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はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



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怪盗Uの挑戦状 宇波 GM

ジャンル 推理

タイプ EX

難易度 難しい

報酬 多い

公開日 2019-07-07

予約期間 開始 2019-07-08 00:00
締切 2019-07-09 23:59

出発日 2019-07-18

完成予定 2019-07-28

参加人数 2 / 8
 煌びやかなシャンデリアの光に照らされ、赤い絨毯は踏み出した足を沈めるほど柔らかい。  船首から船尾にかけ、船首の白銀から船尾は鮮やかな水色に変化するグラデーションで彩られた豪華客船。  そんな豪華客船に足を踏み入れたのは、魔法学園【フトゥールム・スクエア】の生徒たち。  いったいなぜ彼らがこの豪華客船に乗船することになったのか。  それは一通の手紙が届いたことから始まる。 『魔法学園【フトゥールム・スクエア】の生徒諸君。  ご機嫌よう、私は【怪盗U】。  ついこの間、私はとある富豪の元から、時価数億はくだらないある宝石を盗み出した。  この世界の魔法属性を濃縮したような、6色に輝く美しい宝石だ。  だが、それを私だけが愛でるのは実につまらない。  そこで提案だ。  私は君たちとゲームをしたい。  君たちが勝てば、宝石は潔く渡そう。  だが、君たちが負けたその時は――。  さて、ルールを説明しよう。  君たちと遊ぶ舞台は、とある豪華客船。  その中の一室の中央に、宝石をケースに飾っておこう。  ケースの中には、爆弾を仕掛けておく。  君たちが時間に間に合わなかったり、ルールを守らなかった場合は、たちまち爆弾は爆発する。  ああ、安心してほしい。  ケースはその爆発に耐えうるものを使っている。  ケースの中で爆発するのだから、周囲に危害は及ばない。  ただし、宝石は木っ端微塵だ。  君たちが宝石を無事に取り戻すためには、ふたつの行動から選ばなくてはならない。  まずひとつ目。  私は船の中に様々な謎をちりばめた。  時間内にその謎を解き明かし、ケースにパスワードを入力すれば、ケースは開く。  ケースが開いた時点で、爆弾は止まるよう設定してある。  ああ、ズルができないように、謎を解いた暁には記念として、数字の刻印された宝石を入手できるようにしておこう。  怖がらないで。  その宝石は偽物だからさ。  もうひとつ。  爆弾を止めるためには、停止ボタンを押さなくてはならないのが世の常と聞く。  よって私は、船のどこかに爆弾を停止するボタンを隠しておいた。  その停止ボタンを押すことで、爆弾を解除、ついでにケースも開けてあげようではないか。  だが気を付けてほしい。  停止ボタンがあるということは、強制的に爆発させる爆破ボタンも対になっているものだ。  爆弾が爆発したときに発生するものとは、つまり光だ。  光とともに爆破させ、停止は全てを無に還せばいい。  君たちに与えられる時間は2時間。  その間に、ぜひとも宝石を取り戻して見せてくれないか。  ……ああ、間違っても、ケースを壊して取り出そうなどと無粋なことは考えてくれるなよ?  ケースを壊した時点で爆破する。  ケースが無事であれば、中の宝石が木っ端微塵になるだけで済むが、ケースという防壁がなければ周囲はどうなるか分からない。  最悪のケースも想定したまえ。  ……さて、名残惜しいが、そろそろゲームを始めよう。  私は優しいからね。  手掛かりとなる、始めの謎を、ゲームの舞台である船の乗船チケットと一緒に同封しておくよ。  それではよい奮闘を。  愛を込めて【怪盗U】』 「中々ふざけた手紙ですね。だれかへのラブレターですか?」 「残念ながら、学園の生徒へ宛てたラブレターのようです」  学園窓口に届けられた一通の手紙と、招待チケット。  それから、何を表しているのか分からない、意味の分からない文章の書かれた一枚のカード。  それらは今、ここに集った君たちの眼前に晒されていた。 『王の宴に6人の王は踊り狂う。その背後には道が示されているであろう』 「この手紙は、その宝石を盗まれたとある富豪が持ってきました」 「え?学園の名前を出しているのに?」 「きっと間違えてしまったのでしょう。学園としては、みなさんに向かってもらいたいのですが、どうしますか?」  君たちは顔を見合わせた。  そして今に至る。  豪華客船を見上げている君たちの元へ、ひとりの執事のような恰好をした男がやって来た。 「ようこそ、豪華客船『スクエア』へ。チケットを拝見させていただきます」 「こちらが、件のお部屋となります。私共も知らないうちに、このケースが設置されておりました」  執事が案内した部屋には、手紙に書かれていたように四角いショーケースの中に宝石が収まっている。  そのショーケースを支える木の台には、6つの五角形の窪みと、文字を入力するキーボードが設置されている。  おそらくこれでパスワードを入力するのだろう。  窪みの上には6人の人物が刻印されていた。  手紙の通りであれば、このケースの中に爆弾が仕掛けられていて、さらにこのケースはその爆弾の爆破すら耐えるほどの強度であるという。  中の宝石は赤、青、緑。  茶色に黄色に紫に、確かに6色が輝く、不思議な宝石だった。  宝石に魅入っていると背後から、執事の咳払いが聞こえる。 「皆様、よろしいですかな。こちらが船内の地図になります」  渡された地図を見てみると、この船は5階建て。  中央に客室が、船首と船尾側に従業員用の住居や、関係者以外立ち入り禁止の部屋がある。  船首、船尾の先端へ行くためには、従業員エリアを通っていかなくては出られないことも分かった。 「この地図、見やすくていいですね。縁を彩る装飾も独創的で。……ここに描かれている人は誰ですか?」 「はい、上部真ん中に描かれている6人は、左からエンジバ、リーベ、アリアモーレ、プロギュート、イグルラーチ、ボイニテッドになります。船首側に描かれているのはオールデンですね」 「船尾側には何も描かれてないのですね」 「地図を作ったのは別の者ですので……。センスはすべて、その者に依存しております」  執事と会話をしていると、ふと一人があることに気が付く。 「……あ、この6人、ショーケースに刻印されているものと同じだ」  厳密にはまったく同じではなく、3人目、アリアモーレと呼ばれた者だけが他の者と比べて随分と小さく描かれていた。
≪奉仕科2≫仔犬とお留守番 浅田亜芽 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-07-12

予約期間 開始 2019-07-13 00:00
締切 2019-07-14 23:59

出発日 2019-07-21

完成予定 2019-07-31

参加人数 4 / 8
「今日の課題は『仔犬がいっぱいいるお宅のお留守番』なんですよ~」  奉仕科担当の【ユリア・ノイヴィント】先生は、教壇の前でちょっと羨ましそうに眉尻を下げて微笑むと、奉仕科宛てに送られてきた依頼が書かれた書類を読み上げ始めた。  依頼内容は、【コルライト夫人】の家で、仔犬と一緒に留守番をしてほしいというもの。  学園都市内にある一軒家に住んでいるコルライト夫人は、大小さまざまな犬種の犬を数頭飼っているのだ。  その犬たちが3か月ほど前に相次いで出産し、仔犬が全部で20匹も生まれてしまった。  現在、親犬たちは犬舎で飼っているが、仔犬たちは家の中に置いてお世話をしている状態だ。  仔犬たちからはまだ眼が離せないのだが、コルライト夫人は朝から夕方まで、どうしても留守にしなくてはならなくなった。  そこで、その一日だけ仔犬たちの世話をしながら留守番をしてほしいのだという。 「……という訳で、犬好きの人にはよだれが出そうな依頼です。本当は私が行きたいぐらいですが、私は先生ですからね……うん、皆さんにおいしい依頼は譲りますよ……」  と言いながらも残念さを隠せないユリア先生だ。  意外と大人げない。 「先生! 留守番中の仔犬のお世話は、どんなことをするのですか?」 「仔犬ちゃんたちはサークルに入れてあって、水はいつでも飲めるようにして置いてくれるので、皆さんは途中で1度だけエサをあげればいいそうです」 「じゃあ、ただ仔犬の側で留守番するって課題ですか? なんてラクな……」 「まあ、何事もなければその通りなのですが、仔犬ちゃんたちは度々サークルから脱走してイタズラするので、仔犬ちゃんにとっても危険ですし、そうさせないようにしてほしいそうですよ」  ユリア先生が学生たちを見回して、 「では、この課題に挑戦する人は?」  と言い終わるより早く、数人の手が上がった。
ワンダー・キャンディ・ミステリー 土斑猫 GM

ジャンル コメディ

タイプ EX

難易度 普通

報酬 多い

公開日 2019-07-07

予約期間 開始 2019-07-08 00:00
締切 2019-07-09 23:59

出発日 2019-07-15

完成予定 2019-07-25

参加人数 5 / 8
 お菓子を作ろう コトコトコト。  お砂糖煮詰めて コトコトコト。  ルバーブ刻んで コトコトコト。  玉子はブクブク コトコトコト。  美味しくとろけるお菓子の行進。  とっても甘ぁいお菓子のお誘い。  さぁささぁさぁ いらっしゃい。 「これは、問題ですね……」  ここは、魔法学園フトゥールム・スクエアの保健室。そこに備えられたベッドを見下ろしながら、学園の女性講師【ルミナス・エルーニャ】は険しい顔でそう呟いた。  その日、あなた達は学園のとある教室へと招集された。 「よく、募集に応じてくださいました。皆さんの勇気に、感謝します」  その言い様に、皆が首を傾げる。はて、何の事だろう。今日は、敷地内にあるという、人手の足りない店舗。そこに、職業実習を兼ねて手伝いに行く課題の筈。相応の報酬も出ると言う事で、言わば学園公認のアルバイトの様なもの。アルバイトに、勇気もへったくれもないだろうに。  訝しがるあなた達を他所に、ルミナスは尚も神妙な態度。肘を机に着き、両手は組んで俯き加減の顔の前。部屋の灯りを反して、奥が見えない眼鏡。何か怖い。 「まずは、これを試して貰いましょう」  ルミナスの言葉に従う様に、メイド服を纏った少女達が教室に入ってきた。彼女達はあなた達の前に手早く皿を並べると、教室を出て行った。  皿の上に載っていたのは、ケーキが一つ。 「どうぞ、お食べなさい」  言われるままに、皿を手に取る。見た目は、普通のケーキ。いや。そこらで売っているモノよりも飾り気がなく、見てくれは質素である。  フォークで切ると、柔らかくて心地よい手応えと共に、甘い香りがフワリと鼻をくすぐる。いい匂い。素直に、そう思った。ひとかけ、口に入れる。途端――。 「!!」  皆が皆、顔を見合わせる。 「美味しいでしょう?」  ルミナスが訊く。反論など、ありはしない。美味しかった。絶妙だった。最高と言う言葉すら、不足だろう。正直、どんな言葉を使って表現したらいいのかすら、分からない。一口食べれば、優しい甘さに舌が蕩ける。二口食べれば、恍惚となって思考が揺らぐ。三口食べれば、幸福感で身体が痺れる。一種、危険ささえ感じさせる美味しさだった。 「最近、街の一画に出来た小さなお菓子屋の商品です。街ではもう大評判で、毎日12時間待ちの行列が出来ています」  だろうな、と思う。と言うか、この味が分からない人は人間として何か大事なモノが欠けていると思う。  皆が食べ終わるのを待つと、ルミナスは言った。 「察しは、ついているでしょう?」  一斉に頷く、あなた達。 「そうです。皆さんに出向いていただくのは、このケーキを販売している店、『ワンダー・キャンディー』です」  そう言って、彼女は手にしていた紙を配り始める。紙には、こんな印字がされていた。  『アルバイト募集。ワンダー・キャンディーでは一緒に働いてくれる仲間を募集しています。私達といっしょに、お客様に甘い夢をお届けいたしましょう。時給:1500G。勤務時間:AM9時~PM5時(週休二日・一時間の休憩有・残業手当て有)。業務内容:接客・レジ・品出し・店舗掃除。募集人数:来る者拒まず。いくらでもどうぞ。※勤務時間・賃金等、ご要望があれば相談に応じます。By店主』  なるほど。確かに、アルバイト募集している模様。無理もない。それだけの人気店なら、人手はいくらあっても足りないだろう。条件は良いし、ひょっとしたら試作品や残った商品のお相伴にも与れるかもしれない。ウハウハではないか。あなた達が心の中で歓声を上げたその時。 「続いて、これを見てください」  ルミナスの声と同時に、部屋の灯りが落ちた。すると、入れ替わる様に灯った光が部屋の宙に映像を映し出した。見れば、ルミナスの手には一つの共鳴魔法石(ウーツル)。それに映る光景を、魔法の応用で空間に転写しているのだろう。中々に高度な技術。流石、先生。  けれど、そんな事は些細な問題。皆の視線は宙に浮かんだ映像に注がれている。  何と言うか、形容に困る映像だった。  場所は、学園の保健室だろうか。そこに並んだ、六つのベッド。場所柄、そこには当然病んだ生徒達が横たわっているのだが……。  何か、様子が変だった。  彼らは、痛みに苦悶している訳でも、悪寒に震えている訳でもなかった。彼らは、笑っていた。その顔に、蕩けそうな笑顔を浮かべて、陸揚げされた烏賊の様にベッドの上で伸びていた。  何て言うか、見るからにヤバイ。  絶句しているあなた達に、ルミナスは言う。 「これは、現在街で多発している症例です。ありとあらゆる気力を失い、見ての通り腑抜けになって日がな一日ゴロゴロしています」  いや。これ、そんな悠長な表現じゃ収まらない気がするんですが。 「そして調査の結果、この生徒達が皆、例のワンダー・キャンディーのケーキを複数回に渡って購入している事が分かりました」  エェエエ!?  そんな得体の知れないもの、食べさせられたの!? 仰け反る、あなた達。しかし、ルミナスは平然と続ける。元来がクールな方なのだ。 「どうも、このケーキが原因である事は確かなのですが、それ以上の事が分かりません。まさか、美味しいという理由だけで営業停止にする訳にも行きませんし。そこで、あなた達に白羽の矢が立ちました」  あ、何か嫌な予感してきた。引きつるあなた達に、ルミナスは告げる。 「潜入捜査です。アルバイトとして店に入り込み、色々と探ってきてください。店主が何者かとか、お菓子がどの様な手法によって作られているかなど」  あの、ちょっと? 「心配はありません。官憲との連携は出来ています。と言うか、頼んできたのあっちですから。多少の無茶はもみ消せます」  いやいや、ちょっと待って。 「早く行かなければ、応募が締め切られてしまいます。人数に明確な限りはありませんが、向こうの気分次第と言う事も有り得ますので」  待って。せめて、選択の余地をちょうだい。お願いだから。 「よしんばバレたとしても、せいぜいケーキ漬けにされて脱魂するだけです。問題ありません」  いや、十分怖いんだけど。それ。 「ちなみに、得たアルバイト代は全て皆さんのものです。代価は十分ですね」  ……あ。そう言えばこの人、黒幕・暗躍コースの担任だったっけ……。 「説明は終わりです。それでは、皆さんの健闘を願います」  言葉の結びと共に、ルミナスがパチンと指を鳴らす。途端、辺りの光景がジジッと歪む。転送魔法石(トーブ)を利用した、移動魔法。前もって、仕掛けていたらしい。しまった。図られた。後悔しても、後の祭り。 「はい。いってらっしゃい」  声と共に、切り替わる光景。気づくと、あなた達は『そこ』に立っていた。  ワイワイと賑やかな街の中。目の前には、延々と並ぶ長蛇の列。その先に立つ、小さな店。それが、菓子店『ワンダー・キャンディー』。  行列を避けて、裏口に向かう。小さな扉。そこから漂ってくる、より濃密な香り。頭が、クラリとする。フルフルと頭を振って、扉に向かう。  ノックを数回。 「鍵はかかってませんよ。おいでなさい」  招く声。ドアノブに、手をかける。さてさて、どうなる事やら。  そして、あなた達はドアを開けた。  お菓子を飾ろう トテトテトテ。  小麦粉振るって トテトテトテ。  黄色い木いちご トテトテトテ。  真っ白メレンゲ トテトテトテ。  甘くてふんわり お菓子が歌う。  ほんわり甘ぁい お菓子が笑う。  さぁささぁさぁ おいでなさい。
かき氷を求めて 根来言 GM

ジャンル 冒険

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-07-12

予約期間 開始 2019-07-13 00:00
締切 2019-07-14 23:59

出発日 2019-07-18

完成予定 2019-07-28

参加人数 2 / 8
 冷たい料理はすべて売り切れ、涼しい風の届く席は目には見えないものの、毎日小さな取り合いが繰り広げられていた。 「やはり、か……ま、そうなるわなぁ!」  あっはっはと暑さに参っている生徒たちを、さも可笑しそうに指さして笑う。そんな女性が1人。  彼女の名前は【ベル・フリズン】。大きな尻尾を持つ、リスのルネサンスであり、食堂の料理人の1人である。  食堂にいる生徒たちを、まるであざ笑うかの言動や仕草をするベル。そんな彼女へと向けられる視線は2種類あった。  1つは、怒り。そんなに自分たちの姿が愉快かと、苛立つ者たち。  しかし、その一方。もう1つの視線は、なにやら期待に満ちた眼差しであった。  決して、後者のうち全てが、特殊な性癖を持つ者たちというわけではない。  そこに付け加えるならば、後者は全て上級生、前者は全てが下級生たちのものである。 「君たちも参る頃合いだろうと思ってね! そろそろこれの出番だろう? よいしょっと」  ニヤリと笑う彼女は、大きな布に覆われたものを食堂の机の上に置いた。 「じゃぁぁーん! 君たち! よくぞここまで、この暑さに耐えてくれた! ご褒美の解禁といこうじゃないか!」  ワザとらしく叫ぶと、一気に布を取る。   布の下、そこにあったものは、1台の機械であった。  機械は歪な形をしていた。  まず、4本の足場は、互いに支えあう様固定されていた。そんな足場の中心にはコップと呼ぶには些か大きい器。頭部……のような場所に置かれているのは穴の開いた皿。そして、一番奇妙な部位は、生徒たちから見て右側のみに付けられた、巨大なハンドルだろう。  『かき氷機』。それが、この魔法道具の名前である。 「さて、君たち。かき氷が食べたいかー!」  煽るような声に、上級生たちは『うおぉぉぉぉ!』と、一斉に立ち上がる。  彼らは知っている。ベルのかき氷のおいしさを。  確かに、食べようと思えばかき氷を食べることができる場所はいくつも思いつくことだろう。  ただのかき氷と同じように思ってはいけない。  氷を削っただけの手抜き料理かと思われるかもしれない。しかし、ただの氷ではないことは上級生たちの反応を見ればすぐに察することができるだろう。  一度食べたものは、皆同じように『綿のように軽く、雲のようにふわふわ』で、他のかき氷が食べられなくなると語る程のものであった。  自信にあふれたベルの姿、そして歓声を上げる上級生たちの姿を見て、興味を抱く下級生たち。 「ふんふん」  生徒たちの反応を見て、『じゃぁ』と、ベルは続けた。  場所は変わり、学園が管理する施設のひとつ。小さな洞窟の前に君たち、そしてベルが集まっていた。  屋外は生暖かい風と共に降り注ぐ日差しが眩しい。本日はまさしく、嫌気を覚えるほどの『お天気日和』であった。  しかし、その日差しを浴びてもなお、今の君たちは汗一つかかないほど心地よい気温だと感じることができるだろう。  心地よさの正体は、この施設にある。洞窟の入り口からはよく冷えた風が吹き出ており、君たちの肌を撫でていく。  ベルは改めて今回の目的を君たちへ告げる。 「今回君たちに頼みたいのは『美味しい氷』の運搬だ。夏場でも涼しい洞窟に、冬の間泉から取った氷を沢山、この中に保存しているんだ。中は当然ながら涼しい、寒いくらいに。だからと言って、火を使うなよ? 氷が溶けてしまうからな」  コンコン。洞窟の入り口にある看板を叩く。そこには『氷保存中のため火器、また火を扱う魔法の使用を禁ずる』と、達筆な文字で書かれていた。 「一番涼しい場所……最奥に氷を積んでいるんだけども。道中なかなか危険な場所もあってね、地面が凍っていて滑りやすい場所がいくつかあるんだ。あ、あとツララとかもあるから、上にも下にも気を付けてね。……うん、まぁ、いろいろ言ったが、一番は君たちが元気でいることだ。厳しいと判断したらすぐ帰ってきたまえ」  持ち物、体調の確認を一通り済ませた後にベルは『まぁ、君たちなら大丈夫だとは思うけど』と、一言付け加えた。 「出来るだけ多く持ってきてくれたらうれしいな。あと、シロップを用意しておくから、欲しい味を言いたまえ。君たちにこの夏最初の、最高のかき氷をプレゼントしよう」
ドラゴン輸送任務 秀典 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 少し

公開日 2019-07-09

予約期間 開始 2019-07-10 00:00
締切 2019-07-11 23:59

出発日 2019-07-17

完成予定 2019-07-27

参加人数 4 / 8
 フトゥールム・スクエアから南、大陸を分断する大きな川を渡る橋の手前にあるのが、シュターニャの町だ。  人口約六千人と、あまり多くの人はいないが、屈強な傭兵が集まる商売の町である。  四季を通じて過ごしやすく、川から吹く風が気持ちがいい場所だった。  ただ、この町にも一つ、大問題と呼べる欠点が存在する。  十数年に一度起こる洪水被害だろう。  この町に住んでいる大人ならば、一度は経験をしているはずだ。  激しく雨が降り続いた時、それが起こると言われているが、今回それが起こりそうな雰囲気があった。  あまり雨が降らないこの町で、シトシトと降り続く雨が今日で七日。  川の水量としてもかなり上がっていて、決壊も時間の問題だと思われていた。  それでも町に悲壮感はない。  町に居る殆どの者が、手慣れた様に水没を防ぐ工夫をして、水没が起こるのを警戒している  じつのところ、水による被害は殆どないのだが、その後起こる被害が想像を絶するのだ。  水が引いた後には、生きた魚が大量に跳ね回るのは毎回のことで、店を休んだ分を取り戻そうと、総出で鳥漁るのが風習となっている。  商魂たくましい商人の町らしいのだが、魚以外にも色々と変な物が流れて来たり、水生の魔物とかも打ち上げられたりするのだ。  町に落ちている魚を拾おうとして、魔物に襲われることがしばしば……いや、頻繁に起こってしまう。  だから今回も、フトゥールム・スクエアへの応援要請は届けられていた。  出没予測がされた魔物は五体。  一体目は、デビルフィッシャー。  大きさは人の倍ほどの大きさで、水場では偶に人を襲ったりする。  殆どが誤食であり、咬まれたら相当痛いが死ぬことはない。  ただ、水が引いてからはその場で跳びはねるだけで、パクパクと口を動かした時に人を咬み付く程度である。  二体目は、ワニッコゲーター。  見た目は完全にワニで、人の大人の半分ほどの大きさだ。  あまり大きくはないが、水陸ともに動ける。  陸地でも人並の素早さで動き、積極的に咬み付きにくるようだ。  ワニと言えばデスロールだが、弾丸のように回転して跳び出すデスデスロールは噛みつかれると物凄く痛い。  三体目は、ハイパーウナ吉。  ヌメヌメした極太のウナギで、体長は二メートルほどである。  攻撃力は皆無に近いが、人の服の中にヌメっと入ることで有名だ。  その為、女性から敵視されて、積極的に斬り付けられる。  案外男からは人気があるが、女性の手助けをせずに放って置くと、後で女性からぶん殴られるのは確定だ。  その身は絶品であり、タレで焼くかば焼きは人気である。  四体目は、何故か水が引いた後に現れる、パンツだけを履いたローレライの人型お爺さん。  名前を【ウンディア・ウィンディ】さん三百歳オーバー。  仰向けで寝てパンツを見せびらかして来るので、見つけたら川に叩き返してあげましょう。  『ハイパースプラーシュー』とか言って、水鉄砲を噴射する。  一応魔物ではないが、この日のみは魔物として扱われる迷惑な人だ。  かなり頑丈なので、手荒く対応しても平気である。  水鉄砲なのに案外痛い。  五体目は、流木マッソー。  ハッキリ言って流木である。  流木であるが町中を動き回り、歩行の邪魔をしてきたりする。  痛くはないが、背中を押されると転んでしまう可能性があったりなかったりする。  極稀に、男の子が背中を押されて女の子とぶつかり、そのままゴールインしたなんて話もあった。  その伝説を信じて、背中を押されるのを待っている独身女性が多く集まったりもするが、邪魔なので排除推奨である。  ちなみに、押される女性を待つ男性というのも結構居たりもする。  そして今回の護衛対象で、護るべき原生生物が、『水竜神』と呼ばれる水竜だ。  青色の鱗がとても綺麗で、落ちた物はお守りとして売られたりもする。  建物より巨大だが、この町でもわりと崇められる竜型生物だ。  普段は大人しく、川の中に生息して恐ろしい魔物とかを食っている。  町の守り神として崇められている為に、退治したら怒られてしまう。  普通に大人しいが、攻撃されると怒りだして止められなくなる。  全滅確定するのでやめておこう。  他の魔物に攻撃されないように注意も必要で、周りには充分注意を払わなくてはならない。  傭兵達も町の健全化に向けて仕事を続けているため、手が足りない状況だ。  魚を拾う町の人を避け、流木マッソーの前に立ち塞がる女性陣を躱し、攫い襲い掛かって来る魔物を切り抜け、何故か現れるおかしな奴等を退治して進まなければならない。  このカオスな状況を切り抜ける為、フトゥールム・スクエアで募集が開始された。
動物(を)セラピー 瀧音 静 GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-07-11

予約期間 開始 2019-07-12 00:00
締切 2019-07-13 23:59

出発日 2019-07-18

完成予定 2019-07-28

参加人数 2 / 8
 その日、動物たちは思い出した。  ――自分たちという存在が、弱肉強食のこの摂理の中で、『弱』に当たるということを。 【アニパーク】内に現れた数人の生徒を追って入ってきた圧倒的捕食者によって……。  * 「ひぃぃっ!! 『奴』だ!! 『奴』が出たぞ~!!」 「クソがっ!! 学園の卒業生は化け物かっ!?」  アニパーク内の全動物たち、並びに入退場をする生徒達を確認するための遠見の魔法が置かれた部屋で、アニパークの職員達は送られている映像を見て、戦々恐々の声をあげる。  水晶に映っているのは、つい先日『フトゥールム・スクエア』の課程を修了し、職員となった一人の教員――茶色の毛の狼のルネサンス……【コルネ・ワルフルド】の姿があった。  しかし、瞳は虚ろ、どこかゆらゆらと不安定な足取りながら大地を踏みしめて歩く様は異形と言われても仕方がないもので。  何やら負のオーラらしき物を背負っているような錯覚を覚える位には、気迫に満ちあふれていた。  蒸気のように吐かれる息は、果たして何を求めて吐き出されたものか。 「一体、『奴』の目的は何だ!!? 何か変わった事はあったか!?」  パニックになりかけながら、何か彼女を刺激した物が無いか情報を得ようと怒鳴った職員に、絶望を突きつけたのは別の職員。 「ほ、本日はセールを行われていたので、動物たちの餌に……と、干しぶどうを――」 「馬鹿野郎!! ソイツが原因だ!! マニュアルにでかでかと書いてあっただろうが!!」  どうやら安かったから、と干しぶどうを買い占めていたらしく、結果はアニパークへと入ってきたコルネを見ての通り。  分厚いマニュアルを引っ張り出し、愚を犯した職員へとページを開いて突きつける職員。 「見ろ!! こんなにでかでかと一ページ丸々使って『干しぶどうは買い占めるほど買わないこと』と書いてあるだろうが!! ――しかも二ページ置きに!!」 「むしろそのせいでフリかと思ったんですが――」 「最重要案件だからに決まっているだろうが!! 大体このマニュアル作ったの学園長だぞ!? あの人の考えなんか分かるもんかよ!!」  職員達が言い合っている中、水晶から悲痛な動物たちの叫びが聞こえてきた。 「マザータイガーが片手で止められ、放り投げられました!!」 「砂漠サイの角が手刀にて切断されました!!」 「七色キリンが頭突き合戦で敗れ、脳しんとうに!?」  報告される内容は阿鼻叫喚そのもので、もはや職員達の手に負えるものでは無かった。 「しょうが無い……学園長を呼ぶぞ」  断腸の思いを乗せた職員の宣言に、全員が覚悟を決めて唾を飲み込む。  直後、緊急サイレンがアニパーク内から鳴り響き――――。  ゴヅンッ!!  という音を立て、建物の天井を貫通して飛来した学園長は、 「全くー。マニュアルにも書いてあるのに干しぶどうを買い占めちゃダメだぞっ☆ 後でオレ様考案のお仕置きなっ☆」  語尾の通りに眩しい笑顔を職員に振りまいて、口から出した言葉で職員を絶望させた後……、 「ほらほらコルネた~ん? ちょっと運動の時間だぞっ♪」  振り返り、正気を失い狂ぶどう化したコルネへと笑顔を向けるのだった。  * 「以上が残っている過去の映像よ」  映像を映し出していた水晶への魔力供給を止め、【ユリ・ネオネ】は集まった生徒達へと声を掛ける。  学園にある学園長管理の特殊資料と前置きされ、見せられたのはどう考えても悪鬼修羅の存在で、あれをどうにかしなくてはいけないのか、と生徒達が身構える中――、 「今回はアニパークからの依頼でね。フラッシュバックでもしたのか、何体かの動物たちが怯えて食事すら取らない程らしいのよ。そ・こ・で、動物たちを扱い、手なずける練習も兼ねて生徒達に何とかして欲しいって」  全員が揃って胸を撫で下ろす中、 「はいはい、コルネ先生を相手にしなくていいと分かったからって気を抜かない。コルネ先生がおかしいだけで、アニパークの動物たちも結構危険なんだからね?」  忠告とも取れる事を口にするユリ。 「ま、動物セラピーって言うか、動物たち『を』セラピーする授業って事で間違い無いわ。それじゃあ、どの動物のセラピーをするか決めるわよ。好きな子を選んで頂戴」  こうして、『ナニか』に怯えた動物たちを、正常に戻すための授業が幕を開けるのだった。
オミノ・ヴルカで宝探し 鞠りん GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-07-02

予約期間 開始 2019-07-03 00:00
締切 2019-07-04 23:59

出発日 2019-07-10

完成予定 2019-07-20

参加人数 3 / 8
●  今日の授業は【スケール・レイフ】先生の鉱物学……なのだが、話は少々違うよう。 「――であるからして、オミノ・ヴルカ火山で活動する場合は、ワイバーンの襲撃に備え、灼熱を治す薬草作りが必要不可欠。これから薬草の作り方を教えよう」  なぜ、こんな話になったかと言うと。  オミノ・ヴルカ火山に住む、『フレイム・ゴート(火山羊)』が、年に1度だけ落とすフレイムホーン(角)を採取するという、課外授業の話から始まった。  フレイム・ゴート自体は怖い動物ではない。だが名前の通り火属性で、体が炎で被われているのが厄介と言ったらいいのか。  だからこそ、生え代わりの為に抜ける角を狙って、フレイムホーンが冷えてから採取するのが一般的である。 「オミノ・ヴルカ火山に到着する前に僅かながら草原があり、そこで必要な薬草を調達し、すり潰して灼熱でやけど状態になった場所に塗る」  スケールの説明の最中、学生の1人が手を上げて質問する。 「先生ー  どんな場所にでも効果があるんですかぁ?」 「ああ、ワイバーン程度の灼熱ならば、どの種族、どの場所に塗っても、冷却効果を発揮し数分絶たずに、やけどの痛みは消えるだろう。便利なものだろう? 火山に入る前に、必ず作っておくように、以上!」 (必要なことは教えたが、ワイバーンに遭遇するのは確率論。遭遇しないことを祈ろう)  授業は終わりと、スケールは教室を出はしたが、明日から始まるオミノ・ヴルカでの課外授業が気がかりでならない。  毎年この課外授業を出し、数名は怪我をして帰って来る。それはワイバーンの灼熱だけではなく、まだ冷めてもいないフレイムホーンに触れてしまった為も多い。  だからこそ、鉱物学とは関係のない、やけど用の薬草の作り方を毎年教えているのだが、今年は怪我なく帰って来るのだろうか? それを心配するスケールであった。 ●  次の日は、朝早くからグリフォン便に乗ってトルミンまで行き、そこからオミノ・ヴルカ火山手前まではホウキで移動。  スケールに言われた、火山手前の小さな草原から、君たちの冒険は始まるのだ。  スケールは『事前に薬草』と言ったが、腕に覚えのある学生は、薬草など作らずに、そのままオミノ・ヴルカへと足を踏み入れ。慎重な学生は、薬草の他にも道具を作り、オミノ・ヴルカへと入ってゆく。  君たちはどちらを選択する?  ワイバーンを警戒しながらも、フレイムホーンを探す学生たち。  フレイム・ゴートは、そこまで繁殖をしている動物ではない。オミノ・ヴルカの過酷な自然の中で、生存競争に生き残らなければならないからだ。  結果、この地域で確認されている数は100~200匹ほど。  更にフレイムホーンは雄しか生えず、ある程度の時期はあるものの、いつ抜け落ちるかも分からないので、学生たちは山を歩きながら探すしか手はない。  もし見つけても、すぐに触ろうとはせず、少しだけ手を近づけ、熱いか冷めているかを確認し、冷めていれば採取成功……と、ここまではいい。  問題なのはワイバーンだ。  古龍属の特性を真似て作られた魔物で、空を飛びながら獲物を探す。  もし見つかれば、急降下をして襲って来るだろう。ワイバーンは交戦好きな生物だから。 「あ、あああー!?」  そんな話をしていれば、早速ワイバーンの急襲を受けた学生の悲鳴が聞こえて来た。  君たちは大丈夫なのか?  ワイバーンは沢山いるぞ。  無事生還することに期待する。
それぞれのやり方 るう GM

ジャンル シリアス

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-07-02

予約期間 開始 2019-07-03 00:00
締切 2019-07-04 23:59

出発日 2019-07-13

完成予定 2019-07-23

参加人数 8 / 8
 麓に八色の街『トロメイア』を擁することで知られるアルマレス山から少し離れた場所に、辺りの人々がマイター谷と呼ぶ自然豊かな谷がある。  そんなマイター谷の奥に位置する『上(かみ)マイター村』は、けれどもその日、騒然となった。近頃マイター谷の界隈を荒らし回っている盗賊団がこの村を目指しているらしいという情報を、近隣から逃げてきた村人から伝え聞いたのだ。 「なんでまたこんな辺鄙な村を!」 「どこかから、俺たちの村の山羊は質がいいって聞きつけたらしいぞ!」  それが誇らしくないわけじゃない。けれどもいくら誇らしいからといえ、盗賊なんぞに大切な山羊を、財産を、人命をくれてやりたいはずもない。  上マイター村の住民が奮い立ったのは、盗賊らが村の誇りを知った上で貶めんとするからなのだ。本来ならば彼らは逃げ隠れすべきところだったかもしれないが、蹂躙する者たちに屈したくない思いが先に出る……盗賊ごとき、何するものぞ。こちらには子供の頃から山羊を追い、岩場や尾根を駆けながら育んできた体力がある。  ……とはいえ、さしもの彼らも盗賊どもを無傷で蹴散らすまでの自信はなかったので、フトゥールム・スクエアに増援を頼んだ次第なのだった。  さて……君たちの目的は『盗賊の撃退』である。しかし、方法がひとつだけとは限らない……君たちも知ってのとおり、フトゥールム・スクエアには多数の専攻があり、そのどれもが上マイター村を救うのに役立つだろう。  村人たちを鼓舞して戦意を高揚させる役。逆に盗賊たちの士気を下げるため、罠や奇襲などを活用する役。  救護や陣頭指揮も村人たちの役に立つだろうし──もちろん、盗賊の頭目【ギュスターヴ】を討ち取るための力も必要だ。  だから、上マイター村の人々が彼らのやり方で盗賊たちに立ち向かうように、君たちにも君たちのやり方で戦ってほしい。  このフトゥールム・スクエアに入学するまでの間、そして入学してから今まで学んだことがあれば、君には、君らしく戦い、そして勝利を手にすることができるに違いない。
【夏コレ!】大海原のパンツ 水無 GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-06-26

予約期間 開始 2019-06-27 00:00
締切 2019-06-28 23:59

出発日 2019-07-04

完成予定 2019-07-14

参加人数 6 / 8
 夏だ!  海だ!  浜辺の美女とランデブーだ!  ――というわけで、今年もサビア・ビーチの賑わう季節がやってきた。  今年こそ小麦色に焼けた健康水着美女をゲットすべく、来る日も来る日もバイトと筋トレに明け暮れ、ついにオレは理想の身体と、すこしばかり遊べるほどの財力を手に入れた。あとはこの肉体を浜辺で思う存分アピールすれば、健康水着美女たちはオレを放っておかないだろう……と思っていたんだけど、ここで困ったことが起きた。  オレ……カナヅチだったんだ……それも重度の……。  都会っ子のオレが水と触れ合う機会なんていったら、飲料水を飲む時と風呂に入る時ぐらいだったからな。  そう、オレはこの前、予行練習のつもりで入ったプールで溺れかけたんだ。それも幼児用の浅いやつで。必死になってバシャバシャと酸素を求めていたオレに、子どもたちの見下すような視線が容赦なく突き刺さった。  トラウマだった。  ついにオレはそれ以降、心身ともに水というものが嫌いになってしまった。……あれは一生忘れることはないだろう。今思い出しただけでもツラい。  そしてオレは諦めかけていた。  こんなにもマッシヴで、ゴージャスで、イケイケなオレが、じつは蓋を開けてみれば、ただの水嫌いな筋肉ダルマだと知れば、健康水着美女はどう思うだろうか。  わかりきっている。  失望され、嘲笑され、相手にすらされなくなるだろう。  そんなことになるくらいなら、旅に出よう。  いっそこのまま、大自然の中に消えてしまおう。  そう思い、オレは旅用品を買いに装備屋へ行ったのだが、そこでとあるパンツの存在を知った。  それが『大海原のパンツ』。  その海パンを穿いたものは、10分だけという制限はあるものの、その間、水の加護を受け、陸と同じように水中でも動けるのだという。  10分あれば十分だ。  オレは早速その海パンについて調べ始めた。そしてそれは、案外、すんなりと見つけることが出来た……というのも、その装備屋で取り扱っていた。 「オヤジ、この店で一番いいパンツを頼む」  オレはニヒルな笑みを浮かべると、装備屋の精算カウンターに財布をどん、と乗っけた。すると、装備屋のオヤジは、これでもかというほどの営業スマイルを浮かべると『すみません。現在素材不足で取り扱っておりません』とだけ答えた。  あまりにも普通に返されたのでオレも『え、素材不足ですか? ぼく、どうしても大海原のパンツが欲しいんですけど、どうにかなりませんか?』と食い下がってしまった。  しかし、そんなオレの熱意にとうとう膝を屈したのか、オヤジはある情報をオレにくれた。 「どうにもならない……と、言うわけではないのですが、ひとつだけ手段はございます」 「それは一体……?」 「弊社の大海原のパンツですが、製造工程に特殊な素材を使用しているのですが、それが現在枯渇しておりまして、その素材を持ってきていただければ、弊社でもなんとかご用意することが出来ます」 「……話はわかりました。それはなんとかぼくのほうで用意します。それで、その素材というのは……?」 「『フラッシャーの鱗』でございます」  ――と、いうワケで諸君らにはあの、獰猛で好戦的な空を飛ぶ鮫『フラッシャー』の『鱗』を調達してきてもらいたい。  海パンの素材には一匹いれば十分とのことなので、そこまで難しくはないと思う。たぶん。  見事、かのフラッシャーを討伐できたものには、オレのバイトで貯めた『浜辺でランデブー貯蓄』から切り崩したものを報酬として贈ろうと思う。  健闘を祈る。
【夏コレ!】ローレライの宴 宇波 GM

ジャンル イベント

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 少し

公開日 2019-06-26

予約期間 開始 2019-06-27 00:00
締切 2019-06-28 23:59

出発日 2019-07-04

完成予定 2019-07-14

参加人数 8 / 8
 ゆらりゆらり。  さざめく小波ははるか頭上。  昼は潮流が波を作り、いっそ清々しいほど爽やかな青が広がるこの海も、夜の時分。  暗く、夜の闇ほど黒い海の中も、照らす光は青かった。 「うわぁ、綺麗……!」  感嘆のため息を吐くのは、『フトゥールム・スクエア』の一生徒。  その体は、水底の波に揺られてゆったり、ゆったりと揺れる。  水底の砂は、月の光を受けて白く揺らめく。  波にきらきらと浮かぶ、星の数ほどと見紛うランタンは、まるで風船のように浮かび上がる。 「すごいでしょ。あのランタンは、夜光虫を逃げないように閉じ込めてあるの。海の中だからできることよね」  得意げに笑う女性――名前を【ヒュドール】と名乗った――は、海と同化しそうなほど透明感のある体を得意げに振り向かせる。 「ここの海はよく魔物が出没するけれど。私たちにそんなことは関係ないもの」  きょろきょろと物珍しそうに見渡す生徒たち。  空気を閉じ込めた不思議な泡を頭に被り、水中でも容易に息をしている、彼ら。  彼らの空気泡は、今回留守番中の【アキ・リムレット】が作ったもの。  ぽこり吐いた空気は泡となり、水面の飛沫へ消えていく。 「ヒュドールさん、今回はお招きいただき、ありがとうございます」  代表してひとりがちょこんと頭を下げると、ヒュドールは笑いながら手を横に振る。 「いいのいいの。ひとりで行くのも、寂しいじゃない? 旅は道連れ、ってことで」 「いえ、こんなに貴重な体験をさせていただけるのに、お礼を言わないのは失礼に当たります」 「何言ってるの、私たちにとってはある意味日常だから、そこまで貴重でもないわよ」  お礼の言葉を躱し、ヒュドールが目を向けた先。  どんちゃどんちゃと賑やかな、色とりどりの灯りが一行を出迎える。 「ようこそ、ローレライの宴へ!」
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