;
はいはーい! 今日の課題はここで確認してね~……って、こらー!
言うことちゃんときけ~! がおーっ!
コルネ・ワルフルド



絞込
ジャンル 難易度 GM メモピン
キーワード検索

暗号……解いてほしいなぁ くそざこあざらし GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-02-11

予約期間 開始 2019-02-12 00:00
締切 2019-02-13 23:59

出発日 2019-02-19

完成予定 2019-03-01

参加人数 7 / 8
 新入生諸君。  これは諸君らより少しばかり早く、この摩訶不思議な学園に足を踏み入れた私達からの挑戦状である。  ※追記。と見せかけた『部活紹介』だから気軽に参加してね!  ヒドロエルカリアの名の下に、満月が照らす夜、私達は「3→3」「7→3」「8←6」「1←3」「2→4」にて君達を待つ。  言うまでもないかもしれないが、上記は暗号である。  繰り返すが、これは諸君らへの挑戦状である。当然ながら、ヒントなど存在しない。  ※追記。ヒントだけど、数字の組み合わせが文字になってるよ! 「マ」は「1→4」か「6→3」。「ス」は「5→5」か「5←1」。「カ」は「6←3」みたいな感じで!  私達は諸君らを見ている。諸君らが明確な理由を持って『答え』に足を踏み入れれば、私達は諸君らの前に現れるだろう。  そして見事、現れた私達を打ち倒すことが出来れば、私達は諸君らに報酬を与えるつもりだ。  ※追記。参加してくれた新入生のみんなには、ちょっとだけ報酬をあげちゃうよ! だからぜったい! 参加してね!  私達は3名。剣を得意とする私。弓を得意とするヒューマン。そして、水の魔法を得意とするローレライだ。私達と諸君らのどちらか、最後まで立っていた方が勝者となる。  ※追記。職員室に行って『暗号クラブのイベントに参加します』って言ってくれれば、怪我をしないやわらかい武器と、紙風船の付いた帽子を貸してもらえるから、それを持って来てね! その紙風船の帽子を被って戦って、自分の紙風船を割られる前に、相手の……私達の紙風船を割れば勝ちだよ!  それでは、諸君らの健闘を祈る。  《主催》暗号クラブ  《作成》暗号クラブ部長:【クロス・ワード】  《校正・校閲》暗号クラブ:【セキュア・カルティエ】
オーロラを見に行こう!! GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2019-02-05

予約期間 開始 2019-02-06 00:00
締切 2019-02-07 23:59

出発日 2019-02-13

完成予定 2019-02-23

参加人数 8 / 8
 魔法学園フトゥールム・スクエアに入学することになった君達は、同じ新入生である他の学生たちと親睦を深めるため、綺麗なオーロラが見えるというとあるコテージへと合宿に来ていた。 「うぅ~~、寒い……。死にそう……。もう帰りたい……」 「なんでこういう時に限ってこんなに寒いのかしらね。外の冷気が部屋の中まで入ってきて、ものすごく寒いのだけど」 「全くもう、だらしないよ~? 新入生たち。これぐらいの寒さで弱音を吐いてちゃこれからやっていけないよ♪ これからもっともっと寒くなるんだから、がまんがまん♪」  食後の運動として腕のストレッチをしている彼女は、この合宿に引率者として同行している武神・無双コースの【コルネ・ワルフルド】先生。  幼い頃からこの学園にいるコルネ先生の話によると、この時期に雪が吹雪いているのはよくあることのようで、寒いときにはマイナス15度を下回ることもあるらしい。  それと比べたら今日は雪も降っていないしまだ暖かい方なのかもしれないが、コルネ先生のようにもふもふの尻尾を持っていない私たちにとって氷点下の寒さというのはとても厳しい寒さだった。 「さてと。お夕飯も食べ終わったことだし、簡単に今からの流れについて説明するね♪  えっと今は夜の10時だから……、だいたい1時間か2時間ぐらいかな。今日はお外も寒いし、綺麗なオーロラが見えるはずだよ♪ 運がよかったら流星群も見れるかもしれないね」 「えっ、ここって流星群も見られるんですか? オーロラだけかと思ってました」 「確かにオーロラもよく見えるけど、この天気ならたぶん流星群も見れると思うよ。まっ、オーロラも流星群も見れるかはどうかは運次第なんだけどね~~。じゃ、なにかあったら呼んでね。私は部屋でゆっくりしてるから」 「えっ、コルネ先生はオーロラ見ないんですか? せっかくだし一緒に見ましょうよ」 「んー、私は遠慮しとくよ。今日はきみたち新入生の親睦を深めることが目的なんだし、私がいたら邪魔になっちゃうだろうしね。部屋で干しぶどうでも食べながらゆっくりしてるよ。それじゃあね~♪」  夕食のときにも食後のデザートと言って干しぶどうを食べていたような気がするが、どうやらあれぐらいの量ではもの足りなかったらしい。さすが干しぶどうは飲み物だと豪語するだけのことはある。  コルネ先生はふさふさの尻尾を左右へと揺らしながら階段を上っていき、自分の部屋へと帰ってしまった。 「コルネ先生とも色々とお話ししてみたかったんだけど、それはまた今度になりそうだね。ちょっと残念かも」 「まぁこれから学園でお世話になる先生なんだし、またいつか話す機会があるでしょ。さっ、オーロラが出るまでまだ時間はあるだろうし、なにから始めていこうか」
”ヤツ”を追え! 土斑猫 GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 少し

公開日 2019-02-05

予約期間 開始 2019-02-06 00:00
締切 2019-02-07 23:59

出発日 2019-02-14

完成予定 2019-02-24

参加人数 8 / 8
「頼むよ! 何とか手を貸しておくれ!」  地面に深々と平伏して願う級友に、あなた達は大きな溜息をついた。  ここは、『魔法学園フトゥールム・スクエア』。そこの一角で、ちょっとした騒動が起ころうとしていた。  事の起こりは、数刻前まで遡る。  この学園の生徒、【アルフィー・アバネシ―】は、とある施設のバックヤードを一人歩いていた。  フトゥールム・スクエアには様々な施設がある。生物園、『アニパーク』もその中の一つだった。件の施設、簡単に言うと動物園。凶暴性の少ない様々な生物を飼育・展示していて、その役目を『生物委員会』の学生達が請け負っている。アルフィーは、その生物委員会のメンバー。生来の生き物好きである彼にとっては天職に等しい役目であり、毎日充実した日々を送っていた。  しかし、多くを得ると、さらに多くを欲してしまうのは人の性。実は、彼には一つの秘密があった。とてもとても、いけない秘密が。それは、生物好きの彼にとってはまさに禁断の果実。その果実との蜜月の時を夢想して、アルフィーは一人ほくそ笑んでいた。  向かう先は、飼育用の器具が収納される準備室。  彼がニタニタしながら部屋のドアを開けようとした、その時――  バターン!  突然中からドアが開き、アルフィーの顔面を強打した。 「ギャフッ!」  ひっくり返る彼の視界に、部室から飛び出してくる何者かの姿が映る。  パタパタと羽ばたく玉虫色の羽根に、小さな身体。  『エリアル』。それも、フェアリータイプ。  知った顔だった。同級生の【チェリー・エイベル】。校内でも名の知れた悪戯者である。 「ご、ごめんねー!」  チェリーは尻餅をついているアルフィーに向かって両手を合わせて謝ると、そのまま一目散に逃げて行った。  ああ、あの調子だと何処かで力尽きてひっくり返るな。などと呆けた頭で考えていたアルフィー。ハッと我に返り、青くなって飛び起きる。 「まさか!」  慌てて覗き込んだ部室。そこにあったのは、ロッカーから落ちてひっくり返った水槽と、窓ガラスに空いた大きな穴。  ロッカーの鍵を、かけ忘れていたのだ。  それを見つけたチェリーが、好奇心から開けてしまったのだろう。  窓ガラスの穴から吹き込む風の中、アルフィーは茫然と佇んでいた。 「……で、モノは何?」  あなた達に訊かれたアルフィーは、しばし躊躇った後、ボソリと呟く様に言った。 「……『タッツェルブルム』……」 「タ……タッツェルブルムゥ!」  ――「タッツェルブルム」――。原生生物の一種で、魔物の様な敵対的存在ではない。とは言うものの、気が荒くてすぐに噛みかかってくる。その上、牙には毒を持っていて、噛まれれば死にこそしないものの、一週間は麻痺してうなされる。そんな訳で世間では危険物扱いされている生物だ。  別段校則などで飼育が禁止されている訳ではないが、流石に危険生物をペットにしてたとなると体裁が悪い。と言うか、間違って誰かが噛まれたりしたら非常にまずい。 「お前なぁ……。いくら生き物好きだからって……」 「頼むよぉ! 誰かが噛まれたりしたら、流石に『プリズン・スクエア』送りになっちゃう! 目玉焼きにソイソースしかかける事を許されない生活なんて、耐えられない! 被害が出る前に、一緒に探しておくれよ!」  そう嘆いてもう一度地面にオデコを擦り付ける、アルフィー。  あなた達がやれやれと、二度(にたび)の溜息を吐いた時―― 「キャアアアアアアアッ!」  青天の下に響き渡る、絹を裂く様な女性の悲鳴。 「…………」  場の皆が、ギギギギッと首を巡らす。  向けた視線の先にあったのは―― 「……にゅふふふふ。なるほどなるほど~。あのタッツェルブルム、『リリー・ミーツ・ローズ』に逃げ込んだか~」  妙に楽しげな声が、部屋の中に響いた。  そこに立っていたのは、いかにも魔法使いと言った格好をした(見た目は)若い女性。彼女は部屋の中心で、ニヤニヤしながら何やら覗き込んでいる。見れば、それは大きな水晶を思わせる透明な球体。それを見つめ、女性はうむうむと頷く。 「タッツェルブルムは土属性の生き物だからな~。土の肥えたそこでは、なかなかに手強いぞ~。さてさて、どうする~? 生徒諸君」  光る玉を愛しげに撫でながら、彼女は言う。 「いい機会だ。これは課題扱いにしよう。上手く捌けば、評価してあげる。だからせいぜい、頑張りたまえ~」  共鳴魔法石(ウーツル)の大玉に映るあなた達の姿を眺めながら、フトゥールム・スクエア学園長、メメたんこと【メメ・メメル】は楽しそうにほくそ笑んだ。
魔法学園の歓迎会 留菜マナ GM

ジャンル 日常

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 通常

公開日 2019-02-02

予約期間 開始 2019-02-03 00:00
締切 2019-02-04 23:59

出発日 2019-02-10

完成予定 2019-02-20

参加人数 8 / 8
「おーい、そこの君!」  帰宅途中、見知らぬ女性が下校してきたあなたを視界に収めて歓喜の声を上げた。  ――先輩だろうか?  泡砂糖でできたお菓子のようにふわふわしたストロベリーブロンドの長い髪に、こぼれ落ちそうなほど大きな瞳はアクアマリンの輝きを放っていた。  そして、何やら大きなゾンビスライムのぬいぐるみを抱いている。 「俺、ですか?」 「そうそう」  驚きをそのまま口にしたあなたに、エリアル――エルフタイプの妖精族の女性は、人懐っこそうな笑みを浮かべて続ける。 「ねえねえ、新入生歓迎イベントに参加しない?」 「新入生歓迎イベント?」  妖精族の女性はそう言うとチラシを差し出してきた。  カラフルで可愛いらしいデザインのチラシを、あなたはじっと見つめる。  どうやら、これは学園都市『レゼント』の新入生歓迎イベントへの招待らしい。  確か、学園全体の歓迎会はこの間、行われたよな。  あなたは周囲の様子を見渡すと、意外そうに話を切り出した。 「あの、あなたは?」 「私? 【ミミル】って言うの。レゼントの新歓企画運営委員長だよ」  あなたの疑問に、ミミル先輩がにこやかに自己紹介する。 「そうなんですね。あの、確か、学園全体の歓迎会は行われたんじゃ……」 「むむっ。これはね、私が考え出した特別な新入生歓迎イベントなの」  あなたから指摘されると、ミミル先輩はそれまでの明るい笑顔から一転して頬をむっと膨らませた。  ゾンビスライムのぬいぐるみを抱きしめたまま、その場で屈みこみ、唇を尖らせるという子供っぽいミミル先輩の仕草に、あなたは困ったように頭を抱える。 「特別な新入生歓迎イベント?」 「そうそう。ゾンビぬいぐるみをコンプリートするための特別な――」 「コンプリート?」  思わぬ言葉を聞いたあなたは、ミミル先輩の顔を見下ろしたまま、瞬きをする。  その瞬間、咄嗟に立ち上がったミミル先輩が焦ったように両手をひらひらさせる。 「わわっ……今のなし! とにかく、新入生歓迎イベント、一緒に楽しまない?」 「まあ、特に予定はないですけれど」  両拳を前に出して言い募るミミル先輩の姿に、あなたはもはや諦めたように答えた。 「なら、決まりだね。よろしくー」 「は、はい。よろしくお願いします」  半ば押されるかたちで、あなたは新入生歓迎イベントに参加することになってしまったのだった。 「……ここか」  新入生歓迎イベントに招待されたあなたは、いろいろな施設が展開する学園都市を歩いていた。  ここは、学園施設に直結している居住区域『レゼント』。  学園が居住と商売を保証している特別区であり、いわゆる学園都市だった。 「おーい! こっちこっち!」 「はい」  招待してくれたミミル先輩に呼ばれて、あなたはカフェに入ると空いた席に腰をおろす。  授業が終わった放課後ともあって、かなりの人が入っており、店内は満席である。  ミミル先輩の話では、新入生歓迎イベントはニヶ所で行われており、訪れたい場所に行ってもいいという。  一つ目の場所、超大型商店『クイドクアム』では、様々な商品を売っているお店が多く並んでいる。  そして、ニつ目は――。 「クレーンゲームで、ゾンビぬいぐるみを取ってほしい?」 「うん」  あなたの言葉に、人差し指を立てたミミル先輩が弾んだ声で続ける。 「体験型レジャー施設『勇者の穴』にあるクレーンゲームで何度もチャレンジしているんだけど、なかなか取れないのよね」 「代わりに取ってほしい……と?」  答えないままじっと見つめてくるミミル先輩に、あなたは厄介事の気配を感じ取った。 「ゾンビぬいぐるみって、別に必要ないんじゃ……」 「お願い! あと少しで、全てのゾンビぬいぐるみをコンプリートできそうなの!」  だが、あっさりと告げられたあなたの言葉に対して、ミミル先輩は懇願するように手を合わせる。  さて、新入生歓迎イベントはどちらに行こうか――。
死闘?!ケルベロスのおひっこし へぼあざらし GM

ジャンル 戦闘

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 通常

公開日 2019-02-01

予約期間 開始 2019-02-02 00:00
締切 2019-02-03 23:59

出発日 2019-02-09

完成予定 2019-02-18

参加人数 8 / 8
 それは早朝の出来事だった。  学園の掲示板前に人だかりができて、生徒たちは掲示板を指差してざわついている。普段、こんなに人が注目するようなことは滅多にない。  この掲示板で通達される内容は、基本的に学園の生徒に対するアルバイトに関する内容だ。将来、勇者は各国からの要請を受けて課題をこなしていくことになる。つまりは事前の経験として、そのタマゴにあたる学園の生徒でも達成できる簡単な任務を、生徒は受注することができるのだ。  ただ、例外だってある。 「みなさんみなさん! なにとぞっ、なにとぞ参加をおねがいしますっ!」  そうやって、必死に声を張り上げるのは、見た目が明らかに十歳くらいにしか見えない子供のような教師、エリアル族(フェアリー)の【ラクス・アイラ】先生だった。誰が見てもこの人を教師だと思うのは難しいだろうが、エリアル族の伸長が小さいのは特徴のひとつなので仕方がないことだ。アイラ先生は玉虫色の透明な羽根をぱたぱたさせて、その場でぴょんぴょん跳ねながら、さらさらの暖色の髪の毛を揺らしている。かわいい。  一部のマニアックな生徒たちによって、ファンクラブが結成されているとかないとか。それはさておき、どうやらアイラ先生は早朝から掲示板の前に立って必死に呼びかけているらしい。道理で人だかりができる訳だ。しかしまた、先生が直々になって呼びかけを行うとは珍しい。 「一体、何があったんですか?」  ある生徒がアイラ先生に声を掛ける。 「よくぞ、きーてくれましたっ!」  するとアイラ先生は目をキラキラと輝かせてその生徒に食い入り、前のめりになった。 「あのですね、あのですね。結論から言いますとぉ……魔獣棟で管理している『魔獣ケルベロス』を、新しい檻へ移し替える作業を手伝って欲しいのですねぇ……へへ……」  話を聞いた生徒たちはぎょっとした。そしてアイラ先生は申し訳なさそうに視線を横に向けている。  『魔獣ケルベロス』。三つの頭を持ち、獰猛で、口からは猛毒を吐く。更には、元々は魔王のペットだったなんて噂もある。聞くからにヤバい奴なのだから、そんなものを目の当たりにすれば誰もがションベンをちびるであろう。  そしてそれを聞いた生徒が口を挟む。 「アイラ先生。そんなとんでもない化け物を生徒が取り扱って良いものなのでしょうか? 第一、それを管理する担当者がやる事では?」  全く以ってその通りだ。しかしアイラ先生はまた調子悪そうに、歯切れが悪く、小さな声で答える。 「いやぁ、その……実は今日が檻に掛かっている結界魔法が切れるので、どうしても今日中にやらないといけないんですけどぉ……担当者する魔導士さん達が数日前から原因不明の病で入院してしまって。学内の運営陣も困り果て、これがその結論だったんですよぉ……。いや、決して魔導士さん達は仮病とかじゃあないと思いますよ? ケルベロスが怖いとか、前回ちょっと失敗して担当の一人が半年入院することになったのが怖くなったとか、そういう事じゃないんだと思いますよ?」  そういう事だと思います。生徒全員は心の中でそう呟いた。生徒全員の表情が曇り出す。 「で、でもですねぇ、報酬は出るんですよ! そこそこですが……」  アイラ先生は必死にフォローするが、そんな中途半端なフォローでは生徒の下がったモチベーションは帰ってこない。 「そ、それに! 今回の任務は特例で私が非常時に備えてサポートを行います! ひゃくにんりきってやつですね!」  非常に心もとない。そもそも、このロリ教師が真っ先にケルベロスに襲われる気がしてならない。そもそもアイラ先生は芸術の専攻で、歌ったり、料理ができても戦闘には不向きだ。  アイラ先生は必死にお願いをするものの、徐々に生徒も踵を返して離れて行ってしまう。仕舞にはアイラ先生も涙目になってしまう状況であった。 「誰かぁ……誰かお願いしますよぉ……」  そんな中のことだった。少なくなってきた人垣の中から、自分が手伝います、と手を挙げる者が現れ始める。どうやら先生の様子を見かねたようだ。困った人を見捨てられないのは勇者の本質らしい。それを見たアイラ先生は悲しそうな表情を一変させ、目を輝かせる。 「ありがとうぅ……うぅぅ……グスッ……」  アイラ先生は感動のあまり、そのまま泣きだしてしまった。感受性が豊か過ぎる。本当に子供みたいだ。 「オイオイオイ」 「死ぬぜアイツ」  一方で茶化す生徒もいる。  しかしある生徒は課題内容をまじまじと見て、「ほう、減額処理抜きクエスト(課題)ですか」と口にする者がいた。 「教師同伴でのアルバイトクエストは報酬が条件に応じて変動することが多い。その中で教師の行動に縛られず報酬が一定とは、効率がきわめて高い」 「なんでもいいけどよォ、相手はあのケルベロスだぜ? いくら先生がいたとしても……」  生徒はアイラ先生を横目で見てから、すぐに視線を戻す。それを見たアイラ先生は頬を膨らませて、おこり始めた。 「あーっ! 今ばかにしましたよね! 心の中で、こんなちっちゃい先生じゃなー、とか思っていたんですよねっ!」  ぴょんぴょん跳ねながらそんなことを言うので、おこっているのに何だかほほえましい。ただ、言われてみれば本当に大丈夫なのか、いささか不安ではある。  だがしかし、そんなことなど、この学校の生徒からすれば些細なことだった。集まったメンバーは既に臨戦態勢になっている。それを見てアイラ先生は安心したようだ。さっきとは打って変わってテンションが高くなっている。 「さてさてでは参加いただいた皆さん! 放課後に魔獣棟の正面に集合してくださいね! はりきっていきましょー! おー!」  しかし、アイラ先生の笑顔を見ると、思わずつられて見ているこっちも笑顔になってしまう。その魔法ような魅力にかけられて、生徒たちはつい参加してしまったのかもしれない。  そして、ケルベロスにも恐れぬ心を持つ勇者のタマゴたちが、アイラ先生の為に立ち上がる。
デッドリー・ライブラリー・ツアー 駒米たも GM

ジャンル コメディ

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2019-01-31

予約期間 開始 2019-02-01 00:00
締切 2019-02-02 23:59

出発日 2019-02-07

完成予定 2019-02-17

参加人数 8 / 8
「もしかして新入生の方ですか?」  その場に居たのは偶然だったのか。必然だったのか。  第一校舎の廊下を歩いていると突然声をかけられた。  見れば、線の細い、というか薄い青年が立っている。眼鏡奥のツリ目がキラリと輝いていた。 「良かったらどうぞっ!」  そう言って押しつけ、もとい手渡されたチラシには『図書委員主催☆大図書館ガイドツアー』の文字。  どうやら新入生を対象にした施設のガイドツアー案内らしい。  膨大な数の本が放課後の優しい光に照らされている。  豪奢な扉を開けた先に待っているのは巨大な本棚の迷宮だ。 「来てくれたんですね!」  木目美しいカウンター前で手を振る男子生徒。よく見ればチラシを手渡して来た青年だ。  制服には『図書委員』と書かれた腕章がついている。『ライブラリー・ツアー』と書かれた小さな三角旗を振りながら、にこやかに透けていた。  入り口近くにはツアーの参加者と思わしき生徒たちが集まっている。  チラシを手に目を輝かせている者、目が死んでいる者、断りきれなかったのかオロオロしている者、明らかに興味が無さそうな者。様々だ。 「皆様。この度は図書委員主催大図書館ガイドツアーにご参加頂き、誠にありがとうございます。わたし、ガイド役を務めさせて頂く【オズマー・クレイトン】と申します。それでは改めまして」  こほん、と咳払いの音。 「知恵の源泉、探求の坑道、テスト前の駆け込み寺。ようこそ、大図書館『ワイズ・クレバー』へ!」  見渡す限りの背表紙。確かに大図書館の名に恥じぬ驚くべき蔵書数だ。オズマーと名乗った男子生徒を先頭に一行は歩きだす。 「ご存じの通り『魔法学園フトゥールム・スクエア』には先輩たちの活躍によって世界中から様々な資料や文献が集められています。それを適切に管理し、保管する。そして時には勇者を目指す皆さんの助けとなる。それが大図書館ワイズ・クレバーの役割です」  三角旗が案内板と書かれた巨大な地図の前で止まった。 「我々図書委員はワイズ・クレバーをもっと身近に、安全に利用して欲しいという思いから今年もそれぞれ好き勝手に様々な企画を行うことにしました。増やせ利用者減らせ重傷者」  早口の中に図書館にあるまじき単語が混じった気もするが、それもフトゥールム・スクエアでは仕方ない。何故ならフトゥールム・スクエアなので。 「今日は皆さんの興味がある棚にお連れします。今から紙をお配りしますので、お名前と読んでみたい本のジャンルを書いてください。思いつかなければ興味のあること、悩んでいることでも構いません。参考にしてご案内します」  紙を配り終えたところで「そうだ」とオズマーは手を叩く。  ふと、後ろから視線を感じた。振り向くが、柱が一本あるだけで誰も居ない。疑問符を浮かべながら説明に戻る。 「案内の前に注意事項を。図書館内では勉強をしている方が大勢います。『大声は出さないように』気をつけてください」  はい、と数人が素直に頷く。 「それから『本は勝手に持ち出さないこと』『汚さないこと』。図書館は皆が共同で使う場所です。お互い気持ちよく使うのが一番。もし違反した場合は防犯魔法が発動してしまいますからね。気をつけて下さい」  また数人が頷く。 「あと大図書館はとても広いので闇雲に歩くと遭難します。旗を見失わないで下さいね」  早口で軽く言ったけれど、今のはすっごく重要な注意事項では無いのか。何かがおかしい。説明の雲行きが怪しくなってきた。 「今日は人気のあるスポットをご紹介したいと思います! えっと。今日は無断の風神、汚濁の水神、咆哮の雷神の三名が来る日ですね。彼らは俗に違反四天王と呼ばれていて『受付カウンター』『飲食スペース』『閲覧室』で見ることができます。『禁書棚』にも一人いるんですがレベルが低いと近づくだけで死ぬので今回禁書棚は見送りましょう」  遭難って何だ。人気スポットが人なのはどうしてだ。ってか四天王って何だ。禁書って何だ。死って物理的に? それとも精神的に?  気づけば図書館の説明が魔窟やダンジョンと同じものになっている。何故なのか。しかし仕方ない。ここはフトゥールム・スクエアだ。図書館が迷宮や樹海と同レベルの非常に危険な場所だというのは常識なのかもしれない。多分。 「ところで避けたり防御したりするのは得意ですか? 苦手な方はわたしの近くにいるか、得意な方に守ってもらってくださいね! では出発ー!」  新入生たちは互いに目配せをし、想いを伝えあう。これ、たぶん、普通のガイドツアーじゃないぞ、と。  一方その頃。不敵に笑う三つの影が柱の陰から一行の後ろ姿を見ていた。 「ふふふ、どう思う?」 「ふふふ、何の準備も無しに大図書館にやってくるなんて。とんだオバカさんね」 「ふふふ、何も知らぬヒヨッコ共に、身をもって思い知らせてあげるよ」  黒い影が両手を突き上げる。 「ワイズ・クレバーの真の恐ろしさ、思い知るがいい!!」 「先輩ってところを見せつけちゃうんだからっ、ちょっとはりきっていくよー!!」 「ところで早く追いかけないと見失うんじゃないかなぁ!?」  フハハハハと高笑いが三重。何あれ、と来館者は足早に通り過ぎる。違反を察知した大図書館の警報魔法が低い音を立てて発動した。 『大声は出さないように!』 「「「ぴぎゃーっ!!」」」  雷鳴の後に残るは丸焦げ三体。大図書館の違反四天王(本日一名欠席)と呼ばれる彼らの魔の手が、新入生に迫りつつあった……!
貧困村へ向かう少女行商人の護衛依頼 GM

ジャンル 冒険

タイプ ショート

難易度 普通

報酬 少し

公開日 2019-01-29

予約期間 開始 2019-01-30 00:00
締切 2019-01-31 23:59

出発日 2019-02-06

完成予定 2019-02-16

参加人数 8 / 8
「困窮してる所から安く買い叩いて、困窮してる所へ高く売りつける、そういうのはわたし、商道から外れてると思うんです!」  迸る激情のままに喋ってそうな小柄な女の子はまだ若く、歳の頃は十五、六といったところだろうか。  幼さを残す身を包む旅商人風の服装は、しかし対照的に深い年季を感じさせた。  身も蓋も無い言い方すると、  ボロかった。  何度も洗いざらして使い続けているのだろう。  服の布地は擦り減ってペラペラだ。  ズボンの膝頭など破けたのだろう、当て布がはられている。  幌つきの荷馬車は手入れはなされてる、が、いかにも根本的に古びている。その荷馬車を引く馬も痩せてはいないが年寄りだ。  儲かってるようにはとても見えないこの行商人が、今回学園教師が貴方達へと紹介した依頼人である。  正義感はありそうだが商才は無さそうな少女曰く、 「十分に物が届かない地域があるんです」  魔王封印から二千年と少々、多くの尽力によりエイーア大陸は平和と呼べるものを取り戻していた、が、それは完全ではなかった。  『魔王によって魔力からこの世に創造された存在』いわゆる『魔物』は未だ滅び去っていない。  魔王による甚大な被害から未だ復興しきれてない地域もある。  例えば大陸北部にあるグラヌーゼ村など、かつて麦の名産地として栄えたが、魔族ノア一族によって焼き払われ『グラヌーゼの悲劇』とまで呼ばれた惨禍により村は衰退し、豊かに麦を実らせていた村北部の大地は今では荒野と成り果てている。  グラヌーゼの周辺にはかつてノア一族が拠点とした『サーブル城』や他にも『幻惑の森』などの危険地帯が存在するせいもあって、未だ復興は完了していない。貧困が問題になっている地域だった。 「今回行商に向かう『グリン村』も同じように魔物の脅威が継続ているせいで貧しい地域です。かつての戦火と魔王封印後も物流が断続的に阻害され続けた為に寂れ、今では人口百人程度の小さな村に成り果てています」  グリン村も昔はそれなりに大きな町だったらしい。  千年以上も前のことなので、数少なくなってしまった末裔達以外に憶えている者はほとんどいないとの事だったが。 「危険な上に人も少なく貧しい村へ商いにいっても普通の手段では儲かりません。ですから、グリン村へ向かう商人は今ではほぼいません。結果、グリン村では必要な物資が恒常的に欠乏しがちです」  塩や布や油や薪、それに鉄など不足するものの幅は広いらしい。食料品の自給が最低限たりているのは救いだが、冬の寒さに老人や子供は震えているという。 「村での生活は不便になり、不便になるから人が減る、人が減ると生産力が落ちてさらに貧乏になる。貧乏になると購買力が減るからますます商人が寄りつかなくなる。負の螺旋です。そうして果てに困窮につけこむろくでもない輩たちが寄ってくる」  声低く怒気を滲ませながら少女は言う。 「わたしはそういう世の中、良くないと思うのです。わたしの父も同じ意見でした。ですから、わたし達親子はグリン村へと定期的に儲けは考えないで物を売りにいっていたのです。厳しい状況に生きる人々の一助となれればと。残念ながら父は先月、不慮の事故死を遂げてしまいましたが、父が斃れてもその遺志は私が継ぎます。…………ただ……」  ただ? 「その、わたしどもも元々あまり余裕があった訳ではないのですが、父が逝ってしまってからは特に出費がかさんでしまって、今、運用可能な資金がわたしの手元にはあまりないのです」  そうなるんだろうな、と思われた。儲けは考えないで――聞こえは良いが、その結果がそれだ。 「それで、いつもは町の傭兵組合さんに道中の護衛をお願いしていたのですが、現状だといつも通りの価格でお願いするのはいささか厳しく…………困っていたら『フトゥールム・スクエアを頼ったら良いんじゃないか?』っておっしゃってくれた方がいて」  魔法学園はシュターニャの町の傭兵組合『シュッツェン』の組合長から信頼をおかれているから、有事の際は『臨時傭兵』として学生に応援要請が来る事がある。学園生に傭兵の代わりとしての依頼が来ている今回のこれも、その流れなのだろうか? 「そ、その……勇者様、わたしがお支払いできる報酬は相場よりいささか低めになってしまうのですが、どうかグリン村までわたしの行商の護衛についていただけませんか? お願いします! ……や、やっぱりこんな厚かましいお願いは、駄目でしょうか……?」  抑えきれぬ情けなさと申し訳なさを表情に滲ませながら上目遣いに少女が貴方達を見た。  『困った時の勇者頼み』であるらしい。  おそらくきっと引き受けたら割に合わない。  まっとうな経済感覚があるなら誰しもきっと引き受けたがらない。 ――どうする? ●一方その頃・道の途中 『カァーッ!!』  奇声が山中を抜ける道に鳴り響いた。  ぎょっとして足を止め、見上げた旅人の男が目にしたのは崖の山肌、土が剥き出しになっている急斜面を土煙をあげながら滑り降りてきている緑肌の小鬼達だった。  その数、五。  それぞれ一様に剣の切っ先を男へ突き出すように構えている。 「むっ?!」  それなりに経験豊富な壮年の旅人は素早く道の端へと飛び退いた。次々に斜面から道の上へとゴブリン達が降り立ってくる。 「数を恃めば己を殺せるつもりか……? ゴブリン風情が、舐めるなよ」  一人旅をしているだけあって腕に自信があるらしき壮年男は、腰から切れ味鋭そうな細身の長剣を勢いよく抜刀する。  じりじりと間合いをはかりながらゴブリン達と睨み合い――次の瞬間、身を硬直させ口から鮮血を吐き出した。 『ギギッ!』  呆気なく絶命した旅人が倒れると、その傍らには血塗れた錆剣を手にした大柄なゴブリンが立っていた。男臭い野太い笑みを浮かべている。ハイゴブリンだ。彼が山林の陰から忍び寄ってきて必殺の一撃を旅人の背に叩き込んだのである。  一方が驚かせて注意を惹いている間に一方がこっそり忍び寄って後ろから刺す、子供でも思いつきそうな単純なやり方だったが決まった時の効果は絶大だった。彼等は傷一つ負うことなく強敵を仕留めたのだ。  ゴブリン達の戦闘能力は決して高いものではない。  だから真っ向からの勝負となったらここまでの完勝は望めなかっただろう。旅人無念。油断禁物。 『ギーッ♪』  ゴブリン達がわらわらと集まってきて斃れた旅人から荷物を奪い、衣服までをも剥ぎ取ってゆく。  ハイゴブリンは山道上に転がっている細身の剣を拾い上げ、顔の前に翳して鋼刃の輝きに目を細めた。 ――人間などたいした生き物ではない。奴等など獲物に過ぎない!  上等な略奪品に気をよくした彼は「ハハハ!」と牙剥き笑い声をあげ、さらなる獲物を欲するのだった。
秘密の部屋で鍋パーティ! あいきとうか GM

ジャンル ハートフル

タイプ ショート

難易度 とても簡単

報酬 なし

公開日 2019-01-29

予約期間 開始 2019-01-30 00:00
締切 2019-01-31 23:59

出発日 2019-02-05

完成予定 2019-02-15

参加人数 8 / 8
 魔術学園フトゥールム・スクエアにはいくつかのきまりがある。  校則と呼ばれるそれのひとつが、夜間の活動禁止だ。つまり、学生は夜になったら寮内でおとなしくしていなさい、ということである。  特別な理由がない限り順守されるべきその掟を、密かかつ大胆に破る五人組の姿があった。 「人影、なし!」 「よーし、走れ!」 「どこだっけー!」 「第九校舎! 二階! あそこの部屋、一室あいてんだよ!」 「やったね!」  小声をかわしながら、ばたばたと五人の学生が走る。男性三名、女性二名だった。  全員、魔術学園に通い始めて二年目の少年少女だ。それぞれ、大量の荷物を体に括りつけたり抱えたりしている。  息を切らしながら第九校舎の二階に駆けこむ。鍵には事前に細工を施してあった。  巨大な鍋を背中にくくりつけた、リーダー格の少年が開錠し、中に入る。  カーテンがしっかり閉まっていることを確認して、最年少の少女は杖の先に最小限の光をともした。外から知られないようにするためだ。 「組み立てるぞ。まずさり気なく置いといたテーブルに、布団をかぶせて」 「はいよ」  水鳥の羽がつめこまれた布団は二枚、縫いあわせてある。まるで巨人用の大布団だ。  それをテーブルにかける。四方の端が床につくが、これでいい。 「テーブルの裏側にこれを貼って、発動」  発熱の魔法を発動させるための陣を描いた紙に、指を鳴らして合図を送る。  温度は高くないが、布団が被さっているため内部の熱は保たれる。 「んで、布団の上に板を載せてー、コタツ!」 「これがコタツ!」 「まだ終わりじゃねぇぞ。コタツの上にこれ置いてー、発動!」  天板の裏に貼りつけたものを板にも置く。さらに鍋を載せる。 「これをもう一セット」 「ういっす!」 「鍋に出汁と食材ぶちこんでー。あ、そっち魚よろしく」 「はいはい」 「十分煮えたら、肉鍋と魚鍋!」 「いえーい!」  ぱん、とそれぞれがハイタッチ。  侵入者たちは実に楽しく、静かに、迅速に行動していた。 「これ、喜んでもらえるかしらね」 「さぁなぁ。そもそも見つけてもらえるかな」 「一応、張り紙しておくけど」 「あんまり目立つところに置くなよ、先生に見つかったら計画失敗なんだから」 「分かってるよ、まっかせて」 「でもさ」  腕を組んだリーダー格の少年が、部屋を見回す。  暗いこの部屋が射しこむ朝日で明るくなるころ、学生たちが集まって、鍋を囲んで談笑する姿を思い描く。 「いいじゃんね」 「ね」 「去年を思い出すよね」  ふふ、と最年長の少女が笑った。  この五人は友だち作りが苦手だった五人だ。どうにもなじめない学園生活を一か月送ったころ、張り紙を見つけた。  第九校舎で鍋パーティ、という張り紙を。  引っ張られるように指定されていた部屋に入り、鍋を囲んで、気がつけば仲良くなっていたのがこの五人なのだ。 「学園生活たのしー! って思ってもらえたらいいよね」 「まずは友だち作りから、ね」 「椅子を八人分しか用意できなかったのが残念だけどな」 「この部屋、思ったより狭いよね」  去年の鍋パーティの主催、もとい主犯を彼らは知らない。  ただ、来年は自分たちがやる、と思い続けて、今日、決行することにした。 「怒られるかなぁ、あたしたち」 「怒られるだろ。先輩たちもきっと怒られた」 「じゃー、ま、いっか」 「よし、鍋が煮えたら隠れるぞ。たまに様子見ないとな」  食材が煮えすぎていないかとか。出汁が減りすぎていないかとか。  確認することは色々ある。 「あたしたち、天井で見てるね」 「じゃ、俺たち食材あさってくるわ。ついでに紙貼ってくる」 「よろしくー」  天井板を外し、二階と三階の間の空間に二人の少女が隠れる。  三人の少年は部屋の外に向かった。  朝を迎えた魔術学園のエントランス。  学生や職員たちがまばらに行きかうその場所の、片隅に。  一枚の紙がこっそりと貼りつけられていた。  鍋パーティ開催中。肉魚野菜キノコ色々あります。  第九校舎二階、階段右手二番目の部屋。はらぺこ集まれ!  学園生活二年目の私たちより。
入学願書が手に入りました! oz GM

ジャンル コメディ

タイプ EX

難易度 とても簡単

報酬 なし

公開日 2019-01-26

予約期間 開始 2019-01-27 00:00
締切 2019-01-28 23:59

出発日 2019-02-02

完成予定 2019-02-12

参加人数 8 / 8
 勇者の育成を理念とする魔法学園「フトゥールム・スクエア」は年齢や種族問わず、その門戸を開けている。どんなものであれ学びたいという意欲さえあれば学生として歓迎される。  その為、学園と交流のある町や村にビラのように入学願書が配られているので、簡単に手に入れられる。  学園にちょっとでも興味を持てば、どこからともなく入学願書は現れる――そう、受け取らない限りずっとだ。一度受け取ってしまえば、紙の束に埋もれることはないし、そういう仕様なだけで学園への入学を強制するものではないので安心して欲しい。  学園に入学したい者は、当然入学願書に名前その他諸々記入する必要がある。だが、世知辛いこの世の中、文字が書けない者も一定数いるわけで、そういう場合は血判のみというワイルドな方法でも大丈夫だ。  たまに記入するのが面倒臭がって血判で済ませる者が毎年出るのだが、よい子は真似しないように。  入学願書を記入し終わったら現れた時と同じように魔法であっという間に学園に届く、ということはなく――極めて現実的な手段で提出しなければならない。  学園に郵送してもらうか学園関係者に直接手渡したり、あるいは学園へ直接持ち込みも可だ。  なぜ受け取るときのように記入し終わったら魔法で届かないのかというと職員の手抜きゴホンッ――これも学園に入学する為の試練なのだ、おそらく。  願書受理の珍しい例だと、食事に困った末に学園に忍び込み、7日間誰にも見つからず潜伏しきった末に、何故か学園長に勝手に願書をねつ造され生徒になっていた、という前例もある。  よくある例だと、ターゲットを殺しに学園に侵入した暗殺者やスパイが呆気なく捕まり、強制的に学生になっていたなど学園あるあるだ。  学園に入学すれば寮を割り当てられ、卒業するまで学生としてそこで暮らしていくことになる。  さて、君はどんな経緯で入学することになったのだろう。  魔法を極めたい、あるいは手に職をつける為にと真面目な理由もあれば、女性との出会いを求めて入学を決めた不純な動機の者も中にはいる。  他にも一旗揚げる為にと家出した末に……であったり、迷子になっていたら、いつの間にか学生になっていたなどの経緯もあるだろう。  衣食住につられて学園に来ましたというある意味切実な理由で、入学する者も結構いる。例え目標がなくてもこれから見つければいい。そういう学生も学園でたくさんのことを学んで欲しい。  そうやって自分の意志で学園に来た者もいれば、一族の仕来たりで入学が決まったり、勇者に憧れていた親が勝手に入学願書を出していたなど入学する理由は様々だ。  何か目的を持って入学をした者がいれば、なんとなく入学してしまったり、仕方なく入学することになった者もいるかもしれない。  どんな理由にせよ、ここに入学した以上は一度っきりの学園生活を謳歌して欲しい。
魔法薬の素材採集 孔明 GM

ジャンル 冒険

タイプ ショート

難易度 簡単

報酬 ほんの少し

公開日 2019-01-22

予約期間 開始 2019-01-23 00:00
締切 2019-01-24 23:59

出発日 2019-01-31

完成予定 2019-02-10

参加人数 8 / 8
 魔法学園フトゥールム・スクエアは『勇者』の育成をするための教育機関であるが、昨今は時世の流れもあって通常の勇者としての教育以外にも、日常生活や魔法知識などを教える多角的な学校となっている。  そして多角的な教育を施すということは、多くのカリキュラムがあるということである。一般に流通している薬草の効能や、魔法薬の作り方を学ぶ魔法薬基礎もその一つだ。  魔法学園は生徒数が膨大のため一つのカリキュラムに複数の教員が存在するが、今教室で講義をしているのはスペンサー・バーナードというヒューマンの教授だ。  くすんだ灰色の髪に、骸骨の標本のように痩せこけた頬。2m近い長身は腹のあたりを強打すれば、全身がポキッと折れてしまいそうなほど華奢である。全ての窓をカーテンで覆ってしまっているにも拘らず、サングラスをかけている理由は不明だった。 「この学園に入学するにあたって、最低限の予習は済ませているであろう君たちは当然知っていることと思うが……」  冷たい口調でバーナード教授が言う。サングラスの奥の目は、生徒たちを見渡しながら『最低限の予習を済ませていない』生徒を確認しているようだった。 「魔法薬は勇者になる上で『必修』とされる課目の一つだ。理由が分かるものは?」 「便利だから、だと思います」 「百点満点で五点の解答だな」  生徒の一人の答えをバーナード教授はピシャリと切り捨てた。 「魔法薬が通常の魔法と比べ、明確に優れる点。それは万人が等しく扱えることにある。例えば基本的な回復魔法一つにしても、使うにはその魔法を習得するだけの才能が不可欠だ。魔法を扱う才能がゼロであれば当然回復魔法の行使もできない」  だが、とバーナード教授は机の上に置かれているフラスコをとる。  フラスコの中では血のように真っ赤な液体が揺れていた。 「この回復の魔法薬を使えば、魔法が使えない者でも回復魔法と同じ結果を得ることができる」  教授はわざとナイフで自分の指を切って血を流してみせた後、魔法薬を飲むと、たちまちのうちに傷が消えた。 「しかし便利であるからこそ、その効能と種類について知らねばならない。毒状態にかかった勇者が、毒消しの魔法薬を服用とした際、誤って対魔物用の毒を飲んでしまい、そのまま死亡したという事故も過去にはある」 「……質問です、先生。毒消しと毒を間違うなんて、本当にあるんですか?」 「幾らなんでもそんな馬鹿な間違いはしない――毎年そう言うものは必ず一人はいる。ではこれを見ても同じことを言えるかな?」  そう言ってバーナード教授は二つのフラスコを魔法で浮かして見せる。  二つのフラスコにはまったく同じ無色透明な液体が入っていて、見た目だけではまったく違いを判別することができない。 「二つフラスコの片方は猛毒の魔法薬で、もう片方が毒消しの魔法薬だ。この二つは効能は真逆でありながら、色はともに無色透明で臭いも似通っている。魔法を用いるか、高度な魔法薬の知識がなければ判別は不可能だ」 「……」  さっき疑問を投げかけた生徒が黙り込んでしまう。  毒と毒消しの誤飲。冗談みたいなそれが現実に起こりえることだと理解したのだ。おそらく教室にいる生徒全員が。 「といってもこちらの猛毒の魔法薬は、私のような魔法学園の教職でもなければ所持の許されない禁薬。市場に出回ることなどありえない。だが勇者を志す以上、最低でも君たちは自分がよく使う魔法薬の判別と制作程度は、できるようになって貰わねば困る」  バーナード教授がチョークで黒板に字を書いていく。  それは魔法薬を作るための材料のようだった。最後に何かを書こうとしたところで、手を止めたバーナード教授が振り返る。 「これは回復魔法薬を作るために最低限必要な素材だ。次の授業では実際に魔法薬作りを体験してもらう。準備をしておくように。素材は学園内にある超大型商店『クイドクアム』で購入できる。この魔法薬を作るための素材を購入した代金は、後日学園のほうから支払われるため領収書は残しておくように。優れた魔法薬を作った者には、多少の報酬を出そう」  以上、解散。  バーナード教授がそう言うのと、授業終了のチャイムが鳴るのはほぼ同時だった。  授業終了後、何人かの生徒が同級生のメカス・トッテマオーの声かけにより集められた。  水のように、というより水分を人間のように変化させた青い髪は、少年がローレライである証である。  メカス・トッテマオーは集めた生徒達の前でわざとらしく咳払いをすると、得意げに口を開いた。 「なぁ君たち。さっきの教授の出した課題の本当の意味は分ったかい?」 「次の授業で使う素材を買っておけっていう話か?」  生徒の一人の答えに、トッテマオーは待ってましたと言わんばかりに『チッチッチッ』と指を振る。 「教授の言ったことを一言一句思い出してみなよ。教授は『回復魔法薬を作るために最低限必要な素材』って言ったんだぜ。これってつまり黒板に書かれた素材を使うだけじゃ、最低限な魔法薬しか作ることができないってことだよね」 「そういえばバーナード教授……最後に黒板になにか書こうとして止めてたな」  生徒の一人が思い出したように、ポン、と手を叩く。 「その通りさ。僕は予習してたから知ってるんだけど、課題の魔法薬を『完璧に』作るためには、黒板で書いてあった素材の他に『ポルクの花の花弁』を入れる必要があるみたいなんだ」  ポルクの花。森の中に生えている、魔法薬の素材にもなる白い花のことである。  そういえば教授が最後に書こうとしたなにかは『P』から始まっていた。  P――ポルクの花の花弁で間違いないだろう。 「よし。それじゃ早速『クイドクアム』でポルクの花の花弁を他の素材と一緒に買って――」 「……駄目なんだよ、それが」 「駄目?」 「ああ! 僕もそう思ってポルクの花の花弁を買いに行ったんだけど、全部誰かに買い占められてたんだよ! しかも再入荷は次の魔法薬基礎の授業の後だ! きっと僕と同じ結論に辿り着いた奴が、自分だけ単位と報酬を独り占めするために買い占めたに違いない!」  トッテマオーの言ってることが本当なら、その買い占めた何者かは阿呆だ。  授業で得られる報酬なんて微々たるもの。とてもではないが一つの商品を買い占めるために必要な額と釣り合っていない。 「じゃあどうするんだ? 金はかかるけど学園外の店を見に行ってみるか?」 「心配ないよ。第一校舎にある『リリー・ミーツ・ローズ』は知ってるだろ?」  こくりと頷く。  リリー・ミーツ・ローズは世界中の植物を集め、生育している植物園だ。  植物園の名前の由来にもなった初代管理者のリリーとローズによって環境が整備された結果、巨大な迷宮のようになっているという話である。 「『クイドクアム』にないんなら僕たちが自分で採集してくればいいんだよ。学園の先輩に『ポルクの花の花弁』が生えてる場所は聞いてきたから、今日これから僕らで採りに行かないか?」 「……」  正直トッテマオーは胡散臭かったが、このままでは最低限の魔法薬しか作れず、報酬は貰えないのは確実。  ならば返答は一つしかなかった。 「分かった」  トッテマオーはにやりと笑った。
520