたシルフォンスが、そう告げる。  ともかく今晩の作戦実行のため、作戦会議から始めることとした。  いざ! 炸裂の種争奪作戦!
夏と言えば、肝試し! 夜月天音 GM

ジャンル 恐怖

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2020-08-11

予約期間 開始 2020-08-12 00:00
締切 2020-08-13 23:59

出発日 2020-08-19

完成予定 2020-08-29

参加人数 3 / 8
 夕方、トロメイア、トロメイア大劇場の前。 「本日の公演は夜になります。演目は『肝試し』です。言葉通りお客様に肝試しをして頂く事になります。終演は夜明けとなりますが、お好きな時間に切り上げてくれて大丈夫です。この季節ですから、心から涼しくなるのもよいかと……」 「役者達は恐ろしい姿に扮装し、劇場に入ったお客さんを驚かせようとするよ。劇場の内装や販売する食べ物も不気味な感じだよ。魔法を使った仕掛けで悲鳴が聞こえたり劇場内に置かれている物が飛び回ったり、指の形をしたポテトとか血のように真っ赤なジュースとか脳みそみたいなケーキとかお客様を驚かせる気満々だよ。ただ舞台での出し物は無いので、申し訳ないけど。あと、お客さんではなくお手伝いも歓迎だよ。色々で忙しいので」  劇場の関係者である二人組が、行きかう人達に声を掛けては宣伝していた。  時間は進み、夜がやって来る。 「ようこそ、トロメイア大劇場へ!」 「今夜の演目『肝試し』をどうぞお楽しみ下さい。劇場内は暗くなっていますので、足元に気を付けて下さい」  そして、劇場関係者達は恐ろし気な姿で、訪れた客達を迎えた。  劇場内は薄暗く、女性の甲高い悲鳴、浮遊する火の玉、ぴちゃりぴちゃりと肉を食む音など、役者達が思いっきり恐ろし気な存在を演じていた。
【想刻】空蝉の随に 白兎 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 簡単

報酬 多い

公開日 2020-08-07

予約期間 開始 2020-08-08 00:00
締切 2020-08-09 23:59

出発日 2020-08-17

完成予定 2020-08-27

参加人数 8 / 8
●揺らぐ空蝉  エイーア大陸の最東端。  北にエルメラルダ、南にトロメイアを置いたその場所には、『幻灯(げんとう)』という名の國(くに)が存在する。  歴史としてせいぜい200年程度のこの國は、同じく大陸の最東端に位置する港『来々(ライライ)』を所有し、今も発展を続けている貿易都市だ。  そして、その名前からも想像できるように、幻灯はエイーア大陸の中でも珍しい、東方の文化に満ちた場所である。  というのも、幻灯は元々、この大陸に住まう東方民やその子孫が集って、作りあげた國なのだ。  エイーア大陸に住まいながらも、東方に縁の在る者達が、遠き故郷を懐かしんで創設した、仮初のふるさと。  だからだろうか、建物や食べ物、服装に至るまで。オリエンタルな雰囲気に包まれているこの場所は、エイーア大陸出身者にとっては、異国情緒が楽しめる観光地ともなっている。  たとえば、繁華街『灯火(ともしび)』。  東西南北それぞれに、東方にて祀られているという四頭の獣の像を置き。  それらにちなんだ名前を持つ門が建てられた繁華街は、主に東方から輸入された食品や工芸品、生活雑貨などで溢れている。  もちろん東方の料理を得意とする飲食店も豊富なため、『食通ならば、一度は足を運ぶ』とまで言われている。  しかも、四つ辻……二つの通りが交差する場所であり、繁華街の中央には、見るからに立派な旅館が、荘厳な存在感を放っている。  『雀の宿』(東方に伝わる御伽噺が、名前の由来らしい)という高級旅館は、東方では『楼閣形式』というタイプの建物であり。  空にそびえる五枚の屋根は、それぞれに地・水・火・風・空を表しているというのだから、なんとも幽玄だ。  その他にも、幻灯には様々な東方文化が散らばっており。故にこの國を訪れた東方の民は、口を揃えてこう言うそうだ。 「あぁ、懐かしい。たとえ今は遠くとも、我が心は。あの美しき桜の都(みやこ)を、忘れてはいない――」 ●消える陽炎 「じゃあ、そこに行ったら、カズラのことも何かわかるのか?」  ひょこり。ベンチの影から突然現れるような形で、【フィーカ・ラファール】は、そう告げた。  その隣には、マフラーを引っ張られるようにして、フィーカに連れ回されていたらしい【カズラ・ナカノト】の姿もある。  突然の介入者に『きみ』は――夏休みに入り、時間のゆとりも出来た『きみ』は。中庭にて偶然出会った【シトリ・イエライ】との世間話に興じていた――、記憶の糸を手繰り寄せる。  そういえば、カズラという名前以外、何も覚えていないというこの青年が。学園内で空腹に倒れていたのを発見したのも、フィーカであったと聞いている。  あの時は『鬼』が出たなどの騒ぎにもなったのだが、今ではすっかり、カズラも学園に通う生徒の一員だ。  そしてその傍には、だいたいフィーカの姿があったようにも、『きみ』は思う。  考えてみれば、幼い頃に故郷を焼き払われたというフィーカ(確か、それが原因で『カリドゥ・グラキエス』という翼竜が暴れる事件が起きたはずだ)という少年もまた、カズラと同じように、過去を『失くした』と言えるのだろう。  しかし、カズラの場合は、ただ過去を見失っているだけに過ぎない。  ならば――。 「何か、思い出せるか? そしたらまた、家族にも、会える?」  『きみ』の物思いを継ぐように、フィーカは言葉を繋いだ。  かぞく。それはきっと、フィーカがもう決して取り戻せない温もりであり、彼にとってとても大切な思い出だ。  隣に立つカズラはピンと来ない様子ではあったが、もしも家族と離れ離れになっているのなら、会わせてあげたいとフィーカが思うのは、必然なのかもしれない。  だからだろうか。彼の手には、カズラが学園に来た経緯と身体的特徴を書いた紙の束――そういえば、最近レゼント内でこれを、よく見かける気がする――があり。  そんな彼へ、シトリはやんわりと微笑みかける。 「それは……私には、わかりません。ですが、確かに『カズラ』とは、つる草を指した東方の呼び名です」  行ってみる価値は、あるのかもしれませんね。  そう続いた言葉に、フィーカは満面の笑みを見せ、そして、 「いこう、カズラ! 家族のこと、何かわかるかもしれないぞ!」 「……フィーカが、いきたい、なら」 「いきたい! きまり!」 「こらこら、お待ちなさい。まさか今から、向かうつもりで?」   カズラのマフラーを引っ掴んだまま走り出そうとしたフィーカの外衣を、シトリの指が掴む。 「……だめか?」 「駄目ではありませんが、あなたがた二人だけでは、危険です。せめて何人か、護衛を雇ってから……」  ふいに、言葉を止めたシトリが、そのまま『きみ』へと顔を向ける。そうだ。 「せっかくですから、社会科見学も兼ねて、頼まれてはくれませんか? 依頼料は私が払いますし」  ちょっと大目に包んでおくので、お小遣いとして、どうぞお使いください。  なんて笑うシトリの向こうでは、きらきらとした瞳でこちらの返答を待つ、フィーカがいる。  だから『きみ』は苦笑して、けれどしっかりと、頷いたのだった。 ◆  それから、『きみ』は。同じくシトリに声をかけられた学友たちと共に、幻灯に降り立つ。  ちなみに、グリフォンを使った移動は野盗に襲われる心配もなければ、幸運にも空を縄張りとする魔物に遭遇することもなく。  ゆえに、多少距離があったとはいえ、『きみ』達にとっては快適な旅路となった。  だからこそ、『きみ』は。シトリの言った『危険』という言葉をいささか不思議に思ったが、そんな疑問は賑やかな声を前にして掻き消える。  何故なら右も左も、視界いっぱいに行き交う人、ひと。ヒトの波が、『きみ』達を迎えたからだ。 「すごいぞ! 色んな種族のヒトが、いっぱいいる! これなら、カズラを知っているヒトがいるかもしれないぞ!」  興奮しているのか、白猫の尾を揺らすフィーカに対し、カズラはやはり、ぼんやりとするだけ。  けれどそんなことは気にもせず、フィーカは『きみ』たちに頭を下げてから、こう言った。  「護衛、ありがとな! おれたちはまず、こちょーらんゆうぎりせんせーってひとに、会ってくる!」  【胡蝶蘭・夕霧】(こちょうらん ゆうぎり)。  その名前は、『きみ』達が出発する前、シトリがフィーカに教えていたものだ。  なんでも、幻灯の国境警備施設に籍を置いている女性で、フトゥールム・スクエアの黒幕・暗躍コースの先生でもあるという。  『といっても。夕霧はもう随分と長い間幻灯に居り、学園を目指して入港した東方民のサポートをしているので。会ったことがない方のほうが、多いかもしれませんが』。  なんていうシトリの表情はどこか爽やかで、もしかしたら苦手な相手なのかな、なんてひそひそ声を『きみ』は聞いたような気もしたが。  ともあれ、シトリから頼まれた護衛の任務は幻灯に着いた時点で達成しており、今からは、自由時間の始まりである。  このままフィーカ達の動向を見守ってもいいし、気の向くままに街を歩いてみるのもいいだろう。  耳に聞こえる言葉や目に入る看板の文字を見るに、幻灯では大陸共通言語と東方で主に使われてる言葉のどちらもが使われているらしい。  ならばコミュニケーション上の心配はなさそうだ。そう思った『きみ』は、心の赴くままに、足を動かし始める。  ちりん。どこかの軒下に吊り下げられた風鈴が、涼やかな音を立てた。
ゴブリンバスターズ~新入生を救え~ 橘真斗 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 ほんの少し

公開日 2020-08-10

予約期間 開始 2020-08-11 00:00
締切 2020-08-12 23:59

出発日 2020-08-18

完成予定 2020-08-28

参加人数 8 / 8
●想定外 『ゴブリンなんて、ザコ中のザコじゃない! 調査なんて言わずに殲滅よ!』  朝方、そんなことを口にして冒険にでた自分を恥じたいと【アスカ・レイドラゴ】は感じていた。  実入りの少ないゴブリン課題といくことで、人が集まらなかった。  そこで、新入生でパーティを組み調査に向かったのだが、巣穴の入り口から奥に入ったところで、下層へ落されて、多数のゴブリンに囲まれる事態になってしまったのだ。 「ゴブリンって、こんなに強いやつらだったの!」  傷ついた腕から流れる血を服で止血しながら、アスカは小さく悪態をついた。  単体のゴブリンはそう強くはない。  だが、今回の依頼は巣穴の攻略であり、予想以上にゴブリンたちが統率の取れた行動をとってきたのだ。  パーティメンバーだった壁役がまっさきにハリネズミのようにナイフを突き刺される。  ゴブリン達の醜悪な顔がアスカや女魔法使いの顔を見て物色するように笑みを浮かべた。 「時間を作るから、逃げてっ!」  魔法使いが呪文を唱えて突破口を開き、ヒーラーと共にアスカは逃げた。  逃げている途中ではぐれてしまったヒーラーがどうなったか、逃げるだけ精一杯だったアスカにはわからない。  道中にゴブリンを蹴散らしてきたものの、傷が多く複雑な巣穴の影に隠れてやり過ごすのが限界である。 「これで覇王を目指すなんて……笑っちゃうわ」  課題のために出発して、時間がどれだけ経過しているのかもわからないが、ゴブリン達の声が絶えず聞こえているのだけはわかる。  まだ、アスカかほかのメンバーを探しているはずだ。 「ギギギィ!」  アスカの頭上から光が差しこむ。 「見つかった!? いや、横穴があるわね……ともかく、戦略的……撤退よ!」  龍の羽にも傷を負っているから飛ぶことはできない……だが、鍛えてきた二本の脚はまだ動く。  ただでは死ぬつもりはない。  少数同士での戦いであれば、まだやりようはある。  古きドラゴンの血がそうさせるのか、彼女の目は闘志を失わずに燃えていた。 ●未来のために  課題を探している生徒の前にシュッと【ユリ・ネオネ】が姿をみせる。 「ごめんなさい、至急みんなにやってもらいたいことのがあるの」  なんと前触れもなく、現れたユリの姿に生徒達は居住まいをただした。  ユリが至急というのであれば、相当な難問のはずである。 「今回の話は皆に新入生を助けに行ってもらいたいのよ」  新入生がトラブルに巻き込まれたこれはよくある話なので、そこまで難しそうではないなと安心する一同。 「ゴブリンの巣穴の調査を頼んだのだけど、朝から出発して今も帰ってきていないわ。もしかしたら、中に入って討伐に向かったのかもしれない」  自業自得じゃないかといえばそうである。  だが、同じ学園の後輩をその一言で切り捨てていいのだろうか? 「報酬はそこまでだせないけど、未来ある学園の後輩のために力を貸してくれないかしら?」  ユリの願いを聞き届けた生徒達は日が落ち始める中、準備に取り掛かった。  
弱き民、迫る脅威 根来言 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 多い

公開日 2020-08-10

予約期間 開始 2020-08-11 00:00
締切 2020-08-12 23:59

出発日 2020-08-18

完成予定 2020-08-28

参加人数 8 / 8
「ってことでぇ、ざっと100人くらい? 今から行くんで、よろしくしたいっす。つーか、よろしくしてくんねぇと困るっス」  がたごと、がたごと。  長い一本道を、数台の馬車が慌ただしく走っていた。  縦に長い、特殊な荷台を持つ馬車。普段であれば、商品である植物や魔物を積むためのものだ。  しかし、今のそれは、何人もの老人や子供たちが、窮屈に敷き詰められていた。 「いつからあなたは、奴隷商になったんだ? 愛しの学園長に振られるぞ?」 「やってねぇ! やってねーっすからね!? いや、世話することになんなら、少しは働かせてもいーと思うっすけど」  避難中の暇つぶしにもなるだろうし。彼はそう、言葉を続けた。  先頭馬車から、片肘付きため息交じりに水晶を触るのは、商人【ピラフ・プリプク】。 「軽いジョークだ。……そうだな滞在する間の働き口は、こちらでも幾らかは用意できるとは思うが」  彼の触る水晶から聞こえる声の主は、生真面目そうな女性のようである。 「……まあ、今からのことは何とでもなるだろう。そして、今、かの村の状況は?」  水晶の向こうの声の主……、シュターニャの傭兵組合『シュッツェン』。その長【ニキータ・キャンベル】は商人に問う。  突如としてある村周辺に発生した謎の魔物軍。  対策を幾度立てども、周囲からの傭兵、商人たちの忠告を全く聞く耳無しの村をニキータも危惧していた。  シュターニャの郊外とは言えど、距離はそう離れてはいない。  シュターニャへ魔物がなだれ込むことも、シュターニャへ向かう観光客や商人達が魔物の被害を受けることも予想ができた。善意抜きにしても、自分たちの都市へ何らかの形の被害が現れることだろう。 「ニキータ隊長も心配してたっすもんねぇ。えーと、取り合えず、避難は始めたっすね。とりあえず老人やら子供優先で、馬車に詰め込んでるんで。さっき話した通り、シュターニャで暫く預かりよろしくってところっすね」  ピラフの報告を受け、ニキータは一先ず安堵の息を漏らす。 「そうか、警告を聞き入れてもらえたんだな? 拉致はしていないな?」 「してねぇっすからね? ……こほん、愛しの学園長殿の、これまた愛しの生徒たちが説得してくれたっすよ」 「……あぁ、あそこの生徒たちが」  以前、課題として観光案内や魔物退治にシュターニャへ訪れた生徒たちと関わったことがあった。  右往左往しつつも、課題をこなそうと話し合い、工夫を怠らない生徒達。彼らならば、あの屁理屈達を説得できたかもしれない。  あの時の生徒かはわからないが、不思議と、その姿が目に浮かぶようだ。 (……なるほど、少し、感慨深いものがあるな) 「……さん、ニキータさん? 聞いてっスか!?」 「……聞いているぞ。それで、残りの人数は?」 「……残っている村人が70人……未満っすね。傭兵とか、戦える連中抜けば50人いかねーくらいだと思うんすけど。そんだけの人数がぞろぞろとシュターニャまで歩いていくのも逆にあぶねぇっスからまた乗り物とかが欲しいところっスね」  それと、傭兵をできる限り沢山。まだ魔物が来ていないとはいえ、馬車を連れての長い移動はリスクが非常に高い。まして、戦闘経験の殆どない村人たちばかりを連れて行かないといけないからだ。 「こちらとしてもそうしたい。けれど……今は難しいな」 「今は……? 何かあったんすか?」 「こちら……、シュターニャでも別件で少々傭兵たちが立て込んでいるんだ。数ばかりが多いから、終わり次第すぐに向かうことはできると思うが」  シュターニャに隣接するシュターニャ橋の近辺。現在、多くの魔物が現れ、傭兵たちの多くをその討伐に割いていた。  町の外とはいえ、町のすぐそばでの出来事なのでそちらを優先せざるを得ない状況である。 「しゃーねぇ……っすね。いつ襲ってくるかもわかんねぇんだけど……!? はぁ!? マジっすか!?」  馬の嘶き、商人達や村人の騒めきが水晶越しにニキータにも届いた。 「ピラフ? 何かあったのか?」 「煙……、魔物が、村に来たみてぇっス」 「煙……!?」  思わず、立ち上がり窓を開け、そして空を睨むように見つめる。 「……赤、か」  微かに空に昇る、赤赤と着色された狼煙。  この辺の傭兵ならば、この狼煙の意味はすぐに分かる。  『敵襲あり』だ。 「こっから2時間……、いや、シュターニャ寄った後じゃ、もっとかかるっすね……」 「……ッ、出来る限り、こっちも傭兵を募る。何人集まるかわからないけど……。今の案件片したらそいつらも向かわせる。後、馬車はウチの傭兵用の馬車を使わせる。荷物用の馬車よりは人が乗れるはずだ」 「……了解っす」  簡単にやり取りを済ませ、連絡を絶つ。 (あっちも騒騒しかったな。……道中の魔物に遭遇したか、あるいは村周辺から湧き出た魔物に襲われたか……か?)  村だけで、この騒ぎが収まってくれればいいのだが。 (――祈るだけなら、誰にでも出来るものだ……だが、私にしか出来ないことは) 「直ちに、片を付けるぞっ! 私たちを必要としている者たちがいるならば、私たちは、行かなくてはいけない!」
ねずみ行進曲 江戸崎竜胆 GM

ジャンル ハートフル

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 ほんの少し

公開日 2020-08-08

予約期間 開始 2020-08-09 00:00
締切 2020-08-10 23:59

出発日 2020-08-16

完成予定 2020-08-26

参加人数 2 / 8
「ねずみが出た!」  商店街の人々がざわめき始める。  其処には無数の黒いねずみが果物や野菜を齧っている姿があった。 「ねずみ、なんて困る生き物なのかしら」 「どうにかして駆除出来ないかな……」  ねずみ。食物を荒らし、病気を蔓延させ、家の天井にまで入り込み、困った生き物だとそう商店街の多くの人々が思っている。  商店街の人々が頭を悩ませている時、大きな白ねずみがひょこり、と立ち上がった。二足歩行で。 「あの黒いねずみ達は、本当は悪い生き物じゃないんだよ。汚れて真っ黒になってしまっているけれど、本当は幸せを運ぶ白いねずみなんだ」  白いねずみが髭をひくひくさせて商店街の人達に訴えかけています。 「お願いだよ。僕達の仲間を救ってあげて。お腹が空いているだけなんだ。きちんとご飯を貰えれば、黒いねずみは出なくなるよ。本当はあの子達も困っているんだ。寒くてご飯がないだけなんだよ」  白いねずみは商店街の人々の合間を走り回って、黒いねずみを助けて、と言って回っています。  白いねずみと黒いねずみ。  白いねずみは大きくて一匹。対する黒いねずみは小さくて沢山います。この差は歴然としていて、とても同じ動物には思えません。  白いねずみはそれでも商店街の、学園の皆さんに話しかけます。 「僕達の仲間を救って下さい」
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