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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



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我は猫なりニャ! 根来言 GM

ジャンル ハートフル

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 少し

公開日 2020-02-22

予約期間 開始 2020-02-23 00:00
締切 2020-02-24 23:59

出発日 2020-03-01

完成予定 2020-03-11

参加人数 4 / 8
 路地裏を抜けると、そこは猫の楽園であった。  日向、日陰。木の上に草の影。見渡す限りに十匹もの猫が溢れていた。  「猫は、いいよなぁ……」  小さなエリアル【アデル・ミドラ】の口から、小さなつぶやきが零れた。  木洩れ日の眩しい森の中で、彼は猫達の、ふかふかな毛の感触を楽しむように顔を埋める。  試験、人間関係、プレッシャー……。  『今日も一日お疲れ様』……猫は何も言ってはくれない。けれど、何も言わずとも小さく暖かな身体が、疲れた自分を労ってくれる……気がする。  膝に乗ってきたキジ猫の小さな欠伸に、誘われるように小さな欠伸が漏れた。 (それにしても、ここは本当に静かでいい場所だよ……。こんなに居心地がいいのに、不思議だなぁ……)  手ごろな岩に背を預け。そして、目を閉じること数分。  猫達と、そしてアデルの寝息。微かな草木の揺れる音だけが辺りを包み込む。  ことは数日前、アデルが街中で猫を見かけたのが始まり。  可愛いなぁ……。と、目で追い。いつの間にか路地裏から次々と猫が合流し、猫の群れになってどこかに行くのだ。 (猫の群れ……? 誰か、猫が好きな人が餌を配ってるのかな?)  もしそうなら、そこに行けば猫が沢山触れるかも? と、欲望のままについて行けば……。  まさに、『猫の楽園』。  そしてなにより嬉しいことは、猫達は人にとても慣れていた。  手を差し出せばほおずり。頭を撫でれば喉を鳴らし、胡坐をかけば、膝の上に乗ってくる。  そして、猫達はふかふかの毛を撫でてくれとばかりに転がり、見せつけ。そしてすり寄ってくるのだ。  もう、たまらない!  気が付けば毎日のように足を運んでしまうようになってしまった。 「んぅ……うぅ、寒い……?」  眠い目をこすり、ぶるりと身をよじる。  気が付けば膝の猫も何処かに行ってしまい、アデルは一人になっていた。  辺りは先ほどよりやや暗く、アデルの眠っていた岩陰周辺は、冷たい影に覆われていた。 (もう夕方だっけ……? 猫もいなくなっちゃったな……) うっすらと目を開け、空を見上げ。 「……」  目の前に広がる、巨大な岩でできた巨体を見上げた。  3秒ほど巨体と目を合わせ、そして、もう一度眠い目をこする。 「……なんだ、まだ夢か」  そう思わなければ。きっと疲れているのだと。  自分に言い聞かせて、横になろうとする。 「夢ではないにゃ。顔を上げい!」  轟くような声に、思わず飛び上がった。 「ひ、ふぇっ!? 夢じゃないの!? てか喋ったぁ!?」  きょろきょろと辺りを見渡しても、彼と巨大な『それ』……目の前に広がる巨大な岩の身体しかいない。  10メートルほどの巨大な背丈。太く、たくましい足。どんな攻撃でも弾かれそうな、巨大な黄金の盾。 「え、えーと……? ご、ごーれむ?」  似ている。しかし、アデルの知るゴーレムとはやや異なっていた。 「馬鹿者。吾輩はゴーレムではない。猫の守り神【ネコレム】、にゃ」  とって付けたような語尾。そして、頭部に付いた、猫を模した耳。猫耳である。 「ネコレム……? えぇと、ネコレム……さん。僕は、食べてもおいしくないと思うん……ですけど?」  恐る恐る、震えるような声で話しかけた。勿論。距離を取ろうと後ずさることも忘れない。 「馬鹿者。汝のような小物、腹の足しにもならん、にゃ」  この時ばかりは、コンプレックスの背丈に少し感謝する。 「汝、吾輩の猫を誑かしているにゃ? 弄んでおるにゃ?」  ぎょろり。  大きな目でアデルをにらみつける。ひぇっと乾いた声が出る。 「た、誑かしてなんて! そんな」 「別に怒ってなんてない、にゃ」 「え? じゃ、じゃあ」 「ただ、タダでお触りなんて。許すまじ、にゃ。対価として肉体労働をするにゃ」  ネコレムは、大きな手で首を掻くような仕草をしながら。一方的に話を進める。 「吾輩の猫ども、昼にも夜にも寝てくれないにゃ。活発すぎて、手に負えないにゃ。なんとかするにゃ!」 「……肉体労働って、猫を寝かしつけろってこと?」 「そうにゃ」 「それだけ?」 「そうにゃ」 (よかった……、そのくらいなら。いつも猫を撫でていることと、なにも変わらないじゃないか)  思っていた以上に簡単な仕事。 「そのくらいなら、うん! 分かった! やる!」  思わず二つ返事で引き受ける。 「わかったにゃ。じゃぁ、この子達の相手をするにゃ」  ネコレムが右手を高らかに上げると、その後ろから数十匹の猫が現れた。  ただし、その猫達はアデルの背丈よりも巨大で。威圧的にぐるると唸る。  この生き物は昔、書籍で見たことがある。  ライオン。ヒョウ。チーター……。  確かに猫っぽくはある……はず。でも、猫ではないはずなのだ。 「猫……?」 「猫にゃ。早く寝かしつけるにゃ」 「ぼ、僕にはちょっと……ッ! ひ、ひぇっ!?」 「逃げる……にゃ?」  腰を抜かしながらも逃げようとするアデルへと、ネコレムの巨大な手が振り下ろされた。  制服のマントが手の下敷きになり、アデルが藻掻くたびにぎゅうと首を絞めつけてくる。  じりじりと迫るは肉食獣の群れ。心なしか、たまに聞こえる呻き声に混ざり、腹の音のようなものも聞こえてくるような……。 (このままだと、僕、食べられちゃうの……!? ど、どうしよう)  そんな四面楚歌のなか、アデルは苦し紛れに叫び声をあげた。 「ぼ、僕よりもっと猫達を満足させてくれる人たち連れてくるから! だ、だから待って! お願い! 助けて!」
わたしはパフェが食べたいの!! 樹 志岐 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2020-02-21

予約期間 開始 2020-02-22 00:00
締切 2020-02-23 23:59

出発日 2020-02-28

完成予定 2020-03-09

参加人数 2 / 8
●こう叫びながら振ると盛り上がるんです(個人差があります)  勇者暦2020年。  魔法学園『フトゥールム・スクエア』では学生発案のある遊びが流行していた。  目の前にあるのはサイコロと、36のマスに食材の名前のかかれた表。  ふたつのサイコロを3回まで振って、出目によって盛り付ける食材を決めるゲーム。  人呼んで、『パフェの中身はなんじゃろな』!  どんな食材になるのか、その決定権はサイコロのみぞ知る。  そんなギャンブル的な要素と、シンプルだが予想もつかない結果になるドキドキ感が学生たちの間でウケ、瞬く間に広場は大にぎわいとなった。  そんな参加者の一人、――仮に学生Aとしよう――はふと思った。 「このパフェ、おいしそうだなぁ……」  そう考え出したらもう止まらない。このはやる気持ちはまるで恋する乙女のよう。  そう、この学生Aはとても食いしん坊であった。 ●料理、それは魂の調べ(パーフェクト・クッキング)  というわけで、学園の調理室には広場の表に沿った食材が並んでいる。  あちらでは作ったパフェは提出してしまうので、自分達の口には入らない。  しかしここは調理室。作る為の材料は自ら揃え、作ったものは残さず食べなくてはならない暗黙のルールがある。  つまりここでなら、作ったパフェを自分で食べれるというわけだ  広場のイベントで作ったものの再現をしてもよし、ここで新たにサイコロを振り、作り直してもいい。  もちろん、自分の好きな食材ばかりを使ったパフェを作っても構わない。  ルールはただひとつ、『作ったものは残さず食べきる』こと。  さぁ、あなたはどんなパフェを作るだろうか?
【心愛】バレンタイン戦争 oz GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 少し

公開日 2020-02-18

予約期間 開始 2020-02-19 00:00
締切 2020-02-20 23:59

出発日 2020-02-27

完成予定 2020-03-08

参加人数 3 / 8
「またこの時期がやってきたか……」  風紀委員会の腕章を付けた男子生徒が重々しく溜息を吐いた。  バレンタインは男女に限らず、家族や友人、恋人にチョコレートを贈り、愛と感謝を伝える日。……だけで済むわけがなく、愛と憎悪は紙一重。バレンタインとは愛と戦争の日なのだ。  恋の鞘当てはもちろん。そうバレンタインに欠かせないチョコレート――いや、チョコモンスターとの戦いが各地で勃発する。チョコレートを粗末する者には天誅を! 食べ損ねられた恨みに加え、非リア充の負の感情を吸収したチョコモンスターが人間に反旗を翻す。  もう一度言う。バレンタインとはそういう日なのだ。  暴徒化したチョコモンスターが人間を見かけ次第体当たりを食らわせ、嫌がらせの如くチョコを浴びせる。チョコまみれになった人型のオブジェがところどころにある中、恋人同士がイチャイチャする地獄の光景がさぞかし見られるだろう。  毎年この時期になると風紀委員会は学園の治安維持のために忙しくなる。チョコレートの管理指導から注意喚起、はたまたはチョコモンスターの退治だけでなくリア充爆発しろ! とチョコモンスターに混じってひゃっはー! しだす輩まで制圧しなければならない。  毎年注意喚起を呼びかけていてもやはり被害はなくならない。 「よって各個人でのチョコレートの扱いは慎重に扱うように。バレンタインデーのチョコ製作する場合は、事前に風紀委員会に通達して欲しい」  ドラゴニアの風紀委員長【エンマ・ルルー】から直々に伝えられたのはそんな話だった。苦虫を噛み潰したような表情でいるのは風紀委員長だけでなく、他の風紀委員のメンバーもだった。  フトゥールム・スクエアでバレンタインを過ごしたことのない生徒が、そんな大げさな、と笑う。その生徒を真顔のまま一瞥すると、 「これまで学園内で起こった例を挙げよう。これらはあくまで一例に過ぎない」  風紀委員長はしかめっ面のまま話し始めた。  とある男子生徒はポケットに溶けたチョコレートを入れっぱなしにし、食べ損ねられたチョコレートは恨みの果てにチョコモンスター化したそうだ。当の男子生徒は全身チョコレートをかけられた状態で発見された。  他にも汚部屋となった寮室から生み出されたチョコモンスターの怒りは凄まじかった。それもそうだ、食べかけのチョコを一ヶ月以上放置された恨みは大きかったのだろう。  汚部屋がチョコレートがけの汚部屋となるまでそう時間はかからなかった。元々足の踏みいれ場のないほど立派な汚部屋だったが、しつこく念入りに部屋にあった物すべてをチョコで固め、チョコ部屋へと変わってしまったらしい。  さらに止めを刺したのが、とある飯マズで有名な女子生徒だ。彼女は風紀委員会のブラックリスト入りの生徒だ。  アレンジャー、カゲンシラーズ、アジミネーゼの三つを備えていたのもまずかった。  その女生徒はバレンタインチョコを作ろうと思い立ちこっそり調理した結果、冒涜的なチョコレートを大量に作ってしまったことからチョコモンスターが大量発生した。  よりにもよってカカオから作ろうとしたのだ。その結果。生み出されたのは鍋からチョコモンスターが発生する永久機関だった。倒しても倒しても生み出され続けるチョコモンスター。悪夢のような光景。チョコレートのオブジェとなった仲間達。発生源となったカカオの入った鍋からは異臭が漂う。次々と仲間が倒れていく中、やっとのことで鍋ごと破壊したことにより無限発生は納まった。残されたのはチョコモンスターの残党に、チョコまみれとなった部屋の数々。 「そうこれらの惨状が現在進行形で学生寮内で起こっている。先程、通報があったからだ」  淡々と告げる風紀委員長の言葉に束の間の沈黙の後、学生達は動揺し始めた。  それもそうだ。自分たちが生活する寮内で事が起こっているのだ。誰しもチョコまみれとなった部屋で生活するのは嫌だろう。さらに事が収まったとしても掃除は免れない。  今年もまた悪夢が繰り返されようとしている。 「そうだな。これからの季節、学園内にはチョコモンスターが跋扈するだろうからな……一応チョコモンスターについて説明をしておこう。チョコモンスターはカカオポッドが負の感情や瘴気を吸収し暴走した姿だ」  ちなみにカカオポッドは『食べ物系の謎の生物』分類扱いされている。 「バレンタインの時期になると、カカオポッドも繁殖期のせいか負の感情を吸収しやすい。後は食べ残したチョコや捨てられたチョコがここぞと恨みを晴らすためにチョコモンスター化するのだ」  カカオポッドと見た目こそ変わらないもののチョコモンスターの纏う禍々しい雰囲気ですぐに見分けがつくそうだ。 「人に恨みを抱いているので人を見かけ次第、無差別に体当たりしてくるのですぐにチョコモンスターだと分かる。奴らは徒党を組んで襲ってくる。弱いからといって侮るといつの間にか囲まれて全方位からチョコを浴びる羽目になるぞ……それから、チョコモンスターは追いつめられると合体し巨大化するので、注意するように」  さらりと不穏な言葉が聞こえたが、風紀委員長が真顔なので突っ込みしづらい。 「チョコモンスターはさほど脅威ではないのだ。そこらの住民でも倒せるほどに弱い……だが、問題は後始末なのだ! 蔓延する甘いチョコレートの匂いが数日たっても消えず、制服についたチョコレートのシミに悩み、チョコレート塗れになった廊下や教室を掃除する清掃委員に死んだ目で見られるのが辛い……」  哀愁漂う風紀委員長の言葉に周囲の風紀委員も同意するよううんうんと頷く。  仏頂面で分かりづらいが、性格と同じように真っすぐな角と同じ黒い翼がどことなく黄昏ているようにも見える。心なしか首から顔にかけてある鱗の艶が褪せているのは気のせいか。  風紀委員長の憂鬱な態度に嫌な予感を感じつつも集められた生徒たちは黙って話を聞いていた。  余談だが、風紀委員にはチョコレートが苦手どころかチョコレートの匂いを嗅ぐのすら嫌なものが多い傾向にある。 「天井についたチョコレートを取るのは苦労するぞ! 後始末に駆り出され疲れ果てた清掃委員会に虚無の表情を見たくなければ、早急に! 早急にだ! 即座に倒さねばならん」  実感のこもった風紀委員長の叫び。 「絶対にチョコオブジェになるな! 風呂に入るまでさんざん周囲に迷惑をかけ、風呂に入った後もチョコレートが中々落ちずベタベタ感を味わいたくなければな!」  さすが経験者の言葉は重い。かつ悲痛だ。それご自身が味わった経験ですか? と問いかけたくなる衝動を抑え、学生たちは表情を引き締めた。  これ以上寮内をチョコレートまみれにされない為にも! 「風紀委員一同および有志を集めてチョコモンスターを外へ誘導するので、君たちは寮内の平穏を取り戻すためにもチョコモンスターを退治して欲しい」  その言葉に学生たちは頷くのだった。
さよならを告げた手紙 駒米たも GM

ジャンル 推理

タイプ ショート

難易度 難しい

報酬 なし

公開日 2020-02-19

予約期間 開始 2020-02-20 00:00
締切 2020-02-21 23:59

出発日 2020-02-29

完成予定 2020-03-10

参加人数 2 / 8
● 「ねぇ、エウミル。やっぱり危ないよ」 「心配性ね」  荷物を背負いながら彼女は笑った。 「ちゃんと帰ってくるわ。貴方の作った旅守りだって持ったし」  でも、と僕は言う。 「僕の作るアイテムは呪われてるって」 「どうせサジノが言ったんでしょ。あのバカ、あなたの才能に嫉妬してるのよ」  両頬が暖かな感触に包まれる。  空色の瞳と蜂蜜色の髪。  生まれた時から『覚醒』が使える特別な子。  間近で見る彼女は天使のように綺麗だった。 「ねえ、コルトラ。あなたは世界で一番の道具師よ。私が保証する。この勇者……の卵【エウミル・ガーモット】がね」  ぱちりと不格好なウィンクを見せられて、ようやく僕は笑うことができた。 「シュターニャについたら手紙を送るね!」 「楽しみにしてるよ。エウミルの字は癖があるから直ぐに分かるし」 「丁寧に書くってば」  そうして彼女は旅立ち、二度と戻ってはこなかった。 ● 「うーん」  大図書館『ワイズ・クレバー』地下。  図書委員【オズマー・クレイトン】は本の隙間から出てきた一通の封筒を手に固まっていた。 「オズマっちゃん、どったの?」  隣で書架整理をしていたエリアルの図書委員が手を止めた。 「『旅守りの作り方』に手紙が挟まっていましてねえ」 「マズくない? その本が最後に貸し出されたの五年前でしょ。差出人は誰?」 「それが書いていないんですよ。でも宛先に【コルトラ・ナーラーヤン】と書いてあります」  重い沈黙が流れた。 「……コルトラって『レゼント』の隅っこに住んでる、道具師コルトラ?」 「貸出記録では、そうです」 「天才道具師だったのに、呪いのアイテムを使って幼馴染を殺したっていう、あの?」 「無理無理無理無理!!」 「あの人、大のフトゥールム・スクエア嫌いじゃん!!」 「なんでレゼントに住んでるんだろう?」 「『スタリウム』の【サジノ・レグオ】が見張ってるからって聞いたよ」 「あの屋敷に近づいたら呪われるってもっぱらの噂だよね」 「ねぇねぇ、どうやって渡すの?」 「みなさん、図書委員の仕事はどうしたんですか!?」  喧噪の中でオズマーは考える。  道具師コルトラの悪評を信じる生徒は多い。  何よりコルトラ自身が魔法学園やその生徒を嫌っているのだ。直接手渡すのは難しいかもしれない。  しかし、この癖のある筆跡には見覚えがある。  オズマーは目を眇めた。  この筆跡の持ち主が手紙を書いたのならば――……コルトラはこの手紙を読むべきだ。 「どこかにコルトラさんに先入観が無く、呪いを恐れず、依頼を達成するだけの知恵者で、根性がある生徒さんはいませんかね」 「そんな生徒いるかな」 「いないと思うけど」 「……あ!」  いた。  この学園には存在しているのだ。  不思議と『あの子たちなら事態を善くしてくれるはず』と希望を抱かせてくれる、そんな生徒たちが。 「遺失物の配達として課外活動の申請をしてきまーす!」  厄介な案件だ。  いつものように押しつけるわけにはいかない。  祈るような気持ちで、オズマーは足早に図書館を後にした。
【心愛】どっきん! 学園バレンタインっ! 桂木京介 GM

ジャンル イベント

タイプ EX

難易度 とても簡単

報酬 なし

公開日 2020-02-16

予約期間 開始 2020-02-17 00:00
締切 2020-02-18 23:59

出発日 2020-02-24

完成予定 2020-03-05

参加人数 8 / 8
「あっ、いいところに!」  声をかけられて君は足を止める、目の前にあるのは長い長い行列だ。喫茶店のようなところにつづいているようだが……。  その行列のなかほどにあって、おーいおーいと手を振るは、ご存じ『学園のアイドル』こと【エミリー・ルイーズム】ではないか。 「チョコレートサンデー食べない?」  突然のお誘いである。  チョコレートサンデー、勝手に略してチョコサンとは、背の高いグラスに山盛りのチョコアイスを詰め、生クリームやらフルーツやらウエハースやらをずんずん積み重ねてグラスからあふれんばかりにする究極の甘味のことである。 「時間制限つきだけどお代わり自由の食べ放題なんだって!」  チョコサンって、そんなに山盛り食べたいものだろうか。 「バレンタインデーの時期だからね~」  ところでなぜ自分に声をかけたのか、と尋ねると、 「一緒に予約してた子が、急に来られなくなって」  とのことだった。  予約?  ではなぜ並んでいるのかと当然の質問をしたところ、エミリーはごく平然と言い放ったのである。 「予約してても並ぶでしょ?」  そうなの!? 「イベントだものっ!」  並ぶところからもう、イベントははじまっているのだ!  ☆ ☆ ☆  神出鬼没どこにでも登場。学園の廊下、校庭、あるいは教室まで。  登場、【メメ・メメル】が登場! ガラッとドアを開けて!  見るに見かねた様子で、【コルネ・ワルフルド】は言ったのである。 「校長……みっともないからやめてください」 「え? なんのこと? オレサマただお散歩をしているだけだゾ☆」  きらきらと目を輝かせメメルは振り向いた。その首から下に、紐がけした大きな箱を吊り下げている。箱には『義理チョコ☆大募集中!』という露骨すぎるメッセージが殴り書きされていた。  それ、とコルネは箱を指さした。 「あからさますぎます。あと、今は授業中なんですけど」 「コルネたんもくれ♪」 「いやです。ていうかもう、義理チョコという文化はすたれたのでは……?」 「フトゥールム・スクエアでは花盛りの文化ぞよ☆」 「お引き取り下さい」  なにが『ぞよ☆』ですか――と言いながらコルネはメメルを教室から追い出した。  ☆ ☆ ☆  芝生に面したベンチに、【パルシェ・ドルティーナ】と【ルシファー・キンメリー】が並んで腰を下ろしている。 「どうしたのパルシェ? こんなところによびだして」 「うん……実はね、今日はルシファーにプレゼントしたいものがあって……友チョコっていう……あれ?」 「これ?」  すでにルシファーの手には、パルシェが用意していた包みがあった。 「わっ、いつの間にっ!?」  その質問にルシファーは答えない。だってもう開封して食べはじめていたから。大きな板チョコだ。パルシェの手作りらしくルシファーらしき顔が描いてある。 「おいしいな」 「わーっ! だいなしだよ~!」  チョコの上のルシファーの顔はたちまち半分になった。 「いいじゃない、てまはぶけるし」  四分の一になった。と思ったらゼロになった。 「わーん、風情もなにもないよ~」  チョコで口元をべったりと汚したまま、ルシファーはニコリとしたのである。 「あはは、パルシェ、そんなかおしないでよ」  ほら、とルシファーは真新しい包みを取り出したのである。 「アタシからもあるからさ、ともチョコ♪ わらってわらって」  ☆ ☆ ☆  といった感じで、学園のバレンタインが幕を開けた。  あなたのバレンタインデー、あるいはその前後でもいい、どんな一日なのか、それを教えてほしいのだ。
【心愛】チョコの準備は出来ていますか? 夜月天音 GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2020-02-14

予約期間 開始 2020-02-15 00:00
締切 2020-02-16 23:59

出発日 2020-02-22

完成予定 2020-03-03

参加人数 3 / 8
 放課後、魔法学園フトゥールム・スクエア、第一校舎『フトゥールム・パレス』の調理室前。 「ねぇねぇ、学生さん、バレンタインが近いけど、チョコの準備はしてる? していないなら、我ら料理研究クラブにお任せあれ!」  15歳のヒューマンの女子部員が笑顔で、行き交う学生達に話し掛けていた。 「希望のチョコを作るよ! もちろん、一緒に作るのも大歓迎!」  学生達が足を止めて耳を傾けると、女子部員は性格からか、明るく弾んだ調子で続けた。 「作れるチョコは普通に美味しい物から魔法入りとか色々だよ! 例えば空気を固めて作った太らないチョコとか。味は美味しいけど、空気だからお腹は膨れないのが少し残念だけど」  少しでも注文が入ればと、あれこれとチョコの例を挙げた。 「それとか、等身大のチョコとか色々。美味しい以外にびっくりするようなチョコも作るよ。食べたら口の中が爆発したり食べるのではなく見るチョコとか……怪我をするようなチョコは作らないし、魔法とかで対策してるからチョコが失敗してもモンスターになって襲い掛かって来る事もないから安心して。でも、食べ物を粗末にするのは駄目だよ! 悲しくなっちゃうから」  ただ美味しいチョコだけではない事も伝えた。 「チョコは自分で食べたりお友達や恋人にあげてね。ただし、思いを込めるのは学生さん自身にお任せするよ!」  お茶目な笑顔で言って、チョコ作りの説明を締めた。 「さあ、どんなチョコが希望? 我ら料理研究クラブにお任せあれ!」  そして、改めて興味を向けてくれた学生に訊ねた。
ゆうしゃのふゆやすみ。 白兎 GM

ジャンル 日常

タイプ EX

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2020-02-07

予約期間 開始 2020-02-08 00:00
締切 2020-02-09 23:59

出発日 2020-02-17

完成予定 2020-02-27

参加人数 8 / 8
 ――時計の針を、少しだけ。巻き戻して。  冬休み最後の夜、学生寮。室内温度を心地良くする魔法に包まれた自室にて、『きみ』は明日の準備にいそしんでいた。  といっても、別に大掛かりなものではない。いつも通り、授業で必要な羽ペンやインク壺、羊皮紙の束に教科書類を鞄に詰め込み。  着慣れたいつもの服――まだ寒い日は続いているから、ウィンターコートの毛玉取りも必要だろうか――の手入れをしていただけだ。  けれど、たったそれだけのことなのに、どこか心が躍る気がするのは何故だろうか。  明日から始まる新学期で、久しぶりに学友と、憧れの先輩と、話ができるから?  それとも、何をしても良いという、『自由という難題』から解放されたから?  どちらにしても、『きみ』は思ったのかもしれない。もう冬も終わりか、と。  ふっと息をつき、窓の外へと視線を寄せれば、冬らしいクリアな空気の中、雪が降っている。  真白な月明かりを浴びながら、ひらり、ふわりと舞い遊ぶ雪は、月の光を反射してはきらりと煌めいて、輝いて。  そうして、ふと、『きみ』はユールのために飾り付けられた街並みに浮かぶ、ホワイトスノウを思い出した。  冬休みを迎える頃に始まったユールという催しは、今年もまた一年無事に過ごせたことを祝い、そして新しく来るだろう一年に感謝するものだという。  そのため年末では、レゼントの街の屋根や並木道に赤、白、黄色と、魔法による鮮やかな装飾が施されて。  『サンタクロース』が(おとぎ話かと思っていたが、実際に存在するらしい)プレゼントをくれるかも、とはしゃぐ子どもの姿を見かけたりもした。  そういえば、当たり前のように過ぎ去っていた『クリスマス』の起源が、『精霊から各種族が魔法を授かった事に感謝する日』だったことにも驚いた。  何事にも、意味があるのだろうか。もしかしたら、自分がこの学園に来たことにだって。  そうして新しい年を迎えた頃には、学園の広場からクリスマスツリーも撤去され、代わりに『カドマツ』という東方の飾り物が置かれたりもした。  そういえば、芸能・芸術コースの生徒が行う特別授業として、紅組と白組に分かれて芸を競い合う『歌合戦』などもあったようだが。  結果を聞いていなかった。今年はいったい、どちらが勝利したのだろう?  精霊が宿るといわれている大木や、神秘的な湖などの神霊スポットへお参りに行く『初詣』という行事もあったが、友人たちも行ったのだろうか。  それから、それから……――。  冬の夜空を見上げながら思い浮かべるのは、きらきらと瞬く星の輝きにも似た、思い出たち。  それは『きみ』がこの冬を過ごした証でもあり、雪の上に点々と残した足跡でもあるのだろう。  ならばこの夜、『きみ』の胸の中には。  どんな思い出が、灯ったのだろう――?
贈呈、チョコレート・ゴーレム! 七四六明 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 通常

公開日 2020-02-05

予約期間 開始 2020-02-06 00:00
締切 2020-02-07 23:59

出発日 2020-02-14

完成予定 2020-02-24

参加人数 6 / 8
 男子はソワソワ、女子はウキウキの二月のイベント――そう、バレンタインデー!  友チョコ、義理チョコ、自分チョコ。数種類のチョコレートはあれど、男子が求めるのは本命チョコ!  平静を保とうとしている内側で、やっぱり意識してしまうそこの男子に、私からプレゼント・フォー・ユーだ!  魔法学園『フトゥールム・スクエア』の男子達に、素敵で強敵で屈強なるチョコレート・ゴーレムを贈呈しよう!  さぁさぁ、遠慮せず受け取り給え!  素材はもちろん、味にもこだわったからそこらのチョコより美味しいかもだ!  ただ……強さにもこだわっていてね。そこらの魔物より手強いように作ってある。  岩盤を砕くチョコレート・パンチ。肩で風を切るチョコレート・タックル。そして超重量のチョコレート・プレス!  動きが鈍重なのと火属性攻撃で溶けてしまうのが難点だが、あっさり終わらないよう十体作ったから充分楽しめるはずさ!  さぁ、君達の力を見せつけて、女の子達に存分にアピールしてくれ給え!   もちろん、ゴーレムもれっきとしたチョコレートだからね。倒したらおいしく食べて欲しいな。うふふ……。  という名目の元、毎年恒例となってしまったらしい先輩のゴーレム機動実験が始まってしまったのだった。なんと、ありがた迷惑な……。
とある受付職員の受難 宇波 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-02-01

予約期間 開始 2020-02-02 00:00
締切 2020-02-03 23:59

出発日 2020-02-09

完成予定 2020-02-19

参加人数 6 / 8
「ねえ、聞いた?」 「聞いた聞いた。聞いたどころか見た」 「見た? どうだった?」 「すごいクマ」 「クマすごい?」 「クマすごい」  ひそひそ食堂で囁かれている、世間話程度の噂話。  それは、とある受付職員にまつわるもの。 「【ウケツ・ケ】さん、最近いつ休んでいるの……?」  魔法学園『フトゥールム・スクエア』における、職員の修羅場というものは常に不定期にやって来る。  何月は暇で、何月からすごく忙しくなる、そんなルーティーンは夢にも見てはいけない。  なぜならば、魔物が大量発生したという連絡があれば、現地に赴き下見をし、書類を作成し教室の掲示板に貼りだし。  通常業務に加えて各地からくる問い合わせに対応しなくてはならない。  祭り等イベントをしたいが人手が足りないと連絡があれば、現地に赴き打ち合わせをし、書類を作成し教室の掲示板に貼りだし。  通常業務に加えて参加希望者各位に詳細を説明したり、必要な物資等あれば揃えるために手配したりしなくてはならない。  学園内で干しブドウ欠乏症に陥っている【コルネ・ワルフルド】先生が暴れていると連絡があれば、現地に赴き足止めをし、状況を待機している受付に連絡し、書類を作成し、教室の掲示板に貼りだす前に大声で手伝いを求め。  通常業務どころではないから、作業していた手を止めて。  生徒たちが作戦会議をしている間、受付職員が総出で被害を拡大しないように踏ん張っている。  そんな修羅場は、時期が決まってくるものではない。  どこからともなく現れて、嵐のように去っていく。  それが、職員が対峙する修羅場の印象。  さて、学園窓口では、新年早々、そんな修羅場がまたやって来ていた。  そのため、朝から晩まで受付職員は馬車馬の如く働いていたのだが。  その中でも、ウケツという男は、文字通り休む間もなく働いていた。  いつ、どのタイミングで誰が行っても、ウケツが休んでいるところを、ここ最近見ていない。  受付職員が利用する休憩所にすらも訪れることはなく、常に受付に缶詰めになっている状態だという。 「……ウケツ先輩」 「はい、なんでしょう」 「……今、何徹目ですか」  後輩職員に恐る恐る聞かれたウケツは、指折り数え――その指の数が尋常でない本数であったことを、後輩は見ないふりをした――答えた。 「十五徹目ですね」 「寝てください!」 「大丈夫です。人間、五徹目以降から眠くなくなってきますから」  爽やかに笑うウケツ。  人はそれを、ただハイになっているだけだと言う。 「……なーんてことを言うんだよ、ウケツ先輩」 「はあ、そりゃ大変だったね」  ウケツの後輩職員は、残業終わりに食堂で同僚に愚痴のように話す。 「絶対疲れは溜まっているはずなの! だって!」  後輩は普段のウケツでは絶対にしないはずの失敗をつらつらと並べる。  例えば、書類の誤字や誤用に始まり。  この間はブラックコーヒーに、砂糖と塩を間違えて入れただとか。  うっかりばら撒いた書類の中の重要書類が、生徒の鞄に混入してあたふたと焦って仕事量を増やしてしまっただとか。  チョークを飴と勘違いして、『千歳飴だー』なんて言いながら食べてしまっただとか。 「絶対それ疲れてるわ」 「でしょう?! 今日も仕事を上がるときに、『お疲れ様です』って言いながら、あの人、なんて言ったと思う?!」  同僚は、ぷんぷんと興奮しきりの後輩職員を眺める。 「『私のメガネ知りませんか?』だよ?! 頭の上にあるのに加えて、もうひとつ別のメガネがちゃんとかかっていたのに!」  同僚は言葉もなく笑うしかなかった。 「だからなんとかして休ませたいんだけど……。ここ最近、何かに取り憑かれたように仕事仕事ばかりだから……」  ぶぅ、とホットミルクを口に運ぶ後輩職員。  その背後から、ぬ、とひとりの男性が顔を出す。 「おや、まだ帰ってなかったんですか」  噂のウケツ・ケ、その人だった。 「早く帰って、体を休めてくださいね」  大量の書類を手に、おそらく教室の方へ去っていくウケツのその肩。  なにやら白い、拳大のものがうにゅうにゅ蠢いている。 「せ、先輩。その肩のものは……?」 「肩のもの?」  不思議そうな顔で肩を見るウケツ。  しかし白いものは、視線から逃れるようにうにゅうにゅ移動してしまう。 「埃か何かでしょう。ほら、そろそろ帰って休まないと、明日に響きますよ」  最早欠伸も出なくなった、濃いクマを浮かべた顔で、ウケツは去って行ってしまった。 「……憑いてたね」 「……うん、憑いてた」 「と、いうわけで!」  ばあん! と机を叩くのは後輩職員。  空き教室に集められたのは、授業後の休み時間、のんびりとしていたところを運悪く見つけられてしまった生徒たち。 「今現在、受付職員であるウケツ・ケの肩に取り憑いているのは、『ハンタイのサナギ』と呼ばれる魔物ではないかと推測されます」 「ハンタイのサナギって、どういった魔物でしょうか」  後輩職員は、資料を一枚手に取る。 「性質を反対にしようとする魔物である、と調査した資料には書いてありました」 「性質を反対に?」 「はい。のんびり屋をせっかちに、大食らいを少食に。ウケツ先輩は働き者で、修羅場の際も率先して働いていましたので、その反対の性質と言えば怠け者……」  あるいは、疲れた体を休めたいと思う、生物的な本能が表面に出ているのかもしれません。  後輩職員の説明に、生徒は疑問符を浮かべる。 「それって、悪いこと? 事実働きすぎなんだし、休ませてあげればいいんじゃないの?」  後輩職員は、諦観の笑みを浮かべる。 「ええ、きちんと休んでくれるなら、わたしたちも放置するつもりでした。ですが……」 「ですが?」 「……ウケツ先輩、意志が強いんですよ」 「……はぁ?」  後輩職員曰く、このハンタイのサナギは、取りついた者の『本来の性質でありたいと願う意志』が強ければ強いほど、相反する性質が大喧嘩を起こしてしまうのだとか。  現状、ウケツの『真面目に働かなければならない』という信念にも似た意地がハンタイのサナギの性質を上回っているのだという。  その結果、意固地になった子供のように、『絶対に何があっても休まない』ウケツ・ケが出来上がってしまったのそうだ。 「ハンタイのサナギは、取りついた本人の意志が強ければ強いほど、正反対にする予定だった性質が取りついた人から失われていく。そんな厄介な魔物なんです……」  だが、そうした経緯の末に出来上がった『絶対に何があっても休まないウケツ・ケ』であるが、身体的スペックは元のまま。  一気にスペックが下がったり、いきなり上がったりしない。 「そのせいで、ウケツ先輩の疲労度はもうマックスに……! 本人の意識していないところで、まるでコメディ作品のようなミスを連発しているんです……!」  先輩、火炎魔法石は大きなイチゴ飴じゃないんですよおぉ!!  後輩職員の嘆きは、惨状を思い起こさせるには十分すぎるものだった。 「ええっと、それで……。俺たちはどうすれば?」  同情だったのだろう。  差し出された手を、後輩職員は救いもかくやと握りしめる。 「先輩を……! ウケツ・ケ先輩を休ませてください!」
何の変哲もないただの生態調査 樹 志岐 GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2020-01-28

予約期間 開始 2020-01-29 00:00
締切 2020-01-30 23:59

出発日 2020-02-05

完成予定 2020-02-15

参加人数 8 / 8
●ヴォンゴリーリ・スパゲティーニ博士の依頼  拝啓。  凛とした冷たい空気に、風花が美しく輝くこの頃、学園生の皆様におかれましてはご清祥のことと存じます。  さて、本日筆を執りましたのは他でもありません。  毎年恒例の『あれ』の季節が今年もやって参りました。  今年の『あれ』は例年以上に活きがよく、学者たちの間でも優秀な護衛を二人以上は連れていかないと危険だと噂されております。  つきましては、学園生の皆様に研究調査のお手伝いをして頂きたく存じます。  大変ご無理を申し上げて恐縮ではございますが、何卒お力添えのほどお願い申し上げます。  敬具。 ●なんかこんな感じの名前の人、前にも見た気がする。  そんなわけで、学園生である貴方たちの前には一人の女性がいる。  博士、と呼ばれるくらいには偉いのだろう。彼女の専門分野はわからないけど。  出されたお茶が磯の香りが仄かにするのと、添えられたお茶菓子が……これは、なんだ? 「どうぞ召し上がってください。スパゲティを油で揚げたものにアサリのダシパウダーをかけたものですわ」  スパゲティ。アサリ。嫌な予感がする。  そんな学生のことなど気にもとめず、彼女は深々と頭を下げた。 「改めまして、今回はお集まりいただき有難うございます。わたくしは【ヴォンゴリーリ・スパゲティーニ】と申します」  毛先に向かうにつれグレーになっていく、ブロンドのウェーブのかかった髪が揺れる。  前髪を留めているグリーンのヘアピンは彼女のトレードマークのようだ。 「皆様にお願いしたいのは、あるモンスターの生態調査です。彼らは毎年、この時期になると新しい住み処を求めて大移動をするのです」  なんでも彼女はそのモンスターの生態調査を毎年行っているらしい。  だが手紙にも書いた通り今年は例年にましてモンスターの気性が荒く、学者のみのフィールドワークは学会によって禁止となったらしい。 「わたくしは毎年この季節を楽しみにしておりました。調査が出来ないのは、わたくしに死ねと言っているようなものなのです。お願いいたします、どうか生態調査の間、わたくしの護衛をして頂けませんか?」  再度頭を下げる彼女。  彼女にとって研究こそが唯一の生き甲斐なのだろう。その肩は僅かに震えているように見えた。  わかりました。誰かがそう答えると、彼女は太陽のような明るい顔で貴方達を見た。 「有難うございます! あぁ、そういえば皆様の中には『あれ』を知らない方もいらっしゃいますよね」  知らない者も、というか皆知らないと思うが。 「そうだと思いまして、こちらに『あれ』の生態をまとめた資料を用意しました。調査日までにお読みください!」  そう言われ渡された資料の表紙には大きくこう書かれていた。 『【ヴォングォレスパゲティ・モンスター】の生態』
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